説明

太陽光発電パネルを備えた傾斜型防音壁

【課題】くの字形状に構成された支柱の上方側傾斜部間へ太陽光発電パネルを設置して太陽光エネルギーを効率良く取り込む構成とした太陽光発電パネルを備えた傾斜型防音壁を提供する。
【解決手段】支柱2は、中間部22を民地側に向ってせり出すくの字形状に構成されている。太陽光発電パネル3は、くの字形状の支柱2における民地側Bの上方側傾斜部間20、20へ設置され、防音パネル4は、くの字形状の支柱2における道路側Bの上方側及び下方側傾斜部間(20、20及び21、21)へ設置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、道路の延長方向に間隔をあけて立設された複数の支柱間へ太陽光発電パネルと防音パネルとを設置して成る防音壁の技術分野に属し、更に云うと、くの字形状に構成された支柱の上方側傾斜部間へ太陽光発電パネルを設置して太陽光エネルギーを効率良く取り込む構成とした太陽光発電パネルを備えた傾斜型防音壁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路の片側又は両側の路肩に、同道路の延長方向に沿って防音壁が設置され、同防音壁の民地側に太陽光発電パネルを設置して太陽光エネルギーを電気エネルギーとして取り込み、例えば視線誘導灯や道路照明灯等の各種施設、装置の電力供給に利用する技術が知られている。
例えば下記特許文献1には、道路の路肩に下端部を固定して垂直に立設された防音壁の上部を道路側へせり出すように湾曲させた構成とし、同防音壁の上部湾曲面を利用して複数枚の太陽光発電パネルを傾斜状態に設置した、太陽光発電パネルを備えた傾斜型防音壁が開示されている。
【0003】
下記特許文献2には、一定の間隔をあけて垂直に立設された支柱間に防音壁を垂直に設置し、該防音壁の外側面上へ鋸歯状の外装板を取り付け、該外装板の各傾斜面へ太陽光発電パネルを傾斜状態に設置した、太陽光発電パネルを備えた傾斜型防音壁が開示されている。
【0004】
下記特許文献3に開示された太陽光発電パネルを備えた防音壁は、防音壁全体が民地側へ湾曲しており、同湾曲面の上方部を利用して太陽光発電パネルを傾斜状態に設置した構成である。
この防音壁は、コンクリートで成る基礎台部へ、鋼板を道路側へ向かう方向に湾曲させて作製した支柱が立設され、同支柱間に横梁材が設置され、該横梁材へ湾曲形状の防音パネルが取り付けられており、同防音パネルの上方側湾曲部の外側面へ太陽光発電パネルを設置した構成である。前記太陽光発電パネルは、前記湾曲面の上方部へ取り付けたアルミフレームへ設置されている。前記アルミフレームは、防音壁に予め設けられた取り付け用の孔へアルミフレームの各隅部を差し込み、同防音壁の道路側面において、固定部材及びドリルビスにより固定して、防音壁と一体的に設置固定されている(段落番号[0071]に記載)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平09−53211号公報
【特許文献2】特開2001−64919号公報
【特許文献3】特開平09−100514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1は、防音壁の上部に形成した道路側へせり出す湾曲面を利用して、太陽光発電パネルを傾斜状態に設置するので、太陽光エネルギーを効率良く取り込むことができる。
しかし、道路構造法の第12条に規定されている建築限界では、車道の上方には少なくとも高さ3mの空間を確保しなければならない旨の記載がある。この道路構造法を遵守するためには、前記湾曲面は車道から高さ3m以上の高さに形成する必要がある。その結果、太陽光発電パネルの設置面積を十分に確保するとなると、非常に背の高い防音壁となってしまい、構築費用が高価になる。また、同防音壁の高所部位での設備の維持管理が非常に困難で面倒であり、その作業に時間が掛かるしコストも掛かる。
【0007】
その点、上記特許文献2に開示された太陽光発電パネルを備えた防音壁は、民地側へせり出す傾斜面を利用して太陽光発電パネルを設置する構成なので、同防音壁の高さを3m以下に構築することができ、設備の維持管理は容易である。また、外装板の傾斜面を利用することで、太陽光発電パネルの設置面積を十分に確保することができるし、太陽光エネルギーを効率良く取り込むことができる。
しかし、道路の延長方向に沿って設置した防音パネルの民地側面へ鋸歯状に成形した外装板を取り付けるには、同外装板の製作に多大なコストが掛かるし、その設置作業も非常に面倒で、時間が掛かり、コストが高価になる。また、車両が防音壁へ衝突した際に、その衝撃力により防音壁と共に太陽光発電パネルも破損する虞が高いので、太陽光発電パネルの破損による二次被害が懸念される。また、同太陽光発電パネルが破損した場合には新たに用意した太陽光発電パネルを設置し直すこととなり、非常にコストが掛かる。
【0008】
上記特許文献3に開示された太陽光発電パネルを備えた防音壁は、道路側へせり出さないように湾曲させた防音壁の上方部分へ直接太陽光発電パネルを取り付ける構成なので、同防音壁の高さを3m以下に構築することができるし、上記特許文献2に開示された防音壁のように、外装板を取り付ける必要もない。更に、車両が防音壁へ衝突しても、太陽光発電パネルは直接衝撃を受けない湾曲部の上部へ設置する構成なので、太陽光発電パネルが破損する虞も低いと認められる。
しかし、湾曲面に太陽光発電パネルを取り付ける場合、同太陽光発電パネルを安定化させるために、特殊な加工を施した取り付け方法が必要である。道路の延長方向に沿って多数に及ぶ太陽光発電パネルを前記特殊な取り付け方法で取り付けるには、その加工に多大なコストが掛かり、取り付け作業においても作業員に多くの負担が掛かり、手間とコストが掛かる。また、前記湾曲面に取り付ける防音パネルは、曲面対応可能なポリカーボネード等に限られており、防音機能として有効な吸音性能を備えた金属パネルを取り付けることは困難なので、防音壁としての性能にも問題がある。
【0009】
本発明の目的は、支柱を民地側へせり出すくの字形状に構成することで、建築限界を遵守して防音壁を車道から3m以下の高さに構築しても、同くの字形状支柱の傾斜部間へ太陽光発電パネルを傾斜状態に設置することができ、更に、太陽光発電パネルの取り付け構造が非常に簡易で、同太陽光発電パネルを簡単に且つ迅速に設置することができ、それでいて、車両が防音壁へ衝突しても、太陽光発電パネルの破損を防止することができる太陽光発電パネルを備えた傾斜型防音壁を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係る太陽光発電パネルを備えた傾斜型防音壁は、
道路の延長方向に一定の間隔をあけて複数の支柱が立設され、各支柱間に太陽光発電パネルと防音パネルが設置された防音壁であって、
前記支柱は、中間部を民地側へ向かってせり出すくの字形状に構成されており、
太陽光発電パネルは、前記くの字形状の支柱における上方側傾斜部間へ設置され、
防音パネルは、前記くの字形状の支柱における下方側傾斜部間へ設置されていることを特徴する。
【0011】
請求項2記載した発明に係る太陽光発電パネルを備えた傾斜型防音壁は、
道路の延長方向に一定の間隔をあけて複数の支柱が立設され、各支柱間に太陽光発電パネルと防音パネルが設置された防音壁であって、
前記支柱は、中間部を民地側へ向かってせり出すくの字形状に構成されており、
太陽光発電パネルは、前記くの字形状の支柱における民地側の上方側傾斜部間へ設置され、
防音パネルは、前記くの字形状の支柱における道路側の上方側及び下方側傾斜部間へ設置されていることを特徴する。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載した太陽光発電パネルを備えた傾斜型防音壁において、
太陽光発電パネルは、くの字形状に構成された支柱における上方側傾斜部間へ取り付けた横梁材の民地側面へ設置されていることを特徴とする。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項2に記載した太陽光発電パネルを備えた傾斜型防音壁において、
防音パネルは、くの字形状に構成された支柱における上方側傾斜部間へ設置された吸音パネルと、下方側傾斜部間へ設置された透光パネルとで構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る太陽光発電パネルを備えた傾斜型防音壁によれば、支柱2は中間部22を民地側Bへ向かってせり出すくの字形状に構成されているので、建築限界を遵守して防音壁1を車道11から3m以下の高さに構築しても、前記くの字形状の支柱2における上方側傾斜部間20、20へ太陽光発電パネル3を傾斜状態に設置することができ、前記太陽光発電パネル3は太陽光エネルギーを効率良く取り込むことができる。
また、くの字形状の支柱2の屈曲部分により道路側Aに余裕空間Sを形成(図3Bを参照)できるので、道路側Aの空間を実質広く確保することができ、運転者の視覚に与える圧迫感を軽減できるし、車両が防音壁1へ衝突する事故を回避できることに繋がる。
また、前記太陽光発電パネル3は、くの字形状の支柱2の上方側傾斜部間20、20へ取り付ける構成であり、請求項3記載の太陽光発電パネル3においては、前記くの字形状の支柱2における上方側傾斜部間20、20に取り付けられた横梁材5の民地側Bへ取り付けるだけの非常に簡易な構成であるから、同太陽光発電パネル3を簡単に且つ迅速に設置することができる。
更に、前記太陽光発電パネル3は、例えば車両が防音壁1へ衝突しても、同車両の衝撃を直接受けない支柱2の上方側傾斜部間20、20に設置されているので、同車両の衝突による破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る傾斜型防音壁を設置例を示した斜視図である。
【図2】本発明に係る傾斜型防音壁の設置例を示した断面図である。
【図3A】本発明に係る傾斜型防音壁を拡大して示した縦断面図である。
【図3B】傾斜型防音壁によって形成された余裕空間Sを明示した説明図である。
【図4】本発明に係る傾斜型防音壁を民地側から見た正面図である。
【図5】図4のV部を平面的に見た拡大断面図である。
【図6】本発明に係る傾斜型防音壁を道路側から見た正面図である。
【図7】図6のVII−VII線矢視拡大断面図である。
【図8】太陽光発電パネル及び防音パネルを支柱へ取り付ける異なる構成を平面的に見た拡大断面図である。
【図9】(a)〜(d)は本発明に係る傾斜型防音壁のバリエーションの概略を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る太陽光発電パネルを備えた傾斜型防音壁は、道路11の延長方向に一定の間隔をあけて複数の支柱2…が立設され、同支柱2、2間に太陽光発電パネル3と、吸音パネル40及び透光パネル41で構成された防音パネル4が設置された防音壁1である。支柱2は、中間部22を民地側に向ってせり出すくの字形状に構成されている。前記太陽光発電パネル3は、前記くの字形状の支柱2における上方側傾斜部間20、20に取り付けた横梁材5の民地側Bの面へ設置されており、前記吸音パネル40は、前記横梁材5の道路側Aの面に取り付けられた縦梁材6へ設置されている。前記透光パネル41は、前記くの字形状の支柱2における下方側傾斜部間21、21に設置されている。
【実施例1】
【0017】
以下に、本発明に係る太陽光発電パネルを備えた傾斜型防音壁を図示した実施例に基づいて説明する。
図1及び2は、道路11の左右両側の路肩であって、同道路11の延長方向に沿って高さが約1mのコンクリート高欄10が構築され、該コンクリート高欄10上へ本実施例に係る太陽光発電パネル3を備えた傾斜型防音壁1を構築した実施例を示している。
前記太陽光発電パネル3を備えた傾斜型防音壁1は、前記コンクリート高欄10上へ約2mの間隔をあけて複数の支柱2…が立設されており、各支柱2の間に太陽光発電パネル3と、吸音パネル40と透光パネル41とで構成された防音パネル4とを設置して構成されている。
【0018】
上記支柱2はH型鋼で構成されており、図3(A)に詳示したように、下方側傾斜部21を形成する下部支柱の上端部と、上方側傾斜部20を形成する上部支柱の下端部とを、溶接或いはボルト接合等の接合手段により一体的に接合して高さを約3mに形成すると共に、前記接合箇所である中間部22が、民地側Bへ向ってせり出すくの字形状に構成されている。なお、符号23は、前記支柱2の上端から下端にかけて取り付けられた太陽光発電パネル3同士を連結するワイヤを示している。
図3(A)に示す前記下部支柱は、一例としてコンクリート高欄10の上面からの高さが約0.9mであり、上部支柱は前記中間部22からの高さが約2.1mで構成されている。
また、図示したくの字形状の支柱2は、垂直面に対する下方側傾斜部21の角度θが約35度であり、垂直面に対する上方側傾斜部20の角度θが約15度である。これは、前記支柱2の下端部の固定位置に立つ作業員が、前記防音壁1の構築又は保守作業が可能な範囲として、上記くの字形状の支柱2の中間部22が、例えば支柱2の下端位置から民地側Bへ約1.0m向かってせり出すように設計した結果である。
但し、本実施例で云う「くの字形状」とは、前記下方側傾斜部21の角度θが0°<θ≦90°の角度範囲であり、上方側傾斜部20の角度θが0°<θ<90°の範囲であればよく、図示した屈曲角度に限定されない。
なお、図示することは省略したが、前記くの字形状の支柱2は前記コンクリート高欄10へ設置する必要はなく、例えば道路11の左右両側の路肩へ直接立設した構成で実施することもできる。
【0019】
上記くの字形状の支柱2の下端部は、図3(A)及び4に示すように、上記コンクリート高欄10の内部へ予め埋め込まれたアンカーボルト10aにより同コンクリート高欄10の上面に固定されたベースプレート10bへ溶接して強固に固定されている。前記アンカーボルト10aの上端部には、前記ベースプレート10bの上面において、ゆるみ止めナット10cが締め付けられている。
因みに、前記支柱2、2の上端部には、意匠用の笠木24が道路11の延長方向に沿って取り付けられており、同支柱2の中間部22には道路側Aと民地側Bの両側から当てがわれた中間蓋25が道路11の延長方向に沿って取り付けられている。更に、同支柱2、2間の下端部にも、下部蓋26が道路の延長方向に沿って取り付けられている。
【0020】
上記H型鋼で成る上部支柱には、図5に拡大して示すように、その左右の溝部へスチフナー50、50が溶接されて取り付けられており、前記支柱2の上方側傾斜部間20、20の上下方向へ配置された横梁材5…の両端部が、前記スチフナー50へボルト50aにより接合されて取り付けられている。そして、前記横梁材5の民地側Bの面へ太陽光発電パネル3が、その上下の縁辺を前記横梁材5へボルト5aにより接合されて固定され、前記くの字形状の支柱2における上方側傾斜部間20、20へ設置されている。
【0021】
上記太陽光発電パネル3は、一例として縦横の寸法が80cm〜110cm×110cm〜150cmであり、前記くの字形状支柱2の上方側傾斜部間20、20の上下方向へ2枚設置され、同上方側傾斜部間20、20の左右方向には、前記上下方向へ設置した2枚の太陽光発電パネル3が2列設置されている。但し、前記太陽光発電パネル3の大きさや設置枚数は、この限りではなく、必要に応じて適宜変更可能である。
なお、前記道路11の延長方向における左右の太陽光発電パネル3、3の間には、意匠的景観を呈するべく、フッ素ラミネート鋼板で成る背面カバー7が横梁材5へボルト7aにより接合されて設置されている。但し、前記背面カバー7は必ずしも設ける必要なく、前記くの字形状支柱2の上方側傾斜部間20、20には、太陽光発電パネル3のみを設置した構成で実施することもできる。
【0022】
上記くの字形状の支柱2における上方側傾斜部間20、20に設置された横梁材5の道路側Aの面には、溝形材で成る複数の縦梁材6がボルト6bにより接合されて固定されており、該縦梁材6へ吸音パネル40がボルト6aにより接合されている。
この吸音パネル40は、多数の吸音開口が設けられた孔明き鋼板で成る箱状体の内部に吸音材を充填して構成されている。前記吸音パネル40は、一例として縦横の寸法が約196cm×50cmであり、前記くの字形状支柱2における道路側Aの上方側傾斜部間20、20の上下方向へ4枚設置されている。
なお、前記吸音パネル40は必ずしも設置する必要はなく、くの字形状支柱2の上方側傾斜部間20、20へ、太陽光発電パネル3のみを設置した構成で実施することもできる。また、防音機能を備えた太陽光発電パネル3を使用してもよい。
【0023】
上記くの字形状支柱2の下方側傾斜部間21、21には、ポリカパネルで構成された透光パネル41が、その左右の縁辺を下部支柱の道路側Aのフランジ部へボルト41aにより接合されて設置されている。因みに、前記透光パネル41の縦横の寸法は、一例として196cm×90cmである。この透光パネル41によれば、防音効果を奏するほか、車道11へ採光することができるし、車道11からの見晴らしを向上させる効果も奏する。 なお、前記透光パネルは、ガラスパネルやアクリルパネルで構成されたものを用いて実施することもできる。
また、前記透光パネルに代えて、前記上記くの字形状支柱の下方側傾斜部間21、21に吸音パネルを設置した構成で実施することもできる。
【0024】
なお、上記太陽光発電パネル3及び防音パネル4は、上述した取り付け方法に限定されない。
例えば図8に示すように、前記太陽光発電パネル3は、前記くの字形状支柱2における民地側Bの面の上方側傾斜部間20、20へ配置され、上下の縁辺を前記支柱2のフランジ部へボルト3aにより直接接合して設置し、前記吸音パネル40は、前記くの字形支柱2における道路側Aの面へ配置され、その上下の縁辺を支柱2のフランジ部へボルト40aにより直接接合して設置した構成で実施することもできる。
【0025】
したがって、本発明に係る太陽光発電パネルを備えた傾斜型防音壁は、防音壁1を車道11から3m以下の高さに構築しても、前記くの字形状の支柱2における上方側傾斜部間20、20へ太陽光発電パネル3を傾斜状態に設置することができ、前記太陽光発電パネル3は太陽光エネルギーを効率良く取り込むことができる。
また、図3(B)に示すように、くの字形状の支柱2の屈曲部分により道路側Aに余裕空間を形成できるので、道路側Aの実質空間を広く確保することができ、運転者の視覚に与える圧迫感を軽減できるし、車両が防音壁1へ衝突する事故を回避できることに繋がる。
また、前記くの字形状の支柱2における上方側傾斜部間20、20に取り付けられた横梁材5の民地側Bへ取り付けるだけの非常に簡易な構成であるから、同太陽光発電パネル3を簡単に且つ迅速に設置することができる。
更に、前記太陽光発電パネル3は、例えば車両が防音壁1へ衝突しても、同車両の衝撃を直接受けない支柱2の上方側傾斜部間20、20に設置されているので、同車両の衝突による破損を確実に防止することができる。
【0026】
なお、本発明は上記の構成で実施されるので、支柱2の「くの字形状」に関しては、例えば図9(a)〜(d)などが挙げられる。
即ち、(a)は、これまで実施例として説明した図3(A)を表す。
(b)は、上方側傾斜部20の上端を道路11の建築限界近くにすることで、必要な太陽光発電パネル3の面積を確保しつつ、民地側Bへのせり出し量を減らすことができる。したがって、傾斜型防音壁1の重心バランスを基礎部12の近くにすることができる。また、太陽光発電パネル3を多く設置させることにより、太陽光エネルギーの発電効率を上げることができる。
(c)は、くの字形状支柱2の中間部22をより民地側Bへせり出す構成として、屈曲部分に広い余裕空間Sを形成することにより、運転者の視覚に与える圧迫感をより一層軽減でき、車両が傾斜型防音壁1へ衝突する事故を回避できる。
(d)は、くの字形状支柱2の下方側傾斜部21を長く構成して、車両の衝突による太陽光発電パネル3の破損をより確実に防止することができる。また、下方側傾斜部21を大きく構成できるので、同下方側傾斜部21へ透光パネル41を設置することで、採光や見晴らしに重点を置いた構成とすることができる。更に、太陽光発電パネル3の傾斜角度を寝かせていくことで、1枚当たりの発電量を向上させることができる。
【0027】
以上に本発明を図示した実施例に基づいて説明したが、本発明は、上記実施例の構成に限定されない。その目的と要旨を逸脱しない範囲において、当業者が必要に応じて行う設計変更、応用のバリエーションの範囲を含むことを念のため言及する。
【符号の説明】
【0028】
1 傾斜型防音壁
10 コンクリート高欄
11 道路
2 くの字形状の支柱
20 上方側傾斜部
21 下方側傾斜部
3 太陽光発電パネル
4 防音パネル
40 吸音パネル
41 透光パネル
5 横梁材
6 縦梁材
A 道路側
B 民地側
S 余裕空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路の延長方向に一定の間隔をあけて複数の支柱が立設され、各支柱間に太陽光発電パネルと防音パネルが設置された防音壁であって、
前記支柱は、中間部を民地側へ向かってせり出すくの字形状に構成されており、
太陽光発電パネルは、前記くの字形状の支柱における上方側傾斜部間へ設置され、
防音パネルは、前記くの字形状の支柱における下方側傾斜部間へ設置されていることを特徴する、太陽光発電パネルを備えた傾斜型防音壁。
【請求項2】
道路の延長方向に一定の間隔をあけて複数の支柱が立設され、各支柱間に太陽光発電パネルと防音パネルが設置された防音壁であって、
前記支柱は、中間部を民地側へ向かってせり出すくの字形状に構成されており、
太陽光発電パネルは、前記くの字形状の支柱における民地側の上方側傾斜部間へ設置され、
防音パネルは、前記くの字形状の支柱における道路側の上方側及び下方側傾斜部間へ設置されていることを特徴する、太陽光発電パネルを備えた傾斜型防音壁。
【請求項3】
太陽光発電パネルは、くの字形状に構成された支柱における上方側傾斜部間へ取り付けた横梁材の民地側面へ設置されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載した太陽光発電パネルを備えた傾斜型防音壁。
【請求項4】
防音パネルは、くの字形状に構成された支柱における上方側傾斜部間へ設置された吸音パネルと、下方側傾斜部間へ設置された透光パネルとで構成されていることを特徴とする、請求項2に記載した太陽光発電パネルを備えた傾斜型防音壁。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−97431(P2012−97431A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−244587(P2010−244587)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000006839)日鐵住金建材株式会社 (371)
【Fターム(参考)】