基板外観検査装置
【目的】簡単且つコンパクトな構成であり、検査に移るまでの時間が短縮できると共に、安全且つ確実に基板の検査が可能な基板外観検査装置を提供する。
【構成】本発明は、基板36を回動させて、基板36の外観を検査する検査装置40を有する基板外観検査装置である。検査装置40は、キャリア42に収納された基板36を保持可能な吸着保持アーム58と、この吸着保持アーム58を回動可能に支持する回動機構60と、この回動機構60をキャリア42に接近あるいは離間する方向に移動可能に支持して、吸着保持アーム58をキャリア42に対して挿入あるいは離脱させる案内機構62と、を備えている。
【構成】本発明は、基板36を回動させて、基板36の外観を検査する検査装置40を有する基板外観検査装置である。検査装置40は、キャリア42に収納された基板36を保持可能な吸着保持アーム58と、この吸着保持アーム58を回動可能に支持する回動機構60と、この回動機構60をキャリア42に接近あるいは離間する方向に移動可能に支持して、吸着保持アーム58をキャリア42に対して挿入あるいは離脱させる案内機構62と、を備えている。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば、ウエハ又は液晶ガラス板等の基板の外観を検査するための装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の装置には、例えば、図11に模式的に示すような装置が知られている。このような装置は、キャリア2に複数枚配置された基板4の間の空間に、平行に、図示しない駆動機構によって取出アーム6を挿入し、この取出アーム6に基板4を吸着保持させた後、取出アーム6をキャリア2から引き抜いて、検査領域8に基板4を移動させるように構成されている。検査領域8に達すると、取出アーム6が目視検査装置10方向に下降し、基板4を目視検査装置10の保持部12に移し換える。保持部12に移し換えられた基板4は、この保持部12に吸着保持されて、回転揺動される。この結果、基板4には、三次元の動きが与えられ、作業員によって、目視検査が行われる。このような目視検査装置10は、例えば、特公平2−62950号公報に開示されたような構成を有する。
【0003】図12には、この目視検査装置10の内部構成が示されている。図12に示すように、目視検査装置10は、ケース11内に、基板4(図11参照)を吸着保持可能な保持部12と、この保持部12を回転可能に支持する第1のシャフト14と、この第1のシャフト14の基端側を回転可能に支持する支持アーム16と、この支持アーム16の基端を枢支するスタンド部18と、このスタンド部18に水平方向の回転運動を与える第2のシャフト20と、スタンド部18を保持するラック22と、このラック22を鉛直方向に昇降させるガイド24と、を備えている。
【0004】このような目視検査装置10によれば、まず、基板4(図11参照)を吸着保持させたまま保持部12を回転させる場合、第1のモータ26を介して第1のシャフト14を回転させる。また、基板4(図11参照)の向きを変える場合、ラック22をガイド24に沿って下降させる。このラック22の下降により、保持部12は、第1の枢支点28を中心に矢印S方向に回動され、基板の向きが変わる。次に、ケース11に対する基板4の相対的な位置を変化させる場合、第2のモータ30を介して第2のシャフト20を回転させる。この結果、基板4は、ケース11の外周面に沿って公転される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の外観検査装置は、その殆どが、キャリア2から基板4を取出すための取出手段(即ち、取出アーム6)と、基板4を目視検査するための検査手段(即ち、目視検査装置10)と、が独立して構成されている。なぜなら、基板4に対して揺動運動だけでなく、回転運動も与える必要から構造上別体とせざるを得ないためである。
【0006】また、基板4、特に液晶用ガラス基板は、一般的なウエハに比べて精密度の1ランク落ちることや、基板の大きさが略400×350mmであるため、回転運動を施すように構成すると、装置の構成が複雑になるだけでなく装置の大型化にもつながる。このため、製造コストが上昇し、不経済である。また、従来の装置では、取出手段及び検査手段の他に基板4の乗せ換え機構が必要であるため、構造上複雑であると共に装置が大型化してしまう。更に、乗せ換えに要する時間が必要であるため、検査能率が低下する。また、取出工程から検査工程への移行に、乗せ換え工程が加わっているため、高精度を要する基板4に、例えば、外傷が付く確率も上昇する。
【0007】本発明は、このような弊害を除去するためになされ、その目的は、簡単且つコンパクトな構成であり、検査に移るまでの時間が短縮できると共に、安全且つ確実に基板の検査が可能な基板外観検査装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成するために、本発明の基板外観検査装置は、基板を回動させて、前記基板の外観を検査する検査装置を有し、前記検査装置は、収納部に収納された基板を保持可能な保持手段と、この保持手段を回動可能に支持する回動機構と、
【0009】この回動機構を前記収納部に接近あるいは離間する方向に移動可能に支持して、前記保持手段を前記収納部に対して挿入あるいは離脱させる案内機構と、を備えている。
【0010】
【作用】本発明は、案内機構を作動させることによって、回動機構が基板と平行に移動され、この回動機構に支持された保持手段が、収納部に挿入される。収納部に挿入された保持手段で、所定の基板が保持されると、再び、案内機構が作動して、回動機構を収納部から離間する方向に移動させる。この移動に伴って保持手段が移動し、基板が収納部から取出される。基板を保持手段に保持した状態で、次に、回動機構が作動して、保持手段を回動させる。この回動に伴って、基板は所定の方向に回動される。この回動中に基板の外観が検査される。
【0011】
【実施例】以下、本発明の一実施例に係る基板外観検査装置について、図1ないし図8を参照して説明する。
【0012】図1に示すように、本実施例の基板外観検査装置32は、検査装置本体34の後方に配置され、複数枚の基板36(例えば、液晶ガラス基板、ウエハ)を収納可能な収納装置38と、基板36の目視検査を行う検査装置40と、検査装置本体34の前方に配置され、この検査装置40を操作する操作部128と、を備えている。
【0013】図2に示すように、収納装置38は、複数枚の基板36を所定の間隔で垂直方向に並列させて配置可能なキャリア42と、このキャリア42を保持する保持台44と、この保持台44の両側に夫々設けられ、保持台44を垂直方向に昇降させる昇降機構46と、を備えている。
【0014】図2ないし図4に示すように、昇降機構46は、保持台44を垂直方向に案内するガイドロッド48と、保持台44に垂直方向の昇降力を伝達する昇降力伝達ロッド50と、この昇降力伝達ロッド50を駆動させる駆動機構52と、を備えている。駆動機構52は、昇降力伝達ロッド50側の検査装置本体34に設けられた第1のサーボモータ54と、この第1のサーボモータ54の駆動力を一対の昇降力伝達ロッド50に伝達させる例えば一対の伝達ベルト56と、を備えている。
【0015】従って、第1のサーボモータ54を所定の角度で正逆方向に駆動させると、その駆動力は、伝達ベルト56を介して昇降力伝達ロッド48に伝達される。今結果、保持台44は、ガイドロッド48に沿って垂直方向に昇降し、キャリア42を所定量だけ昇降させる。
【0016】また、図3ないし図8に示すように、検査装置40は、キャリア42に収納された複数の基板36相互の空間に挿入可能な厚みを有する略凹形状の吸着保持アーム58と、この吸着保持アーム58を回動可能に保持する回動機構60と、吸着保持アーム58の両側に配置され、回動機構60をキャリア42方向(即ち、検査装置本体34の後方)に案内する案内機構62と、を備えている。
【0017】吸着保持アーム58は、略凹形状で、キャリア42に収納されている複数の基板36の相互の空間に挿入可能な厚みを有している。そして、吸着保持アーム58の上面は、基板36の裏面を損傷させる事なく且つ安定して保持できるように平坦状に加工されている。この吸着保持アーム58の上面には、吸引ポンプ(図示しない)に接続された3つの吸着機構64が設けられている。具体的には、これら吸着機構64は、吸着保持アーム58の先端側(即ち、キャリア42側)に延出したの一対の突出部66の先端部に夫々1つづつ設けられ、残りの1つは、これら突出部66の両基端部の間の中央部に設けられている。これら吸着機構64には、夫々、吸着保持アーム58の裏面側に形成された第1の吸引通路59が連通接続されている。この第1の吸引通路59は、後述する回動軸68に設けられた第2の吸引通路90を介して吸引ポンプに連通されている。このような吸着機構66は、基板36の裏面を吸着保持する場合、吸引ポンプからの吸引力で基板36の裏面を吸引可能に構成されている。このように、吸引力を作用させることによって、基板36は、吸着保持アーム58上に安定且つ確実に吸着保持される。従って、吸着保持アーム58を回動させても、基板36は、吸着保持アーム58から滑り落ちることはない。
【0018】回動機構60は、検査装置本体34の前後方向(即ち、操作部128とキャリア42とを結ぶ方向)に延出し、その延出端が吸着保持アーム58の後端側中央部に接続固定され、且つ、吸着保持アーム58を回動させる回動軸68と、この回動軸68に対して直交して両側に夫々突設された軸部72を中心に回動可能で、且つ、回動軸68を回動自在に支持する支持部材70と、この支持部材70の両側に突設された前記軸部72を回動可能に支持し、且つ、後述する案内機構62によって、支持部材70を前後方向(即ち、キャリア42に接近あるいは離間させる方向)に移動させる案内部材74と、を備えている。
【0019】図5に示すように、回動軸68は、ベアリング機構76によって支持部材70に回動自在に内蔵されており、その後端に駆動力伝達機構を介して第2のサーボモータ78が接続されている。具体的には、駆動力伝達機構は、回動軸68の後端に取付けられた第1のプーリ80と、第2のサーボモータ78の駆動軸82に取付けられた第2のプーリ84と、を互いにベルト86で連結して構成されている。なお、この回動軸68の内部には、前述した吸着機構64から延出された第1の吸引通路59に連通接続された第2の吸引通路90が形成されている。
【0020】また、第2のサーボモータ78には、第1の変速機88が連結されており、この第1の変速機88を制御することによって、吸着保持アーム58に対して所望の回動運動を与えることができる。また、支持部材70には、吸着保持アーム58の回動状態を監視する第1の回動方向センサ92が取付けられている。
【0021】このような構成において、第2のサーボモータ78を所定の角度で正逆方向に駆動させると、その駆動力は、駆動力伝達機構を介して回動軸68に伝達される。この結果、回動軸68の延出端に接続固定された吸着保持アーム58が、図4及び図6に矢印Aで示す方向に、所定の角度内で回動される。
【0022】また、図3、図7及び図8に示すように、支持部材70は、前述した回動軸68に対して直交し、検査装置本体34の左右方向に延出されている。このような支持部材70の両端には、夫々、一体的に突出した軸部72(図7及び図8には、検査装置本体34の右側の軸部72のみ拡大して示す)が設けられている。これら軸部72は、夫々、後述する案内機構62によって前後方向(即ち、キャリア42に接近あるいは離間させる方向)に移動される案内部材74に、回動自在に支持されている。
【0023】特に図3に示すように、軸部72には、第3のプーリ94(図3には、右側の部分のみ示す)が取付けられている。この第3のプーリ94と並列して第3のサーボモータ96が案内部材74に設けられている。この第3のサーボモータ96の駆動軸98には、第4のプーリ100が設けられており、この第4のプーリ100と第3のプーリ94とは相互にベルト102で連結されている。従って、第3のサーボモータ96を所定の角度で正逆方向に駆動させると、その駆動力は、第4のプーリ100及びベルト102を介して第3のプーリ94に伝達され、軸部72を回動させる。この結果、支持部材70が回動され、吸着保持アーム58が、図4に矢印Bで示す方向に、所定の角度内で回動される。なお、案内部材74には、支持部材70の回動状態を監視する第2の回動方向センサ93が設けられている。
【0024】また、図7及び図8に示すように、支持部材70の両端であって、軸部72の反対側の面には、夫々、円柱状凸部104が突設されており、この凸部104には、ねじりバネ106が巻き付けられている。このねじりバネ106の一端は、支持部材70に設けられた第1の当接部108に当接され、他端は、後述する案内部材74に設けられた第2の当接部110に当接されている。このため、支持部材70は、常時、このねじりバネ106によって、上方に付勢された状態に維持されている。この結果、支持部材70に回動軸68を介して支持された吸着保持アーム58は、常時、水平に維持される。また、このようにねじりバネ106によって、付勢されているため、例えば、吸着保持アーム58を図4に矢印Bで示す方向のうち、上方に回動させる出力も、低出力で足りる。この結果、駆動時に第3のサーボモータ96にかかる負荷が軽減されると共に起動出力も弱く設定することができる。即ち、小型のモータで足りることになり、結果的に装置のコンパクト化につながる。
【0025】また、図3、図7及び図8に示すように、案内部材74を、検査装置本体34の前後方向に移動させる案内機構62は、吸着保持アーム58の両側に、夫々、検査装置本体34の前方から後方(即ち、操作部128からキャリア42方向)に向かって互いに平行に配置されたガイド112と、これらガイド112の下方に、夫々、ガイド112と平行に配置された搬送用ベルト114と、これら搬送用ベルト114を駆動させる第4のサーボモータ116と、を備えている。なお、これら搬送用ベルト114は、検査装置本体34の前方に設けられた一対の第5のプーリ113と、後方に設けられた一対の第6のプーリ115に、夫々、掛け渡されている。
【0026】ガイド112は、夫々、案内部材74に形成されたガイド孔(図示しない)に挿通されている。また、搬送用ベルト114は、その外周面が案内部材74の下端面に接触するように配置されており、この接触部分で、搬送用ベルト114の内側から案内部材74の下端面にねじこまれたボルト118(図8参照)によって互いに締結されている。また、第4のサーボモータ116の両側から延出された駆動軸120の先端に、夫々、取付けられた第7のプーリ122は、一対の第5のプーリ113にベルト(図示しない)を介して連結されている。この結果、第4のサーボモータ116を所定の角度で正逆方向に駆動させると、その駆動力は、第7のプーリ122及びベルト(図示しない)を介して第5のプーリ113に伝達され、搬送用ベルト114を正逆方向に移動させる。この結果、案内部材74は、搬送用ベルト114の移動方向に対応して、検査装置本体34の前後方向(即ち、キャリア42に接近又は離間する方向)に移動される。従って、吸着保持アーム58のキャリア42への挿脱が可能となる。次に、本実施例の基板外観検査装置32の動作について、図1ないし図8を参照して説明する。
【0027】まず、第1のサーボモータ54が正方向に駆動して、検査対象たる基板36の下面が吸着保持アーム58の上面より若干高い位置にセットされるように、キャリア42を所定量下降させる。キャリア42がセットされたとき、第1のサーボモータ54は停止する。このとき、キャリア42の両側に夫々一対配置された第1の位置合せ部材130(図1参照)が延出され、セットされた基板36の両縁部を互いに押圧する。この結果、例えば、キャリア42の下降中にずれてしまった基板36の位置が整えられる。次に、第4のサーボモータ116が正方向に駆動して、搬送用ベルト114を介して案内部材74をキャリア42方向に移動させる。吸着保持アーム58が規定された量だけキャリア42内に挿入されたとき、第4のサーボモータ116は停止する。次に、第1のサーボモータ54が正方向に駆動して、吸着保持アーム58の上面が目的の基板36の裏面に接触するまで、キャリア42を下降させる。吸着保持アーム58の上面が基板36の裏面に接触したとき、第1のサーボモータ54は停止する。このとき、図示しない吸引ポンプが作動して、基板36の裏面を吸着機構64に吸着させる。吸引ポンプを作動させた状態で、第4のサーボモータ116が逆方向に駆動して、案内部材74がキャリア42から離間する方向に、搬送用ベルト114を移動させる。案内部材74の移動に伴って、支持部材70が移動し、基板36を吸着保持した吸着保持アーム58がキャリア42から引き抜かれる。基板36がキャリア42から離間したとき、第4のサーボモータ116は停止する。このとき、第3のサーボモータ96が正方向に規定された量だけ駆動して、支持部材70を回動させる。この結果、吸着保持アーム58の先端側が持ち上げられ、基板36を傾斜させる。基板36が規定された量だけ傾斜されたとき、第3のサーボモータ96は停止する。このとき、検査装置本体34の上部に配置された一対の光源124から光(例えば、緑色光)が出射される。光源124から出射された光は、反射鏡126を介して基板36上に照射される。光を照射させた状態で、第2のサーボモータ78が正逆方向に規定された量だけ駆動して、回動軸68を正逆方向に回動させる。この結果、吸着保持アーム58に吸着保持された基板36が、図4及び図6の矢印Aで示す方向に回動される。回動する基板36の上面から反射される反射光のうち、損傷部分から反射される反射光は、他の反射光とその光学的特性が異なる。また、傷のある場合は、傷が光を乱反射させ、その所在を知らす。この結果、操作部128側に立脚した観察者は、反射光の変化によって損傷部分を確認することができる。外観検査が終了したとき、第2のサーボモータ78は停止する。次に、第3のサーボモータ96が逆方向に駆動し、支持部材70を回動させる。この結果、吸着保持アーム58は、水平状態に戻される。吸着保持アーム58が水平状態になったとき、第3のサーボモータは停止する。このとき、第2の位置合せ部材133(図1参照)が延出され、吸着保持アーム58に吸着保持された基板36の両縁部を互いに押圧する。この結果、例えば、外観検査中にその位置がずれてしまった基板36は、初期位置に整合される。次に、第4のサーボモータ116が正方向に駆動して、搬送用ベルト114を介して案内部材74をキャリア42方向に移動させる。基板36がキャリア42内に完全に挿入されたとき、第4のサーボモータ116は停止すると同時に吸引ポンプが停止する。このとき、第1のサーボモータ54が逆方向に若干駆動して、昇降力伝達ロッド50を介して保持台44を若干上昇させる。この結果、吸着保持アーム58の上面が基板36の下面から離間される。従って、検査済みの基盤36がキャリア42内に収納される。次に、第4のサーボモータ116が逆方向に駆動して、搬送用ベルト114を介して案内部材74を操作部128(図1参照)方向に移動させる。この案内部材74の移動に伴って、吸着保持アーム58がキャリア42から引き抜かれる。このとき、第1のサーボモータ54が正方向に駆動して、次の検査対象たる基板36の下面が吸着保持アーム58の上面より若干高い位置にセットされるように、キャリア42を所定量下降させる。このような工程を順次繰り返すことによって、キャリア42に収納された基板36の外観検査が行われる。
【0028】このような本実施例の基板外観検査装置は、従来の装置のように、基板の外観検査装置を別体とせずに、基板をキャリアから取り出すための装置と基板を回動させて外観を検査するための装置とが一体化されて構成されている。この結果、装置の構成が簡単且つコンパクトになり、低価格で装置を提供することができる。また、基板を検査装置に移し換える工程がなくなったため、外観検査に要する時間も短縮できると共に、基板に外傷が与えられることもない。
【0029】なお、本発明は、上述した一実施例に限定されない。例えば、回動機構60は、図9に示すように構成させることもできる。この変形例に係る回動機構は、第1の回動部材135と第2の回動部材137とを備えており、夫々の回動軸が互いに直交して構成されている。具体的には、第1の回動部材135と第2の回動部材137との間には、第1の保持部材139が介装されている。第1の回動部材135は、この第1の保持部材139に対して矢印X方向に回動される。また、第1の保持部材139と第2の回動部材137とは互いに締結されており、この第2の回動部材137は、その下面に配置された第2の保持部材141に対して矢印Y方向に回動される。
【0030】また、他の変形例に係る回動機構は、図10に示すように、基板(図示しない)を吸着保持可能で且つ矢印Eのいずれかの方向に回転自在な吸着保持部143と、この吸着保持部143を回転自在に支持し且つ矢印F方向に回動自在な第1の支持部材145と、この第1の支持部材145を回動自在に支持し且つ矢印G方向に回動自在な第2の支持部材147と、を備えている。なお、吸着保持部143の表面には、3つの吸着機構が設けられており、吸引手段(図示しない)の吸引力によって、吸着保持部143上に基板は確実に吸着保持される。このような回動機構によれば、吸着保持された基板は、回転されつつ互いに直交する方向に回動される。
【0031】
【発明の効果】本発明の基板外観検査装置は、従来の装置のように、基板の外観検査装置を別体とせずに、基板をから取り出すための装置と基板を回動させて外観を検査するための装置とが一体化されて構成されている。この結果、装置の構成が簡単且つコンパクトになり、低価格で装置を提供することができる。また、基板を検査装置に移し換える工程がなくなったため、外観検査に要する時間も短縮できると共に、基板に外傷が与えられることもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る基板外観検査装置の全体を示す斜視図。
【図2】図1に示す基板外観検査装置の背面図。
【図3】図1に示す基板外観検査装置の平面図。
【図4】図1に示す基板外観検査装置の側面図。
【図5】図1に示す基板外観検査装置の構成である吸着保持アームに接続固定された回動軸の部分の拡大断面図。
【図6】図1に示す基板外観検査装置の上側の部分の正面図。
【図7】図1に示す基板外観検査装置の構成である支持部材の両側に一体的に突出された軸部のうち、一方の軸部が案内部材に回動自在に支持されている状態を示す部分拡大断面図。
【図8】図7に示された軸部の部分を示す図であって、案内部材が搬送用ベルトに締結されている状態を示す側面図。
【図9】本発明の基板外観検査装置の構成である回動機構の変形例を示す斜視図。
【図10】本発明の基板外観検査装置の構成である回動機構の他の変形例を示す斜視図。
【図11】従来の基板外観検査装置の構成のうち主要な構成のみを模式的に示す図。
【図12】図11に示された構成のうち、目視検査装置の構成を示す断面図。
【符号の説明】
36…基板、40…検査装置、42…キャリア、58…吸着保持アーム、60…回動機構、62…案内機構。
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば、ウエハ又は液晶ガラス板等の基板の外観を検査するための装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の装置には、例えば、図11に模式的に示すような装置が知られている。このような装置は、キャリア2に複数枚配置された基板4の間の空間に、平行に、図示しない駆動機構によって取出アーム6を挿入し、この取出アーム6に基板4を吸着保持させた後、取出アーム6をキャリア2から引き抜いて、検査領域8に基板4を移動させるように構成されている。検査領域8に達すると、取出アーム6が目視検査装置10方向に下降し、基板4を目視検査装置10の保持部12に移し換える。保持部12に移し換えられた基板4は、この保持部12に吸着保持されて、回転揺動される。この結果、基板4には、三次元の動きが与えられ、作業員によって、目視検査が行われる。このような目視検査装置10は、例えば、特公平2−62950号公報に開示されたような構成を有する。
【0003】図12には、この目視検査装置10の内部構成が示されている。図12に示すように、目視検査装置10は、ケース11内に、基板4(図11参照)を吸着保持可能な保持部12と、この保持部12を回転可能に支持する第1のシャフト14と、この第1のシャフト14の基端側を回転可能に支持する支持アーム16と、この支持アーム16の基端を枢支するスタンド部18と、このスタンド部18に水平方向の回転運動を与える第2のシャフト20と、スタンド部18を保持するラック22と、このラック22を鉛直方向に昇降させるガイド24と、を備えている。
【0004】このような目視検査装置10によれば、まず、基板4(図11参照)を吸着保持させたまま保持部12を回転させる場合、第1のモータ26を介して第1のシャフト14を回転させる。また、基板4(図11参照)の向きを変える場合、ラック22をガイド24に沿って下降させる。このラック22の下降により、保持部12は、第1の枢支点28を中心に矢印S方向に回動され、基板の向きが変わる。次に、ケース11に対する基板4の相対的な位置を変化させる場合、第2のモータ30を介して第2のシャフト20を回転させる。この結果、基板4は、ケース11の外周面に沿って公転される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の外観検査装置は、その殆どが、キャリア2から基板4を取出すための取出手段(即ち、取出アーム6)と、基板4を目視検査するための検査手段(即ち、目視検査装置10)と、が独立して構成されている。なぜなら、基板4に対して揺動運動だけでなく、回転運動も与える必要から構造上別体とせざるを得ないためである。
【0006】また、基板4、特に液晶用ガラス基板は、一般的なウエハに比べて精密度の1ランク落ちることや、基板の大きさが略400×350mmであるため、回転運動を施すように構成すると、装置の構成が複雑になるだけでなく装置の大型化にもつながる。このため、製造コストが上昇し、不経済である。また、従来の装置では、取出手段及び検査手段の他に基板4の乗せ換え機構が必要であるため、構造上複雑であると共に装置が大型化してしまう。更に、乗せ換えに要する時間が必要であるため、検査能率が低下する。また、取出工程から検査工程への移行に、乗せ換え工程が加わっているため、高精度を要する基板4に、例えば、外傷が付く確率も上昇する。
【0007】本発明は、このような弊害を除去するためになされ、その目的は、簡単且つコンパクトな構成であり、検査に移るまでの時間が短縮できると共に、安全且つ確実に基板の検査が可能な基板外観検査装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成するために、本発明の基板外観検査装置は、基板を回動させて、前記基板の外観を検査する検査装置を有し、前記検査装置は、収納部に収納された基板を保持可能な保持手段と、この保持手段を回動可能に支持する回動機構と、
【0009】この回動機構を前記収納部に接近あるいは離間する方向に移動可能に支持して、前記保持手段を前記収納部に対して挿入あるいは離脱させる案内機構と、を備えている。
【0010】
【作用】本発明は、案内機構を作動させることによって、回動機構が基板と平行に移動され、この回動機構に支持された保持手段が、収納部に挿入される。収納部に挿入された保持手段で、所定の基板が保持されると、再び、案内機構が作動して、回動機構を収納部から離間する方向に移動させる。この移動に伴って保持手段が移動し、基板が収納部から取出される。基板を保持手段に保持した状態で、次に、回動機構が作動して、保持手段を回動させる。この回動に伴って、基板は所定の方向に回動される。この回動中に基板の外観が検査される。
【0011】
【実施例】以下、本発明の一実施例に係る基板外観検査装置について、図1ないし図8を参照して説明する。
【0012】図1に示すように、本実施例の基板外観検査装置32は、検査装置本体34の後方に配置され、複数枚の基板36(例えば、液晶ガラス基板、ウエハ)を収納可能な収納装置38と、基板36の目視検査を行う検査装置40と、検査装置本体34の前方に配置され、この検査装置40を操作する操作部128と、を備えている。
【0013】図2に示すように、収納装置38は、複数枚の基板36を所定の間隔で垂直方向に並列させて配置可能なキャリア42と、このキャリア42を保持する保持台44と、この保持台44の両側に夫々設けられ、保持台44を垂直方向に昇降させる昇降機構46と、を備えている。
【0014】図2ないし図4に示すように、昇降機構46は、保持台44を垂直方向に案内するガイドロッド48と、保持台44に垂直方向の昇降力を伝達する昇降力伝達ロッド50と、この昇降力伝達ロッド50を駆動させる駆動機構52と、を備えている。駆動機構52は、昇降力伝達ロッド50側の検査装置本体34に設けられた第1のサーボモータ54と、この第1のサーボモータ54の駆動力を一対の昇降力伝達ロッド50に伝達させる例えば一対の伝達ベルト56と、を備えている。
【0015】従って、第1のサーボモータ54を所定の角度で正逆方向に駆動させると、その駆動力は、伝達ベルト56を介して昇降力伝達ロッド48に伝達される。今結果、保持台44は、ガイドロッド48に沿って垂直方向に昇降し、キャリア42を所定量だけ昇降させる。
【0016】また、図3ないし図8に示すように、検査装置40は、キャリア42に収納された複数の基板36相互の空間に挿入可能な厚みを有する略凹形状の吸着保持アーム58と、この吸着保持アーム58を回動可能に保持する回動機構60と、吸着保持アーム58の両側に配置され、回動機構60をキャリア42方向(即ち、検査装置本体34の後方)に案内する案内機構62と、を備えている。
【0017】吸着保持アーム58は、略凹形状で、キャリア42に収納されている複数の基板36の相互の空間に挿入可能な厚みを有している。そして、吸着保持アーム58の上面は、基板36の裏面を損傷させる事なく且つ安定して保持できるように平坦状に加工されている。この吸着保持アーム58の上面には、吸引ポンプ(図示しない)に接続された3つの吸着機構64が設けられている。具体的には、これら吸着機構64は、吸着保持アーム58の先端側(即ち、キャリア42側)に延出したの一対の突出部66の先端部に夫々1つづつ設けられ、残りの1つは、これら突出部66の両基端部の間の中央部に設けられている。これら吸着機構64には、夫々、吸着保持アーム58の裏面側に形成された第1の吸引通路59が連通接続されている。この第1の吸引通路59は、後述する回動軸68に設けられた第2の吸引通路90を介して吸引ポンプに連通されている。このような吸着機構66は、基板36の裏面を吸着保持する場合、吸引ポンプからの吸引力で基板36の裏面を吸引可能に構成されている。このように、吸引力を作用させることによって、基板36は、吸着保持アーム58上に安定且つ確実に吸着保持される。従って、吸着保持アーム58を回動させても、基板36は、吸着保持アーム58から滑り落ちることはない。
【0018】回動機構60は、検査装置本体34の前後方向(即ち、操作部128とキャリア42とを結ぶ方向)に延出し、その延出端が吸着保持アーム58の後端側中央部に接続固定され、且つ、吸着保持アーム58を回動させる回動軸68と、この回動軸68に対して直交して両側に夫々突設された軸部72を中心に回動可能で、且つ、回動軸68を回動自在に支持する支持部材70と、この支持部材70の両側に突設された前記軸部72を回動可能に支持し、且つ、後述する案内機構62によって、支持部材70を前後方向(即ち、キャリア42に接近あるいは離間させる方向)に移動させる案内部材74と、を備えている。
【0019】図5に示すように、回動軸68は、ベアリング機構76によって支持部材70に回動自在に内蔵されており、その後端に駆動力伝達機構を介して第2のサーボモータ78が接続されている。具体的には、駆動力伝達機構は、回動軸68の後端に取付けられた第1のプーリ80と、第2のサーボモータ78の駆動軸82に取付けられた第2のプーリ84と、を互いにベルト86で連結して構成されている。なお、この回動軸68の内部には、前述した吸着機構64から延出された第1の吸引通路59に連通接続された第2の吸引通路90が形成されている。
【0020】また、第2のサーボモータ78には、第1の変速機88が連結されており、この第1の変速機88を制御することによって、吸着保持アーム58に対して所望の回動運動を与えることができる。また、支持部材70には、吸着保持アーム58の回動状態を監視する第1の回動方向センサ92が取付けられている。
【0021】このような構成において、第2のサーボモータ78を所定の角度で正逆方向に駆動させると、その駆動力は、駆動力伝達機構を介して回動軸68に伝達される。この結果、回動軸68の延出端に接続固定された吸着保持アーム58が、図4及び図6に矢印Aで示す方向に、所定の角度内で回動される。
【0022】また、図3、図7及び図8に示すように、支持部材70は、前述した回動軸68に対して直交し、検査装置本体34の左右方向に延出されている。このような支持部材70の両端には、夫々、一体的に突出した軸部72(図7及び図8には、検査装置本体34の右側の軸部72のみ拡大して示す)が設けられている。これら軸部72は、夫々、後述する案内機構62によって前後方向(即ち、キャリア42に接近あるいは離間させる方向)に移動される案内部材74に、回動自在に支持されている。
【0023】特に図3に示すように、軸部72には、第3のプーリ94(図3には、右側の部分のみ示す)が取付けられている。この第3のプーリ94と並列して第3のサーボモータ96が案内部材74に設けられている。この第3のサーボモータ96の駆動軸98には、第4のプーリ100が設けられており、この第4のプーリ100と第3のプーリ94とは相互にベルト102で連結されている。従って、第3のサーボモータ96を所定の角度で正逆方向に駆動させると、その駆動力は、第4のプーリ100及びベルト102を介して第3のプーリ94に伝達され、軸部72を回動させる。この結果、支持部材70が回動され、吸着保持アーム58が、図4に矢印Bで示す方向に、所定の角度内で回動される。なお、案内部材74には、支持部材70の回動状態を監視する第2の回動方向センサ93が設けられている。
【0024】また、図7及び図8に示すように、支持部材70の両端であって、軸部72の反対側の面には、夫々、円柱状凸部104が突設されており、この凸部104には、ねじりバネ106が巻き付けられている。このねじりバネ106の一端は、支持部材70に設けられた第1の当接部108に当接され、他端は、後述する案内部材74に設けられた第2の当接部110に当接されている。このため、支持部材70は、常時、このねじりバネ106によって、上方に付勢された状態に維持されている。この結果、支持部材70に回動軸68を介して支持された吸着保持アーム58は、常時、水平に維持される。また、このようにねじりバネ106によって、付勢されているため、例えば、吸着保持アーム58を図4に矢印Bで示す方向のうち、上方に回動させる出力も、低出力で足りる。この結果、駆動時に第3のサーボモータ96にかかる負荷が軽減されると共に起動出力も弱く設定することができる。即ち、小型のモータで足りることになり、結果的に装置のコンパクト化につながる。
【0025】また、図3、図7及び図8に示すように、案内部材74を、検査装置本体34の前後方向に移動させる案内機構62は、吸着保持アーム58の両側に、夫々、検査装置本体34の前方から後方(即ち、操作部128からキャリア42方向)に向かって互いに平行に配置されたガイド112と、これらガイド112の下方に、夫々、ガイド112と平行に配置された搬送用ベルト114と、これら搬送用ベルト114を駆動させる第4のサーボモータ116と、を備えている。なお、これら搬送用ベルト114は、検査装置本体34の前方に設けられた一対の第5のプーリ113と、後方に設けられた一対の第6のプーリ115に、夫々、掛け渡されている。
【0026】ガイド112は、夫々、案内部材74に形成されたガイド孔(図示しない)に挿通されている。また、搬送用ベルト114は、その外周面が案内部材74の下端面に接触するように配置されており、この接触部分で、搬送用ベルト114の内側から案内部材74の下端面にねじこまれたボルト118(図8参照)によって互いに締結されている。また、第4のサーボモータ116の両側から延出された駆動軸120の先端に、夫々、取付けられた第7のプーリ122は、一対の第5のプーリ113にベルト(図示しない)を介して連結されている。この結果、第4のサーボモータ116を所定の角度で正逆方向に駆動させると、その駆動力は、第7のプーリ122及びベルト(図示しない)を介して第5のプーリ113に伝達され、搬送用ベルト114を正逆方向に移動させる。この結果、案内部材74は、搬送用ベルト114の移動方向に対応して、検査装置本体34の前後方向(即ち、キャリア42に接近又は離間する方向)に移動される。従って、吸着保持アーム58のキャリア42への挿脱が可能となる。次に、本実施例の基板外観検査装置32の動作について、図1ないし図8を参照して説明する。
【0027】まず、第1のサーボモータ54が正方向に駆動して、検査対象たる基板36の下面が吸着保持アーム58の上面より若干高い位置にセットされるように、キャリア42を所定量下降させる。キャリア42がセットされたとき、第1のサーボモータ54は停止する。このとき、キャリア42の両側に夫々一対配置された第1の位置合せ部材130(図1参照)が延出され、セットされた基板36の両縁部を互いに押圧する。この結果、例えば、キャリア42の下降中にずれてしまった基板36の位置が整えられる。次に、第4のサーボモータ116が正方向に駆動して、搬送用ベルト114を介して案内部材74をキャリア42方向に移動させる。吸着保持アーム58が規定された量だけキャリア42内に挿入されたとき、第4のサーボモータ116は停止する。次に、第1のサーボモータ54が正方向に駆動して、吸着保持アーム58の上面が目的の基板36の裏面に接触するまで、キャリア42を下降させる。吸着保持アーム58の上面が基板36の裏面に接触したとき、第1のサーボモータ54は停止する。このとき、図示しない吸引ポンプが作動して、基板36の裏面を吸着機構64に吸着させる。吸引ポンプを作動させた状態で、第4のサーボモータ116が逆方向に駆動して、案内部材74がキャリア42から離間する方向に、搬送用ベルト114を移動させる。案内部材74の移動に伴って、支持部材70が移動し、基板36を吸着保持した吸着保持アーム58がキャリア42から引き抜かれる。基板36がキャリア42から離間したとき、第4のサーボモータ116は停止する。このとき、第3のサーボモータ96が正方向に規定された量だけ駆動して、支持部材70を回動させる。この結果、吸着保持アーム58の先端側が持ち上げられ、基板36を傾斜させる。基板36が規定された量だけ傾斜されたとき、第3のサーボモータ96は停止する。このとき、検査装置本体34の上部に配置された一対の光源124から光(例えば、緑色光)が出射される。光源124から出射された光は、反射鏡126を介して基板36上に照射される。光を照射させた状態で、第2のサーボモータ78が正逆方向に規定された量だけ駆動して、回動軸68を正逆方向に回動させる。この結果、吸着保持アーム58に吸着保持された基板36が、図4及び図6の矢印Aで示す方向に回動される。回動する基板36の上面から反射される反射光のうち、損傷部分から反射される反射光は、他の反射光とその光学的特性が異なる。また、傷のある場合は、傷が光を乱反射させ、その所在を知らす。この結果、操作部128側に立脚した観察者は、反射光の変化によって損傷部分を確認することができる。外観検査が終了したとき、第2のサーボモータ78は停止する。次に、第3のサーボモータ96が逆方向に駆動し、支持部材70を回動させる。この結果、吸着保持アーム58は、水平状態に戻される。吸着保持アーム58が水平状態になったとき、第3のサーボモータは停止する。このとき、第2の位置合せ部材133(図1参照)が延出され、吸着保持アーム58に吸着保持された基板36の両縁部を互いに押圧する。この結果、例えば、外観検査中にその位置がずれてしまった基板36は、初期位置に整合される。次に、第4のサーボモータ116が正方向に駆動して、搬送用ベルト114を介して案内部材74をキャリア42方向に移動させる。基板36がキャリア42内に完全に挿入されたとき、第4のサーボモータ116は停止すると同時に吸引ポンプが停止する。このとき、第1のサーボモータ54が逆方向に若干駆動して、昇降力伝達ロッド50を介して保持台44を若干上昇させる。この結果、吸着保持アーム58の上面が基板36の下面から離間される。従って、検査済みの基盤36がキャリア42内に収納される。次に、第4のサーボモータ116が逆方向に駆動して、搬送用ベルト114を介して案内部材74を操作部128(図1参照)方向に移動させる。この案内部材74の移動に伴って、吸着保持アーム58がキャリア42から引き抜かれる。このとき、第1のサーボモータ54が正方向に駆動して、次の検査対象たる基板36の下面が吸着保持アーム58の上面より若干高い位置にセットされるように、キャリア42を所定量下降させる。このような工程を順次繰り返すことによって、キャリア42に収納された基板36の外観検査が行われる。
【0028】このような本実施例の基板外観検査装置は、従来の装置のように、基板の外観検査装置を別体とせずに、基板をキャリアから取り出すための装置と基板を回動させて外観を検査するための装置とが一体化されて構成されている。この結果、装置の構成が簡単且つコンパクトになり、低価格で装置を提供することができる。また、基板を検査装置に移し換える工程がなくなったため、外観検査に要する時間も短縮できると共に、基板に外傷が与えられることもない。
【0029】なお、本発明は、上述した一実施例に限定されない。例えば、回動機構60は、図9に示すように構成させることもできる。この変形例に係る回動機構は、第1の回動部材135と第2の回動部材137とを備えており、夫々の回動軸が互いに直交して構成されている。具体的には、第1の回動部材135と第2の回動部材137との間には、第1の保持部材139が介装されている。第1の回動部材135は、この第1の保持部材139に対して矢印X方向に回動される。また、第1の保持部材139と第2の回動部材137とは互いに締結されており、この第2の回動部材137は、その下面に配置された第2の保持部材141に対して矢印Y方向に回動される。
【0030】また、他の変形例に係る回動機構は、図10に示すように、基板(図示しない)を吸着保持可能で且つ矢印Eのいずれかの方向に回転自在な吸着保持部143と、この吸着保持部143を回転自在に支持し且つ矢印F方向に回動自在な第1の支持部材145と、この第1の支持部材145を回動自在に支持し且つ矢印G方向に回動自在な第2の支持部材147と、を備えている。なお、吸着保持部143の表面には、3つの吸着機構が設けられており、吸引手段(図示しない)の吸引力によって、吸着保持部143上に基板は確実に吸着保持される。このような回動機構によれば、吸着保持された基板は、回転されつつ互いに直交する方向に回動される。
【0031】
【発明の効果】本発明の基板外観検査装置は、従来の装置のように、基板の外観検査装置を別体とせずに、基板をから取り出すための装置と基板を回動させて外観を検査するための装置とが一体化されて構成されている。この結果、装置の構成が簡単且つコンパクトになり、低価格で装置を提供することができる。また、基板を検査装置に移し換える工程がなくなったため、外観検査に要する時間も短縮できると共に、基板に外傷が与えられることもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る基板外観検査装置の全体を示す斜視図。
【図2】図1に示す基板外観検査装置の背面図。
【図3】図1に示す基板外観検査装置の平面図。
【図4】図1に示す基板外観検査装置の側面図。
【図5】図1に示す基板外観検査装置の構成である吸着保持アームに接続固定された回動軸の部分の拡大断面図。
【図6】図1に示す基板外観検査装置の上側の部分の正面図。
【図7】図1に示す基板外観検査装置の構成である支持部材の両側に一体的に突出された軸部のうち、一方の軸部が案内部材に回動自在に支持されている状態を示す部分拡大断面図。
【図8】図7に示された軸部の部分を示す図であって、案内部材が搬送用ベルトに締結されている状態を示す側面図。
【図9】本発明の基板外観検査装置の構成である回動機構の変形例を示す斜視図。
【図10】本発明の基板外観検査装置の構成である回動機構の他の変形例を示す斜視図。
【図11】従来の基板外観検査装置の構成のうち主要な構成のみを模式的に示す図。
【図12】図11に示された構成のうち、目視検査装置の構成を示す断面図。
【符号の説明】
36…基板、40…検査装置、42…キャリア、58…吸着保持アーム、60…回動機構、62…案内機構。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 基板を回動させて、前記基板の外観を検査する検査装置を有する基板外観検査装置であって、前記検査装置は、収納部に収納された基板を保持可能な保持手段と、この保持手段を回動可能に支持する回動機構と、この回動機構を前記収納部に接近あるいは離間する方向に移動可能に支持して、前記保持手段を前記収納部に対して挿入あるいは離脱させる案内機構と、を備えていることを特徴とする基板外観検査装置。
【請求項2】 前記回動機構は、この回動機構の移動方向に沿って延出され、前記保持手段を回動可能に支持する回動軸と、この回動軸に対して直交する方向に延出された軸部を中心に回動可能で、且つ、前記回動軸を回動自在に支持する支持部材と、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の基板外観検査装置。
【請求項1】 基板を回動させて、前記基板の外観を検査する検査装置を有する基板外観検査装置であって、前記検査装置は、収納部に収納された基板を保持可能な保持手段と、この保持手段を回動可能に支持する回動機構と、この回動機構を前記収納部に接近あるいは離間する方向に移動可能に支持して、前記保持手段を前記収納部に対して挿入あるいは離脱させる案内機構と、を備えていることを特徴とする基板外観検査装置。
【請求項2】 前記回動機構は、この回動機構の移動方向に沿って延出され、前記保持手段を回動可能に支持する回動軸と、この回動軸に対して直交する方向に延出された軸部を中心に回動可能で、且つ、前記回動軸を回動自在に支持する支持部材と、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の基板外観検査装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図6】
【図9】
【図5】
【図7】
【図10】
【図8】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図6】
【図9】
【図5】
【図7】
【図10】
【図8】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開平5−109849
【公開日】平成5年(1993)4月30日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−266307
【出願日】平成3年(1991)10月15日
【出願人】(000000376)オリンパス光学工業株式会社 (11,466)
【公開日】平成5年(1993)4月30日
【国際特許分類】
【出願日】平成3年(1991)10月15日
【出願人】(000000376)オリンパス光学工業株式会社 (11,466)
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