説明

太陽電池用接続具

【課題】 バイパスダイードを具備し、該ダイオードの放熱を良くして、ダイオードの信頼性を高めた、薄型の太陽電池用接続具を製作容易な構成で提供する。
【解決手段】 ダイオードゾーンとリード線接続ゾーンとを有する扁平な絶縁性筐体の、ダイオードゾーンには、放熱板にチップ型ダイオードが接続されてモールド樹脂で充填されており、発熱部であるダイオ−ドゾーンの下部に密着させて伸延させた平板を放熱手段として形成した接続具を設けた太陽電池用接続具とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,太陽電池薄型モジュールを直列接続するときの接続具に関し、とくに、その一部にバイパスダイオードを備えたものである。
【背景技術】
【0002】
設置現場に於いて、太陽電池薄型モジュールを直列接続するときに、この接続具が使用される。この接続具内で各モジュールにバイパスダイオードを接続する。この接続具を薄型にして、電気的信頼性を確保する為に技術的改良が試みられて来た。その従来例が特許文献1に開示されている。
【0003】
【特許文献1】「特開平5−343724号」公報の技術では、端子ボックスの筐体内に、中継端子支持板が配置されている。中継端子支持板には、間隔を空けて二つの導電性中継端子接続部分が形成されている。一つの導電性中継端子接続部分にペレット状のバイパスダイオードのアノードが半田付けされている。バイパスダイオードのカソードがリード線を介して、もう一つの導電性中継端子接続部分に接続されている。二つの中継端子接続部分には二つの出力リードが接続され、これによってバイパスダイオードが、太陽電池モジュールに接続される。二つの中継端子接続部分には、2つの中継フレームが接続され、これによって太陽電池モジュールの出力が取り出される。ペレット状のバイパスダイオードは薄く脆くて、振動や衝撃によって破断したり、ひび割れによって特性が変化したりする。
【0004】
太陽電池モジュールに接続されるバイパスダイオードの信頼性を高めて搭載することが課題であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
太陽電池モジュールに接続されるバイパスダイオードは、通電によるジュール熱での温度上昇の他に、屋根の上などの設置される場所の周囲温度が高くなったときは、過酷な環境に曝されることになる。周囲温度の変化がダイオードに機械的歪や電気特性を変化させ、劣化してしまうことがあった。薄型として,且つ、信頼性を高めて長期間の使用に耐える太陽電池用接続具を提供することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
太陽電池薄型モジュールを直列接続するときに、使用される接続具の中にバイパスダイオードを接続した接続具を薄型すること、電気的信頼性を確保すること、この両条件を満たす構成として、厚さ略200ミクロンのチップ型ダイオードを薄型の絶縁性筐体に密着した放熱板に装着し、充填材で被覆して、電気的に接続する端子を薄い導体で導出する構成とすることに着目した。
【0007】
請求項1に関しては、
太陽電池パネルに連結する連結手段を具備するダイオード装着した第1の接続箱と、太陽電池パネルに連結する連結手段を具備し、ダイオード装着しない第2の接続箱とによって構成された太陽電池用接続具とする。第1の接続箱は、ダイオードゾーンを有し、このダイオードゾーンの両側にモジュールリード線接続ゾーン、が隔壁を介して位置し、側壁または底部にリード線導出用の切欠き部または窓を有する絶縁性筐体と、前記ダイオードゾーンに、一端が前記モジュールリード線接続ゾーンに位置し、他端に間隔を空けて隣接配置された第1の放熱板および第2の放熱板と、前記各放熱板の一端側に接続され、これら一端側からモジュールリード線接続ゾーンに伸延したモジュールリード線接続用端子と、他端側の第1の放熱板にアノードが接続され、他端側の第2の放熱板にカソードが接続されたチップ型ダイオードと、前記ダイオードゾーンに充填された絶縁性充填材とを具備する接続箱を太陽電池パネルに連結する熱伝導性の連結手段を具備する第1の接続箱とした。第2の接続箱は、モジュールリード線接続用端子と、出力ケーブル接続端子とが、同一の導電体に位置し、側壁または底部にリード線導出用と出力ケーブル導出用の切欠き部または窓を有する絶縁性筐体とを具備する接続箱を太陽電池パネルに連結する連結手段を具備する第2の接続箱とした。これらによって構成された太陽電池用接続具とした。
【0008】
請求項2に関しては、
連結手段が、太陽電池パネル厚さに相当する幅寸法と、接続箱の厚さに相当する幅寸法とを段付き形状で具備する幅寸法とし、接続箱の幅寸法を深さ寸法とした基準寸法を有する凹部を備えると共に、太陽電池パネルの裏面に接する側の壁面部位を太陽電池パネルに密着させ伝熱効果を高める為、太陽電池パネルの表面に接する側よりも大きい壁面部位面積を有するように、伸延した形状の連結手段である請求項1記載の太陽電池用接続具とした。
【0009】
請求項3に関しては、
発熱部であるダイオ−ドゾーンの下部に密着させて伸延させた平板を放熱手段として形成したモジュール枠を連結手段として具備した請求項1記載の太陽電池用接続具とした。
【発明の効果】
【0010】
本発明の発明によれば、太陽電池の広い面積を利用し放熱効果を高めたので、ダイオードの性能は長期に亘って維持される効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は本発明の実施の形態を示す構造図であり、図1(a)は斜視図、図1(b)は内部を説明する断面図である。ダイオードゾーン1の両端にモジュールリード線接続ゾーン2が隔壁3を介して位置し、側壁4に配線を導出する切欠部19を設け、薄い底部を有する絶縁性筐体5に、第1の放熱板6と第2の放熱板7とを間隔を空けて配置し、各放熱板の一端にモジュールリード線接続端子8を設ける。第1の放熱板の他端にアノード9が半田付けで接続され、カソード10が接続体12で第2の放熱板の他端に接続されたチップ型ダイオード11が装着された後、絶縁性充填材13でダイオードゾーン1が充填され、ダイオード11の防湿と耐震性、耐衝撃性の向上に役立てている。モジュールリード線接続ゾーン2は、モジュールリード線接続端子8に対してモジュールリード線が接続された後に絶縁性充填材で充填または、絶縁性弾性体が圧入されることが有効である。筐体5の上面に絶縁性のカバーを装着する事も有効である。
【0012】
図2は本発明の実施の形態を示す構造図であり、図2(a)は連結手段を説明する断面図、図2(b)は斜視図である。図1の第1の接続箱14が図2の連結手段15で太陽電池モジュールに接続される。太陽電池のパネル厚さTと接続箱筐体5の厚さtとを内寸として密着するように段付き形状とした凹部16を有する連結手段15で、パネルの厚みに接して該接続箱が固着された状態でモジュールリード線17がモジュールリード線接続用端子18に接続される。接続箱の側壁に設けた切欠き部19から、モジュールリード線17がモジュールリード線接続用端子18に乗る位置まで挿入され半田付けで接続される。連結手段15は太陽電池モジュールの縁を接続箱と共に囲み込む様にして固着され、太陽電池モジュールの縁取りを兼ねた連結手段15は上面より下面の幅を大きい寸法で密着させる事も有効である。さらに別の取り付け方法として、連結手段15は太陽電池モジュールの縁を接続箱と重ねた凹部寸法T+tで、共に囲み込む様にして固着され、太陽電池モジュールの裏面(日陰になる部位)で縁取りを兼ねた連結手段15で密着させる事も有効である、接続箱14の薄い底部を太陽電池モジュールの裏面へ密着させて放熱板の熱をモジュールの裏面に伝えることはダイオードの温度を低く維持し信頼性を高めるために有効である。
【0013】
図3は、本発明による実施の形態を示す構造図であり、第2の接続箱の斜視図を、図3(a)に示し、その内部を説明する断面図を図3(b)に示した。導体21に設けた出力ケーブル接続用端子20は、接続ネジを受けるネジ孔を設けた端子または、差込端子又は半田付け用端子としている、モジュールリード線接続用端子18は薄い金属のモジュールリード線が接続しやすい半田付け用端子としている。これら出力ケーブル接続用端子20、モジュールリード線接続用端子18を有する第2の接続箱144が、図2に示した連結手段15で太陽電池モジュールに接続される。太陽電池のパネル厚さTと接続箱筐体の厚さtとを段付きの内寸とした凹部16を有する連結手段15で、パネルの厚み端面に接続箱が接した位置で固着される。前記二種類の接続箱が太陽電池の側面に装着されるので、太陽電池パネルの周縁に対して補強するモジュール枠22として機械的な保護にも役立つ、加えてダイオードの通電により発生した熱を、広い面積の太陽電池パネルに対し、このモジュール枠22が熱伝導手段として作用し太陽電池パネル全面が放熱体として利用できる。ダイオードを接続した放熱板の下面に接続箱の底面の薄い絶縁層を介して密着させて太陽電池パネルの裏面に伸延した平板を形成した該モジュール枠22は、ダイオードが発生した熱を、広い放熱面を持つ太陽電池パネル下面に対して効果的に伝達するからダイオードの特性劣化を防止でき、従来の太陽電池に対しての使い方でのチップ型ダイオードにおける弱点を排除した。
【0014】
図4は本発明の第2の実施形態を示す構造図であり、図4(a)は正面図、図4(b)は内部を説明する断面図である。ダイオードゾーン1の両端にモジュールリード線接続ゾーン2が隔壁3を介して位置し、薄い底部を有する絶縁性筐体5に、第1の放熱板6と第2の放熱板7とを間隔を空けて配置し、各放熱板の一端にモジュールリード線接続端子8を設ける。第1の放熱板の他端にアノード9が半田付けで接続され、カソード10が接続体12で第2の放熱板の他端に接続されたチップ型ダイオード11が装着された後、絶縁性充填材13でダイオードゾーン1が充填され、ダイオード11の防湿と耐震性、耐衝撃性の向上に役立てている。底部にモジュールリード線を導出する窓23を設け、モジュールリード線接続ゾーン2は、モジュールリード線接続端子8に対してモジュールリード線が接続された後に絶縁性充填材で充填または、絶縁性弾性体が圧入されることが有効である。筐体5の上面に絶縁性のカバーを装着する事も有効である。 図5は、本発明による第2の実施の形態を示す構造図であり、第2の接続箱の斜視図を、図5(a)に示し、その内部を説明する断面図を図5(b)に示した。導体21に設けた出力ケーブル接続用端子20は、接続ネジを受けるネジ孔を設けた端子または、差込端子又は半田付け用端子としている、モジュールリード線接続用端子18は薄い金属のモジュールリード線が接続しやすい半田付け用端子としている。これら出力ケーブル接続用端子20、モジュールリード線接続用端子18を有する第2の接続箱144が、図2に示した連結手段15で太陽電池モジュールに接続される。底部に配線を導出する窓23を設けられていている。
【産業上の利用可能性】
【0015】
本発明による実施形態によれば、従来の設置状態における、振動・衝撃によるダイオードの品質低下の原因を排除し、信頼性の高い構造としたので工業価値が高く、構成材料の少ない薄型構造のため省資源にも貢献できた。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明による実施の形態を示す構造図。
【図2】本発明による実施の形態を示す取り付け構造を示す断面図。
【図3】本発明による実施の形態を示す構造図。
【図4】本発明による実施の形態を示す構造図。
【図5】本発明による実施の形態を示す構造図。
【符号の説明】
【0017】
1 ダイオードゾーン
2 モジュールリード線接続ゾーン
3 隔壁
4 側壁
5 絶縁性筐体
6 第1の放熱板
7 第2の放熱板
8 モジュールリード線接続端子
9 アノード
10 カソード
11 チップ型ダイオード
12 接続体
13 絶縁性充填材
14 第1の接続箱
144 第2の接続箱
15 連結手段
T パネル厚さ
t 接続箱筐体厚さ
16 凹部
17 モジュールリード線
18 モジュールリード線接続用端子
19 切欠き部
20 出力ケーブル接続用端子
21 導体
22 モジュール枠
23 窓

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイオードゾーンを有し、このダイオードゾーンの両側にモジュールリード線接続ゾーン、が隔壁を介して位置し、リード線導出用の切欠き部または窓を、側壁または底部に設けた絶縁性筐体と、
前記ダイオードゾーンに、一端が前記モジュールリード線接続ゾーンに位置し、他端に間隔を空けて隣接配置された第1の放熱板および第2の放熱板と、
前記各放熱板の一端側に接続され、これら一端側からモジュールリード線接続ゾーンに伸延したモジュールリード線接続用端子と、
他端側の第1の放熱板にアノードが接続され、他端側の第2の放熱板にカソードが接続されたチップ型ダイオードと、前記ダイオードゾーンに充填された絶縁性充填材とを具備する接続箱を太陽電池パネルに連結する熱伝導性の連結手段を具備する第1の接続箱と;
モジュールリード線接続用端子と、出力ケーブル接続端子とが、同一の導電体に位置し、リード線導出用および出力ケーブル導出用の切欠き部または窓を側壁または底部に設けた絶縁性筐体とを具備する接続箱を太陽電池パネルに連結する連結手段を具備する第2の接続箱と;によって構成された太陽電池用接続具。
【請求項2】
連結手段が、太陽電池パネル厚さに相当する幅寸法と、接続箱の厚さに相当する幅寸法とを段付き形状で具備する幅寸法とし、接続箱の幅寸法を深さ寸法とした基準寸法を有する凹部を備えると共に、太陽電池パネルの裏面に接する側の壁面部位を太陽電池パネルに密着させ伝熱効果を高める為、太陽電池パネルの表面に接する側よりも大きい壁面部位面積を有するように、伸延した形状の連結手段である請求項1記載の太陽電池用接続具。
【請求項3】
発熱部であるダイオ−ドゾーンの下部に密着させて伸延させた平板を放熱手段として形成したモジュール枠を連結手段として具備した請求項1記載の太陽電池用接続具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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