説明

回転搾乳プラットホームの乳首カップを自動的に浄化するための装置

【課題】 回転搾乳プラットホーム(2)の乳首カップ(7)を自動的に浄化するための装置を提供する。
【解決手段】 プラットホーム(2)は、乳首カップ(7)を備えた複数の搾乳房(3)を含む。この装置は、プラットホーム(2)の側方に配置された浄化装置(10)を含み、この浄化装置(10)は、搾乳房内の少なくとも乳首カップ(7)を浄化するのに適合されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転搾乳プラットホームの乳首カップを自動的に浄化するための装置であって、プラットホームが乳首カップを備えた複数の搾乳房を含む装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常の回転搾乳室では、乳牛は環状回転プラットホーム上を歩いて搾乳房に入る。環状プラットホームの外側または内側に位置される操作者または搾乳ロボットが、乳首カップを乳牛の乳首に取り付ける。プラットホームは通常、一定の低速度で連続的に回転する。搾乳工程が完了したとき、除去装置は乳首カップを乳牛から除去し、それらを駐留位置に動かす。搾乳された乳牛は、その後、搾乳房及びプラットホームを離れる。
【0003】
通常、回転搾乳プラットホーム上の各搾乳房は、乳首カップが使用されていないときの駐留位置に乳首カップを保持する貯蔵装置、及び搾乳工程間にプラットホーム上で駐留された乳首カップを洗浄及び/または浄化する浄化装置を備えている。しかし、HBR(杉綾回転)タイプの大きな回転搾乳プラットホームは40房の搾乳房まで持つことができ、PR(平行回転)タイプの大きな回転搾乳プラットホームは100房の搾乳房まで持つことができる。それにより、浄化装置のための費用は比較的高い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、回転搾乳プラットホーム上の乳首カップを比較的安価な浄化装置で効果的な態様で浄化することを可能にする装置を達成することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、冒頭に規定された装置であって、搾乳房内の少なくとも乳首カップを浄化するのに適合されているプラットホームの側方に配置された浄化装置を含むことを特徴とする装置によって達成される。従って、浄化装置はプラットホームのそばに配置され、それはプラットホームのいずれの部分にも取り付けられていない。浄化装置は、乳首カップが浄化装置に接近した位置に到達するときに貯蔵装置内の乳首カップを浄化することができるような位置でプラットホームの側方に配置される。かかる浄化装置により回転搾乳プラットホームの全ての乳首カップを浄化することができる。それにより、かかる浄化装置のための費用は、プラットホーム上の各搾乳房内の別個の浄化装置のための費用よりかなり低い。
【0006】
本発明の一実施態様によれば、この装置は、乳首カップが使用されていないときにそれらを貯蔵位置内に保持するのに適合された貯蔵装置を含むことができる。一つの貯蔵装置が各搾乳房内に配置されることができる。浄化装置は、プラットホームが予め決められた回転位置に到達したときに搾乳房内の乳首カップを浄化するように適合されることができる。好ましくは、この予め決められた回転位置は、動物が搾乳房を離れる回転位置及び新しい動物が搾乳位置に入る回転位置の付近に位置される。この場合、浄化装置は、回転プラットホーム上の搾乳房内の二つの搾乳工程間の乳首カップを浄化する。浄化装置は、プラットホームの回転中にまたはプラットホームが停止されたときに乳首カップを浄化することができる。
【0007】
本発明の好適な実施態様によれば、浄化装置は少なくとも一つの出口開口を含み、それを通して浄化媒体が乳首カップに供給される。浄化装置の出口開口は、プラットホームが予め決められた回転位置に到達するときに浄化装置が乳首カップに浄化媒体を供給することができるようにプラットホームの側方のある位置を持つことができる。浄化媒体は、出口開口から一つまたは複数のジェットの形で乳首カップに供給されることができる。浄化媒体は水、洗剤入りの水または任意の種類の浄化媒体であることができる。この装置は、浄化装置が浄化媒体を出口開口から乳首カップに供給することができる浄化位置への浄化装置及び/または乳首カップの位置決めを与えるのに適合された位置決め手段を含むことができる。浄化工程が開始される前に、浄化装置及び乳首カップを好都合な浄化位置に位置決めするために浄化装置と乳首カップの間の位置決め運動を実施するいずれかの形の位置決め手段を多数回使用することが必要である。
【0008】
本発明の好適な実施態様によれば、浄化装置は、浄化媒体が乳首カップに供給される出口開口を備えた可動部を含み、位置決め手段は、乳首カップに対する浄化装置の可動部の位置決めを提供するのに適合されている。位置決め手段は、浄化装置の可動部をプラットホームの側方の不活動位置からそれがプラットホームの上で乳首カップに向けて延びる活動位置に動かすのに適合されることができる。かかる浄化装置により、出口開口を乳首カップに対して好都合な浄化位置に動かすことができる。
【0009】
本発明の代替実施態様によれば、貯蔵装置は、乳首カップを保持する可動部を含み、位置決め手段は、浄化装置に対する貯蔵装置の可動部の位置決めを提供するのに適合されている。位置決め手段は、貯蔵装置の可動部をプラットホーム上の通常の位置からそれがプラットホームから浄化装置に向けて延び出す位置に動かすのに適合されることができる。かかる貯蔵装置により、乳首カップを浄化装置に対して好都合な浄化位置に動かすことができる。
【0010】
本発明の一実施態様によれば、位置決め手段は、浄化位置への浄化装置及び/または乳首カップの位置決めを提供するように適合された少なくとも一つのシリンダー部材を含む。かかるシリンダー部材は水圧シリンダー、空気圧シリンダーまたは電気シリンダーであることができる。好ましくは、位置決め手段は、浄化位置への浄化装置及び/または乳首カップの位置決めを制御するのに適合された制御装置を含む。かかる制御装置は、浄化位置への浄化装置及び/または乳首カップの位置決めを制御するのに適合されたソフトウエアを備えたコンピュータ等であることができる。
【0011】
本発明のさらなる実施態様によれば、位置決め手段は、浄化装置及び/または乳首カップを位置決め時に浄化位置に案内するのに適合された案内表面を含む。浄化位置への浄化装置及び/または乳首カップの位置決めは高精度で多数回実施されなければならない。かかる案内表面の使用は、乳首カップ及び浄化装置の初めの位置が時々いくらか異なっていても高精度で位置決めを実施することを可能にする。
【0012】
本発明の一実施態様によれば、浄化装置は、浄化媒体を乳首カップの外表面に供給するのに適合されることができる。この場合、浄化装置は、貯蔵装置内の乳首カップの外表面に水ジェットを供給することができる。浄化装置は、浄化媒体を乳首カップの内表面に供給するのに適合されることができる。この場合、浄化装置は、浄化媒体のための少なくとも一つの出口開口を備えた棒部材を含むことができ、そこでは位置決め手段は、乳首カップの内部空間の内側の浄化位置に棒部材を導入するのに適合される。好ましくは、浄化装置は各乳首カップのための棒部材を含む。浄化媒体は乳首カップの内部表面に好適な数の出口開口を通して供給されることができる。浄化装置は、乳首カップの内表面及び外表面の両方を浄化するのに適合されることができる。
【0013】
本発明の一実施態様によれば、浄化装置は、浄化装置が浄化媒体を乳首カップ及びそれぞれの搾乳房内の少なくとも一つの連結された乳導管を含む閉じられた乳導管回路中に供給することができるように搾乳房内の乳導管に取り外し可能に連結されるのに適合された結合部材を含むことができる。棒部材が乳首カップ中に導入されると同時に、この結合部材は前記乳導管に連結されることができる。それにより、乳首カップ中に供給された浄化媒体のための閉じられた回路を作ることができる。この場合、供給された浄化液体は、それが前記結合部材を介して浄化装置に流し戻される前に乳首カップに連結された少なくとも一つの乳導管を通して流れる。浄化装置は、浄化媒体を予め決められた時間、閉じられた回路内で循環することができる。それにより、乳首カップの内表面及び連結された乳導管の内表面が非常に効果的な浄化を得る。搾乳房内の乳首カップ及び乳導管のかかる浄化工程は、動物が搾乳されると同時にプラットホーム上の他の搾乳房内で実施されることができる。
【0014】
本発明のさらなる実施態様によれば、この装置はプラットホームに対する浄化装置の動きを提供するのに適合された補償手段を含み、それは乳首カップの浄化工程時の浄化装置とプラットホームの間の相対的動きを補償する。この場合、浄化装置は、プラットホームと同じ速度を持つレール部材等に沿って動かされることができる。補償手段は、浄化装置及び貯蔵装置を浄化位置で互いに対して固定位置に錠止するのに適合された錠止部材を含むことができる。かかる錠止装置は、乳首カップの浄化工程時に浄化装置が回転プラットホームと共に動かされるのを可能にする。それにより、浄化工程時にプラットホームを停止する必要がない。
【0015】
本発明の一実施態様によれば、浄化装置は、プラットホームの外縁部の半径方向外側に配置されることができる。動物が回転プラットホーム上の搾乳房内にそれらの後部をプラットホームの外縁部に位置させて立つとき、貯蔵装置をプラットホームの外縁部の付近に配置するのが好適である。この場合、回転プラットホーム上の貯蔵装置とプラットホームの側方の浄化装置の間の距離が乳首カップが浄化されるときに比較的小さいように浄化装置をプラットホームの外縁部の半径方向外側に配置するのが好適である。これに代えて、浄化装置は、プラットホームの内縁部の半径方法内側に配置される。動物が回転プラットホーム上の搾乳房内にそれらの後部をプラットホームの内縁部に位置させて立つとき、貯蔵装置をプラットホームの内縁部の近くに配置するのが好適である。この場合、回転プラットホーム上の貯蔵装置とプラットホームの側方の浄化装置の間の距離が乳首カップが浄化されるときに小さいように浄化装置をプラットホームの内縁部の半径方向内側に配置するのが好適である。
【0016】
本発明は、例としてかつ添付図面を参照して開示されている好適な実施態様により詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、乳首カップを浄化するための装置を備えた回転搾乳プラットホームを示す。
【0018】
【図2】図2は、非活動位置の図1の浄化装置を示す。
【0019】
【図3】図3は、活動位置の図1の浄化装置を示す。
【0020】
【図4】図4は、図1の浄化装置と貯蔵装置の透視図を示す。
【0021】
【図5】図5は、第二実施態様の浄化装置の透視図を示す。
【0022】
【図6】図6は、乳首カップを浄化するための代替的装置を備えた回転搾乳プラットホームを示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、乳牛1の搾乳のための搾乳装置を示す。搾乳装置は、内縁部2aと外縁部2bを持つ回転環状プラットホーム2を含む。プラットホーム2は操作時に垂直軸2cの周りに回転する。プラットホーム2は、乳牛1のための支持表面を形成する上表面を持つ。複数の柵装置4がプラットホーム2の上表面上に配置されている。柵装置4は、予め決められた搾乳位置で個々の乳牛1を受け入れるための搾乳房3を形成する。この場合、柵装置4は、プラットホームの内縁部2aの付近に位置する内端とプラットホームの外縁部2bの付近に位置する外端の間のプラットホーム2上に本質的に直線的な半径方向延長部を持つ。柵装置4は、環状プラットホーム2の周りに等しい間隔で配置される。外部柵装置5がプラットホーム2の外周の主要部の周りに取り付けられている。外部柵装置5の目的は、搾乳房3内の乳牛1が後方に歩いたり、搾乳工程時にプラットホーム2から歩み出るのを防ぐことである。
【0024】
各搾乳房3は、プラットホームの内周2aの付近に配置された給飼おけ6を備えている。各搾乳房3はまた、それぞれの搾乳房3内に立つ乳牛1の乳首に取り付けられる搾乳部材を備えている。この場合、搾乳部材は四つの別個の乳首カップ7を含む。各乳首カップ7は乳導管7a及び脈動導管7bを備えている。各搾乳房3は、不使用時に乳首カップ7を駐留位置に保持するのに適合された貯蔵装置8を含む。ロボット腕9のベース部9aは、プラットホーム2の外縁部2bの外側の位置に配置される。浄化装置10は、プラットホーム2の外縁部2bの外側の位置に配置される。
【0025】
制御装置11は、プラットホーム2の駆動のための概略的に示された駆動機構12を制御するのに適合されている。駆動機構12は駆動ホイール機構を含むことができ、それはプラットホーム2の下側の円形レールと接触して配置される。位置センサ13は、プラットホーム2の回転位置を感知しかつ制御装置11にプラットホーム2の実際の位置についての信号を送るのに適合されている。搾乳装置はプラットホーム2への入口通路14を含む。入口通路14は検出センサ15及び可動門16を備えている。出口領域17はプラットホーム2に関連して配置されている。出口領域17は、乳牛1がプラットホーム2を離れるときに乳牛1により入れられる。
【0026】
もし乳牛1が搾乳されることを望んだら、乳牛は、回転プラットホーム2に通ずる入口通路14に歩く。入口通路14は、一時にただ一頭の乳牛1が通路14の前方位置に位置されることができるような幅を持つ。検出センサ15は、乳牛1が通路14の前方位置に到着するときを検出しかつこの情報を持つ信号を制御装置11に送る。ある場合には、検出センサ15は、乳牛1の同一性を感知する識別センサであることができる。門16は、乳牛1が入口通路14の前方位置に到着するときに閉じた位置にある。制御装置11は、位置センサ13からプラットホーム2の実際の回転位置についての情報を実質的に連続的に受ける。搾乳房3が門16のちょうど前方の第1回転位置Pに到着するとき、制御装置11は門16を開き、乳牛1はプラットホーム2に入る。
【0027】
門16は、乳牛1の全体が搾乳房3の内側にあるとすぐにその閉鎖位置に動かされる。給飼おけ6は、乳牛1を誘引しかつ搾乳房3中の乳牛1の位置決めを容易にする。給飼おけ6は可動的に配置されることができる。給飼おけ6を好適な位置に設置することにより、搾乳房3内の乳牛1の位置を希望の搾乳位置に調整することができる。この場合、乳牛1は、乳牛の縦軸1aがプラットホーム2上の乳牛1の移動方向1bに対し約90度の角度を形成するようにプラットホーム2上の搾乳房3内に配置される。プラットホーム2はPR(平行回転)タイプのものである。ここでは乳牛1はプラットホーム2上の半径方向にそれらの頭をプラットホーム2の内縁部2aに位置させて立ち、乳牛1の後方部はプラットホーム2の外縁部2bに位置されるであろう。
【0028】
乳牛1を持つ搾乳房3が第2回転位置Pに回転されたとき、ロボット腕9が起動され、それは貯蔵装置8から乳首カップ7を取って来てそれらを乳牛1に取り付ける。プラットホーム2は、ロボット腕9がプラットホーム2上の乳牛1と、乳首カップ7を乳牛1に取り付ける工程中のロボット腕9との間の相対運動を補償するのに問題のないような遅い速度で駆動される。乳計量器(図示せず)は搾乳工程時の乳の流量を管理する。乳の流量が予め決められた値以下に落ちるとすぐに、除去装置(図示せず)が乳牛1の乳首から乳首カップ7を除去する。搾乳工程はプラットホーム2上の略一回転中に進む。もし乳首カップ7が早く除去されなかったら、それらは、搾乳房3が13番目の回転位置P13に到着するときに少なくとも除去される。13番目の回転位置P13では、処理供給装置は、消毒媒体または別の種類の処理媒体を乳首カップ7が除去された後の乳牛1の乳首に噴霧することができる。最後に、搾乳房3が14番目の回転位置P14に到着するとき、乳牛1は搾乳房3を離れ、出口領域17に入る。14番目の回転位置P14では、浄化装置10が起動され、それは貯蔵装置8内の乳首カップ7の浄化工程を実施する。かかる浄化工程は各搾乳工程後に実施されるであろう。これに代えて、それは、予め決められた間隔でまたは搾乳工程中に悪い乳が検出されたときに実施されるであろう。その後、搾乳房3は、再度第1回転位置Pに回転され、新しい乳牛1を受ける準備がなされるであろう。
【0029】
図2及び3は、浄化装置10をより詳細に示す。浄化装置10は静止部18と可動部19を含む。静止部18は、回転プラットホーム2の外縁部2bの半径方向外側の位置に地面20上に配置される。静止部18は、枠構造18bの上部に配置された箱形状部18aを含む。浄化装置10の可動部19は、図2に示された折りたたまれた位置と、図3に示された折りたたみを開いた位置との間で可動的に配置される。第一シリンダー部材23は、可動部19を前記位置間で動かすのに適合されている。箱形状部18aは壁部内に二つの長い案内経路24を含む。可動部19の案内部材25は、案内経路24に沿ってスライドまたはころがされるのに適合されている。可動部19は水平管状部材26を含む。管状部材26は導管27を介して浄化液タンク28に連結されている。浄化液は水、洗剤入りの水またはいずれかの別の種類の浄化液であることができる。ポンプ29は、浄化液タンク28から管状部材26に浄化液をポンプ輸送するのに適合されている。
【0030】
四つの垂直棒部材30が管状部材26の上側に配置されている。各棒部材30は、浄化液のための複数の出口開口30aを持つ内部通路を含む。棒部材30は上部に先細り形状部を含み、下部に受け部材31を含む。管状部材26は、垂直要素32にスライド可能に連結された端部を含む。第二シリンダー部材33は、管状部材26を垂直要素32に沿って垂直方向に動かすのに適合されている。垂直要素32は、可動部19の実質的にU形状の上部34に連結されている。上部34は上部に案内板34aを含む。上部34は可動部19の枠部材35上に弾性部材36により配置されている。
【0031】
図4は浄化装置10及び貯蔵装置8を示す。貯蔵装置8は、搾乳房3内の静止部材38に連結された後壁要素37を含む。貯蔵装置8は、乳首カップ7のための駐留表面を形成する下方表面を持つ駐留要素39を含む。駐留表面は下向きに向いている。乳導管7a及び脈動導管7bに連結された乳首カップ7の端部は、駐留要素39の駐留表面上に配置されるのに適合されている。従って、乳首カップ7の内部空間への開口は駐留位置では下向きを向いている。駐留要素39の各駐留表面は乳首カップ7の乳導管7a及び脈動導管7bのための貫通穴を備えている。図示されていない引き込みシリンダー等が貯蔵装置8の上の位置に配置されている。各乳首カップ1のために一つの引き込みシリンダーが使用されることができる。引き込みシリンダーは、搾乳工程が完了したとき、乳首カップ7が乳牛の乳首から除去されかつ駐留要素39の駐留表面に引き込まれるように、乳導管7a内に引張り力を提供するのに適合されている。貯蔵装置8は、後壁要素37上に配置された位置決め要素40を含む。位置決め要素40は、乳首カップ7が次いで貯蔵装置8内に駐留されるときに乳首カップ7の外部凸状表面を受けるのに適合された凹所を含むことができる。
【0032】
搾乳房3が14番目の回転位置P14に到着したとき、乳牛1は搾乳房3を離れる。制御装置11は、搾乳房3内の乳首カップ7が浄化されなければならないかどうかを決定する。もし乳首カップ7が浄化されなければならないなら、制御装置11は、貯蔵装置8が浄化装置10のちょうど前方にある回転位置でプラットホーム2の回転を停止する。この場合、プラットホーム2は、搾乳房3が14番目の回転位置P14にあるときに停止される。その後、第一シリンダー部材23が可動部19を図2に示された折りたたまれた位置から、図3及び4に示された折りたたみを開いた位置に動かすように制御装置11が第一シリンダー部材23を起動する。第一シリンダー部材23は、案内経路24により規定された方向に可動部19を動かす。初めに、第一シリンダー部材23は可動部19を実質的に水平方向にプラットホーム2の上に出るまで動かす。この動きの終りに、案内経路24は可動部19を斜め上向き方向に動かす。この斜め上向きの動き中に、可動部19の案内板34aは駐留要素39の下方縁表面と接触する。上部34は弾性部材36により枠部材35に対して一定の可動性を持つ。従って、案内板34aは浄化装置10の上部34の位置を貯蔵装置8の駐留要素39に対して希望の位置に調整することができる。同時に、管状部材26は、貯蔵装置8内の乳首カップ7に対して希望の位置に高精度で動かされるであろう。図4は、この位置の管状部材26を示す。管状部材26上の棒部材30は、ここでは貯蔵装置8内のそれぞれの乳首カップ7の下に垂直に位置される。
【0033】
制御装置11は、第二シリンダー部材33が管状部材26及び棒部材30を垂直方向上向きに動かすように第二シリンダー部材33を起動する。棒部材30は、乳首カップ7の開口を通してかつ乳首カップ7の内部空間中に動かされる。棒部材30の上部の先細り部は案内表面を形成し、それは棒部材30の内部空間中への乳首カップ7の導入を容易にする。上向き垂直運動は棒部材30の受け部材31が乳首カップ7と接触するときに終わる。棒部材30は今や乳首カップ7に対して浄化位置にある。制御装置11は、浄化液が浄化液タンク28から導管27及び管状部材26を介して棒部材30の内部流路にポンプ輸送されるようにポンプ29を起動する。棒部材30の内部流路内の浄化液は複数の出口開口30aを通して流出する。浄化液は、乳首カップ7の内部空間を形成する表面に到達する。供給された浄化液は乳首カップ7の内部表面から乳残留物を除去する。予め決められた量の浄化液が乳首カップ7に供給されたとき、ポンプ29が停止される。制御装置11は、第二シリンダー部材33が管状部材26及び棒部材30を下向きに動かすように第二シリンダー部材33を起動する。管状部材26が下方端位置に到達したとき、第一シリンダー部材23が起動される。第一シリンダー部材23は、可動部19を折りたたみを開いた位置から折りたたまれた位置に戻すように動かす。可動部が折りたたまれた位置になるとすぐに、制御装置11は駆動機構12を起動し、プラットホーム2の回転運動が再開される。
【0034】
図5は、乳首カップ7の浄化工程を実施するためのかつ搾乳房3内の搾乳導管に連結された代替的浄化装置10を示す。乳首カップ7は、ここでは概略的に開示された貯蔵装置8内の貯蔵位置に配置されている。それぞれの乳首カップ7の乳導管7aは共通乳導管45に連結されている。共通乳導管45は、搾乳房3内の乳首カップ7からの乳を、弁46を介して、プラットホーム2上の全ての搾乳房3のための共通乳ライン47に運ぶのに適合されている。弁46は搾乳位置及び浄化位置に設定されることができる。戻り導管48が弁46に連結されている。戻り導管48は一端にじょうご形状部48aを含む。浄化装置10は、変位可能な管状結合部材54を備えた導管53を含む。管状結合部材54は、戻り導管48のじょうご形状部48aの内部表面に対して補完形状を持つ前方部を持つ。シリンダー55は、管状結合部材54がじょうご形状部48aに連結されていない引き込み位置と、それがじょうご形状部48aに連結されている突出位置の間で管状結合部材54を変位するのに適合されている。
【0035】
この場合、浄化装置は、消毒剤または洗剤のような追加の媒体を持つ追加のタンク49を含む。追加の媒体は弁50により導管27に供給される。追加のタンク49からの追加の媒体を導管27内の浄化液に希望の量で供給することにより代替浄化工程を実施することができる。ボイラー51は、浄化液タンク28内の浄化液と接触して配置されている。このボイラーの目的は、タンク27内の浄化液を希望の温度に加熱することである。タンク28内の浄化液は弁52により導管27に供給される。制御装置11は、シリンダー55により弁46,50,52、ボイラー51及び管状結合部材54の動きを制御するのに適合されている。
【0036】
搾乳房3内の乳首カップ7及び乳導管の浄化工程が実施されなければならないとき、浄化装置10の可動部19は棒部材30を乳首カップ7中に動かす。実質的に同時に、制御装置11は、シリンダー55が管状結合部材54を戻り導管48のじょうご形状部48aと係合して変位するようにシリンダー55を起動する。管状結合部材54の前方部の円錐形状表面は、管状結合部材54が戻り導管48のじょうご形状部48aに対して正しい結合位置に変位されることを保証する。じょうご形状部48a及び/または結合部材54の前方部は、結合位置の前記要素間に良好な封止が得られるようにゴム材料を含むことができる。
【0037】
さらに、制御装置11は、浄化液が導管27に供給されるように、弁46を浄化位置に設定し、ポンプ29を起動しかつ弁52を開く。ポンプ29は浄化液を導管27から乳首カップ7に管状部材26及び棒部材30を介して運ぶ。この場合、ポンプ29は、浄化液がそれぞれの乳首カップ7の乳導管7aを通して上に流れるような圧力で浄化液を運ぶ。その後、浄化液は共通乳導管45中に及び弁46に流れる。弁46は浄化位置にあるので、それは浄化液を共通導管45から戻り導管48中に向ける。浄化液は、じょうご形状部48a及び連結された管状結合部材54を通して導管53に流れ、導管27に流し戻される。浄化液は、予め決められた時間の間、この閉鎖導管回路内を循環することができる。浄化工程が完了したとき、制御装置11は、シリンダー55が管状結合部材54をじょうご形状部48との係合から変位して引き込み位置に戻されるようにシリンダー55を起動する。同時に、可動部19は、折りたたまれた位置に戻るように動かされる。搾乳房3内の乳首カップ7及び乳導管7a、27,45,48,53のこの浄化工程は、乳牛1がプラットホーム2上の他の搾乳房3内で搾乳されると同時に実施される。
【0038】
図6は、環状回転プラットホーム2を含む代替的搾乳装置の一部を示す。回転プラットホーム2は、プラットホーム2を予め決められた搾乳位置内の個々の乳牛1を受けるための搾乳房3に分割する回転可能柵装置4を含む。回転可能柵部材4の使用により、乳牛1をプラットホーム2上に一緒に非常に接近して位置することができる。各柵装置4は給飼おけ6を担持する。この場合、乳牛1は、それぞれの乳牛の縦軸1aがプラットホーム2上の乳牛1の移動方向1bに対して90度未満の角度を形成するようにプラットホーム2上に配置される。プラットホーム2はHBR(杉綾回転)タイプのものである。乳牛1はプラットホーム2上に杉綾模様で配置される。乳牛1の頭は、ここでは乳牛1が外向きに面するようにプラットホーム2の外縁部2bにある。
【0039】
乳牛1のための入口通路14及び出口領域17は、プラットホーム2の外縁部2bに互いに隣接して位置されている。搾乳ロボット腕9は、ここではプラットホーム2の内縁部2aの内側の位置に配置される。乳首カップ7のための貯蔵装置8は、プラットホーム2の内縁部2aの近くの各搾乳房3内に配置されている。この場合、貯蔵装置8は、駐留された乳首カップ7を保持する可動部8aを含む。貯蔵装置8は、プラットホーム2上の搾乳位置の乳牛1の一方側にかつ隣接搾位置に立つ乳牛1の後ろに位置する空間内に配置される。乳牛1がプラットホーム2上に杉綾模様で配置されるとき、上述の空間は通常空になっている。従って、この空間を貯蔵装置8のために使用することは適している。この場合、浄化装置10は、プラットホーム2の内縁部2aの内側の位置に配置される。乳牛1は、それらがプラットホーム2上の最後の回転位置Pにあるときに搾乳房3を離れる。浄化装置10は、搾乳房3が最後の回転位置Pにあるときに搾乳装置3の実質的に半径方向内側に位置される。概略的に開示された錠止部材42は、貯蔵装置8の可動部8a及び乳首カップ7の浄化工程時の浄化装置10を一緒に解放可能に錠止するのに適合されている。それにより、浄化装置10は浄化工程時にレール部材43に沿って可動的に配置される。これに代えて、浄化装置10は、浄化工程時にいずれの錠止部材42もなしにレール部材43に沿って独立して駆動されることができる。この場合、プラットホーム2上に乳首カップ7と対応する動きを可動浄化装置10に提供する補償手段が使用される。
【0040】
搾乳プラットホーム2の作動時に、乳牛1は入口通路14に歩く。乳牛1は、搾乳房3が第一回転位置Pにあるときにプラットホーム2上の搾乳房3に入る。搾乳ロボット9は、搾乳房3が第二回転位置Pにあるときに乳首カップ7を乳牛1に取り付ける。乳首カップ7は、搾乳工程が完了したときに乳牛から除去される。乳牛1は、搾乳房3が最後の回転位置Pに到達するときにプラットホーム2を離れる。制御装置11は、搾乳房3内の乳首カップ7が浄化されなければならないかどうかを決定する。もし乳首カップ7が浄化されなければならないなら、制御装置11は、貯蔵装置8の可動部8aをそれが乳首カップ7をプラットホーム2の上に保持する通常の位置から、それが乳首カップ7をプラットホーム2の半径方向内側に位置された位置に保持する浄化位置に動かすシリンダー部材44を起動する。可動部8aは旋回可能またはスライド可能な腕等を含むことができる。可動部8aは乳首カップ7を浄化装置10に接近した浄化位置2に動かす。乳首カップ7が浄化位置に動かされるとすぐに、制御装置11が錠止装置42を起動する。錠止部材42は、貯蔵装置8の可動部8aを浄化装置10に対して固定位置に錠止する。その後、制御装置11は、浄化液が浄化装置10から乳首カップ7に供給されるように浄化装置10を起動する。浄化液は乳首カップ7の内部表面及び/または乳首カップ7の外部表面に供給されることができる。錠止部材42は、回転運動をプラットホーム2から貯蔵装置8の可動部8aを介して浄化装置10に伝達する。それにより、浄化装置10は、乳首カップ7の浄化工程時にレール部材43に沿ってプラットホーム2と共に動かされる。この場合、乳首カップ7の浄化工程時にプラットホーム2の回転運動を停止する必要はない。
【0041】
予め決められた量の浄化液が乳首カップ7に供給されたとき、制御装置11は乳首カップ7への液体供給を停止する。錠止部材42は貯蔵装置8の可動部8aを浄化装置10から解放する。制御装置11はシリンダー部材44を起動し、それは貯蔵装置8の可動部8aをプラットホーム2上の通常の位置に動き戻す。この場合、四つの浄化された乳首カップは、搾乳房3がプラットホーム2上の第一回転位置Pに到達したときに貯蔵装置8内に駐留される。浄化装置10は、続く搾乳房3がプラットホーム2上の最後の回転位置Pに到達する前にレール部材43上で初めの位置に動き戻される。浄化装置10は、プラットホーム2が予め決められた回転位置にあるときに貯蔵装置8内の乳首カップ7を浄化する。予め決められた回転位置は、乳牛1が搾乳位置を離れる最後の回転位置Pと、新しい乳牛1が搾乳房3に入る第一回転位置Pの間に位置される。
【0042】
本発明は、述べられた実施態様に限定されず、しかも請求項の範囲内で自由に変更されることができる。浄化装置及び貯蔵装置は、実質的に任意であるが機能的な設計を持つことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転搾乳プラットホーム(2)の乳首カップ(7)を自動的に浄化するための装置であって、プラットホーム(2)が乳首カップ(7)を備えた複数の搾乳房(3)を含むものにおいて、その装置がプラットホーム(2)の側方に配置された浄化装置(10)を含み、この浄化装置(10)が搾乳房(3)内の少なくとも乳首カップ(7)を浄化するのに適合されていることを特徴とする装置。
【請求項2】
装置が、乳首カップ(7)が使用されていないときに乳首カップ(7)を貯蔵位置に保持するのに適合された貯蔵装置(8)を含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
浄化装置(10)が、プラットホーム(2)が予め決められた回転位置に到達したときに搾乳房(3)内の乳首カップ(7)を浄化するのに適合されていることを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
浄化装置(10)が少なくとも一つの出口開口(30a)を含み、それを通して浄化媒体が乳首カップ(7)に供給されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の装置。
【請求項5】
装置が、浄化装置(10)が浄化媒体を出口開口(30a)から乳首カップ(7)に供給することができる浄化位置への浄化装置(10)及び/または乳首カップ(7)の位置決めを提供するのに適合された位置決め手段を含むことを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
浄化装置(10)が出口開口(30a)を備えた可動部(19)を含み、この出口開口(30a)を通して浄化媒体が乳首カップ(7)に供給され、位置決め手段が乳首カップ(7)に対する浄化装置(10)の可動部(10a)の位置決めを提供するのに適合されていることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
貯蔵装置(8)が、乳首カップ(7)を保持する可動部(8a)を含み、位置決め手段が浄化装置(10)に対する貯蔵装置(8)の可動部(8a)の位置決めを提供するのに適合されていることを特徴とする請求項2または5に記載の装置。
【請求項8】
位置決め手段が、浄化位置への浄化装置(10)及び/または乳首カップ(7)の位置決めを提供するのに適合された少なくとも一つのシリンダー部材(23,33,44)を含むことを特徴とする請求項5〜7のいずれか一つに記載の装置。
【請求項9】
位置決め手段が、浄化位置への浄化装置(10)及び/または乳首カップ(7)の位置決めを制御するのに適合された制御装置(11)を含むことを特徴とする請求項5〜8のいずれか一つに記載の装置。
【請求項10】
位置決め手段が、浄化位置への位置決め時に浄化装置(10)及び/または乳首カップ(7)を案内するのに適合された案内表面(34)を含むことを特徴とする請求項5〜9のいずれか一つに記載の装置。
【請求項11】
浄化装置(10)が、浄化媒体を乳首カップ(7)の外表面に供給するのに適合されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一つに記載の装置。
【請求項12】
浄化装置(10)が、浄化媒体を乳首カップ(7)の内表面に供給するのに適合されていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一つに記載の装置。
【請求項13】
浄化装置が、浄化媒体のための少なくとも一つの出口開口(30a)を備えた棒部材(30)を含み、位置決め手段が、乳首カップ(7)の内部空間の内側の浄化位置に棒部材(30)を位置決めするのに適合されていることを特徴とする請求項5または12に記載の装置。
【請求項14】
浄化装置(10)が、浄化装置(10)がそれぞれの搾乳房(3)内の少なくとも一つの連結された乳導管(7a,45,48)及び乳首カップ(7)を含む閉鎖された乳導管回路中に浄化媒体を供給することができるように搾乳房(3)内の乳導管(48)に解放可能に連結されるのに適合された結合部材を含むことを特徴とする請求項12または13に記載の装置。
【請求項15】
装置が、プラットホームに対する浄化装置(10)の運動を提供するのに適合された補償手段(43)を含み、それが乳首カップ(7)の浄化工程時の浄化装置(10)とプラットホーム(2)の間の相対的運動を補償することを特徴とする請求項1〜14のいずれか一つに記載の装置。
【請求項16】
補償手段が、浄化工程時の浄化位置で浄化装置(10)と貯蔵装置(8)を互いに対して固定位置に錠止するのに適合された錠止部材(42)を含むことを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項17】
浄化装置(10)がプラットホーム(2)の外縁部(2b)の半径方向外側に配置されていることを特徴とする請求項1〜16のいずれか一つに記載の装置。
【請求項18】
プラットホーム(2)が環状であること、及び浄化装置(10)がプラットホーム(2)の内縁部(2a)の半径方向内側に配置されていることを特徴とする請求項1〜16のいずれか一つに記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−522497(P2012−522497A)
【公表日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−502601(P2012−502601)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【国際出願番号】PCT/EP2010/054005
【国際公開番号】WO2010/115731
【国際公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(500215931)デラヴァル ホルディング アーベー (13)