多層フィルム構造体の製造方法、及び多層フィルム構造体
【課題】接合部分の強度が十分確保された多層フィルム構造体を得る。
【解決手段】一方の多層フィルム12の端部と他方の多層フィルム12の端部を隙間を開けて互いに向かい合わせ、溶融した溶着用熱可塑性材料24を少なくとも隙間に充填し、一方の多層フィルム12の溶融した端部と他方の多層フィルム12の溶融した端部と溶融した溶着用熱可塑性材料24とを互いに溶着させた後に冷却固化することで、接合部分の強度が十分確保された多層フィルム構造体10が得られる。
【解決手段】一方の多層フィルム12の端部と他方の多層フィルム12の端部を隙間を開けて互いに向かい合わせ、溶融した溶着用熱可塑性材料24を少なくとも隙間に充填し、一方の多層フィルム12の溶融した端部と他方の多層フィルム12の溶融した端部と溶融した溶着用熱可塑性材料24とを互いに溶着させた後に冷却固化することで、接合部分の強度が十分確保された多層フィルム構造体10が得られる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数枚の多層フィルムが接合されて形成される多層フィルム構造体の製造方法、及び多層フィルム構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、樹脂フィルムの溶着方法として、高周波ウエルダーを用いる溶着法、高周波ミシンを用いる溶着法、熱風式溶着法、熱板式溶着法、超音波溶着法、熱鏝式加熱溶着法等の種々の方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平08−009793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような方法で今日まで単層の樹脂フィルムの溶着加工が実施されてきたが、異なる材料の複数層からなる、所謂多層フィルムでは、上記方法で溶着することが困難になってきている。
【0005】
例えば、図8(A)に示すように、基本となるベース層100の表面に防塵処理層(例えば、酸化チタンコーティング層)102、裏面に流滴処理層(例えば、流滴剤を含んだアクリル樹脂コーティング層)104を施した多層フィルム106を接合する場合、図8(B)に示すように重ねて溶着(いわゆる中継ぎ加工)しようとしても、流滴剤を含んだ流滴処理層104が防塵処理層102と上手く溶着できないため、図8(C)に示すように、一方の多層フィルム106と他方の多層フィルム106の端部同士を突き合わせ、突合せ部分の表面に接合用の熱可塑性合成樹脂からなるテープ108を当て、テープ108を溶融させて、一方の多層フィルム106と他方の多層フィルム106との接合(いわゆるブリッヂ加工)を行っている。
【0006】
しかしながら、この方法では、一方の多層フィルム106の端部と他方の多層フィルム106の端部とが溶着に至らず、一方の多層フィルム106と他方の多層フィルム106とが表面側のテープ部分のみで連結することとなり、十分な接合強度が得られない場合がある。
【0007】
本発明は、上記問題を解決すべく成されたもので、接合部分の接合強度が確保された多層フィルム構造体の製造方法、及び多層フィルム構造体を提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、材料の異なる層が複数積層され少なくとも1層が第1の熱可塑性材料からなる多層フィルムを互いに接合することで構成される多層フィルム構造体の製造方法であって、一方の前記多層フィルムの端部と他方の前記多層フィルムの端部とを向かい合わせ、接合予定部位に溶融させた第2の熱可塑性材料を付着させ、前記第1の熱可塑性材料と前記第2の熱可塑性材料とを溶着させた後に冷却固化することで前記一方の前記多層フィルムと他方の前記多層フィルムとを接合させる接合工程を有する。
【0009】
次に、請求項1に記載の多層フィルム構造体の製造方法では、接合工程において、一方の多層フィルムの端部と他方の多層フィルムの端部とを向かい合わせ、接合予定部位に溶融させた第2の熱可塑性材料を付着させ、第1の熱可塑性材料と第2の熱可塑性材料とを溶着させた後に冷却固化することで、一方の多層フィルムの端部と他方の多層フィルムの端部とが接合された多層フィルム構造体が得られる。
【0010】
多層フィルムの第1の熱可塑性材料と、接合に用いる第2の熱可塑性材料は、同じ熱可塑性樹脂の仲間であるため、熱可塑性樹脂と異種材料とを接合する場合に比較して十分な接合強度を確保することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の多層フィルム構造体の製造方法において、前記接合工程の前に、一方の前記多層フィルムの端部と他方の前記多層フィルムの端部とを加熱して溶融させる加熱工程を備え、前記接合工程では、溶融された前記第1の熱可塑性材料と前記第2の熱可塑性材料とを溶着させる。
【0012】
次に、請求項2に記載の多層フィルム構造体の製造方法を説明する。
接合工程の前の加熱工程では、一方の多層フィルムの端部と他方の多層フィルムの端部が加熱され、両方の端部が溶融される。
【0013】
次の接合工程では、一方の多層フィルムの端部と他方の前記多層フィルムの端部とが隙間を介して向かい合わされ、溶融された第2の熱可塑性材料が少なくとも隙間に充填されて溶融された第1の熱可塑性材料と第2の熱可塑性材料とが溶着される。その後、溶着された第1の熱可塑性材料と第2の熱可塑性材料とが冷却固化されて一方の多層フィルムの端部と他方の多層フィルムの端部とが接合された多層フィルム構造体が得られる。
【0014】
請求項2に記載の多層フィルム構造体の製造方法では、加熱工程にて、多層フィルムの端部において第1の熱可塑性材料を溶融させるので、接合工程では、溶融された熱可塑性材料同士が接触して溶着されるので、第1の熱可塑性材料と第2の熱可塑性材料との溶着部分において、第1の熱可塑性材料の一部と第2の熱可塑性材料の一部とが互いに混じり合い、溶融させていない第1の熱可塑性材料に対して溶融した第2の熱可塑性材料を付着させる場合に比較して、高い接合強度を得ることができる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の多層フィルム構造体の製造方法において、前記加熱工程では、一方の前記多層フィルムと他方の前記多層フィルムとを並行して搬送しながら前記端部を順次加熱し、前記接合工程では、前記隙間に前記第2の熱可塑性材料を順次供給して接合部位を順次ローラで押圧する。
【0016】
次に、請求項3に記載の多層フィルム構造体の製造方法を説明する。
請求項2に記載の多層フィルム構造体の製造方法では、加熱工程で、一方の多層フィルムと他方の多層フィルムとが並行して搬送され、端部が順次加熱される。
接合工程では、溶融された第2の熱可塑性材料が隙間に順次供給され、接合部位が順次ローラで押圧され、第2の熱可塑性材料の表面がローラで均される。
【0017】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の多層フィルム構造体の製造方法において、前記接合工程では、前記一方の多層フィルム及び前記他方の多層フィルムを回転するドラムの外周面に巻き掛けて搬送し、前記ローラと前記ドラムとの間で前記一方の多層フィルムと前記他方の多層フィルムとを順次挟持する。
【0018】
次に、請求項4に記載の多層フィルム構造体の製造方法を説明する。
請求項4に記載の多層フィルム構造体の製造方法では、接合工程において、一方の多層フィルム及び他方の多層フィルムが回転するドラムの外周面に巻き掛けられて搬送され、ローラとドラムとの間で一方の多層フィルムと他方の多層フィルムとが順次挟持され、連続的に多層フィルムの接合を行うことができる。
【0019】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の多層フィルム構造体の製造方法において、前記ドラムの外周面には、前記一方の多層フィルムと前記他方の多層フィルムとの接合部位と対応する位置に、ドラム周方向に沿って延びると共に前記隙間よりも幅が広く設定された溝が形成されており、前記接合工程では、前記隙間の他に、前記一方の多層フィルム及び前記他方の多層フィルムの表面に溶融させた前記第2の熱可塑性材料を溶着させると共に、前記表面に溶着された溶融状態の前記第2の熱可塑性材料を前記ローラで押圧することで溶融状態の前記第2の熱可塑性材料の一部を前記隙間を介して前記溝へ進入させて一方の前記多層フィルム、及び他方の前記多層フィルムのドラム側面に溶着させる。
【0020】
次に、請求項5に記載の多層フィルム構造体の製造方法を説明する。
先ず、ドラムには、一方の多層フィルムと他方の多層フィルムとの接合部位と対応する位置にドラム周方向に沿って延びる溝が形成されている。
接合工程では、2つの多層フィルムの間の間隙の他に、一方の多層フィルム及び他方の多層フィルムの間隙側の外周面に、溶融させた第2の熱可塑性材料を付着させる。
そして、外周面に付着された溶融状態の第2の熱可塑性材料がローラで押圧されることで、溶融状態の第2の熱可塑性材料の一部が間隙を介して溝へ進入し、一方の多層フィルム及び他方の多層フィルムのドラム側面に付着して固化される。
【0021】
したがって、一方の多層フィルムと他方の多層フィルムは、互いに向き合った一方の端部と他方の端部との間隙、及び端部側の両面に配置された第2の熱可塑性材料によって接合されることとなり、一方の端部と他方の端部の間にのみ第2の熱可塑性材料を充填して接合する場合に比較して第2の熱可塑性材料の接触面積が増大し、接合強度が向上する。
【0022】
請求項6に記載の発明は、請求項2〜請求項5の何れか1項に記載の多層フィルム構造体の製造方法において、前記加熱工程では、加熱された熱鏝を前記多層フィルムの前記端部に接触させて前記端部を溶融する。
【0023】
次に、請求項6に記載の多層フィルム構造体の製造方法を説明する。
請求項6に記載の多層フィルムの製造方法においては、加熱工程で、多層フィルムの端部に加熱された熱鏝が接触され、これによって、多層フィルムの端部が確実に溶融される。
【0024】
請求項7に記載の発明は、請求項2〜請求項6の何れか1項に記載の多層フィルム構造体の製造方法において、溶着した前記第1の熱可塑性材料及び前記第2の熱可塑性材料を強制冷却して固化させる強制冷却工程を有する。
【0025】
次に、請求項7に記載の多層フィルム構造体の製造方法を説明する。
請求項7に記載の多層フィルム構造体の製造方法では、溶着した第1の熱可塑性材料及び第2の熱可塑性材料を強制冷却工程において強制冷却する。これにより、両者を迅速に固化させることができ、溶着部分の変形等を抑えることができる。
【0026】
請求項8に記載の多層フィルム構造体は、材料の異なる層が複数積層され少なくとも1層が第1の熱可塑性材料からなる多層フィルム同士が、端部同士が突き合わされて接合された多層フィルム構造体であって、前記一方の多層フィルムの端部と前記他方の多層フィルムの端部とが、第2の熱可塑性材料を用いて接合されている。
【0027】
次に、請求項8に記載の多層フィルム構造体の作用を説明する。
請求項8に記載の多層フィルム構造体では、多層フィルム同士が第2の熱可塑性材料で接合されているが、一方の多層フィルムの第1の熱可塑性材料層と他方の多層フィルムの第1の熱可塑性材料とが第2の熱可塑性材料によって接合されている。
第1の熱可塑性材料と第2の熱可塑性材料は、同じ熱可塑性樹脂の仲間であるため、熱可塑性樹脂と異種材料とを接合する場合に比較して十分な接合強度を確保することができる。
【0028】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の多層フィルム構造体において、一方の前記多層フィルムと他方の前記多層フィルムとを連結する様に、前記第2の熱可塑性材料が一方の前記多層フィルムと他方の前記多層フィルムの少なくとも片面にも溶着されている。
【0029】
次に、請求項9に記載の多層フィルム構造体の作用を説明する。
請求項9に記載の多層フィルム構造体は、接合部分において、一方の多層フィルムと他方の多層フィルムとを連結する様に、第2の熱可塑性材料が一方の多層フィルムと他方の多層フィルムの少なくとも片面にも溶着されているので、第2の熱可塑性材料の溶着する面積(接合面積)が増え、接合強度を更に高めることができ、曲げ変形、引っ張り等に対しても強い接合となる。なお、第2の熱可塑性材料が一方の多層フィルムと他方の多層フィルムの両面に溶着されることが更に好ましい。
【0030】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の多層フィルム構造体において、前記第1の熱可塑性材料と前記第2の熱可塑性材料との溶着部分では、前記第1の熱可塑性材料の一部と前記第2の熱可塑性材料の一部とが互いに混ざり合っている。
【0031】
次に、請求項10に記載の多層フィルム構造体の作用を説明する。
第1の熱可塑性材料と第2の熱可塑性材料との溶着部分において、第1の熱可塑性材料の一部と第2の熱可塑性材料の一部とが互いに混じり合っていれば、第1の熱可塑性材料と第2の熱可塑性材料とが互いに混じり合っていない場合に比較して接合強度を更に高めることができる。
【発明の効果】
【0032】
以上説明した様に、請求項1に記載の多層フィルム構造体の製造方法によれば、十分な接合強度が確保された多層フィルム構造体を得ることができる、という優れた効果を有する。
【0033】
請求項2に記載の多層フィルム構造体の製造方法によれば、多層フィルムの接合部位(端部の第1の熱可塑性材料)が溶融され、さらに、溶融された第2の熱可塑性材料を接合する部位に流し込むことで、溶融された第1の熱可塑性材料と第2の熱可塑性材料とが良く混和されるので、接合強度を更に高めることができる、という優れた効果を有する。
【0034】
請求項3に記載の多層フィルム構造体の製造方法によれば、多層フィルムを連続して溶着することができ、効率的に多層フィルム構造体を製造できる。
また、多層フィルムの表面に溶着された第2の熱可塑性材料をローラで押圧することで平坦化することができ、また、ローラで押圧した部分の表面を平滑にすることもできる。
【0035】
請求項4に記載の多層フィルム構造体の製造方法によれば、多層フィルムをドラムとローラとで挟持して搬送することにより、多層フィルムの両面において、第2の熱可塑性材料を平坦化することができ、また、第2の熱可塑性材料の表面を平滑にすることもできる。
【0036】
請求項5に記載の多層フィルム構造体の製造方法によれば、多層フィルムのドラムと接する側の面に第2の熱可塑性材料を溶着させることができ、多層フィルムの端部間、及び両面に第2の熱可塑性材料を溶着させ、溶着面積を増大させて接合強度を向上させることができる。
【0037】
請求項6に記載の多層フィルム構造体の製造方法によれば、熱鏝を多層フィルムの端部に接触させるので、溶着に必要な部位(第2の熱可塑性材料を付着させ部位)以外の部分を溶融させて不必要な熱を付与することが無くなるため、多層フィルムの熱劣化、収縮等を防止することができる。
【0038】
請求項7に記載の多層フィルム構造体の製造方法によれば、溶融された第1、第2の熱可塑性材料を迅速に固化させることができ、溶着部分の変形等が抑えられる。
【0039】
請求項8に記載の多層フィルム構造体は上記の構成としたので、十分な接合強度を確保することができる、という優れた効果を有する。
【0040】
請求項9に記載の多層フィルム構造体は上記の構成としたので、接合強度を更に高めることができる。
【0041】
請求項10に記載の多層フィルム構造体は上記の構成としたので、接合強度を更に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一実施形態に係る多層フィルム構造体の接合部分の斜視図である。
【図2】多層フィルムの断面図である。
【図3】多層フィルム構造体を製造する製造装置の斜視図である。
【図4】(A),(B),(C)は多層フィルムの接合工程を示す接合部分の断面図である。
【図5】他の実施形態に係る製造装置の斜視図である。
【図6】他の実施形態に係る多層フィルム構造体の断面図である。
【図7】更に他の実施形態に係る多層フィルム構造体の断面図である。
【図8】(A)〜(C)は溶着方法を示すフィルムの断面図である。
【図9】製造装置の概略構成を示す側面図である。
【図10】図9に示す製造装置のc−c線断面図である。
【図11】図9に示す製造装置のd−d線断面図である。
【図12】図9に示す製造装置のa−a線断面図である。
【図13】図9に示す製造装置のb−b線断面図である。
【図14】多層フィルム構造体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下に、図面にしたがって本発明の一実施形態に係る多層フィルム構造体10を説明する。図1に示すように、本実施形態の多層フィルム構造体10は、複数枚の多層フィルム12の端部同士が付き合わされて接合(図1の2点鎖線部分)されることで構成されている。
多層フィルム12は、材質の異なる複数の層を有するもので、少なくとも1つの層は、熱可塑性材料からなっており、従来周知の一般的な方法で製造することができる。
【0044】
多層フィルム12に用いられる熱可塑性材料としては、従来の単層フィルムと同じ材料は全て適用可能であり、例えば、PVC(ポリ塩化ビニル)、PE(ポリエチレン)、EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂)、PO(ポリオレフィン)等を上げることができ、これら以外の合成樹脂であっても良い。
【0045】
また、熱可塑性材料として、弾性を有する、例えば、JIS K6418に規定されるアミド系熱可塑性エラストマー(TPA)、エステル系熱可塑性エラストマー(TPC)、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、スチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)、ウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)、熱可塑性ゴム架橋体(TPV)、若しくはその他の熱可塑性エラストマー(TPZ)等を用いる事もできる。
【0046】
図2に示すように、本実施形態の多層フィルム12は、素材Aからなる第1層12A、素材Bからなる第2層12B、素材Cからなる第3層12Cの3層構造であり、ベースとなる素材Bからなる第2層12Bの表面側に素材Cからなる第3層12Cが設けられ、第2層12Bの裏面側に素材Aからなる第1層12Aが設けられている。
本実施形態の多層フィルム12は、第2層12Bが最も厚く、第1層12A及び第3層12Cが第2層12Bよりも薄く形成されているが、本発明において、各層の厚みは本実施形態のものに限定されるものではない。
【0047】
なお、ベースとなる素材Bは、熱可塑性材料であり、素材A、及び素材Cも熱可塑性材料であることが好ましい。なお、多層フィルム12の外側の層、本実施形態では、素材A、及び素材Cは、素材自体の熱可塑性材料に対する接着性が良好であれば良く、素材自体が必ずしも熱可塑性材料で無くても良い場合がある。
本実施形態の多層フィルム12を構成している素材A、素材B、素材Cは、何れも熱可塑性材料である。
【0048】
(多層フィルム構造体の製造装置)
次に、本実施形態の多層フィルム構造体10の製造装置14を説明する。
図3には、多層フィルム構造体10を形成する際に用いる製造装置14の要部が斜視図にて示されている。製造装置14は、床面に設置された台座16の上部に、図示しないモータで回転する軸18が水平に配置されている。
軸18の端部側には、ドラム22が取り付けられている。ドラム22は軸方向に沿って一定の径に形成されており、幅方向中央部分には浅溝23が形成されている。
【0049】
ドラム22の近傍には、溶着用熱可塑性材料24を押し出す押出機26が配置されている。押出機26は、溶融した溶着用熱可塑性材料24を下方に向けて吐出する樹脂吐出用ノズル28を備えている。
溶着用熱可塑性材料24は、多層フィルム12のベースとなる素材Bと同一または同種の材料が好ましいが、溶着できれば異なる種類の材料であっても良い。同一の材料とすれば、製造に用いる熱可塑性材料の種類を増やさずに済むので、製造コストが低減できる。
また、異種材料とすれば、多層フィルム12の素材Bと溶着用の溶着用熱可塑性材料24とのそれぞれに対して好ましい特性を有する材料を選択することが可能である。
【0050】
何れにしても、溶着用熱可塑性材料24は、素材A、素材B、素材Cに対して高い相溶性を有するものが好ましく、特にはベースとなる素材Bに対して高い相溶性を有するものを選択することが好ましい。溶着用熱可塑性材料24を素材A、素材B、素材Cに対して高い相溶性を有するものとすることで、強固な接着性を得ることができる。
本実施形態では、多層フィルム12を構成している層の内、最も強度を有している層として、素材Bからなる第2層12Bをベースとしている。
【0051】
樹脂吐出用ノズル28の近傍には、ドラム22の回転方向下流側(矢印A方向側)に、多層フィルム12の表面に付着させた溶着用熱可塑性材料24を押圧する均しローラ30、及び均しローラ30を上下方向に移動するシリンダ装置32が配置されている。シリンダ装置32は、図示しないフレームを介して押出機26の支柱34に支持されている。
【0052】
なお、本実施形態の均しローラ30は、ローラ内部に冷却水が循環されており、冷却水によって水冷されている。均しローラ30を水冷するには、均しローラ30の内部及び軸を中空構造とし、軸の両端に回転継手を介して配管を接続し、一方の回転継手側から冷却水をローラ内部へ供給し、他方の回転継手側から使用後の冷却水を排出すれば良い。
均しローラ30の フィルム搬送方向下流側には、冷却用の空気を噴出する冷却エアー噴出ノズル29が配置されている。
【0053】
また、樹脂吐出用ノズル28のフィルム搬送方向とは反対方向側(矢印A方向とは反対方向側)には、熱鏝36が配置されている。
熱鏝36は、シリンダ装置39によって上下に移動可能なっている。なお、シリンダ装置39は、図示しないフレームを介して押出機26の支柱34に支持されている。
【0054】
熱鏝36は、金属材料から形成されており、内部には図示しない電気ヒータが内蔵されている。本実施形態の熱鏝36は、全体が板形状を呈しており、図4(A)に示すように、下面には前述したドラム22の外周面の接線方向と平行とされるリブ38が、浅溝23と対向して形成されている。なお、熱鏝36は、熱可塑性材料の融点以上の温度に加熱することが出来る。
【0055】
(多層フィルム構造体の製造方法)
(1) 図3に示すように、ドラム22の外周側に、長尺状に形成された2枚の多層フィルム12を並列させた状態でドラム半周巻き掛ける。
なお、多層フィルム12は図示しないリールに巻かれており、ドラム22に向けてリールから引き出されている。本実施形態では、多層フィルム12がドラム22の下側から上側へ巻き掛けられている。
【0056】
熱鏝36を加熱し、ドラム22を回転させて多層フィルム12を矢印方向に搬送すると、図4(A)に示すように、互いに向かい合っている一方の多層フィルム12の端部と他方の多層フィルム12の端部とが熱鏝36に接触して連続的に溶融(溶融している部分は網点部分)される(加熱工程)。
なお、ドラム上では、一方の多層フィルム12の端部と他方の多層フィルム12の端部との間には、予め設定した隙間が形成されており、隙間に熱鏝36のリブ38が挿入されている。
【0057】
(2) 熱鏝36のフィルム搬送方向下流側では、溶融された溶着用熱可塑性材料24が隙間に向けて樹脂吐出用ノズル28から連続的に吐出され、図4(B)に示すように、溶融された溶着用熱可塑性材料24が、搬送される多層フィルム12の表面に、端部間の距離よりも広い幅で付着する。
なお、溶着用熱可塑性材料24の一部分が上記隙間に入り込み、一方の多層フィルム12の端部と他方の多層フィルム12の端部に付着する。
樹脂吐出用ノズル28のフィルム搬送方向下流側では、図4(C)に示すように、溶融状態の溶着用熱可塑性材料24が連続的に均しローラ30によって上から押付けられ、溶着用熱可塑性材料24は隙間を介してドラム22の浅溝23側に流れ、隙間は溶着用熱可塑性材料24で完全に充填され、浅溝23は、多層フィルム12の溶融した部分、及び溶融した溶着用熱可塑性材料24で完全に充填される(接合工程)。
【0058】
多層フィルム12の端部近傍は、熱鏝36によって溶融されており、その溶融された部分に同じく溶融された溶着用熱可塑性材料24が溶着して均しローラ30からの圧力を受けるので(均しローラ30とドラム22とで挟持されるため。)、多層フィルム12の溶融した部分と溶融された溶着用熱可塑性材料24とは接合工程において完全に一体化する。
この場合、同種の熱可塑性材料同士が接することとなれば、熱可塑性材料の境界は全く無くなる。また、異種の熱可塑性材料同士が接する場合であっても、同じ熱可塑性材料の仲間であるため、接した部分で互いに混じり合って境界が存在しなくなる。
【0059】
本実施形態の均しローラ30は冷却されているので、均しローラ30と接した溶着用熱可塑性材料24は潰されて平らに均された状態で表面が固化し、多層フィルム12の表面との段差が小さくなる(強制冷却工程)。
その後、冷却エアー噴出ノズル29から噴出された冷却用の空気が接合部分に当てられ、溶融部分が冷却されて固化し(強制冷却工程)、2つの多層フィルム12が完全に一体化した多層フィルム構造体10が連続的に得られる。
【0060】
このように、本実施形態では、多層フィルム12の表(おもて)面、端面、及び裏面に溶着用熱可塑性材料24を溶着させて溶着面積を大きくとっているため、高い接合強度が得られており、曲げ変形、引っ張り等に対しても極めて強くなっている。
【0061】
なお、多層フィルム12の表面、及び裏面に溶着させる溶着用熱可塑性材料24の幅(図4(C)中の幅A。ドラム側では浅溝23の幅。)、端部間の隙間寸法は、試作等をして最適値を決定すれば良い。
また、溶着前の多層フィルム12の接合部位、即ち、溶着用熱可塑性材料24を溶着させる部分は、溶着前に、例えば、溶剤による洗浄、コロナ処理、紫外線処理等の溶着性を向上させる処理を行っても良い。
【0062】
本実施形態では、水冷した均しローラ30と、冷却エアー噴出ノズル29から噴出する冷却用の空気とを用いて溶着用熱可塑性材料24の強制冷却を行っているが、接合部位の変形等の不具合が生じなければ、溶融させた部分(多層フィルム12、及び溶着用熱可塑性材料24)は自然冷却により固化させても良い。
【0063】
本実施形態では、多層フィルム12の端部を溶融するために熱鏝36を用いたが、本発明はこれに限らず、電気ヒータで加熱したローラを多層フィルム12の端部に接触させたり、図5に示すように、多層フィルム12の端部に熱風ヒータ40から熱風を噴き付けても良い。
【0064】
なお、図5において、熱風ヒータ40と樹脂吐出用ノズル28との間には、熱風遮断ローラ42が配置されているので、熱風ヒータ40からの熱風が樹脂吐出用ノズル28から吐出された溶融状態の溶着用熱可塑性材料24に当たらず、該溶融状態の溶着用熱可塑性材料24が必要以上に高温に加熱されることが無いため、溶着用熱可塑性材料24の熱劣化を防止することができる。なお、熱風遮断ローラ42に変えてフラップ等の熱風遮断手段を配置して熱風を溶着用熱可塑性材料24に当てないようにしても良い。
また、多層フィルム12の端部に赤外線ヒータ(ランプ)等からの赤外線を照射して端部を溶融させることもでき、端部を溶融する方法は上記のものに限定されない。
【0065】
なお、多層フィルム12は、一般的な公知の方法によって製造できる。
また、多層フィルム12において、素材A、及び素材Cは、例えば、素材Bに対してコーティング等によって形成することができる。
【0066】
[その他の実施形態]
上記実施形態では、多層フィルム12の表面、及び裏面にも溶着用熱可塑性材料24を付着させたが、接合強度が十分に得られれば、裏面には溶着用熱可塑性材料24を溶着させなくても良い。例えば、図6に示すように、浅溝23の形成されていないドラム22を用いて多層フィルム12を接合することで、裏面に溶着用熱可塑性材料24の廻りこまない多層フィルム構造体10を得ることが出来る。
また、溶着用熱可塑性材料24の量、及び多層フィルム12の端部間の距離を調整し、均しローラ30を多層フィルム12の表面に接触させるようにして溶着用熱可塑性材料24を押付けることで、図7に示すように、表面に段差の無い多層フィルム構造体10を得ることが出来、さらに、浅溝23の形成されていないドラム22を用いることで表面と裏面の両方に段差の無い多層フィルム構造体10を得ることもできる。
【0067】
上記実施形態では、多層フィルム12同士を接合する際に、ドラム22を用いて多層フィルム12の下面を支持したが、多層フィルム12を支持可能であれば、ドラム22に代えてベルトコンベア等の他の支持手段を用いても良い。
【0068】
以下に、図9〜14にしたがって、ドラム22を用いずに多層フィルム12の接合を行う製造装置44を説明する。
図9に示すように、本実施形態の製造装置44では、溶融した溶着用熱可塑性材料24を下方に向けて吐出する樹脂吐出用ノズル28の下側に2枚の多層フィルム12を並列に搬送するベルトコンベア46が配置されており、その多層フィルム搬送方向下流側(矢印A方向側)に、2枚の多層フィルム12を並列に搬送しながら接合を行う接合装置48が設けられている。
【0069】
接合装置48は、多層フィルム12の搬送経路の上側に配置される上部ベルトコンベア50と、多層フィルム12の搬送経路の下側に配置される下部ベルトコンベア52とを備えている。
上部ベルトコンベア50と下部ベルトコンベア52は、同様の構成とされているので、以下に代表して上部ベルトコンベア50の構造を説明する。
上部ベルトコンベア50は、エンドレスベルト54の巻き掛けられた一対の回転ローラ56を備えている。エンドレスベルト54は、例えば、薄い金属板等の耐熱性の材料から形成されている。
エンドレスベルト54の内周には、多層フィルム搬送方向上流側に加熱装置58が配置され、加熱装置58の下流側に、加圧ローラ60、及び冷却装置62が順に配置されている。
【0070】
加熱装置58は、多層フィルム12の接合予定部位である、端部分のみを局所的に加熱して溶融させる役目を有しており、搬送方向の長さは、多層フィルム12の端部分を溶融させるに必要な熱量を該端部分に付与するためにある程度の寸法が確保されている。
図10に示すように、加熱装置58の幅は、接合箇所のみを局所的に加熱するために、搬送方向の長さに比較して小さく設定されている。
加熱装置58は、多層フィルム搬送方向に沿って細長く形成された金属棒状体63の内部に電気ヒータ64等を内蔵したものであり、エンドレスベルト54は加熱装置58に摺動して部分的に加熱され、エンドレスベルト54の加熱された部分が多層フィルム12の端部分に接触することで、多層フィルム12の端部分(接合予定部位)を加熱するようになっている。
【0071】
図11に示すように、冷却装置62は、多層フィルム12の溶融した部分を迅速に冷却固化させるために設けられており、多層フィルム搬送方向に沿って細長く形成された金属棒状体66の内部に冷却水等を循環する通路68が形成されている。
エンドレスベルト54が回転駆動されると、エンドレスベルト54は加熱装置58で加熱された部分が冷却装置62に摺動することで冷却される。
【0072】
なお、加熱装置58と冷却装置62との間には、加圧ローラ70が配置されており、接合装置48に進入した多層フィルム12は、少なくとも多層フィルム12の接合予定部位(溶融した溶着用熱可塑性材料24の付着された部分)がエンドレスベルト54を介して上部ベルトコンベア50の加圧ローラ70と下部ベルトコンベア52の加圧ローラ70とで挟持される構成である。
【0073】
(作用)
本実施形態の製造装置44では、先ず、接合すべき2枚の多層フィルム12が並行して矢印A方向に搬送され、溶融された溶着用熱可塑性材料24が2枚の多層フィルム12の突合せ部分の上面に向けて樹脂吐出用ノズル28から連続的に吐出され、図12に示すように、溶融された溶着用熱可塑性材料24が搬送される多層フィルム12に連続的に付着される。
【0074】
溶着用熱可塑性材料24の付着した多層フィルム12が矢印A方向に搬送され、接合装置48に進入すると、上下の加熱装置58からの熱で溶着用熱可塑性材料24の付着した部分が加熱されて多層フィルム12は突合せ部分周辺が溶融されて、溶融された溶着用熱可塑性材料24と多層フィルム12の溶融した部分とが混じり合い、その後、加圧ローラ70からの圧力を受けた上下のエンドレスベルト54に挟持されて図13に示すように、表面が平らに均される。なお、図13において、網点部分は熱可塑性材料が溶融している部分を示している。
【0075】
さらに多層フィルム12が矢印A方向に搬送されると、熱可塑性材料が溶融している部分が冷却装置62によって冷却されて固化され(図14参照。2点鎖線で囲まれる部分が溶着用熱可塑性材料24と多層フィルム12の溶融した部分とが混じり合って固化した部分である。)、多層フィルム12の接合が終了し、多層フィルム構造体10が得られる。
【0076】
上記多層フィルム構造体10としては、例えば、農業ハウス用フィルム、テント用シート、エアー入り玩具(ビーチボール、浮き輪、エアーマットレス)、医療関連品(血液バッグ、採血バッグ、臍帯血バッグ、栄養剤バッグ等)、合成樹脂の袋、クリーニング衣料の包装、食品包装、ラップフィルム、レジ袋、無縫製のウエア、無縫製の水着、防水シート、養生シート、止水シート等、フィルム状あるいはシート状で熱可塑性材料を使用しているものであれば上記のものに限定されない。
【0077】
上記実施形態では、3層構造の多層フィルム12を接合して多層フィルム構造体10を得る例を示したが、多層フィルム12は2層構造であっても良く、4層構造以上の多層構造であっても良い。
また、上記実施形態の多層フィルム12では、全ての層が熱可塑性材料で形成されていたが、何れかの層が熱可塑性材料を含まない場合もある。
【0078】
多層フィルム12は、何れかの層が繊維を含む繊維層等であっても良い。
上記実施形態では、多層フィルム12の端部(端面)が表面(裏面)に対して直角であったが、直角で無くても良い。
また、本発明の製造方法は、多層フィルム構造体に限らず、単層フィルムを接合して形成される単層フィルム構造体を製造することもでき、単層フィルムと多層フィルムとを接合することもできる。
【符号の説明】
【0079】
10 多層フィルム構造体
12 多層フィルム
12A A層(第1の熱可塑性材料)
12B B層(第1の熱可塑性材料)
12C C層(第1の熱可塑性材料)
22 ドラム
23 浅溝(溝)
24 溶着用熱可塑性材料(第2の熱可塑性材料)
30 均しローラ(ローラ)
36 熱鏝
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数枚の多層フィルムが接合されて形成される多層フィルム構造体の製造方法、及び多層フィルム構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、樹脂フィルムの溶着方法として、高周波ウエルダーを用いる溶着法、高周波ミシンを用いる溶着法、熱風式溶着法、熱板式溶着法、超音波溶着法、熱鏝式加熱溶着法等の種々の方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平08−009793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような方法で今日まで単層の樹脂フィルムの溶着加工が実施されてきたが、異なる材料の複数層からなる、所謂多層フィルムでは、上記方法で溶着することが困難になってきている。
【0005】
例えば、図8(A)に示すように、基本となるベース層100の表面に防塵処理層(例えば、酸化チタンコーティング層)102、裏面に流滴処理層(例えば、流滴剤を含んだアクリル樹脂コーティング層)104を施した多層フィルム106を接合する場合、図8(B)に示すように重ねて溶着(いわゆる中継ぎ加工)しようとしても、流滴剤を含んだ流滴処理層104が防塵処理層102と上手く溶着できないため、図8(C)に示すように、一方の多層フィルム106と他方の多層フィルム106の端部同士を突き合わせ、突合せ部分の表面に接合用の熱可塑性合成樹脂からなるテープ108を当て、テープ108を溶融させて、一方の多層フィルム106と他方の多層フィルム106との接合(いわゆるブリッヂ加工)を行っている。
【0006】
しかしながら、この方法では、一方の多層フィルム106の端部と他方の多層フィルム106の端部とが溶着に至らず、一方の多層フィルム106と他方の多層フィルム106とが表面側のテープ部分のみで連結することとなり、十分な接合強度が得られない場合がある。
【0007】
本発明は、上記問題を解決すべく成されたもので、接合部分の接合強度が確保された多層フィルム構造体の製造方法、及び多層フィルム構造体を提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、材料の異なる層が複数積層され少なくとも1層が第1の熱可塑性材料からなる多層フィルムを互いに接合することで構成される多層フィルム構造体の製造方法であって、一方の前記多層フィルムの端部と他方の前記多層フィルムの端部とを向かい合わせ、接合予定部位に溶融させた第2の熱可塑性材料を付着させ、前記第1の熱可塑性材料と前記第2の熱可塑性材料とを溶着させた後に冷却固化することで前記一方の前記多層フィルムと他方の前記多層フィルムとを接合させる接合工程を有する。
【0009】
次に、請求項1に記載の多層フィルム構造体の製造方法では、接合工程において、一方の多層フィルムの端部と他方の多層フィルムの端部とを向かい合わせ、接合予定部位に溶融させた第2の熱可塑性材料を付着させ、第1の熱可塑性材料と第2の熱可塑性材料とを溶着させた後に冷却固化することで、一方の多層フィルムの端部と他方の多層フィルムの端部とが接合された多層フィルム構造体が得られる。
【0010】
多層フィルムの第1の熱可塑性材料と、接合に用いる第2の熱可塑性材料は、同じ熱可塑性樹脂の仲間であるため、熱可塑性樹脂と異種材料とを接合する場合に比較して十分な接合強度を確保することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の多層フィルム構造体の製造方法において、前記接合工程の前に、一方の前記多層フィルムの端部と他方の前記多層フィルムの端部とを加熱して溶融させる加熱工程を備え、前記接合工程では、溶融された前記第1の熱可塑性材料と前記第2の熱可塑性材料とを溶着させる。
【0012】
次に、請求項2に記載の多層フィルム構造体の製造方法を説明する。
接合工程の前の加熱工程では、一方の多層フィルムの端部と他方の多層フィルムの端部が加熱され、両方の端部が溶融される。
【0013】
次の接合工程では、一方の多層フィルムの端部と他方の前記多層フィルムの端部とが隙間を介して向かい合わされ、溶融された第2の熱可塑性材料が少なくとも隙間に充填されて溶融された第1の熱可塑性材料と第2の熱可塑性材料とが溶着される。その後、溶着された第1の熱可塑性材料と第2の熱可塑性材料とが冷却固化されて一方の多層フィルムの端部と他方の多層フィルムの端部とが接合された多層フィルム構造体が得られる。
【0014】
請求項2に記載の多層フィルム構造体の製造方法では、加熱工程にて、多層フィルムの端部において第1の熱可塑性材料を溶融させるので、接合工程では、溶融された熱可塑性材料同士が接触して溶着されるので、第1の熱可塑性材料と第2の熱可塑性材料との溶着部分において、第1の熱可塑性材料の一部と第2の熱可塑性材料の一部とが互いに混じり合い、溶融させていない第1の熱可塑性材料に対して溶融した第2の熱可塑性材料を付着させる場合に比較して、高い接合強度を得ることができる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の多層フィルム構造体の製造方法において、前記加熱工程では、一方の前記多層フィルムと他方の前記多層フィルムとを並行して搬送しながら前記端部を順次加熱し、前記接合工程では、前記隙間に前記第2の熱可塑性材料を順次供給して接合部位を順次ローラで押圧する。
【0016】
次に、請求項3に記載の多層フィルム構造体の製造方法を説明する。
請求項2に記載の多層フィルム構造体の製造方法では、加熱工程で、一方の多層フィルムと他方の多層フィルムとが並行して搬送され、端部が順次加熱される。
接合工程では、溶融された第2の熱可塑性材料が隙間に順次供給され、接合部位が順次ローラで押圧され、第2の熱可塑性材料の表面がローラで均される。
【0017】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の多層フィルム構造体の製造方法において、前記接合工程では、前記一方の多層フィルム及び前記他方の多層フィルムを回転するドラムの外周面に巻き掛けて搬送し、前記ローラと前記ドラムとの間で前記一方の多層フィルムと前記他方の多層フィルムとを順次挟持する。
【0018】
次に、請求項4に記載の多層フィルム構造体の製造方法を説明する。
請求項4に記載の多層フィルム構造体の製造方法では、接合工程において、一方の多層フィルム及び他方の多層フィルムが回転するドラムの外周面に巻き掛けられて搬送され、ローラとドラムとの間で一方の多層フィルムと他方の多層フィルムとが順次挟持され、連続的に多層フィルムの接合を行うことができる。
【0019】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の多層フィルム構造体の製造方法において、前記ドラムの外周面には、前記一方の多層フィルムと前記他方の多層フィルムとの接合部位と対応する位置に、ドラム周方向に沿って延びると共に前記隙間よりも幅が広く設定された溝が形成されており、前記接合工程では、前記隙間の他に、前記一方の多層フィルム及び前記他方の多層フィルムの表面に溶融させた前記第2の熱可塑性材料を溶着させると共に、前記表面に溶着された溶融状態の前記第2の熱可塑性材料を前記ローラで押圧することで溶融状態の前記第2の熱可塑性材料の一部を前記隙間を介して前記溝へ進入させて一方の前記多層フィルム、及び他方の前記多層フィルムのドラム側面に溶着させる。
【0020】
次に、請求項5に記載の多層フィルム構造体の製造方法を説明する。
先ず、ドラムには、一方の多層フィルムと他方の多層フィルムとの接合部位と対応する位置にドラム周方向に沿って延びる溝が形成されている。
接合工程では、2つの多層フィルムの間の間隙の他に、一方の多層フィルム及び他方の多層フィルムの間隙側の外周面に、溶融させた第2の熱可塑性材料を付着させる。
そして、外周面に付着された溶融状態の第2の熱可塑性材料がローラで押圧されることで、溶融状態の第2の熱可塑性材料の一部が間隙を介して溝へ進入し、一方の多層フィルム及び他方の多層フィルムのドラム側面に付着して固化される。
【0021】
したがって、一方の多層フィルムと他方の多層フィルムは、互いに向き合った一方の端部と他方の端部との間隙、及び端部側の両面に配置された第2の熱可塑性材料によって接合されることとなり、一方の端部と他方の端部の間にのみ第2の熱可塑性材料を充填して接合する場合に比較して第2の熱可塑性材料の接触面積が増大し、接合強度が向上する。
【0022】
請求項6に記載の発明は、請求項2〜請求項5の何れか1項に記載の多層フィルム構造体の製造方法において、前記加熱工程では、加熱された熱鏝を前記多層フィルムの前記端部に接触させて前記端部を溶融する。
【0023】
次に、請求項6に記載の多層フィルム構造体の製造方法を説明する。
請求項6に記載の多層フィルムの製造方法においては、加熱工程で、多層フィルムの端部に加熱された熱鏝が接触され、これによって、多層フィルムの端部が確実に溶融される。
【0024】
請求項7に記載の発明は、請求項2〜請求項6の何れか1項に記載の多層フィルム構造体の製造方法において、溶着した前記第1の熱可塑性材料及び前記第2の熱可塑性材料を強制冷却して固化させる強制冷却工程を有する。
【0025】
次に、請求項7に記載の多層フィルム構造体の製造方法を説明する。
請求項7に記載の多層フィルム構造体の製造方法では、溶着した第1の熱可塑性材料及び第2の熱可塑性材料を強制冷却工程において強制冷却する。これにより、両者を迅速に固化させることができ、溶着部分の変形等を抑えることができる。
【0026】
請求項8に記載の多層フィルム構造体は、材料の異なる層が複数積層され少なくとも1層が第1の熱可塑性材料からなる多層フィルム同士が、端部同士が突き合わされて接合された多層フィルム構造体であって、前記一方の多層フィルムの端部と前記他方の多層フィルムの端部とが、第2の熱可塑性材料を用いて接合されている。
【0027】
次に、請求項8に記載の多層フィルム構造体の作用を説明する。
請求項8に記載の多層フィルム構造体では、多層フィルム同士が第2の熱可塑性材料で接合されているが、一方の多層フィルムの第1の熱可塑性材料層と他方の多層フィルムの第1の熱可塑性材料とが第2の熱可塑性材料によって接合されている。
第1の熱可塑性材料と第2の熱可塑性材料は、同じ熱可塑性樹脂の仲間であるため、熱可塑性樹脂と異種材料とを接合する場合に比較して十分な接合強度を確保することができる。
【0028】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の多層フィルム構造体において、一方の前記多層フィルムと他方の前記多層フィルムとを連結する様に、前記第2の熱可塑性材料が一方の前記多層フィルムと他方の前記多層フィルムの少なくとも片面にも溶着されている。
【0029】
次に、請求項9に記載の多層フィルム構造体の作用を説明する。
請求項9に記載の多層フィルム構造体は、接合部分において、一方の多層フィルムと他方の多層フィルムとを連結する様に、第2の熱可塑性材料が一方の多層フィルムと他方の多層フィルムの少なくとも片面にも溶着されているので、第2の熱可塑性材料の溶着する面積(接合面積)が増え、接合強度を更に高めることができ、曲げ変形、引っ張り等に対しても強い接合となる。なお、第2の熱可塑性材料が一方の多層フィルムと他方の多層フィルムの両面に溶着されることが更に好ましい。
【0030】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の多層フィルム構造体において、前記第1の熱可塑性材料と前記第2の熱可塑性材料との溶着部分では、前記第1の熱可塑性材料の一部と前記第2の熱可塑性材料の一部とが互いに混ざり合っている。
【0031】
次に、請求項10に記載の多層フィルム構造体の作用を説明する。
第1の熱可塑性材料と第2の熱可塑性材料との溶着部分において、第1の熱可塑性材料の一部と第2の熱可塑性材料の一部とが互いに混じり合っていれば、第1の熱可塑性材料と第2の熱可塑性材料とが互いに混じり合っていない場合に比較して接合強度を更に高めることができる。
【発明の効果】
【0032】
以上説明した様に、請求項1に記載の多層フィルム構造体の製造方法によれば、十分な接合強度が確保された多層フィルム構造体を得ることができる、という優れた効果を有する。
【0033】
請求項2に記載の多層フィルム構造体の製造方法によれば、多層フィルムの接合部位(端部の第1の熱可塑性材料)が溶融され、さらに、溶融された第2の熱可塑性材料を接合する部位に流し込むことで、溶融された第1の熱可塑性材料と第2の熱可塑性材料とが良く混和されるので、接合強度を更に高めることができる、という優れた効果を有する。
【0034】
請求項3に記載の多層フィルム構造体の製造方法によれば、多層フィルムを連続して溶着することができ、効率的に多層フィルム構造体を製造できる。
また、多層フィルムの表面に溶着された第2の熱可塑性材料をローラで押圧することで平坦化することができ、また、ローラで押圧した部分の表面を平滑にすることもできる。
【0035】
請求項4に記載の多層フィルム構造体の製造方法によれば、多層フィルムをドラムとローラとで挟持して搬送することにより、多層フィルムの両面において、第2の熱可塑性材料を平坦化することができ、また、第2の熱可塑性材料の表面を平滑にすることもできる。
【0036】
請求項5に記載の多層フィルム構造体の製造方法によれば、多層フィルムのドラムと接する側の面に第2の熱可塑性材料を溶着させることができ、多層フィルムの端部間、及び両面に第2の熱可塑性材料を溶着させ、溶着面積を増大させて接合強度を向上させることができる。
【0037】
請求項6に記載の多層フィルム構造体の製造方法によれば、熱鏝を多層フィルムの端部に接触させるので、溶着に必要な部位(第2の熱可塑性材料を付着させ部位)以外の部分を溶融させて不必要な熱を付与することが無くなるため、多層フィルムの熱劣化、収縮等を防止することができる。
【0038】
請求項7に記載の多層フィルム構造体の製造方法によれば、溶融された第1、第2の熱可塑性材料を迅速に固化させることができ、溶着部分の変形等が抑えられる。
【0039】
請求項8に記載の多層フィルム構造体は上記の構成としたので、十分な接合強度を確保することができる、という優れた効果を有する。
【0040】
請求項9に記載の多層フィルム構造体は上記の構成としたので、接合強度を更に高めることができる。
【0041】
請求項10に記載の多層フィルム構造体は上記の構成としたので、接合強度を更に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一実施形態に係る多層フィルム構造体の接合部分の斜視図である。
【図2】多層フィルムの断面図である。
【図3】多層フィルム構造体を製造する製造装置の斜視図である。
【図4】(A),(B),(C)は多層フィルムの接合工程を示す接合部分の断面図である。
【図5】他の実施形態に係る製造装置の斜視図である。
【図6】他の実施形態に係る多層フィルム構造体の断面図である。
【図7】更に他の実施形態に係る多層フィルム構造体の断面図である。
【図8】(A)〜(C)は溶着方法を示すフィルムの断面図である。
【図9】製造装置の概略構成を示す側面図である。
【図10】図9に示す製造装置のc−c線断面図である。
【図11】図9に示す製造装置のd−d線断面図である。
【図12】図9に示す製造装置のa−a線断面図である。
【図13】図9に示す製造装置のb−b線断面図である。
【図14】多層フィルム構造体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下に、図面にしたがって本発明の一実施形態に係る多層フィルム構造体10を説明する。図1に示すように、本実施形態の多層フィルム構造体10は、複数枚の多層フィルム12の端部同士が付き合わされて接合(図1の2点鎖線部分)されることで構成されている。
多層フィルム12は、材質の異なる複数の層を有するもので、少なくとも1つの層は、熱可塑性材料からなっており、従来周知の一般的な方法で製造することができる。
【0044】
多層フィルム12に用いられる熱可塑性材料としては、従来の単層フィルムと同じ材料は全て適用可能であり、例えば、PVC(ポリ塩化ビニル)、PE(ポリエチレン)、EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂)、PO(ポリオレフィン)等を上げることができ、これら以外の合成樹脂であっても良い。
【0045】
また、熱可塑性材料として、弾性を有する、例えば、JIS K6418に規定されるアミド系熱可塑性エラストマー(TPA)、エステル系熱可塑性エラストマー(TPC)、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、スチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)、ウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)、熱可塑性ゴム架橋体(TPV)、若しくはその他の熱可塑性エラストマー(TPZ)等を用いる事もできる。
【0046】
図2に示すように、本実施形態の多層フィルム12は、素材Aからなる第1層12A、素材Bからなる第2層12B、素材Cからなる第3層12Cの3層構造であり、ベースとなる素材Bからなる第2層12Bの表面側に素材Cからなる第3層12Cが設けられ、第2層12Bの裏面側に素材Aからなる第1層12Aが設けられている。
本実施形態の多層フィルム12は、第2層12Bが最も厚く、第1層12A及び第3層12Cが第2層12Bよりも薄く形成されているが、本発明において、各層の厚みは本実施形態のものに限定されるものではない。
【0047】
なお、ベースとなる素材Bは、熱可塑性材料であり、素材A、及び素材Cも熱可塑性材料であることが好ましい。なお、多層フィルム12の外側の層、本実施形態では、素材A、及び素材Cは、素材自体の熱可塑性材料に対する接着性が良好であれば良く、素材自体が必ずしも熱可塑性材料で無くても良い場合がある。
本実施形態の多層フィルム12を構成している素材A、素材B、素材Cは、何れも熱可塑性材料である。
【0048】
(多層フィルム構造体の製造装置)
次に、本実施形態の多層フィルム構造体10の製造装置14を説明する。
図3には、多層フィルム構造体10を形成する際に用いる製造装置14の要部が斜視図にて示されている。製造装置14は、床面に設置された台座16の上部に、図示しないモータで回転する軸18が水平に配置されている。
軸18の端部側には、ドラム22が取り付けられている。ドラム22は軸方向に沿って一定の径に形成されており、幅方向中央部分には浅溝23が形成されている。
【0049】
ドラム22の近傍には、溶着用熱可塑性材料24を押し出す押出機26が配置されている。押出機26は、溶融した溶着用熱可塑性材料24を下方に向けて吐出する樹脂吐出用ノズル28を備えている。
溶着用熱可塑性材料24は、多層フィルム12のベースとなる素材Bと同一または同種の材料が好ましいが、溶着できれば異なる種類の材料であっても良い。同一の材料とすれば、製造に用いる熱可塑性材料の種類を増やさずに済むので、製造コストが低減できる。
また、異種材料とすれば、多層フィルム12の素材Bと溶着用の溶着用熱可塑性材料24とのそれぞれに対して好ましい特性を有する材料を選択することが可能である。
【0050】
何れにしても、溶着用熱可塑性材料24は、素材A、素材B、素材Cに対して高い相溶性を有するものが好ましく、特にはベースとなる素材Bに対して高い相溶性を有するものを選択することが好ましい。溶着用熱可塑性材料24を素材A、素材B、素材Cに対して高い相溶性を有するものとすることで、強固な接着性を得ることができる。
本実施形態では、多層フィルム12を構成している層の内、最も強度を有している層として、素材Bからなる第2層12Bをベースとしている。
【0051】
樹脂吐出用ノズル28の近傍には、ドラム22の回転方向下流側(矢印A方向側)に、多層フィルム12の表面に付着させた溶着用熱可塑性材料24を押圧する均しローラ30、及び均しローラ30を上下方向に移動するシリンダ装置32が配置されている。シリンダ装置32は、図示しないフレームを介して押出機26の支柱34に支持されている。
【0052】
なお、本実施形態の均しローラ30は、ローラ内部に冷却水が循環されており、冷却水によって水冷されている。均しローラ30を水冷するには、均しローラ30の内部及び軸を中空構造とし、軸の両端に回転継手を介して配管を接続し、一方の回転継手側から冷却水をローラ内部へ供給し、他方の回転継手側から使用後の冷却水を排出すれば良い。
均しローラ30の フィルム搬送方向下流側には、冷却用の空気を噴出する冷却エアー噴出ノズル29が配置されている。
【0053】
また、樹脂吐出用ノズル28のフィルム搬送方向とは反対方向側(矢印A方向とは反対方向側)には、熱鏝36が配置されている。
熱鏝36は、シリンダ装置39によって上下に移動可能なっている。なお、シリンダ装置39は、図示しないフレームを介して押出機26の支柱34に支持されている。
【0054】
熱鏝36は、金属材料から形成されており、内部には図示しない電気ヒータが内蔵されている。本実施形態の熱鏝36は、全体が板形状を呈しており、図4(A)に示すように、下面には前述したドラム22の外周面の接線方向と平行とされるリブ38が、浅溝23と対向して形成されている。なお、熱鏝36は、熱可塑性材料の融点以上の温度に加熱することが出来る。
【0055】
(多層フィルム構造体の製造方法)
(1) 図3に示すように、ドラム22の外周側に、長尺状に形成された2枚の多層フィルム12を並列させた状態でドラム半周巻き掛ける。
なお、多層フィルム12は図示しないリールに巻かれており、ドラム22に向けてリールから引き出されている。本実施形態では、多層フィルム12がドラム22の下側から上側へ巻き掛けられている。
【0056】
熱鏝36を加熱し、ドラム22を回転させて多層フィルム12を矢印方向に搬送すると、図4(A)に示すように、互いに向かい合っている一方の多層フィルム12の端部と他方の多層フィルム12の端部とが熱鏝36に接触して連続的に溶融(溶融している部分は網点部分)される(加熱工程)。
なお、ドラム上では、一方の多層フィルム12の端部と他方の多層フィルム12の端部との間には、予め設定した隙間が形成されており、隙間に熱鏝36のリブ38が挿入されている。
【0057】
(2) 熱鏝36のフィルム搬送方向下流側では、溶融された溶着用熱可塑性材料24が隙間に向けて樹脂吐出用ノズル28から連続的に吐出され、図4(B)に示すように、溶融された溶着用熱可塑性材料24が、搬送される多層フィルム12の表面に、端部間の距離よりも広い幅で付着する。
なお、溶着用熱可塑性材料24の一部分が上記隙間に入り込み、一方の多層フィルム12の端部と他方の多層フィルム12の端部に付着する。
樹脂吐出用ノズル28のフィルム搬送方向下流側では、図4(C)に示すように、溶融状態の溶着用熱可塑性材料24が連続的に均しローラ30によって上から押付けられ、溶着用熱可塑性材料24は隙間を介してドラム22の浅溝23側に流れ、隙間は溶着用熱可塑性材料24で完全に充填され、浅溝23は、多層フィルム12の溶融した部分、及び溶融した溶着用熱可塑性材料24で完全に充填される(接合工程)。
【0058】
多層フィルム12の端部近傍は、熱鏝36によって溶融されており、その溶融された部分に同じく溶融された溶着用熱可塑性材料24が溶着して均しローラ30からの圧力を受けるので(均しローラ30とドラム22とで挟持されるため。)、多層フィルム12の溶融した部分と溶融された溶着用熱可塑性材料24とは接合工程において完全に一体化する。
この場合、同種の熱可塑性材料同士が接することとなれば、熱可塑性材料の境界は全く無くなる。また、異種の熱可塑性材料同士が接する場合であっても、同じ熱可塑性材料の仲間であるため、接した部分で互いに混じり合って境界が存在しなくなる。
【0059】
本実施形態の均しローラ30は冷却されているので、均しローラ30と接した溶着用熱可塑性材料24は潰されて平らに均された状態で表面が固化し、多層フィルム12の表面との段差が小さくなる(強制冷却工程)。
その後、冷却エアー噴出ノズル29から噴出された冷却用の空気が接合部分に当てられ、溶融部分が冷却されて固化し(強制冷却工程)、2つの多層フィルム12が完全に一体化した多層フィルム構造体10が連続的に得られる。
【0060】
このように、本実施形態では、多層フィルム12の表(おもて)面、端面、及び裏面に溶着用熱可塑性材料24を溶着させて溶着面積を大きくとっているため、高い接合強度が得られており、曲げ変形、引っ張り等に対しても極めて強くなっている。
【0061】
なお、多層フィルム12の表面、及び裏面に溶着させる溶着用熱可塑性材料24の幅(図4(C)中の幅A。ドラム側では浅溝23の幅。)、端部間の隙間寸法は、試作等をして最適値を決定すれば良い。
また、溶着前の多層フィルム12の接合部位、即ち、溶着用熱可塑性材料24を溶着させる部分は、溶着前に、例えば、溶剤による洗浄、コロナ処理、紫外線処理等の溶着性を向上させる処理を行っても良い。
【0062】
本実施形態では、水冷した均しローラ30と、冷却エアー噴出ノズル29から噴出する冷却用の空気とを用いて溶着用熱可塑性材料24の強制冷却を行っているが、接合部位の変形等の不具合が生じなければ、溶融させた部分(多層フィルム12、及び溶着用熱可塑性材料24)は自然冷却により固化させても良い。
【0063】
本実施形態では、多層フィルム12の端部を溶融するために熱鏝36を用いたが、本発明はこれに限らず、電気ヒータで加熱したローラを多層フィルム12の端部に接触させたり、図5に示すように、多層フィルム12の端部に熱風ヒータ40から熱風を噴き付けても良い。
【0064】
なお、図5において、熱風ヒータ40と樹脂吐出用ノズル28との間には、熱風遮断ローラ42が配置されているので、熱風ヒータ40からの熱風が樹脂吐出用ノズル28から吐出された溶融状態の溶着用熱可塑性材料24に当たらず、該溶融状態の溶着用熱可塑性材料24が必要以上に高温に加熱されることが無いため、溶着用熱可塑性材料24の熱劣化を防止することができる。なお、熱風遮断ローラ42に変えてフラップ等の熱風遮断手段を配置して熱風を溶着用熱可塑性材料24に当てないようにしても良い。
また、多層フィルム12の端部に赤外線ヒータ(ランプ)等からの赤外線を照射して端部を溶融させることもでき、端部を溶融する方法は上記のものに限定されない。
【0065】
なお、多層フィルム12は、一般的な公知の方法によって製造できる。
また、多層フィルム12において、素材A、及び素材Cは、例えば、素材Bに対してコーティング等によって形成することができる。
【0066】
[その他の実施形態]
上記実施形態では、多層フィルム12の表面、及び裏面にも溶着用熱可塑性材料24を付着させたが、接合強度が十分に得られれば、裏面には溶着用熱可塑性材料24を溶着させなくても良い。例えば、図6に示すように、浅溝23の形成されていないドラム22を用いて多層フィルム12を接合することで、裏面に溶着用熱可塑性材料24の廻りこまない多層フィルム構造体10を得ることが出来る。
また、溶着用熱可塑性材料24の量、及び多層フィルム12の端部間の距離を調整し、均しローラ30を多層フィルム12の表面に接触させるようにして溶着用熱可塑性材料24を押付けることで、図7に示すように、表面に段差の無い多層フィルム構造体10を得ることが出来、さらに、浅溝23の形成されていないドラム22を用いることで表面と裏面の両方に段差の無い多層フィルム構造体10を得ることもできる。
【0067】
上記実施形態では、多層フィルム12同士を接合する際に、ドラム22を用いて多層フィルム12の下面を支持したが、多層フィルム12を支持可能であれば、ドラム22に代えてベルトコンベア等の他の支持手段を用いても良い。
【0068】
以下に、図9〜14にしたがって、ドラム22を用いずに多層フィルム12の接合を行う製造装置44を説明する。
図9に示すように、本実施形態の製造装置44では、溶融した溶着用熱可塑性材料24を下方に向けて吐出する樹脂吐出用ノズル28の下側に2枚の多層フィルム12を並列に搬送するベルトコンベア46が配置されており、その多層フィルム搬送方向下流側(矢印A方向側)に、2枚の多層フィルム12を並列に搬送しながら接合を行う接合装置48が設けられている。
【0069】
接合装置48は、多層フィルム12の搬送経路の上側に配置される上部ベルトコンベア50と、多層フィルム12の搬送経路の下側に配置される下部ベルトコンベア52とを備えている。
上部ベルトコンベア50と下部ベルトコンベア52は、同様の構成とされているので、以下に代表して上部ベルトコンベア50の構造を説明する。
上部ベルトコンベア50は、エンドレスベルト54の巻き掛けられた一対の回転ローラ56を備えている。エンドレスベルト54は、例えば、薄い金属板等の耐熱性の材料から形成されている。
エンドレスベルト54の内周には、多層フィルム搬送方向上流側に加熱装置58が配置され、加熱装置58の下流側に、加圧ローラ60、及び冷却装置62が順に配置されている。
【0070】
加熱装置58は、多層フィルム12の接合予定部位である、端部分のみを局所的に加熱して溶融させる役目を有しており、搬送方向の長さは、多層フィルム12の端部分を溶融させるに必要な熱量を該端部分に付与するためにある程度の寸法が確保されている。
図10に示すように、加熱装置58の幅は、接合箇所のみを局所的に加熱するために、搬送方向の長さに比較して小さく設定されている。
加熱装置58は、多層フィルム搬送方向に沿って細長く形成された金属棒状体63の内部に電気ヒータ64等を内蔵したものであり、エンドレスベルト54は加熱装置58に摺動して部分的に加熱され、エンドレスベルト54の加熱された部分が多層フィルム12の端部分に接触することで、多層フィルム12の端部分(接合予定部位)を加熱するようになっている。
【0071】
図11に示すように、冷却装置62は、多層フィルム12の溶融した部分を迅速に冷却固化させるために設けられており、多層フィルム搬送方向に沿って細長く形成された金属棒状体66の内部に冷却水等を循環する通路68が形成されている。
エンドレスベルト54が回転駆動されると、エンドレスベルト54は加熱装置58で加熱された部分が冷却装置62に摺動することで冷却される。
【0072】
なお、加熱装置58と冷却装置62との間には、加圧ローラ70が配置されており、接合装置48に進入した多層フィルム12は、少なくとも多層フィルム12の接合予定部位(溶融した溶着用熱可塑性材料24の付着された部分)がエンドレスベルト54を介して上部ベルトコンベア50の加圧ローラ70と下部ベルトコンベア52の加圧ローラ70とで挟持される構成である。
【0073】
(作用)
本実施形態の製造装置44では、先ず、接合すべき2枚の多層フィルム12が並行して矢印A方向に搬送され、溶融された溶着用熱可塑性材料24が2枚の多層フィルム12の突合せ部分の上面に向けて樹脂吐出用ノズル28から連続的に吐出され、図12に示すように、溶融された溶着用熱可塑性材料24が搬送される多層フィルム12に連続的に付着される。
【0074】
溶着用熱可塑性材料24の付着した多層フィルム12が矢印A方向に搬送され、接合装置48に進入すると、上下の加熱装置58からの熱で溶着用熱可塑性材料24の付着した部分が加熱されて多層フィルム12は突合せ部分周辺が溶融されて、溶融された溶着用熱可塑性材料24と多層フィルム12の溶融した部分とが混じり合い、その後、加圧ローラ70からの圧力を受けた上下のエンドレスベルト54に挟持されて図13に示すように、表面が平らに均される。なお、図13において、網点部分は熱可塑性材料が溶融している部分を示している。
【0075】
さらに多層フィルム12が矢印A方向に搬送されると、熱可塑性材料が溶融している部分が冷却装置62によって冷却されて固化され(図14参照。2点鎖線で囲まれる部分が溶着用熱可塑性材料24と多層フィルム12の溶融した部分とが混じり合って固化した部分である。)、多層フィルム12の接合が終了し、多層フィルム構造体10が得られる。
【0076】
上記多層フィルム構造体10としては、例えば、農業ハウス用フィルム、テント用シート、エアー入り玩具(ビーチボール、浮き輪、エアーマットレス)、医療関連品(血液バッグ、採血バッグ、臍帯血バッグ、栄養剤バッグ等)、合成樹脂の袋、クリーニング衣料の包装、食品包装、ラップフィルム、レジ袋、無縫製のウエア、無縫製の水着、防水シート、養生シート、止水シート等、フィルム状あるいはシート状で熱可塑性材料を使用しているものであれば上記のものに限定されない。
【0077】
上記実施形態では、3層構造の多層フィルム12を接合して多層フィルム構造体10を得る例を示したが、多層フィルム12は2層構造であっても良く、4層構造以上の多層構造であっても良い。
また、上記実施形態の多層フィルム12では、全ての層が熱可塑性材料で形成されていたが、何れかの層が熱可塑性材料を含まない場合もある。
【0078】
多層フィルム12は、何れかの層が繊維を含む繊維層等であっても良い。
上記実施形態では、多層フィルム12の端部(端面)が表面(裏面)に対して直角であったが、直角で無くても良い。
また、本発明の製造方法は、多層フィルム構造体に限らず、単層フィルムを接合して形成される単層フィルム構造体を製造することもでき、単層フィルムと多層フィルムとを接合することもできる。
【符号の説明】
【0079】
10 多層フィルム構造体
12 多層フィルム
12A A層(第1の熱可塑性材料)
12B B層(第1の熱可塑性材料)
12C C層(第1の熱可塑性材料)
22 ドラム
23 浅溝(溝)
24 溶着用熱可塑性材料(第2の熱可塑性材料)
30 均しローラ(ローラ)
36 熱鏝
【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料の異なる層が複数積層され少なくとも1層が第1の熱可塑性材料からなる多層フィルムを互いに接合することで構成される多層フィルム構造体の製造方法であって、
一方の前記多層フィルムの端部と他方の前記多層フィルムの端部とを向かい合わせ、接合予定部位に溶融させた第2の熱可塑性材料を付着させ、前記第1の熱可塑性材料と前記第2の熱可塑性材料とを溶着させた後に冷却固化することで前記一方の前記多層フィルムと他方の前記多層フィルムとを接合させる接合工程を有する多層フィルム構造体の製造方法。
【請求項2】
前記接合工程の前に、一方の前記多層フィルムの端部と他方の前記多層フィルムの端部とを加熱して溶融させる加熱工程を備え、
前記接合工程では、溶融された前記第1の熱可塑性材料と前記第2の熱可塑性材料とを溶着させる多層フィルム構造体の製造方法。
【請求項3】
前記加熱工程では、一方の前記多層フィルムと他方の前記多層フィルムとを並行して搬送しながら前記端部を順次加熱し、
前記接合工程では、前記隙間に前記第2の熱可塑性材料を順次供給して接合部位を順次ローラで押圧する、請求項2に記載の多層フィルム構造体の製造方法。
【請求項4】
前記接合工程では、前記一方の多層フィルム及び前記他方の多層フィルムを回転するドラムの外周面に巻き掛けて搬送し、前記ローラと前記ドラムとの間で前記一方の多層フィルムと前記他方の多層フィルムとを順次挟持する、請求項2または請求項3に記載の多層フィルム構造体の製造方法。
【請求項5】
前記ドラムの外周面には、前記一方の多層フィルムと前記他方の多層フィルムとの接合部位と対応する位置に、ドラム周方向に沿って延びると共に前記隙間よりも幅が広く設定された溝が形成されており、
前記接合工程では、前記隙間の他に、前記一方の多層フィルム及び前記他方の多層フィルムの表面に溶融させた前記第2の熱可塑性材料を溶着させると共に、前記表面に溶着された溶融状態の前記第2の熱可塑性材料を前記ローラで押圧することで溶融状態の前記第2の熱可塑性材料の一部を前記隙間を介して前記溝へ進入させて一方の前記多層フィルム、及び他方の前記多層フィルムのドラム側面に溶着させる、請求項4に記載の多層フィルム構造体の製造方法。
【請求項6】
前記加熱工程では、加熱された熱鏝を前記多層フィルムの前記端部に接触させて前記端部を溶融する、請求項2〜請求項5の何れか1項に記載の多層フィルム構造体の製造方法。
【請求項7】
溶着した前記第1の熱可塑性材料及び前記第2の熱可塑性材料を強制冷却して固化させる強制冷却工程を有する、請求項2〜請求項6の何れか1項に記載の多層フィルム構造体の製造方法。
【請求項8】
材料の異なる層が複数積層され少なくとも1層が第1の熱可塑性材料からなる多層フィルム同士が、端部同士が突き合わされて接合された多層フィルム構造体であって、
前記一方の多層フィルムの端部と前記他方の多層フィルムの端部とが、第2の熱可塑性材料を用いて接合されている、多層フィルム構造体。
【請求項9】
一方の前記多層フィルムと他方の前記多層フィルムとを連結する様に、前記第2の熱可塑性材料が一方の前記多層フィルムと他方の前記多層フィルムの少なくとも片面にも溶着されている、請求項8に記載の多層フィルム構造体。
【請求項10】
前記第1の熱可塑性材料と前記第2の熱可塑性材料との溶着部分では、前記第1の熱可塑性材料の一部と前記第2の熱可塑性材料の一部とが互いに混ざり合っている、請求項8または請求項9に記載の多層フィルム構造体。
【請求項1】
材料の異なる層が複数積層され少なくとも1層が第1の熱可塑性材料からなる多層フィルムを互いに接合することで構成される多層フィルム構造体の製造方法であって、
一方の前記多層フィルムの端部と他方の前記多層フィルムの端部とを向かい合わせ、接合予定部位に溶融させた第2の熱可塑性材料を付着させ、前記第1の熱可塑性材料と前記第2の熱可塑性材料とを溶着させた後に冷却固化することで前記一方の前記多層フィルムと他方の前記多層フィルムとを接合させる接合工程を有する多層フィルム構造体の製造方法。
【請求項2】
前記接合工程の前に、一方の前記多層フィルムの端部と他方の前記多層フィルムの端部とを加熱して溶融させる加熱工程を備え、
前記接合工程では、溶融された前記第1の熱可塑性材料と前記第2の熱可塑性材料とを溶着させる多層フィルム構造体の製造方法。
【請求項3】
前記加熱工程では、一方の前記多層フィルムと他方の前記多層フィルムとを並行して搬送しながら前記端部を順次加熱し、
前記接合工程では、前記隙間に前記第2の熱可塑性材料を順次供給して接合部位を順次ローラで押圧する、請求項2に記載の多層フィルム構造体の製造方法。
【請求項4】
前記接合工程では、前記一方の多層フィルム及び前記他方の多層フィルムを回転するドラムの外周面に巻き掛けて搬送し、前記ローラと前記ドラムとの間で前記一方の多層フィルムと前記他方の多層フィルムとを順次挟持する、請求項2または請求項3に記載の多層フィルム構造体の製造方法。
【請求項5】
前記ドラムの外周面には、前記一方の多層フィルムと前記他方の多層フィルムとの接合部位と対応する位置に、ドラム周方向に沿って延びると共に前記隙間よりも幅が広く設定された溝が形成されており、
前記接合工程では、前記隙間の他に、前記一方の多層フィルム及び前記他方の多層フィルムの表面に溶融させた前記第2の熱可塑性材料を溶着させると共に、前記表面に溶着された溶融状態の前記第2の熱可塑性材料を前記ローラで押圧することで溶融状態の前記第2の熱可塑性材料の一部を前記隙間を介して前記溝へ進入させて一方の前記多層フィルム、及び他方の前記多層フィルムのドラム側面に溶着させる、請求項4に記載の多層フィルム構造体の製造方法。
【請求項6】
前記加熱工程では、加熱された熱鏝を前記多層フィルムの前記端部に接触させて前記端部を溶融する、請求項2〜請求項5の何れか1項に記載の多層フィルム構造体の製造方法。
【請求項7】
溶着した前記第1の熱可塑性材料及び前記第2の熱可塑性材料を強制冷却して固化させる強制冷却工程を有する、請求項2〜請求項6の何れか1項に記載の多層フィルム構造体の製造方法。
【請求項8】
材料の異なる層が複数積層され少なくとも1層が第1の熱可塑性材料からなる多層フィルム同士が、端部同士が突き合わされて接合された多層フィルム構造体であって、
前記一方の多層フィルムの端部と前記他方の多層フィルムの端部とが、第2の熱可塑性材料を用いて接合されている、多層フィルム構造体。
【請求項9】
一方の前記多層フィルムと他方の前記多層フィルムとを連結する様に、前記第2の熱可塑性材料が一方の前記多層フィルムと他方の前記多層フィルムの少なくとも片面にも溶着されている、請求項8に記載の多層フィルム構造体。
【請求項10】
前記第1の熱可塑性材料と前記第2の熱可塑性材料との溶着部分では、前記第1の熱可塑性材料の一部と前記第2の熱可塑性材料の一部とが互いに混ざり合っている、請求項8または請求項9に記載の多層フィルム構造体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−183650(P2011−183650A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−50801(P2010−50801)
【出願日】平成22年3月8日(2010.3.8)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【出願人】(000104777)クインライト電子精工株式会社 (15)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月8日(2010.3.8)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【出願人】(000104777)クインライト電子精工株式会社 (15)
【Fターム(参考)】
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