説明

太陽電池モジュールの高所施工場所への搬送方法および太陽電池モジュール用コンテナ

【課題】屋根、屋上などの高所施工場所へモジュールを安全かつ効率的に搬送することができる太陽電池モジュールの高所施工場所への搬送方法、ならびに、モジュールの保管や搬送に好適な太陽電池モジュール用コンテナを提供する。
【解決手段】太陽電池モジュールの高所施工場所への搬送方法においては、特定のコンテナ1を使用し、複数枚の太陽電池モジュールが収容されたコンテナ1をクレーン8で吊り上げる。太陽電池モジュール用コンテナ1は、外形を直方体に形成され且つ長手方向を水平に配置される枠組構造を備え、一対の上部短辺側枠部材が着脱自在に構成され、上部短辺側枠部材および底部短辺側枠部材にそれぞれスペーサーが装着され、上部短辺側枠部材と底部短辺側枠部材とによる挟み込みにより、盤面を立てた状態で且つ一定間隔で複数枚の太陽電池モジュール9を収容可能に構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池モジュールの高所施工場所への搬送方法および太陽電池モジュール用コンテナに関するものであり、詳しくは、屋根や屋上へ太陽電池モジュールを設置する際に当該太陽電池モジュールを安全かつ効率的に搬送する高所施工場所への搬送方法、ならびに、太陽電池モジュールの保管や搬送に好適な太陽電池モジュール用コンテナに関するものである。
【背景技術】
【0002】
太陽電池モジュール(以下、「モジュール」と略記する。)は、光起電力効果により光を電力に変換する複数の太陽電池セル(以下、適宜「セル」と略記する。)をシート状の基材の上に配列し且つ周縁や裏面をフレームで適宜補強して例えば長方形の平板状に構成されており、建物の屋根や屋上に設置される。斯かるモジュールの取り扱い、すなわち、保管や運搬においては、セルの損傷を防止するため、種々の梱包材料(クッション材や隙間材)を使用し、多数枚のモジュールを一纏めにして取り扱っている。例えば、発泡樹脂などからなる梱包材料を使用し、モジュールの外周部を把持してこれをパレット上に多数積み上げ、外周面をシート状の梱包材料で被覆し、更に、結束バンドで一体に纏め、保管、運搬している(特許文献1)。また、施工現場において、地上から屋根、屋上などの高所施工場所への搬送は、瓦葺き作業と同様に、梯子に昇降可能な荷台を装着してなるリフターを使用し、梱包材料を外しながら、モジュールを1枚づつ持ち上げている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−109090号公報
【特許文献2】特開2003−63799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、梱包材料を使用して多数枚のモジュールを一纏めに梱包した場合、保管や施工現場までの運搬は容易であるが、梱包材料の挟み方によっては下方のモジュールが上部からの荷重によって損傷する虞がある。特に薄膜系モジュールは、基板を含むモジュール自体が薄く曲げ強度が低いため、局部座屈を生じ、損傷し易いと言う問題がある。また、上記のように一纏めに梱包した場合は、施工現場において余剰の梱包材料が残留し、その処分に手間を要するうえ、資源の無駄が発生する。更に、施工現場において開梱した場合、梱包材料が風で飛散する虞があるため、シートで被う等の飛散防止手段を講じなければならない。しかも、地上から屋根や屋上へ搬送するのにモジュールを1枚づつ持ち上げると、施工開始までの作業効率が悪いと言う問題がある。
【0005】
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、屋根、屋上などの高所施工場所へモジュールを安全かつ効率的に搬送することができるモジュールの高所への搬送方法、ならびに、モジュールの保管や搬送に好適なモジュール用コンテナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明の搬送方法では、特定構造のコンテナを使用し、複数枚のモジュールを立てた状態でコンテナに収容すると共に、コンテナをクレーンで吊り上げることにより、屋根、屋上などの高所施工場所へ複数枚のモジュールを一括して搬送するようにした。また、本発明のモジュール用コンテナでは、上部枠部材の一部が着脱自在な枠組構造を採用し、上部枠部材および底部枠部材による挟み込みによって複数枚のモジュールを立てた状態で直接収容するようにした。
【0007】
すなわち、本発明の第1の要旨は、長方形の平板状に形成されたモジュールを高所施工場所へ搬送する方法であって、モジュールを収容するコンテナとして、外形を直方体に形成され且つ長手方向を水平に配置される枠組構造を備え、一対の上部短辺側枠部材が着脱自在に構成され、上部短辺側枠部材および底部短辺側枠部材にそれぞれスペーサーが装着され、上部短辺側枠部材と底部短辺側枠部材とによる挟み込みにより、盤面を立てた状態で且つ一定間隔で複数枚のモジュールを収容可能なコンテナを使用し、複数枚のモジュールが収容されたコンテナをクレーンで吊り上げることを特徴とするモジュールの高所施工場所への搬送方法に存する。
【0008】
また、本発明の第2の要旨は、長方形の平板状に形成されたモジュールを収容するコンテナであって、外形を直方体に形成され且つ長手方向を水平に配置される枠組構造を備え、一対の上部短辺側枠部材が着脱自在に構成され、上部短辺側枠部材および底部短辺側枠部材にそれぞれスペーサーが装着され、上部短辺側枠部材と底部短辺側枠部材とによる挟み込みにより、盤面を立てた状態で且つ一定間隔で複数枚のモジュールを収容可能に構成されていることを特徴とするモジュール用コンテナに存する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の搬送方法によれば、複数枚のモジュールをそれぞれ盤面を立てた状態でコンテナに収容するため、荷重による損傷の虞がなく、また、コンテナに直接収容し、梱包材料を使用する必要がないため、梱包材料の飛散防止手段を講じる必要もなく、しかも、クレーンによるコンテナの吊り上げにより、複数枚のモジュールを一括して施工場所に持ち上げられるため、作業効率を飛躍的に高めることができる。そして、本発明のモジュール用コンテナによれば、複数枚のモジュールをそれぞれ盤面を立てた状態で直接収容するため、荷重による損傷の虞がなく、また、梱包材料を使用する必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明で使用されるコンテナの一実施形態を示す斜視図である。
【図2】本発明で使用されるコンテナの他の実施形態を示す斜視図である。
【図3】モジュールが収容されたコンテナをクレーンで吊り上げる状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係るモジュールの高所施工場所への搬送方法およびモジュール用コンテナの実施形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
モジュールは、図中に符号9で示されており、周知の通り、複数の太陽電池セルをシート状の基板の上に平面的に配列して構成される。セルとしては、公知の各種のセル、例えば、各種の結晶シリコン型やアモルファスシリコン型のシリコン系セル、InGaAs、GaAs系、CIS系、CuZnSnS(CZTS)、CdTe−CdS系などの各種の化合物系セル、光電変換層に有機化合物を用いた有機系セル等が挙げられる。通常、1つのセルは、シート状の基板の表面に第1電極、光電変換層、第2電極、透明保護層を積層して構成され、1枚のモジュールにおいては、例えば平面形状を略正方形に形成された上記のようなセルが基板表面に10〜100個程度配列され、1つのセルの第1電極とこれに隣接するセルの第2電極とが順次に直列に接続される。
【0013】
モジュール9は、樹脂を積層することによりセルを絶縁、封止して構成される。モジュール9における積層構造は、例えば、基板の表面に絶縁材/封止材/セル/封止材/保護フィルムを順次に積層して構成される。基板は、ガラス、フィルムの他、熱可塑性オレフィン類で被覆された鋼板(TPO鋼板)などからなる。鋼板基板型の場合は、基板表面に更にポリエステル、ポリフッ化ビニル、各種プラスティックフィルム等の熱可塑性オレフィン類からなる絶縁材が配置される。封止材としては、例えば、エチレン酢酸ビニール共重合(EVA)、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、シリコーン樹脂、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン・ビニリデンフロライド共重合体などが使用される。保護フィルムとしては、テトラフルオロエチレンとエチレンの共重合体などの熱可塑性フッ素樹脂(ETFE)が使用される。
【0014】
モジュール9は、設置場所に応じて適宜の形状に設計できるが、例えば平面形状を長方形の平板状に形成され、枠組み構造のフレームで裏面を補強される。本発明は、特に、大面積で且つ素子の厚さが薄く、撓み易い薄膜系の鋼板基板型のモジュールに好適である。斯かるモジュール9の外形寸法は、例えば、幅が400〜1200mm程度、長さが2000〜4500mm程度、フレームを含む厚さが25〜45mm程度である。
【0015】
本発明の搬送方法においては、屋根、屋上などの高所施工場所へモジュール9を搬送するにあたり、モジュール9を収容するコンテナとして、図1又は図2に示すような特定のコンテナ1を使用し、図3に示すように、複数枚のモジュール9が収容されたコンテナ1をクレーン8で吊り上げ、複数枚のモジュール9を一括して施工場所へ搬送する。
【0016】
本発明のコンテナ1は、図1及び図2に示すように、外形を直方体に枠組みされ且つ長手方向を水平に配置される枠組構造を備え、平行な一対の上部短辺側枠部材5が着脱自在に構成され、上部短辺側枠部材5及び底部短辺側枠部材3にそれぞれスペーサー7が装着され、上部短辺側枠部材5と底部短辺側枠部材3とによる挟み込みにより、盤面を立てた状態で且つ一定間隔で複数枚のモジュール9を収容可能に構成される。コンテナ1の具体的な態様としては、幅が400〜600mm程度の比較的細長い形状のモジュールを収容する図1に示す第1の態様(符号1Aで示す態様)と、幅が600〜1200mm程度の幅広の形状のモジュールを収容する図2に示す第2の態様(符号1Bで示す態様)とが挙げられる。
【0017】
先ず、コンテナ1の第1の態様を説明する。図1に示すように、コンテナ1Aは、各一対の底部長辺側枠部材2及び底部短辺側枠部材3により平面形状を長方形に枠組みされた底部と、当該底部の四隅に立てられた支柱4と、底部長辺側枠部材2に沿わせて各1組の支柱4L,4L及び4R,4Rの上端に架け渡された上部長辺側枠部材6と、底部の幅方向に各対向する支柱4L,4Rの上端に底部短辺側枠部材3に沿わせて架け渡された押え枠としての上部短辺側枠部材5とから主として構成される。通常、底部、支柱4、上部長辺側枠部材6、上部短辺側枠部材5とも、金属製の角パイプで構成される。
【0018】
上部の4本の枠部材のうち、上部短辺側枠部材(押え枠)5は、各々、その両端に支柱4の角パイプに挿入可能な円筒状の脚54を備えており、支柱4に対して着脱自在になされている。また、コンテナ1Aの長さ方向における変形を防止するため、底部長辺側枠部材2と上部長辺側枠部材6と間には、補強用の間柱41が配置される。更に、平行な底部長辺側枠部材2の間には、底部短辺側枠部材3と平行かつ並列に補強用の桟31が配置される。なお、図示しないが、各上部長辺側枠部材6の上面には、アイボルト等の吊下げ用のリングが取り付けられてもよい。
【0019】
コンテナ1Aにおいては、モジュール9の幅方向に沿った縁を立てた状態にして且つ複数のモジュール9を一定間隔で収容するため、上部短辺側枠部材(押え枠)5及び底部短辺側枠部材3にそれぞれスペーサー7(7a)が装着される。具体的には、スペーサー7aは、例えば、平面形状がコ字状の金属製板状体で構成され、その開口部を枠部材に嵌合させた状態で溶接によって取り付けられる。底部短辺側枠部材3には、上方に向けて突出する上記のスペーサー7aがモジュール9の厚みの2倍に相当する間隔で複数装着される。一方、上部短辺側枠部材(押え枠)5には、下方に向けて突出する上記のスペーサー7aが底部短辺側枠部材3のスペーサー7aと同等の間隔で複数装着される。底部短辺側枠部材3及び上部短辺側枠部材5の両端側においては、支柱4との間に1枚のモジュール9の厚みに相当する間隔を空けてスペーサー7aが装着される。
【0020】
スペーサー7aの数は、底部短辺側枠部材3、上部短辺側枠部材(押え枠)5とも、各々、例えば16枚のモジュール9を収容する場合は8個とされる。コンテナ1Aにおいては、背面同士を重ね合わせた2枚のモジュール9を底部短辺側枠部材3のスペーサー7a間の隙間に配置し、底部短辺側枠部材3の両端側に各1枚のモジュール9を配置し、上部短辺側枠部材5で挟み付けることにより、底部短辺側枠部材3及び上部短辺側枠部材5のそれぞれにおいて隣接するスペーサー7a間の隙間でモジュール9の長手方向の縁を把持することができる。
【0021】
また、上記のコンテナ1Aにおいては、モジュール9を収容した際に当該モジュールの縁部の傷付きを防止するため、底部短辺側枠部材3の上面側および上部短辺側枠部材(押え枠)5の下面側に布状の緩衝材3sが貼着される。緩衝材3sとしては、発泡ポリエチレンシート等の発泡樹脂からなる帯状のシートが使用される。緩衝材3sは、スペーサー7aの突出部を含む底部短辺側枠部材3の上面側、スペーサー7aの突出部を含む上部短辺側枠部材5の下面側にそれぞれ連続して貼り付けられる。また、底部の補強用の桟31の上面にも、同様の緩衝材3sが貼着される。
【0022】
更に、図示しないが、施工場所へコンテナ1Aを移動させた際に屋根葺き材や屋上仕上げ材の損傷を防止するため、底部長辺側枠部材2の下面および支柱4の下端には、ゴムシートが付設される。斯かるゴムシートは、ネオプレンゴム等からなる厚さ3〜8mm程度のシートである。
【0023】
また、コンテナ1Aは、モジュール9の保管、運搬に際して占有面積を低減するため、積み重ね可能に構成される。具体的には、底部において、底部短辺側枠部材3は、角パイプの厚さ(角パイプの長さ方向に直交する断面の一辺の長さ)に相当する分量だけ底部長辺側枠部材2よりも下方に配置されており、また、上部において、上部短辺側枠部材(押え枠)5は、角パイプの厚さに相当する分量だけ上部長辺側枠部材6よりも上方に位置するように支柱4に装着される。しかも、上部短辺側枠部材5の側面には、当該上部短辺側枠部材の上方に突出する板状の立上がり片からなるストッパー51が付設される。従って、コンテナ1A同士は、相互に積み重ねることができる。
【0024】
次いで、コンテナ1の第2の態様を説明する。第2の態様に係るコンテナ1Bは、図2に示すように、第1の態様と同様に、平面形状を長方形に枠組みされた底部、支柱4、支柱4の上端に架け渡された上部長辺側枠部材6、支柱4に対して着脱自在な押え枠としての上部短辺側枠部材5とから主として構成される。図2に示すコンテナ1Bは、後述するように、支柱4を取り外し可能に構成し且つ軽量化を図るため、前述した補強用の間柱41や補強用の桟31を備えていない点が第1の態様と異なる。
【0025】
図2に示すコンテナ1Bにおいては、幅広で且つ表面が湾曲したモジュール9も収容できるように、上部短辺側枠部材(押え枠)5及び底部短辺側枠部材3に装着されるスペーサー7bは、長手方向に沿って凹凸が連続する側面形状を備えた帯状の金属成形板で構成され、斯かる金属成形板は、底部短辺側枠部材3の上面および上部短辺側枠部材5の下面にねじで固定される。スペーサー7b(金属成形板の凸部)は、2枚を1組として収容するモジュール9の表側に第1の態様よりも大きな隙間を形成し、スペーサー7b間の隙間(金属成形板の凹部)は、モジュール9の厚みの2倍に相当する内法に設計され、各組のモジュール9の縁を把持するようになされている。なお、例えば14枚のモジュール9を収容する場合、スペーサー7b(凸部)の数は、底部短辺側枠部材3、上部短辺側枠部材5とも、各々に7個とされ、両端側には、各1枚のモジュール9が配置される。
【0026】
また、第1の態様と同様に、モジュール9を収容した際に当該モジュールの縁部の傷付きを防止するため、底部短辺側枠部材3の上面側および上部短辺側枠部材(押え枠)5の下面側に布状の前述と同様の緩衝材3sが貼着される。緩衝材3sは、スペーサー7bを構成する金属成形板の表面に長さ方向に沿って連続して貼り付けられる。更に、第1の態様と同様に、底部枠部材の下面および支柱4の下端には、前述と同様のゴムシートが付設される。
【0027】
図2に示すコンテナ1Bにおいては、幅広のモジュール9を出し入れし易いように、上部長辺側枠部材6と共に支柱4が底部に対して取り外し可能に構成される。具体的には、各支柱4の基部は、上下に分割され、これらの分割部分には、支柱4の角パイプを挿通可能な内法寸法の角パイプが継手44として取り付けられる。そして、各支柱4の分割部分よりも上部は、継手44の外側から挿通されたボルトの着脱により、結合および取り外し可能になされている。上記のように、一方の上部長辺側枠部材6を1組の支柱、例えば支柱4L,4Lと共に取り外すことにより、大型のモジュールを簡単に出し入れすることができる。
【0028】
次に、コンテナ1を利用したモジュール9の取り扱い方法について説明する。コンテナ1にモジュール9を収容するには、底部短辺側枠部材3の隣接するスペーサー7間の隙間に2枚のモジュール9を1組としてこれらモジュール9の縁を嵌め込むようにして盤面を立てた状態で配置する。その場合、2枚のモジュール9は、受光面に損傷を与えないように、背面を重ね合わせた状態に組み合わせる。両端側においては、受光面をコンテナ1の内側に向け、スペーサー7と支柱4との間に1枚のモジュール9を配置する。次いで、上部短辺側枠部材(押え枠)5を支柱4の上端に装着すると共に、上部短辺側枠部材5の隣接するスペーサー7間の隙間にモジュール9の上端縁を差し込む。これにより、盤面を立てた状態で且つ隣接するモジュール9の組と一定間隔を空けて、複数枚のモジュール9を底部短辺側枠部材3と上部短辺側枠部材(押え枠)5とで挟み込んだ状態に収容できる。
【0029】
コンテナ1に収容されたモジュール9を保管する場合、あるいは、トラックの荷台に積載する場合は、コンテナ1の底部にリフトトラックのフォークを挿入することにより、コンテナ1ごと持ち上げて移動させることができる。クレーンで移動させる場合は、コンテナ1の底部からスリングベルトを掛け回したり、上部長辺側枠部材6に設けられた吊下げ用のリングにワイヤーを掛けることにより、コンテナ1を持ち上げる。
【0030】
上記のように、本発明のコンテナ1によれば、複数枚のモジュール9をそれぞれ盤面を立てた状態で収容するため、荷重によるモジュール9の損傷の虞がなく、また、モジュール9を直接収容するため、梱包材料を使用する必要がない。更に、上記のコンテナ1を使用することにより、製造されたモジュール9を集約して少ない占有面積で保管することができ、トラック等による搬送においても省スペースで積載できる。しかも、製造後のモジュール9を直ちにコンテナ1に収容することにより、製造ラインから施工現場までモジュール9を積み替えることなく搬送することができる。また、保管やトラックによる運搬にあたっては、コンテナ1同士を上下に積み重ねることにより、占有面積を一層減らすことができる。
【0031】
施工現場において、屋根、屋上などの高所施工場所へモジュール9を搬送する場合は、図3に示すように、モジュール9が収容されたコンテナ1をクレーン8で吊り上げる。コンテナ1の吊り上げに当たっては、コンテナ1の底部から上部に1組のスリングベルト81を掛け回し、各スリングベルト81の輪に天秤棒82を挿通し、当該天秤棒の中央をクレーン8で吊り上げる。また、図示しないが、コンテナ1の上部長辺側枠部材6に吊下げ用のリングが設けられている場合には、吊下げ用のリングにワイヤーを掛け、これらワイヤー介してクレーン8で吊り上げることもできる。そして、コンテナ1をクレーン8で吊り上げることにより、複数枚のモジュール9を一括して高所施工場所へ搬送することができる。
【0032】
屋根、屋上などの施工場所にコンテナ1を載せた場合も、コンテナ1の底部枠部材の下面および支柱4の下端にゴムシートが付設されているため、屋根葺き材や仕上げ材を損傷することがない。そして、屋根や屋上にコンテナ1を設置する場合は、コンテナ1の上部短辺側枠部材(押え枠)5を支柱4の上端から取り外すことにより、直ちにコンテナ1内のモジュール9を1枚ずつ取り出すことができ、迅速に施工できる。
【0033】
上記のように、本発明の搬送方法によれば、複数枚のモジュール9をそれぞれ盤面を立てた状態でコンテナ1に収容するため、荷重によってモジュール9を損傷することがなく、また、コンテナ1に直接収容し、梱包材料を使用する必要がないため、資源の無駄を無くすことができ、しかも、施工場所において梱包材料の飛散防止手段を講じる必要がない。そして、クレーン8によるコンテナ1の吊り上げにより、複数枚のモジュール9を一括して施工場所に持ち上げられるため、作業効率を飛躍的に高めることができる。
【符号の説明】
【0034】
1 :コンテナ
2 :底部長辺側枠部材
3 :底部短辺側枠部材
31:桟
3s:緩衝材
4 :支柱
41:間柱
44:継手
5 :上部短辺側枠部材
51:ストッパー
54:脚
6 :上部長辺側枠部材
7 :スペーサー
8 :クレーン
81:スリングベルト
82:天秤棒
9 :モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池モジュールを高所施工場所へ搬送する方法であって、長方形の平板状に形成された太陽電池モジュールを収容するコンテナとして、外形を直方体に形成され且つ長手方向を水平に配置される枠組構造を備え、一対の上部短辺側枠部材が着脱自在に構成され、上部短辺側枠部材および底部短辺側枠部材にそれぞれスペーサーが装着され、上部短辺側枠部材と底部短辺側枠部材とによる挟み込みにより、盤面を立てた状態で且つ一定間隔で複数枚の太陽電池モジュールを収容可能なコンテナを使用し、複数枚の太陽電池モジュールが収容されたコンテナをクレーンで吊り上げることを特徴とする太陽電池モジュールの高所施工場所への搬送方法。
【請求項2】
コンテナは、上方に向けて突出するスペーサーが太陽電池モジュールの厚みの2倍に相当する間隔で底部短辺側枠部材に複数装着され、下方に向けて突出するスペーサーが底部短辺側枠部材のスペーサーと同等の間隔で上部短辺側枠部材に複数装着され、そして、重ね合わせた2枚の太陽電池モジュールの縁を底部短辺側枠部材および上部短辺側枠部材のそれぞれにおいて隣接するスペーサー間の隙間で把持することにより、太陽電池モジュールを収容するように構成されている請求項1に記載の搬送方法。
【請求項3】
コンテナは、底部短辺側枠部材の上面側および上部短辺側枠部材の下面側に布状の緩衝材が貼着されている請求項1又は2に記載の搬送方法。
【請求項4】
コンテナは、底部枠部材の下面および支柱の下端にゴムシートが付設されている請求項1〜3の何れかに記載の搬送方法。
【請求項5】
コンテナは、上部長辺側枠部材と共に支柱が底部に対して取り外し可能に構成されている請求項1〜4の何れかに記載の搬送方法。
【請求項6】
長方形の平板状に形成された太陽電池モジュールを収容するコンテナであって、外形を直方体に形成され且つ長手方向を水平に配置される枠組構造を備え、一対の上部短辺側枠部材が着脱自在に構成され、上部短辺側枠部材および底部短辺側枠部材にそれぞれスペーサーが装着され、上部短辺側枠部材と底部短辺側枠部材とによる挟み込みにより、盤面を立てた状態で且つ一定間隔で複数枚の太陽電池モジュールを収容可能に構成されていることを特徴とする太陽電池モジュール用コンテナ。
【請求項7】
上方に向けて突出するスペーサーが太陽電池モジュールの厚みの2倍に相当する間隔で底部短辺側枠部材に複数装着され、下方に向けて突出するスペーサーが底部短辺側枠部材のスペーサーと同等の間隔で上部短辺側枠部材に複数装着され、そして、重ね合わせた2枚の太陽電池モジュールの縁を底部短辺側枠部材および上部短辺側枠部材のそれぞれにおいて隣接するスペーサー間の隙間で把持することにより、太陽電池モジュールを収容するように構成されている請求項6に記載のコンテナ。
【請求項8】
底部短辺側枠部材の上面側および上部短辺側枠部材の下面側に布状の緩衝材が貼着されている請求項6又は7に記載のコンテナ。
【請求項9】
底部枠部材の下面および支柱の下端にゴムシートが付設されている請求項6〜8の何れかに記載のコンテナ。
【請求項10】
上部長辺側枠部材と共に支柱が底部に対して取り外し可能に構成されている請求項6〜9の何れかに記載のコンテナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−113027(P2013−113027A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261288(P2011−261288)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000176763)三菱化学エンジニアリング株式会社 (85)
【出願人】(000005968)三菱化学株式会社 (4,356)
【Fターム(参考)】