説明

太陽電池アレイ

【課題】 耐荷重の性能に優れた太陽電池アレイを提供すること。
【解決手段】本発明の太陽電池アレイ1は、複数のフレームレス型の太陽電池モジュール2と、隣り合う2つの該太陽電池モジュール2間に配置されてそれぞれの該太陽電池モジュール2を保持する保持部材24とを備える。また、太陽電池モジュール2は、受光面15aおよび該受光面15aの裏側に相当する非受光面15bを有する太陽電池パネル15と、該太陽電池パネル15の非受光面15b側に配置された、一方向に延びている補強部材16とを有している。そして、保持部材24は、補強部材16に非受光面15bと反対側から当接する当接部を有している、

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池アレイに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の環境保護の気運の高まりに伴い、環境負荷の少ない太陽光発電システムが注目されている。太陽光発電システムの普及拡大のために、太陽電池アレイの省資源化、価格の低廉化などが求められている。そこで、省資源化の観点から、フレームを省略したフレームレス型(以下、フレームレス太陽電池モジュールとする)の太陽電池モジュールを用いた太陽電池アレイが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−231600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、フレームレス太陽電池モジュールは、その外周をフレームで保護されていないことから、曲げ剛性が低い。このため、太陽電池アレイが風荷重や積雪荷重を受けたときに、フレームレス太陽電池モジュールが大きく撓みやすい。これにより、このような太陽電池アレイでは、フレームレス太陽電池モジュールの破損または架台からの脱落などが生じるおそれがある。
【0005】
本発明の一つの目的は、耐荷重性能に優れた太陽電池アレイを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係る太陽電池アレイは、複数のフレームレス型の太陽電池モジュールと、隣り合う2つの該太陽電池モジュール間に配置されてそれぞれの該太陽電池モジュールを保持する保持部材とを備える。前記太陽電池モジュールは、受光面および該受光面の裏側に相当する非受光面を有する太陽電池パネルと、該太陽電池パネルの前記非受光面側に配置された、一方向に延びている補強部材とを有している。そして、前記保持部材は、前記補強部材に前記非受光面と反対側から当接する当接部を有している。
【発明の効果】
【0007】
上述の太陽電池アレイによれば、太陽電池パネルの非受光面側から保持部材が太陽電池モジュールの補強部材と当接しているため、保持部材で補強部材を支持することができる。これにより、太陽電池モジュールの曲げ剛性が高まる。その結果、風または積雪等の荷重に対する太陽電池アレイの耐荷重性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】一実施形態に係る太陽電池アレイを示す分解斜視図である。
【図2】一実施形態に係る太陽電池アレイに用いるフレームレス太陽電池モジュールを示す図であり、(a)は太陽電池モジュールを受光面側から見た平面図、(b)は太陽電池モジュールを裏面側から見た平面図、(c)は図2(a)のA−A’における断面図を示す。
【図3】(a)は図1のB−B’における断面図であり、(b)は図1のC−C’における断面図であり、
【図4】(a)は図1のD−D’における断面図であり、(b)は図1のE−E’における断面図である。
【図5】他の実施形態に係る太陽電池アレイの太陽電池モジュールを取り付けた後の様子を示す断面図である。
【図6】一実施形態に係る太陽電池アレイを示す図であり、(a)は太陽電池モジュールを取り付ける前の様子を示す断面図、(b)は太陽電池モジュールを取り付けた後の様子を示す断面図である。
【図7】一実施形態に係る太陽電池アレイを示し、隣接する第2保持部材の間隔と、第1保持部材の長手方向の寸法の関係を示す側面図である。
【図8】本発明の第1実施形態に係る太陽電池アレイの組立方法を示す図であり、(a)は太陽電池モジュールを取り付ける前の様子を示す斜視図、(b)は太陽電池モジュールを取り付けている様子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の太陽電池アレイの実施形態について図面を参照しつつ説明する。本発明の一実施形態に係る太陽電池アレイ1は、図1に示すように、フレームレス型の複数の太陽電池モジュール2(2A〜2I)と、基礎21と、柱22と、レール部材23と、保持部材(第1保持部材24)と、第2保持部材25とを備えている。なお、図1乃至図7において、太陽電池アレイ1の太陽電池モジュール2の主面に平行で傾斜方向に垂直な方向をX方向、太陽電池モジュール2の主面に平行で傾斜方向に平行な方向をY方向、太陽電池モジュール2の主面に垂直な方向をZ方向とする。また、以下の説明では、図1等において、太陽電池アレイ1の傾斜の下方を軒側とし、傾斜の上方を棟側と称する。
【0010】
次に、太陽電池アレイの部材について説明する。
【0011】
<太陽電池モジュール>
太陽電池モジュール2は、複数の太陽電池素子12を互いに電気的に接続してなる集合体である。太陽電池モジュール2は、例えば、スーパーストレート構造、ガラスパッケージ構造、サブストレート構造など様々な構造を選択できる。とりわけ、スーパーストレート構造であれば、生産量が多い単結晶シリコンまたは多結晶シリコン太陽電池に適用しやすい。以下では、スーパーストレート構造の太陽電池モジュールの例で説明する。
【0012】
太陽電池モジュール2は、図2に示すように、透光性基板11と、太陽電池素子12の周囲を保護する充填材13と、裏面保護部材14とを積層してなる太陽電池パネル15を有している。ここで、太陽電池パネル15は、主として光を入射する受光面15aと、この受光面15aの裏側に相当する非受光面15bとを有している。また、太陽電池モジュール2は、図2(a)および図2(b)に示すように、第1辺2a、該第1辺2aに対向する第2辺2b、ならびに第1辺2aの両端と第2辺2bの両端とをそれぞれ結ぶ第3辺2cおよび第4辺2dを有する矩形状を成している。そして、太陽電池モジュール2には、太陽電池パネル15の非受光面15b側に補強部材16が配置されている。この補強部材16は、図2(b)に示すように、第1辺2a側から第2辺2b側に向かって一方向に延びるように配置されている。
【0013】
透光性基板11は、太陽電池素子12等を受光面15a側から保護する機能を有している。このような透光性基板11としては、例えば、強化ガラスまたは白板ガラス等が挙げられる。
【0014】
太陽電池素子12は、入射された光を電気に変換する機能を有している。このような太陽電池素子12は、例えば、単結晶シリコンまたは多結晶シリコン等からなる基板と、該基板の表面(上面)および裏面(下面)に設けられた電極とを有している。単結晶シリコン基板または多結晶シリコン基板を有する太陽電池素子12は、例えば、四角形状を成し
ている。このとき、太陽電池素子12の一辺の大きさは、例えば、100〜200mmであればよい。このようなシリコンの基板を有する太陽電池素子12では、例えば、隣接する太陽電池素子12のうち、一方の太陽電池素子12の表面に位置する電極と、他方の太陽電池素子12の裏面に位置する電極とが配線材(インナーリード)で電気的に接続されている。これにより、複数の太陽電池素子12が直列接続されるように配列される。このような配線材としては、例えば、半田が被覆された銅箔などが挙げられる。
【0015】
なお、太陽電池素子12の種類は、特に制限されない。例えば、アモルファスシリコン、CIGSまたはCdTeなどの材料より成る薄膜系の太陽電池素子が採用されてもよい。上述した薄膜系の太陽電池素子は、例えば、ガラス基板上に、アモルファスシリコン層、CIGS層またはCdTe層などの光電変換層および透明電極などを適宜積層させたものが利用できる。このような薄膜系の太陽電池素子は、ガラス基板上で光電変換層および透明電極にパターニングを施して集積化することによって得られている。そのため、薄膜系の太陽電池素子では、配線材を用いない。さらに、太陽電池素子12は、単結晶または多結晶シリコン基板上にアモルファスシリコンの薄膜を形成したタイプであってもよい。
【0016】
充填材13は、太陽電池素子12を封止する機能を有している。このような充填材13としては、例えば、エチレンビニルアセチレートの共重合体などの熱硬化性樹脂が挙げられる。
【0017】
裏面保護部材14は、太陽電池素子12等を非受光面15b側から保護する機能を有している。このような裏面保護部材14は、太陽電池パネル15の非受光面15b側に位置する充填材13と接着している。このような裏面保護部材14としては、例えば、PVF(ポリビニルフルオライド)、PET(ポリエチレンテレフタレート)PEN(ポリエチレンナフタレート)、あるいはこれらを積層したものを用いることができる。
【0018】
補強部材16は、太陽電池パネル15を非受光面15b側から支持する機能を有している。これにより、太陽電池モジュール2の耐荷重性が高まる。上述したように、太陽電池モジュール2は、フレームレス型である。そのため、太陽電池モジュール2は、通常のフレームを有する太陽電池モジュールに比べて耐荷重性が劣っているが、補強部材16によって耐荷重性が改善されている。太陽電池モジュール2において、補強部材16は、図2(b)に示すように、第1辺2aおよび第2辺2bと直交するX方向に配置されている。このような補強部材16は、例えば、一方向に延びているレール状の部材で構成される。また、補強部材16は、例えば、図2(c)に示すように、裏面保護部材14に当接して接着される第1水平部16aと、第1水平部16aの下方に配置された垂直部16bと、第1水平部16aの下方に配置された第2水平部16cを有している。また、第1水平部16aの両端は、裏面保護部材14から遠ざかる方向に湾曲している。これにより、太陽電池モジュール2に撓みが生じたときに、第1水平部16aの端面で生じる応力集中を緩和することができる。
【0019】
このような補強部材16としては、例えば、アルミニウム等の金属、変性ポリフェニレンエーテル樹脂(PPO樹脂)等の樹脂が用いられる。また、補強部材16は、シリコーン接着剤などによって裏面保護部材14に接着されている。なお、補強部材16は、太陽電池モジュール2の第1辺2aから第2辺2bに向かう方向に延びるように配置されていれば、隣接する辺(第1辺2aと第3辺2c)の間に補強部材16が配置されている態様よりも、太陽電池モジュール2の曲げ剛性が向上する。また、補強部材16は、太陽電池モジュール2の各辺に到達するように設けられていなくてもよい。例えば、図2(b)に示すように、第1辺2aと第2辺2bとの間に位置しているような態様であってもよい。
【0020】
また、太陽電池モジュール2は、太陽電池パネル15の外辺の周囲に保護材17を設け
てもよい。この保護材17は、フレームのように太陽電池モジュール2の曲げ剛性を実質的に高めるものではない。保護材17は、例えば、太陽電池アレイ1を施工する時に、作業者が太陽電池モジュール2を誤って他の物にぶつけた際に生じ得る破損を低減する機能を有している。また、保護材17は、例えば、基礎21の不同沈下によって太陽電池アレイ1に歪みが生じた場合、太陽電池モジュール2の外辺に加わる応力の集中を緩和できる。このような保護材17としては、例えば、エチレンプロピレンゴムまたはシリコンゴムなどの弾性材料を含むパッキンを用いることができる。また、他の保護材17としては、太陽電池パネル15の外辺にコーキング剤を塗布して形成してもよい。また、他の保護材17としては、太陽電池パネル15の外辺に、外辺を保護する厚み1.5mm以下の薄いアルミニウム、アクリルまたはポリカボネートなどからなる硬質材料を取り付けてもよい。
【0021】
<太陽電池アレイ>
次に、本発明の一実施形態に係る太陽電池アレイ1について図1、図3乃至図7を用いて説明する。
【0022】
太陽電池アレイ1は、地盤などの設置面に設置した基礎21上の柱22間にレール部材23を架設した架台を有している。また、太陽電池アレイ1では、レール部材23上に配置された第1保持部材24および第2保持部材25で太陽電池モジュール2が支持されている。
【0023】
基礎21は、太陽電池アレイ1の土台としての機能を有している。また、このような基礎21としては、例えば、長尺のコンクリートを土中に埋め込んだ布基礎を用いることができる。このとき、地盤が軟弱である場合は、布基礎の底部の幅を広げて接地圧を低減させてもよい。このような布基礎を用いると、布基礎の底部の広い面積で地盤に支持されることから、基礎21の不同沈下に伴う太陽電池アレイ1の歪みまたは太陽電池モジュール2の破損を低減できる。なお、基礎21としては、摩擦杭の一種であるスクリュー杭を用いてもよい。スクリュー杭は、円形断面の杭体の外周に螺旋状の翼を設けたものであり、周面摩擦および引抜抵抗を向上させたものである。このような摩擦杭を基礎21に用いれば、太陽電池アレイ1に吹き上げ方向の風圧力が加わった時の引抜抵抗が高まる。これにより、太陽電池アレイ1の強度が高まる。
【0024】
柱22は、長手方向がZ方向となるように基礎21上に配置された柱体である。柱22は、図1に示すように、太陽電池アレイ1の四隅を支持している。また、柱22は、太陽電池アレイ1を軒側で支持する第1柱22aと、太陽電池アレイ1を棟側で支持する第2柱22bとの2種類からなる。柱22は、下端に基礎21と固定される第1固定部22c、上端にレール部材23を固定する第2固定部22dを有する。第1固定部22cは、基礎21と少なくとも4ヵ所でボルトおよびナットで固定可能である。また、第2固定部22dは、レール部材23の傾斜角度を調整することができる円弧状の穴を有していてもよい。柱22の断面形状は、例えば、パイプ状を成している。このような柱22は、例えば、アルミニウムの押し出し成型によって形成される。
【0025】
レール部材23は、第1柱22aと第2柱22bの間に、設置面に対して傾斜するように固定される。レール部材23の断面形状は、例えば、図3(a)に示すように、略角パイプ状を成している。さらに、レール部材23は、その長手方向に沿って、ボルト頭を挿通可能な複数の溝部23aを有している。この溝部23aは、柱22または第2保持部材25との固定に利用できる。このようなレール部材23は、例えば、アルミニウムの押し出し成型により形成することができる。
【0026】
第1保持部材24は、図1に示すように、その長手方向がY方向になるように配置され
ている。第1保持部材24は、図4(b)に示すように、上部に太陽電池モジュール2を嵌合可能な第1凹部24aおよび第2凹部24bを有している。この第1保持部材24は、X方向に隣り合う太陽電池モジュール2の対向する辺同士を保持する。例えば、図4(b)に示すように、第1保持部材24の第1凹部24aには、一方の太陽電池モジュール2の第1辺2aが嵌合する。また、第1保持部材24の第2凹部24bには、他方の太陽電池モジュール2の第2辺2bが嵌合する。そのため、第1凹部24aおよび第2凹部24bは、−X方向またはX方向に開口している。また、第1凹部24aおよび第2凹部24bのZ方向における開口幅は、太陽電池モジュール2のZ方向の厚さと略同じである。また、第1保持部材24の底部には、図4(b)に示すように、フランジ部24cが設けられている。
【0027】
そして、このフランジ部24cは、図4に示すように、補強部材16の底面である第2水平部16cと当接している。すなわち、第1保持部材24のフランジ部24cは、太陽電池パネル15の非受光面15bと反対側から補強部材16に当接する当接部となる。このとき、太陽電池モジュール2に積雪荷重などの正圧荷重が加わると、太陽電池モジュール2の補強部材16を第1保持部材24のフランジ部24cで支持することができる。これにより、正圧荷重に対する太陽電池モジュール2の曲げ剛性が高まる。その結果、太陽電池アレイ1の耐荷重性が向上する。なお、第1保持部材24のフランジ部24cでは、隣り合う太陽電池モジュール2の各々の補強部材16を支持する態様であってもよい。これにより、太陽電池アレイ1の耐荷重性がより向上する。
【0028】
また、太陽電池アレイ1では、図4(b)に示すように、太陽電池モジュール2の補強部材16と、第1保持部材24の第フランジ部24cとを固定部材26で固定してもよい、これにより、太陽電池モジュール2と第1保持部材24の間の固定強度を高め、太陽電池アレイ1の強度をさらに高めることができる。なお、固定部材26としては、例えば、木ネジが挙げられる。
【0029】
一方、太陽電池アレイ1は、図5に示すように、補強部材16の一端部に、第1保持部材24が当接していてもよい。これにより、X方向における補強部材16の位置ずれの発生を低減できる。
【0030】
また、第1保持部材24は、断面形状がパイプ状であってもよい。これにより、第1保持部材24の強度が高まる。このような第1保持部材24は、例えば、アルミニウムを押し出し成型して形成することができる。
【0031】
第2保持部材25は、図1に示すように、その長手方向がX方向となるように配置されている。そして、第2保持部材25は、一対のレール部材23間を架設するように固定される。そのため、例えば、第2保持部材25は、少なくとも3つの太陽電池モジュール2と少なくとも2つの第1保持部材24とがそれぞれ交互にX方向に沿って配置されている場合、第1保持部材24の長手方向(Y方向)と交差する方向に配置されている。第2保持部材25の断面形状は、図3(b)に示すように、略角パイプ状である。さらに、第2保持部材25は、太陽電池モジュール2を嵌合する第1凹部25aおよび第2凹部25bを有する。第1凹部25aは、軒側(−Y方向)に開口している。また、第2凹部25bは、棟側(+Y方向)に開口している。さらに、第2保持部材25は、図3(b)に示すように、第1保持部材24と係合する第1フランジ部25cおよび第2フランジ部25dを有している。なお、第2保持部材25の第2フランジ部25dは、太陽電池パネル15の非受光面15bと反対側から第1保持部材24に当接する当接部(第2当接部)に相当する。このとき、太陽電池モジュール2に積雪荷重などの正圧荷重が加わると、太陽電池モジュール2の第1保持部材24を第2保持部材25の第2フランジ部25dで支持することができる。これにより、正圧荷重に対する太陽電池モジュール2の曲げ剛性が高まる
。その結果、太陽電池アレイ1の耐荷重性が向上する。
【0032】
また、第1保持部材24は、図3(b)を示すように、第1保持部材25の第1フランジ部25cと第2フランジ部25dとからなる開口部間に架設して、例えば、木ネジ等によって固定される。また、第2保持部材25は、図3(b)に示すように、第2フランジ部25dと第1フランジ部25cとによって第1保持部材24を挟み込んでいる。これにより、太陽電池モジュール2は、正圧荷重による下方への移動だけでなく、負圧荷重による上方への移動も低減される。その結果、太陽電池アレイ1は、正圧荷重および負圧荷重に対する曲げ強度が高まる。
【0033】
また、第1保持部材24の太陽電池モジュール2と当接する側の部位のY方向における長さLは、図7に示すように、相対する第2保持部材25の第1フランジ部25cの間隔L1よりも長くてもよい。一方で、上記長さLは、相対する第2保持部材25の壁部25f間の間隔L2よりも短くてもよい。これにより、図7に示すように、第1保持部材24を、第2保持部材25の第1フランジ部25cと第2フランジ部25dの間に差し込み、その後、第1保持部材24を軒方向へずらすことによって、第1保持部材24を第1フランジ部25cと第2フランジ部25dの間に容易に固定することができる。
【0034】
さらに、第2保持部材25は、図3(b)に示すように、レール部材23と固定される第3フランジ部25eを有している。太陽電池アレイ1では、図6に示すように、第2保持部材25の第1凹部25aは、太陽電池モジュール2の第3辺2cと嵌合している。また、第2保持部材25の第2凹部25bは、太陽電池モジュール2の第4辺2dと嵌合している。ここで、第1凹部25aのY方向における深さは、第2凹部24bのY方向における深さよりも深い。これにより、図6(a)に示すように、太陽電池モジュール2の第3辺2cを第2保持部材25の第1凹部25aに差し込み、その後、図6(b)に示すように、太陽電池モジュール2を軒方向へずらして第4辺2dを第2保持部材25の第2凹部25bに差し込むことによって、簡易な動作で太陽電池モジュール2を固定することができる。また、この第2保持部材25の第3フランジ部25eは、レール部材23の溝部23aにボルトおよびナットで固定された係止部材27によってレール部材23に固定される。なお、第2保持部材25は、第1保持部材24と同様の材質で形成すればよい。
【0035】
以下で本発明の太陽電池アレイ1の施工方法について説明する。
【0036】
まず、図8(a)に示すように、太陽電池アレイ1の四隅にあたる箇所に基礎21の施工を行う。基礎21として、例えば、布基礎を施工する場合、まず掘削して敷き砂利を敷く。そして、敷き砂利の上に、鉄筋と型枠を配置し、型枠内にコンクリートを流し込むことで施工することができる。
【0037】
次に、基礎21の上に第1柱22aと第2柱22bを立設してボルトおよびナットで固定する。次いで、第1柱22aと第2柱22bの間にレール部材23を架設して固定する。
【0038】
次に、図8(b)に示すように、レール部材23上に、所定の間隔で第2保持部材25を固定する。より詳細には、図3に示すように、第2保持部材25の第3フランジ部25eを、レール部材23の溝部23aを用いて固定した係止部材27でレール部材23と固定する。
【0039】
次いで、第2保持部材(下)25Aと第2保持部材(中)25Bとの間に、左端の第1保持部材24Aを架設してビスで固定する。より詳細には、第2保持部材(中)25Bの第1フランジ部25cと第2フランジ部25dからなる開口部に第1保持部材24を一度
押し込んでから、第1保持部材24をY方向の下方へずらして、第2保持部材(下)25Aの第1フランジ部25cと第2フランジ部25dの開口部へ入れて、ビスで固定する。
【0040】
次に、太陽電池モジュール2Aを、第2保持部材(下)24Aと第2保持部材(中)24Bとの間に固定する。より詳細には、図6に示すように、太陽電池モジュール2Aの第3辺2cを、第2保持部材25Bの第1凹部25a(軒方向)に一度押し込み、その後、太陽電池モジュール2をY方向の下方へずらして、太陽電池モジュール2の第4辺2dを第2保持部材25Aの第2凹部25bに嵌合させて支持する。次いで、太陽電池モジュール2Aを第2保持部材(下)25Aの第1凹部25aおよび第2保持部材(中)25Bの第2凹部25bと係合させつつ、左方へ移動し、太陽電池モジュール2Aの第1辺2aを第1保持部材24Aの第1凹部24aと嵌合させて固定する。このとき、太陽電池モジュール2Aの補強部材16の第2水平部16cが、第1保持部材24Aのフランジ部24c上に当接するように配置する。次いで、木ネジなどの固定部材26により、第1保持部材24Aに太陽電池モジュール2Aの補強部材16を固定する。
【0041】
次に、太陽電池モジュール2Aに第1保持部材24Bを取り付ける。より詳細には、第1保持部材24Bの第2凹部24bと、太陽電池モジュール2Aの第4辺2dとが係合するように固定する。次いで、太陽電池モジュール2Bを、太陽電池モジュール2Aと同じ手順で第2保持部材25Aおよび第2保持部材25Bに固定した後、第1保持部材24Cを取り付ける。このような工程を繰り返すことによって図1に示すような太陽電池アレイ1を組み立てることができる。
【符号の説明】
【0042】
1:太陽電池アレイ
2、2A〜2I:太陽電池モジュール
2a:第1辺
2b:第2辺
2c:第3辺
2d:第4辺
11:透光性基板
12:太陽電池素子
13:充填材
14:裏面保護部材
16:補強部材
16a:第1水平部
16b:垂直部
16c:第2水平部
17:保護材
21:基礎
22:柱
22a:第1柱
22b:第2柱
23:レール部材
23a:溝部
24、24A、24B、24C:第1保持部材(保持部材)
24a:第1凹部
24b:第2凹部
24c:フランジ部(当接部)
25:第2保持部材
25a:第1凹部(軒方向)
25b:第2凹部(棟方向)
25c:第1フランジ部
25d:第2フランジ部(第2当接部)
25e:第3フランジ部
25f:壁部
25A:第2保持部材(下)
25B:第2保持部材(中)
25C:第2保持部材(上)
26:固定部材
27:係止部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のフレームレス型の太陽電池モジュールと、隣り合う2つの該太陽電池モジュール間に配置されてそれぞれの該太陽電池モジュールを保持する保持部材とを備える太陽電池アレイであって、
前記太陽電池モジュールは、受光面および該受光面の裏側に相当する非受光面を有する太陽電池パネルと、該太陽電池パネルの前記非受光面側に配置された、一方向に延びている補強部材とを有しており、
前記保持部材は、前記補強部材に前記非受光面と反対側から当接する当接部を有している、太陽電池アレイ。
【請求項2】
前記補強部材の少なくとも一端部に、前記保持部材が当接している、請求項1に記載の太陽電池アレイ。
【請求項3】
前記当接部と前記補強部材とを固定している固定部材をさらに備える、請求項1または請求項2に記載の太陽電池アレイ。
【請求項4】
前記太陽電池モジュールは、矩形状であって、第1辺、該第1辺に対向する第2辺、ならびに前記第1辺の両端と前記第2辺の両端とをそれぞれ結ぶ第3辺および第4辺を有しており、
前記補強部材は、前記第1辺から前記第2辺に向かう方向に延びている、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の太陽電池アレイ。
【請求項5】
前記保持部材は、前記太陽電池モジュールの前記第1辺または前記第2辺に沿って延びている、請求項4に記載の太陽電池アレイ。
【請求項6】
少なくとも3つの前記太陽電池モジュールと少なくとも2つの前記保持部材とがそれぞれ交互に配置されており、前記2つの保持部材に交差するように配置された第2保持部材をさらに備え、
該第2保持部材は、前記保持部材に前記非受光面と反対側から当接する第2当接部を有している、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の太陽電池アレイ。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図1】
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【公開番号】特開2013−115375(P2013−115375A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262809(P2011−262809)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】