圧電デバイスの製造方法および圧電デバイス
【課題】低コスト化および小型化を図りつつ、優れた信頼性を有する圧電デバイスの製造方法および圧電デバイスを提供すること。
【解決手段】圧電振動片2を収納したパッケージ3を実装用基板4上にスペーサ51〜54を介して実装するとともに、スペーサ51〜54によってパッケージ3と実装用基板4との間に形成された間隙に収まるように、圧電振動片2を駆動する機能を有する電子部品6を実装用基板4上に実装した圧電デバイス1の製造方法であって、実装用基板4となるべき基板4A上にスペーサ51〜54を形成する工程と、基板4A上およびスペーサ51〜54上にこれらの間を跨るように配線パターン42を形成する工程と、配線パターン42に電気的に接続されるように、基板4A上に電子部品6を実装する工程と、スペーサ51〜54上にパッケージ3を実装する工程とを有する。
【解決手段】圧電振動片2を収納したパッケージ3を実装用基板4上にスペーサ51〜54を介して実装するとともに、スペーサ51〜54によってパッケージ3と実装用基板4との間に形成された間隙に収まるように、圧電振動片2を駆動する機能を有する電子部品6を実装用基板4上に実装した圧電デバイス1の製造方法であって、実装用基板4となるべき基板4A上にスペーサ51〜54を形成する工程と、基板4A上およびスペーサ51〜54上にこれらの間を跨るように配線パターン42を形成する工程と、配線パターン42に電気的に接続されるように、基板4A上に電子部品6を実装する工程と、スペーサ51〜54上にパッケージ3を実装する工程とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電デバイスの製造方法および圧電デバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
水晶発振器等の圧電デバイスは、一般に、水晶振動片等の圧電振動片と、圧電振動片を駆動するIC素子等の電子部品とを備えている。このような圧電デバイスとしては、従来、小型化を図る目的等から、圧電振動片と電子部品とを重ねるようにして基板上に実装した構成のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
例えば、特許文献2にかかる圧電デバイス(水晶発振器)では、水晶振動片を収納した容器体をスペーサ部材を介して実装用基体上に実装するとともに、IC素子を容器体と実装用基体との間に収めるように実装用基体上に実装している。
このような特許文献2にかかる圧電デバイスでは、実装用基体上に配線パターンが形成されており、この配線パターン上にスペーサ部材が設けられている。
【0003】
このような圧電デバイスを製造するに際しては、予め配線パターンが形成された実装用基体を用意し、その配線パターンのスペーサ設置面上に適量の半田を塗布し、スペーサ部材を設置する。これにより、スペーサ設置面とスペーサ部材とが、半田を介して接続される。
そのため、配線パターンのスペーサ設置面上に半田を塗布する際、半田の量がばらつき、半田の量が少ないと、スペーサ設置面とスペーサ部材との間の電気的および機械的接続の信頼性が低下するおそれがある。
【0004】
また、配線パターンのスペーサ設置面が小さいと、スペーサ部材を設置する際に位置ずれによって、接触不良を生じたり、スペーサ部材の設置位置の高さや形状が変動したりして、得られる圧電デバイスに悪影響を与えるおそれがある。また、スペーサ部材を設置する際に、複雑な工程や高価な位置決め装置が必要となり、圧電デバイスの高コスト化を招いてしまう。一方、配線パターンのスペーサ設置面が大きいと、圧電デバイスの大型化を招いてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−203408号公報
【特許文献2】特開2004−180012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、低コスト化および小型化を図りつつ、優れた信頼性を有する圧電デバイスの製造方法および圧電デバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の圧電デバイスの製造方法は、圧電振動片を収納したパッケージを実装用基板上にスペーサを介して実装し、前記スペーサによって前記パッケージと前記実装用基板との間に形成された間隙に収まるように、前記圧電振動片を駆動する機能を有する電子部品を配置した圧電デバイスの製造方法であって、
前記実装用基板となる基板上に前記スペーサを形成する工程と、
前記基板上および前記スペーサ上にこれらの間を跨るように配線パターンを形成する工程と、
前記スペーサ上に前記パッケージを実装する工程とを有することを特徴とする。
これにより、低コスト化および小型化を図りつつ、優れた信頼性を有する圧電デバイスを製造することができる。
【0008】
本発明の圧電デバイスの製造方法では、前記配線パターンを形成する工程では、導電性材料を含有する液体をインクジェット法により前記基板上に付与し、付与された前記液体を焼成することで前記配線パターンを形成することが好ましい。
これにより、比較的簡単かつ高精度に、配線パターンを形成することができる。
本発明の圧電デバイスの製造方法では、前記スペーサを形成する工程では、前記基板上にスペーサ層を形成し、前記スペーサ層の少なくとも前記スペーサとなる部分を残して不要部分を除去することにより、前記スペーサを形成することが好ましい。
これにより、比較的簡単に、高精度な高さでスペーサを形成することができる。
【0009】
本発明の圧電デバイスの製造方法では、前記スペーサを形成する工程では、前記スペーサ層の前記不要部分をエッチングにより除去することが好ましい。
これにより、比較的簡単に、高精度な位置および寸法でスペーサを形成することができる。
本発明の圧電デバイスの製造方法では、前記スペーサを形成する工程における前記スペーサ層は導体層であることが好ましい。
これにより、スペーサを介してパッケージと基板(実装用基板)との間を導通させることができる。そのため、配線パターンとスペーサとの接触部位をスペーサの基板(実装用基板)との境界部付近にのみにすることができる。その結果、配線パターンの形成がより簡単となる。
【0010】
本発明の圧電デバイスの製造方法では、前記スペーサを形成する工程では、金属層を前記基板上に熱圧着により接合することで、前記導体層を形成することが好ましい。
これにより、スペーサと基板(実装用基板)との接合強度を優れたものとするとともに、スペーサの寸法(高さや平坦性)をより高精度なものとし、得られる圧電デバイスの信頼性を向上させることができる。
【0011】
本発明の圧電デバイスの製造方法では、前記スペーサは、少なくとも前記基板との境界部付近で、横断面積が前記基板側に向けて漸増していることが好ましい。
これにより、配線パターンとスペーサとの接触不良を防止することができる。特に、配線パターンの形成方法としてインクジェット法を用いた場合、液体をスペーサ上に付与した際に、付与された液体をスペーサ上に留めやすくすることができる。その結果、スペーサと配線パターンとの接触不良を防止することができる。
【0012】
本発明の圧電デバイスは、実装用基板と、
前記実装用基板に形成されたスペーサと、
前記スペーサを介して前記実装用基板上に実装され、圧電振動片を収納したパッケージと、
前記スペーサによって前記パッケージと前記実装用基板との間に形成された間隙に収まるように配置され、前記圧電振動片を駆動する機能を有する電子部品と、
前記実装用基板上および前記スペーサ上にこれらの間を跨るように形成され、前記電子部品に電気的に接続された配線パターンとを有することを特徴とする。
これにより、低コスト化および小型化を図りつつ、優れた信頼性を有する圧電デバイスを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の圧電デバイスの実施形態を示す断面図である。
【図2】図1に示す圧電デバイスが備えるパッケージの上面図および下面図である。
【図3】図1に示す圧電デバイスが備える実装用基板の上面図である。
【図4】図1に示す圧電デバイスの製造方法を説明するための図である。
【図5】図1に示す圧電デバイスの製造方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の圧電デバイスの製造方法および圧電デバイスを添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の圧電デバイスの実施形態を示す断面図、図2は、図1に示す圧電デバイスが備えるパッケージの上面図および下面図、図3は、図1に示す圧電デバイスが備える実装用基板の上面図、図4および図5は、それぞれ、図1に示す圧電デバイスの製造方法を説明するための図である。なお、図3については、後述する配線パターン42の図示を省略している。また、以下の説明では、説明の便宜上、図1、図4、図5中の上側を「上」、下側を「下」、右側を「右」、左側を「左」と言う。
【0015】
(圧電デバイス)
まず、本発明の圧電デバイス(本発明の圧電デバイスの製造方法によって製造された圧電デバイス)について説明する。
図1に示す圧電デバイス1は、圧電振動片2を収納するパッケージ(収容部)3と、4つのスペーサ(柱部材)51、52、53、54を介してパッケージ3を実装(固定・支持)した実装用基板4と、パッケージ3と実装用基板4の間に収められるように実装用基板4上に設けられた電子部品6とを有している。
【0016】
以下、このような圧電デバイス1を構成する各部について、順次、詳細に説明する。
まず、圧電振動片2について説明する。
本実施形態では、圧電振動片2は、弾性表面波素子(SAWチップ)である。図2に示すように、圧電振動片2は、長手形状をなす圧電体基板21と、圧電体基板21上に設けられた励振電極としてのIDT(櫛歯電極)22と、IDT22の両側に配置された一対の反射器23a、23bとを有している。
圧電体基板21は、水晶で構成されている。なお、圧電体基板21は、例えば、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム、ホウ酸リチウム等の水晶以外の圧電材料で構成されていてもよい。
【0017】
IDT22は、圧電体基板21の中央部に設けられている。また、IDT22は、1対の電極22a、22bで構成され、電極22aの複数の電極指221aと電極22bの電極指221bとが互いに噛み合うように配置されている。また、電極指221a、221bは、圧電体基板21の長手方向に配列されている。このようなIDT22の電極22a、22b間に周期的に変化する電圧が印加されると、圧電体基板21の圧電効果によって、各電極指221a、221b間に周期的なひずみが生じ、圧電体基板21の上面付近に弾性表面波が励振される。励振した弾性表面波は、電極指221a、221bの配列方向(すなわち、圧電体基板21の長手方向)に沿って伝搬する。
一対の反射器23a、23bは、前述した弾性表面波の伝搬方向において、IDT22を挟んでその両側に配置されている。このような反射器23a、23bは、圧電体基板21に伝搬する弾性表面波を反射して、反射器23aと反射器23bとの間に封じ込める機能を有する。
【0018】
このようなIDT22および反射器23a、23bは、全体的に、圧電体基板21の長手方向の一端側(図2中右側の端側)にずれて形成されている。そして、圧電体基板21の他端側(図2中左側の端側)には、一対の引出電極24a、24bが形成されている。引出電極24a、24bは、それぞれ、圧電体基板21の上面(IDT22が形成されている面)から側面を介して下面に回り込むように形成されている。また、引出電極24aは電極22aと、引出電極24bは電極22bと、それぞれ、電気的に接続されている。
【0019】
このようなIDT22、反射器23a、23bおよび引出電極24a、24bは、それぞれ、アルミニウム、アルミニウム合金等の導電性の優れた金属材料により形成することができる。
このような圧電振動片2を備えることにより、圧電デバイス1は、SAW共振子やSAW発振器等のSAWデバイスを構成することができる。
【0020】
次いで、圧電振動片2を収容・固定するパッケージ3について説明する。パッケージ3は、その平面視にて、略長方形状をなしている。図1に示すように、このようなパッケージ3は、板状のベース基板31と、枠状の枠部材32と、板状の蓋部材33とを有している。ベース基板31と、枠部材32と、蓋部材33とは、実装用基板4側からこの順で積層されており、ベース基板31と枠部材32および枠部材32と蓋部材33は、それぞれ、接着剤あるいはろう材等により接合されている。そして、パッケージ3は、ベース基板31、枠部材32および蓋部材33で画成された内部空間Sに圧電振動片2を収納している。
このようなベース基板31の構成材料としては、絶縁性(非導電性)を有しているものが好ましく、例えば、各種ガラス、酸化物セラミックス、窒化物セラミックス、炭化物系セラミックス等の各種セラミックス、ポリイミド等の各種樹脂材料などを用いることができる。
【0021】
また、枠部材32および蓋部材33の構成材料としては、例えば、ベース基板31と同様の構成材料、Al、Cu等の各種金属材料、各種ガラス材料などを用いることができる。特に、蓋部材33の構成材料として、ガラス材料等の光透過性を有するものを用いた場合、圧電体基板21に予め金属被覆部(図示せず)を形成しておくと、圧電振動片2をパッケージ3内に収容した後であっても、蓋部材33を介して前記金属被覆部にレーザを照射し、前記金属被覆部を除去して圧電体基板21の質量を減少させることにより(質量削減方式により)、圧電振動片2の周波数調整を行うことができる。
【0022】
図1および図2に示すように、ベース基板31の上面には、一対の内部端子34a、34bが内部空間Sに露出するように形成されている。この内部端子34a、34bの上には、それぞれ、導電性粒子を含有するエポキシ系、ポリイミド系等の導電性接着剤39a、39bが塗布されて(盛られて)おり、さらに、この導電性接着剤39a、39b上に、前述した圧電振動片2がIDT22等が形成された面を上側(蓋部材33側)にして載置されている。そして、導電性接着剤39a、39bを硬化することにより、圧電振動片2を内部端子34a、34b(ベース基板31)に固定する。
【0023】
なお、この固定は、導電性接着剤39aが引出電極24a(引出電極24aの圧電体基板21の下面に位置する領域)に接触するとともに、導電性接着剤39bが引出電極24b(引出電極24bの圧電体基板21の下面に位置する領域)に接触するように、圧電振動片2の引出電極24a、24bが形成された側の端部を導電性接着剤39a、39b上に載置して行う。これにより、導電性接着剤39a、39bを介して、圧電振動片2がベース基板31に固定されるとともに、引出電極24aと内部端子34aおよび引出電極24bと内部端子34bをそれぞれ電気的に接続することができる。
また、図1および図2に示すように、ベース基板31の下面には、その四隅に位置するように4つの外部端子35a、35b、35c、35dが設けられている。また、外部端子35a〜35dは、それぞれ、実装用基板4上に設けられた後述する4つの接続端子41a〜41dに対向するように位置している。
【0024】
これら4つの外部端子35a〜35dのうち、外部端子35a、35bは、それぞれ、ベース基板31に形成されたビアホールに設けられた導体ポストを介して内部端子34a、34bに電気的に接続されたホット端子である。他の2つの外部端子35c、35dは、それぞれ、パッケージ3を実装用基板4に実装するときに、接合強度(スペーサ53、54とパッケージ3との接合強度)を高めたり、パッケージ3と実装用基板4との間の距離を均一化するためのダミー端子である。
このような内部端子34a、34bおよび外部端子35a〜35dは、それぞれ、例えば、タングステンおよびニッケルメッキの下地層に、金メッキを施すことで形成することができる。
【0025】
次いで、上記のようなパッケージ3を実装(固定する)した実装用基板4について説明する。図3に示すように、実装用基板4は、その平面視にて、略長方形状をなしており、前述したパッケージ3のベース基板31よりも若干大きく形成されている。
このような実装用基板4は、リジッド基板、フレキシブル基板あるいはリジッドフレキシブル基板のいずれでもよい。また、実装用基板4の構成材料としては、絶縁性(非導電性)を有しているものが好ましく、例えば、各種ガラス、酸化物セラミックス、窒化物セラミックス、炭化物系セラミックス等の各種セラミックス、ポリイミド等の各種樹脂材料などを用いることができる。
【0026】
また、図1および図3に示すように、実装用基板4の上面(パッケージ3側の面)には、配線パターン42が形成されている。
この配線パターン42は、実装用基板4上および後述するスペーサ51〜54上にこれらの境界部を跨ぐように形成されている。このような配線パターン42は、後に詳述するように、実装用基板4(基板4A)上にスペーサ51〜54を形成した後に形成されたものである。これにより、低コスト化および小型化を図りつつ、優れた信頼性を有する圧電デバイス1を得ることができる。また、スペーサ51〜54上に配線パターン42が直接形成されているため、スペーサ51〜54と配線パターン42との間の電気的接続を確実に行うことができる。なお、本実施形態では、4つのスペーサ51〜54のそれぞれに配線パターン42を接続しているが、例えば、圧電振動片2の励振電極に電気的に接続される2つのスペーサに配線パターン42を接続し、他の2つのスペーサは配線パターン42を接続しなくてもよい。
【0027】
一方、図1に示すように、実装用基板4の下面には、例えば、圧電デバイス1を実装する回路基板(図示しない)と電気的、機械的に接続される実装端子43が複数形成されている。各実装端子43は、実装用基板4に形成されたビアホールに設けられた導体ポストを介して配線パターン42と電気的に接続されている。
なお、実装用基板4の下面には、必要に応じて、後述する電子部品6の特性検査や、電子部品6内の各種情報(例えば、圧電デバイスの温度補償情報)を書き換え(調整)を行うための書込端子が形成されていてもよい。
【0028】
このような実装用基板4の上面の中央部には、電子部品6が実装(搭載)されている。電子部品6は、例えば集積回路素子(IC)であり、圧電振動片2を駆動する機能を有する。図1に示すように、このような電子部品6は、絶縁性(非導電性)の接着剤や、接着シート等の接着部材44により実装用基板4に接合されており、さらに、例えばワイヤボンディングにより形成された金属ワイヤ45(ボンディングワイヤー)により、配線パターン42と電気的に接続されている。これにより、各実装端子43と電子部品6とが、配線パターン42を介して電気的に接続される。なお、接着部材44および金属ワイヤ45に代えて、いわゆるフェイスダウンボンディングにより電子部品6を実装用基板4条に固定するとともに配線パターン42に電気的に接続してもよい。
【0029】
このような実装用基板4は、その上面側にて、スペーサ(柱部材)51〜54を介してパッケージ3を実装(固定)している。スペーサ51〜54は、実装用基板4とパッケージ3の間に、電子部品6等を搭載するための間隙を形成する機能を有している。これにより、パッケージ3と電子部品6とを圧電デバイス1の高さ方向(厚さ方向)に重ねるように配置することができるため、圧電デバイス1の小型化を図ることができる。
本実施形態では、スペーサ51〜54は、前述したパッケージ3の外部端子35a〜35dに対応するように、実装用基板4の上面の四隅に位置するように設けられている。
そして、各スペーサ51〜54は、その下端が実装用基板4の上面に接合されるとともに、上端が半田(ろう材)等により外部端子35a〜35dに接合されている。
【0030】
本実施形態では、各スペーサ51〜54は、導電性を有している。これにより、スペーサ51、52を介して、実装用基板4に形成された配線パターン42と、パッケージ3に形成された外部端子35a、35bとを電気的に接続することができる(すなわち、スペーサ51、52を介して、電子部品6と圧電振動片2とを電気的に接続することができる)。これにより、配線パターン42とスペーサ51〜54との接触部位をスペーサ51〜54の実装用基板4Aとの境界部付近にのみにすることができる。その結果、後述する製造方法において、配線パターン42の形成がより簡単となり、圧電デバイス1の低コスト化を図ることができる。
【0031】
このような各スペーサ51〜54の構成材料としては、導電性を有するものであれば、特に限定されず、例えば、Au、Ag、Cu、Al等の金属材料を用いることができる。なお、各スペーサ51〜54を各種樹脂材料、セラミックス等の絶縁性材料で形成することもできる。この場合、配線パターン42をスペーサ51〜54の上端まで延びるように形成するか、あるいは、配線パターン42と外部端子35a、35bとを電気的に接続する導体層やボンディングワイヤー等を別途形成すればよい。
【0032】
各スペーサ51〜54は、その横断面が略正方形をなしている。なお、各スペーサ51、54の横断面形状は、これに限定されず、例えば、円形状、楕円形状、3角形状、5角形状等であってもよい。
また、各スペーサ51〜54は、その縦断面にて、実装用基板4との境界部付近(下端部)が上側から下側に向けて広がるように形成されている。すなわち、各スペーサ51〜54は、実装用基板4との境界部付近で、横断面積が実装用基板4側に向けて漸増している。これにより、配線パターン42とスペーサ51〜54との接触不良を防止することができる。なお、各スペーサ51〜54の縦断面形状は、これに限定されず、例えば、各スペーサ51〜54の横断面積が上端から下端に向けて漸増するような形状をなしていてもよい。
なお、スペーサ51〜54は、前述したような機能を発揮することができれば、その形状や数について特に限定されない。例えば、スペーサとして、実装基板4の縁部全周に設けられた枠状の部材を用いてもよいし、1本〜3本あるいは5本以上の柱部材を用いてもよい。
【0033】
以上説明したようなパッケージ3、実装用基板4、スペーサ51〜54および電子部品の部材間に形成される隙間を埋めるように、モールド材8が設けられている。本実施形態では、モールド材8は、パッケージ3の上面を露出するように設けられている。これにより、前述したように、パッケージ3の蓋部材33が光透過性を有する場合に、圧電振動片2の周波数調整を行うことができる。なお、モールド材8は、パッケージ3の上面をも覆うように設けられていてもよい。また、モールド材8は、省略してもよい。
【0034】
(圧電デバイスの製造方法)
次に、本発明の圧電デバイスの製造方法として、前述した圧電デバイス1の製造方法を例に説明する。
図4および図5に示す圧電デバイス1の製造方法は、[A]スペーサ51〜54を形成する工程と、[B]配線パターン42を形成する工程と、[C]電子部品6を実装する工程と、[D]パッケージ3を実装する工程と、[E]モールド材8を設ける工程とを有する。
【0035】
以下、これらの各工程について順次説明する。
[A]
−A1−
まず、図4(a)に示すように、実装用基板4となるべき基板4Aを用意する。
この基板4Aは、後述する工程[E]におけるダイシングにより小片化することで、前述した実装用基板4となる基板である。この基板4Aの下面には、前述した実装端子43が形成されている。また、基板4Aには、その厚さ方向に貫通するビアホールが形成され、このビアホールには、導体ポストが挿通されている。この導体ポストは、上端が基板4A上面から露出し、下端が実装端子43に電気的に接続されている。
【0036】
−A2−
次に、図4(b)に示すように、基板4A上に導体層(スペーサ層)5を形成する。
この導体層5は、前述したスペーサ51〜54となるべきものである。
したがって、導体層5の構成材料としては、前述したスペーサ51〜54の構成材料(金属材料)と同様の金属材料を用いることができる。
【0037】
このように本工程A2において導体層5を用いることで、前述したような導電性を有するスペーサ51〜54を形成することができる。これにより、得られる圧電デバイス1において、前述したように、スペーサ51〜54を介してパッケージ3と実装用基板4との間を導通させることができる。そのため、後述する工程Bにおいて、配線パターン42とスペーサ51〜54との接触部位をスペーサ51〜54の基板4Aとの境界部付近にのみにすることができる。その結果、配線パターン42の形成がより簡単となる。
【0038】
また、導体層5の形成方法としては、特に限定されず、例えば、ディッピング法、印刷法、電解メッキ、浸漬メッキ、無電解メッキ等の湿式メッキ法、プラズマCVD、熱CVD、レーザーCVDのような化学蒸着法(CVD)、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の乾式メッキ法、溶射、導体層(導体箔)の接合等を用いることができるが、中でも、金属層(金属箔)の接合が好適に用いられる。
【0039】
本工程A2では、金属層を基板4A上に熱圧着により接合することで導体層5を形成すると、導体層5(得られるスペーサ51〜54)と基板4A(得られる実装用基板4)との接合強度を優れたものとするとともに、導体層5(得られるスペーサ51〜54)の寸法(高さや平坦性)をより高精度なものとし、得られる圧電デバイス1の信頼性を向上させることができる。
【0040】
−A3−
次に、導体層5の少なくともスペーサ51〜54となる部分を残して不要部分を除去することにより、図4(c)に示すように、スペーサ51〜54を形成する。これにより、比較的簡単に、高精度な高さでスペーサ51〜54を形成することができる。
導体層5の不要部分を除去する方法としては、特に限定されないが、機械加工、レーザー加工、エッチング等を用いることができる。
【0041】
中でも、導体層5の不要部分を除去する方法としては、エッチングを用いるのが好ましい。これにより、比較的簡単に、高精度な位置および寸法でスペーサ51〜54を形成することができる。この場合、フォトリソグラフィー法により、スペーサ51〜54に対応する形状のレジスト層を形成し、このレジスト層をマスクとして用いてエッチングを行い、導体層5の不要部分を除去することにより、スペーサ51〜54を形成した後、レジスト層を除去する。
【0042】
また、このようにエッチングを用いて導体層5の不要部分を除去することにより、比較的簡単に、前述したような下端に向けて横断面積が漸増するスペーサ51〜54を形成することができる。これにより、後述する工程[B]において、液体をスペーサ51〜54上に付与した際に、付与された液体をスペーサ51〜54上に留めやすくすることができる。その結果、スペーサ51〜54と配線パターン42との接触不良を防止することができる。
【0043】
[B]
次に、図4(d)に示すように、基板4A上およびスペーサ51〜54上にこれらの境界部に跨るように、配線パターン42を形成する。
配線パターン42を形成する方法としては、特に限定されないが、導電性材料を含有する液体(インク)をインクジェット法により基板4A上に付与し、付与された液体を乾燥、焼成する方法を用いるのが好ましい。これにより、比較的簡単かつ高精度に、配線パターン42を形成することができる。
この場合、導電性材料を含有する液体(インク)としては、金属粒子を水系分散媒に分散してなる分散液が好適に用いられる。
【0044】
金属粒子の構成材料としては、例えば、銀、銅、パラジウム、白金、金、または、これらの合金等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、特に、銀を用いるのが好ましい。
水系分散媒の具体例としては、例えば水、メタノール、エタノール、ブタノール、プロパノール、イソプロパノール等のアルコール系溶媒、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル系溶媒、ピリジン、ピラジン、ピロール等の芳香族複素環化合物系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)等のアミド系溶媒、アセトニトリル等のニトリル系溶媒、アセトアルデヒド等のアルデヒド系溶媒等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0045】
金属粒子の平均粒径(体積平均粒径)は、特に限定されないが、1〜100nmであるのが好ましく、10〜30nmであるのがより好ましい。これにより、液体(インク)の吐出安定性を優れたものとすることができるとともに、微細な配線パターン42を容易に形成することができる。
また、上記の液体(インク)中に含まれる金属粒子の含有量は、特に限定されないが、0.5〜60wt%であるのが好ましく、10〜45wt%であるのがより好ましい。これにより、配線パターン42の断線をより効果的に防止することができ、より信頼性の高い配線パターン42を形成することができる。
また、金属粒子は、その表面に分散剤が付着した金属コロイド粒子として、水系分散媒中に分散していることが好ましい。これにより、金属粒子の水系分散媒への分散性が特に優れたものとなり、液体(インク)の吐出安定性が特に優れたものとなる。
【0046】
また、上記の液体(インク)は、有機バインダーを含んでいてもよい。
また、インクジェット法(液滴吐出方式)としては、圧電体素子であるピエゾ素子を用いてインクを吐出させるピエゾ方式や、インクを加熱して発生した泡(バブル)によりインクを吐出させる方式など、公知の種々の技術を適用することができる。
また、基板4A上およびスペーサ51〜54上に付与された液体の乾燥温度、焼成温度は、特に限定されず、用いる基板4Aや液体の構成材料に応じて適宜設定される。
【0047】
[C]
次に、図5(a)に示すように、基板4A上に電子部品6を実装する。
より具体的には、絶縁性(非導電性)の接着剤や、接着シート等の接着部材44により電子部品6を実装用基板4に接合する。そして、例えばワイヤボンディングにより、金属ワイヤ45(ボンディングワイヤー)を形成する。
【0048】
[D]
次に、図5(b)に示すように、スペーサ51〜54上にパッケージ3を実装する。
より具体的には、各スペーサ51〜54の上端面に半田ペースト(ペースト状のろう材)を塗布した後に、スペーサ51〜54の上端面にパッケージ3を載置し、スペーサ51〜54の上端面とパッケージ3(外部端子35a〜35d)とを半田ペーストにより接合する。
【0049】
[E]
次に、パッケージ3、基板4A、スペーサ51〜54および電子部品6の部材間に形成される隙間を埋めるように、モールド材を流し込んで硬化または固化させた後に、ダイシングにより小片化する。これにより、図5(c)に示すように、小片化された実装陽基板4およびモールド材8を備える圧電デバイス1を得る。
【0050】
以上説明したような圧電デバイス1の製造方法によれば、ので、低コスト化および小型化を図りつつ、優れた信頼性を有する圧電デバイスを製造することができる。
これに対し、従来のように、仮に基板4A上に配線パターン42を形成した後にスペーサ51〜54を形成した場合、配線パターン42にスペーサ51〜54を設置するためのスペーサ設置面を設けなければならず、このスペーサ設置面が小さいと、スペーサ51〜54を設置する際に位置ずれによって接触不良を生じたり、スペーサ51〜54の設置位置の高さや形状が変動して、得られる圧電デバイスに悪影響を与えるおそれがある。また、スペーサ51〜54を設置する際に、複雑な工程や高価な位置決め装置が必要となり、圧電デバイスの高コスト化を招いてしまう。一方、配線パターン42のスペーサ設置面が大きいと、圧電デバイスの大型化を招いてしまう。
【0051】
以上説明したような圧電デバイス1は、各種の電子機器に適用することができ、得られる電子機器は、信頼性の高いものとなる。
本発明の圧電デバイスを備える電子機器としては、特に限定されないが、例えば、パーソナルコンピュータ(モバイル型パーソナルコンピュータ)、携帯電話機、ディジタルスチルカメラ、インクジェット式吐出装置(例えばインクジェットプリンタ)、ラップトップ型パーソナルコンピュータ、テレビ、ビデオカメラ、ビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニタ、電子双眼鏡、POS端末、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシュミレータ等が挙げられる。
【0052】
以上、本発明の圧電デバイスの製造方法および圧電デバイスについて、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、圧電振動片2が厚みすべり型振動片、音叉型振動片等の振動片である場合にも、本発明は適用できる。
【符号の説明】
【0053】
1‥‥圧電デバイス 2‥‥圧電振動片 21‥‥圧電体基板 22‥‥IDT 22a、22b‥‥電極 221a、221b‥‥電極指 23a、23b‥‥反射器 24a、24b‥‥引出電極 3‥‥パッケージ 31‥‥ベース基板 32‥‥枠部材 33‥‥蓋部材 34a、34b‥‥内部端子 35a、35b、35c、35d‥‥外部端子 39a、39b‥‥導電性接着剤 4‥‥実装用基板 4A‥‥基板 42‥‥配線パターン 43‥‥実装端子 44‥‥接着部材 45‥‥金属ワイヤ 5‥‥導体層 51〜54‥‥スペーサ 6‥‥電子部品 8‥‥モールド材
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電デバイスの製造方法および圧電デバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
水晶発振器等の圧電デバイスは、一般に、水晶振動片等の圧電振動片と、圧電振動片を駆動するIC素子等の電子部品とを備えている。このような圧電デバイスとしては、従来、小型化を図る目的等から、圧電振動片と電子部品とを重ねるようにして基板上に実装した構成のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
例えば、特許文献2にかかる圧電デバイス(水晶発振器)では、水晶振動片を収納した容器体をスペーサ部材を介して実装用基体上に実装するとともに、IC素子を容器体と実装用基体との間に収めるように実装用基体上に実装している。
このような特許文献2にかかる圧電デバイスでは、実装用基体上に配線パターンが形成されており、この配線パターン上にスペーサ部材が設けられている。
【0003】
このような圧電デバイスを製造するに際しては、予め配線パターンが形成された実装用基体を用意し、その配線パターンのスペーサ設置面上に適量の半田を塗布し、スペーサ部材を設置する。これにより、スペーサ設置面とスペーサ部材とが、半田を介して接続される。
そのため、配線パターンのスペーサ設置面上に半田を塗布する際、半田の量がばらつき、半田の量が少ないと、スペーサ設置面とスペーサ部材との間の電気的および機械的接続の信頼性が低下するおそれがある。
【0004】
また、配線パターンのスペーサ設置面が小さいと、スペーサ部材を設置する際に位置ずれによって、接触不良を生じたり、スペーサ部材の設置位置の高さや形状が変動したりして、得られる圧電デバイスに悪影響を与えるおそれがある。また、スペーサ部材を設置する際に、複雑な工程や高価な位置決め装置が必要となり、圧電デバイスの高コスト化を招いてしまう。一方、配線パターンのスペーサ設置面が大きいと、圧電デバイスの大型化を招いてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−203408号公報
【特許文献2】特開2004−180012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、低コスト化および小型化を図りつつ、優れた信頼性を有する圧電デバイスの製造方法および圧電デバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の圧電デバイスの製造方法は、圧電振動片を収納したパッケージを実装用基板上にスペーサを介して実装し、前記スペーサによって前記パッケージと前記実装用基板との間に形成された間隙に収まるように、前記圧電振動片を駆動する機能を有する電子部品を配置した圧電デバイスの製造方法であって、
前記実装用基板となる基板上に前記スペーサを形成する工程と、
前記基板上および前記スペーサ上にこれらの間を跨るように配線パターンを形成する工程と、
前記スペーサ上に前記パッケージを実装する工程とを有することを特徴とする。
これにより、低コスト化および小型化を図りつつ、優れた信頼性を有する圧電デバイスを製造することができる。
【0008】
本発明の圧電デバイスの製造方法では、前記配線パターンを形成する工程では、導電性材料を含有する液体をインクジェット法により前記基板上に付与し、付与された前記液体を焼成することで前記配線パターンを形成することが好ましい。
これにより、比較的簡単かつ高精度に、配線パターンを形成することができる。
本発明の圧電デバイスの製造方法では、前記スペーサを形成する工程では、前記基板上にスペーサ層を形成し、前記スペーサ層の少なくとも前記スペーサとなる部分を残して不要部分を除去することにより、前記スペーサを形成することが好ましい。
これにより、比較的簡単に、高精度な高さでスペーサを形成することができる。
【0009】
本発明の圧電デバイスの製造方法では、前記スペーサを形成する工程では、前記スペーサ層の前記不要部分をエッチングにより除去することが好ましい。
これにより、比較的簡単に、高精度な位置および寸法でスペーサを形成することができる。
本発明の圧電デバイスの製造方法では、前記スペーサを形成する工程における前記スペーサ層は導体層であることが好ましい。
これにより、スペーサを介してパッケージと基板(実装用基板)との間を導通させることができる。そのため、配線パターンとスペーサとの接触部位をスペーサの基板(実装用基板)との境界部付近にのみにすることができる。その結果、配線パターンの形成がより簡単となる。
【0010】
本発明の圧電デバイスの製造方法では、前記スペーサを形成する工程では、金属層を前記基板上に熱圧着により接合することで、前記導体層を形成することが好ましい。
これにより、スペーサと基板(実装用基板)との接合強度を優れたものとするとともに、スペーサの寸法(高さや平坦性)をより高精度なものとし、得られる圧電デバイスの信頼性を向上させることができる。
【0011】
本発明の圧電デバイスの製造方法では、前記スペーサは、少なくとも前記基板との境界部付近で、横断面積が前記基板側に向けて漸増していることが好ましい。
これにより、配線パターンとスペーサとの接触不良を防止することができる。特に、配線パターンの形成方法としてインクジェット法を用いた場合、液体をスペーサ上に付与した際に、付与された液体をスペーサ上に留めやすくすることができる。その結果、スペーサと配線パターンとの接触不良を防止することができる。
【0012】
本発明の圧電デバイスは、実装用基板と、
前記実装用基板に形成されたスペーサと、
前記スペーサを介して前記実装用基板上に実装され、圧電振動片を収納したパッケージと、
前記スペーサによって前記パッケージと前記実装用基板との間に形成された間隙に収まるように配置され、前記圧電振動片を駆動する機能を有する電子部品と、
前記実装用基板上および前記スペーサ上にこれらの間を跨るように形成され、前記電子部品に電気的に接続された配線パターンとを有することを特徴とする。
これにより、低コスト化および小型化を図りつつ、優れた信頼性を有する圧電デバイスを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の圧電デバイスの実施形態を示す断面図である。
【図2】図1に示す圧電デバイスが備えるパッケージの上面図および下面図である。
【図3】図1に示す圧電デバイスが備える実装用基板の上面図である。
【図4】図1に示す圧電デバイスの製造方法を説明するための図である。
【図5】図1に示す圧電デバイスの製造方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の圧電デバイスの製造方法および圧電デバイスを添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の圧電デバイスの実施形態を示す断面図、図2は、図1に示す圧電デバイスが備えるパッケージの上面図および下面図、図3は、図1に示す圧電デバイスが備える実装用基板の上面図、図4および図5は、それぞれ、図1に示す圧電デバイスの製造方法を説明するための図である。なお、図3については、後述する配線パターン42の図示を省略している。また、以下の説明では、説明の便宜上、図1、図4、図5中の上側を「上」、下側を「下」、右側を「右」、左側を「左」と言う。
【0015】
(圧電デバイス)
まず、本発明の圧電デバイス(本発明の圧電デバイスの製造方法によって製造された圧電デバイス)について説明する。
図1に示す圧電デバイス1は、圧電振動片2を収納するパッケージ(収容部)3と、4つのスペーサ(柱部材)51、52、53、54を介してパッケージ3を実装(固定・支持)した実装用基板4と、パッケージ3と実装用基板4の間に収められるように実装用基板4上に設けられた電子部品6とを有している。
【0016】
以下、このような圧電デバイス1を構成する各部について、順次、詳細に説明する。
まず、圧電振動片2について説明する。
本実施形態では、圧電振動片2は、弾性表面波素子(SAWチップ)である。図2に示すように、圧電振動片2は、長手形状をなす圧電体基板21と、圧電体基板21上に設けられた励振電極としてのIDT(櫛歯電極)22と、IDT22の両側に配置された一対の反射器23a、23bとを有している。
圧電体基板21は、水晶で構成されている。なお、圧電体基板21は、例えば、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム、ホウ酸リチウム等の水晶以外の圧電材料で構成されていてもよい。
【0017】
IDT22は、圧電体基板21の中央部に設けられている。また、IDT22は、1対の電極22a、22bで構成され、電極22aの複数の電極指221aと電極22bの電極指221bとが互いに噛み合うように配置されている。また、電極指221a、221bは、圧電体基板21の長手方向に配列されている。このようなIDT22の電極22a、22b間に周期的に変化する電圧が印加されると、圧電体基板21の圧電効果によって、各電極指221a、221b間に周期的なひずみが生じ、圧電体基板21の上面付近に弾性表面波が励振される。励振した弾性表面波は、電極指221a、221bの配列方向(すなわち、圧電体基板21の長手方向)に沿って伝搬する。
一対の反射器23a、23bは、前述した弾性表面波の伝搬方向において、IDT22を挟んでその両側に配置されている。このような反射器23a、23bは、圧電体基板21に伝搬する弾性表面波を反射して、反射器23aと反射器23bとの間に封じ込める機能を有する。
【0018】
このようなIDT22および反射器23a、23bは、全体的に、圧電体基板21の長手方向の一端側(図2中右側の端側)にずれて形成されている。そして、圧電体基板21の他端側(図2中左側の端側)には、一対の引出電極24a、24bが形成されている。引出電極24a、24bは、それぞれ、圧電体基板21の上面(IDT22が形成されている面)から側面を介して下面に回り込むように形成されている。また、引出電極24aは電極22aと、引出電極24bは電極22bと、それぞれ、電気的に接続されている。
【0019】
このようなIDT22、反射器23a、23bおよび引出電極24a、24bは、それぞれ、アルミニウム、アルミニウム合金等の導電性の優れた金属材料により形成することができる。
このような圧電振動片2を備えることにより、圧電デバイス1は、SAW共振子やSAW発振器等のSAWデバイスを構成することができる。
【0020】
次いで、圧電振動片2を収容・固定するパッケージ3について説明する。パッケージ3は、その平面視にて、略長方形状をなしている。図1に示すように、このようなパッケージ3は、板状のベース基板31と、枠状の枠部材32と、板状の蓋部材33とを有している。ベース基板31と、枠部材32と、蓋部材33とは、実装用基板4側からこの順で積層されており、ベース基板31と枠部材32および枠部材32と蓋部材33は、それぞれ、接着剤あるいはろう材等により接合されている。そして、パッケージ3は、ベース基板31、枠部材32および蓋部材33で画成された内部空間Sに圧電振動片2を収納している。
このようなベース基板31の構成材料としては、絶縁性(非導電性)を有しているものが好ましく、例えば、各種ガラス、酸化物セラミックス、窒化物セラミックス、炭化物系セラミックス等の各種セラミックス、ポリイミド等の各種樹脂材料などを用いることができる。
【0021】
また、枠部材32および蓋部材33の構成材料としては、例えば、ベース基板31と同様の構成材料、Al、Cu等の各種金属材料、各種ガラス材料などを用いることができる。特に、蓋部材33の構成材料として、ガラス材料等の光透過性を有するものを用いた場合、圧電体基板21に予め金属被覆部(図示せず)を形成しておくと、圧電振動片2をパッケージ3内に収容した後であっても、蓋部材33を介して前記金属被覆部にレーザを照射し、前記金属被覆部を除去して圧電体基板21の質量を減少させることにより(質量削減方式により)、圧電振動片2の周波数調整を行うことができる。
【0022】
図1および図2に示すように、ベース基板31の上面には、一対の内部端子34a、34bが内部空間Sに露出するように形成されている。この内部端子34a、34bの上には、それぞれ、導電性粒子を含有するエポキシ系、ポリイミド系等の導電性接着剤39a、39bが塗布されて(盛られて)おり、さらに、この導電性接着剤39a、39b上に、前述した圧電振動片2がIDT22等が形成された面を上側(蓋部材33側)にして載置されている。そして、導電性接着剤39a、39bを硬化することにより、圧電振動片2を内部端子34a、34b(ベース基板31)に固定する。
【0023】
なお、この固定は、導電性接着剤39aが引出電極24a(引出電極24aの圧電体基板21の下面に位置する領域)に接触するとともに、導電性接着剤39bが引出電極24b(引出電極24bの圧電体基板21の下面に位置する領域)に接触するように、圧電振動片2の引出電極24a、24bが形成された側の端部を導電性接着剤39a、39b上に載置して行う。これにより、導電性接着剤39a、39bを介して、圧電振動片2がベース基板31に固定されるとともに、引出電極24aと内部端子34aおよび引出電極24bと内部端子34bをそれぞれ電気的に接続することができる。
また、図1および図2に示すように、ベース基板31の下面には、その四隅に位置するように4つの外部端子35a、35b、35c、35dが設けられている。また、外部端子35a〜35dは、それぞれ、実装用基板4上に設けられた後述する4つの接続端子41a〜41dに対向するように位置している。
【0024】
これら4つの外部端子35a〜35dのうち、外部端子35a、35bは、それぞれ、ベース基板31に形成されたビアホールに設けられた導体ポストを介して内部端子34a、34bに電気的に接続されたホット端子である。他の2つの外部端子35c、35dは、それぞれ、パッケージ3を実装用基板4に実装するときに、接合強度(スペーサ53、54とパッケージ3との接合強度)を高めたり、パッケージ3と実装用基板4との間の距離を均一化するためのダミー端子である。
このような内部端子34a、34bおよび外部端子35a〜35dは、それぞれ、例えば、タングステンおよびニッケルメッキの下地層に、金メッキを施すことで形成することができる。
【0025】
次いで、上記のようなパッケージ3を実装(固定する)した実装用基板4について説明する。図3に示すように、実装用基板4は、その平面視にて、略長方形状をなしており、前述したパッケージ3のベース基板31よりも若干大きく形成されている。
このような実装用基板4は、リジッド基板、フレキシブル基板あるいはリジッドフレキシブル基板のいずれでもよい。また、実装用基板4の構成材料としては、絶縁性(非導電性)を有しているものが好ましく、例えば、各種ガラス、酸化物セラミックス、窒化物セラミックス、炭化物系セラミックス等の各種セラミックス、ポリイミド等の各種樹脂材料などを用いることができる。
【0026】
また、図1および図3に示すように、実装用基板4の上面(パッケージ3側の面)には、配線パターン42が形成されている。
この配線パターン42は、実装用基板4上および後述するスペーサ51〜54上にこれらの境界部を跨ぐように形成されている。このような配線パターン42は、後に詳述するように、実装用基板4(基板4A)上にスペーサ51〜54を形成した後に形成されたものである。これにより、低コスト化および小型化を図りつつ、優れた信頼性を有する圧電デバイス1を得ることができる。また、スペーサ51〜54上に配線パターン42が直接形成されているため、スペーサ51〜54と配線パターン42との間の電気的接続を確実に行うことができる。なお、本実施形態では、4つのスペーサ51〜54のそれぞれに配線パターン42を接続しているが、例えば、圧電振動片2の励振電極に電気的に接続される2つのスペーサに配線パターン42を接続し、他の2つのスペーサは配線パターン42を接続しなくてもよい。
【0027】
一方、図1に示すように、実装用基板4の下面には、例えば、圧電デバイス1を実装する回路基板(図示しない)と電気的、機械的に接続される実装端子43が複数形成されている。各実装端子43は、実装用基板4に形成されたビアホールに設けられた導体ポストを介して配線パターン42と電気的に接続されている。
なお、実装用基板4の下面には、必要に応じて、後述する電子部品6の特性検査や、電子部品6内の各種情報(例えば、圧電デバイスの温度補償情報)を書き換え(調整)を行うための書込端子が形成されていてもよい。
【0028】
このような実装用基板4の上面の中央部には、電子部品6が実装(搭載)されている。電子部品6は、例えば集積回路素子(IC)であり、圧電振動片2を駆動する機能を有する。図1に示すように、このような電子部品6は、絶縁性(非導電性)の接着剤や、接着シート等の接着部材44により実装用基板4に接合されており、さらに、例えばワイヤボンディングにより形成された金属ワイヤ45(ボンディングワイヤー)により、配線パターン42と電気的に接続されている。これにより、各実装端子43と電子部品6とが、配線パターン42を介して電気的に接続される。なお、接着部材44および金属ワイヤ45に代えて、いわゆるフェイスダウンボンディングにより電子部品6を実装用基板4条に固定するとともに配線パターン42に電気的に接続してもよい。
【0029】
このような実装用基板4は、その上面側にて、スペーサ(柱部材)51〜54を介してパッケージ3を実装(固定)している。スペーサ51〜54は、実装用基板4とパッケージ3の間に、電子部品6等を搭載するための間隙を形成する機能を有している。これにより、パッケージ3と電子部品6とを圧電デバイス1の高さ方向(厚さ方向)に重ねるように配置することができるため、圧電デバイス1の小型化を図ることができる。
本実施形態では、スペーサ51〜54は、前述したパッケージ3の外部端子35a〜35dに対応するように、実装用基板4の上面の四隅に位置するように設けられている。
そして、各スペーサ51〜54は、その下端が実装用基板4の上面に接合されるとともに、上端が半田(ろう材)等により外部端子35a〜35dに接合されている。
【0030】
本実施形態では、各スペーサ51〜54は、導電性を有している。これにより、スペーサ51、52を介して、実装用基板4に形成された配線パターン42と、パッケージ3に形成された外部端子35a、35bとを電気的に接続することができる(すなわち、スペーサ51、52を介して、電子部品6と圧電振動片2とを電気的に接続することができる)。これにより、配線パターン42とスペーサ51〜54との接触部位をスペーサ51〜54の実装用基板4Aとの境界部付近にのみにすることができる。その結果、後述する製造方法において、配線パターン42の形成がより簡単となり、圧電デバイス1の低コスト化を図ることができる。
【0031】
このような各スペーサ51〜54の構成材料としては、導電性を有するものであれば、特に限定されず、例えば、Au、Ag、Cu、Al等の金属材料を用いることができる。なお、各スペーサ51〜54を各種樹脂材料、セラミックス等の絶縁性材料で形成することもできる。この場合、配線パターン42をスペーサ51〜54の上端まで延びるように形成するか、あるいは、配線パターン42と外部端子35a、35bとを電気的に接続する導体層やボンディングワイヤー等を別途形成すればよい。
【0032】
各スペーサ51〜54は、その横断面が略正方形をなしている。なお、各スペーサ51、54の横断面形状は、これに限定されず、例えば、円形状、楕円形状、3角形状、5角形状等であってもよい。
また、各スペーサ51〜54は、その縦断面にて、実装用基板4との境界部付近(下端部)が上側から下側に向けて広がるように形成されている。すなわち、各スペーサ51〜54は、実装用基板4との境界部付近で、横断面積が実装用基板4側に向けて漸増している。これにより、配線パターン42とスペーサ51〜54との接触不良を防止することができる。なお、各スペーサ51〜54の縦断面形状は、これに限定されず、例えば、各スペーサ51〜54の横断面積が上端から下端に向けて漸増するような形状をなしていてもよい。
なお、スペーサ51〜54は、前述したような機能を発揮することができれば、その形状や数について特に限定されない。例えば、スペーサとして、実装基板4の縁部全周に設けられた枠状の部材を用いてもよいし、1本〜3本あるいは5本以上の柱部材を用いてもよい。
【0033】
以上説明したようなパッケージ3、実装用基板4、スペーサ51〜54および電子部品の部材間に形成される隙間を埋めるように、モールド材8が設けられている。本実施形態では、モールド材8は、パッケージ3の上面を露出するように設けられている。これにより、前述したように、パッケージ3の蓋部材33が光透過性を有する場合に、圧電振動片2の周波数調整を行うことができる。なお、モールド材8は、パッケージ3の上面をも覆うように設けられていてもよい。また、モールド材8は、省略してもよい。
【0034】
(圧電デバイスの製造方法)
次に、本発明の圧電デバイスの製造方法として、前述した圧電デバイス1の製造方法を例に説明する。
図4および図5に示す圧電デバイス1の製造方法は、[A]スペーサ51〜54を形成する工程と、[B]配線パターン42を形成する工程と、[C]電子部品6を実装する工程と、[D]パッケージ3を実装する工程と、[E]モールド材8を設ける工程とを有する。
【0035】
以下、これらの各工程について順次説明する。
[A]
−A1−
まず、図4(a)に示すように、実装用基板4となるべき基板4Aを用意する。
この基板4Aは、後述する工程[E]におけるダイシングにより小片化することで、前述した実装用基板4となる基板である。この基板4Aの下面には、前述した実装端子43が形成されている。また、基板4Aには、その厚さ方向に貫通するビアホールが形成され、このビアホールには、導体ポストが挿通されている。この導体ポストは、上端が基板4A上面から露出し、下端が実装端子43に電気的に接続されている。
【0036】
−A2−
次に、図4(b)に示すように、基板4A上に導体層(スペーサ層)5を形成する。
この導体層5は、前述したスペーサ51〜54となるべきものである。
したがって、導体層5の構成材料としては、前述したスペーサ51〜54の構成材料(金属材料)と同様の金属材料を用いることができる。
【0037】
このように本工程A2において導体層5を用いることで、前述したような導電性を有するスペーサ51〜54を形成することができる。これにより、得られる圧電デバイス1において、前述したように、スペーサ51〜54を介してパッケージ3と実装用基板4との間を導通させることができる。そのため、後述する工程Bにおいて、配線パターン42とスペーサ51〜54との接触部位をスペーサ51〜54の基板4Aとの境界部付近にのみにすることができる。その結果、配線パターン42の形成がより簡単となる。
【0038】
また、導体層5の形成方法としては、特に限定されず、例えば、ディッピング法、印刷法、電解メッキ、浸漬メッキ、無電解メッキ等の湿式メッキ法、プラズマCVD、熱CVD、レーザーCVDのような化学蒸着法(CVD)、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の乾式メッキ法、溶射、導体層(導体箔)の接合等を用いることができるが、中でも、金属層(金属箔)の接合が好適に用いられる。
【0039】
本工程A2では、金属層を基板4A上に熱圧着により接合することで導体層5を形成すると、導体層5(得られるスペーサ51〜54)と基板4A(得られる実装用基板4)との接合強度を優れたものとするとともに、導体層5(得られるスペーサ51〜54)の寸法(高さや平坦性)をより高精度なものとし、得られる圧電デバイス1の信頼性を向上させることができる。
【0040】
−A3−
次に、導体層5の少なくともスペーサ51〜54となる部分を残して不要部分を除去することにより、図4(c)に示すように、スペーサ51〜54を形成する。これにより、比較的簡単に、高精度な高さでスペーサ51〜54を形成することができる。
導体層5の不要部分を除去する方法としては、特に限定されないが、機械加工、レーザー加工、エッチング等を用いることができる。
【0041】
中でも、導体層5の不要部分を除去する方法としては、エッチングを用いるのが好ましい。これにより、比較的簡単に、高精度な位置および寸法でスペーサ51〜54を形成することができる。この場合、フォトリソグラフィー法により、スペーサ51〜54に対応する形状のレジスト層を形成し、このレジスト層をマスクとして用いてエッチングを行い、導体層5の不要部分を除去することにより、スペーサ51〜54を形成した後、レジスト層を除去する。
【0042】
また、このようにエッチングを用いて導体層5の不要部分を除去することにより、比較的簡単に、前述したような下端に向けて横断面積が漸増するスペーサ51〜54を形成することができる。これにより、後述する工程[B]において、液体をスペーサ51〜54上に付与した際に、付与された液体をスペーサ51〜54上に留めやすくすることができる。その結果、スペーサ51〜54と配線パターン42との接触不良を防止することができる。
【0043】
[B]
次に、図4(d)に示すように、基板4A上およびスペーサ51〜54上にこれらの境界部に跨るように、配線パターン42を形成する。
配線パターン42を形成する方法としては、特に限定されないが、導電性材料を含有する液体(インク)をインクジェット法により基板4A上に付与し、付与された液体を乾燥、焼成する方法を用いるのが好ましい。これにより、比較的簡単かつ高精度に、配線パターン42を形成することができる。
この場合、導電性材料を含有する液体(インク)としては、金属粒子を水系分散媒に分散してなる分散液が好適に用いられる。
【0044】
金属粒子の構成材料としては、例えば、銀、銅、パラジウム、白金、金、または、これらの合金等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、特に、銀を用いるのが好ましい。
水系分散媒の具体例としては、例えば水、メタノール、エタノール、ブタノール、プロパノール、イソプロパノール等のアルコール系溶媒、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル系溶媒、ピリジン、ピラジン、ピロール等の芳香族複素環化合物系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)等のアミド系溶媒、アセトニトリル等のニトリル系溶媒、アセトアルデヒド等のアルデヒド系溶媒等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0045】
金属粒子の平均粒径(体積平均粒径)は、特に限定されないが、1〜100nmであるのが好ましく、10〜30nmであるのがより好ましい。これにより、液体(インク)の吐出安定性を優れたものとすることができるとともに、微細な配線パターン42を容易に形成することができる。
また、上記の液体(インク)中に含まれる金属粒子の含有量は、特に限定されないが、0.5〜60wt%であるのが好ましく、10〜45wt%であるのがより好ましい。これにより、配線パターン42の断線をより効果的に防止することができ、より信頼性の高い配線パターン42を形成することができる。
また、金属粒子は、その表面に分散剤が付着した金属コロイド粒子として、水系分散媒中に分散していることが好ましい。これにより、金属粒子の水系分散媒への分散性が特に優れたものとなり、液体(インク)の吐出安定性が特に優れたものとなる。
【0046】
また、上記の液体(インク)は、有機バインダーを含んでいてもよい。
また、インクジェット法(液滴吐出方式)としては、圧電体素子であるピエゾ素子を用いてインクを吐出させるピエゾ方式や、インクを加熱して発生した泡(バブル)によりインクを吐出させる方式など、公知の種々の技術を適用することができる。
また、基板4A上およびスペーサ51〜54上に付与された液体の乾燥温度、焼成温度は、特に限定されず、用いる基板4Aや液体の構成材料に応じて適宜設定される。
【0047】
[C]
次に、図5(a)に示すように、基板4A上に電子部品6を実装する。
より具体的には、絶縁性(非導電性)の接着剤や、接着シート等の接着部材44により電子部品6を実装用基板4に接合する。そして、例えばワイヤボンディングにより、金属ワイヤ45(ボンディングワイヤー)を形成する。
【0048】
[D]
次に、図5(b)に示すように、スペーサ51〜54上にパッケージ3を実装する。
より具体的には、各スペーサ51〜54の上端面に半田ペースト(ペースト状のろう材)を塗布した後に、スペーサ51〜54の上端面にパッケージ3を載置し、スペーサ51〜54の上端面とパッケージ3(外部端子35a〜35d)とを半田ペーストにより接合する。
【0049】
[E]
次に、パッケージ3、基板4A、スペーサ51〜54および電子部品6の部材間に形成される隙間を埋めるように、モールド材を流し込んで硬化または固化させた後に、ダイシングにより小片化する。これにより、図5(c)に示すように、小片化された実装陽基板4およびモールド材8を備える圧電デバイス1を得る。
【0050】
以上説明したような圧電デバイス1の製造方法によれば、ので、低コスト化および小型化を図りつつ、優れた信頼性を有する圧電デバイスを製造することができる。
これに対し、従来のように、仮に基板4A上に配線パターン42を形成した後にスペーサ51〜54を形成した場合、配線パターン42にスペーサ51〜54を設置するためのスペーサ設置面を設けなければならず、このスペーサ設置面が小さいと、スペーサ51〜54を設置する際に位置ずれによって接触不良を生じたり、スペーサ51〜54の設置位置の高さや形状が変動して、得られる圧電デバイスに悪影響を与えるおそれがある。また、スペーサ51〜54を設置する際に、複雑な工程や高価な位置決め装置が必要となり、圧電デバイスの高コスト化を招いてしまう。一方、配線パターン42のスペーサ設置面が大きいと、圧電デバイスの大型化を招いてしまう。
【0051】
以上説明したような圧電デバイス1は、各種の電子機器に適用することができ、得られる電子機器は、信頼性の高いものとなる。
本発明の圧電デバイスを備える電子機器としては、特に限定されないが、例えば、パーソナルコンピュータ(モバイル型パーソナルコンピュータ)、携帯電話機、ディジタルスチルカメラ、インクジェット式吐出装置(例えばインクジェットプリンタ)、ラップトップ型パーソナルコンピュータ、テレビ、ビデオカメラ、ビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニタ、電子双眼鏡、POS端末、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシュミレータ等が挙げられる。
【0052】
以上、本発明の圧電デバイスの製造方法および圧電デバイスについて、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、圧電振動片2が厚みすべり型振動片、音叉型振動片等の振動片である場合にも、本発明は適用できる。
【符号の説明】
【0053】
1‥‥圧電デバイス 2‥‥圧電振動片 21‥‥圧電体基板 22‥‥IDT 22a、22b‥‥電極 221a、221b‥‥電極指 23a、23b‥‥反射器 24a、24b‥‥引出電極 3‥‥パッケージ 31‥‥ベース基板 32‥‥枠部材 33‥‥蓋部材 34a、34b‥‥内部端子 35a、35b、35c、35d‥‥外部端子 39a、39b‥‥導電性接着剤 4‥‥実装用基板 4A‥‥基板 42‥‥配線パターン 43‥‥実装端子 44‥‥接着部材 45‥‥金属ワイヤ 5‥‥導体層 51〜54‥‥スペーサ 6‥‥電子部品 8‥‥モールド材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電振動片を収納したパッケージを実装用基板上にスペーサを介して実装し、前記スペーサによって前記パッケージと前記実装用基板との間に形成された間隙に収まるように、前記圧電振動片を駆動する機能を有する電子部品を配置した圧電デバイスの製造方法であって、
前記実装用基板となる基板上に前記スペーサを形成する工程と、
前記基板上および前記スペーサ上にこれらの間を跨るように配線パターンを形成する工程と、
前記スペーサ上に前記パッケージを実装する工程とを有することを特徴とする圧電デバイスの製造方法。
【請求項2】
前記配線パターンを形成する工程では、導電性材料を含有する液体をインクジェット法により前記基板上に付与し、付与された前記液体を焼成することで前記配線パターンを形成する請求項1に記載の圧電デバイスの製造方法。
【請求項3】
前記スペーサを形成する工程では、前記基板上にスペーサ層を形成し、前記スペーサ層の少なくとも前記スペーサとなる部分を残して不要部分を除去することにより、前記スペーサを形成する請求項1または2に記載の圧電デバイスの製造方法。
【請求項4】
前記スペーサを形成する工程では、前記スペーサ層の前記不要部分をエッチングにより除去する請求項3に記載の圧電デバイスの製造方法。
【請求項5】
前記スペーサを形成する工程における前記スペーサ層は導体層である請求項3または4に記載の圧電デバイスの製造方法。
【請求項6】
前記スペーサを形成する工程では、金属層を前記基板上に熱圧着により接合することで、前記導体層を形成する請求項5に記載の圧電デバイスの製造方法。
【請求項7】
前記スペーサは、少なくとも前記基板との境界部付近で、横断面積が前記基板側に向けて漸増している請求項1ないし6のいずれかに記載の圧電デバイスの製造方法。
【請求項8】
実装用基板と、
前記実装用基板に形成されたスペーサと、
前記スペーサを介して前記実装用基板上に実装され、圧電振動片を収納したパッケージと、
前記スペーサによって前記パッケージと前記実装用基板との間に形成された間隙に収まるように配置され、前記圧電振動片を駆動する機能を有する電子部品と、
前記実装用基板上および前記スペーサ上にこれらの間を跨るように形成され、前記電子部品に電気的に接続された配線パターンとを有することを特徴とする圧電デバイス。
【請求項1】
圧電振動片を収納したパッケージを実装用基板上にスペーサを介して実装し、前記スペーサによって前記パッケージと前記実装用基板との間に形成された間隙に収まるように、前記圧電振動片を駆動する機能を有する電子部品を配置した圧電デバイスの製造方法であって、
前記実装用基板となる基板上に前記スペーサを形成する工程と、
前記基板上および前記スペーサ上にこれらの間を跨るように配線パターンを形成する工程と、
前記スペーサ上に前記パッケージを実装する工程とを有することを特徴とする圧電デバイスの製造方法。
【請求項2】
前記配線パターンを形成する工程では、導電性材料を含有する液体をインクジェット法により前記基板上に付与し、付与された前記液体を焼成することで前記配線パターンを形成する請求項1に記載の圧電デバイスの製造方法。
【請求項3】
前記スペーサを形成する工程では、前記基板上にスペーサ層を形成し、前記スペーサ層の少なくとも前記スペーサとなる部分を残して不要部分を除去することにより、前記スペーサを形成する請求項1または2に記載の圧電デバイスの製造方法。
【請求項4】
前記スペーサを形成する工程では、前記スペーサ層の前記不要部分をエッチングにより除去する請求項3に記載の圧電デバイスの製造方法。
【請求項5】
前記スペーサを形成する工程における前記スペーサ層は導体層である請求項3または4に記載の圧電デバイスの製造方法。
【請求項6】
前記スペーサを形成する工程では、金属層を前記基板上に熱圧着により接合することで、前記導体層を形成する請求項5に記載の圧電デバイスの製造方法。
【請求項7】
前記スペーサは、少なくとも前記基板との境界部付近で、横断面積が前記基板側に向けて漸増している請求項1ないし6のいずれかに記載の圧電デバイスの製造方法。
【請求項8】
実装用基板と、
前記実装用基板に形成されたスペーサと、
前記スペーサを介して前記実装用基板上に実装され、圧電振動片を収納したパッケージと、
前記スペーサによって前記パッケージと前記実装用基板との間に形成された間隙に収まるように配置され、前記圧電振動片を駆動する機能を有する電子部品と、
前記実装用基板上および前記スペーサ上にこれらの間を跨るように形成され、前記電子部品に電気的に接続された配線パターンとを有することを特徴とする圧電デバイス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【公開番号】特開2010−187237(P2010−187237A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−30546(P2009−30546)
【出願日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(000003104)エプソントヨコム株式会社 (1,528)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(000003104)エプソントヨコム株式会社 (1,528)
【Fターム(参考)】
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