説明

太陽追尾型太陽光発電装置

【課題】 太陽追尾構造は複雑で製作コストも大きく、それぞれの部分で電気エネルギーを消費するため太陽光発電装置で発電された電気エネルギーの採取効率が悪い。また、太陽光発電装置はその多くは屋外設置が主で風雨などの苛酷な環境にさらされるため、防水対策等が必要となる。また、太陽熱エネルギーを利用した太陽追尾構造も開示されているが、太陽の熱伝導により動力部が作動するまでに時間的な遅延があるという課題があった。
【課題解決手段】 固定基軸にベアリング等を介し小さい力で回転可能な支柱を設置し、その支柱に垂直に永久磁石を設け、支柱上部に太陽光発電パネルを設けた太陽光発電装置と、裏面に電磁石を具備した太陽追尾誘導用太陽光発電パネルを3枚乃至複数枚を円状に配置した、または2枚乃至複数枚を円弧状に配置した太陽追尾誘導装置からなる太陽追尾型太陽光発電装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電装置に係わり、特に、より発電効率を向上させた太陽光発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、太陽追尾型太陽光発電装置は、太陽電池セルを平板状に配列したソーラーパネルを常に太陽光に対して垂直に維持し、最大の発電効率を得るために、ソーラーパネルの表面に垂直な遮蔽体を設けるとともに、遮蔽体の周囲に複数箇所に光センサを設け、太陽の方向によって生じる遮蔽体の影によって各光センサの出力が等しくなるように、ソーラーパネルをサーボモータにより傾動するようにしたもの(特許文献1参照)、または、太陽の軌道をデータ化しコンピュータによりサーボモーターを制御しソーラパネルを傾動するようにしたものが開示されている(特許文献2)。
さらに、ソーラーパネルを傾動させるためサーボモーター等の電気エネルギーを利用せず太陽熱による液体膨張でアクチュエーターを作動させソーラーパネルを傾動させるもの(特許文献3参照)や形状記憶合金を利用したものなどが開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開平1−79816
【特許文献2】特開2001−290537
【特許文献3】特開平6−301420
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1、及び特許文献2に記載の太陽追尾構造はセンサー部(特許文献1)、データー入力部(特許文献2)、制御部、動力部を有し、その構造は複雑で製作コストも大きく、それぞれの部分で電気エネルギーを消費するため太陽光発電装置で発電された電気エネルギーの採取効率が悪い。また、太陽光発電装置はその多くは屋外設置が主で風雨などの苛酷な環境にさらされるため、動力部や制御部の防水対策やリモートコントロール、または電力供給のための配線が必要となりコスト増や装置の大型化につながる。
特許文献3に記載の太陽追尾構造、及び形状記憶合金の特性を利用した太陽追尾構造は太陽が直角に照射される方位のとき、最も太陽熱エネルギーを採取できる物理的特徴を利用しソーラーパネルを傾動させるもので、外部若しくは太陽光発電装置からの電気エネルギー供給や複雑な制御部、センサー部を不要とした点が特徴であるが、太陽の熱伝導により動力部が作動するまでに時間的な遅延がある。また、季節による気温差や、日夜の気温差などが動作に影響を及ぼす可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、本発明は、上記の課題を解決すべく、請求項1に記載の如く、固定基軸にベアリング等を介し小さい力で回転可能な支柱を設置し、その支柱に垂直に永久磁石を設け、支柱上部に太陽光発電パネルを設けた太陽光発電装置と、裏面に電磁石を具備した太陽追尾誘導用太陽光発電パネルを3枚乃至複数枚を円状に配置した、または2枚乃至複数枚を円弧状に配置した太陽追尾誘導装置からなる太陽追尾型太陽光発電装置を提供するものである。
【0006】
また、本発明は、請求項2に記載の如く、請求項1に記載の太陽追尾誘導装置において、太陽追尾誘導用太陽光発電パネルを取付フレーム上部に設けた蝶番に取付け、また取付フレームの左右もしくは下部にダンパー等を設置して、太陽追尾誘導装置の太陽追尾誘導用太陽光発電のパネルが上下方向に自由に角度が変えられ固定することが出来る太陽追尾型太陽光発電装置を提供するものである。
【0007】
また、本発明は、請求項3に記載の如く、請求項1または請求項2に記載の太陽追尾型太陽光発電装置において、太陽光発電装置の支柱にバネ若しくはゴム、あるいはそれらを介した紐の一端を設置し、もう一端を地面や固定設置物に設置した太陽追尾型太陽光発電装置を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る太陽追尾型太陽光発電装置によれば、上記の課題を解決すべく、請求項1に記載のように、固定基軸にベアリング等を介し小さい力で回転可能な支柱を設置し、その支柱に垂直に永久磁石を設け、支柱上部に太陽光発電パネルを設けた太陽光発電装置と、裏面に電磁石を具備した太陽追尾誘導用太陽光発電パネルを3枚乃至複数枚を円状に配置した、または2枚乃至複数枚を円弧状に配置した太陽追尾誘導装置を設置することにより、その太陽追尾誘導装置の複数枚の太陽追尾誘導用太陽光発電パネルの内、入射角度が最も垂直に近い太陽光を受けている太陽光発電パネルが当然の如く最も強い発電量があり、それに伴い、背面に設けられた電磁石も最も強い磁力を生み、太陽光発電装置の支柱に設けられた永久磁石が引き付けられるように支柱が回転するため、センサー部、制御部、動力部を不要として太陽光発電装置の上部の太陽光発電パネルが太陽の位置を追尾することができる。さらに、太陽熱の熱伝導率の影響を受けないため、動作に遅延がない効果がある。
【0009】
また、本発明は、請求項2に記載の如く、請求項1に記載の太陽追尾誘導装置において、太陽光発電パネルを取付フレーム上部に設けた蝶番に取付け、また取付フレームの左右もしくは下部にダンパー等を設置して、太陽追尾誘導装置の太陽光発電のパネルが上下方向に自由に角度が変えられ固定することが出来ることにより、手動ではあるが、季節による太陽の軌道を調整することができ、発電の高効率化を図ることが出来る効果がある。
【0010】
また、本発明は、請求項3に記載の如く、請求項1または請求項2に記載の太陽追尾型太陽光発電装置において、太陽光発電装置の支柱にバネ若しくはゴム、あるいはそれらを介した紐の一端を設置し、もう一端を地面や固定設置物に設置することにより、日没後、太陽光発電装置の太陽光発電パネルを翌日の日の出の方角に再設定する効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明に係る太陽追尾型太陽光発電装置は、固定基軸4にベアリング等8を介し小さい力で回転可能な支柱3を設置し、その支柱に垂直に永久磁石2を設け、支柱上部に太陽光発電パネル1を設けた太陽光発電装置aと、裏面に電磁石6を具備した太陽光発電パネル5を3枚乃至複数枚を円状に配置した、または2枚乃至複数枚を円弧状に配置した太陽追尾誘導装置からなる構成を有する。
【0012】
この構成により、図示の実施例1の如く太陽光の入射角度が最も垂直に近い太陽追尾誘導装置bの太陽追尾誘導用太陽光発電パネル5が発電する電気量が最も多く、それに伴い背面に具備された電磁石6が高い磁力を発生し、太陽光発電装置aの永久磁石2が電磁石6に引き付けられ、支柱を回転させ太陽光発電パネル1が太陽光を追尾する。このとき、電磁石6の先端6aと永久磁石2の先端2aは互いに逆極性になるよう設置、または配線する必要がある。また、電磁石6の先端6aと永久磁石2の先端2aは引き付けられたとき両者間の隙間がより少なくなるよう設置するのが望ましい。
【0013】
また、図示の実施例2の如く、太陽は東方向から南方向を経て西方向に沈むため北方向は常に陰となることから、太陽追尾誘導装置bの北方向の一部を設置しなくてもある程度の効果は期待できる。
【0014】
また、太陽追尾誘導装置bの太陽追尾誘導用太陽光発電パネル5を増やすことで、より細かな太陽光追尾を行なうことが出来る。
【0015】
また、図示の実施例3の如く、太陽追尾誘導装置bにおいて、太陽追尾誘導用太陽光発電パネル5を取付フレーム10上部に設けた蝶番9に取付け、また取付フレーム10の左右もしくは下部にダンパー等11を設置する。この構造を有することにより太陽追尾誘導装置bの太陽追尾誘導用太陽光発電パネル5が上下方向に自由に角度が変えられ固定することが出来ることにより、手動ではあるが、季節による太陽の軌道を調整することができ、発電の高効率化を図ることが出来る効果がある。
【0016】
また、図示の実施例4の如く、太陽追尾型太陽光発電装置において、太陽光発電装置aの支柱4にバネ若しくはゴム、あるいはそれらを介した紐12の一端12aを設置し、もう一端12bを地面や固定設置物に設置する。また、このとき、太陽光発電装置aの太陽光発電パネル1が日の出の方角に向いているときにバネ若しくはゴム、あるいはそれらを介した紐12の長さが最短で且つ、たるみの無いように設置する必要がある。この構造を有することにより、日の出以降、太陽光を追尾するため支柱3が回転し、同時にバネ若しくはゴム、あるいはそれらを介した紐12が支柱3に巻き取られ、バネ若しくはゴム、あるいはそれらを介した紐12に回復力が発生し、日没後、太陽追尾誘導装置bの太陽追尾誘導用太陽光発電パネル5が発電しなくなり、電磁石6の磁力がなくなるとバネ若しくはゴム、あるいはそれらを介した紐12の回復力により太陽光発電装置aの太陽光発電パネル1を翌日の日の出の方角に再設定する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明装置の一実施例の一使用態様を示す上面図(実施例1)。
【図2】その実施例の他の使用態様を示す上面図(実施例2)。
【図3】図1の一部を拡大して示す側面図(実施例3)。
【図4】その実施例の一部の他の使用態様を示す上面図(実施例4)。
【図5】本発明装置の一実施例の一使用態様を示す概略斜視図。
【符号の説明】
【0018】
1 太陽光発電パネル
2 永久磁石
2a 永久磁石先端
3 支柱
4 固定基軸
5 太陽追尾誘導用太陽光発電パネル
6 電磁石
6a 電磁石先端
8 ベアリング
9 蝶番
10 取付フレーム
11 ダンパー
12 バネ若しくはゴム、あるいはそれらを介した紐
a 太陽光発電装置
b 太陽追尾誘導装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定基軸にベアリング等を介し小さい力で回転可能な支柱を設置し、その支柱に垂直に永久磁石を設け、支柱上部に太陽光発電パネルを設けた太陽光発電装置と、裏面に電磁石を具備した太陽追尾誘導用太陽光発電パネルを3枚乃至複数枚を円状に配置した、または2枚乃至複数枚を円弧状に配置した太陽追尾誘導装置からなる太陽追尾型太陽光発電装置。
【請求項2】
太陽追尾誘導用太陽光発電パネルを取付フレーム上部に設けた蝶番に取付け、また取付フレームの左右もしくは下部にダンパー等を設置した請求項1の太陽追尾型太陽光発電装置。
【請求項3】
太陽光発電装置の支柱にバネ若しくはゴム、あるいはそれらを介した紐の一端を設置し、もう一端を地面や固定設置物に設置した請求項1または請求項2の太陽追尾型太陽光発電装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2007−103889(P2007−103889A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−320097(P2005−320097)
【出願日】平成17年10月4日(2005.10.4)
【出願人】(000234627)シロウマサイエンス株式会社 (40)
【Fターム(参考)】