説明

壁材及び板状部材

【課題】気密性をある程度保ちながら且つ採光できる壁材を提供する。
【解決手段】壁材1は、複数の開口部2aを有する第1の板状部材2と、第1の板状部材2の複数の開口部2aに対応するように設けられた複数の開口部3aを有し、第1の板状部材2に粘着剤又は接着剤により接合される第2の板状部材3と、第1の板状部材2の複数の開口部2aと第2の板状部材3の複数の開口部3aで形成される空間Pに複数の球形状の光透過性部材4が収納されている。第1の板状部材2の複数の開口部2aは、全て外方へ臨む開口部2aの開口面積が第1の板状部材2の内方へ臨む開口部2aの開口面積より小さく、開口部2aの形状は、半球を第1の板状部材2の内方の面と平行な面で切断した球面形状であり、第2の板状部材3と第1の板状部材2は、接合面に対して対称形状をなしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁材及び板状部材に係り、特に、気密性をある程度保ちながら且つ採光できる壁材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、間仕切りとして、格子孔を有するパネル体がある(特許文献1等参照)。
【特許文献1】実用新案登録第3091152号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記パネル体は採光できるが、となりの風景が格子孔を介してストレートに入るため、となりの風景等の保護(例えば、プライバシーの保護)を図ることができないという問題が生じた。
【0004】
本発明の目的は、上記問題を除去するようにした壁材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の壁材は、複数の開口部を有する第1の板状部材と、この第1の板状部材の複数の開口部は、全て外方へ臨む開口部の開口面積は前記第1の板状部材の内方へ臨む開口部の開口面積より小さく、前記開口部の形状は、半球を前記第1の板状部材の内方の面と平行な面で切断した球面形状であり、前記第1の板状部材の複数の開口部に対応するように設けられた複数の開口部を有し、前記第1の板状部材に粘着剤又は接着剤により接合される第2の板状部材と、この第2の板状部材の複数の開口部は、全て外方へ臨む開口部の開口面積は前記第2の板状部材の内方へ臨む開口部の開口面積より小さく、前記開口部の形状は、半球を前記第2の板状部材の内方の面と平行な面で切断した球面形状であり、前記第2の板状部材と前記第1の板状部材は、接合面に対して対称形状をなし、前記第1の板状部材の複数の開口部と前記第2の板状部材の複数の開口部で形成される空間に複数の球形状の光透過性部材が収納されているものである。
【0006】
また、請求項2記載の壁材は、請求項1記載の壁材において、第1の板状部材及び第2の板状部材の外方へ臨む開口部の形状は、円形、楕円、多角形の内のいずれか一つ又は二つ以上を組み合わせである。
【0007】
また、請求項3記載の壁材は、請求項1又は2記載の壁材において、第1の板状部材の内方へ臨む開口部の周囲に設けられ、粘着剤又は接着剤を溜める凹所であるたまり部と、前記凹所の突出した前記開口部に近い側の面は、前記凹所の突出した前記開口部に遠い側の面より低くなっているものである。
【0008】
また、請求項4記載の板状部材は、複数の開口部を有する第1の板状部材と、この第1の板状部材の複数の開口部は、全て外方へ臨む開口部の開口面積は前記第1の板状部材の内方へ臨む開口部の開口面積より小さく、前記開口部の形状は、半球を前記第1の板状部材の内方の面と平行な面で切断した球面形状であり、前記第1の板状部材の複数の開口部に対応するように設けられた複数の開口部を有し、前記第1の板状部材に粘着剤又は接着剤により接合される第2の板状部材と、この第2の板状部材の複数の開口部は、全て外方へ臨む開口部の開口面積は前記第2の板状部材の内方へ臨む開口部の開口面積より小さく、前記開口部の形状は、半球を前記第2の板状部材の内方の面と平行な面で切断した球面形状であり、前記第2の板状部材と前記第1の板状部材は、接合面に対して対称形状をなし、前記第1の板状部材の複数の開口部と前記第2の板状部材の複数の開口部で形成される空間に複数の球形状の光透過性部材が収納されているものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の壁材によれば、第1の板状部材の複数の開口部と第2の板状部材の複数の開口部で形成される空間に複数の球形状の光透過性部材を収納しているため、気密性をある程度保ちながら且つ採光できると共に、球形状の光透過性部材を介するため、となりの風景をストレートではなく、屈折して取り入れるため、となりの風景等の保護(例えば、プライバシーの保護)を図ることができる。
【0010】
また、請求項3記載の壁材によれば、前述した請求項1記載の発明の効果に加え、第1の板状部材の内方へ臨む側へローラで粘着剤又は接着剤を塗布する際、凹所の突出した開口部に近い側の面は、凹所の突出した開口部に遠い側の面より低くなっているため、凹所の突出した開口部に近い側の面に粘着剤又は接着剤が付着せず、凹所の突出した開口部に遠い側の面より開口部へ向かう粘着剤又は接着剤を凹所であるたまり部に溜め、開口部付近に粘着剤又は接着剤が付着するのを防ぎ、粘着剤又は接着剤が壁材の表面に付着するのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の一実施例を図面を参照して説明する。1は、壁材、例えば、間仕切りに使用されるものである。
壁材1は、矩形形状の第1の板状部材2と、同形状の矩形形状の第2の板状部材3と
、第1の板状部材2と第2の板状部材3との間に位置する球形状の光透過性部材4とを備え、第1の板状部材2と第2の板状部材3は粘着剤又は接着剤を介して接合されている(図1及び図2参照)。
【0012】
第1の板状部材2は、図3及び図4に示すように、貫通した複数の開口部2aを有し、第1の板状部材2の複数の開口部2aは、全て外方へ臨む開口部の開口面積A1は第1の板状部材2の内方へ臨む開口部2aの開口面積A2より小さく、開口部2aの形状は、半球を半球の先端部を第1の板状部材2の内方の面21と平行な面で切断した球面形状となっている。つまり、開口部2aの断面形状は、図4に示す略半径Rの球体の半球の先端部が切除されたものとなっている。
【0013】
なお、図3及び図4に示すように、2bは粘着剤又は接着剤を溜める凹所であるたまり部で、たまり部2bは、第1の板状部材2の内方へ臨む開口部2aの周囲に設けられ、前記凹所の突出した開口部2aに近い側の面2Aは、前記凹所の突出した開口部2aに遠い側の面2Bより低くなっている(例えば、図4に示す高さH分低くなっている)。
従って、図5及び図6に示すように、第1の板状部材2の内方へ臨む側へローラLで粘着剤又は接着剤を塗布する際、凹所の突出した開口部2aに近い側の面2Aは、凹所の突出した開口部2aに遠い側の面2Bより低くなっているため、凹所の突出した開口部2aに近い側の面2Aに粘着剤又は接着剤が付着せず、凹所の突出した開口部2aに遠い側の面2Bより開口部2aへ向かう接着剤を凹所であるたまり部2bに溜め、開口部2a付近に粘着剤又は接着剤が付着するのを防ぎ、粘着剤又は接着剤が壁材1の表面に付着するのを防止することができる。
【0014】
第2の板状部材3は、第1の板状部材2の複数の開口部2aに対応するように設けられた複数の開口部3aを有し、第1の板状部材2に粘着剤又は接着剤により接合され、第2の板状部材3の貫通した複数の開口部3aは、第1の板状部材2と同様に、全て外方へ臨む開口部3aの開口面積B1は第2の板状部材2の内方へ臨む開口部3aの開口面積B2より小さく、開口部3aの形状は、半球を半球の先端部を第2の板状部材3の内方の面31と平行な面で切断した球面形状となっている。つまり、開口部3aの断面形状は、略半径Rの球体の半球の先端部が切除されたものとなっている。
【0015】
第2の板状部材3と第1の板状部材2は、図2に示すように、接合面Sに対して対称形状をなしている。そして、第1の板状部材2の複数の開口部2aと第2の板状部材3の複数の開口部3aで形成される空間Pに複数の球形状の光透過性部材4(光透過性部材4は、光を透過する部材で、例えば、ガラス、プラスチック等で形成されている。)が収納されている。
従って、第2の板状部材3の複数の開口部3aに複数の球形状の光透過性部材4を置き、粘着剤又は接着剤が塗布された第1の板状部材2を第2の板状部材3の形状が一致するように合わせて、粘着剤又は接着剤により接合して壁材1を形成することができる。
その結果、壁材1においては、第1の板状部材2の複数の開口部2aと第2の板状部材3の複数の開口部3aで形成される空間Pに複数の球形状の光透過性部材4を収納しているため、気密性をある程度保ちながら且つ採光できると共に、球形状の光透過性部材4を介するため、となりの風景をストレートではなく、屈折して取り入れるため、となりの風景等の保護(例えば、プライバシーの保護)を図ることができる。
【0016】
なお、第1の板状部材2の外方へ臨む開口部2aの形状(平面的形状)は、図7(a)に示すように、円形でも、また、図7(b)(c)(d)に示すように、多角形でも、また、図示しないが、楕円でも良いし、又は二つ以上を組み合わせ(例えば、円形と多角形の組み合わせ、多角形と楕円の組み合わせ、楕円と円形の組み合わせ、円形と多角形と楕円の組み合わせ)でも良い。第2の板状部材3も第1の板状部材2と同様に、第2の板状部材3の外方へ臨む開口部3aの形状は、円形、楕円、多角形でも良いし、又は二つ以上を組み合わせ(例えば、円形と多角形の組み合わせ、多角形と楕円の組み合わせ、楕円と円形の組み合わせ、円形と多角形と楕円の組み合わせ)でも良い。
【0017】
また、上述した実施例においては、壁材1の例として、例えば、間仕切りを挙げたが、本発明にあっては、これに限らず、壁材1の構造をそのまま「板状部材」としても良く(請求項1乃至3記載の壁材の構成を板状部材の構成にそのまま適用する。)、かかる場合、一実施形態として、家具等の化粧材として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明の壁材の使用状態を示す概略的斜視図である。
【図2】図2は、図1の2-2線による概略的断面図である。
【図3】図3は、図2を分解して示す概略的分解図である。
【図4】図4は、図3の一部を示す概略的断面図である。
【図5】図5は、ローラによる粘着剤又は接着剤の塗布状態を示す概略的断面図である。
【図6】図6は、ローラによる粘着剤又は接着剤の塗布状態を示す概略的斜視図である。
【図7】図7(a)は、第1の板状部材の一部を拡大して示す概略的図であり、図7(b)〜(d)は、図7(a)の変形例を示す概略的図である。
【符号の説明】
【0019】
1 壁材
2 第1の板状部材
2a 開口部
3 第2の板状部材
3a 開口部
4 光透過性部材
P 空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の開口部を有する第1の板状部材と、
この第1の板状部材の複数の開口部は、全て外方へ臨む開口部の開口面積は前記第1の板状部材の内方へ臨む開口部の開口面積より小さく、前記開口部の形状は、半球を前記第1の板状部材の内方の面と平行な面で切断した球面形状であり、
前記第1の板状部材の複数の開口部に対応するように設けられた複数の開口部を有し、前記第1の板状部材に粘着剤又は接着剤により接合される第2の板状部材と、
この第2の板状部材の複数の開口部は、全て外方へ臨む開口部の開口面積は前記第2の板状部材の内方へ臨む開口部の開口面積より小さく、前記開口部の形状は、半球を前記第2の板状部材の内方の面と平行な面で切断した球面形状であり、
前記第2の板状部材と前記第1の板状部材は、接合面に対して対称形状をなし、前記第1の板状部材の複数の開口部と前記第2の板状部材の複数の開口部で形成される空間に複数の球形状の光透過性部材が収納されていることを特徴とする壁材。
【請求項2】
第1の板状部材及び第2の板状部材の外方へ臨む開口部の形状は、円形、楕円、多角形の内のいずれか一つ又は二つ以上を組み合わせであることを特徴とする請求項1記載の壁材。
【請求項3】
第1の板状部材の内方へ臨む開口部の周囲に設けられ、粘着剤又は接着剤を溜める凹所であるたまり部と、前記凹所の突出した前記開口部に近い側の面は、前記凹所の突出した前記開口部に遠い側の面より低くなっていることを特徴とする請求項1又は2記載の壁材。
【請求項4】
複数の開口部を有する第1の板状部材と、
この第1の板状部材の複数の開口部は、全て外方へ臨む開口部の開口面積は前記第1の板状部材の内方へ臨む開口部の開口面積より小さく、前記開口部の形状は、半球を前記第1の板状部材の内方の面と平行な面で切断した球面形状であり、
前記第1の板状部材の複数の開口部に対応するように設けられた複数の開口部を有し、前記第1の板状部材に粘着剤又は接着剤により接合される第2の板状部材と、
この第2の板状部材の複数の開口部は、全て外方へ臨む開口部の開口面積は前記第2の板状部材の内方へ臨む開口部の開口面積より小さく、前記開口部の形状は、半球を前記第2の板状部材の内方の面と平行な面で切断した球面形状であり、
前記第2の板状部材と前記第1の板状部材は、接合面に対して対称形状をなし、前記第1の板状部材の複数の開口部と前記第2の板状部材の複数の開口部で形成される空間に複数の球形状の光透過性部材が収納されていることを特徴とする板状部材。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2006−233667(P2006−233667A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−52296(P2005−52296)
【出願日】平成17年2月28日(2005.2.28)
【出願人】(397074611)共和成産株式会社 (2)
【Fターム(参考)】