土木施設におけるワイヤロープのアンカー装置
【課題】非常に簡単な構造で、アンカー体に曲げモーメントやせん断力が作用せず、地盤に支圧がかからず、ロープアンカー体の引抜き抵抗力を100%活かした状態でロープへの荷重の作用方向を変換することができる土木施設におけるワイヤロープのアンカー装置を提供する。
【解決手段】地中に定着されたアンカー体に近い地表部分に配置され、地表上に配された構造物に接続したロープを通して引張り荷重を方向転換して前記アンカー体に伝えるサドルを備えたアンカー装置において、前記サドルが、円柱状体の中間位置に偏心リング部を備え、この偏心リング部の領域には円柱状体から半径方向に突出する第1連結部を設ける一方、前記第1連結部と長手方向ではほぼ同じ位置でかつ周方向では変位した位置に第2連結部を設け、アンカー体からのロープの二股状端部を前記第2連結部に連結し、地表側ロープを、前記二股状端部を貫通し偏心リングにほぼ半周巻き付けて第1連結部に連結させている。
【解決手段】地中に定着されたアンカー体に近い地表部分に配置され、地表上に配された構造物に接続したロープを通して引張り荷重を方向転換して前記アンカー体に伝えるサドルを備えたアンカー装置において、前記サドルが、円柱状体の中間位置に偏心リング部を備え、この偏心リング部の領域には円柱状体から半径方向に突出する第1連結部を設ける一方、前記第1連結部と長手方向ではほぼ同じ位置でかつ周方向では変位した位置に第2連結部を設け、アンカー体からのロープの二股状端部を前記第2連結部に連結し、地表側ロープを、前記二股状端部を貫通し偏心リングにほぼ半周巻き付けて第1連結部に連結させている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は土木施設におけるワイヤロープのアンカー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤロープを使用した土木施設のアンカー装置たとえばカーテンネットのように落石防止のための金網とともに法面に縦横に張設されたロープの両端を固定するアンカー装置や、落石防止用柵,雪崩防止用柵等を支持・補強するロープの一部を固定するアンカー装置,落石を防止するために縦横方向に網状に張設されたワイヤロープネットにおいては、アンカーは地中に直接打ち込まれるか,地表から掘削孔を形成し,この掘削孔にアンカーを挿入するとともにモルタル,セメント等の凝固剤を流し込んで埋込むことにより定着されるのが一般である。
【0003】
このようにして設置されたアンカーの上端にはロープの一端が連結され(アンカーそのものをロープで構成した場合にはアンカー部から先のロープ)は地表に沿って張られるか、あるいは斜めに張られ、アンカーの上部には地表にほぼ平行な方向あるいは角度を持った方向の荷重が加わる。アンカーはアンカーの長さ方向の荷重に対しては,地中との摩擦力により抵抗力は大きいが,水平方向や斜め方向の荷重に対する抵抗力はかなり劣る。
【0004】
この対策として、特開2002-173934号公報のように、張設されたロープによりアンカーの長さ方向と交差する方向に加えられる荷重を方向変換部手段によりアンカーの長さ方向へ変換する方法や装置が提案されている。
この先行技術においては、断面が円弧状の土圧面を持ちかつ長さが幅に比べて長い土圧部分と,この土圧部分の円弧状土圧面の反対側に設けられた円弧状案内面を有するロープガイド部分とを備えた荷重方向変換部材およびアンカーを用意し,アンカーを地中に定着し,上記荷重方向変換部材を,上記アンカーからのびるロープの地表に出た部分がほぼ接する位置において,上記荷重方向変換部材の長手方向がロープの張設方向と交差するように上記土圧面を下にして地表に配置し、地表に出たロープを上記荷重方向変換部材のロープガイド部分に沿わせて張設するようになっていた。
【0005】
この先行技術によれば、アンカーの長手方向と交差する方向に加わる荷重を軽減することが可能になるが、実際に施工してみると、地盤の地質により反力不足で荷重方向変換部材が傾いたり、地盤への潜り込みを起こす可能性があり、それによってロープの角度が変化し、急角度で屈曲されて地表に異常接近するので、地表部が乱されあるいは損傷したりし、また、対象構造物との円滑な連結が妨げられる可能性があった。これはとくに荷重方向変換部材の下面と接する地表が土砂などである場合に顕著であり、グラウトを注入しあるいは整地やつき固めを十分に行うなどの特別な作業を行って地耐力を高めなければならなかった。
【特許文献1】特開2002-173934号公報
【0006】
この対策として、出願人は、地中に定着されたアンカー本体に続くロープが地表に出た部分に配置されるサドル受けと円柱状の荷重方向変換用サドルの組み合わせからなり、前記サドル受けが、荷重方向変換用サドルよりも面積の大きい土圧盤(支圧板)と、土圧盤の上面に固定され前記荷重方向変換用サドルを受支する円弧状鞍体を備えており、前記荷重方向変換用サドルが反受支面側にロープガイドを備えているアンカー装置を提案している。
【0007】
この提案によれば、地中に定着されたアンカー本体に続くロープの変曲部分を単に円柱状の荷重方向変換用サドルで支えるのでなく、荷重方向変換用サドルを受支する支圧板(土圧盤)を備えているので、この土圧盤が接地されることによりしっかりと地盤反力を受け止めることができる。したがって、ロープ引き出し角度が設計とおりの安定したものとなり、構造物との円滑な連結が可能となる。
【0008】
しかし、この提案では、図1(a)のように、合力(F)が発生し、ロープとサドル間の摩擦により、矢印のようにF2側にサドルが回転しようとし、合力および回転の作用荷重を低くするにはθを小さくする必要があり、これはかぶりに穴をあけることを意味し、穿孔時間が多くかかったり、孔が崩れたりするなどのトラブルを招きやすい。
また、合力に見合う支圧板、地盤の硬さ、面積、これに伴う掘削作業、整地作業、および用地が必要になる。また、道路縦断方向にアンカーを設置する場合、図1(b)の仮想線のように大規模な掘削を必要とする。さらに、円柱状の荷重方向変換用サドルと支圧板とアンカーを必要とするので、装置が大型、複雑化し、コストが高くなる問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は前記のような問題点を解消するためになされたもので、その目的とするところは、非常に簡単な構造で、アンカー体に曲げモーメントやせん断力が作用せず、地盤に支圧がかからず、ロープアンカー体の引抜き抵抗力を100%活かした状態でロープへの荷重の作用方向を変換することができる土木施設におけるワイヤロープのアンカー装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため本発明は、地中に定着されたアンカー体に近い地表部分に配置され、地表上に配された構造物に接続したロープを通して引張り荷重を方向転換して前記アンカー体に伝えるサドルを備えたアンカー装置において、前記サドルが、円柱状体の中間位置に偏心リング部を備え、この偏心リング部の領域には円柱状体から半径方向に突出する第1連結部を設ける一方、前記第1連結部と長手方向ではほぼ同じ位置でかつ周方向では変位した位置に第2連結部を設け、アンカー体からのロープの二股状端部を前記第2連結部に連結し、地表側ロープを前記二股状端部を貫通させ、偏心リングにほぼ半周巻き付けて第1連結部に連結させていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、地表側ロープを偏心リングに半周長巻き込んで第1連結部に留めるため、ロープと偏心リングの摩擦力によりサドルを動かそうとする力はアンカー軸に対直な下方に作用し、したがって、合力Fを微少にすることができる。また、サドルが2つの異なる中心を有し、アンカー側ロープは円柱状体の中心を支点とする第2連結部に掛け、地表側ロープは偏心リング部の中心を支点とする曲率面に半周長巻き込んで引張ることから、力学的に水平荷重が小さくなり、アンカー体に生ずる張力が地表側ロープの引張りに対する反力となるので、サドルが移動しなくなる。このように、サドルに生ずる水平荷重を軽減し、アンカー体の軸方向荷重をサドルの水平移動に対する反力として利用するので、特別な支圧板を用いずともサドルを安定して位置させることができる。さらに、偏心リングを有することにより円柱状体の外周との間に誘導隙間が形成され、アンカー体の二股状ロープ端部に容易に地表側ロープを挿通すことができ、地表側ロープとアンカー側ロープの反力が均等するので、サドルの左右のぶれが防止される。
したがって、掘削、整地、用地確保などが簡素化され、支圧板等を用いない非常に簡単な構造でありながら、アンカー体の引抜き抵抗を100%活かしつつ荷重の作用方向を変換することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
偏心リング部が左右に円柱状体と同心状で径が大きい円板を一体に有し、円板の一部に第1連結部となるブラケットが設けられ、偏心リングにツノ状の突起とシンブルを有する第2連結部が設けられている。
これによれば、偏心リングと第1連結部および第2連結部がひとつのセグメントとして構成されるので、円板を円柱状体間に介在して溶接等で固定するだけで簡単に製作することができる。
【実施例1】
【0013】
以下添付図面を参照して本発明の実施例を説明する。
図1と図2は本発明を落石防止用カーテンネットのアンカーに適用した例を示しており、jは沢部、Nは沢部jに設置されたカーテンネットであり、間隔的に配された多数の縦ロープR1と間隔的に配された多数の横ロープR2で構成された柔軟性格子状骨格に金網Mを張設しており、山側には前記カーテンネットNの上縁部に沿った最上段ロープRTを支える支柱Sが所定の間隔で立設されている。
【0014】
前記最上段ロープRTは沢部jの左右に延長され、この例では紙面に対して右側の部分が岩盤に埋め込まれた岩盤用アンカーBに連結されている。また、最上段ロープRTの左側の部分が、本発明にかかるアンカー装置Aに連結されている。
また、紙面に対して右側の部分では、2本程度の縦ロープR1が山側に導かれ、岩盤に埋め込まれた岩盤用アンカーBに連結されている。そして、紙面に対して左側の部分では縦ロープR1が山側に導かれ、本発明にかかるアンカー装置Aに連結されている。
なお、岩盤用アンカーBを使用したのは、この実施例では地盤の地質が紙面に対して右側の部分が岩盤であるためであり、この部分が土砂質である場合には、本発明にかかるアンカー装置Aを適用できる。
【0015】
前記本発明にかかるアンカー装置Aは、図4ないし図7に示されており、水平線に対して所要角度たとえば25〜90度をもって地中に挿入定着されたアンカー体1と、これの延長上のアンカー側ロープ2と、ロープの地表に出た部分の地表部分に配置された荷重方向変換用のサドル3と、前記最上段ロープRT、縦ロープR1あるいは横ロープR2などメインロープそれ自体かあるいはこれらに接続される地表側ロープ(引張り側ロープ)4を備えている。
【0016】
前記荷重方向変換用のサドル3は、好適には断面が円筒状をなした円柱状体3aと、外径が円柱状体3aよりも小さくかつ円周の一部が円柱状体の外径にほぼ一致する偏心リング部(偏心リング状のロープガイド)3bを備え、前記偏心リング領域には、第1連結部3cと第2連結部3dが周方向で位置をずらして設けられている。
【0017】
前記円柱状体3aと偏心リング部3bは、耐食メッキたとえば亜鉛メッキ好適には亜鉛―アルミ合金メッキが施されている。この例では、偏心リング部3bは、円柱状体3aの長手方向の中央部位に1個所設けられているが、複数本のアンカーが設置されるときには、もちろん複数箇所に間隔をおいて設けられる。
【0018】
前記偏心リング部3bは、左右方向端部に円柱状体3aより径が大きい円板30を一体に有しており、これら円板30,30を左右の円柱状体3a、3aと同心状に位置させて接触面を溶接し、あるいは、円板30,30に短い筒を設けて円柱状体3a、3bを嵌合することで一体化している。
【0019】
前記円板30,30の一箇所(この例では据付時に上端部となる位置)にブラケット31,31が半径方向に突出するように設けられており、これらブラケット31,31に軸部材(ピンやボルト)6を挿通する孔310をそれぞれ設けることで前記第1連結部3cを構成している。もちろん、第1連結部3cはこの構造に限定されるものではなく任意であり、たとえば後述する第2連結部と同じような構造も採用できる。
【0020】
前記偏心リング部3bは、前記ブラケット31,31と周方向で所要の距離を隔てた位置、すなわち図7の縦中心線CLから所要の角度αたとえば22〜25度の位置において、円板30の外縁とほぼ整合される偏心状態にあり、この位置に、垂直状に延出する抜け止め用のツノ32を備え、これにより第2連結部3dが構成されている。もちろん、第2連結部3dはこの構造に限定されるものではなく任意である。
【0021】
前記アンカー側ロープ2は、シンブル33でカバーされたアイ200に続いて二股状端部20を有しており、アイ200がツノ32を外囲して嵌められることで延在されている。
これに対して地表側ロープ4は、サドル長手方向と交差する方向から導かれ、図5のように、前記二股状端部20を貫通し、偏心リング部3bのほぼ半周長巻き付けられ、端部のアイ40が前記ブラケット31,31の位置において軸部材6により留められる。そして、地表側ロープ4は直接かまたは連結金具を介して前記最上段ロープRT、縦ロープR1、横ロープR2などのメインロープに連結される。
【0022】
本発明の仕様例を挙げると、たとえば、円柱状体3aはそれぞれ長さ300mm程度、直径360mm程度、偏心リング部3bは幅70mm程度、直径320mm程度、円板の外径は400mm程度であり、非常にコンパクトである。
【0023】
なお、前記アンカー体1は、汎用のアンカーロッド,パイプアンカーなどといわれる各種棒状のものを用いることができるが、この実施例では、たとえば3000〜4500mm長のワイヤロープ(ケーブルを含む)で構成しており、アンカー部分は地中に形成した削孔に挿入され、削孔にモルタルなどのグラウト材を充填することにより強固に定着される。
前記ロープ部分とアンカー部分は、7×7構造など任意であり、全体に耐食メッキたとえば亜鉛メッキ好適には亜鉛―アルミ合金メッキが施されている。
ロープ部分とアンカー部分の合計の長さは、施工規模によるが、通常、5000〜9000mmの範囲から選ばれる。このような構成とすることにより、部材数が少なくなり、またロープであることより可曲性があるため、ドラムなどに巻収して現場に搬入することができ、現場で所要長さに切断してアンカー本体を作ることができるので、現場の状況に容易に適合できる利点がある。
【0024】
本発明は、施工部位にアンカー体1を埋設し、これから直接延出しあるいは接続したアンカー側ロープ2をアンカー体1の軸線方向の地表に導き、この部位の地表に、図6のようにサドル3をアンカー側ロープ2の軸線とほぼ接線方向に位置するように配置し、アンカー側ロープ2を第2連結部3dに連結する。そして、地表側ロープ4をアンカー側ロープ2の二股状端部20を貫通し、偏心リング部3bのほぼ半周に巻き付けて頂上付近にある第1連結部3cに連結する。
これでロープの荷重方向が変換される。したがって、セット作業に慎重を要さず、簡易に実施できる。前記変換角度は、カーテンネットや、ワイヤロープネットのためのロープ、防護柵等の補強のためのロープなどによって異なるが、いずれにしても,サドル3によってロープはほぼ直角に方向変換されあるいは直角よりも大きい角度で方向変換させられる。
【0025】
ひとつの方向を持った力を任意の点において方向を変えようとすると合力が発生する。今、アンカー体1に荷重を作用させたとき、その方向やかけ方によって引張り荷重、曲げ荷重、せん断力などが働く。またその荷重はアンカー体1のみに作用するだけでなく、周囲の固体に影響を及ぼす場合がある。本発明は上記のようなサドル構造とロープの巻き付け方式により、合力を微少にして力の方向を変換することが可能である。
【0026】
すなわち、図8(a)のように、アンカー体の上方にロープを導いてサドルの1/4周長沿わせて方向転換した場合(先行技術=比較例1)と、図8(b)のように、アンカー体の上方にロープを導いてサドルの3/4周長沿わせて方向転換した場合(比較例2)と比較して、本発明の作用を説明する。
【0027】
図8において、Tはアンカー荷重、Fは円柱状サドルとロープの摩擦力、F1はab(θ=90°)、F2はabcd(θ=270°)、WはTの合力である。0´点は土壌に作用する土圧荷重の中心点で、この位置がほとんど変化しないもの(許容土圧以内)と仮定し、この0´点に対して摩擦力がサドルにどのような影響を与えるかを検討すると、図9(a)は比較例1の場合であり、この場合、0´点の回りに時計方向に作用するモーメントから、サドルのc点に水平荷重(アンカー軸に対して直角方向)P1が作用する。摩擦力は図9(b)のようになるので、比較例1では、アンカー軸と直角方向に0.507Tなる荷重が作用する。次に、合成荷重(W)を加味してみると、図9(c)のようにFxという水平荷重が作用する。
【0028】
一方、比較例2においては、図10(a)のように、0´点の回りに反時計方向に作用するモーメントは、M=0.3γ・F2であり、このモーメントにより、サドルのd点に下方向(アンカー軸に対して垂直方向)にP2が作用する。P2=0424・F2であり、摩擦力F2は0.5Tであるから、P2は0.212Tとなる。つまり、比較例2は、アンカー軸に対して垂直(下)方向に0.212Tの荷重が作用する。合成荷重(W)を加味すると、図10(b)のようになり、やはりFxという水平荷重が作用する。
比較例1と2では、P1(水平)、P2(垂直下方)の関係から、比較例2の方がFxは小さく、また、比較例2はアンカー軸方向荷重(T)がFxに対する反力として作用するので、サドルは安定する。
【0029】
上記の考察から、Fの水平方向分力Fxをできるだけ小さくすることがサドルの性能向上につながることが分かる。
本発明の場合、図11(a)のように、F2=Tとなり、比較例2のF2=0.5Tの2倍となる。したがって、P2も0.42と比較例2の2倍となる。さらに、図11(b)のように、サドルと土壌の摩擦力Rは、R=μP2となるから、サドルに作用する水平荷重は、Fx−μP2となり、サドル3の状態を良好安定的に保持することができるのである。したがって,ロープの張力を増大させても,サドル3に掛けられたロープ2は常に適正な角度状態に保たれ、アンカー体の引抜き抵抗を100%活かした状態で、荷重方向を変換することが可能である。
【0030】
偏心リング3bは力学的に支点を変化させて水平方向分力Fxを緩和する作用に加えて、サドル3を地表に設置したときに円柱状体3aの周面との間に空隙を形成する。このため、1/2周長巻き付けた引張り側ロープ4をスムーズに誘導し、ロープ2の二股状端部20を貫通して地上に延在させることができる。
【産業上の利用分野】
【0031】
本発明のアンカー装置は、カーテンネットのように落石防止のための金網とともに法面に縦横に張設されたロープの両端を固定するアンカー装置、落石防止用柵,雪崩防止用柵等を支持・補強するロープの一部を固定するアンカー装置,落石を防止するために縦横方向に網状に張設されたワイヤロープネットのアンカー装置などに広く利用される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】(a)は従来のアンカー装置の作用を示す模式的説明図、(b)は設置状態の説明図である。
【図2】本発明によるアンカー装置を適用した例を示す平面図である。
【図3】図1の側面図である。
【図4】本発明装置の使用状態を示す斜視図である。
【図5】サドルの正面図である。
【図6】サドルの側面図である。
【図7】図5のX−X線に沿う断面図である。
【図8】(a)はアンカー装置の比較例1の原理図、(b)はアンカー装置の比較例2の原理図である。
【図9】(a)は比較例1の荷重作用方向の説明図、(b)は摩擦説明図、(c)は合成荷重を加味した荷重説明図である。
【図10】(a)は比較例2の荷重作用方向の説明図、(b)は合成荷重を加味した荷重説明図である。
【図11】(a)は本発明の荷重作用方向の説明図、(b)は合成荷重を加味した荷重説明図である。
【符号の説明】
【0033】
1 アンカー体
2 アンカー側ロープ
3 サドル
3a 円柱状体
3b 偏心リング部
3c 第1連結部
3d 第2連結部
4 地表側ロープ(引張り側ロープ)
20 二股状端部
30 円板
【技術分野】
【0001】
本発明は土木施設におけるワイヤロープのアンカー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤロープを使用した土木施設のアンカー装置たとえばカーテンネットのように落石防止のための金網とともに法面に縦横に張設されたロープの両端を固定するアンカー装置や、落石防止用柵,雪崩防止用柵等を支持・補強するロープの一部を固定するアンカー装置,落石を防止するために縦横方向に網状に張設されたワイヤロープネットにおいては、アンカーは地中に直接打ち込まれるか,地表から掘削孔を形成し,この掘削孔にアンカーを挿入するとともにモルタル,セメント等の凝固剤を流し込んで埋込むことにより定着されるのが一般である。
【0003】
このようにして設置されたアンカーの上端にはロープの一端が連結され(アンカーそのものをロープで構成した場合にはアンカー部から先のロープ)は地表に沿って張られるか、あるいは斜めに張られ、アンカーの上部には地表にほぼ平行な方向あるいは角度を持った方向の荷重が加わる。アンカーはアンカーの長さ方向の荷重に対しては,地中との摩擦力により抵抗力は大きいが,水平方向や斜め方向の荷重に対する抵抗力はかなり劣る。
【0004】
この対策として、特開2002-173934号公報のように、張設されたロープによりアンカーの長さ方向と交差する方向に加えられる荷重を方向変換部手段によりアンカーの長さ方向へ変換する方法や装置が提案されている。
この先行技術においては、断面が円弧状の土圧面を持ちかつ長さが幅に比べて長い土圧部分と,この土圧部分の円弧状土圧面の反対側に設けられた円弧状案内面を有するロープガイド部分とを備えた荷重方向変換部材およびアンカーを用意し,アンカーを地中に定着し,上記荷重方向変換部材を,上記アンカーからのびるロープの地表に出た部分がほぼ接する位置において,上記荷重方向変換部材の長手方向がロープの張設方向と交差するように上記土圧面を下にして地表に配置し、地表に出たロープを上記荷重方向変換部材のロープガイド部分に沿わせて張設するようになっていた。
【0005】
この先行技術によれば、アンカーの長手方向と交差する方向に加わる荷重を軽減することが可能になるが、実際に施工してみると、地盤の地質により反力不足で荷重方向変換部材が傾いたり、地盤への潜り込みを起こす可能性があり、それによってロープの角度が変化し、急角度で屈曲されて地表に異常接近するので、地表部が乱されあるいは損傷したりし、また、対象構造物との円滑な連結が妨げられる可能性があった。これはとくに荷重方向変換部材の下面と接する地表が土砂などである場合に顕著であり、グラウトを注入しあるいは整地やつき固めを十分に行うなどの特別な作業を行って地耐力を高めなければならなかった。
【特許文献1】特開2002-173934号公報
【0006】
この対策として、出願人は、地中に定着されたアンカー本体に続くロープが地表に出た部分に配置されるサドル受けと円柱状の荷重方向変換用サドルの組み合わせからなり、前記サドル受けが、荷重方向変換用サドルよりも面積の大きい土圧盤(支圧板)と、土圧盤の上面に固定され前記荷重方向変換用サドルを受支する円弧状鞍体を備えており、前記荷重方向変換用サドルが反受支面側にロープガイドを備えているアンカー装置を提案している。
【0007】
この提案によれば、地中に定着されたアンカー本体に続くロープの変曲部分を単に円柱状の荷重方向変換用サドルで支えるのでなく、荷重方向変換用サドルを受支する支圧板(土圧盤)を備えているので、この土圧盤が接地されることによりしっかりと地盤反力を受け止めることができる。したがって、ロープ引き出し角度が設計とおりの安定したものとなり、構造物との円滑な連結が可能となる。
【0008】
しかし、この提案では、図1(a)のように、合力(F)が発生し、ロープとサドル間の摩擦により、矢印のようにF2側にサドルが回転しようとし、合力および回転の作用荷重を低くするにはθを小さくする必要があり、これはかぶりに穴をあけることを意味し、穿孔時間が多くかかったり、孔が崩れたりするなどのトラブルを招きやすい。
また、合力に見合う支圧板、地盤の硬さ、面積、これに伴う掘削作業、整地作業、および用地が必要になる。また、道路縦断方向にアンカーを設置する場合、図1(b)の仮想線のように大規模な掘削を必要とする。さらに、円柱状の荷重方向変換用サドルと支圧板とアンカーを必要とするので、装置が大型、複雑化し、コストが高くなる問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は前記のような問題点を解消するためになされたもので、その目的とするところは、非常に簡単な構造で、アンカー体に曲げモーメントやせん断力が作用せず、地盤に支圧がかからず、ロープアンカー体の引抜き抵抗力を100%活かした状態でロープへの荷重の作用方向を変換することができる土木施設におけるワイヤロープのアンカー装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため本発明は、地中に定着されたアンカー体に近い地表部分に配置され、地表上に配された構造物に接続したロープを通して引張り荷重を方向転換して前記アンカー体に伝えるサドルを備えたアンカー装置において、前記サドルが、円柱状体の中間位置に偏心リング部を備え、この偏心リング部の領域には円柱状体から半径方向に突出する第1連結部を設ける一方、前記第1連結部と長手方向ではほぼ同じ位置でかつ周方向では変位した位置に第2連結部を設け、アンカー体からのロープの二股状端部を前記第2連結部に連結し、地表側ロープを前記二股状端部を貫通させ、偏心リングにほぼ半周巻き付けて第1連結部に連結させていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、地表側ロープを偏心リングに半周長巻き込んで第1連結部に留めるため、ロープと偏心リングの摩擦力によりサドルを動かそうとする力はアンカー軸に対直な下方に作用し、したがって、合力Fを微少にすることができる。また、サドルが2つの異なる中心を有し、アンカー側ロープは円柱状体の中心を支点とする第2連結部に掛け、地表側ロープは偏心リング部の中心を支点とする曲率面に半周長巻き込んで引張ることから、力学的に水平荷重が小さくなり、アンカー体に生ずる張力が地表側ロープの引張りに対する反力となるので、サドルが移動しなくなる。このように、サドルに生ずる水平荷重を軽減し、アンカー体の軸方向荷重をサドルの水平移動に対する反力として利用するので、特別な支圧板を用いずともサドルを安定して位置させることができる。さらに、偏心リングを有することにより円柱状体の外周との間に誘導隙間が形成され、アンカー体の二股状ロープ端部に容易に地表側ロープを挿通すことができ、地表側ロープとアンカー側ロープの反力が均等するので、サドルの左右のぶれが防止される。
したがって、掘削、整地、用地確保などが簡素化され、支圧板等を用いない非常に簡単な構造でありながら、アンカー体の引抜き抵抗を100%活かしつつ荷重の作用方向を変換することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
偏心リング部が左右に円柱状体と同心状で径が大きい円板を一体に有し、円板の一部に第1連結部となるブラケットが設けられ、偏心リングにツノ状の突起とシンブルを有する第2連結部が設けられている。
これによれば、偏心リングと第1連結部および第2連結部がひとつのセグメントとして構成されるので、円板を円柱状体間に介在して溶接等で固定するだけで簡単に製作することができる。
【実施例1】
【0013】
以下添付図面を参照して本発明の実施例を説明する。
図1と図2は本発明を落石防止用カーテンネットのアンカーに適用した例を示しており、jは沢部、Nは沢部jに設置されたカーテンネットであり、間隔的に配された多数の縦ロープR1と間隔的に配された多数の横ロープR2で構成された柔軟性格子状骨格に金網Mを張設しており、山側には前記カーテンネットNの上縁部に沿った最上段ロープRTを支える支柱Sが所定の間隔で立設されている。
【0014】
前記最上段ロープRTは沢部jの左右に延長され、この例では紙面に対して右側の部分が岩盤に埋め込まれた岩盤用アンカーBに連結されている。また、最上段ロープRTの左側の部分が、本発明にかかるアンカー装置Aに連結されている。
また、紙面に対して右側の部分では、2本程度の縦ロープR1が山側に導かれ、岩盤に埋め込まれた岩盤用アンカーBに連結されている。そして、紙面に対して左側の部分では縦ロープR1が山側に導かれ、本発明にかかるアンカー装置Aに連結されている。
なお、岩盤用アンカーBを使用したのは、この実施例では地盤の地質が紙面に対して右側の部分が岩盤であるためであり、この部分が土砂質である場合には、本発明にかかるアンカー装置Aを適用できる。
【0015】
前記本発明にかかるアンカー装置Aは、図4ないし図7に示されており、水平線に対して所要角度たとえば25〜90度をもって地中に挿入定着されたアンカー体1と、これの延長上のアンカー側ロープ2と、ロープの地表に出た部分の地表部分に配置された荷重方向変換用のサドル3と、前記最上段ロープRT、縦ロープR1あるいは横ロープR2などメインロープそれ自体かあるいはこれらに接続される地表側ロープ(引張り側ロープ)4を備えている。
【0016】
前記荷重方向変換用のサドル3は、好適には断面が円筒状をなした円柱状体3aと、外径が円柱状体3aよりも小さくかつ円周の一部が円柱状体の外径にほぼ一致する偏心リング部(偏心リング状のロープガイド)3bを備え、前記偏心リング領域には、第1連結部3cと第2連結部3dが周方向で位置をずらして設けられている。
【0017】
前記円柱状体3aと偏心リング部3bは、耐食メッキたとえば亜鉛メッキ好適には亜鉛―アルミ合金メッキが施されている。この例では、偏心リング部3bは、円柱状体3aの長手方向の中央部位に1個所設けられているが、複数本のアンカーが設置されるときには、もちろん複数箇所に間隔をおいて設けられる。
【0018】
前記偏心リング部3bは、左右方向端部に円柱状体3aより径が大きい円板30を一体に有しており、これら円板30,30を左右の円柱状体3a、3aと同心状に位置させて接触面を溶接し、あるいは、円板30,30に短い筒を設けて円柱状体3a、3bを嵌合することで一体化している。
【0019】
前記円板30,30の一箇所(この例では据付時に上端部となる位置)にブラケット31,31が半径方向に突出するように設けられており、これらブラケット31,31に軸部材(ピンやボルト)6を挿通する孔310をそれぞれ設けることで前記第1連結部3cを構成している。もちろん、第1連結部3cはこの構造に限定されるものではなく任意であり、たとえば後述する第2連結部と同じような構造も採用できる。
【0020】
前記偏心リング部3bは、前記ブラケット31,31と周方向で所要の距離を隔てた位置、すなわち図7の縦中心線CLから所要の角度αたとえば22〜25度の位置において、円板30の外縁とほぼ整合される偏心状態にあり、この位置に、垂直状に延出する抜け止め用のツノ32を備え、これにより第2連結部3dが構成されている。もちろん、第2連結部3dはこの構造に限定されるものではなく任意である。
【0021】
前記アンカー側ロープ2は、シンブル33でカバーされたアイ200に続いて二股状端部20を有しており、アイ200がツノ32を外囲して嵌められることで延在されている。
これに対して地表側ロープ4は、サドル長手方向と交差する方向から導かれ、図5のように、前記二股状端部20を貫通し、偏心リング部3bのほぼ半周長巻き付けられ、端部のアイ40が前記ブラケット31,31の位置において軸部材6により留められる。そして、地表側ロープ4は直接かまたは連結金具を介して前記最上段ロープRT、縦ロープR1、横ロープR2などのメインロープに連結される。
【0022】
本発明の仕様例を挙げると、たとえば、円柱状体3aはそれぞれ長さ300mm程度、直径360mm程度、偏心リング部3bは幅70mm程度、直径320mm程度、円板の外径は400mm程度であり、非常にコンパクトである。
【0023】
なお、前記アンカー体1は、汎用のアンカーロッド,パイプアンカーなどといわれる各種棒状のものを用いることができるが、この実施例では、たとえば3000〜4500mm長のワイヤロープ(ケーブルを含む)で構成しており、アンカー部分は地中に形成した削孔に挿入され、削孔にモルタルなどのグラウト材を充填することにより強固に定着される。
前記ロープ部分とアンカー部分は、7×7構造など任意であり、全体に耐食メッキたとえば亜鉛メッキ好適には亜鉛―アルミ合金メッキが施されている。
ロープ部分とアンカー部分の合計の長さは、施工規模によるが、通常、5000〜9000mmの範囲から選ばれる。このような構成とすることにより、部材数が少なくなり、またロープであることより可曲性があるため、ドラムなどに巻収して現場に搬入することができ、現場で所要長さに切断してアンカー本体を作ることができるので、現場の状況に容易に適合できる利点がある。
【0024】
本発明は、施工部位にアンカー体1を埋設し、これから直接延出しあるいは接続したアンカー側ロープ2をアンカー体1の軸線方向の地表に導き、この部位の地表に、図6のようにサドル3をアンカー側ロープ2の軸線とほぼ接線方向に位置するように配置し、アンカー側ロープ2を第2連結部3dに連結する。そして、地表側ロープ4をアンカー側ロープ2の二股状端部20を貫通し、偏心リング部3bのほぼ半周に巻き付けて頂上付近にある第1連結部3cに連結する。
これでロープの荷重方向が変換される。したがって、セット作業に慎重を要さず、簡易に実施できる。前記変換角度は、カーテンネットや、ワイヤロープネットのためのロープ、防護柵等の補強のためのロープなどによって異なるが、いずれにしても,サドル3によってロープはほぼ直角に方向変換されあるいは直角よりも大きい角度で方向変換させられる。
【0025】
ひとつの方向を持った力を任意の点において方向を変えようとすると合力が発生する。今、アンカー体1に荷重を作用させたとき、その方向やかけ方によって引張り荷重、曲げ荷重、せん断力などが働く。またその荷重はアンカー体1のみに作用するだけでなく、周囲の固体に影響を及ぼす場合がある。本発明は上記のようなサドル構造とロープの巻き付け方式により、合力を微少にして力の方向を変換することが可能である。
【0026】
すなわち、図8(a)のように、アンカー体の上方にロープを導いてサドルの1/4周長沿わせて方向転換した場合(先行技術=比較例1)と、図8(b)のように、アンカー体の上方にロープを導いてサドルの3/4周長沿わせて方向転換した場合(比較例2)と比較して、本発明の作用を説明する。
【0027】
図8において、Tはアンカー荷重、Fは円柱状サドルとロープの摩擦力、F1はab(θ=90°)、F2はabcd(θ=270°)、WはTの合力である。0´点は土壌に作用する土圧荷重の中心点で、この位置がほとんど変化しないもの(許容土圧以内)と仮定し、この0´点に対して摩擦力がサドルにどのような影響を与えるかを検討すると、図9(a)は比較例1の場合であり、この場合、0´点の回りに時計方向に作用するモーメントから、サドルのc点に水平荷重(アンカー軸に対して直角方向)P1が作用する。摩擦力は図9(b)のようになるので、比較例1では、アンカー軸と直角方向に0.507Tなる荷重が作用する。次に、合成荷重(W)を加味してみると、図9(c)のようにFxという水平荷重が作用する。
【0028】
一方、比較例2においては、図10(a)のように、0´点の回りに反時計方向に作用するモーメントは、M=0.3γ・F2であり、このモーメントにより、サドルのd点に下方向(アンカー軸に対して垂直方向)にP2が作用する。P2=0424・F2であり、摩擦力F2は0.5Tであるから、P2は0.212Tとなる。つまり、比較例2は、アンカー軸に対して垂直(下)方向に0.212Tの荷重が作用する。合成荷重(W)を加味すると、図10(b)のようになり、やはりFxという水平荷重が作用する。
比較例1と2では、P1(水平)、P2(垂直下方)の関係から、比較例2の方がFxは小さく、また、比較例2はアンカー軸方向荷重(T)がFxに対する反力として作用するので、サドルは安定する。
【0029】
上記の考察から、Fの水平方向分力Fxをできるだけ小さくすることがサドルの性能向上につながることが分かる。
本発明の場合、図11(a)のように、F2=Tとなり、比較例2のF2=0.5Tの2倍となる。したがって、P2も0.42と比較例2の2倍となる。さらに、図11(b)のように、サドルと土壌の摩擦力Rは、R=μP2となるから、サドルに作用する水平荷重は、Fx−μP2となり、サドル3の状態を良好安定的に保持することができるのである。したがって,ロープの張力を増大させても,サドル3に掛けられたロープ2は常に適正な角度状態に保たれ、アンカー体の引抜き抵抗を100%活かした状態で、荷重方向を変換することが可能である。
【0030】
偏心リング3bは力学的に支点を変化させて水平方向分力Fxを緩和する作用に加えて、サドル3を地表に設置したときに円柱状体3aの周面との間に空隙を形成する。このため、1/2周長巻き付けた引張り側ロープ4をスムーズに誘導し、ロープ2の二股状端部20を貫通して地上に延在させることができる。
【産業上の利用分野】
【0031】
本発明のアンカー装置は、カーテンネットのように落石防止のための金網とともに法面に縦横に張設されたロープの両端を固定するアンカー装置、落石防止用柵,雪崩防止用柵等を支持・補強するロープの一部を固定するアンカー装置,落石を防止するために縦横方向に網状に張設されたワイヤロープネットのアンカー装置などに広く利用される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】(a)は従来のアンカー装置の作用を示す模式的説明図、(b)は設置状態の説明図である。
【図2】本発明によるアンカー装置を適用した例を示す平面図である。
【図3】図1の側面図である。
【図4】本発明装置の使用状態を示す斜視図である。
【図5】サドルの正面図である。
【図6】サドルの側面図である。
【図7】図5のX−X線に沿う断面図である。
【図8】(a)はアンカー装置の比較例1の原理図、(b)はアンカー装置の比較例2の原理図である。
【図9】(a)は比較例1の荷重作用方向の説明図、(b)は摩擦説明図、(c)は合成荷重を加味した荷重説明図である。
【図10】(a)は比較例2の荷重作用方向の説明図、(b)は合成荷重を加味した荷重説明図である。
【図11】(a)は本発明の荷重作用方向の説明図、(b)は合成荷重を加味した荷重説明図である。
【符号の説明】
【0033】
1 アンカー体
2 アンカー側ロープ
3 サドル
3a 円柱状体
3b 偏心リング部
3c 第1連結部
3d 第2連結部
4 地表側ロープ(引張り側ロープ)
20 二股状端部
30 円板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中に定着されたアンカー体に近い地表部分に配置され、地表上に配された構造物に接続したロープを通して引張り荷重を方向転換して前記アンカー体に伝えるサドルを備えたアンカー装置において、前記サドルが、円柱状体の中間位置に偏心リング部を備え、この偏心リング部の領域には円柱状体から半径方向に突出する第1連結部を設ける一方、前記第1連結部と長手方向ではほぼ同じ位置でかつ周方向では変位した位置に第2連結部を設け、アンカー体からのロープの二股状端部を前記第2連結部に連結し、地表側ロープを前記二股状端部を貫通させ、偏心リングにほぼ半周巻き付けて第1連結部に連結させていることを特徴とする土木施設におけるワイヤロープのアンカー装置。
【請求項2】
偏心リング部が左右に円柱状体と同心状で径が大きい円板を一体に有し、円板の一部に第1連結部となるブラケットが設けられ、偏心リングに突起とを有する第2連結部が設けられている請求項1に記載の土木施設におけるワイヤロープのアンカー装置。
【請求項1】
地中に定着されたアンカー体に近い地表部分に配置され、地表上に配された構造物に接続したロープを通して引張り荷重を方向転換して前記アンカー体に伝えるサドルを備えたアンカー装置において、前記サドルが、円柱状体の中間位置に偏心リング部を備え、この偏心リング部の領域には円柱状体から半径方向に突出する第1連結部を設ける一方、前記第1連結部と長手方向ではほぼ同じ位置でかつ周方向では変位した位置に第2連結部を設け、アンカー体からのロープの二股状端部を前記第2連結部に連結し、地表側ロープを前記二股状端部を貫通させ、偏心リングにほぼ半周巻き付けて第1連結部に連結させていることを特徴とする土木施設におけるワイヤロープのアンカー装置。
【請求項2】
偏心リング部が左右に円柱状体と同心状で径が大きい円板を一体に有し、円板の一部に第1連結部となるブラケットが設けられ、偏心リングに突起とを有する第2連結部が設けられている請求項1に記載の土木施設におけるワイヤロープのアンカー装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−248518(P2008−248518A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−88788(P2007−88788)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000003528)東京製綱株式会社 (139)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000003528)東京製綱株式会社 (139)
【Fターム(参考)】
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