説明

天井設置型消火栓における消火用水供給装置の起動装置

【課題】 天井設置型消火栓における、放水ノズルを手放すことなく消火用水の開閉弁の開放ができること等の操作基準への対応。
【解決手段】 上記課題を解決する天井設置型消火栓における消火用水供給装置の起動装置は、消火栓箱内の受枠上に消防ホースを巻回して載置し、受枠には消防ホースが通る案内環を設けて、該案内環と棒状バネを介して吊設した押圧体で前記消防ホースを挾圧支持し、押圧体の近傍には、消防ホースの引出し操作に伴う押圧体の傾倒により当接して消火用水用電動開閉弁の開動等を起動するスイッチを配設してなるものである。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は消防ホースを収納した天井設置型消火栓における消火用水の電動開閉弁等供給装置を起動する装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の消火栓は建物の壁面に設置されており、天井設置型消火栓はいまだ一般化されていないことから、各部装置についても開発途上である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】消火栓における開閉弁の操作については放水ノズルを手放すことなく消火用水の開閉弁の開放、ホースの延長及び放水等の一連の操作が一人でできることが基準とされ、上記従来技術のごとくな通常の壁面設置型消火栓にあっては手元に開閉弁があることから殊更の考慮を要しない。
【0004】しかしながら天井設置型にあっては消火栓に手が届かないことから開閉弁操作につき自動式に頼らざるを得ず、しかも自動式にするものにあっては、ホースの延長作業と連動して確実に全開することも基準とされ、前記基準ともあいまってこの種の技術開発における最大の課題とされている。
【0005】本発明の目的は天井設置型消火栓において、消火時の消防ホースの引出しに伴い、開閉弁等の消火用水供給装置を起動する装置を提供することにより前記課題を解決せんとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を充足する天井設置型消火栓における消火用水供給装置の起動装置は、消火栓箱の開口面に消防ホースが通る案内環を備えた受枠を設け、受枠上には一方端を送水配管に連絡する電動開閉弁に接続し、他方端に放水ノズルを装着した消防ホースを巻回して載置すると共に、前記消火栓箱には棒状バネにより吊設され、しかも先端部位が前記案内環内に位置すると共に、該棒状バネの付勢により案内環を通る消防ホースを挾圧する押圧体を設け、該押圧体の近傍には消火時における消防ホースの初動引出し操作に伴う押圧体の傾倒により当接して前記電動開閉弁の開動等の消火用水供給装置を起動するスイッチを配設してなるものである。
【0007】
【実施例】図は本発明に係る天井設置型消火栓における消火用水供給装置の起動装置の一実施例を示すもので、図1は天井設置型消火栓の縦断側面図、図2は図1のX−X′断面図、図3は起動装置の縦断側面図である。以下各図に基づき説明する。
【0008】図中符号Aは天井設置型の消火栓を示し、該消火栓Aは消火栓箱1の開口面1aを下向きにして天井に設置され、開口面1aには扉1bを軸支すると共に、該扉1bの上位には消火栓箱1の内壁及び仕切板1cに止着した支持片2,2に略方形の受枠3の外枠部3aを係止し、該受枠3の略中央部位に支杆3bを介して上下両縁を拡開した筒状若しくは断面円弧状を呈する消防ホース4が通る案内環5を配設し、しかも該受枠3上には消火栓箱1に内設した電動開閉弁7に一方端を接続し、他方端に放水ノズル8を装着した前記消防ホース4を巻回して載置するもので、前記電動開閉弁7は消火栓ポンプに連絡する送水配管6に接続し、該電動開閉弁7及び消火栓ポンプをもって消火用水供給装置を構成する。更に前記消火栓箱1の天板1dには受枠3に配設した案内環5の直上部位にコイルスプリング製若しくは弾性ゴム製の棒状バネ9を介して先端半球形の筒状を呈する押圧体10を吊設して常態において案内環5の中央部位に位置させると共に、先端部位を案内環5内に位置させ、しかも案内環5の内径と押圧体10間に消防ホース4の径より狭い間隙Bを設け、前記棒状バネ9の近傍には電動開閉弁7を開動起動等消火用水供給装置を起動するスイッチ11を吊設して該スイッチ11の接触子11aを押圧体10内に位置させると共に、消防ホースが前記案内環5と押圧体10との間隙Bに介在して該押圧体10が棒状バネ9の姿勢復帰付勢力に抗して傾倒した際に当接する位置に配置してなり、該接触子11aは押圧体10が傾倒した際に当接すれば足り、設置箇所はこの限りでない。
【0009】実施例は上述の構成からなるもので、常態においては消火栓箱1内の受枠3上に巻回して収納した消防ホース4の先方部位を案内環5と押圧体10の間隙Bに通すことにより、棒状バネ9の姿勢復帰付勢力により挾圧支持した状態で配備され、火災発生時には扉1bを開扉し、次いで放水ノズル8を把持して消防ホース4を引出しながら火災現場に急行するもので、該引出時において巻回した消防ホース4は巻回が解かれながら押圧体10の周囲を回動しつつ繰り出され、これにより押圧体10と案内環5による消防ホース4の挾圧点が移動、すなわち押圧体10の傾倒方向が変化するもので、引出し初期の当該押圧体10の傾倒方向の変化によりスイッチ11の接触子11aに押圧体10が当接して電動開閉弁7の開動及び消火栓ポンプ若しくは消火栓ポンプの遠隔起動装置等の消火用水供給装置を起動し、消火用水を消防ホース4に供給するものである。
【0010】前記によれば、消防ホースを挾圧支持している押圧体が火災発生時の消防ホースの引出し操作に伴う傾倒により、消火用水の送水配管に連絡する電動開閉弁の開動等、消火用水供給装置起動用スイッチを作動させるので、放水ノズルを手放すことなく消火用水の開閉弁を開放できることとする消火栓における開閉弁の操作基準を充足すると共に、消火活動に益する装置を提供することができる。
【0011】
【発明の効果】天井に設置した消火栓箱内の受枠上に巻回して載置した消防ホースを該消防ホースが通る案内環と共に挾圧し持している押圧体が火災発生時の消防ホースの引出し操作に伴う傾倒により、消火用水の送水配管に連絡する電動開閉弁の開動等、消火用水供給装置起動用スイッチを作動させるので、放水ノズルを手放すことなく消火用水の開閉弁を開放できることとする消火栓における開閉弁の操作基準を充足する。
【図面の簡単な説明】
【図1】天井設置型消火栓の縦断側面図。
【図2】図1におけるX−X′断面図。
【図3】起動装置の縦断側面図。
【符号の説明】
1 消火栓箱
1a 開口面
3 受枠
4 消防ホース
5 案内環
6 送水配管
7 電動開閉弁
8 放水ノズル
9 棒状バネ
10 押圧体
11 スイッチ
A 天井設置型消火栓

【特許請求の範囲】
【請求項1】 消火栓箱の開口面に消防ホースが通る案内環を備えた受枠を設け、受枠上には一方端を送水配管に連絡する電動開閉弁に接続し、他方端に放水ノズルを装着した消防ホースを巻回して載置すると共に、前記消火栓箱には棒状バネにより吊設され、しかも先端部位が前記案内環内に位置すると共に、該棒状バネの付勢により案内環を通る消防ホースを挾圧する押圧体を設け、該押圧体の近傍には消火時における消防ホースの初動引出し操作に伴う押圧体の傾倒により当接して前記電動開閉弁の開動等の消火用水供給装置を起動するスイッチを配設してなる天井設置型消火栓箱における消火用水供給装置の起動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開平9−206401
【公開日】平成9年(1997)8月12日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平8−16089
【出願日】平成8年(1996)1月31日
【出願人】(000189095)消火栓機工株式会社 (3)