壁紙
【課題】ゼオライト粉による脱臭や調湿などの機能を十分に発揮させることができるような壁紙の提供。
【解決手段】ゼオライト粉14aとパルプ14bとを混合して造粒形成された多数の機能粒14を、基材シート12の上に保持した壁紙11。つまり、各機能粒14が、多数のゼオライト粉14aとパルプ14bとを有する一つのセルとなって、基材シート12の上に存在し、機能粒14中のゼオライト粉14aの周囲は、パルプ14bの存在によって通気性を有する状態である。このため、個々のゼオライト粉を取り巻くように合成樹脂等の材料が覆っている場合に比して、存在するゼオライト粉14aの機能を効率よく発揮させることができる。
【解決手段】ゼオライト粉14aとパルプ14bとを混合して造粒形成された多数の機能粒14を、基材シート12の上に保持した壁紙11。つまり、各機能粒14が、多数のゼオライト粉14aとパルプ14bとを有する一つのセルとなって、基材シート12の上に存在し、機能粒14中のゼオライト粉14aの周囲は、パルプ14bの存在によって通気性を有する状態である。このため、個々のゼオライト粉を取り巻くように合成樹脂等の材料が覆っている場合に比して、存在するゼオライト粉14aの機能を効率よく発揮させることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ゼオライト粉が有する機能を十分に発揮させることができるような壁紙に関する。
【背景技術】
【0002】
ゼオライトが脱臭や有害物質の吸着、調湿等に有効であるということは知られており、様々な物品に利用されている。壁紙もその一つである。
【0003】
壁紙にゼオライトを用いる例として、下記特許文献1や特許文献2に開示されたものがある。
【0004】
特許文献1の壁紙は、紙基材にゼオライトを添加(含有)させたものである。また、ゼオライト(無機質材料)からなるコーティング材を紙基材にコーティングして構成したもの(公報の図3および段落[0033]参照)も記載されている。
【0005】
特許文献2の壁紙は、シート状の壁紙本体に特定の人工ゼオライトを吸着積層させて構成したものである。吸着積層は、噴霧や刷毛塗布、ロール塗布によって行われる。
【0006】
このように、ゼオライトを利用した壁紙といっても、基材に対してゼオライト粉を漉き込むか、或いはゼオライト粉を含有した粘着物をコーティングして積層するか、いずれかの方法でゼオライトを存在させるというものであった。
【特許文献1】特開2001−303491号公報
【特許文献2】特開2001−336095号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、基材に対してゼオライト粉を含有させる場合においては、通気性を確保してゼオライトの機能を発揮させるため、基材は紙、もくしはこれに準ずる性質を有するものである必要があり、選択の幅が狭い。
【0008】
一方、基材に対してゼオライト粉を含有した粘着物をコーティングして積層する場合には、基材の材料が紙である必要はないが、ゼオライト粉の周囲には合成樹脂等の材料が存在し、ゼオライト粉を被覆している状態となる。このため、通気性が阻害されやすく、ゼオライト粉が有する本来の機能を十分に発揮させることが困難である。
【0009】
そこで、この発明は、ゼオライト粉の機能を十分に発揮させることができるような壁紙の提供を主たる課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そのための手段は、ゼオライト粉と繊維とを混合して造粒形成された機能粒を、基材シートの上に保持した壁紙である。たとえば基材シート上に、合成樹脂を含んでなる下塗層が形成され、該下塗層の上に、上記機能粒が散布されるとともに上塗層が形成されて、機能粒が保持される。
【0011】
このような構成の壁紙では、機能粒が、多数のゼオライト粉と繊維とを有する一つのセルとなって、基材シート上に存在する。そして、機能粒を覆うようにコーティングが施されても、機能粒中のゼオライト粉の周囲は、繊維の存在によって通気性を有する状態であるので、個々のゼオライト粉を取り巻くように合成樹脂等の材料が覆っている場合に比して、存在するゼオライト粉の機能を効率よく発揮させることができる。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、この発明によれば、保持するゼオライト粉の機能を十分に発揮させることができ、機能性の高い壁紙が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
この発明を実施するための一形態を、以下図面を用いて説明する。
図1は、壁紙11の構造を示す断面図であり、この壁紙11には、ゼオライトが用いられて、壁紙11を張った室内の空気に対して脱臭や有害物質の吸着、調湿などを行うものである。
【0014】
このような壁紙11は、裏打紙12と、下塗層13と、多数の機能粒14と、上塗層15とを有し、上記機能粒14にゼオライト粉14aが含有されている(図2参照)。
【0015】
裏打紙12には、織物や和紙や不燃紙など適宜の素材のものが使用できるが、価格等の転から普通紙が好適に用いられる。
【0016】
下塗層13は、機能粒14を固定することができるもので、粘着性を有する適宜の合成樹脂組成物の塗布で形成される。
【0017】
機能粒14は、ゼオライト粉14aとパルプ14bとを混合して、たとえば図2に図示したような立体的な粒状に形成されたものである。粒は、表面に凹凸を有するものであるとよい。表面積を大きくし機能性を確保できるとともに、製造後の壁紙11に自然な外観を得られるからである。
【0018】
ゼオライト粉14aには、天然ゼオライト、人工ゼオライト、合成ゼオライトが適宜用いられる。パルプは、木材パルプであるも、非木材パルプであるもよい。ゼオライト粉14aとパルプ14bは、周知の方法により混合造粒される。粒径は、たとえば0.1〜1mm程度に設定されるとよい。
【0019】
なお、上記パルプ14bに代えて、またはパルプ14bとともに、その他の繊維、たとえば炭素繊維などの適宜の機能を発揮する機能性繊維を用いることもできる。
【0020】
上塗層15は、機能粒14を覆うように下塗層13の上に形成されるもので、適宜の合成樹脂からなる。合成樹脂には、酸化チタン粉15aや珪藻土粉15bが混入されるとともに、撥水剤や顔料も混入される。
【0021】
合成樹脂には、ポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン系のものが好適に使用できる。より好ましくは、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂であるとよい。柔軟で、耐候性がよく、引裂強度、衝撃強度、ストレスクラッキング性に優れ、比重は軽く、透明性も得られるからである。また、焼却しても、有害ガスや黒煙はほとんど発生しないからである。
【0022】
このような各要素からなる壁紙11は、裏打紙12の片面に、押出コーティング等の適宜の方法で下塗層13を形成した後、これが乾かないうちに機能粒14を散布して機能粒14を固定する。このとき、機能粒14は、図1に示したように下塗層13の上に面方向に並んだ状態で満遍なく配置される。そして、機能粒14を固定した下塗層13の上に、機能粒を覆う上塗層15を形成して製造される。
【0023】
このようにして製造された壁紙11では、機能粒14が壁紙11の面方向に並んだ状態で配置されるとともに上塗層15で覆われるので、機能粒14が脱落したりすることはなく、また壁紙11の表面には、機能粒14の粒径に応じた凹凸ができるので、上塗層15の性状にもよるが自然な外観を演出できる。
【0024】
そして、裏打紙12を壁面に張った使用状態にあっては、上塗層15に含有された酸化チタンが光を吸収して脱臭等に光触媒効果を発揮するとともに、珪藻土粉15bも有害物質の吸着や調湿等を行い、室内空気の浄化等を行う。また、同時に、機能粒14中のゼオライト粉14aが、室内空気中の悪臭成分や有害物質の吸着を行うとともに、水分を吸着したり吐き出したりして調湿を行う。
【0025】
このゼオライト粉14aは、パルプ14bとともに造粒された機能粒14内に存在するので、周囲に通気性を有する状態である。このため、個々のゼオライト粉14aが合成樹脂等の材料に取り巻かれた状態で存在している場合に比して、ゼオライト粉の機能を効率よく発揮させることができる。この結果、機能性の高い壁紙11が得られる。
【0026】
この発明の構成と上記一形態の構成との対応において、
この発明の繊維は、パルプ14bに対応し、
基材シートは、裏打紙12に対応するも、
この発明は、上記構成のみに限定されるものではなく、その他の様々な形態を採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】壁紙の構造を示す断面図。
【図2】機能粒の一部断面斜視図。
【符号の説明】
【0028】
11…壁紙
12…裏打紙
13…下塗層
14…機能粒
14a…ゼオライト粉
14b…パルプ
15…上塗層
15a…酸化チタン粉
【技術分野】
【0001】
この発明は、ゼオライト粉が有する機能を十分に発揮させることができるような壁紙に関する。
【背景技術】
【0002】
ゼオライトが脱臭や有害物質の吸着、調湿等に有効であるということは知られており、様々な物品に利用されている。壁紙もその一つである。
【0003】
壁紙にゼオライトを用いる例として、下記特許文献1や特許文献2に開示されたものがある。
【0004】
特許文献1の壁紙は、紙基材にゼオライトを添加(含有)させたものである。また、ゼオライト(無機質材料)からなるコーティング材を紙基材にコーティングして構成したもの(公報の図3および段落[0033]参照)も記載されている。
【0005】
特許文献2の壁紙は、シート状の壁紙本体に特定の人工ゼオライトを吸着積層させて構成したものである。吸着積層は、噴霧や刷毛塗布、ロール塗布によって行われる。
【0006】
このように、ゼオライトを利用した壁紙といっても、基材に対してゼオライト粉を漉き込むか、或いはゼオライト粉を含有した粘着物をコーティングして積層するか、いずれかの方法でゼオライトを存在させるというものであった。
【特許文献1】特開2001−303491号公報
【特許文献2】特開2001−336095号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、基材に対してゼオライト粉を含有させる場合においては、通気性を確保してゼオライトの機能を発揮させるため、基材は紙、もくしはこれに準ずる性質を有するものである必要があり、選択の幅が狭い。
【0008】
一方、基材に対してゼオライト粉を含有した粘着物をコーティングして積層する場合には、基材の材料が紙である必要はないが、ゼオライト粉の周囲には合成樹脂等の材料が存在し、ゼオライト粉を被覆している状態となる。このため、通気性が阻害されやすく、ゼオライト粉が有する本来の機能を十分に発揮させることが困難である。
【0009】
そこで、この発明は、ゼオライト粉の機能を十分に発揮させることができるような壁紙の提供を主たる課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そのための手段は、ゼオライト粉と繊維とを混合して造粒形成された機能粒を、基材シートの上に保持した壁紙である。たとえば基材シート上に、合成樹脂を含んでなる下塗層が形成され、該下塗層の上に、上記機能粒が散布されるとともに上塗層が形成されて、機能粒が保持される。
【0011】
このような構成の壁紙では、機能粒が、多数のゼオライト粉と繊維とを有する一つのセルとなって、基材シート上に存在する。そして、機能粒を覆うようにコーティングが施されても、機能粒中のゼオライト粉の周囲は、繊維の存在によって通気性を有する状態であるので、個々のゼオライト粉を取り巻くように合成樹脂等の材料が覆っている場合に比して、存在するゼオライト粉の機能を効率よく発揮させることができる。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、この発明によれば、保持するゼオライト粉の機能を十分に発揮させることができ、機能性の高い壁紙が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
この発明を実施するための一形態を、以下図面を用いて説明する。
図1は、壁紙11の構造を示す断面図であり、この壁紙11には、ゼオライトが用いられて、壁紙11を張った室内の空気に対して脱臭や有害物質の吸着、調湿などを行うものである。
【0014】
このような壁紙11は、裏打紙12と、下塗層13と、多数の機能粒14と、上塗層15とを有し、上記機能粒14にゼオライト粉14aが含有されている(図2参照)。
【0015】
裏打紙12には、織物や和紙や不燃紙など適宜の素材のものが使用できるが、価格等の転から普通紙が好適に用いられる。
【0016】
下塗層13は、機能粒14を固定することができるもので、粘着性を有する適宜の合成樹脂組成物の塗布で形成される。
【0017】
機能粒14は、ゼオライト粉14aとパルプ14bとを混合して、たとえば図2に図示したような立体的な粒状に形成されたものである。粒は、表面に凹凸を有するものであるとよい。表面積を大きくし機能性を確保できるとともに、製造後の壁紙11に自然な外観を得られるからである。
【0018】
ゼオライト粉14aには、天然ゼオライト、人工ゼオライト、合成ゼオライトが適宜用いられる。パルプは、木材パルプであるも、非木材パルプであるもよい。ゼオライト粉14aとパルプ14bは、周知の方法により混合造粒される。粒径は、たとえば0.1〜1mm程度に設定されるとよい。
【0019】
なお、上記パルプ14bに代えて、またはパルプ14bとともに、その他の繊維、たとえば炭素繊維などの適宜の機能を発揮する機能性繊維を用いることもできる。
【0020】
上塗層15は、機能粒14を覆うように下塗層13の上に形成されるもので、適宜の合成樹脂からなる。合成樹脂には、酸化チタン粉15aや珪藻土粉15bが混入されるとともに、撥水剤や顔料も混入される。
【0021】
合成樹脂には、ポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン系のものが好適に使用できる。より好ましくは、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂であるとよい。柔軟で、耐候性がよく、引裂強度、衝撃強度、ストレスクラッキング性に優れ、比重は軽く、透明性も得られるからである。また、焼却しても、有害ガスや黒煙はほとんど発生しないからである。
【0022】
このような各要素からなる壁紙11は、裏打紙12の片面に、押出コーティング等の適宜の方法で下塗層13を形成した後、これが乾かないうちに機能粒14を散布して機能粒14を固定する。このとき、機能粒14は、図1に示したように下塗層13の上に面方向に並んだ状態で満遍なく配置される。そして、機能粒14を固定した下塗層13の上に、機能粒を覆う上塗層15を形成して製造される。
【0023】
このようにして製造された壁紙11では、機能粒14が壁紙11の面方向に並んだ状態で配置されるとともに上塗層15で覆われるので、機能粒14が脱落したりすることはなく、また壁紙11の表面には、機能粒14の粒径に応じた凹凸ができるので、上塗層15の性状にもよるが自然な外観を演出できる。
【0024】
そして、裏打紙12を壁面に張った使用状態にあっては、上塗層15に含有された酸化チタンが光を吸収して脱臭等に光触媒効果を発揮するとともに、珪藻土粉15bも有害物質の吸着や調湿等を行い、室内空気の浄化等を行う。また、同時に、機能粒14中のゼオライト粉14aが、室内空気中の悪臭成分や有害物質の吸着を行うとともに、水分を吸着したり吐き出したりして調湿を行う。
【0025】
このゼオライト粉14aは、パルプ14bとともに造粒された機能粒14内に存在するので、周囲に通気性を有する状態である。このため、個々のゼオライト粉14aが合成樹脂等の材料に取り巻かれた状態で存在している場合に比して、ゼオライト粉の機能を効率よく発揮させることができる。この結果、機能性の高い壁紙11が得られる。
【0026】
この発明の構成と上記一形態の構成との対応において、
この発明の繊維は、パルプ14bに対応し、
基材シートは、裏打紙12に対応するも、
この発明は、上記構成のみに限定されるものではなく、その他の様々な形態を採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】壁紙の構造を示す断面図。
【図2】機能粒の一部断面斜視図。
【符号の説明】
【0028】
11…壁紙
12…裏打紙
13…下塗層
14…機能粒
14a…ゼオライト粉
14b…パルプ
15…上塗層
15a…酸化チタン粉
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゼオライト粉と繊維とを混合して造粒形成された機能粒を、基材シートの上に保持した
壁紙。
【請求項2】
前記基材シート上に、合成樹脂を含んでなる下塗層が形成され、
該下塗層の上に、前記機能粒が散布されるとともに上塗層が形成されて、機能粒が保持された
請求項1に記載の壁紙。
【請求項3】
前記繊維がパルプである
請求項1または請求項2に記載の壁紙。
【請求項4】
前記機能粒が表面に凹凸を有する立体形状である
請求項1から請求項3のうちのいずれか一項に記載の壁紙。
【請求項5】
上塗層が酸化チタンの粉体を含有するものである
請求項2から請求項4のうちのいずれか一項に記載の壁紙。
【請求項1】
ゼオライト粉と繊維とを混合して造粒形成された機能粒を、基材シートの上に保持した
壁紙。
【請求項2】
前記基材シート上に、合成樹脂を含んでなる下塗層が形成され、
該下塗層の上に、前記機能粒が散布されるとともに上塗層が形成されて、機能粒が保持された
請求項1に記載の壁紙。
【請求項3】
前記繊維がパルプである
請求項1または請求項2に記載の壁紙。
【請求項4】
前記機能粒が表面に凹凸を有する立体形状である
請求項1から請求項3のうちのいずれか一項に記載の壁紙。
【請求項5】
上塗層が酸化チタンの粉体を含有するものである
請求項2から請求項4のうちのいずれか一項に記載の壁紙。
【図1】
【図2】
【図2】
【公開番号】特開2008−38307(P2008−38307A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−216813(P2006−216813)
【出願日】平成18年8月9日(2006.8.9)
【出願人】(506253757)有限会社双栄 (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月9日(2006.8.9)
【出願人】(506253757)有限会社双栄 (1)
【Fターム(参考)】
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