説明

基板処理装置及び半導体装置の製造方法

【課題】ダミー基板の使用効率の向上及び有効なダミー基板の運用を可能とする。
【解決手段】所定枚数の各種基板を処理する処理室を複数備えた基板処理装置であって、前記処理室毎の基板枚数が前記所定枚数となるように、前記処理室毎に使用するダミー基板の枚数を決定し、前記ダミー基板が均等に使用されるよう制御する制御手段を備えた基板処理装置が提供される。前記制御手段は、前記処理室毎の前記各種基板が前記所定枚数となるように前記ダミー基板の枚数を決定する際、前記処理室毎に使用される前記ダミー基板の枚数を、略同枚数となるように決定する。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の基板を一括で処理する処理室を備えた基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板(半導体ウェハ)等の基板を一括で処理する処理室を備えた基板処理装置において、ダミー基板を用いる場合の一般的な運用方法としては、複数のダミー基板を収納した基板収納手段を基板処理装置に常駐させ、製品基板が処理室内で処理可能な基板枚数に満たない場合、基板収納手段から不足分のダミー基板を搬出し、処理室内で1回に処理される基板の組み合わせ(以下、バッチという)を構成する。基板処理が施されたダミー基板は、基板収納手段内へ戻され繰り返し使用される。例えば、特許文献1によれば、ロットの最後に生じてしまう基板載置台の空きスペースをダミー基板で埋めることにより、処理室内の処理品質の向上が図られている。
【0003】
また、ダミー基板は繰り返し使用されるため、例えば基板処理が成膜処理である場合、複数回使用されるうちにダミー基板上には堆積膜が累積していく。そこで、累積膜厚値の増大による膜剥がれや発塵、堆積膜の応力によるダミー基板の反りや変形を未然に防ぐため、所定の使用回数又は所定の累積膜厚値を超過した場合にはダミー基板を交換する。工場の製造ラインでは、複数枚のダミー基板のいずれかが上記所定値を超えると基板収納手段ごとダミー基板が交換され、一様に廃棄されるか再生される。そこで、例えばダミー基板の累積膜厚値等に基づきダミー基板を選択することにより、全ダミー基板について有効利用が図られてきた(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3824835号公報
【特許文献2】特許第4294972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のダミー基板の運用に際し、処理室を複数備えた基板処理装置では、各処理室間での相互汚染等を抑制するうえで、処理室毎に使用するダミー基板を分けることが望ましい。しかしながら、例えば処理室毎に基板処理の内容が異なる場合等にダミー基板の使用状況に偏りが生じ、累積膜厚値の少ないダミー基板であっても交換時期に達したダミー基板とともに交換され廃棄されてしまう。
【0006】
このように、ダミー基板の使用回数や使用枚数の偏りは、ダミー基板全体での使用効率の低下を招く。そこで、本発明者等は、処理室毎のダミー基板の割り当て、ダミー基板を優先使用する処理室や使用するダミー基板の順位付け、基板処理の内容で括ったグループ単位ごとのバッチ組みの手法等について鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成させるに至った。尚、ここでは、バッチを構成することをバッチ組みと称する。
【0007】
本発明の目的は、ダミー基板の使用効率の向上及び交換頻度の増加の抑制が可能な基板処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、
所定枚数の各種基板を一括で処理する処理室を複数備えた基板処理装置であって、
前記処理室毎の基板枚数が前記所定枚数となるように、前記処理室毎に使用するダミー基板の枚数を決定し、前記ダミー基板が均等に使用されるよう制御する制御手段を備えた基板処理装置が提供される。
【0009】
本発明の他の態様によれば、前記制御手段は、
前記処理室毎の基板枚数が前記所定枚数となるように前記ダミー基板の枚数を決定する際、
前記処理室毎に使用される前記ダミー基板の枚数を、前記処理室間で略同枚数となるように決定するよう構成される基板処理装置が提供される。
【0010】
更に、本発明の他の態様によれば、前記制御手段が、
前記処理室毎に前記各種基板を振り分け、前記各種基板を複数回処理するとき、
少なくとも前回処理における処理室毎の前記ダミー基板の膜厚値を比較し、前記膜厚値が少ない処理室に前記ダミー基板を搬送するよう構成される基板処理装置が提供される。
【0011】
本発明のさらに他の態様は、処理室毎の各種基板が所定枚数となるように、前記処理室毎に使用されるダミー基板の枚数を決定する枚数決定工程と、前記各種基板を搬送する基板搬送工程と、を含む基板搬送方法であって、前記枚数決定工程では、前記処理室毎に使用される前記ダミー基板の枚数が、前記処理室間で略同枚数になるように決定する基板搬送方法である。
【0012】
本発明のさらに他の態様は、処理室毎の各種基板が所定枚数となるように、前記処理室毎に使用されるダミー基板の枚数を決定する枚数決定工程と、前記各種基板を搬送する基板搬送工程と、前記処理室毎に前記各種基板を処理する基板処理工程と、を含む半導体装置の製造方法であって、前記枚数決定工程では、前記処理室毎に使用される前記ダミー基板の枚数が、前記処理室間で略同枚数になるように決定する半導体装置の製造方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ダミー基板の使用効率の向上及び有効なダミー基板の運用が可能となり、ダミー基板の使用回数や使用枚数の処理室間の偏りを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る基板処理装置の概略構成図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る基板処理を管理するレシピとジョブとの関係を示すクラス関連図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る振分処理を行う際のレシピとジョブとの関係を示すオブジェクト関連図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る並行処理を行う際のレシピとジョブとの関係を示すオブジェクト関連図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る制御手段によるジョブ生成の一例を示す説明図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る基板処理装置の制御手段の構成図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る基板処理装置の備える表示装置の表示画面の一例である。
【図8】本発明の一実施形態に係る基板処理装置の制御手段により実行されるソフトウエア上の主なクラスの関係を示すクラス関連図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る基板処理装置の制御手段により実行されるソフトウエアを示す機能構成図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る基板処理装置における基板処理工程の概要を示すフロー図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る制御手段が実行する材料管理手段によるキャリアカセット受け入れ処理のフロー図である。
【図12】本発明の一実施形態に係る制御手段が実行するジョブ制御手段によるジョブ生成処理及びグループ制御手段によるジョブのグループ化処理のフロー図である。
【図13】本発明の一実施形態に係る制御手段が実行するグループ制御手段によるバッチ開始要求処理のフロー図である。
【図14】本発明の一実施形態に係る制御手段が実行するグループ制御手段による今回実行グループ決定処理のフロー図である。
【図15】本発明の一実施形態に係る制御手段が実行するバッチ組み手段によるバッチ組み処理のフロー図である。
【図16】本発明の一実施形態に係る制御手段が実行するバッチ組み手段による基板枚数決定処理の前半を示すフロー図である。
【図17】本発明の一実施形態に係る制御手段が実行するバッチ組み手段による基板枚数決定処理の後半を示す図であって、アルゴリズムA1を用いたときのフロー図である。
【図18】本発明の一実施形態に係る制御手段が実行するバッチ組み手段による基板枚数決定処理の後半を示す図であって、アルゴリズムA2を用いたときのフロー図である。
【図19】本発明の一実施形態に係る制御手段が実行するバッチ組み手段による基板枚数決定処理の後半を示す図であって、アルゴリズムA3を用いたときのフロー図である。
【図20】本発明の一実施形態に係る制御手段が実行するバッチ組み手段によるダミー優先使用PM順決定処理のフロー図である。
【図21】本発明の一実施形態に係る制御手段が実行するグループ制御手段によるバッチ投入処理のフロー図である。
【図22】本発明の一実施形態に係る制御手段が実行するPM管理手段によるPMステータス更新処理及び材料管理手段によるダミー基板ステータス更新処理のフロー図である。
【図23】本発明の実施例1,2及び比較例1に係る基板処理装置において、異なるシーケンスレシピによるロット内処理の結果を示す説明図である。
【図24】本発明の実施例1,2及び比較例1に係る基板処理装置において、異なるシーケンスレシピによる複数ロット処理の結果を示す説明図である。
【図25】本発明の実施例3及び比較例2に係る基板処理装置において、同一のシーケンスレシピによる複数ロット処理の結果を示す説明図である。
【図26】本発明の他の実施例に係る基板処理装置において、システムコマンドを選択する画面の一実施例を示す図である。
【図27】本発明の他の実施例に係る基板処理装置において、ロットを開始する際に、初めに製品基板が投入されるプロセスチャンバPMを選択する画面の一実施例を示す説明図である。
【図28】本発明の他の実施例に係る基板処理装置におけるデータ処理の結果を示す一実施例を示す画面である。
【図29】本発明の他の実施例に係る基板処理装置において、制御部239に実現される機能構成を示す図である。
【図30】本発明の他の実施例を具体的に説明するための一実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<本発明の一実施形態>
以下に、本発明の一実施形態について説明する。
【0016】
(1)基板処理装置の構成
まずは、本発明の一実施形態に係る基板処理装置の構成について、図1を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る多枚葉式の基板処理装置10の概略構成図である。
【0017】
図1に示すように、基板処理装置10は真空側と大気側とに分れている。
【0018】
(真空側の構成)
基板処理装置10の真空側には、真空気密可能な真空搬送室TM(Transfer Module)と、予備室としてのロードロック室LM(Load Lock Module)1,LM2と、複数の基板Wを一括処理する処理室としてのプロセスチャンバPM(Process Module)1,PM2と、が設けられる。ロードロック室LM1,LM2、プロセスチャンバPM1,PM2は、真空搬送室TMの外周を囲むように配置されている。
【0019】
真空搬送室TMは、真空状態などの大気圧未満の圧力(負圧)に耐えることが出来る構造に構成されている。なお、本実施形態においては、真空搬送室TMの筐体は、平面視が五角形で、上下両端が閉塞した箱形状に形成されている。
【0020】
真空搬送室TM内には、搬送手段としての真空ロボットVRが設けられている。真空ロボットVRは、ロードロック室LM1,LM2及びプロセスチャンバPM1,PM2との間で、シリコン(Si)等からなる製品基板やダミー基板等の基板Wの搬送を基板載置部である2本のアームに載せることで相互に行なう。なお、真空ロボットVRは、真空搬送室TMの気密性を維持しつつ昇降できるように構成される。また、2本のアームはそれぞれ水平方向に伸縮でき、係る水平面内で回転移動できるように構成されている。また、真空搬送室TM内であって、ロードロック室LM1,LM2、プロセスチャンバPM1,PM2の各手前位置には、図示しない基板有無センサが設置され、アーム上の基板Wの存在を検知できるように構成されている。
【0021】
プロセスチャンバPM1,PM2は、基板Wが載置される基板載置台ST11〜ST15およびST21〜ST25をそれぞれ備え、例えば基板Wを5枚ずつ一括処理する多枚葉式の処理室として構成されている。すなわち、プロセスチャンバPM1,PM2は、それぞれが例えばプラズマ等を用いたエッチングやアッシング、化学反応による成膜(CVD:Chemical Vapor Deposition)など、基板Wに付加価値を与える処理室として機能する。
【0022】
また、プロセスチャンバPM1,PM2は、その機能に応じた各種の構成、例えばガス導入・排気機構や温度制御・プラズマ放電機構(いずれも図示せず)を備えている。これらの機構は、プロセスチャンバPM1,PM2内へ供給する処理ガスの流量を制御する図示しないマスフローコントローラ、プロセスチャンバPM1,PM2内の圧力を制御するオートプレッシャコントローラ(APC)等の圧力コントローラ15、プロセスチャンバPM1,PM2内の温度を制御する図示しない温度調整器、処理ガスの供給や排気用バルブのオン/オフを制御するバルブデジタルI/O13、各種スイッチ(SW)等のオン/オフを制御するSWデジタルI/O14などを備えている。上記各構成は、プロセスチャンバコントローラ239pに電気的に接続されている。プロセスチャンバコントローラ239pを含む制御手段としての制御部239の構成については後述する。
【0023】
また、プロセスチャンバPM1,PM2は、図示しないゲートバルブを介して真空搬送室TMとそれぞれ連通している。したがって、ゲートバルブを開けることにより、真空搬送室TMとの間で基板Wの搬送を行うことが可能である。また、ゲートバルブを閉じることにより、プロセスチャンバPM1,PM2内の圧力や処理ガス雰囲気を保持したまま、基板Wに対して各種の基板処理を行うことが可能である。
【0024】
ロードロック室LM1,LM2は、真空搬送室TM内へ基板Wを搬入する予備室として、あるいは真空搬送室TM内から基板Wを搬出する予備室として機能する。ロードロック室LM1,LM2の内部には、基板Wを搬入搬出する際、基板Wを一時的に支持する基板載置部としての図示しないバッファステージが、それぞれ設けられている。バッファステージは、複数枚(例えば2枚)の基板Wを保持する多段型スロットとしてそれぞれ構成されていてもよい。
【0025】
また、ロードロック室LM1,LM2は、図示しないゲートバルブを介して真空搬送室TMとそれぞれ連通しており、また、図示しないゲートバルブを介して後述する大気搬送室EFEMとそれぞれ連通している。したがって、真空搬送室TM側のゲートバルブを閉じたまま、大気搬送室EFEM側のゲートバルブを開けることにより、真空搬送室TM内の真空気密を保持したまま、ロードロック室LM1,LM2と大気搬送室EFEMとの間で基板Wの搬送を行うことが可能である。
【0026】
また、ロードロック室LM1,LM2は、真空状態などの大気圧未満の負圧に耐えることが出来る構造に構成されており、その内部をそれぞれ真空排気することが可能となっている。したがって、大気搬送室EFEM側のゲートバルブを閉じてロードロック室LM1,LM2の内部を真空排気した後で、真空搬送室TM側のゲートバルブを開けることにより、真空搬送室TM内の真空状態を保持したまま、ロードロック室LM1,LM2と真空搬送室TMとの間で、基板Wの搬送を行うことが可能である。
【0027】
(大気側の構成)
一方、基板処理装置10の大気側には、上述の通り、ロードロック室LM1,LM2に接続されたフロントモジュールである大気搬送室EFEM(Equipment Front End Module)と、大気搬送室EFEMに接続され、例えば1ロット分、25枚の基板Wを収納した基板収納手段としてのキャリアカセットCA1〜CA3を載置する基板収容部としてのロードポートLP1〜LP3と、が設けられる。
【0028】
大気搬送室EFEM内には、搬送手段としての大気ロボットARが例えば1台設けられている。大気ロボットARは、ロードロック室LM1,LM2とロードポートLP1〜LP3との間で基板Wの搬送を相互に行なう。大気ロボットARも、真空ロボットVRと同様に基板載置部である2本のアームを有する。また、大気搬送室EFEM内であって、ロードロック室LM1,LM2の各手前位置には、図示しない基板有無センサが設置され、アーム上の基板Wの存在を検知できるように構成されている。
【0029】
なお、大気搬送室EFEM内には、基板位置補正装置として、基板Wの結晶方位の位置合わせ等を行う図示しないオリフラ(Orientation Flat)合わせ装置が設けられている。基板Wがノッチタイプであるときは、基板位置補正装置としてのノッチ合わせ装置を設けることも可能である。また、大気搬送室EFEMには、大気搬送室EFEMの内部にクリーンエアを供給する図示しないクリーンエアユニットが設けられている。
【0030】
各ロードポートLP1〜LP3は、各ロードポートLP1〜LP3上に、複数枚の基板Wを収納する基板収納手段としてのキャリアカセットCA1〜CA3をそれぞれ載置するように構成される。キャリアカセットCA1〜CA3内には、基板Wをそれぞれ収納する収納部としてのスロット(図示せず)が例えば1ロット分、25スロット設けられている。各ロードポートLP1〜LP3はキャリアカセットCA1〜CA3が載置されると、キャリアカセットCA1〜CA3に付され、キャリアカセットCA1〜CA3を識別するキャリアIDを示すバーコード等を読み取って記憶するよう構成される。
【0031】
また、各ロードポートLP1〜LP3のうち、例えばロードポートLP3にはダミー基板としての基板Wを収納するキャリアカセットC3が常駐されている。製品基板としての基板Wは、例えばキャリアカセットCA1又はキャリアカセットCA2に収納され、ロードポートLP1又はロードポートLP2に載置され、基板処理装置10内に搬送されて各種の基板処理を受けることとなる。なお、基板処理装置10の基板処理能力の向上を図るため、また、多品種小ロット化に伴って製品基板用の搬送スペースを多数確保する必要があるため、基板処理装置10内に常駐されるダミー基板のキャリアカセットは1つに留めることが望ましい。
【0032】
以上、本実施形態の基板処理装置10について説明をしたが、各室の数や構成、組み合わせは上記に限られず、適宜、選択することができる。
【0033】
(2)レシピ及びジョブ
上記の基板処理装置10において施される基板処理は、各種レシピとジョブとにより管理される。以下に、レシピ及びジョブについて図2〜図5を用いて説明する。図2は、本実施形態に係る基板処理を管理するレシピとジョブとの関係を示すクラス関連図である。図3は、本実施形態に係る振分処理を行う際のレシピとジョブとの関係を示すオブジェクト関連図である。図4は、本実施形態に係る並行処理を行う際のレシピとジョブとの関係を示すオブジェクト関連図である。図5は、本実施形態に係る制御部239によるジョブ生成の一例を示す説明図である。
【0034】
図2に示すように、レシピには、例えばプロセスチャンバPM1,PM2での基板処理の内容を規定するプロセスレシピと、製品基板をどのプロセスチャンバで処理するかを規定するシーケンスレシピがある。ジョブは、制御部239により実行されるソフトウエア上のオブジェクトであり、処理を行う製品基板とシーケンスレシピとに関連付けられている。例えば、シーケンスレシピが異なる毎に、また、製品基板のロットが異なる毎に、製品基板の処理要求とともに生成され、処理完了とともに削除されるよう構成される。ジョブは同時に複数存在することができ、生成順に実行されるよう構成される。なお、これ以降、ジョブをジョブオブジェクトとも呼ぶことがある。
【0035】
図2に示すように、ジョブはシーケンスレシピを1個持つ。シーケンスレシピは1個以上のプロセスレシピを持ち、プロセスチャンバPM1,PM2・・・PMnごとにプロセスレシピを0個又は1個持っている。
【0036】
次に、上記2つのプロセスチャンバPM1,PM2を備える基板処理装置10において、振分処理及び並行処理を行う場合について説明する。
【0037】
両プロセスチャンバPM1,PM2での基板処理の内容が同じであり、製品基板をどちらで処理してもよい場合の処理を振分処理という。この場合、図3に示すように、ジョブJaはシーケンスレシピSaを持ち、シーケンスレシピSaは、プロセスチャンバPM1のプロセスレシピPaと、プロセスチャンバPM2のプロセスレシピPaとを持つ。係るジョブJaを実行すると、ジョブJaに関連付けられた製品基板には、プロセスチャンバPM1或いはプロセスチャンバPM2のどちらかで、プロセスレシピPaによる基板処理が施されるよう構成される。
【0038】
プロセスチャンバPM1,PM2での基板処理の内容がそれぞれ異なる場合の処理を並行処理という。この場合、図4に示すように、それぞれの基板処理の内容に応じて異なるジョブJa,Jbが生成され、同時に実行される。すなわち、例えばジョブJaはシーケンスレシピSaを持ち、シーケンスレシピSaはプロセスチャンバPM1のプロセスレシピPaを持つ。また、例えばジョブJbはシーケンスレシピSbを持ち、シーケンスレシピSbはプロセスチャンバPM2のプロセスレシピPbを持つ。それぞれのジョブJa,Jbはプロセスチャンバが競合しないため同時に実行可能である。よって、ジョブJaに関連付けられた製品基板にはプロセスチャンバPM1でのプロセスレシピPaによる基板処理が、ジョブJbに関連付けられた製品基板にはプロセスチャンバPM2でのプロセスレシピPbによる基板処理が、それぞれ同時に施されるよう構成される。
【0039】
なお、基板載置台を1つのみ有するプロセスチャンバを3つ以上備える枚葉式の基板処理装置においては、振分処理と並行処理とが同時に実行される場合もある。この場合、例えば2つのプロセスチャンバで同じプロセスレシピによる振分処理を実行し、もう1つのプロセスチャンバではこれと異なるプロセスレシピにより並行処理を実行するよう構成される。
【0040】
次に、図5に示すジョブ生成及びリスト化の一例について説明する。
【0041】
図5に示すように、例えばキャリアカセット内に製品基板が23枚収納されており、このうち7枚の製品基板にシーケンスレシピSaを持つジョブJaを割り振り、他の7枚の製品基板にシーケンスレシピSbを持つジョブJbを割り振り、残り9枚の製品基板にシーケンスレシピScを持つジョブJcを割り振ったとする。
【0042】
この場合、例えばジョブJa,Jb,Jcは生成順にリスト化され実行される。まず、ジョブJaが生成され、ジョブキューQにリスト化される。次に、ジョブJbが生成され、ジョブキューQにリスト化される。最後に、ジョブJcが生成され、ジョブキューQにリスト化される。このようにリスト化された各ジョブJa,Jb,Jcは、ジョブキューQの先頭であるジョブJaから順に実行される。各ジョブの生成及びリスト化は、後述の制御部239により実行されるよう構成される。このように、複数のジョブがリスト化されたジョブキューQをジョブリストと呼ぶことがある。
【0043】
(3)制御手段の構成
次に、基板処理装置10を制御する制御手段としての制御部239について、主に図6を用いて説明する。図6は、基板処理装置10の制御部239の概略構成の一例を示すブロック図である。
【0044】
図6に示すように、制御部239には、スイッチングハブ239hを介して、操作部コントローラ236と、GEMコントローラ237と、搬送コントローラ239tと、プロセスチャンバコントローラ239pとがLAN等の通信ネットワーク20で相互に接続されるように設けられている。また、真空搬送室TMが備える真空ロボットVRと、大気搬送室EFEMが備える大気ロボットARとを制御するロボットコントローラ11が、LAN等の通信ネットワーク20によりスイッチングハブ239hを介して設けられている。
【0045】
制御手段としての制御部239は、基板処理装置10の内部に設けられ、搬送コントローラ239t、プロセスチャンバコントローラ239pを備えることで、基板処理装置10の各部を制御するよう構成される。搬送コントローラ239tとプロセスチャンバコントローラ239pとは、基板処理装置10内に設けることに替えて、基板処理装置10外に設けられていても良い。
【0046】
また、制御部239は、プロセスチャンバPM1,PM2ごとにダミー基板を割り当てる材料管理手段56、レシピが同一の所定のジョブ同士をグループとして管理するグループ制御手段53、製品基板とダミー基板とを組み合わせてバッチ組みをするバッチ組み手段54(いずれも図9を参照)等の機能を備え、ダミー基板の運用や、ダミー基板及び製品基板等の基板Wの振り分けを行うよう構成される。制御部239のこれらの機能については後述する。
【0047】
操作部コントローラ236は、操作員とのインタフェースであり、表示装置236sや図示しない入力装置等を介して操作員による操作を受け付けるよう構成される。また、各スロットの表示とともに、後述するダミー基板の割り当てPM(プロセスチャンバ)や累積膜厚等の情報を表示装置236sに表示するよう構成される。係る表示装置236sの表示画面の一例を図7に示す。
【0048】
図7は、ロードポートLP3のロードポートキャリア情報の一例を示す図である。図7に示すように、本表示画面例では、各スロット情報の表示と共に、搬入元情報、ダミー累積膜厚値、ダミー割当PMの情報が表示されるよう構成される。各スロット情報は、スロットに載置されたダミー基板の属性がわかるように明示されている。本ロードポートキャリア情報の下側にスロットの凡例が表示されているため、この凡例を参照することで各スロットに載置されたダミー基板の状態が把握できるようになっている。例えば、図7で示される表示例では、スロット18,19に載置されたダミー基板は未処理の状態であり、他のスロットに載置されたダミー基板は処理済みの状態であることがわかる。また、搬入元情報3−1,3−2・・・3−25は、左側の3がLP3を示し、右側の1,2・・・25がそれぞれスロット番号を示している。ダミー累積膜厚情報は、交換のための閾値となる情報である。本実施形態においては、ダミー割当PMとして、1(PM1)若しくは2(PM2)が指定されている。
【0049】
GEMコントローラ237は、顧客のホストコンピュータ237uに接続され、工場内の自動化システムを実現するよう構成される。
【0050】
プロセスチャンバコントローラ239p及び搬送コントローラ239tは、例えばCPU等からなる。また、プロセスチャンバコントローラ239p及び搬送コントローラ239tには、DeviceNet等のデジタル信号回線30を通じて、処理ガスの供給や排気用バルブのオン/オフを制御するバルブデジタルI/O13、各種スイッチ(SW)等のオン/オフを制御するSWデジタルI/O14が、シーケンサ12を介してそれぞれ接続されている。
【0051】
また、プロセスチャンバコントローラ239pには、プロセスチャンバPM1,PM2内の圧力を制御するオートプレッシャコントローラ(APC)等の圧力コントローラ15が、例えばシリアル回線40を通じて接続されている。プロセスチャンバコントローラ239pは、例えば操作部コントローラ236を介して操作員により作成又は編集されたプロセスレシピに基づいて、製品基板やダミー基板を処理する際の制御データ(制御指示)を、圧力コントローラ15や、処理ガスの供給・排気用バルブ、各種スイッチ、マスフローコントローラ、温度調整器等に対して出力し、プロセスチャンバPM1,PM2内における基板処理の制御を行なう。
【0052】
また、搬送コントローラ239tには、ロードポートLP1〜LP3に載置されたキャリアカセットCA1〜CA3を識別するキャリアIDを示すバーコード1,2,3・・・等が記憶される記憶部16が、例えばシリアル回線40を通じて接続されている。搬送コントローラ239tは、例えば操作部コントローラ236を介して操作員により作成又は編集されたシーケンスレシピに基づいて、製品基板やダミー基板を搬送する際の制御データ(制御指示)を、真空ロボットVRや大気ロボットAR、各種バルブ、スイッチ等に対して出力し、基板処理装置10内における基板Wの搬送を制御する。
【0053】
(4)制御手段により実現されるソフトウエア
制御手段としての制御部239の機能説明に先駆けて、係る機能の実現に必要な値、状態等を管理する主なクラス及び各クラスの関係について、図8を用いて説明する。図8は、本実施形態に係る基板処理装置10の制御部239により実行されるソフトウエアの主なクラスの関係を示すクラス関連図である。
【0054】
図8に示すように、制御部239に係る主なクラスには、基板クラス56c、製品基板クラス56p、ダミー基板クラス56f、ジョブクラス52c、バッチクラス54c、グループクラス53cがある。これら各クラスは、インスタンス化され、制御部239が実行するソフトウエア上のオブジェクトとして存在し得る。
【0055】
基板クラス56cは、メンバ変数としてステータスと「キャリアID」と「スロット番号」とを持つ。基板Wの状態を示すステータスには、「未バッチ」、「投入待ち」及び「投入済み」がある。「未バッチ」はその基板Wが未だバッチ組みされていない状態を表わす。「投入待ち」はバッチ組みされた基板Wがロードロック室LM1,LM2への投入待ちとなっている状態を表わし、「投入済み」はロードロック室LM1,LM2への搬入要求済みの状態を表わす。「キャリアID」は、上述のバーコード等のキャリアカセットCA1〜CA3を特定可能な識別値である。「スロット番号」は、キャリアカセットCA1〜CA3のスロット位置を表わす。「キャリアID」と「スロット番号」とにより、どのキャリアカセットCA1〜CA3の、どのスロット位置の基板Wであるかを特定することができる。
【0056】
製品基板クラス56p、ダミー基板クラス56fは、基板クラス56cを継承する。また、ダミー基板クラス56fは、メンバ変数として「割り当てPM」と「累積膜厚値」とを持つ。「割り当てPM」は、プロセスチャンバPM1,PM2ごとに使用するダミー基板を割り当てた場合の、その割り当てに係るプロセスチャンバPM1,PM2の識別値である。「累積膜厚値」は、繰り返し使用されるダミー基板の累積的な膜厚値を表わす。
【0057】
ジョブクラス52cは、メンバ変数としてシーケンスレシピ名と基板リストとを持つ。また、ジョブクラス52cは、基板クラス56cと1対1以上の関連となっている。ジョブクラス52cがインスタンス化されたジョブオブジェクトは、そのジョブに関連付けた基板オブジェクトの参照ポインタを基板リストへ格納し、基板リストを介して基板オブジェクトへアクセス可能に構成される。また、ジョブオブジェクトは、0個以上の他のジョブオブジェクトと関連付けられることにより、ジョブの生成順を示すよう構成される。
【0058】
バッチクラス54cは、基板Wのバッチ組みを管理する役割を担い、メンバ変数として基板リストと「未投入基板数」とを持つ。また、バッチクラス54cは、基板クラス56cと1対1以上の関連となっている。「未投入基板数」は、バッチ組みした基板Wのうち、基板Wのステータスが「投入待ち」となっている基板Wの数である。例えば、1バッチの基板枚数が5枚の場合、「未投入基板数」の初期値は5であり、基板Wが投入されるにつれ1ずつ減算されるよう構成される。バッチクラス54cがインスタンス化されたバッチオブジェクトは、バッチ組みした基板オブジェクトの参照ポインタを基板リストへ格納し、基板リストを介して基板オブジェクトへアクセス可能に構成される。
【0059】
グループクラス53cは、同一のシーケンスレシピを持つジョブ同士をグループとして管理する役割を担い、メンバ変数としてステータスとジョブリストと「未バッチ基板数」とを持つ。また、グループクラス53cは、ジョブクラス52cと1対1以上の関連となっており、バッチオブジェクトを0個又は1個持っている。ジョブの状態を示すステータスには、「開始待ち」及び「開始済み」がある。「開始待ち」はジョブリストの先頭のジョブが開始待ちとなっている状態を表わし、「開始済み」は少なくともジョブリストの先頭のジョブが開始済みとなっている状態を表わす。「未バッチ基板数」は、関連する各ジョブに関連付けられた基板オブジェクトのうち、ステータスが「未バッチ」となっている基板Wの総数である。例えば、2個のジョブを管理するグループがある場合に、1個目のジョブに関連付けられた基板Wのうち、ステータスが「未バッチ」の基板Wが5枚あり、2個目のジョブに関連付けられた基板Wのうち、ステータスが「未バッチ」の基板Wが25枚あるときは、そのグループの「未バッチ基板数」は30枚となる。グループクラス53cがインスタンス化されたグループオブジェクトは、同一のシーケンスレシピを持つジョブをジョブの生成順に従ってジョブリストへ格納し、ジョブリストを介してジョブオブジェクトへアクセス可能に構成される。また、グループオブジェクトは、0個以上の他のグループオブジェクトと関連付けられることにより、グループの処理順序を示すよう構成される。
【0060】
(5)制御手段の機能構成
続いて、制御手段としての制御部239の機能構成について、図9を用いて説明する。図9は、本実施形態に係る基板処理装置10の制御部239の機能構成図である。
【0061】
制御部239により実現されるソフトウエアは、図9に示すように、主に、メッセージ解析手段51、ジョブ制御手段52、グループ制御手段53、バッチ組み手段54、PM管理手段55、材料管理手段56により構成される。
【0062】
メッセージ解析手段51は、操作部コントローラ236等の各コントローラ、或いは制御部239が備える他の手段からの要求や通知等のメッセージを受信し、その内容にしたがって他の手段へと係るメッセージを割り振るよう構成される。
【0063】
ジョブ制御手段52は、ジョブオブジェクトを生成するよう構成される。また、生成したジョブオブジェクトをグループ制御手段53へと渡すよう構成される。ジョブ制御手段52は、更に、ジョブオブジェクト同士を関連付け、ジョブリストとしてジョブデータ52dへ格納し、更新するよう構成される。
【0064】
グループ制御手段53は、グループオブジェクトを生成するよう構成される。また、グループオブジェクト同士を関連付け、グループリストとしてグループデータ53dへと格納し、更新するよう構成される。また、ジョブデータ52dを参照し、ジョブ制御手段52から渡されたジョブオブジェクトのシーケンスレシピと同一のシーケンスレシピを持つジョブがあるかを判定するよう構成される。また、グループオブジェクトをバッチ組み手段54へと渡し、バッチ組み手段54によりバッチ組みされた基板Wについて、ロードロック室LM1,LM2内への搬入要求をし、基板データ56dを更新することで、基板オブジェクトのステータスを更新するよう構成される。また、LM(ロードロック室)搬入可能通知の受信時には、投入中のバッチがあれば次の基板Wについてロードロック室LM1,LM2内への搬入要求をするよう構成される。
【0065】
バッチ組み手段54は、バッチオブジェクトを生成し、グループオブジェクトに所有させるためグループデータ53dを更新するよう構成される。また、ジョブデータ52dを参照してジョブオブジェクトを取得し、ジョブオブジェクトの基板リストを基に基板データ56dを参照して基板オブジェクトを取得するよう構成される。また、ダミー基板による枚数調整が必要か否かを判定し、必要と判定した場合は、基板データ56dを参照して使用するダミー基板を決定する。
【0066】
PM管理手段55は、プロセスチャンバPM1,PM2への投入順序を示すPM投入順序リスト、各プロセスチャンバPM1,PM2の累積膜厚値である「PM累積膜厚値」、各プロセスチャンバPM1,PM2の基板処理の回数である「PM基板処理回数」を、PM管理データ55dへと格納し、或いは更新するよう構成される。
【0067】
材料管理手段56は、基板処理装置10内にキャリアカセットCA1〜CA3が投入されると、投入されたキャリアカセットCA1〜CA3内の基板数を判別し、基板オブジェクトを生成して基板データ56dへと格納し、或いは更新するよう構成される。また、基板Wがダミー基板であるときは、「割り当てPM」をセットし、「累積膜厚値」を更新する。
【0068】
(6)基板処理装置の動作
次に、本実施形態に係る基板処理装置10の動作について、図1及び図10を参照しながら説明する。図10は、本実施形態に係る基板処理装置10における基板処理工程の概要を示すフロー図である。以下の説明において、基板処理装置10の各部の動作は制御部239により制御される。係る動作及び制御によって、本実施形態に係るダミー基板の運用方法或いは基板振り分け方法を用いて行われる基板処理工程は、半導体装置の製造工程の一工程として実施される。
【0069】
(大気搬送室内への搬送)
まずは、ロードロック室LM1,LM2の真空搬送室TM側のゲートバルブを閉じ、大気搬送室EFEM側のゲートバルブを開いて、真空搬送室TM内及びプロセスチャンバPM1,PM2内を真空排気する。併せて、大気搬送室EFEM内には、大気搬送室EFEM内が略大気圧になるようにクリーンエアを供給する。
【0070】
上記各部の準備が整った後に、例えば複数枚の基板Wを収納したキャリアカセットCA1〜CA3のいずれかがロードポートLP1〜LP3のいずれかに載置(投入)されると、キャリアカセットを識別するキャリアIDが読み取られる。また、キャリアカセット投入通知がメッセージ解析手段51へと送信される。
【0071】
図10に示すように、キャリアカセット投入通知を受信したメッセージ解析手段51は、このキャリアカセット投入通知を材料管理手段56へと送信する。材料管理手段56は、キャリアカセット投入通知を受信すると、キャリアカセット受け入れ処理を実行する。すなわち、投入されたキャリアカセットが製品基板、ダミー基板のいずれのキャリアカセットかを判定し、それぞれの場合に応じて基板オブジェクトを生成し、更に、ダミー基板のキャリアカセットであれば、プロセスチャンバPM1,PM2ごとに各ダミー基板の割り当てを行う。係る「キャリアカセット受け入れ」処理のフローの詳細については後述する。
【0072】
続いて、ホストコンピュータ237uからの、又は操作部コントローラ236を介した操作員によるジョブ生成要求を受信すると、メッセージ解析手段51は、このジョブ生成要求をジョブ制御手段52へと送信する。ジョブ制御手段52は、ジョブ生成要求を受信すると、ジョブ生成処理を実行し、生成したジョブオブジェクトをグループ制御手段53へと渡す。係る「ジョブ生成」処理のフローの詳細については後述する。
【0073】
これを受けて、グループ制御手段53は、グループオブジェクトを生成してジョブのグループ化処理を行い、さらにバッチ開始要求処理を実行する。バッチ開始要求処理の中では、グループ制御手段53からバッチ組み手段54へとグループオブジェクトが渡され、バッチ組み手段54は、渡されたグループオブジェクトの情報にしたがい、バッチ組み処理を実行してバッチオブジェクトを生成する。グループ制御手段53は、バッチ制御手段54からバッチオブジェクトを受け取り、その情報にしたがってバッチ開始要求処理を継続し、バッチの先頭の基板Wについてロードロック室LM1,LM2のいずれかに搬入要求する。「ジョブのグループ化」処理、「バッチ開始要求」処理、「バッチ組み」処理の各フローの詳細については後述する。
【0074】
グループ制御手段53により搬入要求がなされると、図1に示すように、大気ロボットARが、グループ制御手段53から搬入要求のあったバッチの先頭の基板Wを、キャリアカセット内の所定スロットから大気搬送室EFEM内に搬送し、図示しないオリフラ合わせ装置上に設置し、結晶方位の位置合わせ等を実施する。
【0075】
(真空搬送室内への搬送)
続いて、大気ロボットARにより、オリフラ合わせ装置上の基板Wをピックアップし、少なくとも片側のロードロック室、例えばロードロック室LM1の大気搬送室EFEM側のゲートバルブが開放された状態で、ロードロック室LM1内に搬送し、図示しないバッファステージ上に設置する。そして、大気搬送室EFEM側のゲートバルブを閉じて、ロードロック室LM1内部を真空排気する。ロードロック室LM1内を所定の圧力まで減圧したら、大気搬送室EFEM側のゲートバルブを閉じたまま、真空搬送室TM側のゲートバルブを開ける。そして、真空ロボットVRにより、ロードロック室LM1内に設置されている基板Wをピックアップし、真空搬送室TM内へと搬送する。
【0076】
この間、ロードロック室LM2を用いた真空搬送室TM内への基板Wの搬送も同時進行で行われる。すなわち、基板Wが搬送されたロードロック室LM1内を減圧している間、バッチの2枚目の基板Wについても搬入要求がなされ、上記と同様の手順により、ロードロック室LM2内へ、そして、真空搬送室TM内へと搬送する。
【0077】
このように、基板Wのロードロック室LM1,LM2内への搬送およびロードロック室LM1,LM2から真空搬送室TM内への搬送が完了し、再びロードロック室LM1,LM2内への基板Wの搬送が可能になると、メッセージ解析手段51はLM搬入可能通知を受信し、それをグループ制御手段53へと送信する。LM搬入可能通知を受信したグループ制御手段53は、バッチ投入処理を実行する。バッチ投入処理では、投入中のバッチがあれば次の基板WについてLM(ロードロック室)搬入要求をし、ロードロック室LM1,LM2内及び真空搬送室TM内への基板Wの搬送を継続する。「バッチ投入」処理のフローの詳細については後述する。
【0078】
(プロセスチャンバ内への搬送)
真空搬送室TM内へと基板Wが搬送されると、例えばプロセスチャンバPM1側のゲートバルブを開けて、プロセスチャンバPM1内に基板Wを搬送し、基板載置台ST11に設置する。上記バッチ投入処理に基づく基板WのプロセスチャンバPM1内への搬送は、例えばプロセスチャンバPM1内にて処理可能な基板枚数の基板Wが搬送され、プロセスチャンバPM1内の全ての基板載置台ST11〜ST15が埋まるまで繰り返される。
【0079】
すなわち、グループ制御手段53は、バッチ内の全ての基板Wの投入が完了するまでバッチ投入処理を継続する。また、バッチ投入処理の完了後は、グループ制御手段53は、再びバッチ開始要求処理を実行し、次のバッチの投入処理を例えばプロセスチャンバPM2に対して行う。
【0080】
(プロセスチャンバ内での処理)
所定の基板枚数の基板WがプロセスチャンバPM1内に搬送された後、プロセスチャンバPM1内に処理ガスを供給したり基板Wを加熱したりなどして、基板Wに対して所定の処理、例えばプラズマ等を用いた成膜処理等を実施する。このとき、プロセスチャンバPM2内においても、同一の、或いは異なる内容の基板処理が同時進行される場合もある。
【0081】
ここで、全ての基板載置台を埋めることなく、1バッチの基板枚数に満たない状態で基板処理を行った場合、基板が搬入されなかった基板載置台には、基板処理の内容に応じて、不要の成膜やエッチング処理等が施されてしまう。特にプラズマを用いた基板処理では、プラズマ電極ともなる基板載置台に電気的特性の変化やそれに伴う基板処理性能の変化が生じ、成膜特性やエッチング特性が悪化してしまうことがあった。
【0082】
本実施形態では、全ての基板載置台ST11〜ST15が埋まるように、製品基板とダミー基板を所定枚数組み合わせて1バッチとしている。よって、全ての基板載置台ST11〜ST15に基板Wが載置され、基板載置台ST11〜ST15に不要の基板処理が施されることを抑制できる。よって、成膜特性やエッチング特性等の基板処理特性が安定する。
【0083】
プロセスチャンバPM1内における基板Wの処理が完了すると、図10に示すように、メッセージ解析手段51は、PM(プロセスチャンバ)基板処理終了通知を受信する。メッセージ解析手段51は、このPM基板処理終了通知をPM管理手段55へと送信する。PM基板処理終了通知を受信すると、PM管理手段55は、PMステータス更新処理を行って、プロセスチャンバPM1内に形成された堆積膜の累積膜厚値である「PM累積膜厚値」等のプロセスチャンバPM1のステータスを更新する。また、材料管理手段56へと今回の膜厚値のデータを渡す。材料管理手段56は、ダミー基板ステータス更新処理を行って、この膜厚値を今回使用されたダミー基板の累積膜厚値に加算する更新をダミー基板オブジェクトに加える。これら、「PMステータス更新」処理、「ダミー基板ステータス更新」処理の各フローの詳細については後述する。
【0084】
(ロードロック室内への搬送)
必要な処理が全て完了したら、真空ロボットVRにより、例えばプロセスチャンバPM1内部の基板載置台ST11〜ST15に設置されている処理済の基板Wをピックアップし、例えばロードロック室LM1の真空搬送室TM側のゲートバルブを開けてロードロック室LM1内に搬送し、バッファステージ上へ配置する。その後、真空搬送室TM側のゲートバルブを閉め、ロードロック室LM1内にクリーンガスを供給してロードロック室LM1内を略大気圧に戻し、大気搬送室EFEM側のゲートバルブを開ける。
【0085】
(ロードポートに載置されたキャリアカセットへの収納)
続いて、大気ロボットARにより、ロードロック室LM1内に設置されている処理済みの製品基板をピックアップして、例えばロードポートLP1に載置されたキャリアカセットCA1に搬送して空きスロットに収納する。また、ロードロック室LM1内に設置されるダミー基板があれば、ダミー基板をピックアップして、例えばロードポートLP3に載置されたキャリアカセットC3に搬送して空きスロットに収納する。処理済みの全ての基板Wを所定のキャリアカセットCA1,C3等に収納したら、ダミー基板を収納したキャリアカセットC3はロードポートLP3に常駐させたまま、処理済みの製品基板を収納したキャリアカセットCA1をロードポートLP1から搬出して、自動搬送処理を完了する。
【0086】
(7)キャリアカセットの受け入れ処理
続いて、上述の各フローについて更に詳しく説明する。まずは、図11を用いて、キャリアカセット受け入れ処理のフローについて説明する。図11は、本実施形態に係る制御部239が実行する材料管理手段56によるキャリアカセット受け入れ処理のフロー図である。
【0087】
以下、キャリアカセットがロードポートに載置された際に実施される各種基板の割り当て手法について、図11のフロー図にしたがって説明する。
【0088】
まずは、基板オブジェクトを生成しメンバ変数をセットする。
【0089】
すなわち、図11に示すように、複数枚の基板Wを収納したキャリアカセットがいずれかのロードポートLP1〜LP3に載置されると(S1)、材料管理手段56は、載置されたキャリアカセットの種別を判定する(S2)。製品基板の専用キャリアカセットである場合、キャリアカセット内の基板数を判別し、製品基板オブジェクトを生成する(S3p)。ダミー基板の専用キャリアカセットである場合、キャリアカセット内の基板数を判別し、ダミー基板オブジェクトを生成する(S3d)。次に、それぞれの基板オブジェクトのステータスに「未バッチ」をセットし(S4p,S4d)、基板Wが収納されているキャリアカセットのキャリアIDを基板オブジェクトの「キャリアID」にセットし、基板Wが積載されているスロットの番号を「スロット番号」にセットする(S5p,S5d)。以上、S3p〜S5p及びS3d〜S5dまでを全ての基板Wについて行う(S6p,S6d)。
【0090】
続いて、プロセスチャンバごとに使用するダミー基板の枚数を割り当てる。
【0091】
すなわち、投入されたキャリアカセットがダミー基板の専用キャリアカセットである場合、さらに、PM管理データ55dを参照して所定のプロセスチャンバの累積膜厚値(PM累積膜厚値)を係るプロセスチャンバの基板処理の回数(PM基板処理回数)で除算し、PM平均膜厚値を算出する(S7d)。PM平均膜厚値を全プロセスチャンバPM1,PM2について求めた後(S8d)、各PM平均膜厚値の比率を算出し(S9d)、その比率にしたがってプロセスチャンバPM1,PM2毎のダミー基板の割り当て枚数を決定する(S10d)。つまり、1回あたりの処理により所定のプロセスチャンバ内に形成される堆積膜の平均膜厚値を、このプロセスチャンバに割り当てられたダミー基板の枚数で除算した値が、各プロセスチャンバPM1,PM2間で略同値となるようにダミー基板の枚数を割り当てる。
【0092】
次に、ダミー基板オブジェクトのメンバ変数をセットする。
【0093】
すなわち、全てのダミー基板オブジェクトの「累積膜厚値」を初期化し(S11d)、各プロセスチャンバPM1,PM2の割り当て枚数にしたがって、それぞれのプロセスチャンバPM1,PM2のPM識別値を「割り当てPM」にセットする(S12d)。これを、全てのダミー基板について行い(S13d)、さらに全プロセスチャンバPM1,PM2について行う(S14d)。このとき、同一のプロセスチャンバに割り当てるダミー基板は、連続したスロットとなるようにし、スロット番号の小さい順にPM識別値の小さい順または大きい順となるようにする。
【0094】
最後に、製品基板、ダミー基板ともに、全ての基板オブジェクトを基板データ56dへ追加する(S15)。以上により、キャリアカセット受け入れ処理が終了する。
【0095】
本実施形態においては、1回あたりの処理により各プロセスチャンバPM1,PM2内に形成される堆積膜の平均膜厚値が大きいプロセスチャンバに対しては、割り当て枚数が多くなるようにダミー基板を割り当てる。これにより、従来、ダミー基板をキャリアカセット毎のロットで管理するという運用では、ロット内のダミー基板のいずれかが所定の累積膜厚値を超えたためにロット毎ダミー基板を交換すると、累積膜厚値の小さいダミー基板までもが交換され廃棄されてしまい、使用効率が低下してしまう場合があったが、このような不備が抑えられる。
【0096】
例えば、2つのプロセスチャンバを備えた基板処理装置において、それぞれのプロセスチャンバを指定した並行処理のシーケンスレシピを用いて基板処理を行う場合に、各プロセスチャンバにおける1回当たりの膜厚値がそれぞれ200Åと100Åであるとする。また、基板処理装置内にダミー基板24枚を常駐させ、12枚ずつをそれぞれのプロセスチャンバに均等に割り当て、いずれかの累積膜厚値が10000Åに達したらダミー基板をロットごと交換するものとする。
【0097】
上記条件下において、各プロセスチャンバ間での相互汚染等を抑制するため、使用するダミー基板をプロセスチャンバ毎に均等に割り当てた場合、それぞれのプロセスチャンバに割り当てたダミー基板が同数回ずつ使用されたとすると、一方の割り当てのダミー基板の累積膜厚値が10000Åに達して交換時期がきたときに、もう一方の割り当てのダミー基板の累積膜厚値は5000Åにしか達していない。すなわち、これらもう一方のダミー基板は規定の累積膜厚値の半分で交換されることとなり、使用効率が低下してコスト高となってしまう。しかしながら、本実施形態によれば、プロセスチャンバPM1,PM2ごとに基板処理の内容が異なる場合等であっても、各ダミー基板の使用状況を略均等に揃えることができ、ダミー基板の全体での使用効率を向上させることができる。よって、ダミー基板の消耗を抑え、交換頻度を減らしてコストを削減することが可能となる。また、ダミー基板の交換のために基板処理が停滞する頻度が減って、基板処理装置10の生産効率が向上する。
【0098】
また、プロセスチャンバ毎に基板処理の内容が異なる場合、所定のプロセスチャンバで処理したダミー基板を、基板処理が異なる他のプロセスチャンバへ搬入すると、基板処理の特性に影響を与えるおそれがあった。また、同一の基板処理を施すプロセスチャンバ同士であっても、所定のプロセスチャンバでは他のプロセスチャンバに比べ、何らかの要因によりパーティクルが多く発生してしまうことがあり、パーティクルの多いプロセスチャンバで処理したダミー基板を他のプロセスチャンバへ搬入すると、パーティクルの拡散を引き起こすおそれがあった。しかしながら、本実施形態においては、例えばキャリアカセットC3内のダミー基板をプロセスチャンバPM1,PM2ごとに割り当て、割り当てのプロセスチャンバのみにダミー基板を搬入することとしたので、上述のような、ダミー基板によるパーティクルの拡散(相互汚染)が抑えられる。
【0099】
(8)ジョブ生成処理及びグループ化処理
次に、図12を用いて、ジョブ生成処理及びジョブのグループ化処理の各フローについて説明する。図12は、本実施形態に係る制御部239が有するジョブ制御手段52によるジョブ生成処理及びグループ制御手段53によるジョブのグループ化処理のフロー図である。
【0100】
本実施形態においては、以下に述べるように、同一のシーケンスレシピを持つ異なるジョブを同一のグループにまとめるジョブのグループ化処理を行い、グループ単位ごとにバッチ組みをして基板処理を実行する。これにより、例えば複数のロットを同一のシーケンスで処理する場合に、ロットの異なる製品基板同士をバッチ組みし、一括して処理することができる。よって、ダミー基板によるロットごとの枚数調整の回数が減り、ダミー基板の使用頻度を低減することができる。
【0101】
以下、具体的なジョブのグループ化の手法について、図12のフロー図にしたがって説明する。
【0102】
まずは、ジョブ制御手段52によりジョブを生成する。
【0103】
すなわち、図12に示すように、ジョブ制御手段52は、メッセージ制御手段51を介してジョブ生成要求を受信すると(S16)、ジョブオブジェクトを新規に生成し(S17)、さらに、ジョブデータ52dを更新し、生成したジョブオブジェクトをグループ制御手段53へと渡す。以上により、ジョブ生成処理が終了する。
【0104】
続いて、ジョブオブジェクトの既存グループへの追加可否の判定を行い、既存グループへの追加、或いは、新規グループオブジェクトの生成を行う。
【0105】
すなわち、グループ制御手段53は、グループデータ53dを参照してグループオブジェクト同士の関連を示すグループリストを取得し(S19)、グループオブジェクトの有無を判定する(S20)。つまり、例えば基板処理装置10に製品基板のキャリアカセットが投入されていない状態で、新規に製品基板のキャリアカセットが投入されてジョブ生成要求が送信されてきた場合には、グループオブジェクトは存在していない。この場合、グループ制御手段53は、グループオブジェクトを新規に生成し(S25)、ステータスに「開始待ち」をセットし(S26)、渡されたジョブオブジェクトのポインタをジョブリストに追加して新規のグループへとジョブを追加し(S27)、「未バッチ基板数」をゼロに初期化する(S28)。また、生成したグループオブジェクトをリスト化し、グループデータ53dを更新する(S29)。
【0106】
一方、例えば基板処理装置10に製品基板のキャリアカセットが既に投入されており、そのジョブが実行中となっているときに、新たに製品基板のキャリアカセットが投入されてジョブ生成要求が送信されてきた場合には、グループオブジェクトは既に存在している。また、異なるシーケンスレシピを持つジョブが複数ある場合、グループオブジェクトは複数存在している。この場合、グループ制御手段53は、グループリストの先頭からグループオブジェクトを取り出し(S21)、取り出したグループオブジェクトのシーケンスレシピ名と、ジョブ制御手段52から渡されたジョブオブジェクトのシーケンスレシピ名とを比較し(S22)、一致するか否かを判定する(S23)。
【0107】
グループ制御手段53は、シーケンスレシピ名が不一致の場合、グループリストから次のグループオブジェクトを取り出し同様に比較する。このように、全てのグループオブジェクトのシーケンスレシピ名を比較し(S24)、不一致の場合、S25以降の処理を行う。シーケンスレシピ名が一致した場合、そのグループオブジェクトのジョブリストの末尾へ、渡されたジョブオブジェクトのポインタを追加し(S23a)、ジョブに関連付けられた基板数を「未バッチ基板数」に加算してグループデータ53dを更新する(S23b)。
【0108】
以上により、ジョブのグループ化処理が終了する。
【0109】
このように、本実施形態では、製品基板のロットが異なっていても1つのプロセスチャンバ内で一括して処理することができる。よって、ダミー基板によるジョブごと、ロットごとの枚数調整の回数が減って、ダミー基板の使用頻度を低減することができる。したがって、ダミー基板の消耗を抑え、交換頻度を減らしてコストを削減することが可能となる。さらに、基板処理装置10の全体での基板処理枚数が減り、また、ダミー基板の交換による基板処理の停滞の頻度が減って、生産効率が向上する。
【0110】
(9)バッチ開始要求処理
次に、図13を用いて、バッチ開始要求処理のフローについて説明する。また、バッチ開始要求処理の中で実行される「今回実行グループ決定」処理についても併せて説明する。図13は、本実施形態に係る制御部239が有するグループ制御手段53によるバッチ開始要求処理のフロー図である。
【0111】
ジョブのグループ化処理に続くバッチ開始要求処理では、ロードロック室LM1,LM2内への搬入要求を行ってバッチの先頭の基板Wの投入を開始する。
【0112】
すなわち、図13に示すように、ジョブのグループ化処理を終えたグループ制御手段53は、いずれかのロードロック室LM1,LM2への基板Wの搬入が可能か否かを判定する(S31)。基板Wの搬入が可能であれば、後に詳述する今回実行グループ決定処理を実行する(S32)。
【0113】
グループ制御手段53は、実行可能なグループがあれば(S33)そのグループオブジェクトを取得し(S34)、バッチ組み手段54へと渡す。グループオブジェクトを渡されたバッチ組み手段54は、後に詳述するバッチ組み処理を行ってバッチオブジェクトを生成し(S40)、グループ制御手段53へと渡す(S35)。
【0114】
グループ制御手段53は、バッチ組み手段54から取得したバッチオブジェクトの基板データ56dを参照し、基板リストの先頭の基板オブジェクトに該当する基板Wについて、いずれかのロードロック室LM1,LM2に対して搬入要求する(S36)。次に、基板オブジェクトのステータスに「投入済み」をセットし、基板データ56dを更新する(S37)。また、これに該当するグループオブジェクトのステータスに「開始済み」をセットし、グループデータ53dを更新する(S38)。さらに、他に搬入可能なロードロック室があれば、搬入可能な全てのロードロック室LM1,LM2について上記S36〜S38までの処理を繰り返す(S39)。
【0115】
以上により、バッチ開始要求処理が終了する。
【0116】
(今回実行グループ決定処理)
続いて、バッチ開始要求処理の中で実行される今回実行グループ決定処理について図14を用いて説明する。図14は、本実施形態に係る制御部239が有するグループ制御手段53による今回実行グループ決定処理のフロー図である。
【0117】
今回実行グループ決定処理では、既に基板処理が開始済みとなっている他グループの有無や、開始済みグループとの並行処理の可否に応じて、今回実行グループを決定する。
【0118】
すなわち、図14に示すように、グループ制御手段53は、グループデータ53dからグループリストを取得し(S32−1)、グループオブジェクトの有無を判定する(S32−2)。グループオブジェクトがない場合、今回実行グループはないものとして処理を終了する(S32−2a)。
【0119】
グループオブジェクトがある場合、グループデータ53dを参照し、グループリストの先頭のグループオブジェクトについて、そのステータスが「開始待ち」となっているかを判定する(S32−3)。ステータスが「開始待ち」以外の場合、グループリストの次のグループオブジェクトを参照し、全てのグループオブジェクトの参照が終了するまで判定を繰り返す(S32−4)。
【0120】
参照したグループオブジェクトのステータスが「開始待ち」の場合、他の全てのグループオブジェクトのステータスが「開始待ち」となっているかを判定し(S32−3a)、「開始待ち」となっている場合、今回参照したグループオブジェクトを今回実行グループに決定する(S32−3c)。一方、「開始済み」のグループオブジェクトがある場合、全ての開始済みのグループオブジェクトと今回参照したグループオブジェクトとの並行処理が可能か否かを判定する(S32−3b)。並行処理が可能な場合、今回参照したグループオブジェクトを今回実行グループに決定する(S32−3c)。並行処理が不可の場合、グループリストの次のグループオブジェクトを参照し、全てのグループオブジェクトの参照が終了するまで判定を繰り返す(S32−4)。
【0121】
ここまでの処理で今回実行グループが決定されない場合、前回実行グループを検索し(S32−5)、前回実行グループの次のグループオブジェクトの有無を判定する(S32−6)。次のグループオブジェクトがない場合、グループリストの先頭のグループオブジェクトを今回実行グループに決定する(S32−7)。
【0122】
次のグループオブジェクトがある場合、それを参照グループオブジェクトとし(S32−6a)、他の全てのグループオブジェクトのステータスが「開始待ち」となっているかを判定し(S32−6b)、「開始待ち」となっている場合、参照グループオブジェクトを今回実行グループに決定する(S32−6d)。一方、「開始済み」のグループオブジェクトがある場合、全ての開始済みのグループオブジェクトと参照グループオブジェクトとの並行処理が可能か否かを判定する(S32−6c)。並行処理が可能な場合、参照グループオブジェクトを今回実行グループに決定する(S32−6d)。並行処理が不可の場合、グループリストの次のグループオブジェクトを参照し、末尾のグループオブジェクトの参照が終了するまで判定を繰り返す(S32−6e)。末尾のグループオブジェクトまで参照し、今回実行グループが決定しない場合、グループリストの先頭のグループオブジェクトを今回実行グループに決定する(S32−7)。
【0123】
以上により、今回実行グループ決定処理が終了する。このように決定された今回実行グループに対し、上記のようにバッチ組みが行われ、バッチ開始要求処理によりバッチの投入が開始される。バッチの投入開始後は、後述のバッチ投入処理により各ロードロック室LM1,LM2に対する2巡目以降の基板Wの搬送が実行され、これ以降、バッチ開始要求処理とバッチ投入処理とを繰り返すことで、全てのバッチの搬送が実行される。
【0124】
(10)バッチ組み処理
次に、図15を用いて、バッチ組み処理のフローについて説明する。また、バッチ組み処理の中で実行される「基板枚数決定」処理、及び基板枚数決定処理の中で実行される「ダミー優先使用PM順決定」処理についても併せて説明する。図15は、本実施形態に係る制御部239が有するバッチ組み手段54によるバッチ組み処理のフロー図である。
【0125】
以下、製品基板とダミー基板とを所定枚数ずつ指定して行われるバッチ組み処理について、図15のフロー図にしたがって説明する。
【0126】
図15に示すように、バッチ組み手段54は、グループ制御手段53から渡されたグループオブジェクトを参照し、グループオブジェクト内の「未バッチ基板数」を「未投入基板数」にセットし(S41)、バッチ組みする製品基板及びダミー基板の枚数を決定する基板枚数決定処理を実行する(S42)。「基板枚数決定」処理のフローの詳細については後述する。
【0127】
次に、製品基板を指定してバッチに追加する。
【0128】
すなわち、バッチ組み手段54は、バッチオブジェクトを新規に生成し、グループオブジェクトに関連付け、グループデータ53dを更新する(S43)。次に、製品基板について以下のフローを行う。つまり、グループオブジェクトのジョブデータ52dを参照し、ジョブリストの先頭のジョブオブジェクトを取得する(S44)。続いて、係るジョブオブジェクトの基板データ56dを参照して基板リストの先頭の基板オブジェクトを取得し(S45)、係る基板オブジェクトのステータスが「未バッチ」となっているかを判定する(S46)。
【0129】
基板オブジェクトのステータスが「未バッチ」の場合、バッチオブジェクトの基板リストへ基板オブジェクトのポインタを追加してバッチに所定の製品基板を加え、グループデータ53dを更新する(S46a)。次に、その基板オブジェクトのステータスに「投入待ち」をセットし、基板データ56dを更新する(S46b)。製品基板枚数の追加が終了するまで上記S45〜S46bを繰り返した後(S46c)、未バッチ基板数から製品基板枚数を減算した値を「未バッチ基板数」にセットし、グループデータ53dを更新する(S46d)。
【0130】
基板オブジェクトのステータスが「未バッチ」ではない場合には、基板リストの次の基板オブジェクトに対して同様の処理を行い、製品基板枚数に達するか、基板リスト末尾に達するまで繰り返す(S47)。追加された製品基板が所定枚数に満たない場合は、ジョブリストの次のジョブオブジェクトを取得し、製品基板枚数に達するか、グループ内の全てのジョブが終了するまで同様の処理を繰り返す(S48)。
【0131】
次に、必要に応じてダミー基板を指定してバッチに追加する。
【0132】
すなわち、バッチ組み手段54は、ダミー基板の追加が必要か否かを判定し(S50)、必要ない場合(ダミー基板枚数=0)には、バッチ組み処理を終了する。ダミー基板の追加が必要な場合(ダミー基板枚数>0)には、このバッチが投入されるプロセスチャンバを特定する(S51)。そして、基板データ56dを参照してそのプロセスチャンバに割り当てたダミー基板オブジェクトを全て抽出し、累積膜厚値が最小のダミー基板を使用基板として決定する(S52)。使用基板が決定したら、バッチオブジェクトの基板リストに使用するダミー基板の基板オブジェクトのポインタを追加してバッチにそのダミー基板を加え、グループデータ53dを更新する(S53)。また、その基板オブジェクトの
ステータスに「投入待ち」をセットし、基板データ56dを更新する(S54)。以上の処理を、ダミー基板枚数に達するまで繰り返す(S55)。
【0133】
以上により、バッチ組み処理が終了する。
【0134】
上述のように、本実施形態におけるバッチ組み処理では、所定の製品基板とダミー基板とを所定枚数ずつ指定してバッチ組みを行う。その際、プロセスチャンバ内で使用されるダミー基板がなるべく均等に使用されるよう、累積膜厚値の小さい順にダミー基板を指定する。これにより、各プロセスチャンバPM1,PM2内でのダミー基板の使用状況の偏りが低減され、ダミー基板の使用効率を向上させることができる。
【0135】
従来、製品基板1ロットに対し複数の処理を複数の処理室内で施す場合、ダミー基板を使用したバッチ組みは1つの処理に対する最後のバッチ或いは最初のバッチに固定されていた。このため、複数の処理室間で順に複数のバッチを処理していくと、ダミー基板を含むバッチに当たった処理室とそれ以外の処理室とでダミー基板の使用回数や使用枚数に偏りが生じてしまう。また、ダミー基板を使用したバッチ組みがロットの先頭或いは末尾に固定され、上記同様、複数の処理室間での偏りが生じることとなる。バッチ組みは通常、ロットごとに行われるため、複数のロットに同一の処理を施す場合も同様である。更に、多品種小ロット化に伴い、上記構成ではダミー基板による枚数調整が頻繁となり、ダミー基板の使用頻度も増加してしまう。本実施形態によれば、このようなダミー基板の使用回数や使用枚数の偏りを抑えることができる。
【0136】
(基板枚数決定処理)
続いて、バッチ組み処理の中で実行される基板枚数決定処理について図16〜図19を用いて説明する。図16は、本実施形態に係る制御部239が有するバッチ組み手段54による基板枚数決定処理の前半を示すフロー図である。図17〜図19は、本実施形態に係る制御部239が有するバッチ組み手段54による基板枚数決定処理の後半を示す図であって、それぞれアルゴリズムA1,A2,A3を用いたときのフロー図である。
【0137】
基板枚数決定処理では、所定のアルゴリズムに基づいて製品基板及びダミー基板のバッチ内の枚数を決定する。以下に、いくつかのアルゴリズムに基づく基板枚数決定処理について例示する。なお、図16〜図19中および以下の説明中、「U」は未処理の製品基板数であり、「B」はバッチ基板枚数であり、「N」はバッチ数であり、「M」はプロセスチャンバ数であり、「P」はバッチ内の製品基板枚数であり、「D」はバッチ内のダミー基板枚数である。例えば、上述の基板処理装置10においては、バッチ基板枚数Bは「5」、プロセスチャンバ数Mは「2」である。
【0138】
まずは、ダミー基板が不要となるときの処理について説明する。
【0139】
すなわち、図16に示すように、未処理の製品基板数Uをバッチ基板枚数Bで除算して余りを算出し(S42−1)、余りがゼロの場合、バッチ基板枚数Bをバッチ内の製品基板枚数Pにセットする(S42−4)。
【0140】
余りがゼロ以外の場合、未処理の製品基板数Uをバッチ基板枚数Bで除算した値に1を加算した値をバッチ数Nにセットする(S42−2)。バッチ数Nとプロセスチャンバ数Mとを比較し(S42−3)、バッチ数Nがプロセスチャンバ数Mより大きい場合、バッチ基板枚数Bをバッチ内の製品基板枚数Pにセットする(S42−4)。
【0141】
次に、ダミー基板が必要となるときの処理について説明する。
【0142】
すなわち、未処理の製品基板数Uをバッチ基板枚数Bで除算した余りがゼロ以外の場合であって、バッチ数Nがプロセスチャンバ数M以下の場合、ダミー基板が必要となる。図16の処理に続いてダミー基板の必要枚数を割り出す手法として、アルゴリズムA1,A2,A3にしたがう処理を図17、図18、図19に例示した。
【0143】
図17に、アルゴリズムA1を用いたフロー図を示す。
【0144】
アルゴリズムA1を用いたフローでは、ダミー基板を優先使用するプロセスチャンバ順を決定し、優先順位の高いプロセスチャンバほどダミー基板の投入枚数が多くなるよう基板枚数を決定する。すなわち、未処理の製品基板数Uをバッチ数Nで除算して余りを算出し(S42−5a)、余りがゼロの場合、未処理の製品基板数Uをバッチ数Nで除算した値をバッチ内の製品基板枚数Pにセットする(S42−10a)。
【0145】
余りがゼロ以外の場合、後に詳述するダミー基板優先使用PM決定処理を実行し、ダミー基板を優先使用するプロセスチャンバ順を決定する(S42−6a)。
【0146】
次に、投入先のプロセスチャンバとダミー基板を最優先使用するプロセスチャンバとを比較し(S42−7a)、両者が一致する場合、未処理の製品基板数Uをバッチ数Nで除算した値をバッチ内の製品基板枚数Pにセットする(S42−10a)。両プロセスチャンバが一致しない場合、未処理の製品基板数Uをバッチ数Nで除算した値に1を加算した値をバッチ内の製品基板枚数Pにセットする(S42−8a)。以上により、バッチ内の製品基板枚数Pが決定される。
【0147】
バッチ内のダミー基板枚数Dは、上記のように決定されたバッチ内の製品基板枚数Pをバッチ基板枚数Bから減算することで決定される(S42−9a)。
【0148】
図18に、アルゴリズムA2を用いたフロー図を示す。
【0149】
アルゴリズムA2を用いたフローでは、ダミー基板を優先使用するプロセスチャンバ順を決定し、図17とは異なる手法により、優先順位の高いプロセスチャンバほどダミー基板の投入枚数が多くなるよう基板枚数を決定する。すなわち、未処理の製品基板数Uとバッチ基板枚数Bとを比較し(S42−5b)、未処理の製品基板数Uがバッチ基板枚数B以下の場合、未処理の製品基板数Uをバッチ内の製品基板枚数Pにセットする(S42−11b)。
【0150】
未処理の製品基板数Uがバッチ基板枚数Bより大きい場合、後に詳述するダミー基板優先使用PM決定処理を実行し、ダミー基板を優先使用するプロセスチャンバ順を決定する(S42−6b)。
【0151】
次に、投入先のプロセスチャンバとダミー基板を最優先使用するプロセスチャンバとを比較し(S42−7b)、両者が一致する場合、バッチ基板枚数Bを未処理の製品基板数Uから減算し、その値をバッチ内の製品基板枚数Pにセットする(S42−10b)。両プロセスチャンバが一致しない場合、バッチ基板枚数Bをバッチ内の製品基板枚数Pにセットする(S42−8b)。以上により、バッチ内の製品基板枚数Pが決定される。
【0152】
バッチ内のダミー基板枚数Dは、上記のように決定されたバッチ内の製品基板枚数Pをバッチ基板枚数Bから減算することで決定される(S42−9b)。
【0153】
図19に、アルゴリズムA3を用いたフロー図を示す。
【0154】
アルゴリズムA3を用いたフローでは、各プロセスチャンバPM1,PM2へのダミー基板の投入数をなるべく均等にする。すなわち、未処理の製品基板数Uをバッチ数Nで除算して余りを算出し(S42−5c)、余りがゼロの場合、未処理の製品基板数Uをバッチ数Nで除算した値をバッチ内の製品基板枚数Pにセットする(S42−10c)。余りがゼロ以外の場合、未処理の製品基板数Uをバッチ数Nで除算した値に1を加算した値をバッチ内の製品基板枚数Pにセットする(S42−8c)。以上により、バッチ内の製品基板枚数Pが決定される。
【0155】
バッチ内のダミー基板枚数Dは、上記のように決定されたバッチ内の製品基板枚数Pをバッチ基板枚数Bから減算することで決定される(S42−9c)。
【0156】
以上により、所定のアルゴリズムに基づく基板枚数決定処理が終了する。なお、上記に示すアルゴリズムA1,A2,A3はあくまで例示であって、例えばダミー優先使用PM順にしたがってダミー基板の投入数に差をつけバッチ基板枚数内で振り分けるなど、上記以外のアルゴリズムを用いることも可能である。また、上記のようなアルゴリズムを複数組み合わせて用いてもよい。
【0157】
(ダミー優先使用PM順決定処理)
次に、基板枚数決定処理の中で実行されるダミー優先使用PM順決定処理について図20を用いて説明する。図20は、本実施形態に係る制御部239が有するバッチ組み手段54によるダミー優先使用PM順決定処理のフロー図である。
【0158】
上述のように、バッチ組みを行う際、製品基板が処理枚数に満たずダミー基板が組み込まれるバッチは、1つの処理又は1つのロットに対する最後のバッチ或いは最初のバッチに固定されていた。このようにバッチ組みされた複数のバッチを、複数のプロセスチャンバで順次処理していくと、ダミー基板を含むバッチに当たり易いプロセスチャンバが生じるなどして、係るプロセスチャンバに割り当てられたダミー基板の使用頻度が増加してしまう場合があった。
【0159】
本実施形態においては、以下に述べるように、割り当てられたダミー基板の累積膜厚値の総和が小さいプロセスチャンバから順に、ダミー基板が優先的に使用されるプロセスチャンバ順を決定する。これにより、上記の基板枚数決定処理にて、例えば優先順位の高いプロセスチャンバ、つまり、ダミー基板の累積膜厚値が小さく、ダミー基板があまり使用されていないプロセスチャンバほど、ダミー基板枚数が多く振り分けられ、プロセスチャンバPM1,PM2毎のダミー基板の使用状況の偏りを更に低減することができる。
【0160】
以下、具体的なダミー優先使用PM順決定の手法について、図20のフロー図にしたがって説明する。
【0161】
図20に示すように、バッチ組み手段54は、基板データ56dを参照し、所定のプロセスチャンバに割り当てられたダミー基板を順次抽出し(S42−61)、係るダミー基板の累積膜厚値を加算して(S42−62)総和を算出する(S42−63)。更に、振り分け可能な全てのプロセスチャンバPM1,PM2についてS42−61〜S42−63までを繰り返す(S42−64)。次に、プロセスチャンバPM1,PM2毎に割り当てられたダミー基板の累積膜厚値の総和を比較し(S42−65)、総和が小さい順にダミー基板を優先使用するプロセスチャンバ順を決定する(S42−66)。総和が等しい場合は、例えばプロセスチャンバの番号が若い方(PM1とPM2とであればPM1の方)を優先する。
【0162】
以上により、ダミー優先使用PM順決定処理が終了する。
【0163】
以上、バッチ組み手段54は、バッチ開始処理とバッチ投入処理とを繰り返すグループ制御手段53からグループオブジェクトを渡されるごとに、ダミー優先使用PM順にしたがって上記バッチ組みの処理を実行し、各バッチ内の基板Wが順次、投入されていく。
【0164】
なお、各プロセスチャンバのPM平均膜厚値を上記同様の手順で求め、全てのPM平均膜厚値が等しい場合、各プロセスチャンバに使用されたダミー基板の枚数(回数)で、ダミー優先使用PM順を決定してもよい。これにより、上述の基板枚数決定処理においてダミー基板の枚数が決定される際、1回あたりの処理により形成される堆積膜の平均膜厚値を、決定したダミー基板の枚数で除した値が、プロセスチャンバPM1,PM2間で略同値となるようにすることができる。よって、プロセスチャンバ毎のダミー基板の累積膜厚値を略同値に揃えることができる。
【0165】
(11)バッチ投入処理
次に、バッチ投入処理のフローについて図21を用いて説明する。図21は、本実施形態に係る制御部239が有するグループ制御手段53によるバッチ投入処理のフロー図である。
【0166】
バッチ投入処理では、バッチ開始要求により開始されたバッチの2巡目以降の基板Wを、バッチ内の全ての基板Wの搬送が終了するまで、順次、基板処理装置10内へと投入する。
【0167】
すなわち、図21に示すように、グループ制御手段53は、グループデータ53dを参照して、グループオブジェクトの有無を判定する(S61)。グループオブジェクトがない場合、バッチ投入処理を終了する。グループオブジェクトがある場合、バッチ組み手段54から取得したバッチオブジェクトの基板データ56dを参照して、グループオブジェクトにバッチオブジェクトが関連付けられているか否かを判定する(S62)。バッチオブジェクトが関連付けられていない場合、バッチ投入処理を終了する。バッチオブジェクトが関連付けられている場合、そのバッチオブジェクトの基板データ56dを参照し、基板リストの先頭の基板オブジェクトを取得して(S63)、その基板オブジェクトのステータスが「投入待ち」となっているかを判定する(S64)。ステータスが「投入待ち」以外の場合、基板リストの次の基板オブジェクトを参照し、バッチオブジェクト内の全ての基板オブジェクトの参照が終了するまで判定を繰り返す(S65)。
【0168】
ステータスが「投入待ち」となっている場合、その基板オブジェクトに該当する基板Wについて、ロードロック室LM1,LM2に対する搬入要求をする(S66)。また、基板オブジェクトのステータスに「投入済み」をセットし、基板データ56dを更新する(S67)。次に、グループデータ53dを参照し、グループオブジェクトのバッチ内の「未投入基板数」の数値から1を減算した値を新たに「未投入基板数」としてセットし、グループデータ53dを更新する(S68)。更新後、「未投入基板数」がゼロか否かを判定し(S69)、ゼロより大きい場合は、S63以降の処理を繰り返す。
【0169】
更新後の「未投入基板数」がゼロの場合、バッチオブジェクト及びそのバッチオブジェクトのグループオブジェクトとの関連付けを削除し、グループデータ53dを更新する(S70)。さらに、グループオブジェクトの「未バッチ基板数」がゼロか否かを判定し(S71)、ゼロの場合は、グループオブジェクトを削除してグループデータ53dを更新する(S72)。「未バッチ基板数」がゼロより大きい場合は、グループオブジェクトの削除は行わず、バッチ投入処理を終える。
【0170】
以上により、バッチ投入処理が終了する。上記のように、バッチ内の全ての基板Wの搬送が終了しバッチ投入処理が終了すると、グループ制御手段53は、再びバッチ開始要求を実行して次のバッチの投入を開始する。このように、バッチ開始要求処理とバッチ投入処理とを繰り返し、全てのバッチの搬送が実行される。
【0171】
(12)PMステータス更新処理及びダミー基板ステータス更新処理
次に、図22を用いて、PMステータス更新処理及びダミー基板ステータス更新処理の各フローについて説明する。図22は、本実施形態に係る制御部239が有するPM管理手段55によるPMステータス更新処理及び材料管理手段56によるダミー基板ステータス更新処理のフロー図である。
【0172】
PMステータス更新処理では、所定のプロセスチャンバでの基板処理が終了すると、係るプロセスチャンバの累積膜厚値等のステータスを更新する。ダミー基板ステータス更新処理では、使用したダミー基板の累積膜厚値を更新する。
【0173】
すなわち、図22に示すように、PM管理手段55は、今回実行グループの基板処理が終了したプロセスチャンバの識別値を、PM投入順序リストの末尾に追加し、PM管理データ55dを更新する(S81)。また、そのプロセスチャンバの「PM累積膜厚値」に、今回の基板処理における膜厚値を加算し(S82)、「基板処理回数」に1を加算して(S83)PM管理データ55dを更新する。さらに、今回の膜厚値を材料管理手段56へと渡す。
【0174】
材料管理手段56は、今回の基板処理にて使用したダミー基板がある場合、使用した全てのダミー基板についてダミー基板オブジェクトの「累積膜厚値」にPM管理手段55から渡された膜厚値を加算し、基板データ56dを更新する(S91)。
【0175】
以上により、PMステータス更新処理及びダミー基板ステータス更新処理が終了する。
【0176】
(13)本実施形態に係る効果
本実施形態によれば、以下に示す1つ又は複数の効果を奏する。
【0177】
(a)本実施形態によれば、基板処理装置10の備える制御部239が、プロセスチャンバPM1,PM2ごとの基板枚数が所定枚数となるように、プロセスチャンバPM1,PM2ごとに使用するダミー基板の枚数を決定する。
【0178】
上記構成において、制御部239は、プロセスチャンバPM1,PM2毎に各種基板を振り分け、プロセスチャンバPM1,PM2内での最後の1回あたりの処理により、プロセスチャンバPM1,PM2毎に使用されるダミー基板の枚数が、プロセスチャンバPM1,PM2間で略同枚数となるようにダミー基板の枚数を決定するよう制御する。
【0179】
また、上記構成において、プロセスチャンバPM1,PM2毎に各種基板を振り分け、連続してロット処理を行うときは、ロット処理毎に、ダミー基板の累積膜厚値の総和を比較した結果、総和が少ないプロセスチャンバにダミー基板を振り分け、ダミー基板が各プロセスチャンバPM1,PM2で均等に使用されるよう制御する。
【0180】
以上により、プロセスチャンバPM1,PM2ごとのダミー基板の使用状況の偏りが低減し、ダミー基板の使用効率を向上させることができる。
【0181】
(b)また、本実施形態によれば、基板処理装置10の備える制御部239が、プロセスチャンバPM1,PM2ごとに使用するダミー基板の枚数を割り当てる。これにより、プロセスチャンバPM1,PM2ごとのダミー基板の使用状況の偏りが低減し、ダミー基板の使用効率を向上させることができる。特に、プロセスチャンバPM1,PM2で少なくとも一つのロットが振分処理されている場合、ロットの最後の処理において、処理室内に割り当てるダミー基板の枚数を各プロセスチャンバPMで略同枚数にすることができる。振分処理では基本的に同じプロセスが各プロセスチャンバPMで実施されるので、最低限同枚数に調整することが重要である。更に、本実施形態によれば、プロセスチャンバPM1,PM2で少なくとも一つのロットが振分処理されている場合、ロットの最後の処理において、所定のプロセスチャンバ内での1回あたりの処理により、プロセスチャンバ内に形成される堆積膜の積算値を、割り当てられたダミー基板の枚数で除算した値が、各プロセスチャンバPM1,PM2間で略同値となるようにダミー基板の枚数を割り当てる。これにより、プロセスチャンバPM1,PM2ごとのダミー基板の累積膜厚値が略同値となり、ダミー基板の使用状況を同程度に揃えることができる。また、ロットの最後の処理において、所定のプロセスチャンバ内での1回あたりの処理により、プロセスチャンバ内に使用されるダミー基板の堆積膜を、割り当てられたダミー基板の枚数で積算した値が、各プロセスチャンバPM1,PM2間で略同値となるようにダミー基板の枚数を割り当てる。よって、ダミー基板の全体での使用効率の向上及び使用頻度の低減を図ってダミー基板の消耗を抑え、交換頻度を減らしてコストを削減することができる。
【0182】
(c)また、本実施形態の上記構成によれば、基板処理の内容が異なるプロセスチャンバPM1,PM2間でダミー基板が共有されてしまうことがないので、基板処理の特性変化を抑えることができる。また、何らかの要因でパーティクルが多く発生したプロセスチャンバと他のプロセスチャンバとの間でのパーティクルの拡散を抑制することができる。
【0183】
(d)また、本実施形態によれば、プロセスチャンバPM1,PM2で少なくとも2つのロットが連続して振分処理されている場合、ロットの最後の処理において、所定のプロセスチャンバ内での1回あたりの処理により、プロセスチャンバ内に形成される堆積膜の累積積算値を、割り当てられたダミー基板の累積枚数で除算した値が、各プロセスチャンバPM1,PM2間で略同値となるようにダミー基板の枚数を割り当てる。これにより、プロセスチャンバPM1,PM2ごとのダミー基板の累積膜厚値が略同値となり、ダミー基板の使用状況を同程度に揃えることができる。また、ロットの最後の処理において、所定のプロセスチャンバ内での1回あたりの処理により、プロセスチャンバ内に使用されるダミー基板の堆積膜を、割り当てられたダミー基板の枚数で積算した累積値が、各プロセスチャンバPM1,PM2間で略同値となるようにダミー基板の枚数を割り当てる。よって、ダミー基板の全体での使用効率の向上及び使用頻度の低減を図ってダミー基板の消耗を抑え、交換頻度を減らしてコストを削減することができる。
【0184】
(e)また、本実施形態によれば、制御部239は、製品基板とダミー基板とを組み合わせて複数の基板Wとして一括処理する。このとき、プロセスチャンバPM1,PM2ごとに基板Wに対する処理が異なるときは、プロセスチャンバPM1,PM2ごとに割り当てられ、製品基板と組み合わされたダミー基板の全体がなるべく均等に使用されるよう制御する。これにより、プロセスチャンバPM1,PM2ごとの基板処理の違いによるダミー基板の使用状況の偏りが低減される。
【0185】
(f)また、本実施形態によれば、制御部239は、製品基板のロットが異なっていても1つのプロセスチャンバ内で一括して処理するよう制御する。これにより、ダミー基板によるロット毎の枚数調整の頻度が低減される。よって、ダミー基板の使用頻度を低減することができる。
【0186】
(g)また、本実施形態によれば、上記異なるロットの製品基板の一括処理は、プロセスチャンバを少なくとも1つ備えた基板処理装置にも適用され得る。すなわち、所定ロットの最後の製品基板をプロセスチャンバ内の所定位置に配置したときにプロセスチャンバ内で処理可能な基板枚数に達しない場合、次のロットの製品基板を同一プロセスチャンバ内に搬入して補充し、一括して処理する。このとき、各ロットのシーケンスレシピは同一である。
【0187】
(h)また、本実施形態によれば、製品基板とダミー基板とを組み合わせる際に、同一のシーケンスレシピを持つ異なるジョブにて指定された製品基板を組み合わせ、プロセスチャンバPM1,PM2内にて同時に処理する。これにより、ダミー基板によるジョブ毎の枚数調整の頻度が低減される。よって、ダミー基板の使用頻度を低減することができる。
【0188】
(i)また、本実施形態によれば、上記ジョブ毎の枚数調整の頻度低減は、異なるシーケンスレシピを持つジョブを複数実行するにあたり、同一のジョブからなるグループ単位ごとに製品基板とダミー基板とを組み合わせ、このグループ単位ごとに順次プロセスチャンバ内にて処理することによっても実現される。
【0189】
(j)また、本実施形態によれば、バッチ組み手段54は、同一のプロセスチャンバ内で使用されるダミー基板を累積膜厚値の小さい順に指定する。これにより、同一プロセスチャンバ内でのダミー基板の使用状況の偏りが低減され、ダミー基板の使用効率を向上させることができる。
【0190】
(k)また、本実施形態によれば、バッチ組み手段54は、割り当てられたダミー基板の累積膜厚値の総和が小さいプロセスチャンバから順に、ダミー基板が優先的に使用されるプロセスチャンバ順を決定する。これにより、プロセスチャンバPM1,PM2ごとのダミー基板の使用状況の偏りが一層低減される。
(l)また、本実施形態によれば、基板処理装置10の備える制御部239が、プロセスチャンバPM1,PM2ごとの基板枚数が所定枚数となるように、プロセスチャンバPM1,PM2ごとに使用するダミー基板の枚数を決定する。このような構成により、ロット処理が連続ではなく、例えば、ロットAとロットBの間に空き時間が空いていたとしても、ダミー基板に使用の偏りが無くすことができる。また、ロットAとロットBで使用するシーケンスレシピが異なる場合でも、ロット毎にダミー基板の使用を調整しているので、ダミー基板の使用の偏りを無くすことができる。上記構成において、制御部239は、プロセスチャンバPM1,PM2内での1回あたりの処理により形成される堆積膜の平均膜厚値を、プロセスチャンバPM1,PM2毎に決定されたダミー基板の枚数で除算した値が、プロセスチャンバPM1,PM2間で略同値となるようにダミー基板の枚数を決定するようにしてもよい。
【実施例】
【0191】
(1)異なるシーケンスレシピによるロット内処理
本発明の実施例1,2および比較例1に係る基板処理装置にて、23枚の製品基板が収納されたキャリアカセット1ロットに対し、異なるシーケンスレシピによりロット内処理を行う場合について説明する。
【0192】
実施例1,2に係る基板処理装置は、上述の基板処理装置10と同様、1バッチの基板枚数をそれぞれ5枚ずつとする2つのプロセスチャンバPM1a,PM2a、及びプロセスチャンバPM1b,PM2bをそれぞれ備えている。また、上述の制御部239と同様にダミー優先使用PM順決定処理を行う制御部を有する。また、実施例1に係る制御部は上述のアルゴリズムA1にしたがって基板枚数決定処理を行い、実施例2に係る制御部は上述のアルゴリズムA2にしたがって基板枚数決定処理を行うよう構成されている。
【0193】
比較例1に係る基板処理装置は、上記同様、1バッチの基板枚数をそれぞれ5枚ずつとする2つのプロセスチャンバPM1c,PM2cを備えている。また、複数のバッチをプロセスチャンバの番号の若い順に処理する制御部を有する。
【0194】
具体的な処理条件としては、図23に示すように、キャリアカセット内に製品基板が23枚収納されており、このうち7枚の製品基板にシーケンスレシピSaを持つジョブJaが割り振られ、他の7枚の製品基板にシーケンスレシピSbを持つジョブJbが割り振られ、残り9枚の製品基板にシーケンスレシピScを持つジョブJcが割り振られている。
【0195】
いずれのシーケンスレシピSa,Sb,Scとも、各実施例および比較例が備える2つのプロセスチャンバを指定した振分処理のシーケンスレシピである。また、いずれのシーケンスレシピSa,Sb,Scとも、1回の基板処理で各プロセスチャンバ内に形成される堆積膜の膜厚値は100Åである。各プロセスチャンバに割り当てたダミー基板の累積膜厚値の総和は、初期値で0Åとなっている。各ジョブJa,Jb,Jcは生成順に実行され、ジョブJa,Jb,Jcの順に実行される。
【0196】
以上の条件下で、実施例1,2に係る基板処理装置にて、上記23枚の製品基板のロット内処理を行った場合の各バッチ内の製品基板枚数の内訳、使用されたダミー基板の累積膜厚値の総和を、それぞれ図23(a),(b)に示す。
【0197】
図23(a)に示すように、実施例1に係る基板処理装置では、ジョブJa,Jb,Jcごとにバッチ組み処理が行われ、その中でダミー優先使用PM順決定処理が行われている。ジョブJaでは、両プロセスチャンバPM1a,PM2aともダミー基板の累積膜厚値の総和が0Åで等しいため、番号の若いプロセスチャンバPM1aがダミー基板を最優先使用するプロセスチャンバに指定されている。よって、アルゴリズムA1を用い、プロセスチャンバPM1aに対しては製品基板3枚+ダミー基板2枚のバッチ組みがされ、プロセスチャンバPM2aに対しては製品基板4枚+ダミー基板1枚のバッチ組みがされている。ジョブJaの実行後のダミー基板の累積膜厚値の総和は、プロセスチャンバPM1a,PM2aでそれぞれ200Å及び100Åであった。
【0198】
ジョブJbでは、ダミー基板の累積膜厚値の総和が小さいプロセスチャンバPM2aがダミー基板の最優先使用プロセスチャンバに指定され、それにしたがってバッチ組みがされ、それぞれ処理されている。ジョブJcでは、ダミー基板の累積膜厚値の総和が300Åで再び等しくなったので、番号の若いプロセスチャンバPM1aを最優先使用プロセスチャンバとし、それぞれ処理を行っている。
【0199】
また、図23(b)に示すように、実施例2に係る基板処理装置では、実施例1の場合と同様の手順でダミー優先使用PM順決定処理が行われ、アルゴリズムA2を用いてバッチ組みが行われ、各ジョブJa,Jb,Jcが実行されている。
【0200】
以上の基板処理の後、実施例1,2に係る基板処理装置ともに、プロセスチャンバPM1a,1bでのダミー基板の使用枚数が4枚、累積膜厚値の総和が400Åであり、プロセスチャンバPM2a,2bでのダミー基板の使用枚数が3枚、累積膜厚値の総和が300Åであった。このように、実施例1,2に係る基板処理装置では、ダミー基板の使用枚数および累積膜厚値の総和をプロセスチャンバごとに略均等に均すことができた。
【0201】
上記と同様の条件下で、比較例1に係る基板処理装置にて、上記23枚の製品基板のロット内処理を行った場合の各バッチ内の製品基板枚数の内訳、使用されたダミー基板の累積膜厚値の総和を図23(c)に示す。
【0202】
図23(c)に示すように、比較例1に係る基板処理装置では、プロセスチャンバPM1cでのダミー基板の使用枚数が0枚、累積膜厚値の総和が0Åであり、プロセスチャンバPM2cでのダミー基板の使用枚数が7枚、累積膜厚値の総和が700Åであった。このように、比較例1に係る基板処理装置では、複数のバッチをプロセスチャンバの番号の若い順に処理するため、プロセスチャンバPM2cに割り当てたダミー基板に偏った使用となってしまった。
【0203】
(2)異なるシーケンスレシピによる複数ロット処理
次に、上記と同様、実施例1,2および比較例1に係る基板処理装置(構成は上記と同じ)にて、異なるシーケンスレシピのジョブがそれぞれ割り振られた複数のロットの処理を行う場合について説明する。
【0204】
具体的な処理条件としては、図24に示すように、キャリアカセット内に製品基板が25枚収納されたロットAと、製品基板が21枚収納されたロットBと、製品基板が25枚収納されたロットCと、製品基板が21枚収納されたロットDと、製品基板が25枚収納されたロットEとが順次投入される。ジョブはロットごとに異なり、具体的には、ロットA,B,C,D,Eの製品基板に対し、それぞれシーケンスレシピSaを持つジョブJa、シーケンスレシピSbを持つジョブJb、シーケンスレシピScを持つジョブJc、シーケンスレシピSdを持つジョブJd、シーケンスレシピSeを持つジョブJeが割り振られている。
【0205】
いずれのシーケンスレシピSa,Sb,Scとも振分処理のシーケンスレシピであり、1回の基板処理での堆積膜の膜厚値は100Åである。ダミー基板の累積膜厚値の総和は、初期値で0Åとなっている。各ジョブは、ジョブJa,Jb,Jc,Jd,Jeの順に実行される。
【0206】
以上の条件下で、実施例1,2に係る基板処理装置にて、上記複数ロットA,B,C,D,Eの処理を行った場合の各バッチ内の製品基板枚数の内訳、使用されたダミー基板の累積膜厚値の総和を、それぞれ図24(a),(b)に示す。
【0207】
図24(a),(b)に示すように、実施例1,2に係る基板処理装置ともに、ロット内の製品基板枚数に不足のあるロットB,Dに割り振られたジョブJb,Jdにおいて、それぞれアルゴリズムA1,A2にしたがって、ダミー基板による枚数調整が行われている。その結果、実施例1,2に係る基板処理装置ともに、プロセスチャンバPM1a,1bでのダミー基板の使用枚数が4枚、累積膜厚値の総和が400Åであり、プロセスチャンバPM2a,2bでのダミー基板の使用枚数が4枚、累積膜厚値の総和が400Åであった。このように、実施例1,2に係る基板処理装置では、異なるシーケンスレシピによる複数ロット処理においても、ダミー基板の使用枚数および累積膜厚値の総和をプロセスチャンバごとに均等に均すことができた。
【0208】
上記と同様の条件下で、比較例1に係る基板処理装置にて、上記複数ロットA,B,C,D,Eの処理を行った場合の各バッチ内の製品基板枚数の内訳、使用されたダミー基板の累積膜厚値の総和を図24(c)に示す。
【0209】
図24(c)に示すように、比較例1に係る基板処理装置では、プロセスチャンバPM1cでのダミー基板の使用枚数が0枚、累積膜厚値の総和が0Åであり、プロセスチャンバPM2cでのダミー基板の使用枚数が8枚、累積膜厚値の総和が800Åであった。このように、比較例1に係る基板処理装置では、異なるシーケンスレシピによる複数ロット処理においても、プロセスチャンバPM2cに割り当てたダミー基板に偏った使用となってしまった。
【0210】
(3)同一のシーケンスレシピによる複数ロット処理
続いて、実施例3および比較例2に係る基板処理装置にて、同一のシーケンスレシピのジョブがそれぞれ割り振られた複数のロットの処理を行う場合について説明する。
【0211】
実施例3に係る基板処理装置は、上述の基板処理装置10と同様、1バッチの基板枚数をそれぞれ5枚ずつとする2つのプロセスチャンバPM1d,PM2dを備えている。また、上述の制御部239と同様に同一のシーケンスレシピのジョブ毎にグループ化処理を行う制御部を有する。
【0212】
比較例2に係る基板処理装置は、上記同様、1バッチの基板枚数をそれぞれ5枚ずつとする2つのプロセスチャンバPM1e,PM2eを備えている。また、異なるジョブ毎にプロセスチャンバの番号の若い順に処理する制御部を有する。
【0213】
具体的な処理条件としては、図25に示すように、製品基板が25枚のロットAと、23枚のロットBと、25枚のロットCと、22枚のロットDと、25枚のロットEとに対し、同一のシーケンスレシピSaを持つジョブJa,Jb,Jc,Jd,Jeがそれぞれ割り振られている。シーケンスレシピSaは振分処理のシーケンスレシピであり、各ジョブはジョブJa,Jb,Jc,Jd,Jeの順に実行される。
【0214】
以上の条件下で、実施例3に係る基板処理装置にて、上記複数ロットA,B,C,D,Eの処理を行った場合の各バッチ内の製品基板枚数の内訳を、それぞれ図25(a),(b)に示す。
【0215】
図25(a)に示すように、実施例3に係る基板処理装置では、ロット内の製品基板枚数に不足のあるロットB,Dに割り振られたジョブJb,Jdにおいて、ロットB,D間のロットCに割り振られたジョブJcとのグループ化がなされている。その結果、実施例3に係る基板処理装置では、プロセスチャンバPM1d,PM2dでのダミー基板の使用枚数が0枚であった。このように、実施例3に係る基板処理装置では、製品基板のロットが異なっていても1つのプロセスチャンバで一括して処理がなされ、ダミー基板を使用することなく複数ロットの処理を行うことができた。
【0216】
上記と同様の条件下で、比較例2に係る基板処理装置にて、上記複数ロットA,B,C,D,Eの処理を行った場合の各バッチ内の製品基板枚数の内訳を図25(b)に示す。
【0217】
図25(b)に示すように、比較例2に係る基板処理装置では、プロセスチャンバPM1eでのダミー基板の使用枚数が0枚であり、プロセスチャンバPM2eでのダミー基板の使用枚数が5枚であった。このように、比較例2に係る基板処理装置では、同一のシーケンスレシピを持つジョブが連続しても、異なるジョブを割り振られたロット同士をバッチ組みすることができずダミー基板の使用頻度が増してしまった。また、プロセスチャンバPM2eに割り当てたダミー基板に偏った使用となってしまった。
【0218】
< 他の実施例 >
以上、上述の実施形態では、主として、複数のロットが連続して基板処理される(ジョブが実行される)場合について、ダミー基板を効率よく使用することができ、また、ダミー基板レスな基板処理を実現できた。しかしながら、複数のロットが連続して処理されるとは限らない。例えば、ロットAとロットBの間に空き時間が発生してしまう可能性がある。この場合、ロットAとロットBの枚数に応じて基板処理を開始する処理室をプロセスチャンバPM1,PM2のどちらにするか選択できるように構成するのが望ましい。尚、本実施の形態(他の実施例)においても、装置構成およびコントローラ構成(制御手段239の構成)は、本発明の実施例1乃至実施例3と同じであるため、詳細な説明は省略する。
【0219】
つまり、本実施の形態においては、作業者が基板処理を開始する位置を変更し、変更後の状態を確認できることを特徴としている。以下、図26から図28を用いて説明する。
【0220】
図26は、所定のコマンドを選択するための画面例を示し、図27は基板処理を開始するプロセスチャンバPM1,PM2を選択する画面例を示し、図28は、次に基板処理を開始するプロセスチャンバPM1,PM2の表示を行う画面例を示している。
【0221】
作業者は、タイトルパネルにある「システムコマンド」ボタンを押下し、図26で示すシステムコマンド選択画面を表示する。次に、システムコマンド選択画面から「振分時間開始PM指定」ボタンを押下して、開始PM選択画面を表示する。表示された開始PM選択画面から、「PM1」ボタン、若しくは「PM2」ボタンのどちらかを選択、および「開始PM設定」ボタンを押下することにより、基板処理開始時に開始したいプロセスチャンバPM1,PM2を確定する。
【0222】
「開始PM設定」ボタンを押下されると、例えば、図28に示すように基板処理を開始するプロセスチャンバPM1に対して「NEXT」が表示される。
【0223】
図29は、本実施形態における制御部239に実現される機能構成を示す図である。以下、図29を用いて、データ処理(フロー)に関して説明する。
【0224】
画面制御部は、例えば、作業者が「開始PM設定」ボタンを押下することにより所定の指示を受け付けると、前記所定の指示(基板処理を開始するPMを示す指示)を振分制御部に通知する。また、記憶部としての記憶媒体内で記憶されている前記所定の指示を示す設定値(開始PM位置)を参照して、例えば、所定の画面に「NEXT」表示を実施する。
【0225】
振分制御部は、本機能を実行するメイン処理で、画面制御部からの(開始PM位置を示す)指示を受け付けると、記憶部としての記憶媒体に保持されている設定値を更新する。更新した設定値は、プロセス処理要求が行われた場合に参照され、指定された開始位置を持つアプリケーション(プロセスレシピ等)に対して、プロセスの開始指示を行う。
【0226】
< 他の実施例の具体例 >
次に図30を用いて、一具体例を説明する。図30は、ロットAが18枚、ロットBが18であり、
且つ、ロットAとロットBは連続して実行されるのではなく、空き時間Tを介して実行される場合を示す。
【0227】
ロットAが終了したときに、基板処理開始をするプロセスチャンバはPM1である。しかしながら、そのままPM1で開始すると、ダミー基板をプロセスチャンバPM2だけで処理してしまうため、ダミー基板の使用状況に偏りが生じてしまう。そこで、本実施の形態によれば、ロットA終了後、空き時間Tの間に、操作画面上で被処理体である基板を初めに投入するプロセスチャンバをPM1からPM2に変更することができる。よって、ロットBを開始する際に、作業者がロットを開始するプロセスチャンバPMを選択することができる。
【0228】
従い、本実施の形態によれば、ダミー基板を平等に、プロセスチャンバPM1,PM2に割り当てることができ、ダミー基板がなるべく均等に使用することができる。これにより、プロセスチャンバPM1,PM2ごとのダミー基板の使用状況の偏りが低減される。
【0229】
本実施の形態において、作業者が次に開始するPM位置を正しく把握でき、必要に応じてプロセス開始位置を自由に変更できるため、プロセスの再現性、およびこれらに起因する歩留りに貢献することができる。
【0230】
<本発明の他の実施形態>
以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0231】
例えば、上述の実施形態においては、基板処理装置10における基板処理の内容が、主に成膜処理である場合について説明したが、基板処理の内容はこれに限られず、例えばエッチング処理等であってもよい。基板処理がエッチング処理である場合、プロセスチャンバやダミー基板は、累積的にエッチング除去された膜厚値等で管理することができる。
【0232】
このように、本発明は、酸化膜や窒化膜、金属膜等の種々の膜を形成する処理を行う場合に適用できるほか、エッチング処理、拡散処理、アニール処理、酸化処理、窒化処理等の他の基板処理を行う場合にも適用できる。また、基板処理中のみならず、処理炉202内のクリーニングやコンディショニングの際にダミー基板を使用する場合等にも適用できる。さらに、本発明は、薄膜形成装置の他、エッチング装置、アニール処理装置、酸化処理装置、窒化処理装置、塗布装置、乾燥装置、加熱装置等の他の基板処理装置にも適用できる。
【0233】
また、本発明は、本実施形態に係る基板処理装置10のような半導体ウエハ等の基板を処理する半導体製造装置等に限らず、ガラス基板を処理するLCD(Liquid Crystal Display)製造装置等の基板処理装置にも適用できる。
【0234】
また、本発明は、制御部239が基板処理装置10内に配置される場合に限定されない。例えば、基板処理装置10の本体をクリーンルーム内に配置すると共に、制御部の少なくとも一部を事務所内(クリーンルームとは異なるフロア内)に配置し、基板処理装置10の状態を遠隔から監視し解析するようにしてもよい。
【0235】
<本発明の好ましい態様>
以下に本発明の望ましい態様について付記する。
【0236】
本発明の一態様は、
所定枚数の各種基板を一括で処理する処理室を複数備えた基板処理装置であって、
前記処理室毎の基板枚数が前記所定枚数となるように前記処理室毎に使用するダミー基板の枚数を決定し、前記ダミー基板が均等に使用されるよう制御する制御手段を備えた基板処理装置である。
【0237】
好ましくは、
前記制御手段は、
前記処理室毎に前記各種基板を振り分けて処理を行うときに、
前記処理室毎の基板枚数が前記所定枚数となるように前記ダミー基板の枚数を決定する際、
前記処理室内での最後の1回あたりの処理による前記処理室毎に使用される前記ダミー基板の枚数が、前記処理室間で略同値となるように前記ダミー基板の枚数を決定するよう制御する基板処理装置。
【0238】
好ましくは、
前記制御手段は、
前記処理室毎に前記各種基板を振り分けて処理を行うときは、
前記処理室毎の基板枚数が前記所定枚数となるように前記ダミー基板の枚数を決定する際、
各処理室内での1回あたりの処理により、前記ダミー基板に形成される堆積膜の積算値を前記ダミー基板の枚数で除算した値が、前記処理室間で略同値となるように前記ダミー基板の枚数を決定するよう制御する。
【0239】
好ましくは、
前記制御手段は、
前記処理室毎に前記各種基板を振り分けて処理を行うときは、
前記処理室毎の基板枚数が前記所定枚数となるように前記ダミー基板の枚数を決定する際、
前記処理室内での1回あたりの処理により、前記処理室内に形成される堆積膜を前記処理室内で使用された前記ダミー基板の枚数で積算した値が、前記処理室間で略同値となるように前記ダミー基板の枚数を決定するよう制御する。
【0240】
好ましくは、
前記制御手段は、
前記処理室毎に前記各種基板を振り分けて、ロット処理を行うときは、
前記処理室毎の基板枚数が前記所定枚数となるように前記ダミー基板の枚数を決定する際、
各処理室内での1回あたりの処理による、前記ダミー基板に形成される堆積膜の累積積算値を前記処理室毎に使用された前記ダミー基板の累積枚数で除算した値が、前記ロット処理毎に前記処理室間で略同値となるように前記ダミー基板の枚数を決定するよう制御する。
【0241】
好ましくは、
前記制御手段は、
前記処理室毎に前記各種基板を振り分けて、ロット処理を行うときは、
前記処理室毎の基板枚数が前記所定枚数となるように前記ダミー基板の枚数を決定する際、
前記処理室内での1回あたりの処理により、前記処理室内に形成される堆積膜を前記処理室内で使用された前記ダミー基板の枚数で積算した値の累積値が、前記ロット処理毎に前記処理室間で略同値となるように前記ダミー基板の枚数を決定するよう制御する。
【0242】
また、好ましくは、
前記制御手段は、
前記処理室毎に前記各種基板を振り分け、前記各種基板を複数回処理するとき、
少なくとも前回処理における処理室毎の前記ダミー基板の膜厚値を比較し、前記膜厚値が少ない処理室に前記ダミー基板を搬送するよう制御する基板処理装置。
【0243】
また、好ましくは、
前記制御手段は、
前記処理室毎に前記各種基板を振り分け、連続してロット処理を行うときは、
前記ロット処理開始時に、前記ダミー基板の累積膜厚値の総和を比較した結果、前記総和が少ない処理室に前記ダミー基板を振り分け、前記ロット処理終了迄に前記ダミー基板が前記各処理室で均等に使用されるよう制御する。
【0244】
また、好ましくは、
前記制御手段は、
前記処理室毎に前記各種基板を振り分け、連続してロット処理を行うときは、
前記ロット処理開始時、若しくは、各ロットの処理時に、前記処理室毎に前記ダミー基板の累積膜厚値の総和を比較した結果、前記総和が少ない処理室に前記ダミー基板を搬送し、前記ロット処理終了迄に前記ダミー基板が前記各処理室で均等に使用されるよう制御する。
【0245】
本発明の他の態様は、
複数の製品基板を処理する処理室を複数備えた基板処理装置であって、
前記各処理室内に前記製品基板を振り分けてロット処理を行う際に、
前記製品基板のロットが異なっていても1つの処理室内で一括して処理するよう制御する制御手段を備えた基板処理装置である。
【0246】
本発明のさらに他の態様は、
複数の製品基板を処理する処理室を少なくとも1つ備えた基板処理装置であって、
前記処理室内にて複数のロットからなる前記製品基板を連続して処理する際に、
所定ロットの製品基板を前記処理室内の所定位置に配置したときに前記処理室内で処理可能な基板枚数に達しない場合、次のロットの製品基板を同一処理室内に搬入して補充し、前記同一処理室内で前記複数の製品基板を一括して処理するよう制御する制御手段を備えた基板処理装置である。
【0247】
好ましくは、
前記各ロットのシーケンスレシピが同一である。
【0248】
本発明のさらに他の態様は、
複数のダミー基板と複数の製品基板とをそれぞれ別個に収容する専用の基板収納手段と、
前記ダミー基板又は前記製品基板の少なくともいずれかから構成される複数の基板を一括して処理する処理室と、を備えた基板処理装置であって、
前記ダミー基板がなるべく均等に使用されるように、前記基板収納手段内の前記ダミー基板を前記処理室毎に割り当て、前記複数の基板を前記処理室内にて処理するよう制御する制御手段を備えた基板処理装置である。
【0249】
好ましくは、
前記ダミー基板を割り当てる際に、
所定の処理室内での1回あたりの処理により前記所定の処理室内に形成される堆積膜の平均膜厚値を、前記所定の処理室に割り当てられた前記ダミー基板の枚数で除算した値が、前記各処理室間で略同値となるように前記処理室毎に前記ダミー基板の割り当て枚数を決定する。
【0250】
また、好ましくは、
前記製品基板と前記ダミー基板とを組み合わせる際に、
同一のシーケンスレシピを持つ異なるジョブにて指定された前記製品基板を組み合わせ、前記処理室内にて同時に処理する前記製品基板を決定する。
【0251】
また、好ましくは、
前記製品基板と前記ダミー基板とを組み合わせる際に、
異なるシーケンスレシピを持つジョブを複数実行するにあたり、
同一のジョブからなるグループ単位ごとに前記製品基板と前記ダミー基板とを組み合わせ、前記グループ単位ごとに前記複数の処理室内にて並行処理する。
【0252】
本発明のさらに他の態様は、
製品基板とダミー基板を含む複数の基板を同時に処理する処理室を複数備えた基板処理装置であって、
前記ダミー基板を前記処理室毎に割り当て、
前記製品基板と前記ダミー基板とを組み合わせて前記複数の基板とし、
前記処理室毎に割り当てられた前記ダミー基板がなるべく均等に使用されるように、前記処理室内にて同時に処理する前記製品基板と前記ダミー基板とを決定するよう構成される基板処理装置である。
【0253】
好ましくは、
前記ダミー基板を割り当てる際に、
所定の処理室内での1回あたりの処理により前記所定の処理室内に形成される堆積膜の平均膜厚値を、前記所定の処理室に割り当てられた前記ダミー基板の枚数で除算した値が、前記各処理室間で略同値となるように前記処理室毎に前記ダミー基板の割り当て枚数を決定するよう構成される。
【0254】
また、好ましくは、
前記製品基板と前記ダミー基板とを組み合わせる際に、
同一のシーケンスレシピを持つ異なるジョブにて指定された前記製品基板を組み合わせ、前記処理室内にて同時に処理する前記製品基板を決定するよう構成される。
【0255】
また、好ましくは、
前記製品基板と前記ダミー基板とを組み合わせる際に、
異なるシーケンスレシピを持つジョブを複数実行するにあたり、
同一のジョブからなるグループ単位ごとに前記製品基板と前記ダミー基板とを組み合わせ、前記グループ単位ごとに前記複数の処理室内にて並行処理するよう構成される。
【0256】
本発明のさらに他の態様は、
複数の基板を処理する処理室を複数備えた基板処理装置におけるダミー基板の運用方法であって、
前記処理室毎に使用する前記ダミー基板の枚数を割り当て、製品基板と前記ダミー基板とを組み合わせて前記複数の基板として、前記ダミー基板をなるべく均等に使用するダミー基板の運用方法である。
【0257】
本発明のさらに他の態様は、
複数の製品基板を処理する処理室を複数備えた基板処理装置における基板処理方法であって、
前記各処理室内に前記製品基板を振り分け、繰り返しロット処理する際に、
前記製品基板のロットが異なっていても1つの処理室内で一括して処理する基板処理方法である。
【0258】
本発明のさらに他の態様は、
複数の製品基板を処理する処理室を少なくとも1つ備えた基板処理装置における基板処理方法であって、
前記処理室内にて複数のロットからなる前記製品基板を連続して処理する際に、
所定ロットの最後の製品基板を、前記処理室内の所定位置に配置したときに前記処理室内で処理可能な基板枚数に達しない場合、次のロットの製品基板を同一処理室内に搬入して補充し、前記同一処理室内で前記複数の製品基板を一括して処理する基板処理方法である。
【0259】
本発明のさらに他の態様は、
複数のダミー基板と複数の製品基板とをそれぞれ別個に収容する専用の基板収納手段と、
前記ダミー基板又は前記製品基板の少なくともいずれかから構成される複数の基板を一括して処理する処理室と、を備えた基板処理装置におけるダミー基板の運用方法であって、
前記ダミー基板がなるべく均等に使用されるように、前記基板収納手段内の前記ダミー基板を前記処理室毎に割り当て、前記複数の基板を前記処理室内にて処理するダミー基板の運用方法である。
【0260】
本発明のさらに他の態様は、
処理室毎の基板枚数が所定枚数となるように、前記処理室毎に使用するダミー基板の枚数を決定する枚数決定工程と、
前記ダミー基板を含む各種基板を搬送する基板搬送工程と、を含む基板搬送方法であって、
前記枚数決定工程では、
前記処理室毎に使用される前記ダミー基板の枚数を、前記処理室間で略同枚数となるように決定する基板搬送方法である。
【0261】
本発明のさらに他の態様は、
処理室毎の基板枚数が所定枚数となるように、前記処理室毎に使用するダミー基板の枚数を決定する枚数決定工程と、
前記ダミー基板を含む各種基板を前記処理室が前記所定枚数になるように搬送する基板搬送工程と、を含む基板搬送方法であって、
前記枚数決定工程では、
各処理室間で前記ダミー基板の累積膜厚値の総和を比較した結果、前記総和が少ない処理室に前記ダミー基板を振り分ける基板搬送方法である。
【0262】
本発明のさらに他の態様は、
処理室毎の基板枚数が所定枚数となるように、前記処理室毎に使用するダミー基板の枚数を決定する
枚数決定工程と、
前記ダミー基板を含む各種基板を搬送する基板搬送工程と、
前記処理室毎に前記各種基板を振り分けて処理する基板処理工程と、を含む半導体装置の製造方法であって、
前記枚数決定工程では、
前記処理室毎に使用される前記ダミー基板の枚数が、前記処理室間で略同値となるように前記ダミー基板の枚数を決定する半導体装置の製造方法である。
【0263】
本発明のさらに他の態様は、
処理室毎の基板枚数が所定枚数となるように、前記処理室毎に使用するダミー基板の枚数を決定する
枚数決定工程と、
前記ダミー基板を含む各種基板を前記処理室が前記所定枚数になるように搬送する基板搬送工程と
前記所定枚数の前記基板を処理する基板処理工程と、を含む半導体装置の製造方法であって、
前記処理室毎に前記各種基板を振り分け、連続してロット処理を行うときは、
前記枚数決定工程では、
前記ロット処理開始時に各処理室間で前記ダミー基板の累積膜厚値の総和を比較した結果、前記総和が少ない処理室に前記ダミー基板を振り分ける半導体装置の製造方法である。
【符号の説明】
【0264】
10 基板処理装置
239 制御部(制御手段)
PM1,PM2 プロセスチャンバ(処理室)
W 基板


【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定枚数の各種基板を処理する複数の処理室と、
前記処理室毎の前記各種基板が前記所定枚数となるように、前記ダミー基板の枚数を決定する際、
前記処理室毎に使用される前記ダミー基板の枚数が、略同枚数になるように決定する制御手段を備える基板処理装置。
【請求項2】
処理室毎の各種基板が所定枚数となるように、前記処理室毎に使用されるダミー基板の枚数を決定する枚数決定工程と、
前記各種基板を搬送する基板搬送工程と、を含む基板搬送方法であって、
前記枚数決定工程では、
前記処理室毎に使用される前記ダミー基板の枚数が、前記処理室間で略同枚数になるように決定する基板搬送方法。
【請求項3】
処理室毎の各種基板が所定枚数となるように、前記処理室毎に使用されるダミー基板の枚数を決定する枚数決定工程と、
前記各種基板を搬送する基板搬送工程と、
前記処理室毎に前記各種基板を処理する基板処理工程と、を含む半導体装置の製造方法であって、
前記枚数決定工程では、
前記処理室毎に使用される前記ダミー基板の枚数が、前記処理室間で略同枚数になるように決定する半導体装置の製造方法。
【請求項4】
所定枚数の各種基板を処理する複数の処理室と、
処理室毎の基板枚数が前記所定枚数となるように、前記処理室毎に使用するダミー基板の枚数を決定する制御手段を備え、
前記制御手段は、
前記処理室毎に前記各種基板を振り分け、前記各種基板を複数回処理するとき、
少なくとも前回処理における処理室毎の前記ダミー基板の膜厚値を比較し、前記膜厚値が少ない処理室に前記ダミー基板を搬送するよう制御する基板処理装置。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2013−102125(P2013−102125A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−157479(P2012−157479)
【出願日】平成24年7月13日(2012.7.13)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)