説明

天体観測装置

【課題】 観測者が簡単に天空に位置する天体の情報を確認する。
【解決手段】 天体観測装置は、カメラ部21と、星の位置と当該星の名称を含む表示情報とを有する星図データを格納した星図データファイル35を含む星関連データベース33と、カメラ部21により撮影された画像データに含まれる画素群と、星図データファイル24中の星図データとを比較して、画素群に相当する天体を特定する比較判断部31と、比較判断部31により特定された画素群と星との関連付けに基づいて、星図データファイル35から、画素群に関連付けられた星図データの表示情報を取得して、画像データに表示情報を重ね合わせた合成画像データを生成する表示制御部34と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天体を観察する際に観測者に種々の情報を提供する天体観測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
GPS(Global Positioning System)を適用して、現在位置や正確な時刻を測定することが、多くの分野、たとえば、カーナビゲーションなどに適用されている。GPSにより現在位置を測定、つまり、測位することができるため、その位置から見えるであろう天空図を表示する装置が提案されている。特許文献1には、自動車の車室の天井内表面に表示手段を設け、この表示手段に、車両の現在位置、現在日時にしたがって、所定の明るさ以上の天体を含む天空図を表示する技術が提案されている。また、特許文献2には、携帯電話にGPS装置を搭載し、携帯電話の現在位置に基づいて、サーバが携帯電話に対して、当該位置における天体情報を送信し、携帯電話が受信した情報を表示するような技術が提案されている。
【0003】
さらに、特許文献3には、携帯電話に地磁気センサを搭載し、携帯電話の向きを検出することで、その方向に位置すべき星座を特定し、その星座の名称などを携帯電話の表示装置に表示する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2002−328624号公報
【特許文献2】特開2003−316791号公報
【特許文献3】特開2004−13066号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献に開示された技術は、いずれも、現在位置において見ることができるであろう天空の星や星座の情報を観測者に提示する。したがって、観測者は、目視にて天体を観察しつつ、携帯端末の表示画面上に表示された情報と照合させる作業が必要であった。したがって、天体の状況などにより照合が困難な場合、或いは、照合のために天空と画面との間で視線を行き来させる必要もあり、観測者は、天空に位置する天体を特定することが容易ではないという問題点があった。
【0005】
本発明は、観測者が簡単に天空に位置する天体の情報を確認することができる天体観察装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、カメラと、
天体の位置と当該天体の名称を含む表示情報とを有する天体データを格納した天体データファイルを含むデータベースと、
カメラにより撮影された画像データに含まれる一定の輝度を有する画素群と、前記天体データファイル中の天体データとを比較して、画素群に相当する天体を特定する天体比較判断手段と、
前記天体比較判断手段により特定された画素群と天体との関連付けに基づいて、前記天体データファイルから、前記画素群に関連付けられた天体についての天体データの表示情報を取得して、前記画像データに、前記表示情報を重ね合わせた合成画像データを生成する画像データ生成手段と、
前記合成画像データを表示する表示手段と、を備えたことを特徴とする天体観測装置により達成される。
【0007】
好ましい実施態様においては、画像データの撮影日時を計時する計時手段を備え、
前記天体比較判断手段が、前記撮影日時において画像データに撮影され得る天体を特定し、当該特定された天体の天体データを、前記画素群との比較対象とする。
【0008】
また、好ましい実施態様においては、画像データの撮影位置を測位する測位手段を備え、
前記天体比較判断手段が、前記撮影位置において画像データに撮影され得る天体を特定し、当該特定された天体の天体データを、前記画素群との比較対象とする。
【0009】
別の好ましい実施態様においては、前記カメラのレンズの方位および仰角を検出する検出手段を備え、
前記天体比較判断手段が、前記レンズの方位および仰角に基づいて天空の部分を特定し、前記天空の部分に位置する天体の天体データを、前記画素群との比較対象とする。
【0010】
より好ましい実施態様においては、前記カメラのレンズの画角を算出する画角算出手段を備え、
前記天体比較判断手段が、前記レンズの方位および仰角、ならびに、前記レンズの画角に基づいて天空の部分を特定し、前記天空の部分に位置する天体の天体データを、前記画素群との比較対象とする。
【0011】
また、別の好ましい実施態様においては、前記データベースが、星座名、星座を構成する天体および天体間を接続する星座線を有する星座データを格納した星座データファイルを含み、
前記画像データ生成手段が、前記画素群と天体との関連付けに基づいて、前記星座データファイルから前記画素群と関連付けられた天体を含む星座の星座データを取得して、前記画像データに、前記星座名、および、前記画素群に対応する天体との間を接続する星座線の少なくとも一方を重ね合わせた合成画像データを生成する。
【0012】
また、好ましい実施態様においては、前記データベースが、前記天体のうち惑星名、および、惑星に関する占い情報を有する惑星データを格納した惑星データファイルを含み、
前記画像データ生成手段が、前記画素群と、天体との関連付けに基づいて、前記画素群と関連付けられた惑星の惑星データを取得して、前記画像データに、前記惑星名、および、当該惑星に関する占い情報の少なくとも一方を重ね合わせた合成画像データを生成する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、観測者が簡単に天空に位置する天体の情報を確認することができる天体観察装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる天体観察装置の構成を示すブロックダイヤグラムである。本実施の形態にかかる天体観察装置は、たとえば、ディジタルカメラの形態をとる。図1に示すように、天体観察装置は、CPU11、カメラ12、ROM13、RAM14、記録デバイス15、各種センサ16、GPS装置17、入力部18および表示部19を有する。 なお、本明細書において、天体は、恒星および惑星を含み、恒星については単に「星」と称する。
【0015】
CPU11は、プログラムにしたがって、カメラ12による撮影、ズームなどを制御し、また、各種センサ16やGPS装置17からの情報にしたがって、天空に位置する恒星(星)や惑星を含む天体の情報を取得するなど、種々の処理を実行する。ROM13には、天体観測装置の種々の機能を実現するためのプログラム、たとえば、カメラ制御プログラム、GPS装置を動作させて測位させるプログラム、カメラ12により撮影された画像データと、後述する星図データとを比較するプログラムなどが格納されている。RAM14には、ROM13から読み出されて展開されたプログラム、処理の過程で取得されたデータ(カメラ12により撮影された画像データなどが格納される。
【0016】
記録デバイス15は、たとえば、メモリカードやUSBメモリなどにより実現され、星図データファイル35など後述する星関連DB31のデータや、カメラ12により撮影された画像データを格納する。無論、記録デバイス15は、ハードディスク装置により実現されても良い。
【0017】
各種センサ16は、方位センサ、角度センサを含み、天体観察装置の向きや角度(特に、カメラ12のレンズの方向や仰角)を検出することができる。GPS装置17は、GPS衛星からの電波(GPS電波)を受信し、所定数のGPS衛星の軌道情報および時刻に基づいて、現在位置を測位するとともに正確な現在時刻を取得する。入力部18は、入力キーやスイッチを有し、観測者が所望の情報を入力することができる。表示部19は、たとえば液晶表示装置を備え、カメラ12により撮影された画像などを表示することができる。
【0018】
図2は、第1の実施の形態にかかる天体観測装置の機能を示すブロックダイヤグラムである。図2に示すように、機能面で考えると、本実施の形態にかかる天体観測装置は、カメラ部21、画像処理部22、ズーム制御部23、画角算出部24、圧縮処理部25、画像メモリ26、時計27、位置検出部28、方位センサ28、角度センサ30、比較判断部31、該当データ抽出処理部32、星関連データベース(DB)33、表示制御部34、表示部19を有する。カメラ部21、ズーム制御部23は、カメラ12により実現される。画像処理部22、画角算出部24、圧縮処理部25、比較判断部31、該当データ抽出処理部32、表示制御部34は、主としてCPU11により実現される。また、画像メモリ26や星関連DB33は、RAM14や記録デバイス15により実現される。
【0019】
星関連DB33には、天空中の位置および日時と関連付けられた天体の情報を含む星図データファイル35、星座を構成する天体の情報を含む星座データファイル36および天空中の星雲の位置を示す星雲データファイル37が含まれる。観測者の位置(撮影位置)や日時によって天空上でみることができる星の位置は異なる。したがって、星図データファイル35の星図データは、現在時刻(日時)および観測者の位置に応じたものとなっている。
【0020】
画像処理部22は、カメラ部21から与えられた画像データに対して必要な処理(たとえば、色等の補正処理や後述するフィルタリング処理)を施す。ズーム制御部23は、観測者が、入力部18に含まれるズームスイッチの操作にしたがって、カメラ21のレンズを制御する。画角算出部24は、ズーム制御部23により制御されたカメラ21のレンズの画角を算出する。画角の算出により後述するように、カメラ21により撮影された天空の範囲が画定される。圧縮処理部25は、画像処理部22から出力された画像データを所定のフォーマットにしたがって圧縮して、画像メモリ26に格納する。
【0021】
比較判断部31は、GPS装置17からの時刻情報、位置情報、方位センサ29や角度センサ30からの情報、画角算出部24からの画角情報、および、星関連DB33中の星図データファイル35に基づいて、撮影された画像に含まれる天体を特定する。該当データ抽出処理部32は、観測者による入力部18のキー操作にしたがって、特定された天体についての必要な情報を星関連DB33から読み出す。
【0022】
図3は、上述したような構成の天体観測装置において実行される処理の例を示すフローチャートである。本実施の形態においては、観測者が天体観測装置のカメラ12のレンズを天空の所望の方向に向けて、入力部18を操作する(たとえば、プレビューの指示を与える)ことにより開始される。
【0023】
観測者によるプレビューの指示を受理すると(ステップ301)、画像処理部22は、カメラ部21から画像データを取得して、表示制御部34に出力する。これにより表示部19の画面上には、カメラ部21のレンズにより撮影された画像データが、プレビュー画像として表示される(ステップ302)。観測者は、入力部18のズームスイッチ(図示せず)を操作して、所望の画角の画像を表示部19の画面上に表示させることができる。この際には、ズーム制御部23が、観測者によるズームスイッチの操作にしたがって、カメラ部21のレンズを制御する。
【0024】
たとえば、観測者が入力部18のスイッチを操作することにより、画像処理部22は、プレビュー画像の画像データにフィルタリング処理を実行する(ステップ303)。フィルタリング処理においては、一定の輝度以上の画素のみが残されるように画像データに処理が施され、これにより、所定の等級(たとえば、6等)以上の星に相当する一連の画素群のみが画像データに存在するようにする。また、一定の輝度を有する隣接する画素群を星として認識し、認識された画素群と、その位置および輝度とを関連付けて、RAM14中に記憶しておく。これにより、画像データにおいて、星と認識される画素群の位置および輝度が画定される。
【0025】
次いで、比較判断部31が、上記星と認識された画素群と、星関連DB33の星図データファイル35中の星図データとの比較処理を実行する(ステップ304)。図4は、本実施の形態にかかる星図データとの比較処理の例を示すフローチャートである。図4に示すように、比較判断部31は、GPS装置17に対して測位を実行させて、現在時刻を取得する(ステップ401)とともに、現在位置(緯度、軽度)を取得する(ステップ402)。なお、実際には、GPS装置17が、2次元モードでは2つのGPS衛星、3次元モードでは4つのGPS衛星からのGPS電波を受信して、現在時刻および現在位置を得ている。
【0026】
比較判断部31は、方位センサ29からの情報に基づいて、カメラ部21のレンズの方位を取得する(ステップ403)とともに、角度センサ30からの情報に基づいて当該レンズの仰角を取得する(ステップ404)。また、比較判断部31は、画角算出部24から、カメラ部21のレンズの画角を取得する(ステップ405)。レンズの方位(方位角)、レンズの仰角およびレンズの画角により、プレビュー画像に相当する天空の範囲が特定される(ステップ406)。
【0027】
次いで、比較判断部31は、特定された天空の範囲に含まれる星についての星図データを、星図データファイル35から取得する(ステップ407)。比較判断部31は、フィルタリング処理が施された画像データにおいて、星に相当する画素群のうちある画素群を選択し、特定された天空の範囲に位置する星についての星図データと比較する(ステップ408)。この比較においては、たとえば、星に相当する画素群の輝度と比較対象となる星の星図データの輝度との比較、当該画素群に隣接する画素群の位置と、比較対象となる星に隣接する星の位置との比較、当該隣接する画素群の輝度と隣接する星の輝度との比較などが実行される。星に相当する画素群の輝度と、比較対象となる星についての星図データの輝度とがほぼ一致し(差が一定範囲であり)、かつ、当該画素群に隣接する画素群の位置と比較対象となる星に隣接する星の位置とがほぼ一致し(差が一定範囲であり)、かつ、当該隣接する画素群の輝度と隣接する星の輝度とがほぼ一致し(差が一定範囲)であれば、星に相当する画素群と、比較対象となる星とが一致していると判断できる。さらに、隣接する画素群の範囲を広げて、他の星についての星図データとの間で、位置および輝度の一致を調べることで、画素群のそれぞれと、星との間で、順次対応付けをしていくことができる。
【0028】
なお、ステップ408における画素群と星との比較は上述したものに限定されない。たとえば、プレビュー画像の画像データを構成する画素と、上記天空の範囲に相当する星図データを展開した画像データを構成する画素との間で、マッチングを実行して相関値の総和を算出し、たとえば、プレビュー画像の画像データをシフトしてマッチングを繰り返し、相関値の総和がもっとも大きなものを特定し、そのときの、画素群と星との対応付けを得るよう構成しても良い。
【0029】
比較判断部31は、プレビュー画像中の画素群と、星との間の対応付けができたか否かを判断する(ステップ409)。ステップ409でNoと判断された場合には、星図データファイル35において、次の星についての星図データを選択して(ステップ410)、プレビュー画像中の星に相当する画素群と、当該選択された星の星図データとの比較を行う(ステップ408)。ステップ409でYesと判断された場合には、プレビュー画像中の星に相当する画素群のそれぞれと、星図データとの関連付けを含むデータを、RAM14に格納する(ステップ411)。
【0030】
図5は、プレビュー画像、および、特定された天空に相当する星図データの例を示す図である。実際のデータは、画素群(星)の位置や輝度を示すものであるが、図5においては天空において可視化された状態として示している。図4に示す処理の結果、プレビュー画像500において一定の輝度を備えた画素群と、星図データ510が示す星との対応付けがなされる。図5(a)において、たとえば、プレビュー画像500中の画素群501〜504が、図5(b)における星図データが示す星511〜514と対応付けられる。星図データにおいては、星の名前や等級など必要な情報が含まれている。また、星が属する星座については、星座データファイル36に情報が格納されている。したがって、上記比較処理によって、プレビュー画像中の画素群に対応付けられた星の名前や、その星が属する星座の名前などを特定することが可能である。
【0031】
該当データ抽出処理部32は、観測者が入力部18の入力キーを操作して入力した表示設定情報を取得する(ステップ305)。本実施の形態において、表示設定情報には、たとえば、「星座線」、「星座名」、「星の名前」および「星雲・星団名」という項目が含まれ、観測者は、入力キーを操作することで、上記項目のいずれか1つ以上を選択することができる。表示制御部34は、表示設定情報に含まれる項目に応じて、該当するデータを星関連DB33から取得する(ステップ306)。その後、星関連DB33から取得したデータに基づく表示と、プレビュー画像とを重ね合わせた画像データを生成する(ステップ307)。画像データは、表示部19に転送され(ステップ308)、これにより表示部19の画面上に観測者が選択した表示設定情報が付加された画像が表示される。
【0032】
たとえば、表示設定情報に「星座線」および「星座名」が含まれる場合には、該当データ抽出処理部32は、星図データファイル35中の星図データを参照して、プレビュー画像に含まれる星を特定し、それぞれの星が属する星座名、および、星の間を結ぶ星座線のデータを、星座データファイル36から読み出す。次いで、表示制御部34は、星座名および星座線の表示が重ねあわされた画像データを生成する。
【0033】
図6は、プレビュー画像、および、プレビュー画像に星座名および星座線が重ねあわされた画像の例を示す図である。図6(a)のプレビュー画像500は、図5(a)に示すものと同様である。図6(b)に示す画像600においては、プレビュー画像に、星座名(符号601参照)および星座線(たとえば、符号611、612参照)が重ねられている。図7は、プレビュー画像、および、プレビュー画像に星の名前および星座線が重ねあわされた画像の他の例を示す図である。図7(a)のプレビュー画像500は、図5(a)に示すものと同様である。図7(b)に示す画像700においては、プレビュー画像に、星の名前(符号701、702参照)および星座線が重ねられている。
【0034】
プレビュー画像データ、或いは、観測者が選択した表示設定情報が付加された画像データは、観測者の入力部18のキー操作により、画像メモリ26中に記憶される。
【0035】
なお、プレビュー画像に星雲が含まれると判断された場合、つまり、比較処理において、プレビュー画像中の画素群が星雲に相当すると判断された場合には、プレビュー画像と星雲データファイル37から取得された星雲名の表示とが重ねあわされたような画像が生成され、表示部19の画面上に表示される。
【0036】
本実施の形態によれば、カメラの撮影により取得された画像データに基づいて、画像データ中の画素群と天体とが関連付けられ、画像データに、画素群に関連付けられた天体の表示設定情報、たとえば、星の名前の表示が重ねあわされて表示される。したがって、実際の天空を目視することなく(視線を移動させる必要なく)、表示部の画面上に表示された画像を参照するだけで、現在自分が見ている星についての情報を取得することが可能となる。
【0037】
また、本実施の形態によれば、画像データの撮影日時が計時される。したがって、星図データファイルから、当該撮影日時に撮影され、画像データに含まれ得る星の星図データに限定することが可能となる。さらに、本実施の形態によれば、撮影データの撮影位置を測位する。これにより、撮影位置から撮影され、画像データに含まれ得る星の星図データに限定することができる。これにより、画像データ中の画素群と星との関連付けをする比較処理の負荷を小さくし、比較処理を短時間で実現することが可能となる。
【0038】
また、本実施の形態によれば、カメラ部のレンズの方向および仰角が検出される。これにより、カメラのレンズが向けられた天空の部分を特定することができ、画素群との比較対象となる天体データを、当該天空の部分に含まれる天体に関する天体データに限定することが可能となる。
【0039】
さらに、カメラ部のレンズの画角を算出することにより、画像データに含まれる天体の部分をほぼ完全に特定することができる。これにより、さらに画像データ中の画素群と星との関連付けをする比較処理の負荷を小さくし、比較処理を短時間で実現することが可能となる。
【0040】
また、本実施の形態においては、星座名および星座を構成する天体および天体間を接続する星座線を有する星座データを格納した星座データファイルが設けられ、画像データに、星座名および星座線の表示が重ねあわされて表示される。したがって、星の名前だけでなく、星座も、実際の天空を目視することなく(つまり視線を移動させる必要なく)知ることが可能となる。
【0041】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。第1の実施の形態においては、星図データファイル35、星座データファイル36、星雲データファイル37を格納した星関連DB33を参照して、星の名称や星座を特定し、星の名称や星座を示す表示が重ねあわされた画像を観測者に提示している。第2の実施の形態では、これに加えて、惑星に関する種々のデータを格納した惑星関連データベース40を備え、惑星に関する情報が重ねあわされた画像を観測者に提示することができる。図8は、本発明の第2の実施の形態にかかる天体観測装置の機能を示すブロックダイヤグラムである。図8において、図2に示す第1の実施の形態にかかる天体観測装置と同様の構成部分には同一の符号を付している。第2の実施の形態にかかる天体観測装置は、第1の実施の形態にかかる天体観測装置の構成部分に加えて、惑星関連データベース(DB)40を備える。
【0042】
惑星関連DB40には、天空中の位置および日時に関連付けられた惑星の情報を含む惑星データファイル41、および、惑星と日時とに関連付けられた占いの情報を含む占いデータファイル42が含まれる。
【0043】
第2の実施の形態にかかる天体観測装置においても、図3に示すフローチャートにしたがって処理が実行される。すなわち、観測者によるプレビューの指示を受理すると(ステップ301)、画像処理部22は、カメラ部21から画像データを取得して、表示制御部34に出力する。これにより表示部19の画面上には、カメラ部21のレンズにより撮影された画像データが、プレビュー画像として表示される(ステップ302)。観測者は、入力部18のズームスイッチ(図示せず)を操作して、所望の画角の画像を表示部19の画面上に表示させることができる。この際には、ズーム制御部23が、観測者によるズームスイッチの操作にしたがって、カメラ部21のレンズを制御する。画像処理部22は、プレビュー画像の画像データにフィルタリング処理を実行する(ステップ303)。フィルタリング処理により、画像データにおいて、星と認識される画素群の位置および明るさ(輝度)が確定する。また、比較判断部31が、上記星と認識された画素群と、星関連DB33の星図データファイル35中の星図データおよび惑星関連DB40の惑星データファイル41中の惑星データとの比較処理を実行する(ステップ304)。
【0044】
図9は、第2の実施の形態にかかる星図データおよび惑星データとの比較処理の例を示すフローチャートである。図9のステップ901〜ステップ906は、図4のステップ401〜406と同様である。つまり、ステップ901〜905で得た、現在時刻、現在位置、カメラ部21のレンズの方位、仰角、画角によって、比較判断部31は、プレビュー画像に相当する天空の範囲を特定する。
【0045】
次いで、比較判断部31は、特定された天空の範囲に相当する星図データを、星図データファイル35から取得するとともに、当該天空の範囲に相当する惑星データを、惑星データファイル41から取得する(ステップ907)。比較判断部31は、星図データおよび惑星データを重ね合わせた合成データを生成する(ステップ908)。この合成データにおいては、星の位置および輝度と、惑星の位置および輝度とが含まれる。したがって、比較判断部31は、フィルタリング処理が施された画像データにおいて、星に相当する画素群のうちある画素群を選択し、特定された天空の範囲に相当する合成データ中に示される星図データ或いは惑星データと比較する(ステップ909)。ステップ909における比較は、第1の実施の形態のステップ408における比較と同様である。
【0046】
比較判断部31は、プレビュー画像中の画素群と、合成データ中の星あるいは惑星との間の対応付けができたか否かを判断する(ステップ910)。ステップ910でNoと判断された場合には、合成データ中、次の星データ或いは惑星データを選択して(ステップ911)、プレビュー画像中の星に相当する画素群と星図データ或いは惑星データとの比較を行う(ステップ909)。ステップ910でYesと判断された場合には、プレビュー画像中の星に相当する画素群のそれぞれと、星図データ或いは惑星データとの関連付けを含むデータを、RAM14に格納する(ステップ912)。
【0047】
該当データ抽出処理部32は、観測者が入力部18の入力キーを操作して入力した表示設定情報を取得する(ステップ305)。第2の実施の形態において、表示設定情報には、たとえば、「星座線」、「星座名」、「星の名前」および「星雲・星団名」の項目に加えて、「惑星名」、「占い」、「惑星までの距離」の項目などが含まれ、観測者は、入力部18の入力キーを操作することで、上記項目のいずれか1つ以上を選択することができる。
【0048】
表示制御部34は、表示設定情報に含まれる項目に応じて、該当するデータを星関連DB33或いは惑星関連DB40から取得する(ステップ306)。その後、星関連DB33或いは惑星関連DB40から取得したデータに基づく表示と、プレビュー画像とを重ね合わせた画像データを生成する(ステップ307)。画像データは、表示部19に転送され(ステップ308)、これにより表示部19の画面上に観測者が選択した表示設定情報が付加された画像が表示される。
【0049】
図10は、プレビュー画像、および、プレビュー画像に惑星名が重ねあわされた画像の例を示す図である。図10の例では、表示設定情報として、「惑星名」が選択されている。したがって、該当データ抽出処理部32は、惑星データファイル41中の惑星データを参照して、プレビュー画像に含まれる惑星の惑星名を読み出し、表示制御部34が、惑星名の表示が重ねあわされた画像データを生成している。図10(a)のプレビュー画像1000においては、星や惑星に相当する画素群のみが表示されているが、図10(b)に示す画像1010においては、プレビュー画像に、惑星名(符号1011参照)が重ねられている。
【0050】
図11は、プレビュー画像、および、プレビュー画像に惑星名および占いの表示が重ねあわされた画像の他の例を示す図である。図11(a)のプレビュー画像は、図10(a)に示すものと同様である。図11の例では、表示設定情報として、「惑星名」および「占い」が選択されている。したがって、該当データ抽出処理部32は、惑星データファイル41中の惑星データを参照して、プレビュー画像に含まれる惑星の惑星名を読み出すとともに、占いデータファイル42中、当該惑星および現在時刻(日時)に対応付けられた占いデータを読み出して、表示制御部34が、惑星名および占いの表示が重ねあわされた画像データを生成している。図11(b)に示す画像1100においては、プレビュー画像に、惑星名および占い(符号1101参照)が重ねられている。
【0051】
第2の実施の形態においても、プレビュー画像データ、或いは、観測者が選択した表示設定情報が付加された画像データは、観測者の入力部18のキー操作により、画像メモリ26中に記憶される。
【0052】
なお、表示設定情報が、「惑星までの距離」であった場合には、該当データ抽出処理部32は、惑星データファイル41中の惑星データを参照して、プレビュー画像に含まれる惑星までの距離を取得し、表示制御部34が、惑星までの距離の表示が重ねあわされた画像データを生成する。
【0053】
第2の実施の形態によれば、カメラの撮影により取得された画像データに基づいて、画像中の画素群と惑星とが関連付けられ、画像データに、当該惑星に関連する種々の情報(占い、惑星までの距離など)が重ねあわされて表示される。したがって、実際の天空を目視することなく(視線を移動させる必要なく)、観測者は、表示部の画面上に表示された画像を参照するだけで、現在自分が見ている星についての情報を取得することが可能となる。
【0054】
また、第2の実施の形態においては、惑星名、惑星に関する占い情報、惑星との間の距離を有する惑星データを格納した惑星データファイルが設けられ、画像データに、惑星データの何れかの表示が重ねあわされて表示される。したがって、惑星の名前、当該惑星にかかる他の情報についても、実際の天空を目視することなく(つまり視線を移動させる必要なく)知ることが可能となる。
【0055】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる天体観察装置の構成を示すブロックダイヤグラムである。
【図2】図2は、第1の実施の形態にかかる天体観測装置の機能を示すブロックダイヤグラムである。
【図3】図3は、本実施の形態にかかる天体観測装置において実行される処理の例を示すフローチャートである。
【図4】図4は、本実施の形態にかかる星図データとの比較処理の例を示すフローチャートである。
【図5】図5は、プレビュー画像、および、特定された天空に相当する星図データの例を示す図である。
【図6】図6は、プレビュー画像、および、プレビュー画像に星座名および星座線が重ねあわされた画像の例を示す図である。
【図7】図7は、プレビュー画像、および、プレビュー画像に星の名前および星座線が重ねあわされた画像の他の例を示す図である。
【図8】図8は、本発明の第2の実施の形態にかかる天体観測装置の機能を示すブロックダイヤグラムである。
【図9】図9は、第2の実施の形態にかかる星図データおよび惑星データとの比較処理の例を示すフローチャートである。
【図10】図10は、プレビュー画像、および、プレビュー画像に惑星名が重ねあわされた画像の例を示す図である。
【図11】図11は、プレビュー画像、および、プレビュー画像に惑星名および占いの表示が重ねあわされた画像の他の例を示す図である。
【符号の説明】
【0057】
11 CPU
12 カメラ
13 ROM
14 RAM
15 記録デバイス
16 各種センサ
17 GPS装置
18 入力部
19 表示部
21 カメラ部
22 画像処理部
23 ズーム制御部
24 画角算出部
25 圧縮処理部
26 画像メモリ
27 時計
28 位置検出部
29 方位センサ
30 角度センサ
31 比較判断部
32 該当データ抽出処理部
33 星関連DB
34 表示制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラと、
天体の位置と当該天体の名称を含む表示情報とを有する天体データを格納した天体データファイルを含むデータベースと、
カメラにより撮影された画像データに含まれる一定の輝度を有する画素群と、前記天体データファイル中の天体データとを比較して、前記画素群に相当する天体を特定する天体比較判断手段と、
前記天体比較判断手段により特定された画素群と天体との関連付けに基づいて、前記天体データファイルから、前記画素群に関連付けられた天体についての天体データの表示情報を取得して、前記画像データに、前記表示情報を重ね合わせた合成画像データを生成する画像データ生成手段と、
前記合成画像データを表示する表示手段と、を備えたことを特徴とする天体観測装置。
【請求項2】
画像データの撮影日時を計時する計時手段を備え、
前記天体比較判断手段が、前記撮影日時において画像データに撮影され得る天体を特定し、当該特定された天体の天体データを、前記画素群との比較対象とすることを特徴とする請求項1に記載の天体観測装置。
【請求項3】
画像データの撮影位置を測位する測位手段を備え、
前記天体比較判断手段が、前記撮影位置において画像データに撮影され得る天体を特定し、当該特定された天体の天体データを、前記画素群との比較対象とすることを特徴とする請求項1または2に記載の天体観測装置。
【請求項4】
前記カメラのレンズの方位および仰角を検出する検出手段を備え、
前記天体比較判断手段が、前記レンズの方位および仰角に基づいて天空の部分を特定し、前記天空の部分に位置する天体の天体データを、前記画素群との比較対象とすることを特徴とする請求項1ないし3の何れか一項に記載の天体観測装置。
【請求項5】
前記カメラのレンズの画角を算出する画角算出手段を備え、
前記天体比較判断手段が、前記レンズの方位および仰角、ならびに、前記レンズの画角に基づいて天空の部分を特定し、前記天空の部分に位置する天体の天体データを、前記画素群との比較対象とすることを特徴とする請求項4に記載の天体観測装置。
【請求項6】
前記データベースが、星座名、星座を構成する天体および天体間を接続する星座線を有する星座データを格納した星座データファイルを含み、
前記画像データ生成手段が、前記画素群と天体との関連付けに基づいて、前記星座データファイルから前記画素群と関連付けられた単体を含む星座の星座データを取得して、前記画像データに、前記星座名、および、前記画素群に対応する天体との間を接続する星座線の少なくとも一方を重ね合わせた合成画像データを生成することを特徴とする請求項1ないし5の何れか一項に記載の天体観測装置。
【請求項7】
前記データベースが、前記天体のうち惑星名、および、惑星に関する占い情報を有する惑星データを格納した惑星データファイルを含み、
前記画像データ生成手段が、前記画素群と、天体との関連付けに基づいて、前記画素群と関連付けられた惑星の惑星データを取得して、前記画像データに、前記惑星名、および、当該惑星に関する占い情報の少なくとも一方を重ね合わせた合成画像データを生成することを特徴とする請求項1ないし6の何れか一項に記載の天体観測装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2009−210875(P2009−210875A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−54691(P2008−54691)
【出願日】平成20年3月5日(2008.3.5)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】