説明

壁面取付け式プランター

【課題】 建物の壁面や塀に取付けて草花を育成することが出来るプランターの提供。
【解決手段】 プランターは壇床1と壇受け2の組合せで構成され、壇床1は基部8と蓋部9とが互いに組み合わされて内部空洞を有し、蓋部9には大きな開口5を形成すると共に該開口5を覆うように背後と上部を開口した壇受け2を取付け、そして壇床1の下側縁13bには余分な水を流し出す為の水抜き穴又は水抜きパイプ7を設け、基部8には上記壁面4や塀に固定した支柱3のツメ25に係止して取付けられる係止穴26を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は建物の壁面や塀に取付けることが出来るプランターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、家の庭先で色々な草花を育てて楽しむガーデニングが流行している。又、ビルの屋上にミニ庭園を作るなどして建物を緑化することも多く行われている。ところで、家庭の庭先で行うガーデニングには一般にプランターが使用され、このプランターに土を入れて色々な草花を育てるといった方法が採られている。しかし、該プランターは庭の敷地面に置かれる為に、ある程度の敷地が必要となる。
【0003】
又、プランターを置くことが出来る広さのある庭先であっても、地面に置かれているプランターが邪魔になるケースも多い。勿論、配置できるプランターの個数は敷地面積に制限され、敷地からはみ出して置くことは出来ない。一方、庭の無いマンションなどでは、建物のバルコニーを囲むフェンスを利用して草花を育てる方法も知れている。
【0004】
例えば、特開2002−129647号に係る「建築物用緑化構造及び緑化植物基盤」は、建築物のバルコニーを囲むフェンス状の手摺りなどに対して植物による緑化を施すようになっている。この手摺り構造は、多孔板を有して建築物の所定領域を仕切る仕切り面と、仕切り面に取付けられる緑化盤材とを備えている。この緑化盤材は、一面が開放された平箱状をなし開放面を仕切り面に向けて取付けられる収容箱と、この収容箱に充填された保水層と、収容箱の開放面を塞ぐ被覆繊維層と、保水層に植え付けられ被覆繊維層を貫通して開放面から仕切り面の開口を通過して外面に延びる緑化植物とを有している。
【0005】
特開2005−211000号に係る「プランター 設置用フレーム」は、高齢者や障害者であっても手軽にガーデニング を始められることを考慮し、また、その構造から安価に構成することができるプランター設置用フレームであり、該プランターを支持するプランター 支持部を構成するプランター支持フレームと、該プランター 支持フレームを上方に支持する支柱と、該支柱に設けられて、プランター支持部の高さ位置を変更可能にする高さ調節機構と、前記支柱の各足部に取付けられたキャスターと、前記支柱に取付けられた脱着可能な作業台と、前記プランター支持部に取付けられたフックとから構成している。
【特許文献1】特開2002−129647号に係る「建築物用緑化構造及び緑化植物基盤」
【特許文献2】特開2005−211000号に係る「プランター 設置用フレーム」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、従来のプランターの設置には上記のごとき問題がある。本発明が解決しようとする課題はこれら問題点であり、敷地の狭い住宅であっても建物の壁面や塀に取付けることが出来るプランターを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るプランターは壇床と壇受けで構成され、壇受けは壇床に係止状態で取付けられる。そして、壇床は所定の厚さを有す長方形の箱体であって、基部に蓋部が組合された構造で、その内部は空洞と成っている。壇受けは上部と背面側を開口した箱形を成し、上記壇床の蓋部に係止して取付けられ、蓋部には内部空洞に連通する開口を有している。
【0008】
ところで、この壇受けを取付けた壇床は壁面に取着されるが、取着に際して支柱が用いられ、該支柱は建物の壁面に固定されている。そして、該支柱にはツメが正面側に突出して設けられ、このツメに係止して壇床が取着される。支柱は少なくとも壇床の左右側部に2本起立し、両支柱にて壇床が支えられる。一方、壇床の底(下側縁)には水抜き穴が貫通して設けられ、上部(上側縁)にも必要に応じて水抜き口が貫通される。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るプランターは壇床と壇受けとで構成され、壁面に固定される支柱を介して該壁面に取付けられる。ところで、壇受けには土が入れられ、該土は壇床の空洞に充填され、そして、壇受けに各種草花を植えて育成することが出来る。草花の根は壇受けから壇床へ伸びることが出来、壇受けから水をかけるならば壇床へ流れ込み、余分な水は底に設けた穴から排出される。
【0010】
本発明は壁面取付け式プランターであり、建物の壁面や塀に取付けることが出来、床面や地面に置かないので、狭い敷地の住宅やマンションでのガーデニングに適しており、数多くのプランターを壁面に配列して取付けることで、建物を緑化することが可能と成る。又、該プランターを上下左右に配列することで住宅の塀を構成することも可能と成る。すなわち、支柱を等間隔で起立すると共に該支柱のツメに壇床を係止して取付けることが出来、塀が構成される。
【実施例】
【0011】
図1は本発明に係るプランターを壁面に取付けた場合を示し、同図の1は壇床、2は壇受け、3は支柱を表している。2本の支柱3,3は所定の間隔をおいて建物の壁面4にネジ止めされ、壇床1はこの支柱3,3に取付けられている。ここでは壇床1に1個の壇受け2が取付けられているが、大きな壇床1とすることで2個乃至3個の壇受け2,2・・を取付けることも出来る。
【0012】
そして、壇床1は厚さTが30mmないし70mm程度の箱形をなしているが、壁面4に複数個を配列することも出来る。例えば、1列で横方向に配列したり、上下2列又は3列状態で横方向に配列する場合もある。このように配列することで、建物の壁面のほぼ全体を壇床1,1・・にて覆うことが出来、壇受け2,2・・に植えた草花にて壁面4が覆われる。
【0013】
図2は本発明のプランターを表している実施例であり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図をそれぞれ示している。壇床1の正面に壇受け2を取付けて構成され、この状態で壁面4に固定した支柱3,3に取付けることが出来る。該壇受け2は上部を開口したホッパーであって、これに土を入れるならば、壇床1の正面開口から内部空洞に充填され、壇受け2には任意の草花を植えて育成することが出来る。
【0014】
図3は壇床1を単独で表している。厚さの薄い箱形をした壇床1の正面には2個の開口5,5が形成され、該開口5,5の側部にはスリット溝6,6,6を有し、該スリット溝6,6,6にツメが係止して壇受け2が図2のように取付けられる。そして、壇床1の下端には水抜きパイプ7,7が下方へ延びていて、壇受け2に植えた草花に与えた水は開口5から壇床1の内部を流れ落ちて該水抜きパイプ7,7から排水される。
【0015】
図4はプランターの縦断面図、図5はプランターの横断面図をそれぞれ表している。同図に示すように壇床1は樹脂製の基部8と同じく樹脂製の蓋部9との組合せ構造と成っており、蓋部9に突出して設けた支え10,10・・に基部8が当ってネジ止めされている。基部8の周囲には外縁11と内縁12が一定の間隔をおいて沿設され、蓋部9の側縁13は上記外縁11と内縁12とに挟まれて組合されている。この場合、側縁13の先端にはゴムパッキン14が設けられて水漏れを防止した構造となっている。
【0016】
一方、壇受け2は正面板15、側板16,16、底板17、及び仕切り板18を両側板16,16の中間に設け、背後及び上方は開口した形状とし、側板16,16、及び仕切り板18の先端にはツメ19,19・・を設けている。又、底板17の先端には係止片20を垂直下方へ延ばしている。そして、該ツメ19,19・・は壇床1の蓋部9に形成しているスリット溝6,6・・に係止すると共に、係止片20は蓋部9の開口5の下縁に係止して壇受け2が取付けられている。従って、壇受け2は壇床1に着脱自在と成っている。
【0017】
壇床1の下部側には凸片22a,22bが基部8と蓋部9に設けられ、底板21は該凸部22a,22bに載って支持され、中央部には細長い形状で貫通した水抜き穴23が設けられている。そして、下側縁13bには水抜きパイプ7が取付けられて下方へ延び、上側縁13aには水抜き口24を設けている。
【0018】
ところで、該プランターは壁面4に固定した支柱3,3に取付けられるが、支柱3,3にはツメ25を有し、このツメ25が基部8に設けている係止穴26に嵌って係止される。すなわち、プランターは壁面4に固定している支柱3,3にワンタッチで取付けることが出来、逆に取外すことも出来る。
【0019】
図6は支柱3に取付けたプランターに土27を入れた場合を表している。壇受け2に土27を入れるならば、該土27は開口5から壇床1へ入って充填されて底板21まで土27が詰められる。そして、壇受け2には草花を植えることが出来、草花の根は壇受け2から壇床1まで延びることが出来る。草花に与えた余分な水は、底板21の水抜き穴23を通過して水抜きパイプ7から排出される。
【0020】
本発明のプランターは壇床1と壇受け2との組合せで構成しているが、図6に示すプランターの上に別なプランターを配置して取付けることが出来る。この場合には、上方に配置されるプランターの水抜きパイプ7は上側縁13aに貫通して設けた水抜き穴24に嵌められ、下側の壇床1を流れて水抜きパイプ7から排水される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明のプランターを壁面に固定した支柱に取付けた斜視図。
【図2】本発明に係るプランターを示す具体例。
【図3】プランターを構成する壇床。
【図4】本発明に係るプランターの縦断面図。
【図5】本発明に係るプランターの横断面図。
【図6】プランターの壇受け及び壇床に土を入れた場合。
【符号の説明】
【0022】
1 壇床
2 壇受け
3 支柱
4 壁面
5 開口
6 スリット溝
7 水抜きパイプ
8 基部
9 蓋部
10 支え
11 外縁
12 内縁
13 側縁
14 ゴムパッキン
15 正面板
16 側板
17 底板
18 仕切り板
19 ツメ
20 係止片
21 底板
22 凸片
23 水抜き穴
24 水抜き口
25 ツメ
26 係止穴
27 土

















【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の壁面や塀に取付けて草花を育成することが出来るプランターにおいて、該プランターは壇床と壇受けの組合せで構成され、壇床は基部と蓋部とが互いに組み合わされて内部空洞を有し、蓋部には大きな開口を形成すると共に該開口を覆うように背後と上部を開口した壇受けを取付け、そして壇床の下側縁には余分な水を流し出す為の水抜き穴又は水抜きパイプを設け、基部には上記壁面や塀に固定した支柱に係止して取付けられる係止手段を備えたことを特徴とするプランター。
【請求項2】
上記蓋部に設けた開口の側部にスリット溝を形成し、壇受けの側片にはツメを設けると共に底板の先端には係止片を垂直下方へ延ばし、該ツメをスリット溝に係止し、係止片を開口下縁に係止して壇受けを壇床に取付けた請求項1記載のプランター。
【請求項3】
上記壇床の中間下部には水抜き穴を形成した底板を設けた請求項1、又は請求項2記載のプランター。
【請求項4】
壁面に固定した支柱にはツメを設け、壇床の基部には係止穴を形成し、該ツメを係止穴に係止して支柱に取付けた請求項1、請求項2、又は請求項3記載のプランター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−197993(P2007−197993A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−17294(P2006−17294)
【出願日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(302033403)
【Fターム(参考)】