説明

地雷探知装置及び地雷探知システム

【課題】誤検知及び見落としを防止し、迅速に地雷探知を実行することができる地雷探知システムを提供する。
【解決手段】地雷探知システム1は、地雷が埋設されている可能性のある地雷探知エリア30をA方向及びB方向に走査して探知する地雷探知装置10と、地雷探知装置10から送信される情報を受信して解析及び表示するパーソナルコンピュータ(PC)20とを有する。地雷探知装置10の地雷探知部100は、金属探知機と、地中レーダーと、匂いセンサと、赤外線カメラと、アンテナに接続されてPC20と無線通信する通信部と、各部の動作を制御する制御部と、制御部により制御されて車輪110を駆動する車輪駆動部と、制御部により制御されて駆動して地雷探知部100をガイド120上で移動させるガイド駆動部とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地雷探知装置及び地雷探知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、金属センサと地中レーダーとを併用して地雷を探知する地雷探知装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
この特許文献1の地雷探知装置は、探知コイルからなる金属センサと、金属センサと同一の探知領域を電磁波の照射領域とする地中レーダーと、地中レーダーの探知結果を表示する表示部とを有するため、金属センサの探知結果と併せて地中レーダー及び表示部による地中状況の目視を行うことができ、地中の探知物が地雷か否かの判断を安全及び迅速に行うことができる。
【特許文献1】特開平9−33194号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の地雷探知装置によると、対象領域の走査、及び探知物の判断を実行するのは人であり、必ずしも誤検知及び見落としがないとはいえない。また、広大な領域を探知するには膨大な時間を要するという問題がある。
【0005】
従って、本発明の目的は、誤検知及び見落としを防止し、迅速に地雷探知を実行することができる地雷探知装置及び地雷探知システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明は上記目的を達成するため、複数種類のセンサを有するセンサ部と、前記センサ部の前記複数種類のセンサの出力信号の組み合わせに基づいて地雷の有無を示す探知結果を出力する制御部とを有することを特徴とする地雷探知装置を提供する。
【0007】
上記した構成によれば、複数種類のセンサの出力信号の組み合わせに基づいて地雷の有無を判断するため、誤検知を防止できる。
【0008】
(2)また、本発明は上記目的を達成するため、複数種類のセンサを有するセンサ部と、前記センサ部の前記複数種類のセンサの出力信号を送信する通信部とを有する地雷探知装置と、前記地雷探知装置の出力する前記出力信号を受信する通信部と、受信した前記出力信号の組み合わせに基づいて地雷の有無を示す探知結果を出力する情報処理装置とを有することを特徴とする地雷探知システムを提供する。
【0009】
上記した構成によれば、(1)と同様の効果を有する地雷探知システムを達成できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、誤検知及び見落としを防止し、迅速に地雷探知を実行することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明の地雷探知装置及び地雷探知システムの実施の形態を図面を参考にして詳細に説明する。
【0012】
〔実施の形態〕
(地雷探知システムの構成)
図1は、本発明の実施の形態に係る地雷探知システムの構成例を示す概略図である。
【0013】
地雷探知システム1は、地雷が埋設されている可能性のある地雷探知エリア30をA方向及びB方向に走査して探知する地雷探知装置10と、地雷探知装置10から送信される情報を受信して解析及び表示するパーソナルコンピュータ(PC)20とを有する。
【0014】
地雷探知装置10は、後述する複数のセンサ及び通信部を備えた地雷探知部100と、地雷探知部100によって駆動されることによりA方向に移動するための車輪110と、地雷探知部100がB方向に移動するためのガイド120とを有する。地雷探知部100は、例えば、車輪110の位置を固定したままB方向に地雷探知エリア30の端まで走査して、A方向に所定の距離、例えば、0.1m移動してから再びB方向に走査する、といった動作を繰り返すことで地雷探知エリア30の全体を、例えば、0.1mごとの解像度で走査探知する。なお、解像度は0.1mに限らず任意の値を設定できる。
【0015】
PC20は、LCD等の液晶表示パネルからなる表示部200を備えた上部筐体20Aと、キーボードやトラックパッド等からなる操作部210を備えた下部筐体20Bとを有する。また、PC20は、内部に通信部を有し、地雷探知装置10から送信される情報を受信する。
【0016】
図2は、本発明の実施の形態に係る地雷探知装置の構成例を示す概略図である。
【0017】
地雷探知部100は、地雷探知エリア30に対する面に金属物を検出可能なコイル型の金属探知機100Aと、電磁波を放射して反射する電磁波から誘電率を取得してプラスチック製地雷を検出する地中レーダー100Bと、火薬から生じるヘキソーゲンやペンスリット等のガス成分を検出する匂いセンサ100Cと、赤外線を利用して温度差を検出して比熱の異なる物を検出する赤外線カメラ100Dとを有する。また、地雷探知部100は、内蔵された通信部に接続されたアンテナ130Aを有する。
【0018】
図3は、本発明の実施の形態に係る地雷探知装置の構成例を示すブロック図である。
【0019】
地雷探知部100は、金属探知機100Aと、地中レーダー100Bと、匂いセンサ100Cと、赤外線カメラ100Dと、アンテナ130Aに接続されてPC20と無線通信する通信部130と、各部の動作を制御する制御部140と、制御部140により制御されて車輪110を駆動する車輪駆動部150Aと、制御部140により制御されて駆動して地雷探知部100をガイド120上で移動させるガイド駆動部150Bとを有する。
【0020】
制御部140は、金属探知機100Aと、地中レーダー100Bと、匂いセンサ100Cと、赤外線カメラ100Dとから出力信号を受信して、出力信号の組み合わせに基づいて探知結果を決定する地雷探知プログラム140Aを動作させる。
【0021】
図4(a)及び(b)は、本発明の実施の形態に係るセンサ出力と探知結果とを対応付けの一例を示す概略図である。
【0022】
地雷探知プログラム140Aは、図4(a)に示す各センサの出力信号の組み合わせである探知結果対応表140Bに基づいて探知結果を決定する。各センサの出力信号の組み合わせ表示は、図4(b)に示すように、金属探知機100A、地中レーダー100B、匂いセンサ100C、及び赤外線カメラ100Dをそれぞれ左上、右上、左下、右下の順に並べており、探知状態の場合は黒丸、無探知状態の場合は白丸で示される。
【0023】
金属地雷は、金属製であるため、必ず金属探知機100Aに検出され、火薬から出るガスが匂いセンサ100Cに検出される。また、地中の土との比熱が異なるため赤外線カメラ100Dに検出される。なお、プラスチック地雷は、プラスチック製であるため、金属探知機100Aには検出されない。探知結果対応表140Bは、確実に地雷でないもののみ「地雷無し」又は「ゴミのみ」と表示され、地雷かゴミか判別できないものは「地雷有り」と表示している。なお、探知結果は、図4(a)に示したものに限らず利用者によって設定できるようにしてもよい。
【0024】
(動作)
以下に、本発明の実施の形態における地雷探知システムの動作を各図を参照しつつ説明する。
【0025】
図5(a)〜(c)は、本発明の実施の形態に係る地雷探知装置の動作例を示す概略図である。
【0026】
まず、地雷探知装置10は、図5(a)に示すように、車輪駆動部150A及びガイド駆動部150Bを駆動して地雷探知エリア30をA方向及びB方向に走査する。その際、A方向及びB方向ともに解像度を、例えば、0.1mに設定して走査を実行する。
【0027】
次に、地雷探知装置10の各センサは、図5(b)に示すように、出力信号を探知した場所を探知点300として地雷探知エリア30上の座標とともに出力する。
【0028】
次に、地雷探知装置10は、探知点300の情報を図4に示す探知結果対応表140Bに基づいて、地雷有り310又は地雷無し320へと変換する。
【0029】
次に、地雷探知装置10は、地雷有り310及び地雷無し320の情報を地雷探知エリア30上の座標とともに通信部130及びアンテナ130Aを介してPC20へ送信する。PC20は、情報を受信して、表示部200上に、図5(c)に示すように、探知結果を表示する。
【0030】
(実施の形態の効果)
上記した実施の形態によると、地雷探知装置10が地雷探知エリア30を走査し、地雷探知装置10に備えられた4種類のセンサで探知して、各センサの出力信号の組み合わせに基づいて地雷探知プログラム140Aが地雷の有無を示す探知結果を出力するため、誤検知及び見落としを防止することができる。
【0031】
なお、地雷探知プログラム140A及び探知結果対応表140Bは、PC20に格納されて動作する構成であってもよい。また、地雷探知装置10は、PC20によって制御されて動作する構成であってもよい。
【0032】
また、地雷探知部100の走査方法は、本実施の形態に示したものに限らずクレーンを用いた走査や、人力による走査等、その方法を限定しない。
【0033】
また、地雷探知部100は、金属探知機100A、地中レーダー100B、匂いセンサ100C、及び赤外線カメラ100Dを用いたが、複数種類のセンサを備えていればその種類を変更してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施の形態に係る地雷探知システムの構成例を示す概略図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る地雷探知装置の構成例を示す概略図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る地雷探知装置の構成例を示すブロック図である。
【図4】(a)及び(b)は、本発明の実施の形態に係るセンサ出力と探知結果とを対応付けの一例を示す概略図である。
【図5】(a)〜(c)は、本発明の実施の形態に係る地雷探知装置の動作例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0035】
1…地雷探知システム、10…地雷探知装置、20…PC、20A…上部筐体、20B…下部筐体、30…地雷探知エリア、100…地雷探知部、100A…金属探知機、100B…地中レーダー、100C…匂いセンサ、100D…赤外線カメラ、110…車輪、120…ガイド、130…通信部、130A…アンテナ、140…制御部、140A…地雷探知プログラム、140B…探知結果対応表、150A…車輪駆動部、150B…ガイド駆動部、200…表示部、210…操作部、300…探知点、310…地雷有り、320…地雷無し


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類のセンサを有するセンサ部と、
前記センサ部の前記複数種類のセンサの出力信号の組み合わせに基づいて地雷の有無を示す探知結果を出力する制御部とを有することを特徴とする地雷探知装置。
【請求項2】
前記センサ部は、地雷探知エリアを走査し、
前記制御部は、前記探知結果を前記地雷探知エリアの座標とともに出力することを特徴とする請求項1に記載の地雷探知装置。
【請求項3】
複数種類のセンサを有するセンサ部と、前記センサ部の前記複数種類のセンサの出力信号を送信する通信部とを有する地雷探知装置と、
前記地雷探知装置の出力する前記出力信号を受信する通信部と、受信した前記出力信号の組み合わせに基づいて地雷の有無を示す探知結果を出力する情報処理装置とを有することを特徴とする地雷探知システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−300315(P2009−300315A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−156772(P2008−156772)
【出願日】平成20年6月16日(2008.6.16)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】