固体燃料バーナ
【課題】
本発明の課題は、燃料ノズル内壁への燃料の衝突を抑え、燃料ノズルの摩耗を軽減しながら、燃料ノズル内の外周部分の燃料濃度と酸素濃度を高めることで、安定燃焼させることにある。
【解決手段】
本発明では、上記課題を解決するために、固体燃料とその搬送気体の混合流体を噴出する燃料ノズルと、該燃料ノズルの外側に配置され酸素含有気体を噴出する酸素含有気体ノズルと、前記燃料ノズルの周方向の速度成分を持つ酸素含有気体を噴出させ、該燃料ノズル内に突出させて設けられた少なくとも1つの酸素含有気体追加ノズルとを備え、前記酸素含有気体追加ノズルは、前記燃料ノズルの周方向にノズル出口を有している固体燃料バーナにおいて、前記酸素含有気体追加ノズルのバーナ軸方向の投影断面が、バーナ中心方向に向かい縮小する形状であることを特徴とする。
本発明の課題は、燃料ノズル内壁への燃料の衝突を抑え、燃料ノズルの摩耗を軽減しながら、燃料ノズル内の外周部分の燃料濃度と酸素濃度を高めることで、安定燃焼させることにある。
【解決手段】
本発明では、上記課題を解決するために、固体燃料とその搬送気体の混合流体を噴出する燃料ノズルと、該燃料ノズルの外側に配置され酸素含有気体を噴出する酸素含有気体ノズルと、前記燃料ノズルの周方向の速度成分を持つ酸素含有気体を噴出させ、該燃料ノズル内に突出させて設けられた少なくとも1つの酸素含有気体追加ノズルとを備え、前記酸素含有気体追加ノズルは、前記燃料ノズルの周方向にノズル出口を有している固体燃料バーナにおいて、前記酸素含有気体追加ノズルのバーナ軸方向の投影断面が、バーナ中心方向に向かい縮小する形状であることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は固体燃料を気流搬送して燃焼する固体燃料バーナに係り、特に、木材、ピート、石炭等の水分及び揮発分の多い燃料を粉砕して気流搬送し、浮遊燃焼させるものに好適な固体燃料バーナに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、木材、ピート、褐炭や亜炭に代表される石炭化度の低い石炭などの燃料は、揮発分が多いので、空気雰囲気では、貯蔵、粉砕、搬送過程において自然発火しやすく、瀝青炭などと比べて扱いにくいことが知られている。
【0003】
自然発火を防止するために、上記した燃料を粉砕して燃焼する場合は、燃料の搬送気体として、酸素濃度を低下させた燃焼排ガスと酸素含有気体との混合気体が使われることがある。燃焼排ガスは、燃料周囲の酸素濃度を低下させ、燃料の酸化反応(燃焼)を抑制し、自然発火を防ぐ。また、燃焼排ガスは、その保有熱により、燃料中の水分を乾燥させる機能も持っている。
【0004】
しかし、低酸素濃度の搬送気体で搬送された燃料は、固体燃料バーナから噴出する際の酸化反応が燃料周囲の酸素濃度により制限され、空気で搬送した場合と比べて、燃焼速度が低く、火炎の安定性に乏しい嫌いがあった。
【0005】
上記した自然発火の防止と火炎の安定を両立する方法として、燃料ノズルの周方向にノズル出口を有する酸素含有気体追加ノズルが燃料ノズル内に突出して設置され、その酸素含有気体追加ノズルが、燃料ノズルを流れる混合流体の流路断面積を滑らかに縮小し拡大する形状を成し、かつ、燃料ノズルを流れる混合流体に対して垂直方向の速度成分を有する空気を噴出する噴出口が側面に形成された構造が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−140480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載されているように、燃料ノズルの周方向にノズル出口を有する酸素含有気体追加ノズルが燃料ノズル内に突出して設置され、その酸素含有気体追加ノズルが、燃料ノズルを流れる混合流体の流路断面積を滑らかに縮小し拡大する形状を成している場合、酸素含有気体追加ノズルの上流部は、バーナ径方向側の隔壁(側壁)と燃料ノズル内壁がなす角が直角に満たない鋭角となる。
【0008】
このため、酸素含有気体追加ノズルのバーナ上流部に燃料粒子が衝突すると、バーナの径方向側の隔壁により、燃料ノズルの内壁に向かう速度成分が誘起され、燃料ノズルの内壁に燃料が衝突しやすくなる。
【0009】
その結果、燃料ノズル内壁の摩耗が促進される可能性があり、また、燃料ノズルの内壁に誘導した燃料が再分散する可能性がある。更に、燃料の再分散により、燃料ノズル内の流れが乱れ、燃料ノズル出口部分の酸素濃度分布が不均一となる可能性がある。
【0010】
本発明は上述の点に鑑みなされたもので、その目的とするところは、燃料ノズルの内壁への燃料の衝突を抑え、燃料ノズルの摩耗を軽減しながら燃料ノズル内の外周部分の燃料濃度と酸素濃度を高くして安定燃焼させることができる固体燃料バーナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の固体燃料バーナは、上記目的を達成するために、固体燃料とその搬送気体の混合流体を噴出する燃料ノズルと、該燃料ノズルの外側に配置され酸素含有気体を噴出する酸素含有気体ノズルと、前記燃料ノズルの周方向の速度成分を持つ酸素含有気体を噴出させ、該燃料ノズル内に突出させて設けられた少なくとも1つの酸素含有気体追加ノズルとを備え、前記酸素含有気体追加ノズルは、前記燃料ノズルの周方向にノズル出口を有している固体燃料バーナにおいて、前記酸素含有気体追加ノズルのバーナ軸方向の投影断面が、バーナ中心方向に向かい縮小する形状であるか、若しくは、
前記酸素含有気体追加ノズルは、バーナ径方向の隔壁とバーナ中心軸方向の隔壁、及び前記燃料ノズル側の隔壁から構成され、前記バーナ径方向の隔壁がバーナ中心軸に向かうように形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、燃料粒子は酸素含有気体追加ノズルに衝突後、バーナ軸方向のみに速度成分が誘起されるため、燃料ノズルの内壁への燃料の衝突を抑えることができ、燃料の再分散が抑えられ、燃料ノズル外周部分の出口部分の酸素濃度と燃料濃度を高めて安定燃焼させることができる固体燃料バーナを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明による固体燃料バーナの実施例1の構造及び固体燃料バーナの火炎を保炎器の下流側の循環流近くから形成させた状態を示す断面図である。
【図2】実施例1の固体燃料バーナを火炉側から見た概略構造を示す図である。
【図3】実施例1の固体燃料バーナの酸素含有気体ノズルの構造と燃料ノズル内での燃料噴流、即ち燃料及びその搬送気体の流れを説明する斜視図である。
【図4】実施例1の固体燃料バーナを、バーナ上流側から見た概略構造を示す図である。
【図5】本発明による固体燃料バーナの実施例2を火炉側から見た概略構造を示す図である。
【図6】本発明による固体燃料バーナの実施例3の構造及び固体燃料バーナの火炎を保炎器の下流側の循環流近くから形成させた状態を示す断面図である。
【図7】本発明による固体燃料バーナの実施例4を火炉側から見た概略構造を示す図である。
【図8】実施例5の固体燃料バーナの酸素含有気体ノズルの構造と燃料ノズル内での燃料噴流、即ち燃料及びその搬送気体の流れとを説明する斜視図である。
【図9】実施例5の固体燃料バーナを、バーナ上流側から見た概略構造を示す図である。
【図10】本発明による固体燃料バーナの実施例5の構造及び固体燃料バーナの火炎を保炎器の下流側の循環流近くから形成させた状態を示す断面図である。
【図11】実施例6の固体燃料バーナの酸素含有気体ノズルの構造と燃料ノズル内での燃料噴流、即ち燃料及びその搬送気体の流れとを説明する斜視図である。
【図12】実施例6の固体燃料バーナを、バーナ上流側から見た概略構造を示す図である。
【図13】本発明による固体燃料バーナにおける酸素含有気体追加ノズルの変形例であり、固体燃料バーナを火炉側から見た概略構造を示す図である。
【図14】本発明による固体燃料バーナにおける酸素含有気体追加ノズルの他の変形例であり、固体燃料バーナを火炉側から見た概略構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の固体燃料バーナを図示した実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0015】
図1は、本発明による固体燃料バーナの実施例1の構造を示すもので、固体燃料バーナ42の火炎20を、保炎器23の下流側の循環流19の近くから形成させた状態を、図2は、実施例1の固体燃料バーナを火炉41側から見た概略構造をそれぞれ示すものである。
【0016】
図1及び2に示す如く、実施例1における固体燃料バーナ42は、円柱状の燃料ノズル11、二次酸素含有気体ノズル13、三次酸素含有気体ノズル14が、同心円状に配置された円形状と成っており、更に、中心部には助燃用のオイルガン24を備え、この助燃用のオイルガン24の周囲に燃料噴流16、即ち燃料及びその搬送気体を噴出する燃料ノズル11を備えている。燃料ノズル11の中心部を貫通して設けられた助燃用のオイルガン24は、固体燃料バーナ42の起動時に燃料着火に使用される。
【0017】
一方、燃料ノズル11内には、上流側から流路縮小部材(ベンチュリ)32、障害物(濃縮器)33が設置されており、ベンチュリ32は、燃料ノズル11の流路断面積を外周側から滑らかに縮小し拡大する形状を持ち、濃縮器33は、燃料ノズル11の流路断面積を内側から滑らかに縮小し拡大する形状を持っている。また、燃料ノズル11の外側には、燃料ノズル11と同心円状の酸素含有気体噴出用の外側酸素含有気体ノズル、即ち二次酸素含有気体ノズル13、三次酸素含有気体ノズル14などが設置されている。
【0018】
更に、風箱26と連通し、燃料ノズル11の周方向の速度成分を持つ酸素含有気体を噴出させる酸素含有気体追加ノズル12が、燃料ノズル11内に突出し、かつ、ベンチュリ32、濃縮器33の下流側に位置して周方向に複数個設けられている。この酸素含有気体追加ノズル12には、燃料ノズル11の周方向に出口12A、12B、12Cが形成されている。
【0019】
また、燃料ノズル11の外側の先端部、即ち火炉41の出口側には、保炎器23と呼ばれる障害物が設けられている。この保炎器23は、燃料ノズル11から燃料噴流16、即ち燃料及びその搬送気体や二次酸素含有気体ノズル13を流れる二次酸素含有気体17の流れに対して、障害物として働くものである。
【0020】
従って、保炎器23の下流側(火炉41側)の圧力が低下し、この部分には、燃料噴流16や二次酸素含有気体17の流れとは、逆方向の流れが誘起される。この逆方向の流れを循環流19と呼ぶ。循環流19内には、下流から燃料の燃焼で生じた高温ガスが流れ込み滞留し、高温ガスと燃料噴流16中の燃料とが、固体燃料バーナ42の出口で混合し、更に、火炉41内からの輻射熱により、燃料粒子の温度が上昇して着火する。
【0021】
二次酸素含有気体ノズル13と三次酸素含有気体ノズル14とは、隔壁29で隔てられ、隔壁29の先端部分は、燃料噴流16に対して三次酸素含有気体18の流れが角度を持つように噴出させるガイド25が形成されている。このガイド25は、外周酸素含有気体ノズル(二次酸素含有気体ノズル13、三次酸素含有気体ノズル14など)の流路出口に、酸素含有気体の噴出方向をバーナ中心軸から離れる方向に誘導するように形成され、保炎器23と共に循環流19を形成するのに役立つ利点がある。
【0022】
実施例1では、二次酸素含有気体ノズル13及び三次酸素含有気体ノズル14から噴出する酸素含有気体に旋回力を与えるために、二次酸素含有気体ノズル13、三次酸素含有気体ノズル14に、旋回器27及び28が設けられている。また、火炉壁を構成するバーナスロート30は、三次酸素含有気体ノズル14の外周壁を兼ねており、更に、火炉壁には、火炉壁を冷却するための冷媒を流す水管31が設けられている。
【0023】
図3は、実施例1における固体燃料バーナ42の酸素含有気体追加ノズル12の構造と燃料ノズル11内での燃料噴流16、即ち、燃料及びその搬送気体の流れを説明する図であり、また、図4は、実施例1における固体燃料バーナ42の酸素含有気体追加ノズル12の構造と燃料ノズル11内での燃料噴流16、即ち、燃料及びその搬送気体の流れをバーナ上流側から見た図である。
【0024】
図3及び4に示す如く、本実施例の固体燃料バーナ42には、複数本の酸素含有気体追加ノズル12が、ノズル入口が燃料ノズル11の外側隔壁22から固体燃料バーナ42の中心軸に向かう方向に配置されている。この酸素含有気体追加ノズル12は、燃料噴流16の流れに対し、濃縮器33の下流側、燃料ノズル11の外側隔壁22の近くに設けられている。
【0025】
従来方式は、酸素含有気体追加ノズル12の上流部において、バーナ径方向側の隔壁(側壁)と燃料ノズル11の内壁がなす角が直角に満たない鋭角であったため、酸素含有気体追加ノズル12のバーナ上流部に燃料粒子が衝突すると、バーナ径方向側の隔壁により径方向(燃料ノズル11の内壁方向)の速度成分が誘起され、燃料粒子の進行方向が変わり、燃料ノズル11の内壁に燃料が衝突しやすくなっていた。
【0026】
これに対して、本実施例では、酸素含有気体追加ノズル12は、バーナ径方向側の隔壁(側壁)60とバーナ中心軸方向の隔壁61と周方向側の隔壁62から構成され、前記バーナ径方向の隔壁60がバーナ中心軸に向かっている。また、酸素含有気体追加ノズル12のバーナ軸方向の投影断面が、バーナ中心方向に向かい縮小する形状であり、周方向側の隔壁62の面積が、バーナ中心軸方向の隔壁61の面積に比べて大きくなっている。
【0027】
このため、酸素含有気体追加ノズル12の上流部において、バーナ径方向側の隔壁60と燃料ノズル内壁63がなす角が直角を超える鈍角となり、酸素含有気体追加ノズル12のバーナ上流部に燃料粒子が衝突すると、バーナ径方向側の隔壁60によりバーナ周方向にのみ速度成分が誘起される。
【0028】
その結果、燃料粒子の燃料ノズル内壁63への衝突位置が減り、燃料ノズル内壁63の摩耗が軽減され、燃料粒子の衝突が減るため、燃料の再分散が抑えられる。燃料の再分散を抑えられることで、燃料ノズル11の外側隔壁22または保炎器23近くの燃料ノズル11の外周部分の酸素濃度と燃料濃度を高くできる。
【0029】
このように、燃料の誘導方向を制御することで、燃料ノズル内壁63への燃料の衝突を抑え、燃料ノズル11の摩耗を軽減しながら、燃料ノズル11の外側隔壁22または保炎器23近くの燃料ノズル11の外周部分の酸素濃度と燃料濃度を高くできる。
【0030】
一方、酸素含有気体追加ノズル12の下流部隔壁の側面には、燃料ノズル11の周方向に追加酸素含有気体21を噴出する酸素含有気体追加ノズル12の出口12A、12B、12Cが形成されており、この出口12A、12B、12Cから噴出された追加酸素含有気体21の噴流は、燃料噴流16とほぼ垂直に交差して混合される。また、酸素含有気体追加ノズル12の最後部には、運転モードの切替時などに、酸素含有気体追加ノズル12の出口12A、12B、12Cなどから逆流した燃料粒子を排出するための出口12Zを形成してもよい。
【0031】
図3には、酸素含有気体追加ノズル12を2本のみ記載し、その周囲の燃料噴流16と追加酸素含有気体21との関係を示している。図3において、左上から右下方向が燃料ノズル11の軸方向、右上から左下方向が燃料ノズル11の周方向、上下方向が燃料ノズル11の径方向をそれぞれ示している。
【0032】
本実施例の酸素含有気体追加ノズル12は、図示しない隔壁の二次酸素含有気体ノズル13側が円筒形、燃料ノズル11側が燃料ノズル11の上流と下流側にそれぞれ狭まる六面体の形状であり、図示しない隔壁は、円筒形と六面体との接合部分にある。
【0033】
図3において、燃料噴流16は、燃料ノズル11の軸方向に左上から右下方向に流れる。また、追加酸素含有気体21の噴流は、酸素含有気体追加ノズル12の円筒形の上部からノズル内に入り、バーナ軸方向の投影断面が中心方向に向かい縮小する形状の酸素含有気体追加ノズル12の下流部隔壁の側面に位置する出口12A、12B、12Cから燃料ノズル11内に噴出する。
【0034】
酸素含有気体追加ノズル12から噴出する追加酸素含有気体21の噴流は、燃料ノズル11の周方向(図3の右上−左下方向)への速度成分を持つ。このため、軸方向に噴出する燃料噴流16とほぼ直角に交差することになり、燃料粒子と酸素含有気体との速度差が、平行に噴出する場合よりも大きくなり、混合が進むことになる。特に、燃料粒子は、気体と比べて密度が高いので、慣性力により追加酸素含有気体21の噴流中に混合し易くなる。
【0035】
更に、実施例1では、酸素含有気体追加ノズル12の隔壁は、燃料ノズル11の流路断面積を滑らかに縮小から拡大する形状である。即ち、図3を右方向から見て、酸素含有気体追加ノズル12の隔壁が、中心部分が最も厚くなっているので、酸素含有気体追加ノズル12の隔壁が縮小から拡大する形状となっている。
【0036】
酸素含有気体追加ノズル12の出口12A、12B、12C、燃料粒子を排出する出口12Zを、酸素含有気体追加ノズル12の隔壁の側面や下流側の縮小部に設けると、燃料ノズル11を流れる燃料粒子が酸素含有気体追加ノズル12内に流れることを抑制できるため、酸素含有気体追加ノズル12の出口部分の磨耗を抑えることができる。
【0037】
また、酸素含有気体追加ノズル12の隔壁の断面積を滑らかに変え、即ち、隔壁を中心に向かって縮小から拡大する形状にすることで、燃料噴流16の乱れの発生を抑え、燃料粒子の分散を抑制できる。図3のように、酸素含有気体追加ノズル12の隔壁を、燃料ノズル11の周方向に拡大、縮小すると、隔壁に衝突する燃料粒子が燃料ノズル11の径方向に分散することを防止し、燃料ノズル11の外周部の燃料濃度の低下を抑制できる。
【0038】
追加酸素含有気体21の流量を増やすと、追加酸素含有気体21の噴流と燃料噴流16とが混合するので、酸素含有気体追加ノズル12が設置された燃料ノズル11の外周部は、流動抵抗が大きくなる。このため、追加酸素含有気体21の流量を増やすと、燃料ノズル11の外周部を流れる搬送気体が減る。一方、燃料粒子は、慣性力が気体と比べて大きいので流動抵抗に関わらず外周部を流れるから、燃料粒子量はほとんど変わらない。
【0039】
従って、追加酸素含有気体21の流量を増やすと、燃料粒子とともに燃料ノズル11の外周部を流れる搬送気体が減る。搬送気体が減ると、追加酸素含有気体21に置き換わるので、搬送気体と追加酸素含有気体21とが単純に混合する場合と比べて、酸素濃度の希釈が少なく、酸素濃度が高くなる。
【0040】
更に、図3では、酸素含有気体追加ノズル12を形成する隔壁の最下流部分にも、1つの燃料粒子を排出する出口12Zを設けてある。酸素含有気体追加ノズル12を形成する隔壁の最下流部に燃料粒子を排出する出口12Zを設けると、酸素含有気体追加ノズル12内に入り込んだ燃料粒子を容易に排出でき、燃料粒子の堆積を防止できる。また、燃料粒子の堆積を防止できれば、酸素含有気体追加ノズル12の閉塞やバーナの焼損を防止できる。
【0041】
実施例1によれば、燃料ノズル11から噴出した燃料噴流16においては、高い酸素濃度と燃料濃度とにより、燃焼反応が進みやすく、火炎20が燃料ノズル11の出口に安定して形成される。
【0042】
酸素含有気体追加ノズル12の出口から燃料ノズル11の出口までの距離は、酸素濃度が高い場合に生じやすくなる燃料ノズル11内での燃料の着火による燃料ノズル11の焼損や逆火を防ぐように決められる。燃料ノズル11の焼損や逆火を防ぐには、燃料ノズル11内での追加酸素含有気体21の噴流との混合後の燃料の滞留時間が、燃料の着火遅れ時間よりも短いことが望ましい。
【0043】
通常は、微粉炭などよりも着火遅れ時間の短いガス燃料の着火遅れ時間(約0.1秒)を目安にする。例えば、燃料搬送気体は、流速12〜20m/sで燃料ノズル11内を流れるので、酸素含有気体追加ノズル12の出口から燃料ノズル11の出口までの距離は、1m以下となる。
【0044】
更に、実施例1では、燃料ノズル11内に設けられた流路を縮小するベンチュリ32が、燃料ノズル11の上流側の外側隔壁22に設けられている。また、燃料ノズル11内で流路を一旦縮小した後に拡大するための濃縮器33が、燃料ノズル11の中心部のオイルガン24の外側部で、かつ、ベンチュリ32よりもバーナ下流側(火炉41側)に設けられている。
【0045】
ベンチュリ32は、燃料搬送気体及び燃料粒子に、燃料ノズル11の中心方向の速度成分を誘起させる。更に、濃縮器33をベンチュリ32よりも下流側に設けると、燃料搬送気体と燃料粒子は、燃料ノズル11の外側隔壁22方向への速度成分を誘起される。燃料粒子は、燃料搬送気体と比べて慣性力が大きいので、燃料搬送気体の流れに追随できない。このため、燃料粒子は、流路の変更方向と反対側壁面近くに高濃度の領域を形成する。ベンチュリ32と濃縮器33とにより、燃料ノズル11の外側隔壁22方向への速度成分を誘起されるので、燃料粒子の多くが燃料ノズル11の外側隔壁22に沿って流れる。
【0046】
酸素含有気体追加ノズル12から噴出する酸素含有気体は、燃料ノズル11の外周部を流れるので、燃料濃度が高く、かつ、酸素濃度の高い領域が、燃料ノズル11の外側隔壁22の内側壁面に片寄って形成される。その結果、燃料ノズル11から噴出した燃料粒子は、高い燃料濃度と酸素濃度とにより燃焼反応が進みやすく、火炎20が燃料ノズル11の出口に安定して形成される。
【0047】
このとき、燃料ノズル11の外側隔壁22の内側壁面を流れる燃料噴流16は、燃料ノズル11の出口付近で、外側酸素含有気体ノズルから噴出する酸素含有気体と混合し易くなる。更に、保炎器23の後流側にできる循環流の高温ガスと混合すると、燃料粒子の温度が上がり、着火し易くなる。その結果、火炎20が燃料ノズル11の出口に安定して形成される。
【0048】
酸素含有気体追加ノズル12から燃料ノズル11の周方向に酸素含有気体が噴出し、燃料噴流16に対して酸素含有気体をほぼ垂直に交差させると、燃料ノズル11の外側隔壁22近傍の酸素濃度が高くなる。この状態で燃料粒子と酸素含有気体との混合が進み、火炎20が燃料ノズル11の出口に安定して形成される。従って、従来よりも低い負荷で安定した燃焼を継続できる。
尚、実施例1では、燃料の搬送気体に燃焼排ガスを利用し、燃料ノズル11を流れる燃料噴流16中の酸素濃度を低くしている。このような燃焼方法を適用する事例としては、褐炭や亜炭に代表される石炭化度の低い石炭、ピート、木材の燃焼がある。
【実施例2】
【0049】
図5は、本発明による固体燃料バーナの実施例2であり、図1の火炉41側から見た概略構造を示すものである。
【0050】
該図に示す本実施例は、実施例1では設置されていた濃縮器33が設置されておらず、かつ、図2の構成に比較すると、二次酸素含有気体ノズル13、三次酸素含有気体ノズル14などの外側酸素含有気体ノズルの少なくとも一部が、燃料ノズル11を挟むように設置されている構成を特徴とする。即ち、本実施例は、二次酸素含有気体ノズル13及び三次酸素含有気体ノズル14を角型に形成し、この二次酸素含有気体ノズル13及び三次酸素含有気体ノズル14が、図5の上下方向から燃料ノズル11を挟むように配置したものである。
【0051】
尚、本実施例では、上記の他、燃料ノズル11を角型にした構造、二次酸素含有気体ノズル13、又は三次酸素含有気体ノズル14などの外側酸素含有気体ノズルを1つのノズルとする構造、外側酸素含有気体ノズルを3つ以上に分割する構造を採用してもよい。
【実施例3】
【0052】
図6は、本発明による固体燃料バーナの実施例3であり、本発明の固体燃料バーナ42を低負荷条件で使用する場合に、固体燃料バーナ42の火炎20を保炎器23の下流側の循環流19の近くから形成させた状態を示すものである。
【0053】
該図に示す本実施例は、固体燃料バーナ42の燃料ノズル11内に内側酸素含有気体ノズル38を設け、この内側酸素含有気体ノズル38と風箱26を配管で接続したもので、固体燃料バーナ42に供給される酸素含有気体の一部を、内側酸素含有気体ノズル38から噴出するようにしたものである。
【0054】
本実施例のように、内側酸素含有気体ノズル38で酸素含有気体を燃料ノズル11内から混合すると、二次酸素含有気体ノズル13、三次酸素含有気体ノズル14のみから混合する場合に比べて、燃料と酸素含有気体との混合が早まる利点がある。また、内側酸素含有気体ノズル38から多量の酸素含有気体を噴出すると、側を流れる燃料噴流16の流速が早まり、燃料の着火位置を固体燃料バーナ42から離すことができる。
【0055】
従って、高負荷条件において、固体燃料バーナ42から離れた位置に火炎を形成する場合、酸素含有気体追加ノズル12から噴出する酸素含有気体流量を減らし、内側酸素含有気体ノズル38から噴出する酸素含有気体流量を増やせば良い。
【0056】
また、本実施例では、燃料ノズル11の濃縮器33の下流側に、流路を分割する分配器35を備えている。この分配器35により流路を隔てると、燃料粒子や搬送気体、追加酸素含有気体21の混合が抑制されるので、酸素含有気体追加ノズル12への燃料粒子の衝突による燃料の分散や追加酸素含有気体21の中心軸近傍への拡散を抑制できる。
【実施例4】
【0057】
図7は、本発明による固体燃料バーナの実施例4であり、歯付き(toothed)保炎器を採用した固体燃料バーナを火炉側から見た概略構造を示すものである。
【0058】
該図に示す実施例は、燃料ノズル11の出口に、板形状のエッジが周方向に所定間隔をもって複数突出している歯付き保炎器54を設けたものである。他の構成は、実施例1と同様である。
【0059】
このような本実施例の構成とすることにより、燃料は、歯付き保炎器54を回りこんで着火しやすくなる。即ち、燃料は、歯付き保炎器54の下流側で着火することになる。
【実施例5】
【0060】
図8及び図9は、本発明による固体燃料バーナの実施例5であり、図8は、固体燃料バーナ42の酸素含有気体追加ノズル12の構造と燃料ノズル11内での燃料噴流16、即ち、燃料及びその搬送気体の流れとを説明するものであり、図9は、実施例1の固体燃料バーナ42の酸素含有気体追加ノズル12の構造と燃料ノズル11内での燃料噴流16、即ち、燃料及びその搬送気体の流れをバーナ上流側から見たものである。
【0061】
該図に示す実施例の固体燃料バーナ42には、複数本の酸素含有気体追加ノズル12において、ノズル入口のある面が燃料ノズル11の外側隔壁22から固体燃料バーナ42の中心軸に向かう方向に配置されている。また、酸素含有気体追加ノズル12は、燃料噴流16の流れに対し濃縮器33の下流側で、かつ、燃料ノズル11の外側隔壁22近くに設けられている。
【0062】
従来方式では、酸素含有気体追加ノズル12の上流部において、バーナ径方向側の隔壁(側壁)と燃料ノズル11の内壁がなす角が直角に満たない鋭角であったため、酸素含有気体追加ノズル12のバーナ上流部に燃料粒子が衝突すると、バーナ径方向側の隔壁により径方向(燃料ノズル11の内壁方向)の速度成分が誘起され、燃料粒子の進行方向が変わり、燃料ノズル11の内壁に燃料が衝突し易かった。
【0063】
これに対して、本実施例では、酸素含有気体追加ノズル12は、バーナ径方向側の隔壁(側壁)60とバーナ中心軸方向の隔壁61と周方向側の隔壁62から構成され、前記バーナ径方向の隔壁60がバーナ中心軸に向かっている。また、酸素含有気体追加ノズル12のバーナ軸方向の投影断面が、バーナ中心方向に向かい縮小する形状であり、周方向側の隔壁62の面積がバーナ中心軸方向の隔壁61の面積に比べて大きい。
【0064】
このため、酸素含有気体追加ノズル12の上流部において、バーナ径方向側の隔壁60と燃料ノズル内壁63がなす角が直角を超える鈍角となり、酸素含有気体追加ノズル12のバーナ上流部に燃料粒子が衝突すると、バーナ径方向側の隔壁60によりバーナ周方向にのみ速度成分が誘起される。
【0065】
その結果、燃料粒子が燃料ノズル内壁63へ衝突しにくくなり、燃料ノズル内壁63の摩耗が軽減される。また、燃料の再分散が抑えられることで流れの乱れが減り、燃料ノズル11の出口部分の酸素濃度分布を外周部分で高くできる。
【0066】
更に、本実施例では、酸素含有気体追加ノズル12の上流端のバーナ中心軸側に突起12Yを設け、この突起12Yを上流方向に突出させ、突起12Yのバーナ軸方向の投影断面がバーナ中心方向に向かい拡大する形状としている。
【0067】
このように突起12Yを設けると、突起12Yの側面が燃料ノズル内壁63を向くため、突起12Yの側面に燃料粒子が衝突すると、径方向の速度成分が誘起され、燃料粒子の一部は、燃料ノズル内壁63面に寄る可能性があるが、酸素含有気体追加ノズル12から燃料ノズル内壁63までの距離が長く、燃料ノズル内壁63への衝突速度が低下するため、燃料ノズル11の摩耗が軽減され、燃料の再分散も抑制される。
【0068】
これにより、燃料ノズル11の火炉41の出口内周部に燃料が濃縮されるため、燃料の濃縮に用いていたベンチュリや濃縮器、分配器などが必要なくなり、コストの低減が図れる。
【0069】
図10は、保炎器及び濃縮器が設置されていない実施例5の固体燃料バーナ42の構造と、低負荷条件にある固体燃料バーナ42から噴出される燃料が燃焼装置で燃焼している状態とを示すものである。
【0070】
該図に示す実施例5の固体燃料バーナ42は、上述した如く、燃料ノズル11内に濃縮器が設置されていないし、また、燃料ノズル11と外側酸素含有気体ノズル13とを隔てる隔壁22の先端に保炎器23が設置されていない構造である。
【0071】
図1に示す実施例1の固体燃料バーナ42では、燃料ノズル11内に濃縮器33が設置されているが、実施例5のように、濃縮器33が設置されていない場合でも、突起12Yを設けると、燃料ノズル11の火炉41の出口内周部に燃料が濃縮される。また、燃料ノズル11の周方向に追加酸素含有気体21の噴流を噴出させると、燃料ノズル11内を流れる燃料噴流16にほぼ垂直に交差するので、燃料粒子と酸素含有気体との速度差が、平行に噴出する場合よりも大きくなる。従って、実施例1と同様に、燃料粒子と酸素含有気体との混合が進む。
【0072】
更に、保炎器23が設置されていない場合も、保炎器23が設置されている場合に比べて、効果は小さくなるが、隔壁22の下流側には循環流19が形成される。この循環流19に滞留する高温ガスと燃料粒子とが混合すると、燃料粒子の温度が上がり着火しやすくなる。その結果、火炎20が燃料ノズル11の出口に安定して形成される。
【0073】
実施例5の構成とすることにより、燃料の誘導方向を制御することが可能となり、燃料ノズル内壁63への燃料の衝突を抑え、燃料ノズル11の摩耗を軽減しながら燃料ノズル11内の燃料濃度と酸素濃度を均一化し、安定燃焼させることができる。
【0074】
尚、実施例5では、酸素含有気体追加ノズル12の上流端のバーナ中心軸側に突起12Yを設けても、酸素含有気体追加ノズル12のバーナ軸方向の投影断面積の変化はないが、突起12Yのバーナ中心軸方向の隔壁61を径方向に伸ばした形状とし、突起12Yを設けることで、酸素含有気体追加ノズル12のバーナ軸方向の投影断面積を拡大することができる。
【0075】
また、酸素含有気体追加ノズル12は、鋳物で製作しても良い。この例を図11及び図12に示す。
【実施例6】
【0076】
図11及び図12は、本発明による固体燃料バーナの実施例6であり、図8及び図9の変形例である。
【0077】
該図に示す本実施例は、酸素含有気体追加ノズル12を鋳物で流線形状に製作したものである。この鋳物で流線形状に製作された酸素含有気体追加ノズル12は、その上流側のバーナ中心側に、バーナ軸方向断面が楕円となる突起12Yが形成され(図12参照)、この楕円の突起12Yを上流方向に突出した形状となっている。
【0078】
このように形成しても、上述した各実施例と同様な効果を得ることができる。
【0079】
尚、上述した各実施例では、燃料ノズル11内に配置される酸素含有気体追加ノズル12は、周方向に等間隔で8個配置されているが、図13に示す如く、燃料ノズル11内に、酸素含有気体追加ノズル12が相対向して2個配置しても良いし、図14に示す如く、燃料ノズル11内に、酸素含有気体追加ノズル12を等間隔に3個配置しても良いことは言うまでもない。
【0080】
結局、本発明の要旨を逸脱することのない範囲で酸素含有気体追加ノズル12の数を決めれば良く、本発明の効果を達成するためには、酸素含有気体追加ノズル12を少なくとも1個配置すれば良い。
【符号の説明】
【0081】
11…燃料ノズル、12…酸素含有気体追加ノズル、12A、12B、12C…酸素含有気体追加ノズルの出口、12Z…燃料粒子を排出する出口、12Y…突起、13…二次酸素含有気体ノズル、14…三次酸素含有気体ノズル、16、16B、16C…燃料噴流、17…二次酸素含有気体、18…三次酸素含有気体、19…循環流、20…火炎、21…追加酸素含有気体、22…燃料ノズルの外側隔壁、23…保炎器、24…オイルガン、25…ガイド、26…風箱、27、28…旋回器、29…隔壁、30…バーナスロート、31…水管、32…ベンチュリ、33…濃縮器、34…流量調節弁、35…分配器、36…反対側流路、37…酸素含有気体ノズル側流路、38…内側酸素含有気体ノズル、41…火炉、42…固体燃料バーナ、54…歯付き保炎器、60…バーナ径方向側の隔壁(側壁)、61…バーナ中心軸方向の隔壁、62…周方向側の隔壁、63…燃料ノズル内壁。
【技術分野】
【0001】
本発明は固体燃料を気流搬送して燃焼する固体燃料バーナに係り、特に、木材、ピート、石炭等の水分及び揮発分の多い燃料を粉砕して気流搬送し、浮遊燃焼させるものに好適な固体燃料バーナに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、木材、ピート、褐炭や亜炭に代表される石炭化度の低い石炭などの燃料は、揮発分が多いので、空気雰囲気では、貯蔵、粉砕、搬送過程において自然発火しやすく、瀝青炭などと比べて扱いにくいことが知られている。
【0003】
自然発火を防止するために、上記した燃料を粉砕して燃焼する場合は、燃料の搬送気体として、酸素濃度を低下させた燃焼排ガスと酸素含有気体との混合気体が使われることがある。燃焼排ガスは、燃料周囲の酸素濃度を低下させ、燃料の酸化反応(燃焼)を抑制し、自然発火を防ぐ。また、燃焼排ガスは、その保有熱により、燃料中の水分を乾燥させる機能も持っている。
【0004】
しかし、低酸素濃度の搬送気体で搬送された燃料は、固体燃料バーナから噴出する際の酸化反応が燃料周囲の酸素濃度により制限され、空気で搬送した場合と比べて、燃焼速度が低く、火炎の安定性に乏しい嫌いがあった。
【0005】
上記した自然発火の防止と火炎の安定を両立する方法として、燃料ノズルの周方向にノズル出口を有する酸素含有気体追加ノズルが燃料ノズル内に突出して設置され、その酸素含有気体追加ノズルが、燃料ノズルを流れる混合流体の流路断面積を滑らかに縮小し拡大する形状を成し、かつ、燃料ノズルを流れる混合流体に対して垂直方向の速度成分を有する空気を噴出する噴出口が側面に形成された構造が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−140480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載されているように、燃料ノズルの周方向にノズル出口を有する酸素含有気体追加ノズルが燃料ノズル内に突出して設置され、その酸素含有気体追加ノズルが、燃料ノズルを流れる混合流体の流路断面積を滑らかに縮小し拡大する形状を成している場合、酸素含有気体追加ノズルの上流部は、バーナ径方向側の隔壁(側壁)と燃料ノズル内壁がなす角が直角に満たない鋭角となる。
【0008】
このため、酸素含有気体追加ノズルのバーナ上流部に燃料粒子が衝突すると、バーナの径方向側の隔壁により、燃料ノズルの内壁に向かう速度成分が誘起され、燃料ノズルの内壁に燃料が衝突しやすくなる。
【0009】
その結果、燃料ノズル内壁の摩耗が促進される可能性があり、また、燃料ノズルの内壁に誘導した燃料が再分散する可能性がある。更に、燃料の再分散により、燃料ノズル内の流れが乱れ、燃料ノズル出口部分の酸素濃度分布が不均一となる可能性がある。
【0010】
本発明は上述の点に鑑みなされたもので、その目的とするところは、燃料ノズルの内壁への燃料の衝突を抑え、燃料ノズルの摩耗を軽減しながら燃料ノズル内の外周部分の燃料濃度と酸素濃度を高くして安定燃焼させることができる固体燃料バーナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の固体燃料バーナは、上記目的を達成するために、固体燃料とその搬送気体の混合流体を噴出する燃料ノズルと、該燃料ノズルの外側に配置され酸素含有気体を噴出する酸素含有気体ノズルと、前記燃料ノズルの周方向の速度成分を持つ酸素含有気体を噴出させ、該燃料ノズル内に突出させて設けられた少なくとも1つの酸素含有気体追加ノズルとを備え、前記酸素含有気体追加ノズルは、前記燃料ノズルの周方向にノズル出口を有している固体燃料バーナにおいて、前記酸素含有気体追加ノズルのバーナ軸方向の投影断面が、バーナ中心方向に向かい縮小する形状であるか、若しくは、
前記酸素含有気体追加ノズルは、バーナ径方向の隔壁とバーナ中心軸方向の隔壁、及び前記燃料ノズル側の隔壁から構成され、前記バーナ径方向の隔壁がバーナ中心軸に向かうように形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、燃料粒子は酸素含有気体追加ノズルに衝突後、バーナ軸方向のみに速度成分が誘起されるため、燃料ノズルの内壁への燃料の衝突を抑えることができ、燃料の再分散が抑えられ、燃料ノズル外周部分の出口部分の酸素濃度と燃料濃度を高めて安定燃焼させることができる固体燃料バーナを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明による固体燃料バーナの実施例1の構造及び固体燃料バーナの火炎を保炎器の下流側の循環流近くから形成させた状態を示す断面図である。
【図2】実施例1の固体燃料バーナを火炉側から見た概略構造を示す図である。
【図3】実施例1の固体燃料バーナの酸素含有気体ノズルの構造と燃料ノズル内での燃料噴流、即ち燃料及びその搬送気体の流れを説明する斜視図である。
【図4】実施例1の固体燃料バーナを、バーナ上流側から見た概略構造を示す図である。
【図5】本発明による固体燃料バーナの実施例2を火炉側から見た概略構造を示す図である。
【図6】本発明による固体燃料バーナの実施例3の構造及び固体燃料バーナの火炎を保炎器の下流側の循環流近くから形成させた状態を示す断面図である。
【図7】本発明による固体燃料バーナの実施例4を火炉側から見た概略構造を示す図である。
【図8】実施例5の固体燃料バーナの酸素含有気体ノズルの構造と燃料ノズル内での燃料噴流、即ち燃料及びその搬送気体の流れとを説明する斜視図である。
【図9】実施例5の固体燃料バーナを、バーナ上流側から見た概略構造を示す図である。
【図10】本発明による固体燃料バーナの実施例5の構造及び固体燃料バーナの火炎を保炎器の下流側の循環流近くから形成させた状態を示す断面図である。
【図11】実施例6の固体燃料バーナの酸素含有気体ノズルの構造と燃料ノズル内での燃料噴流、即ち燃料及びその搬送気体の流れとを説明する斜視図である。
【図12】実施例6の固体燃料バーナを、バーナ上流側から見た概略構造を示す図である。
【図13】本発明による固体燃料バーナにおける酸素含有気体追加ノズルの変形例であり、固体燃料バーナを火炉側から見た概略構造を示す図である。
【図14】本発明による固体燃料バーナにおける酸素含有気体追加ノズルの他の変形例であり、固体燃料バーナを火炉側から見た概略構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の固体燃料バーナを図示した実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0015】
図1は、本発明による固体燃料バーナの実施例1の構造を示すもので、固体燃料バーナ42の火炎20を、保炎器23の下流側の循環流19の近くから形成させた状態を、図2は、実施例1の固体燃料バーナを火炉41側から見た概略構造をそれぞれ示すものである。
【0016】
図1及び2に示す如く、実施例1における固体燃料バーナ42は、円柱状の燃料ノズル11、二次酸素含有気体ノズル13、三次酸素含有気体ノズル14が、同心円状に配置された円形状と成っており、更に、中心部には助燃用のオイルガン24を備え、この助燃用のオイルガン24の周囲に燃料噴流16、即ち燃料及びその搬送気体を噴出する燃料ノズル11を備えている。燃料ノズル11の中心部を貫通して設けられた助燃用のオイルガン24は、固体燃料バーナ42の起動時に燃料着火に使用される。
【0017】
一方、燃料ノズル11内には、上流側から流路縮小部材(ベンチュリ)32、障害物(濃縮器)33が設置されており、ベンチュリ32は、燃料ノズル11の流路断面積を外周側から滑らかに縮小し拡大する形状を持ち、濃縮器33は、燃料ノズル11の流路断面積を内側から滑らかに縮小し拡大する形状を持っている。また、燃料ノズル11の外側には、燃料ノズル11と同心円状の酸素含有気体噴出用の外側酸素含有気体ノズル、即ち二次酸素含有気体ノズル13、三次酸素含有気体ノズル14などが設置されている。
【0018】
更に、風箱26と連通し、燃料ノズル11の周方向の速度成分を持つ酸素含有気体を噴出させる酸素含有気体追加ノズル12が、燃料ノズル11内に突出し、かつ、ベンチュリ32、濃縮器33の下流側に位置して周方向に複数個設けられている。この酸素含有気体追加ノズル12には、燃料ノズル11の周方向に出口12A、12B、12Cが形成されている。
【0019】
また、燃料ノズル11の外側の先端部、即ち火炉41の出口側には、保炎器23と呼ばれる障害物が設けられている。この保炎器23は、燃料ノズル11から燃料噴流16、即ち燃料及びその搬送気体や二次酸素含有気体ノズル13を流れる二次酸素含有気体17の流れに対して、障害物として働くものである。
【0020】
従って、保炎器23の下流側(火炉41側)の圧力が低下し、この部分には、燃料噴流16や二次酸素含有気体17の流れとは、逆方向の流れが誘起される。この逆方向の流れを循環流19と呼ぶ。循環流19内には、下流から燃料の燃焼で生じた高温ガスが流れ込み滞留し、高温ガスと燃料噴流16中の燃料とが、固体燃料バーナ42の出口で混合し、更に、火炉41内からの輻射熱により、燃料粒子の温度が上昇して着火する。
【0021】
二次酸素含有気体ノズル13と三次酸素含有気体ノズル14とは、隔壁29で隔てられ、隔壁29の先端部分は、燃料噴流16に対して三次酸素含有気体18の流れが角度を持つように噴出させるガイド25が形成されている。このガイド25は、外周酸素含有気体ノズル(二次酸素含有気体ノズル13、三次酸素含有気体ノズル14など)の流路出口に、酸素含有気体の噴出方向をバーナ中心軸から離れる方向に誘導するように形成され、保炎器23と共に循環流19を形成するのに役立つ利点がある。
【0022】
実施例1では、二次酸素含有気体ノズル13及び三次酸素含有気体ノズル14から噴出する酸素含有気体に旋回力を与えるために、二次酸素含有気体ノズル13、三次酸素含有気体ノズル14に、旋回器27及び28が設けられている。また、火炉壁を構成するバーナスロート30は、三次酸素含有気体ノズル14の外周壁を兼ねており、更に、火炉壁には、火炉壁を冷却するための冷媒を流す水管31が設けられている。
【0023】
図3は、実施例1における固体燃料バーナ42の酸素含有気体追加ノズル12の構造と燃料ノズル11内での燃料噴流16、即ち、燃料及びその搬送気体の流れを説明する図であり、また、図4は、実施例1における固体燃料バーナ42の酸素含有気体追加ノズル12の構造と燃料ノズル11内での燃料噴流16、即ち、燃料及びその搬送気体の流れをバーナ上流側から見た図である。
【0024】
図3及び4に示す如く、本実施例の固体燃料バーナ42には、複数本の酸素含有気体追加ノズル12が、ノズル入口が燃料ノズル11の外側隔壁22から固体燃料バーナ42の中心軸に向かう方向に配置されている。この酸素含有気体追加ノズル12は、燃料噴流16の流れに対し、濃縮器33の下流側、燃料ノズル11の外側隔壁22の近くに設けられている。
【0025】
従来方式は、酸素含有気体追加ノズル12の上流部において、バーナ径方向側の隔壁(側壁)と燃料ノズル11の内壁がなす角が直角に満たない鋭角であったため、酸素含有気体追加ノズル12のバーナ上流部に燃料粒子が衝突すると、バーナ径方向側の隔壁により径方向(燃料ノズル11の内壁方向)の速度成分が誘起され、燃料粒子の進行方向が変わり、燃料ノズル11の内壁に燃料が衝突しやすくなっていた。
【0026】
これに対して、本実施例では、酸素含有気体追加ノズル12は、バーナ径方向側の隔壁(側壁)60とバーナ中心軸方向の隔壁61と周方向側の隔壁62から構成され、前記バーナ径方向の隔壁60がバーナ中心軸に向かっている。また、酸素含有気体追加ノズル12のバーナ軸方向の投影断面が、バーナ中心方向に向かい縮小する形状であり、周方向側の隔壁62の面積が、バーナ中心軸方向の隔壁61の面積に比べて大きくなっている。
【0027】
このため、酸素含有気体追加ノズル12の上流部において、バーナ径方向側の隔壁60と燃料ノズル内壁63がなす角が直角を超える鈍角となり、酸素含有気体追加ノズル12のバーナ上流部に燃料粒子が衝突すると、バーナ径方向側の隔壁60によりバーナ周方向にのみ速度成分が誘起される。
【0028】
その結果、燃料粒子の燃料ノズル内壁63への衝突位置が減り、燃料ノズル内壁63の摩耗が軽減され、燃料粒子の衝突が減るため、燃料の再分散が抑えられる。燃料の再分散を抑えられることで、燃料ノズル11の外側隔壁22または保炎器23近くの燃料ノズル11の外周部分の酸素濃度と燃料濃度を高くできる。
【0029】
このように、燃料の誘導方向を制御することで、燃料ノズル内壁63への燃料の衝突を抑え、燃料ノズル11の摩耗を軽減しながら、燃料ノズル11の外側隔壁22または保炎器23近くの燃料ノズル11の外周部分の酸素濃度と燃料濃度を高くできる。
【0030】
一方、酸素含有気体追加ノズル12の下流部隔壁の側面には、燃料ノズル11の周方向に追加酸素含有気体21を噴出する酸素含有気体追加ノズル12の出口12A、12B、12Cが形成されており、この出口12A、12B、12Cから噴出された追加酸素含有気体21の噴流は、燃料噴流16とほぼ垂直に交差して混合される。また、酸素含有気体追加ノズル12の最後部には、運転モードの切替時などに、酸素含有気体追加ノズル12の出口12A、12B、12Cなどから逆流した燃料粒子を排出するための出口12Zを形成してもよい。
【0031】
図3には、酸素含有気体追加ノズル12を2本のみ記載し、その周囲の燃料噴流16と追加酸素含有気体21との関係を示している。図3において、左上から右下方向が燃料ノズル11の軸方向、右上から左下方向が燃料ノズル11の周方向、上下方向が燃料ノズル11の径方向をそれぞれ示している。
【0032】
本実施例の酸素含有気体追加ノズル12は、図示しない隔壁の二次酸素含有気体ノズル13側が円筒形、燃料ノズル11側が燃料ノズル11の上流と下流側にそれぞれ狭まる六面体の形状であり、図示しない隔壁は、円筒形と六面体との接合部分にある。
【0033】
図3において、燃料噴流16は、燃料ノズル11の軸方向に左上から右下方向に流れる。また、追加酸素含有気体21の噴流は、酸素含有気体追加ノズル12の円筒形の上部からノズル内に入り、バーナ軸方向の投影断面が中心方向に向かい縮小する形状の酸素含有気体追加ノズル12の下流部隔壁の側面に位置する出口12A、12B、12Cから燃料ノズル11内に噴出する。
【0034】
酸素含有気体追加ノズル12から噴出する追加酸素含有気体21の噴流は、燃料ノズル11の周方向(図3の右上−左下方向)への速度成分を持つ。このため、軸方向に噴出する燃料噴流16とほぼ直角に交差することになり、燃料粒子と酸素含有気体との速度差が、平行に噴出する場合よりも大きくなり、混合が進むことになる。特に、燃料粒子は、気体と比べて密度が高いので、慣性力により追加酸素含有気体21の噴流中に混合し易くなる。
【0035】
更に、実施例1では、酸素含有気体追加ノズル12の隔壁は、燃料ノズル11の流路断面積を滑らかに縮小から拡大する形状である。即ち、図3を右方向から見て、酸素含有気体追加ノズル12の隔壁が、中心部分が最も厚くなっているので、酸素含有気体追加ノズル12の隔壁が縮小から拡大する形状となっている。
【0036】
酸素含有気体追加ノズル12の出口12A、12B、12C、燃料粒子を排出する出口12Zを、酸素含有気体追加ノズル12の隔壁の側面や下流側の縮小部に設けると、燃料ノズル11を流れる燃料粒子が酸素含有気体追加ノズル12内に流れることを抑制できるため、酸素含有気体追加ノズル12の出口部分の磨耗を抑えることができる。
【0037】
また、酸素含有気体追加ノズル12の隔壁の断面積を滑らかに変え、即ち、隔壁を中心に向かって縮小から拡大する形状にすることで、燃料噴流16の乱れの発生を抑え、燃料粒子の分散を抑制できる。図3のように、酸素含有気体追加ノズル12の隔壁を、燃料ノズル11の周方向に拡大、縮小すると、隔壁に衝突する燃料粒子が燃料ノズル11の径方向に分散することを防止し、燃料ノズル11の外周部の燃料濃度の低下を抑制できる。
【0038】
追加酸素含有気体21の流量を増やすと、追加酸素含有気体21の噴流と燃料噴流16とが混合するので、酸素含有気体追加ノズル12が設置された燃料ノズル11の外周部は、流動抵抗が大きくなる。このため、追加酸素含有気体21の流量を増やすと、燃料ノズル11の外周部を流れる搬送気体が減る。一方、燃料粒子は、慣性力が気体と比べて大きいので流動抵抗に関わらず外周部を流れるから、燃料粒子量はほとんど変わらない。
【0039】
従って、追加酸素含有気体21の流量を増やすと、燃料粒子とともに燃料ノズル11の外周部を流れる搬送気体が減る。搬送気体が減ると、追加酸素含有気体21に置き換わるので、搬送気体と追加酸素含有気体21とが単純に混合する場合と比べて、酸素濃度の希釈が少なく、酸素濃度が高くなる。
【0040】
更に、図3では、酸素含有気体追加ノズル12を形成する隔壁の最下流部分にも、1つの燃料粒子を排出する出口12Zを設けてある。酸素含有気体追加ノズル12を形成する隔壁の最下流部に燃料粒子を排出する出口12Zを設けると、酸素含有気体追加ノズル12内に入り込んだ燃料粒子を容易に排出でき、燃料粒子の堆積を防止できる。また、燃料粒子の堆積を防止できれば、酸素含有気体追加ノズル12の閉塞やバーナの焼損を防止できる。
【0041】
実施例1によれば、燃料ノズル11から噴出した燃料噴流16においては、高い酸素濃度と燃料濃度とにより、燃焼反応が進みやすく、火炎20が燃料ノズル11の出口に安定して形成される。
【0042】
酸素含有気体追加ノズル12の出口から燃料ノズル11の出口までの距離は、酸素濃度が高い場合に生じやすくなる燃料ノズル11内での燃料の着火による燃料ノズル11の焼損や逆火を防ぐように決められる。燃料ノズル11の焼損や逆火を防ぐには、燃料ノズル11内での追加酸素含有気体21の噴流との混合後の燃料の滞留時間が、燃料の着火遅れ時間よりも短いことが望ましい。
【0043】
通常は、微粉炭などよりも着火遅れ時間の短いガス燃料の着火遅れ時間(約0.1秒)を目安にする。例えば、燃料搬送気体は、流速12〜20m/sで燃料ノズル11内を流れるので、酸素含有気体追加ノズル12の出口から燃料ノズル11の出口までの距離は、1m以下となる。
【0044】
更に、実施例1では、燃料ノズル11内に設けられた流路を縮小するベンチュリ32が、燃料ノズル11の上流側の外側隔壁22に設けられている。また、燃料ノズル11内で流路を一旦縮小した後に拡大するための濃縮器33が、燃料ノズル11の中心部のオイルガン24の外側部で、かつ、ベンチュリ32よりもバーナ下流側(火炉41側)に設けられている。
【0045】
ベンチュリ32は、燃料搬送気体及び燃料粒子に、燃料ノズル11の中心方向の速度成分を誘起させる。更に、濃縮器33をベンチュリ32よりも下流側に設けると、燃料搬送気体と燃料粒子は、燃料ノズル11の外側隔壁22方向への速度成分を誘起される。燃料粒子は、燃料搬送気体と比べて慣性力が大きいので、燃料搬送気体の流れに追随できない。このため、燃料粒子は、流路の変更方向と反対側壁面近くに高濃度の領域を形成する。ベンチュリ32と濃縮器33とにより、燃料ノズル11の外側隔壁22方向への速度成分を誘起されるので、燃料粒子の多くが燃料ノズル11の外側隔壁22に沿って流れる。
【0046】
酸素含有気体追加ノズル12から噴出する酸素含有気体は、燃料ノズル11の外周部を流れるので、燃料濃度が高く、かつ、酸素濃度の高い領域が、燃料ノズル11の外側隔壁22の内側壁面に片寄って形成される。その結果、燃料ノズル11から噴出した燃料粒子は、高い燃料濃度と酸素濃度とにより燃焼反応が進みやすく、火炎20が燃料ノズル11の出口に安定して形成される。
【0047】
このとき、燃料ノズル11の外側隔壁22の内側壁面を流れる燃料噴流16は、燃料ノズル11の出口付近で、外側酸素含有気体ノズルから噴出する酸素含有気体と混合し易くなる。更に、保炎器23の後流側にできる循環流の高温ガスと混合すると、燃料粒子の温度が上がり、着火し易くなる。その結果、火炎20が燃料ノズル11の出口に安定して形成される。
【0048】
酸素含有気体追加ノズル12から燃料ノズル11の周方向に酸素含有気体が噴出し、燃料噴流16に対して酸素含有気体をほぼ垂直に交差させると、燃料ノズル11の外側隔壁22近傍の酸素濃度が高くなる。この状態で燃料粒子と酸素含有気体との混合が進み、火炎20が燃料ノズル11の出口に安定して形成される。従って、従来よりも低い負荷で安定した燃焼を継続できる。
尚、実施例1では、燃料の搬送気体に燃焼排ガスを利用し、燃料ノズル11を流れる燃料噴流16中の酸素濃度を低くしている。このような燃焼方法を適用する事例としては、褐炭や亜炭に代表される石炭化度の低い石炭、ピート、木材の燃焼がある。
【実施例2】
【0049】
図5は、本発明による固体燃料バーナの実施例2であり、図1の火炉41側から見た概略構造を示すものである。
【0050】
該図に示す本実施例は、実施例1では設置されていた濃縮器33が設置されておらず、かつ、図2の構成に比較すると、二次酸素含有気体ノズル13、三次酸素含有気体ノズル14などの外側酸素含有気体ノズルの少なくとも一部が、燃料ノズル11を挟むように設置されている構成を特徴とする。即ち、本実施例は、二次酸素含有気体ノズル13及び三次酸素含有気体ノズル14を角型に形成し、この二次酸素含有気体ノズル13及び三次酸素含有気体ノズル14が、図5の上下方向から燃料ノズル11を挟むように配置したものである。
【0051】
尚、本実施例では、上記の他、燃料ノズル11を角型にした構造、二次酸素含有気体ノズル13、又は三次酸素含有気体ノズル14などの外側酸素含有気体ノズルを1つのノズルとする構造、外側酸素含有気体ノズルを3つ以上に分割する構造を採用してもよい。
【実施例3】
【0052】
図6は、本発明による固体燃料バーナの実施例3であり、本発明の固体燃料バーナ42を低負荷条件で使用する場合に、固体燃料バーナ42の火炎20を保炎器23の下流側の循環流19の近くから形成させた状態を示すものである。
【0053】
該図に示す本実施例は、固体燃料バーナ42の燃料ノズル11内に内側酸素含有気体ノズル38を設け、この内側酸素含有気体ノズル38と風箱26を配管で接続したもので、固体燃料バーナ42に供給される酸素含有気体の一部を、内側酸素含有気体ノズル38から噴出するようにしたものである。
【0054】
本実施例のように、内側酸素含有気体ノズル38で酸素含有気体を燃料ノズル11内から混合すると、二次酸素含有気体ノズル13、三次酸素含有気体ノズル14のみから混合する場合に比べて、燃料と酸素含有気体との混合が早まる利点がある。また、内側酸素含有気体ノズル38から多量の酸素含有気体を噴出すると、側を流れる燃料噴流16の流速が早まり、燃料の着火位置を固体燃料バーナ42から離すことができる。
【0055】
従って、高負荷条件において、固体燃料バーナ42から離れた位置に火炎を形成する場合、酸素含有気体追加ノズル12から噴出する酸素含有気体流量を減らし、内側酸素含有気体ノズル38から噴出する酸素含有気体流量を増やせば良い。
【0056】
また、本実施例では、燃料ノズル11の濃縮器33の下流側に、流路を分割する分配器35を備えている。この分配器35により流路を隔てると、燃料粒子や搬送気体、追加酸素含有気体21の混合が抑制されるので、酸素含有気体追加ノズル12への燃料粒子の衝突による燃料の分散や追加酸素含有気体21の中心軸近傍への拡散を抑制できる。
【実施例4】
【0057】
図7は、本発明による固体燃料バーナの実施例4であり、歯付き(toothed)保炎器を採用した固体燃料バーナを火炉側から見た概略構造を示すものである。
【0058】
該図に示す実施例は、燃料ノズル11の出口に、板形状のエッジが周方向に所定間隔をもって複数突出している歯付き保炎器54を設けたものである。他の構成は、実施例1と同様である。
【0059】
このような本実施例の構成とすることにより、燃料は、歯付き保炎器54を回りこんで着火しやすくなる。即ち、燃料は、歯付き保炎器54の下流側で着火することになる。
【実施例5】
【0060】
図8及び図9は、本発明による固体燃料バーナの実施例5であり、図8は、固体燃料バーナ42の酸素含有気体追加ノズル12の構造と燃料ノズル11内での燃料噴流16、即ち、燃料及びその搬送気体の流れとを説明するものであり、図9は、実施例1の固体燃料バーナ42の酸素含有気体追加ノズル12の構造と燃料ノズル11内での燃料噴流16、即ち、燃料及びその搬送気体の流れをバーナ上流側から見たものである。
【0061】
該図に示す実施例の固体燃料バーナ42には、複数本の酸素含有気体追加ノズル12において、ノズル入口のある面が燃料ノズル11の外側隔壁22から固体燃料バーナ42の中心軸に向かう方向に配置されている。また、酸素含有気体追加ノズル12は、燃料噴流16の流れに対し濃縮器33の下流側で、かつ、燃料ノズル11の外側隔壁22近くに設けられている。
【0062】
従来方式では、酸素含有気体追加ノズル12の上流部において、バーナ径方向側の隔壁(側壁)と燃料ノズル11の内壁がなす角が直角に満たない鋭角であったため、酸素含有気体追加ノズル12のバーナ上流部に燃料粒子が衝突すると、バーナ径方向側の隔壁により径方向(燃料ノズル11の内壁方向)の速度成分が誘起され、燃料粒子の進行方向が変わり、燃料ノズル11の内壁に燃料が衝突し易かった。
【0063】
これに対して、本実施例では、酸素含有気体追加ノズル12は、バーナ径方向側の隔壁(側壁)60とバーナ中心軸方向の隔壁61と周方向側の隔壁62から構成され、前記バーナ径方向の隔壁60がバーナ中心軸に向かっている。また、酸素含有気体追加ノズル12のバーナ軸方向の投影断面が、バーナ中心方向に向かい縮小する形状であり、周方向側の隔壁62の面積がバーナ中心軸方向の隔壁61の面積に比べて大きい。
【0064】
このため、酸素含有気体追加ノズル12の上流部において、バーナ径方向側の隔壁60と燃料ノズル内壁63がなす角が直角を超える鈍角となり、酸素含有気体追加ノズル12のバーナ上流部に燃料粒子が衝突すると、バーナ径方向側の隔壁60によりバーナ周方向にのみ速度成分が誘起される。
【0065】
その結果、燃料粒子が燃料ノズル内壁63へ衝突しにくくなり、燃料ノズル内壁63の摩耗が軽減される。また、燃料の再分散が抑えられることで流れの乱れが減り、燃料ノズル11の出口部分の酸素濃度分布を外周部分で高くできる。
【0066】
更に、本実施例では、酸素含有気体追加ノズル12の上流端のバーナ中心軸側に突起12Yを設け、この突起12Yを上流方向に突出させ、突起12Yのバーナ軸方向の投影断面がバーナ中心方向に向かい拡大する形状としている。
【0067】
このように突起12Yを設けると、突起12Yの側面が燃料ノズル内壁63を向くため、突起12Yの側面に燃料粒子が衝突すると、径方向の速度成分が誘起され、燃料粒子の一部は、燃料ノズル内壁63面に寄る可能性があるが、酸素含有気体追加ノズル12から燃料ノズル内壁63までの距離が長く、燃料ノズル内壁63への衝突速度が低下するため、燃料ノズル11の摩耗が軽減され、燃料の再分散も抑制される。
【0068】
これにより、燃料ノズル11の火炉41の出口内周部に燃料が濃縮されるため、燃料の濃縮に用いていたベンチュリや濃縮器、分配器などが必要なくなり、コストの低減が図れる。
【0069】
図10は、保炎器及び濃縮器が設置されていない実施例5の固体燃料バーナ42の構造と、低負荷条件にある固体燃料バーナ42から噴出される燃料が燃焼装置で燃焼している状態とを示すものである。
【0070】
該図に示す実施例5の固体燃料バーナ42は、上述した如く、燃料ノズル11内に濃縮器が設置されていないし、また、燃料ノズル11と外側酸素含有気体ノズル13とを隔てる隔壁22の先端に保炎器23が設置されていない構造である。
【0071】
図1に示す実施例1の固体燃料バーナ42では、燃料ノズル11内に濃縮器33が設置されているが、実施例5のように、濃縮器33が設置されていない場合でも、突起12Yを設けると、燃料ノズル11の火炉41の出口内周部に燃料が濃縮される。また、燃料ノズル11の周方向に追加酸素含有気体21の噴流を噴出させると、燃料ノズル11内を流れる燃料噴流16にほぼ垂直に交差するので、燃料粒子と酸素含有気体との速度差が、平行に噴出する場合よりも大きくなる。従って、実施例1と同様に、燃料粒子と酸素含有気体との混合が進む。
【0072】
更に、保炎器23が設置されていない場合も、保炎器23が設置されている場合に比べて、効果は小さくなるが、隔壁22の下流側には循環流19が形成される。この循環流19に滞留する高温ガスと燃料粒子とが混合すると、燃料粒子の温度が上がり着火しやすくなる。その結果、火炎20が燃料ノズル11の出口に安定して形成される。
【0073】
実施例5の構成とすることにより、燃料の誘導方向を制御することが可能となり、燃料ノズル内壁63への燃料の衝突を抑え、燃料ノズル11の摩耗を軽減しながら燃料ノズル11内の燃料濃度と酸素濃度を均一化し、安定燃焼させることができる。
【0074】
尚、実施例5では、酸素含有気体追加ノズル12の上流端のバーナ中心軸側に突起12Yを設けても、酸素含有気体追加ノズル12のバーナ軸方向の投影断面積の変化はないが、突起12Yのバーナ中心軸方向の隔壁61を径方向に伸ばした形状とし、突起12Yを設けることで、酸素含有気体追加ノズル12のバーナ軸方向の投影断面積を拡大することができる。
【0075】
また、酸素含有気体追加ノズル12は、鋳物で製作しても良い。この例を図11及び図12に示す。
【実施例6】
【0076】
図11及び図12は、本発明による固体燃料バーナの実施例6であり、図8及び図9の変形例である。
【0077】
該図に示す本実施例は、酸素含有気体追加ノズル12を鋳物で流線形状に製作したものである。この鋳物で流線形状に製作された酸素含有気体追加ノズル12は、その上流側のバーナ中心側に、バーナ軸方向断面が楕円となる突起12Yが形成され(図12参照)、この楕円の突起12Yを上流方向に突出した形状となっている。
【0078】
このように形成しても、上述した各実施例と同様な効果を得ることができる。
【0079】
尚、上述した各実施例では、燃料ノズル11内に配置される酸素含有気体追加ノズル12は、周方向に等間隔で8個配置されているが、図13に示す如く、燃料ノズル11内に、酸素含有気体追加ノズル12が相対向して2個配置しても良いし、図14に示す如く、燃料ノズル11内に、酸素含有気体追加ノズル12を等間隔に3個配置しても良いことは言うまでもない。
【0080】
結局、本発明の要旨を逸脱することのない範囲で酸素含有気体追加ノズル12の数を決めれば良く、本発明の効果を達成するためには、酸素含有気体追加ノズル12を少なくとも1個配置すれば良い。
【符号の説明】
【0081】
11…燃料ノズル、12…酸素含有気体追加ノズル、12A、12B、12C…酸素含有気体追加ノズルの出口、12Z…燃料粒子を排出する出口、12Y…突起、13…二次酸素含有気体ノズル、14…三次酸素含有気体ノズル、16、16B、16C…燃料噴流、17…二次酸素含有気体、18…三次酸素含有気体、19…循環流、20…火炎、21…追加酸素含有気体、22…燃料ノズルの外側隔壁、23…保炎器、24…オイルガン、25…ガイド、26…風箱、27、28…旋回器、29…隔壁、30…バーナスロート、31…水管、32…ベンチュリ、33…濃縮器、34…流量調節弁、35…分配器、36…反対側流路、37…酸素含有気体ノズル側流路、38…内側酸素含有気体ノズル、41…火炉、42…固体燃料バーナ、54…歯付き保炎器、60…バーナ径方向側の隔壁(側壁)、61…バーナ中心軸方向の隔壁、62…周方向側の隔壁、63…燃料ノズル内壁。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体燃料とその搬送気体の混合流体を噴出する燃料ノズルと、該燃料ノズルの外側に配置され酸素含有気体を噴出する酸素含有気体ノズルと、前記燃料ノズルの周方向の速度成分を持つ酸素含有気体を噴出させ、該燃料ノズル内に突出させて設けられた少なくとも1つの酸素含有気体追加ノズルとを備え、前記酸素含有気体追加ノズルは、前記燃料ノズルの周方向にノズル出口を有している固体燃料バーナにおいて、
前記酸素含有気体追加ノズルのバーナ軸方向の投影断面が、バーナ中心方向に向かい縮小する形状であることを特徴とする固体燃料バーナ。
【請求項2】
固体燃料とその搬送気体の混合流体を噴出する燃料ノズルと、該燃料ノズルの外側に配置され酸素含有気体を噴出する酸素含有気体ノズルと、前記燃料ノズルの周方向の速度成分を持つ酸素含有気体を噴出させ、該燃料ノズル内に突出させて設けられた少なくとも1つの酸素含有気体追加ノズルとを備え、前記酸素含有気体追加ノズルは、前記燃料ノズルの周方向にノズル出口を有している固体燃料バーナにおいて、
前記酸素含有気体追加ノズルは、バーナ径方向の隔壁とバーナ中心軸方向の隔壁、及び前記燃料ノズル側の隔壁から構成され、前記バーナ径方向の隔壁がバーナ中心軸に向かうように形成されていることを特徴とする固体燃料バーナ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の固体燃料バーナにおいて、
前記酸素含有気体追加ノズルは、前記燃料ノズルの出口に近い位置に設けられていることを特徴とする固体燃料バーナ。
【請求項4】
請求項2に記載の固体燃料バーナにおいて、
前記バーナ径方向の隔壁の面積が、前記バーナ中心軸方向の隔壁の面積に比べて大きいことを特徴とする固体燃料バーナ。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の固体燃料バーナにおいて、
前記酸素含有気体追加ノズルの下流部隔壁の側面に、前記燃料ノズルの周方向に追加酸素含有気体を噴出する複数の出口が形成されていることを特徴とする固体燃料バーナ。
【請求項6】
請求項5に記載の固体燃料バーナにおいて、
前記酸素含有気体追加ノズルの最後部に、前記燃料ノズルの周方向に追加酸素含有気体を噴出する複数の出口から逆流した燃料粒子を排出するための出口が形成されていることを特徴とする固体燃料バーナ。
【請求項7】
請求項1乃至4のいずれかに記載の固体燃料バーナにおいて、
前記酸素含有気体追加ノズルの上流端のバーナ中心軸側に突起を設け、該突起を上流方向に突出させると共に、前記突起のバーナ軸方向の投影断面が、バーナ中心方向に向かい拡大する形状になっていることを特徴とする固体燃料バーナ。
【請求項8】
請求項7に記載の固体燃料バーナにおいて、
前記酸素含有気体追加ノズルの上流端のバーナ中心軸側に、バーナ軸方向の投影断面が楕円となる突起を設け、該楕円の突起を上流方向に突出させたことを特徴とする固体燃料バーナ。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載の固体燃料バーナにおいて、
前記酸素含有気体追加ノズルは、前記燃料ノズルを流れる混合流体に対して平行方向の速度成分を有する酸素含有気体を噴出する噴出口が最下流部に形成されていることを特徴とする固体燃料バーナ。
【請求項10】
請求項1乃至8のいずれかに記載の固体燃料バーナにおいて、
前記酸素含有気体追加ノズルの上流には、前記燃料ノズルの流路断面積を外周側から滑らかに縮小し拡大する形状のベンチュリと、前記燃料ノズルの流路断面積を内周側から滑らかに縮小し拡大する形状の濃縮器とを備えていることを特徴とする固体燃料バーナ。
【請求項11】
請求項1乃至8のいずれかに記載の固体燃料バーナにおいて、
前記燃料ノズル内に流路を分割する分配器を有し、かつ、バーナ軸に対して垂直方向から見たときに、前記酸素含有気体追加ノズルの出口が前記分配器と重なる位置にあることを特徴とする固体燃料バーナ。
【請求項12】
請求項1乃至8のいずれかに記載の固体燃料バーナにおいて、
前記酸素含有気体追加ノズルの上流には、該酸素含有気体追加ノズルの流路断面積を内側から滑らかに縮小し拡大する形状の濃縮器を、前記燃料ノズル内には、流路を分割する分配器をそれぞれ備え、かつ、バーナ軸に対して垂直方向から見たときに、前記酸素含有気体追加ノズルの出口が前記分配器と重なる位置にあることを特徴とする固体燃料バーナ。
【請求項13】
請求項1乃至8のいずれかに記載の固体燃料バーナにおいて、
前記燃料ノズルと前記酸素含有気体追加ノズルとを隔てる隔壁の先端に、前記燃料ノズルから噴出する固体燃料とその搬送気体との流れ、及び前記酸素含有気体追加ノズルから噴出する酸素含有気体の流れを妨げる保炎器を設けたことを特徴とする固体燃料バーナ。
【請求項14】
請求項13に記載の固体燃料バーナにおいて、
前記保炎器は、前記燃料ノズルの出口に突出した歯付き保炎器であることを特徴とする固体燃料バーナ。
【請求項15】
請求項1乃至8のいずれかに記載の固体燃料バーナにおいて、
前記酸素含有気体ノズルの流路出口に、酸素含有気体の噴出方向をバーナ中心軸から離れる方向に誘導するガイドを設けたことを特徴とする固体燃料バーナ。
【請求項16】
請求項1乃至8のいずれかに記載の固体燃料バーナにおいて、
前記酸素含有気体ノズルに、酸素含有気体に旋回力を与える旋回器を設けたことを特徴とする固体燃料バーナ。
【請求項17】
請求項1又は2に記載の固体燃料バーナにおいて、
前記燃料ノズル内に内側酸素含有気体ノズルを設け、この内側酸素含有気体ノズルと風箱を配管で接続し、バーナに供給される酸素含有気体の一部を、前記内側酸素含有気体ノズルから噴出するようにしたことを特徴とする固体燃料バーナ。
【請求項1】
固体燃料とその搬送気体の混合流体を噴出する燃料ノズルと、該燃料ノズルの外側に配置され酸素含有気体を噴出する酸素含有気体ノズルと、前記燃料ノズルの周方向の速度成分を持つ酸素含有気体を噴出させ、該燃料ノズル内に突出させて設けられた少なくとも1つの酸素含有気体追加ノズルとを備え、前記酸素含有気体追加ノズルは、前記燃料ノズルの周方向にノズル出口を有している固体燃料バーナにおいて、
前記酸素含有気体追加ノズルのバーナ軸方向の投影断面が、バーナ中心方向に向かい縮小する形状であることを特徴とする固体燃料バーナ。
【請求項2】
固体燃料とその搬送気体の混合流体を噴出する燃料ノズルと、該燃料ノズルの外側に配置され酸素含有気体を噴出する酸素含有気体ノズルと、前記燃料ノズルの周方向の速度成分を持つ酸素含有気体を噴出させ、該燃料ノズル内に突出させて設けられた少なくとも1つの酸素含有気体追加ノズルとを備え、前記酸素含有気体追加ノズルは、前記燃料ノズルの周方向にノズル出口を有している固体燃料バーナにおいて、
前記酸素含有気体追加ノズルは、バーナ径方向の隔壁とバーナ中心軸方向の隔壁、及び前記燃料ノズル側の隔壁から構成され、前記バーナ径方向の隔壁がバーナ中心軸に向かうように形成されていることを特徴とする固体燃料バーナ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の固体燃料バーナにおいて、
前記酸素含有気体追加ノズルは、前記燃料ノズルの出口に近い位置に設けられていることを特徴とする固体燃料バーナ。
【請求項4】
請求項2に記載の固体燃料バーナにおいて、
前記バーナ径方向の隔壁の面積が、前記バーナ中心軸方向の隔壁の面積に比べて大きいことを特徴とする固体燃料バーナ。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の固体燃料バーナにおいて、
前記酸素含有気体追加ノズルの下流部隔壁の側面に、前記燃料ノズルの周方向に追加酸素含有気体を噴出する複数の出口が形成されていることを特徴とする固体燃料バーナ。
【請求項6】
請求項5に記載の固体燃料バーナにおいて、
前記酸素含有気体追加ノズルの最後部に、前記燃料ノズルの周方向に追加酸素含有気体を噴出する複数の出口から逆流した燃料粒子を排出するための出口が形成されていることを特徴とする固体燃料バーナ。
【請求項7】
請求項1乃至4のいずれかに記載の固体燃料バーナにおいて、
前記酸素含有気体追加ノズルの上流端のバーナ中心軸側に突起を設け、該突起を上流方向に突出させると共に、前記突起のバーナ軸方向の投影断面が、バーナ中心方向に向かい拡大する形状になっていることを特徴とする固体燃料バーナ。
【請求項8】
請求項7に記載の固体燃料バーナにおいて、
前記酸素含有気体追加ノズルの上流端のバーナ中心軸側に、バーナ軸方向の投影断面が楕円となる突起を設け、該楕円の突起を上流方向に突出させたことを特徴とする固体燃料バーナ。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載の固体燃料バーナにおいて、
前記酸素含有気体追加ノズルは、前記燃料ノズルを流れる混合流体に対して平行方向の速度成分を有する酸素含有気体を噴出する噴出口が最下流部に形成されていることを特徴とする固体燃料バーナ。
【請求項10】
請求項1乃至8のいずれかに記載の固体燃料バーナにおいて、
前記酸素含有気体追加ノズルの上流には、前記燃料ノズルの流路断面積を外周側から滑らかに縮小し拡大する形状のベンチュリと、前記燃料ノズルの流路断面積を内周側から滑らかに縮小し拡大する形状の濃縮器とを備えていることを特徴とする固体燃料バーナ。
【請求項11】
請求項1乃至8のいずれかに記載の固体燃料バーナにおいて、
前記燃料ノズル内に流路を分割する分配器を有し、かつ、バーナ軸に対して垂直方向から見たときに、前記酸素含有気体追加ノズルの出口が前記分配器と重なる位置にあることを特徴とする固体燃料バーナ。
【請求項12】
請求項1乃至8のいずれかに記載の固体燃料バーナにおいて、
前記酸素含有気体追加ノズルの上流には、該酸素含有気体追加ノズルの流路断面積を内側から滑らかに縮小し拡大する形状の濃縮器を、前記燃料ノズル内には、流路を分割する分配器をそれぞれ備え、かつ、バーナ軸に対して垂直方向から見たときに、前記酸素含有気体追加ノズルの出口が前記分配器と重なる位置にあることを特徴とする固体燃料バーナ。
【請求項13】
請求項1乃至8のいずれかに記載の固体燃料バーナにおいて、
前記燃料ノズルと前記酸素含有気体追加ノズルとを隔てる隔壁の先端に、前記燃料ノズルから噴出する固体燃料とその搬送気体との流れ、及び前記酸素含有気体追加ノズルから噴出する酸素含有気体の流れを妨げる保炎器を設けたことを特徴とする固体燃料バーナ。
【請求項14】
請求項13に記載の固体燃料バーナにおいて、
前記保炎器は、前記燃料ノズルの出口に突出した歯付き保炎器であることを特徴とする固体燃料バーナ。
【請求項15】
請求項1乃至8のいずれかに記載の固体燃料バーナにおいて、
前記酸素含有気体ノズルの流路出口に、酸素含有気体の噴出方向をバーナ中心軸から離れる方向に誘導するガイドを設けたことを特徴とする固体燃料バーナ。
【請求項16】
請求項1乃至8のいずれかに記載の固体燃料バーナにおいて、
前記酸素含有気体ノズルに、酸素含有気体に旋回力を与える旋回器を設けたことを特徴とする固体燃料バーナ。
【請求項17】
請求項1又は2に記載の固体燃料バーナにおいて、
前記燃料ノズル内に内側酸素含有気体ノズルを設け、この内側酸素含有気体ノズルと風箱を配管で接続し、バーナに供給される酸素含有気体の一部を、前記内側酸素含有気体ノズルから噴出するようにしたことを特徴とする固体燃料バーナ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−172865(P2012−172865A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−33023(P2011−33023)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(000005441)バブコック日立株式会社 (683)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(000005441)バブコック日立株式会社 (683)
【Fターム(参考)】
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