圧電駆動装置および液体吐出装置
【課題】被駆動体を高速に駆動でき、かつコンパクトで軽量に構成できる駆動装置の提供。
【解決手段】圧電駆動装置2は、ケース4,5と、駆動装置本体6を備える。駆動装置本体は、変位拡大板10と、付勢手段15と、圧電素子17,18を備える。変位拡大板は、付勢手段15で付勢されて回動される本体部110と、圧電素子17,18が伸長した際の変位を拡大し、本体部に対して圧電素子の伸長方向に直交する方向に変位される変位拡大部120とを備える。圧電素子に電圧が未印加状態では、付勢手段で付勢された本体部によって第1の被駆動体31が移動する。圧電素子17に電圧が印加されると変位拡大部120によって第2の被駆動体32が移動する。被駆動体32が対象物に当接した状態からさらに圧電素子17に電圧を印加して変位拡大部の変位を拡大させると、前記付勢力に抗して本体部110、被駆動体31が付勢方向とは逆方向に移動される。
【解決手段】圧電駆動装置2は、ケース4,5と、駆動装置本体6を備える。駆動装置本体は、変位拡大板10と、付勢手段15と、圧電素子17,18を備える。変位拡大板は、付勢手段15で付勢されて回動される本体部110と、圧電素子17,18が伸長した際の変位を拡大し、本体部に対して圧電素子の伸長方向に直交する方向に変位される変位拡大部120とを備える。圧電素子に電圧が未印加状態では、付勢手段で付勢された本体部によって第1の被駆動体31が移動する。圧電素子17に電圧が印加されると変位拡大部120によって第2の被駆動体32が移動する。被駆動体32が対象物に当接した状態からさらに圧電素子17に電圧を印加して変位拡大部の変位を拡大させると、前記付勢力に抗して本体部110、被駆動体31が付勢方向とは逆方向に移動される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電素子を駆動源とする圧電駆動装置と、この圧電駆動装置を用いた液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ダイアフラム(ダイヤフラム)やチューブを用いたダイアフラムポンプ、チューブポンプは、ダイアフラムやチューブを合成樹脂製にすることなどで、送る液にダメージを与えず、各種フィラー入りの液体の吐出も可能となり、液漏れ防止用のシール材を用いる必要がなく、液が金属に触れない構造も可能などの利点があり、化学・薬品、半導体、印刷などの広い分野で使用されている。
このようなポンプは、ダイアフラムやチューブに対して複数の押圧ロッドを順次往復駆動させてダイアフラムやチューブを押圧したり、その押圧を解除することで液体の吸入、計量、吐出動作を繰り返すことで液を吐出している。そして、押圧ロッドの駆動には、エアシリンダを用いたものも知られているが、エアシリンダ駆動に比べて高速駆動が可能であるため、モータで回転されるカムを利用したものも利用されるようになった(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2006−29314号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記カム駆動方式は、エアシリンダ駆動に比べて、高速駆動が可能であるが、コンパクトに構成することが難しく、ポンプが大型化してしまうという問題があった。特に、LED等の各種製品の製造ラインにおいては、生産用ロボットのアーム先端にポンプを取り付けて移動させながら液体を吐出する場合もあり、できるだけコンパクトで軽量なポンプが求められていたが、カム駆動ではこのような要望に応えられないという問題があった。
【0005】
このように、押圧ロッドのような被駆動体を高速に往復駆動することができ、かつ、コンパクトで軽量に構成できる駆動装置は、前記ダイアフラムポンプやチューブポンプの駆動源だけでなく、様々な機器の駆動源として従来から要望されていた。
【0006】
本発明の目的は、被駆動体を高速に駆動でき、かつコンパクトで軽量に構成できる駆動装置と、この駆動装置を利用した液体吐出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の圧電駆動装置は、ケースと、前記ケースに対して移動可能に設けられた駆動装置本体とを備え、前記駆動装置本体は、変位拡大板と、付勢手段と、前記変位拡大板に取り付けられた圧電素子とを備え、前記変位拡大板は、前記ケースに対して回動自在またはスライド移動自在に取り付けられかつ前記付勢手段によって付勢された本体部と、前記圧電素子に電圧を印加して圧電素子が伸長した際には、その変位を拡大し、前記本体部に対して圧電素子の伸長方向に直交する方向に変位される変位拡大部とを備え、前記圧電素子に電圧が印加されていない状態では、前記付勢手段で付勢された本体部によって第1の被駆動体が移動され、前記圧電素子に電圧が印加されると、前記変位拡大部によって第2の被駆動体が移動され、第2の被駆動体が対象物に当接した状態からさらに圧電素子に電圧を印加して変位拡大部の変位を拡大させると、前記付勢手段の付勢力に抗して本体部および第1の被駆動体が前記付勢手段の付勢力で移動される方向とは逆方向に移動されることを特徴とする。
【0008】
このような本発明においては、圧電素子を利用して被駆動体を駆動しているので、エアシリンダを利用した場合と同等程度に小型、軽量化することができ、サーボモータ、ソレノイド、カムなどを用いた場合に比べて、駆動装置を容易に小型化できる。
その上、本体部で移動される第1被駆動体は、本体部を付勢する付勢手段と、変位拡大部を変位させて第2被駆動体を移動させる圧電素子とを利用して往復移動が可能なため、2つの被駆動体を移動させる場合には、本体部の他に1つの圧電素子および変位拡大部を設ければよい。このため、被駆動体毎に圧電素子を設けて駆動させる場合に比べて圧電素子の数を少なくでき、この点でも駆動装置をコンパクトに構成できるとともに、コストも低減できる。
【0009】
また、圧電素子は高速駆動が可能なため、エアシリンダ駆動に比べて高速に被駆動体を駆動できる。
さらに、圧電素子は、エアシリンダ駆動に比べて発生力が大きいため、被駆動体を確実に駆動させることができる。
その上、圧電素子の変位量は、圧電素子に加える電圧値で容易に調整できるため、被駆動体の移動量も精度よくかつ容易に調整できる。
【0010】
また、変位拡大部を介して被駆動体を移動させているので、圧電素子の伸長量が小さい場合でも、その変位量を拡大でき、圧電素子の変位量に比べて被駆動体の移動量を大幅に大きくすることができる。
【0011】
ここで、前記圧電素子は、第1圧電素子および第2圧電素子を備え、前記変位拡大部は、前記第1圧電素子の伸長に伴い、前記本体部に対して第1圧電素子の伸長方向に直交する方向に変位される第1変位拡大部と、前記第2圧電素子の伸長に伴い、前記本体部に対して第2圧電素子の伸長方向に直交する方向に変位される第2変位拡大部とを備え、前記本体部で第1被駆動体が移動され、前記第1変位拡大部で第2被駆動体が移動され、前記第2変位拡大部で第3被駆動体が移動されることが好ましい。
【0012】
このような本発明においては、本体部の他に、第1および第2の2つの圧電素子と、第1および第2の2つの変位拡大部を設けたので、第1〜3の3つの被駆動体を移動させることができる。このため、2つの被駆動体を移動させる圧電駆動装置に比べて、より複雑な動作を行うことができる。
【0013】
ここで、前記本体部は、基端部と、この基端部から延長されたアーム部とを備えて平面略L字状に形成され、前記変位拡大部は、前記本体部の基端部から連続して形成され、かつ互いに平行に配置された第1ヒンジ部および第2ヒンジ部と、前記第1ヒンジ部に連続して形成されて前記圧電素子の第1の端部が取り付けられた圧電素子第1端部取付部と、前記第2ヒンジ部に連続して形成されて前記圧電素子の長手方向に沿ってかつ前記圧電素子の第2の端部側まで延長された変位部と、前記変位部から圧電素子の第2の端部側に向かって形成された第3ヒンジ部と、前記第3ヒンジ部に連続して形成されて前記圧電素子の第2の端部が取り付けられた圧電素子第2端部取付部と備えて形成され、前記アーム部、圧電素子、変位部は略平行に配置されていることが好ましい。
【0014】
このような構成によれば、変位拡大板を一体成形したので、圧電素子の伸縮に対応する駆動部の変位量を精度良く設定できる。
すなわち、圧電素子の伸長量は非常に小さいため、変位を伝達する経路途中にピンやカムなどが存在すると、その部分の「がた」で変位が吸入されてしまうおそれがある。これに対し、本発明では、変位拡大板をワイヤカットなどで一体成形したので、変位が吸入されてしまうことがなく、圧電素子の伸長に伴い変位拡大部を所定量だけ確実に変位させることができる。
【0015】
また、前記本体部は、基端部と、この基端部から延長されたアーム部とを備えて平面略L字状に形成され、前記変位拡大部は、前記本体部の基端部から連続して形成され、かつ互いに平行に配置された第1ヒンジ部および第2ヒンジ部と、前記第1ヒンジ部に連続して形成されて前記圧電素子の第1の端部が取り付けられた圧電素子第1端部取付部と、前記第2ヒンジ部に連続して形成されて前記圧電素子の長手方向に沿ってかつ前記圧電素子の第2の端部側まで延長されて前記圧電素子の第2の端部が取り付けられた変位部とを備えて形成され、前記アーム部、圧電素子、変位部は略平行に配置されているものでもよい。
【0016】
このような構成においても、変位拡大板を一体成形したので、圧電素子の伸縮に対応する駆動部の変位量を精度良く設定できる。
さらに、第3ヒンジ部を設けていないので、変位拡大板の形状が簡易となり、変位拡大板をワイヤカットなどで一体成形する際の加工も容易になる。
【0017】
さらに、前記各被駆動体は、ガイドブロックに案内され、かつ、前記付勢手段の付勢力で移動される方向およびその方向とは反対方向に移動可能に設けられた押圧部材で構成され、前記付勢手段による付勢力を解除する付勢力解除手段と、前記ガイドブロックに対して前記押圧部材を、前記付勢手段の付勢力で移動される方向とは反対方向に付勢し、前記付勢手段による付勢力が解除された際には、各押圧部材の先端がガイドブロックの端面から突出しない位置まで各押圧部材を移動する戻しバネと、を備えることが好ましい。
【0018】
このような構成によれば、付勢力解除手段および戻しバネを設けたので、付勢力解除手段によって各被駆動体である押圧部材の付勢を解除すると、戻しバネで各押圧部材が前記付勢手段による付勢方向とは反対方向に移動する。そして、各押圧部材は、その先端(前記付勢手段によって付勢される方向の先端)が、押圧部材を案内するガイドブロックの端面から突出しない位置まで移動される。このため、付勢力を解除した状態ではガイドブロックの端面から押圧部材が突出しないため、ガイドブロックの端面に沿ってダイアフラムを配置する際には、ダイアフラムを平らにセットできる。従って、ダイアフラムの一部が変形してセットされるために生じる吐出量の誤差を低減できる。同様に、弾性体としてチューブを用いた場合も、チューブの一部が変形してセットされることも無く、その変形によって生じる吐出量の誤差を低減できる。
さらに、液体吐出装置を停止している場合には、付勢力解除手段で押圧部材の付勢を解除できるため、ダイアフラムやチューブが押圧部材で常に付勢されることを防止でき、ダイアフラムやチューブの永久変形を少なくできる。このため、ダイアフラムやチューブを交換するまでの期間を延長でき、交換コストも低減できる。
【0019】
本発明の圧電駆動装置は、ケースと、前記ケースに対して移動可能に設けられた駆動装置本体とを備え、前記駆動装置本体は、変位拡大板と、前記変位拡大板に取り付けられた圧電素子とを備え、前記変位拡大板は、前記ケースに対して固定された固定部と、固定部からバネ部を介して連続して設けられた本体部と、前記圧電素子に電圧を印加して圧電素子が伸長した際には、その変位を拡大し、前記本体部に対して圧電素子の伸長方向に直交する方向に変位される変位拡大部とを備え、前記圧電素子に電圧が印加されていない状態では、前記バネ部で付勢された本体部によって第1の被駆動体が移動され、前記圧電素子に電圧が印加されると、前記変位拡大部によって第2の被駆動体が移動され、第2の被駆動体が対象物に当接した状態からさらに圧電素子に電圧を印加して変位拡大部の変位を拡大させると、前記バネ部の付勢力に抗して本体部および第1の被駆動体が前記バネ部の付勢力で移動される方向とは逆方向に移動されることを特徴とするものでもよい。
【0020】
このような構成によれば、変位拡大板自体にバネ部を設けているので、別途、コイルバネなどの付勢手段を設ける必要が無く、部品点数を少なくできる。
また、コイルバネなどの付勢手段を設けた場合には、変位拡大板をケースに対して回転可能あるいはスライド移動可能に支持する必要がある。この場合、変位拡大板を支持する転がり部や滑り部などの音の発生原因となる部分が存在する。これに対し、本発明では、変位拡大板自体にバネ部を形成しているので、転がり部や滑り部を無くして音の発生を低減でき、作動音の小さな圧電駆動装置を構成できる。
【0021】
本発明の液体吐出装置は、前記圧電駆動装置と、前記圧電駆動装置の本体部で移動される第1被駆動体である第1押圧部材と、前記圧電駆動装置の変位拡大部で移動される第2被駆動体である第2押圧部材と、前記第1押圧部材および第2押圧部材によって押圧されるチューブとを備えることを特徴とする。
【0022】
このような液体吐出装置であれば、圧電素子に電圧を印加していない際は、本体部を付勢する付勢手段の付勢力によって、第1被駆動体である第1押圧部材をチューブに押しつけてチューブを塞ぎ、かつ、第2被駆動体である第2押圧部材はチューブを押しつぶさない状態とし、圧電素子に電圧を印加すると、第2押圧部材が移動してチューブを押しつぶし、さらに圧電素子に電圧を印加すると第2押圧部材がチューブを押しつぶしてそれ以上移動できないため、その反力で本体部および第1押圧部材をチューブから離れる方向に移動することができる。
従って、第1押圧部材および第2押圧部材の一方を、液体吐出装置の出口バルブとし、他方を、液体吐出装置の入口バルブとすれば、チューブ内に液体を圧送し、各バルブの開閉を切り替えることで液体吐出動作を実現できる。例えば、第1押圧部材を出口バルブとし、第2押圧部材を入口バルブとすれば、圧電素子に電圧を印加していない状態では付勢手段の付勢力によって第1押圧部材がチューブを押しつぶし、出口バルブを閉じた状態に維持し、一方、第2押圧部材は入口バルブを開いた状態に維持する。この状態でチューブ内に液体を圧送すれば、出口バルブが塞がれているため、出口バルブの上流側(入口バルブ側)のチューブがふくらみ、液体が貯められる。そして、圧電素子に電圧を印加して圧電素子を伸長させ、第2押圧部材を移動してチューブを押しつぶして入口バルブを閉じれば、入口バルブおよび出口バルブ間の膨らんだチューブ内に液体が区画される。さらに、圧電素子への電圧印加を継続し、圧電素子を伸長させると、第2押圧部材はチューブを押しつぶしていてそれ以上移動できないため、本体部および第1押圧部材が前記付勢手段の付勢力に抗してその付勢方向とは逆方向に移動し、第1押圧部材で塞がれていた出口バルブが開かれる。すると、液体で膨らんでいたチューブが自身の弾性力で元の状態に戻ろうとするため、その内部の液体が吐出バルブから吐出される。
次に、圧電素子への電圧印加を中止して圧電素子が元の状態に縮小すると、前記付勢手段の付勢力で第1押圧部材がチューブを押しつぶし、出口バルブが閉じられる。さらに、第2押圧部材が元の位置に戻るため、チューブを開放し、入口バルブが開かれる。
【0023】
以上のように、一方の押圧部材のみがチューブを塞いでいる状態から、両方の押圧部材がチューブを塞いでいる状態を経由して、他方の押圧部材のみがチューブを塞いでいる状態に変化させることができるので、液体を圧送することと組み合わせることで、微量な液体も吐出可能な液体吐出装置を構成できる。
そして、圧電素子を利用した圧電駆動装置で各押圧部材を駆動しているため、高速駆動が可能で、かつ、液体吐出装置を容易に小型化および薄型化することができる。
【0024】
本発明の液体吐出装置は、前記圧電駆動装置と、前記圧電駆動装置の本体部で移動される第1被駆動体である第1押圧部材と、前記圧電駆動装置の第1変位拡大部で移動される第2被駆動体である第2押圧部材と、前記圧電駆動装置の第2変位拡大部で移動される第3被駆動体である第3押圧部材と、前記第1押圧部材、第2押圧部材および第3押圧部材によって押圧されるチューブまたはダイアフラムとを備えることを特徴とする。
【0025】
このような液体吐出装置であれば、本体部によって移動される第1押圧部材と、第1圧電素子および第1変位拡大部の動作で移動される第2押圧部材とに加えて、第2圧電素子および第2変位拡大部の動作で移動される第3押圧部材を設けることができる。
このため、第1押圧部材および第2押圧部材の一方を、チューブやダイアフラムを押圧して開閉する出口バルブとし、他方を入口バルブとし、第3押圧部材を入口バルブおよび出口バルブ間でチューブやダイアフラムを押圧して各バルブで区画される計量空間を変化させる計量部材とすれば、出口バルブを閉じた状態で入口バルブを開き、計量部材で計量空間を広げることで液体を吸入できる。そして、入口バルブを閉じれば各バルブ間に区画形成される計量空間内に液体が区画される。次に、出口バルブを開き、計量部材でチューブやダイアフラムを押圧して計量空間を狭めると、その変化分の液体が出口バルブから吐出されることで液体吐出動作を実現できる。
【0026】
また、第3押圧部材で計量空間の容積を変化させて液体の吸入や吐出を行っているので、液体を加圧して供給する必要が無く、液体吐出装置をチューブポンプやダイアフラムポンプとして利用することができる。
さらに、圧電素子を利用した圧電駆動装置で第1〜3の各押圧部材を駆動しているため、高速駆動が可能で、かつ、液体吐出装置を容易に小型化できる。さらに、圧電素子や変位拡大板は薄型に形成できるので、液体吐出装置自体も薄型化することができ、生産ラインにおいて複数の液体吐出装置を並べて配置する場合に各液体吐出装置間の間隔を小さくできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1には、本実施形態の液体吐出装置1が示されている。なお、以下の説明においては、便宜上、図1の上側を上方、下側を下方として説明するが、液体吐出装置1の使用時の向きは図1のものに限らず、水平方向に向けて用いたり、上下を逆にして用いてもよい。
【0028】
液体吐出装置1は、ダイアフラムポンプであり、液体吐出装置1の圧電駆動装置2と、ポンプ部3とを備えている。
【0029】
[圧電駆動装置の構成]
圧電駆動装置2は、駆動部ケース4と、この駆動部ケース4にねじ止めされたポンプケース5と、駆動装置本体6とを備えて構成されている。
駆動装置本体6は、前記ケース4,5内に内蔵された変位拡大板10と、付勢手段15と、変位拡大板10に固定された第1圧電素子17および第2圧電素子18とを備えている。
【0030】
[変位拡大板の構成]
変位拡大板10は、マルエージ鋼、ステンレス、インバー材などの曲げ変形(弾性変形)可能な薄板材で構成され、1枚の板材をワイヤカットなどで以下に説明する所定の形状に切断することで製造されている。
また、変位拡大板10は、図2にも示すように、変位拡大板10に設けられた軸11を、ポンプケース5に取り付けられた軸受12で支持することで、ケース4,5に対して回転自在に配置されている。なお、軸受12は、図示しないストップリングで脱落しないようにポンプケース5に取り付けられている。
【0031】
変位拡大板10は、本体部110と、第1変位拡大部120と、第2変位拡大部130とを備えて構成されている。
本体部110は、変位拡大板10の上部に設けられた基端部111と、この基端部111の一方の端部側(駆動部ケース4側)から下方に向かって延長されたアーム部112とを備えて平面略L字状に形成されている。そして、基端部111の他方の端部側(ポンプケース5側)に前記軸11が設けられている。
【0032】
第1変位拡大部120は、第1ヒンジ部121と、第2ヒンジ部122と、圧電素子第1端部取付部123と、変位部124と、第3ヒンジ部125と、圧電素子第2端部取付部126とを備えている。
第1ヒンジ部121および第2ヒンジ部122は、基端部111の下面から下方に向かって突出して形成され、かつ互いに平行に配置されている。
【0033】
圧電素子第1端部取付部123は、前記第1ヒンジ部121に連続して形成されている。この圧電素子第1端部取付部123には第1圧電素子17の軸方向の第1端部(上端)が取り付けられている。
変位部124は、前記第2ヒンジ部122に連続して形成されて前記第1圧電素子17の長手方向(上下方向)に沿ってかつ第1圧電素子17の第2端部(下端)側まで延長されている。すなわち、変位部124は、第2ヒンジ部122から下方に向かって延長形成された延長部1241と、第1圧電素子17の第2端部よりも下方の位置で水平方向(第1圧電素子17側)に延長された連結部1242とを備えており、図1に示すように、平面形状が略L字状に形成されている。
【0034】
第3ヒンジ部125は、前記変位部124の連結部1242から第1圧電素子17の第2端部側に向かって突出して形成されている。
圧電素子第2端部取付部126は、前記第3ヒンジ部125に連続して形成され、前記第1圧電素子17の第2端部側が取り付けられている。
なお、取付部126および第1圧電素子17間には、スペーサ127が介在されている。また、各ヒンジ部121,122,125は、変位部124などの他の部分に比べて幅寸法が小さな細幅部とされているため、応力が加わると弾性変形可能に構成されている。
【0035】
第2変位拡大部130は、第1変位拡大部120よりも1段低い位置に設けられている点を除いて第1変位拡大部120と同一の構造とされている。
すなわち、第2変位拡大部130は、第1ヒンジ部131と、第2ヒンジ部132と、圧電素子第1端部取付部133と、変位部134と、第3ヒンジ部135と、圧電素子第2端部取付部136とを備えており、各構成は前記第1変位拡大部120の第1ヒンジ部121と、第2ヒンジ部122と、圧電素子第1端部取付部123と、変位部124と、第3ヒンジ部125と、圧電素子第2端部取付部126と同一である。従って、変位部134も延長部1341と、連結部1342とを備えた平面略L字状に形成されている。
【0036】
そして、第2変位拡大部130においても、圧電素子第1端部取付部133に第2圧電素子18の第1端部が取り付けられ、圧電素子第2端部取付部136にスペーサ137を介して第2圧電素子18の第2端部が取り付けられている。
【0037】
従って、本体部110のアーム部112、第1変位拡大部120の変位部124(延長部1241)、第2変位拡大部130の変位部134(延長部1341)、第1圧電素子17、第2圧電素子18は、それぞれ上下方向に沿って配置されており、互いにほぼ平行に配置されている。
なお、ポンプケース5の上端には、各圧電素子17,18を駆動制御する制御装置(図示略)を接続するためのコネクタ8が設けられている。
【0038】
[付勢手段の構成]
付勢手段15は、図1に示すように、下側バネケース151、上側バネケース152、連結部材153、ネジバネ座154、調整バネ座155、間隔調整ネジ156、コイルバネ157、バネ押し部材158を備えている。
下側バネケース151、上側バネケース152は、上側バネケース152から下側バネケース151を介して駆動部ケース4に固定ネジをねじ込むことなどでケース4に取り付けられている。
連結部材153は、下側バネケース151内を上下方向にスライド移動可能に設けられている。そして、この連結部材153には係合溝153Aが形成され、この係合溝153Aは、変位拡大板10の基端部111に設けられたピン113に係合されている。
【0039】
ネジバネ座154および調整バネ座155間には、前記コイルバネ157が配置されている。また、ネジバネ座154および調整バネ座155間の間隔は、ネジバネ座154の下側に設けられたナット159と、このナット159に螺合される間隔調整ネジ156とによって、ネジバネ座154の高さ位置を調整することで調整されている。この間隔調整ネジ156の下端は前記連結部材153に当接されている。
【0040】
また、バネ押し部材158には平行ピン158Aが取り付けられている。一方、上側バネケース152には前記平行ピン158Aが挿通可能な溝が上側バネケース152の上端から連続して形成されている。従って、前記平行ピン158Aを前記溝部分に挿通させながらバネ押し部材158を上側バネケース152の上部側から挿入し、その後、バネ押し部材158を90度回転させることで、前記平行ピン158Aを上側バネケース152の上部フランジに係止させることでバネ押し部材158を上側バネケース152に装着できるように構成されている。
【0041】
従って、バネ押し部材158を図1の状態から90度回転させて上側バネケース152から取り外すと、調整バネ座155が上方に移動可能となり、各バネ座154,155間の間隔が広がるためにコイルバネ157によって本体部110に加えられる付勢力が解除される。
一方、バネ押し部材158を図1のように、上側バネケース152に取り付けると、各バネ座154,155間の間隔が狭められるので、その間隔に応じた付勢力がコイルバネ157によって連結部材153を介して本体部110に加えられる。
そして、この際の付勢力は、前記間隔調整ネジ156を回してネジバネ座154を上下に移動させ、バネ押し部材158を装着した際の各バネ座154,155間の間隔を調整することで調整される。
【0042】
以上の構成の付勢手段15によって、変位拡大板10は、軸11を回動中心として図1中時計回りに回転するように付勢されている。
また、前記バネ押し部材部材158を備えて付勢手段15の付勢力を解除する付勢力解除手段が構成されている。
【0043】
[ポンプ部の構成]
一方、ポンプケース5には、前記圧電駆動装置2によって駆動されるポンプ部3が設けられている。ポンプケース5には、ケース5外部に開口された開口部が形成され、この開口部には、ガイドブロック20が挿入されている。このガイドブロック20は、3本の貫通孔が形成され、各貫通孔には、筒状のガイド部材21,22,23がそれぞれ配置されている。
そして、このガイドブロック20は、高さ調整シム24を介してポンプケース5にねじ込まれたネジ25で固定されている。
【0044】
各ガイド部材21,22,23には、それぞれ第1〜3押圧部材31,32,33がそれぞれ挿通されている。
各押圧部材31,32,33は、押圧ロッド311,321,331と、各押圧ロッド311,321,331の端部に装着されたロッド受312,322,332とを備えている。
そして、各ガイド部材21,22,23およびロッド受312,322,332間には、戻しバネ313,323,333がそれぞれ介在されている。
【0045】
第1押圧部材31は、前記戻しバネ313によって変位拡大板10の本体部110におけるアーム部112の側面下端部に当接されている。従って、第1押圧部材31は、アーム部112つまり本体部110の回動に連動して進退移動される。
また、第2押圧部材32は、前記戻しバネ323によって、変位拡大板10の第1変位拡大部120における変位部124の側面下端部に当接されている。従って、第2押圧部材32は、変位部124つまり第1変位拡大部120の変位に連動して進退移動される。
同様に、第3押圧部材33は、前記戻しバネ333によって、変位拡大板10の第2変位拡大部130における変位部134の側面下端部に当接されている。従って、第3押圧部材33は、変位部134つまり第2変位拡大部130の変位に連動して進退移動される。
なお、付勢手段15のコイルバネ157のばね力は、各戻しバネ313,323,333の合計ばね力よりも大きくされ、各戻しバネ313,323,333が付勢手段15の付勢に影響を与えないようにされている。
【0046】
なお、アーム部112の下端は、変位拡大板10の軸11を回動中心として回動するが、その回動角度が僅かであり、かつ、アーム部112の下端は軸11から離れているため、アーム部112の下端の移動はほぼ水平方向の移動とみなすことができる。また、ロッド受312のアーム部112に当接する端面は、曲面とされてアーム部112に対して点接触となるように構成されている。
従って、アーム部112の下端の移動軌跡が円弧状であっても、第1押圧部材31はガイド部材21に沿って水平方向に直線的に移動される。
【0047】
同様に、各変位部124,134の下端も、第2ヒンジ部122,132を支点に円弧状に移動されるが、その回動角度が僅かであり、かつ、各変位部124,134の下端は第2ヒンジ部122,132から離れているため、変位部124,134の下端の移動はほぼ水平方向(圧電素子17,18が伸縮する上下方向に直交する方向)の移動とみなすことができる。また、ロッド受322,332の変位部124,134に当接する端面は、曲面とされて変位部124,134に対して点接触となるように構成されている。
従って、変位部124,134の下端の移動軌跡が円弧状であっても、第2押圧部材32および第3押圧部材33はガイド部材22,23に沿って水平方向に直線的に移動される。
【0048】
前記ポンプケース5には、流路ブロック40が取り付けられている。この流路ブロック40と前記ガイドブロック20との間には、ダイアフラム50が介在されている。
流路ブロック40は、図6に示すように、略直方体状に形成され、ガイドブロック20に対向する面には、ケース当接面41、ケース挿入面42、凹部形成面43が形成されている。ケース挿入面42はケース当接面41よりも突出して形成され、凹部形成面43はケース挿入面42よりも突出して形成されている。
【0049】
凹部形成面43には、上下方向に一列に並んだ3つの凹部431〜433が形成されている。さらに、各凹部431〜433を連通する溝444が形成されている。なお、本実施形態では、溝444をフライス加工で形成しているため、溝444の底面は中央の凹部433よりも深く形成されている。
また、凹部432には、流路ブロック40の上端面に形成された液体吸入ポート44に連通する吸入流路441が開口されている。一方、凹部431には、流路ブロック40の下端面に形成された液体吐出ポート45に連通する吐出流路451が開口されている。
なお、本実施形態では、図1に示すように、液体吸入ポート44には、液体が入れられたシリンジを装着するシリンジホルダ442が取り付けられている。また、液体吐出ポート45には、液吐出用のノズル452が取り付けられている。
【0050】
さらに、流路ブロック40の各面41〜43に対向する外周側の面46には、凹部47が形成されている。この凹部47には、図1に示すように、押しブッシュ471およびワッシャ472が配置され、ストップリング(図示略)で固定されている。
【0051】
また、ポンプケース5には、図7〜9にも示すように、2枚の側板60が対向配置されて固定されている。前記流路ブロック40は各側板60間に配置されている。各側板60には開口61がそれぞれ形成されている。
開口61には、ブロック取付ネジ62に螺合されたステー63が配置されている。ステー63は、平面略長方形状とされ、その短辺側は円弧状に形成されている。そして、各側板60の開口61は上下にずれて形成されており、ブロック取付ネジ62を回転させた際にステー63を開口61から取り外すことができるように構成されている。
ブロック取付ネジ62の先端は、前記押しブッシュ471の孔に嵌入可能に構成されている。
【0052】
従って、流路ブロック40のケース挿入面42部分をポンプケース5の開口内に挿入した状態で、ブロック取付ネジ62の先端を押しブッシュ471の孔に嵌入し、さらにブロック取付ネジ62を回転させてステー63を各側板60の開口61内に配置することで、流路ブロック40をポンプケース5に取り付けることができる。
逆に、ブロック取付ネジ62を回転させてステー63を各側板60の開口61内から外し、ブロック取付ネジ62を手前側に引き出して側板60間から取り外せば、流路ブロック40をポンプケース5から容易に取り外すことができる。
【0053】
ダイアフラム50は、弾性変形可能なゴム(合成ゴム、天然ゴム)等で構成され、ケース挿入面42と同じ平面形状とされている。ダイアフラム50は、ガイドブロック20と流路ブロック40との間に挟持される。
特に、ケース挿入面42よりも突出している凹部形成面43とガイドブロック20との間は最も間隔が狭くなるため、ダイアフラム50は凹部形成面43に圧接されて密着されている。
従って、高さ調整シム24の厚さ寸法を変更することで、ガイドブロック20と凹部形成面43との間隔を調整でき、ダイアフラム50の凹部形成面43への密着力を容易に設定することができる。
【0054】
また、各押圧ロッド311,321,331の先端は、前記凹部431〜433に合わせて球面状に形成されており、各押圧ロッド311,321,331を流路ブロック40側に移動してダイアフラム50を押圧した際には、ダイアフラム50が各凹部431〜433内面に密着するように構成されている。
すなわち、押圧ロッド311でダイアフラム50を押圧すると、凹部431にダイアフラム50が密着し、吐出流路451および溝444間が塞がれて連通しない状態となる。従って、出口バルブが閉じられる状態となる。
また、押圧ロッド321でダイアフラム50を押圧すると、凹部432にダイアフラム50が密着し、吸入流路441および溝444間が塞がれて連通しない状態となる。従って、入口バルブが閉じられる状態となる。
なお、ダイアフラム50は、各押圧ロッド311,321,331による押圧で弾性変形するため、その押圧を解除すれば元の状態つまり凹部431〜433から離れた状態に戻る。
【0055】
さらに、押圧ロッド331でダイアフラム50を押圧すると、凹部433とダイアフラム50とで区画される計量空間(計量室)の容積が小さくなる。従って、凹部433部分の液は、溝444を介して移動することになる。
従って、上記各押圧部材31,32,33を動作させることでポンプ駆動を実現できる。
【0056】
[動作説明]
次に、液体吐出装置1の動作に関し、説明する。なお、以下の動作説明では、図10〜16をも利用して説明するが、図12〜16は、各部材の動作を分かりやすくするために、移動量を実際よりも大きくし、模式的に記載している。
本実施形態においては、ポンプケース5の上端に設けられたコネクタ8を介して接続される制御装置(図示略)によって圧電素子17,18を駆動制御することで、液体吐出装置1が駆動される。ここで、制御装置は、第1圧電素子17に対しては、第1圧電素子用第1設定値から第1圧電素子用第2設定値までの電圧を印加可能に構成され、第2圧電素子18に対しては、第2圧電素子用第1設定値から第2圧電素子用第2設定値までの電圧を印加可能に構成されている。さらに、本実施形態では、各第1設定値は電圧値「0」に設定され、第2設定値は使用する圧電素子17,18やその圧電素子17,18に求める変位量に応じて設定されている。
【0057】
また、圧電素子17,18は、熱膨張係数が「0」またはマイナスの数値のものが利用されている。このため、各取付部126,136および圧電素子17,18間に、熱膨張係数の大きなアルミなどの材質からなるスペーサ127,137を挟んで接着し、温度が変化して圧電素子17,18の長さ寸法が変化してもその変化分をスペーサ127,137の長さ寸法の変化で補い、圧電素子17,18にスペーサ127,137を加えた長さ寸法は温度変化に関係なく常にほぼ一定となるように構成し、温度変化の影響を少なくするようにしている。
なお、上記のように温度変化に対応するには、圧電素子17,18とスペーサ127,137とが同じ温度に維持される必要がある。このため、圧電素子17,18およびスペーサ127,137と変位拡大板10との間の隙間部分を、シリコン等の伝熱材で埋めて圧電素子17,18とスペーサ127,137とが同じ温度に維持されるように工夫している。
【0058】
[原点状態]
運転開始前即ち液体吐出装置1の停止状態(原点状態)においては、制御装置は、圧電素子17,18に電圧を加えない。すなわち、制御装置は、圧電素子17,18に第1設定値の電圧を印加するが、本実施形態では第1設定値は電圧値「0」であるため、駆動信号の入力を行わない。この状態では、図1,12に示すように、各ヒンジ部121,122,125,131,132,135が変形しないように構成されている。
そして、この状態では、変位拡大板10が前記付勢手段15の付勢力で図1中時計回りに付勢され、本体部110のアーム部112が時計回り方向に回動することで第1押圧部材31がダイアフラム50を押圧している。このため、ダイアフラム50が凹部431に密着し、出口バルブが閉じられた状態とされている。
【0059】
また、この際、第2押圧部材32および第3押圧部材33は、ダイアフラム50を押圧しない位置に配置され、入口バルブは開かれ、かつ、凹部433およびダイアフラム50間に形成される計量室は所定の容積を確保している。
すなわち、本実施形態の液体吐出装置1は、圧電素子17,18に電圧が印加されていない未駆動状態では、付勢手段15の付勢力で出口バルブが閉じられ、入口バルブは開かれて計量室に液を供給できる状態とされている。
【0060】
[計量工程]
次に、制御装置は、第1圧電素子17に予め設定された電圧を印加する。第1圧電素子17に所定の電圧を印加すると、第1圧電素子17は、印加電圧に応じた寸法だけ伸長する。
第1圧電素子17の長手方向寸法が長くなると、圧電素子17が取り付けられた取付部123,126に互いに離れるが、各取付部123,126は、ヒンジ部121,122,125および変位部124を介して連結されているため、各ヒンジ部121,122,125が弾性変形し、変位部124および圧電素子17は、下端側が変位部124側つまり第2押圧部材32側に移動するように傾く。このため、図10,13に示すように、第2押圧部材32はダイアフラム50側に移動し、ダイアフラム50を凹部432に密着させ、入口バルブを閉じる。
従って、出口バルブおよび入口バルブがともに閉じられる状態となるため、計量室内の液体も液体供給側および吐出側から区画される。このため、計量室の容積に応じて液体が計量されることになる。
【0061】
[バルブ切替工程]
さらに、制御装置は、第1圧電素子17に対する電圧印加を継続する。これにより、第1圧電素子17がさらに伸長されると、第2押圧部材32はすでにダイアフラム50に押圧され、それ以上、ダイアフラム50側には移動できないため、その反力によって付勢手段15の付勢力に抗して変位拡大板10全体が反時計方向、つまり付勢手段15の付勢力で移動される方向とは逆方向に移動する。
このため、図11,14に示すように、第1押圧部材31はダイアフラム50から離れる方向に移動し、ダイアフラム50が凹部431から離れるため、出口バルブが開かれる。従って、入口バルブが閉じられ、かつ出口バルブが開かれるため、バルブの切替動作が行われる。
【0062】
[吐出工程]
次に、制御装置は、第1圧電素子17に電圧を印加したまま、第2圧電素子18に所定の電圧を印加する。すると、第2圧電素子18は、印加電圧に応じて伸長し、この動作に伴い、各ヒンジ部131,132,135が弾性変形し、変位部134および圧電素子18は、下端側が変位部134側つまり第3押圧部材33側に移動するように傾く。このため、図15に示すように、第3押圧部材33がダイアフラム50側に移動し、その移動に伴いダイアフラム50および凹部433間の計量空間の容積が減少する。すると、この計量空間内に区画されていた液体は、入口バルブが閉じられ、出口バルブのみが開かれているため、溝444を介して凹部431側に移動し、さらに吐出流路451、吐出ポート45を介してノズル452から吐出される。
なお、この吐出量は、計量空間の容積変化つまり第3押圧部材33の移動量によって調整されるため、第2圧電素子18に印加する電圧を制御することで容易に制御できる。
【0063】
[バルブ切替&吸入工程]
所定量の液体吐出が完了したら、まず、第1圧電素子17への電圧印加を停止して、圧電素子17を元の長さ寸法に戻す。すると、変位部124が反時計方向に移動するため、その分、付勢手段15の付勢力で変位拡大板10が時計回り方向に回動する。
この変位拡大板10の時計回り方向に回動に伴い、図16に示すように、第1押圧部材31がダイアフラム50側に移動して押圧し、出口バルブが閉じられる。そして、この出口バルブが閉じられた後も変位部124は反時計方向に変位し、第2押圧部材32がダイアフラム50から離れる方向に移動するため、ダイアフラム50は凹部432から離れ、入口バルブが開かれる。従って、出口バルブが開から閉となり、入口バルブが閉から開となるため、バルブの切替が行われる。
【0064】
また、制御装置は、前記出口バルブが閉じられるタイミングに合わせて第2圧電素子18への電圧印加を停止する。すると、第2圧電素子18も元の長さ寸法に戻り、変位部134が反時計方向に変位することに伴い、第3押圧部材33がダイアフラム50から離れる方向に移動する。すると、第3押圧部材33で押圧されていたダイアフラム50が凹部433から離れて計量空間の容積が拡大する。この際、前述の通り、入口バルブも閉から開に切り替えられているので、第3押圧部材33の移動に伴って液体吸入ポート44から凹部433部分つまり計量空間内に液体が吸入される。
そして、各部材は、図1や図12に示す原点位置に戻る。
【0065】
以上の動作を繰り返すことで、所定量ずつ液体が吐出される。また、液体の吐出量は、第2圧電素子18の伸長量つまり印加電圧値によって精度良く制御できる。
なお、各圧電素子17,18への電圧印加を無くすには、圧電素子17,18に電圧を印加するための端子間を短絡して放電すればよい。
【0066】
なお、第1圧電素子17に電圧を印加し、変位拡大板10が反時計方向に移動する際、第2圧電素子18には電圧を印加してもよいし、しなくてもよい。電圧を印加しなければ、第3押圧部材33も第1押圧部材31と同様に、ダイアフラム50から離れる方向に移動される。このため、第2圧電素子18に電圧を印加し、第3押圧部材33をダイアフラム50側に移動して液体を吐出する際に、わずかに吐出が遅れる可能性がある。
そこで、液体吐出を遅れなく行うために、第1圧電素子17に電圧を印加し、変位拡大板10が反時計方向に移動する際、変位拡大板10の回動に伴う第3押圧部材33の移動量を打ち消す分だけ、第2圧電素子18に電圧を印加して第3押圧部材33をダイアフラム50側に移動させ、ダイアフラム50に対する第3押圧部材33の位置を一定に保つように制御してもよい。
【0067】
また、第3押圧部材33の移動によって液体吐出を完了する際に、第1圧電素子17への電圧印加を制御して第1圧電素子17の長さを縮小し、付勢手段15の付勢力で変位拡大板10を時計回り方向に回動し、第1押圧部材31を移動して出口バルブも同時に閉じるように制御してもよい。
【0068】
さらに、前記説明では、図14に示すように、バルブ切替を行った後に、第2圧電素子18に電圧を印加して第3押圧部材33を移動して液体吐出を行い、第2圧電素子18に印加する電圧値で第3押圧部材33の移動量を制御することで吐出量を調整していた。
これに対し、第1圧電素子17に電圧を印加してから第2圧電素子18に電圧を印加するまでの時間(タイミング)を調整することで、液体の吐出量を調整してもよい。
すなわち、第1圧電素子17に電圧を印加して第2押圧部材32が移動し始めた直後に、第2圧電素子18に電圧を印加して第3押圧部材33を移動させると、第2押圧部材32で入口バルブが閉じられる前に、第3押圧部材33がダイアフラム50を押圧し、計量空間の容積が小さくなる。そのため、入口バルブが閉じた際に各バルブ間に区画される液体の量は、第1圧電素子17に電圧を印加してから第2圧電素子18に電圧を印加するまでの時間が短いほど少なくなる。従って、これらの電圧印加タイミングによって液体の吐出量を調整できる。
なお、この場合、入口バルブが閉じて、代わりに出口バルブが開いた際には、前記第3押圧部材33で計量空間部分のダイアフラム50が押されている。このため、計量空間内の液体は、即座に、吐出流路451、吐出ポート45を介してノズル452から吐出される。従って、出口バルブが開いた際の負圧によって、ノズル452から液が吸い戻されることも防止できる。
【0069】
[メンテナンス]
液体吐出装置1を介して供給する液体の種類を変更するためや、1日の作業が終了した場合など、液体の流路を洗浄する場合には、ブロック取付ネジ62を回転させてステー63を各側板60の開口61内から外し、流路ブロック40およびダイアフラム50をポンプケース5から取り外せばよい。本実施形態においては、液に接するのは、流路ブロック40とダイアフラム50のみであるため、これらを取り外して洗浄すれば、他の部品は分解する必要が無く、メンテナンス作業も容易に行うことができる。
ダイアフラム50を交換する場合も同様の作業で容易に行うことができる。さらに、厚さ寸法の異なるダイアフラム50に交換する場合も、前記高さ調整シム24を適宜交換などすることで、ガイドブロック20と流路ブロック40間の間隔を調整すればよく、容易に行うことができる。
【0070】
このような本実施形態によれば、次のような効果がある。
(1)圧電素子17,18を利用してダイアフラム50を駆動して液体を吐出しているので、液体吐出装置1を小型、軽量、薄型化することができる。すなわち、サーボモータ、ソレノイド、カムなどの駆動機構を採用した場合に比べて、液体吐出装置1を容易に小型・軽量・薄型化できる。
従って、各種製品の生産ラインにおいて、接着剤や各種ペースト等の吐出に本実施形態の液体吐出装置1を利用する際にも、ロボットのアームに取り付けて、高速、高加速度で移動させることができ、生産ラインのタクトタイムの短縮を実現でき、生産性向上に寄与することができる。さらに、複数台の液体吐出装置1を並べて配置した場合もその配置スペースを小さくできる。
【0071】
(2)圧電素子17,18は高速駆動が可能なため、例えば、1秒間に10〜100回以上の吐出動作が可能であり、エアシリンダ駆動に比べて高速に液体吐出動作を実現できる。さらに、圧電素子17,18は、エアシリンダ駆動に比べて発生力が大きいため、ノズル452を細くして抵抗が増えても液体を飛ばして吐出することができる。このため、例えば、0.01マイクロリットルの水でもきれいに飛ばすことができ、安定した動作を実現できる。
その上、各押圧部材31,32,33の動作は各圧電素子17,18への電圧制御でコントロールできるので、第2圧電素子18への電圧印加による吐出工程の終了時に、第1圧電素子17への電圧印加を制御して付勢手段15による第1押圧部材31の移動も同時に行って出口バルブを閉じる動作も同時に行うように制御することも容易に実行できる。そして、このような制御を行えば、吐出液の液切れを良くでき、液をきれいに飛ばすことができ、吐出量の精度を向上できかつ安定した吐出動作を実現でき、極微量の液体でも吐出できる。
【0072】
(3)吐出液の液量は、吐出工程における第3押圧部材33の移動量を第2圧電素子18に加える電圧値で調整することで容易に設定変更できる。このため、吐出動作中であっても1回の吐出動作毎の吐出量を自動的に調整することができる。従って、例えば、基板上に複数の電子部品を取り付ける工程において、各電子部品の取付場所毎に異なる液量の接着剤を塗布するために、基板上に吐出する液体の量を変更する場合や、複数の製品が混在して送られる生産ラインにおいて、製品毎に液体の吐出量を変更しなければならない場合でも、容易に対応でき、使い勝手のよい液体吐出装置1を提供できる。
【0073】
(4)2つの圧電素子17,18の動作によって、第2押圧部材32、第3押圧部材33の駆動を制御するとともに、圧電素子17,18を支持する変位拡大板10を付勢手段15で時計回り方向に付勢して第1押圧部材31をダイアフラム50側に移動させるとともに、第2押圧部材32がダイアフラム50を押圧した後も圧電素子17を伸長させることで、変位拡大板10を付勢手段15の付勢力に抗して反時計回り方向に回動し、第1押圧部材31がダイアフラム50から離れる方向に移動して第1押圧部材31の駆動を制御している。
このように、本実施形態では、付勢手段15によって変位拡大板10をケース4,5に対して回動自在に設け、かつ、第1押圧部材31をストロークの途中でダイアフラム50に押圧させ、その反力を利用することで、2本の圧電素子17,18の駆動を制御するだけで3つの部材(第1〜3押圧部材31,32,33)の駆動を制御できる。従って、3つの部材を3個の圧電素子で駆動する場合のように、圧電素子の配置や駆動制御が複雑になるという問題が生じることがなく、液体吐出装置1の製造コストも低減できる。
その上、圧電素子17,18が電圧印加で伸長した際に、変位部124,134とともに圧電素子17,18自体も傾斜するように構成したので、第1変位拡大部120、第2変位拡大部130の構成を非常にシンプルにでき、製造も容易でかつ、コストも低減できる。
【0074】
(5)変位拡大板10は、軸11を中心に回動させているので、スライド移動させる場合に比べて位置決め精度を容易に向上でき、組立性も向上できる。
【0075】
(6)圧電素子17,18が固定される変位拡大板10を一体成形したので、各圧電素子17,18の伸縮に対応する変位部124,134の変位量を精度良く設定できる。このため、各第1〜3押圧部材31,32,33の移動量を精度よく設定でき、微量の液体であっても高精度に吐出できる。
【0076】
(7)各圧電素子17,18への印加電圧を「0」にした際に、液体吐出装置1が原点状態(停止状態)となるように設定したので、動作停止中に圧電素子17,18が発熱して温度が上昇することがない。このため、圧電素子17,18が温度変化の影響を受けてその変位量がばらつくことを防止でき、圧電素子17,18の変位量の精度つまり液体の吐出量の精度を向上できる。
【0077】
(8)本実施形態では、第3押圧部材33のストロークのみで液体の吐出量が設定されるため、外気温などによってケース4,5等が膨張しても吐出量の精度はその影響を受けず、極微量であっても精度の高い液量を吐出できる。
【0078】
(9)高粘度の液体を高速で吐出するには、液体を高圧で押し出す必要があるが、駆動源として圧電素子17,18の機械的な駆動力を用いているので、エアシリンダを駆動源とした場合に比べて、駆動力が高くなり、液体を高速で吐出できる。
また、液体を基板等の被付着物より離れた上方から吐出できるので、液体吐出装置1の外部に赤外線等のセンサを設けることにより、吐出が行われたかを確認できる。
液体吐出装置1には、チェック弁を設けていないので、液体を加圧して送ることができる。従って、粘性の高い液体であっても液体吐出装置1内への供給が容易である。
【0079】
(10)さらに、圧電素子17,18に電圧を印加していない場合には、付勢手段15の付勢力で変位拡大板10を付勢して第1押圧部材31で押圧してダイアフラム50を凹部431に密着させているので、出口バルブは付勢手段15のバネ力で閉じられる。このため、ダイアフラム50の厚さ寸法にバラツキがあったり、凹部形成面43の位置が多少変化したとしても、前記付勢手段15によってダイアフラム50が凹部形成面43に当接するまで付勢されるため、確実に出口バルブを閉じることができる。
すなわち、出口バルブは、電圧を印加しないときにバルブが閉じるノーマリークローズタイプのバルブとすることができる。また、バルブが閉じられている際のダイアフラム50の凹部形成面43への当接力も付勢手段15のばね力のみで設定でき、出口バルブのクローズ状態を安定して維持できる。
【0080】
(11)また、ダイアフラム50を凹部形成面43に押し付ける力を付勢手段15のばね力のみで設定できるため、例えば、洗浄のためにダイアフラム50や流路ブロック40を取り外して再度取り付けた際に、その取付位置が微妙に異なる場合があるが、そのような微差があっても前記付勢手段15でダイアフラム50を凹部形成面43に押し付けているので、ダイアフラム50の押し付け力をほぼ一定にでき、この点でも出口バルブを安定して閉じておくことができる。このため、ダイアフラム50の交換作業も容易に行うことができる。特に、接液部分であるダイアフラム50は消耗品でもあるため、交換作業は必須であるが、その作業が容易に行えるため、メンテナンス性も向上できる。
【0081】
(12)液に接するのは、流路ブロック40とダイアフラム50のみであるため、これらを取り外して洗浄すれば、ケース4,5内部は分解する必要が無く、洗浄などのメンテナンス作業も容易に行うことができる。
また、ブロック取付ネジ62を用いて流路ブロック40をポンプケース5に押し付けて取り付けているので、ブロック取付ネジ62を回転してステー63を側板60から取り外すことで、流路ブロック40やダイアフラム50を取り出せばよいため、メンテナンス作業をより一層容易に行うことができる。
【0082】
(13)圧電素子17,18に電圧を印加して伸長させない限り、付勢手段15の付勢力が変位拡大板10の各ヒンジ部121,122,125,131,132,135や、圧電素子17,18に加わることがなく、ヒンジ部121,122,125,131,132,135や圧電素子17,18に付勢手段15の付勢力が加わることによる影響を軽減できる。
【0083】
(14)出口バルブが閉じている状態では、第2押圧部材32が伸長してダイアフラム50を押圧して入口バルブを閉じてから、第1押圧部材31によって出口バルブが開かれ、逆に、入口バルブが閉じている状態では、第2押圧部材32が縮小して出口バルブが閉じられてから、第2押圧部材32によって入口バルブを開かれる。このため、一方のバルブは必ず閉じられた状態にあり、液体吸入ポート44と液体吐出ポート45とが直接連通されることはなく、ポンプ動作を確実に実現できる。
【0084】
(15)バネ押し部材158を操作することでコイルバネ157による付勢力を解除することができるため、ガイドブロック20から押圧部材31〜33が突出していない状態でダイアフラム50をセッティングできる。このため、押圧部材31〜33が突出した状態でダイアフラム50をセットしていたために、ダイアフラムをセットしにくかった従来のダイアフラムポンプに対し、本実施形態の液体吐出装置1は、ダイアフラム50を平らにセットできるので、ダイアフラム50を容易に取り付けることができ、ダイアフラム50の交換作業も簡単に行うことができる。
さらに、液体吐出装置1を使用していない際に、前記コイルバネ157による付勢力を解除しておけば、ダイアフラム50に押圧部材31〜33による押圧力が加わることを解除できる。このため、ダイアフラム50が押圧部材31〜33で常時押圧されている場合には、ダイアフラム50に永久変形が生じ、ダイアフラム50を交換する期間も短縮されてしまうが、本実施形態では液体吐出装置1の未使用時には押圧部材31〜33による押圧力が加わることがなく、ダイアフラム50も永久変形し難くできる。このため、ダイアフラム50を交換するまでの期間も長くでき、ダイアフラム50の交換コストも低減できる。
【0085】
[第2実施形態]
次に本発明の第2実施形態について図17〜19を参照して説明する。なお、以下の各実施形態において、前述する各実施形態と同一または同様の構成には適宜同一符号を付し、説明を省略または簡略する。
第2実施形態の液体吐出装置1Bは、ダイアフラム50の代わりにチューブ70を用いたチューブポンプである。そして、チューブ70を押圧するための第1〜3押圧部材31B〜33Bや、変位拡大板10B、付勢手段15Bの構成や形状は前記第1実施形態と相違する部分もあるが、その動作は前記第1実施形態と同様のものである。
【0086】
変位拡大板10Bは、前記変位拡大板10とほぼ同じ構成である。但し、第1ヒンジ部121B,131Bは、第1実施形態の第1ヒンジ部121,131よりも第2ヒンジ部122,132に近接して設けられ、第3ヒンジ部125B,135Bは、第1実施形態の第3ヒンジ部125,135よりも変位部124B,134Bから離れて設けられている。
このため、圧電素子17,18が同じ寸法分伸長した場合でも、前記ヒンジ部の位置関係によって第2実施形態の変位部124B,134Bおよび圧電素子17,18のほうが傾斜角度が大きく、その分、第2,3押圧部材32B,33Bの移動量も大きくなるように構成されている。
また、アーム部112Bおよび各変位部124B,134Bにおいて、第1〜3押圧部材31B〜33Bに当接する部分は円弧状の凹部とされている。
【0087】
一方、チューブ70を押圧する第1〜3押圧部材31B〜33Bは、押しロッド315,325,335と、チューブ押し部材316,326,336と、押しロッド315,325,335およびチューブ押し部材316,326,336を接続する接続ロッド317,327,337と、バネ座318,328,338と、押しロッド315,325,335およびバネ座318,328,338間に配置された戻しバネ319,329,339とを備えて構成されている。
【0088】
ここで、チューブ押し部材316,326,336は、板状に形成され、チューブ70を確実に押圧できるように構成されている。
また、押しロッド315,325,335において、アーム部112Bおよび各変位部124B,134Bに当接する部分は、アーム部112B、変位部124B,134Bが配置される溝が形成され、その溝の底面は円弧状に形成されて前記アーム部112Bおよび各変位部124B,134Bの凹部に当接されている。
【0089】
また、ポンプケース5Bには一対のチューブ受け取付板71が固定され、この取付板71にはチューブ受けブロック72が取付ネジ73で固定されている。このチューブ受けブロック72を挟んで一対のチューブセット74が配置され、チューブ70が挿通されている。
【0090】
さらに、付勢手段15Bは、バネケース151B、連結部材153B、調整バネ座155B、コイルバネ157、バネ押し部材158Bで構成されている。
このような付勢手段15Bでは、バネケース151B内に螺合されたバネ押し部材158Bを回して、その軸方向の位置を調整することで、連結部材153Bおよび調整バネ座155B間の間隔を調整し、コイルバネ157による付勢力を調整することができる。
【0091】
このような構成の液体吐出装置1Bにおいても、付勢手段15Bの付勢力および圧電素子17,18の動作により、各第1〜3押圧部材31B〜33Bを進退移動させることができ、チューブ70を順次押圧して液体吐出を実現できる。
例えば、第1押圧部材31Bで出口バルブを開閉し、第2押圧部材32Bで入口バルブを開閉し、第3押圧部材33Bで各バルブ間のチューブつまり計量室を押圧するように設定すれば、前記第1実施形態と同じ動作で液体を順次吐出することができる。
【0092】
このような第2実施形態の液体吐出装置1Bにおいても前記第1実施形態の液体吐出装置1と同様の作用効果を奏することができる。
【0093】
なお、本発明は前記第1,2実施形態の構成に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲の変形は本発明に含まれるものである。
[第1変形例]
例えば、前記第1,2実施形態では、変位拡大板10,10Bを、軸11を中心に回動自在に配置していたが、スライド移動可能に設けてもよい。例えば、図20に示すように、ダイアフラムポンプである液体吐出装置1Cにおいて、変位拡大板10を案内するガイドレール80を設け、かつ、ケース4および変位拡大板10間に、変位拡大板10をダイアフラム50側に付勢する付勢手段としてのバネ81を設ければよい。このような液体吐出装置1Cにおいても、圧電素子17,18に電圧を印加していない状態では、バネ81の付勢力で変位拡大板10がダイアフラム50に移動し、第1押圧部材31でダイアフラム50を押圧して出口バルブを閉じた状態にできる。また、圧電素子17に電圧を印加した場合には、変位部124の変位に応じて移動する第2押圧部材32がダイアフラム50を押圧することで入口バルブが閉じられた後、さらに圧電素子17が伸長することによる反力で、前記バネ81の付勢力に抗して変位拡大板10がダイアフラム50から離れる方向に移動されるため、第1押圧部材31をダイアフラム50から離れる方向に移動させて入口バルブを開くことができる。そして、この状態で第2圧電素子18に電圧を印加して伸長させれば、第3押圧部材33でダイアフラム50を押圧し、液体を吐出できる。従って、前記第1実施形態と同様の動作で液体吐出を行うことができ、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0094】
[第2変形例]
また、前記第2実施形態の液体吐出装置1Bでは、2つの圧電素子17,18を設けて3つの押圧部材31B〜33Bを動作させていたが、チューブを用いた場合、第3押圧部材33Bを設けなくても液体吐出動作が可能である。すなわち、図21に示すように、液体吐出装置1Dとして、第2圧電素子18および第2変位拡大部130を設けずに、1つの圧電素子17、変位拡大部120、本体部110によって、2つの押圧部材31B,32Bを駆動するように構成してもよい。
このような液体吐出装置1Dでは、第1押圧部材31Bおよび第2押圧部材32Bの一方を、液体吐出装置1Dの出口バルブとし、他方を、液体吐出装置1Dの入口バルブとすれば、チューブ70内に液体を圧送し、各バルブの開閉を切り替えることで液体吐出動作を実現できる。
例えば、第1押圧部材31Bを出口バルブとし、第2押圧部材32Bを入口バルブとすれば、圧電素子17に電圧を印加していない状態では付勢手段15Bの付勢力によって第1押圧部材31Bがチューブを押しつぶし、出口バルブを閉じた状態に維持し、一方、第2押圧部材32Bは入口バルブを開いた状態に維持する。この状態でチューブ70内に液体を圧送すれば、出口バルブが塞がれているため、出口バルブの上流側(入口バルブ側)のチューブ70がふくらみ、液体が貯められる。そして、圧電素子17に電圧を印加して圧電素子17を伸長させ、第2押圧部材32Bを移動してチューブ70を押しつぶして入口バルブを閉じれば、入口バルブおよび出口バルブ間の膨らんだチューブ70内に液体が区画される。さらに、圧電素子17への電圧印加を継続し、圧電素子17を伸長させると、第2押圧部材32Bはチューブ70を押しつぶしていてそれ以上移動できないため、本体部110および第1押圧部材31Bが前記付勢手段15Bの付勢力に抗してその付勢方向とは逆方向に移動し、第1押圧部材31Bで塞がれていた出口バルブが開かれる。すると、液体で膨らんでいたチューブ70が自身の弾性力で元の状態に戻ろうとするため、その内部の液体が吐出バルブから吐出される。
次に、圧電素子17への電圧印加を中止して圧電素子が元の状態に縮小すると、前記付勢手段15Bの付勢力で第1押圧部材31Bがチューブ70を押しつぶし、出口バルブが閉じられる。さらに、第2押圧部材32Bが元の位置に戻るため、チューブ70を開放し、入口バルブが開かれる。従って、液体吐出装置1Dでは、2つの押圧部材31B,32Bを動作させても液体吐出動作を実現できる。
【0095】
[第3変形例]
また、前記各実施形態では、変位部124,134に第3ヒンジ部125,135および圧電素子第2端部取付部126,136を設け、この取付部123,126にスペーサ127,137を介して圧電素子17,18を取り付けていた。これに対し、図22に示すように、第3ヒンジ部125,135を設けずに、変位部124A,134Aにスペーサ127,137を介して圧電素子17,18を取り付けてもよい。このような構成においても、第1ヒンジ部121,131、第2ヒンジ部122,132が形成されているため、圧電素子17,18が伸長するとヒンジ部121,122,131,132が弾性変形し、変位部124A,134Aおよび圧電素子17,18が傾き、各押圧部材31A〜33Aがダイアフラム50側に移動する。
さらに、図22に示すように、ポンプケース5およびガイドブロック20A間にコイルバネ241を配置し、このコイルバネ241の付勢力によってダイアフラム50を凹部形成面43に密着させてもよい。この場合、コイルバネ241の付勢力によって、ダイアフラム50を凹部形成面43に密着させる力を容易に設定することができる。また、ダイアフラム50の厚み寸法がばらついていても、そのばらつきをコイルバネ241で吸収してダイアフラム50を凹部形成面43に確実に密着できる。
また、前記実施形態では、押圧ロッド311,321,331の長さが異なっていたが、図22に示すように、同じ長さの押圧ロッドを用いてもよい。この場合、第1〜3押圧部材31A,32A,33Aのサイズおよび形状を同一にでき、部品種類を少なくできる。
さらに、前記実施形態では、押圧部材31,32をアーム部112、変位部134に直接当接させていたが、その構成に限らない。例えば、図22に示すように、アーム部112A、変位部134Aにキャップ部材141を取り付け、このキャップ部材141に押圧部材31A,32Aを当接させてもよい。すなわち、キャップ部材141は、第1の端部が開口され、第2の端部が閉塞された筒状部材で構成されている。そして、キャップ部材141内部に接着剤142を充填後、アーム部112A、変位部134Aに形成された挿入部143をキャップ部材141内部に挿入し、キャップ部材141の位置を調整する。図22では、変位部124Aおよびキャップ部材141において、押圧部材31A,32A,33Aに当接する各面が揃うように、キャップ部材141の位置を調整し、接着剤142で固定している。このような構成であれば、変位拡大板10のアーム部112A、変位部124A,134Aの寸法精度が低い場合でも、キャップ部材141の取付位置を調整することで、変位部124Aおよびキャップ部材141に当接する押圧部材31A,32A,33Aの位置ずれを防止できる。
【0096】
[第4変形例]
前記各実施形態や変形例では、ケース5に対して変位拡大板10,10Bを軸11および軸受12で回転可能に支持したり、ガイドレール80でスライド可能に支持している。この場合、軸11および軸受12部分や、ピン113および連結部材153部分の転がり部や、ガイドレール80部分の滑り部等の音の発生原因となる部分が存在する。このため、例えば、薬液バッグ等の容器に収容された薬液を、チューブを介して人体等へ輸送する医療用の点滴装置等に用いられる輸液ポンプでは、音の発生は点滴装置を使用している病人などにとって煩わしく、負担となるおそれがある。
そこで、本変形例の液体吐出装置1Eでは、図23に示すように、変位拡大板10E自体にバネ部を形成し、転がり部や滑り部を無くして音の発生を低減したものである。なお、本変形例では、液体吐出装置1Eとしてチューブ70を用いたチューブポンプを例示している。
【0097】
液体吐出装置1Eは、図24の底面図にも示すように、一対の側板201を備えており、この側板201間にスペーサ202を介して変位拡大板10Eがねじ止めされている。
変位拡大板10Eは、図22に示す変位拡大板10と同様に、本体部110と、第1変位拡大部120と、第2変位拡大部130とを備えて構成されている。
本体部110は、変位拡大板10の上部に設けられた基端部111と、この基端部111の一方の端部側から下方に向かって延長されたアーム部112Aとを備える。さらに、本体部110は、基端部111の他方の他端部から上方側に連続して形成されたバネ部114と、バネ部114に連続して形成された固定部115とを備えて形成されている。
【0098】
バネ部114は、互い違いに切れ込みが形成されてジグザグ形状に形成されている。また、固定部115には、複数のネジ穴116が形成されている。そして、変位拡大板10Eは、固定部115に対応して設けられるスペーサ202間に配置され、側板201からスペーサ202を介して前記ネジ穴116にネジ203をねじ込むことで固定されている。
【0099】
アーム部112Aの挿入部143には、第1押圧部材である出口フィンガ231がエポキシ等の接着剤142で接着されている。
第1変位拡大部120の変位部124Aには、第2押圧部材である入口フィンガ232がスプリングピンで固定されている。
第2変位拡大部130の変位部134Aの挿入部143には、第3押圧部材である計量フィンガ233が接着剤142で接着されている。
【0100】
出口フィンガ231、入口フィンガ232は、図24にも示すように、平板状に形成され、その先端は図23に示すように断面山形に形成され、チューブ70を容易に押し潰すことができるように構成されている。
一方、計量フィンガ233の先端は、平らに形成されてチューブ70に当接する面積が他のフィンガ231,232に比べて大きく設定されている。このため、計量フィンガ233でチューブ70を押した際に、比較的大きな面積でチューブ70を押すことができる。
【0101】
各側板201には、一対のチューブガイド205がネジ止めされている。各チューブガイド205は、略板状に形成され、図23に示すように、上下方向に所定間隔離れて配置されて側板201に固定されている。このチューブガイド205には、チューブ70を案内するガイド溝205Aが形成されている。
チューブガイド205間には、チューブ押さえ206が配置されている。このチューブ押さえ206および各チューブガイド205には、シャフト207が架け渡されている。このため、チューブ押さえ206は、シャフト207を回転軸として回転可能とされている。また、チューブ押さえ206のシャフト207が配置された側とは反対側にはローレットネジ208が取り付けられている。このローレットネジ208は、チューブ押さえ206を貫通して、図示略のナットブロックにねじ込まれている。ナットブロックは側板201に固定されており、ローレットネジ208を締め付けると、チューブ押さえ206は図23,24に示すように、チューブ70を押さえて所定位置に配置できる。また、ローレットネジ208を外すと、チューブ押さえ206を回動できるため、チューブ70のセットや取り外しを容易に行うことができる。
【0102】
本変形例では、各圧電素子17,18に電圧を印加していない初期状態では、出口フィンガ231のみがチューブ70を押し潰している。この際、変位拡大板10Eのバネ部114が撓んで、出口フィンガ231に付勢力が加わり、チューブ70を押圧するように、変位拡大板10Eの取付位置や、出口フィンガ231の取付位置が調整されている。
従って、前記実施形態と同様に、各圧電素子17,18に適宜電圧を印加して、各フィンガ231〜233を移動することで、液体の吐出が行われる。
【0103】
本変形例によれば、変位拡大板10Eに直接バネ部114を形成し、転がり部やすべり部を無くしているので、液体吐出装置1Eの駆動時の音の発生を非常に小さくできる。このため、患者に対する輸液ポンプとして本変形例を用いれば、作動音を非常に小さくできる。
また、バネ部114が設けられているので、チューブ70に対して過剰な押圧力が加わることも防止でき、チューブ70の長寿命化を図ることができる。
【0104】
[第5変形例]
第5変形例の液体吐出装置1Fは、図25〜28に示すように、第4変形例の液体吐出装置1Eに対し、計量フィンガ233を1つから2つに増やして計量室の容量を増やした点が相違する。そして、変位拡大板は、出口フィンガ231および入口フィンガ232を駆動するバルブ用の変位拡大板10Fと、2つの計量フィンガ233を駆動する計量用の変位拡大板10Gとを備えている。
変位拡大板10Fは、第2変位拡大部130を備えていない点を除き、前記変位拡大板10Eと同様の構成である。
従って、初期状態では、バネ部114により出口フィンガ231がチューブ70を押し潰している。また、圧電素子17が電圧印加により伸長すると、変位部124Aが傾いて入口フィンガ232をチューブ70側に移動する。入口フィンガ232がチューブ70を押し潰してそれ以上移動できない状態でさらに圧電素子17が伸長すると、その反作用でバネ部114が撓み、アーム部112Aおよび出口フィンガ231がチューブ70から離れる方向に移動する。
また、圧電素子17が電圧印加停止により元の長さに戻ると、バネ部114の付勢力によって出口フィンガ231がチューブ70を押し潰し、入口フィンガ232がチューブ70を開放して元の状態に戻る。
【0105】
変位拡大板10Gは、本体部250と、第1変位拡大部260と、第2変位拡大部270とを備えている。本体部250は、スペーサ202を介して側板201に固定されている。
各変位拡大部260,270は、それぞれ、第1ヒンジ部261,271と、第2ヒンジ部262,272と、圧電素子263,273と、変位部264,274とを備えている。
変位部264には、スプリングピンにより第1の計量フィンガ233が取り付けられている。また、変位部274には挿入部143が形成され、接着剤142により第2の計量フィンガ233が固定されている。なお、変位拡大板10Gは、各計量フィンガ233を駆動する圧電素子263,273をそれぞれ設けているので、各計量フィンガ233をチューブ70に押圧するための付勢力を加える必要が無く、変位拡大板10Fのようにバネ部114を設ける必要がない。
従って、各圧電素子263,273に電圧を印加すれば、各計量フィンガ233は互いに独立して移動する。従って、計量室の容積の変化量に応じて各計量フィンガ233の移動量を個別に調整すればよい。例えば、吐出量が小さい場合は、一方の計量フィンガ233のみを移動し、吐出量が大きくなった場合は、両方の計量フィンガ233を移動するように制御してもよい。
【0106】
本変形例によっても、変位拡大板10Fにバネ部114を設けているので、液体吐出装置1Fの動作音を非常に小さくできる。
また、複数の計量フィンガ233を配置駆動できるので、計量フィンガ233が1つの場合に比べて計量室の変化量つまりは吐出量の増加させることができる。
【0107】
[他の変形例]
さらに、本発明は前記各実施形態や各変形例に限定されない。
例えば、ダイアフラムポンプやチューブポンプなどの液体吐出装置1〜1Fにおける変位拡大板、付勢手段、押圧部材、流路ブロック等の形状、構成などは前記実施形態のものに限定されず、実施にあたって適宜設定すればよい。
また、前記実施形態では、付勢手段15,15Bで付勢される第1押圧部材31,31Bで出口バルブを開閉し、圧電素子17で移動される第2押圧部材32,32Bで入口バルブを開閉していたが、逆に、第1押圧部材31,31Bで入口バルブを開閉し、第2押圧部材32,32Bで出口バルブを開閉するように構成してもよい。
【0108】
前記実施形態では、各圧電素子17,18は印加電圧値で制御していたが、例えば、変位拡大板10,10Bの変位部分に歪みゲージを設けたり、押圧部材の位置を検出するセンサなどを設けて、駆動状態を検出し、その検出値に基づいてフィードバック制御を行うように設定してもよい。
【0109】
また、本発明の液体吐出装置は、電子部品の製造装置に組み込んで利用してもよい。すなわち、電子部品の製造装置は、前述の液体吐出装置と、この液体吐出装置に液体を供給する液体供給手段と、前記液体吐出装置の駆動手段を制御する制御装置とを備えて構成され、前記液体供給手段から供給される液体を前記液体吐出装置を介してノズル452から吐出して電子部品を製造するものとすればよい。
このような電子部品の製造装置では、極微量の液体を精度良く移送できる前述の液体吐出装置を用いているので、前記ノズル452から極微量の液体を高精度に吐出できる。
【0110】
さらに、本発明の圧電駆動装置は、前記液体吐出装置の駆動源だけでなく、様々な機械の駆動源として利用できる。すなわち、圧電駆動装置は、複数の被駆動体を駆動する駆動源として広く利用できる。特に、一方の被駆動体は、付勢手段の付勢力で移動されるとともに、他方の被駆動体が圧電素子の伸長に伴って移動して対象物に当接した際に、その反力で前記付勢手段の付勢方向とは逆方向に移動されるため、各被駆動体を交互に駆動するような駆動源に特に適している。また、圧電駆動装置は、圧電素子を用いており、かつ、変位拡大機構によってある程度の変位量を確保できるため、小型の機器の駆動源に適している。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】本発明の第1実施形態の液体吐出装置を示す縦断面図である。
【図2】前記第1実施形態の圧電駆動装置を示す拡大図である。
【図3】前記第1実施形態のポンプ部を示す拡大図である。
【図4】前記第1実施形態のポンプケースおよび変位拡大板を駆動部ケース側から見た側面図である。
【図5】前記第1実施形態の液体吐出装置における駆動部ケース側の側面図である。
【図6】前記第1実施形態の流路ブロックを示す図であり、(A)は正面図、(B)は断面図である。
【図7】前記第1実施形態の液体吐出装置におけるポンプケース側の側面図である。
【図8】前記第1実施形態の液体吐出装置における上面図である。
【図9】図1のA−A線に沿った断面図である。
【図10】前記第1実施形態における計量工程を示す図である。
【図11】前記第1実施形態におけるバルブ切替工程を示す図である。
【図12】前記第1実施形態における原点状態を示す説明図である。
【図13】前記第1実施形態における計量工程を示す説明図である。
【図14】前記第1実施形態におけるバルブ切替工程を示す説明図である。
【図15】前記第1実施形態における吐出工程を示す説明図である。
【図16】前記第1実施形態におけるバルブ切替&吸入工程を示す説明図である。
【図17】本発明の第2実施形態を示す縦断面図である。
【図18】本発明の第2実施形態の側面図である。
【図19】図17のB−B線に沿った断面図である。
【図20】本発明の第1変形例を示す縦断面図である。
【図21】本発明の第2変形例を示す縦断面図である。
【図22】本発明の第3変形例を示す縦断面図である。
【図23】本発明の第4変形例を示す縦断面図である。
【図24】本発明の第4変形例を示す底面図である。
【図25】本発明の第5変形例を示す縦断面図である。
【図26】本発明の第5変形例を示す縦断面図である。
【図27】本発明の第5変形例を示す側面図である。
【図28】本発明の第5変形例を示す底面図である。
【符号の説明】
【0112】
1,1B,1C,1D,1E,1F…液体吐出装置、2…圧電駆動装置、3…ポンプ部、4…駆動部ケース、5…ポンプケース、6…駆動装置本体、10,10B…変位拡大板、11…軸、15,15B…付勢手段、17…第1圧電素子、18…第2圧電素子、20…ガイドブロック、24…高さ調整シム、31,31B…第1押圧部材、32,32B…第2押圧部材、33,33B…第3押圧部材、40…流路ブロック、43…凹部形成面、44…液体吸入ポート、45…液体吐出ポート、50…ダイアフラム、60…側板、62…ブロック取付ネジ、63…ステー、70…チューブ、71…チューブ受け取付板、72…チューブ受けブロック、80…ガイドレール、81…付勢手段であるバネ、110…本体部、111…基端部、112,112B…アーム部、120…第1変位拡大部、130…第2変位拡大部、121,122,125,131,132,135…ヒンジ部、157…コイルバネ、311,321,331…押圧ロッド、312,322,332…ロッド受、313,323,333…戻しバネ、315,325,335…ロッド、317,327,337…接続ロッド、319,329,339…戻しバネ、431〜433…凹部、441…吸入流路、451…吐出流路、452…ノズル。
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電素子を駆動源とする圧電駆動装置と、この圧電駆動装置を用いた液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ダイアフラム(ダイヤフラム)やチューブを用いたダイアフラムポンプ、チューブポンプは、ダイアフラムやチューブを合成樹脂製にすることなどで、送る液にダメージを与えず、各種フィラー入りの液体の吐出も可能となり、液漏れ防止用のシール材を用いる必要がなく、液が金属に触れない構造も可能などの利点があり、化学・薬品、半導体、印刷などの広い分野で使用されている。
このようなポンプは、ダイアフラムやチューブに対して複数の押圧ロッドを順次往復駆動させてダイアフラムやチューブを押圧したり、その押圧を解除することで液体の吸入、計量、吐出動作を繰り返すことで液を吐出している。そして、押圧ロッドの駆動には、エアシリンダを用いたものも知られているが、エアシリンダ駆動に比べて高速駆動が可能であるため、モータで回転されるカムを利用したものも利用されるようになった(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2006−29314号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記カム駆動方式は、エアシリンダ駆動に比べて、高速駆動が可能であるが、コンパクトに構成することが難しく、ポンプが大型化してしまうという問題があった。特に、LED等の各種製品の製造ラインにおいては、生産用ロボットのアーム先端にポンプを取り付けて移動させながら液体を吐出する場合もあり、できるだけコンパクトで軽量なポンプが求められていたが、カム駆動ではこのような要望に応えられないという問題があった。
【0005】
このように、押圧ロッドのような被駆動体を高速に往復駆動することができ、かつ、コンパクトで軽量に構成できる駆動装置は、前記ダイアフラムポンプやチューブポンプの駆動源だけでなく、様々な機器の駆動源として従来から要望されていた。
【0006】
本発明の目的は、被駆動体を高速に駆動でき、かつコンパクトで軽量に構成できる駆動装置と、この駆動装置を利用した液体吐出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の圧電駆動装置は、ケースと、前記ケースに対して移動可能に設けられた駆動装置本体とを備え、前記駆動装置本体は、変位拡大板と、付勢手段と、前記変位拡大板に取り付けられた圧電素子とを備え、前記変位拡大板は、前記ケースに対して回動自在またはスライド移動自在に取り付けられかつ前記付勢手段によって付勢された本体部と、前記圧電素子に電圧を印加して圧電素子が伸長した際には、その変位を拡大し、前記本体部に対して圧電素子の伸長方向に直交する方向に変位される変位拡大部とを備え、前記圧電素子に電圧が印加されていない状態では、前記付勢手段で付勢された本体部によって第1の被駆動体が移動され、前記圧電素子に電圧が印加されると、前記変位拡大部によって第2の被駆動体が移動され、第2の被駆動体が対象物に当接した状態からさらに圧電素子に電圧を印加して変位拡大部の変位を拡大させると、前記付勢手段の付勢力に抗して本体部および第1の被駆動体が前記付勢手段の付勢力で移動される方向とは逆方向に移動されることを特徴とする。
【0008】
このような本発明においては、圧電素子を利用して被駆動体を駆動しているので、エアシリンダを利用した場合と同等程度に小型、軽量化することができ、サーボモータ、ソレノイド、カムなどを用いた場合に比べて、駆動装置を容易に小型化できる。
その上、本体部で移動される第1被駆動体は、本体部を付勢する付勢手段と、変位拡大部を変位させて第2被駆動体を移動させる圧電素子とを利用して往復移動が可能なため、2つの被駆動体を移動させる場合には、本体部の他に1つの圧電素子および変位拡大部を設ければよい。このため、被駆動体毎に圧電素子を設けて駆動させる場合に比べて圧電素子の数を少なくでき、この点でも駆動装置をコンパクトに構成できるとともに、コストも低減できる。
【0009】
また、圧電素子は高速駆動が可能なため、エアシリンダ駆動に比べて高速に被駆動体を駆動できる。
さらに、圧電素子は、エアシリンダ駆動に比べて発生力が大きいため、被駆動体を確実に駆動させることができる。
その上、圧電素子の変位量は、圧電素子に加える電圧値で容易に調整できるため、被駆動体の移動量も精度よくかつ容易に調整できる。
【0010】
また、変位拡大部を介して被駆動体を移動させているので、圧電素子の伸長量が小さい場合でも、その変位量を拡大でき、圧電素子の変位量に比べて被駆動体の移動量を大幅に大きくすることができる。
【0011】
ここで、前記圧電素子は、第1圧電素子および第2圧電素子を備え、前記変位拡大部は、前記第1圧電素子の伸長に伴い、前記本体部に対して第1圧電素子の伸長方向に直交する方向に変位される第1変位拡大部と、前記第2圧電素子の伸長に伴い、前記本体部に対して第2圧電素子の伸長方向に直交する方向に変位される第2変位拡大部とを備え、前記本体部で第1被駆動体が移動され、前記第1変位拡大部で第2被駆動体が移動され、前記第2変位拡大部で第3被駆動体が移動されることが好ましい。
【0012】
このような本発明においては、本体部の他に、第1および第2の2つの圧電素子と、第1および第2の2つの変位拡大部を設けたので、第1〜3の3つの被駆動体を移動させることができる。このため、2つの被駆動体を移動させる圧電駆動装置に比べて、より複雑な動作を行うことができる。
【0013】
ここで、前記本体部は、基端部と、この基端部から延長されたアーム部とを備えて平面略L字状に形成され、前記変位拡大部は、前記本体部の基端部から連続して形成され、かつ互いに平行に配置された第1ヒンジ部および第2ヒンジ部と、前記第1ヒンジ部に連続して形成されて前記圧電素子の第1の端部が取り付けられた圧電素子第1端部取付部と、前記第2ヒンジ部に連続して形成されて前記圧電素子の長手方向に沿ってかつ前記圧電素子の第2の端部側まで延長された変位部と、前記変位部から圧電素子の第2の端部側に向かって形成された第3ヒンジ部と、前記第3ヒンジ部に連続して形成されて前記圧電素子の第2の端部が取り付けられた圧電素子第2端部取付部と備えて形成され、前記アーム部、圧電素子、変位部は略平行に配置されていることが好ましい。
【0014】
このような構成によれば、変位拡大板を一体成形したので、圧電素子の伸縮に対応する駆動部の変位量を精度良く設定できる。
すなわち、圧電素子の伸長量は非常に小さいため、変位を伝達する経路途中にピンやカムなどが存在すると、その部分の「がた」で変位が吸入されてしまうおそれがある。これに対し、本発明では、変位拡大板をワイヤカットなどで一体成形したので、変位が吸入されてしまうことがなく、圧電素子の伸長に伴い変位拡大部を所定量だけ確実に変位させることができる。
【0015】
また、前記本体部は、基端部と、この基端部から延長されたアーム部とを備えて平面略L字状に形成され、前記変位拡大部は、前記本体部の基端部から連続して形成され、かつ互いに平行に配置された第1ヒンジ部および第2ヒンジ部と、前記第1ヒンジ部に連続して形成されて前記圧電素子の第1の端部が取り付けられた圧電素子第1端部取付部と、前記第2ヒンジ部に連続して形成されて前記圧電素子の長手方向に沿ってかつ前記圧電素子の第2の端部側まで延長されて前記圧電素子の第2の端部が取り付けられた変位部とを備えて形成され、前記アーム部、圧電素子、変位部は略平行に配置されているものでもよい。
【0016】
このような構成においても、変位拡大板を一体成形したので、圧電素子の伸縮に対応する駆動部の変位量を精度良く設定できる。
さらに、第3ヒンジ部を設けていないので、変位拡大板の形状が簡易となり、変位拡大板をワイヤカットなどで一体成形する際の加工も容易になる。
【0017】
さらに、前記各被駆動体は、ガイドブロックに案内され、かつ、前記付勢手段の付勢力で移動される方向およびその方向とは反対方向に移動可能に設けられた押圧部材で構成され、前記付勢手段による付勢力を解除する付勢力解除手段と、前記ガイドブロックに対して前記押圧部材を、前記付勢手段の付勢力で移動される方向とは反対方向に付勢し、前記付勢手段による付勢力が解除された際には、各押圧部材の先端がガイドブロックの端面から突出しない位置まで各押圧部材を移動する戻しバネと、を備えることが好ましい。
【0018】
このような構成によれば、付勢力解除手段および戻しバネを設けたので、付勢力解除手段によって各被駆動体である押圧部材の付勢を解除すると、戻しバネで各押圧部材が前記付勢手段による付勢方向とは反対方向に移動する。そして、各押圧部材は、その先端(前記付勢手段によって付勢される方向の先端)が、押圧部材を案内するガイドブロックの端面から突出しない位置まで移動される。このため、付勢力を解除した状態ではガイドブロックの端面から押圧部材が突出しないため、ガイドブロックの端面に沿ってダイアフラムを配置する際には、ダイアフラムを平らにセットできる。従って、ダイアフラムの一部が変形してセットされるために生じる吐出量の誤差を低減できる。同様に、弾性体としてチューブを用いた場合も、チューブの一部が変形してセットされることも無く、その変形によって生じる吐出量の誤差を低減できる。
さらに、液体吐出装置を停止している場合には、付勢力解除手段で押圧部材の付勢を解除できるため、ダイアフラムやチューブが押圧部材で常に付勢されることを防止でき、ダイアフラムやチューブの永久変形を少なくできる。このため、ダイアフラムやチューブを交換するまでの期間を延長でき、交換コストも低減できる。
【0019】
本発明の圧電駆動装置は、ケースと、前記ケースに対して移動可能に設けられた駆動装置本体とを備え、前記駆動装置本体は、変位拡大板と、前記変位拡大板に取り付けられた圧電素子とを備え、前記変位拡大板は、前記ケースに対して固定された固定部と、固定部からバネ部を介して連続して設けられた本体部と、前記圧電素子に電圧を印加して圧電素子が伸長した際には、その変位を拡大し、前記本体部に対して圧電素子の伸長方向に直交する方向に変位される変位拡大部とを備え、前記圧電素子に電圧が印加されていない状態では、前記バネ部で付勢された本体部によって第1の被駆動体が移動され、前記圧電素子に電圧が印加されると、前記変位拡大部によって第2の被駆動体が移動され、第2の被駆動体が対象物に当接した状態からさらに圧電素子に電圧を印加して変位拡大部の変位を拡大させると、前記バネ部の付勢力に抗して本体部および第1の被駆動体が前記バネ部の付勢力で移動される方向とは逆方向に移動されることを特徴とするものでもよい。
【0020】
このような構成によれば、変位拡大板自体にバネ部を設けているので、別途、コイルバネなどの付勢手段を設ける必要が無く、部品点数を少なくできる。
また、コイルバネなどの付勢手段を設けた場合には、変位拡大板をケースに対して回転可能あるいはスライド移動可能に支持する必要がある。この場合、変位拡大板を支持する転がり部や滑り部などの音の発生原因となる部分が存在する。これに対し、本発明では、変位拡大板自体にバネ部を形成しているので、転がり部や滑り部を無くして音の発生を低減でき、作動音の小さな圧電駆動装置を構成できる。
【0021】
本発明の液体吐出装置は、前記圧電駆動装置と、前記圧電駆動装置の本体部で移動される第1被駆動体である第1押圧部材と、前記圧電駆動装置の変位拡大部で移動される第2被駆動体である第2押圧部材と、前記第1押圧部材および第2押圧部材によって押圧されるチューブとを備えることを特徴とする。
【0022】
このような液体吐出装置であれば、圧電素子に電圧を印加していない際は、本体部を付勢する付勢手段の付勢力によって、第1被駆動体である第1押圧部材をチューブに押しつけてチューブを塞ぎ、かつ、第2被駆動体である第2押圧部材はチューブを押しつぶさない状態とし、圧電素子に電圧を印加すると、第2押圧部材が移動してチューブを押しつぶし、さらに圧電素子に電圧を印加すると第2押圧部材がチューブを押しつぶしてそれ以上移動できないため、その反力で本体部および第1押圧部材をチューブから離れる方向に移動することができる。
従って、第1押圧部材および第2押圧部材の一方を、液体吐出装置の出口バルブとし、他方を、液体吐出装置の入口バルブとすれば、チューブ内に液体を圧送し、各バルブの開閉を切り替えることで液体吐出動作を実現できる。例えば、第1押圧部材を出口バルブとし、第2押圧部材を入口バルブとすれば、圧電素子に電圧を印加していない状態では付勢手段の付勢力によって第1押圧部材がチューブを押しつぶし、出口バルブを閉じた状態に維持し、一方、第2押圧部材は入口バルブを開いた状態に維持する。この状態でチューブ内に液体を圧送すれば、出口バルブが塞がれているため、出口バルブの上流側(入口バルブ側)のチューブがふくらみ、液体が貯められる。そして、圧電素子に電圧を印加して圧電素子を伸長させ、第2押圧部材を移動してチューブを押しつぶして入口バルブを閉じれば、入口バルブおよび出口バルブ間の膨らんだチューブ内に液体が区画される。さらに、圧電素子への電圧印加を継続し、圧電素子を伸長させると、第2押圧部材はチューブを押しつぶしていてそれ以上移動できないため、本体部および第1押圧部材が前記付勢手段の付勢力に抗してその付勢方向とは逆方向に移動し、第1押圧部材で塞がれていた出口バルブが開かれる。すると、液体で膨らんでいたチューブが自身の弾性力で元の状態に戻ろうとするため、その内部の液体が吐出バルブから吐出される。
次に、圧電素子への電圧印加を中止して圧電素子が元の状態に縮小すると、前記付勢手段の付勢力で第1押圧部材がチューブを押しつぶし、出口バルブが閉じられる。さらに、第2押圧部材が元の位置に戻るため、チューブを開放し、入口バルブが開かれる。
【0023】
以上のように、一方の押圧部材のみがチューブを塞いでいる状態から、両方の押圧部材がチューブを塞いでいる状態を経由して、他方の押圧部材のみがチューブを塞いでいる状態に変化させることができるので、液体を圧送することと組み合わせることで、微量な液体も吐出可能な液体吐出装置を構成できる。
そして、圧電素子を利用した圧電駆動装置で各押圧部材を駆動しているため、高速駆動が可能で、かつ、液体吐出装置を容易に小型化および薄型化することができる。
【0024】
本発明の液体吐出装置は、前記圧電駆動装置と、前記圧電駆動装置の本体部で移動される第1被駆動体である第1押圧部材と、前記圧電駆動装置の第1変位拡大部で移動される第2被駆動体である第2押圧部材と、前記圧電駆動装置の第2変位拡大部で移動される第3被駆動体である第3押圧部材と、前記第1押圧部材、第2押圧部材および第3押圧部材によって押圧されるチューブまたはダイアフラムとを備えることを特徴とする。
【0025】
このような液体吐出装置であれば、本体部によって移動される第1押圧部材と、第1圧電素子および第1変位拡大部の動作で移動される第2押圧部材とに加えて、第2圧電素子および第2変位拡大部の動作で移動される第3押圧部材を設けることができる。
このため、第1押圧部材および第2押圧部材の一方を、チューブやダイアフラムを押圧して開閉する出口バルブとし、他方を入口バルブとし、第3押圧部材を入口バルブおよび出口バルブ間でチューブやダイアフラムを押圧して各バルブで区画される計量空間を変化させる計量部材とすれば、出口バルブを閉じた状態で入口バルブを開き、計量部材で計量空間を広げることで液体を吸入できる。そして、入口バルブを閉じれば各バルブ間に区画形成される計量空間内に液体が区画される。次に、出口バルブを開き、計量部材でチューブやダイアフラムを押圧して計量空間を狭めると、その変化分の液体が出口バルブから吐出されることで液体吐出動作を実現できる。
【0026】
また、第3押圧部材で計量空間の容積を変化させて液体の吸入や吐出を行っているので、液体を加圧して供給する必要が無く、液体吐出装置をチューブポンプやダイアフラムポンプとして利用することができる。
さらに、圧電素子を利用した圧電駆動装置で第1〜3の各押圧部材を駆動しているため、高速駆動が可能で、かつ、液体吐出装置を容易に小型化できる。さらに、圧電素子や変位拡大板は薄型に形成できるので、液体吐出装置自体も薄型化することができ、生産ラインにおいて複数の液体吐出装置を並べて配置する場合に各液体吐出装置間の間隔を小さくできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1には、本実施形態の液体吐出装置1が示されている。なお、以下の説明においては、便宜上、図1の上側を上方、下側を下方として説明するが、液体吐出装置1の使用時の向きは図1のものに限らず、水平方向に向けて用いたり、上下を逆にして用いてもよい。
【0028】
液体吐出装置1は、ダイアフラムポンプであり、液体吐出装置1の圧電駆動装置2と、ポンプ部3とを備えている。
【0029】
[圧電駆動装置の構成]
圧電駆動装置2は、駆動部ケース4と、この駆動部ケース4にねじ止めされたポンプケース5と、駆動装置本体6とを備えて構成されている。
駆動装置本体6は、前記ケース4,5内に内蔵された変位拡大板10と、付勢手段15と、変位拡大板10に固定された第1圧電素子17および第2圧電素子18とを備えている。
【0030】
[変位拡大板の構成]
変位拡大板10は、マルエージ鋼、ステンレス、インバー材などの曲げ変形(弾性変形)可能な薄板材で構成され、1枚の板材をワイヤカットなどで以下に説明する所定の形状に切断することで製造されている。
また、変位拡大板10は、図2にも示すように、変位拡大板10に設けられた軸11を、ポンプケース5に取り付けられた軸受12で支持することで、ケース4,5に対して回転自在に配置されている。なお、軸受12は、図示しないストップリングで脱落しないようにポンプケース5に取り付けられている。
【0031】
変位拡大板10は、本体部110と、第1変位拡大部120と、第2変位拡大部130とを備えて構成されている。
本体部110は、変位拡大板10の上部に設けられた基端部111と、この基端部111の一方の端部側(駆動部ケース4側)から下方に向かって延長されたアーム部112とを備えて平面略L字状に形成されている。そして、基端部111の他方の端部側(ポンプケース5側)に前記軸11が設けられている。
【0032】
第1変位拡大部120は、第1ヒンジ部121と、第2ヒンジ部122と、圧電素子第1端部取付部123と、変位部124と、第3ヒンジ部125と、圧電素子第2端部取付部126とを備えている。
第1ヒンジ部121および第2ヒンジ部122は、基端部111の下面から下方に向かって突出して形成され、かつ互いに平行に配置されている。
【0033】
圧電素子第1端部取付部123は、前記第1ヒンジ部121に連続して形成されている。この圧電素子第1端部取付部123には第1圧電素子17の軸方向の第1端部(上端)が取り付けられている。
変位部124は、前記第2ヒンジ部122に連続して形成されて前記第1圧電素子17の長手方向(上下方向)に沿ってかつ第1圧電素子17の第2端部(下端)側まで延長されている。すなわち、変位部124は、第2ヒンジ部122から下方に向かって延長形成された延長部1241と、第1圧電素子17の第2端部よりも下方の位置で水平方向(第1圧電素子17側)に延長された連結部1242とを備えており、図1に示すように、平面形状が略L字状に形成されている。
【0034】
第3ヒンジ部125は、前記変位部124の連結部1242から第1圧電素子17の第2端部側に向かって突出して形成されている。
圧電素子第2端部取付部126は、前記第3ヒンジ部125に連続して形成され、前記第1圧電素子17の第2端部側が取り付けられている。
なお、取付部126および第1圧電素子17間には、スペーサ127が介在されている。また、各ヒンジ部121,122,125は、変位部124などの他の部分に比べて幅寸法が小さな細幅部とされているため、応力が加わると弾性変形可能に構成されている。
【0035】
第2変位拡大部130は、第1変位拡大部120よりも1段低い位置に設けられている点を除いて第1変位拡大部120と同一の構造とされている。
すなわち、第2変位拡大部130は、第1ヒンジ部131と、第2ヒンジ部132と、圧電素子第1端部取付部133と、変位部134と、第3ヒンジ部135と、圧電素子第2端部取付部136とを備えており、各構成は前記第1変位拡大部120の第1ヒンジ部121と、第2ヒンジ部122と、圧電素子第1端部取付部123と、変位部124と、第3ヒンジ部125と、圧電素子第2端部取付部126と同一である。従って、変位部134も延長部1341と、連結部1342とを備えた平面略L字状に形成されている。
【0036】
そして、第2変位拡大部130においても、圧電素子第1端部取付部133に第2圧電素子18の第1端部が取り付けられ、圧電素子第2端部取付部136にスペーサ137を介して第2圧電素子18の第2端部が取り付けられている。
【0037】
従って、本体部110のアーム部112、第1変位拡大部120の変位部124(延長部1241)、第2変位拡大部130の変位部134(延長部1341)、第1圧電素子17、第2圧電素子18は、それぞれ上下方向に沿って配置されており、互いにほぼ平行に配置されている。
なお、ポンプケース5の上端には、各圧電素子17,18を駆動制御する制御装置(図示略)を接続するためのコネクタ8が設けられている。
【0038】
[付勢手段の構成]
付勢手段15は、図1に示すように、下側バネケース151、上側バネケース152、連結部材153、ネジバネ座154、調整バネ座155、間隔調整ネジ156、コイルバネ157、バネ押し部材158を備えている。
下側バネケース151、上側バネケース152は、上側バネケース152から下側バネケース151を介して駆動部ケース4に固定ネジをねじ込むことなどでケース4に取り付けられている。
連結部材153は、下側バネケース151内を上下方向にスライド移動可能に設けられている。そして、この連結部材153には係合溝153Aが形成され、この係合溝153Aは、変位拡大板10の基端部111に設けられたピン113に係合されている。
【0039】
ネジバネ座154および調整バネ座155間には、前記コイルバネ157が配置されている。また、ネジバネ座154および調整バネ座155間の間隔は、ネジバネ座154の下側に設けられたナット159と、このナット159に螺合される間隔調整ネジ156とによって、ネジバネ座154の高さ位置を調整することで調整されている。この間隔調整ネジ156の下端は前記連結部材153に当接されている。
【0040】
また、バネ押し部材158には平行ピン158Aが取り付けられている。一方、上側バネケース152には前記平行ピン158Aが挿通可能な溝が上側バネケース152の上端から連続して形成されている。従って、前記平行ピン158Aを前記溝部分に挿通させながらバネ押し部材158を上側バネケース152の上部側から挿入し、その後、バネ押し部材158を90度回転させることで、前記平行ピン158Aを上側バネケース152の上部フランジに係止させることでバネ押し部材158を上側バネケース152に装着できるように構成されている。
【0041】
従って、バネ押し部材158を図1の状態から90度回転させて上側バネケース152から取り外すと、調整バネ座155が上方に移動可能となり、各バネ座154,155間の間隔が広がるためにコイルバネ157によって本体部110に加えられる付勢力が解除される。
一方、バネ押し部材158を図1のように、上側バネケース152に取り付けると、各バネ座154,155間の間隔が狭められるので、その間隔に応じた付勢力がコイルバネ157によって連結部材153を介して本体部110に加えられる。
そして、この際の付勢力は、前記間隔調整ネジ156を回してネジバネ座154を上下に移動させ、バネ押し部材158を装着した際の各バネ座154,155間の間隔を調整することで調整される。
【0042】
以上の構成の付勢手段15によって、変位拡大板10は、軸11を回動中心として図1中時計回りに回転するように付勢されている。
また、前記バネ押し部材部材158を備えて付勢手段15の付勢力を解除する付勢力解除手段が構成されている。
【0043】
[ポンプ部の構成]
一方、ポンプケース5には、前記圧電駆動装置2によって駆動されるポンプ部3が設けられている。ポンプケース5には、ケース5外部に開口された開口部が形成され、この開口部には、ガイドブロック20が挿入されている。このガイドブロック20は、3本の貫通孔が形成され、各貫通孔には、筒状のガイド部材21,22,23がそれぞれ配置されている。
そして、このガイドブロック20は、高さ調整シム24を介してポンプケース5にねじ込まれたネジ25で固定されている。
【0044】
各ガイド部材21,22,23には、それぞれ第1〜3押圧部材31,32,33がそれぞれ挿通されている。
各押圧部材31,32,33は、押圧ロッド311,321,331と、各押圧ロッド311,321,331の端部に装着されたロッド受312,322,332とを備えている。
そして、各ガイド部材21,22,23およびロッド受312,322,332間には、戻しバネ313,323,333がそれぞれ介在されている。
【0045】
第1押圧部材31は、前記戻しバネ313によって変位拡大板10の本体部110におけるアーム部112の側面下端部に当接されている。従って、第1押圧部材31は、アーム部112つまり本体部110の回動に連動して進退移動される。
また、第2押圧部材32は、前記戻しバネ323によって、変位拡大板10の第1変位拡大部120における変位部124の側面下端部に当接されている。従って、第2押圧部材32は、変位部124つまり第1変位拡大部120の変位に連動して進退移動される。
同様に、第3押圧部材33は、前記戻しバネ333によって、変位拡大板10の第2変位拡大部130における変位部134の側面下端部に当接されている。従って、第3押圧部材33は、変位部134つまり第2変位拡大部130の変位に連動して進退移動される。
なお、付勢手段15のコイルバネ157のばね力は、各戻しバネ313,323,333の合計ばね力よりも大きくされ、各戻しバネ313,323,333が付勢手段15の付勢に影響を与えないようにされている。
【0046】
なお、アーム部112の下端は、変位拡大板10の軸11を回動中心として回動するが、その回動角度が僅かであり、かつ、アーム部112の下端は軸11から離れているため、アーム部112の下端の移動はほぼ水平方向の移動とみなすことができる。また、ロッド受312のアーム部112に当接する端面は、曲面とされてアーム部112に対して点接触となるように構成されている。
従って、アーム部112の下端の移動軌跡が円弧状であっても、第1押圧部材31はガイド部材21に沿って水平方向に直線的に移動される。
【0047】
同様に、各変位部124,134の下端も、第2ヒンジ部122,132を支点に円弧状に移動されるが、その回動角度が僅かであり、かつ、各変位部124,134の下端は第2ヒンジ部122,132から離れているため、変位部124,134の下端の移動はほぼ水平方向(圧電素子17,18が伸縮する上下方向に直交する方向)の移動とみなすことができる。また、ロッド受322,332の変位部124,134に当接する端面は、曲面とされて変位部124,134に対して点接触となるように構成されている。
従って、変位部124,134の下端の移動軌跡が円弧状であっても、第2押圧部材32および第3押圧部材33はガイド部材22,23に沿って水平方向に直線的に移動される。
【0048】
前記ポンプケース5には、流路ブロック40が取り付けられている。この流路ブロック40と前記ガイドブロック20との間には、ダイアフラム50が介在されている。
流路ブロック40は、図6に示すように、略直方体状に形成され、ガイドブロック20に対向する面には、ケース当接面41、ケース挿入面42、凹部形成面43が形成されている。ケース挿入面42はケース当接面41よりも突出して形成され、凹部形成面43はケース挿入面42よりも突出して形成されている。
【0049】
凹部形成面43には、上下方向に一列に並んだ3つの凹部431〜433が形成されている。さらに、各凹部431〜433を連通する溝444が形成されている。なお、本実施形態では、溝444をフライス加工で形成しているため、溝444の底面は中央の凹部433よりも深く形成されている。
また、凹部432には、流路ブロック40の上端面に形成された液体吸入ポート44に連通する吸入流路441が開口されている。一方、凹部431には、流路ブロック40の下端面に形成された液体吐出ポート45に連通する吐出流路451が開口されている。
なお、本実施形態では、図1に示すように、液体吸入ポート44には、液体が入れられたシリンジを装着するシリンジホルダ442が取り付けられている。また、液体吐出ポート45には、液吐出用のノズル452が取り付けられている。
【0050】
さらに、流路ブロック40の各面41〜43に対向する外周側の面46には、凹部47が形成されている。この凹部47には、図1に示すように、押しブッシュ471およびワッシャ472が配置され、ストップリング(図示略)で固定されている。
【0051】
また、ポンプケース5には、図7〜9にも示すように、2枚の側板60が対向配置されて固定されている。前記流路ブロック40は各側板60間に配置されている。各側板60には開口61がそれぞれ形成されている。
開口61には、ブロック取付ネジ62に螺合されたステー63が配置されている。ステー63は、平面略長方形状とされ、その短辺側は円弧状に形成されている。そして、各側板60の開口61は上下にずれて形成されており、ブロック取付ネジ62を回転させた際にステー63を開口61から取り外すことができるように構成されている。
ブロック取付ネジ62の先端は、前記押しブッシュ471の孔に嵌入可能に構成されている。
【0052】
従って、流路ブロック40のケース挿入面42部分をポンプケース5の開口内に挿入した状態で、ブロック取付ネジ62の先端を押しブッシュ471の孔に嵌入し、さらにブロック取付ネジ62を回転させてステー63を各側板60の開口61内に配置することで、流路ブロック40をポンプケース5に取り付けることができる。
逆に、ブロック取付ネジ62を回転させてステー63を各側板60の開口61内から外し、ブロック取付ネジ62を手前側に引き出して側板60間から取り外せば、流路ブロック40をポンプケース5から容易に取り外すことができる。
【0053】
ダイアフラム50は、弾性変形可能なゴム(合成ゴム、天然ゴム)等で構成され、ケース挿入面42と同じ平面形状とされている。ダイアフラム50は、ガイドブロック20と流路ブロック40との間に挟持される。
特に、ケース挿入面42よりも突出している凹部形成面43とガイドブロック20との間は最も間隔が狭くなるため、ダイアフラム50は凹部形成面43に圧接されて密着されている。
従って、高さ調整シム24の厚さ寸法を変更することで、ガイドブロック20と凹部形成面43との間隔を調整でき、ダイアフラム50の凹部形成面43への密着力を容易に設定することができる。
【0054】
また、各押圧ロッド311,321,331の先端は、前記凹部431〜433に合わせて球面状に形成されており、各押圧ロッド311,321,331を流路ブロック40側に移動してダイアフラム50を押圧した際には、ダイアフラム50が各凹部431〜433内面に密着するように構成されている。
すなわち、押圧ロッド311でダイアフラム50を押圧すると、凹部431にダイアフラム50が密着し、吐出流路451および溝444間が塞がれて連通しない状態となる。従って、出口バルブが閉じられる状態となる。
また、押圧ロッド321でダイアフラム50を押圧すると、凹部432にダイアフラム50が密着し、吸入流路441および溝444間が塞がれて連通しない状態となる。従って、入口バルブが閉じられる状態となる。
なお、ダイアフラム50は、各押圧ロッド311,321,331による押圧で弾性変形するため、その押圧を解除すれば元の状態つまり凹部431〜433から離れた状態に戻る。
【0055】
さらに、押圧ロッド331でダイアフラム50を押圧すると、凹部433とダイアフラム50とで区画される計量空間(計量室)の容積が小さくなる。従って、凹部433部分の液は、溝444を介して移動することになる。
従って、上記各押圧部材31,32,33を動作させることでポンプ駆動を実現できる。
【0056】
[動作説明]
次に、液体吐出装置1の動作に関し、説明する。なお、以下の動作説明では、図10〜16をも利用して説明するが、図12〜16は、各部材の動作を分かりやすくするために、移動量を実際よりも大きくし、模式的に記載している。
本実施形態においては、ポンプケース5の上端に設けられたコネクタ8を介して接続される制御装置(図示略)によって圧電素子17,18を駆動制御することで、液体吐出装置1が駆動される。ここで、制御装置は、第1圧電素子17に対しては、第1圧電素子用第1設定値から第1圧電素子用第2設定値までの電圧を印加可能に構成され、第2圧電素子18に対しては、第2圧電素子用第1設定値から第2圧電素子用第2設定値までの電圧を印加可能に構成されている。さらに、本実施形態では、各第1設定値は電圧値「0」に設定され、第2設定値は使用する圧電素子17,18やその圧電素子17,18に求める変位量に応じて設定されている。
【0057】
また、圧電素子17,18は、熱膨張係数が「0」またはマイナスの数値のものが利用されている。このため、各取付部126,136および圧電素子17,18間に、熱膨張係数の大きなアルミなどの材質からなるスペーサ127,137を挟んで接着し、温度が変化して圧電素子17,18の長さ寸法が変化してもその変化分をスペーサ127,137の長さ寸法の変化で補い、圧電素子17,18にスペーサ127,137を加えた長さ寸法は温度変化に関係なく常にほぼ一定となるように構成し、温度変化の影響を少なくするようにしている。
なお、上記のように温度変化に対応するには、圧電素子17,18とスペーサ127,137とが同じ温度に維持される必要がある。このため、圧電素子17,18およびスペーサ127,137と変位拡大板10との間の隙間部分を、シリコン等の伝熱材で埋めて圧電素子17,18とスペーサ127,137とが同じ温度に維持されるように工夫している。
【0058】
[原点状態]
運転開始前即ち液体吐出装置1の停止状態(原点状態)においては、制御装置は、圧電素子17,18に電圧を加えない。すなわち、制御装置は、圧電素子17,18に第1設定値の電圧を印加するが、本実施形態では第1設定値は電圧値「0」であるため、駆動信号の入力を行わない。この状態では、図1,12に示すように、各ヒンジ部121,122,125,131,132,135が変形しないように構成されている。
そして、この状態では、変位拡大板10が前記付勢手段15の付勢力で図1中時計回りに付勢され、本体部110のアーム部112が時計回り方向に回動することで第1押圧部材31がダイアフラム50を押圧している。このため、ダイアフラム50が凹部431に密着し、出口バルブが閉じられた状態とされている。
【0059】
また、この際、第2押圧部材32および第3押圧部材33は、ダイアフラム50を押圧しない位置に配置され、入口バルブは開かれ、かつ、凹部433およびダイアフラム50間に形成される計量室は所定の容積を確保している。
すなわち、本実施形態の液体吐出装置1は、圧電素子17,18に電圧が印加されていない未駆動状態では、付勢手段15の付勢力で出口バルブが閉じられ、入口バルブは開かれて計量室に液を供給できる状態とされている。
【0060】
[計量工程]
次に、制御装置は、第1圧電素子17に予め設定された電圧を印加する。第1圧電素子17に所定の電圧を印加すると、第1圧電素子17は、印加電圧に応じた寸法だけ伸長する。
第1圧電素子17の長手方向寸法が長くなると、圧電素子17が取り付けられた取付部123,126に互いに離れるが、各取付部123,126は、ヒンジ部121,122,125および変位部124を介して連結されているため、各ヒンジ部121,122,125が弾性変形し、変位部124および圧電素子17は、下端側が変位部124側つまり第2押圧部材32側に移動するように傾く。このため、図10,13に示すように、第2押圧部材32はダイアフラム50側に移動し、ダイアフラム50を凹部432に密着させ、入口バルブを閉じる。
従って、出口バルブおよび入口バルブがともに閉じられる状態となるため、計量室内の液体も液体供給側および吐出側から区画される。このため、計量室の容積に応じて液体が計量されることになる。
【0061】
[バルブ切替工程]
さらに、制御装置は、第1圧電素子17に対する電圧印加を継続する。これにより、第1圧電素子17がさらに伸長されると、第2押圧部材32はすでにダイアフラム50に押圧され、それ以上、ダイアフラム50側には移動できないため、その反力によって付勢手段15の付勢力に抗して変位拡大板10全体が反時計方向、つまり付勢手段15の付勢力で移動される方向とは逆方向に移動する。
このため、図11,14に示すように、第1押圧部材31はダイアフラム50から離れる方向に移動し、ダイアフラム50が凹部431から離れるため、出口バルブが開かれる。従って、入口バルブが閉じられ、かつ出口バルブが開かれるため、バルブの切替動作が行われる。
【0062】
[吐出工程]
次に、制御装置は、第1圧電素子17に電圧を印加したまま、第2圧電素子18に所定の電圧を印加する。すると、第2圧電素子18は、印加電圧に応じて伸長し、この動作に伴い、各ヒンジ部131,132,135が弾性変形し、変位部134および圧電素子18は、下端側が変位部134側つまり第3押圧部材33側に移動するように傾く。このため、図15に示すように、第3押圧部材33がダイアフラム50側に移動し、その移動に伴いダイアフラム50および凹部433間の計量空間の容積が減少する。すると、この計量空間内に区画されていた液体は、入口バルブが閉じられ、出口バルブのみが開かれているため、溝444を介して凹部431側に移動し、さらに吐出流路451、吐出ポート45を介してノズル452から吐出される。
なお、この吐出量は、計量空間の容積変化つまり第3押圧部材33の移動量によって調整されるため、第2圧電素子18に印加する電圧を制御することで容易に制御できる。
【0063】
[バルブ切替&吸入工程]
所定量の液体吐出が完了したら、まず、第1圧電素子17への電圧印加を停止して、圧電素子17を元の長さ寸法に戻す。すると、変位部124が反時計方向に移動するため、その分、付勢手段15の付勢力で変位拡大板10が時計回り方向に回動する。
この変位拡大板10の時計回り方向に回動に伴い、図16に示すように、第1押圧部材31がダイアフラム50側に移動して押圧し、出口バルブが閉じられる。そして、この出口バルブが閉じられた後も変位部124は反時計方向に変位し、第2押圧部材32がダイアフラム50から離れる方向に移動するため、ダイアフラム50は凹部432から離れ、入口バルブが開かれる。従って、出口バルブが開から閉となり、入口バルブが閉から開となるため、バルブの切替が行われる。
【0064】
また、制御装置は、前記出口バルブが閉じられるタイミングに合わせて第2圧電素子18への電圧印加を停止する。すると、第2圧電素子18も元の長さ寸法に戻り、変位部134が反時計方向に変位することに伴い、第3押圧部材33がダイアフラム50から離れる方向に移動する。すると、第3押圧部材33で押圧されていたダイアフラム50が凹部433から離れて計量空間の容積が拡大する。この際、前述の通り、入口バルブも閉から開に切り替えられているので、第3押圧部材33の移動に伴って液体吸入ポート44から凹部433部分つまり計量空間内に液体が吸入される。
そして、各部材は、図1や図12に示す原点位置に戻る。
【0065】
以上の動作を繰り返すことで、所定量ずつ液体が吐出される。また、液体の吐出量は、第2圧電素子18の伸長量つまり印加電圧値によって精度良く制御できる。
なお、各圧電素子17,18への電圧印加を無くすには、圧電素子17,18に電圧を印加するための端子間を短絡して放電すればよい。
【0066】
なお、第1圧電素子17に電圧を印加し、変位拡大板10が反時計方向に移動する際、第2圧電素子18には電圧を印加してもよいし、しなくてもよい。電圧を印加しなければ、第3押圧部材33も第1押圧部材31と同様に、ダイアフラム50から離れる方向に移動される。このため、第2圧電素子18に電圧を印加し、第3押圧部材33をダイアフラム50側に移動して液体を吐出する際に、わずかに吐出が遅れる可能性がある。
そこで、液体吐出を遅れなく行うために、第1圧電素子17に電圧を印加し、変位拡大板10が反時計方向に移動する際、変位拡大板10の回動に伴う第3押圧部材33の移動量を打ち消す分だけ、第2圧電素子18に電圧を印加して第3押圧部材33をダイアフラム50側に移動させ、ダイアフラム50に対する第3押圧部材33の位置を一定に保つように制御してもよい。
【0067】
また、第3押圧部材33の移動によって液体吐出を完了する際に、第1圧電素子17への電圧印加を制御して第1圧電素子17の長さを縮小し、付勢手段15の付勢力で変位拡大板10を時計回り方向に回動し、第1押圧部材31を移動して出口バルブも同時に閉じるように制御してもよい。
【0068】
さらに、前記説明では、図14に示すように、バルブ切替を行った後に、第2圧電素子18に電圧を印加して第3押圧部材33を移動して液体吐出を行い、第2圧電素子18に印加する電圧値で第3押圧部材33の移動量を制御することで吐出量を調整していた。
これに対し、第1圧電素子17に電圧を印加してから第2圧電素子18に電圧を印加するまでの時間(タイミング)を調整することで、液体の吐出量を調整してもよい。
すなわち、第1圧電素子17に電圧を印加して第2押圧部材32が移動し始めた直後に、第2圧電素子18に電圧を印加して第3押圧部材33を移動させると、第2押圧部材32で入口バルブが閉じられる前に、第3押圧部材33がダイアフラム50を押圧し、計量空間の容積が小さくなる。そのため、入口バルブが閉じた際に各バルブ間に区画される液体の量は、第1圧電素子17に電圧を印加してから第2圧電素子18に電圧を印加するまでの時間が短いほど少なくなる。従って、これらの電圧印加タイミングによって液体の吐出量を調整できる。
なお、この場合、入口バルブが閉じて、代わりに出口バルブが開いた際には、前記第3押圧部材33で計量空間部分のダイアフラム50が押されている。このため、計量空間内の液体は、即座に、吐出流路451、吐出ポート45を介してノズル452から吐出される。従って、出口バルブが開いた際の負圧によって、ノズル452から液が吸い戻されることも防止できる。
【0069】
[メンテナンス]
液体吐出装置1を介して供給する液体の種類を変更するためや、1日の作業が終了した場合など、液体の流路を洗浄する場合には、ブロック取付ネジ62を回転させてステー63を各側板60の開口61内から外し、流路ブロック40およびダイアフラム50をポンプケース5から取り外せばよい。本実施形態においては、液に接するのは、流路ブロック40とダイアフラム50のみであるため、これらを取り外して洗浄すれば、他の部品は分解する必要が無く、メンテナンス作業も容易に行うことができる。
ダイアフラム50を交換する場合も同様の作業で容易に行うことができる。さらに、厚さ寸法の異なるダイアフラム50に交換する場合も、前記高さ調整シム24を適宜交換などすることで、ガイドブロック20と流路ブロック40間の間隔を調整すればよく、容易に行うことができる。
【0070】
このような本実施形態によれば、次のような効果がある。
(1)圧電素子17,18を利用してダイアフラム50を駆動して液体を吐出しているので、液体吐出装置1を小型、軽量、薄型化することができる。すなわち、サーボモータ、ソレノイド、カムなどの駆動機構を採用した場合に比べて、液体吐出装置1を容易に小型・軽量・薄型化できる。
従って、各種製品の生産ラインにおいて、接着剤や各種ペースト等の吐出に本実施形態の液体吐出装置1を利用する際にも、ロボットのアームに取り付けて、高速、高加速度で移動させることができ、生産ラインのタクトタイムの短縮を実現でき、生産性向上に寄与することができる。さらに、複数台の液体吐出装置1を並べて配置した場合もその配置スペースを小さくできる。
【0071】
(2)圧電素子17,18は高速駆動が可能なため、例えば、1秒間に10〜100回以上の吐出動作が可能であり、エアシリンダ駆動に比べて高速に液体吐出動作を実現できる。さらに、圧電素子17,18は、エアシリンダ駆動に比べて発生力が大きいため、ノズル452を細くして抵抗が増えても液体を飛ばして吐出することができる。このため、例えば、0.01マイクロリットルの水でもきれいに飛ばすことができ、安定した動作を実現できる。
その上、各押圧部材31,32,33の動作は各圧電素子17,18への電圧制御でコントロールできるので、第2圧電素子18への電圧印加による吐出工程の終了時に、第1圧電素子17への電圧印加を制御して付勢手段15による第1押圧部材31の移動も同時に行って出口バルブを閉じる動作も同時に行うように制御することも容易に実行できる。そして、このような制御を行えば、吐出液の液切れを良くでき、液をきれいに飛ばすことができ、吐出量の精度を向上できかつ安定した吐出動作を実現でき、極微量の液体でも吐出できる。
【0072】
(3)吐出液の液量は、吐出工程における第3押圧部材33の移動量を第2圧電素子18に加える電圧値で調整することで容易に設定変更できる。このため、吐出動作中であっても1回の吐出動作毎の吐出量を自動的に調整することができる。従って、例えば、基板上に複数の電子部品を取り付ける工程において、各電子部品の取付場所毎に異なる液量の接着剤を塗布するために、基板上に吐出する液体の量を変更する場合や、複数の製品が混在して送られる生産ラインにおいて、製品毎に液体の吐出量を変更しなければならない場合でも、容易に対応でき、使い勝手のよい液体吐出装置1を提供できる。
【0073】
(4)2つの圧電素子17,18の動作によって、第2押圧部材32、第3押圧部材33の駆動を制御するとともに、圧電素子17,18を支持する変位拡大板10を付勢手段15で時計回り方向に付勢して第1押圧部材31をダイアフラム50側に移動させるとともに、第2押圧部材32がダイアフラム50を押圧した後も圧電素子17を伸長させることで、変位拡大板10を付勢手段15の付勢力に抗して反時計回り方向に回動し、第1押圧部材31がダイアフラム50から離れる方向に移動して第1押圧部材31の駆動を制御している。
このように、本実施形態では、付勢手段15によって変位拡大板10をケース4,5に対して回動自在に設け、かつ、第1押圧部材31をストロークの途中でダイアフラム50に押圧させ、その反力を利用することで、2本の圧電素子17,18の駆動を制御するだけで3つの部材(第1〜3押圧部材31,32,33)の駆動を制御できる。従って、3つの部材を3個の圧電素子で駆動する場合のように、圧電素子の配置や駆動制御が複雑になるという問題が生じることがなく、液体吐出装置1の製造コストも低減できる。
その上、圧電素子17,18が電圧印加で伸長した際に、変位部124,134とともに圧電素子17,18自体も傾斜するように構成したので、第1変位拡大部120、第2変位拡大部130の構成を非常にシンプルにでき、製造も容易でかつ、コストも低減できる。
【0074】
(5)変位拡大板10は、軸11を中心に回動させているので、スライド移動させる場合に比べて位置決め精度を容易に向上でき、組立性も向上できる。
【0075】
(6)圧電素子17,18が固定される変位拡大板10を一体成形したので、各圧電素子17,18の伸縮に対応する変位部124,134の変位量を精度良く設定できる。このため、各第1〜3押圧部材31,32,33の移動量を精度よく設定でき、微量の液体であっても高精度に吐出できる。
【0076】
(7)各圧電素子17,18への印加電圧を「0」にした際に、液体吐出装置1が原点状態(停止状態)となるように設定したので、動作停止中に圧電素子17,18が発熱して温度が上昇することがない。このため、圧電素子17,18が温度変化の影響を受けてその変位量がばらつくことを防止でき、圧電素子17,18の変位量の精度つまり液体の吐出量の精度を向上できる。
【0077】
(8)本実施形態では、第3押圧部材33のストロークのみで液体の吐出量が設定されるため、外気温などによってケース4,5等が膨張しても吐出量の精度はその影響を受けず、極微量であっても精度の高い液量を吐出できる。
【0078】
(9)高粘度の液体を高速で吐出するには、液体を高圧で押し出す必要があるが、駆動源として圧電素子17,18の機械的な駆動力を用いているので、エアシリンダを駆動源とした場合に比べて、駆動力が高くなり、液体を高速で吐出できる。
また、液体を基板等の被付着物より離れた上方から吐出できるので、液体吐出装置1の外部に赤外線等のセンサを設けることにより、吐出が行われたかを確認できる。
液体吐出装置1には、チェック弁を設けていないので、液体を加圧して送ることができる。従って、粘性の高い液体であっても液体吐出装置1内への供給が容易である。
【0079】
(10)さらに、圧電素子17,18に電圧を印加していない場合には、付勢手段15の付勢力で変位拡大板10を付勢して第1押圧部材31で押圧してダイアフラム50を凹部431に密着させているので、出口バルブは付勢手段15のバネ力で閉じられる。このため、ダイアフラム50の厚さ寸法にバラツキがあったり、凹部形成面43の位置が多少変化したとしても、前記付勢手段15によってダイアフラム50が凹部形成面43に当接するまで付勢されるため、確実に出口バルブを閉じることができる。
すなわち、出口バルブは、電圧を印加しないときにバルブが閉じるノーマリークローズタイプのバルブとすることができる。また、バルブが閉じられている際のダイアフラム50の凹部形成面43への当接力も付勢手段15のばね力のみで設定でき、出口バルブのクローズ状態を安定して維持できる。
【0080】
(11)また、ダイアフラム50を凹部形成面43に押し付ける力を付勢手段15のばね力のみで設定できるため、例えば、洗浄のためにダイアフラム50や流路ブロック40を取り外して再度取り付けた際に、その取付位置が微妙に異なる場合があるが、そのような微差があっても前記付勢手段15でダイアフラム50を凹部形成面43に押し付けているので、ダイアフラム50の押し付け力をほぼ一定にでき、この点でも出口バルブを安定して閉じておくことができる。このため、ダイアフラム50の交換作業も容易に行うことができる。特に、接液部分であるダイアフラム50は消耗品でもあるため、交換作業は必須であるが、その作業が容易に行えるため、メンテナンス性も向上できる。
【0081】
(12)液に接するのは、流路ブロック40とダイアフラム50のみであるため、これらを取り外して洗浄すれば、ケース4,5内部は分解する必要が無く、洗浄などのメンテナンス作業も容易に行うことができる。
また、ブロック取付ネジ62を用いて流路ブロック40をポンプケース5に押し付けて取り付けているので、ブロック取付ネジ62を回転してステー63を側板60から取り外すことで、流路ブロック40やダイアフラム50を取り出せばよいため、メンテナンス作業をより一層容易に行うことができる。
【0082】
(13)圧電素子17,18に電圧を印加して伸長させない限り、付勢手段15の付勢力が変位拡大板10の各ヒンジ部121,122,125,131,132,135や、圧電素子17,18に加わることがなく、ヒンジ部121,122,125,131,132,135や圧電素子17,18に付勢手段15の付勢力が加わることによる影響を軽減できる。
【0083】
(14)出口バルブが閉じている状態では、第2押圧部材32が伸長してダイアフラム50を押圧して入口バルブを閉じてから、第1押圧部材31によって出口バルブが開かれ、逆に、入口バルブが閉じている状態では、第2押圧部材32が縮小して出口バルブが閉じられてから、第2押圧部材32によって入口バルブを開かれる。このため、一方のバルブは必ず閉じられた状態にあり、液体吸入ポート44と液体吐出ポート45とが直接連通されることはなく、ポンプ動作を確実に実現できる。
【0084】
(15)バネ押し部材158を操作することでコイルバネ157による付勢力を解除することができるため、ガイドブロック20から押圧部材31〜33が突出していない状態でダイアフラム50をセッティングできる。このため、押圧部材31〜33が突出した状態でダイアフラム50をセットしていたために、ダイアフラムをセットしにくかった従来のダイアフラムポンプに対し、本実施形態の液体吐出装置1は、ダイアフラム50を平らにセットできるので、ダイアフラム50を容易に取り付けることができ、ダイアフラム50の交換作業も簡単に行うことができる。
さらに、液体吐出装置1を使用していない際に、前記コイルバネ157による付勢力を解除しておけば、ダイアフラム50に押圧部材31〜33による押圧力が加わることを解除できる。このため、ダイアフラム50が押圧部材31〜33で常時押圧されている場合には、ダイアフラム50に永久変形が生じ、ダイアフラム50を交換する期間も短縮されてしまうが、本実施形態では液体吐出装置1の未使用時には押圧部材31〜33による押圧力が加わることがなく、ダイアフラム50も永久変形し難くできる。このため、ダイアフラム50を交換するまでの期間も長くでき、ダイアフラム50の交換コストも低減できる。
【0085】
[第2実施形態]
次に本発明の第2実施形態について図17〜19を参照して説明する。なお、以下の各実施形態において、前述する各実施形態と同一または同様の構成には適宜同一符号を付し、説明を省略または簡略する。
第2実施形態の液体吐出装置1Bは、ダイアフラム50の代わりにチューブ70を用いたチューブポンプである。そして、チューブ70を押圧するための第1〜3押圧部材31B〜33Bや、変位拡大板10B、付勢手段15Bの構成や形状は前記第1実施形態と相違する部分もあるが、その動作は前記第1実施形態と同様のものである。
【0086】
変位拡大板10Bは、前記変位拡大板10とほぼ同じ構成である。但し、第1ヒンジ部121B,131Bは、第1実施形態の第1ヒンジ部121,131よりも第2ヒンジ部122,132に近接して設けられ、第3ヒンジ部125B,135Bは、第1実施形態の第3ヒンジ部125,135よりも変位部124B,134Bから離れて設けられている。
このため、圧電素子17,18が同じ寸法分伸長した場合でも、前記ヒンジ部の位置関係によって第2実施形態の変位部124B,134Bおよび圧電素子17,18のほうが傾斜角度が大きく、その分、第2,3押圧部材32B,33Bの移動量も大きくなるように構成されている。
また、アーム部112Bおよび各変位部124B,134Bにおいて、第1〜3押圧部材31B〜33Bに当接する部分は円弧状の凹部とされている。
【0087】
一方、チューブ70を押圧する第1〜3押圧部材31B〜33Bは、押しロッド315,325,335と、チューブ押し部材316,326,336と、押しロッド315,325,335およびチューブ押し部材316,326,336を接続する接続ロッド317,327,337と、バネ座318,328,338と、押しロッド315,325,335およびバネ座318,328,338間に配置された戻しバネ319,329,339とを備えて構成されている。
【0088】
ここで、チューブ押し部材316,326,336は、板状に形成され、チューブ70を確実に押圧できるように構成されている。
また、押しロッド315,325,335において、アーム部112Bおよび各変位部124B,134Bに当接する部分は、アーム部112B、変位部124B,134Bが配置される溝が形成され、その溝の底面は円弧状に形成されて前記アーム部112Bおよび各変位部124B,134Bの凹部に当接されている。
【0089】
また、ポンプケース5Bには一対のチューブ受け取付板71が固定され、この取付板71にはチューブ受けブロック72が取付ネジ73で固定されている。このチューブ受けブロック72を挟んで一対のチューブセット74が配置され、チューブ70が挿通されている。
【0090】
さらに、付勢手段15Bは、バネケース151B、連結部材153B、調整バネ座155B、コイルバネ157、バネ押し部材158Bで構成されている。
このような付勢手段15Bでは、バネケース151B内に螺合されたバネ押し部材158Bを回して、その軸方向の位置を調整することで、連結部材153Bおよび調整バネ座155B間の間隔を調整し、コイルバネ157による付勢力を調整することができる。
【0091】
このような構成の液体吐出装置1Bにおいても、付勢手段15Bの付勢力および圧電素子17,18の動作により、各第1〜3押圧部材31B〜33Bを進退移動させることができ、チューブ70を順次押圧して液体吐出を実現できる。
例えば、第1押圧部材31Bで出口バルブを開閉し、第2押圧部材32Bで入口バルブを開閉し、第3押圧部材33Bで各バルブ間のチューブつまり計量室を押圧するように設定すれば、前記第1実施形態と同じ動作で液体を順次吐出することができる。
【0092】
このような第2実施形態の液体吐出装置1Bにおいても前記第1実施形態の液体吐出装置1と同様の作用効果を奏することができる。
【0093】
なお、本発明は前記第1,2実施形態の構成に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲の変形は本発明に含まれるものである。
[第1変形例]
例えば、前記第1,2実施形態では、変位拡大板10,10Bを、軸11を中心に回動自在に配置していたが、スライド移動可能に設けてもよい。例えば、図20に示すように、ダイアフラムポンプである液体吐出装置1Cにおいて、変位拡大板10を案内するガイドレール80を設け、かつ、ケース4および変位拡大板10間に、変位拡大板10をダイアフラム50側に付勢する付勢手段としてのバネ81を設ければよい。このような液体吐出装置1Cにおいても、圧電素子17,18に電圧を印加していない状態では、バネ81の付勢力で変位拡大板10がダイアフラム50に移動し、第1押圧部材31でダイアフラム50を押圧して出口バルブを閉じた状態にできる。また、圧電素子17に電圧を印加した場合には、変位部124の変位に応じて移動する第2押圧部材32がダイアフラム50を押圧することで入口バルブが閉じられた後、さらに圧電素子17が伸長することによる反力で、前記バネ81の付勢力に抗して変位拡大板10がダイアフラム50から離れる方向に移動されるため、第1押圧部材31をダイアフラム50から離れる方向に移動させて入口バルブを開くことができる。そして、この状態で第2圧電素子18に電圧を印加して伸長させれば、第3押圧部材33でダイアフラム50を押圧し、液体を吐出できる。従って、前記第1実施形態と同様の動作で液体吐出を行うことができ、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0094】
[第2変形例]
また、前記第2実施形態の液体吐出装置1Bでは、2つの圧電素子17,18を設けて3つの押圧部材31B〜33Bを動作させていたが、チューブを用いた場合、第3押圧部材33Bを設けなくても液体吐出動作が可能である。すなわち、図21に示すように、液体吐出装置1Dとして、第2圧電素子18および第2変位拡大部130を設けずに、1つの圧電素子17、変位拡大部120、本体部110によって、2つの押圧部材31B,32Bを駆動するように構成してもよい。
このような液体吐出装置1Dでは、第1押圧部材31Bおよび第2押圧部材32Bの一方を、液体吐出装置1Dの出口バルブとし、他方を、液体吐出装置1Dの入口バルブとすれば、チューブ70内に液体を圧送し、各バルブの開閉を切り替えることで液体吐出動作を実現できる。
例えば、第1押圧部材31Bを出口バルブとし、第2押圧部材32Bを入口バルブとすれば、圧電素子17に電圧を印加していない状態では付勢手段15Bの付勢力によって第1押圧部材31Bがチューブを押しつぶし、出口バルブを閉じた状態に維持し、一方、第2押圧部材32Bは入口バルブを開いた状態に維持する。この状態でチューブ70内に液体を圧送すれば、出口バルブが塞がれているため、出口バルブの上流側(入口バルブ側)のチューブ70がふくらみ、液体が貯められる。そして、圧電素子17に電圧を印加して圧電素子17を伸長させ、第2押圧部材32Bを移動してチューブ70を押しつぶして入口バルブを閉じれば、入口バルブおよび出口バルブ間の膨らんだチューブ70内に液体が区画される。さらに、圧電素子17への電圧印加を継続し、圧電素子17を伸長させると、第2押圧部材32Bはチューブ70を押しつぶしていてそれ以上移動できないため、本体部110および第1押圧部材31Bが前記付勢手段15Bの付勢力に抗してその付勢方向とは逆方向に移動し、第1押圧部材31Bで塞がれていた出口バルブが開かれる。すると、液体で膨らんでいたチューブ70が自身の弾性力で元の状態に戻ろうとするため、その内部の液体が吐出バルブから吐出される。
次に、圧電素子17への電圧印加を中止して圧電素子が元の状態に縮小すると、前記付勢手段15Bの付勢力で第1押圧部材31Bがチューブ70を押しつぶし、出口バルブが閉じられる。さらに、第2押圧部材32Bが元の位置に戻るため、チューブ70を開放し、入口バルブが開かれる。従って、液体吐出装置1Dでは、2つの押圧部材31B,32Bを動作させても液体吐出動作を実現できる。
【0095】
[第3変形例]
また、前記各実施形態では、変位部124,134に第3ヒンジ部125,135および圧電素子第2端部取付部126,136を設け、この取付部123,126にスペーサ127,137を介して圧電素子17,18を取り付けていた。これに対し、図22に示すように、第3ヒンジ部125,135を設けずに、変位部124A,134Aにスペーサ127,137を介して圧電素子17,18を取り付けてもよい。このような構成においても、第1ヒンジ部121,131、第2ヒンジ部122,132が形成されているため、圧電素子17,18が伸長するとヒンジ部121,122,131,132が弾性変形し、変位部124A,134Aおよび圧電素子17,18が傾き、各押圧部材31A〜33Aがダイアフラム50側に移動する。
さらに、図22に示すように、ポンプケース5およびガイドブロック20A間にコイルバネ241を配置し、このコイルバネ241の付勢力によってダイアフラム50を凹部形成面43に密着させてもよい。この場合、コイルバネ241の付勢力によって、ダイアフラム50を凹部形成面43に密着させる力を容易に設定することができる。また、ダイアフラム50の厚み寸法がばらついていても、そのばらつきをコイルバネ241で吸収してダイアフラム50を凹部形成面43に確実に密着できる。
また、前記実施形態では、押圧ロッド311,321,331の長さが異なっていたが、図22に示すように、同じ長さの押圧ロッドを用いてもよい。この場合、第1〜3押圧部材31A,32A,33Aのサイズおよび形状を同一にでき、部品種類を少なくできる。
さらに、前記実施形態では、押圧部材31,32をアーム部112、変位部134に直接当接させていたが、その構成に限らない。例えば、図22に示すように、アーム部112A、変位部134Aにキャップ部材141を取り付け、このキャップ部材141に押圧部材31A,32Aを当接させてもよい。すなわち、キャップ部材141は、第1の端部が開口され、第2の端部が閉塞された筒状部材で構成されている。そして、キャップ部材141内部に接着剤142を充填後、アーム部112A、変位部134Aに形成された挿入部143をキャップ部材141内部に挿入し、キャップ部材141の位置を調整する。図22では、変位部124Aおよびキャップ部材141において、押圧部材31A,32A,33Aに当接する各面が揃うように、キャップ部材141の位置を調整し、接着剤142で固定している。このような構成であれば、変位拡大板10のアーム部112A、変位部124A,134Aの寸法精度が低い場合でも、キャップ部材141の取付位置を調整することで、変位部124Aおよびキャップ部材141に当接する押圧部材31A,32A,33Aの位置ずれを防止できる。
【0096】
[第4変形例]
前記各実施形態や変形例では、ケース5に対して変位拡大板10,10Bを軸11および軸受12で回転可能に支持したり、ガイドレール80でスライド可能に支持している。この場合、軸11および軸受12部分や、ピン113および連結部材153部分の転がり部や、ガイドレール80部分の滑り部等の音の発生原因となる部分が存在する。このため、例えば、薬液バッグ等の容器に収容された薬液を、チューブを介して人体等へ輸送する医療用の点滴装置等に用いられる輸液ポンプでは、音の発生は点滴装置を使用している病人などにとって煩わしく、負担となるおそれがある。
そこで、本変形例の液体吐出装置1Eでは、図23に示すように、変位拡大板10E自体にバネ部を形成し、転がり部や滑り部を無くして音の発生を低減したものである。なお、本変形例では、液体吐出装置1Eとしてチューブ70を用いたチューブポンプを例示している。
【0097】
液体吐出装置1Eは、図24の底面図にも示すように、一対の側板201を備えており、この側板201間にスペーサ202を介して変位拡大板10Eがねじ止めされている。
変位拡大板10Eは、図22に示す変位拡大板10と同様に、本体部110と、第1変位拡大部120と、第2変位拡大部130とを備えて構成されている。
本体部110は、変位拡大板10の上部に設けられた基端部111と、この基端部111の一方の端部側から下方に向かって延長されたアーム部112Aとを備える。さらに、本体部110は、基端部111の他方の他端部から上方側に連続して形成されたバネ部114と、バネ部114に連続して形成された固定部115とを備えて形成されている。
【0098】
バネ部114は、互い違いに切れ込みが形成されてジグザグ形状に形成されている。また、固定部115には、複数のネジ穴116が形成されている。そして、変位拡大板10Eは、固定部115に対応して設けられるスペーサ202間に配置され、側板201からスペーサ202を介して前記ネジ穴116にネジ203をねじ込むことで固定されている。
【0099】
アーム部112Aの挿入部143には、第1押圧部材である出口フィンガ231がエポキシ等の接着剤142で接着されている。
第1変位拡大部120の変位部124Aには、第2押圧部材である入口フィンガ232がスプリングピンで固定されている。
第2変位拡大部130の変位部134Aの挿入部143には、第3押圧部材である計量フィンガ233が接着剤142で接着されている。
【0100】
出口フィンガ231、入口フィンガ232は、図24にも示すように、平板状に形成され、その先端は図23に示すように断面山形に形成され、チューブ70を容易に押し潰すことができるように構成されている。
一方、計量フィンガ233の先端は、平らに形成されてチューブ70に当接する面積が他のフィンガ231,232に比べて大きく設定されている。このため、計量フィンガ233でチューブ70を押した際に、比較的大きな面積でチューブ70を押すことができる。
【0101】
各側板201には、一対のチューブガイド205がネジ止めされている。各チューブガイド205は、略板状に形成され、図23に示すように、上下方向に所定間隔離れて配置されて側板201に固定されている。このチューブガイド205には、チューブ70を案内するガイド溝205Aが形成されている。
チューブガイド205間には、チューブ押さえ206が配置されている。このチューブ押さえ206および各チューブガイド205には、シャフト207が架け渡されている。このため、チューブ押さえ206は、シャフト207を回転軸として回転可能とされている。また、チューブ押さえ206のシャフト207が配置された側とは反対側にはローレットネジ208が取り付けられている。このローレットネジ208は、チューブ押さえ206を貫通して、図示略のナットブロックにねじ込まれている。ナットブロックは側板201に固定されており、ローレットネジ208を締め付けると、チューブ押さえ206は図23,24に示すように、チューブ70を押さえて所定位置に配置できる。また、ローレットネジ208を外すと、チューブ押さえ206を回動できるため、チューブ70のセットや取り外しを容易に行うことができる。
【0102】
本変形例では、各圧電素子17,18に電圧を印加していない初期状態では、出口フィンガ231のみがチューブ70を押し潰している。この際、変位拡大板10Eのバネ部114が撓んで、出口フィンガ231に付勢力が加わり、チューブ70を押圧するように、変位拡大板10Eの取付位置や、出口フィンガ231の取付位置が調整されている。
従って、前記実施形態と同様に、各圧電素子17,18に適宜電圧を印加して、各フィンガ231〜233を移動することで、液体の吐出が行われる。
【0103】
本変形例によれば、変位拡大板10Eに直接バネ部114を形成し、転がり部やすべり部を無くしているので、液体吐出装置1Eの駆動時の音の発生を非常に小さくできる。このため、患者に対する輸液ポンプとして本変形例を用いれば、作動音を非常に小さくできる。
また、バネ部114が設けられているので、チューブ70に対して過剰な押圧力が加わることも防止でき、チューブ70の長寿命化を図ることができる。
【0104】
[第5変形例]
第5変形例の液体吐出装置1Fは、図25〜28に示すように、第4変形例の液体吐出装置1Eに対し、計量フィンガ233を1つから2つに増やして計量室の容量を増やした点が相違する。そして、変位拡大板は、出口フィンガ231および入口フィンガ232を駆動するバルブ用の変位拡大板10Fと、2つの計量フィンガ233を駆動する計量用の変位拡大板10Gとを備えている。
変位拡大板10Fは、第2変位拡大部130を備えていない点を除き、前記変位拡大板10Eと同様の構成である。
従って、初期状態では、バネ部114により出口フィンガ231がチューブ70を押し潰している。また、圧電素子17が電圧印加により伸長すると、変位部124Aが傾いて入口フィンガ232をチューブ70側に移動する。入口フィンガ232がチューブ70を押し潰してそれ以上移動できない状態でさらに圧電素子17が伸長すると、その反作用でバネ部114が撓み、アーム部112Aおよび出口フィンガ231がチューブ70から離れる方向に移動する。
また、圧電素子17が電圧印加停止により元の長さに戻ると、バネ部114の付勢力によって出口フィンガ231がチューブ70を押し潰し、入口フィンガ232がチューブ70を開放して元の状態に戻る。
【0105】
変位拡大板10Gは、本体部250と、第1変位拡大部260と、第2変位拡大部270とを備えている。本体部250は、スペーサ202を介して側板201に固定されている。
各変位拡大部260,270は、それぞれ、第1ヒンジ部261,271と、第2ヒンジ部262,272と、圧電素子263,273と、変位部264,274とを備えている。
変位部264には、スプリングピンにより第1の計量フィンガ233が取り付けられている。また、変位部274には挿入部143が形成され、接着剤142により第2の計量フィンガ233が固定されている。なお、変位拡大板10Gは、各計量フィンガ233を駆動する圧電素子263,273をそれぞれ設けているので、各計量フィンガ233をチューブ70に押圧するための付勢力を加える必要が無く、変位拡大板10Fのようにバネ部114を設ける必要がない。
従って、各圧電素子263,273に電圧を印加すれば、各計量フィンガ233は互いに独立して移動する。従って、計量室の容積の変化量に応じて各計量フィンガ233の移動量を個別に調整すればよい。例えば、吐出量が小さい場合は、一方の計量フィンガ233のみを移動し、吐出量が大きくなった場合は、両方の計量フィンガ233を移動するように制御してもよい。
【0106】
本変形例によっても、変位拡大板10Fにバネ部114を設けているので、液体吐出装置1Fの動作音を非常に小さくできる。
また、複数の計量フィンガ233を配置駆動できるので、計量フィンガ233が1つの場合に比べて計量室の変化量つまりは吐出量の増加させることができる。
【0107】
[他の変形例]
さらに、本発明は前記各実施形態や各変形例に限定されない。
例えば、ダイアフラムポンプやチューブポンプなどの液体吐出装置1〜1Fにおける変位拡大板、付勢手段、押圧部材、流路ブロック等の形状、構成などは前記実施形態のものに限定されず、実施にあたって適宜設定すればよい。
また、前記実施形態では、付勢手段15,15Bで付勢される第1押圧部材31,31Bで出口バルブを開閉し、圧電素子17で移動される第2押圧部材32,32Bで入口バルブを開閉していたが、逆に、第1押圧部材31,31Bで入口バルブを開閉し、第2押圧部材32,32Bで出口バルブを開閉するように構成してもよい。
【0108】
前記実施形態では、各圧電素子17,18は印加電圧値で制御していたが、例えば、変位拡大板10,10Bの変位部分に歪みゲージを設けたり、押圧部材の位置を検出するセンサなどを設けて、駆動状態を検出し、その検出値に基づいてフィードバック制御を行うように設定してもよい。
【0109】
また、本発明の液体吐出装置は、電子部品の製造装置に組み込んで利用してもよい。すなわち、電子部品の製造装置は、前述の液体吐出装置と、この液体吐出装置に液体を供給する液体供給手段と、前記液体吐出装置の駆動手段を制御する制御装置とを備えて構成され、前記液体供給手段から供給される液体を前記液体吐出装置を介してノズル452から吐出して電子部品を製造するものとすればよい。
このような電子部品の製造装置では、極微量の液体を精度良く移送できる前述の液体吐出装置を用いているので、前記ノズル452から極微量の液体を高精度に吐出できる。
【0110】
さらに、本発明の圧電駆動装置は、前記液体吐出装置の駆動源だけでなく、様々な機械の駆動源として利用できる。すなわち、圧電駆動装置は、複数の被駆動体を駆動する駆動源として広く利用できる。特に、一方の被駆動体は、付勢手段の付勢力で移動されるとともに、他方の被駆動体が圧電素子の伸長に伴って移動して対象物に当接した際に、その反力で前記付勢手段の付勢方向とは逆方向に移動されるため、各被駆動体を交互に駆動するような駆動源に特に適している。また、圧電駆動装置は、圧電素子を用いており、かつ、変位拡大機構によってある程度の変位量を確保できるため、小型の機器の駆動源に適している。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】本発明の第1実施形態の液体吐出装置を示す縦断面図である。
【図2】前記第1実施形態の圧電駆動装置を示す拡大図である。
【図3】前記第1実施形態のポンプ部を示す拡大図である。
【図4】前記第1実施形態のポンプケースおよび変位拡大板を駆動部ケース側から見た側面図である。
【図5】前記第1実施形態の液体吐出装置における駆動部ケース側の側面図である。
【図6】前記第1実施形態の流路ブロックを示す図であり、(A)は正面図、(B)は断面図である。
【図7】前記第1実施形態の液体吐出装置におけるポンプケース側の側面図である。
【図8】前記第1実施形態の液体吐出装置における上面図である。
【図9】図1のA−A線に沿った断面図である。
【図10】前記第1実施形態における計量工程を示す図である。
【図11】前記第1実施形態におけるバルブ切替工程を示す図である。
【図12】前記第1実施形態における原点状態を示す説明図である。
【図13】前記第1実施形態における計量工程を示す説明図である。
【図14】前記第1実施形態におけるバルブ切替工程を示す説明図である。
【図15】前記第1実施形態における吐出工程を示す説明図である。
【図16】前記第1実施形態におけるバルブ切替&吸入工程を示す説明図である。
【図17】本発明の第2実施形態を示す縦断面図である。
【図18】本発明の第2実施形態の側面図である。
【図19】図17のB−B線に沿った断面図である。
【図20】本発明の第1変形例を示す縦断面図である。
【図21】本発明の第2変形例を示す縦断面図である。
【図22】本発明の第3変形例を示す縦断面図である。
【図23】本発明の第4変形例を示す縦断面図である。
【図24】本発明の第4変形例を示す底面図である。
【図25】本発明の第5変形例を示す縦断面図である。
【図26】本発明の第5変形例を示す縦断面図である。
【図27】本発明の第5変形例を示す側面図である。
【図28】本発明の第5変形例を示す底面図である。
【符号の説明】
【0112】
1,1B,1C,1D,1E,1F…液体吐出装置、2…圧電駆動装置、3…ポンプ部、4…駆動部ケース、5…ポンプケース、6…駆動装置本体、10,10B…変位拡大板、11…軸、15,15B…付勢手段、17…第1圧電素子、18…第2圧電素子、20…ガイドブロック、24…高さ調整シム、31,31B…第1押圧部材、32,32B…第2押圧部材、33,33B…第3押圧部材、40…流路ブロック、43…凹部形成面、44…液体吸入ポート、45…液体吐出ポート、50…ダイアフラム、60…側板、62…ブロック取付ネジ、63…ステー、70…チューブ、71…チューブ受け取付板、72…チューブ受けブロック、80…ガイドレール、81…付勢手段であるバネ、110…本体部、111…基端部、112,112B…アーム部、120…第1変位拡大部、130…第2変位拡大部、121,122,125,131,132,135…ヒンジ部、157…コイルバネ、311,321,331…押圧ロッド、312,322,332…ロッド受、313,323,333…戻しバネ、315,325,335…ロッド、317,327,337…接続ロッド、319,329,339…戻しバネ、431〜433…凹部、441…吸入流路、451…吐出流路、452…ノズル。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、前記ケースに対して移動可能に設けられた駆動装置本体とを備え、
前記駆動装置本体は、
変位拡大板と、付勢手段と、前記変位拡大板に取り付けられた圧電素子とを備え、
前記変位拡大板は、
前記ケースに対して回動自在またはスライド移動自在に取り付けられかつ前記付勢手段によって付勢された本体部と、
前記圧電素子に電圧を印加して圧電素子が伸長した際には、その変位を拡大し、前記本体部に対して圧電素子の伸長方向に直交する方向に変位される変位拡大部とを備え、
前記圧電素子に電圧が印加されていない状態では、前記付勢手段で付勢された本体部によって第1の被駆動体が移動され、
前記圧電素子に電圧が印加されると、前記変位拡大部によって第2の被駆動体が移動され、
第2の被駆動体が対象物に当接した状態からさらに圧電素子に電圧を印加して変位拡大部の変位を拡大させると、前記付勢手段の付勢力に抗して本体部および第1の被駆動体が前記付勢手段の付勢力で移動される方向とは逆方向に移動されることを特徴とする圧電駆動装置。
【請求項2】
請求項1に記載の圧電駆動装置において、
前記圧電素子は、第1圧電素子および第2圧電素子を備え、
前記変位拡大部は、
前記第1圧電素子の伸長に伴い、前記本体部に対して第1圧電素子の伸長方向に直交する方向に変位される第1変位拡大部と、
前記第2圧電素子の伸長に伴い、前記本体部に対して第2圧電素子の伸長方向に直交する方向に変位される第2変位拡大部とを備え、
前記本体部で第1被駆動体が移動され、
前記第1変位拡大部で第2被駆動体が移動され、
前記第2変位拡大部で第3被駆動体が移動されることを特徴とする圧電駆動装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の圧電駆動装置において、
前記本体部は、基端部と、この基端部から延長されたアーム部とを備えて平面略L字状に形成され、
前記変位拡大部は、
前記本体部の基端部から連続して形成され、かつ互いに平行に配置された第1ヒンジ部および第2ヒンジ部と、
前記第1ヒンジ部に連続して形成されて前記圧電素子の第1の端部が取り付けられた圧電素子第1端部取付部と、
前記第2ヒンジ部に連続して形成されて前記圧電素子の長手方向に沿ってかつ前記圧電素子の第2の端部側まで延長された変位部と、
前記変位部から圧電素子の第2の端部側に向かって形成された第3ヒンジ部と、
前記第3ヒンジ部に連続して形成されて前記圧電素子の第2の端部が取り付けられた圧電素子第2端部取付部と備えて形成され、
前記アーム部、圧電素子、変位部は略平行に配置されていることを特徴とする圧電駆動装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の圧電駆動装置において、
前記本体部は、基端部と、この基端部から延長されたアーム部とを備えて平面略L字状に形成され、
前記変位拡大部は、
前記本体部の基端部から連続して形成され、かつ互いに平行に配置された第1ヒンジ部および第2ヒンジ部と、
前記第1ヒンジ部に連続して形成されて前記圧電素子の第1の端部が取り付けられた圧電素子第1端部取付部と、
前記第2ヒンジ部に連続して形成されて前記圧電素子の長手方向に沿ってかつ前記圧電素子の第2の端部側まで延長されて前記圧電素子の第2の端部が取り付けられた変位部とを備えて形成され、
前記アーム部、圧電素子、変位部は略平行に配置されていることを特徴とする圧電駆動装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の圧電駆動装置において、
前記各被駆動体は、ガイドブロックに案内され、かつ、前記付勢手段の付勢力で移動される方向およびその方向とは反対方向に移動可能に設けられた押圧部材で構成され、
前記付勢手段による付勢力を解除する付勢力解除手段と、
前記ガイドブロックに対して前記押圧部材を、前記付勢手段の付勢力で移動される方向とは反対方向に付勢し、前記付勢手段による付勢力が解除された際には、各押圧部材の先端がガイドブロックの端面から突出しない位置まで各押圧部材を移動する戻しバネと、
を備えることを特徴とする圧電駆動装置。
【請求項6】
ケースと、前記ケースに対して移動可能に設けられた駆動装置本体とを備え、
前記駆動装置本体は、
変位拡大板と、前記変位拡大板に取り付けられた圧電素子とを備え、
前記変位拡大板は、
前記ケースに対して固定された固定部と、
固定部からバネ部を介して連続して設けられた本体部と、
前記圧電素子に電圧を印加して圧電素子が伸長した際には、その変位を拡大し、前記本体部に対して圧電素子の伸長方向に直交する方向に変位される変位拡大部とを備え、
前記圧電素子に電圧が印加されていない状態では、前記バネ部で付勢された本体部によって第1の被駆動体が移動され、
前記圧電素子に電圧が印加されると、前記変位拡大部によって第2の被駆動体が移動され、
第2の被駆動体が対象物に当接した状態からさらに圧電素子に電圧を印加して変位拡大部の変位を拡大させると、前記バネ部の付勢力に抗して本体部および第1の被駆動体が前記バネ部の付勢力で移動される方向とは逆方向に移動されることを特徴とする圧電駆動装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の圧電駆動装置と、
前記圧電駆動装置の本体部で移動される第1被駆動体である第1押圧部材と、
前記圧電駆動装置の変位拡大部で移動される第2被駆動体である第2押圧部材と、
前記第1押圧部材および第2押圧部材によって押圧されるチューブとを備えることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項8】
請求項2に記載の圧電駆動装置と、
前記圧電駆動装置の本体部で移動される第1被駆動体である第1押圧部材と、
前記圧電駆動装置の第1変位拡大部で移動される第2被駆動体である第2押圧部材と、
前記圧電駆動装置の第2変位拡大部で移動される第3被駆動体である第3押圧部材と、
前記第1押圧部材、第2押圧部材および第3押圧部材によって押圧されるチューブまたはダイアフラムとを備えることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項1】
ケースと、前記ケースに対して移動可能に設けられた駆動装置本体とを備え、
前記駆動装置本体は、
変位拡大板と、付勢手段と、前記変位拡大板に取り付けられた圧電素子とを備え、
前記変位拡大板は、
前記ケースに対して回動自在またはスライド移動自在に取り付けられかつ前記付勢手段によって付勢された本体部と、
前記圧電素子に電圧を印加して圧電素子が伸長した際には、その変位を拡大し、前記本体部に対して圧電素子の伸長方向に直交する方向に変位される変位拡大部とを備え、
前記圧電素子に電圧が印加されていない状態では、前記付勢手段で付勢された本体部によって第1の被駆動体が移動され、
前記圧電素子に電圧が印加されると、前記変位拡大部によって第2の被駆動体が移動され、
第2の被駆動体が対象物に当接した状態からさらに圧電素子に電圧を印加して変位拡大部の変位を拡大させると、前記付勢手段の付勢力に抗して本体部および第1の被駆動体が前記付勢手段の付勢力で移動される方向とは逆方向に移動されることを特徴とする圧電駆動装置。
【請求項2】
請求項1に記載の圧電駆動装置において、
前記圧電素子は、第1圧電素子および第2圧電素子を備え、
前記変位拡大部は、
前記第1圧電素子の伸長に伴い、前記本体部に対して第1圧電素子の伸長方向に直交する方向に変位される第1変位拡大部と、
前記第2圧電素子の伸長に伴い、前記本体部に対して第2圧電素子の伸長方向に直交する方向に変位される第2変位拡大部とを備え、
前記本体部で第1被駆動体が移動され、
前記第1変位拡大部で第2被駆動体が移動され、
前記第2変位拡大部で第3被駆動体が移動されることを特徴とする圧電駆動装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の圧電駆動装置において、
前記本体部は、基端部と、この基端部から延長されたアーム部とを備えて平面略L字状に形成され、
前記変位拡大部は、
前記本体部の基端部から連続して形成され、かつ互いに平行に配置された第1ヒンジ部および第2ヒンジ部と、
前記第1ヒンジ部に連続して形成されて前記圧電素子の第1の端部が取り付けられた圧電素子第1端部取付部と、
前記第2ヒンジ部に連続して形成されて前記圧電素子の長手方向に沿ってかつ前記圧電素子の第2の端部側まで延長された変位部と、
前記変位部から圧電素子の第2の端部側に向かって形成された第3ヒンジ部と、
前記第3ヒンジ部に連続して形成されて前記圧電素子の第2の端部が取り付けられた圧電素子第2端部取付部と備えて形成され、
前記アーム部、圧電素子、変位部は略平行に配置されていることを特徴とする圧電駆動装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の圧電駆動装置において、
前記本体部は、基端部と、この基端部から延長されたアーム部とを備えて平面略L字状に形成され、
前記変位拡大部は、
前記本体部の基端部から連続して形成され、かつ互いに平行に配置された第1ヒンジ部および第2ヒンジ部と、
前記第1ヒンジ部に連続して形成されて前記圧電素子の第1の端部が取り付けられた圧電素子第1端部取付部と、
前記第2ヒンジ部に連続して形成されて前記圧電素子の長手方向に沿ってかつ前記圧電素子の第2の端部側まで延長されて前記圧電素子の第2の端部が取り付けられた変位部とを備えて形成され、
前記アーム部、圧電素子、変位部は略平行に配置されていることを特徴とする圧電駆動装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の圧電駆動装置において、
前記各被駆動体は、ガイドブロックに案内され、かつ、前記付勢手段の付勢力で移動される方向およびその方向とは反対方向に移動可能に設けられた押圧部材で構成され、
前記付勢手段による付勢力を解除する付勢力解除手段と、
前記ガイドブロックに対して前記押圧部材を、前記付勢手段の付勢力で移動される方向とは反対方向に付勢し、前記付勢手段による付勢力が解除された際には、各押圧部材の先端がガイドブロックの端面から突出しない位置まで各押圧部材を移動する戻しバネと、
を備えることを特徴とする圧電駆動装置。
【請求項6】
ケースと、前記ケースに対して移動可能に設けられた駆動装置本体とを備え、
前記駆動装置本体は、
変位拡大板と、前記変位拡大板に取り付けられた圧電素子とを備え、
前記変位拡大板は、
前記ケースに対して固定された固定部と、
固定部からバネ部を介して連続して設けられた本体部と、
前記圧電素子に電圧を印加して圧電素子が伸長した際には、その変位を拡大し、前記本体部に対して圧電素子の伸長方向に直交する方向に変位される変位拡大部とを備え、
前記圧電素子に電圧が印加されていない状態では、前記バネ部で付勢された本体部によって第1の被駆動体が移動され、
前記圧電素子に電圧が印加されると、前記変位拡大部によって第2の被駆動体が移動され、
第2の被駆動体が対象物に当接した状態からさらに圧電素子に電圧を印加して変位拡大部の変位を拡大させると、前記バネ部の付勢力に抗して本体部および第1の被駆動体が前記バネ部の付勢力で移動される方向とは逆方向に移動されることを特徴とする圧電駆動装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の圧電駆動装置と、
前記圧電駆動装置の本体部で移動される第1被駆動体である第1押圧部材と、
前記圧電駆動装置の変位拡大部で移動される第2被駆動体である第2押圧部材と、
前記第1押圧部材および第2押圧部材によって押圧されるチューブとを備えることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項8】
請求項2に記載の圧電駆動装置と、
前記圧電駆動装置の本体部で移動される第1被駆動体である第1押圧部材と、
前記圧電駆動装置の第1変位拡大部で移動される第2被駆動体である第2押圧部材と、
前記圧電駆動装置の第2変位拡大部で移動される第3被駆動体である第3押圧部材と、
前記第1押圧部材、第2押圧部材および第3押圧部材によって押圧されるチューブまたはダイアフラムとを備えることを特徴とする液体吐出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【公開番号】特開2008−54492(P2008−54492A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−168876(P2007−168876)
【出願日】平成19年6月27日(2007.6.27)
【出願人】(000111373)ノイベルク有限会社 (10)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月27日(2007.6.27)
【出願人】(000111373)ノイベルク有限会社 (10)
【Fターム(参考)】
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