説明

回転電機

【課題】
ステータコア形状を大きく変更することなく、ステータコアに生じるトルクでフレームとステータコアが相対ずれを起こしにくい回転電機を提供する。
【解決手段】
本発明の回転電機は、フレームと、前記フレームの内部に設けられ、樹脂でモールドされたステータコアと、前記ステータコアに対して回転自在に設けられたロータコアと、
前記ロータコアが固着されたシャフトと、前記シャフトを回転自在に保持し、前記フレームに固定されたブラケットと、前記ステータコアと前記ブラケットを係合して当該ステータコアと当該ブラケットの相対回転を阻止する係合部と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機などに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、輪状ステータの外周に溝を形成し、その溝にモールド樹脂を充填することによって、輪状ステータの回り止めを行うステータ構造が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−61278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記ステータ構造を有するモータには、ステータの形状を変更することで、磁路が狭くなりモータの特性が低下するという課題があった。
【0005】
そこで、本発明は、ステータコア形状を大きく変更することなく、ステータコアに生じるトルクでフレームとステータコアが相対ずれを起こしにくい回転電機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、フレームと、前記フレームの内部に設けられ、樹脂でモールドされたステータコアと、前記ステータコアに対して回転自在に設けられたロータコアと、
前記ロータコアが固着されたシャフトと、前記シャフトを回転自在に保持し、前記フレームに固定されたブラケットと、前記ステータコアと前記ブラケットを係合して当該ステータコアと当該ブラケットの相対回転を阻止する係合部と、を備えた回転電機が適用される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ステータコア形状を大きく変更することなく、ステータコアの回り止めをすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1実施形態の回転電機の断面図である。
【図2】同実施形態に係る回転電機の負荷側モールドの突起と溝の構成図である。
【図3】同実施形態に係る回転電機の負荷側のブラケットの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。なお、同一の構成については同一の符号を付することにより、重複説明を適宜省略する。
【0010】
<第1実施形態>
まず、図1を参照しつつ、本発明の第1実施形態に係る回転電機の構成について説明する。図1は、本発明の第1実施形態の回転電機の断面図である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態に係る回り止めを施した回転電機としての電動機は、フレーム1、負荷側モールド2、係合部3、ステータコア4、負荷側軸受5、シャフト6、負荷側のブラケット7、ロータコア8、マグネット9、反負荷側のブラケット10、反負荷側軸受11、反負荷側モールド12を有する。
【0012】
筒状のフレーム1の内周には、積層コアからなり内側に中空部を有する円筒状のステータコア4が設けられている。ステータコア4にはコイル(図示せず)が装着されている。コイルは樹脂でモールドされており、ステータコア4の負荷側には負荷側モールド2が設けられ、ステータコア4の反負荷側には反負荷側モールド12が設けられている。
【0013】
ステータコア4の内側の中空部には、積層コアからなる円柱状のロータコア8が、ステータコア4に対して回転自在に設けられている。ロータコア8は、シャフト6に固着されている。シャフト6は、負荷側軸受5および反負荷側軸受11によって、回転自在に保持されている。フレーム1の負荷側には、負荷側のブラケット7が設けられ、フレーム1の反負荷側には、反負荷側のブラケット10が設けられている。負荷側のブラケット7には負荷側軸受5が保持されており、反負荷側のブラケット10には反負荷側軸受11が保持されている。
【0014】
図1のようにステータコア4と負荷側のブラケット7を組み合わせると、コア一体モールドである負荷側モールド2の負荷側端面に樹脂で形成された第1の係合手段としての溝14(図2参照)と負荷側のブラケット7に形成された第2の係合手段としての突起15(図3参照)とが嵌め合わせられる。これにより、ステータコア4と負荷側のブラケット7の回転が防止される。すなわち、第1の係合手段と第2の係合手段とから、ステータコア4とブラケット7を係合してステータコア4とブラケット7の相対回転を阻止する係合部が構成されている。そして、負荷側のブラケット7がフレーム1に対して、図示せぬ固定手段としてのボルトなどで固定されることにより、ステータコア4の回り止めが実現される。
【0015】
図2に示すように、同実施形態に係る回転電機の負荷側モールドの突起と溝の構成図において、負荷側モールド12は負荷側に、突起13と溝14を有する
【0016】
図3に示すように、同実施形態に係る回転電機の負荷側のブラケットの構成図において、負荷側のブラケット7は突起15を有する。突起15は負荷側のブラケット7の補強リブなどを利用して、負荷側のブラケット7に形成される。
【0017】
以上、本発明の実施形態について説明した。ただし、いわゆる当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、上記実施形態から適宜変更が可能であり、また、上記実施形態と変更例による手法を適宜組み合わせて利用することも可能である。すなわち、このような変更等が施された技術であっても、本発明の技術的範囲に含まれることは言うまでもない。
【0018】
例えば、上記実施形態では、突起と溝を四角形で表記しているが、回り止めが可能であれば、突起、溝の形状は特に限定されない。
また、負荷側モールド2と負荷側のブラケット7とで、溝と突起の位置関係を入れ替えても構わない。すなわち、負荷側モールド2に第2の係合手段を設け、負荷側のブラケット7に第1の係合手段を設けても構わない。さらに、係合部を反負荷側である反負荷側のブラケット10と反負荷側モールド12に設けても構わない。
また、回転電機として、発電機を採用しても構わない。
【符号の説明】
【0019】
1 フレーム
2 負荷側モールド
3 係合部
4 ステータコア
5 負荷側軸受
6 シャフト
7 ブラケット
8 ロータコア
9 マグネット
10 ブラケット
11 反負荷側軸受
12 反負荷側モールド
13 突起
14 溝
15 突起


【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームと、
前記フレームの内部に設けられ、樹脂でモールドされたステータコアと、
前記ステータコアに対して回転自在に設けられたロータコアと、
前記ロータコアが固着されたシャフトと、
前記シャフトを回転自在に保持し、前記フレームに固定されたブラケットと、
前記ステータコアと前記ブラケットを係合して当該ステータコアと当該ブラケットの相対回転を阻止する係合部と、
を備えた回転電機。
【請求項2】
前記係合部が、前記ステータコアまたは前記ブラケットのいずれか一方に設けられた溝と、当該ステータコアまたは当該ブラケットのいずれか他方に設けられ前記溝に嵌合する突起と、を含むことを特徴とする請求項1記載の回転電機。
【請求項3】
前記突起が前記ブラケットに設けられたことを特徴とする請求項2記載の回転電機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−59157(P2013−59157A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−194927(P2011−194927)
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(000006622)株式会社安川電機 (2,482)
【Fターム(参考)】