説明

変速機

【課題】 容易に組立てを行うことができる変速機を提供する。
【解決手段】 スピンドル47を固定するためのボールベアリング6を、ベアリングブラケット19に設けられたベアリング押え部材3とギアケース13との間で挟んで固定する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、グラインダ等の電動工具に用いられる変速機に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、グラインダ等の電動工具には、モータの回転軸と、グラインダの回転部分との間に変速機が設けられている。この変速機の構造は、図7に示すように、ギアケース13とベアリングブラケット19内部に、スピンドル47や変速用のハスバギア8,17を収納している。
【0003】この変速機50の組立て方を図8に基づいて説明する。
【0004】(1) スピンドル47にボールベアリング6を圧入する。
【0005】(2)ギアケース13にピニオン用ボールベアリング14を圧入する。
【0006】(3) ギアケース13に(1)の工程で作ったスピンドル47を圧入する。
【0007】(4) ギアケース13にベアリング押え板30を4本のネジ2によって固定する。これによって、ボールベアリング6がギアケース13に固定される。
【0008】(5) スピンドル47に平行キー1を挿入する。
【0009】(6) スピンドル47にハスバギア8をスピンドル47に圧入する。
【0010】(7) ボールベアリング10をベアリングブラケット19に圧入する。
【0011】(8) ピニオン15に平行キー16を挿入する。
【0012】(9) ハスバギア17に、平行キー1を取付けたピニオン15を圧入する。
【0013】(10)さらに、ピニオン15にボールベアリング5を圧入する。
【0014】(11)グリースを塗付する。
【0015】(12)ギアケース13にスピンドル47やピニオン15が組立てられた状態で、ベアリングブラケット19を被せ、ネジ11によって止める。
【0016】これにより、変速機50が完成する。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】上記のような変速機50の組立工程であると、12個の組立工程が必要であり、その組立てが煩雑となる。特に、ベアリング押え板30を4本のネジで固定する必要があり、非常に手間となる。
【0018】そこで本発明は上記問題点に鑑み、容易に組立てを行うことができる変速機を提供するものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明の変速機は、収納ケースと、その収納ケースの蓋とを組合わせて本体が構成され、前記蓋にモータの回転軸等の入力回転軸を挿入するための挿入孔が開口し、前記出力回転軸をボールベアリングによって前記収納ケースに回転自在に配すると共に、前記収納ケースから突出させ、前記出力回転軸と前記入力回転軸とを連結する変速用ギアを本体内部に備えた変速機において、前記ボールベアリングを、前記蓋に設けられたベアリング押え部材と前記収納ケースとの間で挾持するものである。
【0020】
【作 用】本発明の変速機であると、ボールベアリングを蓋に設けられたベアリング押え部材と収納ケースとの間で挟み固定するため、その組立てが容易となる。
【0021】
【発明の実施の形態】
(第1の実施例)本発明の第1の実施例を図1〜図4に基づいて説明する。
【0022】本実施例の変速機100は、グラインダ等の電動工具に用いられるものであり、モータの回転軸をその内部に挿入し、この回転数を変速して出力する。
【0023】この変速機100は、モータの回転軸が挿入される挿入孔20を有するベアリングブラケット19と、出力回転軸であるスピンドル47が突出するギアケース13を組合わせたものである。
【0024】ギアケース13の内側には、スピンドル47を回転自在に固定するためのボールベアリング6が取付けられている。また、モータの回転軸と係合するハスバギア17には、同軸にピニオン15が設けられ、このピニオン15とハスバギア8とが係合している。そして、このハスバギア8がスピンドル47と同軸に固定されている。すなわち、モータの回転軸7のギア9が回転すると、これと係合するハスバギア17が回転し、ピニオン15が回転する。すると、このピニオン15に係合しているハスバギア8が回転して、スピンドル47が回転する構造となっている。
【0025】なお、スピンドル47は、前記したギアケース13に取付けられたボールベアリング6と、ベアリングブラケット19に取付けられたベアリング10との間で回転自在に固定され、ピニオン15は、ベアリング5,14によって固定されている。
【0026】ギアケース13に取付けられているベアリング6は、ベアリング押さえ部材3によって固定されている。このベアリング押え部材3は、図3に示すように、コの字状に金属板を折曲したものであり、その中央部25にスピンドル47が挿入される孔22が開口し、中央部25から延びた脚部23,24は、ベアリングブラケット19にそれぞれ固定される。ギアケース13とベアリングブラケット19を組合わせた場合に、このベアリング押え部材3の中央部25が、ベアリング6を、ギアケース13に押し付ける。
【0027】次に、この変速機100の組立て方法について図4に基づいて説明する。
【0028】(1) スピンドル47に、ボールベアリング6を圧入する。
【0029】(2) スピンドル47に平行キー1を圧入する。
【0030】(3) スピンドル47をベアリング押え部材3の孔22に挿入し、さらにスピンドル47にハスバギア8を圧入する。
【0031】(4) スピンドル47の先端にボールベアリング10を圧入する。
【0032】(5) ピニオン15に平行キー16を挿入する。
【0033】(6) ピニオン15にハスバギア17を圧入する。
【0034】(7) ピニオン15の両端にボールベアリング14,5をそれぞれ圧入する。
【0035】(8) ベアリングブラケット19に組立てたスピンドル47と組立てたピニオン15を入れてグリースを塗付する。
【0036】(9) ギアケース13を組立てたベアリングブラケット19に合わせて、4つのネジ11で固定する。
【0037】上記の組立方法であると9つの組立工程ですむため、容易に組立てを行うことができる。また、組立てたスピンドル47やピニオン15は全てベアリングブラケット19に取付けられているため、その組立作業が行いやすい。さらに、ボールベアリング6は、ベアリング押え部材3によって完全に固定されているため、スピンドル47に水力を受けてもガタつくことがない。
【0038】(第2の実施例)図5、図6に基づいて変速機100の第2の実施例について説明する。
【0039】本実施例と第1の実施例の異なる点は、ベアリング押え部材3にある。
【0040】すなわち、本実施例では、ベアリングブラケット19から、一対の支持板26,27を立設させ、その上端部でベアリング6の外周部を押圧する構造となっている。
【0041】この構造であっても、ベアリング6は、一対の支持板26,27によってギアケース17に押圧されているため、完全に固定することができる。
【0042】
【発明の効果】以上により本発明の変速機であると、ボールベアリングを、蓋に設けられたベアリング押え部材と、収納ケースとの間で挟んで固定する構造であるため、その固定が完全に行うことができ、また、組立工数を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例の変速機の縦断面図である。
【図2】ギアケースを取り除いた状態のベアリングブラケットの平面図である。
【図3】変速機の分解斜視図である。
【図4】変速機の組立工程を示す説明図である。
【図5】第2の実施例の変速機の縦断面図である。
【図6】第2の実施例の変速機におけるギアケースを取り除いた状態のベアリングブラケットの平面図である。
【図7】従来の実施例の変速機の分解斜視図である。
【図8】従来の変速機の組立工程を示す説明図である。
【符号の説明】
1 平行キー
2 ネジ
3 ベアリング押え部材
5 ボールベアリング
6 ボールベアリング
8 ハスバギア
10 ボールベアリング
11 ネジ
13 ギアケース
14 ボールベアリング
15 ピニオン
16 平行キー
17 ハスバギア
19 ベアリングブラケット
47 スピンドル
20 挿入孔
22 孔
23 脚部
24 脚部
25 中央部
26 支持板
27 支持板

【特許請求の範囲】
【請求項1】収納ケースと、その収納ケースの蓋とを組合わせて本体が構成され、前記蓋にモータの回転軸等の入力回転軸を挿入するための挿入孔が開口し、前記出力回転軸をボールベアリングによって前記収納ケースに回転自在に配すると共に、前記収納ケースから突出させ、前記出力回転軸と前記入力回転軸とを連結する変速用ギアを本体内部に備えた変速機において、前記ボールベアリングを、前記蓋に設けられたベアリング押え部材と前記収納ケースとの間で挾持することを特徴とする変速機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図4】
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【図7】
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【図8】
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