説明

太陽熱を利用したビニールハウス式乾燥方法および乾燥システム

【課題】回収されて裁断および洗浄された後の廃棄マルチシートを太陽熱を利用して効率良く乾燥することのできるビニールハウス式乾燥システムを提案すること。
【解決手段】ビニールハウス式乾燥システム1は、第1ビニールハウス10と第2ビニールハウス20を備えている。第1ビニールハウス10に乾燥対象のシート裁断片w1を投入する。太陽熱によって加熱されている第2ビニールハウス20の側の空気を通風管4を介して第1ビニールハウス10に供給しながら、当該第1ビニールハウス10内の空気をファン18によって攪拌すると共にシート裁断片w1を自走式攪拌機30によって攪拌しながらシート裁断片w1を乾燥する。水分を含む空気は排気ファン19によって外部に放出される。2棟のビニールハウスを用いることにより太陽熱を効率良く利用してシート裁断片w1を乾燥することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はビニールハウスに投入した乾燥対象物を太陽熱を利用して乾燥させる太陽熱を利用したビニールハウス式乾燥方法および乾燥システムに関する。特に、本発明は、野菜などの苗床などを作るために用いられた後のビニール製、ポリエチレン製などの使用済みの農業用マルチシート(これを、「廃棄マルチシート」と呼ぶ。)を洗浄後に乾燥するために用いるのに適したビニールハウス式乾燥方法および乾燥システムに関する。
【背景技術】
【0002】
廃棄マルチシートの再原料化処理においては、一般に、回収された泥、ゴミなどが付着した状態の農業用マルチシートを細かく粉砕あるいは裁断する粉砕工程、および、粉砕物に混入している泥、ゴミなどの異物を分離除去する異物除去工程を経た後に、シート粉砕物を溶融するなどの各種の処理を施してペレット状の再生プラスチックが得られる。ペレット状の再生プラスチックはそのまま用いられる場合もあるが、一般的には、バージン材と混合して用いられる。
【0003】
したがって、従来における廃棄マルチシートを再原料化するための処理システムは、一般に、粉砕機と、粉砕物から異物を除去する洗浄機と、洗浄後のシート粉砕物を乾燥する乾燥機と、乾燥後のシート粉砕物を溶融してペレット状の再生プラスチックにするための造粒機とを備えた構成となっている。
【0004】
ここで、洗浄後のシート粉砕物(裁断物)を乾燥するための乾燥機としては、一般に、化石燃料の燃焼熱を利用して空気を加熱し、加熱空気をシート粉砕物に吹き付けて乾燥を行うものが一般的である。環境負荷の軽減およびランニングコストの低減化を図るためには、太陽熱を利用したビニールハウス内でシート粉砕物を乾燥することが考えられる。ビニールハウスを用いた乾燥システムとしては、特許文献1〜4に、おが粉、木材を乾燥するためのものが提案されている。
【特許文献1】特開2007−285662号公報
【特許文献2】特開2007−285647号公報
【特許文献3】特開2007−132573号公報
【特許文献4】特開2007−112009号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来におけるビニールハウスを用いた乾燥システムでは、太陽光の照射量が少ない場合などに、十分な熱量を確保できず、ヒータなどを用いて乾燥用の熱風が必要となる場合が多い。このため、環境負荷およびランニングコストの軽減化を十分に達成できていないのが現状である。
【0006】
本発明の課題は、この点に鑑みて、基本的に化石燃料を用いることなく効率良く大量の乾燥対象物を乾燥することのできる太陽熱を利用したビニールハウス式乾燥方法および乾燥システムを提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の太陽熱を利用したビニールハウス式乾燥方法は、
第1ビニールハウスおよび第2ビニールハウスを設置し、
第2ビニールハウスにおいて太陽熱を利用して乾燥対象物を乾燥させるための加熱空気を生成し、
第1ビニールハウスにおいて、太陽熱と、第2ビニールハウスから供給される加熱空気を利用して、当該第1ビニールハウスに投入した乾燥対象物を乾燥することを特徴としている。
【0008】
本発明の方法では、ビニールハウスを利用して太陽熱によって乾燥対象物を乾燥すると共に、他方のビニールハウスにおいて得られた加熱空気も利用して乾燥対象物を乾燥させるようにしている。したがって、太陽の照射量の多寡にそれほど影響されることなく、乾燥対象物を乾燥させるために必要な熱量を確保できる。
【0009】
ここで、乾燥を効率良く行うためには、第1ビニールハウスにおいて、空気の攪拌動作、乾燥対象物の攪拌動作、および排気動作を行いながら、乾燥対象物を乾燥することが望ましい。
【0010】
また、冬季などのように太陽熱による熱量が絶対的に不足する状況においても乾燥処理を行うことができるようにするためには、化石燃料を燃焼させて加熱空気を補充できるようにしておくことが望ましい。
【0011】
さらに、大量の乾燥対象物を効率良く乾燥するためには、
第3ビニールハウスを設置し、
第2ビニールハウスから加熱空気の供給を受けながら第1ビニールハウスにおいて乾燥対象物を乾燥する第1乾燥工程と、
当該第1ビニールハウスから乾燥後の乾燥対象物を排出する排出処理、および、第2ビニールハウスに乾燥対象物を投入する投入処理を行う第1排出・投入工程と、
第3ビニールハウスから加熱空気の供給を受けながら第2ビニールハウスにおいて乾燥対象物を乾燥する第2乾燥工程と、
第2ビニールハウスから乾燥後の乾燥対象物を排出する排出処理、および、第3ビニールハウスに乾燥対象物を投入する投入処理を行う第2排出・投入工程と、
第1ビニールハウスから加熱空気の供給を受けながら第3ビニールハウスにおいて乾燥対象物を乾燥する第3乾燥工程と、
第3ビニールハウスから乾燥後の乾燥対象物を排出する排出処理、および、第1ビニールハウスに乾燥対象物を投入する投入処理を行う第3排出・投入工程とを繰り返し行うことが望ましい。
【0012】
このようにすれば、一つのビニールハウスにおいて乾燥工程を行っている間に、残りの2つのビニールハウスのうちの一つにおいて太陽熱を利用して乾燥用の加熱空気を形成しておくことができる。乾燥用の加熱空気を得るための時間を別途確保しておく必要がないので、その分、乾燥作業を効率化できる。
【0013】
ここで、本発明の太陽熱を利用したビニールハウス式乾燥方法は、所定の大きさに裁断された洗浄後の農業用の廃棄マルチシートを乾燥するために用いることができる。
【0014】
この場合には、廃棄マルチシートが投入されるビニールハウスの床面に水勾配を付け、投入された廃棄マルチシートから流れ落ちる水を集水枡に集めて外部に排出することが望ましい。
【0015】
また、廃棄マルチシートが投入されるビニールハウスの内部において、床面に沿って、当該床面に対応する輪郭形状のブレードを移動させることにより、投入された廃棄マルチシートを当該床面に沿って広げることが望ましい。このようにすれば、廃棄マルチシートを効率良く乾燥することができる。
【0016】
さらに、廃棄マルチシートを床面に沿って広げた後に、多数本の攪拌部材を、床面を摺る状態で、予め定められた経路に沿って往復移動させることにより、床面上の廃棄マルチシートを攪拌すれば、一層、乾燥効率を高めることができる。
【0017】
次に、本発明は、第1ビニールハウスにおいて、太陽熱と、第2ビニールハウスから供給される加熱空気を利用して、当該第1ビニールハウスに投入された所定の大きさに切断された洗浄後の廃棄マルチシートを乾燥し、乾燥時には、空気の攪拌動作、乾燥対象物の攪拌動作、および排気動作を行うビニールハウス式乾燥システムであって、
太陽熱を利用して内部を加熱するための第1ビニールハウスと、
太陽熱を利用して内部を加熱するための第2ビニールハウスと、
第2ビニールハウス内の加熱空気を第1ビニールハウス内に供給するための通風管と、
第1ビニールハウス内の空気を攪拌するファンと、
第1ビニールハウス内の空気を外部に放出するための排気ファン、
第1ビニールハウス内に投入された廃棄マルチシートを攪拌する攪拌手段とを有していることを特徴としている。
【0018】
ここで、攪拌手段として、第1ビニールハウス内の床面上を定まった経路に沿って往復移動可能な自走式攪拌機を用いることができる。この場合、当該自走式攪拌機は、一定の間隔で床面を摺りながら移動する多数本の攪拌用チェーンを備えていることが望ましい。攪拌用チェーンを床面に摺りながら往復移動させることにより、床面上の廃棄マルチシートを効果的に攪拌することができる。
【0019】
また、自走式攪拌機は、床面に対応する輪郭形状のブレードを着脱可能であることが望ましい。攪拌に先立って、ブレードを取り付けて自走式攪拌機を走行させることにより、投入された廃棄マルチシートを床面の全体に亘って広げることができる。これにより、廃棄マルチシートを効率良く乾燥することができる。
【0020】
次に、太陽熱が絶対的に不足しがちな冬季などを考慮して、化石燃料の燃焼熱により加熱空気を生成して第1ビニールハウスに補充可能な熱風発生装置を配置しておくことが望ましい。
【0021】
また、第1ビニールハウスの床面に水勾配を付け、投入された廃棄マルチシートから流れ落ちる水を床面に形成した集水枡に集めて外部に排出できるようにすることが望ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明では、第1ビニールハウス内において太陽熱を利用して乾燥対象物を乾燥すると共に、第2ビニールハウスにおいて太陽熱を利用して得られた加熱空気を第1ビニールハウスに供給して当該第1ビニールハウスでの乾燥を促進させるようにしている。したがって、従来のビニールハウスを用いた乾燥方法に比べて効率良く大量の乾燥対象物を乾燥することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に、図面を参照して、本発明を適用した太陽熱を利用したビニールハウス式乾燥システムの実施の形態を説明する。本実施の形態に係る太陽熱を利用したビニールハウス式乾燥システムは、回収されて裁断および洗浄された後の農業用の廃棄マルチシート(以下、シート裁断片と呼ぶ。)を乾燥するためのものである。
【0024】
(構成の説明)
図1はビニールハウス式乾燥システムを示す概略斜視図であり、図2はその概略平面図であり、図3はその乾燥側のビニールハウスの概略断面図である。ビニールハウス式乾燥システム1は、太陽熱を利用してシート裁断片を乾燥するための第1ビニールハウス10と、太陽熱を利用して乾燥用の加熱空気を生成するための第2ビニールハウス20を有している。
【0025】
第1ビニールハウス10および第2ビニールハウス20は、全体として長方形のかまぼこ形をしており、ビニールシートを張った屋根11、21と、開閉可能な入口側端壁12、22と、後側の端壁13、23と、コンクリート製の床板14、24を備えている。入口側端壁12、22には乾燥対象のシート裁断片を投入可能な開閉式の投入口12a、22aが形成されている。
【0026】
第1ビニールハウス10および第2ビニールハウス20の間は通風管4を介して相互に連通可能である。通風管4は地中に埋設されており、その一方の開口端4aが第1ビニールハウス10の床板14における入口側端壁12の近傍位置に開口しており、他方の開口端4bが第2ビニールハウス20の床板24における入口側端壁22の近傍位置に開口している。通風管4には開閉弁5が取り付けられており開閉可能となっている。
【0027】
第1ビニールハウス10の床板14は、その幅方向の中心が最も低くなるように僅かに水勾配が付いており、中心部分には一定の幅および深さの矩形の集水枡15が長さ方向に直線状に延びている。この集水枡15の端は不図示の集水ピットに通じている。床板14の幅方向の両側には一定の高さの腰壁16、17が形成されており、これら左右の腰壁16、17は床板14の両端においてその長さ方向に沿って延びている。これらの腰壁16、17の上端面は水平に延びる一定幅の走行面16a、17aとなっている。
【0028】
左右の腰壁16、17の間には、幅方向に自走式攪拌機30が架け渡されている。自走式攪拌機30は、図3から分かるように、幅方向に水平に延びる横架材31と、この横架材31の両端に取り付けた左右の走行輪32、33と、これら走行輪32、33を駆動するための走行用モータ34を備えている。左右の走行輪32、33は左右の腰壁16、17の走行面16a、17aに沿って走行可能となっている。
【0029】
自走式攪拌機30の横架材31には、一定の間隔で攪拌用のチェーン35が垂れ下がっている。各チェーン35は、それらの下端部分が床板14の床面14aを摺る状態が形成される長さに設定されている。また、横架材31の入口側の側面31aの両端には、図3において想像線で示す形状のブレード36を着脱可能な状態で吊り下げるフック37、38が取り付けられている。ブレード36は、その下端36aの輪郭形状が床板14の床面14aに対応した輪郭形状をしており、横架材31に吊り下げた状態では、その下端36aが丁度床面14aに接するようになっている。
【0030】
次に、第1ビニールハウス10のかまぼこ形の屋根11の天井には、その長さ方向に沿って一定の間隔で空気攪拌用のファン18が取り付けられている。また、後側の端壁13には排気ファン19が取り付けられている。
【0031】
一方、図1に示すように、通風管4には熱風発生装置40の熱風供給管41が接続されている。熱風発生装置40は灯油などの化石燃料を用いて熱風を発生するヒータを備えている。熱風発生装置40、通風管4に取り付けた開閉弁5、空気攪拌用のファン18、排気ファン19、および、自走式攪拌機30は、制御盤50によって駆動制御されるようになっている。
【0032】
他方の第2ビニールハウス20の内部構造は、本例では第1ビニールハウス10と同一であり、床板24には水勾配が付けられ、その中央には集水枡25が形成されており、その両側には腰壁26、27が形成され、これらの上端面に形成した走行面26a、27aに沿って、自走式攪拌機30と同一構成の自走式攪拌機60が走行可能となっている。屋根21の天井には、その長さ方向に沿って一定の間隔で空気攪拌用のファン28が取り付けられており、後側の端壁23には排気ファン29が取り付けられている。空気攪拌用のファン28、排気ファン29、および、自走式攪拌機60は、制御盤50によって駆動制御されるようになっている。
【0033】
(乾燥動作の説明)
図4および図5はビニールハウス式乾燥システム1によるシート裁断片の乾燥動作を示す動作説明図である。
【0034】
まず、洗浄後に水切処理が施されたシート裁断片w1をコンベヤなどの搬送機構によって第1ビニールハウス10まで搬送し、投入口12aから投入する(図4および図5の工程S1)。シート裁断片w1の投入に先立って、第1、第2ビニールハウス10、20は封鎖状態に保持され、太陽熱によって内部が加熱された状態にしておく。
【0035】
シート裁断片w1を投入した後は投入口12aを閉じ、開閉弁5を開き、第2ビニールハウス20の側から加熱空気を第1ビニールハウス10に供給する動作を開始する。また、空気攪拌用のファン18および排気ファン19を駆動して、投入されたシート裁断片w1の乾燥工程を開始する(図4の工程S2)。
【0036】
乾燥工程においては、まず、自走式攪拌機30にブレード36を取り付けて、自走式攪拌機30を入口側から後端側に移動させ、投入されたシート裁断片w1を床面14aに沿って広げる(図5の工程S21)。次に、ブレード36を外して自走式攪拌機30を繰り返し往復させ、チェーン35によって床面14a上に広げられたシート裁断片w1を繰り返し攪拌する(図5の工程S22)。このように、乾燥工程では、空気およびシート裁断片w1を攪拌しながら効率良くシート裁断片w1を乾燥する。
【0037】
乾燥終了後は、乾燥済みのシート裁断片w1を第1ビニールハウス10から排出する(図4の工程S3)。排出工程においては、自走式攪拌機30にブレード36を再度取り付け、自走式攪拌機30を後端側から入口側に移動させる。これにより、殆どの乾燥済みシート裁断片w2が入口側に掻き寄せられる(図5の工程S31)。また、排出工程においては、通風管4を閉じて、他方の第2ビニールハウス20において、太陽熱を利用して内部空気を加熱する。
【0038】
上記の工程を繰り返すことにより、バッチ式でシート裁断片w1の乾燥動作を行うことができる。また、冬季などのように太陽熱の絶対量が不足する場合には、熱風発生装置40を用いて加熱空気を発生して補充すればよい。
【0039】
なお、上記の工程では、第1ビニールハウス10のみを用いてシート裁断片w1を乾燥している。第1ビニールハウス10および第2ビニールハウス20を交互に用いて、シート裁断片w1を乾燥してもよい。また、本例では、第2ビニールハウス20も第1ビニールハウス10と同様な構造としてあるが、加熱空気を第1ビニールハウス10に供給する動作のみを行う場合には、第2ビニールハウス20は一般的なビニールハウスで良く、左右の腰壁26、27、自走式攪拌機60などを省略してもよい。
【0040】
(別の実施の形態)
ここで、3棟以上のビニールハウスを設置して、乾燥対象物の乾燥処理を行うことも可能である。例えば、上記の第1ビニールハウス10と同一構造の3棟のビニールハウスを設置した場合には各ビニールハウスを順次に使用して、乾燥対象物の乾燥処理を行うことができる。
【0041】
図6は3棟のビニールハウスA、B、Cを用いた乾燥処理の一例を示す工程図である。まず、ビニールハウスAに乾燥対象物を投入する。他のビニールハウスB、Cでは太陽熱を利用した内部空気が加熱されている(工程S101)。
【0042】
次に、ビニールハウスBから加熱空気の供給を受けながらビニールハウスAにおいて乾燥対象物を乾燥する第1乾燥工程を行う(工程S102)。乾燥後、ビニールハウスAから乾燥済みの乾燥対象物を排出する排出処理、および、ビニールハウスBに乾燥対象物を投入する投入処理を行う第1排出・投入工程を行う(工程S103)。しかる後に、ビニールハウスCから加熱空気の供給を受けながらビニールハウスBにおいて乾燥対象物を乾燥する第2乾燥工程を行う(工程S104)。次に、ビニールハウスBから乾燥後の乾燥対象物を排出する排出処理、および、ビニールハウスCに乾燥対象物を投入する投入処理を行う第2排出・投入工程を行う(工程S105)。次に、ビニールハウスAから加熱空気の供給を受けながらビニールハウスCにおいて乾燥対象物を乾燥する第3乾燥工程を行う(工程S106)。乾燥後に、ビニールハウスCから乾燥後の乾燥対象物を排出する排出処理、および、ビニールハウスAに乾燥対象物を投入する投入処理を行う第3排出・投入工程を行う(工程S107)。この後は、上記の工程S102〜S106を繰り返し行う。
【0043】
このようにすれば、一つのビニールハウスにおいて乾燥工程を行っている間に、残りの2つのビニールハウスのうちの一つにおいて太陽熱を利用して乾燥用の加熱空気を形成しておくことができる。乾燥用の加熱空気を得るための時間を別途確保しておく必要がないので、その分、乾燥作業を効率化できる。
【0044】
(その他の実施の形態)
なお、上記の例は、本発明を廃棄マルチシートの乾燥に用いた例である。本発明は廃棄マルチシート以外の乾燥対象物に対しても同様に適用可能なことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明を適用したビニールハウス式乾燥システムの概略構成図である。
【図2】図1のビニールハウス式乾燥システムの平面図である。
【図3】図1のビニールハウスの断面図である。
【図4】図1のビニールハウス乾燥システムの動作説明図である。
【図5】図1のビニールハウス乾燥システムの動作説明図である。
【図6】本発明を適用した3棟のビニールハウスを備えているシステムの動作説明図である。
【符号の説明】
【0046】
1 ビニールハウス式乾燥システム
4 通風管
4a、4b 開口端
5 開閉弁
10 第1ビニールハウス
20 第2ビニールハウス
11、21 屋根
12、22 入口側端壁
12a、22a 投入口
13、23 後側の端壁
14、24 床板
14a、24a 床面
15、25 集水枡
16,17、26、27 腰壁
16a、17a、26a、27a 走行面
18、28 ファン
19、29 排気ファン
30、60 自走式攪拌機
31 横架材
32、33 走行輪
34 走行用モータ
35 チェーン
36 ブレード
36a ブレード下端
37、38 フック
40 熱風発生装置
41 熱風供給管
50 制御盤
A、B、C ビニールハウス
w1 乾燥対象のシート裁断片
w2 乾燥済みのシート裁断片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ビニールハウスおよび第2ビニールハウスを設置し、
第2ビニールハウスにおいて太陽熱を利用して乾燥対象物を乾燥させるための加熱空気を生成し、
第1ビニールハウスにおいて、太陽熱と、第2ビニールハウスから供給される加熱空気を利用して、当該第1ビニールハウスに投入した乾燥対象物を乾燥することを特徴とする太陽熱を利用したビニールハウス式乾燥方法。
【請求項2】
請求項1に記載の太陽熱を利用したビニールハウス式乾燥方法において、
前記第1ビニールハウスにおいて、空気の攪拌動作、乾燥対象物の攪拌動作、および排気動作を行いながら、乾燥対象物を乾燥することを特徴とする太陽熱を利用したビニールハウス式乾燥方法。
【請求項3】
請求項2に記載の太陽熱を利用したビニールハウス式乾燥方法において、
太陽熱によっては乾燥対象物を乾燥するために十分な加熱空気が得られない場合に、化石燃料を燃焼させて加熱空気を補充することを特徴とする太陽熱を利用したビニールハウス式乾燥方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のうちのいずれかの項に記載の太陽熱を利用したビニールハウス式乾燥方法において、
第3ビニールハウスを設置し、
前記第2ビニールハウスから加熱空気の供給を受けながら前記第1ビニールハウスにおいて乾燥対象物を乾燥する第1乾燥工程と、
当該第1ビニールハウスから乾燥後の乾燥対象物を排出する排出処理、および、前記第2ビニールハウスに乾燥対象物を投入する投入処理を行う第1排出・投入工程と、
前記第3ビニールハウスから加熱空気の供給を受けながら前記第2ビニールハウスにおいて乾燥対象物を乾燥する第2乾燥工程と、
前記第2ビニールハウスから乾燥後の乾燥対象物を排出する排出処理、および、前記第3ビニールハウスに乾燥対象物を投入する投入処理を行う第2排出・投入工程と、
前記第1ビニールハウスから加熱空気の供給を受けながら前記第3ビニールハウスにおいて乾燥対象物を乾燥する第3乾燥工程と、
前記第3ビニールハウスから乾燥後の乾燥対象物を排出する排出処理、および、前記第1ビニールハウスに乾燥対象物を投入する投入処理を行う第3排出・投入工程とを繰り返し行うことを特徴とする太陽熱を利用したビニールハウス式乾燥方法。
【請求項5】
請求項1ないし4のうちのいずれかの項に記載の太陽熱を利用したビニールハウス式乾燥方法において、
前記乾燥対象物は、所定の大きさに裁断された洗浄後の農業用の廃棄マルチシートであることを特徴とする太陽熱を利用したビニールハウス式乾燥方法。
【請求項6】
請求項5に記載の太陽熱を利用したビニールハウス式乾燥方法において、
前記乾燥対象物が投入される前記ビニールハウスの床面に水勾配を付け、投入された前記乾燥対象物から流れ落ちる水を集水枡に集めて外部に排出することを特徴とする太陽熱を利用したビニールハウス式乾燥方法。
【請求項7】
請求項5に記載の太陽熱を利用したビニールハウス式乾燥方法において、
前記乾燥対象物が投入される前記ビニールハウスの内部において、前記床面に沿って、当該床面に対応する輪郭形状のブレードを移動させることにより、投入された前記乾燥対象物を当該床面に沿って広げることを特徴とする太陽熱を利用したビニールハウス式乾燥方法。
【請求項8】
請求項7に記載の太陽熱を利用したビニールハウス式乾燥方法において、
前記乾燥対象物を前記床面に沿って広げた後は、多数本の攪拌部材を、前記床面を摺る状態で、予め定められた経路に沿って往復移動させることにより、前記乾燥対象物を攪拌することを特徴とする太陽熱を利用したビニールハウス式乾燥方法。
【請求項9】
請求項2に記載の方法により所定の大きさに裁断された洗浄後の農業用の廃棄マルチシートを乾燥するためのビニールハウス式乾燥システムであって、
太陽熱を利用して内部を加熱するための第1ビニールハウスと、
太陽熱を利用して内部を加熱するための第2ビニールハウスと、
前記第2ビニールハウス内の加熱空気を前記第1ビニールハウス内に供給するための通風管と、
前記第1ビニールハウス内の空気を攪拌するファンと、
前記第1ビニールハウス内の空気を外部に放出するための排気ファン、
前記第1ビニールハウス内に投入された廃棄マルチシートを攪拌する攪拌手段とを有していることを特徴とするビニールハウス式乾燥システム。
【請求項10】
請求項9に記載のビニールハウス式乾燥システムにおいて、
前記攪拌手段は、前記第1ビニールハウス内の床面上を定まった経路に沿って往復移動可能な自走式攪拌機であり、
当該自走式攪拌機は、一定の間隔で前記床面を摺りながら移動する多数本の攪拌用チェーンを備えていることを特徴とするビニールハウス式乾燥システム。
【請求項11】
請求項10に記載のビニールハウス式乾燥システムにおいて、
前記自走式攪拌機は、前記床面に対応する輪郭形状のブレードを着脱可能であることを特徴とするビニールハウス式乾燥システム。
【請求項12】
請求項9に記載のビニールハウス式乾燥システムにおいて、
化石燃料の燃焼熱により加熱空気を生成して前記第1ビニールハウスに補充可能な熱風発生装置を有していることを特徴とするビニールハウス式乾燥システム。
【請求項13】
請求項9に記載のビニールハウス式乾燥システムにおいて、
前記第1ビニールハウスの床面には水勾配が付いており、
投入された廃棄マルチシートから流れ落ちる水が前記床面に形成した集水枡に集められて外部に排出されるようになっていることを特徴とするビニールハウス式乾燥システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−127957(P2009−127957A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−304866(P2007−304866)
【出願日】平成19年11月26日(2007.11.26)
【出願人】(505404530)株式会社ダイキアクシス (9)
【Fターム(参考)】