説明

太陽電池及び太陽電池モジュール

【課題】改善された光電変換効率を有する太陽電池を提供する。
【解決手段】太陽電池1は、一主面10aにn型表面10anとp型表面10apとを含む太陽電池基板10と、n型表面10anの上に配されているn側電極21nと、p型表面10apの上に配されているp側電極21pとを備えている。p側電極21pは、第1の方向xに沿って延びるp側バスバー部21p1と、p側バスバー部21p1から延びる複数のp側フィンガー部21p2とを有する。n側電極は、第1の方向xに沿って延びるn側バスバー部21n1と、n側バスバー部21n1から延びる複数のn側フィンガー部21n2とを有する。n側バスバー部21n1と、p側バスバー部21p1とは、第1の方向xに沿って配列されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、裏面接合型の太陽電池及びそれを備える太陽電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記の特許文献1などにおいて、太陽電池の裏面側にp型及びn型の半導体領域が配されている所謂裏面接合型の太陽電池が提案されている。この裏面接合型の太陽電池では、受光面側に電極を設ける必要がない。このため、裏面接合型の太陽電池では、光の受光効率を高めることができる。従って、より高い光電変換効率を実現し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−80887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、太陽電池に対する光電変換効率向上の要求がさらに高まってきている。
【0005】
本発明は、斯かる点に鑑みて成されたものであり、その目的は、改善された光電変換効率を有する太陽電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る太陽電池は、太陽電池基板と、n側電極と、p側電極とを備えている。太陽電池基板は、一主面にn型表面とp型表面とを含む。n側電極は、n型表面の上に配されている。p側電極は、p型表面の上に配されている。p側電極は、p側バスバー部と、複数のp側フィンガー部とを有する。p側バスバー部は、第1の方向に沿って延びている。複数のp側フィンガー部は、p側バスバー部から延びている。n側電極は、n側バスバー部と、複数のn側フィンガー部とを有する。n側バスバー部は、第1の方向に沿って延びている。複数のn側フィンガー部は、n側バスバー部から延びている。複数のn側フィンガー部は、複数のp側フィンガー部と間挿し合っている。n側バスバー部と、p側バスバー部とは、第1の方向に沿って配列されている。
【0007】
本発明に係る太陽電池モジュールは、複数の太陽電池と、配線材とを備えている。配線材は、複数の太陽電池を電気的に接続している。太陽電池は、太陽電池基板と、n側電極と、p側電極とを備えている。太陽電池基板は、一主面にn型表面とp型表面とを含む。n側電極は、n型表面の上に配されている。p側電極は、p型表面の上に配されている。p側電極は、p側バスバー部と、複数のp側フィンガー部とを有する。p側バスバー部は、第1の方向に沿って延びている。複数のp側フィンガー部は、p側バスバー部から延びている。n側電極は、n側バスバー部と、複数のn側フィンガー部とを有する。n側バスバー部は、第1の方向に沿って延びている。複数のn側フィンガー部は、n側バスバー部から延びている。複数のn側フィンガー部は、複数のp側フィンガー部と間挿し合っている。n側バスバー部と、p側バスバー部とは、第1の方向に沿って配列されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、改善された光電変換効率を有する太陽電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施形態に係る太陽電池モジュールの略図的断面図である。
【図2】第1の実施形態における太陽電池の裏面側から視た略図的平面図である。
【図3】図2の線III−IIIにおける略図的断面図である。
【図4】第1の実施形態における太陽電池ストリングの略図的平面図である。
【図5】第2の実施形態における太陽電池の略図的平面図である。
【図6】第3の実施形態における太陽電池の略図的平面図である。
【図7】第4の実施形態における太陽電池の略図的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施した好ましい形態の一例について説明する。但し、以下の実施形態は、単なる例示である。本発明は、以下の実施形態に何ら限定されない。
【0011】
また、実施形態等において参照する各図面において、実質的に同一の機能を有する部材は同一の符号で参照することとする。また、実施形態等において参照する図面は、模式的に記載されたものであり、図面に描画された物体の寸法の比率などは、現実の物体の寸法の比率などとは異なる場合がある。図面相互間においても、物体の寸法比率等が異なる場合がある。具体的な物体の寸法比率等は、以下の説明を参酌して判断されるべきである。
【0012】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る太陽電池モジュール3の略図的断面図である。太陽電池モジュール3は、複数の太陽電池ストリング2を備えている。複数の太陽電池ストリング2のそれぞれは、一の方向(x方向)に沿って配列された複数の太陽電池1を備えている。複数の太陽電池ストリング2は、一の方向(x方向)に直交する他の方向(y方向)に沿って、所定の間隔を隔てて並列配置されている。複数の太陽電池1は、配線材31によって電気的に接続されている。具体的には、x方向に隣り合う太陽電池1の電極が配線材31によって電気的に接続されることによって、複数の太陽電池1が直列または並列に電気的に接続されている。
【0013】
配線材31と太陽電池1とは、樹脂からなる接着剤層(図示せず)により接着されている。接着剤層は、樹脂のみからなるものであってもよい。また、接着剤層は、樹脂層と、その樹脂層中に分散した導電材とを含む異方導電性を有するものであってもよい。導電材の具体例としては、金属粒子や、合金粒子、金属または合金によりコーティングされた絶縁性粒子等の微小なサイズの導電材が挙げられる。なお、接着剤層が樹脂接着剤のみからなる場合は、配線材31と太陽電池1の電極とが直接接触するように接着を行う。
【0014】
複数の太陽電池1の裏面側には、第1の保護部材34が配置されている。一方、複数の太陽電池1の受光面側には、第2の保護部材35が配置されている。太陽電池1と第1の保護部材34との間及び太陽電池1と第2の保護部材35との間には、封止材33が設けられている。複数の太陽電池1は、この封止材33により、第1の保護部材34と第2の保護部材35との間に封止されている。
【0015】
封止材33並びに第1及び第2の保護部材34,35の材料は、特に限定されない。封止材33は、例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)やポリビニルブチラール(PVB)等の樹脂により形成することができる。
【0016】
裏面側に配された第1の保護部材34は、例えば、ガラス、樹脂フィルムやアルミニウム箔などの金属箔を介在させた樹脂フィルムにより構成することができる。
【0017】
受光面側に配された第2の保護部材35は、例えば、透光性のガラスや樹脂等の透光性を有する板体により構成することができる。
【0018】
太陽電池モジュール3は、第1の保護部材34、封止材33、複数の太陽電池1、封止材33、第2の保護部材35を有する積層体の外周に取り付けられたAl等の金属製の枠体(図示しない)を備えていてもよい。また、太陽電池モジュール3は、第1の保護部材34の表面に設けられた、太陽電池1の出力を外部に取り出すための端子ボックスを備えていてもよい。
【0019】
図2は、第1の実施形態における太陽電池1の裏面側からみた略図的平面図である。図3は、図2の線III−IIIにおける略図的断面図である。
【0020】
太陽電池1は、所謂裏面接合型の太陽電池である。太陽電池1は、太陽電池基板10を有する。太陽電池基板10は、受光することによって電子や正孔などのキャリアを生成させる部材である。太陽電池基板10は、受光面10bと、裏面10aとを有する。裏面10aには、n型表面10anと、p型表面10apとが露出している。受光面10b上には、パッシベーション層やARコート層が設けられていてもよい。受光面10b上には、金属等の遮光材が設けられていない。よって、本実施形態に係る太陽電池1は、受光面10bの略全面または全面に光が入射する。
【0021】
受光面10b及び裏面10aのそれぞれは、矩形状である。ここで、「矩形」には、4つの角部の少なくともひとつが面取り状またはR面取り状である矩形が含まれるものとする。
【0022】
本実施形態においては、太陽電池基板10は、基板11aと、p型非晶質半導体層11pと、n型非晶質半導体層11nとを備えている。基板11aは、一の導電型を有する結晶性半導体からなる。具体的には、本実施形態では、基板11aは、n型単結晶シリコン基板により構成されている。このため、本実施形態では、正孔が少数キャリアとなる。
【0023】
p型非晶質半導体層11p及びn型非晶質半導体層11nのそれぞれは、基板11aの裏面の上に配されている。p型表面10apは、p型非晶質半導体層11pの表面により構成される。n型表面10anは、n型非晶質半導体層11nの表面により構成されている。
【0024】
p型非晶質半導体層11pは、例えば、水素を含むp型のアモルファスシリコンにより構成することができる。n型非晶質半導体層11nは、例えば、水素を含むn型のアモルファスシリコンにより構成することができる。太陽電池基板10は、p型非晶質半導体層11p及びn型非晶質半導体層11nのそれぞれと、基板11aとの間に配された、発電に実質的に寄与しない程度の厚み(例えば数Å〜250Å)のi型非晶質半導体層をさらに備えていてもよい。その場合、i型非晶質半導体層は、例えば、水素を含むi型のアモルファスシリコンにより構成することができる。i型非晶質半導体層を設けることで、p型非晶質半導体層11p及びn型非晶質半導体層11nのそれぞれと、基板11aとの間の接合特性を改善することができ、より改善された光電変換効率を有する太陽電池が提供される。
【0025】
太陽電池基板10の裏面10aの上には、p側電極21pとn側電極21nとが配されている。p側電極21pは、p型表面10apの上に配されている。n側電極21nは、n型表面10anの上に配されている。本実施形態においては、基板11aがn型単結晶シリコン基板により構成されているので、正孔が少数キャリアとなり、電子が多数キャリアとなる。従って、p側電極21pは少数キャリアを収集し、n側電極21nは多数キャリアを収集する。
【0026】
p側電極21p及びn側電極21nの材質は、導電材料である限りにおいて特に限定されない。p側電極21p及びn側電極21nのそれぞれは、例えば、銀、銅、アルミニウム、チタン、ニッケル、クロムなどの金属や、それらの金属のうちの一種以上を含む合金、TCO(Transparent Conductive Oxide)などにより形成することができる。また、p側電極21p及びn側電極21nのそれぞれは、例えば、上記金属や合金、TCOからなる複数の導電層の積層体により構成されていてもよい。
【0027】
p側電極21p及びn側電極21nのそれぞれは、例えば、スパッタ法、蒸着法、スクリーン印刷法或いはメッキ法等の種々の方法を用いて形成することができる。
【0028】
p側電極21pは、p側バスバー部21p1と、複数のp側フィンガー部21p2と、p側フィンガー部21p3とを有する。n側電極21nは、パッド部21n3を含むn側バスバー部21n1と、複数のn側フィンガー部21n2とを有する。
【0029】
p側バスバー部21p1は、裏面10aの辺10a1の延びる方向であるx方向(一の方向)に沿って延びる線状の形状を有する。p側バスバー部21p1は、裏面10aのx方向の一方の側(x1側)に面積を片寄らせて設けられている。
【0030】
複数のp側フィンガー部21p2のそれぞれは、p側バスバー部21p1から連続して延びている。所定のp側フィンガー部21p2は、基端部21p21と、接続部21p22と、先端部21p23とを有する。本実施形態では、具体的には、複数のp側フィンガー部21p2のうち、x方向の中央部に位置しているフィンガー部を除いたすべてのフィンガー部が、基端部21p21と、接続部21p22と、先端部21p23とを有する。これらのバスバー部は、基端部21p21においてp側バスバー部21p1と接続されている。基端部21p21は、x方向に対して垂直なy方向に沿って延びている。接続部21p22は、基端部21p21と先端部21p23とを接続している。接続部21p22は、屈曲部または湾曲部を含んでいる。具体的には、本実施形態では、接続部21p22は、屈曲部を含んでいる。先端部21p23は、y方向に沿って延びている。先端部21p23は、n側バスバー部21n1とy方向に対向している。つまり、複数のp側電極21pは、U字状のフィンガー部を含む。本実施形態においては、複数のp側フィンガー部21p2のうち、x方向の中央部に位置しているフィンガー部は、直線状である。
【0031】
複数のp側フィンガー部21p2には、相対的に長いp側フィンガー部と、相対的に短いp側フィンガー部とが含まれている。そして、相対的に長いp側フィンガー部は、相対的に短いp側フィンガー部よりも細い。具体的には、本実施形態では、複数のp側フィンガー部21p2のうち、外側に位置するp側フィンガー部ほど長く且つ細く、内側に位置するp側フィンガー部ほど短く且つ太い。
【0032】
p側フィンガー部21p3は、p側バスバー部21p1に電気的に接続されている。p側フィンガー部21p3は、p側バスバー部21p1のx2側先端部から、x2側に延びている。p側バスバー部21p1は、裏面10aのx方向の一方の側(x1側)に片寄って設けられ、p側フィンガー部21p3は他方の側(x2側)に延びている。p側フィンガー部21p3は、y方向において、n側バスバー部21n1と隣り合う部分を有する。具体的には、本実施形態では、p側フィンガー部21p3の実質的に全体が、y方向において、n側バスバー部21n1と隣り合っている。またp側フィンガー部21p3は、y方向において、n側バスバー部21n1よりも裏面10aの端側に位置する。
【0033】
n側バスバー部21n1は、x方向に沿って延びる線状の形状を有する。n側バスバー部21n1は、裏面10aのx方向の他方の側(x2側)に面積を片寄らせて設けられている。n側バスバー部21n1とp側バスバー部21p1とは、x方向に沿って配列されている。具体的には、n側バスバー部21n1とp側バスバー部21p1とは、x方向に延びる辺10a1に沿って配列されている。n側バスバー部21n1のy方向に沿った幅は、p側バスバー部21p1のy方向に沿った幅よりも小さい。n側バスバー部21n1とp側バスバー部21p1とは、夫々x方向に沿って直線状に配列された部分を含む。
【0034】
複数のn側フィンガー部21n2のそれぞれは、n側バスバー部21n1から延びている。複数のn側フィンガー部21n2は、複数のp側フィンガー部21p2と間挿し合っている。複数のn側フィンガー部21n2は、基端部21n21と、接続部21n22と、先端部21n23とを有する。具体的には、本実施形態では、すべてのn側フィンガー部21n2が、基端部21n21と、接続部21n22と、先端部21n23とを有する。n側フィンガー部21n2は、基端部21n21においてn側バスバー部21n1と接続されている。基端部21n21は、y方向に沿って延びている。接続部21n22は、基端部21n21と先端部21n23とを接続している。接続部21n22は、屈曲部または湾曲部を含む。具体的には、本実施形態では、接続部21n22は、屈曲部を含む。先端部21n23は、y方向に沿って延びている。先端部21n23は、p側バスバー部21p1とy方向に対向している。つまり、複数のn側電極21nは、U字状のフィンガー部を含む。
【0035】
複数のn側フィンガー部21n2には、相対的に長いn側フィンガー部と、相対的に短いn側フィンガー部とが含まれている。そして、相対的に長いn側フィンガー部は、相対的に短いn側フィンガー部よりも細い。具体的には、本実施形態では、複数のn側フィンガー部21n2のうち、外側に位置するn側フィンガー部ほど長く且つ細く、内側に位置するn側フィンガー部ほど短く且つ太い。
【0036】
n側バスバー部21n1のx2側先端部には、矩形状のパッド部21n3が設けられている。パッド部21n3のy方向に沿った幅は、n側バスバー部21n1のパッド部21n3以外の部分のy方向に沿った幅よりも大きい。本実施形態では、n側電極21は、このパッド部21n3において配線材と電気的に接続されている。
【0037】
図4は、第1の実施形態における太陽電池ストリング2の略図的平面図である。太陽電池ストリング2において、複数の太陽電池1は、隣り合う太陽電池1のp側バスバー部21p1と、n側バスバー部21n1とがx方向において隣り合うように、x方向に沿って配列されている。隣り合う太陽電池1のp側バスバー部21p1とn側バスバー部21n1とは、配線材31によって電気的に接続されている。配線材31は、図示しない接着剤層により、p側バスバー部21p1のx1側の先端部と、n側バスバー部21n1のx2側先端部とを含むように接続されている。図4では、配線材31は、p側バスバー部21p1のx1側の先端部と、n側バスバー部21n1のx2側先端部に設けられたパッド部21n3とに接続されている。
【0038】
ところで、基板11aにおいて生じた正孔や電子などのキャリアは、電極21n、21pに収集されるまでに基板11a内を移動しなければならない。但し、キャリアの移動に際しては、キャリアの再結合による消失が伴う。このため、キャリアの基板11a内における移動距離が長いほど、キャリアの再結合による消失がより多く発生することとなる。キャリアの消失が生じると、その分だけ、太陽電池の光電変換効率が低下することとなる。特に、少数キャリア(本実施形態においては、ホール)の再結合が多くなるほど、太陽電池の光電変換効率が大きく低下する。
【0039】
ここで、バスバー部21p1,21n1は、フィンガー部21p2,21n2に対して太い。このため、基板11aのバスバー部21p1,21n1の下方に位置している部分において生成したキャリアは、フィンガー部21p2,21n2の下方に位置している部分において生成したキャリアよりも、電極21p、21nにより収集されるまでに長い距離を移動しなければならない。よって、バスバー部が長く、裏面におけるバスバー部の占有面積が大きくなるほどキャリアの消失が生じやすくなる。
【0040】
ここで、本実施形態では、x方向に延びるn側バスバー部21n1とp側バスバー部21p1とがx方向に沿って配列されている。このため、例えば、裏面の一辺に沿ってp側バスバー部を配置し、その一辺に対向する他辺に沿ってn側バスバー部を配置した場合よりも、裏面10aにおけるp側バスバー部21p1及びn側バスバー部21n1の占有率を低くすることができる。よって、キャリアの再結合による消失を抑制することができる。従って、改善された光電変換効率を実現することができる。
【0041】
特に、本実施形態では、複数のp側フィンガー部21p2及び複数のn側フィンガー部21n2のそれぞれは、屈曲部を含む接続部21p22、21n22を有しており、U字状であるフィンガー部を含む。このため、例えば、y方向に沿ってn側バスバー部とp側バスバー部とを配列した場合よりも複数のp側フィンガー部21p2の平均長さ及び複数のn側フィンガー部21n2の平均長さを長くすることができる。よって、フィンガー部21p2,21n2の1本あたりの面積の平均値を大きくすることができる。従って、フィンガー部21p2,21n2の本数を少なくすることができる。ここで、バスバー部は、接続すべきフィンガー部の本数が多くなるほど長くする必要がある。従って、フィンガー部21p2,21n2の本数を少なくすることができる本実施形態においては、バスバー部21p1,21n1の長さをより短くすることができる。よって、裏面10aにおけるp側バスバー部21p1及びn側バスバー部21n1の占有率をより低くすることができる。従って、より改善された光電変換効率を実現することができる。
【0042】
さらには、本実施形態においては、少数キャリアであるホールを収集するp側電極21pは、多数キャリアである電子を収集するn側電極21nのn側バスバー部21n1とy方向に隣り合うフィンガー部21p3を有する。このため、基板11aのうち、n側バスバー部21n1のy2側部分の下方に位置している部分と、p側電極21pとの間の距離を短くすることができる。よって、基板11aのうち、n側バスバー部21n1のy2側部分の下方に位置している部分において発生した少数キャリア(ホール)をフィンガー部21p3において効率的に収集することができる。従って、さらに改善された光電変換効率を実現することができる。
【0043】
本実施形態では、上述のように、n側バスバー部21n1とp側バスバー部21p1とがx方向に沿って配列されている。このため、図4に示すように、隣り合う太陽電池1同士を、短く且つ細い配線材31によって容易に接続することができる。すなわち、配線材31と太陽電池1との接着面積を小さくできる。また、太陽電池1の配線材31と接着している部分のx方向に沿った長さを短くすることができる。よって、配線材31による太陽電池1の拘束部分の大きさを小さくすることができる。従って、例えば太陽電池モジュール3の温度が変化し、配線材31と太陽電池1との間に熱膨張率差が生じた場合であっても、太陽電池1に反りが発生し難い。また、配線材31が太陽電池1から剥離しにくい。従って、改善された信頼性を有する太陽電池モジュール3を実現することができる。
【0044】
また、本実施形態では、フィンガー部21p2,21n2には、相対的に長いフィンガー部と、相対的に短いフィンガー部とが含まれている。そして、相対的に長いフィンガー部は、相対的に短いフィンガー部よりも細い。具体的には、本実施形態では、フィンガー部21p2,21n2のうち、外側に位置するフィンガー部ほど長く且つ細く、内側に位置するフィンガー部ほど短く且つ太い。このため、相対的に長いフィンガー部の面積と、相対的に短いフィンガー部の面積との差を小さくできる。従って、例えば、p側電極21p及びn側電極21nをめっき法により形成した場合に、相対的に長いフィンガー部の厚みと相対的に短いフィンガー部の厚みとの差を小さくすることができる。すなわち、めっき法により、厚みむらの小さなp側電極21p及びn側電極21nを形成することができる。
【0045】
以下、本発明を実施した好ましい形態の他の例について説明する。以下の説明において、上記第1の実施形態と実質的に共通の機能を有する部材を共通の符号で参照し、説明を省略する。
【0046】
また、下記の第2及び第3の実施形態において、図1及び図4は、上記第1の実施形態と共通に参照する。
【0047】
(第2の実施形態)
図5は、第2の実施形態における太陽電池の略図的平面図である。
【0048】
上記第1の実施形態では、フィンガー部21p2,21n2には、相対的に長いフィンガー部と、相対的に短いフィンガー部とが含まれており、相対的に長いフィンガー部は、相対的に短いフィンガー部よりも細い例について説明した。但し、本発明は、この構成に限定されない。
【0049】
本実施形態では、相対的に長いフィンガー部は、相対的に短いフィンガー部よりも太い。具体的には、本実施形態では、フィンガー部21p2,21n2のうち、外側に位置するフィンガー部ほど長く且つ太く、内側に位置するフィンガー部ほど短く且つ細い。このように、多くのキャリアが収集される長いフィンガー部ほど太くすることによって、長いフィンガー部における抵抗ロスを低減することができる。従って、さらに改善された光電変換効率を実現することができる。
【0050】
(第3の実施形態)
図6は、第3の実施形態における太陽電池の略図的平面図である。
【0051】
上記第1の実施形態では、p側バスバー部21p1とn側バスバー部21n1とが辺10a1に沿って配列されている例について説明した。それに対して、本実施形態では、p側バスバー部21p1とn側バスバー部21n1とは、裏面10aのy方向における中央部において、x方向に沿って配列されている。また、複数のp側バスバー部21p1には、基端部がp側バスバー部21p1からy1側に延びるフィンガー部と、基端部がp側バスバー部21p1からy2側に延びるフィンガー部とが含まれている。すなわち、p側バスバー部21p1から、y方向の両側にp側フィンガー部21p2が延びている。
【0052】
複数のn側バスバー部21n1には、基端部がn側バスバー部21n1からy1側に延びるフィンガー部と、基端部がn側バスバー部21n1からy2側に延びるフィンガー部とが含まれている。すなわち、n側バスバー部21n1から、y方向の両側にn側フィンガー部21n2が延びている。
【0053】
このようにすることにより、バスバー部21p1,21n1のy1側にのみフィンガー部21p2,21n2が接続されている第1の実施形態よりもバスバー部21p1,21n1の長さを短く保ったままで、フィンガー部21p2,21n2の本数を多くすることができる。その結果、フィンガー部21p2,21n2の長さを短くすることができ、抵抗ロスを低減することができる。従って、さらに改善された光電変換効率を実現することができる。
【0054】
なお、本実施形態では、n側バスバー部21n1に設けられた凹部21n11内にフィンガー部21p3が配されている。
【0055】
(第4の実施形態)
図7は、第4の実施形態における太陽電池の略図的断面図である。
【0056】
上記第1の実施形態では、太陽電池基板10が、半導体からなる基板11aと、半導体層11p、11nとを備えている例について説明した。但し、本発明は、この構成に限定されない。
【0057】
本実施形態では、太陽電池基板10は、一の導電型を有し、裏面側に、p型ドーパントが拡散したp型ドーパント拡散領域10P及びn型ドーパントが拡散したn型ドーパント拡散領域10Nが設けられている基板11aにより構成されている。本実施形態では、p型表面10apは、p型ドーパント拡散領域10Pの表面により構成される。n型表面10anは、n型ドーパント拡散領域10Nの表面により構成されている。
【0058】
斯かる構成においても、前述の実施形態と同様の効果を奏する。
【0059】
尚、本発明はここでは記載していない様々な実施形態を含む。例えば、上述した第1及び第2の実施形態では相対的に長いフィンガー部と、相対的に短いフィンガー部との幅が異なる例について説明したが、本発明はこれに限定されない。本発明は、相対的に長いフィンガー部と、相対的に短いフィンガー部との幅が同程度の場合も含む。
【0060】
また、第3の実施形態ではp側バスバー部とn側バスバー部とは、裏面のy方向における中央部において、x方向に沿って一組配列されている例について説明したが、これに限らず複数組のp側バスバー部とn側バスバー部とを、x方向に沿って配列するようにしても良い。この場合に、少なくとも1以上の組のp側バスバー部とn側バスバー部とを、裏面のy方向における端部以外の中央部に設けるようにすれば、一部のバスバーの組がy方向における端部にあっても良い。
【0061】
以上のように、本発明はここでは記載していない様々な実施形態を含む。従って、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0062】
1…太陽電池
3…太陽電池モジュール
10…太陽電池基板
10a…裏面
10a1…辺
10an…n型表面
10ap…p型表面
21n…n側電極
21n1…n側バスバー部
21n2…n側フィンガー部
21n22,21p22…接続部
21p…p側電極
21p1…p側バスバー部
21p2…p側フィンガー部
31…配線材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一主面にn型表面とp型表面とを含む太陽電池基板と、
前記n型表面の上に配されたn側電極と、
前記p型表面の上に配されたp側電極と、
を備え、
前記p側電極は、第1の方向に沿って延びるp側バスバー部と、前記p側バスバー部から延びる複数のp側フィンガー部とを有し、
前記n側電極は、前記第1の方向に沿って延びるn側バスバー部と、前記n側バスバー部から延び、前記複数のp側フィンガー部と間挿し合っている複数のn側フィンガー部とを有し、
前記n側バスバー部と、前記p側バスバー部とは、前記第1の方向に沿って配列されている、太陽電池。
【請求項2】
前記太陽電池基板は矩形状の形状を有し、
前記第1の方向は、前記一主面の一辺が延びる方向である、請求項1に記載の太陽電池。
【請求項3】
前記n側バスバー部は、前記第1の方向の一方の側に面積を片寄らせて配置され、前記p側バスバー部は、前記第1の方向の他方の側に面積を片寄らせて配置されている、請求項1または2記載の太陽電池。
【請求項4】
前記n側バスバー部とp側バスバー部とは、夫々前記第1の方向に沿って直線状に配列された部分を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の太陽電池。
【請求項5】
n側バスバー部とp側バスバー部とのうち少数キャリア収集用の一方のバスバー部の面積は、多数キャリア収集用の他方のバスバー部の面積より大きい、請求項1〜4のいずれか一項に記載の太陽電池。
【請求項6】
前記複数のp側フィンガー部と前記複数のn側フィンガー部とのそれぞれは、屈曲部または湾曲部を有するフィンガー部を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の太陽電池。
【請求項7】
前記複数のp側フィンガー部と前記複数のn側フィンガー部とのそれぞれは、
前記p側またはn側バスバー部から垂直に延びる基端部と、
前記屈曲部または前記湾曲部と、
前記屈曲部または前記湾曲部によって前記基端部に接続されており、前記n側またはp側バスバー部と対向している先端部と、
を有するフィンガー部を含む、請求項6に記載の太陽電池。
【請求項8】
前記p側フィンガー部と前記n側フィンガー部とのそれぞれは、U字状のフィンガー部を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の太陽電池。
【請求項9】
前記複数のp側フィンガー部と、前記複数のn側フィンガー部とのうちの少なくとも一方には、相対的に長いフィンガー部と、相対的に短いフィンガー部とが含まれ、前記相対的に長いフィンガー部の方が、前記相対的に短いフィンガー部よりも太い、請求項1〜8のいずれか一項に記載の太陽電池。
【請求項10】
前記複数のp側フィンガー部と、前記複数のn側フィンガー部とのうちの少なくとも一方には、相対的に長いフィンガー部と、相対的に短いフィンガー部とが含まれ、前記相対的に長いフィンガー部の方が、前記相対的に短いフィンガー部よりも細い、請求項1〜8のいずれか一項に記載の太陽電池。
【請求項11】
前記p側電極及び前記n側電極のうち、少数キャリアを収集する側の電極は、前記第1の方向に対して垂直な第2の方向において、多数キャリアを収集する側の電極のバスバー部と隣り合う部分を有する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の太陽電池。
【請求項12】
前記p側バスバー部及び前記n側バスバー部は、前記一主面の一辺に沿って配列されている、請求項2〜11のいずれか一項に記載の太陽電池。
【請求項13】
前記複数のp側フィンガー部は、
基端部が、前記p側バスバー部から前記第1の方向に対して垂直な第2の方向の一方側に延びているフィンガー部と、
基端部が、前記p側バスバー部から前記第2の方向の他方側に延びているフィンガー部と、
を含み、
前記複数のn側フィンガー部は、
基端部が、前記n側バスバー部から前記第2の方向の一方側に延びているフィンガー部と、
基端部が、前記n側バスバー部から前記第2の方向の他方側に延びているフィンガー部と、
を含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の太陽電池。
【請求項14】
前記一主面の第2の方向における中央部に配されている前記p側バスバー部と前記n側バスバー部とを含む、請求項13に記載の太陽電池。
【請求項15】
前記太陽電池基板の前記一主面と対向する他主面の略全面または全面が受光面となる、請求項1〜14のいずれか一項に記載の太陽電池。
【請求項16】
複数の太陽電池と、前記複数の太陽電池を電気的に接続している配線材とを備える太陽電池モジュールであって、
前記太陽電池は、
一主面にn型表面とp型表面とを含む太陽電池基板と、
前記n型表面の上に配されたn側電極と、
前記p型表面の上に配されたp側電極と、
を有し、
前記p側電極は、第1の方向に沿って延びるp側バスバー部と、前記p側バスバー部から延びる複数のp側フィンガー部とを有し、
前記n側電極は、前記第1の方向に沿って延びるn側バスバー部と、前記n側バスバー部から延び、前記複数のp側フィンガー部と間挿し合っている複数のn側フィンガー部とを有し、
前記n側バスバー部と、前記p側バスバー部とは、前記第1の方向に沿って配列されている、太陽電池モジュール。
【請求項17】
前記太陽電池基板は矩形状の形状を有し、
前記第1の方向は、前記一主面の一辺が延びる方向である、請求項16に記載の太陽電池モジュール。
【請求項18】
前記複数の太陽電池は、隣り合う太陽電池の前記p側バスバー部と前記n側バスバー部とが隣り合うように、前記第1の方向に沿って配列されており、
前記配線材は、前記隣り合う太陽電池の前記p側バスバー部と、前記n側バスバー部とを電気的に接続している、請求項16または17に記載の太陽電池モジュール。
【請求項19】
前記配線材は、前記第1の方向において、前記p側バスバー部の一部と、前記n側バスバー部の一部とに接着している、請求項18に記載の太陽電池モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−175065(P2012−175065A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−38635(P2011−38635)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】