説明

基板ケース

【課題】振動の生じる環境に設置されていても(例えば、車内に設置されていても)、基板を振動から保護でき、組み立ての工数を削減できる基板ケースを提供する。
【解決手段】基板ケース1は、ケース10対してクッション材20を挟み込んだ状態で基板30を組み付けて構成されている。そして、クッション材20は、ケース10に対してダイレクトに成形されている。さらに、クッション材は、基板の外縁に位置するように成形されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板ケースに関し、詳しくは、ケース対してクッション材を挟み込んだ状態で基板を組み付けて成る基板ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アンプケース等の基板ケースは、ベースケース等のケースに対してアンプ基板等の基板が組み付けられて構成されている。ここで、図8〜10に示されるように、ベースケースに対してクッション材(パッド材)を挟み込んだ状態でアンプ基板が組み付けられているアンプケースが開示されている。これにより、アンプケースが振動の生じる環境に設置されていても(例えば、車内に設置されていても)、アンプ基板を振動から保護できる。
【0003】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−219972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したアンプケース101は、3工程(第1の工程〜第3の工程)を経て組み立てられている。この3工程を説明すると、まず、ベースケース110の内部にクッション材120を挿入して組み付ける(第1の工程)。次に、クッション材120を挿入したベースケース110の内部に、さらに、アンプ基板130を挿入して組み付ける(第2の工程)。最後に、アンプ基板130を挿入したベースケース110にケース蓋140を組み付ける(第3の工程)。このように3工程を経てアンプケース101は組み立てられている。そのため、少しでも工数を削減することが求められていた。
【0006】
本発明は、このような課題を解決しようとするもので、その目的は、組み立ての工数を削減できる基板ケースを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の目的を達成するためのものであって、以下のように構成されている。
請求項1に記載の発明は、ケース対してクッション材を挟み込んだ状態で基板を組み付けて成る基板ケースであって、クッション材は、ケースに対してダイレクトに成形されていることを特徴とする構成である。
この構成によれば、基板ケースを2工程で組み立てることができる。したがって、従来技術であれば、基板ケースの組み立てに3工程要していたため、基板ケースの組み立てに要する工数を1工数削減できる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の基板ケースであって、クッション材の表面のうち、基板と向かい合う側の表面には、複数の突起が成形されていることを特徴とする構成である。
この構成によれば、ケース、クッション材、基板のサイズ等にバラツキが生じている状態で基板ケースを組み立てても、これら複数の突起がこのバラツキを吸収できる。
【0009】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1〜2のいずれかに記載の基板ケースであって、クッション材は、基板の外縁に位置するように成形されていることを特徴とする構成である。
この構成によれば、基板をケースに組み付けたとき、組み付けた基板に形成されている素子がクッション材に干渉することがないため、この素子に対して応力をかけることなく基板を振動から保護できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の実施例に係るアンプケースの組み立て構造を示す分解斜視図である。
【図2】図2は、図1のベースケースの平面図である。
【図3】図3は、図2のIII−III線断面図である。
【図4】図4は、図1のベースケースの背面図である。
【図5】図5は、図4のV−V線断面図である。
【図6】図6は、図1の組み付け状態を示す斜視図である。
【図7】図7は、図6のVII−VII線断面図である。
【図8】図8は、従来技術に係るアンプケースの組み立て構造を示す分解斜視図である。
【図9】図9は、図8の組み付け状態を示す斜視図である。
【図10】図10は、図9のX−X線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態を、図1〜7を用いて説明する。図1に示すように、アンプケース1は、ベースケース10と、アンプ基板30と、ケース蓋40とから構成されている。以下に、これらベースケース10と、アンプ基板30と、ケース蓋40とを個別に説明していく。
【0012】
はじめに、図1〜3を参照して、ベースケース10から説明していく。ベースケース10は、その内部に後述するアンプ基板30を挿入して組み付け可能なケース部材から構成されている。このベースケース10の内部の底面には、略コ字状に形成されたクッション材20がベースケース10に対して一体的に成形されている。すなわち、クッション材20は、ベースケース10に対してダイレクト成形(ベースケース10に対して、直に、エラストマ等を射出成形)によって成形されている。
【0013】
このクッション材20の表面は、半円を成す盛り上がり状に形成されている。そして、この盛り上がった表面には、突起22が一体的に形成されている。この実施例では、突起22が適宜の8箇所に形成されている。これらの記載が、特許請求の範囲に記載の「クッション材の表面のうち、基板と向かい合う側の表面には、複数の突起が成形されている」に相当する。また、このクッション材20の長手方向の中央は、盛り上がりを成すことなく、平面状に形成(以下、「平面部24」と記す)されている。
【0014】
これによりクッション材20の表面が半円を成す盛り上がり状に形成されていても、クッション材20をダイレクト成形したベースケース10を金型(図示しない)から取り出すとき、エジェクタピン(図示しない)を押し当てることができるため、ベースケース10を金型から簡便に取り出すことができる。なお、このクッション材20は、後述するアンプ基板30をベースケース10に組み付けたとき、組み付けたアンプ基板30の外縁に位置するように成形されている。
【0015】
また、図4〜5に示すように、このベースケース10の底面のうち、クッション材20が成形される部位には、その厚み方向を貫通する貫通孔12が形成されている。この実施例では、貫通孔12が適宜の5箇所に形成されている。これにより、クッション材20をベースケース10に対してダイレクト成形すると、クッション材20の元となる射出した溶融樹脂(図示しない)が各貫通孔12に流れ込む。そのため、出来上がったクッション材20のベースケース10に対する接合の度合いを高めることができる。ベースケース10は、このように構成されている。
【0016】
次に、図1に戻って、アンプ基板30を説明する。アンプ基板30は、その一方側の面に各種の素子32が組み付けられた基板部材から構成されている。なお、この各種の素子は、アンプ基板30の外縁を除いた位置(アンプ基板30の内側)に組み付けられている。アンプ基板30は、このように構成されている。
【0017】
最後に、ケース蓋40を説明する。ケース蓋40は、ベースケース10の開口を覆い可能に形成された蓋部材から構成されている。このケース蓋40には、適宜の数だけ係合爪(図示しない)が形成されている。これにより、ケース蓋40をベースケース10の開口を覆った組み付け状態に保持できる。
【0018】
また、このケース蓋40の内面には、一対の押さえ脚42、42が形成されている。これにより、ケース蓋40をベースケース10の開口を覆うように組み付けたとき、ベースケース10の内部に組み付けたアンプ基板30を押さえつけることができる。したがって、アンプ基板30のガタツキを防止できる。ケース蓋40は、このように構成されている。
【0019】
続いて、図1、6を参照して、上述したベースケース10と、アンプ基板30と、ケース蓋40からアンプケース1を組み立てる手順を説明する。まず、図1に示す状態から、ベースケース10の内部にアンプ基板30を挿入して組み付ける(第1の工程)。このように組み付けると、組み付けたアンプ基板30の素子32がクッション材20に干渉することがないため、この素子32に対して応力をかけることなくアンプ基板30を振動から保護できる。
【0020】
また、このように組み付けると、ベースケース10の内部には既にクッション材20がダイレクト成形されているため、このクッション材20に形成されている8個の突起22がアンプ基板30を支持できる。そのため、ベースケース10、クッション材20、アンプ基板30、ケース蓋40のサイズ等にバラツキが生じていても、これら8個の突起22がこのバラツキを吸収できる。なお、これらの組み付けの記載が、特許請求の範囲に記載の「ケース対してクッション材を挟み込んだ状態で基板を組み付けて成る」に相当する。
【0021】
次に、アンプ基板30を挿入したベースケース10にケース蓋40を組み付ける(第2の工程)。このように2工程を経てアンプケース1を組み立てることができる(図6参照)。
【0022】
本発明の実施例に係るアンプケース1は、このように構成されている。この構成によれば、ベースケース10の内部の底面には、略コ字状に形成されたクッション材20がベースケース10に対して一体的に成形されている。すなわち、クッション材20は、ベースケース10に対してダイレクト成形(ベースケース10に対して、直に、射出成形)によって成形されている。そのため、アンプケース1を2工程で組み立てることができる。したがって、従来技術であれば、アンプケース101の組み立てに3工程要していたため、アンプケース1の組み立てに要する工数を1工数削減できる。
【0023】
また、この構成によれば、このクッション材20の表面は、半円を成す盛り上がり状に形成されている。そして、この盛り上がった表面には、8個の突起22が一体的に形成されている。そのため、これら8個の突起22がアンプ基板30を支持できる。したがって、ベースケース10、クッション材20、アンプ基板30、ケース蓋40のサイズ等にバラツキが生じている状態でアンプケース1を組み立てても、これら8個の突起22がこのバラツキを吸収できる(図7参照)。
【0024】
また、この構成によれば、クッション材20は、アンプ基板30をベースケース10に組み付けたとき、組み付けたアンプ基板30の外縁に位置するように成形されている。そのため、アンプ基板30をベースケース10に組み付けたとき、組み付けたアンプ基板30の素子32がクッション材20に干渉することがないため、この素子32に対して応力をかけることなくアンプ基板30を振動から保護できる。このことは、図7と図10との比較からも明らかである。
【0025】
上述した内容は、あくまでも本発明の一実施の形態に関するものであって、本発明が上記内容に限定されることを意味するものではない。
実施例では、基板の例として、アンプ基板30を説明した。しかし、これに限定されるものでなく、各種の基板であっても構わない。
【符号の説明】
【0026】
1 アンプケース(基板ケース)
10 ベースケース(ケース)
20 クッション材
22 突起
30 アンプ基板(基板)



【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース対してクッション材を挟み込んだ状態で基板を組み付けて成る基板ケースであって、
クッション材は、ケースに対してダイレクトに成形されていることを特徴とする基板ケース。
【請求項2】
請求項1に記載の基板ケースであって、
クッション材の表面のうち、基板と向かい合う側の表面には、複数の突起が成形されていることを特徴とする基板ケース。
【請求項3】
請求項1〜2のいずれかに記載の基板ケースであって、
クッション材は、基板の外縁に位置するように成形されていることを特徴とする基板ケース。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−110146(P2013−110146A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251472(P2011−251472)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【出願人】(308013436)小島プレス工業株式会社 (386)
【Fターム(参考)】