説明

多色刷り印刷機、幅見当合わせ方法および幅見当合わせ装置

【課題】被印刷物の幅見当合わせを行うにあたり、大量の被印刷物の消費や時間の浪費を抑止することができる多色刷り印刷機、幅見当合わせ方法および幅見当合わせ装置を提供する。
【解決手段】幅見当ズレ量検出部31により検出された幅見当ズレ量に基づいて、印刷用紙Wが前段の印刷ユニット10aから後段の印刷ユニット10bに搬送される際に幅方向に縮んでいる場合には後段の印刷ユニット10bにおける版胴11bに対する圧胴12bの押圧力を前段の印刷ユニット10aにおける版胴11aに対する押圧力よりも大きくする。一方、印刷用紙Wが前段の印刷ユニット10aから後段の印刷ユニット10bに搬送される際に幅方向に拡がっている場合には後段の印刷ユニット10bにおいて版胴11bに対する圧胴12bの押圧力を当該圧胴12bの軸方向に沿って変化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の印刷ユニットを直列に備えた多色刷り印刷機、および、連続的に搬送され、直列に設けられた複数の印刷ユニットにより順次印刷が施されるような帯状の被印刷物の幅見当合わせ方法ならびに幅見当合わせ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多孔質紙、坪量100g/m以上の厚紙、あるいは厚手のフィルム等の幅の変動しやすい印刷用紙(被印刷物)に多色で重ね刷り印刷を行う際において、色毎の印刷や乾燥による印刷用紙の幅方向の伸縮、印刷ユニット間のテンションの違い、吸湿による印刷用紙の幅方向の伸縮、ガイドロールの摩耗等によるクラウンや逆クラウンロール化による印刷用紙の幅方向の伸縮により、印刷用紙の幅方向の見当合わせが精度良く行われないことがある。この場合、色毎の絵柄幅が異なるために、印刷用紙の片側の横見当合わせを行っても逆側の横見当がズレてしまうという問題が発生する。
【0003】
従来では、各印刷ユニットに設けられた乾燥炉の乾燥温度や風速を調整することにより、各色の印刷時の印刷用紙幅を揃えて当該印刷用紙の幅見当合わせを行っていた。
【0004】
また、例えば特許文献1等に開示されるように、各印刷ユニットにおいて幅見当ズレ量(すなわち、印刷用紙の幅変動量)を測定し、印刷用紙幅が拡がっている場合には印刷ユニットの乾燥炉における乾燥温度を上げるか風速を上げ、印刷用紙幅が縮まっている場合には印刷ユニットの乾燥炉における乾燥温度を下げるか風速を下げるようにして、印刷用紙幅を調整する動作を自動で行う印刷機が知られている。また、幅見当合わせの制御応答性を向上させるために、例えば特許文献2等に開示されるように、印刷ユニットに加湿手段を別途設けて印刷用紙の含水量を制御し、このことにより印刷用紙幅を調整する方法が知られている。
【0005】
【特許文献1】特開平8−118610号公報
【特許文献2】特開2005−74693号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、印刷ユニットにおいて印刷用紙に対する乾燥炉等による乾燥条件を変更するような方法では幅見当合わせの制御応答性が遅くなるという問題がある。また、印刷用紙に対して加湿を行う方法では、印刷用紙にシワや断紙が発生したり、印刷ムラが発生したりするおそれがある。このように、上述のような従来の幅見当合わせ方法では、大量の印刷用紙を消費するとともに時間を浪費してしまうという問題があった。
【0007】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、従来の幅見当合わせ方法と比較して幅見当合わせの制御応答性を速くすることができ、また被印刷物に対して加湿を行う必要がないので被印刷物にシワや断紙が発生したり、印刷ムラが発生したりすることがなく、このことにより大量の被印刷物の消費や時間の浪費を抑止することができる多色刷り印刷機、幅見当合わせ方法および幅見当合わせ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、連続的に搬送される帯状の被印刷物に対して印刷を施す版胴と、当該版胴に接触するよう設けられた圧胴と、前記版胴に対して前記圧胴を押圧させる押圧機構とを各々有する直列に設けられた複数の印刷ユニットと、前記複数の印刷ユニットのうち前後に並ぶ2つの印刷ユニットについて、被印刷物に対して前段の印刷ユニットの版胴により印刷が施されるときと後段の印刷ユニットの版胴により印刷が施されるときとの間の当該被印刷物の幅見当ズレ量を検出する幅見当ズレ量検出部と、印刷ユニットの押圧機構を制御する押圧機構制御部であって、前記幅見当ズレ量検出部により検出された幅見当ズレ量に基づいて、被印刷物が前段の印刷ユニットから後段の印刷ユニットに搬送される際に幅方向に縮んでいる場合には後段の印刷ユニットにおける押圧機構による圧胴の押圧力を前段の印刷ユニットにおける押圧機構による圧胴の押圧力よりも大きくし、被印刷物が前段の印刷ユニットから後段の印刷ユニットに搬送される際に幅方向に拡がっている場合には前段または後段の印刷ユニットのうち少なくとも一方の印刷ユニットにおいて押圧機構による圧胴の押圧力を当該圧胴の軸方向に沿って変化させるよう、押圧機構の制御を行うような押圧機構制御部と、を備えたことを特徴とする多色刷り印刷機である。
【0009】
また、本発明は、連続的に搬送され、直列に設けられた複数の印刷ユニットにより順次印刷が施されるような帯状の被印刷物の幅見当合わせ方法であって、複数の印刷ユニットのうち前後に並ぶ2つの印刷ユニットについて、被印刷物に対して前段の印刷ユニットの版胴により印刷が施されるときと後段の印刷ユニットの版胴により印刷が施されるときとの間の当該被印刷物の幅見当ズレ量を検出する工程と、検出された幅見当ズレ量に基づいて、被印刷物が前段の印刷ユニットから後段の印刷ユニットに搬送される際に幅方向に縮んでいる場合には後段の印刷ユニットにおける版胴に対する圧胴の押圧力を前段の印刷ユニットにおける版胴に対する圧胴の押圧力よりも大きくし、被印刷物が前段の印刷ユニットから後段の印刷ユニットに搬送される際に幅方向に拡がっている場合には前段または後段の印刷ユニットのうち少なくとも一方の印刷ユニットにおいて版胴に対する圧胴の押圧力を当該圧胴の軸方向に沿って変化させる工程と、を備えたことを特徴とする幅見当合わせ方法である。
【0010】
また、本発明は、連続的に搬送され、直列に設けられた複数の印刷ユニットにより順次印刷が施されるような帯状の被印刷物の幅見当合わせ装置であって、複数の印刷ユニットのうち前後に並ぶ2つの印刷ユニットについて、被印刷物に対して前段の印刷ユニットの版胴により印刷が施されるときと後段の印刷ユニットの版胴により印刷が施されるときとの間の当該被印刷物の幅見当ズレ量を検出する幅見当ズレ量検出部と、印刷ユニットの押圧機構を制御する押圧機構制御部であって、前記幅見当ズレ量検出部により検出された幅見当ズレ量に基づいて、被印刷物が前段の印刷ユニットから後段の印刷ユニットに搬送される際に幅方向に縮んでいる場合には後段の印刷ユニットにおける押圧機構による圧胴の押圧力を前段の印刷ユニットにおける押圧機構による圧胴の押圧力よりも大きくし、被印刷物が前段の印刷ユニットから後段の印刷ユニットに搬送される際に幅方向に拡がっている場合には前段または後段の印刷ユニットのうち少なくとも一方の印刷ユニットにおいて押圧機構による圧胴の押圧力を当該圧胴の軸方向に沿って変化させるよう、押圧機構の制御を行うような押圧機構制御部と、を備えたことを特徴とする幅見当合わせ装置である。
【0011】
このような多色刷り印刷機、幅見当合わせ方法および幅見当合わせ装置によれば、検出された幅見当ズレ量に基づいて、被印刷物が前段の印刷ユニットから後段の印刷ユニットに搬送される際に幅方向に縮んでいる場合には後段の印刷ユニットにおける版胴に対する圧胴の押圧力を前段の印刷ユニットにおける版胴に対する圧胴の押圧力よりも大きくし、被印刷物が前段の印刷ユニットから後段の印刷ユニットに搬送される際に幅方向に拡がっている場合には後段の印刷ユニットにおいて版胴に対する圧胴の押圧力を当該圧胴の軸方向に沿って変化させるようになっている。このことにより、被印刷物が前段の印刷ユニットから後段の印刷ユニットに搬送される際に幅方向に縮んでいる場合には、後段の印刷ユニットにおける圧胴の押圧力を、前段の印刷ユニットにおける圧胴の押圧力よりも大きくすることにより、後段の印刷ユニットにおいて圧胴がたわみ、後段の印刷ユニットの版胴と圧胴との間のニップ部の両端の押圧力が大きくなる。このため、このニップ部において中央に比べて両端の紙送り量が多くなり、当該ニップ部において送り量の多い両端側へ被印刷物が引っ張られることとなるので、このことにより被印刷物の幅が拡がるようになる。一方、被印刷物が前段の印刷ユニットから後段の印刷ユニットに搬送される際に幅方向に拡がっている場合には、版胴に対する圧胴の押圧力が大きくなると紙送り量も多くなるという原理を利用することにより、圧胴の版胴に対する押圧力を当該圧胴の軸方向に沿って変化させることによってこの紙送り量が多い方へ被印刷物が引っ張られるようになり、このことにより被印刷物の幅が縮むようになる。本発明における被印刷物の幅見当合わせ方法は上述のような方法となっているので、従来の幅見当合わせ方法と比較して幅見当合わせの制御応答性を速くすることができ、また被印刷物に対して加湿を行う必要がないので被印刷物にシワや断紙が発生したり、印刷ムラが発生したりすることがない。このため、大量の被印刷物の消費や時間の浪費を抑止することができる。
【0012】
本発明の多色刷り印刷機においては、前記各印刷ユニットにおける前記押圧機構は前記圧胴の両端にそれぞれ設けられた左右一対のものからなり、前記押圧機構制御部は、被印刷物が前段の印刷ユニットから後段の印刷ユニットに搬送される際に拡がっている場合には前段または後段の印刷ユニットのうち少なくとも一方の印刷ユニットにおいて一方の押圧機構による圧胴の押圧力を他方の押圧機構による圧胴の押圧力よりも大きくするよう、各押圧機構の制御を行うことが好ましい。
【0013】
本発明の多色刷り印刷機においては、前段の印刷ユニットおよび後段の印刷ユニットの各版胴は、各々、被印刷物の両端近傍に左右一対の見当マークを付けるようになっており、前記後段の印刷ユニットは、被印刷物に付された見当マークを検出する見当マーク検出器を更に有しており、前記幅見当ズレ量検出部は、前記見当マーク検出器により検出された、前段の印刷ユニットの版胴により被印刷物の両端近傍に付された左右一対の見当マークおよび後段の印刷ユニットの版胴により当該被印刷物の両端近傍に付された左右一対の見当マークの位置関係に基づいて、幅見当ズレ量を検出するようになっていることが好ましい。あるいは、前段の印刷ユニットおよび後段の印刷ユニットは、各々、前記版胴により印刷が施されるときの被印刷物の幅を測定する被印刷物幅測定器を更に有しており、前記幅見当ズレ量検出部は、前段の印刷ユニットの版胴により印刷が施される被印刷物の幅と後段の印刷ユニットの版胴により印刷が施される被印刷物の幅との差に基づいて幅見当ズレ量を検出するようになっていることが好ましい。
【0014】
本発明の幅見当合わせ方法においては、各印刷ユニットにおいて版胴に対する圧胴の押圧は当該圧胴の両端に設けられた左右一対の押圧機構により行われるようになっており、被印刷物が前段の印刷ユニットから後段の印刷ユニットに搬送される際に幅方向に拡がっている場合には前段または後段の印刷ユニットのうち少なくとも一方の印刷ユニットにおいて一方の押圧機構による圧胴の押圧力を他方の押圧機構による圧胴の押圧力よりも大きくすることが好ましい。
【0015】
本発明の幅見当合わせ方法においては、前段の印刷ユニットおよび後段の印刷ユニットの各版胴は、各々、被印刷物の両端近傍に左右一対の見当マークを付けるようになっており、前段の印刷ユニットの版胴により被印刷物の両端近傍に付された左右一対の見当マークおよび後段の印刷ユニットの版胴により当該被印刷物の両端近傍に付された左右一対の見当マークの位置関係に基づいて、幅見当ズレ量を検出することが好ましい。あるいは、前段の印刷ユニットの版胴により印刷が施される被印刷物の幅と後段の印刷ユニットの版胴により印刷が施される被印刷物の幅との差に基づいて幅見当ズレ量を検出することが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の多色刷り印刷機、幅見当合わせ方法および幅見当合わせ装置によれば、被印刷物の幅見当合わせを行うにあたり、大量の被印刷物の消費や時間の浪費を抑止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図7は、本発明による多色刷り印刷機の一の実施の形態を示す図である。
このうち、図1は、本実施の形態における多色刷り印刷機の構成の概略を示す概略図であり、図2は、図1の多色刷り印刷機における後段の印刷ユニットを後方(図1の矢印A方向)から見た図であり、図3は、図1に示す多色刷り印刷機のエアシリンダ制御部による制御を示すフローチャートである。また、図4は、印刷用紙が前段の印刷ユニットから後段の印刷ユニットに搬送される際に幅方向に拡がったときに、見当マーク検出器により検出された各見当マークの位置を示す図であり、図5は、印刷用紙が前段の印刷ユニットから後段の印刷ユニットに搬送される際に幅方向に縮んだときに、見当マーク検出器により検出された各見当マークの位置を示す図である。また、図6は、前段の印刷ユニットから後段の印刷ユニットに搬送される印刷用紙の幅を幅見当合わせ装置により縮める際の状態を示す模式図であり、図7は、前段の印刷ユニットから後段の印刷ユニットに搬送される印刷用紙の幅を幅見当合わせ装置により拡げる際の状態を示す模式図である。
【0018】
本実施の形態における多色刷り印刷機は、直列に設けられた複数の印刷ユニットと、これらの印刷ユニットにより順次印刷が施されるような帯状の印刷用紙の幅見当合わせ装置とから構成されている。
【0019】
まず、直列に設けられた複数の印刷ユニットの構成について図1および図2を用いて説明する。図1は、複数の印刷ユニットのうち前後に並ぶ2つの印刷ユニット(前段の印刷ユニット10aおよび後段の印刷ユニット10b)を示している。
【0020】
前段の印刷ユニット10aおよび後段の印刷ユニット10bは、各々、連続的に搬送される帯状の印刷用紙Wに対して印刷を施す版胴11a,11bと、当該版胴11a,11bに接触するよう設けられた圧胴12a,12bと、版胴11a,11bに対して圧胴12a,12bを押圧させるエアシリンダ13a,13bとを有している。
【0021】
各版胴11a,11bは、印刷用紙Wに対して印刷を施すとともに、各々、図2に示すように印刷用紙Wの両端近傍に左右一対の見当マーク20a〜20dを付けるようになっている。なお、図2において、見当マーク20a,20bは、前段の印刷ユニット10aの版胴11aにより付されたものであり、見当マーク20c,20dは、後段の印刷ユニット10bの版胴11bにより付されたものである。また、図2に示すように、各版胴11a,11bの軸部の両端は、左右一対の印刷機フレーム16a,16bにより枢支されている。
【0022】
前段の印刷ユニット10aおよび後段の印刷ユニット10bにおける各エアシリンダ13a,13bは、図2に示すように圧胴12a,12bの軸部の両端に左右一対となるようそれぞれ2つずつ設けられている。ここで、図1および図2に示すように、各エアシリンダ13a,13bは、それぞれ電気信号を空気圧力信号に変換するような電空変換器14a,14bに接続されている。なお、図1,図2においては、エアシリンダおよび電空変換器はそれぞれ2つずつしか図示されていないが、本実施の形態においては前段の印刷ユニット10aおよび後段の印刷ユニット10bにそれぞれ2つずつエアシリンダ13a,13bが設けられており、実際はエアシリンダの数は4つであるので、これに対応して電空変換器の数も実際には4つとなっている。各電空変換器14a,14bには後述するエアシリンダ制御部32から電気信号がそれぞれ送信されるようになっており、この電気信号に基づいて電空変換器14a,14bは空気圧力信号をエアシリンダ13a,13bに送信するようになっている。
【0023】
さらに、図1に示すように、各印刷ユニット10a,10bにおいて、版胴11a,11bの下流側には、印刷用紙Wを乾燥するための乾燥炉15a,15bが任意で設けられている。また、印刷ユニット10bの版胴11bの下流側には、印刷用紙Wに付された見当マークを検出するための見当マーク検出器17が設けられている。図2に示すように、見当マーク検出器17は、印刷用紙Wの両端近傍に左右一対となるよう2つ設けられており、前段の印刷ユニット10aの版胴11aにより付された見当マーク20a,20bおよび後段の印刷ユニット10bの版胴11bにより付された見当マーク20c,20dを検出するようになっている。
【0024】
次に、上述の各印刷ユニット10a,10bにより順次印刷が施されるような帯状の印刷用紙Wの幅見当合わせ装置30について説明する。図1および図2に示すように、幅見当合わせ装置30は、印刷用紙Wに対して前段の印刷ユニット10aの版胴11aにより印刷が施されるときと後段の印刷ユニット10bの版胴11bにより印刷が施されるときとの間の当該印刷用紙Wの幅見当ズレ量を検出する幅見当ズレ量検出部31と、幅見当ズレ量検出部31により検出された幅見当ズレ量に基づいて、各印刷ユニット10a,10bのエアシリンダ13a,13bを制御するエアシリンダ制御部32とから構成されている。
【0025】
幅見当ズレ量検出部31は、見当マーク検出器17により検出された印刷用紙W上の各見当マーク20a〜20dの位置により、印刷用紙Wの幅見当ズレ量を検出するようになっている。この幅見当ズレ量検出部31における幅見当ズレ量の算出方法について図4および図5を用いて詳述する。図4、図5において、印刷用紙WのMS(マンサイド)側およびGS(ギアサイド)側にそれぞれ前段の印刷ユニット10aによる見当マーク20a,20bおよび後段の印刷ユニット10bによる見当マーク20c,20dが付されている。ここで、印刷用紙Wが前段の印刷ユニット10aの版胴11aから後段の印刷ユニット10bの版胴11bまで搬送される間に幅方向に伸縮しなかった場合には、見当マーク20aと見当マーク20cの幅方向位置は略同一となり、また見当マーク20bと見当マーク20dの幅方向位置も略同一となる。しかしながら、印刷用紙Wが前段の印刷ユニット10aの版胴11aから後段の印刷ユニット10bの版胴11bまで搬送される間に幅方向に拡がった場合には、図4に示すように、前段の印刷ユニット10aの版胴11aによって付された見当マーク20a,20bは、後段の印刷ユニット10bの版胴11bによって付された見当マーク20c,20dよりも幅方向外側に位置することとなる。逆に、印刷用紙Wが前段の印刷ユニット10aの版胴11aから後段の印刷ユニット10bの版胴11bまで搬送される間に幅方向に縮んだ場合には、図5に示すように、前段の印刷ユニット10aの版胴11aによって付された見当マーク20a,20bは、後段の印刷ユニット10bの版胴11bによって付された見当マーク20c,20dよりも幅方向内側に位置することとなる。
【0026】
幅見当ズレ量検出部31において、図4および図5に示すように印刷用紙Wの幅方向の座標系を決めた場合、(MS側の横見当ズレ)−(GS側の横見当ズレ)の大きさが正の場合には、印刷用紙Wは絵柄幅拡がりの幅見当ズレ量、この大きさが負の場合には、絵柄幅縮みの幅見当ズレ量として幅見当ズレ量を算出することができる。ここで、MS側の横見当ズレとは、見当マーク20aに対する見当マーク20cの横見当ズレのことであり、GS側の横見当ズレとは、見当マーク20bに対する見当マーク20dの横見当ズレのことである。すなわち、図4においては、見当マーク20aに対する見当マーク20cの横見当ズレはaとなり、見当マーク20bに対する見当マーク20dの横見当ズレは−bとなるので、幅見当ズレ量はa−(−b)=a+bとなり、この幅見当ズレ量が正となる。一方、図5においては、見当マーク20aに対する見当マーク20cの横見当ズレは(−c)となり、見当マーク20bに対する見当マーク20dの横見当ズレはdとなるので、幅見当ズレ量は(−c)−(d)=−(c+d)となり、この幅見当ズレ量が負となる。
【0027】
次に、エアシリンダ制御部32の構成について図3を用いて説明する。図3は、エアシリンダ制御部32による制御を示すフローチャートである。
エアシリンダ制御部32は、幅見当ズレ量検出部31により検出された幅見当ズレ量の正負に基づいて、図4に示すように印刷用紙Wが前段の印刷ユニット10aから後段の印刷ユニット10bに搬送される際に幅方向に拡がっている場合には、後段の印刷ユニット10bにおいてエアシリンダ13bによる圧胴12bの版胴11bに対する押圧力(すなわち、圧胴ニップ荷重)を、当該圧胴12bの軸方向に沿って変化させる。ここで、エアシリンダ13bによる圧胴12bの押圧力を当該圧胴12bの軸方向に沿って変化させるにあたり、左右一対のエアシリンダ13bによる圧胴12bの版胴11bに対する押圧力について、一方(例えばMS側)のエアシリンダ13bによる圧胴12bの押圧力を、他方(例えばGS側)のエアシリンダ13bによる圧胴12bの押圧力よりも大きくする。一方、エアシリンダ制御部32は、図5に示すように印刷用紙Wが前段の印刷ユニット10aから後段の印刷ユニット10bに搬送される際に幅方向に縮んでいる場合には、後段の印刷ユニット10bにおけるエアシリンダ13bによる圧胴12bの押圧力を、前段の印刷ユニット10aにおけるエアシリンダ13aによる圧胴12aの押圧力よりも大きくするようになっている。なお、幅見当ズレ量検出部31により検出された幅見当ズレ量が0である場合には、エアシリンダ制御部32はエアシリンダ13bの調整を行わないようになっている。
【0028】
次に、このような構成からなる多色刷り印刷機の動作、とりわけ、印刷用紙Wの幅見当合わせ方法について説明する。
【0029】
印刷用紙Wが図1に示す多色刷り印刷機に搬送されると、この印刷用紙Wはまず前段の印刷ユニット10aに送られる。この前段の印刷ユニット10aに送られた印刷用紙Wは版胴11aと圧胴12aとの間で挟持されて例えば第1色目の印刷が施される。この際、印刷用紙Wに対して見当マーク20a,20bが版胴11aにより付けられる。
【0030】
前段の印刷ユニット10aによって例えば第1色目の印刷が施された印刷用紙Wは、次に後段の印刷ユニット10bに送られる。この際に、印刷用紙Wは後段の印刷ユニット10bの版胴11bに送られ、版胴11bと圧胴12bとの間で印刷用紙Wが挟持されて第2色目の印刷が施される。この際、印刷用紙Wに対して第2の見当マーク20c,20dが版胴11bにより付けられる。次に、見当マーク検出器17により、版胴11bから送られた印刷用紙W上の見当マーク20a〜20dが検出され、これらの見当マーク20a〜20dの位置に関する信号が幅見当合わせ装置30の幅見当ズレ量検出部31に送られる。
【0031】
幅見当ズレ量検出部31は、見当マーク検出器17から送られた各見当マーク20a〜20dに基づいて、印刷用紙Wの幅見当ズレ量を検出する。具体的には、前述のように、まず印刷用紙WにおけるMS側の横見当ズレおよびGS側の横見当ズレをそれぞれ検出する。ここで、MS側の横見当ズレは、見当マーク20aに対する見当マーク20cの横見当ズレとして算出され、GS側の横見当ズレは、見当マーク20bに対する見当マーク20dの横見当ズレとして算出される。次に、(MS側の横見当ズレ)−(GS側の横見当ズレ)の大きさが演算され、この値が印刷用紙Wの幅見当ズレ量となる。図4および図5に示すように、検出された幅見当ズレ量が正の場合には、印刷用紙Wは前段の印刷ユニット10aの版胴11aから後段の印刷ユニット10bの版胴11bまで搬送される間に幅方向に拡がったこととなり、検出された幅見当ズレ量が負の場合には、印刷用紙Wは前段の印刷ユニット10aの版胴11aから後段の印刷ユニット10bの版胴11bまで搬送される間に幅方向に縮んだこととなる。幅見当ズレ量検出部31により検出された幅見当ズレ量はエアシリンダ制御部32に送られる。
【0032】
エアシリンダ制御部32は、幅見当ズレ量検出部31により検出された幅見当ズレ量の大きさに基づいて、左右一対のエアシリンダ13bによる圧胴12bの版胴11bに対する押圧力(すなわち、圧胴ニップ荷重)の変更量を演算する。具体的には、図3に示すように、幅見当ズレ量検出部31により検出された幅見当ズレ量が正である場合には、左右一対のエアシリンダ13bによる圧胴12bの版胴11bに対する押圧力について、一方(例えばMS側)のエアシリンダ13bによる圧胴12bの押圧力を、他方(例えばGS側)のエアシリンダ13bによる圧胴12bの押圧力よりも大きくするよう、エアシリンダ制御部32は各エアシリンダ13bを制御する。このことにより、後段の印刷ユニット10bにおいてエアシリンダ13bによる圧胴12bの版胴11bに対する押圧力が、当該圧胴12bの軸方向に沿って変化する。ここで、版胴11bに対する圧胴12bの押圧力が大きくなると紙送り量も多くなるため、図6に示すようにこの紙送り量が多い方へ印刷用紙Wが引っ張られるようになり、このことにより印刷用紙Wの幅が縮むようになる。
【0033】
一方、幅見当ズレ量検出部31により検出された幅見当ズレ量が負である場合には、後段の印刷ユニット10bにおけるエアシリンダ13bによる圧胴12bの押圧力を、前段の印刷ユニット10aにおけるエアシリンダ13aによる圧胴12aの押圧力よりも大きくするよう、エアシリンダ制御部32は各エアシリンダ13bを制御する。このことにより、後段の印刷ユニット10bにおいて圧胴12bがたわみ、版胴11bと圧胴12bとの間のニップ部の両端の押圧力が大きくなるため、このニップ部において中央に比べて両端の紙送り量が多くなり、図7に示すように当該ニップ部において送り量の多い両端側へ印刷用紙Wが引っ張られることとなるので、このことにより印刷用紙Wの幅が拡がるようになる。
【0034】
なお、幅見当ズレ量検出部31により検出された幅見当ズレ量が0である場合には、エアシリンダ制御部32はエアシリンダ13bの調整を行わない。
【0035】
図3のフローチャートに示すように、上述のようなエアシリンダ制御部32によるエアシリンダ13bの制御が、幅見当ズレ量検出部31により検出される幅見当ズレ量が0になるまで行われる。
【0036】
以上のように本実施の形態による多色刷り印刷機、幅見当合わせ方法、および幅見当合わせ装置によれば、検出された幅見当ズレ量に基づいて、印刷用紙Wが前段の印刷ユニット10aから後段の印刷ユニット10bに搬送される際に幅方向に縮んでいる場合には後段の印刷ユニット10bにおける版胴11bに対する圧胴12bの押圧力を前段の印刷ユニット10aにおける版胴11aに対する圧胴12aの押圧力よりも大きくし、印刷用紙Wが前段の印刷ユニット10aから後段の印刷ユニット10bに搬送される際に幅方向に拡がっている場合には後段の印刷ユニット10bにおいて版胴11bに対する圧胴12bの押圧力を当該圧胴12bの軸方向に沿って変化させるようになっている。このことにより、印刷用紙Wが前段の印刷ユニット10aから後段の印刷ユニット10bに搬送される際に幅方向に縮んでいる場合には、後段の印刷ユニット10bにおける圧胴12bの押圧力を、前段の印刷ユニット10aにおける圧胴12aの押圧力よりも大きくすることにより、後段の印刷ユニット10bにおいて圧胴12bがたわみ、後段の印刷ユニット10bの版胴11bと圧胴12bとの間のニップ部の両端の押圧力が大きくなる。このため、このニップ部において中央に比べて両端の紙送り量が多くなり、当該ニップ部において送り量の多い両端側へ印刷用紙Wが引っ張られることとなるので、このことにより印刷用紙Wの幅が拡がるようになる。一方、印刷用紙Wが前段の印刷ユニット10aから後段の印刷ユニット10bに搬送される際に幅方向に拡がっている場合には、版胴11bに対する圧胴12bの押圧力が大きくなると紙送り量も多くなるという原理を利用することにより、圧胴12bの版胴11bに対する押圧力を当該圧胴12bの軸方向に沿って変化させることによってこの紙送り量が多い方へ印刷用紙Wが引っ張られるようになり、このことにより印刷用紙Wの幅が縮むようになる。本実施の形態の印刷用紙Wの幅見当合わせ方法は上述のような方法となっているので、従来の幅見当合わせ方法と比較して幅見当合わせの制御応答性を速くすることができ、また印刷用紙Wに対して加湿を行う必要がないので印刷用紙Wにシワや断紙が発生したり、印刷ムラが発生したりすることがない。このため、大量の印刷用紙Wの消費や時間の浪費を抑止することができる。
【0037】
なお、本実施の形態による多色刷り印刷機は、上記の態様に限定されるものではなく、様々の変更を加えることができる。例えば、幅見当ズレ量検出部による印刷用紙Wの幅見当ズレ量の検出方法は、見当マークを用いる方法に限定されることはなく、印刷用紙W自体の幅の変動量を用いるようなっていてもよい。ここで、印刷用紙Wの紙幅の変動量は幅見当ズレ量と略同一の値となる。具体的には、各印刷ユニットに、レーザ式のエッジセンサやCCDカメラ等の、印刷用紙Wの幅を測定するための印刷用紙幅測定器を設置する。そして、このような印刷用紙幅測定器により検出された、後段の印刷ユニットの版胴により印刷が施される直前の印刷用紙Wの幅の大きさから、前段の印刷ユニットの版胴により印刷が施される直前の印刷用紙Wの幅の大きさを引いた値を幅見当ズレ量とする。そして、このようにして算出された幅見当ズレ量が正である場合は紙幅拡がりの幅見当ズレ量となり、負である場合は紙幅縮みの幅見当ズレ量となる。
【0038】
更に別の変形例としては、エアシリンダ制御部32は、印刷用紙Wが前段の印刷ユニット10aから後段の印刷ユニット10bに搬送される際に幅方向に拡がっている場合には、後段の印刷ユニット10bにおいて版胴11bに対する圧胴12bの押圧力を当該圧胴12bの軸方向に沿って変化させる代わりに、前段の印刷ユニット10aにおいて版胴11aに対する圧胴12aの押圧力を当該圧胴12aの軸方向に沿って変化させるようになっていてもよい。この場合でも同様の作用効果を得ることができる。また、エアシリンダ制御部32は、印刷用紙Wが前段の印刷ユニット10aから後段の印刷ユニット10bに搬送される際に幅方向に拡がっている場合には、前段の印刷ユニット10aおよび後段の印刷ユニット10bの両方について、各々、版胴11a,11bに対する圧胴12a,12bの押圧力を当該圧胴12a,12bの軸方向に沿って変化させるようになっていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一の実施の形態における多色刷り印刷機の構成の概略を示す概略図である。
【図2】図1の多色刷り印刷機における後段の印刷ユニットを後方(図1の矢印A方向)から見た図である。
【図3】図1に示す多色刷り印刷機のエアシリンダ制御部による制御を示すフローチャートである。
【図4】印刷用紙が前段の印刷ユニットから後段の印刷ユニットに搬送される際に幅方向に拡がったときに、見当マーク検出器により検出された各見当マークの位置を示す図である。
【図5】印刷用紙が前段の印刷ユニットから後段の印刷ユニットに搬送される際に幅方向に縮んだときに、見当マーク検出器により検出された各見当マークの位置を示す図である。
【図6】前段の印刷ユニットから後段の印刷ユニットに搬送される印刷用紙の幅を幅見当合わせ装置により縮める際の状態を示す模式図である。
【図7】前段の印刷ユニットから後段の印刷ユニットに搬送される印刷用紙の幅を幅見当合わせ装置により拡げる際の状態を示す模式図である。
【符号の説明】
【0040】
10a 前段の印刷ユニット
10b 後段の印刷ユニット
11a,11b 版胴
12a,12b 圧胴
13a,13b エアシリンダ
14a,14b 電空変換器
15a,15b 乾燥炉
16a,16b 印刷機フレーム
17 見当マーク検出器
20a〜20d 見当マーク
30 幅見当合わせ装置
31 幅見当ズレ量検出部
32 エアシリンダ制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続的に搬送される帯状の被印刷物に対して印刷を施す版胴と、当該版胴に接触するよう設けられた圧胴と、前記版胴に対して前記圧胴を押圧させる押圧機構とを各々有する直列に設けられた複数の印刷ユニットと、
前記複数の印刷ユニットのうち前後に並ぶ2つの印刷ユニットについて、被印刷物に対して前段の印刷ユニットの版胴により印刷が施されるときと後段の印刷ユニットの版胴により印刷が施されるときとの間の当該被印刷物の幅見当ズレ量を検出する幅見当ズレ量検出部と、
印刷ユニットの押圧機構を制御する押圧機構制御部であって、前記幅見当ズレ量検出部により検出された幅見当ズレ量に基づいて、被印刷物が前段の印刷ユニットから後段の印刷ユニットに搬送される際に幅方向に縮んでいる場合には後段の印刷ユニットにおける押圧機構による圧胴の押圧力を前段の印刷ユニットにおける押圧機構による圧胴の押圧力よりも大きくし、被印刷物が前段の印刷ユニットから後段の印刷ユニットに搬送される際に幅方向に拡がっている場合には前段または後段の印刷ユニットのうち少なくとも一方の印刷ユニットにおいて押圧機構による圧胴の押圧力を当該圧胴の軸方向に沿って変化させるよう、押圧機構の制御を行うような押圧機構制御部と、
を備えたことを特徴とする多色刷り印刷機。
【請求項2】
前記各印刷ユニットにおける前記押圧機構は前記圧胴の両端にそれぞれ設けられた左右一対のものからなり、前記押圧機構制御部は、被印刷物が前段の印刷ユニットから後段の印刷ユニットに搬送される際に拡がっている場合には前段または後段の印刷ユニットのうち少なくとも一方の印刷ユニットにおいて一方の押圧機構による圧胴の押圧力を他方の押圧機構による圧胴の押圧力よりも大きくするよう、各押圧機構の制御を行うことを特徴とする請求項1記載の多色刷り印刷機。
【請求項3】
前段の印刷ユニットおよび後段の印刷ユニットの各版胴は、各々、被印刷物の両端近傍に左右一対の見当マークを付けるようになっており、前記後段の印刷ユニットは、被印刷物に付された見当マークを検出する見当マーク検出器を更に有しており、
前記幅見当ズレ量検出部は、前記見当マーク検出器により検出された、前段の印刷ユニットの版胴により被印刷物の両端近傍に付された左右一対の見当マークおよび後段の印刷ユニットの版胴により当該被印刷物の両端近傍に付された左右一対の見当マークの位置関係に基づいて、幅見当ズレ量を検出するようになっていることを特徴とする請求項1または2記載の多色刷り印刷機。
【請求項4】
前段の印刷ユニットおよび後段の印刷ユニットは、各々、前記版胴により印刷が施されるときの被印刷物の幅を測定する被印刷物幅測定器を更に有しており、
前記幅見当ズレ量検出部は、前段の印刷ユニットの版胴により印刷が施される被印刷物の幅と後段の印刷ユニットの版胴により印刷が施される被印刷物の幅との差に基づいて幅見当ズレ量を検出するようになっていることを特徴とする請求項1または2記載の多色刷り印刷機。
【請求項5】
連続的に搬送され、直列に設けられた複数の印刷ユニットにより順次印刷が施されるような帯状の被印刷物の幅見当合わせ方法であって、
複数の印刷ユニットのうち前後に並ぶ2つの印刷ユニットについて、被印刷物に対して前段の印刷ユニットの版胴により印刷が施されるときと後段の印刷ユニットの版胴により印刷が施されるときとの間の当該被印刷物の幅見当ズレ量を検出する工程と、
検出された幅見当ズレ量に基づいて、被印刷物が前段の印刷ユニットから後段の印刷ユニットに搬送される際に幅方向に縮んでいる場合には後段の印刷ユニットにおける版胴に対する圧胴の押圧力を前段の印刷ユニットにおける版胴に対する圧胴の押圧力よりも大きくし、被印刷物が前段の印刷ユニットから後段の印刷ユニットに搬送される際に幅方向に拡がっている場合には前段または後段の印刷ユニットのうち少なくとも一方の印刷ユニットにおいて版胴に対する圧胴の押圧力を当該圧胴の軸方向に沿って変化させる工程と、
を備えたことを特徴とする幅見当合わせ方法。
【請求項6】
各印刷ユニットにおいて版胴に対する圧胴の押圧は当該圧胴の両端に設けられた左右一対の押圧機構により行われるようになっており、被印刷物が前段の印刷ユニットから後段の印刷ユニットに搬送される際に幅方向に拡がっている場合には前段または後段の印刷ユニットのうち少なくとも一方の印刷ユニットにおいて一方の押圧機構による圧胴の押圧力を他方の押圧機構による圧胴の押圧力よりも大きくすることを特徴とする請求項5記載の幅見当合わせ方法。
【請求項7】
前段の印刷ユニットおよび後段の印刷ユニットの各版胴は、各々、被印刷物の両端近傍に左右一対の見当マークを付けるようになっており、
前段の印刷ユニットの版胴により被印刷物の両端近傍に付された左右一対の見当マークおよび後段の印刷ユニットの版胴により当該被印刷物の両端近傍に付された左右一対の見当マークの位置関係に基づいて、幅見当ズレ量を検出することを特徴とする請求項5または6記載の幅見当合わせ方法。
【請求項8】
前段の印刷ユニットの版胴により印刷が施される被印刷物の幅と後段の印刷ユニットの版胴により印刷が施される被印刷物の幅との差に基づいて幅見当ズレ量を検出することを特徴とする請求項5または6記載の幅見当合わせ方法。
【請求項9】
連続的に搬送され、直列に設けられた複数の印刷ユニットにより順次印刷が施されるような帯状の被印刷物の幅見当合わせ装置であって、
複数の印刷ユニットのうち前後に並ぶ2つの印刷ユニットについて、被印刷物に対して前段の印刷ユニットの版胴により印刷が施されるときと後段の印刷ユニットの版胴により印刷が施されるときとの間の当該被印刷物の幅見当ズレ量を検出する幅見当ズレ量検出部と、
印刷ユニットの押圧機構を制御する押圧機構制御部であって、前記幅見当ズレ量検出部により検出された幅見当ズレ量に基づいて、被印刷物が前段の印刷ユニットから後段の印刷ユニットに搬送される際に幅方向に縮んでいる場合には後段の印刷ユニットにおける押圧機構による圧胴の押圧力を前段の印刷ユニットにおける押圧機構による圧胴の押圧力よりも大きくし、被印刷物が前段の印刷ユニットから後段の印刷ユニットに搬送される際に幅方向に拡がっている場合には前段または後段の印刷ユニットのうち少なくとも一方の印刷ユニットにおいて押圧機構による圧胴の押圧力を当該圧胴の軸方向に沿って変化させるよう、押圧機構の制御を行うような押圧機構制御部と、
を備えたことを特徴とする幅見当合わせ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−238547(P2008−238547A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−81498(P2007−81498)
【出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】