太陽電池セル
【課題】TAB線を予定された位置に精度良く接続することができ、且つ製造コストの増加を抑制することができる太陽電池セルを提供すること。
【解決手段】基板2と、基板2の受光面21に形成された複数のフィンガー電極3と、基板2の裏面22を覆い、隣接するセル上の複数のフィンガー電極3と導電性接着剤5を介して第1のTAB線を接着することにより接続される裏面電極7と、を備える太陽電池セル100であって、基板2の裏面7の一部は、第2のTAB線が接続される受光面21上の位置に対応する位置において露出されており、露出された部分は、第1のTAB線が接着される位置を示す裏面22のアライメントマーク71を構成する。
【解決手段】基板2と、基板2の受光面21に形成された複数のフィンガー電極3と、基板2の裏面22を覆い、隣接するセル上の複数のフィンガー電極3と導電性接着剤5を介して第1のTAB線を接着することにより接続される裏面電極7と、を備える太陽電池セル100であって、基板2の裏面7の一部は、第2のTAB線が接続される受光面21上の位置に対応する位置において露出されており、露出された部分は、第1のTAB線が接着される位置を示す裏面22のアライメントマーク71を構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池セル、太陽電池モジュール、及び太陽電池モジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、深刻化する地球温暖化や化石エネルギー枯渇問題を解決する手段として、太陽電池が注目されている。この太陽電池は、通常、複数の太陽電池セルを直列又は並列に接続することで形成される。この太陽電池セルの表面(受光面)には、出力を得るためのAgからなる直線状の電極(フィンガー電極)が、互いに平行に複数本形成されている。また、裏面には、その全面を覆うようにAlからなる裏面電極が形成されている。そして、隣接する太陽電池セルのうち、一方の太陽電池セルの受光面に全てのフィンガー電極と互いに直交するように金属配線部材(TAB線)を接続し、さらにこのTAB線を他方の太陽電池セルの裏面電極に接続することで、隣接する太陽電池セルが互いに接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−263880号公報
【特許文献2】特開2004−204256号公報
【特許文献3】特開平8−330615号公報
【特許文献4】特開2003−133570号公報
【特許文献5】特開2005−243935号公報
【特許文献6】特開2007−265635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、TAB線の接続には、良好な導電性を示すはんだが使用されてきた(特許文献1)。また、最近では、環境問題を考慮して、Pbを含まないSn−Ag−Cuはんだが使用されることもある(特許文献1、2)。しかし、これらのはんだをTAB線の接続に使用する場合、約220℃以上の熱が太陽電池セルに加わるため、接続工程の歩留りの低下や太陽電池セルの反りが発生するおそれがある。これらを抑制するために、太陽電池セル中のシリコンの厚みを増加させることが考えられる。しかし、この場合、製造コストが増加してしまう。
【0005】
また、上記のようなはんだをTAB線の接続に使用する場合、はんだのぬれ性を確保するために、太陽電池セルの表面及び裏面において当該TAB線が配置される位置に、予めAgからなる電極(バスバー電極)を形成しておく必要がある。しかし、Agは高価であるため、製造コストが増加してしまう。また、Agの電気抵抗は大きいため、バスバー電極が細いと、当該バスバー電極のシート抵抗が大きくなる。そうすると、バスバー電極における電力損失が増加して、太陽電池セルの発電性能が低下してしまう。このため、バスバー電極のシート抵抗を抑制するために、バスバー電極の幅はある程度太くする必要があり、さらに製造コストが増加する原因となっている。
【0006】
そこで、近年、はんだに代えて導電性接着層を有する導電性接着剤をTAB線の接続に使用することが提案されている(特許文献3〜6)。この導電性接着剤は熱硬化性樹脂中にAl粒子等の金属粒子を混合・分散させた組成物であり、この金属粒子がTAB線と太陽電池セルの電極との間に挟まれることで電気的な接続が実現される。導電性接着剤をTAB線の接続に使用する場合、200℃以下で接続を行うことが可能であるため、接続工程の歩留りの低下や太陽電池セルの反りが抑制される。また、導電性接着剤をTAB線の接続に使用する場合、ぬれ性の確保が不要となるため、ぬれ性の確保のために形成されていたバスバー電極が不要となり、Agの使用が低減される。
【0007】
しかしながら、太陽電池セルの表面及び裏面にバスバー電極が形成されていないと、TAB線の接続位置が確認できず、TAB線を予定された位置に精度良く貼り付けることができないおそれがある。TAB線を予定された位置に貼り付けることができないと、太陽電池セルの並びが蛇行してしまい、太陽電池セルに残留応力が発生して製造の歩留まりが低下するおそれがある。これに対し、予定された接着位置に位置合わせ用のアライメントマークを別に形成することが考えられる。しかし、アライメントマークの形成工程が複雑であると、製造コストが増加してしまう。
【0008】
本発明は、このような課題を解決するために成されたものであり、TAB線を予定された位置に精度良く接続することができ、且つ製造コストの増加を抑制することができる太陽電池セルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一側面の太陽電池セルは、基板と、基板の受光面に形成された複数のフィンガー電極と、基板の裏面を覆い、隣接するセル上の複数のフィンガー電極と導電性接着剤を介して第1のTAB線を接着することにより接続される裏面電極と、を備える太陽電池セルであって、基板の裏面の一部は、第2のTAB線が接続される受光面上の位置に対応する位置において露出されており、露出された部分は、第1のTAB線が接着される位置を示す裏面のアライメントマークを構成する。
また、本発明の一側面の太陽電池セルは、基板と、基板の受光面に形成された複数のフィンガー電極と、基板の裏面を覆い、隣接するセル上の複数のフィンガー電極と導電性接着剤を介して第1のTAB線を接着することにより接続される裏面電極と、を備える太陽電池セルであって、裏面電極は、第1のTAB線が接着される位置を示す少なくとも一つのアライメントマークを定義するように配置された省略部を有し、少なくとも一つのアライメントマークは第1のTAB線の幅よりも小さな幅を有していてもよい。
また、本発明の一側面の太陽電池セルは、基板と、基板の受光面に互いに平行に形成された複数のフィンガー電極と、基板の裏面の全域に形成された裏面電極とを備え、裏面電極が導電性接着剤を介するTAB線の接着によって隣接セルの複数のフィンガー電極に接続される太陽電池セルであって、裏面には、受光面におけるTAB線の接続位置に対応して基板が露出する露出部分が形成されており、当該露出部分が裏面におけるTAB線の接続位置を示すアライメントマークとなっていることを特徴としてもよい。
【0010】
本発明の一側面の太陽電池セルでは、裏面に、受光面におけるTAB線の接続位置に対応して基板が露出する露出部分が形成されており、当該露出部分が裏面におけるTAB線の接続位置を示すアライメントマークとなっている。従って、TAB線を予定された位置に精度良く接続することができる。また、裏面電極を形成する際にアライメントマークとなる部分に電極材料を塗布しないことで、アライメントマークを容易に形成することができる。従って、製造コストの増加を抑制することができる。
【0011】
ここで、アライメントマークは、接続されるTAB線の線幅よりも小さい線幅の線状をなしていてもよい。こうすると、TAB線と基板との接着面積を確保することができ、TAB線の機械的な接続強度を確保することができる。
【0012】
また、アライメントマークは、接続されるTAB線の線幅よりも小さい線幅の部分と、TAB線の線幅以上の線幅の部分とが交互に連続する線状をなしていてもよい。こうすると、TAB線の線幅以上の線幅の部分において、さらにTAB線と基板との接着面積を確保することができ、TAB線の機械的な接続強度を一層確保することができる。
【0013】
また、アライメントマークは、破線状をなしていてもよい。こうすると、基板が露出している部分においてTAB線と基板との接着面積を確保することができ、TAB線の機械的な接続強度を確保することができる。
【0014】
また、アライメントマークは、接続されるTAB線の延長線上にある基板の端部において切欠状をなしていてもよい。こうすると、裏面電極を形成する際にアライメントマークとなる部分を容易に設定することができ、裏面電極を容易に形成できる。
【0015】
また、本発明の一側面の太陽電池モジュールは、上記太陽電池セルが複数配置され、隣接する一方の太陽電池セルのフィンガー電極と、他方の太陽電池セルの裏面電極とが、アライメントマークに沿うように導電性接着剤を介して配置されたTAB線により連結されていることを特徴とする。
【0016】
本発明の一側面の太陽電池モジュールでは、TAB線が予定された位置に精度良く接続されるため、太陽電池セルの列が蛇行することを抑制できる。これにより、太陽電池モジュールを製造する際、太陽電池セルに残留応力が発生することを抑制でき、製造の歩留まりを向上することができる。
また、本発明の一側面の太陽電池モジュールは、上記のいずれかの太陽電池セルを複数備え、第1のTAB線は、複数の太陽電池セルのうちの一つの太陽電池セルのアライメントマークに沿って配置され、導電性接着剤を介して一つの太陽電池セルの裏面電極に接続され、第1のTAB線は、第2のTAB線として、複数の太陽電池セルのうちの他の太陽電池セルの複数のフィンガー電極に更に接続される。
また、本発明の一側面の太陽電池モジュールの製造方法は、受光面に配置された複数のフィンガー電極と、導電性接着剤を介してフィンガー電極に第2のTAB線が接続される位置を示す受光面上に設けられたアライメントマークと、基板の裏面を覆い導電性接着剤を介して第1のTAB線により隣接セルの複数のフィンガー電極に接続される裏面電極と、を備える光起電性基板を準備し、基板の裏面の一部は、第2のTAB線が接続される受光面上の位置に対応する位置において露出されており、当該露出された部分は、第1のTAB線が接着される位置を示す裏面のアライメントマークを構成しており、裏面アライメントマークにより示される位置に導電性接着剤を介して裏面電極に第1のTAB線を接続する。
また、本発明の一側面の太陽電池モジュールの製造方法は、受光面に配置された複数のフィンガー電極と、基板の裏面を覆い導電性接着剤を介して第1のTAB線により隣接セルの複数のフィンガー電極に接続される裏面電極と、を備える光起電性基板を準備し、裏面電極は、第1のTAB線が接着される位置を示す少なくとも一つのアライメントマークを定義するように配置された省略部を有し、少なくとも一つのアライメントマークは第1のTAB線の幅よりも小さな幅を有しており、裏面アライメントマークにより示される位置に導電性接着剤を介して裏面電極に第1のTAB線を接続してもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、TAB線を予定された位置に精度良く接続することができ、且つ製造コストの増加を抑制することができる太陽電池セルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態に係る太陽電池セルの受光面を示す平面図である。
【図2】図1の太陽電池セルの裏面を示す底面図である。
【図3】図1の太陽電池セルを複数接続した状態を示す斜視図である。
【図4】図3の概略側面図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る太陽電池セルの裏面を示す平面図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係る太陽電池セルの裏面を示す平面図である。
【図7】本発明の第4実施形態に係る太陽電池セルの裏面を示す平面図である。
【図8】本発明の第5実施形態に係る太陽電池セルの裏面を示す平面図である。
【図9】本発明の第6実施形態に係る太陽電池セルの裏面を示す平面図である。
【図10】本発明の第7実施形態に係る太陽電池セルの裏面を示す平面図である。
【図11】従来の測定装置を示す概略図である。
【図12】図11の測定装置のプローブを示す概略図である。
【図13】本発明に係る太陽電池セルの測定装置を示す概略図である。
【図14】図13の測定装置のプローブを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る太陽電池セル及びその製造方法の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0020】
図1は本発明の第1実施形態に係る太陽電池セルの受光面を示す平面図、図2は図1の太陽電池セルの裏面を示す底面図、図3は図1の太陽電池セルを複数接続した状態を示す斜視図、図4は図3の概略側面図である。
【0021】
図1に示すように、太陽電池セル100は、複数が電気的に直列又は並列に接続されて1つの太陽電池モジュールを形成するものであり、基板2を有している。この基板2は略正方形状を呈しており、その四隅は円弧状となっている。基板2の一方面は受光面21となっており、他方面は裏面22となっている(図2参照)。基板2は、例えばSiの単結晶、多結晶、及び非結晶のうち少なくとも一つからなるものである。基板2は、受光面21側がn型半導体であってもよく、p型半導体であってもよい。基板2は、例えば、対向する2辺の距離が125mmとなっている。
【0022】
受光面21の表面には、複数本(例えば48本)の直線状のフィンガー電極3が、互いに平行に離間して配置されている。太陽電池セル100を複数接続して太陽電池モジュールを形成する際、このフィンガー電極3には、導電性接着フィルム(導電性接着剤)5を介してTAB線4が接続される(図4参照)。フィンガー電極3の線幅は、例えば、0.15mmとなっている。互いに隣接するフィンガー電極3の間隔dfは、例えば、2.55mmとなっている。
【0023】
フィンガー電極3は、電気的導通を得ることができる公知の材料からなる。フィンガー電極3の材料としては、銀を含有したガラスペースト、接着剤樹脂に各種導電性粒子を分散した銀ペースト、金ペースト、カーボンペースト、ニッケルペースト、アルミニウムペースト、及び焼成や蒸着によって形成されるITOなどが挙げられる。これらの中でも、耐熱性、導電性、安定性、及びコストの観点から、銀を含有したガラスペーストを用いることが好ましい。
【0024】
接着領域SF,SFは、受光面21において導電性接着フィルム5,5が接着される領域を示している。接着領域SFの幅wc(すなわち、導電性接着フィルム5の幅)は、例えば、1.2mmとなっている。接着領域SF,SFの間隔dcは、例えば、62mmとなっている。また、接着領域SFに接続されることとなるTAB線4の幅は、例えば1.5mmとなっており、接着領域SFの幅wc(すなわち、導電性接着フィルム5の幅)より若干大きめになっている。これは、接着領域SFに導電性接着フィルム5を接着した後、TAB線4を圧着する際に、圧縮された導電性接着フィルム5が受光面21とTAB線4との間からはみだすことを抑制するためである。
【0025】
受光面21には、受光面アライメントマーク6,6が、両端に位置するフィンガー電極3,3と交差するラインLに沿って、破線状をなすように不連続に設けられている。より具体的には、受光面アライメントマーク6は、1本のフィンガー電極3のみに交差している部分61が、フィンガー電極3に対して1本おきにラインLに沿って連続するパターンとなっている。この受光面アライメントマーク6は、フィンガー電極3に対するTAB線4の接続位置を示すものであり、例えば、接着領域SFの中央部に配置されている。
【0026】
受光面アライメントマーク6は、フィンガー電極3と同一の材料によってフィンガー電極3と一体形成されている。すなわち、受光面アライメントマーク6は、上述したような銀を含有したガラスペースト、接着剤樹脂に各種導電性粒子を分散した銀ペースト、金ペースト、カーボンペースト、ニッケルペースト、アルミニウムペースト、及び焼成や蒸着によって形成されるITOなどからなり、これらの中でも、耐熱性、導電性、安定性、及びコストの観点から、銀を含有したガラスペーストを用いることが好ましい。受光面アライメントマーク6は、フィンガー電極3を形成する際に同時に形成される。
【0027】
受光面アライメントマーク6の各部分61の線幅は、0.05mm以上0.2mm以下であり、例えば、本実施形態ではフィンガー電極3の線幅と同様に0.15mmとなっている。すなわち、受光面アライメントマーク6の各部分61は、フィンガー電極3の線幅以下の線幅となっている。受光面アライメントマーク6の線幅が0.05mm以上であると、視認性を確保でき、受光面アライメントマーク6がアライメントマークとして機能する。また、受光面アライメントマーク6の線幅が0.2mm以下であると、電極材料の使用量を十分低減することができる。さらに、受光面アライメントマーク6がフィンガー電極3の線幅以下の線幅であると、電極材料の使用量を一層低減することができる。あるいは、受光面アライメントマーク6の各部分61の線幅は、接続されるTAB線の線幅の20%以下であることが好ましい。受光面アライメントマーク6,6の間隔は、例えば、接着領域SF,SFの間隔dcと同様に62mmとなっている。
【0028】
図2に示すように、太陽電池セル100の裏面22には、その全域に裏面電極7が形成されている。太陽電池セル100を複数接続して太陽電池モジュールを形成する際、この裏面電極7には、導電性接着フィルム5を介してTAB線4が接続される(図4参照)。裏面電極7は、例えばアルミペーストを焼結することで形成される。
【0029】
接着領域SB,SBは、裏面22において導電性接着フィルム5が接着される領域を示しており、受光面21における接着領域SFと対応した位置となっている。接着領域SBの幅は、例えば、接着領域SFの幅wc(図1参照)と同様に1.2mmとなっている。接着領域SB,SBの間隔は、例えば、接着領域SF,SFの間隔dc(図1参照)と同様に62mm程度となっている。また、接着領域SBに接続されることとなるTAB線4の幅は、受光面21に接続されるTAB線の幅と同様に、例えば1.5mmとなっており、接着領域SBの幅より若干大きめになっている。
【0030】
裏面22には、受光面21におけるTAB4の接続位置に対応して基板2が露出する露出部分が設けられており、当該露出部分が裏面22におけるTAB線4の接続位置を示す裏面アライメントマーク(アライメントマーク)71,71となっている。この裏面アライメントマーク71は、基板2の対向する2辺を結ぶように、接着領域SBに沿って直線状に設けられており、例えば接着領域SBの中央部に配置されている。なお、裏面アライメントマーク71は、裏面電極7の材料であるAlの色彩と基板2の材料であるSiの色彩とが異なるため、肉眼にて容易に識別することが可能となっている。
【0031】
導電性接着フィルム5を介してTAB線4を裏面電極7に接続する際、TAB線4と裏面電極7との間の電気的な接続を確保するため、導電性接着フィルム5と裏面電極7とは必ず接触している必要がある。このため、裏面アライメントマーク71の幅は、TAB線4の幅より小さくなっている必要がある。一方、導電性接着フィルム5が硬化することによる裏面電極7の凝縮破壊を考慮し、導電性接着フィルム5と基板2との接着面積(すなわち、裏面アライメントマーク71の幅)はある程度確保されていることが好ましい。このような裏面アライメントマーク71の幅は、好ましくはTAB線4の幅の20%〜80%程度であり、本実施形態では、例えば、0.6mm程度となっている。裏面アライメントマーク71,71の間隔は、例えば、接着領域SB,SBの間隔と同様に62mmとなっている。
【0032】
このような太陽電池セル100は、図3に示すように、受光面アライメントマーク6、及び裏面アライメントマーク71が一直線上に沿うように複数が1列に配置され、受光面アライメントマーク6、及び裏面アライメントマーク71に沿うように導電性接着フィルム5を介して配置されたTAB線4によって連結される。連結は、隣接する太陽電池セル100A,100Bのうち、一方の太陽電池セル100Aの受光面21側のフィンガー電極3と、他方の太陽電池セル100Bの裏面22側の裏面電極7とをTAB線4で接続し(図4参照)、さらに隣接する太陽電池セル100B,100Cのうち、一方の太陽電池セル100Bの受光面21側のフィンガー電極3と、他方の太陽電池セル100Cの裏面22側の裏面電極7とをTAB線で接続し、これを繰り返すことで行われる。これにより、1列に配置された複数の太陽電池セル100が電気的に直列に接続される。このような列が、1列又は複数列設けられることで太陽電池モジュールが形成される。
【0033】
以上、本実施形態の太陽電池セル100では、裏面22に、受光面21におけるTAB線4の接続位置に対応して基板2が露出する露出部分が形成されており、当該露出部分が裏面22におけるTAB線4の接続位置を示す裏面アライメントマーク71となっている。よって、TAB線4の接続位置を視認することができ、TAB線4を予定された位置に精度良く接続することができる。また、裏面電極7を形成する際に裏面アライメントマーク71となる部分に電極材料を塗布しないことで、裏面アライメントマーク71を容易に形成することができる。従って、製造コストの増加を抑制することができる。
【0034】
また、太陽電池セル100では、裏面アライメントマーク71は、接続されるTAB線4の線幅よりも小さい線幅の直線状をなしているため、TAB線4と基板2との接着面積を確保することができ、TAB線4の機械的な接続強度を確保することができる。
【0035】
また、太陽電池セル100により形成される太陽電池モジュールでは、太陽電池セル100が複数配置され、隣接する一方の太陽電池セル100のフィンガー電極3と、他方の太陽電池セル100の裏面電極7とが、受光面アライメントマーク6、及び裏面アライメントマーク71に沿うように導電性接着フィルム5を介して配置されたTAB線4により連結されている。このような太陽電池モジュールでは、TAB線4が予定された位置に精度良く接続されるため、太陽電池セル100の列が蛇行することを抑制できる。これにより、太陽電池モジュールを製造する際、太陽電池セル100に残留応力が発生することを抑制でき、製造の歩留まりを向上することができる。
【0036】
次に、本発明の第2実施形態に係る太陽電池セルについて説明する。なお、本実施形態の説明では、上記第1実施形態と異なる点について主に説明する。
【0037】
図5は、本発明の第2実施形態に係る太陽電池セルの裏面を示す平面図である。図5に示すように、第2実施形態に係る太陽電池セル200が第1実施形態に係る太陽電池セル100(図2参照)と異なる点は、直線状の裏面アライメントマーク71に代えて、破線状の裏面アライメントマーク72が設けられている点である。
【0038】
より詳細には、裏面アライメントマーク72は、基板2の対向する2辺を結ぶように、接着領域SBに沿って破線状にそれぞれ設けられている。裏面アライメントマーク72においては、連続した露出部分P,Pの間に、基板2が露出していない非露出部分Nが介されている。このため、TAB線4を裏面電極7に接続する際、TAB線4と裏面電極7との間の電気的な接続は非露出部分Nで確保される。従って、裏面アライメントマーク71の線幅は、TAB線4の線幅より小さくても良いし、TAB線4の線幅以上であっても良いが、TAB線4の機械的接続強度を確保するため、TAB線4の線幅以上となっていることが好ましい。裏面アライメントマーク72の幅は、例えば、TAB線4の幅の20%〜200%程度であり、本実施形態では、TAB線4の幅と同じ1.5mm程度となっている。露出部分Pの長さdpは、例えば、0.5mm〜30mm程度であり、本実施形態では、12mm程度となっている。また、非露出部分Nの長さdnは、例えば、0.5mm〜30mm程度であり、本実施形態では、12mm程度となっている。
【0039】
このような太陽電池セル200では、裏面22に、受光面21におけるTAB線4の接続位置に対応して基板2が露出する露出部分が形成されており、当該露出部分が裏面22におけるTAB線4の接続位置を示す裏面アライメントマーク72となっている。従って、TAB線4の接続位置を視認することができ、TAB線4を予定された位置に精度良く接続することができる。また、太陽電池セル200では、裏面電極7を形成する際に裏面アライメントマーク72となる部分に電極材料を塗布しないことで、裏面アライメントマーク72を容易に形成することができる。従って、製造コストの増加を抑制することができる。
【0040】
また、太陽電池セル200では、裏面アライメントマーク72は、破線状をなしている。このため、基板2が露出している露出部分Pにおいて、TAB線4と基板2との接着面積を確保することができ、TAB線4の機械的な接続強度を確保することができる。
【0041】
また、太陽電池セル200により形成される太陽電池モジュールでは、太陽電池セル200が複数配置され、隣接する一方の太陽電池セル200のフィンガー電極3と、他方の太陽電池セル200の裏面電極7とが、受光面アライメントマーク6、及び裏面アライメントマーク72に沿うように導電性接着フィルム5を介して配置されたTAB線4により連結されている。このような太陽電池モジュールでは、TAB線4が予定された位置に精度良く接続されるため、太陽電池セル100の列が蛇行することを抑制できる。これにより、太陽電池モジュールを製造する際、太陽電池セル100に残留応力が発生することを抑制でき、製造の歩留まりを向上することができる。
【0042】
次に、本発明の第3実施形態に係る太陽電池セルについて説明する。なお、本実施形態の説明では、上記第1実施形態と異なる点について主に説明する。
【0043】
図6は、本発明の第3実施形態に係る太陽電池セルの裏面を示す平面図である。図6に示すように、第3実施形態に係る太陽電池セル300が第1実施形態に係る太陽電池セル100(図2参照)と異なる点は、直線状の裏面アライメントマーク71に代えて、部位により太さが異なる線状の裏面アライメントマーク73が設けられている点である。
【0044】
より詳細には、裏面アライメントマーク73は、基板2の対向する2辺を結ぶように、接着領域SBに沿って線状にそれぞれ設けられている。裏面アライメントマーク73では、TAB線4の線幅よりも小さい線幅の細線部73aと、TAB線4の線幅以上の線幅の太線部73bとが交互に連続している。また、裏面アライメントマーク73の両端部には、細線部73a,73aが位置している。
【0045】
細線部73aの幅は、例えば第1実施形態に係る裏面アライメントマーク71(図2参照)の幅と同じ0.6mm程度となっている。また、太線部73bの幅は、例えば、TAB線4の幅の20%〜200%であり、本実施形態では、TAB線4の幅と同じ1.5mm程度となっている。細線部73aの長さ、及び太線部73bの長さは、例えば、それぞれ0.5mm〜30mm程度であり、本実施形態では、それぞれ12mm程度となっている。
【0046】
このような太陽電池セル300では、裏面22に、受光面21におけるTAB線4の接続位置に対応して基板2が露出する露出部分が形成されており、当該露出部分が裏面22におけるTAB線4の接続位置を示す裏面アライメントマーク73となっている。このため、TAB線4の接続位置を視認することができ、TAB線4を予定された位置に精度良く接続することができる。また、裏面電極7を形成する際に裏面アライメントマーク73となる部分に電極材料を塗布しないことで、裏面アライメントマーク73を容易に形成することができる。従って、製造コストの増加を抑制することができる。
【0047】
また、太陽電池セル300では、裏面アライメントマーク73は、接続されるTAB線4の線幅よりも小さい線幅の細線部73aと、TAB線4の線幅以上の線幅の太線部73bとが交互に連続する線状をなしている。このため、第1実施形態に係る太陽電池セル100に比して、太線部73bにおいてTAB線4と基板2との接着面積をさらに確保することができ、TAB線4の機械的な接続強度を一層確保することができる。
【0048】
また、太陽電池セル300により形成される太陽電池モジュールでは、太陽電池セル300が複数配置され、隣接する一方の太陽電池セル300のフィンガー電極3と、他方の太陽電池セル300の裏面電極7とが、受光面アライメントマーク6、及び裏面アライメントマーク73に沿うように導電性接着フィルム5を介して配置されたTAB線4により連結されている。このような太陽電池モジュールでは、TAB線4が予定された位置に精度良く接続されるため、太陽電池セル300の列が蛇行することを抑制できる。これにより、太陽電池モジュールを製造する際、太陽電池セル300に残留応力が発生することを抑制でき、製造の歩留まりを向上することができる。
【0049】
次に、本発明の第4実施形態に係る太陽電池セルについて説明する。なお、本実施形態の説明では、上記第3実施形態と異なる点について主に説明する。
【0050】
図7は、本発明の第4実施形態に係る太陽電池セルの裏面を示す平面図である。図7に示すように、第4実施形態に係る太陽電池セル400が第3実施形態に係る太陽電池セル300(図6参照)と異なる点は、細線部73a,73aが両端部に位置している裏面アライメントマーク73に代えて、太線部73b,73bが両端部に位置している裏面アライメントマーク74が設けられている点である。
【0051】
このような太陽電池セル400が、第3実施形態に係る太陽電池セル300と同様な効果を奏することは言うまでもない。
【0052】
次に、本発明の第5実施形態に係る太陽電池セルについて説明する。なお、本実施形態の説明では、上記第3実施形態と異なる点について主に説明する。
【0053】
図8は、本発明の第5実施形態に係る太陽電池セルの裏面を示す平面図である。図8に示すように、第5実施形態に係る太陽電池セル500が第3実施形態に係る太陽電池セル300(図6参照)と異なる点は、細線部73aの長さと太線部73bの長さとが同様である裏面アライメントマーク73に代えて、太線部73bの長さが細線部73aの長さに比して長い裏面アライメントマーク75が設けられている点である。
【0054】
このような太陽電池セル500が、第3実施形態に係る太陽電池セル300と同様な効果を奏することは言うまでもない。
【0055】
また、太陽電池セル500では、太線部73bの長さが細線部73aの長さに比して長くなっているため、第3実施形態に係る太陽電池セル300に比して、さらに太線部73bにおいてTAB線4と基板2との接着面積をさらに確保することができ、TAB線4の機械的な接続強度を一層確保することができる。
【0056】
次に、本発明の第6実施形態に係る太陽電池セルについて説明する。なお、本実施形態の説明では、上記第3実施形態と異なる点について主に説明する。
【0057】
図9は、本発明の第6実施形態に係る太陽電池セルの裏面を示す平面図である。図9に示すように、第6実施形態に係る太陽電池セル600が第3実施形態に係る太陽電池セル300(図6参照)と異なる点は、細線部73aの長さと太線部73bの長さとが同様である裏面アライメントマーク73に代えて、太線部73bの長さが細線部73aの長さに比して短い裏面アライメントマーク76が設けられている点である。
【0058】
このような太陽電池セル600が、第3実施形態に係る太陽電池セル300と同様な効果を奏することは言うまでもない。
【0059】
次に、本発明の第7実施形態に係る太陽電池セルについて説明する。なお、本実施形態の説明では、上記第1実施形態と異なる点について主に説明する。
【0060】
図10は、本発明の第7実施形態に係る太陽電池セルの裏面を示す平面図である。図10に示すように、第7実施形態に係る太陽電池セル700が第1実施形態に係る太陽電池セル100(図2参照)と異なる点は、直線状の裏面アライメントマーク71に代えて、切欠状の裏面アライメントマーク77が設けられている点である。
【0061】
裏面アライメントマーク77,77は、接続されるTAB線4の延長線上にある基板2の端部においてそれぞれ三角形状の切欠状をなしている。なお、切欠状の形状は、矩形状や半円形状等でも良い。要は、基板2が露出している切欠状であれば良い。
【0062】
このような太陽電池セル700では、裏面22に、受光面21におけるTAB線4の接続位置に対応して基板2が露出する露出部分が形成されており、当該露出部分が裏面22におけるTAB線4の接続位置を示す裏面アライメントマーク77となっている。従って、TAB線4の接続位置を視認することができ、TAB線4を予定された位置に精度良く接続することができる。また、裏面電極7を形成する際に裏面アライメントマーク77となる部分に電極材料を塗布しないことで、裏面アライメントマーク77を容易に形成することができる。従って、製造コストの増加を抑制することができる。
【0063】
また、太陽電池セル700では、裏面アライメントマーク77は、接続されるTAB線4の延長線上にある基板2の端部において切欠状をなしていれば良く、上記第1〜第6実施形態に係る太陽電池セル100〜600の裏面アライメントマーク71〜76に比して、寸法管理等が容易となる。従って、裏面電極7を形成する際に裏面アライメントマーク77となる部分を容易に設定することができ、裏面電極7を容易に形成できる。
【0064】
また、太陽電池セル700により形成される太陽電池モジュールでは、太陽電池セル700が複数配置され、隣接する一方の太陽電池セル700のフィンガー電極3と、他方の太陽電池セル700の裏面電極7とが、受光面アライメントマーク6、及び裏面アライメントマーク77に沿うように導電性接着フィルム5を介して配置されたTAB線4により連結されている。このような太陽電池モジュールでは、TAB線4が予定された位置に精度良く接続されるため、太陽電池セル700の列が蛇行することを抑制できる。これにより、太陽電池モジュールを製造する際、太陽電池セル700に残留応力が発生することを抑制でき、製造の歩留まりを向上することができる。
【0065】
以上、本発明に係る太陽電池セルの好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、フィンガー電極3とTAB線4とは導電性接着フィルム5を介して接続されているが、受光面21のTAB線4が接続される位置にAg等からなるバスバー電極を設け、このバスバー電極とTAB線4とをはんだで接続することでフィンガー電極3とTAB線4とを電気的に接続しても良い。
【0066】
また、上記実施形態では、導電性接着剤としてフィルム状の導電性接着フィルム5が用いられているが、液状の導電性接着剤が塗布されても良い。
【0067】
なお、太陽電池モジュールを形成する複数の太陽電池セルの中に、他の太陽電池セルよりも電圧特性や電流特性等の光電特性が劣る太陽電池セルが存在する場合、太陽電池モジュール全体の光電特性は、光電特性が劣る太陽電池セルの影響を受けて低下するおそれがある。このような太陽電池モジュールの光電特性の低下を抑制すべく、太陽電池モジュールは、当該太陽電池モジュールを構成する各太陽電池セルの光電特性を予め測定しておき、光電特性が同程度の太陽電池セルを連結して構成することが好ましい。
【0068】
図11は従来の測定装置を示す概略図、図12は図11の測定装置のプローブを示す概略図である。図11に示すように、太陽電池セルの光電特性を測定するための従来の測定装置10Aは、面電極11、及び一対のプローブ12A,12Aを備えている。
【0069】
面電極11は、例えば略正方形の平板状をなしており、例えば真鍮等から形成されている。面電極11の上面には、太陽電池セルの裏面電極と面電極11とが接触するように太陽電池セルが載置される。プローブ12Aは、長尺状をなしており、一対のプローブ12A,12Aが面電極11の上方で互いに平行になるように離間配置されている。
【0070】
図12に示すように、プローブ12Aは、バー13、電圧用プローブピン14、複数の電流用プローブピン15、及びバー支持部材16,16を有している。
【0071】
バー13は、長尺状の部材であり、例えば、銅等により形成されている。電圧用プローブピン14は、電圧特性等の光電特性を測定するためのものであり、バー13の長手方向の略中央部に取り付けられている。この電圧用プローブピン14は、バー13と電気的に絶縁されるように絶縁部材を介してバー13に取り付けられており、これにより、電流用プローブピン15とも絶縁されている。電圧用プローブピン14の先端は、円形状の接触部14Aとなっている。
【0072】
電流用プローブピン15は、電流特性等の光電特性を測定するためのものであり、複数の電流用プローブピン15が電圧用プローブピン14を中心にバー13の長手方向に沿って対称に、且つ、略一直線状に離間してバー13に取り付けられている。これら複数の電流用プローブピン15は、各々バー13と導通するようにバー13に取り付けられている。電流用プローブピン15の先端は、円形状の接触部15Aとなっている。
【0073】
バー支持部材16はバー13を支持するための部材であり、一対のバー支持部材16、16がバー13の両端部に取り付けられている。プローブ12Aは、その接触部14A、及び接触部15Aが面電極11と対向するように、バー支持部材16,16を介して、面電極11が取り付けられている土台等(不図示)に設けられている(図11参照)。バー支持部材16には、バー13を上下方向に駆動するための駆動機構(不図示)が設けられており、これにより、面電極11の上面に載置された太陽電池セルを、接触部14A、及び接触部15Aで押圧することが可能となっている。また、バー支持部材16には、バー13を短手方向に水平に位置調整するための調節機構(不図示)が設けられている。
【0074】
このような従来の測定装置10Aでは、バスバー電極を有する従来の太陽電池セルを、バスバー電極とプローブ12Aとが平行になるように面電極11の上面に載置し、バスバー電極とプローブ12Aとが対向するようにバー13の水平方向の位置調整を行う。そして、バー13を下方に移動させて、接触部14A、及び接触部15Aでバスバー電極を押圧し、太陽電池セルの受光面に擬似太陽光を照射することで、太陽電池セルの電圧特性及び電流特性を測定することが可能となっている。
【0075】
ところで、本実施形態の太陽電池セル100,200,300,400,500,600、700には、バスバー電極は設けられておらず、かつ、受光面アライメントマーク6が破線状をなしているため(図1参照)、複数のフィンガー電極3が互いに導通されていない。このため、太陽電池セル100〜700の電気特性を従来の測定装置によって測定しようとする場合、フィンガー電極3の間隔と電流用プローブピン15の間隔とを揃えて、全てのフィンガー電極3に各々電流用プローブピン15を押圧する必要がある。この場合、フィンガー電極の間隔が異なる数種類の太陽電池セルについて測定しようとすると、フィンガー電極の間隔が異なる太陽電池セル毎にプローブを準備しなければならず、測定装置が高コスト化するおそれがある。
【0076】
これに対し、図13は本発明に係る太陽電池セルの測定装置を示す概略図、図14は図13の測定装置のプローブを示す概略図である。本発明に係る太陽電池セルの測定装置10Bでは、電流用プローブピン15周りの構成が従来の測定装置10Aと異なっている。
【0077】
より具体的には、測定装置10Bでは、複数の電流用プローブピン15が電圧用プローブピン14を中心にバー13の長手方向に沿って略対称に、且つ、千鳥状をなすように密にバー13に取り付けられており、電圧用プローブピン14の先端の接触部14Bと、電流用プローブピン15の接触部15Aとが、板電極17によって互いに連結されている。なお、測定装置10Bでは、電圧用プローブピン14の接触部14Bは、従来の測定装置10Aの接触部14Aよりも小径なものになっている。板電極17は、長尺状の板状の部材であり、例えば、TAB線と同様な材料であるハンダめっき被服銅線等で形成されている。
【0078】
このような測定装置10Bでは、例えば太陽電池セル100を、フィンガー電極3とプローブ12Bとが略直角になるように面電極11の上面に載置する(図11参照)。そして、バー13を下方に移動させて、板電極17で全てのフィンガー電極3を押圧し、太陽電池セル100の受光面に擬似太陽光を照射することで、太陽電池セルの電圧特性及び電流特性を一度に測定することが可能となっている。
【0079】
このように、本発明に係る太陽電池セルの測定装置10Bでは、電圧用プローブピン14の接触部14B、及び電流用プローブピン15の接触部15Aにまたがって板電極17が取り付けられているため、バスバー電極が設けられておらず複数のフィンガー電極3が互いに導通されていない太陽電池セル100〜700であっても、その光電特性を一度に測定することができる。
【0080】
また、本発明に係る太陽電池セルの測定装置10Bでは、バー13の長手方向において、電流用プローブピン15が蜜に配置されているため、板電極17によって太陽電池セルを均一に押圧することが可能であり、良好に光電特性を測定することができる。
【0081】
なお、板電極17を有する測定装置10Bにあっては、接触部14B、及び接触部15Aの形状は、必ずしも円形状である必要はなく、例えば、針状であっても良い。また、板電極17の材質は、必ずしもTAB線と同様な材料である必要はなく、他の金属であっても良い。
【0082】
次に、太陽電池セルの光電特性の測定結果について説明する。表1は、従来の測定装置により、バスバー電極を有する従来の太陽電池セルの光電特性を測定した結果、及び、板電極を備えた測定装置(新測定装置)により、バスバー電極を有さず複数のフィンガー電極が互いに導通されていない太陽電池セルの光電特性を測定した結果を示している。なお、測定に用いた両太陽電池セルは、バスバー電極を有するか否かのみが異なり、その他の点は同様なものである。
【表1】
【0083】
表1に示すように、従来の測定装置によりバスバー電極を有する従来の太陽電池セルの光電特性を測定した場合と、板電極を備えた新測定装置によりバスバー電極を有さず複数のフィンガー電極が互いに導通されていない太陽電池セルの光電特性を測定した場合とで、光電特性である変換効率η(%)、フィルタファクタF.F(%)、開放電圧特性Voc(V)、短絡電流特性Isc(A)、及び直列抵抗特性Rs(Ω)のいずれについても略同様な測定結果が得られたことがわかる。
【0084】
なお、上記実施形態では、裏面アライメントマークは、基板2が露出する露出部分とされているが、基板2が露出しない程度に裏面電極7を省略した部分とされていてもよい。例えば、裏面アライメントマークは、裏面電極7に設けられた溝等であってもよい。すなわち、裏面アライメントマークは、裏面電極7を省略した省略部(露出部分や溝等の双方を含む)であってもよい。
【0085】
ここで、導電性接着フィルム5は、基板2の裏面22に対し、比較的接着し難い場合がある。そのような場合には、上記実施形態において、裏面アライメントマークの少なくとも一つ(一部)は、導電性接着フィルム5が比較的接着し易い補助材料により充填されていてもよい。すなわち、裏面アライメントマークの少なくとも一つは、補助材料により充填されており、導電性接着フィルム5の補助材料に対する接着力は、導電性接着フィルム5の基板2の裏面22に対する接着力よりも大きくてもよい。また、裏面アライメントマークは、必ずしも完全に補助材料により充填されている必要はなく、被覆される程度に補助材料により充填されていてもよい。裏面アライメントマークを満たす補助材料としては、例えば、Ag、Cu、Au、ITO(インジウムスズ酸化物)、IZO(インジウム亜鉛酸化物)等を使用することができる。
【0086】
また、上述の記載から分かるように、本発明に係る太陽電池モジュールは、以下のような方法に従って製造することができる。すなわち、受光面に配置された複数のフィンガー電極と、導電性接着剤を介してフィンガー電極に第2のTAB線が接続される位置を示す受光面上に設けられたアライメントマークと、基板の裏面を覆い導電性接着剤を介して第1のTAB線により隣接セルの複数のフィンガー電極に接続される裏面電極と、を備える光起電性基板を準備し、基板の裏面の一部は、第2のTAB線が接続される受光面上の位置に対応する位置において露出されており、当該露出された部分は、第1のTAB線が接着される位置を示す裏面のアライメントマークを構成しており、裏面アライメントマークにより示される位置に導電性接着剤を介して裏面電極に前記第1のTAB線を接続する。
【0087】
また、本発明に係る太陽電池モジュールは、以下のような方法に従って製造することもできる。すなわち、受光面に配置された複数のフィンガー電極と、基板の裏面を覆い導電性接着剤を介して第1のTAB線により隣接セルの複数のフィンガー電極に接続される裏面電極と、を備える光起電性基板を準備し、裏面電極は、第1のTAB線が接着される位置を示す少なくとも一つのアライメントマークを定義するように配置された省略部を有し、少なくとも一つのアライメントマークは第1のTAB線の幅よりも小さな幅を有しており、裏面アライメントマークにより示される位置に導電性接着剤を介して裏面電極に第1のTAB線を接続する。
【符号の説明】
【0088】
2…基板、3…フィンガー電極、4…TAB線、5…導電性接着フィルム(導電性接着剤)、7…裏面電極、21…受光面、22…裏面、71〜77…裏面アライメントマーク(アライメントマーク)、100〜700…太陽電池セル。
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池セル、太陽電池モジュール、及び太陽電池モジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、深刻化する地球温暖化や化石エネルギー枯渇問題を解決する手段として、太陽電池が注目されている。この太陽電池は、通常、複数の太陽電池セルを直列又は並列に接続することで形成される。この太陽電池セルの表面(受光面)には、出力を得るためのAgからなる直線状の電極(フィンガー電極)が、互いに平行に複数本形成されている。また、裏面には、その全面を覆うようにAlからなる裏面電極が形成されている。そして、隣接する太陽電池セルのうち、一方の太陽電池セルの受光面に全てのフィンガー電極と互いに直交するように金属配線部材(TAB線)を接続し、さらにこのTAB線を他方の太陽電池セルの裏面電極に接続することで、隣接する太陽電池セルが互いに接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−263880号公報
【特許文献2】特開2004−204256号公報
【特許文献3】特開平8−330615号公報
【特許文献4】特開2003−133570号公報
【特許文献5】特開2005−243935号公報
【特許文献6】特開2007−265635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、TAB線の接続には、良好な導電性を示すはんだが使用されてきた(特許文献1)。また、最近では、環境問題を考慮して、Pbを含まないSn−Ag−Cuはんだが使用されることもある(特許文献1、2)。しかし、これらのはんだをTAB線の接続に使用する場合、約220℃以上の熱が太陽電池セルに加わるため、接続工程の歩留りの低下や太陽電池セルの反りが発生するおそれがある。これらを抑制するために、太陽電池セル中のシリコンの厚みを増加させることが考えられる。しかし、この場合、製造コストが増加してしまう。
【0005】
また、上記のようなはんだをTAB線の接続に使用する場合、はんだのぬれ性を確保するために、太陽電池セルの表面及び裏面において当該TAB線が配置される位置に、予めAgからなる電極(バスバー電極)を形成しておく必要がある。しかし、Agは高価であるため、製造コストが増加してしまう。また、Agの電気抵抗は大きいため、バスバー電極が細いと、当該バスバー電極のシート抵抗が大きくなる。そうすると、バスバー電極における電力損失が増加して、太陽電池セルの発電性能が低下してしまう。このため、バスバー電極のシート抵抗を抑制するために、バスバー電極の幅はある程度太くする必要があり、さらに製造コストが増加する原因となっている。
【0006】
そこで、近年、はんだに代えて導電性接着層を有する導電性接着剤をTAB線の接続に使用することが提案されている(特許文献3〜6)。この導電性接着剤は熱硬化性樹脂中にAl粒子等の金属粒子を混合・分散させた組成物であり、この金属粒子がTAB線と太陽電池セルの電極との間に挟まれることで電気的な接続が実現される。導電性接着剤をTAB線の接続に使用する場合、200℃以下で接続を行うことが可能であるため、接続工程の歩留りの低下や太陽電池セルの反りが抑制される。また、導電性接着剤をTAB線の接続に使用する場合、ぬれ性の確保が不要となるため、ぬれ性の確保のために形成されていたバスバー電極が不要となり、Agの使用が低減される。
【0007】
しかしながら、太陽電池セルの表面及び裏面にバスバー電極が形成されていないと、TAB線の接続位置が確認できず、TAB線を予定された位置に精度良く貼り付けることができないおそれがある。TAB線を予定された位置に貼り付けることができないと、太陽電池セルの並びが蛇行してしまい、太陽電池セルに残留応力が発生して製造の歩留まりが低下するおそれがある。これに対し、予定された接着位置に位置合わせ用のアライメントマークを別に形成することが考えられる。しかし、アライメントマークの形成工程が複雑であると、製造コストが増加してしまう。
【0008】
本発明は、このような課題を解決するために成されたものであり、TAB線を予定された位置に精度良く接続することができ、且つ製造コストの増加を抑制することができる太陽電池セルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一側面の太陽電池セルは、基板と、基板の受光面に形成された複数のフィンガー電極と、基板の裏面を覆い、隣接するセル上の複数のフィンガー電極と導電性接着剤を介して第1のTAB線を接着することにより接続される裏面電極と、を備える太陽電池セルであって、基板の裏面の一部は、第2のTAB線が接続される受光面上の位置に対応する位置において露出されており、露出された部分は、第1のTAB線が接着される位置を示す裏面のアライメントマークを構成する。
また、本発明の一側面の太陽電池セルは、基板と、基板の受光面に形成された複数のフィンガー電極と、基板の裏面を覆い、隣接するセル上の複数のフィンガー電極と導電性接着剤を介して第1のTAB線を接着することにより接続される裏面電極と、を備える太陽電池セルであって、裏面電極は、第1のTAB線が接着される位置を示す少なくとも一つのアライメントマークを定義するように配置された省略部を有し、少なくとも一つのアライメントマークは第1のTAB線の幅よりも小さな幅を有していてもよい。
また、本発明の一側面の太陽電池セルは、基板と、基板の受光面に互いに平行に形成された複数のフィンガー電極と、基板の裏面の全域に形成された裏面電極とを備え、裏面電極が導電性接着剤を介するTAB線の接着によって隣接セルの複数のフィンガー電極に接続される太陽電池セルであって、裏面には、受光面におけるTAB線の接続位置に対応して基板が露出する露出部分が形成されており、当該露出部分が裏面におけるTAB線の接続位置を示すアライメントマークとなっていることを特徴としてもよい。
【0010】
本発明の一側面の太陽電池セルでは、裏面に、受光面におけるTAB線の接続位置に対応して基板が露出する露出部分が形成されており、当該露出部分が裏面におけるTAB線の接続位置を示すアライメントマークとなっている。従って、TAB線を予定された位置に精度良く接続することができる。また、裏面電極を形成する際にアライメントマークとなる部分に電極材料を塗布しないことで、アライメントマークを容易に形成することができる。従って、製造コストの増加を抑制することができる。
【0011】
ここで、アライメントマークは、接続されるTAB線の線幅よりも小さい線幅の線状をなしていてもよい。こうすると、TAB線と基板との接着面積を確保することができ、TAB線の機械的な接続強度を確保することができる。
【0012】
また、アライメントマークは、接続されるTAB線の線幅よりも小さい線幅の部分と、TAB線の線幅以上の線幅の部分とが交互に連続する線状をなしていてもよい。こうすると、TAB線の線幅以上の線幅の部分において、さらにTAB線と基板との接着面積を確保することができ、TAB線の機械的な接続強度を一層確保することができる。
【0013】
また、アライメントマークは、破線状をなしていてもよい。こうすると、基板が露出している部分においてTAB線と基板との接着面積を確保することができ、TAB線の機械的な接続強度を確保することができる。
【0014】
また、アライメントマークは、接続されるTAB線の延長線上にある基板の端部において切欠状をなしていてもよい。こうすると、裏面電極を形成する際にアライメントマークとなる部分を容易に設定することができ、裏面電極を容易に形成できる。
【0015】
また、本発明の一側面の太陽電池モジュールは、上記太陽電池セルが複数配置され、隣接する一方の太陽電池セルのフィンガー電極と、他方の太陽電池セルの裏面電極とが、アライメントマークに沿うように導電性接着剤を介して配置されたTAB線により連結されていることを特徴とする。
【0016】
本発明の一側面の太陽電池モジュールでは、TAB線が予定された位置に精度良く接続されるため、太陽電池セルの列が蛇行することを抑制できる。これにより、太陽電池モジュールを製造する際、太陽電池セルに残留応力が発生することを抑制でき、製造の歩留まりを向上することができる。
また、本発明の一側面の太陽電池モジュールは、上記のいずれかの太陽電池セルを複数備え、第1のTAB線は、複数の太陽電池セルのうちの一つの太陽電池セルのアライメントマークに沿って配置され、導電性接着剤を介して一つの太陽電池セルの裏面電極に接続され、第1のTAB線は、第2のTAB線として、複数の太陽電池セルのうちの他の太陽電池セルの複数のフィンガー電極に更に接続される。
また、本発明の一側面の太陽電池モジュールの製造方法は、受光面に配置された複数のフィンガー電極と、導電性接着剤を介してフィンガー電極に第2のTAB線が接続される位置を示す受光面上に設けられたアライメントマークと、基板の裏面を覆い導電性接着剤を介して第1のTAB線により隣接セルの複数のフィンガー電極に接続される裏面電極と、を備える光起電性基板を準備し、基板の裏面の一部は、第2のTAB線が接続される受光面上の位置に対応する位置において露出されており、当該露出された部分は、第1のTAB線が接着される位置を示す裏面のアライメントマークを構成しており、裏面アライメントマークにより示される位置に導電性接着剤を介して裏面電極に第1のTAB線を接続する。
また、本発明の一側面の太陽電池モジュールの製造方法は、受光面に配置された複数のフィンガー電極と、基板の裏面を覆い導電性接着剤を介して第1のTAB線により隣接セルの複数のフィンガー電極に接続される裏面電極と、を備える光起電性基板を準備し、裏面電極は、第1のTAB線が接着される位置を示す少なくとも一つのアライメントマークを定義するように配置された省略部を有し、少なくとも一つのアライメントマークは第1のTAB線の幅よりも小さな幅を有しており、裏面アライメントマークにより示される位置に導電性接着剤を介して裏面電極に第1のTAB線を接続してもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、TAB線を予定された位置に精度良く接続することができ、且つ製造コストの増加を抑制することができる太陽電池セルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態に係る太陽電池セルの受光面を示す平面図である。
【図2】図1の太陽電池セルの裏面を示す底面図である。
【図3】図1の太陽電池セルを複数接続した状態を示す斜視図である。
【図4】図3の概略側面図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る太陽電池セルの裏面を示す平面図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係る太陽電池セルの裏面を示す平面図である。
【図7】本発明の第4実施形態に係る太陽電池セルの裏面を示す平面図である。
【図8】本発明の第5実施形態に係る太陽電池セルの裏面を示す平面図である。
【図9】本発明の第6実施形態に係る太陽電池セルの裏面を示す平面図である。
【図10】本発明の第7実施形態に係る太陽電池セルの裏面を示す平面図である。
【図11】従来の測定装置を示す概略図である。
【図12】図11の測定装置のプローブを示す概略図である。
【図13】本発明に係る太陽電池セルの測定装置を示す概略図である。
【図14】図13の測定装置のプローブを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る太陽電池セル及びその製造方法の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0020】
図1は本発明の第1実施形態に係る太陽電池セルの受光面を示す平面図、図2は図1の太陽電池セルの裏面を示す底面図、図3は図1の太陽電池セルを複数接続した状態を示す斜視図、図4は図3の概略側面図である。
【0021】
図1に示すように、太陽電池セル100は、複数が電気的に直列又は並列に接続されて1つの太陽電池モジュールを形成するものであり、基板2を有している。この基板2は略正方形状を呈しており、その四隅は円弧状となっている。基板2の一方面は受光面21となっており、他方面は裏面22となっている(図2参照)。基板2は、例えばSiの単結晶、多結晶、及び非結晶のうち少なくとも一つからなるものである。基板2は、受光面21側がn型半導体であってもよく、p型半導体であってもよい。基板2は、例えば、対向する2辺の距離が125mmとなっている。
【0022】
受光面21の表面には、複数本(例えば48本)の直線状のフィンガー電極3が、互いに平行に離間して配置されている。太陽電池セル100を複数接続して太陽電池モジュールを形成する際、このフィンガー電極3には、導電性接着フィルム(導電性接着剤)5を介してTAB線4が接続される(図4参照)。フィンガー電極3の線幅は、例えば、0.15mmとなっている。互いに隣接するフィンガー電極3の間隔dfは、例えば、2.55mmとなっている。
【0023】
フィンガー電極3は、電気的導通を得ることができる公知の材料からなる。フィンガー電極3の材料としては、銀を含有したガラスペースト、接着剤樹脂に各種導電性粒子を分散した銀ペースト、金ペースト、カーボンペースト、ニッケルペースト、アルミニウムペースト、及び焼成や蒸着によって形成されるITOなどが挙げられる。これらの中でも、耐熱性、導電性、安定性、及びコストの観点から、銀を含有したガラスペーストを用いることが好ましい。
【0024】
接着領域SF,SFは、受光面21において導電性接着フィルム5,5が接着される領域を示している。接着領域SFの幅wc(すなわち、導電性接着フィルム5の幅)は、例えば、1.2mmとなっている。接着領域SF,SFの間隔dcは、例えば、62mmとなっている。また、接着領域SFに接続されることとなるTAB線4の幅は、例えば1.5mmとなっており、接着領域SFの幅wc(すなわち、導電性接着フィルム5の幅)より若干大きめになっている。これは、接着領域SFに導電性接着フィルム5を接着した後、TAB線4を圧着する際に、圧縮された導電性接着フィルム5が受光面21とTAB線4との間からはみだすことを抑制するためである。
【0025】
受光面21には、受光面アライメントマーク6,6が、両端に位置するフィンガー電極3,3と交差するラインLに沿って、破線状をなすように不連続に設けられている。より具体的には、受光面アライメントマーク6は、1本のフィンガー電極3のみに交差している部分61が、フィンガー電極3に対して1本おきにラインLに沿って連続するパターンとなっている。この受光面アライメントマーク6は、フィンガー電極3に対するTAB線4の接続位置を示すものであり、例えば、接着領域SFの中央部に配置されている。
【0026】
受光面アライメントマーク6は、フィンガー電極3と同一の材料によってフィンガー電極3と一体形成されている。すなわち、受光面アライメントマーク6は、上述したような銀を含有したガラスペースト、接着剤樹脂に各種導電性粒子を分散した銀ペースト、金ペースト、カーボンペースト、ニッケルペースト、アルミニウムペースト、及び焼成や蒸着によって形成されるITOなどからなり、これらの中でも、耐熱性、導電性、安定性、及びコストの観点から、銀を含有したガラスペーストを用いることが好ましい。受光面アライメントマーク6は、フィンガー電極3を形成する際に同時に形成される。
【0027】
受光面アライメントマーク6の各部分61の線幅は、0.05mm以上0.2mm以下であり、例えば、本実施形態ではフィンガー電極3の線幅と同様に0.15mmとなっている。すなわち、受光面アライメントマーク6の各部分61は、フィンガー電極3の線幅以下の線幅となっている。受光面アライメントマーク6の線幅が0.05mm以上であると、視認性を確保でき、受光面アライメントマーク6がアライメントマークとして機能する。また、受光面アライメントマーク6の線幅が0.2mm以下であると、電極材料の使用量を十分低減することができる。さらに、受光面アライメントマーク6がフィンガー電極3の線幅以下の線幅であると、電極材料の使用量を一層低減することができる。あるいは、受光面アライメントマーク6の各部分61の線幅は、接続されるTAB線の線幅の20%以下であることが好ましい。受光面アライメントマーク6,6の間隔は、例えば、接着領域SF,SFの間隔dcと同様に62mmとなっている。
【0028】
図2に示すように、太陽電池セル100の裏面22には、その全域に裏面電極7が形成されている。太陽電池セル100を複数接続して太陽電池モジュールを形成する際、この裏面電極7には、導電性接着フィルム5を介してTAB線4が接続される(図4参照)。裏面電極7は、例えばアルミペーストを焼結することで形成される。
【0029】
接着領域SB,SBは、裏面22において導電性接着フィルム5が接着される領域を示しており、受光面21における接着領域SFと対応した位置となっている。接着領域SBの幅は、例えば、接着領域SFの幅wc(図1参照)と同様に1.2mmとなっている。接着領域SB,SBの間隔は、例えば、接着領域SF,SFの間隔dc(図1参照)と同様に62mm程度となっている。また、接着領域SBに接続されることとなるTAB線4の幅は、受光面21に接続されるTAB線の幅と同様に、例えば1.5mmとなっており、接着領域SBの幅より若干大きめになっている。
【0030】
裏面22には、受光面21におけるTAB4の接続位置に対応して基板2が露出する露出部分が設けられており、当該露出部分が裏面22におけるTAB線4の接続位置を示す裏面アライメントマーク(アライメントマーク)71,71となっている。この裏面アライメントマーク71は、基板2の対向する2辺を結ぶように、接着領域SBに沿って直線状に設けられており、例えば接着領域SBの中央部に配置されている。なお、裏面アライメントマーク71は、裏面電極7の材料であるAlの色彩と基板2の材料であるSiの色彩とが異なるため、肉眼にて容易に識別することが可能となっている。
【0031】
導電性接着フィルム5を介してTAB線4を裏面電極7に接続する際、TAB線4と裏面電極7との間の電気的な接続を確保するため、導電性接着フィルム5と裏面電極7とは必ず接触している必要がある。このため、裏面アライメントマーク71の幅は、TAB線4の幅より小さくなっている必要がある。一方、導電性接着フィルム5が硬化することによる裏面電極7の凝縮破壊を考慮し、導電性接着フィルム5と基板2との接着面積(すなわち、裏面アライメントマーク71の幅)はある程度確保されていることが好ましい。このような裏面アライメントマーク71の幅は、好ましくはTAB線4の幅の20%〜80%程度であり、本実施形態では、例えば、0.6mm程度となっている。裏面アライメントマーク71,71の間隔は、例えば、接着領域SB,SBの間隔と同様に62mmとなっている。
【0032】
このような太陽電池セル100は、図3に示すように、受光面アライメントマーク6、及び裏面アライメントマーク71が一直線上に沿うように複数が1列に配置され、受光面アライメントマーク6、及び裏面アライメントマーク71に沿うように導電性接着フィルム5を介して配置されたTAB線4によって連結される。連結は、隣接する太陽電池セル100A,100Bのうち、一方の太陽電池セル100Aの受光面21側のフィンガー電極3と、他方の太陽電池セル100Bの裏面22側の裏面電極7とをTAB線4で接続し(図4参照)、さらに隣接する太陽電池セル100B,100Cのうち、一方の太陽電池セル100Bの受光面21側のフィンガー電極3と、他方の太陽電池セル100Cの裏面22側の裏面電極7とをTAB線で接続し、これを繰り返すことで行われる。これにより、1列に配置された複数の太陽電池セル100が電気的に直列に接続される。このような列が、1列又は複数列設けられることで太陽電池モジュールが形成される。
【0033】
以上、本実施形態の太陽電池セル100では、裏面22に、受光面21におけるTAB線4の接続位置に対応して基板2が露出する露出部分が形成されており、当該露出部分が裏面22におけるTAB線4の接続位置を示す裏面アライメントマーク71となっている。よって、TAB線4の接続位置を視認することができ、TAB線4を予定された位置に精度良く接続することができる。また、裏面電極7を形成する際に裏面アライメントマーク71となる部分に電極材料を塗布しないことで、裏面アライメントマーク71を容易に形成することができる。従って、製造コストの増加を抑制することができる。
【0034】
また、太陽電池セル100では、裏面アライメントマーク71は、接続されるTAB線4の線幅よりも小さい線幅の直線状をなしているため、TAB線4と基板2との接着面積を確保することができ、TAB線4の機械的な接続強度を確保することができる。
【0035】
また、太陽電池セル100により形成される太陽電池モジュールでは、太陽電池セル100が複数配置され、隣接する一方の太陽電池セル100のフィンガー電極3と、他方の太陽電池セル100の裏面電極7とが、受光面アライメントマーク6、及び裏面アライメントマーク71に沿うように導電性接着フィルム5を介して配置されたTAB線4により連結されている。このような太陽電池モジュールでは、TAB線4が予定された位置に精度良く接続されるため、太陽電池セル100の列が蛇行することを抑制できる。これにより、太陽電池モジュールを製造する際、太陽電池セル100に残留応力が発生することを抑制でき、製造の歩留まりを向上することができる。
【0036】
次に、本発明の第2実施形態に係る太陽電池セルについて説明する。なお、本実施形態の説明では、上記第1実施形態と異なる点について主に説明する。
【0037】
図5は、本発明の第2実施形態に係る太陽電池セルの裏面を示す平面図である。図5に示すように、第2実施形態に係る太陽電池セル200が第1実施形態に係る太陽電池セル100(図2参照)と異なる点は、直線状の裏面アライメントマーク71に代えて、破線状の裏面アライメントマーク72が設けられている点である。
【0038】
より詳細には、裏面アライメントマーク72は、基板2の対向する2辺を結ぶように、接着領域SBに沿って破線状にそれぞれ設けられている。裏面アライメントマーク72においては、連続した露出部分P,Pの間に、基板2が露出していない非露出部分Nが介されている。このため、TAB線4を裏面電極7に接続する際、TAB線4と裏面電極7との間の電気的な接続は非露出部分Nで確保される。従って、裏面アライメントマーク71の線幅は、TAB線4の線幅より小さくても良いし、TAB線4の線幅以上であっても良いが、TAB線4の機械的接続強度を確保するため、TAB線4の線幅以上となっていることが好ましい。裏面アライメントマーク72の幅は、例えば、TAB線4の幅の20%〜200%程度であり、本実施形態では、TAB線4の幅と同じ1.5mm程度となっている。露出部分Pの長さdpは、例えば、0.5mm〜30mm程度であり、本実施形態では、12mm程度となっている。また、非露出部分Nの長さdnは、例えば、0.5mm〜30mm程度であり、本実施形態では、12mm程度となっている。
【0039】
このような太陽電池セル200では、裏面22に、受光面21におけるTAB線4の接続位置に対応して基板2が露出する露出部分が形成されており、当該露出部分が裏面22におけるTAB線4の接続位置を示す裏面アライメントマーク72となっている。従って、TAB線4の接続位置を視認することができ、TAB線4を予定された位置に精度良く接続することができる。また、太陽電池セル200では、裏面電極7を形成する際に裏面アライメントマーク72となる部分に電極材料を塗布しないことで、裏面アライメントマーク72を容易に形成することができる。従って、製造コストの増加を抑制することができる。
【0040】
また、太陽電池セル200では、裏面アライメントマーク72は、破線状をなしている。このため、基板2が露出している露出部分Pにおいて、TAB線4と基板2との接着面積を確保することができ、TAB線4の機械的な接続強度を確保することができる。
【0041】
また、太陽電池セル200により形成される太陽電池モジュールでは、太陽電池セル200が複数配置され、隣接する一方の太陽電池セル200のフィンガー電極3と、他方の太陽電池セル200の裏面電極7とが、受光面アライメントマーク6、及び裏面アライメントマーク72に沿うように導電性接着フィルム5を介して配置されたTAB線4により連結されている。このような太陽電池モジュールでは、TAB線4が予定された位置に精度良く接続されるため、太陽電池セル100の列が蛇行することを抑制できる。これにより、太陽電池モジュールを製造する際、太陽電池セル100に残留応力が発生することを抑制でき、製造の歩留まりを向上することができる。
【0042】
次に、本発明の第3実施形態に係る太陽電池セルについて説明する。なお、本実施形態の説明では、上記第1実施形態と異なる点について主に説明する。
【0043】
図6は、本発明の第3実施形態に係る太陽電池セルの裏面を示す平面図である。図6に示すように、第3実施形態に係る太陽電池セル300が第1実施形態に係る太陽電池セル100(図2参照)と異なる点は、直線状の裏面アライメントマーク71に代えて、部位により太さが異なる線状の裏面アライメントマーク73が設けられている点である。
【0044】
より詳細には、裏面アライメントマーク73は、基板2の対向する2辺を結ぶように、接着領域SBに沿って線状にそれぞれ設けられている。裏面アライメントマーク73では、TAB線4の線幅よりも小さい線幅の細線部73aと、TAB線4の線幅以上の線幅の太線部73bとが交互に連続している。また、裏面アライメントマーク73の両端部には、細線部73a,73aが位置している。
【0045】
細線部73aの幅は、例えば第1実施形態に係る裏面アライメントマーク71(図2参照)の幅と同じ0.6mm程度となっている。また、太線部73bの幅は、例えば、TAB線4の幅の20%〜200%であり、本実施形態では、TAB線4の幅と同じ1.5mm程度となっている。細線部73aの長さ、及び太線部73bの長さは、例えば、それぞれ0.5mm〜30mm程度であり、本実施形態では、それぞれ12mm程度となっている。
【0046】
このような太陽電池セル300では、裏面22に、受光面21におけるTAB線4の接続位置に対応して基板2が露出する露出部分が形成されており、当該露出部分が裏面22におけるTAB線4の接続位置を示す裏面アライメントマーク73となっている。このため、TAB線4の接続位置を視認することができ、TAB線4を予定された位置に精度良く接続することができる。また、裏面電極7を形成する際に裏面アライメントマーク73となる部分に電極材料を塗布しないことで、裏面アライメントマーク73を容易に形成することができる。従って、製造コストの増加を抑制することができる。
【0047】
また、太陽電池セル300では、裏面アライメントマーク73は、接続されるTAB線4の線幅よりも小さい線幅の細線部73aと、TAB線4の線幅以上の線幅の太線部73bとが交互に連続する線状をなしている。このため、第1実施形態に係る太陽電池セル100に比して、太線部73bにおいてTAB線4と基板2との接着面積をさらに確保することができ、TAB線4の機械的な接続強度を一層確保することができる。
【0048】
また、太陽電池セル300により形成される太陽電池モジュールでは、太陽電池セル300が複数配置され、隣接する一方の太陽電池セル300のフィンガー電極3と、他方の太陽電池セル300の裏面電極7とが、受光面アライメントマーク6、及び裏面アライメントマーク73に沿うように導電性接着フィルム5を介して配置されたTAB線4により連結されている。このような太陽電池モジュールでは、TAB線4が予定された位置に精度良く接続されるため、太陽電池セル300の列が蛇行することを抑制できる。これにより、太陽電池モジュールを製造する際、太陽電池セル300に残留応力が発生することを抑制でき、製造の歩留まりを向上することができる。
【0049】
次に、本発明の第4実施形態に係る太陽電池セルについて説明する。なお、本実施形態の説明では、上記第3実施形態と異なる点について主に説明する。
【0050】
図7は、本発明の第4実施形態に係る太陽電池セルの裏面を示す平面図である。図7に示すように、第4実施形態に係る太陽電池セル400が第3実施形態に係る太陽電池セル300(図6参照)と異なる点は、細線部73a,73aが両端部に位置している裏面アライメントマーク73に代えて、太線部73b,73bが両端部に位置している裏面アライメントマーク74が設けられている点である。
【0051】
このような太陽電池セル400が、第3実施形態に係る太陽電池セル300と同様な効果を奏することは言うまでもない。
【0052】
次に、本発明の第5実施形態に係る太陽電池セルについて説明する。なお、本実施形態の説明では、上記第3実施形態と異なる点について主に説明する。
【0053】
図8は、本発明の第5実施形態に係る太陽電池セルの裏面を示す平面図である。図8に示すように、第5実施形態に係る太陽電池セル500が第3実施形態に係る太陽電池セル300(図6参照)と異なる点は、細線部73aの長さと太線部73bの長さとが同様である裏面アライメントマーク73に代えて、太線部73bの長さが細線部73aの長さに比して長い裏面アライメントマーク75が設けられている点である。
【0054】
このような太陽電池セル500が、第3実施形態に係る太陽電池セル300と同様な効果を奏することは言うまでもない。
【0055】
また、太陽電池セル500では、太線部73bの長さが細線部73aの長さに比して長くなっているため、第3実施形態に係る太陽電池セル300に比して、さらに太線部73bにおいてTAB線4と基板2との接着面積をさらに確保することができ、TAB線4の機械的な接続強度を一層確保することができる。
【0056】
次に、本発明の第6実施形態に係る太陽電池セルについて説明する。なお、本実施形態の説明では、上記第3実施形態と異なる点について主に説明する。
【0057】
図9は、本発明の第6実施形態に係る太陽電池セルの裏面を示す平面図である。図9に示すように、第6実施形態に係る太陽電池セル600が第3実施形態に係る太陽電池セル300(図6参照)と異なる点は、細線部73aの長さと太線部73bの長さとが同様である裏面アライメントマーク73に代えて、太線部73bの長さが細線部73aの長さに比して短い裏面アライメントマーク76が設けられている点である。
【0058】
このような太陽電池セル600が、第3実施形態に係る太陽電池セル300と同様な効果を奏することは言うまでもない。
【0059】
次に、本発明の第7実施形態に係る太陽電池セルについて説明する。なお、本実施形態の説明では、上記第1実施形態と異なる点について主に説明する。
【0060】
図10は、本発明の第7実施形態に係る太陽電池セルの裏面を示す平面図である。図10に示すように、第7実施形態に係る太陽電池セル700が第1実施形態に係る太陽電池セル100(図2参照)と異なる点は、直線状の裏面アライメントマーク71に代えて、切欠状の裏面アライメントマーク77が設けられている点である。
【0061】
裏面アライメントマーク77,77は、接続されるTAB線4の延長線上にある基板2の端部においてそれぞれ三角形状の切欠状をなしている。なお、切欠状の形状は、矩形状や半円形状等でも良い。要は、基板2が露出している切欠状であれば良い。
【0062】
このような太陽電池セル700では、裏面22に、受光面21におけるTAB線4の接続位置に対応して基板2が露出する露出部分が形成されており、当該露出部分が裏面22におけるTAB線4の接続位置を示す裏面アライメントマーク77となっている。従って、TAB線4の接続位置を視認することができ、TAB線4を予定された位置に精度良く接続することができる。また、裏面電極7を形成する際に裏面アライメントマーク77となる部分に電極材料を塗布しないことで、裏面アライメントマーク77を容易に形成することができる。従って、製造コストの増加を抑制することができる。
【0063】
また、太陽電池セル700では、裏面アライメントマーク77は、接続されるTAB線4の延長線上にある基板2の端部において切欠状をなしていれば良く、上記第1〜第6実施形態に係る太陽電池セル100〜600の裏面アライメントマーク71〜76に比して、寸法管理等が容易となる。従って、裏面電極7を形成する際に裏面アライメントマーク77となる部分を容易に設定することができ、裏面電極7を容易に形成できる。
【0064】
また、太陽電池セル700により形成される太陽電池モジュールでは、太陽電池セル700が複数配置され、隣接する一方の太陽電池セル700のフィンガー電極3と、他方の太陽電池セル700の裏面電極7とが、受光面アライメントマーク6、及び裏面アライメントマーク77に沿うように導電性接着フィルム5を介して配置されたTAB線4により連結されている。このような太陽電池モジュールでは、TAB線4が予定された位置に精度良く接続されるため、太陽電池セル700の列が蛇行することを抑制できる。これにより、太陽電池モジュールを製造する際、太陽電池セル700に残留応力が発生することを抑制でき、製造の歩留まりを向上することができる。
【0065】
以上、本発明に係る太陽電池セルの好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、フィンガー電極3とTAB線4とは導電性接着フィルム5を介して接続されているが、受光面21のTAB線4が接続される位置にAg等からなるバスバー電極を設け、このバスバー電極とTAB線4とをはんだで接続することでフィンガー電極3とTAB線4とを電気的に接続しても良い。
【0066】
また、上記実施形態では、導電性接着剤としてフィルム状の導電性接着フィルム5が用いられているが、液状の導電性接着剤が塗布されても良い。
【0067】
なお、太陽電池モジュールを形成する複数の太陽電池セルの中に、他の太陽電池セルよりも電圧特性や電流特性等の光電特性が劣る太陽電池セルが存在する場合、太陽電池モジュール全体の光電特性は、光電特性が劣る太陽電池セルの影響を受けて低下するおそれがある。このような太陽電池モジュールの光電特性の低下を抑制すべく、太陽電池モジュールは、当該太陽電池モジュールを構成する各太陽電池セルの光電特性を予め測定しておき、光電特性が同程度の太陽電池セルを連結して構成することが好ましい。
【0068】
図11は従来の測定装置を示す概略図、図12は図11の測定装置のプローブを示す概略図である。図11に示すように、太陽電池セルの光電特性を測定するための従来の測定装置10Aは、面電極11、及び一対のプローブ12A,12Aを備えている。
【0069】
面電極11は、例えば略正方形の平板状をなしており、例えば真鍮等から形成されている。面電極11の上面には、太陽電池セルの裏面電極と面電極11とが接触するように太陽電池セルが載置される。プローブ12Aは、長尺状をなしており、一対のプローブ12A,12Aが面電極11の上方で互いに平行になるように離間配置されている。
【0070】
図12に示すように、プローブ12Aは、バー13、電圧用プローブピン14、複数の電流用プローブピン15、及びバー支持部材16,16を有している。
【0071】
バー13は、長尺状の部材であり、例えば、銅等により形成されている。電圧用プローブピン14は、電圧特性等の光電特性を測定するためのものであり、バー13の長手方向の略中央部に取り付けられている。この電圧用プローブピン14は、バー13と電気的に絶縁されるように絶縁部材を介してバー13に取り付けられており、これにより、電流用プローブピン15とも絶縁されている。電圧用プローブピン14の先端は、円形状の接触部14Aとなっている。
【0072】
電流用プローブピン15は、電流特性等の光電特性を測定するためのものであり、複数の電流用プローブピン15が電圧用プローブピン14を中心にバー13の長手方向に沿って対称に、且つ、略一直線状に離間してバー13に取り付けられている。これら複数の電流用プローブピン15は、各々バー13と導通するようにバー13に取り付けられている。電流用プローブピン15の先端は、円形状の接触部15Aとなっている。
【0073】
バー支持部材16はバー13を支持するための部材であり、一対のバー支持部材16、16がバー13の両端部に取り付けられている。プローブ12Aは、その接触部14A、及び接触部15Aが面電極11と対向するように、バー支持部材16,16を介して、面電極11が取り付けられている土台等(不図示)に設けられている(図11参照)。バー支持部材16には、バー13を上下方向に駆動するための駆動機構(不図示)が設けられており、これにより、面電極11の上面に載置された太陽電池セルを、接触部14A、及び接触部15Aで押圧することが可能となっている。また、バー支持部材16には、バー13を短手方向に水平に位置調整するための調節機構(不図示)が設けられている。
【0074】
このような従来の測定装置10Aでは、バスバー電極を有する従来の太陽電池セルを、バスバー電極とプローブ12Aとが平行になるように面電極11の上面に載置し、バスバー電極とプローブ12Aとが対向するようにバー13の水平方向の位置調整を行う。そして、バー13を下方に移動させて、接触部14A、及び接触部15Aでバスバー電極を押圧し、太陽電池セルの受光面に擬似太陽光を照射することで、太陽電池セルの電圧特性及び電流特性を測定することが可能となっている。
【0075】
ところで、本実施形態の太陽電池セル100,200,300,400,500,600、700には、バスバー電極は設けられておらず、かつ、受光面アライメントマーク6が破線状をなしているため(図1参照)、複数のフィンガー電極3が互いに導通されていない。このため、太陽電池セル100〜700の電気特性を従来の測定装置によって測定しようとする場合、フィンガー電極3の間隔と電流用プローブピン15の間隔とを揃えて、全てのフィンガー電極3に各々電流用プローブピン15を押圧する必要がある。この場合、フィンガー電極の間隔が異なる数種類の太陽電池セルについて測定しようとすると、フィンガー電極の間隔が異なる太陽電池セル毎にプローブを準備しなければならず、測定装置が高コスト化するおそれがある。
【0076】
これに対し、図13は本発明に係る太陽電池セルの測定装置を示す概略図、図14は図13の測定装置のプローブを示す概略図である。本発明に係る太陽電池セルの測定装置10Bでは、電流用プローブピン15周りの構成が従来の測定装置10Aと異なっている。
【0077】
より具体的には、測定装置10Bでは、複数の電流用プローブピン15が電圧用プローブピン14を中心にバー13の長手方向に沿って略対称に、且つ、千鳥状をなすように密にバー13に取り付けられており、電圧用プローブピン14の先端の接触部14Bと、電流用プローブピン15の接触部15Aとが、板電極17によって互いに連結されている。なお、測定装置10Bでは、電圧用プローブピン14の接触部14Bは、従来の測定装置10Aの接触部14Aよりも小径なものになっている。板電極17は、長尺状の板状の部材であり、例えば、TAB線と同様な材料であるハンダめっき被服銅線等で形成されている。
【0078】
このような測定装置10Bでは、例えば太陽電池セル100を、フィンガー電極3とプローブ12Bとが略直角になるように面電極11の上面に載置する(図11参照)。そして、バー13を下方に移動させて、板電極17で全てのフィンガー電極3を押圧し、太陽電池セル100の受光面に擬似太陽光を照射することで、太陽電池セルの電圧特性及び電流特性を一度に測定することが可能となっている。
【0079】
このように、本発明に係る太陽電池セルの測定装置10Bでは、電圧用プローブピン14の接触部14B、及び電流用プローブピン15の接触部15Aにまたがって板電極17が取り付けられているため、バスバー電極が設けられておらず複数のフィンガー電極3が互いに導通されていない太陽電池セル100〜700であっても、その光電特性を一度に測定することができる。
【0080】
また、本発明に係る太陽電池セルの測定装置10Bでは、バー13の長手方向において、電流用プローブピン15が蜜に配置されているため、板電極17によって太陽電池セルを均一に押圧することが可能であり、良好に光電特性を測定することができる。
【0081】
なお、板電極17を有する測定装置10Bにあっては、接触部14B、及び接触部15Aの形状は、必ずしも円形状である必要はなく、例えば、針状であっても良い。また、板電極17の材質は、必ずしもTAB線と同様な材料である必要はなく、他の金属であっても良い。
【0082】
次に、太陽電池セルの光電特性の測定結果について説明する。表1は、従来の測定装置により、バスバー電極を有する従来の太陽電池セルの光電特性を測定した結果、及び、板電極を備えた測定装置(新測定装置)により、バスバー電極を有さず複数のフィンガー電極が互いに導通されていない太陽電池セルの光電特性を測定した結果を示している。なお、測定に用いた両太陽電池セルは、バスバー電極を有するか否かのみが異なり、その他の点は同様なものである。
【表1】
【0083】
表1に示すように、従来の測定装置によりバスバー電極を有する従来の太陽電池セルの光電特性を測定した場合と、板電極を備えた新測定装置によりバスバー電極を有さず複数のフィンガー電極が互いに導通されていない太陽電池セルの光電特性を測定した場合とで、光電特性である変換効率η(%)、フィルタファクタF.F(%)、開放電圧特性Voc(V)、短絡電流特性Isc(A)、及び直列抵抗特性Rs(Ω)のいずれについても略同様な測定結果が得られたことがわかる。
【0084】
なお、上記実施形態では、裏面アライメントマークは、基板2が露出する露出部分とされているが、基板2が露出しない程度に裏面電極7を省略した部分とされていてもよい。例えば、裏面アライメントマークは、裏面電極7に設けられた溝等であってもよい。すなわち、裏面アライメントマークは、裏面電極7を省略した省略部(露出部分や溝等の双方を含む)であってもよい。
【0085】
ここで、導電性接着フィルム5は、基板2の裏面22に対し、比較的接着し難い場合がある。そのような場合には、上記実施形態において、裏面アライメントマークの少なくとも一つ(一部)は、導電性接着フィルム5が比較的接着し易い補助材料により充填されていてもよい。すなわち、裏面アライメントマークの少なくとも一つは、補助材料により充填されており、導電性接着フィルム5の補助材料に対する接着力は、導電性接着フィルム5の基板2の裏面22に対する接着力よりも大きくてもよい。また、裏面アライメントマークは、必ずしも完全に補助材料により充填されている必要はなく、被覆される程度に補助材料により充填されていてもよい。裏面アライメントマークを満たす補助材料としては、例えば、Ag、Cu、Au、ITO(インジウムスズ酸化物)、IZO(インジウム亜鉛酸化物)等を使用することができる。
【0086】
また、上述の記載から分かるように、本発明に係る太陽電池モジュールは、以下のような方法に従って製造することができる。すなわち、受光面に配置された複数のフィンガー電極と、導電性接着剤を介してフィンガー電極に第2のTAB線が接続される位置を示す受光面上に設けられたアライメントマークと、基板の裏面を覆い導電性接着剤を介して第1のTAB線により隣接セルの複数のフィンガー電極に接続される裏面電極と、を備える光起電性基板を準備し、基板の裏面の一部は、第2のTAB線が接続される受光面上の位置に対応する位置において露出されており、当該露出された部分は、第1のTAB線が接着される位置を示す裏面のアライメントマークを構成しており、裏面アライメントマークにより示される位置に導電性接着剤を介して裏面電極に前記第1のTAB線を接続する。
【0087】
また、本発明に係る太陽電池モジュールは、以下のような方法に従って製造することもできる。すなわち、受光面に配置された複数のフィンガー電極と、基板の裏面を覆い導電性接着剤を介して第1のTAB線により隣接セルの複数のフィンガー電極に接続される裏面電極と、を備える光起電性基板を準備し、裏面電極は、第1のTAB線が接着される位置を示す少なくとも一つのアライメントマークを定義するように配置された省略部を有し、少なくとも一つのアライメントマークは第1のTAB線の幅よりも小さな幅を有しており、裏面アライメントマークにより示される位置に導電性接着剤を介して裏面電極に第1のTAB線を接続する。
【符号の説明】
【0088】
2…基板、3…フィンガー電極、4…TAB線、5…導電性接着フィルム(導電性接着剤)、7…裏面電極、21…受光面、22…裏面、71〜77…裏面アライメントマーク(アライメントマーク)、100〜700…太陽電池セル。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、前記基板の受光面に形成された複数のフィンガー電極と、前記基板の裏面を覆い、隣接するセル上の複数のフィンガー電極と導電性接着剤を介して第1のTAB線を接着することにより接続される裏面電極と、を備える太陽電池セルであって、
前記基板の前記裏面の一部は、第2のTAB線が接続される前記受光面上の位置に対応する位置において露出されており、
前記露出された部分は、前記第1のTAB線が接着される位置を示す前記裏面のアライメントマークを構成する、
太陽電池セル。
【請求項1】
基板と、前記基板の受光面に形成された複数のフィンガー電極と、前記基板の裏面を覆い、隣接するセル上の複数のフィンガー電極と導電性接着剤を介して第1のTAB線を接着することにより接続される裏面電極と、を備える太陽電池セルであって、
前記基板の前記裏面の一部は、第2のTAB線が接続される前記受光面上の位置に対応する位置において露出されており、
前記露出された部分は、前記第1のTAB線が接着される位置を示す前記裏面のアライメントマークを構成する、
太陽電池セル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−77835(P2013−77835A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−278212(P2012−278212)
【出願日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【分割の表示】特願2012−547373(P2012−547373)の分割
【原出願日】平成24年5月30日(2012.5.30)
【出願人】(000004455)日立化成株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【分割の表示】特願2012−547373(P2012−547373)の分割
【原出願日】平成24年5月30日(2012.5.30)
【出願人】(000004455)日立化成株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】
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