説明

回転電機

【課題】ケース内に収容した構成要素につながるリード線を引き出すためのグロメットの貫通部のシールを簡単に行うことができるようにした回転電機を提供する。
【解決手段】第1のケース半部1Aと第2のケース半部1Bとを突き合わせた構造を有する二つ割りのケース1内に回転電機の少なくとも一部の構成要素を収容し、構成要素につながるリード線3をケース半部1A,1Bの突き合わせ部に設けたグロメット保持孔125内に圧縮した状態で保持したグロメット2を通して外部に導出する。グロメット保持孔125を構成するためにケース半部1Aに設ける凹部123の内周に溝部を形成し、グロメット2をグロメット保持孔125内に圧縮した状態で保持させた際にグロメット2の一部210を凹部123の内周の溝部内に移動させて該溝部内に食い込ませることにより、グロメット2の貫通部のシールを図る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータや発電機等の回転電機を付属部品とともに、半割構造のケース内に収容した構造を有する回転電機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種の被操作部材を操作するために用いられるアクチュエータとして、モータなどの回転電機のステータ及びロータと、必要に応じて設けられる減速機、出力軸の回転角度位置を検出するセンサ等の各種の構成要素とを、防水構造を持たせてケース内に収容した回転電機が用いられている。
【0003】
この種の回転電機においては、特許文献1に示されているように、第1のケース半部と第2のケース半部とを突き合わせて結合した構造を有する半割構造のケースが設けられ、このケース内に回転電機の少なくとも一部の構成要素が収容される。第1のケース半部の合わせ面の一部には凹部が形成され、両ケース半部の合わせ面が突き合わされた際に該凹部が第2のケース半部で塞がれることにより、両ケース半部の突き合わせ部にグロメット保持孔が形成される。このグロメット保持孔内にグロメットが圧縮された状態で保持され、ケース内の構成要素につながるリード線が、このグロメットを通して外部に導出される。
【0004】
特許文献1に示された回転電機では、第1のケース半部の外側にモータが取り付けられ、該モータの回転を減速して出力軸に伝達する減速機と、出力軸の回転角度位置を検出する位置センサとが、回転電機の構成要素としてケース内に収容されているが、他の構成をとる回転電機でも同様な構造のケースが用いられることがしばしばある。
【0005】
従来の回転電機では、グロメット保持孔の内周の全体が平坦に形成されていたため、グロメットの貫通部を通してケース内に水が浸入するのを防ぐために、グロメット保持孔の内周に接着剤を塗布して、グロメットの外周とグロメット保持孔の内周との間をシールしていた。
【0006】
接着剤の塗布を避けるため、特許文献2に示されているように、グロメット保持孔の内周に溝を形成するとともに、グロメットの外周面にシール用の突条部を設けて、グロメットの外周の突条部をグロメット保持孔の内周の溝に嵌合させることにより、グロメットの貫通部のシールを図ることも提案されている。
【特許文献1】特開2004−187378号公報
【特許文献2】特開平9−93854号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
グロメット保持孔の内周に接着剤を塗布して、グロメットの外周とグロメット保持孔の内周との間をシールする方法をとる場合には、グロメット保持孔の内周に塗布する接着剤の量が少ないとシールを完全に行なうことができず、また接着剤の量が多すぎると外部にはみ出す接着剤の量が多くなりすぎて外観が悪くなるため、接着剤の塗布量の管理を厳密に行なう必要がある。そのため、回転電機を組み立てる際の作業能率が悪くなり、量産性が損なわれるという問題があった。
【0008】
また、特許文献2に示されているように、グロメットの外周に設けたシール用の突条部をグロメット保持孔の内周に設けた溝に嵌合させる方法をとった場合には、グロメットを取り付ける際に、グロメットの外周の突条部を手探りでグロメット保持孔の内周の溝の位置に合わせて、該突条部を溝に嵌合させる必要があるため、グロメットの取り付け作業が面倒になるのを避けられなかった。またグロメットの成形時にその外周にシール用の突条部を形成しておく必要があるため、グロメットを成形する金型の構造が複雑になり、金型のコストが高くなるという問題があった。
【0009】
更に、特許文献2に示された方法によりグロメットの貫通部のシールを図る場合には、製品毎にグロメットの外周の突条部とグロメット保持孔の内周の溝との嵌合状態が適正になるように、突条部の寸法管理を厳密に行う必要があるため、グロメットを成形する金型の管理に手間がかかり、製造コストが高くなるという問題もあった。
【0010】
本発明の目的は、第1のケース半部と第2のケース半部とを突き合わせた構造を有するケース内に回転電機の少なくとも一部の構成要素を収容するとともに、両ケース半部の突き合わせ部に設けたグロメット保持孔内にグロメットを圧縮した状態で保持して、このグロメットを通して、構成要素につながるリード線を外部に導出する構造を有する回転電機において、グロメット保持孔の内周に接着剤を塗布する作業を省略し、しかも外周にシール用の突条部が成形されていない簡単な構造のグロメットを用いて、グロメットの取付部のシールを確実に図ることができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明が対象とする回転電機においては、互いに突き合わされる合わせ面を有する第1のケース半部と第2のケース半部とに2分割されて、第1のケース半部の合わせ面と第2のケース半部の合わせ面とを突き合わせた状態で組み立てられたケースが設けられて、該ケース内に回転電機の少なくとも一部の構成要素が収容されている。また、第1のケース半部と第2のケース半部との突き合わせ部に設けられたグロメット保持孔内にグロメットが圧縮された状態で保持され、ケース内の構成要素につながるリード線がグロメットを通して外部に導出されている。
【0012】
本発明においては、グロメット保持孔の内周のグロメットが直接接する部分に、該グロメット保持孔の周方向に伸びる溝部を形成する。グロメットは、グロメット保持孔内に挿入されて圧縮される前の状態で、グロメット保持孔の内周に直接接触する部分が平坦な面を有するように形成され、グロメットがグロメット保持孔内に挿入されて圧縮された状態にされたときに、グロメットのグロメット保持孔の内周に直接接触している部分の一部が溝部内に移動させられて該溝部内に食い込んだ状態にされる。
【0013】
上記のように構成すると、グロメットの外周の一部がグロメット保持孔の内周の溝部に食い込むことにより、グロメットの貫通部のシールが図られるため、グロメット保持孔の内周への接着剤の塗布を不要にすることができ、グロメットの取付を容易にすることができる。
【0014】
また上記のように構成すると、グロメットの外周に予め突条部を形成しておく必要がないため、グロメットを成形する金型の構造を簡単にして、グロメットの製造を容易にすることができ、そのコストの削減を図ることができる。更に、上記のように構成すると、グロメットを取り付ける際にグロメットの外周の突条部をグロメット保持孔の内周の溝部に手探りで嵌合させる作業を必要としないため、グロメットの取り付け作業を簡単にすることができる。また、グロメットは、グロメット保持孔内に挿入された際に確実に圧縮される寸法に形成されていればよく、グロメットの外周に予め突条部を形成しておく場合のように厳密な寸法の管理を必要としないため、製造コストの低減を図ることができる。
【0015】
上記グロメット保持孔は、第1のケース半部の合わせ面の一部に形成された凹部と、第2のケース半部の合わせ面との間に形成することができる。この場合、グロメットは、凹部内に配置される第1の部分と第2のケース半部の合わせ面に当接した状態で配置される第2の部分とを有して、第1の部分が凹部内に圧入され、第2の部分が第2のケース半部の合わせ面により押圧された状態でグロメット保持孔内に圧縮されて配置される。グロメットの取付部がこのように構成される場合、グロメット受入溝は、第1のケース半部に設けられた凹部の内周に、グロメットの周方向に伸びるようにして形成される。
【0016】
本発明の好ましい態様では、ケースの防水性を図るため、第1及び第2のケース半部の合わせ面の間にOリングが配置される。この場合、第1のケース半部の合わせ面の第1の凹部が設けられた部分以外の部分の全体に亘って第1のケース半部の合わせ面の内周縁の輪郭線に沿って伸びるケース側Oリング受け溝が形成されるとともに、グロメットの第2の部分の外周にケース側Oリング受け溝と整合するグロメット側Oリング受け溝が形成され、ケース側Oリング受け溝内及びグロメット側Oリング受け溝内に一部が受入れられたOリングが、第1のケース半部の合わせ面と第2のケース半部の合わせ面との間に挟み込まれた状態で配置される。
【0017】
グロメットの第1の部分は、グロメット保持孔内に挿入される前の状態にあるときに平坦な外周面を有するように形成され、グロメットがグロメット保持孔内に挿入されて圧縮されたときに、グロメットの第1の部分の一部が第1の凹部の内周の溝部内に移動させられて該溝部内に食い込んだ状態にされる。
【0018】
本発明の好ましい態様では、第1のケース半部の外側にモータが取り付けられ、ケース内には、出力軸と、モータの回転を減速して出力軸に伝達する歯車減速機と、出力軸の回転角度位置を検出して該回転角度位置の情報を有する電気信号を出力する位置センサとを含む構成要素が収容されるが、本発明は、これらの構成要素をケース内に収容する場合に限定されることなく、モータのステータ及びロータをケース内に収容したり、モータに代えて発電機のステータ及びロータをケース内に収容したりする場合にも本発明を適用することができる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明よれば、ケース半部の突き合わせ部に設けるグロメット保持孔の内周に、該グロメット保持孔の周方向に伸びる溝部を形成して、グロメットをグロメット保持孔内に挿入して圧縮する際に、グロメット保持孔内に挿入される前の状態で平坦な面を有していたグロメットの外周部の一部をグロメット保持孔の内周の溝部内に移動させて該溝部内に食い込ませるようにしたので、グロメット保持孔の内周に接着剤を塗布することなくグロメットの取り付け部のシールを図ることができる。従って、塗布量を厳密に管理しつつ接着剤を塗布する面倒な作業を省略して、グロメットの取付を容易にすることができる。
【0020】
また本発明によれば、グロメットの外周に予め突条部を形成しておく必要がないため、グロメットを成形する金型の構造を簡単にして、グロメットの製造を容易にすることができ、そのコストの削減を図ることができる。
【0021】
更に、本発明によれば、グロメットを取り付ける際にグロメットの外周の突条部をグロメット保持孔の内周の溝部に手探りで嵌合させる作業を必要としないため、グロメットの取り付け作業を簡単にすることができ、また、グロメットの外周に予め突条部を形成しておく場合のようにグロメットの厳密な寸法管理を必要としないため、製造コストの低減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明に係わる減速機付き電動機の全体的な構成の一例を示した断面図で、同図において1は第1のケース半部1Aと第2のケース半部1Bとにより2つ割り形成された樹脂製のケースである。図2は図1に示された第2のケース半部1Bを取り外して第1のケース半部の内側を見た正面図、図3は、図2に示された第1のケース半部から一部の部品を取り外した状態を示した正面図、図4は図3のZ部の拡大図、図5は第1のケース半部に設けられる凹部の正面図、図6(A)及び(B)は本実施形態で用いるグロメットの正面図及び側面図である。なお歯車の配列を見やすくするため、図1は、ユニットを図2に示したO−O線に沿って断面して示している。
【0023】
第1のケース半部1Aは、周壁部101と、周壁部101の一端を閉じるように形成された底壁部102とを一体に有し、底壁部102の下端側の外面には断面が円形の輪郭形状を有する台座部103が突設されている。また底壁部102の上部の外面には中空の突出部104が形成されている。
【0024】
第1のケース半部1Aにはまた、筒状部105が、その一部を第1のケース半部1B側に突出させた状態で、かつその軸線を台座部103の外周の円筒面の中心軸線に一致させた状態で形成されている。第1のケース半部1Aの底壁部102の内側には、筒状部105の側方に位置させた状態で環状の軸保持部106が形成され、軸保持部106の側方に更に環状の軸保持部107が形成されている。
【0025】
第2のケース半部1Bは、第1のケース半部1Aの周壁部101の輪郭形状と同じ輪郭形状を有する周壁部110と、周壁部110の一端を閉じるように形成された底壁部111とを一体に有し、底壁部111の上部外面には、第1のケース半部1Aの突出部104と反対側に突出した筒状のボス部112が形成されている。第2のケース半部1Bの底壁部111の内側の、第1のケース半部1Aの軸保持部106及び107にそれぞれ相対する位置には、軸保持部113及び114が形成されている。
【0026】
第1のケース半部1Aの開口部の周辺部及び第2のケース半部1Bの開口部の周辺部にそれぞれ合わせ面121及び122が形成されている。第1のケース半部1Aには、その合わせ面121に開口させた状態で凹部123(図3、図4及び図5参照)が形成され、第2のケース半部1Bの合わせ面122を第1のケース半部1Aの合わせ面121に突き合わせた際に、凹部123と第2のケース半部側1Bの合わせ面122との間にグロメット保持孔125が形成されるようになっている。
【0027】
上記グロメット保持孔125内にグロメット2が圧縮した状態で挿入され、ケース1内に収容された構成部品につながるリード線3が、グロメット2を通して外部に導出される。
【0028】
グロメット2は、合成ゴムなどの弾力性を有する絶縁材料の射出成形品からなっていて、図6(A)及び(B)に示したように、矩形の同じ側の2つの角部に丸みを付した断面形状を有するグロメット本体200と、このグロメット本体の軸線方向の一端側に形成されたつば部201と、本体200の軸線方向の他端に形成されたつば部202と、本体200の他端の端面から外方に突出した突出端部203とを一体に有し、グロメット本体200を軸線方向に貫通してリード線導出孔204が形成されている。グロメット本体200は、第1のケース半部1Aに設けられた凹部123内に配置される第1の部分2Aと、第2のケース半部1Bの合わせ面122に当接させられるフラットな第2の部分2Bとを有し、グロメット2をグロメット保持孔125内に保持させる前の状態では、第1の部分2Aの外周面が平坦な状態を呈する(突起を有しない)ように形成されている。
【0029】
第1のケース半部1Aの合わせ面121の凹部123が設けられた部分以外の部分の全体に亘って、第1のケース半部1Aの合わせ面121の内周縁の輪郭線P(図3参照)に沿って伸びるケース側Oリング受け溝126が形成されている。また図6(B)に示したように、グロメット2の第2の部分2Bには、ケース側Oリング受け溝126と整合するグロメット側Oリング受け溝206が形成され、グロメット2を凹部123に挿入して、グロメット側Oリング受け溝206をケース側Oリング受け溝126に整合させたときに、ケース側Oリング受け溝206とグロメット側Oリング受け溝126とにより、閉ループをなすOリング受け溝が形成される。
【0030】
第1のケース半部1Aの外周部には、外側に張り出した舌状の突出部130が複数個形成され、これらの突出部を貫通させて取り付け孔131が形成されている。また第2のケース半部1Bの外周部にも第1のケース半部の突出部130に相応する突出部132が設けられ、第2のケース半部側の突出部132には、ネジ孔が形成されている。
【0031】
ケース1を組み立てる際には、第1のケース半部の凹部123内にグロメット本体の第1の部分2Aを圧入し、つば部201及び202を凹部123の軸線方向の一端側及び他端側の開口端の周辺部に当接させる。そして、ケース側Oリング受け溝126内及びグロメット側Oリング受け溝206内にOリング4(図2参照)の一部を嵌合させた状態で配置して、Oリング4を第1のケース半部1Aの合わせ面121と第2のケース半部1Bの合わせ面122との間に挟み込み、第1のケース半部1Aの突出部130に形成された取り付け孔131に挿入したボルト5(図1参照)を第2のケース半部1Bの相応する突出部132に設けたねじ穴にねじ込むことにより、第1のケース半部1Aと第2のケース半部1Bとを締結する。これにより、グロメット本体2を凹部123と第2のケース半部の合わせ面とにより構成されるグロメット保持孔125内に圧縮した状態で保持する。
【0032】
本発明においては、図3、図4及び図5に示されているように、第1のケース半部1Aに設けられた凹部123の内周に、該凹部内に圧入されるグロメット2の周方向に伸びるグロメット受入溝133が形成されている。図6(B)に示すように、グロメット本体200の第1の部分2Aは、グロメット保持孔内に圧入される前の状態にあるときに平坦な外周面を有するように形成され、グロメット本体200がグロメット保持孔内に配置されて圧縮された際に、図1に示したように、グロメット2の第1の部分2Aの一部210が第1の凹部の内周の溝部133内に移動させられて該溝部133内に食い込んだ状態にされる。
【0033】
第2のケース半部1Bを第1のケース半部1Aに締結した際に、グロメット2がグロメット保持孔125内に圧縮された状態で保持されるようにするため、グロメット本体200の高さD(図6A参照)が凹部123の深さD′(図5参照)よりも僅かに大きく設定され、グロメット本体200の幅寸法W(図6A参照)が凹部123の幅寸法W′に溝部133の深さΔW′の2倍を加えた値W′+2×ΔW′(図5参照)よりも僅かに大きい値に設定されている。またつば部201及び202をグロメット保持孔125の軸線方向の開口端周辺部に密接させるため、グロメット本体200の軸線方向寸法(つば部201と202との間の距離)L(図6B参照)が、凹部123の軸線方向長さL′(図4参照)よりも僅かに小さく設定されている。
【0034】
第1のケース半部1Aの台座部103の外周に円筒状のモータハウジング6の周壁部の開口端が嵌合され、ハウジング6の開口端の周辺に形成されたフランジ6aが図示しないネジにより第1のケース半部1Aの底壁部に締結されている。ハウジング6の周壁部の内周には、永久磁石Mが取り付けられてモータのステータ側の界磁7が構成されている。またハウジング6の底壁部の中心部から外側に突出させて設けた筒状突出部6bの内側に軸受8が保持され、この軸受8と、第1のケース半部1Aに形成された筒状部105内に保持された軸受9とにより、モータの回転軸10が回転自在に支持されている。回転軸10には、電機子鉄心11と該電機子鉄心に巻装された電機子コイル12とからなるロータ13が取り付けられ、電機子コイル12の端末部は、回転軸10に取り付けられた整流子14に接続されている。整流子14には、図示しない1対のブラシが接触させられ、図示しない直流電源から1対のブラシと整流子14とを通して電機子コイル12に電機子電流が供給されるようになっている。ハウジング6と、固定子側の界磁7と、回転軸10と、ロータ13と、整流子14と、該整流子に接触する図示しないブラシとにより、直流モータ15が構成されている。
【0035】
ケース1内に導入された回転軸10の先端に減速機20の入力段を構成する小歯車21が取り付けられ、相対する軸保持部106及び113に一端及び他端が支持された軸22に、減速機の2段目を構成する歯車23が回転自在に支持されている。歯車23は、軸線方向に並ぶ大歯車23aと小歯車23bとからなっていて、その小歯車23bを第1のケース半部1A側に位置させた状態で取り付けられ、大歯車23aが小歯車21に噛み合わされている。
【0036】
また相対する軸保持部107と114に一端及び他端が支持された軸30に、減速機の3段目を構成する歯車31が回転自在に支持されている。この歯車31は、軸線方向に並ぶ大歯車31aと小歯車31bとからなっていて、大歯車31aを第1のケース半部側に位置させた状態で取り付けられ、大歯車31aが小歯車23bに噛み合わされている。
【0037】
更に、第2のケース半部1Bのボス部112により出力軸35が回転自在に支持され、この出力軸35のケース1内に位置する端部に減速機の出力段を構成する歯車36が取り付けられている。出力段を構成する歯車36は、減速機の3段目を構成する小歯車31bに噛み合わされている。
【0038】
図示の例では、歯車21、歯車23、歯車31及び歯車36により、減速機20が構成され、モータ15の回転が減速機20により減速されて出力軸35に伝達されるようになっている。
【0039】
図示の例では、出力軸35の外側に導出された端部の端面の偏心した位置に偏心軸40が取り付けられ、この偏心軸40、操作すべき制御対象の操作力入力部に連結される。
【0040】
モータ15は、出力軸35を一定の角度範囲で往復回転させるように駆動され、出力軸35の往復回転に伴って生じる偏心軸35の往復回動運動が、操作すべき制御対象の操作力入力部に伝達される。
【0041】
本実施形態の回転電機は、各種の制御対象の位置を目標位置に一致させるように制御する制御装置の操作部として用いられる。制御対象の位置を制御する際には、制御対象の現在位置の情報を取得するために、出力軸35の回転角度位置を検出する位置センサを必要とする。
【0042】
図示の例では、ポテンショメータを位置センサ41として用いている。位置センサ41を構成するポテンショメータは、抵抗体パターンを形成した基板と、該基板の抵抗体パターンに接触しつつ摺動する摺動子とをケース内に収容してなるセンサ本体41aと、摺動子に連結されるとともに、センサ本体41aに軸受を介して回転自在に支持された入力軸41bとを備えた周知のもので、入力軸41bの先端部が出力軸35に連結されている。図示の例では、ケース内に収容された位置センサ41から引き出された3本のリード線3がグロメット2を通して外部に導出されている。
【0043】
上記のように構成すると、グロメット2の外周の一部210がグロメット保持孔の内周の溝部133に食い込むことにより、グロメット2の貫通部のシールが図られるため、グロメット保持孔125の内周への接着剤の塗布を不要にすることができ、グロメットの取付を容易にすることができる。
【0044】
また上記のように構成すると、グロメット2の外周に予めシール用の突条部を形成しておく必要がないため、グロメットを成形する金型の構造を簡単にして、グロメットの製造を容易にすることができ、そのコストの削減を図ることができる。
【0045】
更に上記のように構成するル、グロメット2を取り付ける際にグロメットの外周の突条部をグロメット保持孔の内周の溝部に正確に嵌合させる配慮を必要としないため、グロメットの取り付け作業を簡単にすることができる。
【0046】
また、グロメット2は、グロメット保持孔内に挿入された際に確実に圧縮される寸法に形成されていればよく、グロメットの外周に予め突条部を形成しておく場合のように厳密な寸法の管理を必要としないため、製造コストの低減を図ることができる。
【0047】
上記の実施形態では、回転電機の構成要素が、モータのステータ及びロータと、減速機と、位置センサとからなっているが、減速機や位置センサを設けることなくモータのステータ及びロータのみが設けられる場合や、回転電機として発電機を用いる場合にも本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施形態の構造を、図2のO−O線に沿って断面して示した断面図である。
【図2】図1のユニットの第1のケース半部を取り外し、更に歯車を外した状態を示した正面図である。
【図3】図2に示した第1のケース半部から更に位置センサとOリングとを外した状態を示した正面図である。
【図4】図3のZ部の拡大図である。
【図5】第1のケース半部の凹部附近の拡大図である。
【図6】(A)及び(B)はそれぞれ本発明の実施形態で用いるグロメットの正面図及び側面図である。
【符号の説明】
【0049】
1 ケース
1A 第1のケース半部
1B 第2のケース半部
121 第1のケース半部の合わせ面
122 第2のケース半部の合わせ面
123 凹部
125 グロメット保持孔
126 ケース側Oリング受け溝
133 溝部
2 グロメット
206 グロメット側Oリング受け溝
210 グロメットの溝部133内に移動させられた部分
3 リード線
4 Oリング
15 モータ
35 出力軸
41 位置センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに突き合わされる合わせ面を有する第1のケース半部と第2のケース半部とに2分割されて、前記第1のケース半部の合わせ面と第2のケース半部の合わせ面とを突き合わせた状態で組み立てられたケースが設けられて、前記ケース内に回転電機の少なくとも一部の構成要素が収容され、前記第1のケース半部と第2のケース半部との突き合わせ部に設けられたグロメット保持孔内にグロメットが圧縮された状態で保持されて、前記ケース内の構成要素につながるリード線が前記グロメットを通して外部に導出されている回転電機において、
前記グロメット保持孔の内周の前記グロメットが直接接する部分に該グロメット保持孔の周方向に伸びる溝部が形成され、
前記グロメットは、前記グロメット保持孔内に配置されて圧縮される前の状態にあるときに前記グロメット保持孔の内周に直接接触する部分が平坦な面を有するように形成され、
前記グロメットが前記グロメット保持孔内に挿入されて圧縮された状態では、前記グロメットの前記グロメット保持孔の内周に直接接触している部分の一部が前記環状の溝部内に移動させられて該溝部内に食い込んでいること、
を特徴とする回転電機。
【請求項2】
互いに突き合わされる合わせ面を有する第1のケース半部と第2のケース半部とに2分割されて、前記第1のケース半部の合わせ面と第2のケース半部の合わせ面とを突き合わせた状態で組み立てられたケースと、前記ケース内に収容された回転電機の構成要素とを備え、前記第1のケース半部の合わせ面の一部には、両ケース半部の合わせ面が突き合わされた際に前記第2のケース半部の合わせ面との間にグロメット保持孔を形成する凹部が設けられ、前記グロメットは、前記凹部内に配置される第1の部分と前記第2のケース半部の合わせ面に当接した状態で配置される第2の部分とを有して、前記第1の部分が凹部内に圧入され、前記第2の部分が第2のケース半部の合わせ面により押圧された状態で前記グロメット保持孔内に圧縮されて配置され、前記ケース内の構成要素につながるリード線が前記グロメットを通して外部に導出されている回転電機において、
前記第1のケース半部に設けられた前記凹部の内周に、前記グロメットの周方向に伸びるグロメット受入溝が形成され、
前記第1のケース半部の合わせ面の前記凹部が設けられた部分以外の部分の全体に亘って前記第1のケース半部の合わせ面の内周縁の輪郭線に沿って伸びるケース側Oリング受け溝が形成されるとともに、前記グロメットの前記第2の部分の外周に前記ケース側Oリング受け溝と整合するグロメット側Oリング受け溝が形成され、
前記ケース側Oリング受け溝内及び前記グロメット側Oリング受け溝内に一部が受入れられたOリングが前記第1のケース半部の合わせ面と第2のケース半部の合わせ面との間に挟み込まれ、
前記グロメットは、前記グロメット保持孔内に挿入される前の状態にあるときに前記第1の部分が平坦な外周面を有するように形成され、
前記グロメットが前記グロメット保持孔内に挿入されて圧縮された状態では、前記グロメットの第1の部分の一部が前記第1の凹部の内周の溝部内に移動させられて該溝部内に食い込んだ状態にされていること、
を特徴とする回転電機。
【請求項3】
前記第1のケース半部の外側にモータが取り付けられて該モータの回転軸が前記第1のケース半部内に導入され、前記回転電機の構成要素は、出力軸と、前記モータの回転を減速して前記出力軸に伝達する歯車減速機と、前記出力軸の回転角度位置を検出して該回転角度位置の情報を含む電気信号を出力する位置センサとを含む請求項1または2に記載の回転電機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−159366(P2007−159366A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−355005(P2005−355005)
【出願日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願人】(000001340)国産電機株式会社 (191)
【Fターム(参考)】