説明

太陽電池パネル

【課題】 ボックスがガラス板の板厚方向面外およびガラス板の平面方向端縁部外へ突出しないようにした太陽電池パネルを提供する。
【解決手段】 合せガラスを形成するガラス板1,2のうちガラス板2の平面方向上縁部左右両隅部をガラス板2の板厚方向から見てハの字状になるよう斜めに切除し、この切除部にガラス板2の面外へ突出せずかつガラス板1の端縁部からガラス板平面方向外方へ突出しないよう、ボックス4を設置する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、太陽電池パネルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、省エネルギの要請に伴い、太陽エネルギの利用が注目されており、その利用の形態のひとつとして、太陽光を多数の太陽電池セルに受光し、電気エネルギに変換する太陽電池パネルが種々検討されている。このように、太陽光を電気エネルギに変換して用いる場合、太陽電池セルは、たとえばサッシのガラス窓などに取付けられて太陽電池パネルが形成されている。しかして、かかる従来の太陽電池パネルの一例は図15および図16に示されている。
【0003】図15は従来の太陽電池パネルの斜視図、図16は図15のXVI−XVI方向拡大矢視図である。図15および図16中、aはサッシ、b,cはサッシaに二重に重ね合せて嵌め込まれて合せガラスを構成する透明なガラス板、dはガラス板b,c間に封入された多数の太陽電池セルである。なお、太陽電池セルdは図示されていないが互に結線されている。
【0004】また、eは合せガラス裏面すなわちガラス板cの外面の所要位置に固設したボックスであり、このボックスeは太陽電池セルdで発電した電気を送電するためのリード線fを収納できる。さらに、gはセッティングブロック、hはシールである。上述の太陽電池パネルでは太陽エネルギが太陽電池セルに照射されて発電が行われ、電流はリード線fなどを通り、集電ボックスへ送電される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述の太陽電池パネルでは、ボックスeはガラス板cの外面から突出しているため、運送時に邪魔になり、したがってひとつの梱包ケースで運送できる太陽電池パネルの数量を多くすることができず、運送効率の低下を招来する。また、現場での施工時には、ボックスeは他の機材とぶつかり、破損する虞れがある。
【0006】さらに歩廊の手摺などに太陽電池パネルを設置した場合には、人間が裏面に手を延ばし、突出しているボックスeをいたずらすることもある。さらにまた、太陽電池パネルを図16の仮想線に示すように躯体やプレキャストコンクリートiに設置した場合には、ボックスeの寸法だけ太陽電池パネルは前面に出張り、控え寸法Xが大きくなる。またさらに、太陽電池セルdが太陽光の透過のために多数の透孔を設けたものの場合には、太陽電池セルdの透孔を介して太陽電池パネルの裏面に設置したボックスeやリード線fが見えてしまい、したがって意匠性に劣り、外観が悪い。
【0007】本発明は上述の実情に鑑み、運送効率の向上を図るとともに施工時に他の機材とぶつかって破損しないようにし、人間がリード線などを収納したボックスをいたずらしないようにし、躯体やプレキャストコンクリートに設置した場合にも前面に出張ったり控え寸法が大きくならないような太陽電池パネルを提供することを目的としている。また本発明はボックスやリード線の収納状態が良好で意匠性や外観に優れた太陽電池パネルを提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、対向配置した複数の板状体のうち少くとも太陽エネルギ受光側が透明な板状体により形成され、かつ両板状体間に太陽エネルギを受けて発電する太陽電池セルが設けられ、しかも前記板状体の周縁部所要位置には、太陽電池セルのリード線の収容が可能なボックスが設けられた太陽電池パネルであって、前記ボックスは、板状体の平面方向においては、周縁が切除されていない板状体の周縁から外方へ突出しない大きさとしたことを特徴とする太陽電池パネルを提供するものである。
【0009】本発明では太陽エネルギが太陽電池セルに照射されて発電が行われ、電気はリード線を通って送電される。
【0010】本発明では、ボックスが邪魔にならないため、ひとつの梱包ケースで多数の太陽電池パネルの運搬が可能となり、運搬効率が向上する。本発明では、現場での施工時にボックスが他の機材にぶつかることがなく、したがってボックスの破損を防止できる。本発明では、歩廊の手摺などに太陽電池パネルを設置した場合でも、人間がわざわざ太陽電池パネルの裏面に手を延ばし、ボックスをいたずらすることもない。
【0011】本発明では、太陽電池パネルを躯体やプレキャストコンクリートに設置した場合でも、控え寸法を小さくでき、全体としてコンパクトにできる。本発明では、ボックスは板状体の面外や周縁部外方へ突出しないため、意匠性に優れ、外観が良好である。
【0012】本発明では、ボックスは板状体の板厚方向においては板状体の平面から外方へ突出しない大きさとすることが好ましい。この場合には、太陽電池パネルの板厚方向の厚さより一層薄くできるため、運搬効率はさらに向上し、現場での施工時にボックスが他の機材にぶつかる虞れはさらに減少してボックスの破損をより一層確実に防止することができる。また控え寸法を減少させて全体としてさらにコンパクト化を図ることができ、意匠性、外観の何れも優れている。
【0013】本発明では、板状体の平面方向上縁部左右両隅部もしくは平面方向下縁部左右両隅部に、板状体の板厚方向から見て全体としてハの字状もしくは逆ハの字状になるよう切除部を形成し、この切除部に設けられたボックスは切除部を塞ぐ直角三角形状に形成することが好ましい。このようにすると、切除部は直線状に切除できるため、板状体の加工が容易であり、またボックスにより装飾状部が形成され、意匠性が優れ、外観が良好になる。
【0014】本発明では、板状体の平面方向上縁部左右両隅部に、板状体の板厚方向から見て全体としてハの字状になるよう切除部を形成するとともに板状体の平面方向下縁部左右両隅部に板状体の板厚方向から見て全体として逆ハの字状になるよう切除部を形成し、前記切除部に設けられたボックスは切除部を塞ぐ直角三角形状に形成することが好ましい。このようにすると、切除部は直線状に切除できるため、板状体の加工が容易であり、また隣り合う4枚の太陽電池パネルのボックスにより矩形状もしくは正方形状の装飾状部が形成され、意匠性がより一層優れ、外観がさらに良好となる。
【0015】本発明では、板状体の平面方向上縁部左右両隅部もしくは平面方向下縁部左右両隅部に、板状体の板厚方向から見て矩形状となるよう切除部を形成し、この切除部に設けられたボックスは切除部を塞ぐ直方体状に形成することが好ましい。この場合にはボックスは直方体状であるためその構造がシンプルとなり製作が容易となる。
【0016】本発明では、板状体の平面方向上縁部全長もしくは板状体の平面方向下縁部全長に、板状体の板厚方向から見て板状体の平面方向へ延びる切除部を形成し、この切除部に設けられたボックスは、切除部を塞ぐ直方体状に形成することが好ましい。この場合にはボックスは直方体状であり、また板状体の切除も真直ぐに行えばよいため、構造はより一層シンプルで製作はさらに容易となる。
【0017】本発明では、複数の板状体により複層ガラスを形成し、板状体の平面方向上縁部もしくは平面方向下縁部に、切除部を形成するとともに板状体間に空間を形成し、前記切除部および空間に設けられたボックスは、切除部、および空間の一部または全部を塞ぐことが好ましい。切除部および空間を塞ぐ形状としては、直角三角形状、矩形状または直方体状などがあげられる。この場合は、ボックスは板状体の隅部に全体的なバランスを考慮して設置してあるため、意匠性に優れ外観が良好である。また、断熱性が良好で快適な空間を作り出すのに好適であり、太陽エネルギによる発電とあいまって優れた省エネルギ効果を期待することができる。
【0018】本発明では、対向配置した複数の板状体のうち少くとも太陽エネルギ受光側が透明な板状体により形成し、かつ両板状体間に太陽エネルギを受けて発電する太陽電池セルを設け、しかも前記板状体の周縁部所要位置には、太陽電池セルのリード線の収容が可能なボックスを設けた太陽電池パネルであって、前記複数の板状体により複層ガラスを形成し、板状体間の平面方向上縁部もしくは平面方向下縁部に形成された空間に設けられた前記ボックスを空間の一部を塞ぐ直方体状に形成することが好ましい。この場合には、ボックスは直方体状であるため、構造はシンプルとなり、製作が容易である。また、断熱性が良好で快適な空間を作り出すのに好適であり、太陽エネルギによる発電とあいまって優れた省エネルギ効果を期待することができる。
【0019】本発明では、複数の板状体により合せガラスを形成することが好ましい。この場合には、安全性が高いので、高い安全基準を要求される箇所に用いるのが最適であり、しかも太陽電池の保護を行うことができる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照しつつ説明する。図1は請求項1、2、3、9に対応する本発明の太陽電池パネルを示す実施の形態の第一例を示す斜視図、図2は図1のII−II方向拡大矢視図である。また、図3は図1、2に示すボックスの正面図、図4は図3のIV−IV方向矢視図、図5は図4のV−V方向矢視図である。
【0021】図1中、1,2は板状体であるガラス板、3は太陽電池セル、4はボックス、5はボックス本体、6は蓋、7はリード線、Pは太陽電池パネルである。また、図2中、8,9はウェザシール、10は躯体やプレキャストコンクリート、Xは控え寸法である。
【0022】しかして、太陽電池セル3は、その両面とガラス板1,2との間にエチレンビニルアセテートあるいはポリビニルブチラールのフィルムを介在させて加熱および加圧することにより溶融、固化したエチレンビニルアセテートあるいはポリビニルブチラールによってガラス板1,2間に封入されている。太陽電池セル3としては、結晶質のものと非晶質のものがある。ガラス板2の平面と平行な方向(以下、平面方向という)における上縁部左右両隅部は、ガラス板2の板厚方向から見て全体としてハの字状になるよう、斜めに切除されている。しかして、かかる切除部には、ガラス板2と協働してガラス板1と同じ大きさの四角形が形成されるよう、ガラス板2の板厚方向から見て直角三角形状のボックス4が接着剤によりあるいはシール材を用いて、埋め込むように取付けられている。
【0023】ボックス4は図3〜5に示すごとく、ガラス板2の外面側が開口しかつ内部が中空のボックス本体5と開口部を覆う直角三角形状の蓋6を備えており、蓋6はボックス本体5に丸頭付きねじや皿ねじにより固定し得るようになっている。蓋6はガラス板2の外面側ではなく、端面側に設けることもできる。ボックス4のガラス板2板厚方向の寸法はボックス本体5と蓋6とを合せてガラス板2の板厚とほぼ同じであり、ボックス4の外面はガラス板2の外面から板厚方向外方へ向けて突出しないよう形成されている。
【0024】また、ボックス4の直角の端縁部は、ガラス板1の端縁に沿っており、ガラス板1の端縁からガラス板1の面と平行な方向へ外方へ向けて突出しないよう形成されている。ボックス4はボックス本体5および蓋6のいずれも、プラスチックあるいはアルミ、鉄、SUSなどの金属製であり、プラスチックの場合には透明であっても、あるいは不透明であってもよい。ボックス4が目に触れやすい場合には、不透明な材料で形成することが好ましい。
【0025】所定のボックス4内には図示していないが端子が設けられており、該端子には、太陽電池セル3の電極に接続されたアルミシリコン箔あるいは銀箔が接続されている。またボックス4内に設けた端子には隣り合う太陽電池パネルPのボックス4内の端子に接続されるリード線7が接続されている。
【0026】さらに所定のボックス4内には太陽電池セル3に太陽エネルギが当らなくなった結果、当該太陽電池セル3の抵抗が増加して発電が行われなくなった場合に、他の太陽電池セル3で発電された電流を下流へ送れるよう、ダイオードが接続されている。
【0027】しかして、ガラス板1,2、太陽電池セル3、ボックス4、ボックス4内に収納した端子、アルミシリコン箔あるいは銀箔、リード線7、ダイオードにより合せ板ガラス型の太陽電池パネルPが形成されている。また、上下左右へ隣り合う太陽電池パネルPのガラス板1,1間および2,2間にはウェザシール8,9が設けられている。ウェザシール8,9はシリコン系、ポリサルファイド系、変性シリコン系のシーラントである。
【0028】上述の太陽電池パネルPでは、太陽電池セル3に太陽エネルギが照射されて発電が行われる。発生した電流は、当該太陽電池セル3のアルミシリコン箔あるいは銀箔、端子、リード線7を通り、次の太陽電池セル3の端子に至り、該端子からアルミシリコン箔あるいは銀箔を通り、さらに下流の太陽電池セル3へ送電され、最終的には集電ボックスへ集電される。
【0029】本実施の形態例では、ボックス4はガラス板2の板厚方向およびガラス板1の平面方向の何れに対しても、ガラス板2の外面やガラス板1の端縁から外方へ突出することがない。このため、太陽電池パネルPを梱包ケース内に収納するような場合でも、ボックス4が邪魔になることはなく、したがってひとつの梱包ケースで多数の太陽電池パネルPの運搬が可能となり、運搬効率が向上する。
【0030】また、現場での施行時にボックス4が他の機材にぶつかることがなく、したがってボックス4の破損を防止することができる。さらに、歩廊の手摺などに太陽電池パネルPを設置した場合でも、人間がわざわざ太陽電池パネルPの裏面に手を延ばし、ボックス4をいたずらすることもない。
【0031】さらにまた、太陽電池パネルPを図2の仮想線で示す躯体やプレキャストコンクリート10に設置した場合でも、控え寸法Xを小さくでき、全体としてコンパクトにできる。さらにまた、ボックス4はガラス板1,2から面外および周縁部外方へ突出することなく、ガラス板2の上縁部隅部に全体的なバランスを考慮して設置してあるため、太陽電池パネルPは意匠性に優れ外観が良好である。
【0032】さらにまた安全性が高いので高い安全基準を要求される箇所に用いるのに最適であり、しかも太陽電池の保護を行うことが可能となる。またガラス板1,2の上縁部左右両隅部は直線状に切断できるため、加工が容易で製作も簡単である。
【0033】図6は請求項1、2、3、9に対応する本発明の太陽電池パネルを示す実施の形態の第二例を示す斜視図である。図6中、11はサッシである。
【0034】本実施の形態例においては、図1〜5に示す実施の形態の第一例と同様、ガラス板2の平面方向上縁部左右両隅部には、ハの字状に切除部が設けられ、この切除部に実施の形態の第一例と同様に形成したボックス4が設置されている。しかして、各太陽電池パネルPは断面H形状のサッシ11に嵌め込まれている。この場合には、実施の形態の第一例と同様の作用効果を奏することができるが、ボックス4はサッシ11により完全に隠蔽することが可能となるため、実施の形態の第一例に比較して意匠性の点でより一層優れ、したがって太陽電池設備としての外観が向上する。
【0035】図7は請求項1、2、4、9に対応する本発明の太陽電池パネルを示す実施の形態の第三例を示す斜視図である。図7中、4a,4bはボックス、12はボルト孔、13はヒンジボルト、14は取付け金物である。本実施の形態例においては、ガラス板2の平面方向上縁部左右両隅部に実施の形態の第一例と同様ハの字状になるよう切除部が設けられるとともに、ガラス板2の平面方向下縁部左右両隅部に逆ハの字状になるよう切除部が設けられている。
【0036】しかして、かかる4箇所の切除部には、ガラス板2と協働してガラス板1と同じ大きさの四角形が形成されるよう、ガラス板2の板厚方向から見て直角三角形状好ましくは直角二等辺三角形状のボックス4a,4bが接着剤などにより取付けられている。ボックス4a,4bは、図2および図3〜5に示すと同様、ガラス板2の外面側が開口したボックス本体と開口部を覆う蓋を備えており、蓋はボックス本体に頭付きねじや皿ねじなどにより固定し得るようになっている。またボックス4aはガラス板1,2に対し上縁部に位置し、ボックス4bはガラス板1,2に対し下縁部に位置している。
【0037】ボックス4a,4bのガラス板2板厚方向の寸法は、ボックス本体と蓋を合せてガラス板2の板厚とほぼ同じであり、ボックス4a,4bの外面はガラス板2の外面から板厚方向外方へ向けて突出しないよう形成されている。また、ボックス4a,4bの直角の端縁部は、ガラス板1の端縁に沿っており、ガラス板1の端縁からガラス板1の面と平行な方向へ外方へ向けて突出しないよう形成されている。
【0038】ガラス板1,2の四隅部には、太陽電池セル3およびボックス4a,4bと干渉しないよう、ガラス板1,2を板厚方向へ貫通するボルト孔12が穿設されている。また、ボルト孔12にはそれぞれユニバーサルジョイント状のヒンジボルト13が嵌め込まれ、隣り合う複数(図示例では4枚)の太陽電池パネルPは、隣り合う4個のヒンジボルト13に取付けた一の取付け金物14を介して図示してない構造物に支持されている。
【0039】この実施の形態例においては、前述の実施の形態の第一例とほぼ同様の作用効果を奏することができるうえ、隅部が隣り合う4枚の太陽電池パネルPの4個の直角三角形状のボックス4a,4bにより矩形状の装飾状部が形成されるため意匠性が向上し、外観がより一層向上する。
【0040】ボックス4a,4bを直角二等辺三角形状にした場合には、4個のボックス4a,4bにより正方形状の装飾状部が形成され、したがって、意匠性、外観はさらに飛躍的に向上する。
【0041】また4枚の太陽電池パネルPの隣接する隅部を1個の取付け金物14により支持できるため、太陽電池設備全体としても意匠性、外観が向上する。
【0042】図8は請求項1、2、5、9に対応する本発明の太陽電池パネルを示す実施の形態の第四例を示す斜視図、図9は図8のIX−IX方向拡大矢視図である。本実施の形態例においては、ガラス板2の平面方向上縁部左右両隅部は、ガラス板2の板厚方向から見て矩形状となるよう切除されている。しかして、かかる切除部には、ガラス板2と協働してガラス板1と同じ平面形状の四角形が形成されるよう、ガラス板2の板厚方向から見て矩形状をした直方体状のボックス4が接着剤などにより取付けられている。
【0043】ボックス4は図9に示すように、ガラス板2の外面側が開口したボックス本体5とボックス本体5の開口部を覆う矩形状の蓋6を備えており、蓋6はボックス本体5に丸頭付きねじや皿ねじにより固定し得るようになっている。ボックス4のガラス板2板厚方向の寸法は、本実施の形態例においても、ボックス本体5と蓋6とを合せてガラス板2の厚さとほぼ同じであり、ボックス4の外面はガラス板2の外面から板厚方向外方へ向けて突出しないよう形成されている。また、ボックス4の外側の端縁部は、ガラス板1の端縁に沿っており、ガラス板1の端縁からガラス板2の面と平行な方向へ外方へ向けて突出しないよう形成されている。
【0044】本実施の形態例においても、図1とほぼ同様の作用効果を奏し得られるうえ、ボックス4は直方体状であるため構造がシンプルとなる。
【0045】図10は請求項1、2、6、9に対応する本発明の太陽電池パネルを示す実施の形態の第五例を示す斜視図である。本実施の形態においては、ガラス板2の上縁部をガラス板2の平面方向全長に亘って切除する。この切除した部分におけるガラス板2の平面方向中間部に、ガラス板2板厚方向から見て矩形状でガラス板2の平面方向から見た断面形状が図9に示すものと同様となる直方体状のボックス4を配置する。本実施の形態例においては、その機能面から、ボックス4は斜線部のボックス部分とそれ以外のボックス部分15とに分かれる。斜線部のボックス部分は前述した端子等を有し、前述の形態例で述べたような機能を有する。ボックス部分15内はおもにリード線7が挿通される。
【0046】ボックス本体と蓋とを合せたボックス4のガラス板2板厚方向の寸法はガラス板2の板厚とほぼ同じである。また、ボックス4の面は、ガラス板2の外面から板厚方向外方へ突出しないように形成されている。さらに、ボックス4の端縁は、ガラス板1の端縁に対しガラス板1の面と平行な方向へ外方へ向けて突出しないよう形成されている。
【0047】本実施の形態例においては、図1とほぼ同様の作用効果を奏し得られるうえ、ボックス4は直方体状であるため構造がシンプルとなる。
【0048】図11は請求項1、2、7に対応する本発明の太陽電池パネルを示す実施の形態の第六例を示す斜視図、図12は図11のXII−XII方向拡大矢視図である。図11中、21,22は複層ガラスを構成する透明なガラス板、図12中、23は空間、24は二次シール材、25はスペーサ、26は図8、9に示すウェザシールと同様のウェザシール、27はアンカである。ガラス板21,22は、対向する面間に所定の空間23を隔てて配設され、ガラス板21の内面には、空間23側に位置する多数の太陽電池セル3が張設されている。
【0049】ガラス板22の平面方向上縁部左右両隅部は、ガラス板22の板厚方向から見て矩形状となるよう切除されている。しかして、かかる切除部には、ガラス板21と協働してガラス板21と同じ平面形状の四角形が形成されるよう、ガラス板22の板厚方向から見て矩形状をした直方体状のボックス4が、二次シール材24に打込まれたアンカ27および接着剤などにより取付けられている。アンカ27は鉄、ステンレスなどの金属製あるいはプラスチック製で、ボックス4の背面に接着剤などにより取付けられている。ボックス4は図12に示すように、ガラス板21の外面側が開口したボックス本体5とボックス本体5の開口部を覆う矩形状の蓋6を備えており、蓋6はボックス本体5に丸頭付きねじや皿ねじにより固定し得るようになっている。
【0050】また、所要の太陽電池セル3に接続されたリード線7(箔の部分を含む)はボックス4内で端子に接続されたうえボックス4の外部へ延出している。ボックス4のガラス板22板厚方向の寸法は、ボックス本体5と蓋6とを合せて、空間23の間隔とガラス板22の板厚とを合せた寸法とほぼ同じである(図12参照)。
【0051】ガラス板21,22間の空間23の周縁部近傍全周には、ボックス4の設けてある部分はボックス4が外部へ露出するようにして、二次シール材24が収納されている。また二次シール材24の内側には二次シール材24に沿って空間23内に位置するよう、スペーサ25が設けられている。しかして、ガラス板21,22、太陽電池セル3、ボックス4、アルミシリコン箔あるいは銀箔、端子、リード線7により複層ガラス型の太陽電池パネルPが形成されている。
【0052】本発明の実施の形態においては、運搬時にボックス4が邪魔になることなく、したがってひとつの梱包ケースで多数の太陽電池の運搬ができ、運搬効率が向上する。また、現場での施行時にボックス4が他の機材にぶつかることがなく、したがってボックス4の破損を防止することができる。さらに、歩廊の手摺などに太陽電池パネルPを設置した場合でも、人間がわざわざ太陽電池パネルPの裏面に手を延ばし、ボックスをいたずらすることはない。
【0053】さらにまた、太陽電池パネルPを躯体やプレキャストコンクリート(図2の符号10参照)に設置した場合でも控え寸法を小さくでき、全体としてコンパクトにできる。さらにまた、ボックス4はガラス板22の上部隅部に全体的なバランスを考慮して設置してあるため、太陽電池パネルPは意匠性に優れ、外観が良好である。さらにまた、断熱性がよいので、快適な空間を作り出すのに好適であり、太陽エネルギによる発電とあいまって、優れた省エネルギ効果を期待でき、太陽電池セル3の保護が可能となる。
【0054】図13は請求項8に対応する本発明の太陽電池パネルを示す実施の形態の第七例を示す斜視図、図14は図13のXIV−XIV方向拡大矢視図である。本実施の形態例では、ガラス板21,22の何れにも切除部はなく、ボックス4はガラス板21,22間内空間23に、ガラス板21,22の板厚方向から見て、ガラス板21,22の平面方向上縁部に位置するように設置されている。
【0055】ボックス4の設置位置では二次シール材24およびスペーサ25は、ボックス4設置位置よりもガラス板21,22周縁部から若干空間23の奥の方へ入っており、他の部分では、二次シール材24およびスペーサ25はガラス板21,22の周縁部に沿って設けられている。またボックス4背面に取付けたアンカ27は二次シール材24に打込まれている。さらにボックス4の蓋6はガラス板21,22の外周縁側に設けられている。
【0056】本実施の形態例においては、実施の形態の第六例と同様の作用効果を奏することができるうえ、ボックス4はガラス板21,22間に挾まれるため、太陽電池パネルPの外観はより一層良好となる。
【0057】上述の実施の形態の第一例から実施の形態の第七例においては、機能的に同一のものについては形状が若干相違しても同一の符号が付してある。
【0058】なお、本発明の実施の形態では対向配置された板状体が何れも透明なガラス板である場合について説明したが、透明であればガラス板以外に合成樹脂板を使用することもできる。また対向配置されたガラス板は何れも透明である必要はなく、太陽電池に照射される太陽エネルギを受光する側のみが透明で、受光しない側は不透明であってもよい。さらに本発明の実施の形態例においては、ガラス板は合せガラスまたは複合ガラスとする場合について説明したが、合せガラスと複合ガラスの組合せに対しても本発明を適用することが可能である。さらにまたボックスの蓋はガラス板の面側へ設けても端縁側へ設けてもよい。
【0059】
【発明の効果】本発明の太陽電池パネルによれば、請求項1〜9の場合には、共通して下記のごとき種々の優れた効果を奏し得る。
I)ボックスが邪魔にならないため、ひとつの梱包ケースで多数の太陽電池パネルの運搬が可能となり、運搬効率が向上する。
II)現場での施工時にボックスが他の機材にぶつかることがなく、したがってボックスの破損を防止できる。
III)歩廊の手摺などに太陽電池パネルを設置した場合でも人間がわざわざ太陽電池パネルの裏面に手を延ばし、ボックスをいたずらすることもない。
IV)太陽電池パネルを躯体やプレキャストコンクリートに設置した場合でも、控え寸法を小さくでき、全体としてコンパクトにできる。
V)意匠性に優れ、外観が良好である。
【0060】本発明の太陽電池パネルにおいては、請求項3の場合は、板状体の加工が容易であり、またボックスにより装飾状部が形成されて意匠性が優れ、外観が良好となる。さらに請求項4の場合も板状体の加工が容易であり、しかも4個のボックスにより矩形状もしくは正方形状の装飾部が形成されるため、意匠性がより一層優れ、外観がさらに良好となる。
【0061】本発明の太陽電池パネルにおいては、請求項5の場合はボックスは直方体状であり、構造がシンプルで製作が容易となる。請求項6の場合はボックスは直方体状であり、板状体の切除も真直ぐに行えばよいため、構造はより一層シンプルで製作はさらに容易となる。
【0062】本発明の太陽電池パネルは、請求項7、8の場合は、断熱性が良いので、快適な空間を作り出すのに好適であり、太陽エネルギ発電とあいまって優れた省エネルギ効果を期待できる。
【0063】また、本発明の太陽電池パネルにおいては、請求項9の場合には、安全性が高いので高い安全基準を要求される箇所に用いるのが最適であり、かつ太陽電池の保護を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の太陽電池パネルを示す実施の形態の第一例を示す斜視図である。
【図2】図1のII−II方向拡大矢視図である。
【図3】図1に示す太陽電池パネルに使用するボックスの正面図である。
【図4】図3のIV−IV方向矢視図である。
【図5】図4のV−V方向矢視図である。
【図6】本発明の太陽電池パネルを示す実施の形態の第二例を示す斜視図である。
【図7】本発明の太陽電池パネルを示す実施の形態の第三例を示す斜視図である。
【図8】本発明の太陽電池パネルを示す実施の形態の第四例を示す斜視図である。
【図9】図8のIX−VX方向拡大矢視図である。
【図10】本発明の太陽電池パネルを示す実施の形態の第五例を示す斜視図である。
【図11】本発明の太陽電池パネルを示す実施の形態の第六例を示す斜視図である。
【図12】図11のXII−XII方向拡大矢視図である。
【図13】本発明の太陽電池パネルを示す実施の形態の第七例を示す斜視図である。
【図14】図13のXIV−XIV方向拡大矢視図である。
【図15】従来の太陽電池パネルの斜視図である。
【図16】図15のXVI−XVI方向拡大矢視図である。
【符号の説明】
1,2,21,22 ガラス板(板状体)
3 太陽電池セル
4,4a,4b ボックス
7 リード線
23 空間
P 太陽電池パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】 対向配置した複数の板状体のうち少くとも太陽エネルギ受光側が透明な板状体により形成され、かつ両板状体間に太陽エネルギを受けて発電する太陽電池セルが設けられ、しかも前記板状体の周縁部所要位置には、太陽電池セルのリード線の収容が可能なボックスが設けられた太陽電池パネルであって、前記ボックスは、板状体の平面方向においては、周縁が切除されていない板状体の周縁から外方へ突出しない大きさとしたことを特徴とする太陽電池パネル。
【請求項2】 請求項1において、ボックスは板状体の板厚方向においては板状体の平面から外方へ突出しない大きさとしたことを特徴とする太陽電池パネル。
【請求項3】 請求項1または2において、板状体の平面方向上縁部左右両隅部もしくは平面方向下縁部左右両隅部には、板状体の板厚方向から見て全体としてハの字状もしくは逆ハの字状になるよう切除部が形成され、この切除部に設けられたボックスは切除部を塞ぐ直角三角形状に形成されていることを特徴とする太陽電池パネル。
【請求項4】 請求項1または2において、板状体の平面方向上縁部左右両隅部には、板状体の板厚方向から見て全体としてハの字状になるよう切除部が形成されるとともに板状体の平面方向下縁部左右両隅部には板状体の板厚方向から見て全体として逆ハの字状になるよう切除部が形成され、前記切除部に設けられたボックスは切除部を塞ぐ直角三角形状に形成されていることを特徴とする太陽電池パネル。
【請求項5】 請求項1または2において、板状体の平面方向上縁部左右両隅部もしくは平面方向下縁部左右両隅部には、板状体の板厚方向から見て矩形状となるよう切除部が形成され、この切除部に設けられたボックスは切除部を塞ぐ直方体状に形成されていることを特徴とする太陽電池パネル。
【請求項6】 請求項1または2において、板状体の平面方向上縁部全長もしくは板状体の平面方向下縁部全長には、板状体の板厚方向から見て板状体の平面方向へ延びる切除部が形成され、この切除部に設けられたボックスは、切除部を塞ぐ直方体状に形成されていることを特徴とする太陽電池パネル。
【請求項7】 請求項1、2、3、4、5または6において、複数の板状体により複層ガラスが形成され、板状体の平面方向上縁部もしくは平面方向下縁部には、切除部が形成されるとともに板状体間に空間が形成され、前記切除部および空間に設けられたボックスは、切除部、および空間の一部または全部を塞ぐことを特徴とする太陽電池パネル。
【請求項8】 対向配置した複数の板状体のうち少くとも太陽エネルギ受光側が透明な板状体により形成され、かつ両板状体間に太陽エネルギを受けて発電する太陽電池セルが設けられ、しかも前記板状体の周縁部所要位置には、太陽電池セルのリード線の収容が可能なボックスが設けられた太陽電池パネルであって、前記複数の板状体により複層ガラスが形成され、板状体間の平面方向上縁部もしくは平面方向下縁部に形成された空間に設けられた前記ボックスは空間の一部を塞ぐ直方体状に形成されていることを特徴とする太陽電池パネル。
【請求項9】 請求項1、2、3、4、5または6において、複数の板状体により合せガラスが形成されていることを特徴とする太陽電池パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開平11−330524
【公開日】平成11年(1999)11月30日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−138204
【出願日】平成10年(1998)5月20日
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)