説明

多芯筆記具及び多芯筆記具用レフィル

【課題】静電気除去具を別に用意する必要がなく、静電気除去機能を有し且つ携帯に便利な多芯筆記具を提供する。
【解決手段】軸筒2内に複数のレフィル4,5を前後方向に移動可能に収容する。各々のレフィル4,5の後端に操作部43,53を備える。各々の窓孔22から径方向外方に前記各々の操作部43,53を突出させる。レフィルの一つが静電気除去機能を有する。静電気除去機能を有するレフィル4のチップ部41及び操作部43を導電性材料により構成する。導電性材料によりなるチップ部41と操作部43との間を、抵抗体44を介して電気的に接続してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多芯筆記具及び多芯筆記具用レフィルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の多芯筆記具において、特許文献1には、軸筒内に複数の筆記体を前後方向に移動可能に収容し、前記各々の筆記体を後方に付勢する複数のコイルスプリングを軸筒内に収容し、前記各々の筆記体の後端に操作体を連結し、軸筒の側壁に前後方向に延びる複数の窓孔を径方向に貫設し、前記各々の窓孔から径方向外方に前記各々の操作体を突出させ、一つの操作体を窓孔に沿って前方にスライドさせることにより、その一つの操作体に連結された筆記体のペン先を軸筒の前端孔から突出させるとともに、先に突出状態にあった他の筆記体のペン先を軸筒内に没入させる多芯筆記具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−30240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
冬場の乾燥した時期に、金属物(例えば、金属製ドアノブ、金属製手すり等)に手で触れたときに、人体から金属物へ静電気が放電することによって衝撃が発生することがある。そのため、それを気にするユーザーは、静電気除去具の携帯を余儀なくされる。
【0005】
本発明は、静電気除去具を別に用意する必要がなく、静電気除去機能を有し且つ携帯に便利な多芯筆記具を提供しようとするものである。また、本発明は、ユーザーが選択して軸筒内に収容して使用することができる、静電気除去機能を有する多芯筆記具用レフィルを提供しようとするものである。
【0006】
尚、本発明において、「前」とは前端孔側及びチップ部側を指し、「後」とはその反対側を指す。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]本願の第1の発明は、軸筒2内に複数のレフィル4,5を前後方向に移動可能に収容し、前記各々のレフィル4,5の後端に操作部43,53を設け、前記各々のレフィル4,5を後方に付勢する複数の弾発体6を軸筒2内に収容し、前記軸筒2の側壁に前後方向に延びる複数の窓孔22を径方向に貫設し、前記各々の窓孔22から径方向外方に前記各々の操作部43,53を突出させ、一つの操作部43,53を窓孔22に沿って前方にスライドさせることにより、その一つの操作部43,53を有するレフィル4のチップ部41,51を軸筒2の前端孔21から突出させるとともに、先に突出状態にあった他のレフィル5,4のチップ部51,41を軸筒2内に没入させてなる多芯筆記具であって、前記レフィルの一つが静電気除去機能を有し、前記静電気除去機能を有するレフィル4,5のチップ部41及び操作部43を導電性材料により構成し、前記導電性材料によりなるチップ部41と操作部43との間を、抵抗体44を介して電気的に接続してなることを要件とする。
【0008】
前記第1の発明の多芯筆記具1は、レフィルの一つが静電気除去機能を有し、前記静電気除去機能を有するレフィル4のチップ部41及び操作部43を導電性材料により構成し、前記導電性材料によりなるチップ部41と操作部43との間を、抵抗体44を介して電気的に接続してなることにより、静電気除去具を別に用意する必要がなく、静電気除去機能を有し且つ携帯に便利となる。尚、本発明で、他のレフィル5は筆記具レフィルである。
【0009】
[2]本願の第2の発明は、前記第1の発明の多芯筆記具1において、静電気除去機能を有するレフィル4のチップ部41が軸筒2の前端孔21より外部に突出した状態で、静電気除去機能を有するレフィル4の操作部43が窓孔22より径方向外方に突出してなることを要件とする。
【0010】
前記第2の発明の多芯筆記具1は、静電気除去機能を有するレフィル4のチップ部41が軸筒2の前端孔21より外部に突出した状態で、静電気除去機能を有するレフィル4の操作部43が窓孔22より径方向外方に突出してなることにより、静電気除去を行う際、操作部43を手で容易に接触することでき、静電気除去を確実に行うことができる。
【0011】
[3]本願の第3の発明は、前記第1または第2の発明の多芯筆記具1において、軸筒2の後端に、窓孔22を後方に開口させる開閉自在の開口部23を設け、前記開口部23を通して前記静電気除去機能を有するレフィル4を軸筒2内から取り外し可能且つ軸筒2内に挿入可能に構成したことを要件とする。
【0012】
前記第3の発明の多芯筆記具1は、開口部23を通して前記静電気除去機能を有するレフィル4を軸筒2内から取り外し可能且つ軸筒2内に挿入可能に構成したことにより、ユーザーが選択して静電気除去機能を有するレフィル4を軸筒2内に収容して使用すること(例えば、静電気除去機能を有するレフィル4を冬場の乾燥時期のみに使用すること)ができる。
【0013】
[4]本願の第4の発明は、使用時に軸筒2内に複数本が収容され、各々の後端に備えた操作部43を軸筒2の側壁より突出させ、前記操作部43を前方にスライド操作することにより軸筒2の前端孔21からチップ部41を出没させる多芯筆記具用レフィルであって、前記レフィル4が静電気除去機能を有し、前記レフィル4のチップ部41及び操作部43を導電性材料により構成し、前記導電性材料によりなるチップ部41と操作部43との間を、抵抗体44を介して電気的に接続してなることを要件とする。
【0014】
前記第4の発明の多芯筆記具用レフィル4は、ユーザーが選択して軸筒2内に収容して使用すること(例えば、冬場の乾燥時期のみに使用すること)ができる、静電気除去機能を有するレフィルを得る。
【発明の効果】
【0015】
本発明の多芯筆記具は、静電気除去具を別に用意する必要がなく、静電気除去機能を有し且つ携帯に便利となる。
【0016】
本発明の多芯筆記具用レフィルは、ユーザーが選択して軸筒内に収容して使用することができる、静電気除去機能を有するレフィルを得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の多芯筆記具の実施の形態における全チップ部没入時を示す縦断面図である。
【図2】図1の多芯筆記具の静電気除去機能を有するレフィルのチップ部が突出した状態を示す縦断面図である。
【図3】図1の多芯筆記具の後端の開口部を開口させ、操作部を僅かに引き出した状態を示す側面図である。
【図4】図1の多芯筆記具に用いる静電気除去機能を有するレフィルの縦断面図である。また、本発明の多芯筆記具用レフィルの実施の形態の縦断面図である。
【図5】図1の多芯筆記具に用いる静電気除去機能を有するレフィルの縦断面図である。また、本発明の多芯筆記具用レフィルの実施の形態の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1乃至図5に本発明の実施の形態を示す。
本実施の形態の多芯筆記具1は、軸筒2内に複数本(具体的には2本)のレフィル4,5が前後方向に移動可能に収容される。前記各々のレフィル4,5の後端には操作部43,53が設けられる。前記軸筒2内には、前記レフィル4,5の本数に対応した複数(具体的には2個)の弾発体6が収容される。前記各々の操作部43,53が、前記各々の弾発体6により後方に付勢されている。本実施の形態では、軸筒2内に収容するレフィル4,5の本数は、2本であるが、これ以外にも、例えば、3本、4本、5本、6本であってもよい。
【0019】
・弾発体
前記弾発体6は、コイルスプリング(具体的には圧縮コイルスプリング)からなる。前記弾発体6の前端部及び後端部には密着巻部が形成される。
【0020】
・軸筒
前記軸筒2は、先細状の円筒体からなる前軸2aと、該前軸2aの後端部と螺合または圧入により取り付けられる円筒状の後軸2bとからなる。前記前軸2aの前端には、レフィル4,5のチップ部41,51が突出可能な前端孔21が前後方向に貫設される。前記前軸2a及び後軸2bは、合成樹脂(例えば、ポリカーボネイト等)の射出成形により得られる。
【0021】
前記後軸2bの後部の側壁には、複数本(具体的には2本)の前後方向に延びる細長状の窓孔22が、径方向に貫設される。前記2本の窓孔22は、互いに、軸線に対して対称の位置(180度対称位置)に形成される。また、前記後軸2bの後端部には、前後方向に貫通し且つ径方向外方に開口する開口部23が形成される。前記開口部23は、後軸2bの後端(即ち軸筒2の後端)において各々の窓孔22と連通され、それにより、各々の窓孔22後端が後方に切り欠かれて後方に開口されている。一方、前記各々の窓孔22の前端は常時閉鎖されている。
【0022】
また、前記後軸2bの窓孔22の相互間の側壁内面には、前後方向に延びるリブよりなる係止壁部24が一体に形成され、前記係止壁部24に、レフィル4,5のチップ部41,51が突出した際のレフィル4,5の操作部43,53の後端が係止される。また、尚、前記係止壁部24は、軸筒2(後軸2b)の内壁に一体に形成してもよいし、軸筒2内に別部材を収容配置することによって設けてもよい。
【0023】
・隔壁
また、前記軸筒2の内壁(即ち後軸2bの内壁)には、前後方向に延び且つ径方向内方に突出する2本のリブよりなる隔壁25が、軸線に対して対称位置に一体に形成される。前記隔壁25は、前記係止壁部24の相互間に形成されるとともに、その前端が、弾発体支持部7の後方且つ窓孔22の前方に位置される。
【0024】
前記後軸2bの窓孔22の相互間の側壁外面には、クリップ26が設けられる。
【0025】
・弾発体支持部
軸筒2の内壁(即ち後軸2bの内壁)には、円筒状の弾発体支持部7が固着される。前記弾発体支持部7は、レフィル4,5が挿通される複数(具体的には2個)の内孔71が前後方向に貫設されている。レフィル4,5を軸筒2内に収容した状態において、前記弾発体支持部7の後面と、各々の操作部43,53の鍔部43e,53eの前面との間には、弾発体6が配置される。前記各々の弾発体6の内部にレフィル4,5(即ち、接続管42、インキ収容管52)が遊挿されるとともに、各々の弾発体6の前端は弾発体支持部7の後面に係止され、各々の弾発体6の後端は操作部43,53の鍔部43e,53eの前面に係止される。尚、前記弾発体支持部7は、軸筒2内壁に一体に形成されてもよい。
【0026】
・蓋部
前記後軸2bの後端部には、前記開口部23を開閉自在にする蓋部3が回動自在に設けられる。前記蓋部3の一端部は、クリップ26基部に、ヒンジ部32により回動自在に接続される。前記ヒンジ部32は、チップ部下向きでクリップ26を正面視したときのクリップ26の左右方向に延設され、それにより、前記蓋部3は、略前後方向に回動自在となる。前記蓋部3の前面には、当接壁部31が形成される。前記当接壁部31に、チップ部没入状態のレフィル4,5の後端の操作部43,53の後端が当接される。
【0027】
前記蓋部3の他端部の前面には、係合部33が設けられる(具体的には係合凹部または係合孔部が形成される)。後軸2bの後端には、前記係合部33と係合可能な被係合部27が設けられる(具体的には係合凸部が突設される)。
【0028】
前記係合部33と前記被係合部27とは、蓋部3が開口部23を閉鎖した際、互いに係合状態にあり、弾発体6の後方への付勢による操作部43,53と蓋部3の前面の当接壁部31との当接では、その係合状態は解除されず、蓋部3が開くことはない。
【0029】
・多芯筆記具用レフィル
図4及び図5に、本発明の多芯筆記具用レフィル4の実施の形態、及び図1の多芯筆記具1に用いる静電気除去機能を有するレフィル4を示す。
【0030】
図4に示すレフィル4は、チップ部41と、操作部43と、前記チップ41部と操作部43との間を接続する接続管42とを備える。前記接続管42内部において、チップ部41、抵抗体44、及び操作部43が直列に電気的に接続される。前記チップ部41及び操作部43は、導電性材料から形成される。前記導電性材料は、例えば、金属、導電性樹脂、導電性エラストマー、導電性セラミック、導電性皮膜を有する樹脂等が挙げられる。前記接続管42は、両端が開口された筒状体であり、絶縁材料(例えば、ポリプロピレン等の非導電性合成樹脂)からなる。前記接続管42の前端開口部には、チップ部41が圧入固着され、前記接続管42の後端開口部には、操作部43の嵌入部43dが圧入固着される。前記抵抗体44は、1メガオーム以上の高い抵抗値を示すものが採用される。
【0031】
図5に示すレフィル4は、チップ部41と、操作部43と、前記チップ部41と操作部43との間を接続する接続管42とを備える。前記接続管42内部において、チップ部41、発光ダイオード45、抵抗体44、及び操作部43が直列に電気的に接続される。前記チップ部41及び操作部43は、導電性材料から形成される。前記導電性材料は、例えば、金属、導電性樹脂、導電性エラストマー、導電性セラミック、導電性皮膜を有する樹脂が挙げられる。前記接続管42は、両端が開口された筒状体であり、絶縁材料(例えば、ポリプロピレン等の非導電性合成樹脂)からなる。前記接続管42の前端開口部には、チップ部41が圧入固着され、前記接続管42の後端開口部には、操作部43の嵌入部43dが圧入固着される。前記抵抗体44は、1メガオーム以上の高い抵抗値を示すものが採用される。前記発光ダイオード45は、操作部43からチップ部41に静電気が流れたときに発光し、静電気が除電されたことを確認するものである。
【0032】
静電気除去機能を有するレフィル4の後端の操作部43は、後端部に形成され且つ軸筒2の窓孔22から外部に突出する接触部43aと、該接触部43aの径方向反対側に設けられる前側突出部43bと、該接触部43aの径方向反対側の前側突出部43bの後方に設けられる後側突出部43cと、前端部に形成され且つ接続管42の後端開口部23に嵌入される嵌入部43dと、該嵌入部43dの後方に形成される鍔部43eとを備える。前記静電気除去機能を有するレフィル4を軸筒2内に収容した状態において、前記鍔部43eの前面に弾発体6の後端が係止される。
【0033】
図1及び図2に示す他のレフィル5は、筆記具レフィル(ボールペンレフィル)であり、前端にボールが回転可能に抱持されたチップ部51(ボールペンチップ)と、該チップ部51を前端に備えたチップ部保持筒と、該チップ部保持筒を前端に備えたインキ収容管52とからなる。
【0034】
また、前記チップ部51は、前端に回転可能に抱持されたボールをスプリング等により前方に付勢し、前端縁部の内面にボールを密接させる構成でもよい。また、前記チップ部51は、インキ収容管52の前端開口部に圧入等により直接、取り付けてもよいが、本実施の形態ではチップ部保持筒を介してインキ収容管52の前端開口部に固着される。尚、本発明(即ち第1の発明)では、前記筆記具レフィル5は、ボールペンレフィル以外に、例えば、シャープペンシルレフィル、マーキングペンレフィル、入力ペンレフィル等であってもよい。
【0035】
前記インキ収容管52の内部には、インキ(例えば、剪断減粘性を有する水性ゲルインキ、低粘度の水性インキ、低粘度の油性インキ、または高粘度の油性インキ)が収容される。前記インキが、剪断減粘性を有する水性ゲルインキ、低粘度の水性インキ、または低粘度の油性インキの場合、インキ収容管52内のインキの後端には、インキの消費に伴い前進する高粘度流体からなる追従体が充填される。
【0036】
筆記具レフィル5の後端の操作部53は、後端部に形成され且つ軸筒2の窓孔22から外部に突出する接触部53aと、該接触部53aの径方向反対側に設けられる前側突出部53bと、該接触部53aの径方向反対側の前側突出部53bの後方に設けられる後側突出部53cと、前端部に形成され且つインキ収容管52の後端開口部に嵌入される嵌入部53dと、該嵌入部53dの後方に形成される鍔部53eとを備える。レフィル5を軸筒2内に収容した状態において、前記鍔部53eの前面に弾発体6の後端が係止される。
【0037】
レフィル4,5のチップ部41,51が軸筒2内に没入状態のとき、そのレフィル4,5の操作部43,53の後端部は、蓋部3の前面に形成された当接壁部31に当接される。一方、レフィル4,5のチップ部41,51が突出状態のとき、そのレフィル4,5の操作部43、53の後端部は、軸筒2の内壁に形成された係止壁部24に係止される。
【0038】
チップ部没入状態にあるレフィル4,5の後端の操作部43,53の前側突出部43b,53bは、その操作部43,53を前方にスライド操作した際、先に突出状態にある他のレフィル5,4の後端の操作部53,43の後側突出部53c,43cと当接され、他のレフィル5,4のチップ部突出状態が解除される。
【0039】
・チップ部の出没
本実施の形態におけるチップ部41,51の出没作動について説明する(図1及び図2参照)。
一つの操作部43,53を弾発体6の後方付勢に抗して窓孔22に沿って前方にスライド操作すると、そのスライド操作された操作部43,53の前側突出部43b,53bが、先に突出状態にある他のレフィル5,4の操作部53,43の後側突出部43c,53cを径方向外方に持ち上げる。それにより、軸筒2内壁の係止壁部24と操作部53,43との係止状態が解除され、他のレフィル5,4が弾発体6の後方付勢により後方に移動され、他のレフィル5,4のチップ部51,41が軸筒2内に没入され、他のレフィル5,4の操作部53,43の後端が蓋部3の前面の当接壁部31に当接される。前記他のレフィル5,4のチップ部51,41の没入と同時に、前記前方にスライド操作した操作部43,53を有するレフィル4,5のチップ部41,51が、軸筒2の前端孔21より外部に突出されるとともに、前方にスライド操作された操作部43,53の後端が軸筒2内壁の係止壁部24に係止され、そのチップ部突出状態が維持される。
【0040】
・レフィルの交換
本実施の形態におけるレフィル4,5の交換について説明する。
レフィル4,5を交換する際、蓋部3が軸筒2の後端の開口部23を閉鎖した状態(図1参照)から、蓋部3のヒンジ部32と反対側の操作端部を後方に押圧し、係合部33と被係合部27との係合を解除し、蓋部3を後方に回動させ、軸筒2の後端の開口部23を開口する。前記開口部23を開口させると、前記開口部23から各々の操作部43,53が、弾発体6の後方付勢により後方外部に突出される。前記軸筒2の後端の開口部23が開口した状態(図3参照)で、操作部43,53を取り出すことにより、その操作部43,53を備えたレフィル4,5を、前記開口部23を通して軸筒2内から取り出す。その後、新たなレフィル4,5を、前記開口部23を通して軸筒2内に挿入する。そして、蓋部3の当接壁部31に各々の操作部43,53を当接させ、各々の操作部43,53を前方に押圧しながら蓋部3を前方に回動させ、その後、係合部33と被係止部27とを係合させ、開口部23を閉鎖する。これにより、レフィル4,5の交換作業が終了する。
【0041】
・静電気除去
静電気の除去について説明する。
前記静電気除去機能を有するレフィル4のチップ部41を軸筒2の前端孔21から外部に突出させる。この状態で、操作部43の接触部43aに手で触れながら多芯筆記具1を把持し、レフィル4のチップ部41を金属物に接触させる。これにより、人体からの静電気が抵抗体44を通って金属物へ流れ、人体の静電気が除去される。このとき、静電気は抵抗体44をゆっくり流れるため、手に衝撃を感じることを回避できる。
【0042】
本実施の形態の多芯筆記具1は、レフィルの一つが静電気除去機能を有し、前記静電気除去機能を有するレフィル4のチップ部41及び操作部43を導電性材料により構成し、前記導電性材料によりなるチップ部41と操作部43との間を、抵抗体44を介して電気的に接続してなることにより、静電気除去具を別に用意する必要がなく、静電気除去機能を有し且つ携帯に便利となる。
【0043】
本実施の形態の多芯筆記具1は、静電気除去機能を有するレフィル4のチップ部41が軸筒2の前端孔21より外部に突出した状態で、静電気除去機能を有するレフィルの操作部43が窓孔22より径方向外方に突出してなることにより、静電気除去を行う際、操作部43を手で容易に接触することでき、静電気除去を確実に行うことができる。
【0044】
本実施の形態の多芯筆記具1は、開口部23を通して前記静電気除去機能を有するレフィル4を軸筒2内から取り外し可能且つ軸筒2内に挿入可能に構成したことにより、ユーザーが選択して静電気除去機能を有するレフィル4を軸筒2内に収容して使用すること(例えば、静電気除去機能を有するレフィル4を冬場の乾燥時期のみに使用すること)ができる。
【0045】
本実施の形態の多芯筆記具用レフィル4は、使用時に軸筒2内に複数本が収容され、各々の後端に備えた操作部43を軸筒2の側壁より突出させ、前記操作部43を前方にスライド操作することにより軸筒2の前端からチップ部41を出没させる多芯筆記具用レフィルであって、前記レフィル4が静電気除去機能を有し、前記レフィル4のチップ部41及び操作部43を導電性材料により構成し、前記導電性材料によりなるチップ部41と操作部43との間を、抵抗体44を介して電気的に接続してなることにより、ユーザーが選択して軸筒2内に収容して使用すること(例えば、冬場の乾燥時期のみに使用すること)ができる,静電気除去機能を有するレフィルを得る。
【符号の説明】
【0046】
1 多芯筆記具
2 軸筒
2a 前軸
2b 後軸
21 前端孔
22 窓孔
23 開口部
24 係止壁部
25 隔壁
26 クリップ
27 被係合部
3 蓋部
31 当接壁部
32 ヒンジ部
33 係合部
4 静電気除去機能を有するレフィル
41 チップ部
42 接続管
43 操作部
43a 接触部
43b 前側突出部
43c 後側突出部
43d 嵌入部
43e 鍔部
44 抵抗体
45 発光ダイオード
5 筆記具レフィル
51 チップ部
52 インキ収容管
53 操作部
53a 接触部
53b 前側突出部
53c 後側突出部
53d 嵌入部
53e 鍔部
6 弾発体
7 弾発体支持部
71 内孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸筒内に複数のレフィルを前後方向に移動可能に収容し、前記各々のレフィルの後端に操作部を設け、前記各々のレフィルを後方に付勢する複数の弾発体を軸筒内に収容し、前記軸筒の側壁に前後方向に延びる複数の窓孔を径方向に貫設し、前記各々の窓孔から径方向外方に前記各々の操作部を突出させ、一つの操作部を窓孔に沿って前方にスライドさせることにより、その一つの操作部を有するレフィルのチップ部を軸筒の前端孔から突出させるとともに、先に突出状態にあった他のレフィルのチップ部を軸筒内に没入させてなる多芯筆記具であって、
前記レフィルの一つが静電気除去機能を有し、前記静電気除去機能を有するレフィルのチップ部及び操作部を導電性材料により構成し、前記導電性材料によりなるチップ部と操作部との間を、抵抗体を介して電気的に接続してなることを特徴とする多芯筆記具。
【請求項2】
静電気除去機能を有するレフィルのチップ部が軸筒の前端孔より外部に突出した状態で、静電気除去機能を有するレフィルの操作部が窓孔より径方向外方に突出してなる請求項1記載の多芯筆記具。
【請求項3】
軸筒の後端に、窓孔を後方に開口させる開閉自在の開口部を設け、前記開口部を通して前記静電気除去機能を有するレフィルを軸筒内から取り外し可能且つ軸筒内に挿入可能に構成した請求項1または2記載の多芯筆記具。
【請求項4】
使用時に軸筒内に複数本が収容され、各々の後端に備えた操作部を軸筒の側壁より突出させ、前記操作部を前方にスライド操作することにより軸筒の前端孔からチップ部を出没させる多芯筆記具用レフィルであって、
前記レフィルが静電気除去機能を有し、前記レフィルのチップ部及び操作部を導電性材料により構成し、前記導電性材料によりなるチップ部と操作部との間を、抵抗体を介して電気的に接続してなることを特徴とする多芯筆記具用レフィル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−93207(P2011−93207A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−249448(P2009−249448)
【出願日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(000111890)パイロットインキ株式会社 (832)
【Fターム(参考)】