回転軸部材及びそれを用いた玩具
【課題】 軸棒及び軸孔を必要とせず、磁着可能面あればどこでも自由且つ安全に被回転体を着脱容易で且つ回転可能にする回転軸部材を用いた回転玩具を提供する。
【解決手段】 磁着可能面に磁着して使用し、被回転体を回転可能とする回転軸部材1であって、被回転体の軸となる任意の箇所に、中空の略半球形状で被回転体の表面から突出した本体部1aと、当該本体部1aの中空部分に内包したマグネットαとからなり、当該略半球形状の本体部1aの頂点が前記磁着可能面に点接触して磁着することにより、当該接触点の磁着可能面と直交するラインを軸芯として被回転体が回転可能となる。
【解決手段】 磁着可能面に磁着して使用し、被回転体を回転可能とする回転軸部材1であって、被回転体の軸となる任意の箇所に、中空の略半球形状で被回転体の表面から突出した本体部1aと、当該本体部1aの中空部分に内包したマグネットαとからなり、当該略半球形状の本体部1aの頂点が前記磁着可能面に点接触して磁着することにより、当該接触点の磁着可能面と直交するラインを軸芯として被回転体が回転可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁着可能面に磁着して使用し、軸棒及び軸孔を必要とせずに被回転体を回転可能とする回転軸部材である。
【背景技術】
【0002】
従来、並列に配置された複数のパネルを夫々回転させて、当該パネルに表示された絵柄を合せるなどして遊ぶ絵合せ玩具や歯車玩具などの被回転体は、被回転体を貫通する軸孔と当該軸孔に軸通して回転体を軸支する軸棒によって回転可能に構築されている。このような絵合せ玩具や歯車玩具などの回転玩具としては、以下のようなものが提供されている。
【0003】
例えば、回転玩具としては、上下に心棒を有するこまを設け、該心棒の上下端にそれぞれ心棒接触板を設けて、当該心棒接触板をこま支持体の適当な箇所に固定して設けたこまの回転装置が提供されている(特許文献1)。
【0004】
また、絵合せ玩具としては、両側面部に軸棒が突設された多面体の各面に絵柄や文字が記載され、当該多面体を軸棒が平行になるように積層するとともに、当該軸棒を嵌合する溝を設けた一対の板状軸受体を、各多面体の両側面部の軸棒に当該溝に嵌合させながら回転可能に固定したことを特徴とし、該多面体を回転することで絵合せ操作が簡単に行える回転式多面体多重絵合せ玩具が提供されている(特許文献2)。
【0005】
また、絵柄を描いた回転柱体の両側面部に支軸を設け、当該支軸を板状部材に開口した軸孔に軸通することで複数の回転柱体を軸支することにより、各回転柱体を回転させて絵柄合せのすることができる絵合わせ玩具が提供されている(特許文献3)。
【0006】
また、歯車玩具としては、本出願人により、弾性力と摩擦抵抗が大きい円盤状の平面側垂直方向に軸棒を着脱自在に取付けた2以上の回転伝達部材と、多数の孔が設けられた基台とからなる玩具であって、ある回転伝達部材の軸棒を基台の多数の孔のいずれかに挿入して回転自在とするとともに、他の回転伝達部材の軸棒を前記回転伝達部材の縁端に押圧接触する関係になるように多数の孔のいずれかに挿入して回転自在とすることにより、これらの回転伝達部材のうち1つが回転することで、接触する他の回転伝達部材が順次回転する玩具が提供されている(特許文献4)。
【0007】
また、縦方向及び横方向に夫々別の色で塗装したラインを7本ずつ配列して格子状に組立て、当該縦方向及び横方向のラインの交点に軸を植設した遊戯盤と、前記軸に嵌合する貫通軸及び2個以上の窓を備えた円柱状で略半分の周縁部に歯車を形成した歯車体からなり、隣接する歯車同士を歯車が噛み合わないように表裏を互い違いにして軸に嵌合させるときには、前記隣接する歯車体はそれぞれフリー回転可能をした歯車遊戯装置が提供されている(特許文献5)。
【0008】
上記列挙した従来技術以外にも、軸孔及び軸棒を必要とする回転玩具や回転器具が市販されるなどして提供されている。例えば、市販されている所謂人生ゲームのようなボードゲーム用のルーレットなどである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−086556号公報
【特許文献2】特開2001−104659号公報
【特許文献3】特開2006−230647号公報
【特許文献4】特開2004−237006号公報
【特許文献5】特開2006−305209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1乃至特許文献3に記載の絵合せ玩具では、当該玩具を解体してこまを変更したり、絵合せ順を変更したりするような際に、尖出した心棒や軸棒が露出してしまうため、身体の一部を軸棒に引っ掛けて転倒したり、軸棒で幼児の目などの身体の一部を突いてしまうなどの危険性が高いという問題があった。また、心棒や軸棒が軸受けに嵌まり込んで固定されるので、こまや多面体などの取り外しが困難であった。
【0011】
また、特許文献3及び特許文献4に記載の歯車玩具では、上述ように、回転伝達部材の軸棒が基台から突出しているため、身体の一部を軸棒に引っ掛けて転倒したり、軸棒で幼児の目などの身体の一部を突いてしまうなどの危険性が高いという問題があり、また、遊戯するための専用の基台が必須であるとともに、当該基台に設けられた多数の孔のいずれかにしか回転伝達部材を取付けることができないため、孔という限定された位置でしか歯車玩具を回転させることができず、遊びの自由度が狭くなってしまうという問題があった。
【0012】
そこで、本発明は、軸棒及び軸孔を必要とせず、磁着可能面であればどこでも自由且つ安全に被回転体を着脱容易で且つ回転可能にする回転軸部材及びそれを用いた玩具を提供することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明は次のように構成した。すなわち、本発明に係る請求項1に記載の回転玩具は、マグネットで磁着可能な磁性体材である磁着可能面に磁着して被回転体を回転可能とする回転軸部材を用いた回転玩具であって、当該回転軸部材は、被回転体の表面から突出した本体部及び当該本体部の磁着可能面に磁着させる位置のマグネットにて該回転軸部材に繋がる被回転体を当該磁着可能面に磁着させることで、前記磁着可能面に本体部が接触する磁着位置を任意の位置に定めることを可能とし、当該接触位置の磁着可能面と直交する中心ラインを磁気軸芯として磁着力を引き出し、被回転体が本体部に対して回転可能となることを特徴としている。
【0014】
また、請求項2に記載の回転玩具は、少なくとも1つ以上の窓が開口した板状の玩具本体と、当該窓内に回転可能に嵌め込んだ被回転体たるパネルとからなる回転玩具であって、前記回転軸部材を前記パネルの上下両面又は左右両側面のいずれかに設け、当該回転軸部材に対応する位置で、且つ前記玩具本体の表面を磁着可能面として前記窓枠の内面に、夫々前記回転軸部材の上下両面又は左右両側面のいずれかを磁着させることで、パネルを窓内で回転可能にしたことを特徴としている。
【0015】
また、請求項3に記載の回転玩具は、前記磁着可能面に歯車本体と当該歯車本体の円板面の両面又は片面の中心から突設した前記回転軸部材とからなる歯車を、当該回転軸部材を歯車の回転させる軸として、前記磁着可能面に着脱自在に磁着したことを特徴としている。
【0016】
さらに、請求項4に記載の回転玩具は、前記被回転体を矢印柱状に形成し、当該被回転体の矢印面中央に前記回転軸部材を設けることにより、当該被回転体をルーレットとして使用可能にしたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る請求項1に記載の回転玩具によれば、ホワイトボード、冷蔵庫などの家電製品の側面や事務デスクの天板上面などの磁着可能面であれば、マグネットによって回転軸部材が当該磁着可能面に接触して磁着し、当該接触位置の磁着可能面と直交する中心ラインを磁気軸芯として、被回転体が回転可能となる。これにより、軸棒による危険性を排除することができるとともに、基台などの軸孔を有する軸受体も必要としないので、磁着可能面であれば自由に任意の場所を選んで、被回転体を設置することができるので、軸棒を必要とする被回転体に比べて自由に被回転体を回転させて遊ぶことができる。また、任意の位置で回転軸部材を設けている被回転体を容易な着脱操作にて交換可能にできるので、下記の実施例に示すような色々な被回転体の構成にて遊ぶ幅を広げることができる。
【0018】
また、請求項2に記載の回転玩具によれば、被回転体たるパネルの上下面又は左右側面に設けた回転軸部材を、磁着可能面である玩具本体の窓枠内に接触して磁着させ、この上下また左右の回転軸部材を結ぶ中心ラインを軸芯として軸支することにより、パネルは回転可能に構成されるので、上下又は左右に固設された回転軸部材によって玩具本体に嵌め込んで磁着されたパネルは、玩具本体への着脱が容易な上、回転する際も磁着状態を維持するので外れて脱落することもなく、パネルを取り替える際に、軸棒に引っかかる危険がないため、幼児であっても安全に遊戯や学習をすることができる。
【0019】
また、請求項3に記載の回転玩具によれば、前記被回転体の面及び玩具本体の面上であれば歯車を自由に磁着可能であるとともに、従来の軸棒によって軸支されて噛み合った歯車の間に指を挟んで怪我をするなどの危険があったのに対して、回転軸部材を磁着可能な面の平行方向に押すと磁着可能な面上で平行方向に滑るので、噛み合った歯車の間に指を挟んで怪我をすることはなく、幼児が安全に歯車の回転機構の学習及び遊戯をすることができる
【0020】
さらに、請求項4に記載の回転玩具によれば、上記回転玩具による効果に加えて、矢印柱状に形成された被回転体を回転させることで、ルーレットのようにして遊戯することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る実施例1の回転玩具を示す斜視図である。
【図2】当該回転玩具を示す断面図である。
【図3】回転軸部材を示す拡大斜視図である。
【図4】本発明に係る実施例2の回転玩具に係る歯車玩具を示す斜視図である。
【図5】当該歯車玩具を示す側面図である。
【図6】当該回転軸部材を歯車本体に設置する様子を示す斜視図である。
【図7】当該歯車玩具を回転玩具のパネルに磁着した状態を示す断面図である。
【図8】当該歯車玩具を組合せてパネルに磁着した実施例2の回転玩具を示す斜視図である。
【図9】当該歯車玩具の円板面中心の軸孔に棒体を挿入した状態を示す斜視図である。
【図10】当該歯車玩具を組合せてホワイトボードに磁着した状態を示す図である。
【図11】実施例3の回転玩具を示す斜視図である。
【図12】回転軸部材を用いたルーレット玩具を示す斜視図である。
【図13】当該ルーレット玩具を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明について、回転軸部材1を利用した被回転体の実施例1、2及び3を挙げながら具体的に説明する。
【0023】
まず、実施例1として、図1乃至図3を用いて、本発明に係る回転軸部材1を利用した回転玩具11について説明する。
【0024】
図1は、玩具本体12及びパネル13からなる実施例1の回転玩具11の構成を示す斜視図である。当該回転玩具11は、板状の玩具本体12の中央及びその左右の三箇所に開口した窓が設けられ、当該窓に嵌め込み可能なサイズのパネル13が、回転軸部材1によって回転可能に軸支された玩具であって、当該パネル13には、表裏それぞれに異なった絵や写真等が貼付又はプリントされており、各パネル13を回転させた後、当該回転がストップした際に同じ種類の絵や写真を一致させる等して遊ぶ、絵合わせ玩具として利用するものである。玩具本体12及びパネル13は、ウレタン樹脂、ABS樹脂、オレフィン系樹脂又はポリエステル樹脂などからなる合成樹脂発泡体、或いはこれらの複数種の混合であって、幼児が遊戯するのに適したクッション性のある安全な素材などを主とし、比較的硬質なプラスチック等の合成樹脂、非磁性金属、セラミック、木などを素材としてもよい。
【0025】
なお、パネル13の表裏両面に広告ポスターなどを貼付又はプリントし、表裏で異なる広告ポスターを広告の掲載状況に合せて回転して入れ替える等、玩具以外での用途においても実施可能である。また、玩具本体12に開口する窓数及びパネル13の個数は三箇所に限られるものではなくて複数個所であればよく、上記広告用ポスターの表示などとしての利用であれば一箇所であってもよい。
【0026】
次に、図2及び図3を用いて、回転軸部材1を用いた当該パネル13の玩具本体12への軸支について説明する。なお、図2は、図1に示した回転玩具11を示すA−A断面図で、パネル13の回転構造を示すものであり、図3(a)は、パネル13の上面に設けた回転軸部材1を示す拡大斜視図であって、図3(b)は、当該回転軸部材1の磁着対象となる玩具本体12の窓枠表面に設けた円板部14を示す拡大斜視図である。
【0027】
図2及び図3(a)に示すように、回転軸部材1は、各パネル13の上面及び下面から略半球形状に突出して形成された中空の本体部1aと、当該略半球形状の本体部1aの中空部分に内包されたマグネットαとから構成されている。当該本体部1aは、磁着可能面に対して滑りのよい比較的硬質の合成樹脂製、木製或いは金属製で形成される。なお、マグネットα自体を略半球形状に形成して、本体部1aを設けずに回転軸部材1としてもよい。一方、図2及び図3(b)に示すように、玩具本体12に形成された各窓枠の上面及び下面には、円板部14がマグネットβを内包した状態で固設されている。当該円板部14も、磁着対象である回転軸部材1に対して滑りのよい比較的硬質の合成樹脂製、木製或いは金属製で形成され、マグネットβ自体を円板状に形成して円板部14としてもよい。なお、円板部14は、金属製の板状で形成された磁性体であってもよく、マグネットβを玩具本体12内に埋設し、玩具本体12の表面を磁着可能面としてもよい。また、図示はしないが、マグネットα及びマグネットβの位置は、必ずしもパネル13の中央軸に設ける必要性は無く、何れかの端を軸として移動させることにより、パネル13の端を軸として扉のように回転させることも可能である。かつ、当該マグネットα及びマグネットβの位置は、パネル13の左右側面の任意の位置に設けることも可能であり、この場合は縦方向に被回転体を回転させたり、上側または下側を開く扉のような構造にすることも可能となる。
【0028】
このように構成した略半球形状の回転軸部材1及び円板部14によって、パネル13を玩具本体12の各窓に嵌め込みながら、パネル13の上下に設けた略半球形状の回転軸部材1を、その頂点で円板部14と「点」接触して磁着させ、この上下の回転軸部材1の頂点を結ぶ中心ラインを磁気軸芯として軸支することにより、パネル13は磁着を維持した状態で回転可能に構成される。そして、上下に固設された回転軸部材1によって玩具本体12に磁着されたパネル13は、玩具本体12への着脱が容易な上、回転する際も磁着状態を維持するので各窓枠から脱落することもない。なお、パネル13を縦方向に保持したが、回転軸部材1をパネル13の左右側面に設け、また、玩具本体12の窓枠の左右の内側面に円板部14を設けて、左右の回転軸部材1と円板部14を磁着することにより、パネル13を横方向に保持してもよい。
【0029】
上記では、回転玩具11を絵合わせ玩具として説明したが、各パネル13の表裏それぞれに一つの数字を表記し、パネル13を回転させてストップした際に表示される各パネル13の数字を計算することにより知育玩具としての利用も可能である。また、上記では回転玩具11を三箇所の窓を有する玩具本体12と三枚のパネル13とで構成したが、パネル13の枚数を窓と同数とする必要はなく、窓数以上のパネル13を用意して、それらを入れ替えるようにして遊んでもよい。例えば、パネル13の表裏それぞれに一つ平仮名を表記した複数枚のパネル13を用意し、そのうちから三枚のパネル13を選択して玩具本体12の各窓に嵌め込み、当該パネル13を回転させてストップした際に一定の単語を表示させる等の遊び方も可能である。また、パネル13の表裏それぞれに数字の0〜99の数字を表記した各パネル13のうちから、窓数に応じたパネル13を複数枚選択して玩具本体12に軸支させ、回転後ストップした際にパネル13に表示されている数字を計算するなどという遊び方も可能である。
【0030】
次に、実施例2として、図4乃至図10を用いて、本発明に係る回転軸部材1を利用した歯車玩具22を磁着して遊戯することのできる回転玩具21について説明する。図4は、回転軸部材1及び歯車本体23からなる歯車玩具22の構造を示す斜視図であり、また、図5は、その側面図である。
【0031】
まずは、回転軸部材1を回転軸として利用した歯車玩具22の構成について説明する。図4及び図5に示すように、歯車玩具22は、歯車本体23と、当該歯車本体23の円板面の両面の中心に設置した略半球形状に突設された本体部1a及び当該本体部1aに内包されたマグネットαからなる回転軸部材1とから構成される。歯車本体23は、ウレタン樹脂、ABS樹脂、オレフィン系樹脂又はポリエステル樹脂などからなる合成樹脂発泡体、或いはこれらの複数種の混合であって、幼児が遊戯するのに適したクッション性のある安全な素材などを用いて形成されるが、比較的硬質なプラスチック等の合成樹脂、非磁性金属、セラミック、木などを素材としてもよい。また、回転軸部材1の本体部1aは、上記実施例1と同様に、磁着可能面に対して滑りのよい比較的硬質の合成樹脂製、木製或いは金属製で形成される。なお、マグネットα自体を略半球形状に形成して円板面の表面から突出させ、回転軸部材1としてもよい。このように、回転軸部材1を平面な歯車本体23の円板部に略半球形状に突出するように設置すればよいが、一般的な歯車体には通常軸孔24(図6を参照。)が設けられているため、以下の図6で説明するような回転軸部材1を形成し、歯車本体23に設置してもよい。
【0032】
図6は、中心に軸孔24を有する歯車本体23に回転軸部材1を設置する様子を示す斜視図である。回転軸部材1は、磁着可能面上に対して滑りのよい比較的硬質の合成樹脂製の中空でキノコ型に形成された本体部1aと、当該本体部1aの中空部分に嵌め込むようにして収納されたマグネットαとから構成されている。なお、当該マグネットαは、本体部1a内に内包されていてもよい。このようにキノコ型に形成された本体部1aは、当該キノコ型の円筒状部分を歯車本体23の円板面の中心で開口する軸孔24に嵌め込み、歯車本体23の軸孔方向へと円板両面の双方から設置される。すなわち、キノコ型の本体部1aの円筒状部分は、歯車本体23の中心に形成された軸孔24に対して隙間なく嵌合可能なサイズであって、例えば、歯車本体23の合成樹脂発泡体の柔軟性により本体部1aの円筒状部分が軸孔24の内周面を押圧しながら沈み込んで嵌合し、軸孔24の内周面の弾性力により本体部1aの円筒状部分が加圧されるため、回転軸部材1を歯車本体23に固定することができる。また、このように軸孔24に嵌め込まれた回転軸部材1は、軸孔24から容易に離脱させることができ、着脱可能の態様になっている。この時、円板面の両側から嵌合された回転軸部材1は、円筒状部分の先端が夫々引き合う磁極で対向することで、回転軸部材1の歯車本体23への固定状態をより安定させることができる。
【0033】
図7は、このように構成した歯車玩具22を、実施例2に係る回転玩具21のパネル13に磁着させた状態を示す断面図である。当該回転玩具21は、前記実施例1の回転玩具11の構成に加えて、前記パネル13に板状の磁性体25を付設又は埋設して構成されるとともに、当該磁性体25は、パネル13の上下面に設けたマグネットα及び円板部に設けたマグネットβと干渉しないように付設又は埋設される。当該板状の磁性体25に対して、歯車玩具22の円板面中心に設けられた回転軸部材1は、当該パネル13の磁性体25に磁着する際、略半球形状の頂点が磁性体25の任意の位置の表面に「点」接触し、当該接触点がパネル13と直交する中心ラインを磁気軸芯として磁着を維持したままの状態で回転が可能となる。これにより、当該回転軸部材1を軸として歯車玩具22を磁着可能面である回転玩具21面上或いは磁性体25上で回転させることができる。
【0034】
そして、図8に示すように、複数の歯車玩具22を組み合せて前記パネル13の磁性体25に磁着することにより、このうちの1つの歯車玩具22を回転させれば、他の歯車玩具22も連動して回転するので、当該実施例2の回転玩具21では、板状の磁性体25を設けたことにより、歯車玩具22を回転させてなる回転機構を遊びながら学習することができる。当該歯車玩具22の組み合せについては、図8などに示すような平歯車同士に限られるものではなく、はすば歯車、かさ歯車、冠歯車、やまば歯車、ウォームギアなどの種々の歯車を夫々組合せて回転させることも可能である。なお、当該回転玩具21に係る図7及び図8の玩具本体12に磁性体25を埋設或いは貼着し、当該玩具本体12の表面を磁着可能面として歯車玩具22を磁着して遊戯することも可能である。
【0035】
また、図9は、歯車玩具22の円板面に設けた孔26に棒体27を挿入した状態を示す斜視図である。歯車本体23の円板面には、軸孔24(図6を参照。)を中心として円を描くようにして複数個の孔26が設けられている。当該孔26のいずれか1つに棒体27を挿入することにより、当該棒体27を幼児などが手で掴んで歯車玩具22を容易に回転させることができ、また、手の指などを挿入して歯車玩具22を回転させることも可能である。さらに、複数の孔26を設けたことにより、歯車玩具22の軽量化を図ることができるとともに、歯車玩具22を回転させた際、孔26も軸孔24を中心として回転するので歯車玩具22の回転動作を把握しやすくなる。なお、棒体27も、木製、金属製の芯材に合成樹脂発泡体を被覆して形成するなど、安全性に配慮したものを用いるのがよい。
【0036】
なお、当該歯車玩具22は、図7に示すパネル13の磁性体25の表面上に限らず、図10に示すように、ホワイトボード28や、黒板や冷蔵庫などの家電製品の側面など、磁着可能であればどのような板面でも同様に可能であって、上記回転玩具21とは別に、歯車玩具22単体で回転機構の学習や遊戯をすることもできる。
【0037】
以上のように、回転軸部材1を利用した歯車玩具22を、磁性体25を付設又は埋設したパネル13や玩具本体12の磁着可能面に磁着することのできる前記回転玩具22によれば、磁性体25の表面上に複数の歯車玩具22を組み合せて磁着することにより、歯車の回転機構を遊びながら学習することができる。また、当該歯車玩具22は、パネル13の磁性体25表面上に磁着させて遊べるだけでなく、ホワイトボード28や黒板などの板面、家電製品の側面など磁着可能な面であればどこにでも自由に磁着可能であり、幼児が安全に歯車の回転機構の学習及び遊戯をすることができる。また、従来の軸棒によって軸支された歯車体では、噛み合った歯車体の間に指を挟んで怪我をするなどの危険性があったが、上記歯車玩具22によれば、パネル13の磁性体25等に磁着した回転軸部材1が、挟まれた指の押圧によって磁着可能な面上で外方向に滑るので、そのような怪我をすることはなく安全である。
【0038】
上記実施例2では、マグネットαを収納した回転軸部材1の本体部1aをキノコ型に形成し、当該本体部1aの円筒状部分を歯車本体23の軸孔24(図6を参照。)に嵌合して固定した場合を説明したが、上述の通り、略半球形状に形成された回転軸部材1を例えば接着剤や合成樹脂テープなどを用いて歯車本体23の円板面の中心に平面状部分を貼着し、歯車本体23の円板面から略半球形状に突出するように形成してもよい。また、本実施例2において、キノコ型の本体部1aであっても、当該本体部1aは、磁着可能面に対して滑りのよい比較的硬質の合成樹脂製で形成され、また、木製或いは金属製で形成する。また、略半球形状に形成したマグネットα自体を回転軸部材1としてそのまま円板面上に貼着してもよく、キノコ型のマグネットα自体を軸孔24に嵌合して回転軸部材1としてもよい。
【0039】
なお、上記歯車玩具22の実施例2の応用例として、歯車玩具22のどちらか一方の円板面の周縁部分に0〜9までの数字を軸孔24を中心とする円形状に配列し、当該歯車玩具22を回転してルーレットとして利用したり、当該数字を付した歯車玩具22を複数噛合せ、ルーレットのように回転させて停止した後、各歯車玩具22の噛み合わされた位置にある2つの数字を瞬時に計算することにより、遊びながら計算能力の向上を図るという遊び方も可能である。また、歯車本体23から回転軸部材1を取り外し、二つの歯車玩具22の各軸孔24にシャフトとしての棒状体を挿通することにより連結し、車オモチャのタイヤとして歯車玩具22を利用したり、軸孔24又はその周辺の孔26のいずれかに回転軸部材1を嵌合固定し、回転軸部材1が固定されていない軸孔24又はその周辺の孔26に棒体27を挿入した後、ある一定の枠内で回転させることにより、スピログラフ(登録商標)としての遊び方も可能である。
【0040】
次に、実施例3として、図11を用いて、ルーレットとして遊戯することのできる回転玩具31を説明する。
【0041】
図11は、ルーレットとして遊戯することのできる回転玩具31を示す斜視図である。当該回転玩具31は、前記実施例1で説明した回転玩具11の玩具本体12の下端に基台32が設けられ、また、回転軸部材1によって回転するパネル33が、矢印柱状に形成されている。基台32には、回転するパネル33の矢印が指す位置に対応して、円状に数字が羅列されている。そして、矢印柱状に形成されたパネル33を回転させ、回転が停止した後にパネル33の矢印が羅列された数字のいずれかを指すことによってルーレットとして遊戯することができる。なお、羅列表記する任意の文字には、数字だけでなく、アルファベット文字、片仮名、平仮名又は記号・絵文字など含み、遊び方に応じて、数字以外の文字を羅列表記してもよい。
【0042】
このように実施例3に係る回転玩具31は、上記実施例1のように、パネル33に絵を表記すれば絵合わせをして遊ぶことができるだけでなく、ルーレットとして遊ぶことも可能であり、バリエーションに富んだ遊び方が可能となる。また、上記の歯車玩具22をパネル33に磁着できるように板状の磁性体25を付設又は埋設すれば、上記実施例2で示した遊戯も含めてさらにバリエーションに富んだ遊び方が可能となる。また、当該パネル33は、上記実施例のパネル13と同様に、玩具本体12から着脱容易なので、幼児であっても、矢印柱状のパネル33と絵が表記されたパネル13とを容易に交換したりすることができる。
【0043】
上記実施例3以外にも、玩具本体12を用いずに、以下に説明するような単体のルーレット玩具34として遊戯することも可能である。図12は、当該玩具ルーレット玩具34を示す斜視図であり、円盤35と、当該円盤35の円心で略半球形状に形成された本体部1a及び当該本体部1aに内包されたマグネットαからなる回転軸部材1によって回転可能に軸支された矢印形状の針36とから構成されている。当該ルーレット玩具34は、円盤35の円板表面の周端部に数字が円形状に並んで表記されており、矢印形状の針36を回転させてストップさせた後、針36の矢印が指し示す方向にある数字によって何らかの行動をする盤状ゲームで一般的に使用されるものである。なお、円盤35及び針36は、ウレタン樹脂、ABS樹脂、オレフィン系樹脂又はポリエステル樹脂などからなる合成樹脂発泡体、或いはこれらの複数種の混合であって、幼児が遊戯するのに適したクッション性のある安全な素材などを用いて形成されるが、比較的硬質なプラスチック等の合成樹脂、非磁性金属、セラミック、木などを素材としてもよい。また、回転軸部材1の本体部1aは、上記実施例1と同様、磁着可能面に対して滑りのよい比較的硬質の合成樹脂製、木製或いは金属製で形成される。なお、略半球形状に形成したマグネットα自体を回転軸部材1としてもよい。
【0044】
また、図13は、当該ルーレット玩具34を示す側面図である。矢印形状の針36は、その表裏両面の長手方向中央近傍に、略半球形状の本体部1aにマグネットαを内包した回転軸部材1が突出して形成される。また、円盤35の中心には、マグネットβを内包した円板部37が設けられる。当該円板部37も、磁着対象である回転軸部材1に対して滑りのよい比較的硬質の合成樹脂製、木製或いは金属製で形成され、また、マグネットβ自体を円板状に形成して円板部37としてもよい。そして、当該回転軸部材1の頂点が、円盤35の円心に設けられた円板部37と「点」接触し、円盤35の円板面と直交する中心ラインを磁気軸芯として回転可能に磁着されている。なお、回転軸部材1を、針36の表裏両面に設けることにより、どちらの面であっても円板部37との磁着が可能となる。なお、円板部14は、金属製の板状で形成された磁性体であってもよい。
【0045】
このように上記ルーレット玩具34は、本発明に係る回転軸部材1を針36に形成したことにより、ルーレットに必要な針36の回転を軸孔及び軸芯を用いることなく安全に遊ぶことができる。なお、上記ルーレット玩具34では円盤35を構成要素としたが、針36に本発明に係る回転軸部材1を構成したことにより、円盤35を要することなく、例えば、ホワイトボード28などの磁着可能面に任意数字を円形状に並べて表記し、その円形状の中心に回転軸部材1を磁着させ針36を磁着可能面に備え付ければ、磁着可能面であればどこでも自由に遊ぶことが可能となる。
【0046】
以上、回転軸部材1を用いた各実施例の回転玩具11、21、31によれば、軸孔及び突出して危険な軸棒を必要とせずとも被回転体の回転が可能となり、幼児が怪我等することなく安全に遊ぶことが可能となる。また、上記実施例2及び実施例3で説明したように、ホワイトボード28、冷蔵庫などの家電製品の側面や事務デスクの天板上面などの磁着可能面であれば、略半球形状の回転軸部材1に内包したマグネットαによって回転軸部材1の頂点が当該磁着可能面に「点」接触し、当該接触「点」が磁着可能面と直交する中心ラインを磁気軸芯として、歯車本体23及び針36という被回転体が、軸棒及び軸孔を必要とせずに回転可能となる。これにより、歯車玩具22及びルーレット玩具34は、軸棒による危険性を排除することができるとともに、軸孔を有する軸受体も必要としないので、磁着可能面であれば自由に任意の場所を選んで被回転体を設置することができるので、軸棒を必要とするものに比べて自由に被回転体を回転させて遊ぶことができる。
【0047】
上記実施例1及び3では、略半球形状の回転軸部材1にマグネットαを内包し、円板部14及び37にはマグネットβを内包することによって、両者を磁着させたが、どちらか一方を金属製の磁性体としてもよい。例えば、金属製で略半球形状の回転軸部材1にマグネットβを内包した円板面14及び37を磁着させてもよく、マグネットαを内包した回転軸部材1に金属製で板状の円板部を磁着させてもよい。また、円板部14及び37も、回転軸部材1と同様に略半球形状に形成し、頂点同士が向かい合うように磁着させてもよい。
【0048】
上記実施例2では、キノコ型に形成した本体部1a及びマグネットαからなる回転軸部材1を歯車本体23の軸孔24に嵌合する構成を説明したが、実施例1及び実施例3においても同様に、パネル13の上下面或いは針36の表裏両面にキノコ型の円筒状部分が嵌め込み可能な凹部を開口させておくことにより、キノコ型に形成した回転軸部材1とすることもできる。
【0049】
また、上記各実施例では、回転軸部材1を略半球形状で形成したが、当該回転軸部材と磁着可能面との接触位置において、磁着可能面と直交する中心ラインを磁気軸芯として磁着力を得ることができればよく、その形状は、略半球形状に限られるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0050】
上記実施例では、主に玩具を例に挙げて本発明に係る回転軸部材1を説明したが、実施例1で述べたパネル13の広告表示のように玩具以外の用途で利用することも可能であり、回転を要する被回転体で、且つ磁着可能面を設ければどのようなものであっても、本願発明の回転軸部材1を利用することができる。
【0051】
また、上記実施例以外にも、歯車玩具22などを事務用品のマグネットホルダーとして利用することもでき、さらに、回転軸部材1を取り外し、当該回転軸部材1単体で略半球形状又はキノコ型のマグネットホルダーとしての利用が可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 回転軸部材
1a 本体部
11、21、31 回転玩具
12 玩具本体
13、33 パネル
14、37 円板部
22 歯車玩具
23 歯車本体
24 軸孔
25 磁性体
26 孔
27 棒体
28 ホワイトボード
32 基台
34 ルーレット玩具
35 円盤
36 針
α、β マグネット
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁着可能面に磁着して使用し、軸棒及び軸孔を必要とせずに被回転体を回転可能とする回転軸部材である。
【背景技術】
【0002】
従来、並列に配置された複数のパネルを夫々回転させて、当該パネルに表示された絵柄を合せるなどして遊ぶ絵合せ玩具や歯車玩具などの被回転体は、被回転体を貫通する軸孔と当該軸孔に軸通して回転体を軸支する軸棒によって回転可能に構築されている。このような絵合せ玩具や歯車玩具などの回転玩具としては、以下のようなものが提供されている。
【0003】
例えば、回転玩具としては、上下に心棒を有するこまを設け、該心棒の上下端にそれぞれ心棒接触板を設けて、当該心棒接触板をこま支持体の適当な箇所に固定して設けたこまの回転装置が提供されている(特許文献1)。
【0004】
また、絵合せ玩具としては、両側面部に軸棒が突設された多面体の各面に絵柄や文字が記載され、当該多面体を軸棒が平行になるように積層するとともに、当該軸棒を嵌合する溝を設けた一対の板状軸受体を、各多面体の両側面部の軸棒に当該溝に嵌合させながら回転可能に固定したことを特徴とし、該多面体を回転することで絵合せ操作が簡単に行える回転式多面体多重絵合せ玩具が提供されている(特許文献2)。
【0005】
また、絵柄を描いた回転柱体の両側面部に支軸を設け、当該支軸を板状部材に開口した軸孔に軸通することで複数の回転柱体を軸支することにより、各回転柱体を回転させて絵柄合せのすることができる絵合わせ玩具が提供されている(特許文献3)。
【0006】
また、歯車玩具としては、本出願人により、弾性力と摩擦抵抗が大きい円盤状の平面側垂直方向に軸棒を着脱自在に取付けた2以上の回転伝達部材と、多数の孔が設けられた基台とからなる玩具であって、ある回転伝達部材の軸棒を基台の多数の孔のいずれかに挿入して回転自在とするとともに、他の回転伝達部材の軸棒を前記回転伝達部材の縁端に押圧接触する関係になるように多数の孔のいずれかに挿入して回転自在とすることにより、これらの回転伝達部材のうち1つが回転することで、接触する他の回転伝達部材が順次回転する玩具が提供されている(特許文献4)。
【0007】
また、縦方向及び横方向に夫々別の色で塗装したラインを7本ずつ配列して格子状に組立て、当該縦方向及び横方向のラインの交点に軸を植設した遊戯盤と、前記軸に嵌合する貫通軸及び2個以上の窓を備えた円柱状で略半分の周縁部に歯車を形成した歯車体からなり、隣接する歯車同士を歯車が噛み合わないように表裏を互い違いにして軸に嵌合させるときには、前記隣接する歯車体はそれぞれフリー回転可能をした歯車遊戯装置が提供されている(特許文献5)。
【0008】
上記列挙した従来技術以外にも、軸孔及び軸棒を必要とする回転玩具や回転器具が市販されるなどして提供されている。例えば、市販されている所謂人生ゲームのようなボードゲーム用のルーレットなどである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−086556号公報
【特許文献2】特開2001−104659号公報
【特許文献3】特開2006−230647号公報
【特許文献4】特開2004−237006号公報
【特許文献5】特開2006−305209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1乃至特許文献3に記載の絵合せ玩具では、当該玩具を解体してこまを変更したり、絵合せ順を変更したりするような際に、尖出した心棒や軸棒が露出してしまうため、身体の一部を軸棒に引っ掛けて転倒したり、軸棒で幼児の目などの身体の一部を突いてしまうなどの危険性が高いという問題があった。また、心棒や軸棒が軸受けに嵌まり込んで固定されるので、こまや多面体などの取り外しが困難であった。
【0011】
また、特許文献3及び特許文献4に記載の歯車玩具では、上述ように、回転伝達部材の軸棒が基台から突出しているため、身体の一部を軸棒に引っ掛けて転倒したり、軸棒で幼児の目などの身体の一部を突いてしまうなどの危険性が高いという問題があり、また、遊戯するための専用の基台が必須であるとともに、当該基台に設けられた多数の孔のいずれかにしか回転伝達部材を取付けることができないため、孔という限定された位置でしか歯車玩具を回転させることができず、遊びの自由度が狭くなってしまうという問題があった。
【0012】
そこで、本発明は、軸棒及び軸孔を必要とせず、磁着可能面であればどこでも自由且つ安全に被回転体を着脱容易で且つ回転可能にする回転軸部材及びそれを用いた玩具を提供することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明は次のように構成した。すなわち、本発明に係る請求項1に記載の回転玩具は、マグネットで磁着可能な磁性体材である磁着可能面に磁着して被回転体を回転可能とする回転軸部材を用いた回転玩具であって、当該回転軸部材は、被回転体の表面から突出した本体部及び当該本体部の磁着可能面に磁着させる位置のマグネットにて該回転軸部材に繋がる被回転体を当該磁着可能面に磁着させることで、前記磁着可能面に本体部が接触する磁着位置を任意の位置に定めることを可能とし、当該接触位置の磁着可能面と直交する中心ラインを磁気軸芯として磁着力を引き出し、被回転体が本体部に対して回転可能となることを特徴としている。
【0014】
また、請求項2に記載の回転玩具は、少なくとも1つ以上の窓が開口した板状の玩具本体と、当該窓内に回転可能に嵌め込んだ被回転体たるパネルとからなる回転玩具であって、前記回転軸部材を前記パネルの上下両面又は左右両側面のいずれかに設け、当該回転軸部材に対応する位置で、且つ前記玩具本体の表面を磁着可能面として前記窓枠の内面に、夫々前記回転軸部材の上下両面又は左右両側面のいずれかを磁着させることで、パネルを窓内で回転可能にしたことを特徴としている。
【0015】
また、請求項3に記載の回転玩具は、前記磁着可能面に歯車本体と当該歯車本体の円板面の両面又は片面の中心から突設した前記回転軸部材とからなる歯車を、当該回転軸部材を歯車の回転させる軸として、前記磁着可能面に着脱自在に磁着したことを特徴としている。
【0016】
さらに、請求項4に記載の回転玩具は、前記被回転体を矢印柱状に形成し、当該被回転体の矢印面中央に前記回転軸部材を設けることにより、当該被回転体をルーレットとして使用可能にしたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る請求項1に記載の回転玩具によれば、ホワイトボード、冷蔵庫などの家電製品の側面や事務デスクの天板上面などの磁着可能面であれば、マグネットによって回転軸部材が当該磁着可能面に接触して磁着し、当該接触位置の磁着可能面と直交する中心ラインを磁気軸芯として、被回転体が回転可能となる。これにより、軸棒による危険性を排除することができるとともに、基台などの軸孔を有する軸受体も必要としないので、磁着可能面であれば自由に任意の場所を選んで、被回転体を設置することができるので、軸棒を必要とする被回転体に比べて自由に被回転体を回転させて遊ぶことができる。また、任意の位置で回転軸部材を設けている被回転体を容易な着脱操作にて交換可能にできるので、下記の実施例に示すような色々な被回転体の構成にて遊ぶ幅を広げることができる。
【0018】
また、請求項2に記載の回転玩具によれば、被回転体たるパネルの上下面又は左右側面に設けた回転軸部材を、磁着可能面である玩具本体の窓枠内に接触して磁着させ、この上下また左右の回転軸部材を結ぶ中心ラインを軸芯として軸支することにより、パネルは回転可能に構成されるので、上下又は左右に固設された回転軸部材によって玩具本体に嵌め込んで磁着されたパネルは、玩具本体への着脱が容易な上、回転する際も磁着状態を維持するので外れて脱落することもなく、パネルを取り替える際に、軸棒に引っかかる危険がないため、幼児であっても安全に遊戯や学習をすることができる。
【0019】
また、請求項3に記載の回転玩具によれば、前記被回転体の面及び玩具本体の面上であれば歯車を自由に磁着可能であるとともに、従来の軸棒によって軸支されて噛み合った歯車の間に指を挟んで怪我をするなどの危険があったのに対して、回転軸部材を磁着可能な面の平行方向に押すと磁着可能な面上で平行方向に滑るので、噛み合った歯車の間に指を挟んで怪我をすることはなく、幼児が安全に歯車の回転機構の学習及び遊戯をすることができる
【0020】
さらに、請求項4に記載の回転玩具によれば、上記回転玩具による効果に加えて、矢印柱状に形成された被回転体を回転させることで、ルーレットのようにして遊戯することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る実施例1の回転玩具を示す斜視図である。
【図2】当該回転玩具を示す断面図である。
【図3】回転軸部材を示す拡大斜視図である。
【図4】本発明に係る実施例2の回転玩具に係る歯車玩具を示す斜視図である。
【図5】当該歯車玩具を示す側面図である。
【図6】当該回転軸部材を歯車本体に設置する様子を示す斜視図である。
【図7】当該歯車玩具を回転玩具のパネルに磁着した状態を示す断面図である。
【図8】当該歯車玩具を組合せてパネルに磁着した実施例2の回転玩具を示す斜視図である。
【図9】当該歯車玩具の円板面中心の軸孔に棒体を挿入した状態を示す斜視図である。
【図10】当該歯車玩具を組合せてホワイトボードに磁着した状態を示す図である。
【図11】実施例3の回転玩具を示す斜視図である。
【図12】回転軸部材を用いたルーレット玩具を示す斜視図である。
【図13】当該ルーレット玩具を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明について、回転軸部材1を利用した被回転体の実施例1、2及び3を挙げながら具体的に説明する。
【0023】
まず、実施例1として、図1乃至図3を用いて、本発明に係る回転軸部材1を利用した回転玩具11について説明する。
【0024】
図1は、玩具本体12及びパネル13からなる実施例1の回転玩具11の構成を示す斜視図である。当該回転玩具11は、板状の玩具本体12の中央及びその左右の三箇所に開口した窓が設けられ、当該窓に嵌め込み可能なサイズのパネル13が、回転軸部材1によって回転可能に軸支された玩具であって、当該パネル13には、表裏それぞれに異なった絵や写真等が貼付又はプリントされており、各パネル13を回転させた後、当該回転がストップした際に同じ種類の絵や写真を一致させる等して遊ぶ、絵合わせ玩具として利用するものである。玩具本体12及びパネル13は、ウレタン樹脂、ABS樹脂、オレフィン系樹脂又はポリエステル樹脂などからなる合成樹脂発泡体、或いはこれらの複数種の混合であって、幼児が遊戯するのに適したクッション性のある安全な素材などを主とし、比較的硬質なプラスチック等の合成樹脂、非磁性金属、セラミック、木などを素材としてもよい。
【0025】
なお、パネル13の表裏両面に広告ポスターなどを貼付又はプリントし、表裏で異なる広告ポスターを広告の掲載状況に合せて回転して入れ替える等、玩具以外での用途においても実施可能である。また、玩具本体12に開口する窓数及びパネル13の個数は三箇所に限られるものではなくて複数個所であればよく、上記広告用ポスターの表示などとしての利用であれば一箇所であってもよい。
【0026】
次に、図2及び図3を用いて、回転軸部材1を用いた当該パネル13の玩具本体12への軸支について説明する。なお、図2は、図1に示した回転玩具11を示すA−A断面図で、パネル13の回転構造を示すものであり、図3(a)は、パネル13の上面に設けた回転軸部材1を示す拡大斜視図であって、図3(b)は、当該回転軸部材1の磁着対象となる玩具本体12の窓枠表面に設けた円板部14を示す拡大斜視図である。
【0027】
図2及び図3(a)に示すように、回転軸部材1は、各パネル13の上面及び下面から略半球形状に突出して形成された中空の本体部1aと、当該略半球形状の本体部1aの中空部分に内包されたマグネットαとから構成されている。当該本体部1aは、磁着可能面に対して滑りのよい比較的硬質の合成樹脂製、木製或いは金属製で形成される。なお、マグネットα自体を略半球形状に形成して、本体部1aを設けずに回転軸部材1としてもよい。一方、図2及び図3(b)に示すように、玩具本体12に形成された各窓枠の上面及び下面には、円板部14がマグネットβを内包した状態で固設されている。当該円板部14も、磁着対象である回転軸部材1に対して滑りのよい比較的硬質の合成樹脂製、木製或いは金属製で形成され、マグネットβ自体を円板状に形成して円板部14としてもよい。なお、円板部14は、金属製の板状で形成された磁性体であってもよく、マグネットβを玩具本体12内に埋設し、玩具本体12の表面を磁着可能面としてもよい。また、図示はしないが、マグネットα及びマグネットβの位置は、必ずしもパネル13の中央軸に設ける必要性は無く、何れかの端を軸として移動させることにより、パネル13の端を軸として扉のように回転させることも可能である。かつ、当該マグネットα及びマグネットβの位置は、パネル13の左右側面の任意の位置に設けることも可能であり、この場合は縦方向に被回転体を回転させたり、上側または下側を開く扉のような構造にすることも可能となる。
【0028】
このように構成した略半球形状の回転軸部材1及び円板部14によって、パネル13を玩具本体12の各窓に嵌め込みながら、パネル13の上下に設けた略半球形状の回転軸部材1を、その頂点で円板部14と「点」接触して磁着させ、この上下の回転軸部材1の頂点を結ぶ中心ラインを磁気軸芯として軸支することにより、パネル13は磁着を維持した状態で回転可能に構成される。そして、上下に固設された回転軸部材1によって玩具本体12に磁着されたパネル13は、玩具本体12への着脱が容易な上、回転する際も磁着状態を維持するので各窓枠から脱落することもない。なお、パネル13を縦方向に保持したが、回転軸部材1をパネル13の左右側面に設け、また、玩具本体12の窓枠の左右の内側面に円板部14を設けて、左右の回転軸部材1と円板部14を磁着することにより、パネル13を横方向に保持してもよい。
【0029】
上記では、回転玩具11を絵合わせ玩具として説明したが、各パネル13の表裏それぞれに一つの数字を表記し、パネル13を回転させてストップした際に表示される各パネル13の数字を計算することにより知育玩具としての利用も可能である。また、上記では回転玩具11を三箇所の窓を有する玩具本体12と三枚のパネル13とで構成したが、パネル13の枚数を窓と同数とする必要はなく、窓数以上のパネル13を用意して、それらを入れ替えるようにして遊んでもよい。例えば、パネル13の表裏それぞれに一つ平仮名を表記した複数枚のパネル13を用意し、そのうちから三枚のパネル13を選択して玩具本体12の各窓に嵌め込み、当該パネル13を回転させてストップした際に一定の単語を表示させる等の遊び方も可能である。また、パネル13の表裏それぞれに数字の0〜99の数字を表記した各パネル13のうちから、窓数に応じたパネル13を複数枚選択して玩具本体12に軸支させ、回転後ストップした際にパネル13に表示されている数字を計算するなどという遊び方も可能である。
【0030】
次に、実施例2として、図4乃至図10を用いて、本発明に係る回転軸部材1を利用した歯車玩具22を磁着して遊戯することのできる回転玩具21について説明する。図4は、回転軸部材1及び歯車本体23からなる歯車玩具22の構造を示す斜視図であり、また、図5は、その側面図である。
【0031】
まずは、回転軸部材1を回転軸として利用した歯車玩具22の構成について説明する。図4及び図5に示すように、歯車玩具22は、歯車本体23と、当該歯車本体23の円板面の両面の中心に設置した略半球形状に突設された本体部1a及び当該本体部1aに内包されたマグネットαからなる回転軸部材1とから構成される。歯車本体23は、ウレタン樹脂、ABS樹脂、オレフィン系樹脂又はポリエステル樹脂などからなる合成樹脂発泡体、或いはこれらの複数種の混合であって、幼児が遊戯するのに適したクッション性のある安全な素材などを用いて形成されるが、比較的硬質なプラスチック等の合成樹脂、非磁性金属、セラミック、木などを素材としてもよい。また、回転軸部材1の本体部1aは、上記実施例1と同様に、磁着可能面に対して滑りのよい比較的硬質の合成樹脂製、木製或いは金属製で形成される。なお、マグネットα自体を略半球形状に形成して円板面の表面から突出させ、回転軸部材1としてもよい。このように、回転軸部材1を平面な歯車本体23の円板部に略半球形状に突出するように設置すればよいが、一般的な歯車体には通常軸孔24(図6を参照。)が設けられているため、以下の図6で説明するような回転軸部材1を形成し、歯車本体23に設置してもよい。
【0032】
図6は、中心に軸孔24を有する歯車本体23に回転軸部材1を設置する様子を示す斜視図である。回転軸部材1は、磁着可能面上に対して滑りのよい比較的硬質の合成樹脂製の中空でキノコ型に形成された本体部1aと、当該本体部1aの中空部分に嵌め込むようにして収納されたマグネットαとから構成されている。なお、当該マグネットαは、本体部1a内に内包されていてもよい。このようにキノコ型に形成された本体部1aは、当該キノコ型の円筒状部分を歯車本体23の円板面の中心で開口する軸孔24に嵌め込み、歯車本体23の軸孔方向へと円板両面の双方から設置される。すなわち、キノコ型の本体部1aの円筒状部分は、歯車本体23の中心に形成された軸孔24に対して隙間なく嵌合可能なサイズであって、例えば、歯車本体23の合成樹脂発泡体の柔軟性により本体部1aの円筒状部分が軸孔24の内周面を押圧しながら沈み込んで嵌合し、軸孔24の内周面の弾性力により本体部1aの円筒状部分が加圧されるため、回転軸部材1を歯車本体23に固定することができる。また、このように軸孔24に嵌め込まれた回転軸部材1は、軸孔24から容易に離脱させることができ、着脱可能の態様になっている。この時、円板面の両側から嵌合された回転軸部材1は、円筒状部分の先端が夫々引き合う磁極で対向することで、回転軸部材1の歯車本体23への固定状態をより安定させることができる。
【0033】
図7は、このように構成した歯車玩具22を、実施例2に係る回転玩具21のパネル13に磁着させた状態を示す断面図である。当該回転玩具21は、前記実施例1の回転玩具11の構成に加えて、前記パネル13に板状の磁性体25を付設又は埋設して構成されるとともに、当該磁性体25は、パネル13の上下面に設けたマグネットα及び円板部に設けたマグネットβと干渉しないように付設又は埋設される。当該板状の磁性体25に対して、歯車玩具22の円板面中心に設けられた回転軸部材1は、当該パネル13の磁性体25に磁着する際、略半球形状の頂点が磁性体25の任意の位置の表面に「点」接触し、当該接触点がパネル13と直交する中心ラインを磁気軸芯として磁着を維持したままの状態で回転が可能となる。これにより、当該回転軸部材1を軸として歯車玩具22を磁着可能面である回転玩具21面上或いは磁性体25上で回転させることができる。
【0034】
そして、図8に示すように、複数の歯車玩具22を組み合せて前記パネル13の磁性体25に磁着することにより、このうちの1つの歯車玩具22を回転させれば、他の歯車玩具22も連動して回転するので、当該実施例2の回転玩具21では、板状の磁性体25を設けたことにより、歯車玩具22を回転させてなる回転機構を遊びながら学習することができる。当該歯車玩具22の組み合せについては、図8などに示すような平歯車同士に限られるものではなく、はすば歯車、かさ歯車、冠歯車、やまば歯車、ウォームギアなどの種々の歯車を夫々組合せて回転させることも可能である。なお、当該回転玩具21に係る図7及び図8の玩具本体12に磁性体25を埋設或いは貼着し、当該玩具本体12の表面を磁着可能面として歯車玩具22を磁着して遊戯することも可能である。
【0035】
また、図9は、歯車玩具22の円板面に設けた孔26に棒体27を挿入した状態を示す斜視図である。歯車本体23の円板面には、軸孔24(図6を参照。)を中心として円を描くようにして複数個の孔26が設けられている。当該孔26のいずれか1つに棒体27を挿入することにより、当該棒体27を幼児などが手で掴んで歯車玩具22を容易に回転させることができ、また、手の指などを挿入して歯車玩具22を回転させることも可能である。さらに、複数の孔26を設けたことにより、歯車玩具22の軽量化を図ることができるとともに、歯車玩具22を回転させた際、孔26も軸孔24を中心として回転するので歯車玩具22の回転動作を把握しやすくなる。なお、棒体27も、木製、金属製の芯材に合成樹脂発泡体を被覆して形成するなど、安全性に配慮したものを用いるのがよい。
【0036】
なお、当該歯車玩具22は、図7に示すパネル13の磁性体25の表面上に限らず、図10に示すように、ホワイトボード28や、黒板や冷蔵庫などの家電製品の側面など、磁着可能であればどのような板面でも同様に可能であって、上記回転玩具21とは別に、歯車玩具22単体で回転機構の学習や遊戯をすることもできる。
【0037】
以上のように、回転軸部材1を利用した歯車玩具22を、磁性体25を付設又は埋設したパネル13や玩具本体12の磁着可能面に磁着することのできる前記回転玩具22によれば、磁性体25の表面上に複数の歯車玩具22を組み合せて磁着することにより、歯車の回転機構を遊びながら学習することができる。また、当該歯車玩具22は、パネル13の磁性体25表面上に磁着させて遊べるだけでなく、ホワイトボード28や黒板などの板面、家電製品の側面など磁着可能な面であればどこにでも自由に磁着可能であり、幼児が安全に歯車の回転機構の学習及び遊戯をすることができる。また、従来の軸棒によって軸支された歯車体では、噛み合った歯車体の間に指を挟んで怪我をするなどの危険性があったが、上記歯車玩具22によれば、パネル13の磁性体25等に磁着した回転軸部材1が、挟まれた指の押圧によって磁着可能な面上で外方向に滑るので、そのような怪我をすることはなく安全である。
【0038】
上記実施例2では、マグネットαを収納した回転軸部材1の本体部1aをキノコ型に形成し、当該本体部1aの円筒状部分を歯車本体23の軸孔24(図6を参照。)に嵌合して固定した場合を説明したが、上述の通り、略半球形状に形成された回転軸部材1を例えば接着剤や合成樹脂テープなどを用いて歯車本体23の円板面の中心に平面状部分を貼着し、歯車本体23の円板面から略半球形状に突出するように形成してもよい。また、本実施例2において、キノコ型の本体部1aであっても、当該本体部1aは、磁着可能面に対して滑りのよい比較的硬質の合成樹脂製で形成され、また、木製或いは金属製で形成する。また、略半球形状に形成したマグネットα自体を回転軸部材1としてそのまま円板面上に貼着してもよく、キノコ型のマグネットα自体を軸孔24に嵌合して回転軸部材1としてもよい。
【0039】
なお、上記歯車玩具22の実施例2の応用例として、歯車玩具22のどちらか一方の円板面の周縁部分に0〜9までの数字を軸孔24を中心とする円形状に配列し、当該歯車玩具22を回転してルーレットとして利用したり、当該数字を付した歯車玩具22を複数噛合せ、ルーレットのように回転させて停止した後、各歯車玩具22の噛み合わされた位置にある2つの数字を瞬時に計算することにより、遊びながら計算能力の向上を図るという遊び方も可能である。また、歯車本体23から回転軸部材1を取り外し、二つの歯車玩具22の各軸孔24にシャフトとしての棒状体を挿通することにより連結し、車オモチャのタイヤとして歯車玩具22を利用したり、軸孔24又はその周辺の孔26のいずれかに回転軸部材1を嵌合固定し、回転軸部材1が固定されていない軸孔24又はその周辺の孔26に棒体27を挿入した後、ある一定の枠内で回転させることにより、スピログラフ(登録商標)としての遊び方も可能である。
【0040】
次に、実施例3として、図11を用いて、ルーレットとして遊戯することのできる回転玩具31を説明する。
【0041】
図11は、ルーレットとして遊戯することのできる回転玩具31を示す斜視図である。当該回転玩具31は、前記実施例1で説明した回転玩具11の玩具本体12の下端に基台32が設けられ、また、回転軸部材1によって回転するパネル33が、矢印柱状に形成されている。基台32には、回転するパネル33の矢印が指す位置に対応して、円状に数字が羅列されている。そして、矢印柱状に形成されたパネル33を回転させ、回転が停止した後にパネル33の矢印が羅列された数字のいずれかを指すことによってルーレットとして遊戯することができる。なお、羅列表記する任意の文字には、数字だけでなく、アルファベット文字、片仮名、平仮名又は記号・絵文字など含み、遊び方に応じて、数字以外の文字を羅列表記してもよい。
【0042】
このように実施例3に係る回転玩具31は、上記実施例1のように、パネル33に絵を表記すれば絵合わせをして遊ぶことができるだけでなく、ルーレットとして遊ぶことも可能であり、バリエーションに富んだ遊び方が可能となる。また、上記の歯車玩具22をパネル33に磁着できるように板状の磁性体25を付設又は埋設すれば、上記実施例2で示した遊戯も含めてさらにバリエーションに富んだ遊び方が可能となる。また、当該パネル33は、上記実施例のパネル13と同様に、玩具本体12から着脱容易なので、幼児であっても、矢印柱状のパネル33と絵が表記されたパネル13とを容易に交換したりすることができる。
【0043】
上記実施例3以外にも、玩具本体12を用いずに、以下に説明するような単体のルーレット玩具34として遊戯することも可能である。図12は、当該玩具ルーレット玩具34を示す斜視図であり、円盤35と、当該円盤35の円心で略半球形状に形成された本体部1a及び当該本体部1aに内包されたマグネットαからなる回転軸部材1によって回転可能に軸支された矢印形状の針36とから構成されている。当該ルーレット玩具34は、円盤35の円板表面の周端部に数字が円形状に並んで表記されており、矢印形状の針36を回転させてストップさせた後、針36の矢印が指し示す方向にある数字によって何らかの行動をする盤状ゲームで一般的に使用されるものである。なお、円盤35及び針36は、ウレタン樹脂、ABS樹脂、オレフィン系樹脂又はポリエステル樹脂などからなる合成樹脂発泡体、或いはこれらの複数種の混合であって、幼児が遊戯するのに適したクッション性のある安全な素材などを用いて形成されるが、比較的硬質なプラスチック等の合成樹脂、非磁性金属、セラミック、木などを素材としてもよい。また、回転軸部材1の本体部1aは、上記実施例1と同様、磁着可能面に対して滑りのよい比較的硬質の合成樹脂製、木製或いは金属製で形成される。なお、略半球形状に形成したマグネットα自体を回転軸部材1としてもよい。
【0044】
また、図13は、当該ルーレット玩具34を示す側面図である。矢印形状の針36は、その表裏両面の長手方向中央近傍に、略半球形状の本体部1aにマグネットαを内包した回転軸部材1が突出して形成される。また、円盤35の中心には、マグネットβを内包した円板部37が設けられる。当該円板部37も、磁着対象である回転軸部材1に対して滑りのよい比較的硬質の合成樹脂製、木製或いは金属製で形成され、また、マグネットβ自体を円板状に形成して円板部37としてもよい。そして、当該回転軸部材1の頂点が、円盤35の円心に設けられた円板部37と「点」接触し、円盤35の円板面と直交する中心ラインを磁気軸芯として回転可能に磁着されている。なお、回転軸部材1を、針36の表裏両面に設けることにより、どちらの面であっても円板部37との磁着が可能となる。なお、円板部14は、金属製の板状で形成された磁性体であってもよい。
【0045】
このように上記ルーレット玩具34は、本発明に係る回転軸部材1を針36に形成したことにより、ルーレットに必要な針36の回転を軸孔及び軸芯を用いることなく安全に遊ぶことができる。なお、上記ルーレット玩具34では円盤35を構成要素としたが、針36に本発明に係る回転軸部材1を構成したことにより、円盤35を要することなく、例えば、ホワイトボード28などの磁着可能面に任意数字を円形状に並べて表記し、その円形状の中心に回転軸部材1を磁着させ針36を磁着可能面に備え付ければ、磁着可能面であればどこでも自由に遊ぶことが可能となる。
【0046】
以上、回転軸部材1を用いた各実施例の回転玩具11、21、31によれば、軸孔及び突出して危険な軸棒を必要とせずとも被回転体の回転が可能となり、幼児が怪我等することなく安全に遊ぶことが可能となる。また、上記実施例2及び実施例3で説明したように、ホワイトボード28、冷蔵庫などの家電製品の側面や事務デスクの天板上面などの磁着可能面であれば、略半球形状の回転軸部材1に内包したマグネットαによって回転軸部材1の頂点が当該磁着可能面に「点」接触し、当該接触「点」が磁着可能面と直交する中心ラインを磁気軸芯として、歯車本体23及び針36という被回転体が、軸棒及び軸孔を必要とせずに回転可能となる。これにより、歯車玩具22及びルーレット玩具34は、軸棒による危険性を排除することができるとともに、軸孔を有する軸受体も必要としないので、磁着可能面であれば自由に任意の場所を選んで被回転体を設置することができるので、軸棒を必要とするものに比べて自由に被回転体を回転させて遊ぶことができる。
【0047】
上記実施例1及び3では、略半球形状の回転軸部材1にマグネットαを内包し、円板部14及び37にはマグネットβを内包することによって、両者を磁着させたが、どちらか一方を金属製の磁性体としてもよい。例えば、金属製で略半球形状の回転軸部材1にマグネットβを内包した円板面14及び37を磁着させてもよく、マグネットαを内包した回転軸部材1に金属製で板状の円板部を磁着させてもよい。また、円板部14及び37も、回転軸部材1と同様に略半球形状に形成し、頂点同士が向かい合うように磁着させてもよい。
【0048】
上記実施例2では、キノコ型に形成した本体部1a及びマグネットαからなる回転軸部材1を歯車本体23の軸孔24に嵌合する構成を説明したが、実施例1及び実施例3においても同様に、パネル13の上下面或いは針36の表裏両面にキノコ型の円筒状部分が嵌め込み可能な凹部を開口させておくことにより、キノコ型に形成した回転軸部材1とすることもできる。
【0049】
また、上記各実施例では、回転軸部材1を略半球形状で形成したが、当該回転軸部材と磁着可能面との接触位置において、磁着可能面と直交する中心ラインを磁気軸芯として磁着力を得ることができればよく、その形状は、略半球形状に限られるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0050】
上記実施例では、主に玩具を例に挙げて本発明に係る回転軸部材1を説明したが、実施例1で述べたパネル13の広告表示のように玩具以外の用途で利用することも可能であり、回転を要する被回転体で、且つ磁着可能面を設ければどのようなものであっても、本願発明の回転軸部材1を利用することができる。
【0051】
また、上記実施例以外にも、歯車玩具22などを事務用品のマグネットホルダーとして利用することもでき、さらに、回転軸部材1を取り外し、当該回転軸部材1単体で略半球形状又はキノコ型のマグネットホルダーとしての利用が可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 回転軸部材
1a 本体部
11、21、31 回転玩具
12 玩具本体
13、33 パネル
14、37 円板部
22 歯車玩具
23 歯車本体
24 軸孔
25 磁性体
26 孔
27 棒体
28 ホワイトボード
32 基台
34 ルーレット玩具
35 円盤
36 針
α、β マグネット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マグネットで磁着可能な磁性体材である磁着可能面に磁着して被回転体を回転可能とする回転軸部材を用いた回転玩具であって、
当該回転軸部材は、被回転体の表面から突出した本体部及び当該本体部の磁着可能面に磁着させる位置のマグネットにて該回転軸部材に繋がる被回転体を当該磁着可能面に磁着させることで、
前記磁着可能面に本体部が接触する磁着位置を任意の位置に定めることを可能とし、
当該接触位置の磁着可能面と直交する中心ラインを磁気軸芯として磁着力を引き出し、
被回転体が本体部に対して回転可能となることを特徴とする回転玩具。
【請求項2】
少なくとも1つ以上の窓が開口した板状の玩具本体と、当該窓内に回転可能に嵌め込んだ被回転体たるパネルとからなる回転玩具であって、
前記回転軸部材を前記パネルの上下両面又は左右両側面のいずれかに設け、当該回転軸部材に対応する位置で、且つ前記玩具本体の表面を磁着可能面として前記窓枠の内面に、夫々前記回転軸部材の上下両面又は左右両側面のいずれかを磁着させることで、パネルを窓内で回転可能にしたことを特徴とする請求項1に記載の回転玩具。
【請求項3】
前記磁着可能面に歯車本体と当該歯車本体の円板面の両面又は片面の中心から突設した前記回転軸部材とからなる歯車を、当該回転軸部材を歯車を回転させる軸として、前記磁着可能面に着脱自在に磁着したことを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の回転玩具。
【請求項4】
前記被回転体を矢印柱状に形成し、当該被回転体の矢印面中央に前記回転軸部材を設けることにより、
当該被回転体をルーレットとして使用可能にしたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の回転玩具。
【請求項1】
マグネットで磁着可能な磁性体材である磁着可能面に磁着して被回転体を回転可能とする回転軸部材を用いた回転玩具であって、
当該回転軸部材は、被回転体の表面から突出した本体部及び当該本体部の磁着可能面に磁着させる位置のマグネットにて該回転軸部材に繋がる被回転体を当該磁着可能面に磁着させることで、
前記磁着可能面に本体部が接触する磁着位置を任意の位置に定めることを可能とし、
当該接触位置の磁着可能面と直交する中心ラインを磁気軸芯として磁着力を引き出し、
被回転体が本体部に対して回転可能となることを特徴とする回転玩具。
【請求項2】
少なくとも1つ以上の窓が開口した板状の玩具本体と、当該窓内に回転可能に嵌め込んだ被回転体たるパネルとからなる回転玩具であって、
前記回転軸部材を前記パネルの上下両面又は左右両側面のいずれかに設け、当該回転軸部材に対応する位置で、且つ前記玩具本体の表面を磁着可能面として前記窓枠の内面に、夫々前記回転軸部材の上下両面又は左右両側面のいずれかを磁着させることで、パネルを窓内で回転可能にしたことを特徴とする請求項1に記載の回転玩具。
【請求項3】
前記磁着可能面に歯車本体と当該歯車本体の円板面の両面又は片面の中心から突設した前記回転軸部材とからなる歯車を、当該回転軸部材を歯車を回転させる軸として、前記磁着可能面に着脱自在に磁着したことを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の回転玩具。
【請求項4】
前記被回転体を矢印柱状に形成し、当該被回転体の矢印面中央に前記回転軸部材を設けることにより、
当該被回転体をルーレットとして使用可能にしたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の回転玩具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−165873(P2012−165873A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−29079(P2011−29079)
【出願日】平成23年2月14日(2011.2.14)
【出願人】(502059984)株式会社 一歩 (15)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月14日(2011.2.14)
【出願人】(502059984)株式会社 一歩 (15)
【Fターム(参考)】
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