多層ゴルフボール
【課題】適切なスピンレートを持ち、且つ良好な打球感を実現したゴルフボールを提供する。
【解決手段】コア12およびカバー11から成るゴルフボール10においてコアはボールのセンタの流体18、およびこの流体を包む第1のソリッドの非糸巻マントル層を有し、この第1のマントル層22はエチレンおよびα,β−不飽和カルボン酸のコポリマーまたはターポリマーからなり、この酸は有機酸の塩、カチオン源または有機酸の適切な塩基により少なくとも80%中和されている。ただし、カバーはポリウレタン、ポリ尿素、またはポリ尿素/ポリウレタンハイブリッドを有する。好ましくは、スピン減衰率が全ボール飛行に渡ってゴルフボールの当初のスピンレートの少なくとも10%である。
【解決手段】コア12およびカバー11から成るゴルフボール10においてコアはボールのセンタの流体18、およびこの流体を包む第1のソリッドの非糸巻マントル層を有し、この第1のマントル層22はエチレンおよびα,β−不飽和カルボン酸のコポリマーまたはターポリマーからなり、この酸は有機酸の塩、カチオン源または有機酸の適切な塩基により少なくとも80%中和されている。ただし、カバーはポリウレタン、ポリ尿素、またはポリ尿素/ポリウレタンハイブリッドを有する。好ましくは、スピン減衰率が全ボール飛行に渡ってゴルフボールの当初のスピンレートの少なくとも10%である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、センタの周りに配置され接着剤で相互に結合した複数のコア部分を有する多層ゴルフボールを目的とする。特に本発明は、ボールのセンタにおける流体から成るコア、流体を取り巻く第1のマントル層および第1のマントル層を取り巻きかつそれに隣接する第2の固形の糸巻きでないマントル層を有するゴルフボールを含む。
【背景技術】
【0002】
一般に、ゴルフボールはツーピースボールとスリーピースボールに分類されている。ツーピースボールはソリッドのポリマーコアとカバーから成る。これらのボールは一般に製造が簡単であるが、限られたプレー特性を有すると考えられている。スリーピースボールは引っ張った弾性材料で取り巻いたソリッドまたは液体充填センタおよびカバーから成る。スリーピースボールはゴルフクラブで打った場合に一般に良好な「クリック」および「感覚」を有するが、ツーピースボールより製造するのが困難である。
【0003】
先行技術は、最適なプレー特性を提供するように設計された種々のゴルフボールから成っている。これらの特性は一般に、ボールの初速およびスピンであり、これらを種々のプレーヤーに対して最適化することができる。例えば、あるプレーヤーはプレーしやすくするために高いスピン速度のボールでプレーすることを好む。他のプレーヤーは飛距離を最大化するために低いスピン速度のボールでプレーすることを好む。しかしながら、これらのボールには固い感覚がありグリーン周りでの制御が困難になる傾向がある。
【0004】
先行技術は液体充填ゴルフボールから成る。糸巻きゴルフボールは長年液体充填センタで製造されてきた。米国特許第1,568,513号(特許文献1)および同第1,904,012号(特許文献2)の両者は液体充填センタを有する糸巻きゴルフボールを目的としている。米国特許第5,150,906号(特許文献3)および同第5,480,155号(特許文献4)は、シェル中に導入されたときは液体である単一で非細胞状の材料または液体で充填したポリマー材料の中空で球形のシェルを目的としている。シェルは、内部層の外部表面を形成する外側カバーを有する内部層または外側カバーである旨開示されている。シェルの厚さは約0.152cm〜約1.04cm(0.060〜0.410インチ)まで変化する。
【0005】
ソリッドのセンタの周りに層を成形しようとするためには、球形の圧縮金型中のコア材料の二つのブロックの間に予備成形したセンタを置き、金型を閉じることが必要である。このことはカマタリ(Kamatari)が市販するゴルフボールの製造で行われている。しかしながらこの方法では、ゴルフボールのコア内にセンタを最終的に配置することに対する制御がほとんど行えない。センタの偏心における大きな変化が生じる可能性がある。
【0006】
先行技術は二重カバーのゴルフボールの製造も提供している。これは一般的には、コアの周りに最初に第1のカバー層の射出成形を行い、次いで第2のカバー層を成形することによって達成される。しかしながらこのシステムには複合射出金型、通常はコアを適切な位置に置くために引き込み式のピンを有する金型が必要である。
【特許文献1】米国特許第1,568,513号
【特許文献2】米国特許第1,904,012号
【特許文献3】米国特許第5,150,906号
【特許文献4】米国特許第5,480,155号
【発明の開示】
【0007】
本発明は、一定の直径を有し、コアおよびカバーから成るゴルフボールに関連し、ここで、コアはさらにボールのセンタにおける流体から成り、第1のマントル層は流体を取り巻き、第2の、固形の糸巻きでないマントル層は第1のマントル層を取り巻きかつそれに隣接しており、この場合、第1のマントル層は熱硬化性ゴム、プラスチックおよび熱可塑性エラストマー材料から成る群から選択するポリマー材料を含み、第2のマントル層は熱硬化性ゴム材料および熱可塑性エラストマー材料から成る群から選択するポリマー材料を含み、かつカバーはポリウレタン、ポリ尿素、またはポリ尿素/ポリウレタンハイブリッドを含む。
【0008】
1実施例において、コア中の流体は気体、液体、ゲル、ペーストまたはこれらの組み合わせである。他の実施例では、流体は熱膨張係数が小さいかまたは沸点が高い液体である。好ましい実施例では、流体は熱膨張係数が小さいかまたは沸点が高い液体であり、これを油、ポリオールおよびこれらの混合物から成る群から選択する。さらに他の実施例では、流体は気体であり、気体を空気、窒素、ヘリウム、アルゴン、ネオン、二酸化炭素、酸化二窒素およびこれらの混合物から成る群から選択する。
1実施例では、第1のマントル層は以下を含む:動的に加硫した熱可塑性エラストマー、官能化したスチレン−ブタジエンエラストマー、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリエーテルエステルまたはポリエーテルアミド、熱可塑性アイオノマー樹脂、熱可塑性ポリエステル、メタローセンポリマーまたはこれらのブレンド。他の実施例では、カバーは内側カバー層と薄い外側カバー層を含み、外側カバー層は注型性の反応性液体から形成された熱硬化性材料を含み、内側カバー層は曲げ弾性率が高い材料を含む。
【0009】
他の実施例では、コア、カバー、第1のマントル層または第2のマントル層は有機酸またはその塩で中和した酸基を含むポリマーを含み、有機酸またはその塩は少なくとも約70%までポリマーを中和するのに十分な量で存在する。好ましい実施例ではポリマーは以下を含む:アイオノマーコポリマーおよびターポリマー、アイオノマーの前駆体、熱可塑性物、熱可塑性エラストマー、ポリブタジエンゴム、バラタ、グラフト化したメタローセンで触媒したポリマー、グラフト化していないメタローセンで触媒したポリマー、シングルサイトポリマー(single−site polymer)、高結晶性酸ポリマー、カチオン性アイオノマー、およびこれらの混合物。他の好ましい実施例では、有機酸を以下から成る群から選択する:脂肪族有機酸、芳香族有機酸、飽和モノ−官能性有機酸、不飽和モノ−官能性有機酸、および多−不飽和モノ−官能性有機酸。さらに他の好ましい実施例では、有機酸の塩は、ステアリン酸、ベヘン酸、エルカ酸、オレイン酸、リノール酸、の以下の塩、二量化誘導体およびこれらの混合物を含む:バリウム、リチウム、ナトリウム、亜鉛、ビスマス、クロム、コバルト、銅、カリウム、ストロンチウム、チタン、タングステン、マグネシウム、セシウム、鉄、ニッケル、銀、アルミニウム、スズ、およびカルシウム。
【0010】
1実施例では、ゴルフボールの直径は少なくとも42.67mm(1.68インチ)である。他の実施例では、第1のマントル層の内径は約15.05〜27.94mm(0.75〜1.1インチ)である。さらに他の実施例では、コアの直径は約40.39mm(1.590インチ)またはそれより大きい。他の実施例では、カバーの厚さは約0.38〜3.05mm(0.015〜0.12インチ)である。
他の実施例では、第1のマントル層または第2のマントル層はさらにハロゲン化チオフェノールを含む。好ましくは、ハロゲン化チオフェノールは亜鉛ペンタクロロチオフェノールである。
【0011】
さらに他の実施例では、カバーはポリエーテルポリエステル熱可塑性ウレタン、熱硬化性ポリウレタン、ポリ尿素、またはポリウレタン/ポリ尿素ハイブリッドを含み、これらはイソシアネートプレポリマーから製造する。好ましくはプレポリマーはパラフェニレンジイソシアネートである。
1実施例では、本ゴルフボールは84.13g−cm2(0.460oz−in2)より大きい慣性モーメントを有する。他の実施例では、本ゴルフボールは82.30g−cm2(0.450oz−in2)より小さい慣性モーメントを有する。
【0012】
本発明はさらに一定の直径を有し、コアおよびカバーから成るゴルフボールを含み、該コアはさらにボールのセンタにおける流体から成り、第1のマントル層は流体を取り巻き、第2の、固形の糸巻きでないマントル層は第1のマントル層を取り巻きかつそれに隣接しており、第1のマントル層は熱硬化性ゴム、プラスチックおよび熱可塑性エラストマー材料から成る群から選択するポリマー材料を含み、かつ第2のマントル層は熱硬化性ゴム材料および熱可塑性エラストマー材料から成る群から選択するポリマー材料を含み、かつカバーはポリエーテルおよびポリエステル熱可塑性ウレタン、熱硬化性ポリウレタン、アイオノマー樹脂、低モジュラスアイオノマー、高モジュラスアイオノマー、およびこれらのブレンドから成る群から選択する材料を含む。1実施例では、カバーは熱硬化性ポリウレタンを含む。
【0013】
1実施例では、流体は熱膨張係数が小さいかまたは沸点が高い液体である。好ましい実施例では、流体は油、ポリオールおよびこれらの混合物から成る群から選択した、熱膨張係数が小さいかまたは沸点が高い液体である。さらに他の実施例では、流体は気体であり、この場合気体を空気、窒素、ヘリウム、アルゴン、ネオン、二酸化炭素、酸化二窒素およびこれらの混合物から成る群から選択する。
【0014】
1実施例では、第1のマントル層は以下を含む:動的に加硫した熱可塑性エラストマー、官能化したスチレン−ブタジエンエラストマー、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリエーテルエステルまたはポリエーテルアミド、熱可塑性アイオノマー樹脂、熱可塑性ポリエステル、メタローセンポリマーまたはこれらのブレンド。他の実施例では、カバーは内側カバー層と薄い外側カバー層を含み、外側カバー層は注型性の反応性液体から形成された熱硬化性材料を含み、内側カバー層は曲げ弾性率が高い材料を含む。
【0015】
他の実施例では、コア、カバー、第1のマントル層または第2のマントル層は有機酸またはその塩で中和した酸基を含むポリマーを含み、有機酸またはその塩は少なくとも約70%までポリマーを中和するのに十分な量で存在する。好ましい実施例ではポリマーは以下を含む:アイオノマーコポリマーおよびターポリマー、アイオノマーの前駆体、熱可塑性物、熱可塑性エラストマー、ポリブタジエンゴム、バラタ、グラフト化したメタローセンで触媒したポリマー、グラフト化していないメタローセンで触媒したポリマー、シングルサイトポリマー(single−site polymer)、高結晶性酸ポリマー、カチオン性アイオノマー、およびこれらの混合物。他の好ましい実施例では、有機酸を以下から成る群から選択する:脂肪族有機酸、芳香族有機酸、飽和モノ−官能性有機酸、不飽和モノ−官能性有機酸、および多−不飽和モノ−官能性有機酸。さらに他の好ましい実施例では、有機酸の塩は、ステアリン酸、ベヘン酸、エルカ酸、オレイン酸、リノール酸、の以下の塩、二量化誘導体およびこれらの混合物を含む:バリウム、リチウム、ナトリウム、亜鉛、ビスマス、クロム、コバルト、銅、カリウム、ストロンチウム、チタン、タングステン、マグネシウム、セシウム、鉄、ニッケル、銀、アルミニウム、スズ、およびカルシウム。
【0016】
1実施例では、ゴルフボールの直径は少なくとも42.67mm(1.68インチ)である。他の実施例では、第1のマントル層の内径は約15.05〜27.94mm(0.75〜1.1インチ)である。さらに他の実施例では、コアの直径は約40.39mm(1.590インチ)またはそれより大きい。他の実施例では、カバーの厚さは約0.38〜3.05mm(0.015〜0.12インチ)である。
【0017】
他の実施例では、第1のマントル層または第2のマントル層はさらにハロゲン化チオフェノールを含む。好ましくは、ハロゲン化チオフェノールは亜鉛ペンタクロロチオフェノールである。
【0018】
1実施例では、本ゴルフボールは84.13g−cm2(0.460oz−in2)より大きい慣性モーメントを有する。他の実施例では、本ゴルフボールは82.30g−cm2(0.450oz−in2)より小さい慣性モーメントを有する。
【0019】
本発明はさらに、一定の直径を有し、コアおよびカバーから成るゴルフボールを含み、ここで、コアはさらにボールのセンタにおける流体から成り、第1のマントル層は流体を取り巻き、第2の、固形の糸巻きでないマントル層は第1のマントル層を取り巻きかつそれに隣接しており、この場合、第1のマントル層は熱硬化性ゴム、プラスチックおよび熱可塑性エラストマー材料から成る群から選択するポリマー材料を含み、第2のマントル層は熱硬化性ゴム材料および熱可塑性エラストマー材料から成る群から選択するポリマー材料を含む材料からそれぞれ製造する2またはそれより多い層を含む。好ましい実施例では、熱硬化性ゴム材料をポリイソプレン、スチレンブタジエン、ポリブタジエンおよびこれらの混合物から成る群から選択する。ほかの好ましい実施例では、熱可塑性エラストマー材料を以下から成る群から選択する:メチルメタクリレートとブタジエンおよびスチレンとのコポリマー、メチルアクリレートとブタジエンおよびスチレンとのコポリマー、アクリロニトリルスチレンコポリマー、ポリエーテル−エステル、ポリエーテル−アミド、ポリウレタン、プロピレン/エチレン−プロピレン−ジエンゴム、スチレン−ブタジエンエラストマー、メタローセンポリマー、ポリエーテルエステル、ポリエーテルアミド、アイオノマー樹脂、ポリエステル、およびこれらのブレンド。
【0020】
1実施例では、コア中の流体は熱膨張係数が小さいかまたは沸点が高い液体である。好ましい実施例では、流体は油、ポリオールおよびこれらの混合物から成る群から選択した、熱膨張係数が小さいかまたは沸点が高い液体である。さらに他の実施例では、流体は気体であり、この場合気体を空気、窒素、ヘリウム、アルゴン、ネオン、二酸化炭素、酸化二窒素およびこれらの混合物から成る群から選択する。
【0021】
1実施例では、第1のマントル層は以下を含む:動的に加硫した熱可塑性エラストマー、官能化したスチレン−ブタジエンエラストマー、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリエーテルエステルまたはポリエーテルアミド、熱可塑性アイオノマー樹脂、熱可塑性ポリエステル、メタローセンポリマーまたはこれらのブレンド。他の実施例では、カバーは内側カバー層と薄い外側カバー層を含み、外側カバー層は注型性の反応性液体から形成された熱硬化性材料を含み、内側カバー層は曲げ弾性率が高い材料を含む。
【0022】
他の実施例では、コア、カバー、第1のマントル層または第2のマントル層は有機酸またはその塩で中和した酸基を含むポリマーを含み、有機酸またはその塩は少なくとも約70%までポリマーを中和するのに十分な量で存在する。好ましい実施例ではポリマーは以下を含む:アイオノマーコポリマーおよびターポリマー、アイオノマーの前駆体、熱可塑性物、熱可塑性エラストマー、ポリブタジエンゴム、バラタ、グラフト化したメタローセンで触媒したポリマー、グラフト化していないメタローセンで触媒したポリマー、シングルサイトポリマー(single−site polymer)、高結晶性酸ポリマー、カチオン性アイオノマー、およびこれらの混合物。他の好ましい実施例では、有機酸を以下から成る群から選択する:脂肪族有機酸、芳香族有機酸、飽和モノ−官能性有機酸、不飽和モノ−官能性有機酸、および多−不飽和モノ−官能性有機酸。さらに他の好ましい実施例では、有機酸の塩は、ステアリン酸、ベヘン酸、エルカ酸、オレイン酸、リノール酸、の以下の塩、二量化誘導体およびこれらの混合物を含む:バリウム、リチウム、ナトリウム、亜鉛、ビスマス、クロム、コバルト、銅、カリウム、ストロンチウム、チタン、タングステン、マグネシウム、セシウム、鉄、ニッケル、銀、アルミニウム、スズ、およびカルシウム。
【0023】
1実施例では、ゴルフボールの直径は少なくとも42.67mm(1.68インチ)である。他の実施例では、第1のマントル層の内径は約15.05〜27.94mm(0.75〜1.1インチ)である。さらに他の実施例では、コアの直径は約40.39mm(1.590インチ)またはそれより大きい。他の実施例では、カバーの厚さは約0.38〜3.05mm(0.015〜0.12インチ)である。
【0024】
他の実施例では、第1のマントル層または第2のマントル層はさらにハロゲン化チオフェノールを含む。好ましくは、ハロゲン化チオフェノールは亜鉛ペンタクロロチオフェノールである。
【0025】
1実施例では、本ゴルフボールは84.13g−cm2(0.460oz−in2)より大きい慣性モーメントを有する。他の実施例では、本ゴルフボールは82.30g−cm2(0.450oz−in2)より小さい慣性モーメントを有する。
【0026】
他の実施例において、ある直径を有し、コアおよびカバーを具備するゴルフボールが実現される。コアは、さらにボールの中央の流体の塊と、この流体の塊を包囲する第1のソリッドの非糸巻層とを有する。この第1の層は、エチレンおよびα,β−不飽和カルボン酸のコポリマーまたはターポリマーを有し、この酸は、有機酸の塩、カチオン源、または有機酸の適切な塩基により少なくとも80%中和されている。カバーは、ポリウレタン、ポリ尿素、またはポリウレタン/ポリ尿素ハイブリッドを有する。
【0027】
他の実施例において、ある直径を有し、コアおよびカバーを具備するゴルフボールが実現される。コアは、さらにボールの中央の流体の塊と、この流体の塊を包囲するシェルと、このシェルを包囲する第1のソリッドの非糸巻マントル層とを有する。この第1のマントル層は、エチレンおよびα,β−不飽和カルボン酸のコポリマーまたはターポリマーを有し、この酸は、有機酸の塩、カチオン源、または有機酸の適切な塩基により少なくとも80%中和されている。カバーは、ポリウレタン、ポリ尿素、またはポリウレタン/ポリ尿素ハイブリッドを有する。
【0028】
さらに他の実施例において、ある直径を有し、コアおよびカバーを具備するゴルフボールが実現される。コアは、さらにボールの中央の流体の塊と、この流体の塊を包囲する第1のソリッドの非糸巻マントル層とを有する。この第1のマントル層は、エチレンおよびα,β−不飽和カルボン酸のコポリマーまたはターポリマーを有し、この酸は、有機酸の塩、カチオン源、または有機酸の適切な塩基により少なくとも80%中和されている。カバーは、ポリウレタン、ポリ尿素、またはポリウレタン/ポリ尿素ハイブリッドを有する。ゴルフボールのスピン減衰率は、全体のボール飛行に渡って、当初のスピンレートの少なくとも10%である。
【0029】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面とともに提供される以下の詳細な説明から明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明のゴルフボールはいずれの型のボール構成も含む。例えば、ゴルフボールは少なくともスリーピースの構成、多層コア、多層カバー、一または複数のマントル層または中間層を有することができる。本明細書で使用する「多層」という用語は、少なくとも二つの層を意味する。本明細書で使用する「層」という用語は、一般にゴルフボールの球形部分、すなわちゴルフボールコアまたはセンタ、マントル層、および/またはゴルフボールカバーを含むことができる。
【0031】
図1を参照すると、ボール10はカバー11とコア12を含む。本明細書で使用する「コア」という用語は、ゴルフボールの最内層の部分を意味し、一または複数の層を含むことができる。多層コアを考慮する場合、コアはその上に配置した一または複数の追加のコア層を有する最内層の構成要素である。少なくともコアの一部、典型的にはセンタはソリッド、半ソリッド、中空、粉末充填した、または流体充填した、好ましくは流体充填したものである。本明細書で使用する「流体」という用語は、気体、液体、ゲル、ペースト、または類似物、またはこれらを組み合わせたものを意味する。1実施例では、コア12は内部球体13を有し、それはコアと中心を共通にして配置され、かつ液状センタのシェル20内の空所に流体センタ18を含むのが好ましい。
【0032】
1実施例では、コア12はさらに第1のマントル層22を有し、これは内部球体13を取り囲む。併せて、液状センタのシェル20および第1のマントル層22は、ボールのマントル部分16の一部である。図2のマントル部分16は追加の第2のマントル層40を含む。液状センタのシェル20およびマントル層22および40は好ましくはエラストマーである。
【0033】
「マントル層」(内側層または中間層としても知られている)を、本明細書ではカバーとコアの間の容量を占めるゴルフボールの部分として規定する。このようなマントル層を、ゴルフボール層の間のいくつかの相違、例えば硬度、圧縮、厚さ等によって、カバーまたはコアと区別することができる。マントル層を、所望の場合には、多層カバーまたは多層コアと共に、または多層カバーと多層コアの両者と共に使用することができる。従って、マントル層を本技術分野では内側カバー層、外側コア層または中間層、すなわちゴルフボールの内側コアと外側カバーとの間に配置した層ということがあり、この層を、例えば単一層若しくは多層カバー、ワンピースコア若しくは多層コア、単一層カバーとコアの両者、または多層カバーと多層コアの両者と一緒にすることができる。コアについては、マントル層は複数の層を含むこともできる。所望により、いかなる数または型のマントル層も使用できることが理解できよう。
【0034】
カバー11はボール10とクラブおよび他の物体、例えば樹木、カート通路、および芝との接点を提供する。カバーにとって望ましい性質は特に良好な流動性、高い剥離耐性、高い引き裂き強度、高いレジリエンス、および良好な離型性である。ゴルフボールは一つのカバー層、または2若しくはそれ以上のカバー層、例えば米国特許第5,885,172号に記載されているものを含むことができ、該特許に言及することによってその全ての開示内容を本明細書に取り込む。例えば、多層カバーを有するゴルフボールは内側カバー層と薄い外側カバー層を含むことができ、該外側カバー層は注型性の反応性液体から形成した熱硬化性材料を含み、該内側カバー層は高い曲げ弾性率材料を含む。好ましくは、カバー11は、射出成形した、圧縮成型した、注型または反応射出成形した一または複数の層をから成る。
【0035】
カバー11はポリマー材料、例えばエチレンと不飽和モノカルボン酸とのイオン性コポリマーから成っていてもよく、該コポリマーは、ウイルミントン、DEのデュポン社(E. I. DuPont De Nemours & Company of Wilmington, DE)の商標名「SURLYN(登録商標)」として、またはヒューストン、TXのエクソン(Exxon of Houston, TX)から商標名「IOTEK(登録商標)」または「ESCOR(登録商標)」として入手可能なものである。これらはエチレンとメタクリル酸またはアクリル酸とのコポリマーであり、亜鉛、ナトリウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、マンガン、ニッケル等で部分的に中和されている。
【0036】
本発明の種々の実施例に従って、カバー11は一般的に十分な強度、良好な作動特性および耐久性を提供する厚さを有する。好ましくは、カバー11の厚さは約0.38mm(0.015インチ)〜約3.05mm(0.12インチ)である。より好ましくはカバー11の厚さは約0.51〜2.29mm(0.020〜0.09インチ)の厚さであり、もっとも好ましくは約0.64〜2.16mm(0.025〜0.085インチ)である。
【0037】
本発明の好ましい実施例に従うと、カバー11を亜鉛、マグネシウム、カルシウム、カリウム、リチウムおよび/またはナトリウムイオン性コポリマーの混合物またはブレンドから製造することができる。カバー11に使用するSURLYN(登録商標)樹脂はナトリウム、リチウムまたは亜鉛塩であるイオン性コポリマーであり、該コポリマーは2〜8の炭素原子を有するオレフィンと3〜8の炭素原子を有する不飽和モノカルボン酸との反応生成物である。コポリマーのカルボン酸基は完全にまたは部分的に中和されていてもよく、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸またはイタコン酸を含んでもよい。
【0038】
本発明に含まれるゴルフボールおよびその構成(例えば、カバー層、マントル層、および/またはコア層)を、さらに例えば以下のようなホモポリマー材料またはコポリマー材料と共に使用することができる:
(1)ビニル樹脂、例えば塩化ビニルの重合により製造したもの、または塩化ビニルと酢酸ビニル、アクリル酸エステルまたは塩化ビニリデンとの共重合により製造したもの;
(2)ポリオレフィン、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレンおよびコポリマー、例えばエチレンメタクリレート、エチレンエチルアクリレート、エチレンビニルアセテート、エチレンメタクリル酸またはエチレンアクリル酸またはプロピレンアクリル酸、およびシングルサイト触媒を使用して製造したコポリマーおよびホモポリマー;
(3)ポリウレタン、例えばポリオールとジイソシアネートまたはポリイソシアネートから製造したもの、および米国特許第5,334,673号に開示されているもの;
(4)ポリ尿素、例えば米国特許第5,484,870号に開示されているもの;
(5)ポリアミド、例えばポリ(ヘキサメチレンアジパミド)およびジアミンと二塩基酸から製造した他のポリアミド、並びにポリ(カプロラクタム)のようなアミノ酸からのポリアミドおよびポリアミドとSURYLN(登録商標)、ポリエチレン、エチレンコポリマー、エチル−プロピレン−非共役ジエンターポリマー等とのブレンド;
【0039】
(6)アクリル系樹脂およびこれらの樹脂とポリ塩化ビニル、エラストマー等とのブレンド;
(7)熱可塑性物、例えばウレタン、オレフィン系熱可塑性ゴム、例えばポリオレフィンとエチレン−プロピレン−非共役ジエンターポリマーとのブレンド、スチレンとブタジエンとのブロックコポリマー、イソプレンまたはエチレン−ブチレンゴム、またはコポリ(エーテル−アミド)、例えばフィラデルフィア、PAのアトフィナ(Atofina)が市販するPEBAX(登録商標);
(8)ポリフェニレンオキシド樹脂、またはピッツフィールド、MAのジェネラル エレクトリック(General Electric)社が商標名「NORYL(登録商標)」で市販するポリフェニレンオキシドと高耐衝撃性ポリスチレンとのブレンド;
(9)熱可塑性ポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/グリコール変性物およびウイルミントン、DEのデュポン社(E. I. DuPont De Nemours & Company of Wilmington, DE)が商標名「HYTREL(登録商標)」で市販するエラストマーおよびピッツフィールド、MAのジェネラル エレクトリック(General Electric)社が商標名「LOMOD(登録商標)」で市販するエラストマー:
(10)ポリカーボネートとアクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、スチレン無水マレイン酸、ポリエチレン、エラストマー等とを含むブレンドおよびアロイ、並びにポリ塩化ビニルとアクリロニトリルブタジエンスチレンまたはエチレン酢酸ビニルまたは他のエラストマーとのブレンドおよびアロイ;および
(11)熱可塑性ゴムとポリエチレン、プロピレン、ポリアセタール、ナイロン、ポリエステル、セルロースエステル等とのブレンド。
【0040】
先に概要を述べたカバー層、マントル層、および/またはコア層の組成物に、追加の材料を含ませることができる。例えば、以下のものを組成物に添加することができる:反応強化剤、触媒、着色剤、蛍光増白剤、架橋剤および共−架橋剤、白色化剤、例えばTiO2およびZnO、UV吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤、消泡剤、反応補助剤、界面活性剤、およびその他の常用の添加物。さらに以下のものをカバーおよび/またはマントル層組成物のいずれにも添加することができる:抗酸化剤、安定剤、軟化剤、内部可塑剤および外部可塑剤を含む可塑剤、衝撃調節剤、発泡剤、密度調整剤、強化材料、および相溶化剤。当業者は、特定の添加物の利益を達成するのに必要なそれぞれの型の添加物の量を承知している。
【0041】
好ましい実施例において、カバー11はポリマー、例えば以下のものから成る:エチレン、プロピレン、ブテン−1、またはヘキセン−1をベースとするホモポリマーおよびコポリマーであって、官能性モノマー、例えばアクリル酸およびメタクリル酸を含むもの、および完全にまたは部分的に中和したアイオノマー樹脂およびそのブレンド、メチルアクリレート、メチルメタクリレートホモポリマーおよびコポリマー、イミド化した、アミノ基含有ポリマー、ポリカーボネート、強化ポリアミド、ポリフェニレンオキシド、高耐衝撃性ポリスチレン、ポリエーテルケトン、ポリスルホン、ポリ(フェニレンスルフィド)、アクリロニトリル−ブタジエン、アクリル−スチレン−アクリロニトリル、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ブチレンテレフタレート)、ポリ(エチレンビニルアルコール)、ポリ(テトラフルオロエチレン)および官能性コモノマーを含むこれらのコポリマーおよびこれらのブレンド。さらに、カバー11は好ましくは以下のものから成る:ポリエーテルまたはポリエステル熱可塑性ウレタン、熱硬化性ポリウレタン、低モジュラスアイオノマー、例えば酸を含むエチレンコポリマーアイオノマー、E/X/Yを含むコポリマーであって、Eがエチレン、Xが0〜50質量%存在するアクリレートまたはメタクリレートをベースとする軟化コモノマーであり、Yが5〜35質量%存在するアクリル酸またはメタクリル酸であるもの。より好ましくは、最大の飛距離を目的として設計された低スピン速度の実施例では、アクリル酸またはメタクリル酸は15〜35質量%存在し、アイオノマーを高モジュラスアイオノマーとする。高スピンの実施例では、酸は10〜15質量%存在するかまたは低モジュラスアイオノマーと標準的なアイオノマーのブレンドを使用する。
【0042】
他の好ましい実施例では、カバー11はポリ尿素またはポリウレタン/ポリ尿素ハイブリッド、例えば米国特許第6、835、794号明細書に記載されたものから成る。ポリ尿素またはポリウレタン/ポリ尿素ハイブリッドは、脂肪族、芳香族またはこれらの組み合わせであってもよい。好ましい実施例では、カバー11を、少なくとも一つの光安定性のまたは飽和ポリ尿素を含むポリ尿素組成物から製造する。光安定性を種々の方法で達成することができ、例えば飽和した成分のみを含むポリ尿素組成物、すなわち飽和したプレポリマーと飽和した硬化剤のみを含む組成物、または芳香族成分を使用する場合は光安定性を改良する光安定剤を含む組成物を使用することによって達成することができる。光安定性のまたは飽和したポリ尿素は、カバーの約1質量%〜約100質量%含まれ、カバーの残部は、それが存在する場合は一または複数の相溶性の、反発弾性のあるポリマー、例えば当業者に公知のものを含む。
【0043】
ポリ尿素組成物を、少なくとも一つのイソシアネート、少なくとも一つのポリエーテルアミン、および少なくとも一つの硬化剤から製造することができる。好ましくは、少なくとも一つの硬化剤はジオールまたは第2ジアミン硬化剤である。
【0044】
他の実施例では、ポリエーテルまたはポリエステル熱可塑性ウレタン、熱硬化性ポリウレタン、ポリ尿素、またはポリウレタン/ポリ尿素ハイブリッドを、イソシアネートプレポリマー(本明細書で「イソシアネート」ということがある)から製造する。当業者にとって入手可能ないずれのイソシアネートも本発明に従って使用することが適切である。本発明で使用するイソシアネートは、脂肪族、脂環式、芳香脂肪族、芳香族、これらのいずれかの誘導体、および分子当たり2またはそれより多いイソシアネート(NCO)基を有するこれらの化合物の組み合わせを含む。イソシアネートは以下のものであることができる:有機ポリイソシアネートが末端であるプレポリマー、低級遊離イソシアネート、およびこれらの混合物。イソシアネートを含む反応性成分はさらに以下のものを含むことができる:全てのイソシアネート−官能性モノマー、ダイマー、トリマー、またはこれらのマルチマー付加物、プレポリマー、疑似プレポリマー、またはこれらの混合物。イソシアネート−官能性化合物は2またはそれより多いイソシアネート官能性を含むモノイソシアネートまたはポリイソシアネートを含む。
【0045】
本発明の組成物はさらにジイソシアネートプレポリマーのブレンドから製造するポリウレタン、例えばデワンジー(Dewanjee)他の米国特許第6,569,034号に開示されたものを含み、この特許の開示の全てをそれに言及することによって本明細書に取り込む。本発明の組成物はさらにパラフェニレンジイソシアネートをベースとするポリウレタンプレポリマーから製造するポリウレタン、例えばデワンジー(Dewanjee)他の米国特許第6,117,024号に開示されたものを含み、この特許の開示の全てをそれに言及することによって本明細書に取り込む。
【0046】
好ましい実施例では、イソシアネートはジイソシアネート、例えば一般式:O=C=N−R−N=C=Oを有するジイソシアネートを含む飽和または不飽和のジイソシアネートであり、式中、Rは約1〜20の炭素原子を含む環状、芳香族、脂肪族、直鎖、分岐した、または置換した炭化水素部分、例えばアリーレン、アラルキレン、アルキレン、またはシクロアルキレンである。複数の環状基または芳香族基が存在する場合、約1〜10の炭素原子を含む直鎖、分岐した、または置換した炭化水素が環状基または芳香族基の間にスペーサーとして存在することができる。ある場合には、環状基または芳香族基は、それぞれ2−、3−、および/または4−位で置換されていてもよい。置換基は以下の基を含むことができるが、これに限定されない:ハロゲン、シアノ基、アミノ基、シリル基、ヒドロキシル基、酸基、アルコキシ基、第1、第2、または第3炭化水素基、またはこれらの混合物。
【0047】
ポリウレタンプレポリマーで使用することができる飽和(脂肪族)ジイソシアネートの例は以下を含むが、これに限定されない:エチレンジイソシアネート;プロピレン−1,2−ジイソシアネート;テトラメチレンジイソシアネート;1,4−テトラメチレンジイソシアネート;1,5−ペンタメチレンジイソシアネート;2−メチル−1,5−ペンタメチレンジイソシアネート;1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI);HDIから製造したHDIビウレット;オクタメチレンジイソシアネート;デカメチレンジイソシアネート;2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート;2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート;1,7−ペンタメチレンジイソシアネート;1,8−オクタメチレンジイソシアネート;1,9−ノバメチレンジイソシアネート;1,10−デカメチレンジイソシアネート;1,12−ドデカメチレンジイソシアネート;1,3−シクロブタンジイソシアネート;1,2−シクロヘキサンジイソシアネート;1,3−シクロヘキサンジイソシアネート;1,4−シクロヘキサンジイソシアネート;メチルシクロへキシレンジイソシアネート(HTDI);2,4−メチルシクロヘキサンジイソシアネート;2,6−メチルシクロヘキサンジイソシアネート;4,4’−ジシクロヘキサンジイソシアネート;2,4’−ジシクロヘキサンジイソシアネート;1,3,5−シクロヘキサントリイソシアネート;イソシアナトメチルシクロヘキサンイソシアネート;1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン;イソシアナトエチルシクロヘキサンイソシアネート;ビス(イソシアナトメチル)−シクロヘキサンジイソシアネート;4,4’−ビス(イソシアナトメチル)ジシクロヘキサン;2,4’−ビス(イソシアナトメチル)ジシクロヘキサン;イソホロンジイソシアネート(IPDI);HDIのトリイソシアネート;2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジイソシアネートのトリイソシアネート(TMDI);4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI);2,4−ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート;2,6−ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート;芳香族脂肪族ジイソシアネート、例えば1,2−、1,3−、および1,4−キシレンジイソシアネート;m−テトラメチルキシレンジイソシアネート(m−TMXDI);p−テトラメチルキシレンジイソシアネート(p−TMXDI);飽和したトリマー化イソシアヌレート、例えばヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート、イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート;HDIから製造したHDIビウレット;トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート;およびこれらの混合物;ヘキサメチレンジイソシアネートのウレチジオン;およびこれらの混合物;上記のイソシアネートおよびポリイソシアネートから誘導した変性ポリイソシアネート;およびこれらの混合物。
【0048】
不飽和ジイソシアネート、すなわち化合物も本発明で使用することができるが、ただしプレポリマーにおける不飽和化合物の使用を、以下に述べるように光安定剤または顔料の使用と組み合わせて行うことが好ましい。不飽和ジイソシアネートの例は以下を含むがこれに限定されない:2,2’−、2,4’−、および4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を含む置換されかつ異性体の混合物;2,2’−、2,4’−、および4,4'−ビフェニレンジイソシアネート;3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニルジイソシアネート(TODI);3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート;トルエンジイソシアネート(TDI);ポリマーMDI(PMDI、約50%のジイソシアネートと残部がMDIのオリゴマーから成るものとから成る褐色の液体);カルボジイミドで変性した液状4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート;p−フェニレンジイソシアネート(PPDI);m−フェニレンジイソシアネート(MPDI);o−フェニレンジイソシアネート;4−クロロ−1,3−フェニレンジイソシアネート;トリフェニルメタン−4,4’−、およびトリフェニルメタン−4,4”−トリイソシアネート;1,5−ナフタレンジイソシアネート;1,5−テトラヒドロナフタレンジイソシアネート;アントラセンジイソシアネート;テトラセンジイソシアネート;いずれかのジイソシアネートまたはポリイソシアネートの二量化したウレチジオン、例えばトルエンジイソシアネートのウレチジオン、ジフェニルメタンジイソシアネートのウレチジオン、およびこれらの混合物;不飽和のトリマー化したイソシアヌレート、例えばジフェニルメタンジイソシアネートのトリマー、テトラメチルキシレンジイソシアネートのトリマー、トルエンジイソシアネートのイソシアヌレート、およびこれらの混合物;モノマートリイソシアネート、例えば2,4,4’−ジフェニレントリイソシアネート、2,4,4’−ジフェニルメタントリイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート、およびこれらの混合物;およびこれらの混合物。
【0049】
当業者が入手可能な全てのポリエーテルアミンは、本発明に従って使用するのに適切である。本明細書で使用する「ポリエーテルアミン」は、ポリエーテル主鎖の末端に結合する第1アミン基を含むポリオキシアルキレンアミンを少なくとも意味する。しかしながら、イソシアネートとアミンとの反応が急速であるために、また多くのウレア生成物が不溶性であるために、ジアミンとポリエーテルアミンの選択は、ポリ尿素プレポリマーの形成を可能にするものに限られる。1実施例では、ポリエーテル主鎖は、テトラメチレン、プロピレン、エチレン、トリメチロールプロパン、グリセリン、およびこれらの混合物をベースとする。
【0050】
ポリ尿素組成物を、ポリ尿素プレポリマーと硬化剤のブレンドまたは混合物との架橋によって製造することができる。本発明で使用する硬化剤は、ヒドロキシを末端とする硬化剤、アミンを末端とする硬化剤、およびこれらの混合物を含むが、これに限定されない。好ましい実施例では、硬化剤はアミンを末端とする硬化剤、より好ましくは第2ジアミン硬化剤である。しかしながら、所望の場合には、ポリ尿素組成物を単一の硬化剤で製造することができる。水分の不存在下で1:1の化学量論量において第2ジアミンで硬化したポリ尿素プレポリマーは本質的に熱可塑性であり、一方熱硬化性ポリ尿素組成物は一般に第1ジアミンまたは多官能性グリコールで硬化したポリ尿素プレポリマーから製造される。
【0051】
光安定剤成分を使用すると、光分解によるカバー表面の破損を防止するのに役立つことがある。適切なUV吸収剤および光安定剤は以下を含むがこれに限定されない:TINUVIN(登録商標)292、TINUVIN(登録商標)328、TINUVIN(登録商標)213、TINUVIN(登録商標)765、TINUVIN(登録商標)770およびTINUVIN(登録商標)622。芳香族化合物に好ましいUV吸収剤はTINUVIN(登録商標)328であり、好ましいヒンダードアミン光安定剤はTINUVIN(登録商標)765である。飽和(脂肪族)化合物に好ましい光安定剤はTINUVIN(登録商標)292である。TINUVIN(登録商標)製品はチバ−ガイギー(Ciba−Geigy)社から入手可能である。染料、および蛍光増白剤および蛍光顔料も、本発明に従って製造するポリマーで製造するゴルフボールカバーに含めることができる。これらの追加的な成分を、それらの所望の目的を達成する量で添加することができる。
【0052】
本発明の組成物を注型性の熱硬化性材料および熱可塑性材料の両者から選択することができ、該選択をプレポリマーの硬化に使用する硬化剤によって決定する。例えば、本発明の注型性の熱可塑性組成物は直鎖のポリマーを含み、該組成物を典型的にはプレポリマーをジオールまたは第2ジアミンで硬化して製造する。一方、本発明の熱硬化性組成物は架橋したポリマーであり、該ポリマーを典型的にはジイソシアネートとポリオールとを反応させ、第1ジアミンまたは多官能性グリコールで硬化して製造する。
【0053】
ポリ尿素組成物は好ましくは約1%〜約100%のポリ尿素を含むが、ポリ尿素組成物を他の材料とブレンドしてもよい。1実施例では、組成物は約10%〜約90%のポリ尿素を含み、好ましくは約10%〜約75%のポリ尿素を含み、かつ約90%〜約10%、より好ましくは約90%〜約25%の以下に記載する他のポリマーおよび/または他の材料を含む。
【0054】
本発明の組成物とブレンドすることが適切な他のポリマー材料は以下を含む:注型性の熱可塑性または熱硬化性ポリウレタン、カチオン性およびアニオン性ウレタンアイオノマーおよびウレタンエポキシド、ポリウレタン/ポリ尿素アイオノマー、エポキシ樹脂、ポリエチレン、ポリアミドおよびポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリリン、およびこれらの混合物。適切なウレタンアイオノマーの例は米国特許第5,692,974号に開示されており、その全開示をこれに言及することによって本明細書に取り込む。適切なポリウレタンの他の例は米国特許第5,334,673号に記載されており、その全開示をこれに言及することによって本明細書に取り込む。上記したポリ尿素アイオノマーを製造するのに使用する適切なポリ尿素の例は米国特許第5,484,870号に記載されており、その全開示をこれに言及することによって本明細書に取り込む。特に、米国特許第5,484,870号のポリ尿素を、ポリイソシアネートとポリアミン硬化剤を反応させてポリ尿素を得ることによって製造し、これは上記したポリ尿素とは異なるものであり、これはポリ尿素プレポリマーと硬化剤から製造される。エポキシ基を含む硬化剤で硬化した適切なポリウレタンの例は米国特許第5,908,359号に記載されており、その全開示をこれに言及することによって本明細書に取り込む。
【0055】
従って、好ましい実施例では、ポリ尿素組成物をポリウレタンとブレンドしてポリ尿素/ポリウレタンハイブリッドを製造する。本発明で使用するのに適したポリウレタンは、少なくとも一つのポリウレタンプレポリマーと少なくとも一つの硬化剤との反応生成物である。本発明の組成物で使用するポリウレタンを、注型性の熱硬化性ポリウレタンと熱可塑性ポリウレタンの両者から選択することができる。熱可塑性ポリウレタンは直鎖ポリマーであり、典型的にはジイソシアネートとポリオールとを反応させ、水分の不存在下に1:1の化学量論量のジオールまたは第2ジアミンで硬化させて製造する。一方、熱硬化性ポリウレタンは架橋したポリマーであり、典型的にはジイソシアネートとポリオールを反応させ、第1ジアミンまたは多官能性グリコールで硬化して製造する。
【0056】
さらに、適切なカバー材料は核形成反応射出成形したポリウレタン、ポリ尿素またはポリ尿素/ポリウレタンハイブリッドを含み、この場合、気体、典型的には不活性なまたは非反応性気体、例えば窒素、アルゴン、ヘリウムおよび空気をポリウレタン、典型的にはプレポリマーの少なくとも一つの成分に激しく混合することが必要であり、該混合を密閉した金型に成分を注入する前に行い、金型で完全な反応が生じて比重が低い硬化したポリマーを生じる。材料は反応射出成形(「RIM」)した材料と呼ばれる。RIM材料およびRIMプロセスは、米国特許第6,548,618号、第6,533,566号および第6,290,614号に開示されており、その開示の全てをそれに言及することにより本明細書に取り込む。
【0057】
マントル部分16、液状センタのシェル20並びに第1マントル層22および第2マントル層40においては好ましくは以下のものでできている:エラストマー、例えばポリイソプレン、スチレンブタジエン、ポリブタジエンおよびこれらの組み合わせを含む熱硬化性ゴム;プラスチック、例えばポリプロピレン;または熱可塑性エラストマー材料、例えばメチルメタクリレートとブタジエンおよびスチレンとのコポリマー、メチルアクリレートとブタジエンおよびスチレンとのコポリマー、アクリロニトリルスチレンコポリマー、ポリエーテル−エステル、ポリエーテル−アミド、ポリウレタンおよび/またはこれらのブレンド。もっとも好ましくは、第1のマントル層22および第2のマントル層40は熱硬化性ゴムまたは熱可塑性エラストマー材料でできている。
【0058】
他の実施例では、高度に中和したポリマー(「HNP」)およびそのブレンド、例えば2002年4月9日出願の米国特許出願第10/118,719号に記載されているもの(その全てをそれに言及することによって本明細書に取り込む)、並びに低融点熱可塑性物を、ボールのコア、マントル層、および/またはカバーに使用することができる。HNPは、有機酸またはその塩で中和した一または複数の酸基を含むポリマーを含む。好ましい実施例では、第1のマントル層22および第2のマントル層40はこれらの高度に中和したポリマーおよび/または低融点熱可塑性物でできている。1実施例では、低融点熱可塑性物は熱硬化性ゴムの反発性を有している。例えば、熱硬化性ゴムの反発性を有するこれらの低級点熱可塑性物は以下を含むがこれに限定されない:HNPおよび相溶性の熱可塑性物とHNPとのブレンド、例えば部分的または完全に中和したアイオノマーであって、金属イオン源で中和したもの、この場合、金属イオンは有機酸の塩である、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレンを含むポリオレフィン、およびポリエチレンアクリル酸またはメタクリル酸コポリマーを含むこれらのコポリマー、またはエチレン、軟化性アクリレート群のエステル、例えばメチルアクリレート、n−ブチルアクリレートまたはイソブチルアクリレート、およびカルボン酸、例えばアクリル酸またはメタクリル酸のターポリマー(例えば、ポリエチレン−メタクリル酸−n−またはイソ−ブチルアクリレートを含むターポリマー、およびポリエチレン−アクリル酸−メチルアクリレート、ポリエチレンエチルまたはメチルアクリレート、ポリエチレンビニルアセテート、ポリエチレングリシジルアルキルアクリレート)。
【0059】
HNPの酸部分、典型的にはエチレンをベースとするアイオノマー、を約70%より多く、好ましくは約80%より多く、より好ましくは約90%より多く、もっとも好ましくは少なくとも約100%中和する。HNPを好ましくは第2のポリマー成分とブレンドすることができ、該成分を、酸基を含む場合、常法により、有機脂肪酸により、またはその両者で中和することができる。第2のポリマー成分は部分的にまたは完全に中和していてもよく、好ましくはこれは以下を含む:アイオノマーコポリマーおよびターポリマー、アイオノマー前駆体、熱可塑性物、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ尿素、熱可塑性エラストマー、ポリブタジエンゴム、バラタ、メタローセンで触媒したポリマー(グラフト化したものおよびグラフト化していないもの)、シングルサイトポリマー、高結晶性酸ポリマー、カチオン性アイオノマー等。HNPポリマーは典型的には、約20〜約80ショアDの材料硬度、および約20.68MPa〜約1378.95MPa(3,000psi〜200,000psi)の曲げ弾性率を有する。
【0060】
1実施例では、有機酸を以下から成る群から選択する:脂肪族有機酸、芳香族有機酸、飽和モノ官能性有機酸、不飽和モノ官能性有機酸、および多−不飽和モノ官能性有機酸。好ましくは、有機酸の塩はステアリン酸、ベヘン酸、エルカ酸、オレイン酸、リノール酸、の以下の塩、二量化誘導体およびこれらの混合物を含む:バリウム、リチウム、ナトリウム、亜鉛、ビスマス、クロム、コバルト、銅、カリウム、ストロンチウム、チタン、タングステン、マグネシウム、セシウム、鉄、ニッケル、銀、アルミニウム、スズ、およびカルシウム。
【0061】
さらに、2005年11月9日に出願された米国特許出願11/270,066に説明されているようなHNPもこのボールコア、マントル層および/またはカバーに用いてよく、その内容は参照してここに組み入れる。例えば、酸ポリマーまたは部分的に中和されている酸ポリマーを、HNPを製造するために伝統的に使用されてきたマグネシウムをベースとするカチオン源より親水性が小さなカチオン源を用いて70%またはそれ以上に中和すると、得られる本発明のHNPは水蒸気透過率が改善された組成物を実現することがわかった。例えば、親水性が小さなカチオン源を利用して製造したHNPを含むポリマー組成物の水蒸気透過率は8g−mil/100in2/日以下、または、5g−mil/100in2/日以下、または、3g−mil/100in2/日以下、または、2g−mil/100in2/日以下、または1g−mil/100in2/日以下、または、1g−mil/100in2/日未満である。ここで用いるように、水蒸気透過率(MPTR)は、g−mil/100in2/日で与えられ、20°Cで、ASTM F1249−99に従って測定される。
【0062】
「より親水性が小さい」は、ここでは、カチオン源が通常のマグネシウムをベースにしたカチオン源に対して親水性が小さいことを意味するように用いられる。親水性のより小さな適切なカチオン源の例は、これに限定されないが、シリコーン、シラン、珪酸誘導体、および錯体配位子;希土類元素の金属イオンおよび化合物;およびアルカリ金属、アルカリ土類金属、および遷移金属の親水性がより小さな金属イオンおよび化合物;およびこれらの組み合わせを含む。親水性がより小さな具体的なカチオン源は、これに限定されないが、カリウム、セシウム、カルシウム、バリウム、マンガン、銅、亜鉛、錫、および希土類金属の金属イオンおよび化合物を含む。カリウムをベースにした化合物が好ましい親水性がより少ないカチオン源であり、とくに、E.I.DuPont社から商業的に入手可能なOxane(商標)が好ましい。Oxaneはモノ過硫酸塩であり、ここで、モノ過硫酸カリウムは2KHSO5・KHSO4・K2SO4[カリウム水素ペルオキシモノスルフェートスルフェート(5:3:2:2)]の化学式の三塩の要素として存在する活性成分である。親水性がより小さなカチオン源の量は所望の中和のレベルに基づいて容易に決定できる。
【0063】
1実施例では、第1のマントル層22と第2のマントル層40はそれぞれ独立に架橋剤、例えば不飽和カルボン酸の金属塩を含むことができる。とくに、不飽和カルボン酸の金属塩を、第1のマントル層22および第2のマントル層40の少なくとも一方に共−架橋剤としてブレンドする。例は、3〜8の炭素原子を有する不飽和脂肪酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、およびフマル酸のマグネシウム、カルシウム、亜鉛、アルミニウム、ナトリウム、リチウム、またはニッケル塩を含み、アクリル酸およびメタクリル酸の亜鉛塩が最も好ましい。好ましい不飽和脂肪酸の金属塩は亜鉛アクリレート、亜鉛ジアクリレート、亜鉛メタクリレート、亜鉛ジメタクリレート、およびこれらの混合物を含む。不飽和カルボン酸の金属塩をゴムに、プレフォーム化した金属塩として、またはα,β−不飽和カルボン酸と金属オキシドまたはヒドロキシドをゴム組成物へ導入し、これらをゴム組成物中で反応させて金属塩を形成することによって、ブレンドすることができる。不飽和カルボン酸の金属塩を、いかなる所望の量でもブレンドすることができるが、好ましくはベースゴムの質量100部当たり約25〜約40部、より好ましくは約30部〜約35部の量でブレンドすることができる。
【0064】
第1または第2のマントル層(22または40)の組成物はさらに、ベースゴムおよび不飽和カルボン酸の金属塩に加えて有機硫黄化合物またはその塩を含むことができ、例えばそれらは同時継続の米国特許出願第09/951,963号(現在は米国特許第6,635,716号)に開示されているものであり、それに言及することによってその全てを本明細書に取り込む。これらの有機硫黄化合物をベースゴム組成物に添加することによってCORの増加、圧縮の低下、またはこれらの両者が現れる。有機硫黄化合物またはその金属塩は好ましくはハロゲン化した有機硫黄化合物、より好ましくはハロゲン化したチオフェノールであり以下を含むがこれに限定されない:ペンタフルオロチオフェノール;2−フルオロチオフェノール;3−フルオロチオフェノール;4−フルオロチオフェノール;2,3−フルオロチオフェノール;2,4−フルオロチオフェノール;3,4−フルオロチオフェノール;3,5−フルオロチオフェノール;2,3,4−フルオロチオフェノール;3,4,5−フルオロチオフェノール;2,3,4,5−テトラフルオロチオフェノール;2,3,5,6−テトラフルオロチオフェノール;4−クロロテトラフルオロチオフェノール;ペンタクロロチオフェノール;2−クロロチオフェノール;3−クロロチオフェノール;4−クロロチオフェノール;2,3−クロロチオフェノール;2,4−クロロチオフェノール;3,4−クロロチオフェノール;3,5−クロロチオフェノール;2,3,4−クロロチオフェノール;3,4,5−クロロチオフェノール;2,3,4,5−テトラクロロチオフェノール;2,3,5,6−テトラクロロチオフェノール;ペンタブロモチオフェノール;2−ブロモチオフェノール;3−ブロモチオフェノール;4−ブロモチオフェノール;2,3−ブロモチオフェノール;2,4−ブロモチオフェノール;3,4−ブロモチオフェノール;3,5−ブロモチオフェノール;23,4−ブロモチオフェノール;3,4,5−ブロモチオフェノール;2,3,4,5−テトラブロモチオフェノール;2,3,5,6−テトラブロモチオフェノール;ペンタヨードチオフェノール;2−ヨードチオフェノール;3−ヨードチオフェノール;4−ヨードチオフェノール;2,3−ヨードチオフェノール;2,4−ヨードチオフェノール;3,4−ヨードチオフェノール;3,5−ヨードチオフェノール;2,3,4−ヨードチオフェノール;3,4,5−ヨードチオフェノール;2,3,4,5−テトラヨードチオフェノール;2,3,5,6−テトラヨードチオフェノール;およびこれらの亜鉛塩。好ましくはハロゲン化したチオフェノールはペンタクロロチオフェノール(「PCTP」)であり、これは純粋な形態で、またはSTRUKTOL(登録商標)の商品名で入手可能であり、この商品はペンタクロロチオフェノールを45%負荷した(2.4部のPCTPに関連する)硫黄化合物を含むクレーをベースとするものである。STRUKTOL(登録商標)は、オハイオ州、ストウ(Stow)のストラクトール(Struktol Company of America)社から市場を通じて入手可能である。PCTPは、カリフォルニア州、サンフランシスコのイーキナケム(eChinachem)から純粋な形で、または塩の形態でカリフォルニア州、サンフランシスコのイーキナケム(eChinachem)から市場を通じて入手可能である。最も好ましくは、ハロゲン化したチオフェノールはペンタクロロチオフェノールの亜鉛塩であり、これはカリフォルニア州、サンフランシスコのイーキナケム(eChinachem)から市場を通じて入手可能である。本発明の有機硫黄化合物はいかなる量でも存在するが、好ましくはベースゴムの100部当たりの質量(「pph」)で約2部より多くまたは40部より少ない量で存在する。1実施例では、有機硫黄化合物は約2.2pph〜約30pph、好ましくは約2.3〜20pphの量で存在する。他の実施例では、有機硫黄化合物は約2.5pph〜約15pph、好ましくは約5pph〜約10pph存在する。本明細書に開示した範囲の上限および下限は相互に交換可能であり、新しい範囲を示す。例えば、有機硫黄化合物は約2.2pph〜約15pphの範囲、または約10pph〜約40pphの範囲、または約2pph〜約5pphの範囲の量で存在してもよい。
【0065】
第1または第2のマントル層(20または40)の組成物はさらに共−架橋開始剤を含むことができる。共−架橋開始剤の好ましい例は、以下を含む:有機ペルオキシド、例えばジクミルペルオキシド、t−ブチルペルオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルペルオキシド、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルペルオキシ)バレレート、2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ−イソプロピル)ベンゼン、および2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキセン、このうちジクミルペルオキシドが最も好ましい。開始剤をベースゴムの質量100部当たり約0.5〜約3部、好ましくは約1〜約2.5部の質量でブレンドすることができる。
【0066】
複合または金属層を第1または第2のマントル層(22または40)に用いても良く、これは米国特許第6,899,642号明細書に記載されており、その内容は参照してここに組み入れる。例えば、複合材料は、マトリックスまたはバインダ材料中に埋め込まれたフィラメント材料を含む。
【0067】
フィラメント材料は、単一のファイバであってもよいし、1以上の、すなわち複数のファイバから製造されてもよい(すなわち、マルチファイバのトウまたはバンドル)。フィラメント材料は、ポリマー材料、ガラス材料または金属材料、その他のファイバから製造されてよい。フィラメント材料を、種々の物理的特性の撚り糸またはファイバから構成して所望の伸張および延伸特性を実現してもよい。マトリックス材料はフィラメント材料の周りに配して成型してフィラメント材料がマトリックス材料中に埋め込まれるようにしてよく、これは上述した。マトリックス材料は熱硬化性材料でもよいし、熱可塑性材料でもよい。好ましい熱硬化性ポリマー材料は、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリイミド樹脂、および、ポリブタジエン樹脂である。好ましい熱可塑性材料は、例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、熱可塑性ポリエステル、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、アセタール、半結晶性ポリアミドを含むポリアミド、ポリカーボネート(PC)、形状記憶ポリマー、ポリビニルクロライド(PVC)、ポリウレタン、トランス−ポリブタジエン、液晶ポリマー、ポリエーテルケトン(PEEK)、バイオ(マレイミド)、およびポリスルホン樹脂を含む。
【0068】
マトリックス材料はシリコーン材料、例えば、シリコーンポリマー、シリコーンエラストマー、シリコーンゴム、シリコーン樹脂、または低分子量シリコーン流体、熱可塑性シリコーンウレタンコポリマー、および変形物、その他であってよい。
【0069】
1実施例では、好ましくは第1のマントル層22はポリブタジエン材料からなり、この材料は低スピンレートのボール用には比重が大きく、高スピンレートのボール用には比重が小さい。ポリブタジエン材料の比重は塔業者に知られているフィラーを付加することにより帰ることができる。
【0070】
他の実施例では、マントル部分16が比較的厚く、高度に中和されたアイオノマーまたは架橋ポリブタジエンゴムからなる。
【0071】
1実施例では、マントル部分16は好ましくは、仕上がったボールの直径Dの80〜98%の範囲の外側直径d3を有し、仕上がったボールの30〜70%の範囲の内側直径d1を有する。好ましくは、マントル部分16および液状センタのシェル20は約12.7〜29.97mm(0.5〜1.18インチ)の内側直径を有し、より好ましくは約19.05〜27.94mm(0.75〜1.1インチ)の内側直径を有する。好ましくは、マントル部分16および液状センタのシェル20は約22.86〜24.13mm(0.9〜0.95インチ)の内側直径を有する。第1のマントル層22は好ましくは、13.97〜36.83mm(0.55〜1.45インチ)、より好ましくは約20.32〜33.02mm(0.8〜1.3インチ)の範囲の内側直径d2を有する。さらに、マントル部分16は33.02〜41.91mm(1.3〜1.65インチ)、より好ましくは約36.83〜41.15mm(1.45〜1.62インチ)の範囲の外側直径d3を有する。
【0072】
他の実施例では、好ましくはマントル部分16および液体センタのシェル20の内側直径d1は約0.64cmから3.8cm(約0.25から1.5インチ)であり、より好ましくは、約1.27cmから3.43cm(約0.5から1.35インチ)である。好ましくは、マントル部分16および液体センタのシェル20の内側直径は約1.65から3.18cm(約0.65から1.25インチ)である。マントル部分16の厚さは好ましくは0.10から0.89cm(0.04から0.35インチ)であり、より好ましくは0.18から0.76cm(0.07から0.3インチ)であり、1またはそれ以上の同一または異なる層を有してよい。
【0073】
これらの寸法を有するゴルフボールを、以下に述べる種々の属性、例えば比重、反発性および硬度、を有するように設計して、所望のプレー特性、例えばスピン速度および初速を提供することができる。特に、内側球体において、少なくとも第1のマントル層において、液状センタのシェルを使用して流体センタを取り巻くことにより、比重および他の特性を最適のプレー特性を提供するように設計することができる。さらに、これらの寸法に従ってボールを構成することにより、流体センタ18と比較して顕著な容量を有する第1のマントル層22が製造される。好ましくは、第1のマントル層22の容量は流体センタ18の容量より大きい。より好ましくは、第1のマントル層22の容量は、流体センタ18の容量の約2〜4倍である。このように、第1のマントル層の特性はボールのプレー特性に影響を与えることができる。
【0074】
マントル部分16の硬度と反発性を変化させて、所望のパラメーター、例えばスピン速度、圧縮および初速を達成することができる。
【0075】
好ましくは、マントル部分16は約30〜95のショアC硬度、より好ましくは45〜90のショアC硬度を有する。さらに、マントル部分16は40ベイショア(Bashore)より大きい反発性を有する。
【0076】
最も好ましい実施例では、液状センタのシェル20は高い温度抵抗性を有するプラスチック材料、例えば2001年11月13日に出願された米国特許出願第10/008,013号、現在、米国勅許第6、616、549号に開示されたものから成る。特に、液状センタのシェル20および/または第1のマントル層22は以下を含む:動的に加硫した熱可塑性エラストマー;官能化したスチレン−ブタジエンエラストマー;熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリエーテルエステルまたはポリエーテルアミド;熱可塑性アイオノマー樹脂;フルオロポリマー、例えばペルフルオロアルキレン(例えばポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン)、およびスルホネート化した、カルボキシレート化した、エポキシド化した、マレエート化した、アミノ化したまたはヒドロキシル化した官能化したフルオロポリマー樹脂、これらは米国特許第5,962,140号に開示されており、それに言及することによってその全てを本明細書に取り込む;熱可塑性ポリエステル;メタローセンポリマーまたはそのブレンドおよび/または熱硬化性材料。
【0077】
壁材料は当業界で知られている任意の材料で良く、それには熱可塑性アイオノマー、ポリプロピレン、ポリエチレン、酸コポリマー、ポリオレフィン、ポリ尿素、メタローセン触媒ポリオレフィン系コポリマー、ポリビニルクロライド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー、ポリカーボネート、ポリエステル、スチレン−ブタジエンおよびSEBSブロックコポリマー、ブチルゴムを含む、シリコーンまたは熱硬化性架橋ジエンゴム、天然ゴム、およびアクリロニトリルを含む。
【0078】
適切な動的に加硫した熱可塑性エラストマーは、SANTOPRENE(登録商標)、SARLINK(登録商標)、VYRAM(登録商標)、DYTRON(登録商標)およびVISTAFLEX(登録商標)を含む。SANTOPRENE(登録商標)は動的に加硫したPP/EPDM(ポリプロピレン/エチレン−プロピレン−ジエンゴム)の商標名である。SANTOPRENE(登録商標)203−40は好ましいSANTOPRENE(登録商標)の例であり、オハイオ州、アクロンのアドバンスト エラストマー システム(Advanced Elastomer Systems)から市場を通じて入手可能である。適切な官能化したスチレン−ブタジエンエラストマーの例は、KRATON(登録商標)FG−1901xおよびKRATON(登録商標)FG−1921xを含み、シェル(Shell)社から入手可能である。適切な熱可塑性ポリウレタンの例はESTANE(登録商標)58133、ESTANE(登録商標)58134およびESTANE(登録商標)58144を含み、これはB.F.グッドリッチ(Goodrich)社から市場を通じて入手可能である。融点がカバー材料より高い適切なメタローセンポリマーをさらに、本発明のマントル層に使用することができる。さらに、上記したマントル層用の材料は、発泡したポリマー材料の形態にあることができる。例えば、適切なメタローセンポリマーは、メタローセンシングルサイト触媒ベースのフォームを主体とする熱可塑性エラストマーのフォームを含む。これらのメタローセンをベースとするフォーム樹脂は、MA、ハイニス(Hyannis)のセンチネル プロダクツ(Sentinel Products)から市場を通じて入手可能である。
【0079】
適切な熱可塑性ポリエーテルエステルはHYTREL(登録商標)3078、HYTREL(登録商標)3548、HYTREL(登録商標)4078、HYTREL(登録商標)4069、HYTREL(登録商標)6356、HYTREL(登録商標)7246、およびHYTREL(登録商標)8238を含み、これらはDE、ウイルミントンのデュポン(DuPont)から市場を通じて入手可能である。適切な熱可塑性ポリエーテルアミドはPEBAX(登録商標)2533、PEBAX(登録商標)3533、PEBAX(登録商標)4033、PEBAX(登録商標)5533、PEBAX(登録商標)6333、およびPEBAX(登録商標)7033を含み、これらはPA、フィラデルフィアのアトフィナ(Atofina)から入手可能である。適切な熱可塑性アイオノマー樹脂は、SURLYN(登録商標)およびIOTEK(登録商標)を含むいずれの数のオレフィンをベースとするアイオノマーを含み、これらはそれぞれデュポン(DuPont)およびエクソン(Exxon)から市場を通じて入手可能である。これらのアイオノマーの曲げ弾性率は約6.89〜1378.95MPa(1000psi〜200,000psi)である。適切な熱可塑性ポリエステルはポリブチレンテレフタレートを含む。同様に、上記で特定した動的に加硫した熱可塑性エラストマー、官能化したスチレン−ブタジエンエラストマー、熱可塑性ポリウレタンまたはメタローセンポリマーは、ブレンドにおける第2の熱可塑性物として有用である。さらに、上記した第2の熱可塑性物の材料は、発泡したポリマー材料の形態にあってよい。
【0080】
好ましくは、シェル20は、ポリオレフィン、アイオノマー、または酸コポリマーの薄い層である。代替的には、シェル20は通常の糸巻状包囲材料で製造されて良い。さらに他の実施例では、シェル20の材料は上述のようにHNPを含んでよい。好ましくは、このHNPは2005年11月9日に出願された米国特許出願11/270,066に開示のものから選択して良く、その内容は参照してここに組み入れる。
【0081】
図12に示すように、流体センタ18は、シェル20を伴うことなく、マントル部分16に包まれて良い。上述のとおり1または複数のカバー層がマントル部分16を包囲する。マントル部分16が1または複数の同一または異なる材料の層からなって良いことは容易に理解できるであろう。流体センタ18の直径は約0.64から3.81cm(約0.25から1.5インチ)であり、好ましくは、約1.27から3,43cm(約0.5から1.35インチ)である。マントル部分16の厚さは好ましくは1.02から2.03cm(0.4から0.8インチ)であり、より好ましくは1.02から1.42cm(0.4から0.56インチ)である。マントル部分16の外側直径d3の範囲は3.30から4.19cm(1.3から1.65インチ)であり、より好ましくは約3.68から4.11cm(約1.45から1.62インチ)である。マントル部分は先に検討した材料のうちの任意のものから製造してよい。好ましくは、マントル部分16はHNPを有する。好ましくは、このHNPは2005年11月9日に出願された米国特許出願11/270,066に開示のものから選択して良く、その内容は参照してここに組み入れる。
【0082】
流体センタ18は多数種類の材料または流体であることができ、流体は溶液および気体、並びに熱膨張係数が低くかつ/または沸点が高い液体を含む。特に、流体センタ18は以下から成っていてもよい:気体(加圧されていてもよくかつ/または非反応性である)、例えば空気、窒素、ヘリウム、アルゴン、ネオン、二酸化炭素、酸化に窒素およびこれらの混合物;水;ポリオール、例えばグリセリン、エチレングリコールおよび類似物;ペースト;フォーム;オイル;水溶液、例えば塩の水溶液、コーンシロップ、塩の水溶液およびコーンシロップ液、またはグリコールおよび水;またはこれらの混合物。流体はさらにペースト、コロイド状懸濁物、例えば水または他の液体中のクレイ、バライト、カーボンブラック;ゲル、例えばヒドロゲル、水/メチルセルロースゲルおよびスチレン−ブタジエン−スチレンゴムのような材料をベースとするコポリマーゴムとパラフィン油および/またはナフテン系油から成るゲル;またはワックスおよびホットメルトを含む溶融物。ホットメルトは、通常の室温またはその近辺で固形であるが高温では液状となる材料である。流体センタ18は反応性の液状システムであってもよくそれらは組み合わさって固形物を形成する。適切な反応性液体の例はシリケートゲル、寒天ゲル、ペルオキシドで硬化したポリエステル樹脂、二液性エポキシ樹脂システムおよびペルオキシドで硬化した液状ポリブタジエンゴム組成物である。液状センタのシェルの物理特性および得られた仕上がりのゴルフボールにおける所望の物理特性に依存して、他の反応性液状システムを同様に使用できることは、当業者が理解するところである。米国特許第6,200,230号および同第5,150,906号は、シェル20に使用して好適な液体を開示しており、その内容は参照してここに組み入れる。
【0083】
流体センタ18を変化させてボールの特性パラメーター、例えば慣性モーメントを変えることができる。好ましくは、流体センタ18は、高いスピン速度のゴルフボールには高い比重を有する材料、低いスピン速度のゴルフボールには低い比重を有する材料から成る。好ましくは、流体の比重は、比重の低いセンタでは1.2またはそれより低く、比重の高いセンタでは1.2より高い。さらに好ましくは、比重は、比重の低いセンタでは約1.15〜1.2であり、比重が高いセンタでは1.3〜1.55である。さらに、流体は好ましくは、スピン速度が高いゴルフボールでは粘度の低い材料、スピン速度が低いゴルフボールでは粘度の高い材料から成っている。好ましくは、流体センタ18の粘度は、粘度が低いセンタでは0.1Pa.sec(100cps)より低く、粘度が高いセンタでは0.1Pa.sec(100cps)またはそれより高い。より好ましくは、流体センタ18の粘度は、粘度が低いセンタでは0.01Pa.sec(10cps)またはそれより低く、粘度が高いセンタでは0.1〜1.5Pa.sec(100〜1500cps)である。最も好ましくは、流体センタ18の粘度は、粘度が高いセンタでは約0.5Pa.sec(500cps)である。
【0084】
コア12は好ましくは、ボールの全質量の60〜95%であり、より好ましくはボールの質量の75〜86%である。先に述べたように、コア12における質量の配分を変化させて、所望のパラメーター、例えばスピン速度、圧縮および初速を達成することができる。
【0085】
例えば、流体センタ18の直径を増加させ、かつマントル部分16の比重を増加させることにより、コア12の質量の配分は外側直径に向けて移動し、ボールのスピン速度は低くなる。これに対して、流体センタ18の直径が減少し、かつマントル層16の比重が減少すると、ボールの質量配分はボールの中心に向かって移動し、ボールのスピン速度が高くなる。
【0086】
同様に、スピン速度が低いボールについて、流体センタ18の比重を減少させ、かつマントル部分16の比重を増大させることができる。または、スピン速度が高いボールでは、流体センタ18の比重を増大させ、かつマントル部分16の比重を減少させることができる。
【0087】
オプションとして、コアはシェル20の内側表面を具備して良く、これが表面面積を増大するように修正され、これにより、衝撃に続くある点で液体のシェルの壁からの分離を反抗してスピンの減衰率を変化させる。この点は米国特許第6,238,304号に説明されており、その内容は参照して個々に組み入れる。修正された内側表面により、コア内に充填される流体のタイプを変更するのではない手法で、液体充填センタ中の流体の動的特性を変更できる。より具体的には、これはシェルの修正された内側表面の利用を含む。シェルおよび液体の間の摩擦性の抗力は液体に隣接する内側表面の修正により調整できる。
【0088】
液体センタシェルの内部の液体の摩擦性の抗力を修正するために多くの手法を採用できる。シェルの内側表面にテクスチャを付加して良い。テクスチャは、ディンプル、こぶ(nub)、ゴルフボールのコアのセンタへと伸びるへら、または指状部、またはシェルの内側表面に向かって切り欠いた、または成型した溝であってよい。個々のテクスチャは、そのサイズや深さ、位置や個数を変えて、それ自体変化する。さらに、種々のサイズまたは形状の突起部をシェルの内側表面状に用いても良い。
【0089】
図13A−Dは、内側表面が修正されたシェル20の例を示す。シェル20は内側表面80にテクスチャ82を追加させている。例えば、図13Aでは、突起84がシェル20の内側表面80上に設けられ表面面積を増大させる。これら突起は形状、サイズ、および間隔に関して規則正しく示されている。突起の形状、サイズおよび間隔のうちの1つまたは複数を変えて良いことは容易に理解できる。図13Bにおいて、シェル20の内側表面80を波状表面に変更してその表面面積を増大させる。波状表面は規則的でも不規則的でも良い。図13Cは内側表面80に突起86およびディンプル88の双方を設けて表面面積を増大させてシェル20の内側表面80を示している。最後に、図13Dでは、突起84がシェル20の内側表面80から伸びる三角形の突起として示されている。当業者には多くの変形例が明らかであることが容易に理解できる。さらに、これら修正された内側表面80はシェル20上に示されているけれども、これらは、流体センタ18に隣接して設けられた任意の他の層の内側表面に設けられても良いことは容易に理解できる。
【0090】
シェルの修正された内側表面を用いてボール飛行中のスピンの減衰を変更してよい。好ましくは、スピン減衰率は初期スピンの4%より大きく、より好ましくは、初期スピンの少なくとも10%であり、さらに好ましくは初期スピンの少なくとも15%である。スピン減衰率は、好ましくは全ボール飛行中のスピン減衰率である。例えば、ボールの初期スピンレートが3500rpmであれば、初期速度の10%におりボール飛行の最終時点でスピンレートが3150rpmになる。
【0091】
図14A−Dは、ボール飛行の最初の0.4秒の間のスピン減衰率を数量化する回帰線を示し、この回帰線を、全ボール飛行の間のスピン減衰率を数量化する回帰線と比較している。ゴルフボールのスピンレートの減衰の測定は、熟練者のゴルファーが打ったショットに基づいて行われた。測定は2つの糸巻、液体センタ構造のボール(Titleist Tour BalataおよびTitleist Tour Professional)に関して行われた。これらは、スピン減衰特性について当業界で知られている。これらの構造は、そのスピン減衰プロフィールが液体センタボールと異なる点に特徴があるTitleist ProV1x、現代的なソリッド構造のボールと比較される。データは、ISG Denmark(www.isg.dk)により製造される独占的な位相段列レーダー(phased array radar)である「トラックマン」(trackman)により取得された。この追跡装置は、USGAによりトーナメント中のプレーヤのデータ取得に最近採用されている(http://www.usopen.com/2005/news/test_center.html)。他のデータとともに、トラックマンはボール飛行中のすべてにわたるゴルフボールのスピンレートの実時間データを連続して測定する。この情報により、ゴルフボールのスピンレートを飛行時間の関数としてプロットして、比較的下方範囲のスピン性能の測定を評価できる。
【0092】
図14Aおよび14Bに示すように、ドライバにより打ち出されたTitleist Professionalゴルフボールのスピン減衰が説明される。上述のとおり、Titleist Professionalは、液体センタを具備する糸巻構造である。このゴルフボールは、最初の0.4秒の飛行では−186.83の傾斜の回帰線を生じ、他方、全体の飛行では、−87.304の傾斜の回帰線を生じる。したがって、2つの回帰線の傾斜の差分は約100単位である。
【0093】
いま図14Cを参照すると、Titleist Tour Balataゴルフボールをドライバで打ち出したときのスピン減衰が説明される。上述のとおり、Titleist Tour Balataも、液体センタを具備する糸巻構造である。このゴルフボールは、最初の0.4秒の飛行では−340.18の傾斜の回帰線を生じ、他方、全体の飛行では、−131.15の傾斜の回帰線を生じる。したがって、2つの回帰線の傾斜の差分は約200単位である。
【0094】
比較のために、図14Dは、現行のTitleist ProV1xゴルフボールをドライバで打ち出したときのスピン減衰を説明する。上述のとおり、Titleist ProV1xは非糸巻のソリッド構造である。このゴルフボールは、最初の0.4秒の飛行では−65.108の傾斜の回帰線を生じ、他方、全体の飛行では、−75.11の傾斜の回帰線を生じる。したがって、2つの回帰線の傾斜の差分は約10単位である。
【0095】
好ましくは、この発明に従って製造されたゴルフボールのスピン減衰率は、最初の0.4秒のゴルフボール飛行の回帰線と全体のゴルフボール飛行の回帰線との間の傾斜の差分が少なくとも20ユニットとなるようにされる。より好ましくは、傾斜の差分は約30から250単位である。発明者は、液体センタを伴いHNPを有する非糸巻マントル部分を具備するように製造されたゴルフボールのスピン減衰率が、当該2つの回帰線の間の傾斜の差分が、現行のソリッドの非糸巻ゴルフボール、例えばProV1xより、従来の、液体センタを伴い糸巻構造を具備するゴルフボールにより類似するようなものであると考える。
【0096】
Titleist Professionalのような糸巻ゴルフボールと類似の所望のスピンレート減衰特性を有する非糸巻ゴルフボール構造の机上の実験例は、2.86cm(1.125インチ)の直径の液体センタを具備するゴルフボールを実現することにより達成できる。液体センタの比重は、約1.3であってよく、その粘度は約1000cpsであってよい。液体センタは、直径が4.01cm(1.580インチ)のマントル部分で包囲され、マントル部分はHNPからなり、これは上述し、また図12に説明した態様と類似である。
【0097】
衝撃時にゴルフボールが移動する距離はボールの反発係数(COR)および空力特性の関数である。CORは、2つの衝突物体の衝突後の相対速度の、衝突物体の衝突前の相対速度に対する比として定義される。CORは0から1.0まで変化する。1.0のCORは完全弾性衝突と等価であり、0のCORは非弾性衝突と等価である。ゴルフボールに関しては、CORはゴルフボールの衝突後の速度の、ゴルフボールの衝突前の速度の比として近似されてきた。好ましくは、この発明に従うゴルフボールのCORは少なくとも0.78であり、より好ましくは少なくとも0.80である。
【0098】
他の実施例においては、この発明に従って、飛行が減少させられたゴルフボールが製造されて良い。好ましくは、マントル部分16および液体センタのシェル20の内側直径は約o.64から3.81cm(約0.25から1.5インチ)であり、より好ましくは、内側直径は約1.27から3.43cm(約0.5から1.35インチ)である。マントル部分16の厚さは、好ましくは、0.13から0.89cm(0.05から0.35インチ)であり、より好ましくは、0.18から0.76cm(0.07から0.3インチ)であり、それは1または複数の同一または異なる層からなる。好ましくは、マントル部分は上述のとおり、HNPからなり、より好ましくは、HNPは2005年11月9日に出願された米国特許出願11/270,066に開示されているものから選択され、その内容は参照してここに組み入れた。シェル20および液体センタ18は先に説明した材料の任意のものでよい。代替的には、先に説明したように、液体センタ18はシェル20を伴うことなしに、マントル部分16により包囲されて良い。好ましくは、この発明に従って製造された飛行が減少されたゴルフボールのCORは高々0.75であり、より好ましくは、高々0.725であり、最も好ましくは、高々0.70である。
【0099】
この発明の1側面に従えば、ゴルフボールは約70から約120の間の圧縮を有するように調整される。
【0100】
ゴルフボール成分の寸法、すなわち厚さおよび直径を、所望の特性に依存して変えることができる。本発明の目的のために、いかなる層の厚さも使用することができる。先に述べた種々の実施例の例は、層の寸法に関して本明細書に提供されており、本発明を制限するものではない。
【0101】
1実施例において、液体コア12は、ポリエチレンまたはポリプロピレンのシェル20内に封入された液体砂糖溶液を有する。シェル20の壁厚は0.076cm(0.03インチ)であり、その外側直径は3.18cm(1.25インチ)である。マントル層22がシェルを被覆し、DuPont HPF2000のようなHNPからなる。マントル層22の厚さは0.38cm(0.15インチ)である。内側カバー層はマントル層の上に配置され、少なくとも413.68MPa(60000psi)の曲げ弾性率のアイオノマーを有する。この内側カバー層の厚さは0.89cm(0.35インチ)である。外側カバー層は内側カバー層の上に設けられ、曲げ弾性率が40000未満のポリウレタンまたはポリ尿素を有する。好ましくは、ゴルフボールのCORは0.78より大きく、より好ましくは、0.8より大きく、その圧縮は70から120である。好ましくは、ゴルフボールのスピン減衰率は当初のスピンの少なくとも10%であり、より好ましくは当初のスピンの少なくとも15%である。
【0102】
他の実施例において、液体コア12は、架橋アクリロニトリルゴムのシェル20内に封入された低粘度のナフテン酸を有する。シェル20の外側直径は1インチである。架橋ポリブタジエンゴムのマントル層22がシェルを被覆する。マントル層22の厚さは0.74cm(0.29インチ)である。単一カバー層11がマントル層22の上に配置される。カバー11は、厚さが0.05インチで、曲げ弾性率が約275.79から482.63MPa(約40000から70000psi)のアイオノマーまたはポリウレタンからなる。好ましくは、ゴルフボールのCORは少なくとも0.8であり、その圧縮は80から120である。好ましくは、ゴルフボールのスピン減衰率は当初のスピンの少なくとも10%であり、より好ましくは当初のスピンの少なくとも15%である。
【0103】
他の実施例において、マントル層22は、比重が0.9のHNPからなる。内側カバー層がマントル層22の上に設けられる。内側カバー層は米国特許第6,743,123号に開示されるような薄い高密度の層であってよく、当該特許の内容は参照してここに組み入れる。
【0104】
本発明は、全ての大きさのゴルフボールに関する。USGAによる「ゴルフ規則(The Rules of Golf)」は仕様を規定しており、それは競技用ゴルフボールの大きさを42.67mm(1.680インチ)より大きいと決めており、レジャーのゴルフプレーヤーはいかなる大きさのボールも使用することができる。ゴルフボールの好ましい直径は約42.67mm(1.680インチ)〜約48.26mm(1.900インチ)である。より好ましい直径は、約42.67mm(1.680インチ)〜約44.70mm(1.760インチ)である。約42.67mm(1.680インチ)〜約44.20mm(1.740インチ)の直径が最も好ましいが、いずれにしろ、約42.67mm(1.680インチ)〜約49.53mm(1.950インチ)の範囲の直径を使用することができる。好ましくは、コアおよびマントル層または中間層の全体の直径は、仕上げたボールの全体の直径の約80%〜約98%である。
【0105】
コアの直径は約2.29mm(0.090インチ)〜約41.91mm(1.650インチ)の範囲であることができる。1実施例では、本発明のコアの直径は約30.48mm(1.200インチ)〜約41.40mm(1.630インチ)である。他の実施例では、コアの直径は約33.02mm(1.300インチ)〜約40.64mm(1.600インチ)であり、好ましくは約35.31mm(1.390インチ)〜約40.64mm(1.600インチ)であり、より好ましくは約38.10mm(1.500インチ)〜約40.64mm(1.600インチである)。さらに他の実施例では、コアの直径は約39.37mm(1.550インチ)〜約41.91mm(1.650インチ)である。
【0106】
ゴルフボールのコアはボールの他の部分に対して非常に大きい部分を占める可能性がある。例えば、1実施例では、コアがボールの約90%〜約98%、好ましくはボールの約94%〜約96%となる。この実施例では、コアの直径は好ましくは約39.12mm(1.540インチ)より大きく、好ましくは約39.37mm(1.550インチ)またはそれより大きい。1実施例では、コアの直径は約40.39mm(1.590インチ)またはそれより大きい。他の実施例では、コアの直径は約41.66mm(1.640インチ)またはそれより小さい。このように、1実施例は、単一層のカバーと約39.12mm(1.540インチ)またはそれより大きい直径の大きなコアを有するゴルフボールを含む。他の実施例は、複数の層と約39.12mm(1.540インチ)またはそれより大きい直径の大きなコアを有するゴルフボールを含む。
【0107】
他の実施例は、種々の質量分配の成分を有するゴルフボールを含む。これらのゴルフボールはコアとカバーを含み、この場合ボールの質量が中心に対して放射状に配分されており、これによって、ボールの慣性モーメントが決定されている。質量が中心に向かって配分されている場合、慣性モーメントは減少し、質量が中心から外方に向かって配分されている場合、慣性モーメントは増加する。
【0108】
本発明は、コアとカバーを含むゴルフボールを含み、この場合ボールの質量が中心に対して放射状に配分されており、これによって、ボールの慣性モーメントが決定され、ゴルフボールは追加の中間層および/またはカバーを有することができる。ボールの質量をボールの外側表面へ向けて分配することにより、打撃時および飛行中のボールの動的特性が変わる。特に、質量が中心に向けて配分されている場合、慣性モーメントは減少し、ボールがゴルフクラブを離れるとボールの初期スピン速度は増加し、これはボールの慣性モーメントからの抵抗が少ないためである。反対に、質量が中心から外側に向かって配分されている場合、慣性モーメントが増加し、ボールがゴルフクラブを離れるとボールの初期スピン速度は減少し、これはボールの慣性モーメントからの抵抗が大きいためである。従って、質量密度の再配分の結果として慣性モーメントが増加から減少へと切り替わる、ボールの中心から、または外側カバーからの半径方向の距離は、ゴルフボールの設計において重要な因子である。
【0109】
45.93g(1.62オンス)で直径42.67mm(1.68インチ)のワンピースボールの慣性モーメントは約83.63g−cm2(0.4572oz−in2)であり、これは慣性モーメントの基準値である。本発明は、軽いセンタおよび重いカバーとマントル層を有し、かつ84.13g−cm2(0.460oz−in2)より大きい慣性モーメントを有するゴルフボールを含む。さらに、重いコア(センタとマントル層を含む)および軽いカバーを有し、かつ慣性モーメントが82.30g−cm2(0.450oz−in2)より小さいゴルフボールも対象である。
【0110】
コアが内側コア層と外側コア層を含む場合、内側コア層は好ましくは約22.86mm(0.9インチ)またはそれより厚く、外側コア層は好ましくは約2.54mm(0.1インチ)またはそれよい大きい厚さを有する。1実施例では、内側コア層は約2.29mm(0.09インチ)〜約30.48mm(1.2インチ)の直径を有し、外側コア層は約2.54mm(0.1インチ)〜約20.32mm(0.8インチ)の厚さを有する。さらに他の実施例では、内側コア層は約2.41mm(0.095インチ)〜約27.94mm(1.1インチ)の直径を有し、かつ外側コア層は約5.08mm(0.20インチ)〜約0.76mm(0.03インチ)の厚さを有する。
【0111】
カバーは、典型的には、十分な強度、良好な作動特性、および耐久性を提供する厚さを有している。1実施例では、カバーの厚さは約0.51mm(0.02インチ)〜約8.89mm(0.35インチ)である。カバーは好ましくは約0.51mm(0.02インチ)〜約3.05mm(0.12インチ)の厚さを有し、好ましくは約2.54mm(0.1インチ)またはそれより薄い。カバーは約2.54mm(0.1インチ)またはそれより小さい厚さを有し、好ましくは約1.78mm(0.07インチ)またはそれより小さい厚さを有する。1実施例では、外側カバーは約0.51mm(0.02インチ)〜約1.78mm(0.07インチ)の厚さを有する。他の実施例では、カバーの厚さは約1.27mm(0.05インチ)またはそれより薄く、好ましくは約0.51mm(0.02インチ)〜約1.27mm(0.05インチ)である。さらに他の実施例では、外側カバー層は約0.51mm(0.02インチ)〜約1.14mm(0.045インチ)である。さらに他の実施例では、外側カバー層は、約0.64mm(0.025インチ)〜約1.02mm(0.04インチ)の厚さである。1実施例では、外側カバー層は約0.76mm(0.03インチ)の厚さである。
【0112】
ゴルフボールのマントル層の厚さの範囲は大きく、それはマントル層を使用する可能性が大きいからであり、すなわち外側コア層として、内側カバー層として、糸巻き層として、湿気/蒸気防止層として使用する可能性があるためである。本発明のゴルフボールで使用する場合、マントル層、または内側カバー層の厚さは約7.62mm(0.3インチ)またはそれより薄い。1実施例では、マントル層の厚さは約0.051mm(0.002インチ)〜約2.54mm(0.1インチ)、好ましくは約0.25mm(0.01インチ)またはそれより厚い。1実施例では、マントル層の厚さは約2.29mm(0.09インチ)またはそれより薄く、好ましくは約1.52mm(0.06インチ)またはそれより薄い。他の実施例では、マントル層の厚さは約1.27mm(0.05インチ)またはそれより薄く、より好ましくは約0.25mm(0.01インチ)〜約1.14mm(0.045インチ)である。1実施例では、マントル層の厚さは約0.51mm(0.02インチ)〜約1.02mm(0.04インチ)である。他の実施例では、マントル層の厚さは約0.64mm(0.025インチ)〜約0.89mm(0.035インチ)である。さらに他の実施例では、マントル層の厚さは約0.89mm(0.035インチ)である。さらに他の実施例では、内側カバー層は約0.76mm(0.03インチ)〜約0.89mm(0.035インチ)の厚さである。マントル層と外側カバー層の厚さの様々の範囲の組み合わせを、本明細書に記載した他の実施例と組み合わせて使用することができる。
マントル層の外側カバー層に対する厚さの比率は好ましくは約10またはそれより小さく、好ましくは約3またはそれより小さい。他の実施例では、マントル層の外側カバー層に対する厚さの比率は約1またはそれより小さい。
【0113】
コアと任意のマントル層は共に内部ボールを形成し、それは好ましくは約42.67mm(1.68インチ)のボールに対して約37.59mm(1.48インチ)またはそれより大きい直径を有する。1実施例では、42.67mm(1.68インチ)のボールの内部ボールは約38.61mm(1.52インチ)またはそれより大きい直径を有する。他の実施例では、42.67mm(1.68インチ)のボールの内部ボールは約42.16mm(1.66インチ)またはそれより小さい直径を有する。さらに他の実施例では、42.67mm(1.68インチ)のボールの内部ボールは約40.39mm(1.59インチ)またはそれより小さい直径を有する。さらに他の実施例では、43.69mm(1.72インチ)の(またはそれより大きい)ボールの内部ボールは約38.10mm(1.50インチ)またはそれより大きい直径を有する。さらに他の実施例では、43.69mm(1.72インチ)のボールの内部ボールは約43.18mm(1.70インチ)またはそれより小さい直径を有する。
【0114】
本発明のボールの好ましい製造方法については、液状センタのシェル20を形成して中央空洞を作り、空洞を流体センタ18で充填することによって内部球体を製造する。第1の実質的に半球形の凹型の金型部品32と凸型の金型部品34の間で、カップ材料31、好ましくはポリブタジエンを圧縮成形することにより第1のカップを製造する。凸型の金型部品34は第1の実質的に半球形の凸部35を有し、該凸部は第1の凹型の金型部品32向かい合っている。第2のカップを次いで同様の方法で製造する。
【0115】
別の方法として、図4に示すように、第1の凸部35および第2の凸部37を有する単一の凸型の金型部品36の周りで二つのカップ30を同時に圧縮成型する。第1および第2の半球形の金型32および33を相互に反対側に配置し、凸型の金型部品36を半球形の金型32と33の間に置く。
【0116】
図5は、カップ30が成形された後の二つの凹型の金型部品32と33を示している。共に半球形のカップ30は半球形の空洞44を有している。空洞44の周りに配置されたために、カップ30は面46に対応する面を有し、この実施例では該面は実質的に均一である。
【0117】
本方法のこの時点において、内部球体13をカップ30の内部に置き、二つのカップ30を一緒にする。この工程の間、カップ30を好ましくはそれぞれの半球形の金型32および33中に保持する。カップ30を一緒にする好ましい方法は、図5に示すように、カップ30の一方に接着剤を適用してカップの間に接着剤42を付けることである。次いでカップ30を一緒に合わせ、カップ30の対応する面の間で均一に接着剤を圧迫する。接着剤42は次いで硬化してカップ30を相互に結合する。空洞内に接着剤42を付けて、接着剤が内部球体13をカップ30と結合するように接着剤を適用することがさらに好ましい。カップの間に付けた接着剤42は、カップ30と内部球体13のと間に付けた接着剤42と共に均一に広がって、カップ30を相互に結合する。結合したカップの空洞44は球形の空洞を形成し、内部球体13がそれを占める。
【0118】
カップ30を結合する他の方法は、カップを高温で一緒に圧縮して各カップ30のエラストマーカップ材料の間に架橋を起こさせることである。図4に示した実施例において、凸型の金型部品36を除去し、カップ30を一緒に加熱圧縮する第2サイクルによる圧縮成型を行うことによってこの方法を達成することができる。
【0119】
図6は、内部球体13とカップ30が結合する前の両者を示している。この実施例では、内部球体はカップ30の間に置かれた凍結した流体18の球体であり、好ましくは流体18が溶け始める前に球体の周りにカップ30を結合する。
【0120】
カップ30が結合されると、図8に示すようにコア12の周りにカバー11を形成する。図8は、ディンプルを付けた金型68中でコア12の周りにおいて2個のカバー11を二つ割りにしたものを圧縮成型する工程を示す。図9は、ピン62を有するディンプルを付けた金型60中でコア12の周りにカバー11を射出成形する工程を示し、該ピンはディンプルを付けた金型60の内部でコア12の位置を定め、カバー11が完全に硬化する前に引っ込む。
【0121】
図7のゴルフボールを、カップ30を接着剤で結合することにより形成した。接着剤42は、第1のマントル層22においてカップの間および各カップ30と内部球体13との間に広がる。接着剤42は好ましくはエラストマーカップ材料の粘着強度より大きな接着強度を有する。従って、単一片のカップ材料からマントル層を製造したボールと少なくとも同程度の強度を有するボールを製造することができ、これはカップ30を形成するエラストマーが接着剤42より軽い負荷で破損するからである。接着剤42は硬化した状態で柔軟性があり、かつ使用したカップ材料と類似する物理特性を有することが理想的である。
【0122】
ポリブタジエンカップ30に使用する好ましい接着剤は、低粘度の液状樹脂をブレンドして製造し、かつそれが硬化した状態で柔軟であるように配合したエポキシである。適切なエポキシを、質量で約83部のAB−82硬化剤を質量で100部のEpoxy Resin #1028を約1:1の容量で混合して製造する(両者はRBCインダストリーズ社から市販されている)。液体状態にあるときは、エポキシは定量し、混合しおよび配合する装置中で使用するのに理想的である。このエポキシを好ましくは25℃(77°F)で18〜24時間、35℃(95°F)で6時間、48.9℃(120°F)で3時間、または65.6℃(150°F)で1時間硬化させる。硬化した接着剤の物理特性はエラストマーウレタンの特性に類似している。これは、ノッチ付きで5.50ft.lbs./inのアイゾット衝撃強度、25℃で15.17MPa(2,200psi)の引っ張り強度、25℃で41.37MPa(6,000psi)の圧縮強度、および45のショアD硬度を示す。好ましくは、硬化した接着剤のショアD硬度は、エラストマーカップ材料のショアD硬度を20ショアD硬度分だけ越えることはない。
【0123】
他の好ましい接着剤はシアノアクリレートを含む接着剤である。
【0124】
図10および11はカップ48および54の別の実施例を示す。均一な対応する表面を有する代わりに、カップ48および54は平面状でない対応する表面50と52、および56と58を有する。これらの表面50と52、および56と58は隆起物の環状の模様を有し、該模様は各カップ48および54の空洞44について対称的であることが好ましく;示した模様はカップ48および54について同心円状である。ボール53において、表面58は表面56の溝にかみ合う舌を有する。 仕上げ処理したゴルフボール47および53では、均一でない表面50および52はかみ合うように配置され、均一でない表面56および58についても同様である。これらの均一でない対応する表面50および52を好ましくは、カップ48または54を凸部の周りに均一でない表面を有する凸型の金型部品で成形することによって製造し、該部品は例えば図4に示すように、均一でない表面64および66を有する凸型の金型部品36である。
【0125】
均一でない対応する表面を有するゴルフボールのマントル部分16における液状センタのシェルおよびマントル層は、カップのそれぞれにせん断力が加わった場合、均一な対応する面を有するゴルフボールと比較して、カップを形成するエラストマーの多くの性質を保持する。従って、エラストマーカップ材料の粘着強度より低い接着強度を有する接着剤を使用する場合には、均一でない対応する表面が有利である。その理由は、カップ48および54のかみ合わせ部分が二つのカップ48と54の間のせん断力に対抗するのに役立つからである。
【0126】
本明細書に開示した本発明の具体的な実施例が上記した目的を達成することは明らかである一方、当業者は多数の変形および他の実施例を考え得ることが理解され、例えば、一連の直径が次第に大きくなるカップを開示した方法で製造し、結合させることが可能である。従って、添付した特許請求の範囲は、本発明の精神の範囲内に入るこのような変形および実施例を全て含むことを意図している。
【0127】
本明細書に記載し、特許請求の範囲に記載した発明は特定の実施例によってその範囲が制限されることはなく、なぜならこれらの実施例は本発明のいくつかの観点を説明することを意図するものだからである。いかなる均等の実施例も本発明の範囲に含まれることが意図されている。さらに、本明細書に示され、記載された発明に加えて、本発明の種々の変形は、前記の説明から当業者にとって明白となろう。例えば、本発明の組成物を種々のゴルフ用具に使用することができ、例えばゴルフシューズのソールへの使用、さらにゴルフパターのインサートに使用することができる。これらの変形も添付した特許請求の範囲に入ることが意図されている。
本発明に従うゴルフボールコアの種々の例は以下の通りである。
【0128】
例
以下の例は本発明を説明する:
【0129】
例1
液状センタ、液状センタを取り巻く液状センタのシェルおよび液状センタのシェルを取り巻く第1のマントル層を有する、本発明に従うコアを製造した。
液体は、40%の塩、30%の水および30%のコーンシロップから成る塩、水およびコーンシロップ溶液であった。液状センタの外側直径は約24.51mm(0.965インチ)であった。
液状センタのシェルを熱可塑性エラストマーから製造した。液状センタのシェルの外側直径は約28.58mm(1.125インチ)であった。
【0130】
第1のマントル層を架橋したポリブタジエンから製造した。第1のマントル層の外側直径は約38.35mm(1.51インチ)であった。
コアの質量は38.9gであり、PGA圧縮は60より小さかった。
【0131】
例2
液状センタ、液状センタを取り巻く液状センタのシェルおよび液状センタのシェルを取り巻く第1のマントル層を有する、本発明に従うコアを製造した。
【0132】
液体は、40%の塩、30%の水および30%のコーンシロップから成る塩、水およびコーンシロップ溶液であった。液体を充填したセンタの外側直径は約23.83mm(0.938インチ)であった。
【0133】
液状センタのシェルをポリプロピレンから製造した。液状センタのシェルの外側直径は約26.99mm(1.0625インチ)であった。
第1のマントル層を架橋したポリブタジエンから製造した。第1のマントル層の外側直径は約38.35mm(1.51インチ)であった。
【0134】
コアの質量は33.4gであり、PGA圧縮は約60であった。
【0135】
例3
流体センタ、流体センタを取り巻く液状センタのシェルおよび液状センタのシェルを取り巻く第1のマントル層を有する、本発明に従うコアを製造した。
【0136】
流体は、空気であった。流体センタの外側直径は約23.83mm(0.938インチ)であった。
液状センタのシェルをポリプロピレンから製造した。液状センタのシェルの外側直径は約26.99mm(1.0625インチ)であった。
【0137】
第1のマントル層を架橋したポリブタジエンから製造した。第1のマントル層の外側直径は約38.35mm(1.51インチ)であった。
【0138】
コアの質量は26gであり、PGA圧縮は約87であった。
【図面の簡単な説明】
【0139】
【図1】本発明のゴルフボールの断面図である。
【図2】液体センタのシェルおよび多層マントルおよび内部球体を取り巻くカバー層を有する本発明に従うボールの断面図である。
【図3】シングルカップを行う金型の断面図である。
【図4】本発明に従う多層カップを行う金型の断面図である。
【図5】ゴルフボールのマントル層のカップを結合する金型の断面図である。
【図6】凍結した流体の内部球体を取り巻くゴルフボールのマントル層のカップを結合する金型の断面図である。
【図7】カップを結合する接着剤を有する本発明に従うボールの断面図である。
【図8】ゴルフボールコアを取り巻くカバーを形成する圧縮金型を示す。
【図9】コアの周りにカバーを形成する射出金型を示す。
【図10】相互にかみ合わせる平面状でない対応する表面を有するカップの断面図である。
【図11】相互にかみ合わせる平面状でない対応する表面を有するカップの断面図である。
【図12】この発明の他の実施例に従うボールの断面図である。
【図13A】表面面積が増大するように修正された内側表面を具備するこの発明の実施例に従うボールの液体センタの断面図である。
【図13B】表面面積が増大するように修正された内側表面を具備するこの発明の実施例に従うボールの液体センタの断面図である。
【図13C】表面面積が増大するように修正された内側表面を具備するこの発明の実施例に従うボールの液体センタの断面図である。
【図13D】表面面積が増大するように修正された内側表面を具備するこの発明の実施例に従うボールの液体センタの断面図である。
【図14A】この発明および従来のゴルフボールのスピン減衰率を示すグラフである。
【図14B】この発明および従来のゴルフボールのスピン減衰率を示すグラフである。
【図14C】この発明および従来のゴルフボールのスピン減衰率を示すグラフである。
【図14D】この発明および従来のゴルフボールのスピン減衰率を示すグラフである。
【符号の説明】
【0140】
10 ゴルフボール
11 カバー
12 コア
16 マントル部分
18 流体
20 シェル
22 第1のマントル層
【技術分野】
【0001】
この発明は、センタの周りに配置され接着剤で相互に結合した複数のコア部分を有する多層ゴルフボールを目的とする。特に本発明は、ボールのセンタにおける流体から成るコア、流体を取り巻く第1のマントル層および第1のマントル層を取り巻きかつそれに隣接する第2の固形の糸巻きでないマントル層を有するゴルフボールを含む。
【背景技術】
【0002】
一般に、ゴルフボールはツーピースボールとスリーピースボールに分類されている。ツーピースボールはソリッドのポリマーコアとカバーから成る。これらのボールは一般に製造が簡単であるが、限られたプレー特性を有すると考えられている。スリーピースボールは引っ張った弾性材料で取り巻いたソリッドまたは液体充填センタおよびカバーから成る。スリーピースボールはゴルフクラブで打った場合に一般に良好な「クリック」および「感覚」を有するが、ツーピースボールより製造するのが困難である。
【0003】
先行技術は、最適なプレー特性を提供するように設計された種々のゴルフボールから成っている。これらの特性は一般に、ボールの初速およびスピンであり、これらを種々のプレーヤーに対して最適化することができる。例えば、あるプレーヤーはプレーしやすくするために高いスピン速度のボールでプレーすることを好む。他のプレーヤーは飛距離を最大化するために低いスピン速度のボールでプレーすることを好む。しかしながら、これらのボールには固い感覚がありグリーン周りでの制御が困難になる傾向がある。
【0004】
先行技術は液体充填ゴルフボールから成る。糸巻きゴルフボールは長年液体充填センタで製造されてきた。米国特許第1,568,513号(特許文献1)および同第1,904,012号(特許文献2)の両者は液体充填センタを有する糸巻きゴルフボールを目的としている。米国特許第5,150,906号(特許文献3)および同第5,480,155号(特許文献4)は、シェル中に導入されたときは液体である単一で非細胞状の材料または液体で充填したポリマー材料の中空で球形のシェルを目的としている。シェルは、内部層の外部表面を形成する外側カバーを有する内部層または外側カバーである旨開示されている。シェルの厚さは約0.152cm〜約1.04cm(0.060〜0.410インチ)まで変化する。
【0005】
ソリッドのセンタの周りに層を成形しようとするためには、球形の圧縮金型中のコア材料の二つのブロックの間に予備成形したセンタを置き、金型を閉じることが必要である。このことはカマタリ(Kamatari)が市販するゴルフボールの製造で行われている。しかしながらこの方法では、ゴルフボールのコア内にセンタを最終的に配置することに対する制御がほとんど行えない。センタの偏心における大きな変化が生じる可能性がある。
【0006】
先行技術は二重カバーのゴルフボールの製造も提供している。これは一般的には、コアの周りに最初に第1のカバー層の射出成形を行い、次いで第2のカバー層を成形することによって達成される。しかしながらこのシステムには複合射出金型、通常はコアを適切な位置に置くために引き込み式のピンを有する金型が必要である。
【特許文献1】米国特許第1,568,513号
【特許文献2】米国特許第1,904,012号
【特許文献3】米国特許第5,150,906号
【特許文献4】米国特許第5,480,155号
【発明の開示】
【0007】
本発明は、一定の直径を有し、コアおよびカバーから成るゴルフボールに関連し、ここで、コアはさらにボールのセンタにおける流体から成り、第1のマントル層は流体を取り巻き、第2の、固形の糸巻きでないマントル層は第1のマントル層を取り巻きかつそれに隣接しており、この場合、第1のマントル層は熱硬化性ゴム、プラスチックおよび熱可塑性エラストマー材料から成る群から選択するポリマー材料を含み、第2のマントル層は熱硬化性ゴム材料および熱可塑性エラストマー材料から成る群から選択するポリマー材料を含み、かつカバーはポリウレタン、ポリ尿素、またはポリ尿素/ポリウレタンハイブリッドを含む。
【0008】
1実施例において、コア中の流体は気体、液体、ゲル、ペーストまたはこれらの組み合わせである。他の実施例では、流体は熱膨張係数が小さいかまたは沸点が高い液体である。好ましい実施例では、流体は熱膨張係数が小さいかまたは沸点が高い液体であり、これを油、ポリオールおよびこれらの混合物から成る群から選択する。さらに他の実施例では、流体は気体であり、気体を空気、窒素、ヘリウム、アルゴン、ネオン、二酸化炭素、酸化二窒素およびこれらの混合物から成る群から選択する。
1実施例では、第1のマントル層は以下を含む:動的に加硫した熱可塑性エラストマー、官能化したスチレン−ブタジエンエラストマー、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリエーテルエステルまたはポリエーテルアミド、熱可塑性アイオノマー樹脂、熱可塑性ポリエステル、メタローセンポリマーまたはこれらのブレンド。他の実施例では、カバーは内側カバー層と薄い外側カバー層を含み、外側カバー層は注型性の反応性液体から形成された熱硬化性材料を含み、内側カバー層は曲げ弾性率が高い材料を含む。
【0009】
他の実施例では、コア、カバー、第1のマントル層または第2のマントル層は有機酸またはその塩で中和した酸基を含むポリマーを含み、有機酸またはその塩は少なくとも約70%までポリマーを中和するのに十分な量で存在する。好ましい実施例ではポリマーは以下を含む:アイオノマーコポリマーおよびターポリマー、アイオノマーの前駆体、熱可塑性物、熱可塑性エラストマー、ポリブタジエンゴム、バラタ、グラフト化したメタローセンで触媒したポリマー、グラフト化していないメタローセンで触媒したポリマー、シングルサイトポリマー(single−site polymer)、高結晶性酸ポリマー、カチオン性アイオノマー、およびこれらの混合物。他の好ましい実施例では、有機酸を以下から成る群から選択する:脂肪族有機酸、芳香族有機酸、飽和モノ−官能性有機酸、不飽和モノ−官能性有機酸、および多−不飽和モノ−官能性有機酸。さらに他の好ましい実施例では、有機酸の塩は、ステアリン酸、ベヘン酸、エルカ酸、オレイン酸、リノール酸、の以下の塩、二量化誘導体およびこれらの混合物を含む:バリウム、リチウム、ナトリウム、亜鉛、ビスマス、クロム、コバルト、銅、カリウム、ストロンチウム、チタン、タングステン、マグネシウム、セシウム、鉄、ニッケル、銀、アルミニウム、スズ、およびカルシウム。
【0010】
1実施例では、ゴルフボールの直径は少なくとも42.67mm(1.68インチ)である。他の実施例では、第1のマントル層の内径は約15.05〜27.94mm(0.75〜1.1インチ)である。さらに他の実施例では、コアの直径は約40.39mm(1.590インチ)またはそれより大きい。他の実施例では、カバーの厚さは約0.38〜3.05mm(0.015〜0.12インチ)である。
他の実施例では、第1のマントル層または第2のマントル層はさらにハロゲン化チオフェノールを含む。好ましくは、ハロゲン化チオフェノールは亜鉛ペンタクロロチオフェノールである。
【0011】
さらに他の実施例では、カバーはポリエーテルポリエステル熱可塑性ウレタン、熱硬化性ポリウレタン、ポリ尿素、またはポリウレタン/ポリ尿素ハイブリッドを含み、これらはイソシアネートプレポリマーから製造する。好ましくはプレポリマーはパラフェニレンジイソシアネートである。
1実施例では、本ゴルフボールは84.13g−cm2(0.460oz−in2)より大きい慣性モーメントを有する。他の実施例では、本ゴルフボールは82.30g−cm2(0.450oz−in2)より小さい慣性モーメントを有する。
【0012】
本発明はさらに一定の直径を有し、コアおよびカバーから成るゴルフボールを含み、該コアはさらにボールのセンタにおける流体から成り、第1のマントル層は流体を取り巻き、第2の、固形の糸巻きでないマントル層は第1のマントル層を取り巻きかつそれに隣接しており、第1のマントル層は熱硬化性ゴム、プラスチックおよび熱可塑性エラストマー材料から成る群から選択するポリマー材料を含み、かつ第2のマントル層は熱硬化性ゴム材料および熱可塑性エラストマー材料から成る群から選択するポリマー材料を含み、かつカバーはポリエーテルおよびポリエステル熱可塑性ウレタン、熱硬化性ポリウレタン、アイオノマー樹脂、低モジュラスアイオノマー、高モジュラスアイオノマー、およびこれらのブレンドから成る群から選択する材料を含む。1実施例では、カバーは熱硬化性ポリウレタンを含む。
【0013】
1実施例では、流体は熱膨張係数が小さいかまたは沸点が高い液体である。好ましい実施例では、流体は油、ポリオールおよびこれらの混合物から成る群から選択した、熱膨張係数が小さいかまたは沸点が高い液体である。さらに他の実施例では、流体は気体であり、この場合気体を空気、窒素、ヘリウム、アルゴン、ネオン、二酸化炭素、酸化二窒素およびこれらの混合物から成る群から選択する。
【0014】
1実施例では、第1のマントル層は以下を含む:動的に加硫した熱可塑性エラストマー、官能化したスチレン−ブタジエンエラストマー、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリエーテルエステルまたはポリエーテルアミド、熱可塑性アイオノマー樹脂、熱可塑性ポリエステル、メタローセンポリマーまたはこれらのブレンド。他の実施例では、カバーは内側カバー層と薄い外側カバー層を含み、外側カバー層は注型性の反応性液体から形成された熱硬化性材料を含み、内側カバー層は曲げ弾性率が高い材料を含む。
【0015】
他の実施例では、コア、カバー、第1のマントル層または第2のマントル層は有機酸またはその塩で中和した酸基を含むポリマーを含み、有機酸またはその塩は少なくとも約70%までポリマーを中和するのに十分な量で存在する。好ましい実施例ではポリマーは以下を含む:アイオノマーコポリマーおよびターポリマー、アイオノマーの前駆体、熱可塑性物、熱可塑性エラストマー、ポリブタジエンゴム、バラタ、グラフト化したメタローセンで触媒したポリマー、グラフト化していないメタローセンで触媒したポリマー、シングルサイトポリマー(single−site polymer)、高結晶性酸ポリマー、カチオン性アイオノマー、およびこれらの混合物。他の好ましい実施例では、有機酸を以下から成る群から選択する:脂肪族有機酸、芳香族有機酸、飽和モノ−官能性有機酸、不飽和モノ−官能性有機酸、および多−不飽和モノ−官能性有機酸。さらに他の好ましい実施例では、有機酸の塩は、ステアリン酸、ベヘン酸、エルカ酸、オレイン酸、リノール酸、の以下の塩、二量化誘導体およびこれらの混合物を含む:バリウム、リチウム、ナトリウム、亜鉛、ビスマス、クロム、コバルト、銅、カリウム、ストロンチウム、チタン、タングステン、マグネシウム、セシウム、鉄、ニッケル、銀、アルミニウム、スズ、およびカルシウム。
【0016】
1実施例では、ゴルフボールの直径は少なくとも42.67mm(1.68インチ)である。他の実施例では、第1のマントル層の内径は約15.05〜27.94mm(0.75〜1.1インチ)である。さらに他の実施例では、コアの直径は約40.39mm(1.590インチ)またはそれより大きい。他の実施例では、カバーの厚さは約0.38〜3.05mm(0.015〜0.12インチ)である。
【0017】
他の実施例では、第1のマントル層または第2のマントル層はさらにハロゲン化チオフェノールを含む。好ましくは、ハロゲン化チオフェノールは亜鉛ペンタクロロチオフェノールである。
【0018】
1実施例では、本ゴルフボールは84.13g−cm2(0.460oz−in2)より大きい慣性モーメントを有する。他の実施例では、本ゴルフボールは82.30g−cm2(0.450oz−in2)より小さい慣性モーメントを有する。
【0019】
本発明はさらに、一定の直径を有し、コアおよびカバーから成るゴルフボールを含み、ここで、コアはさらにボールのセンタにおける流体から成り、第1のマントル層は流体を取り巻き、第2の、固形の糸巻きでないマントル層は第1のマントル層を取り巻きかつそれに隣接しており、この場合、第1のマントル層は熱硬化性ゴム、プラスチックおよび熱可塑性エラストマー材料から成る群から選択するポリマー材料を含み、第2のマントル層は熱硬化性ゴム材料および熱可塑性エラストマー材料から成る群から選択するポリマー材料を含む材料からそれぞれ製造する2またはそれより多い層を含む。好ましい実施例では、熱硬化性ゴム材料をポリイソプレン、スチレンブタジエン、ポリブタジエンおよびこれらの混合物から成る群から選択する。ほかの好ましい実施例では、熱可塑性エラストマー材料を以下から成る群から選択する:メチルメタクリレートとブタジエンおよびスチレンとのコポリマー、メチルアクリレートとブタジエンおよびスチレンとのコポリマー、アクリロニトリルスチレンコポリマー、ポリエーテル−エステル、ポリエーテル−アミド、ポリウレタン、プロピレン/エチレン−プロピレン−ジエンゴム、スチレン−ブタジエンエラストマー、メタローセンポリマー、ポリエーテルエステル、ポリエーテルアミド、アイオノマー樹脂、ポリエステル、およびこれらのブレンド。
【0020】
1実施例では、コア中の流体は熱膨張係数が小さいかまたは沸点が高い液体である。好ましい実施例では、流体は油、ポリオールおよびこれらの混合物から成る群から選択した、熱膨張係数が小さいかまたは沸点が高い液体である。さらに他の実施例では、流体は気体であり、この場合気体を空気、窒素、ヘリウム、アルゴン、ネオン、二酸化炭素、酸化二窒素およびこれらの混合物から成る群から選択する。
【0021】
1実施例では、第1のマントル層は以下を含む:動的に加硫した熱可塑性エラストマー、官能化したスチレン−ブタジエンエラストマー、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリエーテルエステルまたはポリエーテルアミド、熱可塑性アイオノマー樹脂、熱可塑性ポリエステル、メタローセンポリマーまたはこれらのブレンド。他の実施例では、カバーは内側カバー層と薄い外側カバー層を含み、外側カバー層は注型性の反応性液体から形成された熱硬化性材料を含み、内側カバー層は曲げ弾性率が高い材料を含む。
【0022】
他の実施例では、コア、カバー、第1のマントル層または第2のマントル層は有機酸またはその塩で中和した酸基を含むポリマーを含み、有機酸またはその塩は少なくとも約70%までポリマーを中和するのに十分な量で存在する。好ましい実施例ではポリマーは以下を含む:アイオノマーコポリマーおよびターポリマー、アイオノマーの前駆体、熱可塑性物、熱可塑性エラストマー、ポリブタジエンゴム、バラタ、グラフト化したメタローセンで触媒したポリマー、グラフト化していないメタローセンで触媒したポリマー、シングルサイトポリマー(single−site polymer)、高結晶性酸ポリマー、カチオン性アイオノマー、およびこれらの混合物。他の好ましい実施例では、有機酸を以下から成る群から選択する:脂肪族有機酸、芳香族有機酸、飽和モノ−官能性有機酸、不飽和モノ−官能性有機酸、および多−不飽和モノ−官能性有機酸。さらに他の好ましい実施例では、有機酸の塩は、ステアリン酸、ベヘン酸、エルカ酸、オレイン酸、リノール酸、の以下の塩、二量化誘導体およびこれらの混合物を含む:バリウム、リチウム、ナトリウム、亜鉛、ビスマス、クロム、コバルト、銅、カリウム、ストロンチウム、チタン、タングステン、マグネシウム、セシウム、鉄、ニッケル、銀、アルミニウム、スズ、およびカルシウム。
【0023】
1実施例では、ゴルフボールの直径は少なくとも42.67mm(1.68インチ)である。他の実施例では、第1のマントル層の内径は約15.05〜27.94mm(0.75〜1.1インチ)である。さらに他の実施例では、コアの直径は約40.39mm(1.590インチ)またはそれより大きい。他の実施例では、カバーの厚さは約0.38〜3.05mm(0.015〜0.12インチ)である。
【0024】
他の実施例では、第1のマントル層または第2のマントル層はさらにハロゲン化チオフェノールを含む。好ましくは、ハロゲン化チオフェノールは亜鉛ペンタクロロチオフェノールである。
【0025】
1実施例では、本ゴルフボールは84.13g−cm2(0.460oz−in2)より大きい慣性モーメントを有する。他の実施例では、本ゴルフボールは82.30g−cm2(0.450oz−in2)より小さい慣性モーメントを有する。
【0026】
他の実施例において、ある直径を有し、コアおよびカバーを具備するゴルフボールが実現される。コアは、さらにボールの中央の流体の塊と、この流体の塊を包囲する第1のソリッドの非糸巻層とを有する。この第1の層は、エチレンおよびα,β−不飽和カルボン酸のコポリマーまたはターポリマーを有し、この酸は、有機酸の塩、カチオン源、または有機酸の適切な塩基により少なくとも80%中和されている。カバーは、ポリウレタン、ポリ尿素、またはポリウレタン/ポリ尿素ハイブリッドを有する。
【0027】
他の実施例において、ある直径を有し、コアおよびカバーを具備するゴルフボールが実現される。コアは、さらにボールの中央の流体の塊と、この流体の塊を包囲するシェルと、このシェルを包囲する第1のソリッドの非糸巻マントル層とを有する。この第1のマントル層は、エチレンおよびα,β−不飽和カルボン酸のコポリマーまたはターポリマーを有し、この酸は、有機酸の塩、カチオン源、または有機酸の適切な塩基により少なくとも80%中和されている。カバーは、ポリウレタン、ポリ尿素、またはポリウレタン/ポリ尿素ハイブリッドを有する。
【0028】
さらに他の実施例において、ある直径を有し、コアおよびカバーを具備するゴルフボールが実現される。コアは、さらにボールの中央の流体の塊と、この流体の塊を包囲する第1のソリッドの非糸巻マントル層とを有する。この第1のマントル層は、エチレンおよびα,β−不飽和カルボン酸のコポリマーまたはターポリマーを有し、この酸は、有機酸の塩、カチオン源、または有機酸の適切な塩基により少なくとも80%中和されている。カバーは、ポリウレタン、ポリ尿素、またはポリウレタン/ポリ尿素ハイブリッドを有する。ゴルフボールのスピン減衰率は、全体のボール飛行に渡って、当初のスピンレートの少なくとも10%である。
【0029】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面とともに提供される以下の詳細な説明から明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明のゴルフボールはいずれの型のボール構成も含む。例えば、ゴルフボールは少なくともスリーピースの構成、多層コア、多層カバー、一または複数のマントル層または中間層を有することができる。本明細書で使用する「多層」という用語は、少なくとも二つの層を意味する。本明細書で使用する「層」という用語は、一般にゴルフボールの球形部分、すなわちゴルフボールコアまたはセンタ、マントル層、および/またはゴルフボールカバーを含むことができる。
【0031】
図1を参照すると、ボール10はカバー11とコア12を含む。本明細書で使用する「コア」という用語は、ゴルフボールの最内層の部分を意味し、一または複数の層を含むことができる。多層コアを考慮する場合、コアはその上に配置した一または複数の追加のコア層を有する最内層の構成要素である。少なくともコアの一部、典型的にはセンタはソリッド、半ソリッド、中空、粉末充填した、または流体充填した、好ましくは流体充填したものである。本明細書で使用する「流体」という用語は、気体、液体、ゲル、ペースト、または類似物、またはこれらを組み合わせたものを意味する。1実施例では、コア12は内部球体13を有し、それはコアと中心を共通にして配置され、かつ液状センタのシェル20内の空所に流体センタ18を含むのが好ましい。
【0032】
1実施例では、コア12はさらに第1のマントル層22を有し、これは内部球体13を取り囲む。併せて、液状センタのシェル20および第1のマントル層22は、ボールのマントル部分16の一部である。図2のマントル部分16は追加の第2のマントル層40を含む。液状センタのシェル20およびマントル層22および40は好ましくはエラストマーである。
【0033】
「マントル層」(内側層または中間層としても知られている)を、本明細書ではカバーとコアの間の容量を占めるゴルフボールの部分として規定する。このようなマントル層を、ゴルフボール層の間のいくつかの相違、例えば硬度、圧縮、厚さ等によって、カバーまたはコアと区別することができる。マントル層を、所望の場合には、多層カバーまたは多層コアと共に、または多層カバーと多層コアの両者と共に使用することができる。従って、マントル層を本技術分野では内側カバー層、外側コア層または中間層、すなわちゴルフボールの内側コアと外側カバーとの間に配置した層ということがあり、この層を、例えば単一層若しくは多層カバー、ワンピースコア若しくは多層コア、単一層カバーとコアの両者、または多層カバーと多層コアの両者と一緒にすることができる。コアについては、マントル層は複数の層を含むこともできる。所望により、いかなる数または型のマントル層も使用できることが理解できよう。
【0034】
カバー11はボール10とクラブおよび他の物体、例えば樹木、カート通路、および芝との接点を提供する。カバーにとって望ましい性質は特に良好な流動性、高い剥離耐性、高い引き裂き強度、高いレジリエンス、および良好な離型性である。ゴルフボールは一つのカバー層、または2若しくはそれ以上のカバー層、例えば米国特許第5,885,172号に記載されているものを含むことができ、該特許に言及することによってその全ての開示内容を本明細書に取り込む。例えば、多層カバーを有するゴルフボールは内側カバー層と薄い外側カバー層を含むことができ、該外側カバー層は注型性の反応性液体から形成した熱硬化性材料を含み、該内側カバー層は高い曲げ弾性率材料を含む。好ましくは、カバー11は、射出成形した、圧縮成型した、注型または反応射出成形した一または複数の層をから成る。
【0035】
カバー11はポリマー材料、例えばエチレンと不飽和モノカルボン酸とのイオン性コポリマーから成っていてもよく、該コポリマーは、ウイルミントン、DEのデュポン社(E. I. DuPont De Nemours & Company of Wilmington, DE)の商標名「SURLYN(登録商標)」として、またはヒューストン、TXのエクソン(Exxon of Houston, TX)から商標名「IOTEK(登録商標)」または「ESCOR(登録商標)」として入手可能なものである。これらはエチレンとメタクリル酸またはアクリル酸とのコポリマーであり、亜鉛、ナトリウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、マンガン、ニッケル等で部分的に中和されている。
【0036】
本発明の種々の実施例に従って、カバー11は一般的に十分な強度、良好な作動特性および耐久性を提供する厚さを有する。好ましくは、カバー11の厚さは約0.38mm(0.015インチ)〜約3.05mm(0.12インチ)である。より好ましくはカバー11の厚さは約0.51〜2.29mm(0.020〜0.09インチ)の厚さであり、もっとも好ましくは約0.64〜2.16mm(0.025〜0.085インチ)である。
【0037】
本発明の好ましい実施例に従うと、カバー11を亜鉛、マグネシウム、カルシウム、カリウム、リチウムおよび/またはナトリウムイオン性コポリマーの混合物またはブレンドから製造することができる。カバー11に使用するSURLYN(登録商標)樹脂はナトリウム、リチウムまたは亜鉛塩であるイオン性コポリマーであり、該コポリマーは2〜8の炭素原子を有するオレフィンと3〜8の炭素原子を有する不飽和モノカルボン酸との反応生成物である。コポリマーのカルボン酸基は完全にまたは部分的に中和されていてもよく、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸またはイタコン酸を含んでもよい。
【0038】
本発明に含まれるゴルフボールおよびその構成(例えば、カバー層、マントル層、および/またはコア層)を、さらに例えば以下のようなホモポリマー材料またはコポリマー材料と共に使用することができる:
(1)ビニル樹脂、例えば塩化ビニルの重合により製造したもの、または塩化ビニルと酢酸ビニル、アクリル酸エステルまたは塩化ビニリデンとの共重合により製造したもの;
(2)ポリオレフィン、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレンおよびコポリマー、例えばエチレンメタクリレート、エチレンエチルアクリレート、エチレンビニルアセテート、エチレンメタクリル酸またはエチレンアクリル酸またはプロピレンアクリル酸、およびシングルサイト触媒を使用して製造したコポリマーおよびホモポリマー;
(3)ポリウレタン、例えばポリオールとジイソシアネートまたはポリイソシアネートから製造したもの、および米国特許第5,334,673号に開示されているもの;
(4)ポリ尿素、例えば米国特許第5,484,870号に開示されているもの;
(5)ポリアミド、例えばポリ(ヘキサメチレンアジパミド)およびジアミンと二塩基酸から製造した他のポリアミド、並びにポリ(カプロラクタム)のようなアミノ酸からのポリアミドおよびポリアミドとSURYLN(登録商標)、ポリエチレン、エチレンコポリマー、エチル−プロピレン−非共役ジエンターポリマー等とのブレンド;
【0039】
(6)アクリル系樹脂およびこれらの樹脂とポリ塩化ビニル、エラストマー等とのブレンド;
(7)熱可塑性物、例えばウレタン、オレフィン系熱可塑性ゴム、例えばポリオレフィンとエチレン−プロピレン−非共役ジエンターポリマーとのブレンド、スチレンとブタジエンとのブロックコポリマー、イソプレンまたはエチレン−ブチレンゴム、またはコポリ(エーテル−アミド)、例えばフィラデルフィア、PAのアトフィナ(Atofina)が市販するPEBAX(登録商標);
(8)ポリフェニレンオキシド樹脂、またはピッツフィールド、MAのジェネラル エレクトリック(General Electric)社が商標名「NORYL(登録商標)」で市販するポリフェニレンオキシドと高耐衝撃性ポリスチレンとのブレンド;
(9)熱可塑性ポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/グリコール変性物およびウイルミントン、DEのデュポン社(E. I. DuPont De Nemours & Company of Wilmington, DE)が商標名「HYTREL(登録商標)」で市販するエラストマーおよびピッツフィールド、MAのジェネラル エレクトリック(General Electric)社が商標名「LOMOD(登録商標)」で市販するエラストマー:
(10)ポリカーボネートとアクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、スチレン無水マレイン酸、ポリエチレン、エラストマー等とを含むブレンドおよびアロイ、並びにポリ塩化ビニルとアクリロニトリルブタジエンスチレンまたはエチレン酢酸ビニルまたは他のエラストマーとのブレンドおよびアロイ;および
(11)熱可塑性ゴムとポリエチレン、プロピレン、ポリアセタール、ナイロン、ポリエステル、セルロースエステル等とのブレンド。
【0040】
先に概要を述べたカバー層、マントル層、および/またはコア層の組成物に、追加の材料を含ませることができる。例えば、以下のものを組成物に添加することができる:反応強化剤、触媒、着色剤、蛍光増白剤、架橋剤および共−架橋剤、白色化剤、例えばTiO2およびZnO、UV吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤、消泡剤、反応補助剤、界面活性剤、およびその他の常用の添加物。さらに以下のものをカバーおよび/またはマントル層組成物のいずれにも添加することができる:抗酸化剤、安定剤、軟化剤、内部可塑剤および外部可塑剤を含む可塑剤、衝撃調節剤、発泡剤、密度調整剤、強化材料、および相溶化剤。当業者は、特定の添加物の利益を達成するのに必要なそれぞれの型の添加物の量を承知している。
【0041】
好ましい実施例において、カバー11はポリマー、例えば以下のものから成る:エチレン、プロピレン、ブテン−1、またはヘキセン−1をベースとするホモポリマーおよびコポリマーであって、官能性モノマー、例えばアクリル酸およびメタクリル酸を含むもの、および完全にまたは部分的に中和したアイオノマー樹脂およびそのブレンド、メチルアクリレート、メチルメタクリレートホモポリマーおよびコポリマー、イミド化した、アミノ基含有ポリマー、ポリカーボネート、強化ポリアミド、ポリフェニレンオキシド、高耐衝撃性ポリスチレン、ポリエーテルケトン、ポリスルホン、ポリ(フェニレンスルフィド)、アクリロニトリル−ブタジエン、アクリル−スチレン−アクリロニトリル、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ブチレンテレフタレート)、ポリ(エチレンビニルアルコール)、ポリ(テトラフルオロエチレン)および官能性コモノマーを含むこれらのコポリマーおよびこれらのブレンド。さらに、カバー11は好ましくは以下のものから成る:ポリエーテルまたはポリエステル熱可塑性ウレタン、熱硬化性ポリウレタン、低モジュラスアイオノマー、例えば酸を含むエチレンコポリマーアイオノマー、E/X/Yを含むコポリマーであって、Eがエチレン、Xが0〜50質量%存在するアクリレートまたはメタクリレートをベースとする軟化コモノマーであり、Yが5〜35質量%存在するアクリル酸またはメタクリル酸であるもの。より好ましくは、最大の飛距離を目的として設計された低スピン速度の実施例では、アクリル酸またはメタクリル酸は15〜35質量%存在し、アイオノマーを高モジュラスアイオノマーとする。高スピンの実施例では、酸は10〜15質量%存在するかまたは低モジュラスアイオノマーと標準的なアイオノマーのブレンドを使用する。
【0042】
他の好ましい実施例では、カバー11はポリ尿素またはポリウレタン/ポリ尿素ハイブリッド、例えば米国特許第6、835、794号明細書に記載されたものから成る。ポリ尿素またはポリウレタン/ポリ尿素ハイブリッドは、脂肪族、芳香族またはこれらの組み合わせであってもよい。好ましい実施例では、カバー11を、少なくとも一つの光安定性のまたは飽和ポリ尿素を含むポリ尿素組成物から製造する。光安定性を種々の方法で達成することができ、例えば飽和した成分のみを含むポリ尿素組成物、すなわち飽和したプレポリマーと飽和した硬化剤のみを含む組成物、または芳香族成分を使用する場合は光安定性を改良する光安定剤を含む組成物を使用することによって達成することができる。光安定性のまたは飽和したポリ尿素は、カバーの約1質量%〜約100質量%含まれ、カバーの残部は、それが存在する場合は一または複数の相溶性の、反発弾性のあるポリマー、例えば当業者に公知のものを含む。
【0043】
ポリ尿素組成物を、少なくとも一つのイソシアネート、少なくとも一つのポリエーテルアミン、および少なくとも一つの硬化剤から製造することができる。好ましくは、少なくとも一つの硬化剤はジオールまたは第2ジアミン硬化剤である。
【0044】
他の実施例では、ポリエーテルまたはポリエステル熱可塑性ウレタン、熱硬化性ポリウレタン、ポリ尿素、またはポリウレタン/ポリ尿素ハイブリッドを、イソシアネートプレポリマー(本明細書で「イソシアネート」ということがある)から製造する。当業者にとって入手可能ないずれのイソシアネートも本発明に従って使用することが適切である。本発明で使用するイソシアネートは、脂肪族、脂環式、芳香脂肪族、芳香族、これらのいずれかの誘導体、および分子当たり2またはそれより多いイソシアネート(NCO)基を有するこれらの化合物の組み合わせを含む。イソシアネートは以下のものであることができる:有機ポリイソシアネートが末端であるプレポリマー、低級遊離イソシアネート、およびこれらの混合物。イソシアネートを含む反応性成分はさらに以下のものを含むことができる:全てのイソシアネート−官能性モノマー、ダイマー、トリマー、またはこれらのマルチマー付加物、プレポリマー、疑似プレポリマー、またはこれらの混合物。イソシアネート−官能性化合物は2またはそれより多いイソシアネート官能性を含むモノイソシアネートまたはポリイソシアネートを含む。
【0045】
本発明の組成物はさらにジイソシアネートプレポリマーのブレンドから製造するポリウレタン、例えばデワンジー(Dewanjee)他の米国特許第6,569,034号に開示されたものを含み、この特許の開示の全てをそれに言及することによって本明細書に取り込む。本発明の組成物はさらにパラフェニレンジイソシアネートをベースとするポリウレタンプレポリマーから製造するポリウレタン、例えばデワンジー(Dewanjee)他の米国特許第6,117,024号に開示されたものを含み、この特許の開示の全てをそれに言及することによって本明細書に取り込む。
【0046】
好ましい実施例では、イソシアネートはジイソシアネート、例えば一般式:O=C=N−R−N=C=Oを有するジイソシアネートを含む飽和または不飽和のジイソシアネートであり、式中、Rは約1〜20の炭素原子を含む環状、芳香族、脂肪族、直鎖、分岐した、または置換した炭化水素部分、例えばアリーレン、アラルキレン、アルキレン、またはシクロアルキレンである。複数の環状基または芳香族基が存在する場合、約1〜10の炭素原子を含む直鎖、分岐した、または置換した炭化水素が環状基または芳香族基の間にスペーサーとして存在することができる。ある場合には、環状基または芳香族基は、それぞれ2−、3−、および/または4−位で置換されていてもよい。置換基は以下の基を含むことができるが、これに限定されない:ハロゲン、シアノ基、アミノ基、シリル基、ヒドロキシル基、酸基、アルコキシ基、第1、第2、または第3炭化水素基、またはこれらの混合物。
【0047】
ポリウレタンプレポリマーで使用することができる飽和(脂肪族)ジイソシアネートの例は以下を含むが、これに限定されない:エチレンジイソシアネート;プロピレン−1,2−ジイソシアネート;テトラメチレンジイソシアネート;1,4−テトラメチレンジイソシアネート;1,5−ペンタメチレンジイソシアネート;2−メチル−1,5−ペンタメチレンジイソシアネート;1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI);HDIから製造したHDIビウレット;オクタメチレンジイソシアネート;デカメチレンジイソシアネート;2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート;2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート;1,7−ペンタメチレンジイソシアネート;1,8−オクタメチレンジイソシアネート;1,9−ノバメチレンジイソシアネート;1,10−デカメチレンジイソシアネート;1,12−ドデカメチレンジイソシアネート;1,3−シクロブタンジイソシアネート;1,2−シクロヘキサンジイソシアネート;1,3−シクロヘキサンジイソシアネート;1,4−シクロヘキサンジイソシアネート;メチルシクロへキシレンジイソシアネート(HTDI);2,4−メチルシクロヘキサンジイソシアネート;2,6−メチルシクロヘキサンジイソシアネート;4,4’−ジシクロヘキサンジイソシアネート;2,4’−ジシクロヘキサンジイソシアネート;1,3,5−シクロヘキサントリイソシアネート;イソシアナトメチルシクロヘキサンイソシアネート;1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン;イソシアナトエチルシクロヘキサンイソシアネート;ビス(イソシアナトメチル)−シクロヘキサンジイソシアネート;4,4’−ビス(イソシアナトメチル)ジシクロヘキサン;2,4’−ビス(イソシアナトメチル)ジシクロヘキサン;イソホロンジイソシアネート(IPDI);HDIのトリイソシアネート;2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジイソシアネートのトリイソシアネート(TMDI);4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI);2,4−ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート;2,6−ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート;芳香族脂肪族ジイソシアネート、例えば1,2−、1,3−、および1,4−キシレンジイソシアネート;m−テトラメチルキシレンジイソシアネート(m−TMXDI);p−テトラメチルキシレンジイソシアネート(p−TMXDI);飽和したトリマー化イソシアヌレート、例えばヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート、イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート;HDIから製造したHDIビウレット;トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート;およびこれらの混合物;ヘキサメチレンジイソシアネートのウレチジオン;およびこれらの混合物;上記のイソシアネートおよびポリイソシアネートから誘導した変性ポリイソシアネート;およびこれらの混合物。
【0048】
不飽和ジイソシアネート、すなわち化合物も本発明で使用することができるが、ただしプレポリマーにおける不飽和化合物の使用を、以下に述べるように光安定剤または顔料の使用と組み合わせて行うことが好ましい。不飽和ジイソシアネートの例は以下を含むがこれに限定されない:2,2’−、2,4’−、および4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を含む置換されかつ異性体の混合物;2,2’−、2,4’−、および4,4'−ビフェニレンジイソシアネート;3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニルジイソシアネート(TODI);3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート;トルエンジイソシアネート(TDI);ポリマーMDI(PMDI、約50%のジイソシアネートと残部がMDIのオリゴマーから成るものとから成る褐色の液体);カルボジイミドで変性した液状4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート;p−フェニレンジイソシアネート(PPDI);m−フェニレンジイソシアネート(MPDI);o−フェニレンジイソシアネート;4−クロロ−1,3−フェニレンジイソシアネート;トリフェニルメタン−4,4’−、およびトリフェニルメタン−4,4”−トリイソシアネート;1,5−ナフタレンジイソシアネート;1,5−テトラヒドロナフタレンジイソシアネート;アントラセンジイソシアネート;テトラセンジイソシアネート;いずれかのジイソシアネートまたはポリイソシアネートの二量化したウレチジオン、例えばトルエンジイソシアネートのウレチジオン、ジフェニルメタンジイソシアネートのウレチジオン、およびこれらの混合物;不飽和のトリマー化したイソシアヌレート、例えばジフェニルメタンジイソシアネートのトリマー、テトラメチルキシレンジイソシアネートのトリマー、トルエンジイソシアネートのイソシアヌレート、およびこれらの混合物;モノマートリイソシアネート、例えば2,4,4’−ジフェニレントリイソシアネート、2,4,4’−ジフェニルメタントリイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート、およびこれらの混合物;およびこれらの混合物。
【0049】
当業者が入手可能な全てのポリエーテルアミンは、本発明に従って使用するのに適切である。本明細書で使用する「ポリエーテルアミン」は、ポリエーテル主鎖の末端に結合する第1アミン基を含むポリオキシアルキレンアミンを少なくとも意味する。しかしながら、イソシアネートとアミンとの反応が急速であるために、また多くのウレア生成物が不溶性であるために、ジアミンとポリエーテルアミンの選択は、ポリ尿素プレポリマーの形成を可能にするものに限られる。1実施例では、ポリエーテル主鎖は、テトラメチレン、プロピレン、エチレン、トリメチロールプロパン、グリセリン、およびこれらの混合物をベースとする。
【0050】
ポリ尿素組成物を、ポリ尿素プレポリマーと硬化剤のブレンドまたは混合物との架橋によって製造することができる。本発明で使用する硬化剤は、ヒドロキシを末端とする硬化剤、アミンを末端とする硬化剤、およびこれらの混合物を含むが、これに限定されない。好ましい実施例では、硬化剤はアミンを末端とする硬化剤、より好ましくは第2ジアミン硬化剤である。しかしながら、所望の場合には、ポリ尿素組成物を単一の硬化剤で製造することができる。水分の不存在下で1:1の化学量論量において第2ジアミンで硬化したポリ尿素プレポリマーは本質的に熱可塑性であり、一方熱硬化性ポリ尿素組成物は一般に第1ジアミンまたは多官能性グリコールで硬化したポリ尿素プレポリマーから製造される。
【0051】
光安定剤成分を使用すると、光分解によるカバー表面の破損を防止するのに役立つことがある。適切なUV吸収剤および光安定剤は以下を含むがこれに限定されない:TINUVIN(登録商標)292、TINUVIN(登録商標)328、TINUVIN(登録商標)213、TINUVIN(登録商標)765、TINUVIN(登録商標)770およびTINUVIN(登録商標)622。芳香族化合物に好ましいUV吸収剤はTINUVIN(登録商標)328であり、好ましいヒンダードアミン光安定剤はTINUVIN(登録商標)765である。飽和(脂肪族)化合物に好ましい光安定剤はTINUVIN(登録商標)292である。TINUVIN(登録商標)製品はチバ−ガイギー(Ciba−Geigy)社から入手可能である。染料、および蛍光増白剤および蛍光顔料も、本発明に従って製造するポリマーで製造するゴルフボールカバーに含めることができる。これらの追加的な成分を、それらの所望の目的を達成する量で添加することができる。
【0052】
本発明の組成物を注型性の熱硬化性材料および熱可塑性材料の両者から選択することができ、該選択をプレポリマーの硬化に使用する硬化剤によって決定する。例えば、本発明の注型性の熱可塑性組成物は直鎖のポリマーを含み、該組成物を典型的にはプレポリマーをジオールまたは第2ジアミンで硬化して製造する。一方、本発明の熱硬化性組成物は架橋したポリマーであり、該ポリマーを典型的にはジイソシアネートとポリオールとを反応させ、第1ジアミンまたは多官能性グリコールで硬化して製造する。
【0053】
ポリ尿素組成物は好ましくは約1%〜約100%のポリ尿素を含むが、ポリ尿素組成物を他の材料とブレンドしてもよい。1実施例では、組成物は約10%〜約90%のポリ尿素を含み、好ましくは約10%〜約75%のポリ尿素を含み、かつ約90%〜約10%、より好ましくは約90%〜約25%の以下に記載する他のポリマーおよび/または他の材料を含む。
【0054】
本発明の組成物とブレンドすることが適切な他のポリマー材料は以下を含む:注型性の熱可塑性または熱硬化性ポリウレタン、カチオン性およびアニオン性ウレタンアイオノマーおよびウレタンエポキシド、ポリウレタン/ポリ尿素アイオノマー、エポキシ樹脂、ポリエチレン、ポリアミドおよびポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリリン、およびこれらの混合物。適切なウレタンアイオノマーの例は米国特許第5,692,974号に開示されており、その全開示をこれに言及することによって本明細書に取り込む。適切なポリウレタンの他の例は米国特許第5,334,673号に記載されており、その全開示をこれに言及することによって本明細書に取り込む。上記したポリ尿素アイオノマーを製造するのに使用する適切なポリ尿素の例は米国特許第5,484,870号に記載されており、その全開示をこれに言及することによって本明細書に取り込む。特に、米国特許第5,484,870号のポリ尿素を、ポリイソシアネートとポリアミン硬化剤を反応させてポリ尿素を得ることによって製造し、これは上記したポリ尿素とは異なるものであり、これはポリ尿素プレポリマーと硬化剤から製造される。エポキシ基を含む硬化剤で硬化した適切なポリウレタンの例は米国特許第5,908,359号に記載されており、その全開示をこれに言及することによって本明細書に取り込む。
【0055】
従って、好ましい実施例では、ポリ尿素組成物をポリウレタンとブレンドしてポリ尿素/ポリウレタンハイブリッドを製造する。本発明で使用するのに適したポリウレタンは、少なくとも一つのポリウレタンプレポリマーと少なくとも一つの硬化剤との反応生成物である。本発明の組成物で使用するポリウレタンを、注型性の熱硬化性ポリウレタンと熱可塑性ポリウレタンの両者から選択することができる。熱可塑性ポリウレタンは直鎖ポリマーであり、典型的にはジイソシアネートとポリオールとを反応させ、水分の不存在下に1:1の化学量論量のジオールまたは第2ジアミンで硬化させて製造する。一方、熱硬化性ポリウレタンは架橋したポリマーであり、典型的にはジイソシアネートとポリオールを反応させ、第1ジアミンまたは多官能性グリコールで硬化して製造する。
【0056】
さらに、適切なカバー材料は核形成反応射出成形したポリウレタン、ポリ尿素またはポリ尿素/ポリウレタンハイブリッドを含み、この場合、気体、典型的には不活性なまたは非反応性気体、例えば窒素、アルゴン、ヘリウムおよび空気をポリウレタン、典型的にはプレポリマーの少なくとも一つの成分に激しく混合することが必要であり、該混合を密閉した金型に成分を注入する前に行い、金型で完全な反応が生じて比重が低い硬化したポリマーを生じる。材料は反応射出成形(「RIM」)した材料と呼ばれる。RIM材料およびRIMプロセスは、米国特許第6,548,618号、第6,533,566号および第6,290,614号に開示されており、その開示の全てをそれに言及することにより本明細書に取り込む。
【0057】
マントル部分16、液状センタのシェル20並びに第1マントル層22および第2マントル層40においては好ましくは以下のものでできている:エラストマー、例えばポリイソプレン、スチレンブタジエン、ポリブタジエンおよびこれらの組み合わせを含む熱硬化性ゴム;プラスチック、例えばポリプロピレン;または熱可塑性エラストマー材料、例えばメチルメタクリレートとブタジエンおよびスチレンとのコポリマー、メチルアクリレートとブタジエンおよびスチレンとのコポリマー、アクリロニトリルスチレンコポリマー、ポリエーテル−エステル、ポリエーテル−アミド、ポリウレタンおよび/またはこれらのブレンド。もっとも好ましくは、第1のマントル層22および第2のマントル層40は熱硬化性ゴムまたは熱可塑性エラストマー材料でできている。
【0058】
他の実施例では、高度に中和したポリマー(「HNP」)およびそのブレンド、例えば2002年4月9日出願の米国特許出願第10/118,719号に記載されているもの(その全てをそれに言及することによって本明細書に取り込む)、並びに低融点熱可塑性物を、ボールのコア、マントル層、および/またはカバーに使用することができる。HNPは、有機酸またはその塩で中和した一または複数の酸基を含むポリマーを含む。好ましい実施例では、第1のマントル層22および第2のマントル層40はこれらの高度に中和したポリマーおよび/または低融点熱可塑性物でできている。1実施例では、低融点熱可塑性物は熱硬化性ゴムの反発性を有している。例えば、熱硬化性ゴムの反発性を有するこれらの低級点熱可塑性物は以下を含むがこれに限定されない:HNPおよび相溶性の熱可塑性物とHNPとのブレンド、例えば部分的または完全に中和したアイオノマーであって、金属イオン源で中和したもの、この場合、金属イオンは有機酸の塩である、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレンを含むポリオレフィン、およびポリエチレンアクリル酸またはメタクリル酸コポリマーを含むこれらのコポリマー、またはエチレン、軟化性アクリレート群のエステル、例えばメチルアクリレート、n−ブチルアクリレートまたはイソブチルアクリレート、およびカルボン酸、例えばアクリル酸またはメタクリル酸のターポリマー(例えば、ポリエチレン−メタクリル酸−n−またはイソ−ブチルアクリレートを含むターポリマー、およびポリエチレン−アクリル酸−メチルアクリレート、ポリエチレンエチルまたはメチルアクリレート、ポリエチレンビニルアセテート、ポリエチレングリシジルアルキルアクリレート)。
【0059】
HNPの酸部分、典型的にはエチレンをベースとするアイオノマー、を約70%より多く、好ましくは約80%より多く、より好ましくは約90%より多く、もっとも好ましくは少なくとも約100%中和する。HNPを好ましくは第2のポリマー成分とブレンドすることができ、該成分を、酸基を含む場合、常法により、有機脂肪酸により、またはその両者で中和することができる。第2のポリマー成分は部分的にまたは完全に中和していてもよく、好ましくはこれは以下を含む:アイオノマーコポリマーおよびターポリマー、アイオノマー前駆体、熱可塑性物、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ尿素、熱可塑性エラストマー、ポリブタジエンゴム、バラタ、メタローセンで触媒したポリマー(グラフト化したものおよびグラフト化していないもの)、シングルサイトポリマー、高結晶性酸ポリマー、カチオン性アイオノマー等。HNPポリマーは典型的には、約20〜約80ショアDの材料硬度、および約20.68MPa〜約1378.95MPa(3,000psi〜200,000psi)の曲げ弾性率を有する。
【0060】
1実施例では、有機酸を以下から成る群から選択する:脂肪族有機酸、芳香族有機酸、飽和モノ官能性有機酸、不飽和モノ官能性有機酸、および多−不飽和モノ官能性有機酸。好ましくは、有機酸の塩はステアリン酸、ベヘン酸、エルカ酸、オレイン酸、リノール酸、の以下の塩、二量化誘導体およびこれらの混合物を含む:バリウム、リチウム、ナトリウム、亜鉛、ビスマス、クロム、コバルト、銅、カリウム、ストロンチウム、チタン、タングステン、マグネシウム、セシウム、鉄、ニッケル、銀、アルミニウム、スズ、およびカルシウム。
【0061】
さらに、2005年11月9日に出願された米国特許出願11/270,066に説明されているようなHNPもこのボールコア、マントル層および/またはカバーに用いてよく、その内容は参照してここに組み入れる。例えば、酸ポリマーまたは部分的に中和されている酸ポリマーを、HNPを製造するために伝統的に使用されてきたマグネシウムをベースとするカチオン源より親水性が小さなカチオン源を用いて70%またはそれ以上に中和すると、得られる本発明のHNPは水蒸気透過率が改善された組成物を実現することがわかった。例えば、親水性が小さなカチオン源を利用して製造したHNPを含むポリマー組成物の水蒸気透過率は8g−mil/100in2/日以下、または、5g−mil/100in2/日以下、または、3g−mil/100in2/日以下、または、2g−mil/100in2/日以下、または1g−mil/100in2/日以下、または、1g−mil/100in2/日未満である。ここで用いるように、水蒸気透過率(MPTR)は、g−mil/100in2/日で与えられ、20°Cで、ASTM F1249−99に従って測定される。
【0062】
「より親水性が小さい」は、ここでは、カチオン源が通常のマグネシウムをベースにしたカチオン源に対して親水性が小さいことを意味するように用いられる。親水性のより小さな適切なカチオン源の例は、これに限定されないが、シリコーン、シラン、珪酸誘導体、および錯体配位子;希土類元素の金属イオンおよび化合物;およびアルカリ金属、アルカリ土類金属、および遷移金属の親水性がより小さな金属イオンおよび化合物;およびこれらの組み合わせを含む。親水性がより小さな具体的なカチオン源は、これに限定されないが、カリウム、セシウム、カルシウム、バリウム、マンガン、銅、亜鉛、錫、および希土類金属の金属イオンおよび化合物を含む。カリウムをベースにした化合物が好ましい親水性がより少ないカチオン源であり、とくに、E.I.DuPont社から商業的に入手可能なOxane(商標)が好ましい。Oxaneはモノ過硫酸塩であり、ここで、モノ過硫酸カリウムは2KHSO5・KHSO4・K2SO4[カリウム水素ペルオキシモノスルフェートスルフェート(5:3:2:2)]の化学式の三塩の要素として存在する活性成分である。親水性がより小さなカチオン源の量は所望の中和のレベルに基づいて容易に決定できる。
【0063】
1実施例では、第1のマントル層22と第2のマントル層40はそれぞれ独立に架橋剤、例えば不飽和カルボン酸の金属塩を含むことができる。とくに、不飽和カルボン酸の金属塩を、第1のマントル層22および第2のマントル層40の少なくとも一方に共−架橋剤としてブレンドする。例は、3〜8の炭素原子を有する不飽和脂肪酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、およびフマル酸のマグネシウム、カルシウム、亜鉛、アルミニウム、ナトリウム、リチウム、またはニッケル塩を含み、アクリル酸およびメタクリル酸の亜鉛塩が最も好ましい。好ましい不飽和脂肪酸の金属塩は亜鉛アクリレート、亜鉛ジアクリレート、亜鉛メタクリレート、亜鉛ジメタクリレート、およびこれらの混合物を含む。不飽和カルボン酸の金属塩をゴムに、プレフォーム化した金属塩として、またはα,β−不飽和カルボン酸と金属オキシドまたはヒドロキシドをゴム組成物へ導入し、これらをゴム組成物中で反応させて金属塩を形成することによって、ブレンドすることができる。不飽和カルボン酸の金属塩を、いかなる所望の量でもブレンドすることができるが、好ましくはベースゴムの質量100部当たり約25〜約40部、より好ましくは約30部〜約35部の量でブレンドすることができる。
【0064】
第1または第2のマントル層(22または40)の組成物はさらに、ベースゴムおよび不飽和カルボン酸の金属塩に加えて有機硫黄化合物またはその塩を含むことができ、例えばそれらは同時継続の米国特許出願第09/951,963号(現在は米国特許第6,635,716号)に開示されているものであり、それに言及することによってその全てを本明細書に取り込む。これらの有機硫黄化合物をベースゴム組成物に添加することによってCORの増加、圧縮の低下、またはこれらの両者が現れる。有機硫黄化合物またはその金属塩は好ましくはハロゲン化した有機硫黄化合物、より好ましくはハロゲン化したチオフェノールであり以下を含むがこれに限定されない:ペンタフルオロチオフェノール;2−フルオロチオフェノール;3−フルオロチオフェノール;4−フルオロチオフェノール;2,3−フルオロチオフェノール;2,4−フルオロチオフェノール;3,4−フルオロチオフェノール;3,5−フルオロチオフェノール;2,3,4−フルオロチオフェノール;3,4,5−フルオロチオフェノール;2,3,4,5−テトラフルオロチオフェノール;2,3,5,6−テトラフルオロチオフェノール;4−クロロテトラフルオロチオフェノール;ペンタクロロチオフェノール;2−クロロチオフェノール;3−クロロチオフェノール;4−クロロチオフェノール;2,3−クロロチオフェノール;2,4−クロロチオフェノール;3,4−クロロチオフェノール;3,5−クロロチオフェノール;2,3,4−クロロチオフェノール;3,4,5−クロロチオフェノール;2,3,4,5−テトラクロロチオフェノール;2,3,5,6−テトラクロロチオフェノール;ペンタブロモチオフェノール;2−ブロモチオフェノール;3−ブロモチオフェノール;4−ブロモチオフェノール;2,3−ブロモチオフェノール;2,4−ブロモチオフェノール;3,4−ブロモチオフェノール;3,5−ブロモチオフェノール;23,4−ブロモチオフェノール;3,4,5−ブロモチオフェノール;2,3,4,5−テトラブロモチオフェノール;2,3,5,6−テトラブロモチオフェノール;ペンタヨードチオフェノール;2−ヨードチオフェノール;3−ヨードチオフェノール;4−ヨードチオフェノール;2,3−ヨードチオフェノール;2,4−ヨードチオフェノール;3,4−ヨードチオフェノール;3,5−ヨードチオフェノール;2,3,4−ヨードチオフェノール;3,4,5−ヨードチオフェノール;2,3,4,5−テトラヨードチオフェノール;2,3,5,6−テトラヨードチオフェノール;およびこれらの亜鉛塩。好ましくはハロゲン化したチオフェノールはペンタクロロチオフェノール(「PCTP」)であり、これは純粋な形態で、またはSTRUKTOL(登録商標)の商品名で入手可能であり、この商品はペンタクロロチオフェノールを45%負荷した(2.4部のPCTPに関連する)硫黄化合物を含むクレーをベースとするものである。STRUKTOL(登録商標)は、オハイオ州、ストウ(Stow)のストラクトール(Struktol Company of America)社から市場を通じて入手可能である。PCTPは、カリフォルニア州、サンフランシスコのイーキナケム(eChinachem)から純粋な形で、または塩の形態でカリフォルニア州、サンフランシスコのイーキナケム(eChinachem)から市場を通じて入手可能である。最も好ましくは、ハロゲン化したチオフェノールはペンタクロロチオフェノールの亜鉛塩であり、これはカリフォルニア州、サンフランシスコのイーキナケム(eChinachem)から市場を通じて入手可能である。本発明の有機硫黄化合物はいかなる量でも存在するが、好ましくはベースゴムの100部当たりの質量(「pph」)で約2部より多くまたは40部より少ない量で存在する。1実施例では、有機硫黄化合物は約2.2pph〜約30pph、好ましくは約2.3〜20pphの量で存在する。他の実施例では、有機硫黄化合物は約2.5pph〜約15pph、好ましくは約5pph〜約10pph存在する。本明細書に開示した範囲の上限および下限は相互に交換可能であり、新しい範囲を示す。例えば、有機硫黄化合物は約2.2pph〜約15pphの範囲、または約10pph〜約40pphの範囲、または約2pph〜約5pphの範囲の量で存在してもよい。
【0065】
第1または第2のマントル層(20または40)の組成物はさらに共−架橋開始剤を含むことができる。共−架橋開始剤の好ましい例は、以下を含む:有機ペルオキシド、例えばジクミルペルオキシド、t−ブチルペルオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルペルオキシド、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルペルオキシ)バレレート、2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ−イソプロピル)ベンゼン、および2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキセン、このうちジクミルペルオキシドが最も好ましい。開始剤をベースゴムの質量100部当たり約0.5〜約3部、好ましくは約1〜約2.5部の質量でブレンドすることができる。
【0066】
複合または金属層を第1または第2のマントル層(22または40)に用いても良く、これは米国特許第6,899,642号明細書に記載されており、その内容は参照してここに組み入れる。例えば、複合材料は、マトリックスまたはバインダ材料中に埋め込まれたフィラメント材料を含む。
【0067】
フィラメント材料は、単一のファイバであってもよいし、1以上の、すなわち複数のファイバから製造されてもよい(すなわち、マルチファイバのトウまたはバンドル)。フィラメント材料は、ポリマー材料、ガラス材料または金属材料、その他のファイバから製造されてよい。フィラメント材料を、種々の物理的特性の撚り糸またはファイバから構成して所望の伸張および延伸特性を実現してもよい。マトリックス材料はフィラメント材料の周りに配して成型してフィラメント材料がマトリックス材料中に埋め込まれるようにしてよく、これは上述した。マトリックス材料は熱硬化性材料でもよいし、熱可塑性材料でもよい。好ましい熱硬化性ポリマー材料は、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリイミド樹脂、および、ポリブタジエン樹脂である。好ましい熱可塑性材料は、例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、熱可塑性ポリエステル、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、アセタール、半結晶性ポリアミドを含むポリアミド、ポリカーボネート(PC)、形状記憶ポリマー、ポリビニルクロライド(PVC)、ポリウレタン、トランス−ポリブタジエン、液晶ポリマー、ポリエーテルケトン(PEEK)、バイオ(マレイミド)、およびポリスルホン樹脂を含む。
【0068】
マトリックス材料はシリコーン材料、例えば、シリコーンポリマー、シリコーンエラストマー、シリコーンゴム、シリコーン樹脂、または低分子量シリコーン流体、熱可塑性シリコーンウレタンコポリマー、および変形物、その他であってよい。
【0069】
1実施例では、好ましくは第1のマントル層22はポリブタジエン材料からなり、この材料は低スピンレートのボール用には比重が大きく、高スピンレートのボール用には比重が小さい。ポリブタジエン材料の比重は塔業者に知られているフィラーを付加することにより帰ることができる。
【0070】
他の実施例では、マントル部分16が比較的厚く、高度に中和されたアイオノマーまたは架橋ポリブタジエンゴムからなる。
【0071】
1実施例では、マントル部分16は好ましくは、仕上がったボールの直径Dの80〜98%の範囲の外側直径d3を有し、仕上がったボールの30〜70%の範囲の内側直径d1を有する。好ましくは、マントル部分16および液状センタのシェル20は約12.7〜29.97mm(0.5〜1.18インチ)の内側直径を有し、より好ましくは約19.05〜27.94mm(0.75〜1.1インチ)の内側直径を有する。好ましくは、マントル部分16および液状センタのシェル20は約22.86〜24.13mm(0.9〜0.95インチ)の内側直径を有する。第1のマントル層22は好ましくは、13.97〜36.83mm(0.55〜1.45インチ)、より好ましくは約20.32〜33.02mm(0.8〜1.3インチ)の範囲の内側直径d2を有する。さらに、マントル部分16は33.02〜41.91mm(1.3〜1.65インチ)、より好ましくは約36.83〜41.15mm(1.45〜1.62インチ)の範囲の外側直径d3を有する。
【0072】
他の実施例では、好ましくはマントル部分16および液体センタのシェル20の内側直径d1は約0.64cmから3.8cm(約0.25から1.5インチ)であり、より好ましくは、約1.27cmから3.43cm(約0.5から1.35インチ)である。好ましくは、マントル部分16および液体センタのシェル20の内側直径は約1.65から3.18cm(約0.65から1.25インチ)である。マントル部分16の厚さは好ましくは0.10から0.89cm(0.04から0.35インチ)であり、より好ましくは0.18から0.76cm(0.07から0.3インチ)であり、1またはそれ以上の同一または異なる層を有してよい。
【0073】
これらの寸法を有するゴルフボールを、以下に述べる種々の属性、例えば比重、反発性および硬度、を有するように設計して、所望のプレー特性、例えばスピン速度および初速を提供することができる。特に、内側球体において、少なくとも第1のマントル層において、液状センタのシェルを使用して流体センタを取り巻くことにより、比重および他の特性を最適のプレー特性を提供するように設計することができる。さらに、これらの寸法に従ってボールを構成することにより、流体センタ18と比較して顕著な容量を有する第1のマントル層22が製造される。好ましくは、第1のマントル層22の容量は流体センタ18の容量より大きい。より好ましくは、第1のマントル層22の容量は、流体センタ18の容量の約2〜4倍である。このように、第1のマントル層の特性はボールのプレー特性に影響を与えることができる。
【0074】
マントル部分16の硬度と反発性を変化させて、所望のパラメーター、例えばスピン速度、圧縮および初速を達成することができる。
【0075】
好ましくは、マントル部分16は約30〜95のショアC硬度、より好ましくは45〜90のショアC硬度を有する。さらに、マントル部分16は40ベイショア(Bashore)より大きい反発性を有する。
【0076】
最も好ましい実施例では、液状センタのシェル20は高い温度抵抗性を有するプラスチック材料、例えば2001年11月13日に出願された米国特許出願第10/008,013号、現在、米国勅許第6、616、549号に開示されたものから成る。特に、液状センタのシェル20および/または第1のマントル層22は以下を含む:動的に加硫した熱可塑性エラストマー;官能化したスチレン−ブタジエンエラストマー;熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリエーテルエステルまたはポリエーテルアミド;熱可塑性アイオノマー樹脂;フルオロポリマー、例えばペルフルオロアルキレン(例えばポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン)、およびスルホネート化した、カルボキシレート化した、エポキシド化した、マレエート化した、アミノ化したまたはヒドロキシル化した官能化したフルオロポリマー樹脂、これらは米国特許第5,962,140号に開示されており、それに言及することによってその全てを本明細書に取り込む;熱可塑性ポリエステル;メタローセンポリマーまたはそのブレンドおよび/または熱硬化性材料。
【0077】
壁材料は当業界で知られている任意の材料で良く、それには熱可塑性アイオノマー、ポリプロピレン、ポリエチレン、酸コポリマー、ポリオレフィン、ポリ尿素、メタローセン触媒ポリオレフィン系コポリマー、ポリビニルクロライド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー、ポリカーボネート、ポリエステル、スチレン−ブタジエンおよびSEBSブロックコポリマー、ブチルゴムを含む、シリコーンまたは熱硬化性架橋ジエンゴム、天然ゴム、およびアクリロニトリルを含む。
【0078】
適切な動的に加硫した熱可塑性エラストマーは、SANTOPRENE(登録商標)、SARLINK(登録商標)、VYRAM(登録商標)、DYTRON(登録商標)およびVISTAFLEX(登録商標)を含む。SANTOPRENE(登録商標)は動的に加硫したPP/EPDM(ポリプロピレン/エチレン−プロピレン−ジエンゴム)の商標名である。SANTOPRENE(登録商標)203−40は好ましいSANTOPRENE(登録商標)の例であり、オハイオ州、アクロンのアドバンスト エラストマー システム(Advanced Elastomer Systems)から市場を通じて入手可能である。適切な官能化したスチレン−ブタジエンエラストマーの例は、KRATON(登録商標)FG−1901xおよびKRATON(登録商標)FG−1921xを含み、シェル(Shell)社から入手可能である。適切な熱可塑性ポリウレタンの例はESTANE(登録商標)58133、ESTANE(登録商標)58134およびESTANE(登録商標)58144を含み、これはB.F.グッドリッチ(Goodrich)社から市場を通じて入手可能である。融点がカバー材料より高い適切なメタローセンポリマーをさらに、本発明のマントル層に使用することができる。さらに、上記したマントル層用の材料は、発泡したポリマー材料の形態にあることができる。例えば、適切なメタローセンポリマーは、メタローセンシングルサイト触媒ベースのフォームを主体とする熱可塑性エラストマーのフォームを含む。これらのメタローセンをベースとするフォーム樹脂は、MA、ハイニス(Hyannis)のセンチネル プロダクツ(Sentinel Products)から市場を通じて入手可能である。
【0079】
適切な熱可塑性ポリエーテルエステルはHYTREL(登録商標)3078、HYTREL(登録商標)3548、HYTREL(登録商標)4078、HYTREL(登録商標)4069、HYTREL(登録商標)6356、HYTREL(登録商標)7246、およびHYTREL(登録商標)8238を含み、これらはDE、ウイルミントンのデュポン(DuPont)から市場を通じて入手可能である。適切な熱可塑性ポリエーテルアミドはPEBAX(登録商標)2533、PEBAX(登録商標)3533、PEBAX(登録商標)4033、PEBAX(登録商標)5533、PEBAX(登録商標)6333、およびPEBAX(登録商標)7033を含み、これらはPA、フィラデルフィアのアトフィナ(Atofina)から入手可能である。適切な熱可塑性アイオノマー樹脂は、SURLYN(登録商標)およびIOTEK(登録商標)を含むいずれの数のオレフィンをベースとするアイオノマーを含み、これらはそれぞれデュポン(DuPont)およびエクソン(Exxon)から市場を通じて入手可能である。これらのアイオノマーの曲げ弾性率は約6.89〜1378.95MPa(1000psi〜200,000psi)である。適切な熱可塑性ポリエステルはポリブチレンテレフタレートを含む。同様に、上記で特定した動的に加硫した熱可塑性エラストマー、官能化したスチレン−ブタジエンエラストマー、熱可塑性ポリウレタンまたはメタローセンポリマーは、ブレンドにおける第2の熱可塑性物として有用である。さらに、上記した第2の熱可塑性物の材料は、発泡したポリマー材料の形態にあってよい。
【0080】
好ましくは、シェル20は、ポリオレフィン、アイオノマー、または酸コポリマーの薄い層である。代替的には、シェル20は通常の糸巻状包囲材料で製造されて良い。さらに他の実施例では、シェル20の材料は上述のようにHNPを含んでよい。好ましくは、このHNPは2005年11月9日に出願された米国特許出願11/270,066に開示のものから選択して良く、その内容は参照してここに組み入れる。
【0081】
図12に示すように、流体センタ18は、シェル20を伴うことなく、マントル部分16に包まれて良い。上述のとおり1または複数のカバー層がマントル部分16を包囲する。マントル部分16が1または複数の同一または異なる材料の層からなって良いことは容易に理解できるであろう。流体センタ18の直径は約0.64から3.81cm(約0.25から1.5インチ)であり、好ましくは、約1.27から3,43cm(約0.5から1.35インチ)である。マントル部分16の厚さは好ましくは1.02から2.03cm(0.4から0.8インチ)であり、より好ましくは1.02から1.42cm(0.4から0.56インチ)である。マントル部分16の外側直径d3の範囲は3.30から4.19cm(1.3から1.65インチ)であり、より好ましくは約3.68から4.11cm(約1.45から1.62インチ)である。マントル部分は先に検討した材料のうちの任意のものから製造してよい。好ましくは、マントル部分16はHNPを有する。好ましくは、このHNPは2005年11月9日に出願された米国特許出願11/270,066に開示のものから選択して良く、その内容は参照してここに組み入れる。
【0082】
流体センタ18は多数種類の材料または流体であることができ、流体は溶液および気体、並びに熱膨張係数が低くかつ/または沸点が高い液体を含む。特に、流体センタ18は以下から成っていてもよい:気体(加圧されていてもよくかつ/または非反応性である)、例えば空気、窒素、ヘリウム、アルゴン、ネオン、二酸化炭素、酸化に窒素およびこれらの混合物;水;ポリオール、例えばグリセリン、エチレングリコールおよび類似物;ペースト;フォーム;オイル;水溶液、例えば塩の水溶液、コーンシロップ、塩の水溶液およびコーンシロップ液、またはグリコールおよび水;またはこれらの混合物。流体はさらにペースト、コロイド状懸濁物、例えば水または他の液体中のクレイ、バライト、カーボンブラック;ゲル、例えばヒドロゲル、水/メチルセルロースゲルおよびスチレン−ブタジエン−スチレンゴムのような材料をベースとするコポリマーゴムとパラフィン油および/またはナフテン系油から成るゲル;またはワックスおよびホットメルトを含む溶融物。ホットメルトは、通常の室温またはその近辺で固形であるが高温では液状となる材料である。流体センタ18は反応性の液状システムであってもよくそれらは組み合わさって固形物を形成する。適切な反応性液体の例はシリケートゲル、寒天ゲル、ペルオキシドで硬化したポリエステル樹脂、二液性エポキシ樹脂システムおよびペルオキシドで硬化した液状ポリブタジエンゴム組成物である。液状センタのシェルの物理特性および得られた仕上がりのゴルフボールにおける所望の物理特性に依存して、他の反応性液状システムを同様に使用できることは、当業者が理解するところである。米国特許第6,200,230号および同第5,150,906号は、シェル20に使用して好適な液体を開示しており、その内容は参照してここに組み入れる。
【0083】
流体センタ18を変化させてボールの特性パラメーター、例えば慣性モーメントを変えることができる。好ましくは、流体センタ18は、高いスピン速度のゴルフボールには高い比重を有する材料、低いスピン速度のゴルフボールには低い比重を有する材料から成る。好ましくは、流体の比重は、比重の低いセンタでは1.2またはそれより低く、比重の高いセンタでは1.2より高い。さらに好ましくは、比重は、比重の低いセンタでは約1.15〜1.2であり、比重が高いセンタでは1.3〜1.55である。さらに、流体は好ましくは、スピン速度が高いゴルフボールでは粘度の低い材料、スピン速度が低いゴルフボールでは粘度の高い材料から成っている。好ましくは、流体センタ18の粘度は、粘度が低いセンタでは0.1Pa.sec(100cps)より低く、粘度が高いセンタでは0.1Pa.sec(100cps)またはそれより高い。より好ましくは、流体センタ18の粘度は、粘度が低いセンタでは0.01Pa.sec(10cps)またはそれより低く、粘度が高いセンタでは0.1〜1.5Pa.sec(100〜1500cps)である。最も好ましくは、流体センタ18の粘度は、粘度が高いセンタでは約0.5Pa.sec(500cps)である。
【0084】
コア12は好ましくは、ボールの全質量の60〜95%であり、より好ましくはボールの質量の75〜86%である。先に述べたように、コア12における質量の配分を変化させて、所望のパラメーター、例えばスピン速度、圧縮および初速を達成することができる。
【0085】
例えば、流体センタ18の直径を増加させ、かつマントル部分16の比重を増加させることにより、コア12の質量の配分は外側直径に向けて移動し、ボールのスピン速度は低くなる。これに対して、流体センタ18の直径が減少し、かつマントル層16の比重が減少すると、ボールの質量配分はボールの中心に向かって移動し、ボールのスピン速度が高くなる。
【0086】
同様に、スピン速度が低いボールについて、流体センタ18の比重を減少させ、かつマントル部分16の比重を増大させることができる。または、スピン速度が高いボールでは、流体センタ18の比重を増大させ、かつマントル部分16の比重を減少させることができる。
【0087】
オプションとして、コアはシェル20の内側表面を具備して良く、これが表面面積を増大するように修正され、これにより、衝撃に続くある点で液体のシェルの壁からの分離を反抗してスピンの減衰率を変化させる。この点は米国特許第6,238,304号に説明されており、その内容は参照して個々に組み入れる。修正された内側表面により、コア内に充填される流体のタイプを変更するのではない手法で、液体充填センタ中の流体の動的特性を変更できる。より具体的には、これはシェルの修正された内側表面の利用を含む。シェルおよび液体の間の摩擦性の抗力は液体に隣接する内側表面の修正により調整できる。
【0088】
液体センタシェルの内部の液体の摩擦性の抗力を修正するために多くの手法を採用できる。シェルの内側表面にテクスチャを付加して良い。テクスチャは、ディンプル、こぶ(nub)、ゴルフボールのコアのセンタへと伸びるへら、または指状部、またはシェルの内側表面に向かって切り欠いた、または成型した溝であってよい。個々のテクスチャは、そのサイズや深さ、位置や個数を変えて、それ自体変化する。さらに、種々のサイズまたは形状の突起部をシェルの内側表面状に用いても良い。
【0089】
図13A−Dは、内側表面が修正されたシェル20の例を示す。シェル20は内側表面80にテクスチャ82を追加させている。例えば、図13Aでは、突起84がシェル20の内側表面80上に設けられ表面面積を増大させる。これら突起は形状、サイズ、および間隔に関して規則正しく示されている。突起の形状、サイズおよび間隔のうちの1つまたは複数を変えて良いことは容易に理解できる。図13Bにおいて、シェル20の内側表面80を波状表面に変更してその表面面積を増大させる。波状表面は規則的でも不規則的でも良い。図13Cは内側表面80に突起86およびディンプル88の双方を設けて表面面積を増大させてシェル20の内側表面80を示している。最後に、図13Dでは、突起84がシェル20の内側表面80から伸びる三角形の突起として示されている。当業者には多くの変形例が明らかであることが容易に理解できる。さらに、これら修正された内側表面80はシェル20上に示されているけれども、これらは、流体センタ18に隣接して設けられた任意の他の層の内側表面に設けられても良いことは容易に理解できる。
【0090】
シェルの修正された内側表面を用いてボール飛行中のスピンの減衰を変更してよい。好ましくは、スピン減衰率は初期スピンの4%より大きく、より好ましくは、初期スピンの少なくとも10%であり、さらに好ましくは初期スピンの少なくとも15%である。スピン減衰率は、好ましくは全ボール飛行中のスピン減衰率である。例えば、ボールの初期スピンレートが3500rpmであれば、初期速度の10%におりボール飛行の最終時点でスピンレートが3150rpmになる。
【0091】
図14A−Dは、ボール飛行の最初の0.4秒の間のスピン減衰率を数量化する回帰線を示し、この回帰線を、全ボール飛行の間のスピン減衰率を数量化する回帰線と比較している。ゴルフボールのスピンレートの減衰の測定は、熟練者のゴルファーが打ったショットに基づいて行われた。測定は2つの糸巻、液体センタ構造のボール(Titleist Tour BalataおよびTitleist Tour Professional)に関して行われた。これらは、スピン減衰特性について当業界で知られている。これらの構造は、そのスピン減衰プロフィールが液体センタボールと異なる点に特徴があるTitleist ProV1x、現代的なソリッド構造のボールと比較される。データは、ISG Denmark(www.isg.dk)により製造される独占的な位相段列レーダー(phased array radar)である「トラックマン」(trackman)により取得された。この追跡装置は、USGAによりトーナメント中のプレーヤのデータ取得に最近採用されている(http://www.usopen.com/2005/news/test_center.html)。他のデータとともに、トラックマンはボール飛行中のすべてにわたるゴルフボールのスピンレートの実時間データを連続して測定する。この情報により、ゴルフボールのスピンレートを飛行時間の関数としてプロットして、比較的下方範囲のスピン性能の測定を評価できる。
【0092】
図14Aおよび14Bに示すように、ドライバにより打ち出されたTitleist Professionalゴルフボールのスピン減衰が説明される。上述のとおり、Titleist Professionalは、液体センタを具備する糸巻構造である。このゴルフボールは、最初の0.4秒の飛行では−186.83の傾斜の回帰線を生じ、他方、全体の飛行では、−87.304の傾斜の回帰線を生じる。したがって、2つの回帰線の傾斜の差分は約100単位である。
【0093】
いま図14Cを参照すると、Titleist Tour Balataゴルフボールをドライバで打ち出したときのスピン減衰が説明される。上述のとおり、Titleist Tour Balataも、液体センタを具備する糸巻構造である。このゴルフボールは、最初の0.4秒の飛行では−340.18の傾斜の回帰線を生じ、他方、全体の飛行では、−131.15の傾斜の回帰線を生じる。したがって、2つの回帰線の傾斜の差分は約200単位である。
【0094】
比較のために、図14Dは、現行のTitleist ProV1xゴルフボールをドライバで打ち出したときのスピン減衰を説明する。上述のとおり、Titleist ProV1xは非糸巻のソリッド構造である。このゴルフボールは、最初の0.4秒の飛行では−65.108の傾斜の回帰線を生じ、他方、全体の飛行では、−75.11の傾斜の回帰線を生じる。したがって、2つの回帰線の傾斜の差分は約10単位である。
【0095】
好ましくは、この発明に従って製造されたゴルフボールのスピン減衰率は、最初の0.4秒のゴルフボール飛行の回帰線と全体のゴルフボール飛行の回帰線との間の傾斜の差分が少なくとも20ユニットとなるようにされる。より好ましくは、傾斜の差分は約30から250単位である。発明者は、液体センタを伴いHNPを有する非糸巻マントル部分を具備するように製造されたゴルフボールのスピン減衰率が、当該2つの回帰線の間の傾斜の差分が、現行のソリッドの非糸巻ゴルフボール、例えばProV1xより、従来の、液体センタを伴い糸巻構造を具備するゴルフボールにより類似するようなものであると考える。
【0096】
Titleist Professionalのような糸巻ゴルフボールと類似の所望のスピンレート減衰特性を有する非糸巻ゴルフボール構造の机上の実験例は、2.86cm(1.125インチ)の直径の液体センタを具備するゴルフボールを実現することにより達成できる。液体センタの比重は、約1.3であってよく、その粘度は約1000cpsであってよい。液体センタは、直径が4.01cm(1.580インチ)のマントル部分で包囲され、マントル部分はHNPからなり、これは上述し、また図12に説明した態様と類似である。
【0097】
衝撃時にゴルフボールが移動する距離はボールの反発係数(COR)および空力特性の関数である。CORは、2つの衝突物体の衝突後の相対速度の、衝突物体の衝突前の相対速度に対する比として定義される。CORは0から1.0まで変化する。1.0のCORは完全弾性衝突と等価であり、0のCORは非弾性衝突と等価である。ゴルフボールに関しては、CORはゴルフボールの衝突後の速度の、ゴルフボールの衝突前の速度の比として近似されてきた。好ましくは、この発明に従うゴルフボールのCORは少なくとも0.78であり、より好ましくは少なくとも0.80である。
【0098】
他の実施例においては、この発明に従って、飛行が減少させられたゴルフボールが製造されて良い。好ましくは、マントル部分16および液体センタのシェル20の内側直径は約o.64から3.81cm(約0.25から1.5インチ)であり、より好ましくは、内側直径は約1.27から3.43cm(約0.5から1.35インチ)である。マントル部分16の厚さは、好ましくは、0.13から0.89cm(0.05から0.35インチ)であり、より好ましくは、0.18から0.76cm(0.07から0.3インチ)であり、それは1または複数の同一または異なる層からなる。好ましくは、マントル部分は上述のとおり、HNPからなり、より好ましくは、HNPは2005年11月9日に出願された米国特許出願11/270,066に開示されているものから選択され、その内容は参照してここに組み入れた。シェル20および液体センタ18は先に説明した材料の任意のものでよい。代替的には、先に説明したように、液体センタ18はシェル20を伴うことなしに、マントル部分16により包囲されて良い。好ましくは、この発明に従って製造された飛行が減少されたゴルフボールのCORは高々0.75であり、より好ましくは、高々0.725であり、最も好ましくは、高々0.70である。
【0099】
この発明の1側面に従えば、ゴルフボールは約70から約120の間の圧縮を有するように調整される。
【0100】
ゴルフボール成分の寸法、すなわち厚さおよび直径を、所望の特性に依存して変えることができる。本発明の目的のために、いかなる層の厚さも使用することができる。先に述べた種々の実施例の例は、層の寸法に関して本明細書に提供されており、本発明を制限するものではない。
【0101】
1実施例において、液体コア12は、ポリエチレンまたはポリプロピレンのシェル20内に封入された液体砂糖溶液を有する。シェル20の壁厚は0.076cm(0.03インチ)であり、その外側直径は3.18cm(1.25インチ)である。マントル層22がシェルを被覆し、DuPont HPF2000のようなHNPからなる。マントル層22の厚さは0.38cm(0.15インチ)である。内側カバー層はマントル層の上に配置され、少なくとも413.68MPa(60000psi)の曲げ弾性率のアイオノマーを有する。この内側カバー層の厚さは0.89cm(0.35インチ)である。外側カバー層は内側カバー層の上に設けられ、曲げ弾性率が40000未満のポリウレタンまたはポリ尿素を有する。好ましくは、ゴルフボールのCORは0.78より大きく、より好ましくは、0.8より大きく、その圧縮は70から120である。好ましくは、ゴルフボールのスピン減衰率は当初のスピンの少なくとも10%であり、より好ましくは当初のスピンの少なくとも15%である。
【0102】
他の実施例において、液体コア12は、架橋アクリロニトリルゴムのシェル20内に封入された低粘度のナフテン酸を有する。シェル20の外側直径は1インチである。架橋ポリブタジエンゴムのマントル層22がシェルを被覆する。マントル層22の厚さは0.74cm(0.29インチ)である。単一カバー層11がマントル層22の上に配置される。カバー11は、厚さが0.05インチで、曲げ弾性率が約275.79から482.63MPa(約40000から70000psi)のアイオノマーまたはポリウレタンからなる。好ましくは、ゴルフボールのCORは少なくとも0.8であり、その圧縮は80から120である。好ましくは、ゴルフボールのスピン減衰率は当初のスピンの少なくとも10%であり、より好ましくは当初のスピンの少なくとも15%である。
【0103】
他の実施例において、マントル層22は、比重が0.9のHNPからなる。内側カバー層がマントル層22の上に設けられる。内側カバー層は米国特許第6,743,123号に開示されるような薄い高密度の層であってよく、当該特許の内容は参照してここに組み入れる。
【0104】
本発明は、全ての大きさのゴルフボールに関する。USGAによる「ゴルフ規則(The Rules of Golf)」は仕様を規定しており、それは競技用ゴルフボールの大きさを42.67mm(1.680インチ)より大きいと決めており、レジャーのゴルフプレーヤーはいかなる大きさのボールも使用することができる。ゴルフボールの好ましい直径は約42.67mm(1.680インチ)〜約48.26mm(1.900インチ)である。より好ましい直径は、約42.67mm(1.680インチ)〜約44.70mm(1.760インチ)である。約42.67mm(1.680インチ)〜約44.20mm(1.740インチ)の直径が最も好ましいが、いずれにしろ、約42.67mm(1.680インチ)〜約49.53mm(1.950インチ)の範囲の直径を使用することができる。好ましくは、コアおよびマントル層または中間層の全体の直径は、仕上げたボールの全体の直径の約80%〜約98%である。
【0105】
コアの直径は約2.29mm(0.090インチ)〜約41.91mm(1.650インチ)の範囲であることができる。1実施例では、本発明のコアの直径は約30.48mm(1.200インチ)〜約41.40mm(1.630インチ)である。他の実施例では、コアの直径は約33.02mm(1.300インチ)〜約40.64mm(1.600インチ)であり、好ましくは約35.31mm(1.390インチ)〜約40.64mm(1.600インチ)であり、より好ましくは約38.10mm(1.500インチ)〜約40.64mm(1.600インチである)。さらに他の実施例では、コアの直径は約39.37mm(1.550インチ)〜約41.91mm(1.650インチ)である。
【0106】
ゴルフボールのコアはボールの他の部分に対して非常に大きい部分を占める可能性がある。例えば、1実施例では、コアがボールの約90%〜約98%、好ましくはボールの約94%〜約96%となる。この実施例では、コアの直径は好ましくは約39.12mm(1.540インチ)より大きく、好ましくは約39.37mm(1.550インチ)またはそれより大きい。1実施例では、コアの直径は約40.39mm(1.590インチ)またはそれより大きい。他の実施例では、コアの直径は約41.66mm(1.640インチ)またはそれより小さい。このように、1実施例は、単一層のカバーと約39.12mm(1.540インチ)またはそれより大きい直径の大きなコアを有するゴルフボールを含む。他の実施例は、複数の層と約39.12mm(1.540インチ)またはそれより大きい直径の大きなコアを有するゴルフボールを含む。
【0107】
他の実施例は、種々の質量分配の成分を有するゴルフボールを含む。これらのゴルフボールはコアとカバーを含み、この場合ボールの質量が中心に対して放射状に配分されており、これによって、ボールの慣性モーメントが決定されている。質量が中心に向かって配分されている場合、慣性モーメントは減少し、質量が中心から外方に向かって配分されている場合、慣性モーメントは増加する。
【0108】
本発明は、コアとカバーを含むゴルフボールを含み、この場合ボールの質量が中心に対して放射状に配分されており、これによって、ボールの慣性モーメントが決定され、ゴルフボールは追加の中間層および/またはカバーを有することができる。ボールの質量をボールの外側表面へ向けて分配することにより、打撃時および飛行中のボールの動的特性が変わる。特に、質量が中心に向けて配分されている場合、慣性モーメントは減少し、ボールがゴルフクラブを離れるとボールの初期スピン速度は増加し、これはボールの慣性モーメントからの抵抗が少ないためである。反対に、質量が中心から外側に向かって配分されている場合、慣性モーメントが増加し、ボールがゴルフクラブを離れるとボールの初期スピン速度は減少し、これはボールの慣性モーメントからの抵抗が大きいためである。従って、質量密度の再配分の結果として慣性モーメントが増加から減少へと切り替わる、ボールの中心から、または外側カバーからの半径方向の距離は、ゴルフボールの設計において重要な因子である。
【0109】
45.93g(1.62オンス)で直径42.67mm(1.68インチ)のワンピースボールの慣性モーメントは約83.63g−cm2(0.4572oz−in2)であり、これは慣性モーメントの基準値である。本発明は、軽いセンタおよび重いカバーとマントル層を有し、かつ84.13g−cm2(0.460oz−in2)より大きい慣性モーメントを有するゴルフボールを含む。さらに、重いコア(センタとマントル層を含む)および軽いカバーを有し、かつ慣性モーメントが82.30g−cm2(0.450oz−in2)より小さいゴルフボールも対象である。
【0110】
コアが内側コア層と外側コア層を含む場合、内側コア層は好ましくは約22.86mm(0.9インチ)またはそれより厚く、外側コア層は好ましくは約2.54mm(0.1インチ)またはそれよい大きい厚さを有する。1実施例では、内側コア層は約2.29mm(0.09インチ)〜約30.48mm(1.2インチ)の直径を有し、外側コア層は約2.54mm(0.1インチ)〜約20.32mm(0.8インチ)の厚さを有する。さらに他の実施例では、内側コア層は約2.41mm(0.095インチ)〜約27.94mm(1.1インチ)の直径を有し、かつ外側コア層は約5.08mm(0.20インチ)〜約0.76mm(0.03インチ)の厚さを有する。
【0111】
カバーは、典型的には、十分な強度、良好な作動特性、および耐久性を提供する厚さを有している。1実施例では、カバーの厚さは約0.51mm(0.02インチ)〜約8.89mm(0.35インチ)である。カバーは好ましくは約0.51mm(0.02インチ)〜約3.05mm(0.12インチ)の厚さを有し、好ましくは約2.54mm(0.1インチ)またはそれより薄い。カバーは約2.54mm(0.1インチ)またはそれより小さい厚さを有し、好ましくは約1.78mm(0.07インチ)またはそれより小さい厚さを有する。1実施例では、外側カバーは約0.51mm(0.02インチ)〜約1.78mm(0.07インチ)の厚さを有する。他の実施例では、カバーの厚さは約1.27mm(0.05インチ)またはそれより薄く、好ましくは約0.51mm(0.02インチ)〜約1.27mm(0.05インチ)である。さらに他の実施例では、外側カバー層は約0.51mm(0.02インチ)〜約1.14mm(0.045インチ)である。さらに他の実施例では、外側カバー層は、約0.64mm(0.025インチ)〜約1.02mm(0.04インチ)の厚さである。1実施例では、外側カバー層は約0.76mm(0.03インチ)の厚さである。
【0112】
ゴルフボールのマントル層の厚さの範囲は大きく、それはマントル層を使用する可能性が大きいからであり、すなわち外側コア層として、内側カバー層として、糸巻き層として、湿気/蒸気防止層として使用する可能性があるためである。本発明のゴルフボールで使用する場合、マントル層、または内側カバー層の厚さは約7.62mm(0.3インチ)またはそれより薄い。1実施例では、マントル層の厚さは約0.051mm(0.002インチ)〜約2.54mm(0.1インチ)、好ましくは約0.25mm(0.01インチ)またはそれより厚い。1実施例では、マントル層の厚さは約2.29mm(0.09インチ)またはそれより薄く、好ましくは約1.52mm(0.06インチ)またはそれより薄い。他の実施例では、マントル層の厚さは約1.27mm(0.05インチ)またはそれより薄く、より好ましくは約0.25mm(0.01インチ)〜約1.14mm(0.045インチ)である。1実施例では、マントル層の厚さは約0.51mm(0.02インチ)〜約1.02mm(0.04インチ)である。他の実施例では、マントル層の厚さは約0.64mm(0.025インチ)〜約0.89mm(0.035インチ)である。さらに他の実施例では、マントル層の厚さは約0.89mm(0.035インチ)である。さらに他の実施例では、内側カバー層は約0.76mm(0.03インチ)〜約0.89mm(0.035インチ)の厚さである。マントル層と外側カバー層の厚さの様々の範囲の組み合わせを、本明細書に記載した他の実施例と組み合わせて使用することができる。
マントル層の外側カバー層に対する厚さの比率は好ましくは約10またはそれより小さく、好ましくは約3またはそれより小さい。他の実施例では、マントル層の外側カバー層に対する厚さの比率は約1またはそれより小さい。
【0113】
コアと任意のマントル層は共に内部ボールを形成し、それは好ましくは約42.67mm(1.68インチ)のボールに対して約37.59mm(1.48インチ)またはそれより大きい直径を有する。1実施例では、42.67mm(1.68インチ)のボールの内部ボールは約38.61mm(1.52インチ)またはそれより大きい直径を有する。他の実施例では、42.67mm(1.68インチ)のボールの内部ボールは約42.16mm(1.66インチ)またはそれより小さい直径を有する。さらに他の実施例では、42.67mm(1.68インチ)のボールの内部ボールは約40.39mm(1.59インチ)またはそれより小さい直径を有する。さらに他の実施例では、43.69mm(1.72インチ)の(またはそれより大きい)ボールの内部ボールは約38.10mm(1.50インチ)またはそれより大きい直径を有する。さらに他の実施例では、43.69mm(1.72インチ)のボールの内部ボールは約43.18mm(1.70インチ)またはそれより小さい直径を有する。
【0114】
本発明のボールの好ましい製造方法については、液状センタのシェル20を形成して中央空洞を作り、空洞を流体センタ18で充填することによって内部球体を製造する。第1の実質的に半球形の凹型の金型部品32と凸型の金型部品34の間で、カップ材料31、好ましくはポリブタジエンを圧縮成形することにより第1のカップを製造する。凸型の金型部品34は第1の実質的に半球形の凸部35を有し、該凸部は第1の凹型の金型部品32向かい合っている。第2のカップを次いで同様の方法で製造する。
【0115】
別の方法として、図4に示すように、第1の凸部35および第2の凸部37を有する単一の凸型の金型部品36の周りで二つのカップ30を同時に圧縮成型する。第1および第2の半球形の金型32および33を相互に反対側に配置し、凸型の金型部品36を半球形の金型32と33の間に置く。
【0116】
図5は、カップ30が成形された後の二つの凹型の金型部品32と33を示している。共に半球形のカップ30は半球形の空洞44を有している。空洞44の周りに配置されたために、カップ30は面46に対応する面を有し、この実施例では該面は実質的に均一である。
【0117】
本方法のこの時点において、内部球体13をカップ30の内部に置き、二つのカップ30を一緒にする。この工程の間、カップ30を好ましくはそれぞれの半球形の金型32および33中に保持する。カップ30を一緒にする好ましい方法は、図5に示すように、カップ30の一方に接着剤を適用してカップの間に接着剤42を付けることである。次いでカップ30を一緒に合わせ、カップ30の対応する面の間で均一に接着剤を圧迫する。接着剤42は次いで硬化してカップ30を相互に結合する。空洞内に接着剤42を付けて、接着剤が内部球体13をカップ30と結合するように接着剤を適用することがさらに好ましい。カップの間に付けた接着剤42は、カップ30と内部球体13のと間に付けた接着剤42と共に均一に広がって、カップ30を相互に結合する。結合したカップの空洞44は球形の空洞を形成し、内部球体13がそれを占める。
【0118】
カップ30を結合する他の方法は、カップを高温で一緒に圧縮して各カップ30のエラストマーカップ材料の間に架橋を起こさせることである。図4に示した実施例において、凸型の金型部品36を除去し、カップ30を一緒に加熱圧縮する第2サイクルによる圧縮成型を行うことによってこの方法を達成することができる。
【0119】
図6は、内部球体13とカップ30が結合する前の両者を示している。この実施例では、内部球体はカップ30の間に置かれた凍結した流体18の球体であり、好ましくは流体18が溶け始める前に球体の周りにカップ30を結合する。
【0120】
カップ30が結合されると、図8に示すようにコア12の周りにカバー11を形成する。図8は、ディンプルを付けた金型68中でコア12の周りにおいて2個のカバー11を二つ割りにしたものを圧縮成型する工程を示す。図9は、ピン62を有するディンプルを付けた金型60中でコア12の周りにカバー11を射出成形する工程を示し、該ピンはディンプルを付けた金型60の内部でコア12の位置を定め、カバー11が完全に硬化する前に引っ込む。
【0121】
図7のゴルフボールを、カップ30を接着剤で結合することにより形成した。接着剤42は、第1のマントル層22においてカップの間および各カップ30と内部球体13との間に広がる。接着剤42は好ましくはエラストマーカップ材料の粘着強度より大きな接着強度を有する。従って、単一片のカップ材料からマントル層を製造したボールと少なくとも同程度の強度を有するボールを製造することができ、これはカップ30を形成するエラストマーが接着剤42より軽い負荷で破損するからである。接着剤42は硬化した状態で柔軟性があり、かつ使用したカップ材料と類似する物理特性を有することが理想的である。
【0122】
ポリブタジエンカップ30に使用する好ましい接着剤は、低粘度の液状樹脂をブレンドして製造し、かつそれが硬化した状態で柔軟であるように配合したエポキシである。適切なエポキシを、質量で約83部のAB−82硬化剤を質量で100部のEpoxy Resin #1028を約1:1の容量で混合して製造する(両者はRBCインダストリーズ社から市販されている)。液体状態にあるときは、エポキシは定量し、混合しおよび配合する装置中で使用するのに理想的である。このエポキシを好ましくは25℃(77°F)で18〜24時間、35℃(95°F)で6時間、48.9℃(120°F)で3時間、または65.6℃(150°F)で1時間硬化させる。硬化した接着剤の物理特性はエラストマーウレタンの特性に類似している。これは、ノッチ付きで5.50ft.lbs./inのアイゾット衝撃強度、25℃で15.17MPa(2,200psi)の引っ張り強度、25℃で41.37MPa(6,000psi)の圧縮強度、および45のショアD硬度を示す。好ましくは、硬化した接着剤のショアD硬度は、エラストマーカップ材料のショアD硬度を20ショアD硬度分だけ越えることはない。
【0123】
他の好ましい接着剤はシアノアクリレートを含む接着剤である。
【0124】
図10および11はカップ48および54の別の実施例を示す。均一な対応する表面を有する代わりに、カップ48および54は平面状でない対応する表面50と52、および56と58を有する。これらの表面50と52、および56と58は隆起物の環状の模様を有し、該模様は各カップ48および54の空洞44について対称的であることが好ましく;示した模様はカップ48および54について同心円状である。ボール53において、表面58は表面56の溝にかみ合う舌を有する。 仕上げ処理したゴルフボール47および53では、均一でない表面50および52はかみ合うように配置され、均一でない表面56および58についても同様である。これらの均一でない対応する表面50および52を好ましくは、カップ48または54を凸部の周りに均一でない表面を有する凸型の金型部品で成形することによって製造し、該部品は例えば図4に示すように、均一でない表面64および66を有する凸型の金型部品36である。
【0125】
均一でない対応する表面を有するゴルフボールのマントル部分16における液状センタのシェルおよびマントル層は、カップのそれぞれにせん断力が加わった場合、均一な対応する面を有するゴルフボールと比較して、カップを形成するエラストマーの多くの性質を保持する。従って、エラストマーカップ材料の粘着強度より低い接着強度を有する接着剤を使用する場合には、均一でない対応する表面が有利である。その理由は、カップ48および54のかみ合わせ部分が二つのカップ48と54の間のせん断力に対抗するのに役立つからである。
【0126】
本明細書に開示した本発明の具体的な実施例が上記した目的を達成することは明らかである一方、当業者は多数の変形および他の実施例を考え得ることが理解され、例えば、一連の直径が次第に大きくなるカップを開示した方法で製造し、結合させることが可能である。従って、添付した特許請求の範囲は、本発明の精神の範囲内に入るこのような変形および実施例を全て含むことを意図している。
【0127】
本明細書に記載し、特許請求の範囲に記載した発明は特定の実施例によってその範囲が制限されることはなく、なぜならこれらの実施例は本発明のいくつかの観点を説明することを意図するものだからである。いかなる均等の実施例も本発明の範囲に含まれることが意図されている。さらに、本明細書に示され、記載された発明に加えて、本発明の種々の変形は、前記の説明から当業者にとって明白となろう。例えば、本発明の組成物を種々のゴルフ用具に使用することができ、例えばゴルフシューズのソールへの使用、さらにゴルフパターのインサートに使用することができる。これらの変形も添付した特許請求の範囲に入ることが意図されている。
本発明に従うゴルフボールコアの種々の例は以下の通りである。
【0128】
例
以下の例は本発明を説明する:
【0129】
例1
液状センタ、液状センタを取り巻く液状センタのシェルおよび液状センタのシェルを取り巻く第1のマントル層を有する、本発明に従うコアを製造した。
液体は、40%の塩、30%の水および30%のコーンシロップから成る塩、水およびコーンシロップ溶液であった。液状センタの外側直径は約24.51mm(0.965インチ)であった。
液状センタのシェルを熱可塑性エラストマーから製造した。液状センタのシェルの外側直径は約28.58mm(1.125インチ)であった。
【0130】
第1のマントル層を架橋したポリブタジエンから製造した。第1のマントル層の外側直径は約38.35mm(1.51インチ)であった。
コアの質量は38.9gであり、PGA圧縮は60より小さかった。
【0131】
例2
液状センタ、液状センタを取り巻く液状センタのシェルおよび液状センタのシェルを取り巻く第1のマントル層を有する、本発明に従うコアを製造した。
【0132】
液体は、40%の塩、30%の水および30%のコーンシロップから成る塩、水およびコーンシロップ溶液であった。液体を充填したセンタの外側直径は約23.83mm(0.938インチ)であった。
【0133】
液状センタのシェルをポリプロピレンから製造した。液状センタのシェルの外側直径は約26.99mm(1.0625インチ)であった。
第1のマントル層を架橋したポリブタジエンから製造した。第1のマントル層の外側直径は約38.35mm(1.51インチ)であった。
【0134】
コアの質量は33.4gであり、PGA圧縮は約60であった。
【0135】
例3
流体センタ、流体センタを取り巻く液状センタのシェルおよび液状センタのシェルを取り巻く第1のマントル層を有する、本発明に従うコアを製造した。
【0136】
流体は、空気であった。流体センタの外側直径は約23.83mm(0.938インチ)であった。
液状センタのシェルをポリプロピレンから製造した。液状センタのシェルの外側直径は約26.99mm(1.0625インチ)であった。
【0137】
第1のマントル層を架橋したポリブタジエンから製造した。第1のマントル層の外側直径は約38.35mm(1.51インチ)であった。
【0138】
コアの質量は26gであり、PGA圧縮は約87であった。
【図面の簡単な説明】
【0139】
【図1】本発明のゴルフボールの断面図である。
【図2】液体センタのシェルおよび多層マントルおよび内部球体を取り巻くカバー層を有する本発明に従うボールの断面図である。
【図3】シングルカップを行う金型の断面図である。
【図4】本発明に従う多層カップを行う金型の断面図である。
【図5】ゴルフボールのマントル層のカップを結合する金型の断面図である。
【図6】凍結した流体の内部球体を取り巻くゴルフボールのマントル層のカップを結合する金型の断面図である。
【図7】カップを結合する接着剤を有する本発明に従うボールの断面図である。
【図8】ゴルフボールコアを取り巻くカバーを形成する圧縮金型を示す。
【図9】コアの周りにカバーを形成する射出金型を示す。
【図10】相互にかみ合わせる平面状でない対応する表面を有するカップの断面図である。
【図11】相互にかみ合わせる平面状でない対応する表面を有するカップの断面図である。
【図12】この発明の他の実施例に従うボールの断面図である。
【図13A】表面面積が増大するように修正された内側表面を具備するこの発明の実施例に従うボールの液体センタの断面図である。
【図13B】表面面積が増大するように修正された内側表面を具備するこの発明の実施例に従うボールの液体センタの断面図である。
【図13C】表面面積が増大するように修正された内側表面を具備するこの発明の実施例に従うボールの液体センタの断面図である。
【図13D】表面面積が増大するように修正された内側表面を具備するこの発明の実施例に従うボールの液体センタの断面図である。
【図14A】この発明および従来のゴルフボールのスピン減衰率を示すグラフである。
【図14B】この発明および従来のゴルフボールのスピン減衰率を示すグラフである。
【図14C】この発明および従来のゴルフボールのスピン減衰率を示すグラフである。
【図14D】この発明および従来のゴルフボールのスピン減衰率を示すグラフである。
【符号の説明】
【0140】
10 ゴルフボール
11 カバー
12 コア
16 マントル部分
18 流体
20 シェル
22 第1のマントル層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定の直径を有し、コアおよびカバーを有して成るゴルフボールにおいて、上記コアは上記ボールのセンタに位置の流体と上記流体を包囲する第1のソリッドの非糸巻層とを有し、上記第1の層は、エチレンおよびα,β−不飽和カルボン酸のコポリマーまたはターポリマーからなり、上記酸は有機酸の塩、カチオン源または有機酸の適切な塩基により少なくとも80%中和されており、かつ上記カバーはポリウレタン、ポリ尿素、またはポリ尿素/ポリウレタンハイブリッドを有することを特徴とするゴルフボール。
【請求項2】
上記第1の層は、1または複数の酸ポリマーを有機酸または有機酸の金属塩と上記ポリマー組成物中の全酸官能性の少なくとも90%を中和するのに足る量の親水性がより小さなカチオン源とに接触させることを含む処理により製造される請求項1記載のゴルフボール。
【請求項3】
上記ポリマー組成物中の全酸官能性の約100%が中和される請求項2記載のゴルフボール。
【請求項4】
上記酸ポリマーは、上記親水性がより小さなカチオン源とに接触させる前に部分的に中和されている請求項2記載のゴルフボール。
【請求項5】
上記親水性がより小さなカチオン源は、カリウム、セシウム、カルシウム、バリウム、マンガン、銅、亜鉛、および錫の金属イオンおよび化合物;シリコーン、シラン、珪酸誘導体、および錯体配位子;希土類元素の金属イオンおよび化合物;および希土類元素の金属イオンおよび化合物から選択される請求項2記載のゴルフボール。
【請求項6】
上記第1の層の厚さは約0.10から1.42cm(約0.04から0.56インチ)である請求項1記載のゴルフボール。
【請求項7】
上記ゴルフボールはさらに上記第1の層を包囲する第2の層を有する請求項1記載のゴルフボール。
【請求項8】
上記第1の層はさらにポリブタジエンを有する請求項1記載のゴルフボール。
【請求項9】
上記流体が気体、液体、ゲル、ペーストまたはこれらの組み合わせである請求項1記載のゴルフボール。
【請求項10】
上記流体の比重は約1.3から1.55である請求項1記載のゴルフボール。
【請求項11】
上記流体の粘度は約0.1から1.5Pa.sec(約100から1500cps)である請求項1記載のゴルフボール。
【請求項12】
上記カバーは内側カバー層と薄い外側カバー層とを有し、上記外側カバー層は、注型可能な反応性液体から製造される熱硬化性材料を有し、上記内側カバー層は、曲げ弾性率が大きな材料を有する請求項1記載のゴルフボール。
【請求項13】
上記ゴルフボールのスピン減衰率が全ボール飛行に渡って当初のスピンレートの少なくとも10%である請求項1記載のゴルフボール。
【請求項14】
上記ゴルフボールのCORが少なくとも0.8である請求項1記載のゴルフボール。
【請求項15】
一定の直径を有し、コアおよびカバーを有して成るゴルフボールにおいて、上記コアは上記ボールのセンタに位置の流体と、上記流体を包囲するシェルと、上記シェルを包囲する第1のソリッドの非糸巻マントル層とを有し、上記第1のマントル層は、エチレンおよびα,β−不飽和カルボン酸のコポリマーまたはターポリマーからなり、上記酸は有機酸の塩、カチオン源または有機酸の適切な塩基により少なくとも80%中和されており、かつ上記カバーはポリウレタン、ポリ尿素、またはポリ尿素/ポリウレタンハイブリッドを有することを特徴とするゴルフボール。
【請求項16】
上記ポリマー組成物は、1または複数の酸ポリマーを有機酸または有機酸の金属塩と上記ポリマー組成物中の全酸官能性の少なくとも90%を中和するのに足る量の親水性がより小さなカチオン源とに接触させることを含む処理により製造される請求項15記載のゴルフボール。
【請求項17】
上記ポリマー組成物中の全酸官能性の約100%が中和される請求項16記載のゴルフボール。
【請求項18】
上記酸ポリマーは、上記親水性がより小さなカチオン源とに接触させる前に部分的に中和されている請求項16記載のゴルフボール。
【請求項19】
上記親水性がより小さなカチオン源は、カリウム、セシウム、カルシウム、バリウム、マンガン、銅、亜鉛、および錫の金属イオンおよび化合物;シリコーン、シラン、珪酸誘導体、および錯体配位子;希土類元素の金属イオンおよび化合物;および希土類元素の金属イオンおよび化合物から選択される請求項16記載のゴルフボール。
【請求項20】
上記第1のマントル層の厚さは約0.10から0.89cm(約0.04から0.35インチ)である請求項15記載のゴルフボール。
【請求項21】
上記第1のマントル層はさらにポリブタジエンを有する請求項15記載のゴルフボール。
【請求項22】
上記流体が気体、液体、ゲル、ペーストまたはこれらの組み合わせである請求項15記載のゴルフボール。
【請求項23】
上記流体の比重は約1.3から1.55である請求項15記載のゴルフボール。
【請求項24】
上記流体の粘度は約0.1から1.5Pa.sec(約100から1500cps)である請求項15記載のゴルフボール。
【請求項25】
上記ゴルフボールのスピン減衰率が全ボール飛行に渡って当初のスピンレートの少なくとも10%である請求項15記載のゴルフボール。
【請求項26】
一定の直径を有し、コアおよびカバーを有して成るゴルフボールにおいて、上記コアは上記ボールのセンタに位置の流体と上記流体を包囲する第1のソリッドの非糸巻マントル層とを有し、上記第1のマントル層は、エチレンおよびα,β−不飽和カルボン酸のコポリマーまたはターポリマーからなり、上記酸は有機酸の塩、カチオン源または有機酸の適切な塩基により少なくとも80%中和されており、かつ上記カバーはポリウレタン、ポリ尿素、またはポリ尿素/ポリウレタンハイブリッドを有し、かつ、上記ゴルフボールのスピン減衰率が全ボール飛行に渡って当初のスピンレートの少なくとも10%であることを特徴とするゴルフボール。
【請求項27】
上記ポリマー組成物は、1または複数の酸ポリマーを有機酸または有機酸の金属塩と上記ポリマー組成物中の全酸官能性の少なくとも90%を中和するのに足る量の親水性がより小さなカチオン源とに接触させることを含む処理により製造される請求項26記載のゴルフボール。
【請求項28】
上記ポリマー組成物中の全酸官能性の約100%が中和される請求項27記載のゴルフボール。
【請求項29】
上記酸ポリマーは、上記親水性がより小さなカチオン源とに接触させる前に部分的に中和されている請求項27記載のゴルフボール。
【請求項30】
上記親水性がより小さなカチオン源は、カリウム、セシウム、カルシウム、バリウム、マンガン、銅、亜鉛、および錫の金属イオンおよび化合物;シリコーン、シラン、珪酸誘導体、および錯体配位子;希土類元素の金属イオンおよび化合物;および希土類元素の金属イオンおよび化合物から選択される請求項27記載のゴルフボール。
【請求項31】
上記第1のマントル層の厚さは約0.10から1.42cm(約0.04から0.56インチ)である請求項26記載のゴルフボール。
【請求項32】
上記第1のマントル層はさらにポリブタジエンを有する請求項26に記載のゴルフボール。
【請求項31】
上記ゴルフボールはさらに上記流体を包囲するシェルを有する請求項26記載のゴルフボール。
【請求項32】
上記流体が気体、液体、ゲル、ペーストまたはこれらの組み合わせである請求項26記載のゴルフボール。
【請求項33】
上記流体の比重は約1.3から1.55である請求項26記載のゴルフボール。
【請求項34】
上記流体の粘度は約0.1から1.5Pa.sec(約100から1500cps)である請求項26記載のゴルフボール。
【請求項35】
上記カバーは内側カバー層と薄い外側カバー層とを有し、上記外側カバー層は、注型可能な反応性液体から製造される熱硬化性材料を有し、上記内側カバー層は、曲げ弾性率が大きな材料を有する請求項26記載のゴルフボール。
【請求項36】
上記ゴルフボールのスピン減衰率が全ボール飛行に渡って当初のスピンレートの少なくとも15%である請求項26記載のゴルフボール。
【請求項1】
一定の直径を有し、コアおよびカバーを有して成るゴルフボールにおいて、上記コアは上記ボールのセンタに位置の流体と上記流体を包囲する第1のソリッドの非糸巻層とを有し、上記第1の層は、エチレンおよびα,β−不飽和カルボン酸のコポリマーまたはターポリマーからなり、上記酸は有機酸の塩、カチオン源または有機酸の適切な塩基により少なくとも80%中和されており、かつ上記カバーはポリウレタン、ポリ尿素、またはポリ尿素/ポリウレタンハイブリッドを有することを特徴とするゴルフボール。
【請求項2】
上記第1の層は、1または複数の酸ポリマーを有機酸または有機酸の金属塩と上記ポリマー組成物中の全酸官能性の少なくとも90%を中和するのに足る量の親水性がより小さなカチオン源とに接触させることを含む処理により製造される請求項1記載のゴルフボール。
【請求項3】
上記ポリマー組成物中の全酸官能性の約100%が中和される請求項2記載のゴルフボール。
【請求項4】
上記酸ポリマーは、上記親水性がより小さなカチオン源とに接触させる前に部分的に中和されている請求項2記載のゴルフボール。
【請求項5】
上記親水性がより小さなカチオン源は、カリウム、セシウム、カルシウム、バリウム、マンガン、銅、亜鉛、および錫の金属イオンおよび化合物;シリコーン、シラン、珪酸誘導体、および錯体配位子;希土類元素の金属イオンおよび化合物;および希土類元素の金属イオンおよび化合物から選択される請求項2記載のゴルフボール。
【請求項6】
上記第1の層の厚さは約0.10から1.42cm(約0.04から0.56インチ)である請求項1記載のゴルフボール。
【請求項7】
上記ゴルフボールはさらに上記第1の層を包囲する第2の層を有する請求項1記載のゴルフボール。
【請求項8】
上記第1の層はさらにポリブタジエンを有する請求項1記載のゴルフボール。
【請求項9】
上記流体が気体、液体、ゲル、ペーストまたはこれらの組み合わせである請求項1記載のゴルフボール。
【請求項10】
上記流体の比重は約1.3から1.55である請求項1記載のゴルフボール。
【請求項11】
上記流体の粘度は約0.1から1.5Pa.sec(約100から1500cps)である請求項1記載のゴルフボール。
【請求項12】
上記カバーは内側カバー層と薄い外側カバー層とを有し、上記外側カバー層は、注型可能な反応性液体から製造される熱硬化性材料を有し、上記内側カバー層は、曲げ弾性率が大きな材料を有する請求項1記載のゴルフボール。
【請求項13】
上記ゴルフボールのスピン減衰率が全ボール飛行に渡って当初のスピンレートの少なくとも10%である請求項1記載のゴルフボール。
【請求項14】
上記ゴルフボールのCORが少なくとも0.8である請求項1記載のゴルフボール。
【請求項15】
一定の直径を有し、コアおよびカバーを有して成るゴルフボールにおいて、上記コアは上記ボールのセンタに位置の流体と、上記流体を包囲するシェルと、上記シェルを包囲する第1のソリッドの非糸巻マントル層とを有し、上記第1のマントル層は、エチレンおよびα,β−不飽和カルボン酸のコポリマーまたはターポリマーからなり、上記酸は有機酸の塩、カチオン源または有機酸の適切な塩基により少なくとも80%中和されており、かつ上記カバーはポリウレタン、ポリ尿素、またはポリ尿素/ポリウレタンハイブリッドを有することを特徴とするゴルフボール。
【請求項16】
上記ポリマー組成物は、1または複数の酸ポリマーを有機酸または有機酸の金属塩と上記ポリマー組成物中の全酸官能性の少なくとも90%を中和するのに足る量の親水性がより小さなカチオン源とに接触させることを含む処理により製造される請求項15記載のゴルフボール。
【請求項17】
上記ポリマー組成物中の全酸官能性の約100%が中和される請求項16記載のゴルフボール。
【請求項18】
上記酸ポリマーは、上記親水性がより小さなカチオン源とに接触させる前に部分的に中和されている請求項16記載のゴルフボール。
【請求項19】
上記親水性がより小さなカチオン源は、カリウム、セシウム、カルシウム、バリウム、マンガン、銅、亜鉛、および錫の金属イオンおよび化合物;シリコーン、シラン、珪酸誘導体、および錯体配位子;希土類元素の金属イオンおよび化合物;および希土類元素の金属イオンおよび化合物から選択される請求項16記載のゴルフボール。
【請求項20】
上記第1のマントル層の厚さは約0.10から0.89cm(約0.04から0.35インチ)である請求項15記載のゴルフボール。
【請求項21】
上記第1のマントル層はさらにポリブタジエンを有する請求項15記載のゴルフボール。
【請求項22】
上記流体が気体、液体、ゲル、ペーストまたはこれらの組み合わせである請求項15記載のゴルフボール。
【請求項23】
上記流体の比重は約1.3から1.55である請求項15記載のゴルフボール。
【請求項24】
上記流体の粘度は約0.1から1.5Pa.sec(約100から1500cps)である請求項15記載のゴルフボール。
【請求項25】
上記ゴルフボールのスピン減衰率が全ボール飛行に渡って当初のスピンレートの少なくとも10%である請求項15記載のゴルフボール。
【請求項26】
一定の直径を有し、コアおよびカバーを有して成るゴルフボールにおいて、上記コアは上記ボールのセンタに位置の流体と上記流体を包囲する第1のソリッドの非糸巻マントル層とを有し、上記第1のマントル層は、エチレンおよびα,β−不飽和カルボン酸のコポリマーまたはターポリマーからなり、上記酸は有機酸の塩、カチオン源または有機酸の適切な塩基により少なくとも80%中和されており、かつ上記カバーはポリウレタン、ポリ尿素、またはポリ尿素/ポリウレタンハイブリッドを有し、かつ、上記ゴルフボールのスピン減衰率が全ボール飛行に渡って当初のスピンレートの少なくとも10%であることを特徴とするゴルフボール。
【請求項27】
上記ポリマー組成物は、1または複数の酸ポリマーを有機酸または有機酸の金属塩と上記ポリマー組成物中の全酸官能性の少なくとも90%を中和するのに足る量の親水性がより小さなカチオン源とに接触させることを含む処理により製造される請求項26記載のゴルフボール。
【請求項28】
上記ポリマー組成物中の全酸官能性の約100%が中和される請求項27記載のゴルフボール。
【請求項29】
上記酸ポリマーは、上記親水性がより小さなカチオン源とに接触させる前に部分的に中和されている請求項27記載のゴルフボール。
【請求項30】
上記親水性がより小さなカチオン源は、カリウム、セシウム、カルシウム、バリウム、マンガン、銅、亜鉛、および錫の金属イオンおよび化合物;シリコーン、シラン、珪酸誘導体、および錯体配位子;希土類元素の金属イオンおよび化合物;および希土類元素の金属イオンおよび化合物から選択される請求項27記載のゴルフボール。
【請求項31】
上記第1のマントル層の厚さは約0.10から1.42cm(約0.04から0.56インチ)である請求項26記載のゴルフボール。
【請求項32】
上記第1のマントル層はさらにポリブタジエンを有する請求項26に記載のゴルフボール。
【請求項31】
上記ゴルフボールはさらに上記流体を包囲するシェルを有する請求項26記載のゴルフボール。
【請求項32】
上記流体が気体、液体、ゲル、ペーストまたはこれらの組み合わせである請求項26記載のゴルフボール。
【請求項33】
上記流体の比重は約1.3から1.55である請求項26記載のゴルフボール。
【請求項34】
上記流体の粘度は約0.1から1.5Pa.sec(約100から1500cps)である請求項26記載のゴルフボール。
【請求項35】
上記カバーは内側カバー層と薄い外側カバー層とを有し、上記外側カバー層は、注型可能な反応性液体から製造される熱硬化性材料を有し、上記内側カバー層は、曲げ弾性率が大きな材料を有する請求項26記載のゴルフボール。
【請求項36】
上記ゴルフボールのスピン減衰率が全ボール飛行に渡って当初のスピンレートの少なくとも15%である請求項26記載のゴルフボール。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図13D】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図14D】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図13D】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図14D】
【公開番号】特開2007−216024(P2007−216024A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−33426(P2007−33426)
【出願日】平成19年2月14日(2007.2.14)
【出願人】(390023593)アクシュネット カンパニー (155)
【氏名又は名称原語表記】ACUSHNET COMPANY
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−33426(P2007−33426)
【出願日】平成19年2月14日(2007.2.14)
【出願人】(390023593)アクシュネット カンパニー (155)
【氏名又は名称原語表記】ACUSHNET COMPANY
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