説明

増粘安定剤加工品の製造方法

【課題】水分散性が改善された増粘安定剤加工品の製造方法を提供する。
【解決手段】メディアン径が約100〜1500μmの増粘安定剤と常温で液状の乳化剤または乳化剤含有油脂組成物とを混合することを特徴とする増粘安定剤加工品の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、増粘安定剤加工品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
増粘安定剤は食品、医薬品、化粧品等の増粘、乳化安定剤、離水防止、物性改良等の目的で広く使用されている。けれども市販されている増粘安定剤は一般に粉末状であり、水に添加して用いる際、ダマとなって容易に分散、溶解しないという問題点がある。
【0003】
この問題を解決する方法として例えば、キサンタンガムを界面活性剤で処理することを特徴とする易溶性キサンタンガムの製造法(特許文献1参照)、乳化剤と食用アルコールと油脂とからなる乳化液を粉末増粘材料と混合して粉末増粘材料を乳化剤と油脂とで被覆することを特徴とする粉末増粘材料の加工方法(特許文献2参照)が開示されている。
しかし、上記方法では十分な水分散性が得られず、さらに優れた解決方法が望まれていた。
【特許文献1】特開昭63−230703号公報
【特許文献2】特開平10−327777号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、水分散性が改善された増粘安定剤加工品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、メディアン径が約100μm以上に調整された増粘安定剤と常温で液状の乳化剤を混合することにより、増粘安定剤の水分散性が飛躍的に向上することを見いだした。本発明者らは、この知見に基づきさらに研究を重ね、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、メディアン径が約100〜1500μmの増粘安定剤と常温で液状の乳化剤または乳化剤含有油脂組成物とを混合することを特徴とする増粘安定剤加工品の製造方法、からなっている。
【発明の効果】
【0006】
本発明の製造方法により、水への分散性が極めて顕著に改善された増粘安定剤加工品が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明で用いられる増粘安定剤としては、例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、カシアガム、カードラン、カラギナン、カラヤガム、キサンタンガム、グァーガム、サイリウムシードガム、ジェランガム、タマリンドガム、タラガム、プルラン、ペクチン、ローカストビーンガム等が挙げられる。本発明においては、これらの増粘安定剤を一種類で用いても良いし、二種類以上を任意に組み合わせて用いても良い。
【0008】
本発明で用いられる増粘安定剤の粒子径は、メディアン径約100〜1500μmのものが好ましい。メディアン径が約1500μmより大きいと分散性はよいが顆粒状の粒子が水に膨潤しにくく粒状のものが残りやすく、また、約100μmより小さいと水への分散性が悪くなり好ましくない。増粘安定剤のメディアン径は、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて、乾燥粉体のまま測定する乾式法で測定されるのが好ましい。
【0009】
本発明で用いられる乳化剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルおよびレシチンなどが挙げられる。本発明においては、これらの乳化剤を一種類で用いても良いし、二種類以上を任意に組み合わせて用いても良い。
【0010】
上記グリセリン脂肪酸エステルには、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリン酢酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンクエン酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルおよびポリグリセリン縮合リシノール酸エステルなどが含まれる。
【0011】
上記レシチンとしては、油糧種子または動物原料から得られたもので、リン脂質を主成分とするものであれば特に制限はなく、例えば大豆レシチンおよび卵黄レシチンなど油分を含む液状レシチン、該液状レシチンから油分を除き乾燥した粉末レシチン、液状レシチンを分別精製した分別レシチン、並びにレシチンを酵素で処理した酵素分解レシチンおよび酵素処理レシチンなどが挙げられる。
【0012】
本発明において増粘安定剤に添加される乳化剤は、常温(約15〜25℃)で液状であることが望ましい。また、常温で半固体や固体の乳化剤は、常温で液状の乳化剤と混合し、好ましくは約40〜80℃に加熱し均一に溶解した後冷却し、常温で液状の混合乳化剤とすることにより用いることができる。
【0013】
本発明において増粘安定剤に添加される乳化剤含有油脂組成物もまた、常温(約15〜25℃)で液状であることが望ましい。該乳化剤含有油脂組成物は、乳化剤と食用油脂とを混合し、好ましくは約40〜80℃に加熱して均一に溶解し、その後常温付近まで冷却することにより製造される。食用油脂は、乳化剤が増粘安定剤粒子の表面により薄く均一に付着させる働きをし、その作用は乳化剤を乳化剤含有油脂組成物とした上で添加することにより、より有効となる。該油脂組成物100質量%中の乳化剤の含量は通常約0.1〜50質量%であり、好ましくは約2〜10質量%である。
【0014】
上記食用油脂としては、食用可能な油脂であれば特に制限はないが、例えばオリーブ油、ごま油、こめ油、サフラワー油、大豆油、とうもろこし油、なたね油、パーム油、パームオレイン、パーム核油、ひまわり油、ぶどう油、綿実油、やし油、落花生油などの植物油脂が好ましく、これら植物油脂のサラダ油が特に好ましい。本発明においては、これらの油脂を一種類で用いても良いし、二種類以上を任意に組み合わせて用いても良い。
【0015】
本発明の増粘安定剤加工品は、増粘安定剤と常温で液状の乳化剤とを、好ましくは増粘安定剤と常温で液状の乳化剤含有油脂組成物とを、混合することにより製造される。増粘安定剤100質量部に対する常温で液状の乳化剤、または乳化剤含有油脂組成物の添加量は、通常約0.1〜10質量部、好ましくは約0.2〜5質量部、特に好ましくは約0.5〜2質量部である。常温で液状の乳化剤、または乳化剤含有油脂組成物の添加量が多すぎると、得られる増粘安定剤加工品がべとつき流動性を失う恐れがある。また、常温で液状の乳化剤、または乳化剤含有油脂組成物の添加量が少なすぎると、増粘安定剤の水分散性が十分に改善されない。
【0016】
本発明の増粘安定剤加工品の製造方法に特に制限は無く、例えば、回転遥動式混合機や攪拌・混合羽根と造粒羽根を併せ持った攪拌型混合造粒機などを用いる方法が挙げられる。該回転遥動式混合機としては、例えばロッキングミキサー(愛知電機社製)などが挙げられる。また該攪拌型混合造粒機としては、例えばハイスピードミキサー(深江パウテック社製)、ハイフレックスグラル(深江パウテック社製)、グラニュレーター(奈良機械製作所社製)、バーチカル・グラニュレーター(パウレック社製)などが挙げられる。
【0017】
以下に本発明を実施例で説明するが、これは本発明を単に説明するだけのものであって、本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0018】
<実施例1>
[粒度の異なる増粘安定剤の作製]
1)タマリンドガム(商品名:グリロイド3S,メディアン径約85.3μm;大日本住友製薬社製)500gをハイフレックスグラル(型式:HF−GS−2J,内容量2L;深江パウテック社製)に仕込み、内温70℃、主軸回転数100rpm、副軸回転数100rpmの条件で攪拌しながら断続的に約5ml/minの流量で水を噴霧した。途中、適宜サンプリングし、抜き取ったサンプルのメディアン径を、レーザー回折式粒度分布測定装置(型式:マスターサイザー2000;シスメックス社製)を用いて乾式法で測定した。サンプルのメディアン径が設定値(約150μm)となった時点で製造を終了とし、内容物(造粒物)を取り出して室温まで冷却した。
2)造粒物を日本工業規格Z−8801−1の網ふるい(以下「JIS標準ふるい」と称す)で篩い、ふるい番号83(目開き180μm)通過、ふるい番号200(目開き75μm)不通過物を増粘安定剤顆粒(試作品1)とした。
3)メディアン径の設定値(約150μm)を約350μmに替えた以外は1)と同様に実施し、得られた造粒物をJIS標準ふるいで篩い、ふるい番号36(目開き425μm)通過、ふるい番号83(目開き180μm)不通過物を増粘安定剤顆粒(試作品2)とした。
4)メディアン径の設定値(約150μm)を約850μmに替えた以外は1)と同様に実施し、得られた造粒物をJIS標準ふるいで篩い、ふるい番号16(目開き1000μm)通過、ふるい番号36(目開き425μm)不通過物を増粘安定剤顆粒(試作品3)とした。
5)メディアン径の設定値(約150μm)を約1000μmに替えた以外は1)と同様に実施し、得られた造粒物をJIS標準ふるいで篩い、ふるい番号12(目開き1400μm)通過、ふるい番号16(目開き1000μm)不通過物を増粘安定剤顆粒(試作品4)とした。
6)メディアン径の設定値(約150μm)を約1000μmに替えた以外は1)と同様に実施し、得られた造粒物をJIS標準ふるいで篩い、ふるい番号10(目開き1700μm)通過、ふるい番号12(目開き1400μm)不通過物を増粘安定剤顆粒(試作品5)とした。
得られた増粘安定剤顆粒(試作品1〜5)のメディアン径を表1に示した。
【0019】
【表1】

【0020】
[増粘安定剤加工品の作製]
1)増粘安定剤顆粒(試作品1)300gと、常温で液状の乳化剤含有油脂組成物(商品名:エマテックS−550;理研ビタミン社製)3gとを、ハイフレックスグラル(型式:HF−GS−2J,内容量2L;深江パウテック社製)に仕込み、内温40℃、主軸回転数100rpm、副軸回転数100rpmの条件で10分間混合し、増粘安定剤加工品(試料1)を作製した。
2)増粘安定剤顆粒(試作品1)を増粘安定剤顆粒(試作品2)に替えた以外は1)と同様に実施し、増粘安定剤加工品(試料2)を作製した。
3)増粘安定剤顆粒(試作品1)を増粘安定剤顆粒(試作品3)に替えた以外は1)と同様に実施し、増粘安定剤加工品(試料3)を作製した。
4)増粘安定剤顆粒(試作品1)を増粘安定剤顆粒(試作品4)に替えた以外は1)と同様に実施し、増粘安定剤加工品(試料4)を作製した。
5)増粘安定剤顆粒(試作品1)をタマリンドガム(商品名:グリロイド3S,メディアン径85.3μm;大日本住友製薬社製)に替えた以外は1)と同様に実施し、増粘安定剤加工品(試料5)を作製した。
6)増粘安定剤顆粒(試作品1)を増粘安定剤顆粒(試作品5)に替えた以外は1)と同様に実施し、増粘安定剤加工品(試料6)を作製した。
7)増粘安定剤顆粒(試作品4)に常温で液状の乳化剤含有油脂組成物の添加、混合操作を行わずそのままのものを増粘安定剤加工品(試料7)とした。
8)タマリンドガム(商品名:グリロイド3S,メディアン径約85.3μm;大日本住友製薬社製)に常温で液状の乳化剤含有油脂組成物の添加、混合操作を行わずそのままのものを増粘安定剤加工品(試料8)とした。
【0021】
[増粘安定剤加工品の評価]
(1)装置
スリーワンモーター(型式:BL−600;HEIDON社製、)使用。
攪拌翼の形状:4枚羽根汎用攪拌翼プロペラR
攪拌翼径 :4.8cm
翼段数 :1
攪拌翼の位置:底から1.2cm
(2)方法
500ml容ガラス製ビーカーに水道水(水温:約20℃)350mlを入れ、スリーワンモーターをセットし、300rpmで攪拌しながら、その上に増粘安定剤加工品(試料1〜8)各3.5gを20秒かけて連続的に一定量ずつ投入し、全量投入時を起点として試料が均一に分散し、見かけ上粒が見えなくなるまでの時間を測定した。結果を表2に示した。
【0022】
【表2】

【0023】
実施例と比較例との比較から、メディアン径が約100〜1500μmの増粘安定剤と液状の乳化剤含有油脂組成物とを混合することにより、増粘安定剤の水分散性が改善されることが明らかである。
【0024】
<実施例2>
[混合乳化剤及び乳化剤含有油脂組成物の作製]
(1)原材料
1)なたね油(吉原製油社製)
2)グリセリン酢酸ラウリン酸エステル(商品名:ポエムG−002;理研ビタミン社製)
3)グリセリンオレイン酸エステル(商品名:エマルジーOL−100H;理研ビタミン社製)
4)ジグリセリンオレイン酸エステル(商品名:ポエムDO−100V;理研ビタミン社製)
5)ジアセチル酒石酸オレイン酸エステル(商品名:ポエムW−14;理研ビタミン社製)
6)レシチン(商品名:日清レシチンDX;日清オイリオ社製)
(2)混合乳化剤及び乳化剤含有油脂組成物の配合
上記原材料を用いて作製した混合乳化剤及び乳化剤含有油脂組成物(No1〜6)の配合組成を表3に示した。ここで、No1は混合乳化剤であり、No2〜6は乳化剤含有油脂組成物である。
【0025】
【表3】

【0026】
(3)混合乳化剤及び乳化剤含有油脂組成物の作製
表3に示した配合に基づいて各種乳化剤およびなたね油とを混合し、約70℃に加熱して溶解した後常温まで冷却し混合乳化剤(No1)及び乳化剤含有油脂組成物(No2〜6)を作製した。なお、各試料の一回の作製量は100gとした。
【0027】
[増粘安定剤加工品の作製]
1)実施例1の試作品2に準じて増粘安定剤顆粒(以下「タマリンドガム顆粒」と称す。メディアン径361.8μm)を2100g作製した。
2)タマリンドガム顆粒300gと表3に記載されている混合乳化剤(No1)3gとを、ハイフレックスグラル(型式:HF−GS−2J,内容量2L;深江パウテック社製)に仕込み、内温40℃、主軸回転数100rpm、副軸回転数100rpmの条件で10分間混合し、増粘安定剤加工品(試料9)を作製した。
3)混合乳化剤(No1)3gを表3に記載されている乳化剤含有油脂組成物(No2)3gに替えた以外は2)と同様に実施し、増粘安定剤加工品(試料10)を作製した。
4)混合乳化剤(No1)3gを表3に記載されている乳化剤含有油脂組成物(No3)3gに替えた以外は2)と同様に実施し、増粘安定剤加工品(試料11)を作製した。
5)混合乳化剤(No1)3gを表3に記載されている乳化剤含有油脂組成物(No4)3gに替えた以外は2)と同様に実施し、増粘安定剤加工品(試料12)を作製した。
6)混合乳化剤(No1)3gを表3に記載されている乳化剤含有油脂組成物(No5)3gに替えた以外は2)と同様に実施し、増粘安定剤加工品(試料13)を作製した。
7)混合乳化剤(No1)3gをなたね油3gに替えた以外は2)と同様に実施し、増粘安定剤加工品(試料14)を作製した。
8)混合乳化剤(No1)3gを表3に記載されている乳化剤含有油脂組成物(No6)3gに替えた以外は2)と同様に実施し、増粘安定剤加工品(試料15)を作製した。
【0028】
[増粘安定剤加工品の評価]
(1)装置
実施例1で記載した装置と同じ装置で評価を行った。
(2)方法
実施例1で記載した方法と同じ方法で評価を行った。
【0029】
【表4】

【0030】
増粘安定剤と常温で液体の混合乳化剤または常温で液体の乳化剤含有油脂組成物とを混合して得た増粘安定剤加工品(試料9〜13)は、速やかに水に分散した。一方なたね油のみを混合した増粘安定剤加工品(試料14)、または半固体状の乳化剤を混合して得た増粘安定剤加工品(試料15)は、水への分散性が悪く、実施例の増粘安定剤加工品に比べ明らかに劣っていた。
【0031】
<実施例3>
[増粘安定剤加工品の作製]
1)ペクチン(商品名:クラシックAF701;大日本住友製薬社製)500gをハイフレックスグラル(型式:HF−GS−2J,内容量2L;深江パウテック社製)に仕込み、内温70℃、主軸回転数100rpm、副軸回転数100rpmの条件で攪拌しながら断続的に約5ml/minの流量で約30分間、水を噴霧した。内容物(造粒物)を取り出して室温まで冷却した。
2)造粒物をJIS標準ふるいで篩い、ふるい番号26(目開き600μm)通過、ふるい番号83(目開き180μm)不通過物を増粘安定剤顆粒(試作品6,メディアン径約307μm)とした。
3)増粘安定剤顆粒(試作品6)300gと常温で液状の乳化剤含有油脂組成物(商品名:エマテックS−550;理研ビタミン社製)3gとを、ハイフレックスグラル(型式:HF−GS−2J,内容量2L;深江パウテック社製)に仕込み、内温40℃、主軸回転数100rpm、副軸回転数100rpmの条件で10分間混合し、増粘安定剤加工品(試料16)を作製した。
4)2)で得た試作品6に常温で液状の乳化剤含有油脂組成物の添加、混合操作を行わずそのままのものを試料17とした。
【0032】
<実施例4>
1)アルギン酸プロピレングリコールエステル(商品名:キミロイド MV;大日本住友製薬社製)333gと、精製カラギナン(商品名:GENUTINE type X−9303;三晶社製)167gをハイフレックスグラル(型式:HF−GS−2J,内容量2L;深江パウテック社製)に仕込み、内温70℃、主軸回転数100rpm、副軸回転数100rpmの条件で攪拌しながら断続的に約5ml/minの流量で約30分間、水を噴霧した。内容物(造粒物)を取り出して室温まで冷却した。
2)造粒物をJIS標準ふるいで篩い、ふるい番号26(目開き600μm)通過、ふるい番号83(目開き180μm)不通過物を増粘安定剤顆粒(試作品7,メディアン径318μm)とした。
3)増粘安定剤顆粒(試作品7)300gと常温で液状の乳化剤含有油脂組成物(商品名:エマテックS−550;理研ビタミン社製)3gとを、ハイフレックスグラル(型式:HF−GS−2J,内容量2L;深江パウテック社製)に仕込み、内温40℃、主軸回転数100rpm、副軸回転数100rpmの条件で10分間混合し、増粘安定剤加工品(試料18)を作製した。
4)2)で得た試作品7に常温で乳化剤含有油脂組成物の添加、混合操作を行わずそのままのものを試料19とした。
【0033】
<実施例5>
1)アルギン酸ナトリウム(商品名:ダックアルギンNSPM;紀文フードケミファ社製)500gをハイフレックスグラル(型式:HF−GS−2J,内容量2L;深江パウテック社製)に仕込み、内温70℃、主軸回転数100rpm、副軸回転数100rpmの条件で攪拌しながら断続的に約5ml/minの流量で約30分間、水を噴霧した。内容物(造粒物)を取り出して室温まで冷却した。
2)造粒物をJIS標準ふるいで篩い、ふるい番号26(目開き600μm)通過、ふるい番号83(目開き180μm)不通過物を増粘安定剤顆粒(試作品8,メディアン径272μm)とした。
3)増粘安定剤顆粒(試作品8)300gと常温で液状の乳化剤含有油脂組成物(商品名:エマテックS−550;理研ビタミン社製)3gとを、ハイフレックスグラル(型式:HF−GS−2J,内容量2L;深江パウテック社製)に仕込み、内温40℃、主軸回転数100rpm、副軸回転数100rpmの条件で10分間混合し、増粘安定剤加工品(試料20)を作製した。
4)2)で得た試作品8に常温で乳化剤含有油脂組成物の添加、混合操作を行わずそのままのものを試料21とした。
【0034】
[増粘安定剤加工品の評価]
(1)装置
実施例1で記載した装置と同じ装置で評価を行った。
(2)方法
実施例1で記載した方法と同じ方法で評価を行った。
【0035】
【表5】

【0036】
増粘安定剤と乳化剤含有油脂組成物とを混合して得た増粘安定剤加工品(試料16,18、20)は、速やかに水に分散した。一方乳化剤含有油脂組成物を混合していないもの(試料17、19、21)は、水への分散性が悪く、実施例の増粘安定剤加工品に比べ明らかに劣っていた。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明の製造方法によって得られた増粘安定剤加工品は、従来の増粘安定剤と同様に食品、医薬品、化粧品等の増粘、乳化安定剤、離水防止、物性改良等の目的で広く使用することができる。該増粘安定剤加工品は水溶液に容易に分散することより、通常増粘安定剤を水などに分散する際使用する特殊な装置が不要である。また、増粘安定剤の分散性向上を目的として併用する糖類やアルコールなどをも不要である。この様な特性を生かし該増粘安定剤加工品は、特に食品、例えば粘性や乳化安定の機能付与を目的として液体調味料、ドレッシング、スープ・シチュー、飲料、フラワーペースト、デザート類(ゼリー、プリン、ババロア等)などに好ましく使用することができる。また物性改良などを目的として米飯類、麺類、パン類、菓子類、アイスクリーム類などに好ましく使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メディアン径が約100〜1500μmの増粘安定剤と常温で液状の乳化剤または乳化剤含有油脂組成物とを混合することを特徴とする増粘安定剤加工品の製造方法。

【公開番号】特開2009−219453(P2009−219453A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−68703(P2008−68703)
【出願日】平成20年3月18日(2008.3.18)
【出願人】(390010674)理研ビタミン株式会社 (236)
【Fターム(参考)】