説明

回転式重量充填装置および回転式重量充填方法

【課題】 容器の形状に関係なく常に正確な定量充填を実現する。
【解決手段】 この重量式充填装置10は、複数のユニット14,14,…を備えている。それぞれのユニット14は、回転台24と共に回転し、この回転の最中に、自身にセットされた容器12に所定重量分の飲料を充填する。このとき、容器12もまたユニット14と共に回転するので、当該容器12に空気抵抗力が作用する。そして、容器12の形状によっては、この空気抵抗力の垂直分力が発生し、当該垂直分力はユニット14内のロードセルに対し荷重となって作用する。ユニット14は、かかる垂直分力による誤差成分、換言すれば容器の形状に起因する誤差成分、を補正する機能を備えている。従って、容器の形状に関係なく常に正確な重量測定が行われる。加えて、遠心力に起因する誤差を補正する機能をも備えている。これにより、正確な定量充填が実現される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、回転式重量充填装置および回転式重量充填方法に関し、特に、容器が載置された計量手段ごと当該容器を回転移動させながら当該計量手段から出力される計量信号に基づいて一定重量分の被計量物を当該容器に供給する、回転式重量充填装置および回転式重量充填方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の回転式重量充填装置および回転式重量充填方法として、従来、例えば特許文献1に開示されたものがある。この従来技術によれば、計量手段としてロバーバル型重量計が採用されており、このロバーバル型重量計の一端は、回転体に連結され、他端には、支持テーブルが連結されている。そして、この支持テーブル上に載置された容器内に充填バルブから充填物が充填され、ロバーバル型重量計によって測定された重量が所定重量になると当該充填バルブが閉鎖される。これによって、容器内に一定重量の充填物を充填するという、いわゆる定量充填が実現される。
【0003】
ただし、ロバーバル型重量計は回転体と共に回転するので、この回転によって当該ロバーバル型重量計に遠心力が作用する。そして、この遠心力によって上方向の分力が生じ、その結果、ロバーバル型重量計による重量測定値に誤差が生じる(実際よりも軽めの重量値となる)。この誤差は、回転体の回転数、およびロバーバル型重量計に印加される荷重の大きさによって、変化する。このため、従来技術では、回転体の回転を検出する回転検出器が設けられており、この回転検出器からの検出信号と、ロバーバル型重量計からの計量信号とに基づいて、当該誤差が補正される。このような誤差補正が行われることで、重量測定精度が向上し、ひいては正確な定量充填が実現される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭63−55002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述のような回転式重量充填装置においては、当然ながら回転体の回転に伴って容器も回転する。そして、このように容器が回転することで、当該容器に対して空気抵抗力が作用する。さらに、容器の形状(外観形状)によっては、当該空気抵抗力の垂直分力が発生し、この垂直分力がロバーバル型重量計に作用することで、当該ロバーバル型重量計による重量測定値に誤差が生じる。具体的には、例えば図40に示すように、容器1が概略三角フラスコ状のものであり、この容器1が矢印2で示す方向に回転(移動)しているとする。この場合、容器1に対して、矢印3で示すような、つまり容器1の移動方向(矢印2)とは逆の方向に向かう、空気抵抗力が作用する。そして、この空気抵抗力の作用点である側面4が斜め上方に面するように傾斜しているため、矢印5で示すように、下方に向かって当該空気抵抗力の分力が発生する。この分力は、容器1の下方にある図示しないロバーバル型重量計に対し荷重として作用するため、ロバーバル型重量計による重量測定値に誤差が生じる(実際よりも重めの重量値となる)。上述の従来技術では、このような空気抵抗力の垂直分力による誤差、言わば容器の形状に起因する誤差を、補正することができないので、かかる誤差が生じる状況下において正確な重量測定を行うことができない。つまり、従来技術では、容器の形状によっては正確な重量測定を行うことができない、という問題がある。この問題は、特に化粧品業界や飲料業界等のように多彩な形状の容器を取り扱う業界において、極めて深刻に受け止められている。
【0006】
そこで、この発明は、容器の形状に関係なく常に正確な定量充填を行うことができる回転式重量充填装置および回転式重量充填方法を提供することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、容器が載置される計量手段を備え、この計量手段ごと容器を回転移動させながら当該計量手段から出力される計量信号に基づいて一定重量分の被計量物を当該容器に供給する回転式重量充填装置において、計量信号に含まれかつ容器が計量手段ごと回転移動することによって生じる当該容器に対する空気抵抗力の垂直分力による第1誤差成分と、計量手段に対する遠心力の垂直分力による第2誤差成分と、を補正する補正手段を、具備する。ここで、補正手段は、計量手段が回転移動している最中の予め定められた時点に対応する係数と、当該計量手段の移動速度と、に基づいて、当該時点における補正を行う。
【0008】
即ち、第1の発明では、容器が計量手段ごと回転移動することによって、当該容器に対して空気抵抗力が作用する。このとき、容器の形状によっては、当該空気抵抗力の垂直分力が発生する。そして、この垂直分力は、計量手段に対して荷重として作用する。その結果、計量手段から出力される計量信号に、当該空気抵抗力の垂直分力による第1誤差成分、換言すれば容器の形状に起因する第1誤差成分が、重畳される。そこで、補正手段が、この第1誤差成分を補正する。また、計量信号には、計量手段に対する遠心力の垂直分力による第2の誤差成分も重畳される。補正手段は、この第2誤差成分をも補正する。これによって、当該第1誤差成分および第2誤差成分が除去された計量信号が得られる。なお、補正手段は、計量手段が回転移動している最中の予め定められた時点に対応する係数と、当該計量手段の移動速度と、に基づいて、当該時点における補正を行う。
【0009】
本第1発明においては、複数の時点が予め定められてもよい。この場合、補正手段は、これら複数の時点それぞれに対応する係数と、計量手段の移動速度と、に基づいて、当該複数の時点それぞれにおける補正を行うものとする。
【0010】
そして、このように複数の時点が予め定められる場合、当該複数の時点の1つは、計量手段に容器が載置されており、かつ、当該容器に被計量物が供給される前の、風袋計測時であってもよい。
【0011】
これとは別に、当該複数の時点の1つは、容器に供給された被計量物の重量が一定重量よりも小さい所定の供給停止重量に達する供給停止時であってもよい。
【0012】
これとはさらに別に、当該複数の時点の1つは、容器に供給された一定重量分の被計量物の最終的な重量を測定する最終計測時であってもよい。
【0013】
第2の発明は、第1の発明に対応する方法発明であり、即ち、容器が載置された計量手段ごと当該容器を回転移動させながら当該計量手段から出力される計量信号に基づいて一定重量分の被計量物を当該容器に供給する回転式重量充填方法において、計量信号に含まれかつ容器が計量手段ごと回転移動することによって生じる当該容器に対する空気抵抗力の垂直分力による第1誤差成分と、計量手段に対する遠心力の垂直分力による第2誤差成分と、を補正する補正過程を、具備する。そして、補正過程では、計量手段が回転移動している最中の予め定められた時点に対応する係数と、当該計量手段の移動速度と、に基づいて、当該時点における補正を行うものである。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、計量手段から出力される計量信号に容器の形状に起因する第1誤差成分が含まれているとしても、この第1誤差成分は補正されて、計量信号から除去される。また、遠心力による第2誤差成分も補正される。従って、容器の形状によっては正確な誤差補正を行うことができない上述の従来技術とは異なり、当該容器の形状に関係なく常に正確な誤差補正を行うことができ、ひいては正確な定量充填を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明の参考例の概略構成図である。
【図2】同参考例の動作を説明するための図解図である。
【図3】同参考例におけるコントローラの構成を示すブロック図である。
【図4】同参考例における個々のユニットの構成を示すブロック図である。
【図5】同ユニットのロードセルの構造を示す図解図である。
【図6】同ユニットの動作を説明するための図解図である。
【図7】同ユニットにセットされた容器に作用する空気抵抗力の影響を説明するための図解図である。
【図8】同ユニットのロードセルに作用する遠心力の影響を説明するための図解図である。
【図9】図3における係数リストの記憶内容を概念的に示す図解図である。
【図10】図3におけるパラメータリストの記憶内容を概念的に示す図解図である。
【図11】同参考例におけるコントローラのCPUが実行する調整モードタスクの内容を示すフローチャートである。
【図12】図11に続くフローチャートである。
【図13】図12に続くフローチャートである。
【図14】図13に続くフローチャートである。
【図15】図14に続くフローチャートである。
【図16】図15に続くフローチャートである。
【図17】同参考例における個々のユニットのCPUが実行する対調整モードタスクの内容を示すフローチャートである。
【図18】同参考例におけるコントローラのCPUが実行する稼動モードタスクの内容を示すフローチャートである。
【図19】図18に続くフローチャートである。
【図20】同コントローラのCPUが実行するタイミング制御タスクの内容を示すフローチャートである。
【図21】同コントローラのCPUが実行するデータ取得タスクの内容を示すフローチャートである。
【図22】同参考例における個々のユニットのCPUが実行する対稼動モードタスクの内容を示すフローチャートである。
【図23】同ユニットのCPUが実行する誤差算出式切換タスクの内容を示すフローチャートである。
【図24】同ユニットのCPUが実行する補正タスクの内容を示すフローチャートである。
【図25】同ユニットのCPUが実行する充填タスクの内容を示すフローチャートである。
【図26】図25に続くフローチャートである。
【図27】この発明の一実施形態における個々のユニットの動作を説明するための図解図である。
【図28】同実施形態における係数リストの記憶内容を概念的に示す図解図である。
【図29】同実施形態におけるコントローラのCPUが実行する調整モードタスクの内容を示すフローチャートである。
【図30】図29に続くフローチャートである。
【図31】図30に続くフローチャートである。
【図32】図31に続くフローチャートである。
【図33】図32に続くフローチャートである。
【図34】図33に続くフローチャートである。
【図35】図34に続くフローチャートである。
【図36】図35に続くフローチャートである。
【図37】図36に続くフローチャートである。
【図38】同実施形態における個々のユニットのCPUが実行する対調整モードタスクの内容を示すフローチャートである。
【図39】同ユニットのCPUが実行する誤差算出式切換タスクの内容を示すフローチャートである。
【図40】従来技術における空気抵抗力の影響を説明するための図解図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
この発明の具体的な実施形態を説明する前に、この発明の参考例について、図1〜図26を参照して説明する。
【0017】
図1に示すように、この参考例に係る回転式重量充填装置10は、ビン等の所定の容器12に、充填物としての所定の液体、例えば飲料を、一定重量ずつ充填するためのものであり、大量生産に対応するべく、互いに同型のN(N;複数)台のユニット14,14,…を備えている。
【0018】
それぞれのユニット14は、容器12が載置される載置台16と、この載置台16が結合された計量機18と、この計量機18の上方に距離を置いて設けられており、かつ容器12内に飲料を供給するための供給手段としてのバルブ20とを、備えている。また、載置台16の近傍には、当該載置台16に載置された容器12を支持するためのスタンド22が設けられている。なお、この参考例においては、N=36とされており、つまり36台のユニット14,14,…が設けられている。また、各ユニット14,14,…には、1〜Nまでの個別の識別番号nが付されている。
【0019】
各ユニット14,14,…は、図2に示すように、円盤状の回転台24の周縁寄りの部分に、当該周縁に沿って等間隔に、つまり10度(=360度/N)置きに、配置されている。回転台24は、回転軸26を中心として、当該回転軸26と共に、図2に矢印100で示す方向(図2において時計方向)に回転する。そして、この回転台24の回転に伴って、各ユニット14,14,…も回転する。なお、上述の識別番号n(=1〜N)は、図2において反時計回りの方向に向かってその値が順次大きくなるように、各ユニット14,14,…に付されている。
【0020】
図1に戻って、回転軸26の上端は、各ユニット14,14,…(各バルブ20,20,…)よりも高い位置にあり、この上端には、貯蔵手段としての円筒状の貯槽28が固定されている。この貯槽28は、飲料を一時的に蓄えておくためのものであり、その側壁の下部には、N本の配管30,30,…が放射状に結合されている。そして、これらの配管30,30,…の先端に、各ユニット14,14,…のバルブ20,20,…が個別に結合されている。従って、貯槽28内の飲料は、各配管30,30,…を通って自由落下により各バルブ20,20,…に流れる。そして、これらのバルブ20,20,…を介して各容器12,12,…内に飲料が供給される。なお、貯槽28内の飲料の貯蔵量が一定量以下になると、図示しない補充槽から当該貯槽28内に飲料が自動的に補充される。
【0021】
一方、回転軸26の下端は、回転台24の中央を貫通した状態で当該回転台24の下方に位置している。そして、この回転軸26の下端には、ギヤ機構32を介して駆動手段としてのモータ34(厳密にはモータ34の回転軸)が結合されている。このモータ34は、後述するコントローラ36によって制御され、当該モータ34が駆動することで、ギヤ機構32を介して回転軸26が回転する。また、ギヤ機構32には、回転軸26が1回転する毎に1つのパルスを出力する、具体的には回転軸26の周縁の1箇所に設けられた図示しない回転基準(原点)を検出する度に1つのパルスを出力する、言わば回転基準検出用のエンコーダ38が結合されている。さらに、このエンコーダ38とは別に、当該ギヤ機構32には、回転軸26が1回転する毎にα×N個(α;自然数)のパルスを出力する、言わば回転角度検出用のエンコーダ40も結合されている。これらのエンコーダ38および40から出力されるパルスは、コントローラ36に入力される。
【0022】
コントローラ36は、図3に示すように、CPU(Central Processing Unit)360を内蔵している。そして、CPU360には、上述の各エンコーダ38および40との間のインタフェース回路としてのパルス入力回路362が接続されており、当該各エンコーダ38および40の出力パルスは、このパルス入力回路362を介してCPU360に入力される。CPU360は、入力されたパルスから、回転軸26の回転角を認識し、ひいては各ユニット14,14,…の現在位置を認識する。そして、この認識結果に基づいて、それぞれのユニット14毎の現在位置を表す後述する位置データを生成する。
【0023】
また、コントローラ36は、モータ34との間のインタフェース回路としてのモータ制御回路364、および後述する搬入用コンベヤ50(図2参照)等の外部装置との間のインタフェース回路としての外部制御回路366を内蔵しており、これらの回路364および366は、上述のパルス入力回路362と同様に、CPU360に接続されている。また、コントローラ36は、図示しない操作パネルを有しており、この操作パネル上には、操作手段としての操作キー368、および表示手段としての液晶型のディスプレイ370が、設けられている。そして、これらの操作キー368およびディスプレイ370もまた、CPU360に接続されている。
【0024】
さらに、CPU360には、第1の記憶手段としてのメモリ372が接続されており、このメモリ372には、CPU360の動作を制御するための制御プログラムが記憶されている。また、メモリ372には、後述する係数A[n]およびB[n]が記憶される第1記憶領域としての係数リスト374と、後述する零点計測時間Tz等の各種パラメータが記憶される第2記憶領域としてのパラメータリスト376とも、設けられている。
【0025】
そしてさらに、コントローラ36は、各ユニット14,14,…の各計量機18,18,…との間で、個別かつ相互に通信可能とされており、かかる通信機能を実現するために、当該各計量機18,18,…との間のインタフェース回路としての通信回路378を有している。この通信回路378もまた、CPU360に接続されている。
【0026】
一方、それぞれの計量機18は、図4に示すように、計量手段としての例えば歪みゲージ式のロードセル180を有している。このロードセル180は、図5に示すように、構造(機構)的にはロバーバル型のものであり、2本のビーム182および182を垂直方向に並べ、かつ当該ビーム182および182を回転台24の半径方向に延伸させた状態で、配置されている。そして、各ビーム182および182で連結された両端部184および186のうち、回転台24の中心(回転軸26)に近い側の端部(図5において右側の端部)184が、固定端とされており、この固定端184は、図示しない固定部材によって回転台24に固定されている。そして、他方の端部(図4において左側の端部)186は、自由端とされており、この自由端186には、図示しない結合部材によって載置台16が結合されている。
【0027】
かかるロードセル180では、自由端186に荷重Wy[n]が印加されると、各ビーム182および182と各端部184および186との連結部分に形成された4つの肉薄部188,188,…に、歪みが生じる。そして、その歪み量が、各肉薄部188,188,…に取り付けられた図示しない歪みゲージによって検出され、最終的に、図4に示すように、荷重Wy[n]の大きさに応じた電圧の計量信号(以下、この計量信号についてもWy[n]という符号で表す。)となって出力される。なお、荷重Wy[n]には、載置台16に載置される被計量物(容器12およびこれに充填される飲料)の重量Wx[n]の他に、当該載置台16自体の重量や上述した結合部材の重量等のようにロードセル180に最初から印加されているいわゆる初期荷重Wi[n]も含まれる。また、後述するが、回転台24の回転に伴ってロードセル180が回転すると、荷重Wy[n]として誤差荷重We[n]も加わる。
【0028】
ロードセル180から出力された計量信号Wy[n]は、増幅回路190によって増幅された後、サンプリング手段としてのA/D変換回路192に入力される。A/D変換回路192は、例えばΔ−Σ型のものであり、入力された計量信号を所定のサンプリング周期でサンプリングして、ディジタル信号である生荷重データ(以下、この生荷重データについても符号Wy[n]で表す。)に変換する。なお、A/D変換回路192のサンプリング周期は、例えば1ms程度とされている。
【0029】
A/D変換回路192によって変換された生荷重データWy[n]は、CPU194に入力され、ここで、当該生荷重データWy[n]に含まれる機械的および電気的な雑音成分を除去するべく、移動平均処理等の所定のフィルタリング処理を施される。なお、当該移動平均処理に係るフィルタ定数(タップ数)は、生荷重データWy[n]に応じて適宜変更される。さらに、CPU194は、このフィルタリング処理後の生荷重データWy[n]から上述した誤差荷重We[n]に対応する成分(以下、この成分についてもWe[n]という符号で表す。)を除去するべく、補正処理を施す。このため、CPU194は、この補正処理を担う補正回路196を内蔵しており、厳密には当該補正回路196としての機能を備えている。そして、CPU194は、補正回路196による処理後の言わば補正後荷重データWy[n]’に基づいて、誤差荷重We[n]を含まない言わば真の荷重Wy[n]’を求め、ひいては後述する最終計量値Wf[n]を求める。この最終計量値Wf[n](厳密には当該最終計量値Wf[n]を表すデータ)は、コントローラ36との間のインタフェース回路としての通信回路198を介して、当該コントローラ36へ送信される。また、このとき、当該最終計量値Wf[n]の送信元を表すべく上述した識別番号n(厳密には識別番号nを表すデータ)も一緒に、コントローラ36へ送信される。
【0030】
さらに、計量機18は、自身に対応するバルブ20を制御するための制御手段としても機能する。これを実現するために、計量機18は、バルブ20との間のインタフェース回路としてのバルブ制御回路200を有している。そして、このバルブ制御回路200は、CPU194に接続されており、CPU194が、メモリ202に記憶されている制御プログラムに従って動作することで、当該制御手段としての機能が実現される。なお、上述の補正回路196としての機能も含め、CPU194の一連の動作は、このメモリ202に記憶されている制御プログラムによって制御される。また、メモリ202は、上述の各種パラメータが記憶される第2の記憶手段としても機能する。
【0031】
このように構成された重量式充填装置10は、次のように動作することで、定量充填を実現する。即ち、コントローラ36の操作キー368によって、これから飲料を充填しようとする容器12の型式(TYPE)が入力された後、稼動開始の旨の操作が成されると、モータ34が起動する。これによって、回転台24が、回転軸26を中心として図2に矢印100で示す方向に、一定の回転数で回転する。そして、この回転台24の回転に伴って、各ユニット14,14,…、貯槽28および各配管30,30,…も回転する。さらに、モータ34の起動に合わせて、上述した外部装置、具体的には図2に示す搬入用コンベヤ50、搬入用スターホイール52、搬出用スターホイール54、搬出用コンベヤ56および後述する図示しない選別機も起動する。なお、回転台24の回転数は、容器12の型式によって定められ、例えば数秒間(約3秒間〜5秒間)に1回転程度とされる。また、この回転台24の回転数に合わせて、各外部装置の駆動速度も制御される。
【0032】
このようにモータ34(回転台24)および各外部装置が起動すると、まず、図2に矢印102で示すように、空の容器12,12,…が、搬入用コンベヤ50によって搬入用スターホイール52に搬送される。搬入用スターホイール52は、図2に矢印104で示す方向(図2において反時計方向)に回転しており、搬入用コンベヤ50から搬送されてきた容器12,12,…を、一定のタイミングで1つずつ回転台24に搬送する。これによって、これらの容器12,12,…は、各ユニット14,14,…の載置台16,16,…に1つずつ載置され、言わばセットされる。このようにそれぞれのユニット14にセットされた容器12は、当然に、当該ユニット14と共に矢印100で示す方向に回転する。そして、この回転の最中に、それぞれのユニット14は、自身にセットされた容器12に飲料を充填する。
【0033】
具体的に説明すると、図2および図6を参照して、任意の、例えば識別番号が“n”番のユニット14(以下、説明の便宜上、ユニットnと言う。)は、自身に容器12がセットされる前の所定の位置Pzに到達した時点t0で、零点計測を開始する。このようにユニットnが言わば零点計測開始位置Pzに到達したかどうかは、上述した位置データに基づいて認識される。即ち、上述したように、コントローラ36(CPU362)は、各エンコーダ38および40からの出力パルスに基づいてユニットnの現在位置を認識し、この認識結果に基づいて、当該ユニットnの現在位置を表す位置データを生成する。そして、生成した位置データを、ユニットnに送信する。ユニットn(CPU194)は、このコントローラ36から送られてくる位置データ(図5(b)参照)に基づいて、自身が零点計測開始位置Pzに到達したかどうかを含め、自身の現在位置を認識する。
【0034】
さて、零点計測開始位置Pzに到達した時点t0で開始された零点計測は、当該時点t0から所定の零点計測時間Tzが経過するまでの間にわたって行われる。詳しくは、ユニットnは、当該零点計測時間Tzが経過した時点t1での上述した補正後荷重データWy[n]’の値を、零点計測値Wz[n]とする。つまり、次の数1に基づいて零点計測値Wz[n]を得る。
【0035】
【数1】

【0036】
この零点計測値Wz[n]は、ユニットn内のメモリ202に一時記憶される。なお、この零点計測値Wz[n]には、上述した初期荷重Wi[n]に対応する成分も含まれている。また、零点計測時間Tzは、上述した移動平均処理によって生荷重データWy[n]に含まれる機械的および電気的な雑音成分を除去するのに必要かつ十分な時間とされ、例えば0.1秒〜0.3秒程度とされる。このとき、当該移動平均処理においては、零点計測に適した、つまり零点計測時における荷重Wy[n]の大きさに応じたフィルタ係数が用いられる。
【0037】
かかる零点計測が行われた後、上述したように搬入用スターホイール52によってユニットnに空の容器12がセットされる。そして、このように空の容器12がセットされた後、ユニットnは、所定の風袋計測開始位置Prに到達した時点t2で、当該空の容器12の重量、いわゆる風袋重量を計測し始める。この風袋重量計測は、時点t2から所定の風袋計測時間Trが経過するまでの間にわたって行われる。詳しくは、ユニットnは、当該風袋計測時間Trが経過した時点t3での補正後荷重データWy[n]’の値を、風袋計測値Wr[n]とする。つまり、次の数2に基づいて風袋計測値Wr[n]を得る。
【0038】
【数2】

【0039】
なお、この風袋計測値Wr[n]も、上述の零点計測値Wz[n]と同様、メモリ202に一時記憶される。また、風袋計測時間Trは、上述の移動平均処理によって生荷重データWy[n]に含まれる雑音成分を除去するのに必要かつ十分な時間とされ、例えば0.1秒〜0.3秒程度とされる。ただし、このときの移動平均処理においては、風袋重量計測に適した、つまり風袋計測時における荷重Wy[n]の大きさに応じたフィルタ係数が用いられる。
【0040】
さらに、ユニットnは、風袋計測値Wr[n]から零点計測値Wz[n]を差し引き、その結果(Wr[n]−Wz[n])を、風袋重量Wq[n]とする。つまり、次の数3に基づいて風袋重量Wq[n]を求める。
【0041】
【数3】

【0042】
そして、ユニットnは、この風袋重量Wq[n]に基づいて、自身にセットされた容器12が予め定めた規格通りのものであるか否かを判断する。具体的には、風袋重量Wq[n]が、当該規格で定められた標準値Wq’を基準とする所定の範囲Wq’±β内に入っているか否かを、判断する。例えば、風袋重量Wq[n]が当該範囲Wq’±β内である場合(Wq’−β≦Wq[n]≦Wq’+βの場合)は、規格通りの容器12がセットされたものと判断する。一方、風袋重量Wq[n]が当該範囲Wq’±βを外れる場合(Wq[n]<Wq’−βまたはWq[n]>Wq’+βの場合)には、規格通りの容器12がセットされていないものと判断し、改めて零点計測開始位置Pzに到達する機会が来るのを待つ。
【0043】
この風袋計測が終了し、かつ規格通りの容器12がセットされたと判断すると、ユニットnは、直ちに自身のバルブ20を開く。これによって、容器12への飲料の供給が開始される。このとき、バルブ20は、比較的に大きな口径で開けられ、言わば大投入状態となる。そして、容器12に供給された飲料の重量が予め定めた切換重量Wa[n]に達した時点、詳しくは次の数4が成立した時点t4で、ユニットnはバルブ20の口径を少し絞る。
【0044】
【数4】

【0045】
このようにバルブ20の口径が少し絞られることによって、当該バルブ20から容器12への飲料の単位時間当たりの供給量が、大投入状態のときの1/2〜1/3程度に低減され、言わば小投入状態となる。そして、容器12に供給された飲料の重量が予め定めた供給停止重量Wb[n]に達した時点、詳しくは次の数5が成立した時点t5で、ユニットnは、バルブ20を閉じる。なお、このときも、上述の移動平均処理においては、荷重Wy[n]の大きさに応じたフィルタ係数が適用される。
【0046】
【数5】

【0047】
ただし、バルブ20が閉じられても、容器12への飲料の供給は直ぐには停止されず、暫くの間、当該容器12に飲料が供給され続ける。これは、主に、バルブ20から容器12までの間に距離(落差)があること、および数5が成立してからバルブ20が閉じられるまでの間に時間遅れが生じることに、起因する。従って、飲料の供給が完全に停止され、さらに当該飲料の供給が停止されたことによるロードセル180の揺動が或る程度収束したと見なすことのできるまでの間、換言すれば時点t5から所定の安定待ち時間Twが経過するまでの間、ユニットnは、待機状態となる。この安定待ち時間Twは、全荷重Wy[n]の大きさや、要求される測定精度等にもよるが、例えば0.3秒〜0.5秒程度とされる。
【0048】
そして、この安定待ち時間Twが経過した時点t6で、ユニットnは、容器12に供給された飲料の最終的な重量を計測するべく、最終計測を開始する。この最終計測は、時点t6から予め定めた最終計測時間Tfが経過するまでの間にわたって行われる。詳しくは、ユニットnは、当該最終計測時間Tfが経過した時点t7での補正後荷重データWy[n]’の値を次の数6に代入することで、充填済みの飲料の最終的な重量を表す最終計量値Wf[n]を得る。この最終計量値Wf[n]もまた、メモリ202に一時記憶される。
【0049】
【数6】

【0050】
なお、最終計量値Wf[n]は、目標とされる飲料の充填重量、いわゆる目標値Wtと、等価(Wf[n]=Wt)であることが理想である。そして、このような関係となるように、上述の供給停止重量Wb[n]が設定される。即ち、バルブ20が閉じられた後に容器12に供給される飲料の重量、いわゆる落差量ΔWg[n]を、目標値Wtから差し引いた値(Wt−ΔWg[n])が、供給停止重量Wb[n]とされる。また、最終計測時間Tfは、上述した移動平均処理によって生荷重データWy[n]に含まれる雑音成分を除去するのに必要かつ十分な時間とされ、例えば0.1秒〜0.3秒程度とされる。そして、このときも、上述の移動平均処理においては、Wy[n]の大きさに応じたフィルタ係数が適用される。
【0051】
かかる最終計測の終了後、ユニットnは、所定のエンド位置Peに到達する。そして、このエンド位置Peに到達した時点t8で、当該ユニットnからコントローラ36へ、上述の最終計量値Wf[n]が送信される。
【0052】
そして、ユニットnがエンド位置Peを通過してから暫くすると、当該ユニットnにセットされている容器12は、図2に矢印106で示す方向に回転している搬出用スターホイール54によって、取り除かれる。これで、ユニットnによる一連(1回)の充填動作が完了する。ユニットnから取り除かれた容器12は、搬出用コンベヤ56によって、矢印108で示すように搬送され、上述した選別機に送られる。
【0053】
一方、コントローラ36は、上述の如くエンド位置Peに到達したユニットnから最終計測値Wf[n]を受信すると、この最終計量値Wf[n]に基づいて、ユニットnによって規定通りの定量充填が行われたか否かを判断する。具体的には、最終計量値Wf[n]が、目標値Wtを基準とする所定の範囲Wt±γ内に入っているか否かを判別し、当該範囲Wt±γ内に入っている場合(Wt−γ≦Wf[n]≦Wt+γの場合)には、ユニットnによって規定通りの定量充填が行われたものと判断する。このように言わば良品と判断された容器12は、上述の選別機による選別処理を経て次工程、例えば閉栓工程に渡される。これとは反対に、最終計量値Wf[n]が所定の範囲Wt±γを外れている場合(Wf[n]<Wt−γまたはWf[n]>Wt+γの場合)は、コントローラ36は、ユニットnによって規定通りの定量充填が行われなかったものと判断する。そして、このような言わば不良品と判断された容器12については、生産ラインから排除されるように、上述の選別機に指示を与える。
【0054】
なお、ユニットnは、例えばバルブ20が詰まっている等の理由によって、エンド位置Peに到達するまでの間に最終計量値Wf[n]を得られない場合がある。つまり、ユニットnにとって、時点t7が到来する前に、時点t8が到来する場合がある。このような場合、ユニットnは、最終計量値Wf[n]として“Error”というデータを、コントローラ36に送信する。そして、コントローラ36は、かかる“Error”とされた容器12が製造ラインから排除されるように、選別機に指示を与える。
【0055】
ところで、この一連の充填動作中、つまり回転台24の回転に伴ってユニットnが回転しているときは、上述したように当該ユニットnのロードセル180に印加される荷重Wy[n]として誤差荷重We[n]が加わる。そして、この誤差荷重We[n]は、ロードセル180の出力(計量信号Wy[n])、ひいては生荷重データWy[n]に現れ、この生荷重データWy[n]から当該誤差荷重We[n]に対応する成分を除去するべく、補正回路196が設けられている。以下に、この誤差荷重We[n]および補正回路16について、詳しく説明する。
【0056】
即ち、生荷重データWy[n]は、次の数7によって表される。
【0057】
【数7】

【0058】
そして、補正回路196は、この生荷重データWy[n]から誤差成分We[n]を差し引くことで、当該誤差成分We[n]が除去された補正後荷重データWy[n]’を得る。つまり、次の数8に基づいて、補正後荷重データWy[n]’を得る。
【0059】
【数8】

【0060】
ここで、誤差成分We[n]は、次の数9によって表される。
【0061】
【数9】

【0062】
この数9において、We1[n]は、空気抵抗力Fa[n]の垂直分力Fa[n]’による誤差成分であり、We2[n]は、遠心力Fc[n]の垂直分力Fc[n]’による誤差成分である。このうち、まず、空気抵抗力Fa[n]の垂直分力Fa[n]’による誤差成分We1[n]について説明する。
【0063】
図7を参照して、例えば、ユニットn(載置台16)にセットされる容器12が概略三角フラスコ状のものであり、載置台16と共に矢印120で示す方向に回転(移動)しているとする。なお、この矢印120で示す方向は、図2において矢印100で示すのと同じ方向である。この場合、容器12に対して、矢印122で示すような、つまり容器12の移動方向(矢印120)とは反対の方向に向かう、空気抵抗力Fa[n]が作用する。そして、この空気抵抗力Fa[n]の作用点である側面124が斜め上方に面するように傾斜しているため、矢印126で示すように、下方に向かって当該空気抵抗力Fa[n]の分力Fa[n]’が発生する。この垂直分力Fa[n]’は、次の数10で表される。
【0064】
【数10】

【0065】
ここで、φ[n]は、容器12の移動方向(水平面)に対して当該容器12の側面124が成す角度である。この数8で表される垂直分力Fa[n]’は、ユニットnのロードセル180に対し荷重として作用する。つまり、この垂直分力Fa[n]’が、誤差成分We1[n]となって現れる。なお、空気抵抗力Fa[n]は、次の数11によって表される。
【0066】
【数11】

【0067】
この数11において、Cd[n]は、容器12の形状によって決まる抗力係数であり、S[n]は、当該容器12の前面投影面積、具体的には容器12が移動する方向(矢印12が向いている方向)から当該容器12を投影したときの投影面の面積である。そして、ρは、空気密度であり、Vxは、容器12の移動速度(線速度)である。ここで、容器12の形状は、各ユニット14,14,…間で同一であると見なすことができるので、抗力係数Cd[n],前面投影面積S[n]および角度φ[n]は、いずれも定数(一定値)として扱うことができる。また、空気密度ρも、定数として扱うことができる。従って、これら定数として扱うことのできる抗力係数Cd[n],前面投影面積S[n],角度φ[n]および空気密度ρから成る部分を1つに纏めて例えばA[n]という係数、言わば容器12の形状によって決まる係数A[n]で表すと、誤差成分We1[n]は、数12のようになる。なお、移動速度Vxは、各ユニット14,14,…間で共通である。
【0068】
【数12】

【0069】
次に、遠心力Fc[n]の垂直分力Fc[n]’による誤差成分We2[n]について説明する。例えば、図8に示すように、ユニットnのロードセル180に荷重Wy[n]’(=Wx[n]+Wi[n])が印加されることによって、当該ロードセル180が下方にδ[n]だけ撓んだとする。ここで、ロードセル180は、回転台24と共に回転しているため、当該ロードセル180には、矢印130で示すように外方に向かって遠心力Fc[n]が作用し、さらに矢印132で示すように上方に向かって当該遠心力Fc[n]の分力Fc[n]’が発生する。この垂直分力Fc[n]’は、次の数13で表される。
【0070】
【数13】

【0071】
この数13において、θ[n]は、遠心力Fc[n]が作用する方向(水平面)に対してロードセル180のビーム182および182が成す角度である。この数13で表される垂直分力Fc[n]’は、ロードセル180に対して荷重(言わば負の荷重)として作用する。つまり、当該垂直成分Fc[n]’が、誤差成分We2[n]となって現れる。なお、遠心力Fc[n]は、次の数14によって表される。
【0072】
【数14】

【0073】
この数14において、gは、重力加速度であり、R[n]は、遠心力Fcの作用点であるロードセル180の自由端186の回転半径、つまり当該自由端186から回転軸26の中心までの距離である。この数14を上述の数13に代入することで、誤差成分We2[n]は、次の数15のように表すことができる。
【0074】
【数15】

【0075】
ここで、ロードセル180の垂直方向におけるバネ定数をk[n]とすると、数15で表される誤差成分We2[n]を含む全荷重Wy[n]は、次の数16で表される。
【0076】
【数16】

【0077】
そして、この数16を、撓み量δについての式で表すと、数17のようになる。
【0078】
【数17】

【0079】
この数17において、真の荷重Wy[n]’は誤差荷重We[n]よりも遥かに大きい値(Wy[n]’≫We[n])となる。従って、数17は、次の数18のような近似式で表すことができる。
【0080】
【数18】

【0081】
一方、ロードセル180の各ビーム182および182の長さをL[n]とすると、当該各ビーム182および182のそれぞれが水平面と成す角度θは、次の数19のような関係式で表される。
【0082】
【数19】

【0083】
ここで、ビーム182の長さL[n]は撓み量δ[n]よりも遥かに大きく(L[n])δ[n])、例えば、長さL[n]がL[n]=50mmであるとき、撓み量δ[n]はδ[n]=0.1mm〜0.5mm程度である。従って、角度θの値は極めて小さく、よって、当該角度θについて次の数20のような近似式も成り立つ。
【0084】
【数20】

【0085】
そして、これら数19および数20を上述した数15に代入することで、誤差成分We2[n]は、次の数21のようになる。
【0086】
【数21】

【0087】
なお、ユニットnを含む全てのユニット14,14,…は、互いに同一規格のものであることから、この数21における回転半径R[n],バネ定数k[n]およびビーム182の長さL[n]は、いずれも定数として扱うことができる。また、重力加速度gも、定数として扱うことができる。従って、これら定数として扱うことのできる重力加速度g,回転半径R[n],バネ定数k[n]およびビーム長L[n]から成る部分を1つに纏めて例えばB[n]という係数、言わばロードセル180の構造的条件によって決まる係数B[n]で表すと、誤差成分We2[n]は、数22のようになる。なお、上述したように、移動速度Vxは各ユニット14,14,…間で共通である。
【0088】
【数22】

【0089】
そして、この数22と上述の数12とを数9に代入すると、生荷重データWy[n]に含まれる全誤差成分We[n]は、次の数23のように表される。
【0090】
【数23】

【0091】
この数23によれば、2つの定数A[n]およびB[n]、真の荷重Wy[n]’、並びに移動速度Vxによって、誤差成分We[n]を求められることが判る。ただし、真の荷重Wy[n]’は未知数であるので、これに代えてロードセル180に印加される全荷重(生荷重データ)Wy[n]を用いて誤差荷重We[n]を表す。即ち、上述したように、真の荷重Wy[n]’は誤差成分We[n]よりも遥かに大きい値であり、全荷重Wy[n]はこれらの総和である。従って、数23において、真の荷重Wy[n]’の代わりに全荷重Wy[n]を用いることで、誤差成分We[n]の近似値を求めることができる。つまり、誤差成分We[n]は、次の数24の近似式によって表すことができる。
【0092】
【数24】

【0093】
即ち、補正回路196(CPU194)は、この数24に基づいて、つまり定数A[n]およびB[n]、現在の生荷重データWy[n]、並びに移動速度Vxを当該数24に代入することで、誤差成分We[n]を算出する。そして、この算出した誤差成分We[n]と生荷重データWy[n]とを上述の数8に代入することによって、補正後荷重データ(真の荷重)Wy[n]’を得る。
【0094】
なお、上述した零点計測においては、ユニットnに容器12がセットされていないので、空気抵抗力Fa[n]の垂直分力Fa[n]’は発生しない。つまり、数24における係数A[n]は、A[n]=0となる。従って、零点計測時においては、補正回路196は、次の数25に基づいて誤差成分We[n]を算出する。
【0095】
【数25】

【0096】
そして、この数25に基づいて算出した誤差成分We[n]と、生荷重データWy[n]とを、数8に代入することで、補正後荷重データWy[n]’を得る。
【0097】
さて、上述の如く数24または数25に基づいて誤差成分We[n]を算出するには、これらの式に含まれる2つの定数A[n]およびB[n]が既知数として判明していなければならない。そこで、この参考例では、調整モードによって、これらの定数A[n]およびB[n]が求められる。
【0098】
なお、この調整モードに入る前に、少なくともユニット14,14,…の数(N)だけ、商品サンプルおよび基準サンプルのそれぞれが用意されているものとする。ここで言う商品サンプルとは、実際の商品と同じ容器12に実際の商品と同じ飲料が充填されたものであり、その全重量が或る値Wpに設定されたものである。この或る値Wpは、例えば風袋標準値Wq’と目標値Wtとの総和と等価(Wp=Wq’+Wt)とされる。一方、基準サンプルとは、上述した空気抵抗力Fa[n]の垂直分力Fa[n]’による誤差成分We1[n]を生じないような形状の容器、例えば円筒形の容器に、飲料が充填されたものであり、その全重量が商品サンプルのそれと同じ値Wpに設定されたものである。また、調整モードに入る前に、公知の方法によって、零点調整,スパン調整および温度ドリフト調整が完了しているものとする。
【0099】
調整モードにおいては、まず、静止状態での零点計測が行われる。具体的には、回転台24が回転しておらず、かつ各ユニット14,14,…に何らの物体も載置されていない状態、言わば無負荷状態にあるときの、当該各ユニット14,14,…の生荷重データWy[n]が、コントローラ36に収集される。換言すれば、それぞれのユニット14毎に、荷重Wy[n]として初期荷重Wi[n]のみが印加された状態にあるときの生荷重データWy[n]が、コントローラ36に集められる。このとき、当該生荷重データWy[n]の送信元を表すべく識別番号nも一緒に、コントローラ36へ送信される。そして、コントローラ36に集められた生荷重データWy[n]は、静止時零点計測値Wzs[n]として、当該コントローラ36内のメモリ372に一時記憶される。
【0100】
次に、モータ34が起動され、これによって回転台24が回転する。このとき、モータ34は、回転台24が最大定格回転数で回転するように、制御される。なお、このモータ34の起動と共に、上述した外部装置も起動される。そして、この状態で、零点計測が行われる。即ち、回転台24が最大定格回転数で回転しており、かつ各ユニット14,14,…が無負荷状態にあるときの、当該各ユニット14,14,…の生荷重データWy[n]が、コントローラ36に収集される。換言すれば、それぞれのユニット14毎に、荷重Wy[n]として、初期荷重Wi[n]および遠心力Fc[n]の垂直分力Fc[n]’による荷重We2[n]が印加された状態にあるときの生荷重データWy[n]が、コントローラ36に集められる。この生荷重データWy[n]は、稼動時零点計測値Wzd[n]として、メモリ372に一時記憶される。
【0101】
この稼動時零点計測の終了後、モータ34および外部装置が停止され、再び静止状態となる。そして、この静止状態において、各ユニット14,14,…に上述の商品サンプル(または基準サンプル)がセット(載置)され、このときの当該各ユニット14,14,…の生荷重データWy[n]が、コントローラ36に送られる。換言すれば、それぞれのユニット14毎に、荷重Wy[n]として、商品サンプル(または基準サンプル)の重量Wpおよび初期荷重Wi[n]が印加された状態にあるときの生荷重データWy[n]が、コントローラ36に集められる。この生荷重データWy[n]は、静止時サンプル重量値Wps[n]として、メモリ372に一時記憶される。
【0102】
この静止時におけるサンプル重量の測定後、各ユニット14,14,…にセットされた商品サンプル(または基準サンプル)が当該各ユニット14,14,…から取り除かれる。そして、再度、回転台24が最大定格回転数で回転するように、モータ34が起動され、これと同時に、外部装置が起動される。そして、この状態で、商品サンプルの重量測定が行われる。即ち、搬入用コンベヤ50および搬入用スターホイール52を介して、各ユニット14,14,…に商品サンプルが順次セットされる。そして、このように商品サンプルがセットされているときの各ユニット14,14,…の生荷重データWy[n]が、コントローラ36に順次収集される。換言すれば、それぞれのユニット14毎に、荷重Wy[n]として、商品サンプルの重量Wp,初期荷重Wi[n],空気抵抗力Fa[n]の垂直分力Fa[n]’による荷重We1[n],および遠心力Fc[n]の垂直分力Fc[n]’による荷重We2[n]が印加された状態にあるときの生荷重データWy[n]が、コントローラ36に集められる。この生荷重データWy[n]は、稼動時商品サンプル重量値Wpd1[n]として、メモリ372に一時記憶される。なお、各ユニット14,14,…にセットされた商品サンプルは、上述したエンド位置Peを通過した後、搬出用スターホイール54によって当該各ユニット14,14,…から順次取り除かれ、搬出用コンベヤ56へと搬送される。
【0103】
これに続いて、今度は、稼動時における基準サンプルの重量測定が行われる。即ち、回転台24が最大定格回転数で回転している状態において、搬入用コンベヤ50および搬入用スターホイール52を介して、各ユニット14,14,…に基準サンプルが順次セットされる。そして、このように各ユニット14,14,…に基準サンプルがセットされているときの当該各ユニット14,14,…の生荷重データWy[n]が、コントローラ36に順次収集される。換言すれば、それぞれのユニット14毎に、荷重Wy[n]として、基準サンプルの重量Wp,初期荷重Wi[n],および遠心力Fc[n]の垂直分力Fc[n]’による荷重We2[n]が印加された状態にあるときの生荷重データWy[n]が、コントローラ36に集められる。この生荷重データWy[n]は、稼動時基準サンプル重量値Wpd2[n]として、メモリ372に一時記憶される。なお、各ユニット14,14,…にセットされた基準サンプルもまた、上述の商品サンプルと同様に、エンド位置Peを通過した後、搬出用スターホイール54によって当該各ユニット14,14,…から順次取り除かれ、搬出用コンベヤ56へと搬送される。そして、この基準サンプルの重量測定が終わると、モータ34および外部装置は停止される。
【0104】
このように、それぞれのユニット14毎の静止時零点計測値Wzs[n],稼動時零点計測値Wzd[n],静止時サンプル重量値Wps[n],稼動時商品サンプル重量値Wpd1[n]および稼動時基準サンプル重量値Wpd2[n]がコントローラ36に収集された後、当該コントローラ36内で、それぞれのユニット14毎の係数A[n]およびB[n]が求められる。
【0105】
即ち、コントローラ36(厳密にはCPU360)は、それぞれのユニット14毎の静止時零点計測値Wzs[n]に対する稼動時零点計測値Wzd[n]の偏差E0[n]を、求める。この偏差E0[n]は、上述の数23から、次の数26のように表される。
【0106】
【数26】

【0107】
そして、コントローラ36は、それぞれのユニット14毎の静止時サンプル重量値Wps[n]に対する稼動時商品サンプル重量値Wpd1[n]の偏差E1[n]を、求める。この偏差E1[n]は、上述の数23から、次の数27のように表される。
【0108】
【数27】

【0109】
さらに、コントローラ36は、それぞれのユニット14毎の静止時サンプル重量値Wps[n]に対する稼動時基準サンプル重量値Wpd2[n]の偏差E2[n]を、求める。この偏差E2[n]は、数23から、次の数28のように表される。
【0110】
【数28】

【0111】
ここで、数26および数28から成る連立方程式を考える。具体的には、数26の偏差E0[n]に対する数28の偏差E1[n]の比(E2[n]/E0[n])を、符号M[n]で表すと、この比M[n]は、次の数29のように表される。
【0112】
【数29】

【0113】
そして、この数29を変形すると、次の数30のようになる。
【0114】
【数30】

【0115】
さらに、この数30を整理すると、次の数31に示すような2次方程式が得られる。
【0116】
【数31】

【0117】
この数31において、比M[n]および荷重Wpは既知数である。従って、初期荷重Wi[n]を未知数とすると、この未知数である初期荷重Wi[n]は、次の数32によって求められる。
【0118】
【数32】

【0119】
また、上述の数26を係数B[n]についての式に変形すると、次の数33のようになる。
【0120】
【数33】

【0121】
そして、この数33における初期荷重Wi[n]に数32を代入すると、次の数34が得られる。
【0122】
【数34】

【0123】
この数34において、偏差E0[n],比M[n]および荷重Wpは,いずいれも既知数である。そして、移動速度Vmaxは、モータ34の回転数から認識することができ、より厳密には、上述した各エンコーダ38および40の出力パルスから検出することができる。つまり、コントローラ36は、この数34に基づいて係数B[n]を求める。
【0124】
次に、数27および数28から成る連立方程式を考える。具体的には、数27の偏差E1[n]と数28の偏差E2[n]との差を式で表すと、次の数35のようになる。
【0125】
【数35】

【0126】
そして、この数35を係数A[n]についての式に変形すると、次の数36のようになる。
【0127】
【数36】

【0128】
この数36において、偏差E1[n]およびE2[n]は、いずれも既知数であり、移動速度Vmaxは、上述したように各エンコーダ38および40の出力パルス(またはモータ34の回転数)から検出することができる。つまり、コントローラ36は、この数36に基づいて係数A[n]を求める。
【0129】
このように数36および上述の数34に基づいて求められたユニット14毎の係数A[n]およびB[n]は、メモリ372内の係数リスト374に記憶される。具体的には、図9に示すように、係数リスト374には、複数種類(型式)の容器12に対応するべく複数の記憶領域(図9において“TYPE_X(X=1,2,…)”毎に区切られた縦の列の領域)が設けられている。そして、当該容器12の種類別に、それぞれのユニット14毎の係数A[n]およびB[n]が記憶される。なお、係数B[n]については、ユニット14が同一であれば、容器12の型式に関係なく、同じ値となる。また、ここでは詳しく説明しないが、係数リスト374の内容は、任意に編集(追加、変更および削除)することができる。
【0130】
さらに、調整モードにおいては、上述したパラメータの入力が行われる。即ち、コントローラ36の操作キー360によって、当該パラメータとして、各ユニット14,14,…の移動速度Vx(または回転台24の回転速度),零点計測時間Tz,風袋計測時間Tr,安定待ち時間Tw,最終計測時間Tf,風袋標準値Wq’,当該風袋標準値Wq’に対する許容値β,切換重量Wa[n],供給停止重量Wb[n],目標値Wtおよび当該目標値Wtに対する許容値γが、順次入力される。入力されたパラメータは、メモリ372内のパラメータリスト376に記憶される。なお、パラメータリスト376もまた、上述の係数リスト374と同様、図10に示すように、複数種類の容器12に対応するべく複数の記憶領域(図10において“TYPE_X(X=1,2,…)”毎に区切られた縦の列の領域)を有している。そして、当該容器12の型式別に、各パラメータが記憶される。また、このパラメータリスト376の内容は、任意に編集(追加、変更および削除)することができる。
【0131】
かかる調整モードの終了後、実際の充填作業へと移行される。このため、まず、操作キー368の操作によって稼動モードに切り換えられる。そして、充填対象となる容器12の型式が入力される。すると、入力された型式に対応する係数A[n]およびB[n]が、係数リスト374から読み出され、読み出された係数A[n]およびB[n]は、各ユニット14,14,…に送信される。さらに、型式の入力に応答して、当該型式に対応するパラメータが、パラメータリスト376から読み出され、有効化される。そして、有効化されたパラメータもまた、各ユニット14,14,…に送信される。ただし、当該パラメータのうち移動速度Vx,目標値Wtおよび許容値γについては、送信されない。
【0132】
そして、操作キー368によって稼動開始の旨の操作が成されると、モータ34が起動され、これによって回転台24と共に各ユニット14,14,…が回転する。このとき、モータ34は、有効化されたパラメータに従う移動速度Vxで各ユニット14,14,…が回転(移動)するように、制御される。そして、このモータ34の起動と共に、外部装置も起動され、これによって各ユニット14,14,…に空の容器12,12,…が順次セットされる。さらに、稼動開始の指示が、コントローラ36から各ユニット14,14,…に与えられ、この指示に応答して、当該各ユニット14,14,…により上述した要領で充填動作が行われる。なお、この充填動作における零点計測時間Tz,風袋計測時間Td,安定待ち時間Tw,最終計測時間Ts,風袋標準値Wq’,許容値β,切換重量Wa[n]および供給停止重量Wb[n]は、コントローラ36から与えられた(有効化された)パラメータに従う。また、この充填動作においては、上述の如く誤差成分We[n]の補正が行われるが、この補正処理もまた、コントローラ36から与えられた係数A[n]およびB[n]に基づいて行われる。
【0133】
この充填作業中に、操作キー368によって稼動停止の旨の操作が成されると、その旨の指示がコントローラ36から各ユニット14,14,…に与えられる。そして、この指示に応答して、各ユニット14,14,…による充填動作が停止され、続いてモータ34および外部装置の駆動が停止されて、充填作業が終了する。
【0134】
このような調整モードおよび稼動モードのそれぞれにおける一連の動作を実現するために、コントローラ36側のCPU360、およびそれぞれのユニット14(計量機18)側のCPU194は、次のようなマルチタスク処理を行う。なお、この処理中に、例えば操作キー368によって強制終了の旨の割り込み操作が成された場合には、当該実行中の処理は即刻強制的に終了される。また、これらの処理が成される前(調整モードに入る前)に、上述の如く公知の方法によって零点調整,スパン調整および温度ドリフト調整が成されているものとする。
【0135】
まず、操作キー368の操作によって調整モードが選択されると、コントローラ36のCPU360は、図11〜図16に示す調整モードタスクを実行する。即ち、CPU360は、図11のステップS101において、全てのユニット14,14,…に対し、調整モードが選択されたことを通知する。そして、ステップS103において、これから充填を行おうとする容器12の型式の入力を要求するメッセージを、ディスプレイ370に表示した後、ステップS105において、操作キー368により当該型式が入力されるのを待つ。
【0136】
ステップS105において容器12の型式が入力されると、CPU360は、ステップS107に進み、入力された型式専用の記憶領域をメモリ372内の係数リスト374およびパラメータリスト376のそれぞれに作成する。そして、ステップS109において、これから静止時零点計測を開始する(静止時零点計測値Wzs[n]を得る)旨のメッセージを、一定時間にわたってディスプレイ370に表示した後、ステップS111に進み、当該ディスプレイ370の表示内容を、現在静止時零点計測中である旨のメッセージに変更する。そして、ステップS113において、識別番号nが“1”番のユニット14を有効化するべく、当該識別番号nを特定するためのインデックスnに“1”という値を設定する。
【0137】
ステップS113の実行後、CPU360は、ステップS115に進み、ユニットnに対して生荷重データWy[n]の取得を要求する。そして、ステップS117において、ユニットnから生荷重データWy[n]が送られてくるのを待つ。ここで、ユニットnから生荷重データWy[n]を受信すると、CPU360は、ステップS119に進み、受信した生荷重データWy[n]を静止時零点計測値Wzs[n]としてメモリ372に一時記憶する。
【0138】
そして、CPU360は、ステップS121において、上述のインデックスnの値がその最大値“N”と等しいか否かを判断する。ここで、インデックスnの値が最大値“N”と等しくない場合、つまり未だ全てのユニット14,14,…について静止時零点計測が終了していない(静止時零点計測値Wzs[n]が得られていない)場合は、ステップS123においてインデックスnの値を“1”だけインクリメントした後、ステップS115に戻る。一方、インデックスnの値が最大値“N”と等しい場合、つまり全てのユニット14,14,…について静止時零点計測が終了した場合は、ステップS121から図12のステップS125に進む。
【0139】
ステップS125において、CPU360は、これから稼動時零点計測を開始する(稼動時零点計測値Wzd[n]を得る)旨のメッセージを、ディスプレイ370に表示する。このとき、これからモータ34および外部装置を起動させる旨の警告メッセージも、併せて表示する。そして、ステップS127において、回転台24を最大定格回転数で回転させるように、モータ34を起動させる。これによって、各ユニット14,14,…は、当該最大定格回転数に応じた最高速度(線速度)Vmaxで回転(移動)する。また、モータ34の起動に併せて、搬入用コンベヤ50等の外部装置にも起動を指示する。そして、ステップS129において、一定時間、詳しくはモータ34(回転台34)の回転が安定するまで、待機する。
【0140】
ステップS129における一定時間が経過した後、CPU360は、ステップS131に進み、エンコーダ38および40の出力パルスに基づいて、各ユニット14,14,…の移動速度Vmaxを算出する。そして、算出した移動速度Vmaxを、メモリ372に一時記憶する。そして、ステップS133に進み、現在稼動時零点計測中である旨のメッセージをディスプレイ370に表示した後、ステップS135において上述のインデックスnに“1”という値を設定し、さらにステップS137に進む。
【0141】
ステップS137において、CPU360は、ユニットnに対して生荷重データWy[n]の取得を要求する。そして、ステップS139において、ユニットnから生荷重データWy[n]が送られてくるのを待つ。ユニットnから生荷重データWy[n]を受信すると、CPU360は、ステップS141に進み、受信した生荷重データWy[n]を稼動時零点計測値Wzd[n]としてメモリ372に一時記憶する。そして、ステップS143に進み、インデックスnの値がその最大値“N”と等しいか否かを判断する。
【0142】
このステップS143において、インデックスnの値が最大値“N”と等しくない場合、つまり未だ全てのユニット14,14,…について稼動時零点計測が終了していない(稼動時零点計測値Wzd[n]が得られていない)場合、CPU360は、ステップS145においてインデックスnの値を“1”だけインクリメントした後、ステップS137に戻る。一方、インデックスnの値が最大値“N”と等しい場合、つまり全てのユニット14,14,…について稼動時零点計測が終了した場合は、ステップS143からステップS147に進む。そして、このステップS147において、モータ34を停止させると共に、外部装置に駆動停止を指示した後、ステップS149において、一定時間、具体的にはこれらモータ34および外部装置が完全に停止したと見なすことの時間、が経過するまで待機状態となる。
【0143】
ステップS149における一定時間の経過後、CPU360は、図13のステップS151に進み、これから静止時サンプル重量測定を開始する(静止時サンプル重量値Wps[n]を得る)旨のメッセージを、一定時間にわたってディスプレイ370に表示する。そして、ステップS153において、インデックスnに“1”を設定した後、ステップS155において、ユニットnの計測準備を要求する旨のメッセージをディスプレイ370に表示する。このメッセージに応答して、オペレータにより当該ユニットnに上述した商品サンプル(または基準サンプル)がセットされる。なお、このとき、ユニットnの位置によっては、搬入用スターホイール52または搬出用スターホイール54が邪魔になって、当該ユニットnに商品サンプルをセットすることができない場合がある。このような場合は、ユニットnにとって搬入用スターホイール52または搬出用スターホイール54が邪魔にならない位置関係となるように回転台24を回転させた後、当該ユニットnに商品サンプルをセットする。
【0144】
このステップS155の実行後、CPU360は、ステップS157に進み、上述の静止時サンプル重量測定の準備が完了したことを表すキー操作が成されたか否かを判断する。そして、かかるキー操作が成されると、ステップS159に進み、現在静止時サンプル重量Wps[n]を測定中である旨のメッセージをディスプレイ370に表示する。そして、ステップS161に進み、一定時間、詳しくはユニットnの生荷重データWy[n](ロードセル180の揺動)が安定したと見なすことのできる時間、が経過するまで待機する。
【0145】
このステップS161での待機後、CPU360は、ステップS163に進み、ユニットnに対して生荷重データWy[n]の取得を要求する。そして、ステップS165において、ユニットnから生荷重データWy[n]が送られてくるのを待つ。ここで、当該生荷重データWy[n]を受信すると、CPU360は、ステップS167に進み、受信した生荷重データWy[n]を静止時サンプル重量値Wps[n]としてメモリ372に一時記憶する。
【0146】
そして、CPU360は、ステップS169に進み、インデックスnの値がその最大値“N”と等しいか否かを判断する。ここで、インデックスnの値が最大値“N”と等しくない場合、つまり未だ全てのユニット14,14,…について静止時サンプル重量Wps[n]の測定が終了していない場合は、ステップS171においてインデックスnの値を“1”だけインクリメントした後、ステップS155に戻る。一方、インデックスnの値が最大値“N”と等しい場合、つまり全てのユニット14,14,…について静止時サンプル重量Wps[n]の測定が終了した場合は、ステップS169から図14のステップS173に進む。
【0147】
ステップS173において、CPU360は、上述した稼動時商品サンプル重量値Wpd1[n]を一時記憶しておくためのメモリ372内の領域(レジスタ)を、一旦、クリアする。換言すれば、全てのユニット14,14,…の当該稼動時商品サンプル重量値Wpd1[n]として、“0”という値をメモリ372に記憶する。そして、ステップS175において、これから稼動時商品サンプル重量測定を開始する(稼動時商品サンプル重量測定値Wpd1[n]を得る)旨のメッセージをディスプレイ370に表示する。さらに、ステップS177において、回転台24を最大定格回転数で回転させるように、モータ34を起動させる。これによって、各ユニット14,14,…は、当該最大定格回転数に応じた最高速度(線速度)Vmaxで回転(移動)する。また、モータ34の起動に併せて、搬入用コンベヤ50等の外部装置をも起動させる。そして、ステップS179において、一定時間、詳しくはモータ34(回転台34)の回転が安定するまで待機する。
【0148】
ステップS179における一定時間の経過後、CPU360は、ステップS181に進み、現在稼動時商品サンプル重量Wpd1[n]の測定中である旨のメッセージをディスプレイ370に表示する。このとき、商品サンプルの投入を要求するメッセージも、併せてディスプレイ370に表示する。このメッセージに応答して、商品サンプルがオペレータによって搬入用コンベヤ50に順次投入される。そして、これらの商品サンプルは、当該搬入用コンベヤ50および搬入用スターホイール52を介して、各ユニット14,14,…に順次セットされる。
【0149】
このステップS181の実行後、CPU360は、ステップS183に進み、上述のインデックスnに“1”を設定する。そして、ステップS185において、ユニットnがエンド位置Peに到達したか否かを判断する。この判断は、上述したようにエンコーダ38および40の出力パルスに基づいて行われる。ユニットnがエンド位置Peに到達すると、CPU360は、ステップS187に進み、当該ユニットnに対して生荷重データWy[n]の取得を要求する。そして、ステップS189において、当該生荷重データWy[n]が送られてくるのを待つ。
【0150】
ステップS189において生荷重データWy[n]を受信すると、CPU360は、ステップS191に進み、受信した生荷重データWy[n]と、所定の閾値Wkとを、比較する。ここで、閾値Wkとは、受信した生荷重データWy[n]がユニットnに商品サンプルがセットされているときのデータであるか否かを判定するための基準となる値であり、具体的には“0”よりも大きくかつ商品サンプルの重量Wp(厳密には当該重量Wpとして予想される値の最小値)よりも小さい値、より具体的には当該重量Wp(最小値)の1/3〜1/2程度の値が、閾値Wkとして設定される。このステップS191において、生荷重データWy[n]の値が閾値Wkよりも大きい場合、CPU360は、当該生荷重データWy[n]がユニットnに商品サンプルがセットされているときのデータであると判断し、ステップS193に進む。そして、このステップS193において、生荷重データWy[n]を稼動時商品サンプル重量値Wpd1[n]として上述したメモリ372内の領域に記憶した後、ステップS195に進む。一方、ステップS191において、生荷重データWy[n]の値が閾値Wk以下の場合は、当該生荷重データWy[n]がユニットnに商品サンプルがセットされていないとき、つまり無負荷状態にあるときのデータであると判断し、ステップS193をスキップして、直接、ステップS195に進む。
【0151】
ステップS195において、CPU360は、インデックスnの値がその最大値“N”と等しいか否かを判断する。ここで、インデックスnの値が最大値“N”と等しくない場合、つまり未だ全てのユニット14,14,…についてステップS185〜ステップS193を一通り実行し終えていない場合は、ステップS197においてインデックスnの値を“1”だけインクリメントした後、ステップS185に戻る。一方、インデックスnの値が最大値“N”と等しい場合、つまり全てのユニット14,14,…についてステップS185〜ステップS193を一通り実行し終えた場合は、ステップS195からステップS199に進む。
【0152】
ステップS199において、CPU360は、全てのユニット14,14,…について稼動時商品サンプル重量Wpd1[n]の測定が終了したか否かを判断する。この判断は、上述のメモリ372内の領域に記憶された稼動時商品サンプル重量値Wpd1[n]が、全て“0”以外の値であるか否かに基づいて行われる。例えば、当該稼動時商品サンプル重量値Wpd1[n]として“0”という値が記憶されている領域が1つでも存在する場合、CPU360は、未だ全てのユニット14,14,…について稼動時商品サンプル重量Wpd1[n]の測定が終了していないものと判断し、ステップS183に戻る。一方、全てのユニット14,14,…の稼動時サンプル重量値Wpd1[n]として“0”以外の値が記憶されている場合には、当該全てのユニット14,14,…について稼動時商品サンプル重量Wpd1[n]の測定が終了したと判断し、図15のステップS201に進む。
【0153】
ステップS201において、CPU360は、上述した稼動時基準サンプル重量値Wpd2[n]を一時記憶しておくためのメモリ372内の領域(レジスタ)を、一旦、クリアする。換言すれば、全てのユニット14,14,…の当該稼動時基準サンプル重量値Wpd2[n]として、“0”という値をメモリ372に記憶する。そして、ステップS203において、これから稼動時基準サンプル重量測定を行う(稼動時基準サンプル重量測定値Wpd2[n]を得る)旨のメッセージを一定時間にわたってディスプレイ370に表示する。そして、この一定時間の経過後、ステップS205に進み、ディスプレイ370の表示内容を、現在稼動時基準サンプル重量Wpd2[n]の測定中である旨のメッセージに変更する。このとき、基準サンプルの投入を要求するメッセージも、併せてディスプレイ370に表示する。このメッセージに応答して、基準サンプルがオペレータによって搬入用コンベヤ50に順次投入される。そして、これらの基準サンプリングは、当該搬入用コンベヤ50および搬入用スターホイール52を介して、各ユニット14,14,…に順次セットされる。
【0154】
このステップS205の実行後、CPU360は、上述した図14におけるステップS183〜ステップS199と同様のステップS207〜ステップS223を実行する。これによって、各ユニット14,14,…の稼動時基準サンプル重量値Wpd2[n]が得られる。なお、これらステップS207〜ステップS223は、図14のステップS183〜ステップS199において“Wpd1”を“Wpd2”に代えたものであるので、当該ステップS207〜ステップS223についての詳細な説明は省略する。
【0155】
さて、ステップS223において、全てのユニット14,14,…について稼動時基準サンプル重量Wpd2[n]の測定が終了したと判断すると、CPU360は、ステップS225に進む。そして、このステップS225において、モータ34および外部装置を停止させた後、図16のステップS227に進む。
【0156】
ステップS227において、CPU360は、上述した要領でそれぞれのユニット14毎の係数A[n]およびB[n]を算出する。具体的には、図11のステップS119でメモリ372に記憶された静止時零点計測値Wzs[n],図12のステップS141で記憶された稼動時零点計測値Wzd[n],図13のステップS167で記憶された静止時サンプル重量値Wps[n],図14のステップS193で記憶された稼動時商品サンプル重量値Wpd1[n],および図15のステップS217で記憶された稼動時基準サンプル重量値Wpd2[n]から、上述した数26〜数28で表される偏差E0[n],E1[n]およびE2[n]を求める。そして、これらの偏差E0[n],E1[n]およびE2[n](最終的には数30および数36)に基づいて、それぞれのユニット14毎の係数A[n]およびB[n]を求める。そして、求めた係数A[n]およびB[n]を、係数リスト374に記憶する。
【0157】
このステップS227の実行後、CPU360は、ステップS229に進み、上述したパラメータ(Vx,Tz,Tr,Tw,Tf,Wq’,β,Wa[n],Wb[n],Wtおよびγ)の入力を要求するメッセージを、ディスプレイ370に表示する。そして、ステップS231に進み、操作キー368によって当該パラメータが入力されるのを待つ。ここで、いずれかのパラメータが入力されると、CPU360は、ステップS233に進み、入力されたパラメータをパラメータリスト376に記憶する。そして、ステップS235において、全てのパラメータが入力されたか否かを判断し、未だ全てのパラメータが入力されていない場合には、残りのパラメータの入力を要求するべく、ステップS231に戻る。一方、全てのパラメータが入力された場合は、ステップS235からステップS237に進む。
【0158】
ステップS237において、CPU360は、全てのユニット14,14,…に調整モードの終了を通知する。そして、ステップS239において、調整モードによる一連の処理が終了したことを表すメッセージを、一定時間にわたってディスプレイ370に表示して、調整モードタスクを終了する。
【0159】
かかるコントローラ36側のCPU360の動作に対して、それぞれのユニット14(ユニットn)側のCPU194は、調整モードにおいて、図17に示す対調整モードタスクを実行する。
【0160】
即ち、コントローラ36から調整モードが選択された旨の通知を受け付けると、CPU194は、ステップS241に進み、コントローラ36から生荷重データWy[n]の取得要求を受け付けたか否かを判断する。ここで、当該取得要求を受け付けると、ステップS243に進み、コントローラ36に対して生荷重データWy[n]を送信する。そして、この生荷重データWy[n]の送信後、ステップS241に戻る。
【0161】
一方、ステップS241において生荷重データWy[n]の取得要求を受け付けていない場合には、CPU194は、ステップS245に進む。そして、このステップS245において、コントローラ36から調整モードの終了通知が送られてきたか否かを判断し、未だ送られてこない場合は、ステップS241に戻る。当該終了通知が送られてくると、CPU194は、対調整モードタスクを終了する。
【0162】
続いて、稼動モードが選択されると、コントローラ36側のCPU360は、図18および図19に示す稼動モードタスクを実行する。
【0163】
即ち、CPU360は、まず、ステップS251において、全てのユニット14,14,…に対し稼動モードが選択されたことを通知する。そして、ステップS253において、これから充填を行おうとする容器12の型式の入力を要求するメッセージを、ディスプレイ370に表示する。そして、ステップS255に進み、当該メッセージに対する応答として、操作キー368によって容器12の型式が入力されたか否かを判断する。
【0164】
ステップS255において容器12の型式が入力されると、CPU360は、ステップS257に進み、入力された型式に対応する係数A[n]およびB[n]を係数リスト374から抽出する。そして、ステップS259において、これら抽出した係数A[n]およびB[n]を、それぞれのユニット14,14,…に送信する。さらに、ステップS261において、上述のステップS255で入力された型式に対応するパラメータ(Vx,Tz,Tr,Tw,Tf,Wq’,β,Wa[n],Wb[n],Wtおよびγ)をパラメータリスト376から抽出する。そして、ステップS263において、これら抽出したパラメータを有効化し(有効なパラメータとしてメモリ372に記憶し)、ステップS265において、当該有効化されたパラメータの一部(Vx,Wtおよびγを除くパラメータ)を全てのユニット14,14,…に送信する。そして、ステップS267において、稼動準備が整ったことを表すメッセージをディスプレイ370に表示した後、図19のステップS269に進む。
【0165】
ステップS269において、CPU360は、操作キー368によって稼動開始の旨の操作が成されたか否か、つまり当該操作キー368から稼動開始命令が入力されたか否かを判断する。そして、稼動開始命令が入力されると、ステップS271に進み、現在稼動中であることを表すメッセージをディスプレイ370に表示する。そして、ステップS273において、モータ34および外部装置を起動させる。このとき、モータ34および外部装置は、有効化されたパラメータに従う速度Vxで各ユニット14,14,…が移動(回転)するように制御される。そして、CPU360は、ステップS275に進み、全てのユニット14,14,…に対して稼動開始を指示した後、ステップS277において、タイミング制御タスクの実行を開始する。このタイミング制御タスクについては、後で詳しく説明する。
【0166】
ステップS277の実行後、CPU360は、ステップS279において、一定時間、具体的には各ユニット14,14,…に空の容器12がセットされたと見なすことのできる時間、が経過するまで待機する。そして、この一定時間の経過後、ステップS281に進み、データ取得タスクを実行し始める。これによって、各ユニット14,14,…による充填動作が開始される。なお、このステップS281で開始されるデータ取得タスクについても、後で詳しく説明する。
【0167】
そして、CPU360は、ステップS283に進み、操作キー368により稼動停止の旨の操作が成されたか否か、つまり当該操作キー368から稼動停止命令が入力されたか否かを判断する。ここで、稼動停止命令が入力されると、ステップS285に進み、全てのユニット14,14,…に稼動停止を指示する。そして、ステップS287において上述のデータ取得タスクを終了した後、ステップS289においてタイミング制御タスクを終了する。さらに、ステップS291において、モータ34および外部装置を停止させた後、ステップS293において、稼動が停止したことを表すメッセージを一定時間にわたってディスプレイ370に表示する。そして、このステップS293の実行後、一連の稼動モードタスクを終了する。
【0168】
図20を参照して、上述のタイミング制御タスクの詳細を説明する。このタイミング制御タスクでは、CPU360は、まず、ステップS301において、各エンコーダ38および40の出力パルスを取得する。そして、ステップS303において、上述したインデックスnに“1”を設定した後、ステップS305に進む。
【0169】
ステップS305において、CPU360は、上述のステップS301で取得した各エンコーダ38および40の出力パルスに基づいて、ユニットnが零点計測開始位置Pzに到達したか否かを判断する。ここで、ユニットnが零点計測開始位置Pzに到達した場合は、ステップS307に進み、その旨を上述した位置データによって当該ユニットnに通知した後、ステップS309に進む。一方、ユニットnが零点計測開始位置Pzに到達していない場合は、ステップS307をスキップして、直接、ステップS309に進む。
【0170】
ステップS309において、CPU360は、上述の各エンコーダ38および40の出力パルスに基づいて、ユニットnが風袋計測開始位置Prに到達したか否かを判断する。ここで、ユニットnが風袋計測開始位置Prに到達すると、ステップS311に進み、その旨を位置データによって当該ユニットnに通知した後、ステップS313に進む。一方、ユニットnが風袋計測開始位置Prに到達していない場合には、ステップS311をスキップして、直接、ステップS313に進む。
【0171】
ステップS313において、CPU360は、各エンコーダ38および40の出力パルスに基づいて、ユニットnがエンド計測開始位置Peに到達したか否かを判断する。ここで、ユニットnがエンド計測開始位置Peに到達した場合は、ステップS315で、その旨を位置データによってユニットnに通知した後、ステップS317に進む。一方、ユニットnがエンド計測開始位置Peに到達していない場合には、ステップS315をスキップして、直接、ステップS317に進む。
【0172】
ステップS317において、CPU360は、各エンコーダ38および40の出力パルスに基づいて、厳密には所定期間にわたって得られた当該出力パルスに基づいて、ユニットn(全ユニット14,14,…)の現在の移動速度Vxを算出する。そして、ステップS319において、当該算出した移動速度Vxをユニットnに通知した後、ステップS321に進む。
【0173】
ステップS321において、CPU360は、インデックスnの値がその最大値“N”と等しいか否かを判断する。ここで、インデックスnの値が最大値“N”と等しくない場合、つまり未だ全てのユニット14,14,…についてステップS305〜ステップS319を一通り実行し終えていない場合は、ステップS323においてインデックスnの値を“1”だけインクリメントした後、ステップS305に戻る。一方、インデックスnの値が最大値“N”と等しい場合、つまり全てのユニット14,14,…についてステップS305〜ステップS319を一通り実行し終えた場合は、最初のステップS301に戻る。
【0174】
次に、図21を参照して、データ取得タスクの詳細を説明する。このデータ取得タスクでは、CPU360は、まず、ステップS331において、上述のインデックスnに“1”を設定する。そして、ステップS333において、ユニットnがエンド位置Peに到達したか否かを判断し、当該エンド位置Peに到達すると、ステップS335に進む。
【0175】
ステップS335において、CPU360は、ユニットnに対して最終計量値Wf[n]の取得を要求する。そして、ステップS337において、当該ユニットnから最終計量値Wf[n]が送られてきたか否かを判断し、送られてきたら、ステップS339に進み、当該最終計量値Wf[n]が“Error”でないかどうかを判断する。ここで、“Error”でない場合は、さらにステップS341に進み、最終計量値Wf[n]が上述した範囲Wt±γ内に入っているか否かを判断する。そして、当該範囲Wt±γ内に入っている(Wt−γ≦Wf[n]≦Wt+γ)場合は、ステップS343に進む。
【0176】
一方、ステップS339において最終計量値Wf[n]が“Error”である場合、CPU360は、ステップS345に進む。そして、このステップS345において、ユニットnが製造ラインから排除されるように上述の選別機に指示を与えた後、ステップS343に進む。また、ステップS341において最終計量値Wf[n]が上述の範囲Wt±γから外れる(Wf[n]<Wt−γまたはWf[n]>Wt+γ)場合も同様に、ステップS345を経て、ステップS343に進む。
【0177】
ステップS343において、CPU360は、インデックスnの値が最大値“N”と等しいか否かを判断する。ここで、インデックスnの値が最大値“N”と等しくないとき、つまり未だ全てのユニット14,14,…から最終計量値Wf[n]を一通り取得し終えていないときは、ステップS347において当該インデックスnの値を“1”だけインクリメントした後、ステップS333に戻る。一方、インデックスnの値が最大値“N”と等しいとき、つまり全てのユニット14,14,…から最終計量値Wf[n]を一通り取得し終えたときは、最初のステップS331に戻る。
【0178】
これに対して、それぞれのユニット14のCPU194は、稼動モードにおいて、次のような動作をする。
【0179】
即ち、コントローラ36から稼動モードが選択された旨の通知を受けると、CPU194は、図22に示す対稼動モードタスクを実行する。この対稼動モードでは、まず、ステップS351において、コントローラ36から係数A[n]およびB[n](厳密にはこれらを表すデータ)が送られてくるのを待つ。そして、これらの係数A[n]およびB[n]を受信すると、ステップS353に進み、受信した係数A[n]およびB[n]をメモリ202に記憶する。
【0180】
さらに、CPU194は、ステップS355において、コントローラ36からパラメータ(有効化されたパラメータ)が送られてくるのを待つ。そして、パラメータを受信すると、ステップS357に進み、受信したパラメータをメモリ202に記憶する。そして、ステップS359において、コントローラ36から稼動開始指示が送られてくるのを待つ。
【0181】
ステップS359において稼動開始指示を受けると、CPU194は、ステップS361に進み、誤差算出式切換タスクの実行を開始する。そして、ステップS363において、補正タスクの実行を開始し、さらに、ステップS365において、充填タスクの実行を開始する。このように誤差算出式切換タスク、補正タスクおよび充填タスクの実行が開始されることによって、上述した要領による充填動作が行われる。なお、これら誤差算出式切換タスク、補正タスクおよび充填タスクについては、後で詳しく説明する。
【0182】
ステップS365の実行後、CPU194は、ステップS367に進み、コントローラ36から最終計量値Wf[n]の取得要求を受け付けたか否かを判断する。ここで、当該取得要求を受け付けると、ステップS369に進み、最終計量値Wf[n]をコントローラ36に送信する。そして、この最終計量値Wf[n]の送信後、ステップS367に戻る。一方、ステップS367において最終計量値Wf[n]の取得要求を受けていない場合には、ステップS371に進み、コントローラ36から稼動停止指示を受け付けたか否かを判断する。稼動停止指示を受けていない場合には、ステップS367に戻る。
【0183】
ここで、稼動停止指示を受けていない場合、CPU194は、ステップS367に戻る。一方、稼動停止指示を受け付けると、ステップS373に進み、上述のステップS365で開始した充填タスクの実行を終了し、さらに、ステップS375において、上述のステップS363で開始した補正タスクの実行を終了する。そして、ステップS377において、上述のステップS361で開始した誤差算出式切換タスクの実行を終了して、一連の対稼動モードタスクを終了する。
【0184】
図23を参照して、上述の誤差算出式切換タスクについて詳しく説明する。この誤差算出式切換タスクでは、CPU194は、まず、ステップS381において、自身(厳密には当該CPU194を有するユニット14)が零点計測開始位置Pzに到達したか否かを判断する。この判断は、コントローラ36から送られてくる上述の位置データに基づいて行われる。そして、零点計測開始位置Pzに到達したと判断すると、ステップS383に進み、上述した数25で表される零点計測時用の誤差算出式を有効化する。
【0185】
このステップS383の実行後、CPU194は、ステップS385に進み、自身が風袋計測開始位置Pr[n]に到達したか否かを判断する。この判断もまた、上述の位置データに基づいて行われる。そして、風袋計測開始位置Prに到達すると、ステップS387に進み、今度は、数24で表される言わば容器載置時用の誤差算出式を有効化する。そして、このステップS387の実行後、ステップS381に戻る。
【0186】
次に、補正タスクについて、図24を参照して説明する。この補正タスクでは、CPU194は、まず、ステップS391において、A/D変換回路192から新たな生荷重データWy[n]が出力されたか否か、換言すれば補正回路196に当該新たな生荷重データWy[n]が入力されたか否かを、判断する。
【0187】
ここで、新たな生荷重データWy[n]が入力されると、CPU194は、ステップS393に進み、上述の誤差算出式切換タスクにおいて現在有効化されている誤差算出式(数24または数25)に基づいて、誤差成分We[n]を算出する。具体的には、ステップS391において入力された生荷重データWy[n]、図22のステップS353においてメモリ202に記憶された係数A[n]およびB[n]、並びにコントローラ36から通知された移動速度Vx(図20のステップS319参照)を、当該誤差算出式に代入することで、誤差成分We[n]を算出する。
【0188】
そして、CPU194は、ステップS395に進み、上述した数8に基づいて、真の荷重Wy[n]’を求める。具体的には、現在の生荷重データWy[n]およびステップS395で算出された誤差成分We[n]を当該数8に代入することで、真の荷重Wy[n]’を算出する。そして、この真の荷重Wy[n]’の算出後、ステップS391に戻る。
【0189】
次に、図25および図26を参照して、充填タスクの詳細を説明する。この充填タスクでは、CPU194は、まず、図25のステップS401において、自身が零点計測開始位置Pzに到達したか否かを判断する。そして、零点計測開始位置Pzに到達すると、ステップS403に進み、零点計測時間Tzを計測するためのタイマをリセットし、即スタートさせる。そして、ステップS405において、当該零点計測時間Tzが経過するのを待つ。
【0190】
零点計測時間Tzが経過すると、CPU194は、ステップS405からステップS407に進み、上述した数1に基づいて零点計測値Wz[n]を得る。つまり、零点計測時間Tzが経過した時点t1での補正後荷重データWy[n]’の値を、当該零点計測値Wz[n]とする。そして、この零点計測値Wx[n]を、メモリ202に一時記憶する。
【0191】
そして、CPU194は、ステップS409に進み、自身が風袋計測開始位置Prに到達したか否かを判断する。そして、風袋計測開始位置Prに到達すると、ステップS411に進み、風袋計測時間Trを計測するためのタイマをリセットし、即スタートさせる。そして、ステップS413において、当該風袋計測時間Trが経過するのを待つ。
【0192】
風袋計測時間Trが経過すると、CPU194は、ステップS413からステップS415に進み、上述の数2に基づいて風袋計測値Wr[n]を得る。即ち、風袋計測時間Tzが経過した時点t3での補正後荷重データWy[n]’の値を、当該風袋計測値Wr[n]とする。この風袋計測値Wr[n]もまた、メモリ202に一時記憶される。
【0193】
そして、CPU194は、ステップS417に進み、上述した数3に基づいて風袋重量Wq[n]を算出する。即ち、ステップS415で得た風袋計測値Wr[n]と上述のステップS407で得た零点計測値Wz[n]とを当該数3に代入することで、風袋重量Wq[n]を算出する。
【0194】
さらに、CPU194は、ステップS419に進み、上述のステップS417で算出した風袋重量Wq[n]を基に、自身(ユニット14)に規格通りの容器12がセットされたか否かを判断する。具体的には、風袋重量Wq[n]が所定の範囲Wq’±βに入っているか否かを判断し、入っている(Wq’−β≦Wq[n]≦Wq’+β)場合には、規格通りの容器12がセットされたものと判断して、次のステップS421に進む。一方、風袋重量Wq[n]が所定の範囲Wq’±βから外れている(Wq[n]<Wq’−βまたはWq[n]>Wq’+β)場合には、規格通りの容器12がセットされていないものと判断して、次にまた零点計測開始位置Pzに到達する機会が来るのを待つべく、ステップS401に戻る。
【0195】
ステップS421において、CPU194は、容器12への飲料の供給が開始されるようにバルブ20を制御する。これによって、バルブ20は、大投入状態となる。そして、CPU194は、図26のステップS423に進む。
【0196】
ステップS423において、CPU194は、容器12に供給された飲料の重量が切換重量Wa[n]に到達したか否かを判断する。つまり、上述の数4が成立したか否かを判断する。ここで、供給済みの飲料の重量が未だ切換重量Wa[n]に到達していない場合は、ステップS425に進み、自身がエンド位置Peに到達したか否かを判断する。この判断もまた、上述した位置データに基づいて行われる。そして、未だエンド位置Peに到達していない場合には、ステップS425からステップS423に戻る。
【0197】
一方、ステップS423において供給済みの飲料の重量が切換重量Wa[n]に達すると、換言すれば時点t4が到来すると、CPU194は、ステップS427に進み、バルブ20の口径を少し絞る。これによって、バルブ20は、大投入状態から小投入状態へと遷移する。
【0198】
そして、CPU194は、ステップS429に進み、供給済みの飲料の重量が供給停止重量Wb[n]に到達したか否かを判断する。つまり、上述の数5が成立したか否かを判断する。ここで、供給済みの飲料の重量が未だ供給停止重量Wb[n]に達していない場合は、ステップS431に進み、自身がエンド位置Peに到達したか否かを判断する。そして、未だエンド位置Peに到達していない場合には、ステップS431からステップS429に戻る。
【0199】
一方、ステップS429において供給済みの飲料の重量が供給停止重量Wb[n]に達すると、換言すれば時点t5が到来すると、CPU194は、ステップS433に進み、バルブ20を閉じる。これによって、上述した落差量ΔWg[n]分の飲料が容器12に供給された後、当該飲料の供給が完全に停止される。そして、CPU194は、ステップS435において、安定待ち時間Twを計測するためのタイマをリセットし、即スタートさせた後、ステップS437に進む。
【0200】
ステップS437において、CPU194は、安定待ち時間Twが経過したか否かを判断する。ここで、未だ安定待ち時間Twが経過していない場合には、ステップS439に進み、自身がエンド位置Peに到達したか否かを判断する。そして、エンド位置Peに到達していない場合には、ステップS439からステップS437に戻る。
【0201】
ステップS437において安定待ち時間Twが経過すると、換言すれば時点t6が到来すると、CPU194は、ステップS441に進み、今度は最終計測時間Tfを計測するためのタイマをリセットし、即スタートさせる。そして、ステップS443において、当該最終計測時間Tfが経過したか否かを判断し、経過していない場合には、さらにステップS445に進み、自身がエンド位置Peに到達したか否かを判断する。そして、エンド位置Peに到達していない場合には、ステップS443に戻る。
【0202】
ステップS443において最終計測時間Tfが経過すると、CPU194は、ステップS447に進み、上述した数6に基づいて最終計量値Wf[n]を算出する。具体的には、最終計測時間Tfが経過した時点t7での補正後荷重データWy[n]’の値および上述のステップS415でメモリ202に記憶した風袋計測値Wr[n]を数6に代入することで、最終計量値Wf[n]を算出する。そして、算出した最終計量値Wf[n]をメモリ202に記憶した後、改めて充填動作を繰り返すべく、図25のステップS401に戻る。
【0203】
なお、ステップS445においてエンド位置Peに到達した場合、つまり安定待ち時間Twは経過したものの最終計量値Wf[n]が得られなかった場合には、CPU194は、ステップS449に進み、当該最終計量値Ws[n]として上述した“Error”というデータを設定する。そして、このステップS449の実行後、図25のステップS401に戻る。また、ステップS439においてエンド位置Peに到達した場合、つまり容器12への飲料の充填は終了したものの最終計量値Wf[n]が得られなかった場合も、同様に、ステップS449を経て、図26のステップS401に戻る。
【0204】
さらに、上述のステップS431においてエンド位置Peに到達した場合、つまり小投入状態にあるときに当該エンド位置Peに到達した場合には、CPU194は、ステップS451において、バルブ20を閉じる。そして、ステップS449を経て、図25のステップS401に戻る。また、ステップS425においてエンド位置Peに到達した場合、つまり大投入状態にあるときに当該エンド位置Peに到達した場合も、同様に、ステップS451およびステップS449を経て、図25のステップS401に戻る。
【0205】
以上のように、この参考例によれば、それぞれのユニット14が回転することによって当該ユニット14のロードセル180から出力される計量信号(生荷重データ)Wy[n]に誤差成分We[n]が重畳したとしても、この誤差成分We[n]は、補正回路196によって補正される。具体的には、空気抵抗力Fa[n]の垂直分力Fa[n]’による誤差成分、換言すれば容器12の形状に起因する誤差成分We1[n]は、当該容器12の形状に応じた係数A[n]およびユニット14の移動速度Vxに基づいて補正される。そして、遠心力Fc[n]の垂直分力Fc[n]’による誤差成分We[n]は、ロードセル180の構造的条件によって決まる係数B[n],生荷重データWy[n]およびユニット14の移動速度Vxに基づいて補正される。そして、かかる補正後の補正後荷重データWy[n]’に基づいて、真の荷重Wy[n]’が求められ、ひいては充填動作が行われる。従って、容器の形状によっては正確な誤差補正を行うことができない上述の従来技術とは異なり、容器12の形状に関係なく常に正確(高精度)な誤差補正を行うことができ、ひいては常に正確な定量充填を行うことができる。
【0206】
そして、容器12として、概略三角フラスコ状のものを例に挙げたが、他の形状のものでもよい。即ち、傾斜した側面を有する容器であれば、上述と同様の効果を発揮する。また、充填物は飲料に限らず、アルコールや油等の他の液体でもよい。さらに、液体に限らず、粉粒体等の固体を充填する場合にも、この発明を適用することができる。
【0207】
また、それぞれのユニット14(載置台16)に容器12がセットされ、充填終了後は当該容器12がユニット14から取り除かれる構成としたが、これに限らない。例えば、載置台16自体が容器としての機能を有するいわゆる計量ホッパ構成のものにも、この発明を適用することができる。
【0208】
さらに、ロードセル180として、歪みゲージ式のものを採用したが、これ以外のものを採用してもよい。また、ロードセル180の構造は、ロバーバル型に限らない。
【0209】
そして、上述の図11〜図26に示す各フローチャートは、飽くまで一例であって、この参考例で説明したのと同様の作用および効果が得られるのであれば、これらに限定されるものではない。例えば、この参考例では、コントローラ36側で各ユニット14,14,…用の係数A[n]およびB[n]を求めるようにしたが、個々のユニット14において当該係数A[n]およびB[n]を求めるようにしてもよい。また、この参考例で説明した以外の数式(アルゴリズム)によって、当該係数A[n]およびB[n]を算出してもよい。
【0210】
さらに、調整モードでの作業を簡素化するために、例えば任意(または特定)の1台のユニット14についてのみ係数A[n]およびB[n]を算出し、その算出結果を他のユニット14,14,…に適用してもよい、また、一部の複数台(<N)のユニット14,14,…についてのみそれぞれの係数A[n]およびB[n]を求め、それらの平均値を全てのユニット14,14,…に適用してもよい。
【0211】
次に、この発明の一実施形態について、図27〜図39を参照して説明する。
【0212】
即ち、上述の回転式重量充填装置10においては、どのような容器12に、どのような飲料を、どれくらいの重量分だけ充填するのかが、予め決まっている。従って、上述した手順(図6参照)により正確な定量充填を実現するには、必ずしも常に真の(言わば正確な)荷重Wy[n]’を求める必要はなく、少なくとも風袋計測時(時点t2〜t3),飲料の供給停止時(時点t5)および最終計測時(時点t6〜t7)にのみ当該真の荷重Wy[n]’を求めれば、足りる。なお、上述の如くそれぞれのユニット14にセットされた空の容器12が規格通りのものであるか否かを判断する場合には、零点計測時(時点t0〜t1)にも、当該真の荷重Wy[n]’を求める必要がある。
【0213】
そこで、この実施形態では、零点計測時,風袋計測時,飲料の供給停止時および最終計測時にのみ真の荷重Wy[n]’を求め、つまり上述した誤差成分We[n]を正確に補正し、それ以外は当該誤差成分We[n]を正確に補正することについて特に関与しない。このため、それぞれのユニット14の補正回路196は、次のような構成とされている。なお、補正回路196について説明する前に、まず、零点計測時,風袋計測時,飲料の供給停止時および最終計測時のそれぞれにおける誤差成分We[n]について、分析してみる。
【0214】
即ち、上述したように任意のユニットnの誤差成分We[n]は数23によって表されるが、零点計測時においては、当該数23における係数A[n]はA[n]=0となり、真の荷重Wy[n]’はWy[n]’=Wi[n]となる。従って、零点計測時における誤差成分We[n]は、次の数37で表される。
【0215】
【数37】

【0216】
ここで、係数B[n]および初期荷重Wi[n]は、いずれも定数である。よって、これらの定数部分を1つに纏めて例えばa[n]という係数で表すと、零点計測時における誤差成分We[n]は、次の数38のようになる。
【0217】
【数38】

【0218】
また、風袋計測時においては、上述の数23における真の荷重Wy[n]’は理想的にはWy[n]’=Wq’+Wi[n]となる。従って、風袋計測時の誤差成分We[n]は、次の数39で表される。
【0219】
【数39】

【0220】
この数39において、係数A[n]およびB[n],風袋標準値Wq’,並びに初期荷重Wi[n]は、いずれも定数である。よって、これらの定数部分を1つに纏めて例えばb[n]という係数で表すと、風袋計測時における誤差成分We[n]は、次の数40のようになる。
【0221】
【数40】

【0222】
そして、飲料の供給停止時においては、数23における真の荷重Wy[n]’は理想的にはWy[n]’=Wq’+Wb[n]+Wi[n]となる。従って、風袋計測時の誤差成分We[n]は、次の数41で表される。
【0223】
【数41】

【0224】
ここで、係数A[n]およびB[n],供給停止重量Wb[n],並びに初期荷重Wi[n]は、いずれも定数である。よって、これらの定数部分を1つに纏めて例えばc[n]という係数で表すと、飲料の供給停止時における誤差成分We[n]は、次の数42のようになる。
【0225】
【数42】

【0226】
さらに、最終計測時においては、数23における真の荷重Wy[n]’は理想的にはWy[n]’=Wq’+Wt+Wi[n]となる。従って、最終計測時の誤差成分We[n]は、次の数43で表される。
【0227】
【数43】

【0228】
この数43において、係数A[n]およびB[n],目標値Wt,並びに初期荷重Wi[n]は、いずれも定数である。よって、これらの定数部分を1つに纏めて例えばd[n]という係数で表すと、最終計測時における誤差成分We[n]は、次の数44のようになる。
【0229】
【数44】

【0230】
これらの数38,数40,数42および数44から判るように、零点計測時,風袋計測時,飲料の供給停止時および最終計測時のそれぞれにおける誤差成分We[n]は、いずれもユニットnの移動速度Vxを変数とする関数で表すことができる。補正回路196は、これらの数38,数40,数42および数44に基づいて、零点計測時,風袋計測時,飲料の供給停止時および最終計測時のそれぞれにおける誤差成分We[n]を補正する。
【0231】
具体的には、任意のユニットnが上述した零点計測開始位置Pzに到達すると、つまり図27(a)の時点t0において、当該ユニットnの補正回路196(CPU194)は、数38の言わば零点計測時用誤差算出式を有効化する。そして、この有効化された式(数38)に基づいて誤差成分We[n]を算出し、ひいては真の荷重(補正後荷重データ)Wy[n]’を求める。なお、真の荷重Wy[n]’については、参考例と同様、数8に基づいて求められる。
【0232】
そして、ユニットnが風袋計測開始位置Prに到達すると、つまり図27(a)の時点t2において、当該ユニットnの補正回路196は、数40の言わば風袋計測時用誤差算出式を有効化する。そして、この有効化された式(数40)に基づいて誤差成分We[n]を算出し、ひいては真の荷重Wy[n]’を求める。
【0233】
さらに、図27(a)に示すようにユニットnによる飲料の充填重量が供給停止重量Wb[n]よりも所定量ΔWb[n]だけ小さい或る閾値Wb[n]’に到達すると、つまり実際の供給停止時t5よりも少し前の時点t5’になると、当該ユニットnの補正回路196は、数42の言わば供給停止時用誤差算出式を有効化する。そして、この有効化された式(数42)に基づいて誤差成分We[n]を算出し、ひいては真の荷重Wy[n]’を求める。なお、所定量ΔWb[n]の値は、例えば供給停止重量Wb[n]の10%程度の値とされる。また、このように実際の供給停止時t5よりも前の時点t5’で当該供給停止時t5用の誤差算出式(数42)が有効化されるようにしたのは、例えば供給停止時t5に当該式(数42)が有効化されるようにしたのでは、この有効化された式による誤差成分We[n]の算出が間に合わず、正確な誤差補正ができなくなるからである。
【0234】
そして、図27(a)に示すようにユニットnによる飲料の充填重量が供給停止重量Wb[n]に達した時点(飲料の供給停止時)t5から安定待ち時間Twよりも少し短い所定時間Tw’が経過した時点t6’、換言すれば最終計測時(t6〜t7)よりも少し前の時点t6’で、当該ユニットnの補正回路196は、数44の言わば最終計測時用誤差算出式を有効化する。そして、この有効化された式(数44)に基づいて誤差成分We[n]を算出し、ひいては真の荷重Wy[n]’を求める。なお、このように最終計測時(t6〜t7)よりも前の時点t6’で当該最終計測時用の誤差算出式(数44)が有効化されるようにしたのは、上述の時点t5’において供給停止時用の誤差算出式(数42)が有効化されるようにしたのと同様の理由による。
【0235】
さて、このように数38,数40,数42および数44に基づいて零点計測時,風袋計測時,飲料の供給停止時および最終計測時のそれぞれにおける誤差成分We[n]を補正するには、これら数38,数40,数42および数44に含まれる各定数a[n],b[n],c[n]およびd[n]が既知数として判明している必要がある。そこで、この実施形態では、調整モードによって、これらの定数a[n],b[n],c[n]およびd[n]が求められる。
【0236】
なお、調整モードに入る前に、少なくともユニット14,14,…の数(N)だけ、空容器サンプル,充填途中品サンプルおよび充填完了品サンプルのそれぞれが用意されているものとする。ここで言う空容器サンプルとは、実際の商品と同じ空の容器12であって、その重量が風袋標準値Wq’と等価であると見なすことのできるものである。そして、充填途中品サンプルとは、実際の商品と同じ容器12に実際の商品と同じ飲料が供給停止重量Wb[n]分だけ充填されたものであり、その全重量が風袋標準値Wq’と当該供給停止重量Wb[n]との総和(Wq’+Wb[n])と等価、とされたものである。さらに、充填完了品サンプルとは、実際の商品と同じ容器12に実際の商品と同じ飲料が目標値Wt分だけ充填されたものであり、その全重量が風袋標準値Wq’と当該目標値Wtとの総和(Wq’+Wt)と等価、とされたものである。そして、この実施形態においても、調整モードに入る前に、上述の零点調整,スパン調整および温度ドリフト調整が完了しているものとする。
【0237】
調整モードにおいては、まず、静止状態での零点計測が行われる。具体的には、回転台24が回転しておらず、かつ各ユニット14,14,…が無負荷状態にあるときの、当該各ユニット14,14,…の生荷重データWy[n]が、コントローラ36に収集される。換言すれば、それぞれのユニット14毎に、荷重Wy[n]として初期荷重Wi[n]のみが印加された状態にあるときの生荷重データWy[n]が、コントローラ36に集められる。この生荷重データWy[n]は、静止時零点計測値Wzs[n]として、コントローラ36内のメモリ372に一時記憶される。
【0238】
次に、モータ34が起動され、これによって回転台24が回転する。このとき、モータ34は、回転台24が最大定格回転数で回転するように、制御される。なお、このモータ34の起動と同時に、外部装置も起動される。そして、この状態で、零点計測が行われる。即ち、回転台24が最大定格回転数で回転しており、かつ各ユニット14,14,…が無負荷状態にあるときの、当該各ユニット14,14,…の生荷重データWy[n]が、コントローラ36に収集される。換言すれば、それぞれのユニット14毎に、荷重Wy[n]として、初期荷重Wi[n],および無負荷時における最大の誤差荷重We[n](=We2[n])が印加された状態にあるときの生荷重データWy[n]が、コントローラ36に集められる。この生荷重データWy[n]は、稼動時零点計測値Wzd[n]として、メモリ372に一時記憶される。
【0239】
この稼動時零点計測の終了後、モータ34および外部装置が停止され、再び静止状態となる。そして、この静止状態において、各ユニット14,14,…に上述の空容器サンプルがセット(載置)され、このときの当該各ユニット14,14,…の生荷重データWy[n]が、コントローラ36に送られる。換言すれば、それぞれのユニット14毎に、荷重Wy[n]として、空容器サンプルの重量Wq’および初期荷重Wi[n]が印加された状態にあるときの生荷重データWy[n]が、コントローラ36に集められる。この生荷重データWy[n]は、静止時空容器サンプル重量値Wrs[n]として、メモリ372に一時記憶される。
【0240】
そして、次に、各ユニット14,14,…にセットされている上述の空容器サンプルに代えて、当該各ユニット14,14,…に充填途中品サンプルがセットされる。そして、このように各ユニット14,14,…に充填途中品サンプルがセットされており、かつ静止状態にあるときの、当該各ユニット14,14,…の生荷重データWy[n]が、コントローラ36に送られる。換言すれば、それぞれのユニット14毎に、荷重Wy[n]として、充填途中品サンプルの重量(Wq’+Wb[n])および初期荷重Wi[n]が印加された状態にあるときの生荷重データWy[n]が、コントローラ36に集められる。この生荷重データWy[n]は、静止時充填途中品サンプル重量値Wbs[n]として、メモリ372に一時記憶される。
【0241】
さらに、各ユニット14,14,…にセットされている上述の充填途中品サンプルに代えて、当該各ユニット14,14,…に充填完了品サンプルがセットされる。そして、このように各ユニット14,14,…に充填完了品サンプルがセットされており、かつ静止状態にあるときの、当該各ユニット14,14,…の生荷重データWy[n]が、コントローラ36に送られる。換言すれば、それぞれのユニット14毎に、荷重Wy[n]として、充填完了品サンプルの重量(Wq’+Wt)および初期荷重Wi[n]が印加された状態にあるときの生荷重データWy[n]が、コントローラ36に集められる。この生荷重データWy[n]は、静止時充填完了品サンプル重量値Wfs[n]として、メモリ372に一時記憶される。
【0242】
この静止時における各サンプル重量の測定後、各ユニット14,14,…にセットされた充填完了品サンプルが当該各ユニット14,14,…から取り除かれる。そして、再度、回転台24が最大定格回転数で回転するように、モータ34が起動され、これと同時に、外部装置が起動される。そして、この状態で、空容器サンプルの重量測定が行われる。即ち、搬入用コンベヤ50および搬入用スターホイール52を介して、各ユニット14,14,…に空容器サンプルが順次セットされる。そして、このように空容器サンプルがセットされているときの各ユニット14,14,…の生荷重データWy[n]が、コントローラ36に順次収集される。換言すれば、それぞれのユニット14毎に、荷重Wy[n]として、空容器サンプルの重量Wq’,初期荷重Wi[n],および当該空容器サンプルによる最大の誤差荷重We[n](=We1[n]+We2[n])が印加された状態にあるときの生荷重データWy[n]が、コントローラ36に集められる。この生荷重データWy[n]は、稼動時空容器サンプル重量値Wrd[n]として、メモリ372に一時記憶される。なお、各ユニット14,14,…にセットされた空容器サンプルは、エンド位置Peを通過した後、搬出用スターホイール54によって当該各ユニット14,14,…から順次取り除かれ、搬出用コンベヤ56へと搬送される。
【0243】
これに続いて、今度は、稼動時における充填途中品サンプルの重量測定が行われる。即ち、回転台24が最大定格回転数で回転している状態において、搬入用コンベヤ50および搬入用スターホイール52を介して、各ユニット14,14,…に充填途中品サンプルが順次セットされる。そして、このように充填途中品サンプルがセットされているときの各ユニット14,14,…の生荷重データWy[n]が、コントローラ36に順次収集される。換言すれば、それぞれのユニット14毎に、荷重Wy[n]として、充填途中品サンプルの重量(Wq’+Wb[n]),初期荷重Wi[n],および当該充填途中品サンプルによる最大の誤差荷重We[n](=We1[n]+We2[n])が印加された状態にあるときの生荷重データWy[n]が、コントローラ36に集められる。この生荷重データWy[n]は、稼動時充填途中品サンプル重量値Wbd[n]として、メモリ372に一時記憶される。なお、各ユニット14,14,…にセットされた充填途中品サンプルもまた、上述の空容器サンプルと同様に、エンド位置Peを通過した後、搬出用スターホイール54によって当該各ユニット14,14,…から順次取り除かれ、搬出用コンベヤ56へと搬送される。
【0244】
さらに続いて、稼動時における充填完了品サンプルの重量測定が行われる。即ち、回転台24が最大定格回転数で回転している状態において、搬入用コンベヤ50および搬入用スターホイール52を介して、各ユニット14,14,…に充填完了品サンプルが順次セットされる。そして、このように充填完了品サンプルがセットされているときの各ユニット14,14,…の生荷重データWy[n]が、コントローラ36に順次収集される。換言すれば、それぞれのユニット14毎に、荷重Wy[n]として、充填完了品サンプルの重量(Wq’+Wt),初期荷重Wi[n],および当該充填完了品サンプルによる最大の誤差荷重成分We[n]が印加された状態にあるときの生荷重データWy[n]が、コントローラ36に集められる。この生荷重データWy[n]は、稼動時充填完了品サンプル重量値Wfd[n]として、メモリ372に一時記憶される。なお、各ユニット14,14,…にセットされた充填途中品サンプルもまた、エンド位置Peを通過した後、搬出用スターホイール54によって当該各ユニット14,14,…から順次取り除かれ、搬出用コンベヤ56へと搬送される。そして、この充填完了品サンプルの重量測定が終わると、モータ34および外部装置は停止される。
【0245】
このように、それぞれのユニット14毎の静止時零点計測値Wzs[n],稼動時零点計測値Wzd[n],静止時空容器サンプル重量値Wrs[n],静止時充填途中品サンプル重量値Wbs[n],静止時充填完了品サンプル重量値Wfs[n],稼動時空容器サンプル重量値Wrd[n],稼動時充填途中品サンプル重量値Wbd[n]および稼動時充填完了品サンプル重量値Wfd[n]がコントローラ36に収集された後、当該コントローラ36内で、それぞれのユニット14毎の係数a[n],b[n],c[n]およびd[n]が求められる。
【0246】
即ち、静止時零点計測値Wzs[n]に対する稼動時零点計測値Wzd[n]の偏差は、上述の数37から、次の数45で表される。
【0247】
【数45】

【0248】
そして、この数45を変形すると、上述の数38における係数a[n]は、次の数46で表される。
【0249】
【数46】

【0250】
この数46において、静止時零点計測値Wzs[n]および稼動時零点計測値Wzd[n]は、いずれも既知数である(メモリ202に記憶されている)。そして、移動速度Vmaxは、上述したように各エンコーダ38および40の出力パルスから検出することができる。従って、係数a[n]は、この数46に基づいて求められる。
【0251】
一方、静止時空容器サンプル重量値Wrs[n]に対する稼動時空容器サンプル重量値Wrd[n]の偏差は、上述の数39から、次の数47で表される。
【0252】
【数47】

【0253】
そして、この数47を変形すると、上述の数40における係数b[n]は、次の数48で表される。
【0254】
【数48】

【0255】
この数48において、静止時空容器サンプル重量値Wrs[n]および稼動時空容器サンプル重量値Wrd[n]は、いずれも既知数である。そして、移動速度Vmaxは、各エンコーダ38および40の出力パルスから検出することができる。従って、係数b[n]は、この数48に基づいて求められる。
【0256】
さらに、静止時充填途中品サンプル重量値Wbs[n]に対する稼動時充填途中品サンプル重量値Wbd[n]の偏差は、上述の数41から、次の数49で表される。
【0257】
【数49】

【0258】
そして、この数49を変形すると、上述の数42における係数c[n]は、次の数50で表される。
【0259】
【数50】

【0260】
この数50において、静止時充填途中品サンプル重量値Wbs[n]および稼動時充填途中品サンプル重量値Wbd[n]は、いずれも既知数であり、移動速度Vmaxは、各エンコーダ38および40の出力パルスから検出することができる。よって、係数c[n]は、この数50に基づいて求められる。
【0261】
そしてさらに、静止時充填完了品サンプル重量値Wfs[n]に対する稼動時充填完了品サンプル重量値Wfd[n]の偏差は、上述の数43から、次の数51で表される。
【0262】
【数51】

【0263】
この数51を変形すると、上述の数44における係数d[n]は、次の数52で表される。
【0264】
【数52】

【0265】
この数52において、静止時充填完了品サンプル重量値Wfs[n]および稼動時充填完了品サンプル重量値Wfd[n]は、いずれも既知数であり、移動速度Vmaxは、各エンコーダ38および40の出力パルスから検出することができる。従って、係数d[n]は、この数52に基づいて求められる。
【0266】
このようにして求められたそれぞれのユニット14毎の係数a[n],b[n],c[n]およびd[n]は、メモリ372内の係数リスト374に記憶される。具体的には、図28に示すように、係数リスト374には、複数種類(型式)の容器12に対応するべく複数の記憶領域(図28において“TYPE_X(X=1,2,…)”毎に区切られた縦の列の領域)が設けられており、当該容器12の種類別に、各係数a[n],b[n],c[n]が記憶される。なお、係数a[n]については、ユニット14が同一であれば、容器12の型式に関係なく、同じ値となる。また、ここでは詳しく説明しないが、この実施形態においても係数リスト374の内容は、任意に編集(追加、変更および削除)することができる。
【0267】
そして、調整モードにおいては、上述した参考例と同様に、各種パラメータの入力が行われ、全てのパラメータの入力をもって調整モードが終了する。そして、調整モードの終了後、参考例と同様に、稼動モードにおいて実際の充填作業が行われる。ただし、上述の参考例では、稼動モードにおいて、操作キー368による容器12の型式の入力に応答して、当該型式に対応する係数A[n]およびB[n]が係数リスト374から読み出され、各ユニット14,14,…に送信されるが、この実施形態では、当該型式に対応する係数a[n],b[n],c[n]およびb[n]が読み出され、各ユニット14,14,…に送信される。
【0268】
この実施形態におけるコントローラ36側のCPU360、および個々のユニット14のCPU194は、次のように動作する。
【0269】
即ち、操作キー368の操作によって調整モードが選択されると、コントローラ36側のCPU360は、図29〜図37の調整モードタスクを実行する。まず、CPU360は、図29のステップS501〜図30のステップS549を実行することで、それぞれのユニット14毎の静止時零点計測値Wzs[n]および稼動時零点計測値Wzd[n]を取得する。なお、これらステップS501〜ステップS549の処理は、上述した図11のステップS101〜図12のステップS149の処理と全く同じである。従って、ここでは、これらステップS501〜ステップS549についての詳しい説明を省略する。
【0270】
続いて、CPU360は、静止時空容器サンプル重量値Wrs[n]を取得するべく、図31のステップS551〜ステップS571を実行する。なお、これらのステップS551〜ステップS571は、上述した図13のステップS151〜ステップS171において“Wps[n]”を“Wrs[n]”に代えたものであるので、当該ステップS551〜ステップS571についても詳しい説明を省略する。ただし、図13のステップS151〜ステップS181(特にステップS155)では、それぞれのユニット14に商品サンプル(または基準サンプル)がセットされるのに対して、この図31のステップS551〜ステップS571(特にステップS555)では、それぞれのユニット14に空容器サンプルがセットされる。
【0271】
さらに、CPU360は、静止時充填途中品サンプル重量値Wbs[n]を取得するべく、図32のステップS573〜ステップS593を実行する。なお、これらステップS573〜ステップS593もまた、図13のステップS151〜ステップS171において“Wps[n]”を“Wbs[n]”に代えたものであるので、当該ステップS573〜ステップS593についての詳しい説明は省略する。また、これらのステップS573〜ステップS593(特にステップS577)においては、それぞれのユニット14に充填途中品サンプルがセットされる。
【0272】
そしてさらに、CPU360は、静止時充填完成品サンプル重量値Wfs[n]を得るべく、図33のステップS595〜ステップS615を実行する。なお、これらステップS595〜ステップS615もまた、図13のステップS151〜ステップS171において“Wps[n]”を“Wfs[n]”に代えたものであるので、当該ステップS595〜ステップS615についての詳しい説明は省略する。また、これらのステップS595〜ステップS615(特にステップS599)においては、それぞれのユニット14に充填完成品サンプルがセットされる。
【0273】
次に、CPU360は、稼動時空容器サンプル重量値Wrd[n]を取得するべく、図34のステップS617〜ステップS643を実行する。なお、これらのステップS617〜ステップS643は、上述した図14のステップS173〜ステップS199において“Wpd1[n]”を“Wrd[n]”に代えたものであるので、当該ステップS617〜ステップS643についての詳しい説明は省略する。ただし、図14のステップS173〜ステップS199(特にステップS181)においては、それぞれのユニット14に商品サンプルがセットされるのに対して、この図34のステップS617〜ステップS643(特にステップS625)においては、それぞれのユニット14に空容器サンプルがセットされる。また、図14のステップS191においては、生荷重データWy[n]の比較対象として閾値Wkが適用されるのに対して、この図34のステップS635においては、当該閾値Wkとは異なる閾値Wrkが適用される。具体的には、この閾値Wrkとして、“0”よりも大きくかつ空容器サンプルの重量Wq’(厳密には当該重量Wq’として予想される値の最小値)よりも小さい値が設定され、より具体的には、当該重量Wq’(最小値)の1/3〜1/2程度の値が設定される。
【0274】
そして、CPU360は、稼動時充填途中品サンプル重量値Wbd[n]を取得するべく、図35のステップS645〜ステップS667を実行する。なお、これらのステップS645〜ステップS667は、上述した図15のステップS201〜ステップS223において“Wpd2[n]”を“Wbd[n]”に代えたものであるので、当該ステップS645〜ステップS667についての詳しい説明は省略する。ただし、図15のステップS201〜ステップS223(特にステップS205)においては、それぞれのユニット14に基準サンプルがセットされるのに対して、この図35のステップS645〜ステップS667(特にステップS649)においては、それぞれのユニット14に充填途中品サンプルがセットされる。また、図15のステップS215においては、生荷重データWy[n]の比較対象として閾値Wkが適用されるのに対して、この図35のステップS659においては、当該閾値Wkとは異なる閾値Wbkが適用される。具体的には、この閾値Wbkとして、“0”よりも大きくかつ充填途中品サンプルの重量Wq’+Wb[n](厳密には当該重量Wq’+Wb[n]として予想される値の最小値)よりも小さい値が設定され、より具体的には当該重量Wq’+Wb[n](最小値)の1/3〜1/2程度の値が設定される。
【0275】
さらに、CPU360は、稼動時充填完成品サンプル重量値Wfd[n]を取得するべく、図36のステップS669〜ステップS691を実行する。なお、これらのステップS669〜ステップS691もまた、上述した図15のステップS201〜ステップS223において“Wpd2[n]”を“Wfd[n]”に代えたものであるので、当該ステップS669〜ステップS691についての詳しい説明は省略する。また、これらのステップS669〜ステップS691(特にステップS673)においては、それぞれのユニット14に充填完了品サンプルがセットされる。そして、ステップS683においては、生荷重データWy[n]の比較対象として閾値Wfkが適用され、この閾値Wbkとしては、“0”よりも大きくかつ充填完了品サンプルの重量Wq’+Wt(厳密には当該重量Wq’+Wtとして予想される値の最小値)よりも小さい値が設定され、より具体的には当該重量Wq’+Wt(最小値)の1/3〜1/2程度の値が設定される。
【0276】
ステップS691において、全てのユニット14,14,…について稼動時充填完成品サンプル重量値Wpd2[n]の測定が終了したと判断すると、CPU360は、ステップS693に進む。そして、このステップS693において、モータ34および外部装置を停止させた後、図37のステップS695に進む。
【0277】
ステップS695において、CPU360は、上述した要領でそれぞれのユニット14毎の係数a[n],b[n],c[n]およびd[n]を算出する。具体的には、数46,数48,数50および数52に基づいて、これらの係数a[n],b[n],c[n]およびd[n]を算出する。そして、算出した係数a[n],b[n],c[n]およびd[n]を、係数リスト374に記憶する。
【0278】
ステップS695の実行後、CPU360は、上述したパラメータを取り込むべくステップS697〜ステップS707を実行する。これらのステップS697〜ステップS707の処理は、上述の図16におけるステップS229〜ステップS239の処理と同様であるので、当該ステップS697〜ステップS707についての詳しい説明は省略する。そして、ステップS707の実行をもって、一連の調整モードタスクを終了する。
【0279】
一方、それぞれのユニット14側のCPU194は、調整モードにおいて、上述の図17と同様の対調整モードタスクを実行する。従って、ここでは、この対調整モードタスクについての詳しい説明を省略する。
【0280】
そして、稼動モードが選択されると、コントローラ36側のCPU360は、上述の図18および図19と同様の稼動モードタスクを実行する。この稼動モードタスクについても、詳しい説明を省略する。また、この稼動モードタスクにおいては、上述の図20と同様のタイミング制御タスク、および図21と同様のデータ取得タスクも、実行される。
【0281】
一方、それぞれのユニット14側のCPU194は、稼動モードにおいて、図38に示す対稼動モードタスクを実行する。即ち、まず、ステップS711において、コントローラ36から係数a[n],b[n],c[n]およびd[n](厳密にはこれらを表すデータ)が送られてくるのを待つ。そして、これらの係数a[n],b[n],c[n]およびd[n]を受信すると、ステップS713に進み、受信した係数a[n],b[n],c[n]およびd[n]をメモリ202に記憶する。
【0282】
さらに、CPU194は、ステップS715において、コントローラ36からパラメータ(有効化されたパラメータ)が送られてくるのを待つ。そして、パラメータを受信すると、ステップS717に進み、受信したパラメータをメモリ202に記憶した後、ステップS719に進む。
【0283】
ステップS719において、CPU194は、次の数53に基づいて上述の閾値Wb[n]’を算出する。そして、算出した閾値Wb[n]’をメモリ202に記憶する。
【0284】
【数53】

【0285】
ステップS719の実行後、CPU194は、ステップS721〜ステップS739を実行する。これらのステップS721〜ステップS739の処理は、上述の図22におけるステップS359〜ステップS377の処理と同様であるので、当該ステップS721〜ステップS739についての詳細な説明は省略する。ただし、ステップS723において開始される誤差算出式切換タスクにおいては、次のような処理が実行される。
【0286】
即ち、図39を参照して、誤差算出式切換タスクにおいては、CPU194は、まず、ステップS741で、自身(厳密には当該CPU194を有するユニット14)が零点計測開始位置Pzに到達したか否かを判断する。そして、零点計測開始位置Pzに到達したと判断すると、ステップS743に進み、上述した数38で表される零点計測時用の誤差算出式を有効化する。
【0287】
このステップS743の実行後、CPU194は、ステップS745に進み、自身が風袋計測開始位置Pr[n]に到達したか否かを判断する。そして、風袋計測開始位置Prに到達すると、ステップS747に進み、今度は、上述した数40で表される風袋計測時用の誤差算出式を有効化する。そして、このステップS747の実行後、ステップS749に進む。
【0288】
ステップS749において、CPU194は、現在の飲料の充填重量が上述の閾値Wb[n]’に到達したか否かを判断する。この判断は、次の数54が成立したか否かに基づいて行われる。
【0289】
【数54】

【0290】
そして、現在の飲料の充填重量が閾値Wb[n]’に到達すると、ステップS751に進み、上述した数42で表される供給停止時用の誤差算出式を有効化する。そして、このステップS751の実行後、さらにステップS753に進む。
【0291】
ステップS753において、CPU194は、現在の飲料の充填重量が供給停止重量Wb[n]に到達したか否かを判断する。つまり、上述した数5が成立したか否かを判断する。そして、この数5が成立すると、ステップS755に進み、上述した所定時間Tw’を計測するためのタイマをリセットし、即スタートさせた後、ステップS757に進む。
【0292】
ステップS757において、CPU194は、所定時間Tw’が経過したか否かを判断する。そして、当該所定時間Tw’が経過すると、ステップS759に進み、上述の数44で表される最終計測時用の誤差算出式を有効化する。そして、このステップS759の実行後、ステップS741に戻る。
【0293】
なお、図38(対稼動モードタスク)におけるステップS725で開始される補正タスクについては、上述の図24に示すのと同様であるので、ここでは詳しい説明を省略する。また、図38におけるステップS727で開始される充填タスクについても、上述の図25および図26に示すのと同様であるので、詳しい説明を省略する。
【0294】
このように、本実施形態によれば、真の荷重Wy[n]’を正確に求めることが必要とされる零点計測時,風袋計測時,飲料の供給停止時および最終計測時のそれぞれにおいて、各々に適した係数a[n],b[n],c[n]およびd[n]に基づいて誤差補正が成される。そして、この誤差補正の対象には、遠心力Fc[n]の垂直分力Fc[n]’による誤差成分We2[n]のみならず、容器12の形状に起因する誤差成分We1[n]も含まれる。従って、上述した従来技術とは異なり、容器12の形状に関係なく常に正確な誤差補正を行うことができ、ひいては常に正確な定量充填を行うことができる。
【0295】
なお、この実施形態では、風袋計測時においても誤差補正を行うこととしたが、それぞれのユニット14にセットされた容器12が規格通りのものであるか否かを判断する必要のない場合には、当該風袋計測時においての誤差補正は省略してもよい。
【0296】
また、図29〜図39に示す各フローチャートは、飽くまで一例であって、この実施形態で説明したのと同様の作用および効果が得られるのであれば、これ以外の手順を採用してもよい。
【符号の説明】
【0297】
10 回転式重量充填装置
12 容器
14 ユニット
16 載置台
18 計量機
24 回転台
180 ロードセル
194 CPU
196 補正回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器が載置される計量手段を備え、該計量手段ごと該容器を回転移動させながら該計量手段から出力される計量信号に基づいて一定重量分の被計量物を該容器に供給する回転式重量充填装置において、
上記計量信号に含まれかつ上記容器が上記計量手段ごと回転移動することによって生じる該容器に対する空気抵抗力の垂直分力による第1誤差成分と該計量手段に対する遠心力の垂直分力による第2誤差成分とを補正する補正手段を、具備し、
上記補正手段は上記計量手段が回転移動している最中の予め定められた時点に対応する係数と該計量手段の移動速度とに基づいて該時点における補正を行うこと、
を特徴とする、回転式重量充填装置。
【請求項2】
複数の上記時点が予め定められており、
上記補正手段は上記複数の時点それぞれに対応する上記係数と上記計量手段の移動速度とに基づいて該複数の時点それぞれにおける補正を行う、
請求項1に記載の回転式重量充填装置。
【請求項3】
上記複数の時点の1つは上記計量手段に上記容器が載置されておりかつ該容器に上記被計量物が供給される前の風袋計測時である、
請求項2に記載の回転式重量充填装置。
【請求項4】
上記複数の時点の1つは上記容器に供給された上記被計量物の重量が上記一定重量よりも小さい所定の供給停止重量に達する供給停止時である、
請求項2に記載の回転式重量充填装置。
【請求項5】
上記複数の時点の1つは上記容器に供給された上記一定重量分の上記被計量物の最終的な重量を測定する最終計測時である、
請求項2に記載の回転式重量充填装置。
【請求項6】
容器が載置された計量手段ごと該容器を回転移動させながら該計量手段から出力される計量信号に基づいて一定重量分の被計量物を該容器に供給する回転式重量充填方法において、
上記計量信号に含まれかつ上記容器が上記計量手段ごと回転移動することによって生じる該容器に対する空気抵抗力の垂直分力による第1誤差成分と該計量手段に対する遠心力の垂直分力による第2誤差成分とを補正する補正過程を、具備し、
上記補正過程では上記計量手段が回転移動している最中の予め定められた時点に対応する係数と該計量手段の移動速度とに基づいて該時点における補正を行うこと、
を特徴とする、回転式重量充填方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【公開番号】特開2010−243499(P2010−243499A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−130024(P2010−130024)
【出願日】平成22年6月7日(2010.6.7)
【分割の表示】特願2004−82331(P2004−82331)の分割
【原出願日】平成16年3月22日(2004.3.22)
【出願人】(000208444)大和製衡株式会社 (535)
【Fターム(参考)】