説明

境界層制御装置

【課題】移動体のボデー表面において、気流の主流が減速することを抑制する。
【解決手段】境界層制御装置1は、移動体のボデー2の下面3aにおける気流の境界層と気流の主流とを分離する境界層分離部11と、境界層分離部11により分離された境界層と主流との間に、境界層と主流とは状態が異なる流体を噴出する噴出部12と、を備え、境界層および主流とは状態が異なる流体によって境界層と主流とを確実に分離し、境界層によって減速される主流の割合を低減することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、境界層制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
負の揚力(ダウンフォース)を増大させることにより車体の安定性を高める技術がある。この負の揚力は、車体の下を流れる空気の速度を増加させることによって増加することが知られている。しかし、車体の表面近傍に形成される境界層と呼ばれる速度の小さい層によって車体の下を流れる空気の速度が減少し、負の揚力が減少する。そこで、下記の特許文献1に記載の境界層吸引システムでは、フロア表面付近の境界層を吸引することにより負の揚力を確保している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2009−504472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された境界層吸引システムでは、車体の表面において気流の境界層と気流の主流とを確実に分離することができないため、境界層と主流とが再付着することがある。境界層と主流とが再付着すると、主流が境界層によって減速されて負の揚力が減少し、車体の安定性が損なわれるおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、移動体のボデー表面において、気流の主流が減速することを抑制できる境界層制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る境界層制御装置は、移動体のボデーの表面における気流の境界層と気流の主流とを分離する境界層分離部と、境界層分離部により分離された境界層と主流との間に、境界層と主流とは状態が異なる流体を噴出する噴出部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
この境界層制御装置においては、移動体のボデーの表面における気流の境界層と主流との間に、境界層と主流とは状態が異なる流体による層を形成することにより、境界層と主流との再付着(合流、混合ともいう。)を抑制できる。その結果、移動体のボデーの表面において、主流の減速を抑制でき、気流による抵抗を低減することが可能となる。例えば車両の下面の表面において、ダウンフォースの減少を抑制することが可能となる。
【0008】
また、噴出部は、ボデーの表面における気流の境界層と主流との間に、境界層および主流とは、流体速度、流体圧力および流体温度のうち少なくともいずれかが異なる流体を噴出することが好ましい。この場合、ボデーの表面における気流の境界層および主流と流体速度、流体圧力および流体温度のうち少なくともいずれかが異なる流体によって、ボデーの表面における気流の境界層と主流とを分離することができ、境界層と主流との再付着を抑制できる。
【0009】
また、境界層分離部の後方に設けられ、境界層に含まれる流体を吸引する吸引部をさらに備えてもよく、噴出部は、吸引部によって吸引された流体を境界層と主流との間に噴出することが好ましい。この場合、ボデーの表面における気流の境界層に含まれる流体を循環させることができ、吸引された流体の排気を行う必要性がなくなる。
【0010】
また、境界層の状態に基づいて、吸引部によって吸引された流体の状態を制御して噴出部に供給する制御部をさらに備えてもよい。また、制御部は、境界層の状態に基づいて、吸引部によって吸引された流体を圧縮することが好ましい。また、制御部は、境界層の状態に基づいて、吸引部によって吸引された流体を加熱することが好ましい。また、制御部は、ボデーの表面における気流の境界層の状態に基づいて、噴出部に流体の噴出方向を変更させることが好ましい。この場合、ボデーの表面における気流の境界層の状態に応じて流体の状態を制御することにより、ボデーの表面における気流の境界層と主流との再付着をさらに抑制できる。
【0011】
また、境界層分離部は、ボデーの表面に対して一定の距離を隔てて平行に設けられた板材であることが好ましい。この場合、ボデーの表面に設けられた板材によって、ボデーの表面における気流の境界層と主流とを機械的に分離することができる。
【0012】
また、噴出部は、境界層分離部の後端に設けられていることが好ましい。境界層分離部によってボデーの表面における気流の境界層と主流とが分離されるので、噴出部が境界層分離部の後端部に設けられることにより、ボデーの表面における気流の境界層と主流との間に流体を確実に噴出することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、移動体のボデー表面において、気流の主流が減速することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態に係る境界層制御装置の概略構成図である。
【図2】図1のボデー下の気流を説明するための図である。
【図3】比較例のボデー下の気流を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明に係る境界層制御装置の実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係る境界層制御装置の概略構成図である。境界層制御装置は、移動体に搭載される装置であって、移動体が移動することにより移動体の周囲に発生する気流を、一様な流体速度を有する主流と、移動体の表面付近に形成され、主流よりも流体速度の小さい境界層とに分離するための装置である。図1に示されるように、境界層制御装置1は、例えば車両のボデー2の下面3a(表面)に対して設けられ、境界層分離部11と、噴出部12とを備える。なお、以下の説明において、境界層制御装置1の上下、前後、左右とは、ボデー2側を上、路面R側を下、進行方向FW側を前、進行方向FWと逆側を後としたときの方位を意味するものとする。
【0017】
境界層分離部11は、移動体の周囲に発生する気流を境界層と主流とに分離するための構造を有している。具体的に説明すると、境界層分離部11は、例えば、下面3aに対して平行に配置された境界層分離板11aと、境界層分離板11aを下面3aに取り付けるための一対の支持部材11b,11bとを備えている。境界層分離板11aは、例えば、下面3aの左右方向に延びる中空の板材であって、下面3aにおける気流の境界層と主流(以下、単に「境界層」、「主流」ともいう。)との境界付近に位置するよう下面3aから所定の距離を隔てて設けられている。支持部材11b,11bは、管状の部材であって、境界層分離板11aの左右方向の両端部と下面3aとを接続している。ここで、下面3aに対して平行とは、境界層分離板11aが境界層と主流とを機械的に分離でき、かつ、移動体の周囲に発生する気流による抵抗をほとんど受けない程度に略平行であることを含む。
【0018】
噴出部12は、境界層分離部11によって分離された境界層と主流との間に、境界層と主流とは状態が異なる流体を噴出する。噴出部12から噴出される流体は、例えば、流体速度、流体温度、噴出時の流体圧力のうちの少なくともいずれかが境界層および主流とは異なる。また、噴出部12は、例えば、境界層分離板11aの後端に設けられる。この場合、噴出部12は、境界層分離板11aの後端に左右方向に沿って設けられた複数のスリット12aを有し、これらの複数のスリット12aから流体を噴出する。この噴出部12によって噴出される流体は、境界層および主流とは異なる状態を有するため、この流体によって境界層と主流との間に流体層が形成される。
【0019】
噴出部12から噴出される流体は、移動体の周囲に発生する気流の境界層および主流よりも高いエネルギーを有するのが好ましい。このように、境界層および主流よりも高いエネルギーを有する流体が境界層および主流との間に噴出されることにより、高いエネルギーを有する流体層が形成される。そして、この流体層がエアーカーテンとして機能することにより、境界層と主流とが再付着するのを抑制する。ここで、エネルギーは、運動エネルギー(速度)の他、温度又は圧力などによる内部エネルギーであってもよい。このような内部エネルギーは、いずれ運動エネルギーに変換されるので、境界層および主流の内部エネルギーよりも高い内部エネルギーを有する流体は、境界層および主流の運動エネルギーよりも高い運動エネルギーを有する流体と同様に機能する。
【0020】
境界層制御装置1は、さらに吸引部13と、流路部14と、制御部15とを備えてもよい。
【0021】
吸引部13は、境界層分離部11の後方において下面3aに設けられ、境界層に含まれる流体を吸引する。この吸引部13は、前後方向において、噴出部12によって噴出された流体が境界層および主流などによってその状態を変化させられ、境界層と主流との再付着の抑制力が低下し始める位置に設けられるのが好ましい。また、吸引部13は、下面3aの左右方向に延在し、複数の吸引孔13aが設けられている。吸引部13は、これらの複数の吸引孔13aを介して下面3a付近の流体をボデー2の内部に吸引する。流路部14は、吸引部13によって吸引された流体を制御部15に導出する経路であって、例えばダクトにより構成される。
【0022】
制御部15は、境界層の状態に基づいて、流路部14によって導出された流体の状態を制御する。制御部15は、例えば、送風圧縮機および加熱器などを有する。そして、制御部15は、下面3a付近の境界層の状態に応じて、例えば、流路部14によって導出された流体を送風圧縮機によって圧縮して、下面3a付近の境界層および主流の流体圧力よりも高い圧力とする。また、制御部15は、下面3a付近の境界層の状態に応じて、例えば、流路部14によって導出された流体を加熱器によって加熱して、下面3a付近の境界層および主流の流体温度よりも高い温度とする。
【0023】
そして、制御部15は、制御された流体を下面3aに設けられた一対の支持部材11b,11bを介して境界層分離板11aに供給し、境界層分離板11aの後端に設けられた噴出部12によって噴出させる。なお、下面3a付近の境界層および主流の流体速度、流体温度、流体圧力などの各種状態は、不図示のセンサなどによって検知・検出され、又は、移動体の移動速度等に基づいて推測される。
【0024】
このように構成された境界層制御装置1では、車両が進行方向FWに移動することにより、主流と境界層とが連続的に繋がった状態の気流が前方から境界層分離部11に流入する。そして、境界層分離部11によって主流と境界層とに機械的に分離され、分離された主流と境界層とがそれぞれ境界層分離部11の後方に流出される。次に、分離された境界層と主流との間に、境界層分離部11の後端に設けられた噴出部12により、境界層と主流とは状態が異なる流体が噴出される。
【0025】
また、分離された境界層に含まれる流体が下面3aの後方に設けられた吸引部13によって吸引され、流路部14を介して制御部15に導出される。続いて、制御部15に導出された流体は、制御部15において加圧、加熱などの制御がなされて、一対の支持部材11b,11bを介して境界層分離板11aに供給される。そして、境界層分離板11aに供給された流体は、噴出部12のスリット12aから噴出される。以上のように、境界層制御装置1では、境界層に含まれる流体が循環利用されている。
【0026】
次に、図2および図3を参照して、境界層制御装置1の作用効果を説明する。図2は、境界層制御装置1を搭載した車両のボデー2の下面3aの下の気流を説明するための図である。図3は、境界層制御装置1を搭載していない車両のボデー下面の下の気流を説明するための図である。図2および図3において、横軸は、下面の前端の位置を0として、車両の前後方向の位置を示している。また、縦軸は、下面の高さを0として、下面からの上下方向の距離を示している。
【0027】
図3に示されるように、従来の車両では、その下面の下の気流は、下面近傍に形成された境界層と、下面から一定の距離以上離れた位置に形成された主流とが連続的に繋がってなる。この境界層は、粘性により車両に引きずられて速度が小さく、下面から離れるに従って粘性の影響が小さくなるため速度が大きくなる。一方、主流は、粘性の影響をほとんど受けないため、速度が車速と略同じである。しかし、従来の車両では、境界層と主流とが確実に分離されていないため、主流は後方ほど境界層に付着しやすくなり、主流は境界層によって減速されてしまう。このように、主流が境界層によって減速されると、負の揚力が減少し、車体の安定性が損なわれるおそれがある。
【0028】
また、従来の車両では、主流と境界層とは連続的に繋がっているため、境界層を吸引するだけでは境界層と主流とが確実に分離されず、主流は粘性による影響を受ける。さらに、気流には再付着する性質があり、主流はボデー(下面)へ再付着する。このため、境界層を十分に吸引するためには、広い面積又は長い距離の吸引部が必要となる。
【0029】
一方、図2に示されるように、境界層制御装置1を搭載した車両では、ボデー2の下面3aの下の気流は、下面3aの前端から位置P1までは、従来の車両と同様に、下面3a近傍に形成された境界層と、下面3aから一定の距離以上離れた位置に形成された主流とが連続的に繋がっている。しかし、境界層制御装置1では、前後方向の位置P1から位置P2に亘って、上下方向の下面3aから距離D1隔てた位置に境界層分離部11が設けられている。このため、下面3aの下の気流は、この境界層分離部11によって、下面3a側の境界層と、路面R側の主流とに機械的に分離される。
【0030】
そして、前後方向の位置P2において、境界層分離部11により分離された境界層と主流との間に、境界層と主流とは状態が異なる流体が噴出部12によって噴出される。この噴出された流体によって、位置P2から後方に流体層が形成され、この流体層がエアーカーテンとして機能する。すなわち、境界層および主流とは状態の異なる流体が境界層と主流との間に噴出されることによって、境界層と主流との再付着を抑制できる。その結果、下面3aにおいて、主流の減速を抑制でき、主流の速度は、下面3aの後端まで車速と略同じ速度を維持される。
【0031】
さらに、境界層制御装置1は、前後方向の位置P3から位置P4に亘って、左右方向に延びる吸引部13を備える。位置P3は、噴出部12によって噴出された流体が境界層および主流などによってその状態を変化させられ、境界層と主流との再付着の抑制力が低下し始める位置である。この吸引部13によって、位置P3より後方の境界層に含まれる流体が吸引される。このため、位置P3より後方において、境界層によって主流が減速されることを抑制できる。すなわち、境界層制御装置1は、まず境界層分離部11によって境界層と主流とを機械的に分離し、その後方において、噴出された流体のエアーカーテンにより境界層と主流との分離を維持し、さらにその後方において、吸引部13によって境界層を吸引することにより、主流が境界層に付着して減速されるのを抑制している。
【0032】
このように、境界層制御装置1は、下面3aの前端から後端までの広い範囲にわたり、主流と境界層とを分離し、境界層に引きずられ減速される主流の割合を低減している。その結果、下面3aの下において、負の揚力の減少を抑制でき、車体の安定性の向上が可能となる。例えば、路面Rの凹凸による車両の振動および急操舵時のロールなどが低減される。
【0033】
また、従来の車両では、下面の下の気流は、ベンチュリ効果で減圧されている。したがって、境界層に含まれる流体を吸引するには、その流体圧力よりもさらに減圧する必要があるため、大きな駆動力を必要とする。これに対し、境界層制御装置1が搭載された車両では、速度の大きい主流から分離された境界層は、その流速がさらに低下するので、境界層の圧力が回復する(負圧が弱められる)。このため、境界層に含まれる流体を吸引するのに必要な駆動力を低減できる。
【0034】
また、境界層制御装置1では、吸引部13によって吸引した流体を、噴出部12によって噴出される流体として使用することにより、吸引部13によって吸引した流体を排気するための配管が不要となる。
【0035】
また、境界層制御装置1は、制御部15によって噴出部12から噴出される流体の状態を制御することができる。例えば、制御部15は、境界層および主流の流速よりも高い速度の流体を噴出部12から噴出させてもよい。この場合、境界層および主流の流速よりも高速の流体によって境界層と主流との間に流体層が形成される。この流体層によって、境界層および主流が再付着しようとする流れを分断することができ、境界層と主流とを分離することができる。
【0036】
また、制御部15は、送風圧縮機151によって流体を圧縮して、境界層および主流よりも高圧の流体を噴出部12に供給してもよい。この場合、流体を圧縮することにより、流体の流速を高めることができる。そして、境界層および主流の流速よりも高速かつ高圧の流体によって境界層と主流との間に流体層が形成される。この流体層は、境界層および主流よりも高圧であるから、流体層から境界層および主流に向かう方向に流れが生じる。このため、境界層と主流とを分離することができる。
【0037】
また、制御部15は、加熱器152によって流体を加熱して、境界層および主流よりも高温の流体を噴出部12に供給してもよい。一般に、高温の流体は上に層を形成し、低温の流体は下に層を形成する。したがって、加熱などにより暖められた流体は下面3a付近に層を形成し、主流は路面R側に層を形成する。このため、高温の流体による流体層によって、境界層又は下面3aと主流とを分離することができる。さらに、暖められた流体は、下面3a付近に集まるため、吸引部13によって吸引され、再利用される。この場合、既に加熱された流体を加熱器152によって再度加熱することになるので、常温の流体を加熱する場合と比較して、境界層および主流の流体温度より高温の流体を得るのに要する電力を低減できる。
【0038】
なお、本発明に係る境界層制御装置は本実施形態に記載したものに限定されない。例えば、境界層制御装置1は、車両に限らず、飛行機などの種々の移動体に搭載することができる。また、境界層制御装置1は、移動体のボデーの下面に限らず、移動体のボデーの表面に設けることができる。移動体のボデー表面における気流の境界層では、粘性によるせん断力が移動体に対する気流の抵抗の原因となり、移動体が減速される。このため、移動体のボデー表面において、気流を境界層と主流とに分離することにより、主流の減速を抑制でき、気流による抵抗を低減することが可能となる。その結果、燃費等を改善できる。
【0039】
また、噴出部12は、境界層分離部11によって分離された主流と下面3aとの間に状態の異なる気流を噴出してもよい。あるいは、噴出部12は、境界層分離部11によって分離された主流と境界層制御装置1が搭載されたボデーとの間に状態の異なる気流を噴出してもよい。この場合、境界層分離部11によって分離された主流が、ボデー(下面)に再付着することを抑制でき、ボデーに引きずられて減速される主流の割合を低減できる。
【0040】
また、制御部15は、境界層の状態に応じて、噴出部12に流体の噴出方向を変更させるように制御してもよい。具体的には、制御部15は、移動体の移動速度が低い場合には、ボデー2側(境界層)に流体を噴出させるように噴出部12を制御し、移動速度が高くなるに従い、ボデー2の表面に対して徐々に平行に流体を噴出させるように噴出部12を制御してもよい。例えば、噴出部12を樹脂製とし、噴出部12を弾性変形させることによって、流体の噴出方向を制御してもよい。このようにすることで、移動体の移動速度が低い場合には、噴出される流体の速度が十分大きいので、直接境界層に噴出することにより、境界層の速度を上げることができる。一方、移動体の移動速度が高い場合には、移動体のボデーの表面に対して平行に流体を噴出することにより、気流を境界層と主流とに分離することができる。また、制御部15は、例えば加圧、加熱、噴出方向の変更などの流体の制御をいずれか一つだけ行ってもよく、複数の制御を組み合わせて行ってもよい。
【符号の説明】
【0041】
1…境界層制御装置、2…ボデー、3a…下面(表面)、11…境界層分離部、11a…境界層分離板、12…噴出部、13…吸引部、15…制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体のボデーの表面における気流の境界層と前記気流の主流とを分離する境界層分離部と、
前記境界層分離部により分離された前記境界層と前記主流との間に、前記境界層および前記主流とは状態が異なる流体を噴出する噴出部と、
を備える境界層制御装置。
【請求項2】
前記噴出部は、前記境界層と前記主流との間に、前記境界層および前記主流とは、流体速度、流体圧力および流体温度のうち少なくともいずれかが異なる流体を噴出する、
請求項1に記載の境界層制御装置。
【請求項3】
前記境界層分離部の後方に設けられ、前記境界層に含まれる流体を吸引する吸引部をさらに備え、
前記噴出部は、前記吸引部によって吸引された前記流体を前記境界層と前記主流との間に噴出する、
請求項1又は請求項2に記載の境界層制御装置。
【請求項4】
前記境界層の状態に基づいて、前記吸引部によって吸引された前記流体の状態を制御して前記噴出部に供給する制御部をさらに備える、
請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の境界層制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記境界層の状態に基づいて、前記吸引部によって吸引された前記流体を圧縮する、
請求項4に記載の境界層制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記境界層の状態に基づいて、前記吸引部によって吸引された前記流体を加熱する、
請求項4又は請求項5に記載の境界層制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記境界層の状態に基づいて、前記噴出部に流体の噴出方向を変更させる、
請求項4〜請求項6のいずれか一項に記載の境界層制御装置。
【請求項8】
前記境界層分離部は、前記ボデーの表面に対して一定の距離を隔てて平行に設けられた板材である、
請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の境界層制御装置。
【請求項9】
前記噴出部は、前記境界層分離部の後端に設けられている、
請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の境界層制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−86548(P2013−86548A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−226017(P2011−226017)
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)