説明

壁裏補強板

【課題】 ボルトを斜めに入れても良好にボルトが雌ネジに螺合されて、器具の壁への固定作業が容易なものとなる壁裏補強板を提供する。
【解決手段】 室内側からボルト20で器具11aを壁3に固定する際に、壁3の裏側に貼設される壁裏補強板14であって、この壁裏補強板14には、ボルト20が螺合される雌ネジ16,16が切られているとともに、壁裏に当接する側にクッション性のあるシート17が貼り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内側からボルトで器具を壁に固定する際に、壁裏に貼設される壁裏補強板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されているように、室内側から握りバーを壁に固定する際に、壁裏に両面テープで固定金具を仮固定させておき、この固定金具に対しボルトを室内側から締め付けて、握りバーを壁に固定している。
【0003】
また、図8に示すように、洗面器台8を支持するブラケット11をボルト20を用いて壁3に固定する際に、従来では、壁3の裏側に補強板51を両面テープ53で貼り付けており、この補強板51には、遊びをもたせて別体のナット52、52が取り付けられており、このナット52にボルト20を締め付けできるように構成されている。
【特許文献1】特開2001−32492号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の特許文献1に開示されているような構成では、室内側からボルトを斜めに差し込んだような場合には、壁裏の固定金具のネジ孔に締め付けることが困難になるという問題点があった。
【0005】
また、図8に示すような補強板51では、別体のナット52を組み付ける加工工数が増え、また、ナット52を補強板51にかしめる力が弱いと、ナット52が抜け落ちる可能性もあった。
また、ナット52を取り付けるために、補強板51にはナット用の凹部等の凹凸部51aを形成させておく必要があり、そのため補強板51の幅が広くなり、壁3の裏側への補強板51の取り付けの自由度が少なくなってしまうという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記従来の問題点に鑑み案出したものであって、ボルトを斜めに差し込んだ場合でも良好に締め付けることができ、また取り付けの自由度が増す壁裏補強板を提供するものであり、その請求項1は、室内側からボルトで器具を壁に固定する際に、壁裏に貼設される壁裏補強板であって、該壁裏補強板には、前記ボルトが螺合される雌ネジが切られているとともに、該壁裏補強板には、前記壁裏に当接する側にクッション性のあるシートが貼り付けられていることである。
【0007】
また、請求項2は、前記壁裏補強板は平板状に形成され、バーリング加工した孔内に前記雌ネジが切られていることである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の壁裏に貼設される壁裏補強板には、ボルトが螺合される雌ネジが切られているとともに、壁裏に当接する側にクッション性のあるシートが貼り付けられていることにより、壁と壁裏補強板間には、クッション性のあるシートが介在されるため、ボルトを室内側から斜めに差し込んだ場合でも、締め込み時に追従し易いものとなり、良好にボルトが壁裏補強板の雌ネジに螺合されて、器具の取付作業を良好に行うことができるものとなる。また、壁裏補強板の壁裏への取り付けの自由度が増すこととなる。
【0009】
また、壁裏補強板は平板状に形成され、バーリング加工した孔内に雌ネジが切られていることにより、壁裏補強板を薄い板で構成することができ、バーリング加工により有効ネジ部分を増大させて、良好にボルトを壁裏補強板に締め付けることができるものとなる。
【実施例】
【0010】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、浴室内の斜視構成図であり、浴室1の洗い場2側の壁3には、鏡4と棚5と握りバー6が設けられており、その下方にはカウンター7が横設されて、更にその下方には、洗面器を置くことのできる洗面器台8が設けられている。
【0011】
例えば洗面器台8は、図2に分解図で示すように、一対のブラケット11,11が壁3にボルトで固定されて、このブラケット11,11により、洗面器台8を構成する天板9と前板10が支持されるものである。
ブラケット11は、壁3に当接される垂直片11aの上端から室内側へ水平に延びる水平片11bで構成され、垂直片11aには、上下方向に2個のボルト20を通すボルト孔12,12が貫通形成されており、また水平片11bには、天板9のボス部9a,9aと整合する位置に、ネジを通すネジ孔13,13が貫通形成されている。このネジ孔13,13には、下方側からネジを通して、ネジをボス部9a,9aにねじ込むことで、天板9がブラケット11に固定されるものである。
【0012】
なお、本例では、図3に斜視図で、また図4に縦断面図で示すような構造の壁裏補強板14が壁3の裏側に貼設されて、室内側からボルトをこの壁裏補強板14に締め付けて、ブラケット11を固定できるように構成されている。
壁裏補強板14は、薄い平板状の平板15に、上下に2個雌ネジ16,16が形成されており、雌ネジ16,16間の平板15の表側(壁3の裏側に当接する側)には、例えば厚みが2〜3mm程度のクッションシート17が貼着されており、このクッションシート17の前面には、両面テープ18が配設されている。なお、クッションシート17は、例えば発泡クッション材で構成されている。
【0013】
図3,図4では、薄い平板15に、裏側に向かって突出してバーリング加工部15a,15aが形成され、このバーリング加工部15a内に雌ネジ16が切られて構成されている。
このような壁裏補強板14は、両面テープ18を剥がして、クッションシート17を壁3の裏側に貼り付けて仮固定することができ、この時に、壁3に貫通形成されているボルト20の通る壁孔3a,3aに雌ネジ16,16を整合させて、壁裏補強板14が壁3の裏側に仮固定されるものである。
【0014】
なお、図5には、室内側からボルト20を差し込んだ場合の要部拡大断面図を示しており、この図5では、壁裏補強板14は、バーリング加工部15aの存在しない厚みの大なる平板15で構成されている。
壁3にブラケット11の垂直片11aを当接させ、ボルト孔12と壁孔3aを整合させて、室内側からボルト20をボルト孔12aから壁孔3aに通し、更に壁3の裏側に貼設されている壁裏補強板14の雌ネジ16にボルト20を螺合させてゆくのであるが、この時に、ボルト20を図5のように斜めに壁孔3a内に差し込んだ場合でも、クッションシート17が伸縮することで、壁裏補強板14が動き、ボルト20の傾きに追従し易くなり、良好にボルト20を雌ネジ16に螺合させてゆくことができるものとなり、ボルト20を室内側から締め付けた状態では、図6の断面図で示すように、クッションシート17は0.2mm〜0.3mm程度に縮まり、壁裏補強板14は、ほぼ壁3の裏側に当接状態となり、良好に補強効果を果たすことができ、強固にブラケット11を壁3に固定させることができるものとなる。
【0015】
本例の壁裏補強板14では、従来のようなナットが不要であり、またナットを取り付けるための凹凸部分が不要であるため、平板状に横幅の狭いもので構成することができ、形状が簡単なものとなって、製造コストを低減させることができるものとなる。
【0016】
なお、壁裏補強板14を、図7に示すように、横断面コの字状に形成させて、強度を高めることができるものである。
図7の壁裏補強板14では、クッションシート17及び両面テープ18を表面に取り付けた平板部15の幅方向両端側から、裏側へ向かって脚部15b,15bが一体形成されており、平板部15に雌ネジ16,16が形成されたものである。
【0017】
なお、本例では、洗面器台8を浴室の壁3に固定する場合を例示しているが、握りバー6やカウンター7や棚5を壁3に固定する際にも、同様に、図3または図7に示すようなクッションシート17を備えた壁裏補強板14を用い、ボルトを締め付けて固定することができるものであり、この際にも、ボルトを斜めに入れても良好にクッションシート17が伸縮することで壁裏補強板14が動き、ボルトの傾きに追従し易くなり、固定作業が容易に行えるものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】浴室の室内側から見た斜視構成図である。
【図2】浴室内に取り付けられる洗面器台の室内側から見た分解斜視図である。
【図3】壁裏に貼設される壁裏補強板の斜視構成図である。
【図4】壁裏補強板の側面縦断面構成図である。
【図5】室内側からボルトを斜めに入れた時のクッションシートが伸縮した状態を示す要部縦断面拡大構成図である。
【図6】ボルトを壁裏補強板に締め付けて固定した状態の要部縦断面拡大構成図である。
【図7】壁裏補強板の変形例を示す斜視構成図である。
【図8】従来の補強板を用いて洗面器台のブラケットを壁に固定する状態の分解斜視構成図である。
【符号の説明】
【0019】
1 浴室
3 壁
3a 壁孔
8 洗面器台
11 ブラケット
11a 垂直片
12 ボルト孔
14 壁裏補強板
15 平板(平板部)
15a バーリング加工部
15b 脚部
16 雌ネジ
17 クッションシート
18 両面テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内側からボルトで器具を壁に固定する際に、壁裏に貼設される壁裏補強板であって、該壁裏補強板には、前記ボルトが螺合される雌ネジが切られているとともに、該壁裏補強板には、前記壁裏に当接する側にクッション性のあるシートが貼り付けられていることを特徴とする壁裏補強板。
【請求項2】
前記壁裏補強板は平板状に形成され、バーリング加工した孔内に前記雌ネジが切られていることを特徴とする請求項1に記載の壁裏補強板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−200155(P2006−200155A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−10964(P2005−10964)
【出願日】平成17年1月18日(2005.1.18)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】