説明

大麦フレークの品質管理方法、発泡性飲料、及び、その製造方法

【課題】大麦フレークについて、得られる麦汁エキス濃度と相関のある指標を解明するとともに、この新たな知見に基づく新規な大麦フレークの品質管理方法、発泡性飲料、及び、その製造方法について提案する。
【解決手段】入力手段、制御手段、を備えた情報処理装置による大麦フレークの品質管理方法であって、前記制御手段は、前記入力手段にて入力された大麦フレークの実測吸水率A(%)に基づいて、関係式(1):B=αA+β(α、及び、βは回帰式から決定される定数)にて予測麦汁エキス濃度B(%)を算出するステップと、を実行させる大麦フレークの品質管理方法とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡酒などの発泡性飲料の醸造用原料として、大麦フレークを利用する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、発泡酒などの発泡性飲料の醸造用原料として大麦フレークが利用されており、例えば、特許文献1、非特許文献1に開示されるごとく、この大麦フレークを利用した発泡酒も周知となっている。
【0003】
そして、この大麦フレークは、麦芽に由来する麦汁エキス分を補うための副原料として専ら利用されるものであった。なお、大麦フレークは大麦加工品の一つとして知られるものであって、その製造方法としては、精選された大麦を未精白のまま、あるいは精麦機を用いて精白し、または搗精したものに、加水、蒸煮(蒸気注入による加熱)の工程を実施して澱粉をα化し、次に、ローラーで圧扁(圧力を加えてフレーク状(薄片状)とする)の工程を実施し、その後、冷却、乾燥の工程を実施するものが知られている。
なお、精白してフレーク化したものは一般に押麦としても知られている。また、一般的に、原料となる大麦の品種は特に限定されず、穀粒の大きさについても同様である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−173533号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】アサヒビール株式会社、“ニュースリリース 平成16年2月17日”、[online]、平成16年2月17日、アサヒビール株式会社、[平成21年6月2日検索]、インターネット<URL:http://www.asahibeer.co.jp/news/2004/0217.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように大麦フレークを発泡酒などの発泡性飲料の醸造用原料の一つとして用いられるものであったが、大麦フレークの利用に際しての大麦フレークの品質については、特段の検討が行われていなかった。このことは、大麦フレークを醸造用原料として利用することについて記載する特許文献は存在するものの、いずれの特許文献においても、具体的にどのような品質の大麦フレークが醸造用原料として好適であるか否かについて触れられていないことからも裏付けられるものである。
【0007】
ここで、麦芽については、その品質評価の重要な指標の一つとして、麦汁を製造する際に抽出されるエキス濃度(以下、「麦汁エキス濃度」とする。)がある。そして、大麦フレークの品質評価においても、この麦汁エキス濃度を指標として管理することが検討される。麦汁製造に使用した際に得られる麦汁エキス濃度をあらかじめ知っておくことで、大麦フレークの適切な使用量の算出、設計した麦汁エキス濃度の麦汁の製造が可能になる。また高い麦汁エキス濃度を実現し得る大麦フレークを利用することによれば、効率よく麦汁エキス濃度の高い麦汁を得られるためである。
【0008】
また、米、麦などの穀物一般においては、澱粉価が高いほど穀物から抽出されるエキス濃度が高い、という相関があることが知られている。これは例えば、第4回国税庁所定分析法注解のp154 注解1)に記載のように、デンプンの測定は、加水分解により生成したブドウ糖の定量値から係数を乗じて算出していることなどから明らかである。ただし、大麦フレークそのものについてエキス濃度の検討は従来行われておらず、このことについて開示する文献も存在しない。
【0009】
そこで、大麦フレークについて、澱粉価と麦汁エキス濃度の相関を検討したが、両者には相関がないことが確認された。このことから、澱粉価を指標として大麦フレークを醸造用原料として利用することは、麦汁エキス濃度管理の観点では、必ずしも好ましいとはいえないことになる。
【0010】
一方で、麦汁エキス濃度と相関のある指標を解明し、この指標を用いて大麦フレークの品質を管理することによれば、大麦フレークの使用量の最適化を図ることや製造する麦汁エキス濃度のコントロールが可能となり、麦汁段階での品質管理、発酵工程での品質管理ひいては、最終製品である発泡酒などの発泡性飲料の品質管理をより厳密に行うことも可能となる。また、大麦フレークの使用量の最適化によって、大麦フレークの購入量や在庫管理なども、より厳密に行うことが可能となる。
【0011】
そこで、本発明は、以上の問題に鑑み、大麦フレークについて、麦汁エキス濃度と相関のある指標を解明するとともに、この新たな知見に基づく新規な大麦フレークの品質管理方法、発泡性飲料、及び、その製造方法について提案するものである。
【0012】
以上に加え、大麦フレークについては、仕込み時において他原料と共に湯に混合してもろみとして成分を抽出して糖化を行い、その後麦汁濾過工程で濾過して濾過麦汁と麦粕に分離することでエキス分を抽出する。この麦汁濾過をした後に残った固形物を麦粕と呼び、この麦粕を脱水して家畜飼料の原料として利用することが行われているが、この麦粕の脱水性(脱水のし易さ)について、従来は検討がなされていなかった。
【0013】
このことから、本発明は、大麦フレークを用いた場合の麦粕の脱水性と相関のある指標についても解明し、脱水性に優れた麦粕とするための、技術についても提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0015】
即ち、請求項1に記載のごとく、
入力手段、制御手段、を備えた情報処理装置による大麦フレークの品質管理方法であって、
前記制御手段は、
前記入力手段にて入力された大麦フレークの実測吸水率A(%)に基づいて、予め設定される回帰式にて予測麦汁エキス濃度B(%)を算出するステップ、
を実行させる大麦フレークの品質管理方法とする。
【0016】
また、請求項2に記載のごとく、
前記予測麦汁エキス濃度B(%)と、予め設定される目標麦汁エキス濃度C(%)とを比較するステップ、
をさらに実行させる、こととするものである。
【0017】
また、請求項3に記載のごとく、
前記比較の結果、予測麦汁エキス濃度B(%)と目標麦汁エキス濃度C(%)に差分が生じる場合に、前記差分を生じさせないための代替吸水率D(%)を算出するステップ、
をさらに実行させる、こととするものである。
【0018】
また、請求項4に記載のごとく、
大麦フレークの実測吸水率A(%)に基づいて、予め設定される回帰式にて予測麦汁エキス濃度B(%)を算出し、
前記予測麦汁エキス濃度B(%)に基づいて、大麦フレークの使用量Mを算出し、
前記使用量Mの大麦フレークを原料として用いて製造される、発泡性飲料とする。
【0019】
また、請求項5に記載のごとく、
大麦フレークの実測吸水率A(%)に基づいて、予め設定される回帰式にて予測麦汁エキス濃度B(%)を算出し、
前記予測麦汁エキス濃度B(%)に基づいて、大麦フレークの使用量Mを算出し、
前記使用量Mの大麦フレークを原料として用いる、発泡性飲料の製造方法とする。
【0020】
また、請求項6に記載のごとく、
前記実測吸水率A(%)が、76%以上、120%未満の範囲である大麦フレークを原料として使用する、発泡性飲料の製造方法とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0022】
即ち、請求項1に記載の発明においては、
大麦フレークの使用量Mの最適化を図ることが可能となり、麦汁段階での品質管理、発酵工程での品質管理ひいては、最終製品であるビール・発泡酒などの発泡性飲料の品質管理をより厳密に行うことも可能となる。
【0023】
また、請求項2に記載の発明においては、
比較の結果に基づき、評価対象となる大麦フレークの品質について、仕込収得率に基づいた定量的な評価が出来ると共に、他の評価項目とあわせた総合評価として良/可/不良、といった評価を行うことができる。
なお、仕込収得率は例えば「ビール醸造技術(宮地秀雄、食品産業新聞社刊)p282 7.10.2 仕込収得率」に記載の方法で算出される。
【0024】
また、請求項3に記載の発明においては、
評価対象となる大麦フレークについて、要求される望ましい吸水率(%)(代替吸水率D(%))を把握することが可能となる。
【0025】
また、請求項4に記載の発明においては、
香味、麦汁エキス、仕込収得率などの各種品質管理項目について、安定した麦汁を製造することが出来る。このことは、ひいては発酵等の仕込以降の製造工程の安定につながり、最終的に安定した品質の発泡性飲料を製造することができる。
【0026】
また、請求項5に記載の発明においては、
香味、麦汁エキス、仕込収得率などの各種品質管理項目について、安定した麦汁を製造することが出来る。このことは、ひいては発酵等の仕込以降の製造工程の安定につながり、最終的に安定した品質の発泡性飲料を製造することができる。
【0027】
また、請求項6に記載の発明においては、
大麦フレークの実測吸水率A(%)を選定し、仕込みの実施、及び、麦粕の脱水を行うことによれば、発泡性飲料の製造工程の安定化を図り、また製造コストを削減することが可能となるとともに、麦粕のハンドリングが行い易く(脱水性がよくなるため脱水工程が安定すると共に、飼料の原料としての質、取扱いが良好となる)、飼料への転用のための加工コストなどを削減できることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】大麦フレークの製造工程について示す図。
【図2】A群の大麦フレークのサンプルにおける関係式(2)について示す図。
【図3】B群の大麦フレークのサンプルにおける関係式(3)について示す図。
【図4】C群の大麦フレークのサンプルにおける関係式(4)について示す図。
【図5】C群の大麦フレークのサンプルにおける関係式(5)について示す図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
次に、発明の実施の形態を説明する。
本発明の実施形態は、大麦フレークの吸水率と、その大麦フレークから抽出され得る麦汁エキス濃度に相関があること見出し、この知見に基づいた大麦フレークの品質管理方法、発泡性飲料、及び、その製造方法とするものである。
【0030】
まず、品質管理方法について説明すると、
入力手段、制御手段、を備えた情報処理装置による大麦フレークの品質管理方法であって、
前記制御手段は、
前記入力手段にて入力された大麦フレークの実測吸水率A(%)に基づいて、予め設定される回帰式(例えば、関係式(1):B=αA+β(α、及び、βは回帰式から決定される定数))にて予測麦汁エキス濃度B(%)を算出するステップと、
前記予測麦汁エキス濃度B(%)と、予め設定される目標濃度C(%)とを比較するステップと、
前記比較の結果、予測麦汁エキス濃度B(%)と目標濃度C(%)に差分が生じる場合に、前記差分を生じさせないための代替吸水率D(%)を算出するステップと、
を実行させる大麦フレークの品質管理方法とするものである。
以下詳細に説明する。
【0031】
<大麦フレークの評価、物性値測定>
本明細書において、「大麦フレーク」とは、フレーク状(薄片状)の大麦加工品として周知のものであり、図1に示すごとく、一般的に、精選工程、搗精工程、加水工程、蒸射工程(蒸気照射)、圧扁工程(圧力を加えてフレーク状(薄片状)とする工程)、冷却工程、乾燥工程などの各種工程を経て製造され得るものである。
【0032】
また、大麦フレークは、下記の物性値を有するものなどが利用されることが想定され、これらの物性値を有するものが、後述する麦汁エキス濃度(%)において高い値を呈することが期待される。
大麦フレークの物性値
・縦7.0−12.0mm
・横4.0−10mm
・厚さ0.6−2.0mm
・水分:7.5%〜14.0%
・千粒重(g):35〜50
・澱粉価:61.0%〜69.0%
・粗蛋白:7.0%−14.0%
・尚、大麦は農産物であることから加工前の状態でバラツキが存在する。さらにトウ精などの加工によっても、形状は異なってくる。よって、ひとつのサンプル内のフレーク粒の全てが、上記物性の範囲内であるとは限らない。
【0033】
また、大麦フレークについて、本発明では、従来行われていなかった、麦汁エキス濃度(%)の評価を行う。
表1、表2に示すように、大麦フレークの各サンプルについて、澱粉価、吸水率、を測定するとともに、各サンプルに起因する麦汁エキス濃度(%)を測定した。
【0034】
水分、千粒重の測定は国税庁所定分析法注解 (付)「麦芽の分析法」の「2.水分」、「3.千粒重」記載の方法を用いた。
【0035】
また、澱粉価(%)の測定は、国税庁所定分析法注解 203原料麦 203−6「デンプン価」記載の塩酸加水分解法を用いた。
【0036】
また、粗蛋白の測定は、国税庁所定分析法注解 203原料麦 203−7「粗タンパク質」記載の方法を用いた。
【0037】
また、吸水率(%)は、次のようにして測定される。
10g(浸漬前の重量)のサンプルをステンレス製の浸漬篭に秤取った後、20℃のイオン交換水に60分浸漬させる。次に、1500rpmにて5分間の遠心分離をして水分を除去する。水分を除去した後の重量を、浸漬後の重量として測定し、次の式により吸水率(%)を算出する。
吸水率(%)=浸漬後の重量−浸漬前の重量)/浸漬前の重量×100
そして、このようにして測定された吸水率(%)を、実測吸水率A(%)として定義する。
【0038】
また、麦汁エキス濃度(%)の測定は、次のようにして行われる。
まず、麦汁(マイシェ)調整を行う。
ビューラー社製ディスクミルを用いて、原料として、粗粉砕(ディスク間隔1.0mm)した麦芽30g及び粉砕しない大麦フレーク30gを秤り取り、マイシェアパラートにて240mlの硬度を10゜dHに予め調整した温水(50℃)と攪拌混合した。
また、麦汁の原料となる麦芽と大麦フレークに関し、麦芽については共通のものが使用され、大麦フレークについては後述する表1〜表3に示される吸水率を有するものがそれぞれ使用された。共通して使用される麦芽は、カナダ産淡色麦芽(品種名:メトカルフ)であって、酵素力が390WK、エキス含量(無水物換算)が81.6%であるものが使用された。
また、原料投入前の温水には、予め市販のプロテアーゼ及びβグルカナーゼの酵素を混合しておいた。プロテアーゼ剤としては、市販のニュートラーゼ(ノボザイムジャパン社。商品名「ニュートラーゼ0.8L」。酵素活性0.8AU/g、AU=Anson Unit)1mlを蒸留水4mlに5倍希釈した希釈液を540μL、βグルカナーゼ剤としては、市販のウルトラフロー(ノボザイムジャパン社。商品名「ウルトラフローL」。酵素活性45FBG/g、FBG=Fungal Beta Glucanase Units))1mlを蒸留水4mlに5倍希釈した希釈液を250μL、を加えた。なお、各酵素活性の測定法はノボザイムジャパン社から入手できる。また、酵素剤は上記以外にも市販のものが使用できる。例えばβグルカナーゼ剤としてナガセケムテックス社の「セルラーゼSS」などが使用可能である。
また、原料混合後のマイシェの温度管理のプログラムは、50℃で60分間保持したのち昇温させ、65℃で40分保持した後、76℃まで昇温させ5分保持させた。昇温スピードは一度一分とした。76℃のマイシェを室温まで冷やした後、調製中に蒸散などによって生じる内重量を統一する為に、マイシェ総重量が300gとなるように、上記硬度調整水をマイシェに加えた。このマイシェを遠心(7500rpm、15min)した後、その上清をNo.2濾紙にて濾過して得た麦汁を麦汁エキス濃度の分析に供した。
そして、麦汁エキス濃度の測定は、「ビール醸造技術(宮地秀雄、食品産業新聞社刊)p278―282 7.10.1 麦汁濃度の測定」に記載される、サッカロメータまたは密度比重計(例:京都電子社製DA−520)を用いた方法で算出される。
【0039】
<大麦フレークのサンプル>
以下に示す表1〜表3のように、A群、B群、C群のサンプルを用いた。
【表1】

【0040】
なお、表1において、遊離アミノ体窒素は、BCOJビール分析法(平成10年改訂版)7.7に記載される分析法にて分析した。エキス12%換算値は得られた測定値を麦汁エキス12%相当に換算したものである。
また、表1において、発酵性糖比率の分析法:BCOJビール分析法(平成10年改訂版)7.8に記載の方法で分析した。検出される糖類のうち単糖〜3糖類までを発酵性糖類とし、それらが検出された全糖類に占める比率を算出して発酵性糖比率とした。
【0041】
【表2】

【0042】
【表3】

【0043】
<吸水率(%)と麦汁エキス濃度(%)の相関の検討>
表1において、サンプル1〜10の大麦フレークは、ある大麦フレークの製造業者Aから購入したものであって、これをA群とする。
また、表2、表3におけるサンプルの大麦フレークは、他の大麦フレークの製造業者Bから購入したものであって、これをB、C群とする。
各群のサンプルについてそれぞれ実測吸水率A(%)(横軸)と麦汁エキス濃度(%)(縦軸)の関係をプロットしたところ、図1〜図4に示されるごとくとなった。
【0044】
また、最小二乗法によって一次回帰式を求めたところ、それぞれ、下記のようになった。なお、C群のみ二次回帰式も求めた。
【0045】
A群:図2参照
原料大麦 産地/品種 オーストラリア/スクーナー
関係式(2)
麦汁エキス濃度(%)=0.0345×実測吸水率A(%)+11.616
決定係数(R)=0.7321
【0046】
B群:図3参照
原料大麦 産地/品種=オーストラリア/スクーナー
関係式(3)
麦汁エキス濃度(%)=0.0425×実測吸水率A(%)+12.09
決定係数(R)=0.8265
【0047】
C群:図4参照:(一次回帰の場合)
原料大麦 産地/品種=カナダ/メトカルフ
関係式(4)
麦汁エキス濃度(%)=0.0157×(実測吸水率A)+14.311
決定係数(R)=0.791
【0048】
C群:図5参照:(二次回帰の場合)
関係式(5)
麦汁エキス濃度(%)=−0.0004×(実測吸水率A)+0.0857×(実測吸水率A)+11.11
決定係数(R)=0.892
【0049】
以上のことから、吸水率(%)と麦汁エキス濃度(%)について正の相関があることが確認され、吸水率(%)が高いほど麦汁エキス濃度(%)が高いことが確認された。
【0050】
ここで、吸水率(%)と麦汁エキス濃度(%)について、正の相関が成立し得ることについて推察する。
ビール、発泡酒等の仕込工程では、粉砕した麦芽とでんぷん質副原料が温水と混合され、麦芽に含まれる酵素による、麦芽およびでんぷん質副原料の炭水化物及び蛋白質の低分子化が行われ、マイシェ(ビール製造工程におけるもろみ)に変わる。なお、麦芽使用比率が低く麦芽由来の酵素だけでは低分子化が不十分な場合には酵素剤が添加される場合もある。麦芽を使用しない雑酒の仕込工程においては酵素源として酵素剤が添加されたり、あらかじめ低分子化されたでんぷん質副原料や蛋白質副原料が用いられる場合がある。
【0051】
そして、以上の仕込工程において、吸水率の高いフレークのエキス収率が上がる理由としては、その特徴である水がフレークの組織内部に浸み込みやすことが挙げられる。フレーク組織の内部に水は浸透し易ければ、水と同様に酵素も入り易くなり、この酵素の作用によってフレークの組織成分の分解が進むと考えられる。即ち、吸水率の高いフレークでは、水と同時に、酵素も澱粉粒内の組織に入り易くなっており、エキスのもとである澱粉粒がアミラーゼなどの酵素の作用を受け易くなって、酵素的に低分子な糖へと分解され、エキス濃度がより高くなったものと推察されるのである。
【0052】
以上のように、仕込工程において、大麦フレークが酵素の作用アタックを受け、これにより麦汁エキス成分が可溶化するものと考えられる。そして、酵素の作用アタックを受け易い状態であると、麦汁エキス濃度(%)が高くなることが考えられる。このことから、原料となる大麦フレークの吸水率(%)が高いと、大麦フレークが酵素の作用アタックを受け易い状態である、ということが推察される。つまりは、大麦フレークの吸水率(%)が、酵素の作用アタックの受け易さ、麦汁エキス成分の可溶化に影響することが推察されるのである。
【0053】
さらに、図5の関係式(5)における二次回帰式から、吸水率(%)と麦汁エキス濃度(%)との相関において、上限があることが予想された。これにより、吸水率上昇に伴うエキス上昇の上限は二次曲線の上昇が止まる部分で推定できると考えられた。なお、吸水率の上限については、表3、および、関係式(5)を踏まえると、120%(実証値では115.7%)よりも吸水率を大きくしても、エキス濃度には影響しないことが考えられる。このため、吸水率の上限は、120%未満(実証値では115.7%)とすることが考えられる。
【0054】
そして、以上のようにして求めた一次回帰式にて算出される麦汁エキス濃度(%)を、予測麦汁エキス濃度B(%)として定義する。
【0055】
また、前述のように、従来、米、麦などの穀物一般については、澱粉価とエキス濃度の相関については知られていたが、大麦フレークについては、麦汁エキス濃度の検討は行われていないものであった。これは、大麦フレークについて麦汁エキス濃度を測定するためには、「外来酵素の供給源として、麦芽、若しくは、酵素剤を添加してマイシェ(ビール製造工程のもろみ)を作製して麦汁エキスとして抽出し、濃度を測定する」、といった一連の準備・測定作業が必要となり、このような一連の準備・測定作業を実施し得る設備がなければ麦汁エキス濃度の検討はできないため、麦汁エキス濃度の検討が行われていなかったことは当然に推察できるものである。
【0056】
また、米、麦などの穀物一般については、澱粉価が高い場合には、エキス濃度(%)が高くなることが知られている。
しかし、大麦フレークの場合、同じ原料大麦、即ち同じ澱粉価を持つ原料から製造された大麦フレークであっても、表1、2、3のように、ロットによって、大きく異なる麦汁エキス濃度の値を示すことがわかった。このことから、大麦フレークの場合、澱粉価以上にロット間による、麦汁エキス濃度への差異が大きいことがわかる。このように、大麦フレークに由来する麦汁エキス濃度(%)については、他の穀物一般とは異なることが確認された。
【0057】
<大麦フレークの品質管理の指標について>
大麦フレークの麦汁エキス濃度の測定には、前述の一連の準備・測定作業が必要となり、時間、費用がかかるため、発泡性飲料の工業的な製造を考えた場合には、醸造用原料として納入される大麦フレークの麦汁エキス濃度を逐次測定することは現実的でない。
【0058】
一方で、大麦フレークの吸水率を測定するには、単純に、前述の測定法よって測定、評価することが可能であり、その準備・測定作業については、麦汁エキス濃度を測定する場合と比較して遥かに簡易なものとなる。また、その簡易性から、サンプル数を多くしても短時間で測定、評価を実施することが可能となり、母集団となる大麦フレークの吸水率を高精度にて特定することが可能となる。
【0059】
<品質管理方法の確定>
以上のことから、本発明による品質管理方法では、大麦フレークの吸水率(%)と麦汁エキス濃度(%)の相関があることを新たに見出した上で、発泡性飲料の工業的な製造に鑑み、吸水率(%)を大麦フレークの品質管理の指標として利用をすることとしているものである。
【0060】
即ち、大麦フレークの実測吸水率A(%)に基づいて、関係式(1):B=αA+β(α、及び、βは回帰式から決定される定数)にて予測麦汁エキス濃度B(%)を算出するものである。
【0061】
そして、このように算出された予測麦汁エキス濃度B(%)を利用することにより、大麦フレークの使用量Mの最適化を図ることが可能となり、ひいては、最終製品であるビールなどの発泡性飲料の品質管理をより厳密に行うことも可能となる。例えば、従来は、製造過程において大麦フレークを追加投入するなどの対応が必要となることや、大麦フレークから得られる麦汁エキス濃度(%)の予測が困難であって、麦汁の品質を予測することが困難である、といった課題があったが、実測吸水率A(%)から予測麦汁エキス濃度B(%)を算出することで、これらの課題を解決することができる。
【0062】
なお、大麦フレークの使用量M(t=1000kg)は、例えば、基準使用量N(t=1000kg)、基準麦汁エキス濃度E(%)とした場合に、下記の関係式(6)によって求めることが可能である。
関係式(6)
使用量M
=基準使用量N×基準麦汁エキス濃度E(%)/予測麦汁エキス濃度B(%)
なお、基準使用量N(t=1000kg)、発泡性飲料の製造プロセスの設計の際に設定される値であって、基準麦汁エキス濃度E(%)は、その基準使用量N(t=1000kg)に由来する麦汁エキス濃度である。
【0063】
また、大麦フレークの使用量Mの最適化によって、大麦フレークの購入量や在庫管理なども、より厳密に行うことが可能となる。つまり、従来は、大麦フレークから得られる麦汁エキス濃度(%)の予測が困難であったため、大麦フレークの購入量を決定する上で、明確な基準を策定できないことや、製造過程において大麦フレークを追加投入などできるように在庫を大量に保有する必要がある、といった課題があったが、実測吸水率A(%)から予測麦汁エキス濃度B(%)を算出することで、これらの課題を解決することができる。
【0064】
<品質管理方法の実施形態>
以上の実測吸水率A(%)に基づく予測麦汁エキス濃度B(%)の算出を、大麦フレークの品質管理方法として使用することができる。
即ち、入力手段、制御手段、を備えた情報処理装置による大麦フレークの品質管理方法であって、
前記制御手段は、
前記入力手段にて入力された大麦フレークの実測吸水率A(%)に基づいて、予め設定される回帰式(例えば、関係式(1):B=αA+β(α、及び、βは回帰式から決定される定数))にて予測麦汁エキス濃度B(%)を算出するステップ、
を実行させる大麦フレークの品質管理方法とするものである。
【0065】
この品質管理方法を実施するための入力手段、制御手段を備えた情報処理装置は、言うまでもなく、周知のコンピュータとソフトウェアの組み合わせによって実現することが可能であり、ここでの説明は省略する。また、算出された予測麦汁エキス濃度B(%)については、周知のディスプレイなどの表示手段によって、その測定結果を表示させる構成としてもよい。
【0066】
また、上記品質管理方法において、
前記予測麦汁エキス濃度B(%)と、予め設定される目標濃度C(%)とを比較するステップ、
をさらに実行させる大麦フレークの品質管理方法とするものである。
【0067】
これによれば、比較の結果に基づき、評価対象となる大麦フレークの品質について、良/可/不良、といった評価を行うことができる。例えば、ある大麦フレークについて、目標麦汁エキス濃度C(%)よりも予測麦汁エキス濃度B(%)が低い場合には、この大麦フレークは「品質に不良があるから使用を控える」、「使用量の修整が必要である」「吸水率の改質が必要である」などといった判定が可能となる。また、この判定を、前記制御手段により実行するとともに、周知のディスプレイなどの表示手段によって、その判定結果を表示させる構成としてもよい。また、目標麦汁エキス濃度C(%)については、各種の発泡性飲料の製造法のそれぞれについて予め個別に設定されるものであって、入力手段により情報処理装置に入力することができる。
【0068】
また、上記品質管理方法において、
前記比較の結果、予測麦汁エキス濃度B(%)と目標麦汁エキス濃度C(%)に差分が生じる場合に、前記差分を生じさせないための代替吸水率D(%)を算出するステップ、
をさらに実行させる大麦フレークの品質管理方法とするものである。
【0069】
これによれば、評価対象となる大麦フレークについて、要求される望ましい吸水率(%)(代替吸水率D(%))を把握することが可能となる。具体的には、例えば、評価の結果、予測麦汁エキス濃度B(%)が目標麦汁エキス濃度C(%)よりも低い場合には、大麦フレークについて吸水率(%)を上昇させ、代替吸水率D(%)に近づける加工を行い、大麦フレークを改質することで、大麦フレークの最適化、つまりは、大麦フレークの吸水率A(%)の設定と、それに伴う予測麦汁エキス濃度B(%)の設定、を行うことが可能となる。
【0070】
また、例えば、代替吸水率D(%)の情報を大麦フレークの製造業者に提供し、製造業者に代替吸水率D(%)に設定された大麦フレークを納入するように依頼をするといった運用も可能である。
【0071】
なお、代替吸水率D(%)については、前述の回帰式(例えば、関係式(2)又は(3))において、予測麦汁エキス濃度B(%)に目標麦汁エキス濃度C(%)を代入し、吸水率(%)を算出することで求めることができる。また、周知のディスプレイなどの表示手段によって、代替吸水率D(%)を表示させる構成としてもよい。
【0072】
<発泡性飲料>
また、以上の品質管理方法を用いて製造される発泡性飲料においては、原料の一つとして使用される大麦フレーク由来の麦汁エキス濃度(%)が厳密に管理されることになり、結果として、発泡性飲料の香味、麦汁エキス、仕込収得率などの各種品質管理項目を厳密に管理可能となる。
【0073】
即ち、大麦フレークの実測吸水率A(%)に基づいて、関係式(例えば、関係式(1):B=αA+β(α、及び、βは回帰式から決定される定数))にて予測麦汁エキス濃度B(%)を算出し、
前記予測麦汁エキス濃度B(%)に基づいて、大麦フレークの使用量Mを算出し、
前記使用量Mの大麦フレークを原料として用いて製造される、発泡性飲料とするものである。
【0074】
これにより、香味、麦汁エキス、仕込収得率などの各種品質管理項目について、麦汁段階での品質管理、発酵工程での品質管理ひいては、最終製品であるビール・発泡酒などの発泡性飲料の品質管理をより厳密に行うことも可能となる。
【0075】
<発泡性飲料の製造方法>
また、以上の品質管理方法を用いた発泡性飲料の製造方法として、
大麦フレークの実測吸水率A(%)に基づいて、関係式(1):B=αA+β(α、及び、βは回帰式から決定される定数)にて予測麦汁エキス濃度B(%)を算出し、
前記予測麦汁エキス濃度B(%)に基づいて、大麦フレークの使用量Mを算出し、
前記使用量Mの大麦フレークを原料として用いる、発泡性飲料の製造方法とするものである。
【0076】
この製造方法によれば、香味、麦汁エキス、仕込収得率などの各種品質管理について、安定した発泡性飲料を製造することができる。
【0077】
なお、以上の説明においては、関係式(2)〜(4)にて表される一次回帰式にて予測麦汁エキス濃度B(%)を設定することとしたが、例えば、原料として納入される大麦フレークのロット毎や、産地、品種、季節毎などで、適宜回帰式(例えば、二次回帰式:関係式(5)など)を設定することによれば、各大麦フレークの実態を反映した、予測麦汁エキス濃度B(%)を算出することが可能となる。
【0078】
<麦粕の脱水性について>
次に、大麦フレークが、仕込工程において麦汁濾過後に麦粕となったものの脱水性について説明する。
【0079】
表1に示されるように、実測吸水率A(%)と脱水性については、正の相関があることが確認された。即ち、実測吸水率A(%)が高ければ、脱水性が高いことが確認されたのである。
【0080】
また、ビール類の麦粕(糟:かす)の脱水性は、次のようにして測定される。尚、麦粕は、マイシェろ過において、一番麦汁と二番麦汁のろ過後に残った固形物をいう。麦糟は穀皮、葉芽のほか胚乳の未分解部などからなっており、副産物として牛の飼料などに利用される。
麦粕は、ビール工場でのロイター(麦汁濾過槽)にて、麦汁ろ過が終了した後にロイター網上に残り、麦粕を排出するための鋤(すき)状の金属板の糟出板にて、排出される。糟出板は、解糟機のアームに取りつけてあり、二番麦汁ろ過が終わった後、解糟機と一体に回転して、ビール糟を槽底の麦粕の排出口に掃き寄せて、排出口の下、ロイター下部にあるホッパーに落としこまれた後、エアー搬送などによって、麦粕の脱水設備に送付される。
麦粕の脱水設備では、スクリュープレスなどで、麦粕の脱水が行われる。脱水後の好適な水分含量については用途、加工法などで異なるが、飼料としての利用には水分含量が65%以下であれば、大きな問題はない。それ以上の水分含量だと飼料としての利用には不適とされる。69%程度の水分含量の場合、スクリュウプレスの製造能力を通常に比べ、大幅に(例えば、1/5以下にまで)低速に落として時間をかけて脱水を行う必要がある。それでも水分含量が大幅に下がらない場合や、脱水が困難な場合、水分の低い麦粕と混合し、最終製品の麦粕水分含量を65%以下にまで下げる必要がある。
ビール製造で発生する麦粕では、水分含量が低い場合が多いが、発泡酒など大麦原料が多く使われる場合では、麦粕の水分含量が高くなる場合が多い。現在まで、発泡酒などの麦粕の水分を確実に低減させる醸造技術は確立されておらず、長年の懸案であった。
麦粕水分が高い場合、麦粕脱水の為の作業が長引き、通常の処理能力を超えた場合、麦粕ホッパーや処理設備での滞留を生じ、ビール類製造を一時停止せざるを得ず、生産性向上が望まれていた。
また、麦粕を飼料として付加価値をつけて販売できなければ、廃棄物として処分する必要があり、処理費用の問題や環境負荷の問題が生じていた。
さらに、従来、発泡酒製造で生じる麦粕で、脱水後の水分含量が65%以下を示すことはなかった。
尚、麦粕の水分含量は、一定重量の麦粕の乾燥前後重量の比較から算出できるが、赤外線乾燥機能付きの水分計(例:株式会社ケット化学研究所製 赤外線水分計FD−610)などでも計測できる。
表1では、麦粕の脱水性を、脱水後の麦粕水分含量が65%以下であれば良、65%〜69%までを可、70%以上を不可として、三段階で評価した。
【0081】
このように、原料として使用される大麦フレークの実測吸水率A(%)が、仕込み時における麦粕の脱水性に影響を及ぼすことが確認されたため、このことを利用して、発泡性飲料を製造することによれば、仕込み後において麦粕となった大麦フレークについて、家畜飼料への転用を見込んだ場合において、脱水性に優れた麦粕とすることができ、その麦粕のハンドリングが行い易いものとなる。
【0082】
ここで、実際には、表1の結果から脱水性(単位)については可以上、とすることが好ましく、さらに、は良以上、とすることが特に好ましい。そして、これら脱水性に対応する大麦フレークの実測吸水率A(%)を検討すると、実測吸水率A(%)は、76%以上とすることが好ましく、83%以上とすることがさらに好ましい。
【0083】
また、実測吸水率A(%)の上限については、表3、および、関係式(5)を踏まえると、120%(実証値では115.7%)よりも実測吸水率A(%)を大きくしても、エキス濃度には影響しないことが考えられる。このため、実測吸水率A(%)の上限は、120%未満(実証値では115.7%)とすることが考えられる。このように、上限を設けることによれば、代替吸水率D(%)を設定して浸漬処理を行う場合において、無駄に吸収率を上昇させる作業(無駄な浸漬作業)を省くことが可能となる点において、好ましいことになる。
【0084】
また、大麦フレークの実測吸水率A(%)を選定し、仕込みの実施、及び、麦粕の脱水を行うことによれば、発泡性飲料の製造工程の安定化を図り、また製造コストを削減することが可能となるとともに、麦粕のハンドリングが行い易く(脱水性がよくなるため脱水工程が安定すると共に、飼料の原料としての質、取扱いが良好となる)、飼料への転用のための加工コストなどを削減できることとなる。
【0085】
また、本明細書にいう発泡性飲料には、ビール様の泡形成能を有する飲料であって、アルコール飲料、無アルコール飲料のいずれもが含まれる。
【0086】
また、本発明の技術を適用し得るビール、発泡酒は、原料の全部または一部に麦芽を使用した発泡性飲料である。麦芽以外には副原料として麦芽以外の穀物(発芽させていない大麦、米、コーン等)やそれらをフレーク化したもの、エキス化したもの、糖類、酵母エキス、豆類のペプチドなどが使用される。
【0087】
また、本発明の技術を適用して製造し得るビアテイスト飲料(第3のビールなど)には、原料に麦芽を用いない発泡性アルコール飲料であって、麦芽の代替原料として、必要な炭素源および/または窒素源となりうる麦芽以外の穀物(発芽させていない大麦、ソルガムなど)やそれらをフレーク化したもの、エキス化したもの、または糖類などを用いて製造されたものが含まれ得る。また、上記副原料として記載した物質も使用できる。
【0088】
また、本発明の技術を適用して製造し得られる発泡性飲料のうち、低アルコールビール、ノンアルコールビールなどのアルコール濃度が低い、又は、含まない発泡性飲料については、通常の麦芽発酵飲料を膜処理、減圧蒸留などの公知の手段でアルコールを除去するなどの方法により得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明は、大麦フレークを原料の一つとして利用する発泡性飲料を製造するための技術について、幅広く適用可能である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力手段、制御手段、を備えた情報処理装置による大麦フレークの品質管理方法であって、
前記制御手段は、
前記入力手段にて入力された大麦フレークの実測吸水率A(%)に基づいて、予め設定される回帰式にて予測麦汁エキス濃度B(%)を算出するステップ、
を実行させる大麦フレークの品質管理方法。
【請求項2】
前記予測麦汁エキス濃度B(%)と、予め設定される目標麦汁エキス濃度C(%)とを比較するステップ、
をさらに実行させる、請求項1に記載の大麦フレークの品質管理方法。
【請求項3】
前記比較の結果、予測麦汁エキス濃度B(%)と目標麦汁エキス濃度C(%)に差分が生じる場合に、前記差分を生じさせないための代替吸水率D(%)を算出するステップ、
をさらに実行させる、請求項2に記載の大麦フレークの品質管理方法。
【請求項4】
大麦フレークの実測吸水率A(%)に基づいて、予め設定される回帰式にて予測麦汁エキス濃度B(%)を算出し、
前記予測麦汁エキス濃度B(%)に基づいて、大麦フレークの使用量Mを算出し、
前記使用量Mの大麦フレークを原料として用いて製造される、発泡性飲料。
【請求項5】
大麦フレークの実測吸水率A(%)に基づいて、予め設定される回帰式にて予測麦汁エキス濃度B(%)を算出し、
前記予測麦汁エキス濃度B(%)に基づいて、大麦フレークの使用量Mを算出し、
前記使用量Mの大麦フレークを原料として用いる、発泡性飲料の製造方法。
【請求項6】
前記実測吸水率A(%)が、76%以上、120%未満の範囲である大麦フレークを原料として使用する、
ことを特徴とする、製造方法5に記載の発泡性飲料の製造方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−101633(P2011−101633A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−258527(P2009−258527)
【出願日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(000000055)アサヒビール株式会社 (535)