説明

固体形態の不揮発性微生物代謝産物の発酵生産

【課題】糖に基づいた微生物発酵によって少なくとも1つの不揮発性微生物代謝産物を固体形態で産生するための方法の提供。
【解決手段】所望の代謝産物を産生する微生物株を、液体培地の全重量に基づいて20重量%を超える単糖含有率を有する糖含有液体培地を用いて培養し、発酵液の揮発性成分を大部分除去し、a1)穀物から選択されるデンプン供給原料を製粉するステップと、a2)水性液体中のその製粉化材料を少なくとも1つのデンプン液化酵素の存在下で液化し、続いて糖化酵素を用いて糖化するステップであって、粉砕原料の部分量を連続的にまたはバッチ式で水性液体に加えることによってその液化を行うステップとによって生成する、上記方法であり、得られる不揮発性微生物代謝産物の固体製剤に関し;ヒトもしくは動物の食品への添加剤もしくは補充剤としての、または織物、革、セルロース、紙または表面を処理するための、固体製剤の使用する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀物から選択されたデンプン供給原料を粉砕、液化および糖化することによる、かつ得られた糖含有液体培地を発酵に用いることによる、固体形態の不揮発性微生物代謝産物の発酵生産に関する。
【背景技術】
【0002】
微生物発酵によって、たとえばアミノ酸、ビタミンおよびカロテノイドなどの不揮発性微生物代謝産物を製造する方法は、一般的に知られている。その様々な方法の条件に応じて、様々な炭素供給原料がこの目的のために利用されている。それらは、テンサイおよびサトウキビの糖蜜由来の純スクロースから、高品質糖蜜(転化サトウキビ糖蜜)として知られているもの、デンプン加水分解物由来のグルコースにまで及ぶ。さらに、酢酸およびエタノールが、L-リシンの生物工学的生産のために工業的スケールで使用することができる補基質として言及されている(Pfefferle他、Biotechnological Manufacture of Lysine、Advances in Biochemical Engineering/Biotechnology、第79巻 (2003年)、59〜112ページ)。
【0003】
上述の炭素供給原料に基づいて、糖に基づいた不揮発性微生物代謝産物の発酵生産の様々な方法および手順が確立されている。L-リシンを例にとると、これらは、株の開発、方法の開発および工業的生産に関して、たとえばPfefferle他(上記引用文)に記載されている。
【0004】
不揮発性微生物代謝産物の微生物媒介性発酵生産の重要な炭素供給原料はデンプンである。デンプンは、発酵の炭素供給原料として利用することができる以前に、先行の反応工程でまず液化および糖化しなければならない。この目的のために、デンプンは、通常、ジャガイモ、キャッサバ、穀類、たとえばコムギ、トウモロコシ(コーン)、オオムギ、ライムギ、ライコムギまたはコメなどの天然のデンプン供給原料から事前に精製された形態で入手し、続いて酵素的に液化および糖化し、その後、これを所望の代謝産物を生産するための実際の発酵で用いる。
【0005】
そのような事前に精製されたデンプン供給原料の使用に加えて、不揮発性微生物代謝産物を発酵生産するための炭素供給原料を調製するための、前処理していないデンプン供給原料の使用も記載されている。典型的には、デンプン供給原料を粉砕することによって最初に微粉砕する。その後、粉砕原料を液化および糖化に供する。この粉砕原料は、天然に、デンプン以外に、発酵に悪影響を与える一連の非デンプン質成分を含むので、通常はこれらの成分を発酵前に除去する。この除去は、粉砕直後(国際公開WO02/277252号;日本特許JP2001-072701号;日本特許JP56-169594号;中国特許CN1218111号)、液化後(国際公開WO02/277252号;中国特許CN1173541号)または糖化に続いて(中国特許CN1266102号; Beukema他:Production of fermentation syrups by enzymatic hydrolysis of potatoes; potato saccharification to give culture medium(学会要旨)、Symp. Biotechnol. Res. Neth. (1983年)、6; NL8302229)行うことができる。しかし、すべての変形法が、発酵において実質的に純粋なデンプン加水分解物の使用を伴う。
【0006】
より最近の技術は、特に、発酵前に、たとえば液化および糖化したデンプン溶液の精製(日本特許JP57159500号)ならびに再生可能な資源からの発酵培地の精製(欧州特許EP1205557号)を可能にすることを意図する、改良された方法に取り組んでいる。
【0007】
対照的に、未加工のデンプン供給原料は、バイオエタノールの発酵生産において大スケールで適用されることが知られている。「乾式製粉」として知られる、デンプン供給原料を乾式粉砕し、液化し、糖化する方法は、大スケールで工業的に確立されている。適切な方法の説明は、たとえば、「The Alcohol Textbook - A reference for the beverage, fuel and industrial alcohol industries」、Jaques他 (編)、Nottingham Univ. Press 1995年、ISBN 1-8977676-735およびMcAloon他、「Determining the cost of producing ethanol from corn starch and lignocellulosic feedstocks」、NREL/TP-580-28893、National Renewable Energy Laboratory、2000年10月に見つけることができる。
【0008】
乾式製粉方法では、第1のステップで穀物そのもの、好ましくは、トウモロコシ、コムギ、オオムギ、ソルガムおよびキビ、ならびにライムギを微細に粉砕する。「湿式製粉」方法として知られている方法とは対照的に、追加の液体は加えない。微細成分へ粉砕するのには、続く液化および糖化において穀粒中に存在するデンプンが水および酵素の作用を受けやすくさせる目的がある。
【0009】
バイオエタノールの発酵生産では、価値のある生成物は蒸留によって得られるので、事前に精製されていない形態での乾式製粉プロセスからのデンプン供給原料の使用は、特に問題とはならない。しかし、不揮発性微生物代謝産物を生産するために乾式製粉方法を用いる場合、糖溶液を介して発酵に導入する固体流は、発酵に有害作用を有し得るだけでなく、続く後処理を相当に複雑にし得るので、問題である。
【0010】
したがって、多くの発酵において、特に微生物が厳しい酸素要求性を有する場合に、用いる微生物への酸素供給が限定要因である。一般に、気体相から液相への酸素の移行に対する、すなわち酸素の移行速度に対する、高い固体濃度の影響に関してはあまり知られていない。他方で、固体濃度の増加に伴って増加する粘度により、酸素の移行速度の低下がもたらされることは知られている。しかし、さらに、界面活性物質を固体と共に発酵培地に導入した場合は、それが、気泡が凝固する傾向に影響を及ぼすことが知られている。生じた気泡の大きさは、次に、酸素の移行に対して相当の影響を与える(Mersmann、A.他:Selection and Design of Aerobic Bioreactors、Chem. Eng. Technol. 13 (1990年)、357〜370ページ)。
【0011】
固体導入の結果、たとえば水中に30重量%を超える粉砕トウモロコシを含む懸濁液はもはや均質に混合することができないので、用いた培地はデンプン含有懸濁液の調製中に早くも臨界粘度値に達する場合がある(Industrial Enzymology、第2版、T. Godfrey、S. West、1996年)。このことは、慣用手順でのグルコース濃度を制限する。概して、より低い濃度の溶液を用いることは、発酵液の不均等な希釈をもたらすので手法の経済的な理由から不利である。これが、標的産物の達成可能な最終濃度を低下させ、そのことが、それらを発酵培地から単離する際のさらなる費用を生じさせ、時空収量が低下し、その結果、同じ生産量の場合、より大きな体積、すなわちより高い投資費用が必要となる。
【0012】
これらの問題のせいで、従来技術の乾式製粉方法の変形法は不揮発性微生物代謝産物を発酵生産するためのデンプン供給原料を提供するのに適しておらず、したがって、特段の経済的重要性を有さない。現在までに、この方法に関連して原理上では存在する乾式製粉の概念および利点を、不揮発性微生物代謝産物の工業的スケールの生産に応用する試みは、デンプン供給原料としてキャッサバを用いる場合のみ記載されている。
【0013】
すなわち、日本特許JP2001/275693号は、乾燥状態で粉砕した剥皮したキャッサバ塊茎をデンプン供給原料として用いる、アミノ酸の発酵生産方法を記載しているが、この方法を実施するためには、粉砕原料の粒子径を≦150μmに調節する必要がある。この目的のために用いる濾過ステップでは、非デンプン含有成分を含めた、用いた粉砕原料の10重量%を超える量を除去した後、含まれるデンプンを液化/糖化し、続いて発酵する。アミノ酸含有飼料添加物を生産するために、類似の方法が日本特許JP2001/309751号に記載されている。
【0014】
しかし、キャッサバは、他のデンプン供給原料、特に穀類または穀物と比べて、乾式製粉プロセスに関して比較的問題がないはずである。デンプンが典型的には乾燥キャッサバ根の少なくとも80重量%を占める(Menezes他、Fungal celluloses as an aid for the saccharification of Cassava、Biotechnology and Bioengineering、第20巻 (4)、1978年、John Wiley and Sons, Inc.、表1、558ページ)のに対し、穀類中のデンプン含有率(乾物)は比較するとそれよりかなり低く、概して70重量%未満である。たとえば、デンプンは、トウモロコシの場合は約68重量%になり、コムギの場合は約65重量%になる(Jaques他、The Alcohol Textbook、同上)。したがって、液化および糖化後に得られるグルコース溶液は、乾燥粉砕したキャッサバを用いた場合に、より少ない混入物質、具体的にはより少ない固体を含む。穀物をデンプン供給原料として用いる場合、その混入物質、特に非デンプン質の固体は、そのデンプン供給原料においてキャッサバよりも顕著に高い割合を占めるので、問題であることが判明している。これは、混入物質の量の増加により、反応混合物の粘度を相当に増加させるためである。
【0015】
しかし、キャッサバデンプンは、加工が比較的容易なはずである。コーンスターチと比較して膨潤温度でより高い粘度を有するが、それとは対照的に、その粘度は、例えばコーンスターチの場合よりもキャッサバの場合には、上昇した温度ではより急速に低下する(Menezes, T.J.B. de、Saccharification of Cassava for ethyl alcohol production、Process Biochemistry、1978年、24ページ、右段)。さらに、キャッサバデンプンの膨潤温度およびゼラチン化温度はトウモロコシなどの穀類由来のデンプンよりも低く、このことが、穀類デンプンよりも細菌性α-アミラーゼの方がより利用しやすい理由である(Menezes, T.J.B. de、上記引用文)。
【0016】
穀類デンプン供給原料に優るキャッサバのさらなる利点は、その低いセルロース含有率および低いフィチン酸塩含有率である。セルロースおよびヘミセルロースは、特に酸性糖化条件下で、フルフラールに変換され(Jaques他、The Alcohol Textbook、同上; Menezes, T.J.B. de、同上)、次にこれは、発酵に用いる微生物に対して阻害効果を有し得る。同様に、フィチン酸塩は発酵に用いる微生物を阻害する。
【0017】
したがって、技術的側面からは、乾式製粉方法に対応する方法においてキャッサバをデンプン供給原料として加工することは可能であるが、そのようなキャッサバに基づく方法は依然として複雑であり、最適化されておらず、そのため、幅広く使用されていない。現在まで、不揮発性微生物代謝産物などのファインケミカルを製造するための乾式製粉方法に対応する方法において穀類をデンプン供給原料として使用することについては、報告がなされていない。
【0018】
国際公開WO2005/116228号が、用いるデンプン供給原料が穀物または他の乾燥穀粒もしくは種子の粉砕原料であり、発酵前に非デンプン質成分を除去しない、ファインケミカルの微生物生産のための糖に基づいた発酵方法を最初に記載している。発酵液から揮発性成分を実質的に除去し、発酵産物を含む固体を生じることは、記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】国際公開WO02/277252号
【特許文献2】日本特許JP2001-072701号
【特許文献3】日本特許JP56-169594号
【特許文献4】中国特許CN1218111号
【特許文献5】国際公開WO02/277252号
【特許文献6】中国特許CN1173541号
【特許文献7】中国特許CN1266102号
【特許文献8】日本特許JP57159500号
【特許文献9】欧州特許EP1205557号
【特許文献10】日本特許JP2001/275693号
【特許文献11】日本特許JP2001/309751号
【特許文献12】国際公開WO2005/116228号
【非特許文献】
【0020】
【非特許文献1】Pfefferle他、Biotechnological Manufacture of Lysine、Advances in Biochemical Engineering/Biotechnology、第79巻 (2003年)、59〜112ページ
【非特許文献2】Beukema他:Production of fermentation syrups by enzymatic hydrolysis of potatoes; potato saccharification to give culture medium(学会要旨)、Symp. Biotechnol. Res. Neth. (1983年)、6; NL8302229
【非特許文献3】「The Alcohol Textbook - A reference for the beverage, fuel and industrial alcohol industries」、Jaques他 (編)、Nottingham Univ. Press 1995年、ISBN 1-8977676-735
【非特許文献4】McAloon他、「Determining the cost of producing ethanol from corn starch and lignocellulosic feedstocks」、NREL/TP-580-28893、National Renewable Energy Laboratory、2000年10月
【非特許文献5】Mersmann、A.他:Selection and Design of Aerobic Bioreactors、Chem. Eng. Technol. 13 (1990年)、357〜370ページ
【非特許文献6】Industrial Enzymology、第2版、T. Godfrey、S. West、1996年
【非特許文献7】Menezes他、Fungal celluloses as an aid for the saccharification of Cassava、Biotechnology and Bioengineering、第20巻 (4)、1978年、John Wiley and Sons, Inc.、表1、558ページ
【非特許文献8】Menezes, T.J.B. de、Saccharification of Cassava for ethyl alcohol production、Process Biochemistry、1978年、24ページ、右段
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明の目的は、トウモロコシを含めた穀類をデンプン供給原料として用いることを可能にする、不揮発性微生物代謝産物の糖に基づいた発酵生産のための効率的方法を提供することであった。この方法は、発酵混合物の簡易な後処理を、特に乾燥プロセスを用いて、可能にするものであった。さらに、この方法は、用いた培地の取扱い容易性によって卓越しており、特に、例えば、発酵前の、固体非デンプン質成分の除去などの、複雑な事前精製または主精製ステップを回避するものであった。
【課題を解決するための手段】
【0022】
出願人の会社が行った研究に関連して、驚くべきことに、このような方法を、糖含有液体培地を調製するために、少なくとも1つのデンプン液化酵素の存在下で水性液体中の穀物から得られた粉砕原料を液化し、続いて少なくとも1つの糖化酵素を用いて該混合物を糖化することによって、本来の増加した固体含有率にもかかわらず、効率的な様式で実施できることが判明し、またこの方法において、液化目的で、粉砕原料の少なくとも一部を液化の過程中に連続的にまたはバッチ式で水性液体に加える。
【0023】
したがって、本発明は、糖に基づいた微生物発酵によって少なくとも1つの不揮発性微生物代謝産物を固体形態で製造する方法であって、該方法において、所望の代謝産物(複数可)を産生する微生物株を、液体培地の全重量に基づいて20重量%を超える単糖含有率を有する糖含有液体培地を用いて増殖させ、続いて発酵液の揮発性成分を大部分除去するが、該糖含有液体培地は、以下のステップ:
a1)穀物から選択されるデンプン供給原料を製粉することによって、粉砕原料を生産するステップと、
a2)水性液体中の粉砕原料を少なくとも1つのデンプン液化酵素の存在下で液化し、次いで少なくとも1つの糖化酵素を用いて糖化するステップ、
によって調製されるものであり、
但し、液化目的で、粉砕原料の少なくとも一部を液化の過程中に連続的にまたはバッチ式で水性液体に加える、
上記方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
デンプン供給原料に適しているものは、主に、乾燥状態でデンプンが少なくとも40重量%、好ましくは少なくとも50重量%になる乾燥穀粒または種子である。これらは、トウモロコシ、コムギ、カラスムギ、オオムギ、ライムギ、ライコムギ、コメならびに様々なソルガムおよびキビ種、たとえばサトウモロコシおよびミロなどの、現在大規模栽培されている穀類植物の多くで見つかる。デンプン供給原料は、好ましくはトウモロコシ、ライムギ、ライコムギおよびコムギ穀粒から選択される。原則として、本発明による方法は、たとえば様々な類似のデンプン含有穀粒または種子の混合物などの、類似のデンプン供給原料を用いて実施することもできる。
【0025】
本発明に従って産生した糖含有液体培地中に存在する糖は、本質的に六単糖および五単糖などの単糖、たとえばグルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、ソルボース、キシロース、アラビノースおよびリボース、特にグルコースである。グルコース以外の単糖の量は用いるデンプン供給原料およびその中に存在する非デンプン質成分に応じて様々であってよく、反応の実施、たとえばセルラーゼの添加によるセルロース成分の分解によって影響を受け得る。有利には、糖含有液体培地の単糖は、グルコースを、糖含有液体培地中に存在する糖の合計量に基づいて少なくとも60重量%、好ましくは少なくとも70重量%、特に好ましくは少なくとも80重量%の量で含む。通常、グルコースの量は、糖含有液体培地中に存在する糖の合計量に基づいて75〜99重量%、特に80〜97重量%、特定的には85〜95重量%の範囲となる。
【0026】
本発明に従って調製した液体培地中の単糖濃度、特定的にはグルコース濃度は、しばしば、液体培地の全重量に基づいて少なくとも25重量%、好ましくは少なくとも30重量%、特に好ましくは少なくとも35重量%、特に少なくとも40重量%、たとえば25%〜55重量%、特に30〜52重量%、とりわけ好ましくは35〜50重量%、特定的には40〜48重量%である。
【0027】
本発明に従って、所望の代謝産物を産生する微生物株を培養するために用いる糖含有液体培地は、抽出率に対応して、粉砕穀物中に存在する非デンプン質固体成分の少なくとも一部、好ましくは少なくとも20重量%、特に少なくとも50重量%、特定的には少なくとも90重量%、非常に特定的には少なくとも99重量%を含む。粉砕原料のデンプン質成分(したがって糖含有液体培地中の単糖の量)に基づいて、糖含有液体培地中の非デンプン質固体成分は、好ましくは、少なくとも10重量%、特に少なくとも25重量%、たとえば25〜75重量%、と特定的には30〜60重量%になる。
【0028】
糖含有液体培地を調製するためには、目的のデンプン供給原料を、ステップa1)で、液体、たとえば水を添加してまたは添加せずに、好ましくは液体を添加せずに、製粉する。また、乾式製粉を、続く湿式製粉ステップと組み合わせることも可能である。乾式製粉のために通常用いる装置は、ハンマーミル、ローターミルまたはローラーミルであり、湿式製粉に適した装置は、パドルミキサー、撹拌ボールミル、循環ミル、ディスクミル、環状チャンバミル、振動ミルまたは遊星ミルである。原則的には、他のミルも適している。湿式製粉に必要な液体の量は、日常的な実験から当業者によって決定することができる。通常は、乾物含有率が10〜20重量%の範囲であるように調節される。
【0029】
粉砕により、続く加工ステップに適した粒子径がもたらされる。この内容では、製粉ステップ、具体的にはステップa1)の乾式製粉ステップで得られた粉砕原料が、100〜630μmの粒子径を有する小麦粉粒子、すなわち粒子状成分を、30〜100重量%、好ましくは40〜95重量%、特に好ましくは50〜90重量%の範囲の量で有する場合に有利であることが証明された。好ましくは、得られた粉砕原料は、粒子径が100μmを超える小麦粉粒子を50重量%含む。概して、得られた小麦粉粒子の少なくとも95重量%が2mm未満の粒子径を有する。この内容では、粒子径は、振動分析器を用いたスクリーン分析によって測定する。原則的に、小さな粒子径が高い生成物収率のために有利である。しかし、過度に小さな粒子径は問題を引き起こすかもしれず、特に、液化または加工時に粉砕原料をスラリー化する際、たとえば発酵ステップ後の固体の乾燥時の凝集塊形成(clump formation/agglomeration)による問題を引き起こし得る。
【0030】
通常、小麦粉は抽出率または小麦粉グレードによって特徴づけられており、それらの互いの相関は、抽出率の増加に伴って小麦粉グレードの特性が上がるというものである。抽出率は、適用した粉砕原料100重量部に基づいて、得られた小麦粉の重量に基づく量に対応する。製粉プロセス中に、純粋で超微細な小麦粉、たとえば穀物粒内部由来のものが最初に得られるが、小麦粉の粗繊維量および穀皮含有率が増加し、一方で、さらなる製粉の際に、すなわち抽出率の増加に伴ってデンプンの割合が低下する。したがって、抽出率は、小麦粉グレードとして知られているものにも反映され、これは、小麦粉、特に穀粉を分類するための数字として用いられ、また、小麦粉の灰分(灰分基準として知られる)に基づいている。小麦粉グレードまたは型番号は、100gの小麦粉固体を焼却した場合に残る灰(ミネラル)の量をmgで示す。穀粉の場合、穀物粒の核は約0.4重量%の灰分を含み、穀皮は約5重量%の灰分を含むので、より高い型番号はより高い抽出率を意味する。より低い抽出率の場合、穀粉は微粉砕した胚乳、すなわち穀物粒のデンプン成分から主に構成されることとなり;より高い抽出率の場合、穀粉は穀物の微粉砕したタンパク質含有澱粉層も含み;粗い製粉の場合、これらは、タンパク質含有および脂質含有胚の成分ならびに種子穀皮の成分も含み、これらは原料繊維および灰分を含む。本発明の目的のために、高い抽出率または高い型番号を有する小麦粉が原則として好ましい。穀類をデンプン供給原料として用いる場合は、その穀皮を有する穀粒そのものを、適切な場合は事前に胚芽および穀皮を機械的に除去した後、製粉および加工することが好ましい。
【0031】
粉砕原料中に存在するデンプンを液化するためには、粉砕原料の少なくとも一部、好ましくは少なくとも40重量%、特に少なくとも50重量%、特段に好ましくは少なくとも55重量%を、ステップa2)で、液化ステップの過程中に、しかし好ましくは糖化ステップの前に、反応器に導入する。しばしば、加える粉砕原料の量は、用いる粉砕原料の合計量に基づいて90重量%を超えず、とりわけ85重量%、特に好ましくは80重量%である。典型的には、液化の過程中に加える粉砕原料の一部は、液化ステップの際に見られる条件下で反応器に供給する。添加は、バッチ式で、すなわち部分ごとに、好ましくはそれぞれ、液化する粉砕原料の合計量の20重量%以下の量、特に好ましくは10重量%以下、たとえば1〜20重量%、特に2〜10重量%のいくつかの部分に分けて、あるいは連続的に、実施することができる。本発明においては、粉砕原料の一部のみ、好ましくは粉砕原料の60重量%以下、具体的には50重量%以下、特に好ましくは45重量%以下が、液化プロセスの最初に反応器中に存在し、残りの粉砕原料を液化ステップの際に加えることが肝心である。
【0032】
粉砕原料は、粉末として、すなわち水を加えずに、または水性液体、たとえば、新鮮な水、再循環プロセス水(たとえば発酵もしくは後処理からのもの)中の懸濁液として、加え得る。
【0033】
また、液化は、連続的に、たとえば複数ステップの反応カスケードで実施することもできる。
【0034】
本発明に従って、ステップa2)での液化は、好ましくはα-アミラーゼ類から選択される少なくとも1つのデンプン液化酵素の存在下で実施する。反応条件下で活性および安定であり、安定したデンプンを液化する他の酵素も、同様に用いることができる。
【0035】
以下の記述はα-アミラーゼの使用に関するが、すべてのデンプン液化酵素にも一般的に適用される。
【0036】
α-アミラーゼ(または用いるデンプン液化酵素)は、最初に反応器中に導入するか、ステップa2)の過程中で加えることができる。好ましくは、ステップa2)で必要なα-アミラーゼの一部をステップa2)の最初に加えるか、または最初に反応器内に入れておく。α-アミラーゼの合計量は、通常は、用いるデンプン供給原料の合計量に基づいて0.002〜3.0重量%、好ましくは0.01〜1.5重量%、特に好ましくは0.02〜0.5重量%の範囲である。
【0037】
液化は、ゲル化温度よりも高いまたは低い温度で実施することができる。好ましくは、ステップa2)の液化は、少なくとも部分的には、用いるデンプンのゲル化温度よりも高い温度で実施する(加熱処理プロセスとして知られる)。概して、70〜165℃、好ましくは80〜125℃、特に好ましくは85〜115℃の範囲の温度を選択し、温度は、好ましくはゲル化温度よりも少なくとも5℃、特に好ましくは少なくとも10℃高い。
【0038】
最適なα-アミラーゼ活性に達するためには、ステップa2)は、好ましくは少なくとも部分的に弱酸性の範囲のpH、好ましくは4.0〜7.0、特に好ましくは5.0〜6.5で実施し、pHは通常、ステップa2)の前またはその最初に調整する;好ましくは、このpHは液化中に確認し、適切な場合は再調整する。pHは、好ましくは、H2SO4もしくはH3PO4などの希無機酸、または水酸化ナトリウム水溶液(NaOH)もしくは水酸化カリウム水溶液(KOH)などの希水酸化アルカリ液を用いて、あるいは水酸化カルシウム水溶液などのアルカリ土類水酸化物液を用いて調整する。
【0039】
好ましい実施形態では、本発明による方法のステップa2)は、粉砕原料の合計量に基づいて60重量%以下、好ましくは50重量%以下、特に好ましくは45重量%以下、たとえば10〜60重量%、具体的には15〜50重量%、特に好ましくは20〜45重量%の量となる一部を、最初に水性液体、たとえば、新鮮な水、再循環プロセス水(たとえば発酵もしくは加工段階からのもの)、またはこれらの液体の混合物中に懸濁させ、続いて液化を実施するようにして、実施する。粉砕原料の懸濁液を作製するために用いる液体を、適度に上昇した温度、たとえば40〜60℃の範囲まで予熱することができる。好ましくは、粉砕原料懸濁液の調製に適用する液体は、30℃以下であり、特に室温、すなわち15〜28℃である。
【0040】
その後、少なくとも1つのデンプン液化酵素、好ましくはα-アミラーゼをこの懸濁液に加える。α-アミラーゼを用いる場合は、α-アミラーゼの一部のみ、たとえばステップa2)で用いるすべてのα-アミラーゼに基づいて10〜70重量%、特に20〜65重量%を加えることが有利である。この時点で加えるα-アミラーゼの量は、使用するデンプン供給原料に関する反応条件下における目的のα-アミラーゼの活性に依存し、一般的には、用いるデンプン供給原料の合計量に基づいて0.0004〜2.0重量%、好ましくは0.001〜1.0重量%、特に好ましくは0.02〜0.3重量%の範囲である。代替方法として、α-アミラーゼの一部は、懸濁液を作製する前に、使用する液体と混合することができる。
【0041】
この内容では、α-アミラーゼの一部は、好ましくは、液化に使用する温度までの加熱を開始する前に、具体的には室温でまたは適度にのみ上昇した温度で、たとえば20〜30℃の範囲で、懸濁液に加える。
【0042】
有利には、α-アミラーゼおよび粉砕原料の量は、懸濁液の有効な混合、たとえば撹拌による混合を可能にするために、糖化プロセス、特にゲル化プロセス中の粘度が十分に低下するように選択する。好ましくは、ゲル化の際の反応混合物の粘度は、20Pas以下、特に好ましくは10Pas以下、特段に好ましくは5Pas以下になる。概して、その粘度は、M5測定システムおよびMVDIN装置を備えたHaake粘度計Roto Visko RV20型を用いて、50℃の温度および200s-1の剪断速度で測定する。
【0043】
このように作製した懸濁液を、その後、好ましくは用いるデンプンのゲル化温度よりも高い温度で加熱する。概して、70〜165℃、好ましくは80〜125℃、特に好ましくは85〜115℃の範囲の温度を選択し、その温度は、好ましくは、ゲル化温度よりも少なくとも5℃、特に好ましくは少なくとも10℃高い。粘度をモニターしながら、粉砕原料のさらなる一部を、たとえば、それぞれ、用いる粉砕原料のすべてに基づく2〜20重量%、特に5〜10重量%の量で部分ごとに、粉砕原料の懸濁液に徐々に加える。液化ステップの過程中に加える粉砕原料の一部は、少なくとも2つ、好ましくは少なくとも4つ、特に好ましくは少なくとも6つの画分で反応混合物に加えることが好ましい。代替方法として、懸濁液の作製に用いなかった粉砕原料の一部を液化ステップ中に連続的に加えることができる。添加の際、温度は、有利にはデンプンのゲル化温度よりも高く保つべきである。好ましくは、粉砕原料は、添加の際、または液化プロセスの際の反応混合物の粘度が、20Pas以下、特に好ましくは10Pas以下、特段に好ましくは5Pas以下にとなるように加える。
【0044】
すべての粉砕原料を加えた後、反応混合物は通常、一定の時間、たとえば30〜60分間または必要な場合はそれ以上、加熱処理されるる粉砕原料のデンプン成分のデンプンのゲル化温度よりも高く設定した温度に保つ。その後、反応混合物を、概して、ゲル化温度よりも高いがやや低下した温度、たとえば75〜90℃まで冷却し、その後、さらなるα-アミラーゼの一部、好ましくは主部分を加える。用いるα-アミラーゼの反応条件下における活性に応じて、この時点で加えるα-アミラーゼの量は、用いるデンプン供給原料の合計量に基づいて、好ましくは0.002〜2.0重量%、特に好ましくは0.01〜1.0重量%、特段に好ましくは0.02〜0.4重量%である。
【0045】
これらの温度では、デンプンの顆粒状構造は破壊され(ゲル化)、デンプンの酵素的分解(液化)が可能となる。デンプンをデキストリンへと完全に分解するために、ヨウ素によるデンプンの検出、または適切な場合はデンプンを検出するための別の試験が、陰性または少なくとも本質的に陰性となるまで、反応混合物を設定した温度に保つか、または適切な場合はさらに加熱する。適切な場合は、1つまたは複数のさらなるα-アミラーゼの一部、たとえば、用いるデンプン供給原料の合計量に基づいて0.001〜0.5重量%、好ましくは0.002〜0.2重量%の範囲を、ここで反応混合物に加え得る。
【0046】
デンプンの液化が終了したのち、液体培地中に存在するデキストリンを糖化する、すなわち連続的にまたはバッチ式で、好ましくは連続的に、グルコースへと分解する。液化した培地は、発酵ステップb)に供給する前に特定の糖化タンク内で完全に糖化することができる。しかし、発酵前には部分糖化のみを実施することができて有利であることが証明された。たとえば、液体培地中に存在するデキストリンの一部、たとえばデキストリンの全重量(または最初のデンプン)に基づいて10〜90重量%の範囲、具体的には20〜80重量%の範囲の量を糖化し、得られた糖含有液体培地を発酵で用いるという手順に従うことができる。その後、発酵培地中in situでさらなる糖化を用いることができる。さらに、別個の糖化タンクなしで、糖化を発酵槽中で直接(in situ)実施することができる。
【0047】
in-situ糖化の利点、すなわち発酵槽中で部分的にまたは完全に起こる糖化の利点は、第1に経費の低減であり;第2に、グルコースの遊離遅延が、適切な場合は、用いる微生物における阻害または代謝変化をもたらさずにより高いグルコース濃度をバッチで提供することが可能になることである。大腸菌(E. coli)の場合、たとえば、過度に高いグルコース濃度は有機酸(酢酸)の形成をもたらし、一方、同様の場合の出芽酵母(Saccharomyces cerevisae)は、たとえば、通気発酵槽中に十分な量の酸素が存在するにもかかわらず発酵へと切り換わる(クラブトリー効果)。グルコースの遊離遅延は、グルコアミラーゼ濃度を制御することによって調節することができる。これにより上述の効果の抑制が可能となり、より多くの基質を最初に導入することができ、したがって、加えた供給流によってもたらされる希釈を減らすことができる。
【0048】
別個の糖化、たとえば糖化タンク内での糖化の場合、液化したデンプン溶液を、通常、糖化酵素に最適な温度またはわずかに低い温度、たとえば50〜70℃、好ましくは60〜65℃まで冷ましまたは加温し、続いてグルコアミラーゼで処理する。
【0049】
糖化を発酵槽中で実施する場合は、液化したデンプン溶液は、概して、発酵槽に供給する前に発酵温度、すなわち32〜37℃まで冷却する。この場合、糖化用のグルコアミラーゼ(または少なくとも1つの糖化酵素)を発酵液に直接加える。ここで、ステップa2)に従った液化したデンプンの糖化が、微生物による糖の代謝と並行して起こる。
【0050】
グルコアミラーゼを加える前に、液体培地のpHを、有利には、用いるグルコアミラーゼの最適な活性範囲、好ましくは3.5〜6.0;特に好ましくは4.0〜5.5、特段に好ましくは4.0〜5.0の範囲内の値に調整する。しかし、特に、糖化を発酵槽内で直接実施する場合には、pHを上述の範囲、たとえば6.0〜8.0の範囲外の値に調整することも可能である。これは、たとえばリシン、パントテン酸塩およびビタミンB2の生産においては、このpH範囲内での標準のグルコアミラーゼの制限された活性にもかかわらず、全体としては利点となる場合があり、または、調整すべき発酵条件の結果として必要となり得る。
【0051】
好ましい実施形態では、糖化は特定の糖化タンク内で実施する。この目的を果たすために、液化したデンプン溶液を酵素に最適な温度またはわずかに低い温度としてそこで保ち、pHを上述の様式で該酵素に最適な値に調整する。
【0052】
通常、グルコアミラーゼは、用いるデンプン供給原料の合計量に基づいて0.001〜5.0重量%、好ましくは0.005〜3.0重量%、特に好ましくは0.01〜1.0重量%の量で、デキストリン含有液体培地に加える。グルコアミラーゼを加えたのち、デキストリン含有懸濁液は、好ましくは、たとえば2〜72時間または必要な場合はそれ以上、具体的には5〜48時間の期間、設定した温度に保ち、デキストリンが糖化されて単糖が得られる。糖化プロセスの進行は、当業者に知られている方法、たとえば、HPLC、酵素アッセイまたはグルコース試験紙を用いてモニターすることができる。糖化は、単糖濃度が実質的に上昇しなくなる、または実際に低下した際に完了である。
【0053】
好ましい実施形態では、ステップa2)における、少なくとも1つのα-アミラーゼおよび少なくとも1つのグルコアミラーゼの存在下での粉砕原料の添加は、液体培地の粘度が20Pas以下、好ましくは10Pas以下、特に好ましくは5Pas以下であるように実施する。粘度の制御を補助するために、加える粉砕原料の合計量の少なくとも25重量%、好ましくは少なくとも35重量%、特に好ましくは少なくとも50重量%を、粉砕原料中に存在するデンプンのゼラチン化温度よりも高い温度で加えることが有利であることが証明されている。さらに、粘度の制御は、少なくとも1つのデンプン液化酵素、好ましくはα-アミラーゼ、および/または少なくとも1つの糖化酵素、好ましくはグルコアミラーゼを、それ自体で部分ごとに加えることによって、影響を及ぼすことができる。
【0054】
ステップa1)およびa2)を実施することによって、液体培地の全重量に基づいて好ましくは25重量%を超える、たとえば30重量%を超えるまたは35重量%を超える、特に好ましくは40重量%を超える、たとえば>25〜55重量%、具体的には>30〜52重量%、特に好ましくは>35〜50重量%、明確には>40〜48重量%の、単糖含有率、特にグルコース含有率、を有する糖含有液体培地を製造することが可能である。そのような場合、液体培地中の合計の固体含有率は、典型的には30〜70重量%、しばしば35〜65重量%、具体的には40〜60重量%となる。単糖またはグルコース、濃度および固体含有率は、液化に用いる粉砕原料と液体量との比、および粉砕原料のデンプン含有率に基づき、それ自体で知られている様式で依存する。
【0055】
粉砕原料中のデンプンの一部の液化に用いることができる酵素は、原則として、すべてのα-アミラーゼ(酵素クラスEC3.2.1.1)、特にバチルス・リケニホルミス(Bacillus lichenformis)またはバチルス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)から得られたα-アミラーゼ、特定的にはバイオエタノールの生産に関連して乾式製粉方法によって得られる材料の液化に用いられるものである。液化に適したα-アミラーゼは、たとえばNovozymesから商品名ターマミル120L L型で;またはGenencorから商品名Spezymeでも販売されている。様々なα-アミラーゼの組合せも液化に用い得る。
【0056】
液化したデンプン溶液中のデキストリン(すなわちオリゴ糖)の糖化に用いることができる酵素は、原則として、デキストリンの糖化に適したすべての酵素、典型的にはグルコアミラーゼ(酵素クラスEC3.2.1.3)である。具体的には、アスペルギルス(Aspergillus)から得られたグルコアミラーゼ、明確には、バイオエタノールの生産に関連して乾式製粉方法によって得られる材料の糖化に用いられるものが、適している。また、糖化に適した酵素は、たとえばNovozymesから商品名Dextrozyme GAの下で;またはGenencorから商品名Optidexの下で販売されている。様々な糖化酵素、たとえば様々なグルコアミラーゼの組合せも用い得る。
【0057】
用いる酵素を安定化するために、Ca2+イオンの濃度を、適切な場合は、たとえばCaCl2またはCa(OH)2を用いて酵素特異的な最適値に調節し得る。適切な濃度値は、日常的な実験において当業者によって決定することができる。たとえば、ターマミルをα-アミラーゼとして用いる場合は、Ca2+濃度を液体培地中にたとえば50〜100ppm、好ましくは60〜80ppm、特に好ましくは約70ppmに調節することが有利である。
【0058】
a1)の糖含有液体培地を生成するためにデンプン供給原料全体、すなわち穀粒全体を製粉するので、デンプン供給原料の非デンプン質固体成分も存在する。これにより、しばしば、一定量のフィチン酸塩が穀粒から導入されることになり、この量は見過ごすべきものではない。これにより生じる阻害効果を回避するために、ステップa2)で、糖含有液体培地を発酵ステップに供する前に、少なくとも1つのフィターゼを液体培地に加えることが有利である。
【0059】
フィターゼは、それぞれの高温に対して十分に安定している場合は、液化または糖化の前、その間またはその後に加えることができる。
【0060】
その活性がそれぞれ、反応条件下でわずかしか影響を受けない限りは、任意のフィターゼを用いることができる。用いるフィターゼの熱安定性(T50)は、好ましくは>50℃、特に好ましくは>60℃である。
【0061】
フィターゼの量は、通常、1〜10000単位/kgデンプン供給原料、具体的には10〜2000単位/kgデンプン供給原料である。
【0062】
全体的な糖の収率を増加させるため、または遊離アミノ酸を得るために、さらなる酵素、たとえばプルラナーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、グルカナーゼ、キシラナーゼ、グルコシダーゼまたはプロテアーゼを、糖含有液体培地の生成の際に反応混合物にさらに加え得る。これらの酵素の添加は、粘度に対して肯定的効果、すなわち粘度の低下をもたらす可能性があり(たとえば長鎖グルカンおよび/または(アラビノ-)キシランを切断することによって)、また、代謝可能なグルコシドの遊離および(残存)デンプンの遊離をもたらす可能性がある。プロテアーゼの使用は類似の肯定的効果をもたらし、これはさらに、発酵のための成長因子として作用するアミノ酸を遊離させることを可能にする。
【0063】
本発明による方法では、糖含有液体培地を不揮発性微生物代謝産物の発酵生産に用いる。この目的のために、ステップa1)およびa2)で生成した糖含有液体培地を発酵に供する。不揮発性微生物代謝産物が、微生物による発酵中に産生される。
【0064】
概して、発酵プロセスは、当業者が精通している一般に知られている様式で実施することができる。供給した糖含有液体培地と、微生物を含み、最初に導入した液体培地との体積比は、一般に、約1:10〜10:1の範囲、好ましくは約1:2〜2:1の範囲、たとえば約1:2または約2:1、具体的には約1:1である。発酵液中の糖含有率は、具体的には糖含有液体培地の供給速度により制御することができる。概して、供給速度は、発酵液中の単糖含有率が≧0重量%〜約5重量%の範囲であるように調節するが、発酵は、発酵液中の実質的により高い単糖含有率、たとえば約5〜20重量%、具体的には10〜20重量%で実施することもできる。
【0065】
糖化および発酵を別々に実施する場合は、ステップa)で得られた糖含有液体培地を、適切な場合は発酵前に滅菌することができ、この方法では、存在し得る、たとえば粉砕原料と一緒に導入された任意の妨害微生物(混入物)を適切な方法、典型的には熱的方法によって破壊する。熱的方法では、溶液を通常は80℃よりも高い温度まで加熱する。その細胞の破壊または溶解は、発酵の直前に行っても良い。この目的のために、糖含有液体培地のすべてを溶解または破壊に供する。しかし、本発明の目的のためには、本明細書中に記載した滅菌ステップを発酵前に実施することは必要ないことが証明された。むしろ、そのような滅菌ステップを実施しないことが有利であると証明された。したがって、本発明の好ましい実施形態は、ステップa)(またはそれぞれステップa1)およびa2))で得られた液体培地を発酵に直接供給する、すなわち事前の滅菌を行わない方法、または少なくとも部分的なin-situ糖化を実施する方法に関する。
【0066】
発酵により液体培地がもたらされ、これは、所望の不揮発性微生物代謝産物および水に加えて、本質的に、不溶性固体、たとえば発酵中に生じたバイオマス、糖化したデンプン溶液の代謝されなかった成分、ならびに、具体的には、たとえば繊維などのデンプン供給原料の非デンプン質固体成分、および発酵液中に溶解形態で存在する成分(可溶性成分)、たとえば利用されなかった緩衝剤や栄養塩類や未反応の単糖(すなわち利用されなかった糖)を含む。この液体培地は、本明細書中では以降、発酵液とも呼び、この用語「発酵液」は、糖の部分的のみのまたは不完全な発酵変換が存在する、すなわち、単糖の部分的または不完全な微生物代謝が起こっている、(糖含有)液体培地も包含する。
【0067】
本発明に従って、発酵培地の少なくとも揮発性成分を除去する。このようにして、目的の不揮発性産物を発酵液の不溶性成分と一緒に含み、適切な場合は、さらに発酵液中に溶解した形態で存在する成分を含む、固体が得られる。
【0068】
本発明の目的のために、不揮発性微生物代謝産物とは、一般に、分解せずに蒸留によって発酵液から除去することができない化合物を意味すると理解される。
【0069】
概して、これらの化合物は、常圧で水の沸点よりも高い、しばしば150℃よりも高い、具体的には200℃よりも高い沸点を有する。概して、これらは、標準の条件下(298K、101.3kPa)では固体状態の化合物の形をとる。しかし、大気圧下で水の沸点よりも低い融点および/または油性の粘稠度を有する不揮発性微生物代謝産物を調製するために本発明による方法を用いることも可能である。この場合、処理の際の、具体的には乾燥の際の最大温度は、通常、制御しなければならない。これらの化合物は、有利には、偽固体形態で吸着剤上に製剤化することによっても調製することができる。
【0070】
この目的のために適切な吸着剤は、たとえば、活性炭、アルミナ、シリカゲル、シリカ、粘土、すす、ゼオライト、無機アルカリ金属およびアルカリ土類金属塩、たとえばナトリウム、カリウム、マグネシウムおよびカルシウムの水酸化物、炭酸塩、ケイ酸塩、硫酸塩およびリン酸塩、特にマグネシウムおよびカルシウム塩、たとえばMg(OH)2、MgCO3、MgSiO4、CaSO4、CaCO3、アルカリ土類金属酸化物、たとえばMgOおよびCaO、他の無機リン酸塩および硫酸塩、たとえばZnSO4、有機酸の塩、特に、そのアルカリ金属およびアルカリ土類金属塩および特定的にはそのナトリウムおよびカリウム塩、たとえばナトリウムおよびカリウムの酢酸塩、ギ酸塩、ギ酸水素塩およびクエン酸塩、ならびに炭水化物、たとえば糖、任意の加工デンプン、セルロース、リグニンなどの高分子量有機担体、また、生成物製剤化の内容で一般に本明細書中以下に言及した担体である。概して、上述の担体は、塩素イオンなどのハロゲンおよび硝酸塩を含まないか、または少量のみ、特にわずかのみ含む。
【0071】
本発明による方法によってこのようにして有利に調製することができる化合物の例は、γ-リノレン酸、ジホモ-γ-リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸およびドコサヘキサエン酸、さらにはプロピオン酸、乳酸、プロパンジオール、ブタノールおよびアセトンである。ここでも、偽固体形態のこれらの化合物は、本発明の目的のための固体形態の不揮発性微生物代謝産物を意味すると理解される。
【0072】
本明細書中で以下、用語、不揮発性微生物代謝産物とは、具体的には、好ましくは3〜10個の炭素原子を有し、適切な場合は、それに結合した1個または複数個、たとえば1個、2個、3個または4個のヒドロキシル基を有する、有機モノ-、ジ-およびトリカルボン酸、たとえば、酒石酸、イタコン酸、コハク酸、プロピオン酸、乳酸、3-ヒドロキシプロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、2,5-フランジカルボン酸、グルタル酸、レブリン酸、グルコン酸、アコニット酸およびジアミノピメリン酸、クエン酸;タンパク質構成性またはタンパク質非構成性アミノ酸、たとえば、リシン、グルタミン酸、メチオニン、フェニルアラニン、アスパラギン酸、トリプトファンおよびスレオニン;プリンおよびピリミジン塩基;ヌクレオシドおよびヌクレオチド、たとえば、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)およびアデノシン-5'-一リン酸(AMP);脂質;好ましくは10〜22個の炭素原子を有する飽和および不飽和脂肪酸、たとえば、γ-リノレン酸、ジホモ-γ-リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸およびドコサヘキサエン酸;好ましくは3〜8個の炭素原子を有するジオール、たとえば、プロパンジオールおよびブタンジオール;3個以上、たとえば3個、4個、5個または6個のOH基を有する高官能性アルコール、たとえば、グリセロール、ソルビトール、マンニトール、キシリトールおよびアラビニトール;少なくとも4個の炭素原子、たとえば4〜22個の炭素原子を有する長鎖アルコール、たとえばブタノール;炭水化物、たとえば、ヒアルロン酸およびトレハロース;芳香族化合物、たとえば、芳香族アミン、バニリンおよびインジゴ;ビタミンおよびプロビタミン、たとえば、アスコルビン酸、ビタミンB6、ビタミンB12およびリボフラビン、補因子および栄養補助剤として知られているもの;タンパク質、たとえば、アミラーゼ、ペクチナーゼ、酸、ハイブリッドまたは中性セルラーゼ、リパーゼ等のエステラーゼ、膵臓酵素、プロテアーゼ、キシラナーゼ、ならびにラッカーゼ、カタラーゼおよびペルオキシダーゼ等の酸化還元酵素、グルカナーゼ、フィターゼなどの酵素;カロテノイド、たとえば、リコペン、β-カロチン、アスタキサンチン、ゼアキサンチンおよびカンタキサンチン;好ましくは3〜10個の炭素原子を有し、適切な場合は、1個または複数のヒドロキシル基を有するケトン、たとえば、アセトンおよびアセトイン;ラクトン、たとえば、γ-ブチロラクトン、シクロデキストリン、バイオポリマー、たとえばポリヒドロキシアセテート、ポリエステルたとえば、ポリ乳酸、多糖類、ポリイソプレノイド、ポリアミド;ならびに上述の化合物の前駆体および誘導体を含む。不揮発性微生物代謝産物として適した他の化合物は、Gutcho、Chemicals by Fermentation、Noyes Data Corporation (1973年)、ISBN: 0818805086によって記載されている。
【0073】
用語「補因子」とは、正常な酵素活性が起こるために必要な非タンパク質化合物を含む。これらの化合物は有機または無機であってよく;好ましくは、本発明の補因子分子は有機である。このような分子の例は、NADおよびニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)であり;これらの補因子の前駆体はナイアシンである。
【0074】
用語「栄養補助剤」とは、植物および動物、具体的にはヒトにおいて健康を促進する食品添加物を含む。このような分子の例は、ビタミン、抗酸化剤および特定の脂質、たとえば多価不飽和脂肪酸である。
【0075】
調製する代謝産物は、具体的には、酵素、アミノ酸、ビタミン、二糖、3〜10個の炭素原子を有する脂肪族モノ-およびジカルボン酸、3〜10個の炭素原子を有する脂肪族ヒドロキシカルボン酸、3〜10個の炭素原子を有するケトン、4〜10個の炭素原子を有するアルカノールならびに3〜10個、具体的には3〜8個の炭素原子を有するアルカンジオールから選択される。
【0076】
当業者は、本発明に従って発酵によって生成された化合物は、それぞれ、用いた生物によって産生される鏡像異性体として得られることは理解されよう(異なる鏡像異性体が存在する場合)。したがって、たとえば、アミノ酸の場合、それぞれのL鏡像異性体が一般に得られる。
【0077】
発酵に用いる微生物は、本明細書中で以下に詳述するように、それ自体で知られている様式で、目的の微生物代謝産物に依存する。これらは、天然由来または遺伝的に改変したものであってよい。適切な微生物および発酵プロセスは、本明細書中で以下の表Aに記載するものである:






【0078】
本発明の方法の好ましい実施形態は、フィターゼ、キシラナーゼ、グルカナーゼなどの酵素;リシン、メチオニン、スレオニンなどのアミノ酸;パントテン酸およびリボフラビンなどのビタミン、それらの前駆体および誘導体の生産、ならびに上述のモノ-、ジ-およびトリカルボン酸、具体的には、プロピオン酸、フマル酸およびコハク酸などの3〜10個の炭素原子を有する脂肪族モノ-およびジカルボン酸、乳酸などの3〜10個の炭素原子を有する脂肪族ヒドロキシカルボン酸;上述の長鎖アルカノール、具体的には、ブタノールなどの4〜10個の炭素原子を有するアルカノール;上述のジオール、具体的には、プロパンジオールなどの3〜10個、具体的には3〜8個の炭素原子を有するアルカンジオール;上述のケトン、具体的には、アセトンなどの3〜10個の炭素原子を有するケトン;上述の炭水化物、具体的にはトレハロースなどの二糖の生産に関する。
【0079】
好ましい実施形態では、発酵に用いる微生物は、したがって、以下の代謝産物のうちの少なくとも1つを産生する天然または組換え微生物から選択される:フィターゼ、キシラナーゼ、グルカナーゼなどの酵素;リシン、スレオニンおよびメチオニンなどのアミノ酸;パントテン酸およびリボフラビンなどのビタミン;それらの前駆体および/または誘導体;トレハロースなどの二糖;プロピオン酸、フマル酸およびコハク酸などの3〜10個の炭素原子を有する脂肪族モノ-およびジカルボン酸;乳酸などの3〜10個の炭素原子を有する脂肪族ヒドロキシカルボン酸;アセトンなどの3〜10個の炭素原子を有するケトン;ブタノールなどの4〜10個の炭素原子を有するアルカノール;ならびにプロパンジオールなどの3〜8個の炭素原子を有するアルカンジオール。
【0080】
具体的には、微生物は、コリネバクテリウム属、バチルス属、アシュビア属(Ashbya)、エシェリキア属(Escherichia)、アスペルギルス属、アルカリゲネス属(Alcaligenes)、アクチノバチルス属(Actinobacillus)、アネロビオスピリウム属(Anaerobiospirillum)、ラクトバチルス属、プロピオニバクテリウム属、リゾープス属(Rhizopus)およびクロストリジウム属から、特に、コリネバクテリウム・グルタミカム、枯草菌、アシュビア・ゴシピー、大腸菌、アスペルギルス・ニガーまたはアルカリゲネス・レータス、アネロビオスピリウム・スクシニシプロデュセンス、アクチノバチルス・スクシノゲネス、ラクトバチルス・デルブルエキイ、ライヒマン菌、プロピオニバクテリウム・アラビノサム、プロピオニバクテリウム・シャーマニ、プロピオニバクテリウム・フロイデンライヒ、クロストリジウム・プロピオニカム、クロストリジウム・フォルミコアセチカム、クロストリジウム・アセトブトリカム、リゾープス・アルヒザスおよびリゾープス・オリゼ(Rhizopus oryzae)の株から、選択される。
【0081】
特定の好ましい実施形態では、発酵において微生物によって産生された代謝産物はリシンである。発酵を実施するために、他の炭素供給原料について、たとえばPfefferle他、上記引用文および米国特許US3,708,395号に記載されているものと類似の条件および手順を用いることができる。原則として、連続的およびバッチ式(バッチまたは流加)操作様式がどれも適しており、流加様式が好ましい。
【0082】
さらなる特に好ましい実施形態では、発酵において微生物によって産生される代謝産物はメチオニンである。発酵を実施するために、他の炭素供給原料について、たとえば国際公開WO03/087386号および国際公開WO03/100072号に記載されているものと類似の条件および手順を用い得る。
【0083】
さらなる特に好ましい実施形態では、発酵において微生物によって産生された代謝産物はパントテン酸である。発酵を実施するために、他の炭素供給原料について、たとえば国際公開WO01/021772号に記載されているものと類似の条件および手順を用い得る。
【0084】
さらなる特に好ましい実施形態では、発酵において微生物によって産生された代謝産物はリボフラビンである。発酵を実施するために、他の炭素供給原料について、たとえば国際公開WO01/011052号、ドイツ特許DE19840709号、国際公開WO98/29539号、欧州特許EP1186664号およびFujioka, K: New biotechnology for riboflavin (vitamin B2) and character of this riboflavin. Fragrance Journal (2003年)、31(3)、44〜48ページに記載されているものと類似の条件および手順を用い得る。
【0085】
さらなる特に好ましい実施形態では、発酵において微生物によって産生された代謝産物はフマル酸である。発酵を実施するために、他の炭素供給原料について、たとえばRhodes他、Production of Fumaric Acid in 20-L Fermentors、Applied Microbiology、1962年、10 (1)、9〜15ページに記載されているものと類似の条件および手順を用い得る。
【0086】
さらなる特に好ましい実施形態では、発酵において微生物によって産生された代謝産物はフィターゼである。発酵を実施するために、他の炭素供給原料について、たとえば国際公開WO98/55599号に記載されているものと類似の条件および手順を用い得る。
【0087】
発酵液をさらなる加工に供する前に、滅菌ステップを実施することが好ましい。滅菌ステップは、熱的に、化学的にもしくは機械的に、またはこれらの手段の組合せによって行うことができる。熱的滅菌は、上述の様式で行うことができる。化学的滅菌には、概して、微生物の破壊がもたらされるような様式で発酵液を酸または塩基で処理する。機械的滅菌は、概して、剪断力を導入することによって行う。そのような方法は当業者に知られている。
【0088】
本発明の方法は、有利には、以下の3つの連続的な処理ステップa)、b)およびc)を含む:
a)ステップa1)およびa2)に記載の20重量%を超える単糖含有率を有する糖含有液体培地を調製するステップであって、糖含有液体培地がデンプン供給原料の非デンプン質固体成分も含む、ステップと、
b)不揮発性代謝産物(複数可)を生産するために発酵において糖含有液体培地を使用するステップと、
c)発酵液の揮発性成分の少なくとも一部を除去することによって、発酵液から、固体形態の不揮発性代謝産物(複数可)を、デンプン供給原料の非デンプン質固体成分の少なくとも一部と共に得るステップ。
【0089】
ステップb)で所望の代謝産物を産生する微生物株を培養するのに用いる、ステップa)で得られた糖含有液体培地は、抽出率に応じて、粉砕穀物粒中に存在する非デンプン質固体成分の少なくとも一部またはすべて、但し、概して少なくとも90重量%、特に約100重量%を含む。粉砕原料のデンプン質成分に基づいて、糖含有液体培地中の非デンプン質固体成分の量は、好ましくは少なくとも10重量%、特に少なくとも25重量%、たとえば25〜75重量%、特定的には30〜60重量%である。これらの非デンプン質固体成分は、ステップb)に記載のように糖含有液体培地と一緒に発酵に供給し、したがって、得られた代謝産物含有発酵液中にも存在する。
【0090】
所望する場合は、非デンプン質固体、すなわち不溶性構成成分の、一部、たとえば5〜80重量%、特に30〜70重量%を、発酵液から分離することができる。そのような分離は、典型的には、固液分離の通常の方法によって、たとえば遠心分離または濾過を用いて行う。適切な場合は、このような予備分離は、不揮発性微生物代謝産物を含まないかまたは少量しか含まないより粗い固体粒子を除去するために実施する。この一次濾過は、当業者に知られている慣用方法を用いて、たとえば粗い篩、網、穿孔シートなどを用いて実施することができる。適切な場合は、粗い固体粒子を遠心力分離機で分離除去してもよい。デカンタ、遠心分離機、セディカンター(sedicanter)および分離器などの、ここで用いる装置も当業者に知られている。しかし、好ましくは、揮発性成分が除去されるまで、発酵液の不溶性成分は30重量%以下、特に5重量%以下のみしか除去されない。
【0091】
好ましくは、固体形態中の少なくとも1つの不揮発性代謝産物は、本質的に、固体成分を事前に分離除去せずに、すべての固体成分の全体と一緒に、発酵液から得られる。
【0092】
本発明に従って、発酵に続いて、適切な場合は事前に固体非デンプン質成分の一部を分離除去した後に、発酵液の揮発性成分の実質的な除去を行う。実質的とは、揮発性成分を除去した後、固体、または少なくとも半固体の残渣(これは、適切な場合は、固体物質を加えることによって固体産物に変換することができる)が残ことを意味する。概して、これは、揮発性成分が20重量%以下、しばしば15重量%以下、具体的には10重量%以下の残存水分含有率まで除去されることを意味する。概して、発酵液の揮発性成分は、発酵液から、乾燥後に決定される固体成分の全重量に基づいて、有利には0.2〜20重量%、好ましくは1〜15重量%、特に好ましくは2〜10重量%、特段に好ましくは5〜10重量%の範囲の残存水分含有率まで除去される。残存水分含有率は、当業者に知られている慣用方法によって、たとえば熱重量測定によって決定することがでる(Hemminger他、熱分析方法(Methoden der thermischen Analyse)、Springer Verlag、Berlin、Heidelberg、1989年)。
【0093】
発酵液の揮発性成分を除去するためには、第1の実施形態に従って、本質的に発酵液の揮発性成分のみが除去されるような様式で、たとえば蒸発によって進めることが可能である。
【0094】
第2の実施形態に従って、揮発性成分に加えて、概して溶解した不揮発性成分も含む発酵液の液体成分を、溶解していない構成成分、すなわち所望の代謝産物ならびにデンプン源のバイオマスおよび非デンプン質固体成分から除去する。その後、液体成分を、濾過、遠心分離などの固液分離の通常の方法によって除去する。
【0095】
第1および第2の実施形態のこれらの方法は、組み合わせて用いてもよい。たとえば、最初に発酵液の液体成分の一部または大部分を溶解していない成分から分離することが可能であり、残存揮発性成分を発酵液の分離された溶解していない成分から蒸発によって除去することができる。さらに、揮発性成分のほとんどまたはすべてを発酵液の分離された液体成分から蒸発によって除去し、それを加工することが可能である。また、分離された液体構成成分からの揮発性成分の蒸発によって得られた残渣を、液体構成成分の分離後に得られた固体と混合することも可能であり、これは、プロセス工学の立場から特に有利であり得る。
【0096】
ステップc)で発酵液から固体形態の不揮発性代謝産物(複数可)を得ることは、1つ、2つまたはそれ以上のステップで、適切な場合は事前の予備分離後に、具体的には1ステップまたは2ステップの手順で果たすことができる。概して、代謝産物を固体形態で得るための少なくとも1つのステップ、特に最終ステップは、乾燥ステップを含むであろう。
【0097】
1ステップ手順の場合、発酵液の揮発性成分を、適切な場合は上述の予備分離後に、所望の残存水分含有率に達するまで、除去する。
【0098】
2ステップまたは多段階手順の場合、発酵液を最初に、適切な場合は上述の予備分離後、たとえば(微量、限外)濾過によって、または揮発性成分の一部を蒸発させることによって熱的に濃縮する。このステップで除去される揮発性成分の量は、概して、発酵液の揮発性成分の全重量に基づいて10〜80重量%、具体的には20〜70重量%である。残りの発酵液の揮発性成分は、所望の残存水分含有率に達するまで1つまたは複数の続くステップで除去する。
【0099】
本発明に従って、価値のある生成物の事前の枯渇または実際の単離なしに、液体培地の揮発性成分が本質的に除去される。その結果、発酵液の揮発性成分を除去する際、不揮発性代謝産物は、液体培地の揮発性成分と一緒には本質的に除去されず、このようにして得られた残渣中の発酵液からの残った固体成分の少なくとも一部、通常はそのほとんど、具体的にはそのすべてと共に残存する。しかし、所望の不揮発性微生物代謝産物の一部、好ましくは少量、概して、代謝産物の合計乾重量に基づいて20重量%以下、たとえば0.1〜20重量%、好ましくは10以下、具体的には5重量%以下、特に好ましくは2.5重量%以下、特段に好ましくは1重量%以下を、本発明に従って、発酵液の揮発性成分を除去する際に一緒に除去することができる。特段に好ましい実施形態では、それぞれ代謝産物の合計乾重量に基づいて、所望の不揮発性微生物代謝産物の少なくとも90重量%、特に少なくとも95重量%、具体的には99重量%、非常に具体的には約100重量%は、揮発性成分を除去した後に、発酵培地の固体成分の一部またはすべてと共に、固体として混合物中に残る。
【0100】
これにより、固体または半固体、たとえばペースト状の残渣が得られ、これは、デンプン供給原料の不揮発性代謝産物および不揮発性の概して固体非デンプン質成分または少なくともその大部分、しばしば固体非デンプン質成分の少なくとも90重量%またはすべてを含む。
【0101】
発酵の固体成分と一緒に存在する乾燥代謝産物の特性は、それ自体知られている様式で、具体的には、活性物質の含有率、粒子径、粒子形状、粉塵化傾向、吸湿性、安定性、特に保存安定性、色、臭い、流動挙動、凝集傾向、静電気的荷電、光および高温に対する感受性、機械的安定性ならびに再分散性などの様々なパラメータに関して、担体およびコーティング物質、結合剤ならびに他の添加剤などの製剤化補助剤を加えることによって、製剤化することができる。
【0102】
従来法で使用されている製剤化補助剤には、たとえば、結合剤、担体、粉末化/流動アジュバント、さらに色素、殺生物剤、分散剤、消泡剤、粘度調節剤、酸、アルカリ、抗酸化剤、酵素安定化剤、酵素阻害剤、吸着質、脂肪、脂肪酸、油またはこれらの混合物が含まれる。このような製剤化補助剤は、有利には、乾燥補助剤として、特に噴霧乾燥、流動床乾燥および凍結乾燥などの製剤化および乾燥方法を用いる場合に用いる。
【0103】
結合剤の例は、炭水化物、具体的には、糖、たとえば、モノ-、ジ-、オリゴ-および多糖類、たとえばデキストリン、トレハロース、グルコース、グルコースシロップ、マルトース、スクロース、フルクトースおよびラクトース;コロイド状物質、たとえば、動物タンパク質、たとえばゼラチン、カゼイン、具体的にはカゼイン酸ナトリウム、植物タンパク質、たとえばダイズタンパク質、エンドウマメタンパク質、マメタンパク質、ルピナス、ゼイン、コムギタンパク質、トウモロコシタンパク質およびコメタンパク質、合成ポリマー、たとえばポリエチレングリコール、ポリビニルアルコールおよび具体的にはBASFのKollidon商標、任意選択で改変したバイオポリマー、たとえばリグニン、キチン、キトサン、ポリラクチドおよび加工デンプン、たとえば無水オクテニルスクシネート(OSA);ガム、たとえばアカシアガム;セルロース誘導体、たとえばメチルセルロース、エチルセルロース、(ヒドロキシエチル)メチルセルロース(HEMC)、(ヒドロキシプロピル)メチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロース(CMC);穀粉、たとえば粉砕したトウモロコシ、コムギ、ライムギ、オオムギおよびコメである。
【0104】
担体の例は、炭水化物、具体的には、結合剤として本明細書中に上述した糖、ならびにデンプン、たとえばトウモロコシ、コメ、ジャガイモ、コムギおよびキャッサバ由来のデンプン;加工デンプン、たとえば無水オクテニルスクシネート;セルロースおよび結晶セルロース;無機ミネラルまたはローム、たとえば粘土、石炭、珪藻土、シリカ、獣脂およびカオリン;粗い穀粉、たとえば粗いコムギ穀粉、ふすま、たとえばコムギふすま、結合剤として本明細書中に上述した穀粉;塩、たとえば、金属塩、特に有機酸のアルカリ金属およびアルカリ土類金属塩、たとえばクエン酸Mg、酢酸Mg、ギ酸Mg、ギ酸水素Mg、クエン酸Ca、酢酸Ca、ギ酸Ca、ギ酸水素Ca、クエン酸Zn、酢酸Zn、ギ酸Zn、ギ酸水素Zn、クエン酸Na、酢酸Na、ギ酸Na、ギ酸水素Na、クエン酸K、酢酸K、ギ酸K、ギ酸水素K、無機塩、たとえば硫酸Mg、炭酸Mg、ケイ酸Mgまたはリン酸Mg、硫酸Ca、炭酸Ca、ケイ酸Caまたはリン酸Ca、硫酸Zn、炭酸Zn、ケイ酸Znまたはリン酸Zn、硫酸Na、炭酸Na、ケイ酸Naまたはリン酸Na、硫酸K、炭酸K、ケイ酸Kまたはリン酸K、アルカリ土類金属酸化物、たとえばCaOおよびMgO;無機緩衝剤、たとえばアルカリ金属リン酸水素塩、具体的にはリン酸水素ナトリウムおよびリン酸水素カリウム、たとえばK2HPO4、KH2PO4およびNa2HPO4;ならびに、一般に、本発明での調製に関連して言及される、低融点を有するまたは油性の粘稠度である代謝産物の吸着剤である。
【0105】
粉末化アジュバントまたは流動アジュバントの例は、珪藻土、シリカ、たとえばDegussaのSipernat商標;粘土、石炭、獣脂およびカオリン;担体として上述したデンプン、加工デンプン、無機塩、有機酸の塩および緩衝剤;セルロースおよび結晶セルロースである。
【0106】
他の添加剤に関しては、例として以下を言及し得る:TiO2、カロテノイドおよびそれらの誘導体、ビタミンB2、カプサンシン、ルテイン、クリプトキサンチン、カンタキサンチン、アスタキサンチン、タルトラジン、サンセットイエローFCF、インジゴチン、木炭、ビキシン、酸化鉄等の色素;安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、アルカリ金属ソルビン酸塩およびアルカリ土類金属ソルビン酸塩、たとえばソルビン酸ナトリウム、ソルビン酸カリウムおよびソルビン酸カルシウム、4-ヒドロキシ安息香酸エチル、亜硫酸水素ナトリウム塩およびメタ亜硫酸水素ナトリウムなどのアルカリ金属亜硫酸水素塩、ギ酸、ギ酸塩および具体的にはギ酸ナトリウムなどのアルカリ金属ギ酸塩、ホルムアルデヒド、硝酸ナトリウム、酢酸塩、具体的には酢酸ナトリウムおよび酢酸カリウムなどのアルカリ/アルカリ土類金属酢酸塩、酢酸、乳酸、プロピオン酸等の殺生物剤、アルギネート、レシチン、1,2-プロパンジオール、寒天、カラゲナン、アラビアガム、グアルガム、キサンタンガム、ジェランガム、カシアガム、ソルビトール、ポリエチレングリコール、グリセロール、ペクチン、加工デンプン、改変セルロース(たとえばメチルセルロース、HPMC、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース)、結晶セルロース、モノ-およびジグリセリド、スクロースエステル等の分散剤および粘度調節剤;ビニル官能シリコーン油、たとえばWacker ChemieのSILOFOAM(登録商標)SC 155、および脂肪アルコールアルコキシレート、たとえばBASF AGのPlurafac(登録商標)等の消泡剤;リン酸、硝酸、塩酸、硫酸等の無機酸;飽和および不飽和のモノ-およびジカルボン酸、たとえば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、パルミチン酸、ステアリン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、マレイン酸およびフマル酸等の有機酸;アルカリ金属水酸化物、たとえばNaOHおよびKOH等の塩基;ビタミンC、3-tert-ブチル-4-ヒドロキシアニソール(BHA)、3,5-ジ-tert-4-ヒドロキシトルエン(BHT)、6-エトキシ-1,2-ジヒドロキシ-2,2,4-トリメチルキノリン(エトキシキン)等の抗酸化剤;カルシウム塩、硫酸亜鉛などの亜鉛塩、硫酸マグネシウムなどのマグネシウム塩、アミノ酸等の酵素安定化剤;ペプスタチンAまたはグアニジン*HCl等の酵素阻害剤;シリカ、酸化ケイ素、糖または塩等の吸着質;グリセリド、たとえばモノ-、ジ-およびトリグリセリド等の脂肪;ステアリン酸等の脂肪酸;ヒマワリ油、トウモロコシ油、ダイズ油およびパーム油等の油。
【0107】
上述の添加剤、および、適切な場合は、コーティング物質などのさらなる添加剤の量は、目的の代謝産物の特定の要件および用いる添加剤の特性に応じて大きく変動する場合があり、それぞれ、その最終製剤化形態の生成物または物質の混合物の全重量に基づいて、たとえば、0.1〜80重量%の範囲、具体的には1〜30重量%の範囲であってよい。
【0108】
製剤化補助剤の添加は、発酵液の後処理(生成物製剤化もしくは固体設計とも呼ばれる)の前、その間、またはその後、具体的には乾燥の間に実行する。発酵液または代謝産物の後処理を行う前に製剤化補助剤を加えることは、特に、後処理する物質または生成物の加工性を改善するために有利である場合がある。製剤化補助剤は、固体形態で得られた代謝産物に加えるか、または代謝産物を含む溶液もしくは懸濁液に、たとえば発酵が完了した後の発酵液に直接加えるか、または後処理中かつ最終の乾燥ステップより前に得られた溶液もしくは懸濁液に加えることができる。
【0109】
したがって、たとえば、該補助剤を微生物代謝産物の懸濁液と混合することができる。すなわち、このような懸濁液は、たとえば噴霧またはそこに混合することによって、担体材料に適用することもできる。乾燥中における製剤化補助剤の添加は、たとえば、代謝産物を含む溶液または懸濁液を噴霧する場合に重要である可能性がある。製剤化補助剤の添加は、具体的には乾燥後、たとえばコーティング/コーティング層を乾燥粒子に塗布する際に行う。乾燥後および任意選択のコーティングステップ後のどちらでも、さらなるアジュバントを生成物に加えることができる。
【0110】
発酵液からの揮発性成分の除去は、それ自体で知られている様式で、濾過方法および液相の揮発性成分を蒸発させる方法を含めた固相を液相から分離する慣用方法によって実行する。価値のある生成物を大雑把に浄化するステップおよび製剤化ステップを含むこのような方法は、たとえばBelter, P. A、Bioseparations: Downstream Processing for Biotechnology、John Wiley & Sons (1988年)、およびウルマンの工業化学百科事典(Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry)、第5版、CD-ROM、Wiley-VCHに記載されている。生成物製剤化または発酵が終了した後の後処理の範囲内で用いることができる、当業者に知られている方法、装置、補助剤および一般的または具体的な実施形態は、欧州特許EP1038 527号、欧州特許EP0648 076号、欧州特許EP835613号、欧州特許EP0219 276号、欧州特許EP0394 022号、欧州特許EP0547 422号、欧州特許EP1088 486号、国際公開WO98/55599号、欧州特許EP0758 018号および国際公開WO92/12645号にさらに記載されている。
【0111】
発酵液の価値のある生成物および非デンプン質固体成分から揮発性成分を分離する第1の好ましい実施形態では、不揮発性微生物代謝産物が液相中に溶解した形態で存在する場合は、それを液相から固相へ、たとえば結晶化または沈殿によって変換する。その後、液体成分から、代謝産物を含めた不揮発性固体成分を、固液分離の慣用方法によって、たとえば遠心分離、デカントまたは濾過によって分離する。油性代謝産物も同様の様式で分離除去してよく、目的の油性発酵産物は、吸着剤、たとえばシリカ、シリカゲル、ローム、粘土および活性炭を添加することによって固体形態に変換される。
【0112】
微生物代謝産物の沈殿を慣用の様式で実行し得る(J.W. Mullin: Crystallization、第3版、Butterworth-Heinemann、Oxford 1993年)。沈殿は、たとえば、さらなる溶媒の添加、塩の添加および温度の変更によって開始することができる。得られた沈殿物は、固体を分離するための本明細書中に記載の慣用方法によって、他の固体成分と一緒に溶液から分離することができる。
【0113】
微生物代謝産物の結晶化も同様に慣用の様式で達成することができる。慣用結晶化方法は、たとえば、Janeic, S.J.、Grootscholten, P.A.、Industrial Crystallization、New York、Academic、1984年; A. W. Bamforth: Industrial Crystallization、Leonard Hill、London 1965年; G. Matz: Kristallisation、第2版、Springer Verlag、Berlin 1969年; J. Nyvlt: Industrial Crystallization - State of the Art. VCH Verlagsges.、Weinheim 1982年; S. J. Jancic、P. A. M. Grootscholten: Industrial Crystallization、Reidel、Dordecht 1984年; O. Sohnel、J. Garside: Precipitation、Butterworth-Heinemann、Oxford、1992年; A. S. Myerson (編): Handbook of Industrial Crystallization、Butterworth-Heineman、Boston 1993年; J. W. Mullin: Crystallization、第3版、Butterworth-Heinemann、Oxford 1993年; A. Mersmann (編): Crystallization Technology Handbook、Marcel Dekker、New York 1995年に記載されている。結晶化は、たとえば、冷却、蒸発、真空下での結晶化(断熱冷却)、反応晶析または塩析によって開始することができる。結晶化は、たとえば、撹拌または非撹拌容器中で、直接接触方法によって、蒸発晶析装置内で(R. K. Multer、Chem Eng. (N.Y.) 89 (1982年) 3月、87〜89ページ)、真空晶析装置内で、バッチ式でもしくは連続的に、たとえば強制循環晶析装置(Swenson強制循環晶析装置)または流動床晶析装置(オスロ型)内で行うことができる(A. D. Randolph、M. A. Larson: Theory of Particulate Processes、第2版、Academic Press、New York 1988年; J. Robinson、J. E. Roberts、Can. J. Chem. Eng. 35 (1957年) 105〜112ページ; J. Nyvlt: Design of Crystallizers、CRC Press、Boca Raton、1992年)。分別結晶化も可能である(L. Gordon、M. L. Salutsky、H. H. Willard: Precipitation from Homogeneous Solution、Wiley-Interscience、New York 1959年)。同様に、鏡像異性体およびラセミ体を分離することができる(J. Jacques、A. Collet、S. H. Willen: Enantiomers、Racemates and Resolutions、Wiley、New York 1981年; R. A. Sheldon: Chirotechnology、Marcel Dekker、New York 1993年; A. N. Collins、G. N. Sheldrake、J. Crosby (編): Chirality in Industry、Wiley、New York 1985年)。
【0114】
慣用濾過方法は、たとえば、ケーク濾過および深層濾過(たとえばA. Rushton、A. S. Ward、R. G. Holdich: Solid - Liquid Filtration and Separation Technology、VCH Verlagsgesellschaft、Weinheim 1996年、177ff.ページ、K. J. Ives、A. Rushton (編): Mathematical Models and Design Methods in Solid-Liquid Separation、NATO ASIシリーズE Nr. 88、Martinus Nijhoff、Dordrecht 1985年、90ff.ページに記載)ならびにクロスフロー濾過、>0.1μmの固体を除去するための精密濾過(たとえばJ. Altmann、S. Ripperger、J. Membrane Sci. 124 (1997年) 119〜128ページに記載)である。
【0115】
精密濾過および限外濾過の場合、たとえば、微小孔性(A. S. Michaels: 「Ultrafiltration」、E. S. Perry (編): Progress in Separation and Purification、第1巻、Interscience Publ.、New York 1968年)、均質性(J. Crank、G. S. Park (編): Diffusion in Polymers、Academic Press、New York 1968年; S. A. Stern: 「The Separation of Gases by Selective Permeation」、P. Meares (編): Membrane Separation Processes、Elsevier、Amsterdam 1976年)、不斉性(R. E. Kesting: Synthetic Polymeric Membranes, A Structural Perspective、Wiley-Interscience、New York 1985年)および荷電性(F. Helfferich: Ion-Exchange、McGraw-Hill、London 1962年)の膜を用いることが可能であり、これらは様々な方法によって調製される(R. Zsigmondy、米国特許US1 421 341号、1922年; D. B. Pall、米国特許US4 340 479号、1982年; S. Loeb、S. Sourirajan、米国特許US3 133 132号、1964年)。典型的材料は、セルロースエステル、ナイロン、ポリ塩化ビニル、アクリロニトリル、ポリプロピレン、ポリカーボネートおよびセラミックである。これらの膜の使用は、プレートモジュール(R. F. Madsen、Hyperfiltration and Ultrafiltration in Plate-and-Frame Systems)、Elsevier、Amsterdam 1977年、螺旋モジュール(米国特許US3 417 870号、1968年 (D. T. Bray))、管束または中空繊維モジュール(H. Strathmann: 「Synthetic Membranes and their Preparation」、M. C. Porter (編): Handbook of Industrial Membrane Technology、Noyes Publication、Park Ridge、NJ 1990年、1〜60ページ)の形態で達成される。さらに、液体膜を用いることが可能である(N. N. Li: 「Permeation Through Liquid Surfactant Membranes」、AIChE J. 17 (1971年) 459ページ; S. G. Kimura、S. L. Matson、W. J. Ward III: 「Industrial Applications of Facilitated Transport」、N. N. Li (編): Recent Developments in Separation Science、第V巻、CRC Press、Boca Raton、Florida、1979年、11〜25ページ)。所望の物質を、供給側に濃縮して濃縮水流を介して放出するか、または、供給側で枯渇させて濾液/透過流を介して放出することができる。
【0116】
慣用遠心分離方法は、たとえば、G. Hultsch、H. Wilkesmann、「Filtering Centrifuges」、D.B. Purchas、Solid - Liquid Separation、Upland Press、Croydon 1977年、493-559ページ;およびH. Trawinski、Die aquivalente Klarflache von Zentrifugen [遠心分離の等価清澄領域]、Chem. Ztg. 83 (1959年) 606〜612ページに記載されている。管遠心分離機、バスケット遠心分離機、明確には、プッシャー遠心分離機、スリップフィルター遠心分離機およびディスク分離器などの様々な設計を用い得る。
【0117】
この第1の実施形態に係る方法では、液相からの固相の分離に続いて、適切な場合は、慣用の様式で実施する乾燥ステップを行い得る。慣用乾式方法は、たとえば、O. Krischer、W. Kast: Die wissenschaftlichen Grundlagen der Trocknungstechnik [乾燥技術の科学的根拠]、第3版、Springer、Berlin-Heidelberg-New York 1978年; R. B. Keey: Drying: Principles and Practice、Pergamon Press、Oxford 1972年; K. Kroll: Trockner und Trocknungsverfahren [乾燥機および乾燥方法]、第2版、Springer、Berlin-Heidelberg-New York 1978年; Williams-Gardener、A.: 工業的乾燥(Industrial Drying)、Houston、Gulf、1977年; K. Kroll、W. Kast: Trocknen und Trockner in der Produktion [生産における乾燥および乾燥機]、Springer、Berlin-Heidelberg-New York 1989年に記載されている。乾燥方法の例には、たとえば、乾燥オーブン、トンネル乾燥機、ベルト乾燥機、ディスク乾燥機、ジェット乾燥機、流動床乾燥機、通気回転ドラム乾燥機、噴霧乾燥機、含気コンベクター乾燥機、サイクロン乾燥機、ミキサー乾燥機、ペースト粉砕乾燥機、粉砕乾燥機、環状乾燥機、タワー乾燥機、ロータリー乾燥機、円形乾燥機内での対流乾燥方法が含まれる。他の方法では、接触による乾燥、たとえばパドル乾燥、真空または凍結乾燥、コーン乾燥機、吸引乾燥機、ディスク乾燥機、薄膜接触乾燥機、ドラム乾燥機、粘相乾燥機、平板乾燥機、ロータリーコイル乾燥機、ツインコーン乾燥機;または乾燥目的のための熱放射(赤外線、たとえば赤外線ロータリー乾燥機)もしくは誘電性エネルギー(マイクロ波)を開拓している。熱的乾燥方法に用いる乾燥装置は、ほとんどの場合、蒸気、油、気体または電気によって加熱し、設計次第では部分的に真空下で稼動することができる。
【0118】
分離除去した液相は、プロセス水の形態で再循環させ得る。プロセス内に再循環されない液相の量は、多段階の蒸発プロセスで濃縮してシロップを得ることができる。所望の代謝産物がデカント前に液相から固相へ変換されていない場合は、得られたシロップも代謝産物を含む。概して、シロップは10〜90重量%、好ましくは20〜80重量%、特に好ましくは25〜65重量%の範囲の乾物含有率を有する。このシロップをデカントの際に分離除去される固体と混合し、続いて乾燥させる。乾燥は、タンブル乾燥機、噴霧乾燥機またはパドル乾燥機によって実行することができ、タンブル乾燥機を用いることが好ましい。乾燥は、好ましくは、得られる固体の残存水分含有率が、得られる固体の合計乾重量に基づいて30重量%以下、好ましくは20重量%以下、特に好ましくは10重量%以下、特段に好ましくは5重量%以下であるような様式で実施する。
【0119】
発酵液由来の価値のある生成物および非デンプン質固体成分から揮発性成分を分離するための第2の好ましい実施形態では、揮発性成分を、適切な場合は既に記載した固体成分の事前分離ステップ後に、蒸発によって除去する。蒸発は、それ自体知られている様式によって達成することができる。揮発性成分を蒸発させる適切な方法の例は、噴霧乾燥、流動床乾燥または流動床凝集、凍結乾燥、含気コンベクター乾燥機および接触乾燥機、ならびに押出乾燥である。上述の方法と押出、ペレット化または噴射造粒などの成形方法との組合せも実施し得る。最後に言及したこれらの方法の場合、部分的にまたは大部分を事前に乾燥した代謝産物含有物質混合物を用いることが好ましい。
【0120】
特に好ましい実施形態では、発酵液の揮発性成分の除去は、噴霧乾燥方法または流動床顆粒化を含めた流動床乾燥方法を含む。この目的のために、不揮発性微生物代謝産物を含む場合でも少量しか含まない発酵液を、適切な場合は粗い固体粒子を除去するための予備的分離の後、1つもしくは噴霧乾燥または流動床乾燥装置に供給する。固体を添加した発酵液の輸送、すなわち供給は、固体含有の液体用の慣用の輸送装置、たとえば、偏心シングルロータースクリューポンプ(たとえばDelasco PCMのもの)または高圧ポンプ(たとえばLEWA Herbert Ott GmbHのもの)などのポンプによって都合よく実施する。
【0121】
用いることができる噴霧乾燥装置は、当分野で知られているすべての従来の噴霧乾燥装置、たとえば、上記文献に記載のもの、具体的にはノズルタワー、明確には加圧ノズルを備えたもの、およびディスクタワーなどである。流動床乾燥を用いる、本明細書中で以下に記載する実施形態では、一体型流動床を備えた噴霧乾燥機および流動床噴霧造粒機を用いることが好ましい。
【0122】
噴霧乾燥による乾燥に適したシステムは、具体的には、固体を添加した発酵液を並流的または向流的、好ましくは向流的に乾燥させるものである。ここでは、発酵液は、有利には、垂直に配置された噴霧タワーの先端を通って、ノズルまたは回転ディスクを介して前記噴霧タワー内に入り、同時に霧化され、一方で、乾燥に用いる気体流、たとえば空気または窒素流を、噴霧タワーの上部または下部領域に入れる。発酵液の揮発性成分は、下部の排出口を介してまたは噴霧タワーの先端を介して放出され、一方で、所望の微生物代謝産物を含めた不揮発性または固体成分は、底部で本質的に乾燥した粉末として、噴霧タワーから放出または除去し、このステップからさらに加工することができる。
【0123】
しかし、生成物の所望の残存水分は、この1回の乾燥ステップだけで早くも達成する必要はなく、続くさらなる乾燥ステップで調節することができる。この目的のために、噴霧乾燥ステップの後に続いてたとえば、流動床乾燥ステップを行い得る。噴霧タワーおよび/または流動床の廃気は、有利には、サイクロンおよび/またはフィルターによって混入粒子または埃を除去し、さらなる加工のために収集する。その後、揮発性成分を、たとえば凝縮ユニットで収集することができ、適切な場合は、たとえば再循環プロセス水として再利用する。
【0124】
用いる装置を設計および操作する際は、当業者は発酵液中のかなりの量であり得る固体の量を考慮に入れる。したがって、具体的には用いる噴霧ノズルの内径および/または放出口は、目詰まりまたは遮断の傾向が排除されるまたは可能な限り低くなるように選択しなければならない。放出口または内径の適切な大きさは、概して、少なくとも0.4mm付近、好ましくは少なくとも1mm、通常は、発酵液およびそれ中に存在する物質、圧力および所望のスループットの特性に応じて、0.6〜5mmの範囲である。
【0125】
乾燥ステップに用いる気体流は、通常、所望の圧力における水性発酵液の沸点よりも高い温度、たとえば110〜300℃、具体的には120〜250℃、明確には130〜220℃の範囲を有する。乾燥プロセスを補助するために、水性発酵培地をその沸点未満の温度、たとえば25〜85℃、具体的には30〜70℃の範囲まで温めることも可能である。同様に、水性発酵培地を好ましくは100℃より高くまで過熱することも可能であり、液体培地は、所望の圧力下でノズルより前ではまだ沸騰せず、ノズルがその圧力を解放した後に自然蒸発が起こる点まで加熱する。
【0126】
発酵液は、たとえば30〜90℃の範囲の温度に予熱していてもよい気体流、たとえば空気または窒素とさらに混合することができる。単一物質ノズルの代わりに二物質ノズルを用いる場合は、この混合ステップは、噴霧タワーの実際の乾燥空間に入る直前に行うことができる。
【0127】
いずれの場合も、温度を選択する際には、所望の微生物代謝産物の熱安定性、すなわち沸点を考慮すべきである。概して、乾燥に用いる気体流の温度を、目的の不揮発性微生物代謝産物の沸点、すなわち分解点よりも少なくとも20℃、好ましくは少なくとも50℃低い温度に調節することが好都合である。ここでは、すべての揮発性成分が蒸発していない限りは、乾燥物質の温度を、場合によっては、加える気体流の温度よりも著しく低くできることを考慮に入れなければならない。この観点から、乾燥する物質の温度は、滞留時間の設定によっても影響を受ける。したがって、乾燥手順は、少なくともある程度の時間の間、乾燥する代謝産物の沸点以上の範囲の吸気温度で実施することができる。適切な温度条件は、日常的な実験によって当業者が決定することができる。
【0128】
特に好ましい実施形態では、乾燥プロセスは、並流的または向流的、好ましくは向流的に稼動する、垂直に設計した噴霧タワー内で実施する。室温まで冷却した、または発酵温度以下のままの温度、たとえば18℃〜37℃の固体を添加した発酵液の供給は、噴霧タワーの先端で、1個または複数個、たとえば1個、2個、3個または4個、具体的には1個または2個の噴霧ノズルを介して行う。乾燥プロセス用に提供する熱気体流、好ましくは空気流を、噴霧タワーの上部または下部領域内に通す。得られる粉末を噴霧タワーの下端部または先端で取り出す。所望する場合は、これに続いて流動床乾燥を行い得る。
【0129】
得られる粉末の平均粒子径は、固体を添加した発酵液を噴霧タワー内に通した際に得られる微粒化の度合によって大部分決定される。一方で、微粒化の度合は噴霧ノズルで用いる圧力または回転ディスクの速度に依存する。噴霧ノズルで適用する圧力は、通常、標準圧力よりも5〜200バール高い、たとえば約10〜100バール高い、具体的には約20〜60バール高い範囲である。回転ディスクの速度は通常5000〜30000rpmの範囲である。乾燥目的のために通す気体流のスループット率は、液体培地の流速に大きく依存する。液体培地の流速が低い場合(たとえば10〜1000 l/時の範囲)、スループット率は通常100〜10000m3/時の範囲であり、より高い流速の場合(たとえば1000〜50000 l/時の範囲)は通常10000〜10000000m3/時の範囲である。
【0130】
適切な場合は、当分野で知られている慣用アジュバントを噴霧乾燥プロセスと同時に用いることができる。これらのアジュバントは、噴霧タワーから放出される粉末の特性に対して、たとえば粒子径に関して、乾燥度合の改善、流動性の改善および/または水などの溶媒中への再分散の向上という意味で、狙った様式で影響を与えることができるように、噴霧タワー内で形成された一次粉末粒子の凝集を軽減または防止する。従来の噴霧アジュバントの例は、上述の製剤アジュバントである。これらは、従来使用されている量、たとえば発酵液の不揮発性固体成分の合計乾重量に基づいて0.1〜50重量%、具体的には0.1〜30重量%、明確には0.1〜10重量%の範囲で用いる。
【0131】
目的の装置についてそれぞれの場合に好都合に選択する設計、具体的には用いる噴霧ノズルの寸法および適切な動作パラメータは、単純に日常的な実験によって当業者が決定することができる。
【0132】
第2の好ましい実施形態のさらなる構成では、流動床乾燥方法を用いて発酵液の揮発性成分を除去する。噴霧乾燥方法の使用に関して前述した事項も、たとえば固体含有発酵液の輸送に関して、装置の設計に関して、および動作パラメータ、具体的には動作温度の選択に関して、ここで同様に適用される。用いることができる適切な流動床乾燥装置は、当分野で知られているすべての慣用流動床乾燥機、具体的には一体型流動床を備えた噴霧乾燥機および流動床噴霧造粒機(たとえばAllgaier、DMR、Glatt、Heinen、Huttlin、NiroおよびWaldnerのもの)である。
【0133】
流動床乾燥機は、連続的にまたはバッチ式で稼動することができる。連続稼動の場合、乾燥機内の滞留時間は数分間から数時間までである。したがって、装置は保持時間の長い、たとえば約1時間〜15時間にわたる期間の乾燥にも適している。狭い滞留時間の分布を所望する場合は、分離シートを用いて流動床をカスケードに分割するか、または蛇行設計を有するバッフルによって生成物流を理想的なピストン流に近づけることができる。特に大きな乾燥機は、複数の乾燥領域、たとえば2〜10個、具体的には2〜5個の乾燥領域に分割し、これらは異なる気体速度および温度で稼動する。その場合、最後の領域を冷却領域として用いることができる。この場合、通常は吸気温度を10〜40℃の範囲に設定する。
【0134】
湿性物質の供給領域では、凝集を回避するために概して注意を払う。これは、様々な方法、たとえば局所的に高い気体速度によって、または撹拌機構を用いることによって達成することができる。より小さなシステムの場合、またはシステムの洗浄の容易性を改善するためには、廃気を浄化するためのフィルターを流動床乾燥機と一体化することができる。
【0135】
バッチ式稼動流動床乾燥機では、滞留時間は均等に数分間から数時間の間である。ここでも、これらの装置は保持時間の長い乾燥に適している。
【0136】
流動床乾燥機は振動モードで稼動することができ、振動により低い気体速度(すなわち最小限の流動化速度未満)および低い床高さでの生成物の輸送が補助され、凝集の防止が可能となる。振動に加えて、乾燥気体の消費を減らすために律動気体供給を用いることもできる。上昇方向の熱ガス流中で湿性物質を乱流させながら混合し、それによりこれが高温かつ高い物質輸送係数で乾燥する。必要な気体速度は、本質的に粒子径および密度に依存する。たとえば、数百マイクロメートルの直径を有する粒子には、1〜10m/秒の範囲の表面速度が必要であり得る。穿孔底部(穿孔プレート、コニーデューア(conidur)プレート、織ったまたは焼結した金属から作製された底部)は、固体が熱気体空間へと落下することを防ぐ。熱は、乾燥気体を介してのみ供給するか、または熱交換器(管束もしくはプレート)を流動床内に追加で導入する(K. Masters: 噴霧乾燥の手引き(Spray Drying Handbook)、Longman Scientific & Technical 1991年; Arun S. Mujumdar、工業的乾燥の手引き(Handbook of Industrial Drying)、Marcel Dekker, Inc. 1995年)。
【0137】
残りについては、たとえば乾燥アジュバントの添加およびこの方法で生成物の特徴に影響が与えられる可能性に関して、噴霧乾燥について前述した事項が、流動床乾燥で同様に適用される。
【0138】
油性代謝産物の場合、流動床装置またはミキサーを用いた乾燥は、たとえば吸着剤を流動床装置またはミキサー内に導入し、十分に混合するか、または流動化して実行することができる。この実行中、油性代謝産物を有する発酵液を吸着剤上に噴霧する。その後、発酵液の揮発性成分を、ミキサーにエネルギーを供給することによって蒸発させることができるか、または流動床中の加熱した空気流によって蒸発させる。
【0139】
さらなる好ましい実施形態では、凍結乾燥方法を用いて発酵液の揮発性成分を除去する。ここでは、固体含有発酵液を完全に凍結し、凍結した揮発性成分を固体状態から蒸発させる、すなわち昇華させる(Georg-Wilhelm Oetjen、Gefriertrocknen [凍結乾燥]、VCH 1997年)。用いることができる凍結乾燥装置は、当分野で知られているすべての慣用凍結乾燥機、たとえばKlein VakuumtechnikおよびChristのものである。
【0140】
さらなる好ましい実施形態では、含気コンベクター乾燥機を用いて発酵液の揮発性成分を除去する。ここでは、固体含有発酵液を垂直乾燥管の下部に適用する。乾燥気体は、生じた粒子を10〜20m/秒の表面速度で上方に動員する。固体含有発酵液は、スクリュー、スピナーディスクを用いて、または含気的にチャージする。粒子はサイクロンによって乾燥管の先端に堆積され、所望の乾燥度合に達していない場合は、乾燥管内を再循環させるか、または下流に配置された流動床に通すことができる(K. Masters: Spray Drying Handbook、Longman Scientific & Technical 1991年; Arun S. Mujumdar、Handbook of Industrial Drying、Marcel Dekker, Inc. 1995年)。用いることができる装置は、当分野で知られているすべての従来の含気コンベクター乾燥機、たとえばNaraおよびOrthのものである。
【0141】
さらなる好ましい実施形態では、接触乾燥機を用いて発酵液の揮発性成分を除去する。この型の乾燥機は、乾燥ペースト状培地に特に適している。しかし、接触乾燥機の使用は、固体が既に粒子状の形態で存在する培地にも有利である。固体含有発酵液を、エネルギーを供給する乾燥機の蒸発器に適用する。発酵液の揮発性成分が蒸発する(K. Masters: Spray Drying Handbook、Longman Scientific & Technical 1991年; Arun S. Mujumdar、Handbook of Industrial Drying、Marcel Dekker, Inc. 1995年)。非常に多数の異なる接触乾燥機の設計が存在し、用いることができる。この内容では、上述の例を参照されたい。これらは、具体的には、薄膜接触乾燥機、たとえばBUSS-SMSのもの、ドラム乾燥機、たとえばGoudaのもの、パドル乾燥機、たとえばBTC-TechnologyおよびDraisのもの、接触ベルト乾燥機、たとえばKunzおよびMerkのもの、ならびにロータリー管束乾燥機、たとえばVetterのものとして当業者に知られている。
【0142】
乾燥ステップの前に製剤アジュバントを用いる本発明による方法のさらなる実施形態では、たとえば、ポリビニルアルコールおよびゼラチンなどの安定化剤または結合剤を、たとえば撹拌容器または静的混合物中の微生物代謝産物の懸濁液中に混合することが可能である。また、このような懸濁液は、たとえば、ミキサーまたは流動床内で噴霧または混入させることによって、担体物質に適用することもできる。
【0143】
乾燥ステップ中に製剤アジュバントを加えるさらなる具体的な実施形態は、代謝産物を含む湿性滴の粉末化に関し(この内容では、欧州特許EP0648 076号および欧州特許EP835613号を参照)、代謝産物含有懸濁液を噴霧し、安定化させるために、粉末化剤、たとえばシリカ、デンプンまたは上述の粉末化剤もしくは流動アジュバントのうちの1つを用いて滴を粉末化し、その後、たとえば流動床中で同様に乾燥する。
【0144】
乾燥ステップの後に製剤アジュバントを加えるさらなる具体的な実施形態は、たとえば、コーティング/コーティング層を乾燥粒子に塗布することに関する。具体的には、流動特徴を改善するための流動アジュバント、たとえば、シリカ、デンプンまたは他の上述の流動アジュバントを、乾燥後およびコーティングステップ後のどちらでも生成物に加えることができる。
【0145】
油性代謝産物または水の沸点よりも低い融点を有する代謝産物を得るためには、目的の生成物を、有利には、吸着剤上に吸着させる(例は本明細書中上記を参照)。一般に、関連する吸収剤を発酵液の発酵の終了時またはその後に加えるように、方法を実施する。適切な場合は、発酵液を事前に濃縮した後に吸着剤を加えることができる。疎水性および親水性の吸着剤をどちらも用いることができる。前者の場合は、吸着剤を、固体成分を揮発性成分と一緒に分離するのと同じ様式で、発酵液の揮発性成分から、吸着した代謝産物と一緒に分離する。後者の場合は、溶解または懸濁した形態の吸着剤が、加工手順によって吸着した生成物と共に放出されないように注意を払わなければならない。濾過を用いる場合は、フィルターの適切に小さな孔径を選択することによって達成することができる。好ましい疎水性または親水性吸着剤は、偽固体形態での不揮発性微生物代謝産物の調製に関連して本明細書中で言及した吸着剤、具体的には 珪藻土、シリカ、糖ならびに上述の無機および有機のアルカリおよびアルカリ土類金属の塩である。
【0146】
生成物製剤化のさらなる可能性は、機械的手段による成形、たとえば、押出、ペレット化または噴射造粒として知られている方法による成形である。ここでは、好ましくは乾燥した、事前に乾燥した、かつ/または製剤アジュバントで処理した、代謝産物またはそれを含む物質の混合物を、概して、金型または篩に押し通す。通常、生成物は、1つまたは複数のスクリュー、エッジランナーまたは他の機械部品、たとえば回転もしくは縦に移動する部品を介して、金型に運搬される。物質が金型または篩を通った後に得られる押出物は、機械的に、たとえば刃を用いて取り出すことができるか、または、適切な場合は、多かれ少なかれ自然により小さな粒子へと崩壊する。金型を用いずに生成物の製剤を成形する方法は、たとえば、ミキサー内での締固めおよび顆粒化、たとえば高剪断顆粒化として知られている方法である。
【0147】
代謝産物含有懸濁液を蒸発させた結果ならびに/または製剤アジュバント、たとえばデンプンなどの担体およびリグニンもしくはポリビニルアルコールなどの接着剤をこのような懸濁液に加えた結果、粘度が高い、ペースト状または顆粒化されることができる物質が得られ、したがってこれらの方法の1つで直接用いることができる場合に、言及した成形方法が有利に用いられる。そうでない場合、所要の高粘度またはペースト状の粘稠性は、押出、ペレット化、締固め、顆粒化(たとえば高剪断顆粒化)または噴射造粒プロセスを実施する前に、代謝産物含有懸濁液、たとえば発酵液を、上述の乾燥方法、好ましくは噴霧乾燥によって乾燥または事前に乾燥させることによって得ることもできる。適切な場合は、このような方法で得られた生成物を、この目的のために当業者に知られている慣用製剤アジュバントと混合し、押出、ペレット化、締固め、顆粒化または噴射造粒する。これらの方法は、代謝産物含有物質の混合物の少なくとも1つの構成成分を成形ステップの前に融解し、成形後に再固化するように操作することもできる。概して、このような実施形態は、この目的のために当業者に知られている慣用アジュバントの添加を要する。ここで得られる生成物は、典型的には500μm〜0.05mの範囲の粒子径を有する。粉砕などの微粉砕方法を、適切な場合はスクリーニング方法と組み合わせて、所望する場合は、これからより小さな粒子径を得るために用いることができる。
【0148】
記載した成形製剤化方法によって得られた粒子は、上述の乾燥方法によって所望の残存水分含有率まで乾燥させることができる。
【0149】
上述の様式のうちの1つにおいて固体形態で得られたすべての代謝産物、またはそれらを含む物質の混合物、たとえば粒子、顆粒および押出物を、コーティング、すなわち少なくとも1つのさらなる物質層で被覆することができる。コーティングは、たとえばミキサーまたは流動床内で行い、コーティングする粒子を流動化し、その後、コーティング物質を噴霧する。コーティング物質は、乾燥形態、たとえば粉末としてのもの、または、溶媒(たとえば水、有機溶媒およびこれらの混合物、特に水)中の溶液、分散液、乳液もしくは懸濁液の形態であってよい。存在する場合は、粒子上に噴霧する際またはその後に、溶媒を蒸発によって除去する。さらに、脂肪などのコーティング物質を溶融液の形態で適用し得る。
【0150】
水性分散液または懸濁液の形態で噴霧することができるコーティング物質は、たとえば国際公開WO03/059087号に記載されている。これらには、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンワックス、ワックスなどのポリオレフィン、アルカリまたはアルカリ土類金属硫酸塩、アルカリまたはアルカリ土類金属塩化物およびアルカリまたはアルカリ土類金属炭酸塩、たとえば、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸マグネシウムおよび炭酸カルシウムなどの塩;アクロナル、たとえばブチルアクリレート/メチルアクリレートコポリマー、BASFのStyrofan商標、たとえばスチレンおよびブタジエンに基づくもの、ならびに国際公開WO03/059086号に記載の疎水性物質が含まれる。このような物質を適用する場合、コーティング物質の固体含有率は、それぞれ、製剤化した最終産物の全重量に基づいて、典型的には0.1〜30重量%の範囲、具体的には0.2〜15重量%の範囲、明確には0.4〜5重量%の範囲である。
【0151】
溶液の形態で噴霧することができるコーティング物質は、たとえば、ポリエチレングリコール、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびエチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ゼラチンなどのタンパク質、アルカリまたはアルカリ土類金属硫酸塩、アルカリまたはアルカリ土類金属塩化物およびアルカリまたはアルカリ土類金属炭酸塩、たとえば、 硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸マグネシウムおよび炭酸カルシウムなどの塩;糖、たとえばグルコース、ラクトース、フルクトース、スクロースおよびトレハロースなどの炭水化物;デンプンおよび加工デンプンである。このような物質を適用する場合、コーティング物質の固体含有率は、それぞれ製剤化した最終産物の全重量に基づいて、典型的には0.1〜30重量%の範囲、具体的には0.2〜15重量%の範囲、明確には0.4〜10重量%の範囲である。
【0152】
溶融液の形態で噴霧することができるコーティング物質は、たとえば、ドイツ特許DE 199 29 257号および国際公開WO92/12645号に記載されている。これらには、具体的には、ポリエチレングリコール、合成脂肪およびワックス、たとえばBASFのPolygen WE(登録商標)、動物性脂肪、たとえば蜜蝋、および植物性脂肪、たとえばカンデリラ蝋などの天然脂肪、脂肪酸、たとえば動物性ワックス、獣脂脂肪酸、パルミチン酸、ステアリン酸、トリグリセリド、Edenor製品、Vegeole製品、モンタンエステルワックス、たとえばBASFのLuwax E(登録商標)が含まれる。このような物質を適用する場合、コーティング物質の固体含有率は、それぞれ、製剤化した最終産物の全重量に基づいて、典型的には1〜30重量%の範囲、特に2〜25重量%の範囲、特定的には3〜20重量%の範囲である。
【0153】
乾燥コーティングプロセスで粉末として用いることができるコーティング物質は、たとえば、ポリエチレングリコール、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびエチルセルロースなどのセルロースおよびセルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ゼラチンなどのタンパク質、アルカリおよびアルカリ土類金属硫酸塩、アルカリおよびアルカリ土類金属塩化物ならびにアルカリまたはアルカリ土類金属炭酸塩、たとえば、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸マグネシウムならびに炭酸カルシウムなどの塩;糖、たとえばグルコース、ラクトース、フルクトース、スクロースおよびトレハロースなどの炭水化物、デンプンおよび加工デンプン、脂肪、脂肪酸、獣脂、小麦粉、たとえばトウモロコシ、コムギ、ライムギ、オオムギまたはコメのもの、粘土、灰分、カオリンである。コーティングとして適用する粉末とコーティングされる生成物との接着は、溶液または溶融液の形態で噴霧できる物質を用いて果たすことができる。あるいは、これらの溶液または溶融液の噴霧は、粉末の導入と共に、または並行して行うことができる。好ましくは、コーティングする生成物を流動床またはミキサー内で流動化する。その後、粉末を、好ましくは連続的に、流動床またはミキサー内に運搬してコーティングする。特に好ましい実施形態では、粉末を加える間に、加工空間に溶液または溶融液を充填する。溶液は、たとえば連結部品を介して供給するか、または、好ましくは、ノズル(たとえば単一物質もしくは二物質ノズル)を介して加工空間内に噴霧することができる。溶液または溶融液が、適用する粉末ではなく主にコーティングされる生成物と接触するように、粉末の供給ステーションおよび加工空間内でのノズルの位置が、空間的に互いに隔離されていることが特に好ましい。
【0154】
異なるコーティング物質の混合物を適用することも可能であり、具体的には、複数の同一のまたは異なるコーティング層を連続的に適用することが可能である。
【0155】
代替的な実施形態では、所望の不揮発性微生物代謝産物を、残りの発酵液から、発酵液の固体成分と共に、バイオエタノール生産で得られた副産物(ここでは「可溶物を含む蒸留乾燥穀粒(Distiller's Dried Grains with Solubles(DDGS))」と呼ばれ、そのように市販されている)と同様にして得ることができる。この場合、発酵液の液体成分の本質的にすべて、または一部のみを固体から除去することができる。この様式で得られるタンパク質副産物は、後処理または加工ステップの前または後に、動物、好ましくは農業家畜、特に好ましくは畜牛、豚および家禽、特段に好ましくは畜牛を飼育するための飼料または飼料添加物として用いることができる。
【0156】
この目的のために、溶液の全体、すなわち不揮発性微生物代謝産物および他の不溶性または固体成分を含めむ溶液を、単一ステップの蒸発手順、または概して多段階の蒸発手順で、特定の度合まで濃縮(蒸発)し、続いて含まれる固体を残存の液体(液相)から、たとえばデカンタを用いて除去する。本発明による方法では、所望の代謝産物を最初に液相から固体形態へ、たとえば結晶化または沈殿によって変換することができ、これにより、所望の代謝産物を他の固体と一緒に得ることができる。ここで取り除かれる固体は、一般に10〜80重量%、好ましくは15〜60重量%、特に好ましくは20〜50重量%の範囲の乾物含有率を有し、適切な場合は、慣用乾燥方法、たとえば上述のものを用いてさらに乾燥することができる。さらに後処理または加工を行うことによって得られた完成製剤は、有利には、保存中の腐敗の危険性を低減するように少なくとも約90%の乾物含有率を有する。
【0157】
分離除去した液相は、プロセス水として再循環させることができる。プロセス内に再循環されない液相の部分は、多段階の蒸発プロセスで濃縮してシロップを得ることができる。所望の代謝産物がデカント工程の前に液体から固相へ変換されていない場合は、得られたシロップも代謝産物を含む。概して、シロップは10〜90重量%、好ましくは20〜80重量%、特に好ましくは25〜65重量%の範囲の乾物含有率を有する。このシロップをデカントの際に分離された固体と混合し、続いて乾燥する。乾燥は、たとえば、ドラム乾燥機、噴霧乾燥機またはパドル乾燥機によって行うことができ、好ましくはドラム乾燥機を用いる。乾燥は、好ましくは、得られる固体の残存水分含有率が、得られる固体の合計乾重量に基づいて30重量%以下、好ましくは20重量%以下、特に好ましくは10重量%以下、特段に好ましくは5重量%以下であるように実施する。
【0158】
この代替的な実施形態で分離除去した液相だけでなく、他の上述の実施形態で回収されうる揮発性成分も、凝縮後にプロセス水として再循環させることができる。これらの液体または揮発相の再循環部分は、有利には、たとえば完全にまたは部分的に、ステップa)の糖含有液体の生産に用いるか、または発酵で用いるための緩衝液もしくは栄養塩類溶液を構成するために用いることができる。再循環プロセス水をステップa)で混合する際、特定のミネラル物質およびイオン、たとえばナトリウムおよび乳酸イオンが過度に高度に供給される結果、過度に高いその割合は発酵に対し有害な影響を及ぼし得ることを考慮しなけらばならない。したがって、好ましくは、デンプン液化の懸濁液を構成する際の再循環プロセス水の割合は、本発明によると、75重量%以下、好ましくは60重量%以下、特に好ましくは50重量%以下に制限される。ステップa2)の好ましい実施形態では、懸濁液を構成する際のプロセス水の割合は、有利には5〜60重量%、好ましくは10〜50重量%の範囲である。
【0159】
本明細書中に記載の乾燥および調製方法の結果、得られる固体の平均粒子径は、実質的な範囲、たとえば約1〜100μmの範囲の比較的小さな粒子から、百〜数百μmの範囲の中間的粒子径を経て、少なくとも約500μmまたは約1mm、およびより大きければ数mmまで、たとえば10mmまでの比較的大きな粒子まで、様々でありうる。粉末の調製では、平均粒子径は概して50〜1000μmの範囲である。生成物の他の固体形態、たとえば、たとえば流動床噴霧乾燥機および噴霧造粒機によって調製した押出物、締固め物、特に顆粒の調製では、より大きな寸法が概して設定され、平均粒子径は、しばしば200〜5000μmの範囲である。本明細書中では、用語「平均粒子径」とは、非球状粒子の場合は個々の粒子の最大粒子長の平均、または、球状もしくはほぼ球状の粒子の場合は直径の平均をいう。噴霧乾燥プロセスにおいて、一次粒子の凝集の結果、より大きな二次粒子が形成されうることを考慮しなければならない。本発明による方法を実施することにより、噴霧乾燥で慣用的に得られる粒子径分布が得られる。
【0160】
本発明はさらに、
(i)穀物粒から選択されるデンプン供給原料の非デンプン質固体成分を含む、ステップa2)で得られた糖含有液体培地から、50重量%以下の部分を除去し、残りを用いて、第1の不揮発性代謝産物(A)を固体形態で生産するための発酵を実施し;
(ii)デンプン供給原料の非デンプン質固体成分のすべてまたは一部をこの一部から除去し、これを用いて、代謝産物(A)と同一または異なる第2の不揮発性代謝産物(B)を固体形態で生産するための発酵を実施する、
上記方法に関する。
【0161】
好ましい実施形態では、(ii)の非デンプン質固体成分は、糖含有液体培地の残りの部分の固体含有率が、好ましくは50重量%以下、好ましくは30重量%以下、特に好ましくは10重量%以下、特段に好ましくは5重量%以下になるように分離除去する。
【0162】
この手法により、(ii)の別個の発酵において、たとえば酸素の移行率に関して特定の最低限要件を満たすべき微生物の使用が可能になる。(ii)の別個の発酵で用いる適切な微生物は、たとえばバチルス属種、好ましくは枯草菌である。別個の発酵でこのような微生物によって産生される化合物は、特に、ビタミン、補因子および栄養補助剤、プリンおよびピリミジン塩基、ヌクレオシドおよびヌクレオチド、脂質、飽和および不飽和脂肪酸、芳香族化合物、タンパク質、カロテノイド、特定的には、ビタミン、補因子および栄養補助剤、タンパク質ならびにカロテノイド、非常に特定的には、リボフラビンおよびパントテン酸カルシウムから選択される。
【0163】
この手法の好ましい実施形態は、同一の代謝産物(A)および(B)を2つの別個の発酵で並行的に生産することに関する。これは、特に、同一の代謝産物の異なる用途が異なる純度を必要とする場合に有利である。したがって、第1の代謝産物(A)、たとえば食品添加物として用いるアミノ酸、たとえばリシンは、固体含有発酵液を用いて生産し、同じ第1の代謝産物(B)、たとえば食品添加物として用いる同じアミノ酸、この場合はたとえばリシンは、(ii)に従って固体を枯渇させた発酵液を用いて生産する。非デンプン質固体成分の完全または部分的な除去により、適用分野がより高い純度を必要とする場合、たとえば食品添加物として代謝産物の後処理を行う場合の、精製の複雑さを低減することができる。
【0164】
この手法のさらなる好ましい実施形態では、発酵において微生物によって産生された代謝産物Bはリボフラビンである。発酵を実施するために、他の炭素供給原料について、国際公開WO01/011052号、ドイツ特許DE19840709号、国際公開WO98/29539号、欧州特許EP1186664号およびFujioka, K.: New biotechnology for riboflavin (vitamin B2) and character of this riboflavin. Fragrance Journal (2003年)、31(3)、44〜48ページに記載されているものと類似の条件および手順を用いることができる。
【0165】
本方法のこの変形法を実施するために、たとえば以下の手順を用い得る。好ましくは、本発明による方法に従って、たとえば好ましい処理ステップa)〜c)を用いて、代謝産物Aを生産、たとえばリシンなどのアミノ酸を生産するために、大容量の発酵を実行することが好ましい。(i)に従って、ステップa)で得られた糖含有液体培地の一部を取り出し、慣用方法、たとえば遠心分離または濾過によって、(ii)に従って、完全にまたは部分的に固体から分離する。それから得られた、本質的に完全にまたは部分的に固体を含まない糖含有液体培地を、(ii)に従って、代謝産物B、たとえばリボフラビンを生産するための発酵に供給する。有利には、(ii)に従って分離した固体流を大容量発酵の糖含有液体培地流に戻す。
【0166】
このようにして(ii)に従って生じるリボフラビン含有発酵液を、他の炭素供給原料について、たとえばドイツ特許DE4037441号、欧州特許EP464582号、欧州特許EP438767号およびドイツ特許DE3819745号に記載されているものと類似の条件および手順によって後処理を行うことができる。細胞塊の溶解に続いて、結晶形態で存在するリボフラビンを、好ましくはデカントによって分離する。固体を分離する他の方法、たとえば濾過も可能である。その後、リボフラビンを、好ましくは噴霧乾燥機および流動床乾燥機によって乾燥させる。代替方法として、(ii)に従って生産したリボフラビン含有発酵混合物を、たとえば欧州特許EP1048668号および欧州特許EP730034号に記載のように、類似の条件下で、類似の手順を用いて加工することができる。低温殺菌後、発酵液をここで遠心分離し、残存の固体含有画分を鉱酸で処理する。形成されるリボフラビンを水性酸性培地から濾過によって取り除き、洗浄し、適切な場合は、続いて乾燥させる。
【0167】
この手法のさらなる好ましい実施形態では、発酵において微生物によって産生された代謝産物Bはパントテン酸である。発酵を実施するために、他の炭素供給原料について、国際公開WO01/021772号に記載されているものと類似の条件および手順を用いることができる。
【0168】
この方法の変形法を実施するために、たとえばリボフラビンについて上述した手法に従い得る。(ii)に従って予備的精製に供し、好ましくは本質的に固体を含まない糖含有液体培地を、パントテン酸を生産するための(ii)に従った発酵に供給する。ここでは、固体含有液体培地と比較して粘度が低下していることが、特に有利である。分離された固体流は、好ましくは大容量発酵の糖含有液体培地流に戻す。
【0169】
(ii)に従って生産したパントテン酸含有発酵液を、他の炭素供給原料について、たとえば欧州特許EP1 050 219号および国際公開WO01/83799号に記載されているものと類似の条件下で、類似の手順を用いて、後処理を行うことができる。すべての発酵液を低温殺菌した後、残存の固体を、たとえば遠心分離または濾過によって分離する。固体分離ステップで得られる透明な流出物を部分的に蒸発させ、適切な場合は塩化カルシウムで処理し、乾燥させ、特に噴霧乾燥する。
【0170】
分離除去された固体は、並行的大容量発酵プロセスの範囲内でそれぞれの所望の不揮発性微生物代謝産物(A)と一緒に得られる。
【0171】
乾燥および/または製剤化ステップの後、完全なまたは粉砕した穀物粒、好ましくはトウモロコシ、コムギ、オオムギ、キビ/ソルガム、ライコムギおよび/またはライムギを生成物製剤に加え得る。
【0172】
本発明はさらに、本明細書中に記載した方法によって得ることができる不揮発性代謝産物の固体製剤に関する。発酵の少なくとも1つの不揮発性代謝産物(構成成分A)に加えて、該製剤は通常、発酵からのバイオマス(構成成分B)およびデンプン供給原料の非デンプン質固体成分(構成成分C)の一部またはすべてを含む。さらに、本発明による物質混合物は、適切な場合は、結合剤、担体、粉末化/流動アジュバント、フィルムまたは色素などの上述の製剤アジュバント、殺生物剤、分散剤、消泡剤、粘度調節剤、酸、塩基、抗酸化剤、酵素安定化剤、酵素阻害剤、吸着質、脂肪、脂肪酸、油などをさらに含む。
【0173】
代謝産物は、典型的には、成分A、BおよびCの合計量に基づいて10重量%を超える量、たとえば>10〜80重量%、具体的には20〜60重量%となる。製剤の全重量に基づいて、代謝産物は、典型的には、製剤の全重量に基づいて0.5〜80重量%、具体的には1〜60重量%となる。
【0174】
不揮発性代謝産物を生産する発酵からのバイオマスは、典型的には、成分A、BおよびCの合計量に基づいて1〜50重量%、具体的には10〜40重量%、または製剤の全重量に基づいて0.5〜50重量%、具体的には2〜40重量%に達する。
【0175】
概して、発酵液からのデンプン供給原料の非デンプン質固体成分は、成分A、BおよびCの合計量に基づいて少なくとも1重量%、具体的には5〜50重量%、または製剤の全重量に基づいて少なくとも0.5重量%、具体的には少なくとも2重量%、たとえば2〜50重量%、具体的には5〜40重量%の範囲に達する。
【0176】
概して、製剤アジュバントは、成分A、BおよびCの全重量に基づいて400重量%までの量、しばしば成分A、BおよびCの合計量に基づいて0〜100重量%の範囲、または製剤の全重量に基づいて0〜80、具体的には1〜30重量%の範囲の量となる。
【0177】
本発明による製剤は、固体形態、典型的には粉末、顆粒、ペレット、押出物、締固め物または凝集塊の形態である。
【0178】
本発明による製剤は、典型的には、最初にデンプン供給原料の固体成分からもたらされ、さらに本発明による製剤の調製において増量剤/担体として用いる食物繊維を含む。本発明の目的のために用語「食物繊維」の下でのその成分の定義に関しては、American Association of Cereal Chemists (AACC)、Cereal Foods World (CFW)、46 (3)、「The Definition of Dietary Fiber」、2001年、112〜129ページの報告、具体的には112、113および118ページを参照されたい。概して、食物繊維は、それぞれ、製剤の全重量に基づいて、少なくとも1重量%、具体的には少なくとも5重量%、明確には少なくとも10重量%、しばしば1〜60重量%の範囲、具体的には5〜50重量%、明確には10〜40重量%の範囲となる。概して、食物繊維の含有率はAACCの標準方法(American Association of Cereal Chemists. 2000年. Approved Methods of the American Association of Cereal Chemists、第10版、方法32〜25ページ、Total dietary fiber determined as neutral sugar residues, uronic acid residues, and Klason lignin (Uppsala method). The Association、St. Paul, MNによって決定する。
【0179】
本発明による物質の混合物は、本質的にバイオマスBに対応する、高いタンパク質含有率を有する。タンパク質含有量のさらなる部分は、用いるデンプン供給原料にも起因してもよい。タンパク質含有率は、典型的には、製剤の全重量に基づいて20〜70重量%の範囲である。
【0180】
その本来的なタンパク質含有率(具体的には成分B)および食物繊維含有率(具体的には成分C)は、たとえば油性代謝産物の場合、特にこの内容で用いる乾燥ステップの観点から、様々な製剤化方法にとって有利である。
【0181】
本発明による製剤は、有利には、1つまたは複数の必須アミノ酸、具体的にはリシン、メチオニン、スレオニンおよびトリプトファンから選択される少なくとも1つのアミノ酸を含む。存在する場合は、必須アミノ酸、特にここで言及したものは、概して、それぞれ、発酵性のバイオエタノール生産で生じる従来のDDGS副産物よりも多い量で、具体的には少なくとも1.5倍の量で存在する。目的のアミノ酸が製剤中に存在する場合、製剤は、概して、それぞれ、製剤の乾物合計量に基づいて、少なくとも1重量%、特に1〜10重量%の範囲、特定的には1〜5重量%の範囲のリシン含有率、少なくとも0.8重量%、特に0.8〜10重量%の範囲、特定的には0.8〜5重量%の範囲のメチオニン含有率、少なくとも1.5重量%、特に1.5〜10重量%の範囲、特定的には1.5〜5重量%の範囲のスレオニン含有率、および/または少なくとも0.4重量%、特に0.4〜10重量%の範囲、特定的には0.4〜5重量%の範囲のトリプトファン含有率を有する。
【0182】
本発明による製剤は、慣用的に、少量の水、それぞれ、製剤の全重量に基づいてしばしば0〜25重量%の範囲、具体的には0.5〜15重量%の範囲、明確には1〜10重量%の範囲、非常に特定的には1〜5重量%の範囲の水も含む。
【0183】
本発明による製剤は、動物またはヒトの栄養補給における使用、たとえばそれ自体または添加物もしくはサプリメントとしての使用、また、プレミックスの形態での使用も適している。この目的には、具体的には、アミノ酸、たとえば、リシン、グルタミン酸、メチオニン、フェニアラニン、スレオニンもしくはトリプトファン;ビタミン、たとえば、ビタミンB2(リボフラビン)、ビタミンB6もしくはビタミンB12;カロテノイド、たとえばアスタキサンチンもしくはカンタキサンチン;糖、たとえばトレハロース;または有機酸、たとえばフマル酸を含む製剤が適している。
【0184】
本発明による製剤は、織物、革、セルロースおよび紙の業界での使用にも適している。特に、織物産業で用いられる製剤は、アミラーゼ、ペクチナーゼおよび/または酸、ハイブリッドもしくは中性セルラーゼなどの酵素を代謝産物として含むものであり;革産業では、具体的にはリパーゼ、膵臓酵素またはプロテアーゼなどの酵素を含むものであり;セルロースおよび紙の産業では、具体的には、アミラーゼ、キシラナーゼ、セルラーゼ、ペクチナーゼ、リパーゼ、エステラーゼ、プロテアーゼ、酸化還元酵素、たとえばラッカーゼ、カタラーゼおよびペルオキシダーゼなどの酵素を含むものである。
【0185】
以下の実施例は、本発明の個々の態様を例示することを意図するが、いかなる様式でも限定的に理解されるべきでない。
【実施例】
【0186】
I.デンプン供給原料の製粉
本明細書中、以下で用いる粉砕原料は、以下のように生成した。ローターミルを用いて、全トウモロコシ穀粒を完全に粉砕した。異なるビーター、粉砕通路またはスクリーン構成要素を用いて、3つの異なる度合の微粉度を得た。実験室用振動スクリーン(振動分析器:Retsch Vibrotronic VE1型;スクリーニング時間:5分間、振幅:1.5mm)を用いた粉砕原料のスクリーン分析により、表1に示す結果が得られた。
【0187】

【0188】
II.酵素的なデンプンの液化およびデンプンの糖化
II.1.糖化ステップでのフィターゼ不使用
II.1a)酵素的なデンプンの液化
320gの乾式製粉したトウモロコシ穀粉(meal)(T71/03)を480gの水に懸濁させ、連続的に撹拌しながら310mgの塩化カルシウムを混合した。実験の全体にわたって撹拌を続けた。H2SO4でpHを6.5にし、混合物を35℃まで加熱した後、2.4gのターマミル(Termamyl) 120L L型(Novozymes A/S)を加えた。40分間の過程中で、反応混合物を86.5℃の温度まで加熱し、適切な場合は、pHをNaOHで上記値に再調整した。30分間以内に、さらに400gの乾式製粉したトウモロコシ穀粉(T71/03)を加え、このプロセス中に温度を91℃まで上げた。反応混合物をこの温度で約100分間保った。続いて、さらに2.4gのターマミル120Lを加え、温度を約100分間保った。実験中、ヨウ素-デンプン反応を用いて液化の進行をモニターした。最終的に温度を100℃まで上げ、反応混合物をさらに20分間沸騰させた。この時点で、デンプンは検出不可能となった。反応器を35℃まで冷却した。
【0189】
II.1b)糖化
II.1a)で得られた反応混合物を絶えず撹拌しながら61℃まで加熱した。実験の全体にわたって撹拌を続けた。H2SO4でpHを4.3にした後、10.8g(9.15ml)のDextrozyme GA(Novozymes A/S)を加えた。温度を約3時間保ち、この間、グルコース試験紙(BoehringerのS-Glucotest)を用いて反応の進行をモニターした。結果を本明細書の以下の表2に示す。続いて、反応混合物を80℃まで加熱し、その後、冷却した。これにより、約1.2kg/lの密度、および赤外線乾燥機によって決定すると約53.7重量%に達する乾物含有率を示す、約1180gの液体生成物が得られた。水で洗浄した後、約14重量%の乾物含有率(水溶性成分を含まず)が得られた。HPLCによって測定した反応混合物のグルコース含有率は、380g/lに達した(表2参照、試料番号7)。
【0190】

【0191】
II.2.糖化ステップでのフィターゼの使用
II.2a)デンプンの液化
II.1a)に記載のようにして、乾式製粉したトウモロコシ穀粉の試料を液化する。
【0192】
II.2b)糖化
II.2a)で得られた反応混合物を絶えず撹拌しながら61℃まで加熱する。実験の全体にわたって撹拌を続ける。H2SO4でpHを4.3にした後、10.8g(9.15ml)のDextrozyme GA(Novozymes A/S)および70μlのフィターゼ(700単位のフィターゼ、BASF AGのNatuphyt Liquid 10 000L)を加える。温度を約3時間保ち、この間、グルコース試験紙(BoehringerのS-Glucotest)を用いて反応の進行をモニターする。続いて、反応混合物を80℃まで加熱し、その後、冷却する。得られた生成物を赤外線乾燥機によって乾燥させ、水で洗浄する。反応混合物のグルコース含有率をHPLCによって測定する。
【0193】
II.3 デンプンを酵素的に液化および糖化するためのさらなるプロトコル
II.3a)トウモロコシ穀粉
360gの脱イオン水を反応器内に導入する。1.54mlのCaCl2ストック溶液(100gのCaCl2×2H2O/l)を、約70ppmのCa2+の最終濃度までスラリーに加える。240gのトウモロコシ穀粉を、絶えず撹拌しながらゆっくりと水に流し込む。50重量%強度のNaOH水溶液を用いてpHを6.5にした後、4.0ml(=2重量%の酵素/乾物)のターマミル120 L L型(Novozymes A/S)を加える。その後、スラリーを85℃まで迅速に加熱する。このプロセス中、pHを持続的にモニターし、適切な場合はそれを調整することが必要である。
【0194】
最終温度に達した後、さらなる穀粉、最初は50gの穀粉の添加を開始する。さらに、Ca2+濃度を70ppmに保つために0.13mlのCaCl2ストック溶液をスラリーに加える。添加の間、温度を85℃で一定に保つ。完全な反応を確実にするために、さらなる一部分(50gの穀粉および0.13mlのCaCl2ストック溶液)を加える前に少なくとも10分間経過させる。2つの部分を加えた後、1.67mlのターマミルを加え、その後、さらに2つの部分(それぞれ、50gの穀粉および0.13mlのCaCl2ストック溶液)を加える。55重量%の乾物含有率に達した。添加後、温度を100℃まで上げ、スラリーを10分間沸騰させる。
【0195】
試料を採取し、室温まで冷却した。試料を脱イオン水で希釈した後(約1:10)、1滴の濃縮ルゴール液(5gのIおよび10gのKI/リットルの混合物)を加える。強い青色の呈色は、残存デンプンが存在することを示す;すべてのデンプンが加水分解された場合は、茶色の呈色が観察される。試験により残存デンプンの一部が存在することが示された場合は、温度を再度85℃まで下げて一定に保つ。ヨウ素-デンプン反応が陰性となるまで、さらに1.67mlのターマミルを加える。
【0196】
続く糖化反応には、デンプンに対して陰性と分析される混合物を61℃にする。50%強度の硫酸を加えることによってpHを4.3にする。反応の過程中、pHをこの値で維持する。温度を61℃で維持する。液化したデンプンをグルコースに変換するために、5.74ml(=1.5重量%の酵素/乾物)のDextrozym GA(Novozymes A/S)を加える。反応を1時間進行させる。酵素を失活させるために、その混合物を85℃まで加熱する。熱い混合物を無菌容器に満たし、これを冷却し、その後、4℃で保存する。420g/lの最終グルコース濃度が得られた。
【0197】
II.3b)ライムギ穀粉(セルラーゼ/ヘミセルラーゼを用いた前処理を含む)
360gの脱イオン水を反応器に導入する。155gのライムギ穀粉を、絶えず撹拌しながらゆっくりと水に流し込む。温度を50℃で一定に維持する。50重量%強度のNaOH水溶液を用いてpHを5.5にした後、3.21ml(=2.5重量%の酵素/乾物)のViscozyme L(Novozymes A/S)を加える。30分後、さらなる穀粉の添加を開始し、最初に55gの穀粉を加える。さらに30分後、さらに50gの穀粉を加え、30分後、さらに40gの穀粉を加える。最後の添加の30分後、液化を開始してもよい。
【0198】
1.7mlのCaCl2ストック溶液(100gのCaCl2×2H2O/l)を加える。50重量%のNaOH水溶液を用いてpHを6.5に調節した後、5.0ml(=2重量%の酵素/乾物)のターマミル120 L L型(Novozymes A/S)を加える。その後、スラリーを85℃で迅速に加熱する。このプロセス中、pHを連続的にモニターし、適切な場合は調整した。
【0199】
最終温度に達した後、さらなる穀粉、最初は60gの穀粉の添加を開始する。さらに、Ca2+濃度を70ppmに保つために0.13mlのCaCl2ストック溶液をスラリーに加える。添加の間、温度を85℃で一定に保つ。完全な反応を確実にするために、さらなる一部分(40gの穀粉および0.1mlのCaCl2ストック溶液)を加える前に少なくとも10分間経過させる。1.1mlのターマミルを加え、その後、さらなる一部(40gの穀粉および0.1mlのCaCl2ストック溶液)を加える。55重量%の乾物含有率に達する。添加後、温度を100℃まで上げ、スラリーを10分間沸騰させる。
【0200】
試料を採取し、室温まで冷却する。試料を脱イオン水で希釈した後(約1:10)、1滴の濃縮ルゴール液(5gのIおよび10gのKI/リットルの混合物)を加える。強い青色の呈色は、残存デンプンが存在することを示す;すべてのデンプンが加水分解された場合は、茶色の呈色が観察される。試験により残存デンプンの一部が存在することが示された場合は、温度を再度85℃まで下げて一定に保つ。ヨウ素-デンプン反応が陰性となるまで、さらに1.1mlのターマミルを加える。
【0201】
続く糖化反応には、デンプンに対して陰性であると分析される混合物を61℃にする。50%強度の硫酸を加えることによってpHを4.3にする。反応の過程中、pHをこの値で維持する。温度を61℃で維持する。液化したデンプンをグルコースに変換するために、5.74ml(=1.5重量%の酵素/乾物)のDextrozym GA(Novozymes A/S)を加える。反応を1時間進行させる。酵素を失活させるために、混合物を85℃で加熱する。熱い混合物を無菌容器に満たし、これを冷却し、その後、4℃で保存する。370g/lの最終グルコース濃度が得られた。
【0202】
II.3c)コムギ穀粉(キシラナーゼを用いた前処理を含む)
360gの脱イオン水を反応器に導入する。水を55℃まで加熱し、50重量%強度のNaOH水溶液を用いてpHを6.0に調整する。温度およびpHを調整した後、3.21ml(=2.5重量%の酵素/乾物)のShearzyme 500L(Novozymes A/S)を加える。155gのコムギ穀粉を、絶えず撹拌しながら溶液に流し込む。温度およびpHを一定に保つ。30分後、さらなる穀粉の添加を開始し、最初に55gの穀粉を加える。さらに30分後、さらに50gの穀粉を加え、30分後、さらに40gの穀粉を加える。最後の添加の30分後、液化を開始してもよい。
【0203】
液化および糖化をII.3bに記載のように実施する。400g/lの最終グルコース濃度が得られた。
【0204】
III.ATCC13032 lysCfbr
以下の実施例の一部では、国際公開WO05/059144号に名称ATCC13032 lysCfbrとして記載された改変コリネバクテリウム・グルタミカム株を用いた。
【0205】
実施例1
a)酵素的なデンプンの液化および糖化
500gの乾式製粉したトウモロコシ穀粉を750mlの水に懸濁させ、撹拌ミキサーで再度微粉砕した。その懸濁液を4つの試料(試料番号1〜4)に分割し、これらのそれぞれを約3gの熱安定性α-アミラーゼで処理した(試料番号1および2:ターマミルL;試料番号3および4:Spezyme)。その後、試料番号2および4を約7g/lのグルコアミラーゼで処理した(試料番号2:Dextrozyme GA;試料番号4:Optidex)。これにより、淡黄色の粘稠試料が得られ、その固体含有物をそれぞれ遠心分離によって分離除去したが、それは透明な液相の上部に浮遊する疎水性固体の相であった。
【0206】
遠心分離除去されたペレットを無視または考慮に入れて、このようにして得られた各試料の清澄な上清を濃縮形態および10倍希釈後にHPLCで分析した。ペレットを考慮に入れた場合、ペレットの乾物含有率は50重量%と推定した。最初の試料に基づいた結果を本明細書中の以下の表3に示す。
【0207】

【0208】
b)発酵
実施例II.1に従って得られた2つのトウモロコシ穀粉加水分解物を、コリネバクテリウム・グルタミカムを用いた振盪フラスコ実験で使用した(フラスコ4〜9)。さらに、実施例II.1と同様に調製したコムギ穀粉加水分解物を並行して使用した(フラスコ1〜3)。
【0209】
b.1)接種菌の調製
細胞を無菌CM寒天(組成:表4参照;121℃で20分間)上にストリーキングし、その後、30℃で48時間インキュベーションを行う。続いて細胞をプレートから掻き取り、生理食塩水に再懸濁させた。250mlのエルレンマイヤーフラスコ中の25mlの培地(表5参照)に、それぞれ光学密度が600nmでOD600値が1に達するように調製した量の細胞懸濁液を用いて接種する。
【0210】

【0211】
b.2)発酵液の調製
フラスコ培地1〜9の組成を表5に示す。
【0212】

【0213】
接種後、フラスコを30℃で48時間、加湿した振盪機内で振盪しながら(200rpm)インキュベーションを行った。発酵の終了後、糖およびリシンの含有率をHPLCによって測定した。HPLCは、Agilentの1100シリーズLCシステムを用いて実施した。オルト-フタルアルデヒドを用いたプレカラム誘導体化により、形成されるアミノ酸の定量的測定が可能となり、AgilentのHypersil AAカラムを用いて混合生成物を分離する。結果を表6にまとめた。
【0214】

【0215】
リシンは、すべてのフラスコで、約30〜40g/lの程度の同等な量で生産され、これは、グルコース栄養溶液を用いた標準的な発酵で得られた収率に一致する。
【0216】
c)乾燥粉末の調製
c.1)噴霧乾燥
約20重量%の固体含有率を有する250gのリシン含有溶液(実施例1aおよび1bに記載のようにしてトウモロコシ穀粉懸濁液から得た)を室温でガラスビーカーに導入し、ローラーポンプ(型:ISM444、Ismatec)によって、噴霧タワーの並流稼動の二物質ノズル(Niro、Minor High Tec)に運搬した。噴霧圧は4バールであった。噴霧プロセス中、約2〜3gのSipernat S22が少量ずつ計量された。入口温度は95℃〜100℃であった。生成物の温度が原則的に50℃以下にならないようにポンプ容量を調節した。
【0217】
噴霧乾燥プロセスの実施の際、噴霧タワーの壁が適度にリシンで覆われた。得られた乾燥粉末は視覚的に微細であり、良好な流動性を有する。23gの乾燥粉末が得られた。
【0218】
c.2)押出成形
80℃で60分間加熱した、約20重量%の固体含有率を有する400gのリシン含有溶液(実施例1aおよび1bと同様にしてトウモロコシ穀粉懸濁液から得た)を、14gのポリビニルアルコール(PVA; MW=10000〜190000g/mol)を75gの水に溶解させることによって調製したPVA溶液で処理した。得られた懸濁液のpHは約7であった。この懸濁液を、まずLodigeミキサーに入れて、約100〜350rpmで混合した、約950gのトウモロコシデンプン(Roquette)に加えた。
【0219】
ミキサーから放出された、約30℃の温度を有する粗挽きの湿ったペースト状生成物を、続いてDOME押出成形機(Fuji Paudal Co. Ltd.)に供給し、30℃未満の温度で押出成形した。押出物をBUCHIの流動床乾燥機内で60℃未満の生成物温度で120分間乾燥させた。これにより、600gの顆粒が得られた。
【0220】
c.3)流動床中での凝集
500gのNa2SO4を最初に流動床装置Aeromatic MP-1(Niro Aeromatic;穿孔底部の穿孔面積:12%(12%FF))のコーン内に導入し、50℃の温度まで温めた。約20重量%の固体含有率を有する998gのリシン含有溶液(実施例1aおよび1bと同様にしてトウモロコシ穀粉懸濁液から得た)を、ローラーポンプによって二物質ノズル(d=1.2mm)に供給し、このノズルを介して上部噴霧位置から(すなわち上方から)、コーン内に導入した固体上に噴霧した。噴霧圧は1.5バールであった。噴霧プロセスは、278gおよびさらに320gのリシン含有溶液の添加(流動床装置中の全固体に基づいてそれぞれ10および20重量%である一部に相当する噴霧された発酵固体)後に中断したが、これは、それぞれ中間の乾燥およびサンプリングのためであった(それぞれ50g)。吸入空気は約45〜60m3/時の範囲の量に調節し、乾燥ステップ中に減少させた。吸入空気の温度は、最終乾燥ステップ中に約46℃〜80℃の範囲であり、一部の例ではそれよりも低かった。生成物の温度が約50℃、原則的に45℃以上であるようにポンプ容量を調節した。冷却後、513gの生成物が放出された。採取した3つの生成物試料すべての凝集塊の大きさは、数百マイクロメートルの範囲内であった。
【0221】
c.4)接触乾燥
約20重量%の固体含有率を有する240gのリシン含有溶液(実施例1aおよび1bと同様にしてトウモロコシ製粉懸濁液から得た)を500mlの丸底フラスコ内に導入し、続いてロータリーエバポレーターを用いてわずかに減圧(880〜920mbar)して濃縮した。浴温は140〜145℃であった。約40分後、フラスコの壁に生じたコーティングを機械的に微粉砕し、乾燥を続け、さらに40分後、さらに微粉砕ステップを行った。その後、乾燥を続け、残渣のさらなる微粉砕を行うために時々中断した。合計乾燥時間は2.5時間であった。得られた顆粒は暗褐色であり、容易に流動可能であった。顆粒の残存水分は3%であった。少量の顆粒のみがフラスコの壁に付着していた。
【0222】
実施例2
実施例II.1に従って得られたトウモロコシ穀粉加水分解物を用いて、国際公開WO05/059144号に記載の株ATCC13032 lysCfbrを使用して、実施例1b)と同様に発酵を実施する。細胞を、無菌CM寒天(組成は表4;121℃で20分間)上、30℃で48時間インキュベーションを行う。続いて細胞をプレートから掻き取り、生理食塩水に再懸濁させる。250mlのエルレンマイヤーフラスコ中の25mlの培地1または2(表5参照)に、それぞれ光学密度が610nmのOD610値で1に達するような量に調製した細胞懸濁液を用いて接種する。その後、試料を、加湿した振盪機(相対大気湿度85%)中、200rpm、30℃で48時間インキュベーションを行う。培地中のリシン濃度をHPLCによって測定する。いずれの場合でも、ほぼ同量のリシンが生産された。
【0223】
得られたリシン含有発酵液を実施例1c.2)に記載のように加工して、押出物を得た。
【0224】
実施例3
実施例II.3aに従って得られたトウモロコシ穀粉加水分解物を、コリネバクテリウム・グルタミカム(ATCC13032 lysCfbr)を使用した振盪フラスコ実験に用いた(フラスコ1+2)。さらに、実施例II.3と同様にして調製したコムギ穀粉加水分解物(フラスコ3+4)およびライムギ穀粉加水分解物(フラスコ5+6)を並行して使用した。
【0225】
3.1)接種菌の調製
細胞を無菌CM+CaAc寒天(組成:表7参照;121℃で20分間)上にストリーキングし、その後、30℃で48時間インキュベーションを行い、その後、新鮮なプレートに接種し、終夜30℃でインキュベーションを行う。続いて細胞をプレートから掻き取り、生理食塩水に再懸濁させる。2つのバッフルを備えた250mlのエルレンマイヤーフラスコ中の23mlの培地(表8参照)に、それぞれ光学密度が610nmのOD610値で0.5に達するような量に調製した細胞懸濁液を用いて接種した。
【0226】

【0227】
3.2)発酵液の調製
フラスコ培地1〜6の組成を表8に示す。
【0228】
対照培地では、穀粉加水分解物の代わりに対応する量のグルコース溶液を用いた。
【0229】

【0230】
接種後、フラスコを30℃で48時間、加湿した振盪機内で振盪しながら(200rpm)インキュベーションを行った。発酵の終了後、グルコースおよびリシンの含有率をHPLCによって測定した。HPLC分析は、Agilentの1100シリーズLCシステムを用いて実施した。形成されるアミノ酸の測定にはオルトフタルアルデヒドを用いたプレカラム誘導体化を要し、混合生成物はAgilentのZorbax Extend C18カラムを用いて分離する。結果を表9にまとめた。
【0231】

【0232】
リシンは、すべてのフラスコで、約10〜12g/lの程度の同等の量で生産され、これは、グルコース栄養溶液を用いた標準的な発酵で得られた収率に一致する。
【0233】
得られたリシン含有発酵液を実施例1c.1)に従って加工して、流動可能な粉末が得られた。
【0234】
実施例4
実施例II.3aに従って得られたトウモロコシ穀粉加水分解物を振盪フラスコ実験(フラスコ1〜3)に用いた。パントテン酸産生株はバチルス属PA824であった(国際公開WO02/061108号に詳述)。さらに、実施例II.3と同様にして調製したコムギ穀粉加水分解物(フラスコ4〜6)およびライムギ穀粉加水分解物(フラスコ7〜9)を並行して使用した。
【0235】
4.1)接種菌の調製
2つのバッフルを備えた250mlのエルレンマイヤーフラスコ中の42mlの前培養培地(表10参照)に、それぞれ0.4の凍結培養物を用いて接種し、43℃で24時間、加湿した振盪機内で振盪しながら(250rpm)インキュベーションを行う。
【0236】

【0237】
2つのバッフルを備えた250mlのエルレンマイヤーフラスコ中の42mlの主培養培地(表11参照)に、それぞれ1mlの前培養物を接種する。
【0238】
4.2)発酵液の調製
フラスコ培地1〜9の組成を表11に示す。
【0239】
対照培地では、穀粉加水分解物の代わりに対応する量のグルコース溶液を用いた。
【0240】

【0241】
接種後、フラスコを43℃で24時間、加湿した振盪機内で振盪しながら(250rpm)インキュベーションを行った。発酵の終了後、グルコースおよびパントテン酸の含有率をHPLCによって測定した。グルコースの測定は、Bio-RadのAminex HPX-87Hカラムを用いて実施した。パントテン酸濃度は、PhenomenexのAqua C18カラム上での分離によって決定した。結果を表12にまとめた。
【0242】

【0243】
すべてのフラスコで、パントテン酸は約1.5〜2g/lの程度の同等の量で生産され、これはグルコース栄養溶液を用いた標準的な発酵で達成された収率に従っている。
【0244】
得られたパントテン酸含有発酵液を、一部の例では実施例1c.3)に従って加工して凝集塊を取得し、または実施例1c.4)に従ってさらに加工して乾燥した粗い粉末を取得した。
【0245】
実施例5
実施例II.3aに従って得られたトウモロコシ穀粉加水分解物を、アスペルギルス・ニガーを使用した振盪フラスコ実験に用いた(フラスコ1〜3)。さらに、実施例II.3と同様に調製したコムギ穀粉加水分解物(フラスコ4〜6)およびライムギ穀粉加水分解物(フラスコ7〜9)を並行して使用した。
【0246】
5.1)株
glaAプロモーターの制御下にあるアスペルギルス・フィカム(Aspergillus ficuum)由来のphyA遺伝子を6コピー有するアスペルギルス・ニガーフィターゼ産生株を、国際公開WO98/46772号に詳述されているNP505-7の作製と同様にして作製した。用いた対照は、3つの改変したglaA単位複製配列(アンプリコン)(ISO 505と同様)を有するが組み込まれたphyA発現カセットを有さない株であった。
【0247】
5.2)接種菌の調製
1つのバッフルを備えた100mlのエルレンマイヤーフラスコ中の20mlの前培養培地(表13参照)に、それぞれ100μlの凍結培養物を接種し、34℃で24時間、加湿した振盪機内で振盪しながら(170rpm)インキュベーションを行う。
【0248】

【0249】
1つのバッフルを備えた250mlのエルレンマイヤーフラスコ中の50mlの主培養培地(表14参照)に、それぞれ5mlの前培養物を接種した。
【0250】
5.3)発酵液の調製
フラスコ培地1〜9の組成を表14に示す。
【0251】
対照培地では、穀粉加水分解物の代わりに対応する量のグルコース溶液を用いた。
【0252】

【0253】
接種後、フラスコを34℃で6日、加湿した振盪機内で振盪しながら(170rpm)インキュベーションを行った。発酵の終了後、フィターゼ活性は、アッセイを用いて決定した。発酵の終了後、フィターゼ活性は、フィチン酸を基質として用いて、適切なフィターゼ活性レベル(標準:0.6単位/ml)で、250mMの酢酸/酢酸ナトリウム/Tween20(0.1重量%)、pH5.5緩衝液中で決定した。アッセイは、マイクロタイタープレート(MTP)での使用に標準化した。10μlの酵素溶液を、250mMの酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.5)(フィチン酸塩:フィチン酸のドデカナトリウム塩)中の、140μlの6.49mMフィチン酸塩溶液と混合した。1時間、37℃でインキュベーションを行った後、等体積(150μl)のトリクロロ酢酸を加えることによって反応を停止した。1アリコートのこの混合物(20μl)を、0.32NのH2SO4、0.27重量%のモリブデン酸アンモニウムおよび1.08重量%のアスコルビン酸を含む280μlの溶液に移した。次いで、50℃で25分間インキュベーションを行った。青色溶液の吸収を820nmで測定した。結果を表15にまとめた。
【0254】

【0255】
得られたフィターゼ含有発酵液を、実施例1c.1)に従って加工して粉末を得て、実施例1c.3)に従って粒子状凝集塊を得た。
【0256】
実施例6
実施例II.3aに従って得られたトウモロコシ穀粉加水分解物を、アシュビア・ゴシピーを使用した振盪フラスコ実験に用いた(フラスコ1〜4)。さらに、実施例II.3と同様に調製したコムギ穀粉加水分解物(フラスコ5〜8)およびライムギ穀粉加水分解物(フラスコ9〜12)を並行して使用した。
【0257】
6.1)株
用いたリボフラビン産生株は、アシュビア・ゴシピーATCC 10895である(Schmidt G他、「精製イソクエン酸分解酵素の阻害により、イタコン酸およびシュウ酸がリボフラビン過剰産生体であるアシュビア・ゴシピーの潜在的な代謝拮抗剤として同定された(Inhibition of purified isocitrate lyase identified itaconate and oxalate as potential antimetabolites for the riboflavin overproducer Ashbya gossypii.)」 Microbiology 142: 411〜417ページ、1996年も参照)。
【0258】
6.2)接種菌の調製
細胞を無菌YMG寒天(組成:表16参照;121℃で20分間)上にストリーキングし、その後、28℃で72時間インキュベーションを行う。
【0259】

【0260】
その後、2つのバッフルを備えた250mlのエルレンマイヤーフラスコ中の50mlの前培養培地(表17参照)に、それぞれ1ループ一杯の細胞を接種し、28℃で24時間、加湿した振盪機内で振盪しながら(180rpm)インキュベーションを行う。
【0261】

【0262】
2つのバッフルを備えた250mlのエルレンマイヤーフラスコ中の50mlの主培養培地(表18参照)に、それぞれ5mlの前培養物を接種した。
【0263】
6.3)発酵液の調製
フラスコ培地1〜12の組成を表18に詳述する。
【0264】
対照培地では、穀粉加水分解物の代わりに対応する量のグルコース溶液を用いた。
【0265】

【0266】
接種後、フラスコを28℃で6日、加湿した振盪機内で振盪しながら(180rpm)インキュベーションを行った。発酵の終了後、ビタミンB2の含有率をHPLCによって測定した。結果を表19にまとめた。
【0267】

【0268】
得られたビタミンB2含有発酵液を、実施例1c.1)に従って加工して粉末を得て、実施例1c.3)に従って粒子状凝集塊を得た。
【0269】
実施例7
実施例II.3aに従って得られたトウモロコシ穀粉加水分解物を、コリネバクテリウム・グルタミカムを使用した振盪フラスコ実験に用いた(フラスコ1〜3)。さらに、実施例II.3と同様に調製したコムギ穀粉加水分解物(フラスコ4〜6)およびライムギ穀粉加水分解物(フラスコ7〜9)を並行して使用した。
【0270】
7.1)株
メチオニンを産生するコリネバクテリウム株は当業者に知られている。そのような株の産生は、たとえば、Kumar D. Gomes J. Biotechnology Advances、23(1):41〜61ページ、2005年; Kumar D.他、Process Biochemistry、38:1165〜1171ページ、2003年;国際公開WO04/024933号および国際公開WO02/18613号に記載されている。
【0271】
7.2)接種菌の調製
細胞を無菌CM+Kan寒天(組成:表20参照;121℃で20分間)上にストリーキングし、その後、30℃で24時間インキュベーションを行う。その後、細胞をプレートから掻き取り、生理食塩水に再懸濁させる。2つのバッフルを備えた250mlのエルレンマイヤーフラスコ中の25mlの培地(表5参照)に、それぞれ光学密度が610nmのOD610値で0.5に達するような量の得られた細胞懸濁液を接種した。
【0272】

【0273】
7.3)発酵液の調製
フラスコ培地1〜9の組成を表21に示す。対照培地では、穀粉加水分解物の代わりに対応する量のグルコース溶液を用いた。
【0274】

【0275】
接種後、フラスコを、30℃、加湿した振盪機内で振盪しながら(200rpm)、すべてのグルコースが消費されるまで、インキュベーションを行った。発酵の終了後、メチオニンの含有率をHPLCによって測定した(カラム:Agilent ZORBAX Eclipse AAA; Eclipse AAAプロトコル、技術注記5980-1193に従った方法)。結果を表22にまとめた。
【0276】

【0277】
得られたメチオニン含有発酵液を実施例1c.4)に記載のように加工して、粗い粉末を得た。
【0278】
実施例8
実施例II.3aに従って得られたトウモロコシ穀粉加水分解物を、細菌130Zを使用した振盪フラスコ実験に用いた。
【0279】
8.1)株
用いたスクシネート産生株は細菌130Zであった(ATCC 55618号)。
【0280】
8.2)発酵液の調製
120mlの血清フラスコ中の50mlの主培養培地(表23参照)に、それぞれ1mlの凍結培養物を用いて接種した。血清フラスコを密封する前にCO2を注入した(0.7バール)。
【0281】
培地の組成を表23に示す(米国特許US5,504,004号参照)。対照培地では、穀粉加水分解物の代わりに対応する量のグルコース溶液を用いた(最終グルコース濃度:100g/l)。
【0282】

【0283】
接種後、血清フラスコを、37℃で46時間、振盪機内で振盪しながら(160rpm)インキュベーションを行った。発酵の終了後、グルコースおよびスクシネートの含有率をHPLCによって測定した。その測定は、Bio-RadのAminex HPX-87Hカラムを用いて実施した。結果を表24にまとめた。
【0284】

【0285】
得られたスクシネート含有発酵液を実施例1c.1)に記載のように加工して、乾燥粉末を得た。
【0286】
実施例9
実施例II.3aに従って得られたトウモロコシ穀粉加水分解物を、大腸菌を使用した振盪フラスコ実験に用いた(フラスコ1〜3)。さらに、実施例II.3と同様に調製したコムギ穀粉加水分解物(フラスコ4〜6)およびライムギ穀粉加水分解物(フラスコ7〜9)を並行して使用した。
【0287】
9.1)株
L-スレオニンを産生する大腸菌株は当業者に知られている。そのような株の産生は、たとえば、欧州特許EP1013765 A1号、欧州特許EP1016710 A2号、米国特許US5,538,873号に記載されている。
【0288】
9.2)接種菌の調製
細胞を無菌LB寒天上にストリーキングした。適切な耐性遺伝子がマーカーとして目的の株中に存在する場合は、抗生物質をLB寒天に加える。この目的のために用いることができる物質は、たとえば、カナマイシン(40μg/ml)またはアンピシリン(100mg/l)である。その株を、30℃で24時間インキュベーションを行う。細胞を、メチオニン(50μg/ml)、カナマイシン(40μg/ml)およびホモセリン(10μg/l)を添加した無菌M9グルコース最小培地上にストリーキングした後、30℃で24時間インキュベーションを行う。その後、細胞をプレートから掻き取り、生理食塩水に再懸濁させた。2つのバッフルを備えた250mlのエルレンマイヤーフラスコ中の25mlの培地(表25参照)に、それぞれ光学密度が610nmのOD610値で0.5に達するような量で調製した細胞懸濁液を用いて接種する。
【0289】
9.3)発酵液の調製
フラスコ培地1〜9の組成を表25に示す。対照培地では、穀粉加水分解物の代わりに対応する量のグルコース溶液を用いる。
【0290】

【0291】
接種後、フラスコを、30℃、加湿した振盪機内で振盪しながら(200rpm)、すべてのグルコースが消費されるまで、インキュベーションを行う。発酵の終了後、Lindroth他、Analytical Chemistry 51:1167〜1174ページ、1979年に記載のような逆相HPLCによって、L-スレオニン含有率を決定することができる。
【0292】
得られたスレオニン含有発酵液を実施例1c.1)〜1c.3)に従ってさらに加工して、粉末、押出物または凝集塊を得た。
【0293】
実施例10
適切な株を用いて、他のL-アミノ酸であるグルタミン酸、ヒスチジン、プロリンおよびアルギニンを実施例9の手順と同様にして調製した。目的の株は、たとえば欧州特許EP1016710号に記載されている。
【0294】
得られたアミノ酸含有発酵液を実施例1c.1)〜1c.3)に従ってさらに加工して、乾燥生成物を得ることができる。
【0295】
実施例11
部分糖化したトウモロコシ穀粉加水分解物を、アスペルギルス・ニガーを使用した振盪フラスコ実験に用いた。
【0296】
11.1)液化および(部分)糖化
液化は、実施例II.3aと同様に実施した。懸濁液を61℃まで冷却し、pHを4.3に調節した後、5.38ml(=1.5重量%の酵素/乾物)のDextrozyme GA(Novozymes A/S)を加えた。それぞれ、酵素を加えた10、15、20、30、45および60分後に、50gの試料を採取し、25mlの無菌の氷冷した完全脱ミネラル水中に懸濁させた。試料を氷浴に入れ、直ちにフラスコ試験に用いた。酵素の失活は起こらなかった。
【0297】
11.2)発酵
実施例5.1)で使用した株を用いた。接種菌は、実施例5.2)に記載のように調製した。
【0298】
発酵液を調製するために、表29に記載のフラスコ培地組成を用いた。各試料について2つのフラスコを調製した。
【0299】

【0300】
接種後、フラスコを34℃で6日、加湿した振盪機内で振盪しながら(170rpm)インキュベーションを行った。発酵の終了後、フィターゼ活性は、アッセイを用いて決定した(実施例5.3に記載)。結果を表30にまとめた。
【0301】

【0302】
得られたフィターゼ含有発酵液を実施例1c.2)および1c.3)に従って加工して、押出物または凝集塊を得た。
【0303】
実施例12
部分糖化したトウモロコシ穀粉加水分解物を、コリネバクテリウム・グルタミカムを使用した振盪フラスコ実験に用いた。
【0304】
12.1)液化および(部分)糖化
液化は、実施例II.3aと同様に実施した。懸濁液を61℃まで冷却し、pHを4.3に調節した後、5.38ml(=1.5重量%の酵素/乾物)のDextrozyme GA(Novozymes A/S)を加えた。それぞれ、酵素を加えた10、15、20、30、45および60分後に、50gの試料を採取し、25mlの無菌の氷冷した完全脱ミネラル水中に懸濁させた。試料を氷浴に入れ、直ちにフラスコ試験に用いた。酵素の失活は起こらなかった。
【0305】
12.2)発酵
実施例3)で使用した株を用いた。接種菌は、実施例3.1)に記載のように調製した。
【0306】
発酵液を調製するために、表31に記載のフラスコ培地組成を用いた。各試料について2つのフラスコを調製した。
【0307】

【0308】
接種後、フラスコを30℃で48時間、加湿した振盪機内振盪しながら(200rpm)でインキュベーションを行った。発酵の終了後、グルコースおよびリシンの含有率をHPLCによって測定した。HPLC分析は、Agilentの1100シリーズLCシステムで実施した。グルコースは、Bio-RadのAminex HPX-87Hカラムを用いて決定した。アミノ酸濃度は、Agilentの1100シリーズLCシステムHPLCでの高圧液体クロマトグラフィーによって決定した。オルトフタルアルデヒドを用いたプレカラム誘導体化により、形成されたアミノ酸の定量が可能となり、アミノ酸混合物はHypersil AAカラム(Agilent)を用いて分離した。結果を表32にまとめた。
【0309】

【0310】
得られたリシン含有発酵液を実施例1c.1)または1c.4)に従って加工して、粉末または顆粒を得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
糖に基づいた微生物発酵方法によって得られる不揮発性微生物代謝産物の固体製剤であって、該方法において、所望の代謝産物を産生する微生物株を、液体培地の全重量に基づいて30重量%を超える単糖含有率を有する糖含有液体培地を用いて増殖させ、発酵液の不溶性成分を事前に分離せずにその発酵液の揮発性成分を大部分除去し、また該糖含有液体培地の調製は、
a1)穀物から選択されるデンプン供給原料を製粉することによって、粉砕原料を生産するステップと、
a2)水性液体中の粉砕原料を少なくとも1つのデンプン液化酵素の存在下で液化し、次いで少なくとも1つの糖化酵素を用いて糖化し、液体培地の全重量に基づいて30重量%を超える単糖含有率を有する糖含有液体培地を得るステップであって、該糖含有液体培地は、粉砕原料のデンプン質成分に基づいて少なくとも25重量%の量で、粉砕原料中に含まれる非デンプン質固体成分を含む、ステップ
を含み、
但し、液化目的で、粉砕原料の少なくとも40重量%をステップa2)で液化過程中に連続的にまたはバッチ式で水性液体に加え、かつ、少なくとも1つの不揮発性代謝産物を、発酵液から固体形態で発酵液のすべての不溶性成分の全体と共に取得する、固体製剤
【請求項2】
a)ステップa1)およびa2)に記載の30重量%を超える単糖含有率を有する糖含有液体培地を調製するステップであって、糖含有液体培地が、粉砕原料のデンプン質成分に基づいて少なくとも25重量%のデンプン供給原料の非デンプン質固体成分を含む、ステップと、
b)不揮発性代謝産物を生産するために発酵において糖含有液体培地を使用するステップと、
c)発酵液の不溶性成分を事前に分離せずに発酵液の揮発性成分を除去することによって、発酵液から、固体形態の不揮発性代謝産物を、デンプン供給原料の非デンプン質固体成分と共に取得するステップと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
該方法において、粉砕原料を水性液体中、少なくとも1つのα-アミラーゼの存在下で液化し、続いて少なくとも1つのグルコアミラーゼを用いて糖化する、請求項1に記載の固体製剤
【請求項4】
該方法において、少なくとも1つのα-アミラーゼの一部をステップa2)の液化中に水性液体に加える、請求項3に記載の固体製剤
【請求項5】
該方法において、穀物がトウモロコシ、ライムギ、ライコムギおよびコムギ穀粒から選択される、請求項1〜4のいずれかに記載の固体製剤
【請求項6】
該方法において、ステップa1)の粉砕の際に得られる粉砕原料が、100μmを超える粒子径を有する穀粉粒を少なくとも50重量%含む、請求項1〜5のいずれかに記載の固体製剤
【請求項7】
該方法において、液体培地の粘度が20Pas以下であるようにステップa2)の粉砕原料の液化および糖化を実施する、請求項1〜6のいずれかに記載の固体製剤
【請求項8】
該方法において、液化中に加える粉砕原料の合計量の少なくとも25重量%を、粉砕原料中に存在するデンプンのゲル化温度よりも高い温度で加える、請求項1〜7のいずれかに記載の固体製剤
【請求項9】
該方法において、発酵ステップの前に、少なくとも1つのフィターゼを糖含有液体培地に加える、請求項1〜8のいずれかに記載の固体製剤
【請求項10】
製造される不揮発性代謝産物が、ヒドロキシル基と結合していることがあり3〜10個の炭素原子を有する有機モノ-、ジ-およびトリカルボン酸、タンパク質構成性およびタンパク質非構成性アミノ酸、プリン塩基、ピリミジン塩基;ヌクレオシド、ヌクレオチド、脂質;飽和および不飽和脂肪酸;4〜10個の炭素原子を有するジオール、3個以上のヒドロキシル基を有する高官能性アルコール、少なくとも4個の炭素原子を有する長鎖アルコール、炭水化物、芳香族化合物、ビタミン、プロビタミン、補因子、栄養補助剤、タンパク質、カロテノイド、3〜10個の炭素原子を有するケトン、ラクトン、バイオポリマーならびにシクロデキストリンから選択される、請求項1〜9のいずれかに記載の固体製剤
【請求項11】
調製される不揮発性代謝産物が、酵素、アミノ酸、ビタミン、二糖、3〜10個の炭素原子を有する脂肪族モノ-およびジカルボン酸、3〜10個の炭素原子を有する脂肪族ヒドロキシカルボン酸、3〜10個の炭素原子を有するケトン、4〜10個の炭素原子を有するアルカノールならびに3〜10個の炭素原子を有するアルカンジオールから選択される、請求項1〜10のいずれかに記載の固体製剤
【請求項12】
微生物が、以下の代謝産物:酵素、アミノ酸、ビタミン、二糖、3〜10個の炭素原子を有する脂肪族モノ-およびジカルボン酸、3〜10個の炭素原子を有する脂肪族ヒドロキシカルボン酸、3〜10個の炭素原子を有するケトン、4〜10個の炭素原子を有するアルカノールならびに3〜10個の炭素原子を有するアルカンジオール、のうちの少なくとも1つを産生する天然または組換え微生物から選択される、請求項1〜11のいずれかに記載の固体製剤
【請求項13】
該方法において、微生物が、コリネバクテリウム属(Corynebacterium)、バチルス属(Bacillus)、アシュビア属(Ashbya)、エシェリキア属(Escherichia)、アスペルギルス属(Aspergillus)、アルカリゲネス属(Alcaligenes)、アクチノバチルス属(Actinobacillus)、アネロビオスピリウム属(Anaerobiospirillum)、ラクトバチルス属(Lactobacillus)、プロピオニバクテリウム属(Propionibacterium)、クロストリジウム属(Clostridium)およびリゾープス属(Rhizopus)から、とりわけコリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)、枯草菌(Bacillus subtilis)、アシュビア・ゴシピー(Ashbya Gossypii)、大腸菌(Escherichia coli)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、アルカリゲネス・レータス(Alcaligenes latus)、アネロビオスピリウム・スクシニシプロデュセンス(Anaerobiospirillum succiniproducens)、アクチノバチルス・スクシノゲネス(Actinobacillus succinogenes)、ラクトバチルス・デルブルエキイ(Lactobacillus delbrueckii)、ライヒマン菌(Lactobacillus leichmannii)、プロピオニバクテリウム・アラビノサム(Propionibacterium arabinosum)、プロピオニバクテリウム・シャーマニ(Propionibacterium schermanii)、プロピオニバクテリウム・フロイデンライヒ(Propionibacterium freudenreichii)、クロストリジウム・プロピオニカム(Clostridium propionicum)、クロストリジウム・アセトブトリカム(Clostridium acetobutlicum)、クロストリジウム・フォルミコアセチカム(Clostridium formicoaceticum)、リゾープス・オリゼ(Rhizopus oryzae)およびリゾープス・アルヒザス(Rhizopus arrhizus)の株から、選択される、請求項1〜12のいずれかに記載の固体製剤
【請求項14】
該方法において、発酵液の揮発性成分を、固体成分の合計乾重量に基づいて0.2〜20重量%の残存水分含有率になるまで発酵液から除去する、請求項1〜13のいずれかに記載の固体製剤
【請求項15】
該方法において、揮発性成分を除去するために発酵液を噴霧乾燥、流動床乾燥または凍結乾燥する、請求項1〜14のいずれかに記載の固体製剤
【請求項16】
該方法において、1つまたは複数の乾燥アジュバントを用いる、請求項15に記載の固体製剤
【請求項17】
A)10超〜80重量%の、3〜10個の炭素原子を有する有機モノ−、ジ−、およびトリカルボン酸、タンパク質構成性またはタンパク質非構成性アミノ酸、ビタミン、プロビタミンまたはタンパク質のうち少なくとも1つ;
B)1〜50重量%の、3〜10個の炭素原子を有する有機モノ−、ジ−、およびトリカルボン酸、タンパク質構成性またはタンパク質非構成性アミノ酸、ビタミン、プロビタミンまたはタンパク質を産生する発酵からのバイオマス;
C)1〜50重量%の、発酵液からのデンプン供給原料の非デンプン質固体成分;ならびに
D)成分A、BおよびCの合計重量に基づいて0〜400重量%の慣用製剤アジュバント
を含み、重量部A、BおよびCの合計が100重量%であり、かつ製剤の合計重量に基づいて少なくとも5重量%の食物繊維を含む、請求項1〜16のいずれかに記載の固体製剤。

【公開番号】特開2013−48625(P2013−48625A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−223174(P2012−223174)
【出願日】平成24年10月5日(2012.10.5)
【分割の表示】特願2008−529627(P2008−529627)の分割
【原出願日】平成18年9月6日(2006.9.6)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】