説明

増設窓

【課題】従来の結露防止装置では、窓枠部材の内側に囲繞状態の保持部材が配置された後、その保持部材にシート材を張設しているため、作業性が悪く、気密性を維持し難いという問題がある。
【解決手段】本発明の増設窓1は、既設窓7、8と室内との間の窓枠4内に設置され、利用される。増設窓1は、使用時には、蛇腹状体に配置された複数のパネルが、実質、一体となり使用される。そして、増設窓1と窓枠4とは、中空チューブ14により密接するため、中空チューブ14内に注入される空気量により、密接状態は簡易に調整される。この構造により、既設窓7、8と増設窓1間の空気層の気密状態は、簡易に実現され、既設窓7、8の防露性及び開口領域3での断熱性が実現される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既設窓が設置された窓枠内に配置される増設窓に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の既存の窓ガラスに対する結露防止構造の一実施例として、下記の構造が知られている。窓枠内に配置された既存の窓ガラスの内側(内気側)面には、両面粘着テープを介して結露防止パネル部材が取り付けられている。結露防止パネル部材は、透明性、耐候性、耐熱性に優れたポリカーボネート材から成る板状体である。そして、結露防止パネルの相対向するパネル面部の間が、仕切部を介して一定方向に等間隔に区切られ、結露防止パネルは、複数の中空部を有している。この構造により、外気は、既存の窓ガラスと結露防止パネルとの空気層及び結露防止パネルの中空部内の空気層による二重空気層により室内に入ることを遮断される。そして、外気と内気の温度差から既存の窓ガラスに結露が発生することを防止している(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
従来の既存の窓ガラスに対する結露防止装置の一実施例として、下記の装置が知られている。建物の壁面に四角枠状の窓枠部材が施工され、窓枠部材の内側には、アルミサッシ枠、一対の窓ガラスが取り付けられている。そして、窓枠部材の内側面には、囲繞状態に長尺状の屈曲自在なスポンジ材より成る保持部材が接着されている。保持部材側面には、例えば、両面粘着テープから成る接着層が形成されている。保持部材には、接着層を利用して、例えば、合成樹脂からなるシート材が張設されている。この構造により、窓ガラスとシート材との間にはほぼ密閉された空気層が形成され、当該空気層の存在により窓ガラスに結露が発生することを防止している(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
従来の既存の窓ガラスに対する簡易二重窓形成用後付けキットの一実施例として、下記の後付けキットが知られている。建物には、一対の窓ガラスとアルミサッシから成るサッシ窓が配置され、サッシ窓の室内側には、例えば、木製の室内側窓枠が配置されている。室内側窓枠の上枠の直上に二重窓形成用後付けキットが設置されている。二重窓形成用後付けキットは、巻き取りロールを備えた巻き取り装置と、巻き取りロールに上端が固定された非通気性で遮光性のフィルムと、当該フィルムの下端に固定された係止部材とにより構成されている。窓枠とフィルムとが密着するように、係止部材が、室内用窓枠の下枠に係合され、既存の窓ガラスとフィルムとにより二重窓構造となる。この構造により、既存の窓ガラスに結露が発生することを防止し、冷暖房エネルギーが節減される(例えば、特許文献3参照。)。
【特許文献1】特開2004−293280号公報(第5−6頁、第1−4図)
【特許文献2】特開平7−269244号公報(第2−3頁、第1−4図)
【特許文献3】特開2000−213247号公報(第6−8頁、第1、3、9図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、従来の結露防止構造では、既存の窓ガラスの大きさと同等または若干小さい結露防止パネル部材が準備され、結露防止パネルは、両面粘着テープにより既存の窓ガラスに取り付けられている。結露が発生し易い時期以外には、結露防止パネル部材は不必要であり、押入れ等に収納しなければならない。このとき、結露防止パネル部材は、既存の窓ガラスと同等または若干小さい大きさであるため、結露防止パネル部材の持ち運びが大変であり、また、結露防止パネル部材の収納スペースを確保し難いという問題がある。
【0006】
更に、既設の窓ガラスが、結露防止パネル部材を設置する人に対して大きい場合には、結露防止パネル部材も大きくなり、既設の窓ガラスへの設置作業を1人で行うことが困難であるという問題がある。
【0007】
更に、結露防止パネル部材を設置した後に、既設の窓ガラスの開閉動作を実現する為には、一対の既設の窓ガラス間の狭い空間に結露防止パネル部材を設置する必要がある。このとき、既設の窓ガラスと結露防止パネル部材との間の空間層を確保しつつ、既設の窓ガラスへ結露防止パネル部材を設置する作業は困難であるという問題がある。
【0008】
更に、既設の窓ガラスの大きさは、建物、部屋の大きさや設計時の要望等により様々である。その為、既設の窓ガラスの結露を防止するためには、その大きさに適した結露防止パネル部材を準備する必要があり、量産性に乏しく、気軽に設置し難いという問題がある。
【0009】
また、従来の結露防止装置では、窓枠部材の内側面に囲繞状態に保持部材が接着され、保持部材側面には、例えば、両面粘着テープから成る接着層が形成されている。保持部材には、接着層を利用して、例えば、合成樹脂からなるシート材が張設されている。そのため、窓枠部材の内側全体に一枚のシート材が張設されている状態では、一対の窓ガラスの開閉動作が出来ないという問題がある。一方、窓ガラスを開閉動作させるためには、設置したシート材を取り外す必要があり、更に、窓ガラスの開閉動作後には、再び、保持部材を用いてシート材を張設する必要があり、シート材の設置作業、取り外し作業が手間であるという問題がある。また、その都度、窓ガラスとシート材との間の空気層の気密性を維持する作業が手間であるという問題がある。
【0010】
更に、既存の窓ガラスが、保持部材及びシート材を設置する人に対して大きい場合には、既設の窓ガラスへの設置作業を1人で行うことが困難であるという問題がある。また、窓ガラスとシート材との間の空気層の気密性を維持しつつ、シート材を設置する作業は困難であるという問題がある。
【0011】
また、簡易二重窓形成用後付けキットでは、室内側窓枠の上枠の直上に二重窓形成用後付けキットが設置されている。そして、室内側窓枠の下枠を利用してフィルムの下端に固定された係止部材が係合される。そのため、室内側窓枠の上枠、下枠とフィルムとの密着性とは確保し易いが、窓枠の左右枠とフィルムとの密着性とは確保し難く、窓ガラスとフィルムとの間の空気層の気密性を確保し難いという問題がある。一方、室内側窓枠の側面に両面接着テープを配置し、窓枠とフィルムとの密着性の向上を図る場合には、二重窓形成用後付けキット内にフィルムを巻き取るが、フィルムに残存する両面接着テープの粘着力によりフィルムが貼り付いてしまうという問題がある。
【0012】
更に、二重窓形成用後付けキットは、窓枠自体を利用して、建物の室内側の壁等に設置されている。そのため、窓ガラスとフィルムとの間の距離は、既設の室内側窓枠により決定され、設置される地域や季節に応じて、窓ガラスとフィルムとの間の距離を最も適した間隔に変えることが出来ないという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した各事情に鑑みて成されたものであり、本発明の増設窓では、既設窓が設置された構造体の開口領域の窓枠内に配置される増設窓において、複数のパネルと、前記複数のパネルを蛇腹状に接続し、前記複数のパネルが前記増設窓として用いられる時に前記複数のパネルを気密構造な板状体として支持する接続部と、前記板状体と前記窓枠との間に配置され、前記既設窓と前記増設窓との間の気密性を確保する気密部とを有することを特徴とする。従って、本発明では、複数のパネルが接続部により接続され、折り畳み可能な増設窓となり、窓枠への設置作業性、持ち運び性及び収納性に優れている。
【0014】
また、本発明の増設窓では、前記接続部は、接続シートを有し、前記パネルは、前記既設窓と対向する一主面と、前記一主面と対向する他の主面とを有し、前記パネルの一主面は、隣り合う一方の前記パネルの一主面と前記接続シートで接続され、前記パネルの他の主面は、隣り合う他方の前記パネルの他の主面と前記接続シートで接続されることを特徴とする。従って、本発明では、複数のパネルが、接続シートにより蛇腹状態に接続され、効率的に折り畳むことができる。
【0015】
また、本発明の増設窓では、前記接続部は、前記板状体の隣り合うパネル間に配置される樹脂シートを有することを特徴とする。従って、本発明では、パネル間の隙間が、柔軟性を有する樹脂シートで埋められることで、増設窓の気密性が向上される。
【0016】
また、本発明の増設窓では、前記板状体の隣り合うパネル間は、前記パネルの一主面側と前記他の主面側とが交互に開口し、前記開口部は、前記接続シートの延在領域により覆われることを特徴とする。従って、本発明では、折り畳み時に接続シートで覆われていないパネル間の開口部が、使用時に接続シートで塞がれることで、増設窓の気密性が向上される。
【0017】
また、本発明の増設窓では、前記気密部は、中空チューブと、前記板状体の周囲に配置された前記中空チューブ設置枠とを有し、前記中空チューブ設置枠が、空気が注入された前記中空チューブにより押圧されることで、前記板状体の気密構造が保持されることを特徴とする。従って、本発明では、窓枠と板状体間の隙間が、中空チューブ等から構成される気密部で埋められることで、既設窓と増設窓間の気密性が簡易に実現できる。
【0018】
また、本発明の増設窓では、前記既設窓の一端面側に前記複数のパネルを蛇腹状に折り畳んだ状態で固定する収納部が設けられていることを特徴とする。従って、本発明では、増設窓は窓枠の一端面に取り付けられた状態で用いられ、不使用時には、窓枠の一端面側に折り畳んだ状態で収納される。
【0019】
また、本発明の増設窓では、前記パネルは、前記一主面と前記他の主面との間に中空部を有することを特徴とする。従って、本発明では、増設窓内に、実質、空気の流動のない中空部が配置されることで、防露性、断熱性が向上される。
【0020】
また、本発明の増設窓では、既設窓が設置された構造体の開口領域の窓枠内に配置される増設窓において、板状体と、前記板状体を前記窓枠の奥行き方向に移動させ、前記既設窓と前記増設窓との離間距離を調整する可動部と、前記板状体と前記窓枠との間に配置され、前記既設窓と前記増設窓との間の気密性を確保する気密部とを有することを特徴とする。従って、本発明では、窓枠内に設置された増設窓は可動部により窓枠内を移動し、設置地域、季節等により、適宜、既設窓と増設窓間の距離が変更される。
【0021】
また、本発明の増設窓では、前記可動部は、前記窓枠の上端面に取り付けられ、可動溝が形成されたパネル吊下げ板と、前記可動溝を移動する可動ピンとを有し、前記可動ピンは、前記板状体と接続し、前記気密部の動作時には、前記可動ピンは前記可動溝内に嵌合されることを特徴とする。従って、本発明では、増設窓として使用時には、可動ピンが可動溝内に収納されることで、既設窓と増設窓間の気密性が実現できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明では、複数のパネルが接続シートにより接続され、折り畳み可能な増設窓が形成されている。この構造により、増設窓は、折り畳んだ状態により窓枠への設置、持ち運び、収納等を行うことができ、利便性が向上される。
【0023】
また、本発明では、複数のパネルが、接続シートにより蛇腹状態に接続されているこの構造により、増設窓は、効率的に折り畳むことができ、持ち運び性、収納性等に優れている。
【0024】
また、本発明では、増設窓として使用する際には、パネル間の隙間が柔軟性を有する樹脂シートで埋められる。この構造により、パネル間の密着性が向上され、増設窓としての気密性が向上される。
【0025】
また、本発明では、増設窓の表裏側にパネル間の開口部が交互に形成されている。開口部は、接続シートの延在領域で覆われている。この構造により、増設窓の不使用時の折り畳み性が向上され、更に増設窓としての気密性が向上される。
【0026】
また、本発明では、窓枠と板状体間の隙間が、中空チューブ等から構成される気密部で埋められる。この構造により、増設窓は窓枠に対して気密状態で設置され、既設窓と増設窓間の空気層の気密性が簡易に実現できる。
【0027】
また、本発明では、増設窓は窓枠の一端面に取り付けられた状態で用いられる。この構造により、増設窓の不使用時には、折り畳んだ状態で窓枠の一端面側に一時的に収納することができる。
【0028】
また、本発明では、増設窓を構成するパネルは、中空構造となっている。この構造により、増設窓内においても、実質、空気の流動のない中空部が配置され、防露性、断熱性が向上される。
【0029】
また、本発明では、窓枠内に設置された増設窓は、可動部により窓枠内を移動することができる。この構造により、設置地域、季節等により、適宜、既設窓と増設窓間の距離が変更され、防露性、断熱性が向上される。
【0030】
また、本発明では、窓枠の上端面に設置された可動溝内を可動ピンが移動することで、増設窓が窓枠内を移動する。この構造により、増設窓として使用時には、可動ピンが可動溝内に収納され、既設窓と増設窓間の空気層の気密性が実現される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下に、本発明の一実施の形態である増設窓について、図1から図8を参照し、詳細に説明する。
【実施例1】
【0032】
図1(A)及び(B)は、本実施の形態である増設窓の設置状況を説明するための断面図である。図2(A)及び(B)は、本実施の形態である増設窓のパネル及び接続部を説明するための断面図である。図3(A)及び(B)は、本実施の形態である増設窓の接続部を説明するための断面図である。図4(A)及び(B)は、本実施の形態である増設窓の気密部を説明するための平面図及び断面図である。図4(C)は、本実施の形態である増設窓の気密部の中空チューブを説明するための断面図である。図5(A)は、本実施の形態である増設窓の不使用状態(収納状態)を説明するための図である。図5(B)は、本実施の形態である増設窓の使用状態を説明するための図である。
【0033】
図1(A)に示す如く、増設窓1は、例えば、ビル、マンション、アパート、家等の構造体2に形成された開口領域3の窓枠4内に設置され、構造体2の室内と既設窓7、8との間に位置している。窓枠4は、例えば、木材から成り、開口領域3の室内側の構造体2に取り付けられている。一方、開口領域3の室外側の構造体2には、例えば、アルミサッシ枠5、6が取り付けられている。そして、アルミサッシ枠5、6内には、一対の既設窓7、8が開閉自在に取り付けられている。尚、窓枠4は、構造体2に既に取り付けられているものでもよく、また、既設の窓枠4や構造体2に対し新たに取り付けられたものでもよい。
【0034】
図1(A)及び(B)に示す如く、増設窓1と既設窓7、8間の空気層が、実質、気密状態となるように、増設窓1は窓枠4に密接した状態で設置されている。詳細は後述するが、例えば、窓枠4の上枠9には増設窓1のパネル吊り板10が両面粘着テープ等で固着され、窓枠4の下枠11、左枠12及び右枠13には、増設窓1の中空チューブ14が当接し、上記気密状態が保たれている。尚、パネル吊り板10は、両面粘着テープ等で窓枠4に固着されることで、窓枠4に釘、ネジ等による傷をつけることを防止できる。
【0035】
図2(A)に示す如く、増設窓1(図1(A)参照)は、複数のパネル15、16、17、18、19が、接続シート20、21、22、23により接続されることで構成されている。パネル15〜19は、例えば、ポリカーボネート材より構成されるため、軽量性、採光性、耐久性、耐衝撃性等に優れている。そして、パネル15〜19は、室内側と室外側(既設窓側)との間に中空部を有する構造であり、パネル15〜19自体でも、空気の流動性を防止し、既設窓7、8(図1(A)参照)の防露性、開口領域3(図1(A)参照)での断熱性を高めることができる。
【0036】
パネル15〜19は、室内側の側面及び室外側の側面において、接続シート20〜23により接続され、増設窓1としての使用時には、実質、一体の板状体として用いられる。ここで、一体とは、個々のパネル15〜19同士は区分されているが、増設窓1として気密構造として用いられるように連結している状態をいう。そして、接続シート20〜23は、採光性、非通気性、柔軟性に優れた樹脂シート、フィルム等から成り、片面に接着性を有するものが用いられる。接続シート20〜23の大きさは、少なくとも隣り合うパネル15〜19同士が接続状態に維持できる大きさであればよい。尚、本実施の形態では、接続シート20〜23の大きさは、隣り合う2枚のパネル15〜19の大きさと、実質、同等の大きさであり、パネル15〜19の室内側及び室外側の側面が接続シートで覆われている。
【0037】
具体的にパネル17を用いて説明すると、パネル17は、パネル16及びパネル18と隣り合うように配置されている。パネル16とパネル17とは、その室外側の側面において、接続シート21により接続されている。一方、パネル17とパネル18とは、その室内側の側面において、接続シート22により接続されている。つまり、パネル17は、その室内側及び室外側の側面を用いることで、パネル16、18と接続されている。
【0038】
また、丸印で示すように、接続シート20〜23の開口部24、25、26、27は、室内側の側面または室外側の側面に交互に配置されている。しかしながら、室内側の側面に接続シート20、22間の開口部25が配置された場合には、室外側の側面は接続シート21で覆われている。この構造により、パネル15〜19は、実質、一体の板状体と成り、パネル15〜19間を介しての空気の流動を抑止し、気密構造が実現されている。尚、パネル15〜19は、中空構造でない場合でもよい。
【0039】
図2(B)に示す如く、増設窓1を構成する8枚のパネル15〜19、28〜30が、接続シート20〜23、31〜35により、一枚の板状体となるように接続されている。上述したように、接続シート20〜23、31〜35には、複数の開口部24〜27、36、37が、室内側または室外側に交互に形成されている。この構造により、8枚のパネル15〜19、28〜30は、蛇腹状態に折り畳まれる。このとき、開口部24〜27、36、37は、パネル15〜19、28〜30間に、若干の隙間を設けることで形成される。そして、当該隙間を設けることで、折り畳み性が向上され、折り畳み領域での接続シートの耐久性も向上される。
【0040】
更に、既設窓7、8の防露性や構造体2(図1(A)参照)の開口領域3の断熱性が考慮されない季節等では、増設窓1は折り畳まれた状態で押入れ等に収納され、収納スペースを効率的に活用することができる。また、窓枠4への設置作業や窓枠4からの取り外し作業、持ち運び作業等も増設窓1を折り畳んだ状態で行うことが出来るため、作業性に優れている。
【0041】
尚、図1(A)に示すように、本実施の形態では、8枚のパネルを用いて増設窓1を構成する場合について説明したが、この場合に限定するものではない。増設窓を設置する窓枠の大きさに合わせてパネルの枚数は任意に設計変更することができる。そして、パネルの枚数により増設窓の大きさを調整することができ、任意の大きさの窓枠に対しても簡単に対応でき、汎用性に優れた増設窓が実現される。
【0042】
図3(A)に示す如く、パネル16とパネル17との間には、若干の隙間38が設けられた状態により、パネル16とパネル17とは接続シート21で接続されている。上述したように、隙間38を設けることで、折り畳み領域での接続シート21の耐久性が向上される。一方、丸印で示す開口部25は、パネル17に接続された接続シート22の延在領域39により覆われている。この構造により、増設窓1自体の気密性が更に向上され、開口部25においても、パネル16、17幅で空気の流れを抑止でき、上述した防露性や断熱性が向上される。尚、図示していないが、接続シート22の延在領域39と接続シート20とが、適宜、クリップ等の接合金具で留めることで、より確実に増設窓1自体の気密性が向上される場合でもよい。
【0043】
図3(B)に示す如く、パネル16とパネル17との間の隙間38(図3(A)参照)が、樹脂シート40で埋められる場合でもよい。樹脂シート40は、弾力性に優れた素材であり、パネル16、17のどちらか一方の側面に取り付けられていればよい。そして、詳細は後述するが、増設窓1として使用される際、中空チューブ14(図1(A)参照)内に空気が注入され、パネル16、17が押圧される。その押圧力により樹脂シート40とパネル16、17が密着し、増設窓1自体の気密性が更に向上される。この構造により、パネル15〜19、28〜30(図2(B)参照)においても、パネル16、17幅で空気の流れを抑止でき、上述した防露性や断熱性が向上される。
【0044】
尚、図3(A)を用いて接続シート22により開口部25を覆う構造について説明し、図3(B)を用いて樹脂シート40によりパネル16、17間の隙間38を埋める構造について説明したが、両構造を組み合わせることで、増設窓1自体の気密性を更に向上させる場合でもよい。
【0045】
図4(A)に示す如く、パネル17の両端側、例えば、窓枠4の左右枠12、13(図1(B)参照)と対向する側面には、中空チューブ取り付け枠41、42が配置されている。中空チューブ取り付け枠41、42は、例えば、H字形状であり、一方の凹部にはパネル17が嵌合され、もう一方の凹部には中空チューブ14が配置されている。そして、中空チューブ取り付け枠41、42は、中空チューブ14がパネル17の側面に、常時、位置するためのガイドレールとしての役割を果たす。尚、増設窓1を構成する個々のパネル15〜19、28、29(図2(B)参照)には、それぞれ中空チューブ取り付け枠が配置されている。そして、中空チューブ取り付け枠は、個々のパネル15〜19、28、29毎に独立して形成されている。
【0046】
図4(B)に示す如く、例えば、増設窓1の下端に位置するパネル30には、その両端側に中空チューブ取り付け枠43、44が配置され、その下端側、例えば、窓枠4の下枠11と対向する側面に中空チューブ取り付け枠45が配置されている。中空チューブ取り付け枠43、44、45は、例えば、H字形状であり、一方の凹部にはパネル30が嵌合され、もう一方の凹部には中空チューブ14が配置されている。そして、中空チューブ取り付け枠43、44、45は、中空チューブ14がパネル30の側面に、常時、位置するためのガイドレールとしての役割を果たす。つまり、パネル30の側面には、コの字状態に中空チューブ14が配置されている。
【0047】
この構造により、パネル15〜19、28〜30が、実質、一体の板状体となり、増設窓1として使用される際には、中空チューブ14は、確実にパネル15〜19、28〜30の側面に位置した状態で膨らみ、パネル15〜19、28〜30は、中空チューブ取り付け枠41〜45、51〜62(図5(B)参照)から押圧力を受ける。このとき、パネル15〜19、28〜30には中空チューブ取り付け枠41〜45、51〜62が嵌合しているため、パネル15〜19、28〜30の側面に垂直する方向に押圧力が伝わる。その結果、各パネル15〜19、28〜30同士が、窓枠4に対して垂直方向にずれることなく確実に連結される。このとき、個々の中空チューブ取り付け枠41〜45、51〜62同士も中空チューブ14が膨らむことでの押圧力により、実質、隙間なく連結され、増設窓1自体の気密性が向上される。つまり、増設窓1は、あたかも一体の窓のように用いられる。
【0048】
尚、中空チューブ取り付け枠にパネルのみが嵌合される場合でも、中空チューブ取り付け枠に接続シートが貼り合わされたパネルが嵌合される場合でもよい。
【0049】
図4(C)に示す如く、パネル15〜19、28〜30の折り畳み領域では、中空チューブ14の一部46で接続状態とし、丸印47、48で示すその他の部分を分割した状態とする場合でもよい。この場合には、中空チューブ14の一部46が折り曲がるのみでよく、折り畳み易く、増設窓1の収納時に、より薄く折り畳むことが可能となる。一方、丸印47、48で示すように、分割領域においても、中空チューブ14の一部46の周囲まで中空チューブ14を延在させることで、増設窓1としての使用時に、気密性を損なうことはない。
【0050】
尚、増設窓1としての不使用時には、中空チューブ14からは空気が抜かれ、中空チューブ14は萎んだ状態であるため、図示のように、その一部46を細くしなくとも、収納時の折り畳み易さには特に問題はない。
【0051】
図5(A)では、増設窓1が窓枠4内に設置され、不使用時に窓枠4の上枠9側に巻き上げられ、収納されている状態が示されている。窓枠4の上枠9には、パネル吊り板10が両面粘着テープ等の接着材料を用いて固定されている。このとき、パネル吊り板10の幅と窓枠4との幅を等しくすることで、窓枠4とパネル吊り板10との間の隙間がなくなり、増設窓1としての気密性を高めることができる。
【0052】
パネル吊り板10は、例えば、巻き上げリール機構を備え、巻き上げ用ロープ49、50を介して複数のパネル15〜19、28〜30を巻き上げている。例えば、パネル15〜19、28〜30の厚みが1.0(cm)の場合には、窓枠4の上枠9側にパネル吊り板10から8.0(cm)程度の薄さにした状態で収納することができる。
【0053】
この構造により、既存窓7、8(図1(A)参照)の防露性や構造体2(図1(A)参照)の開口領域3(図1(A)参照)の断熱性が考慮されない状況では、増設窓1は窓枠4の上枠9側に簡易に収納される。そして、その収納スペースも嵩張らないため、既存窓7、8の開閉動作の支障とならず、既存窓7、8からの景観を損なうこともない。
【0054】
尚、パネル吊り板10とパネル15とは、例えば、パネル15に固定された、例えば、T字形状の吊りピン(図示せず)をパネル吊り板10に形成された開口部(図示せず)に引っ掛けることで接続される。この構造により、窓枠4の上枠9の所望の箇所にパネル吊り板10を固定した後に、蛇腹状態のパネルを引っ掛けることで、増設窓1が容易に設置される。また、パネル吊り板10の設置箇所は、窓枠4の上枠9に限定されるものではなく、その使用用途等に応じて、窓枠4の下枠11、左右枠12、13に設置される場合でもよい。
【0055】
図5(B)では、増設窓1が窓枠4内に設置され、複数のパネル15〜19、28〜30が、実質、一体の板状体と成り、気密構造を有する増設窓1として使用されている状態が示されている。
【0056】
先ず、パネル吊り板10の巻き上げリール機構を開放することで、複数のパネル15〜19、28〜30がパネル吊り板10から吊り下げられた状態となる。このとき、上述したように、複数のパネル15〜19、28〜30は接続シート20〜23、31〜35(図2(B)参照)により接続されているため、パネル吊り板10から落ちることはない。そして、パネル15〜19、28〜30幅は窓枠4の幅よりも狭いため、窓枠4の下枠11、左右枠12、13と中空チューブ取り付け枠41、42、43〜45、51〜62との間には隙間が形成されている。
【0057】
その後、中空チューブ14内に空気を注入し、中空チューブ14を膨らませる。中空チューブ14は中空チューブ取り付け枠41〜45、51〜62内で膨らみ、その後、窓枠4の下枠11、左右枠12、13と中空チューブ取り付け枠41〜45、51〜62との間の隙間を埋める。このとき、中空チューブ14と窓枠4の下枠11、左右枠12、13とは密着し、中空チューブ14からの押圧によりパネル15〜19、28〜30同士及び中空チューブ取り付け枠41〜45、51〜62同士も連結される。この構造により、既存窓7、8と増設窓1間の空気層は、窓枠4を利用し、気密状態となり、既存窓7、8の防露性や構造体2の開口領域3の断熱性が実現される。尚、中空ューブ14の膨らみによる押圧力により、吊りピンがパネル吊り板10の開口部内に挿入され、パネル吊り板10とパネル15とが直接当接することで、パネル吊り板10とパネル15との間の気密性は確保される。
【0058】
更に、パネル15〜19、28〜30幅は窓枠4の幅よりも狭いため、作業スペースが確保でき設置作業が容易である。そして、既存窓7、8と増設窓1間の気密状態は、中空チューブ14への空気の注入量により調整できるため、簡易に、増設窓1として使用することができる。
【0059】
尚、図示していないが、室内側に位置する中空チューブ取り付け枠41〜45、51〜62に空気注入孔(図示せず)が設けられ、その空気注入孔には中空チューブ14と接続した空気弁が配置されている。そして、当該空気注入孔の空気弁を利用して、例えば、公知のエアーポンプを接続することで、中空チューブ14内に空気を注入することが出来るため、家庭でも簡易に増設窓1の設置を行うことができる。
【0060】
また、本実施の形態では、増設窓1の3側面に中空チューブ取り付け枠41〜45、51〜62を配置し、残りの1側面にパネル吊り板10を配置する構造について説明したが、この場合に限定するものではない。例えば、増設窓1の4側面に中空チューブ取り付け枠を配置し、増設窓1の全ての側面において、中空チューブ14により、既存窓7、8と増設窓1間の空気層の気密状態を維持する場合でもよい。
【0061】
また、本実施の形態では、増設窓1が、複数のパネル15〜19、28〜30から構成される場合について説明したがこの場合に限定されるものではない。例えば、窓枠4の形状に合わせて1枚のパネルから成る場合でもよい。この場合においても、中空チューブ及び中空チューブ取り付け枠を用いて、既設窓7、8と増設窓1間の空気層の気密性を簡易に維持することができる。
【0062】
また、本実施の形態では、パネル吊り板10が、巻き上げリール機構を有する場合について説明したが、この場合に限定するものではない。例えば、複数のパネル15〜19、28〜30を手動で折り畳み、両端にL字形状のフック等の係止部材を有するゴムや紐等を窓枠4に引っ掛けることで一時的に折り畳む場合でもよい。また、例えば、複数のパネル15〜19、28〜30や中空チューブ取り付け枠41〜45、51〜62に磁石を配置し、その磁石により窓枠4内に一時的に折り畳む場合でもよい。これらの場合には、巻き上げリール機構(巻き上げ用ロープ49、50も含む)が省かれることで、増設窓1として使用時する際に巻き上げ用ロープ49、50も無く、増設窓1からの外観も見易くなる。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
【実施例2】
【0063】
図6(A)及び(B)は、本実施の形態である増設窓の設置状況を説明するための断面図である。図7は、本実施の形態である増設窓の可動部を説明するための(A)斜視図、(B)平面図、(C)斜視図である。図8(A)及び(B)は、本実施の形態である増設窓の使用状態を説明するための図である。
【0064】
尚、詳細は後述するが、実施例2の増設窓の構造では、実施例1でのパネル吊り板10(図1(A)参照)の構造が異なり、その他の増設窓の構成部材は実施例1の構成部材と同じである。具体的には、増設窓を構成する複数のパネル、接続シート、樹脂シート、中空チューブ、中空チューブ取り付け枠等であり、その構造及び構造における効果は実施例1の説明を参照することとし、ここではその詳細な説明を割愛する。そして、実施例2における増設窓を説明の際に、上述した実施例1の増設窓と同じ構成部材には同じ符番を付すこととする。
【0065】
図6(A)に示す如く、増設窓71は、例えば、ビル、マンション、アパート、家等の構造体72に形成された開口領域73の窓枠74内に設置され、構造体72の室内と既設窓77、78との間に位置している。窓枠74は、例えば、木材から成り、開口領域73の室内側の構造体72に取り付けられている。一方、開口領域73の室外側の構造体72には、例えば、アルミサッシ枠75、76が取り付けられている。そして、アルミサッシ枠75、76内には、一対の既設窓77、78が開閉自在に取り付けられている。尚、窓枠74は、構造体72に既に取り付けられているものでもよく、また、既設の窓枠74や構造体72に対し新たに取り付けられたものでもよい。
【0066】
図6(A)及び(B)に示す如く、増設窓71と既設窓77、78間の空気層が、実質、気密状態となるように、増設窓71は窓枠74に密接した状態で設置されている。詳細は後述するが、例えば、窓枠74の上枠79には増設窓71の可動用パネル吊り板80が両面粘着テープ等で固着され、窓枠74の下枠81、左枠82及び右枠83には、増設窓71の中空チューブ14が当接し、上記気密状態が保たれている。
【0067】
図7(A)及び(B)に示す如く、可動用パネル吊り板80の側面84は、両面粘着テープ等の粘着材料により窓枠74の上枠79(図6(A)参照)に固着される。そして、可動用パネル吊り板80は、両面粘着テープ等で窓枠74に固着されることで、窓枠74に釘、ネジ等による傷をつけることを防止できる。特に、賃貸マンションやアパート等の既設窓に対して増設窓71(図6(A)参照)を設置したい場合に、窓枠74への外傷を防ぎ、有効的な設置方法である。
【0068】
可動用パネル吊り板80には、側面84と対向する側面85側が開口するように、可動溝86、87が形成されている。開口溝86、87は、例えば、T字形状であり、室内側から既設窓側へと開口している。そして、増設窓71は、開口溝86、87を利用して窓枠74内を移動することができ、既設窓77、78(図6(A)参照)と増設窓71間の離間距離は目的に応じて簡易に変更することができる。尚、開口溝86、87の開口形状は、T字形状に限定されるものではなく、複数のパネルを吊り下げる可動用ピン94、95(図8(A)参照)が、可動溝86、87から落下しない形状であればよい。
【0069】
図7(C)に示す如く、可動用パネル吊り板80には、窓枠74の大きさに応じて補足板88を取り付けることができる。窓枠74の大きさは、構造体のデザイン、部屋の大きさ、設計時の要望等により様々である。このとき、可動用パネル吊り板80に、例えば、ネジ89、90により補足板88を固定し、継ぎ足すことで、窓枠74の幅に適した寸法とすることができる。ネジ89、90に換えてバネ(図示せず)により、窓枠74内に可動用パネル吊り板80と補足板88とを固定することも出来る。
【0070】
そして、開口溝86、87や可動用パネル吊り板80と補足板88との隙間には、ゴム、樹脂等から成るキャップ91、92、93を嵌め込むことで、空気の流動を抑止し、既設窓77、78と増設窓71間の空気層の気密状態を維持することができる。
【0071】
図8(A)に示す如く、複数のパネル15〜19、28〜30が、実質、一体の板状体と成り、増設窓1として使用される状態が示されている。可動用パネル吊り板80と隣り合うパネル15には、可動用ピン94、95が取り付けられている。可動用ピン94、95は、開口溝86、87の形状と合わせて、例えば、T字形状である。そして、可動用ピン94、95は、回転ヒンジ構造によりパネル15と接続することで、パネル15に対して自由に回転することができる。また、可動用ピン94、95が、開口溝86、87内に配置されるように、可動用ピン94、95の離間距離と開口溝86、87の離間距離は同等である。
【0072】
尚、図示していないが、可動用パネル吊り板80が、例えば、巻き上げリール機構を備えている場合でもよく、可動用パネル吊り板80とパネル15との間に巻き上げリール機構が備えられている場合でもよい。可動用パネル吊り板80とパネル15との間に巻き上げリール機構が備えられている場合には、可動用ピン94、95は巻き上げリール機構上に取り付けられていればよい。そして、巻き上げリール機構は、増設窓71として使用しない場合には、巻き上げ用ロープを介して複数のパネル15〜19、28〜30を巻き上げ、窓枠74の一端側に複数のパネル15〜19、28〜30を一時的に収納することができる。
【0073】
図8(B)に示す如く、増設窓71が窓枠74内に設置され、複数のパネル15〜19、28〜30が、実質、一体の板状体と成り、気密構造を有する増設窓71として使用されている状態が示されている。
【0074】
上述したように、窓枠74を利用し、増設窓71を設置することで、既存窓77、78と増設窓71間の空気層は、気密状態となり、既存窓77、78の防露性や構造体72(図6(A)参照)の開口領域73(図6(A)参照)の断熱性を実現することができる。このとき、防露性に関しては、例えば、冬季、春季や秋季の朝晩等の外気温が低下し、室内外の温度差が大きくなる場合に問題となる。また、断熱性に関しては、例えば、冬季における暖房時や夏季における冷房時における断熱性の効率化が問題となる。更に、例えば、日本列島は南北に長く、その地域によっても外気温や湿度も異なり、同一地域によっても海側、山側、市街地等により外気温や湿度も異なる。また、天候状態や既設窓の大きさ等によってもその防露性や断熱性の効率も異なる。
【0075】
本実施の形態では、窓枠74に固定された可動用パネル吊り板80及びパネル15に固定された可動用ピン94、95を用いることで、適宜、既設窓77、78と増設窓71間の離間距離を変更することができる。そして、既設窓77、78と増設窓71間の離間距離を決定した後、中空チューブ14内に空気を注入し、中空チューブ14を膨らませる。中空チューブ14は中空チューブ取り付け枠41〜45、51〜62内で膨らみ、その後、窓枠74の下枠81、左右枠82、83と中空チューブ取り付け枠41〜45、51〜62との間の隙間を埋める。このとき、中空チューブ14と窓枠74の下枠81、左右枠82、83とは密着し、中空チューブ14からの押圧によりパネル15〜19、28〜30同士及び中空チューブ取り付け枠41〜45、51〜62同士も連結される。この構造により、既存窓77、78と増設窓71間の空気層は、窓枠74を利用し、気密状態となり、既存窓77、78の防露性や構造体72の開口領域73の断熱性を実現することができる。
【0076】
図示したように、中空ューブ14の膨らみによる押圧力により、可動用ピン94、95が可動用パネル吊り板80の開口溝86、87内に挿入され、可動用パネル吊り板80とパネル15とが直接当接することで、可動用パネル吊り板80とパネル15との間の気密性は確保される。尚、上述したように、可動用パネル吊り板80の開口溝86、87には、キャップ91、92が嵌め込まれることで、開口溝86、87での気密性も確保される。
【0077】
つまり、本実施の形態では、増設窓1が設置される地域、その地域の立地条件、天候、季節等様々な条件に応じて、簡易に、既存窓77、78と増設窓71間を最適な距離とすることができる。そして、既存窓77、78の防露性を向上させ、開口領域73での断熱性を向上させることで、省エネ化を実現することができる。
【0078】
尚、本実施の形態においても、実施例1の場合と同様に、持ち運び性、設置作業性、取り外し作業性、収納性等種々の効果を得ることができる。
【0079】
また、本実施の形態では、増設窓71が、複数のパネル15〜19、28〜30から構成される場合について説明したがこの場合に限定されるものではない。例えば、窓枠74の形状に合わせて1枚のパネルから成る場合でもよい。この場合においても、中空チューブ及び中空チューブ取り付け枠を用いて、既設窓77、78と増設窓71間の空気層の気密性を簡易に維持することができる。また、可動用パネル吊り板80及び可動用ピン94、95を用いて簡易に既設窓77、78と増設窓71間の離間距離を、適宜、変更することができる。
【0080】
また、本実施の形態では、可動用パネル吊り板80が、巻き上げリール機構を有する場合について説明したが、この場合に限定するものではない。例えば、複数のパネル15〜19、28〜30を手動で折り畳み、両端にL字形状のフック等の係止部材を有するゴムや紐等を窓枠74に引っ掛けることで一時的に収納する場合でもよい。また、例えば、複数のパネル15〜19、28〜30や中空チューブ取り付け枠41〜45、51〜62に磁石を配置し、その磁石により窓枠4内に一時的に折り畳む場合でもよい。これらの場合には、巻き上げリール機構(巻き上げ用ロープも含む)が省かれることで、増設窓71として使用時する際に巻き上げ用ロープも無く、増設窓71からの外観も見易くなる。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の実施の形態における増設窓の設置状況を説明するための(A)断面図、(B)断面図である。
【図2】本発明の実施の形態における増設窓のパネル及び接続部を説明するための(A)断面図、(B)断面図である。
【図3】本発明の実施の形態における増設窓の接続部を説明するための(A)断面図、(B)断面図である。
【図4】本発明の実施の形態における増設窓の気密部を説明するための(A)平面図及び断面図、(B)平面図及び断面図、(C)断面図である。
【図5】本発明の実施の形態における増設窓の設置状況を説明するための(A)断面図、(B)断面図である。
【図6】本発明の実施の形態における増設窓の設置状況を説明するための(A)断面図、(B)断面図である。
【図7】本発明の実施の形態における増設窓の可動部を説明するための(A)斜視図、(B)平面図、(C)斜視図である。
【図8】本発明の実施の形態における増設窓の設置状況を説明するための(A)断面図、(B)断面図である。
【符号の説明】
【0082】
1 増設窓
2 構造体
3 開口領域
4 窓枠
10 パネル吊り板
14 中空チューブ
15 パネル
20 接続シート
40 樹脂シート
41 中空チューブ設置枠
80 可動用パネル吊り板
86 可動溝
94 可動用ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設窓が設置された構造体の開口領域の窓枠内に配置される増設窓において、
複数のパネルと、
前記複数のパネルを蛇腹状に接続し、前記複数のパネルが前記増設窓として用いられる時に前記複数のパネルを気密構造な板状体として支持する接続部と、
前記板状体と前記窓枠との間に配置され、前記既設窓と前記増設窓との間の気密性を確保する気密部とを有することを特徴とする増設窓。
【請求項2】
前記接続部は、接続シートを有し、
前記パネルは、前記既設窓と対向する一主面と、前記一主面と対向する他の主面とを有し、前記パネルの一主面は、隣り合う一方の前記パネルの一主面と前記接続シートで接続され、前記パネルの他の主面は、隣り合う他方の前記パネルの他の主面と前記接続シートで接続されることを特徴とする請求項1に記載の増設窓。
【請求項3】
前記接続部は、前記板状体の隣り合うパネル間に配置される樹脂シートを有することを特徴とする請求項2に記載の増設窓。
【請求項4】
前記板状体の隣り合うパネル間は、前記パネルの一主面側と前記他の主面側とが交互に開口し、
前記開口部は、前記接続シートの延在領域により覆われることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の増設窓。
【請求項5】
前記気密部は、中空チューブと、前記板状体の周囲に配置された中空チューブ設置枠とを有し、
前記中空チューブ設置枠が、空気が注入された前記中空チューブにより押圧されることで、前記板状体の気密構造が保持されることを特徴とする請求項1に記載の増設窓。
【請求項6】
前記既設窓の一端面側に前記複数のパネルを蛇腹状に折り畳んだ状態で固定する収納部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の増設窓。
【請求項7】
前記パネルは、前記一主面と前記他の主面との間に中空部を有することを特徴とする請求項2に記載の増設窓。
【請求項8】
既設窓が設置された構造体の開口領域の窓枠内に配置される増設窓において、
板状体と、
前記板状体を前記窓枠の奥行き方向に移動させ、前記既設窓と前記増設窓との離間距離を調整する可動部と、
前記板状体と前記窓枠との間に配置され、前記既設窓と前記増設窓との間の気密性を確保する気密部とを有することを特徴とする増設窓。
【請求項9】
前記可動部は、前記窓枠の上端面に取り付けられ、可動溝が形成されたパネル吊下げ板と、前記可動溝を移動する可動ピンとを有し、
前記可動ピンは、前記板状体と接続し、前記気密部の動作時には、前記可動ピンは前記可動溝内に収納されることを特徴とする請求項8に記載の増設窓。
【請求項10】
前記気密部は、中空チューブと、前記板状体の周囲に配置された前記中空チューブ設置枠とを有し、
前記気密部は、前記窓枠の下端面、左右端面と対向する前記板状体の側面に配置されることを特徴とする請求項8または請求項9に記載の増設窓。
【請求項11】
前記既設窓と前記増設窓との離間距離が所望な距離と成った後、前記中空チューブに空気が注入されることを特徴とする請求項10に記載の増設窓。
【請求項12】
前記板状体は複数のパネルから成り、前記複数のパネルが蛇腹状に接続され、前記増設窓として用いられる時には前記複数のパネルが気密構造として支持される接続部とを有し、
前記接続部は、接続シートを有し、
前記パネルは、前記既設窓と対向する一主面と、前記一主面と対向する他の主面とを有し、前記パネルの一主面は、隣り合う一方の前記パネルの一主面と前記接続シートで接続され、前記パネルの他の主面は、隣り合う他方の前記パネルの他の主面と前記接続シートで接続されることを特徴とする請求項8から請求項10のいずれかに記載の増設窓。
【請求項13】
前記接続部は、前記板状体の隣り合うパネル間に配置された樹脂シートを有することを特徴とする請求項12に記載の増設窓。
【請求項14】
前記板状体の隣り合うパネル間は、前記パネルの一主面側と前記他の主面側とが交互に開口し、
前記開口部は、前記接続シートの延在領域により覆われることを特徴とする請求項12または請求項13に記載の増設窓。
【請求項15】
前記パネルは、前記一主面と前記他の主面との間に中空部を有することを特徴とする請求項12に記載の増設窓。
【請求項16】
前記既設窓の一端面側に前記複数のパネルを蛇腹状に折り畳んだ状態で固定する収納部が設けられていることを特徴とする請求項12に記載の増設窓。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−231715(P2008−231715A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−70280(P2007−70280)
【出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【出願人】(803000104)財団法人ひろしま産業振興機構 (70)
【Fターム(参考)】