説明

土砂排出機能付き塵取り

【課題】 ごみと一緒に掃き込まれた土砂を簡単かつ効率良くごみと分離して排出することができる、土砂排出機能付き塵取りを得る。
【解決手段】 ごみを掃き込むための掃込口11を有するボックス形の集塵箱10と、該集塵箱10に取り付けられた取っ手12とを備えた塵取り1において、上記集塵箱10における箱後面壁14と箱上面壁16とが連なる後端部上面寄りのコーナー部21に、縦長の長孔からなる複数の排出孔20を並列状態に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ごみと一緒に掃き込まれた土砂を選択的に排出することができる土砂排出機能付きの塵取りに関するものである。
【背景技術】
【0002】
塵取りは一般に、特許文献1に示すように、ごみを掃き込むための掃込口を前面に備えていて、箒で掃き集めたごみをこの掃込口から内部に掃き込むようになっている。このとき、室外で使用する塵取りの場合には、ごみと一緒に土砂も掃き込まれることが多く、土砂が混じったごみはごみ箱などにそのまま捨てられないため、ごみと土砂とを分離する必要がある。
このような場合に従来では、ごみを手で掴んで塵取りから取り出し、それをごみ箱に捨て、残った土砂を地面に捨てるのが一般的であった。
【特許文献1】実公平6−39631号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上述した従来の処理方法は、手が汚れて非衛生的であるだけでなく、掴んだごみの一部がぱらぱらと落下して周囲に散らばり易く、しかも、細かいごみと土砂とを完全に分離するのに手間と時間がかかり、非効率的であった。
【0004】
そこで本発明の目的は、ごみと一緒に掃き込まれた土砂を簡単かつ効率良くごみと分離して排出することができる、土砂排出機能付き塵取りを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明の塵取りは、ごみを掃き込むための掃込口を前面に有するボックス形の集塵箱と、該集塵箱に取り付けられた取っ手とを備え、上記集塵箱における上記掃込口とは異なる位置に、該集塵箱内に掃き込まれた土砂をごみと分離して排出するための排出孔が形成されていることを特徴とするものである。
【0006】
本発明において好ましくは、上記排出孔が集塵箱のコーナー部に形成されていることであり、より好ましくは、上記集塵箱の後端部上面寄りの、箱上面壁と箱後面壁とが連なるコーナー部に形成されていることである。
【0007】
本発明において上記排出孔は、上記集塵箱における箱後面壁及び/又は箱側面壁上の、箱底面壁より上方の位置に形成することもできる。
【0008】
本発明おいて上記排出孔は、長孔からなっていて、複数の排出孔が並列状態に設けられていることが望ましい。
【0009】
更に、本発明においては、上記取っ手に箒が着脱式に装着可能なるように構成することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の土砂排出機能付き塵取りは、集塵箱に土砂を排出するための排出孔が形成されているから、この排出孔が低位置を占めるように集塵箱を傾けることにより、ごみより比重の大きく且つ小径の土砂がこの排出孔を通じて外部に排出され、ごみだけが集塵箱の内部に残るので、残ったごみをごみ箱に捨てればよい。従って、土砂だけを簡単かつ効率良くごみと分離して外部に排出することができるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1及び図2は本発明に係る土砂排出機能付き塵取りの一つの実施形態を示すものである。この塵取り1は、ごみを掃き込むための掃込口11を前面に有するボックス形の集塵箱10と、該集塵箱10の上面に取り付けられた取っ手12とを備え、箒2(図3参照)で掃き集めたごみを上記掃込口11から集塵箱10の内部に掃き込むようにしたものである。
【0012】
上記集塵箱10は、金属や硬質合成樹脂等の素材からなるもので、上から見たときの形状が前面側に向けて次第に広幅をなす略台形状をなしており、該集塵箱10の前面に上記掃込口11が形成され、この掃込口11以外の部分は、略台形状をした箱底面壁13と、この箱底面壁13の後端部から立ち上がった箱後面壁14と、上記箱底面壁13の左右両端部から立ち上がった左右の箱側面壁15,15と、これらの箱後面壁14及び箱側面壁15,15の上端部に連なる箱上面壁16とで囲まれている。
【0013】
上記掃込口11は、左右の箱側面壁15,15の前端部を実質的に斜め前下がり状に傾斜させることにより、底辺側が上辺側より前方に突出するように傾斜する形に形成されている。そして、該掃込口11の底辺即ち集塵箱10の箱底面壁13の先端縁には、ごみを掃き込み易くするための合成樹脂製のヘラ18が取り付けられている。
【0014】
また、上記集塵箱10には、該集塵箱10内にごみと一緒に掃き込まれた土砂をごみと分離して排出するための排出孔20が形成されている。この排出孔20は、基本的には上記掃込口11とは異なる位置に形成されていれば良いが、塵取り1を持ち運んでいる途中で土砂や細かいごみなどがこの排出孔20から不用意に漏れ落ちて散乱するのを防止するためには、上記箱底面壁13上ではなく、この箱底面壁13より高い位置に形成することが望ましい。このような場所としては、上記箱後面壁14上や箱側面壁15上あるいは箱上面壁16上などが挙げられるが、好ましくは、箱後面壁14及び/又は箱側面壁15上であり、より好ましくは、これらの面壁が連なるコーナー部、例えば、箱後面壁14と箱上面壁16とが連なる集塵箱10の後端部上面寄りのコーナー部21や、箱後面壁14と箱側面壁15とが連なる集塵箱10の後端部側面寄りのコーナー部22、あるいは、箱側面壁15と箱上面壁16とが連なる集塵箱10の側端部上面寄りのコーナー部23、上記3つの面壁14,15,16の境界である集塵箱10の後端部上面における両側端部のコーナー部24などに形成することである。図示した実施形態においては、上述した各コーナー部のうち、集塵箱10の後端部上面寄りのコーナー部21に複数の排出孔20が形成されている。
【0015】
上記排出孔20は、粒径の小さい土砂をごみと選別して選択的に排出できるものであれば、円形や矩形あるいはスリット形など、どのような形状のものであっても良い。この実施形態における排出孔20は、箱上面壁16の後端部から箱後面壁14の上端部にかけて上記コーナー部21を縦断する方向に延びる縦長の長孔であり、このような形の排出孔20が、集塵箱10の左右方向に複数並列状態に形成されている。
【0016】
また、上記取っ手12は、上記集塵箱10における箱上面壁16の前端中央位置に上向きに取り付けられた支柱25の上端に形成されていて、集塵箱10の前面側に向けて横向きに延びている。この取っ手12の前端部は、上記箱上面壁16の前端部に取り付けられたアーチ形の支持フレーム26に連結されることにより、この支持フレーム26で補強されており、この支持フレーム26と上記支柱25との中間位置にも、補強用の横フレーム27が掛け渡されている。
【0017】
上記支持フレーム26の中間部における取っ手12との連結部には、その前面側の位置に窪み28が形成されると共に、この窪み28の内部に、弾力的に開閉する左右一対の挟持アーム29,29が形成されており、図3に示すように、この挟持アーム29,29の間に箒2の柄30を弾力的に挟持させることにより、該箒2を着脱式に装着して収納できるようになっている。
上記箒2は、棒状をした上記柄30の先端に、払掃用の穂体31を取り付けたもので、公知の箒2と同じ構成を有するものである。
【0018】
上記構成を有する塵取り1は、従来の一般の塵取り1と同様に、箒2で掃き集めたごみを掃込口11から集塵箱10の内部に掃き込み、それをごみ箱などのごみ廃棄場所まで運んで捨てるものである。このとき、この塵取り1を室外で使用すると、ごみと一緒に土砂が集塵箱10の内部に掃き込まれることになるが、その場合には、図4に示すように、該集塵箱10を排出孔20が低い位置を占めるように傾けることにより、ごみより比重が大きく且つ小径の土砂がこの排出孔20を通じて外部に排出され、ごみだけが集塵箱10の内部に残るので、残ったごみを廃棄場所まで運んで捨てればよい。この場合特に、上記排出孔20を集塵箱10のコーナー部分に形成することにより、集塵箱10を傾けたときこのコーナー部分が谷底状となって重たい土砂が集まり易いため、この土砂だけを簡単かつ効率良くごみと分離して選択的に外部に排出することができる。
【0019】
なお、上述したように土砂の排出に当たって塵取り1を傾ける場合、その角度がかなり大きくなって取っ手12を持った状態では傾けにくい場合には、上記支柱25の中間位置に形成したグリップ部25aを握って傾けるようにすることもできる。
【0020】
また、上記箱後面壁14が外に向けて凸形をなす形に湾曲している場合には、この箱後面壁14の中間高さの位置に上記排出孔20を形成することもでき、この場合には、図示した実施形態のように排出孔20を集塵箱10の後端部上面寄りのコーナー部21に形成した場合に比べ、集塵箱10を小さく傾斜させるだけで土砂をこの排出孔20の位置に集めて排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る塵取りを前面側から見た場合の斜視図である。
【図2】上記塵取りを背面側から見た場合の斜視図である。
【図3】上記塵取りに箒を取り付けた場合の斜視図である。
【図4】土砂を排出する方法を示す塵取りの側面図である。
【符号の説明】
【0022】
1 塵取り
2 箒
10 集塵箱
11 掃込口
12 取っ手
14 箱後面壁
16 箱上面壁
20 排出孔
21 コーナー部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ごみを掃き込むための掃込口を前面に有するボックス形の集塵箱と、該集塵箱に取り付けられた取っ手とを備え、上記集塵箱における上記掃込口とは異なる位置に、該集塵箱内に掃き込まれた土砂をごみと分離して排出するための排出孔が形成されていることを特徴とする土砂排出機能付き塵取り。
【請求項2】
上記排出孔が集塵箱のコーナー部に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の塵取り。
【請求項3】
上記コーナー部が、上記集塵箱の後端部上面寄りの、箱上面壁と箱後面壁とが連なるコーナー部であることを特徴とする請求項2に記載の塵取り。
【請求項4】
上記排出孔が、上記集塵箱における箱後面壁及び/又は箱側面壁上の、箱底面壁より上方の位置に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の塵取り。
【請求項5】
上記排出孔が長孔からなっていて、複数の排出孔が並列状態に設けられていることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の塵取り。
【請求項6】
上記取っ手には、箒が着脱式に装着可能であることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の塵取り。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−158787(P2006−158787A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−357235(P2004−357235)
【出願日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(000101363)アズマ工業株式会社 (33)
【Fターム(参考)】