説明

多階調フォトマスクの製造方法及び多階調フォトマスク

【課題】半透光部における半透光膜の膜厚を一定にすると共に半透光膜と遮光膜との境界部における階調の変化を急峻にする。
【課題を解決するための手段】
透明基板上に露光光を遮断する遮光部と露光光を透過する透光部と露光光の一部を透過する半透光部とを含む多階調フォトマスクを準備する。次に、遮光部と半透光部との境界に露光装置の解像度限界以下の幅を持つ透過帯を形成する。この透過帯を形成する工程は、遮光部、透光部及び半透光部形成後に、ザッピングによって遮光膜と半透光膜の境界部に露光装置の解像限界以下の幅を持つ透過帯を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半透光膜を利用した多階調フォトマスクに関し、特に、遮光部と半透光部との境界部でコントラスト(光の強弱比)を向上させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
多階調フォトマスクは膜厚の異なるレジストパターンを1回の露光で形成できることから、マスク工程数を削減など種々の利点があるため、注目されている(特許文献1〜3等参照)。
【0003】
しかし、従来の多階調フォトマスクは、遮光部と半透光部との境界部でコントラスト(光の強弱比)が低下しやすく、すなわち、多階調フォトマスクを用いた投影露光の際に、境界部に対応した部分の、フォトレジストを現像して得られるレジスト膜厚の変化が緩やかになりやすかった。
【0004】
この問題を解決するため、例えば、特許文献4では、透明基板上に遮光膜と半透光膜とがこの順に積層したいわゆる「ボトムハーフ型」の多階調フォトマスクについて、「遮光領域」と「半透明領域」との間に、「透明基板が露出した透過率調整領域」を形成した構成を開示している(第19段落〜第22段落、図1等)。
【特許文献1】特開2002−196474号公報
【特許文献2】特開2007−233350号公報
【特許文献3】特開2008−058943号公報
【特許文献4】特開2008−065138号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
多階調フォトマスクには、「ボトムハーフ型」のほか、透明基板上に遮光膜と半透光膜とがこの順に積層したいわゆる「トップハーフ型」の多階調フォトマスクも知られている。
【0006】
トップハーフ型フォトマスクを用いた場合にも、透光部と半透光部との境界部でコントラストが低下する問題は存在するが、そのメカニズムはやや異なっている。すなわち、トップハーフ型の場合、半透光膜が遮光膜のパターンを被覆するように形成されるため、コントラストの低下は、遮光膜のエッジ部における半透光膜の段差が露光光を散乱することに起因する。
【0007】
例えば、図4(a)及び(b)は、従来のいわゆるトップハーフ型の多階調フォトマスク101(それぞれ平面図及び断面図)を示している。これらの図に示すように従来の多階調フォトマスクは、遮光部Aと半透光部Bと透光部Cとを備え、遮光部を構成する遮光膜111のパターンが半透光膜112によって覆われた構造を備えるが、図4(b)に示す断面図から明らかなように、遮光膜111のパターンの遮光部と半透光膜112のパターンの境界部(エッジ部)には、半透光膜112が遮光膜111のパターンを被覆する際に形成された半透光膜112の段差Sが形成されている。
【0008】
図4(c)は、図4(b)に示す多階調フォトマスク101に露光装置(不図示)からの露光光Iを照射し、その後、現像等の工程を経て完成したレジストパターンの断面形状である。露光対象基板300に膜厚が露光部位に応じて変化したレジストパターン305が形成されているが、半透光部におけるレジスト膜厚は両端部で厚くなっていて不均一であり、しかも遮光部と半透光部との境界ではレジスト膜厚がなだらかに変化していることが分かる。これは、図中に破線で示した理想的なレジストパターン形状Rとは大きくかけ離れた形状であることが分かる。
【0009】
図5は、段差Sにおいて露光光Iが散乱される様子を示している。この図に示すように、段差Sでは、隣接する半透光膜112の膜厚よりも局所的に膜厚が大きいとともに、表面の形状はなだらかな曲面状の断面となっている。そのため、段差Sを通過する露光光は直進することができず、種々の方向に散乱される。
【0010】
その結果、投影露光された半透光部に対応するレジストパターンの形状は、段差Sに対応する部分でなだらかになってしまい、コントラスト(光の強弱比)が低下するために階調の変化が判別しにくくなり、工程のプロセスマージンが不足する問題があった。
【0011】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、半透光部における半透光膜の膜厚を一定にすると共に半透光膜と遮光膜との境界部に対応する階調の変化を急峻にして工程のプロセスマージンを大きくすることを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る多階調フォトマスクの製造方法は、露光装置から露光光を照射することにより、レジスト膜を形成した露光対象基板上にレジストパターンを形成するために用いられ、
透明基板上に前記露光光を遮断する遮光部と前記露光光を透過する透光部と前記露光光の一部を透過する半透光部とを含む多階調フォトマスクに対し、
前記遮光部と前記半透光部との境界に前記露光装置の解像度限界以下の幅を持つ透過帯を形成する工程を含む多階調フォトマスクの製造方法であって、
前記透過帯を形成する工程は、前記遮光部、透光部及び半透光部形成後に、ザッピングによって前記遮光膜と前記半透光膜の境界部に前記露光装置の解像限界以下の幅を持つ透過帯を形成することを特徴とする。
【0013】
ザッピングは通常、多階調フォトマスクを形成した後、パターンの不良箇所を修正する際に用いられるが、本発明における技術的特徴の一つは、そのザッピング工程において、パターンの不良箇所だけでなく、コントラストが低下しやすい遮光部と半透光部との境界部にもザッピングを行うことで、事後的に透過帯を形成することである。このような方法により、多階調フォトマスクの構造すなわち遮光部において半透光膜が遮光膜の上方側に設けられるトップハーフ型であると、半透光膜が遮光膜の下方側に設けられるボトムハーフ型とを問わず、事後的に遮光部と半透光部の境界部のコントラストを高めることができるようになる。
【0014】
なお、上記構成における透過帯の幅は、露光装置の解像限界以下の幅に設定されているため、透過帯が現像時に解像されることはない。また、透過帯は事後的に形成されるため、実際に露光・現像を行ったあとで、コントラストが不足する特定のパターンにのみ形成することができる利点もある。
【0015】
上記構成において、透明基板上に遮光膜を形成する工程と、前記遮光膜の上に第1のフォトレジスト膜を形成して露光装置から露光光を照射し現像することにより遮光膜のパターンを形成する第1のパターン形成工程と、前記遮光膜のパターンを覆うように半透光膜を形成する工程と、前記半透光膜の上に第2のフォトレジスト膜を形成して露光装置から露光光を照射し現像することにより半透光膜のパターンを形成する第2のパターン形成工程とを含んでいてもよい。
【0016】
このような構成を含む場合には多階調フォトマスクがいわゆるトップハーフ型構造である場合が含まれる。上述のように本発明に係る多階調フォトマスクの製造方法は、フォトマスクの構造を問わずに適用可能であることは既に述べたとおりであるが、特にトップハーフ型の場合は遮光膜のエッジ部に段差部が形成されやすいため、この部分を効果的に露光装置の解像限界以下の幅だけ除去できる点で、より一層効果があると考えられる。
【0017】
本発明の構成における前記ザッピングはレーザー蒸散法又は集束イオンビーム法であることが好ましい。これらは欠陥を修正する工程で使用される手段の一例であり、透明基板上に形成された半透光膜又は半透光膜と遮光膜の積層膜(積層の順序は問わない)を除去することができるため、露光装置の解像限界以下の幅を持つ透過帯を形成することが可能だからである。
【0018】
本発明に係る多階調フォトマスクは、露光装置から露光光を照射することにより、レジスト膜を形成した露光対象基板上にレジストパターンを形成するために用いられ、
透明基板上に前記露光光を遮断する遮光部と前記露光光を透過する透光部と前記露光光の一部を透過する半透光部とを含む多階調フォトマスクであって、
前記遮光部と前記半透光部との境界に前記露光装置の解像度限界以下の幅を持つ透過帯を有し、前記透過帯の両端部に局所的な膜厚変動部が形成されていることを特徴とする。
【0019】
なお、上記構成のような膜厚変動部が形成されるのは、ザッピングをレーザー蒸散法(「レーザーザッピング」ともいう。)とした場合であり、膜厚変動部は露光装置の解像限界以下の大きさであることが必要であることは言うまでもない。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る多階調フォトマスクの製造方法では、遮光部と半透光部とが隣接する境界部に事後的にザッピングによって透過帯が形成される。この方法の利点は、すでに完成している従来の(透過帯が形成されていない)多階調フォトマスクに事後的に透過帯を設けられる点である。対象となる多階調フォトマスクはトップハーフ型でもボトムハーフ型でもよい。本発明に係るフォトマスクの製造方法により得られたフォトマスクを用いてレジストパターン形成を行うと、遮光部と半透光部とのコントラスト(光の強弱比)が向上するために階調の変化が判別しやすくなり、工程のプロセスマージンを大きくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
第1の実施形態では、本発明に係る多階調フォトマスクの製造方法とこれによって得られるフォトマスクの一例について説明する。
【0022】
(第1の実施形態)
すでに述べたように、図4(a)及び(b)は、従来のいわゆるトップハーフ型の多階調フォトマスク101を示している。これらの図に示すように従来の多階調フォトマスクは、遮光部Aと半透光部Bと透光部Cとを備え、遮光部を構成する遮光膜111のパターンが半透光膜112によって覆われた構造を備えるが、図4(b)に示す断面図から明らかなように、遮光膜111のパターンの遮光部と半透光膜112のパターンの境界部(エッジ部)には、半透光膜112が遮光膜111のパターンを被覆する際に形成された半透光膜112の段差Sが形成されている。そして、従来のフォトマスク101を使用してそのまま露光を行うと、図4(c)に示すように、段差Sに起因して遮光部と半透光部との境界部でコントラストが低下する。
【0023】
本発明では、従来のフォトマスク101のパターン上の必要な箇所に、事後的にザッピングを行い、透過帯を形成する。すなわち、多階調フォトマスクは従来の製造方法で形成したもので構わない。必要な箇所に対してのみ、コントラストを向上させるためのパターンを事後的に形成する。具体的には、コントラストが低下する原因となる段差S部に、露光装置の解像限界以下の幅を持つ透過帯を形成すればよい。
【0024】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る多階調フォトマスクの製造方法を説明するための手順を示す図である。
【0025】
ステップS1は、常法に従って従来の多階調フォトマスクを形成する工程である。トップハーフ型構造の多階調フォトマスクの製造方法を例にとると、ステップS1は、透明基板上に遮光膜を形成する工程、遮光膜の上に第1のフォトレジスト膜を形成して露光装置から露光光を照射し現像することにより遮光膜のパターンを形成する第1のパターン形成工程、遮光膜のパターンを覆うように半透光膜を形成する工程、半透光膜の上に第2のフォトレジスト膜を形成して露光装置から露光光を照射し現像することにより半透光膜のパターンを形成する第2のパターン形成工程等を含む。
【0026】
ステップS2は、ステップS1で得られた多階調フォトマスクを用いて露光・現像を行うステップである。この工程により、パターン欠陥及び低コントラスト部など露光不良箇所の有無を確認する。なお、大型フォトマスクなどの場合、露光及び現像には所定の設備等が必要となるため、不良パターンと露光不良の関係を示す露光不良データの蓄積があれば、ステップS2を省略してもよい。
【0027】
ステップS3は、露光不良位置のデータに基づいて、光学顕微鏡などにより、多階調フォトマスク上の欠陥又は低コントラスト部のパターンを特定する工程である。
【0028】
ステップS4は、露光不良位置にザッピングを行う工程である。この工程により、透過帯及びパターン欠陥部の半透光膜が除去される。なお、半透光膜のパターン欠陥修正工程が必要な場合は、その後さらに所定の成膜装置で半透光膜を形成する工程等が必要となる。このザッピングにはレーザー蒸散法(いわゆるレーザーザッピング)又はガリウムイオン等を照射する集束イオンビーム法などの手段を用いることができる。これにより、段差S部に、露光装置の解像限界以下の幅を持つ透過帯を形成することで半透光部における半透光膜の膜厚が一定になり、遮光部と半透光部の境界部に対応する露光・現像後のコントラストが鮮明になる。
【0029】
図2(a)は、本発明の第1の実施形態に係る多階調フォトマスクのパターンの一部を示す平面図である。また、図2(b)は、図2(a)に示すX2−X2線の断面図である。これらの図に示すように、多階調フォトマスク1は、透明基板10の表面に遮光膜のパターン11が形成され、その上部に半透光膜のパターン12が形成されている。
【0030】
この多階調フォトマスク1は、透明基板10上に遮光部Aと透光部Bと半透光部Cとが設けられ、1回の露光で露光光の強度に変化を加えることで中間の階調を現すことができるものである。
【0031】
遮光部Aは、遮光膜11のパターンが形成されている部分で構成され、これには遮光膜の上に半透光膜12が積層している部分も含まれる。半透光部Bは、半透光膜の12のパターンが形成されている部分で構成され、これには半透光膜の端部に設けられた帯状の透過領域(これを、「透過帯20」という。)も含まれる。透光部Cは、露光パターン形成領域のうち、遮光部及び半透光部以外の部分であって、透明基板10の上に透過率を大きく変化させる膜が形成されていない部分をいう。
【0032】
透過帯20は、ステップS4によって形成される帯状のパターンであり、その幅dは露光装置の解像度限界以下に設定されている。このため、透過帯のパターンがフォトレジスト上に転写されることはない。なお、ステップS4において、ザッピングをレーザーザッピングとした場合、図1(b)に示すように、半透光膜のエッジ部に局所的な膜厚変動部26が形成されやすい。膜厚変動部の大きさはレーザー光の条件によって異なるが、レーザーザッピングを行う限り、レーザー光の通る軌跡に沿って必ず形成される。膜厚変動部26が形成される原因は、レーザー光の熱エネルギーによって端部の薄膜が剥離して丸くなるためと考えられている。このため、レーザー光のエネルギーが大きすぎると膜厚は周囲よりも厚くなり、小さければ膜厚は薄くなる傾向がある。予めレーザー光の条件を検討し露光に悪影響を与えない程度に調整しておくことが必要である。
【0033】
いずれにせよ、ザッピングにレーザーザッピングを適用して本発明に係る多階調フォトマスクを製造したことは、上述の膜厚変動部26の有無を観察することで検証が可能である。
【0034】
半透光部Bに透過帯20を設けると半透光部を通過する露光光の光量が増大するため、ザッピングによる透過帯の幅は必要最小限に調整することが好ましく、必要であれば、予めパターンの設計段階で、半透光膜の透過率が小さくなるように設定することが好ましい。具体的には、透過帯の形成予定領域が予め分かっている場合には、半透光膜の膜厚を透過帯を設けない場合よりも大きく設定するか、または半透光膜の組成を調整し、半透光膜を構成する金属原子(例えばクロム等)の組成比率が大きくなるようにする。このようにすれば、透過帯20による光量の増大分を差し引いて、露光した際に全体としての光量が変わらないように調整することができる。
【0035】
なお、上述のように透過帯20の幅は、半透光部の寸法、特に、相対する遮光部の間隔と投影露光装置の解像度の両方を考慮して選択する必要がある。一例を挙げると、半透光部の幅(相対する遮光部間の距離)が4μm、投影露光装置の解像度が約2μmとした場合、種々の実験の結果によると、透過帯の幅は約0.5〜1.5μmの範囲、特に1.0μm程度が好ましいことが分かっている。
【0036】
図2(c)は、図2(b)に示す多階調フォトマスク1に投影露光装置(不図示)からの露光光Iを照射し、その後、現像等の工程を経て完成したレジストパターンの断面形状である。露光対象基板30に膜厚が露光部位に応じて変化した多階調のレジストパターン35が形成されているが、半透光部に対応するレジスト膜厚が均一であり、しかも遮光部と半透光部との境界ではレジスト膜厚が急峻に変化していることが分かる。
【0037】
すなわち、本発明の第1の実施形態に係る多階調フォトマスクによると、図中に破線で示した理想的なレジストパターン形状Rに近づき、遮光部と半透光部との境界部でコントラスト(光の強弱比)を大きくしてプロセスマージンを増大させることができた。
【0038】
(第2の実施形態)
図3(a)〜図3(c)は、透過帯の形状のバリエーションを示している。図3(a)は、L字状に構成された2つの遮光膜で挟まれた領域が半透光部となる場合であり、遮光部を構成する遮光膜11aと半透光部を構成する半透光膜12aとの境界に透過帯20aが設けられている。図3(b)は、I字状に構成された2つの遮光膜で挟まれた領域が半透光部となる場合であり、遮光部を構成する遮光膜11bと半透光部を構成する半透光膜12bとの境界に透過帯20bが設けられている。図3(c)は、正多面体(円形を含む)等のホール形状に構成された遮光膜の内部の領域が半透光部となる場合であり、遮光部を構成する遮光膜11cと半透光部を構成する半透光膜12cとの境界に透過帯20cが設けられている。
【0039】
いずれの場合にも、透過帯20a〜20cを設けたことによって、フォトレジストパターン形成後の遮光部と半透光部との境界部に対応するレジスト膜厚の変化が急峻となり、工程のプロセスマージンが増大した。
【0040】
(第3の実施形態)
第1及び第2の実施形態では、遮光膜のパターンを形成した後、半透光膜を形成する、いわゆる「トップハーフ型」とよばれる構造の多階調フォトマスクを用いた実施態様を説明したが、本発明は、半透光膜が遮光膜の下層に設けられる「ボトムハーフ型」と呼ばれる構造の多階調フォトマスクにも適用できる。
【0041】
周知の通り、ボトムハーフ型多階調フォトマスクは、透明基板上に半透光膜と遮光膜とがこの順に積層されたマスクブランクスに対して上層の遮光膜と下層の半透光膜のそれぞれを順次パターニングして得られるが、半透光膜のパターン形成工程の際に、透過帯のパターンを形成することで、容易に製造することができる。このように、ボトムハーフ型の多階調フォトマスクについては、図4のような段差Sが生じにくいが、その場合でも、透過帯を設ければ、半透光部における半透光膜の膜厚を一定にすると共に半透光膜と遮光膜との境界部に対応する階調の変化を急峻にして工程のプロセスマージンを大きくすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明に係る多階調フォトマスクはレジストパターン形成工程におけるプロセスマージンを増大させるものとして産業上の利用可能性はきわめて大きい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態に係る多階調フォトマスクの製造方法を説明するための手順を示す図である。
【図2】図2(a)は、本発明の第1の実施形態に係る多階調フォトマスクのパターンの一部を示す平面図である。図2(b)は、図2(a)に示すX2−X2線の断面図である。図2(c)は、図2(b)に示す多階調フォトマスク1に露光装置(不図示)からの露光光Iを照射し、その後、現像等の工程を経て完成したレジストパターンの断面形状である。
【図3】図3(a)〜図3(c)は、透過帯の形状のバリエーションを示している。図3(a)は、L字状に構成された2つの遮光膜で挟まれた領域が半透光部となる場合、図3(b)は、I字状に構成された2つの遮光膜で挟まれた領域が半透光部となる場合、図3(c)は、正多面体(円形を含む)等のホール形状に構成された遮光膜の内部の領域が半透光部となる場合である。
【図4】図4(a)は、従来の多階調フォトマスクのパターンの一部を示す平面図である。図4(b)は、図4(a)に示すX1−X1線の断面図である。図4(c)は、図4(b)に示す多階調フォトマスク101に投影露光装置(不図示)からの露光光Iを照射し、その後、現像等の工程を経て完成したレジストパターンの断面形状である。
【図5】図5は、半透光膜の段差Sにおいて露光光が散乱される様子を示している。
【符号の説明】
【0044】
1 多階調フォトマスク
11、111 遮光膜
12,112 半透光膜
20 透過帯
26 膜厚変動部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
露光装置から露光光を照射することにより、レジスト膜を形成した露光対象基板上にレジストパターンを形成するために用いられ、
透明基板上に前記露光光を遮断する遮光部と前記露光光を透過する透光部と前記露光光の一部を透過する半透光部とを含む多階調フォトマスクに対し、
前記遮光部と前記半透光部との境界に前記露光装置の解像度限界以下の幅を持つ透過帯を形成する工程を含む多階調フォトマスクの製造方法であって、
前記透過帯を形成する工程は、前記遮光部、透光部及び半透光部形成後に、ザッピングによって前記遮光膜と前記半透光膜の境界部に前記露光装置の解像限界以下の幅を持つ透過帯を形成することを特徴とする多階調フォトマスクの製造方法。
【請求項2】
透明基板上に遮光膜を形成する工程と、前記遮光膜の上に第1のフォトレジスト膜を形成して露光装置から露光光を照射し現像することにより遮光膜のパターンを形成する第1のパターン形成工程と、前記遮光膜のパターンを覆うように半透光膜を形成する工程と、前記半透光膜の上に第2のフォトレジスト膜を形成して露光装置から露光光を照射し現像することにより半透光膜のパターンを形成する第2のパターン形成工程とを含むことを特徴とする請求項1記載の多階調フォトマスクの製造方法。
【請求項3】
前記ザッピングはレーザー蒸散法又は集束イオンビーム法であることを特徴とする請求項1記載の多階調フォトマスクの製造方法。
【請求項4】
露光装置から露光光を照射することにより、レジスト膜を形成した露光対象基板上にレジストパターンを形成するために用いられ、
透明基板上に前記露光光を遮断する遮光部と前記露光光を透過する透光部と前記露光光の一部を透過する半透光部とを含む多階調フォトマスクであって、
前記遮光部と前記半透光部との境界に前記露光装置の解像度限界以下の幅を持つ透過帯を有し、前記透過帯の両端部に局所的な膜厚変動部が形成されていることを特徴とする多階調フォトマスク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−61020(P2010−61020A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−228643(P2008−228643)
【出願日】平成20年9月5日(2008.9.5)
【出願人】(302003244)株式会社エスケーエレクトロニクス (31)
【Fターム(参考)】