説明

姿勢改善の効果が期待できるウエア

【課題】腰椎の過度の前湾を矯正することのできる姿勢改善の効果が期待できるウエアを提供する。
【解決手段】矯正下着10は、腰椎を矯正するための部位として、緊締力が強い高パワー生地を含めて構成されて腰部500を押すための腰部押圧部40と、高パワー生地を含めて構成されて腹部200を押すための腹部押圧部30と、高パワー生地よりも緊締力が弱い低パワー生地を含めて構成されて人体の側部に対応する側部矯正部20とを備える。そして、腰部押圧部40は、腹部押圧部30よりも上方に位置する部分を含み、側部矯正部20は、腰部押圧部40および腹部押圧部30と縫い合わせられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腰椎を矯正するための部位を含む姿勢改善の効果が期待できるウエアに関する。
【背景技術】
【0002】
人体が立位において正しい姿勢にあるとき、腰椎は体の前方向に湾曲する(以下、このような腰椎の状態を「前湾」という)。しかし、腹直筋が弱まると腰椎を支えることができなくなり腰椎が過度に前湾する。また、これに起因して腰椎に接している胸椎が後方向に湾曲する。また、胸椎に接している頚椎の位置が体の前方向に移動する。このため、上半身全体が前屈みとなるいわゆる猫背になる。
【0003】
このような猫背を改善するために、特許文献1に記載の補正用衣類では、腹部および腰部および脇部に伸縮性の強い生地を設けることにより、背骨下部の前湾を矯正して姿勢を改善するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−281899号公報
【特許文献2】実登第3063576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明者は、腰椎を矯正して姿勢を改善するためには、過度に前湾した腰椎の下部を腹部側から背中側に向けて押圧するとともに、腰椎の上部および中央部を背中側から腹部側に向けて押圧することが好ましいことを確認した。なお、ここでいう腰椎の中央部とは、腰椎を人体の側部からみたときに最も腹部側に突出している部位およびその付近を含む部位を示す。
【0006】
特許文献1の補正用衣類は、腰椎の下部を押圧するものでしかないため、腰椎の過度の前湾を矯正して姿勢を改善する効果を十分に期待することはできない。
なお、特許文献2には、体のラインを美しく見せるための補正下着として、緊締力が強い高パワー生地およびこれよりも緊締力が弱い低パワー生地を含めて構成したものが記載されている。しかし、この補正下着は腰椎の矯正を目的としたものではないため、腰椎を矯正することによる姿勢改善の効果は得られない。
【0007】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、腰椎の過度の前湾を矯正することのできる姿勢改善の効果が期待できるウエアを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記目的を達成するための手段およびその作用効果について記載する。
(1)請求項1に記載の発明は、腰椎を矯正するための部位を含む姿勢改善の効果が期待できるウエアにおいて、前記腰椎を矯正するための部位として、緊締力が強い高パワー生地を含めて構成されて腰部を押すための腰部押圧部と、前記高パワー生地を含めて構成されて腹部を押すための腹部押圧部と、前記高パワー生地よりも緊締力が弱い低パワー生地を含めて構成されて人体の側部に対応する側部矯正部とを備え、前記腰部押圧部は、前記腹部押圧部よりも上方に位置する部分を含み、前記側部矯正部は、前記腰部押圧部および前記腹部押圧部に縫い合わせられることを要旨としている。
【0009】
この発明によれば、ユーザが当該ウエアを着衣したとき、腰部に対応する部位に設けられた腰部押圧部の高パワー生地により、腰椎の上部および中央部には背中側から腹部側に向かう力が加えられる。また、腹部に対応する部位に設けられた腹部押圧部の高パワー生地により、腰椎の下部には腹部側から背中側に向かう力が加えられる。このように腰椎の上部および中央部と、腰椎の下部とに加えられる力は、前湾した腰椎を伸ばす力として作用するため、腰椎の過度の前湾を矯正することができる。従って、腰部および腹部という高さの異なる部位に対して、それぞれ背中側から腹部側および腹部側から背中側に向けて力が加えられるため、腰椎の過度の前湾を矯正することのできる姿勢改善の効果が期待できるウエアを提供することができるようになる。
【0010】
(2)請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の姿勢改善の効果が期待できるウエアにおいて、前記側部矯正部は、人体の背中側から腹部側に向けて突出するように湾曲した部位である矯正部頂部を含み、この矯正部頂部は、ウエストと対応する部位に設けられ、前記腹部押圧部は、前記矯正部頂部に縫い合わせられることを要旨としている。
【0011】
この発明によれば、矯正部頂部がウエストと対応する部位に設けられているため、腹部押圧部により人体に対して腹部側から背中側に加えられる力が腰椎の下部に適切に作用する。このため、腰椎の過度の前湾を矯正する効果がより高くなる。
【0012】
(3)請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の姿勢改善の効果が期待できるウエアにおいて、前記側部矯正部は、人体の上下方向において当該側部矯正部の上端から前記ウエストに対応する部位までにわたり形成された矯正部上部と、この矯正部上部と連続して形成されるとともに前記ウエストに対応する部位から当該側部矯正部の下端までにわたり形成された矯正部下部とを含み、前記矯正部頂部は、前記矯正部上部および前記矯正部下部が互いに接続される部位を含み、前記矯正部上部は、その上端から前記ウエストに対応する部位に向かうにつれて背中側から腹部側に向けて傾斜し、前記矯正部下部は、前記ウエストに対応する部位から同矯正部下部の下端に向かうにつれて腹部側から背中側に向けて傾斜することを要旨としている。
【0013】
この発明によれば、上端からウエストに対応する部位に向かうにつれて背中側から腹部側に向けて傾斜した矯正部上部、およびウエストに対応する部位から下端に向かうにつれて腹部側から背中側に向けて傾斜した矯正部下部を含めて側部矯正部が構成されているため、すなわち好ましい形状の腰椎に沿うように側部矯正部が構成されているため、腰椎の過度の前湾を矯正する効果がより高くなる。
【0014】
(4)請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の姿勢改善の効果が期待できるウエアにおいて、前記側部矯正部は、人体の上下方向において胸部に対応する部位からウエスト前面の側部に対応する部位を介して臀部に対応する部位までにわたり設けられることを要旨としている。
【0015】
この発明によれば、胸部に対応する部位からウエスト前面の側部に対応する部位を介して臀部に対応する部位までにわたり側部矯正部が設けられているため、腰椎のより広い範囲に矯正のための力を作用させることができる。
【0016】
(5)請求項5に記載の発明は、請求項2〜4のいずれか一項に記載の姿勢改善の効果が期待できるウエアにおいて、前記腹部押圧部は、前記矯正部頂部に対して当該腹部押圧部の側部の上部である腹部上端部が縫い合わせられるものであることを要旨としている。
【0017】
この発明によれば、腹部押圧部により腹部側から背中側に加えられる力が腹部の下部から上部に向けて作用するため、腹部押圧部の側部の全体が側部矯正部に縫い合わせられるものと比べて、腰椎の下部に作用する力が大きくなる。従って、腰椎の過度の前湾を矯正する効果がより高くなる。
【0018】
(6)請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の姿勢改善の効果が期待できるウエアにおいて、前記腰部押圧部の上端は背中に対応する部位に設けられ、前記腹部押圧部の上端はウエストに対応する部位に設けられることを要旨としている。
【0019】
この発明によれば、腰部押圧部の上端が背中に対応する部位に設けられているため、同腰部押圧部の上端がこれよりも低いところに設けられているものと比べて、腰椎の上部および中央部に対して背中側から腹部側に向けて加えられる力が大きくなる。これにより、腰椎の過度の前湾を矯正する効果がより高くなる。また、腹部押圧部の上端がウエストに対応する部位に設けられているため、同腹部押圧部の上端がこれよりも低いところに設けられているものと比べて、腹部側から背中側に向かう力が適切に腰椎の下部に加えられる。これにより、腰椎の過度の前湾を矯正する効果がより高くなる。
【0020】
(7)請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の姿勢改善の効果が期待できるウエアにおいて、当該ウエアは胸部に対応する胸部被覆部を含み、この胸部被覆部は前記腹部押圧部の高パワー生地よりも緊締力が弱くかつ前記側部矯正部の低パワー生地よりも緊締力が強い中パワー生地を含めて構成されるものであり、前記側部矯正部および前記腹部押圧部のそれぞれに縫い合わせられるものであることを要旨としている。
【0021】
この発明によれば、胸部被覆部が中パワー生地を含めて構成されているため、同被覆部が高パワー生地を含めて構成されているものと比べて、胸部の圧迫感を軽減することができる。このため、ウエアの着心地がよりよいものになる。
【0022】
(8)請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか一項に記載の姿勢改善の効果が期待できるウエアにおいて、当該ウエアは背中に対応する背中被覆部を含み、この背中被覆部は前記腰部押圧部の高パワー生地よりも緊締力が弱くかつ前記側部矯正部の低パワー生地よりも緊締力が強い中パワー生地を含めて構成されるものであり、前記側部矯正部および前記腰部押圧部のそれぞれに縫い合わせられるものであることを要旨としている。
【0023】
この発明によれば、背中被覆部が中パワー生地を含めて構成されているため、同被覆部が高パワー生地を含めて構成されているものと比べて、背中の圧迫感を軽減することができる。このため、ウエアの着心地がよりよいものになる。
【0024】
(9)請求項9に記載の発明は、請求項1〜8のいずれか一項に記載の姿勢改善の効果が期待できるウエアにおいて、当該ウエアは臀部に対応する臀部被覆部を含み、この臀部被覆部は前記腰部押圧部の高パワー生地よりも緊締力が弱くかつ前記側部矯正部の低パワー生地よりも緊締力が強い中パワー生地を含めて構成されるものであり、前記側部矯正部および前記腰部押圧部のそれぞれに縫い合わせられるものであることを要旨としている。
【0025】
この発明によれば、臀部被覆部が中パワー生地を含めて構成されているため、同被覆部が高パワー生地を含めて構成されているものと比べて、臀部の圧迫感を軽減することができる。このため、ウエアの着心地がよりよいものになる。
【0026】
(10)請求項10に記載の発明は、請求項1〜9のいずれか一項に記載の姿勢改善の効果が期待できるウエアにおいて、当該ウエアは、大腿の上部に対応する大腿被覆部を含み、この大腿被覆部は前記腹部押圧部の高パワー生地よりも緊締力が弱くかつ前記側部矯正部の低パワー生地よりも緊締力が強い中パワー生地を含めて構成されるものであり、前記側部矯正部および前記腹部押圧部のそれぞれに縫い合わせられるものであることを要旨としている。
【0027】
この発明によれば、大腿被覆部が中パワー生地を含めて構成されているため、同被覆部が高パワー生地を含めて構成されているものと比べて、大腿の上部の圧迫感を軽減することができる。このため、ウエアの着心地がよりよいものになる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施形態における姿勢改善の効果が期待できるウエアについて、これを着衣した人体の上半身の前面を示す正面図。
【図2】同実施形態の姿勢改善の効果が期待できるウエアについて、これを着衣した人体の上半身の背面を示す背面図。
【図3】同実施形態の姿勢改善の効果が期待できるウエアについて、これを着衣した人体の上半身の側面を示す側面図。
【図4】同実施形態の姿勢改善の効果が期待できるウエアについて、その正面構造を示す正面図。
【図5】同実施形態の姿勢改善の効果が期待できるウエアについて、その背面構造を示す背面図。
【図6】同実施形態の姿勢改善の効果が期待できるウエアについて、その側面構造を示す側面図。
【図7】本発明の別の一実施形態における姿勢改善の効果が期待できるウエアについて、その側面構造を示す側面図。
【図8】本発明の別の一実施形態における姿勢改善の効果が期待できるウエアについて、その正面構造を示す正面図。
【図9】本発明の別の一実施形態における姿勢改善の効果が期待できるウエアについて、その正面構造を示す正面図。
【図10】本発明の別の一実施形態における姿勢改善の効果が期待できるウエアについて、その背面構造を示す背面図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1〜図6を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
図1〜図3に姿勢改善の効果が期待できるウエアを着衣した人体の上半身を示す。図1では、人体の右半身を骨格図、左半身を筋肉図とし、図2では、人体の右半身を筋肉図、左半身を骨格図としてそれぞれの部位を示している。図3では、人体の左半身を骨格図としてそれぞれの部位を示している。なお以降では、人体の前後方向において所定の部位よりも前方および後方をそれぞれ「前側」および「後側」とする。また、人体の左右方向において所定の部位よりも右方および左方をそれぞれ「右側」および「左側」とする。また、人体の上下方向において所定の部位よりも上方および下方をそれぞれ「上側」および「下側」とする。また、人体の左右方向において所定部位に対して体軸側を「内側」とし、所定部位に対して体軸側とは反対側を「外側」とする。
【0030】
人体の上半身は、胸部100および腹部200および大腿300の一部および背中400および腰部500および臀部600を含む。胸部100は、上肢との付根部分の下部にある脇下101を含む。腹部200は、上腹部210および中腹部220および下腹部230を含む。腰部500の上下方向の中間部には、ウエスト240が形成されている。
【0031】
背中400の骨格は、背中400の上端から下端にかけて位置する胸椎410および肩甲骨401を含む。腰部500の骨格は、腰部500の上端から下端にかけて位置する腰椎510を含む。腰椎510は、第1腰椎511および第2腰椎512および第3腰椎513および第4腰椎514および第5腰椎515を含む。腰椎510の中央部は、第3腰椎513およびその付近であり、腰椎510を人体の側部からみたときに最も前側に突出した部分であり、前湾した腰椎510の頂点およびその付近を形成する部分である。
【0032】
腹部200の筋肉は、胸部100の下部から下腹部230の中間部にかけて位置する腹直筋201を含む。大腿300の筋肉は、中腹部220の中間部から大腿300外側の上部にかけて位置する大腿筋膜張筋301を含む。背中400の筋肉は、脇下101から腰部500の中間部にかけて位置する広背筋402を含む。臀部600の筋肉は、臀部600の全体にわたり位置する大臀筋601と、これと連続して同大臀筋601の上方に位置する中臀筋602とを含む。
【0033】
図4〜図6を参照して、矯正下着10の構造について説明する。本実施形態では、上肢を覆う部分を含まないランニングタイプの矯正下着として本発明の姿勢改善の効果が期待できるウエアを具体化した一例を示している。なお、図4〜図6では、矯正下着10を構成する各生地同士の境界の部分を実線で示している。
【0034】
矯正下着10は、胸部100の上端から大腿300の上部までの丈を有する。
矯正下着10には、上半身の各部位にそれぞれ対応する以下の部位が設けられている。
・腰椎510を矯正するための部位として、人体の左右のそれぞれの側面に対応して設けられた側部矯正部20。
・腰椎510を矯正するための部位として、腹部200に対応して設けられて腹部200を前側から後側に向けて押圧するための腹部押圧部30。
・腰椎510を矯正するための部位として、腰部500に対応して設けられて腰部500を後側から前側に向けて押圧するための腰部押圧部40。
・胸部100に対応して設けられた胸部被覆部50。
・大腿300に対応して設けられた大腿被覆部60。
・背中400に対応して設けられた背中被覆部70。
・臀部600に対応して設けられた臀部被覆部80。
【0035】
矯正下着10を構成する生地について説明する。
矯正下着10は、生地の緊締力が強い複数の高パワー生地と、高パワー生地よりも緊締力が弱い複数の低パワー生地と、低パワー生地よりも緊締力が強くかつ高パワー生地よりも緊締力が弱い複数の中パワー生地とが互いに縫い合わせられることにより構成されている。
【0036】
高パワー生地は、同下着10が着衣された際に人体を押す力が強い。低パワー生地は、同下着10が着衣された際に人体を押す力が弱い。中パワー生地は、一般の下着に用いられる生地と同程度の緊締力を有する。
【0037】
各パワー生地は、以下の伸縮性を有する。
・中パワー生地は、一般の下着に用いられる生地と同程度の伸縮性を有する。
・低パワー生地は、中パワー生地よりも伸縮性が低く、かつ上下方向および左右方向および斜め方向の全ての方向において伸縮性が非常に低い。
【0038】
・高パワー生地は、中パワー生地よりも伸縮性が低くかつ低パワー生地よりも伸縮性が高い。
胸部被覆部50および大腿被覆部60および背中被覆部70および臀部被覆部80は中パワー生地により構成されている。また、腹部押圧部30および腰部押圧部40は高パワー生地により構成されている。また、側部矯正部20は低パワー生地により構成されている。
【0039】
各生地の緊締力および伸縮性の関係を以下に示す。
・胸部被覆部50および大腿被覆部60および背中被覆部70および臀部被覆部80をそれぞれ構成する中パワー生地は、互いに同じ緊締力および伸縮性を有する。
・腹部押圧部30および腰部押圧部40をそれぞれ構成する高パワー生地は、互いに同じ緊締力および伸縮性を有する。
【0040】
矯正下着10の詳細な構造について説明する。
首まわりの開口部を形成する各生地の縁、すなわち胸部被覆部50の上側の縁および背中被覆部70の上側の縁には、生地が二重に重ね合わされた上側縫合部91が形成されている。
【0041】
胴まわりの開口部を形成する各生地の縁、すなわち腹部押圧部30の下側の縁および大腿被覆部60の下側の縁および側部矯正部20の下側の縁および臀部被覆部80の下側の縁には、生地が二重に重ね合わされた下側縫合部92が形成されている。
【0042】
肩まわりの開口部を形成する各生地の縁、すなわち胸部被覆部50の横側の縁および側部矯正部20の上側の縁および背中被覆部70の横側の縁には、生地が二重に重ね合わされた横側縫合部93が形成されている。
【0043】
側部矯正部20は、好ましい腰椎510の形状に沿うように形成されている。具体的には、その上端から中間部までにわたり設けられた矯正部上部21と、同上部21と連続して中間部から側部矯正部20の下端までにわたり設けられた矯正部下部22とにより構成されている。矯正部上部21は、上側から下側に向かうにつれて後側から前側に傾斜している。矯正部下部22は、上側から下側に向かうにつれて前側から後側に傾斜している。矯正部上部21の下端および矯正部下部22の上端が連続する部分およびその付近には、後側から前側に向けて突出する矯正部頂部23が形成されている。
【0044】
側部矯正部20は、前湾形状をなす前側縁26、および前湾形状をなす後側縁27、および前側縁26の上端と後側縁27の上端とを結ぶ上側縁24、および前側縁26の下端と後側縁27の下端とを結ぶ下側縁25に囲まれて形成されている。側部矯正部20の前後方向の幅は、人体の側部に対応した大きさに設定されている。矯正部頂部23の前後方向の幅は、同頂部23よりも上方の部分および同頂部23よりも下方の部分の幅よりも大きい。
【0045】
腹部押圧部30は、矯正下着10のほぼ中間部に位置する上側縁32、および矯正下着10の下端に位置する下側縁33、および上側縁32の右側端部と下側縁33の右側端部とを結ぶ右側縁34、および上側縁32の左側端部と下側縁33の左側端部とを結ぶ左側縁35に囲まれて形成されている。腹部押圧部30の左右方向の幅は、下側から上側に向かうにつれて次第に大きくなる。
【0046】
腰部押圧部40は、右側の矯正部上部21と左側の矯正部上部21との間に位置する上側縁41、および右側の矯正部下部22と左側の矯正部下部22との間に位置する下側縁42、および側部矯正部20の前湾に沿うとともに上側縁41と下側縁42とを結ぶ右側縁43、および側部矯正部20の前湾に沿うとともに上側縁41と下側縁42とを結ぶ左側縁44に囲まれて形成されている。腰部押圧部40の上下方向の幅は、外側から内側に向かうにつれて次第に小さくなる。同押圧部40の左右方向の幅は、上端および下端のそれぞれから中央部に向かうにつれて次第に大きくなる。すなわち、同押圧部40の左右方向の幅は、同押圧部40の中央部において最も大きい。
【0047】
矯正下着10を構成する各生地は以下のように縫い合わせられている。
・側部矯正部20の上側縁24は、横側縫合部93に縫い合わせられている。
・側部矯正部20の下側縁25は、下側縫合部92に縫い合わせられている。
・側部矯正部20の前側縁26は、胸部被覆部50の横側の縁および腹部押圧部30の側部の上部(以下、この部位を「腹部上端部31」とする)および大腿被覆部60の後側の縁にそれぞれ縫い合わせられている。
・側部矯正部20の後側縁27は、背中被覆部70の横側の縁および腰部押圧部40の右側縁43および左側縁44および臀部被覆部80の右側の縁および左側の縁にそれぞれ縫い合わせられている。
・腹部押圧部30の上側縁32は、胸部被覆部50の下側の縁に縫い合わせられている。
・腹部押圧部30の下側縁33は、下側縫合部92に縫い合わせられている。
・腹部押圧部30の右側縁34および左側縁35は、大腿被覆部60の前側の縁に縫い合わせられている。
・腰部押圧部40の上側縁41は、背中被覆部70の下側の縁に縫い合わせられている。
・腰部押圧部40の下側縁42は、臀部被覆部80の上側の縁に縫い合わせられている。
【0048】
図1〜図3を参照して、人体に矯正下着10が着衣された状態においての人体と矯正下着10との関係について説明する。なお、図1〜図3の実線は人体を、また二点鎖線は矯正下着10のアウトラインおよび縫い目をそれぞれ示している。
【0049】
矯正部上部21は、胸椎410および第1腰椎511〜第3腰椎513の形状に沿うように脇下101からウエスト240付近までの部分を覆う。矯正部下部22は、第4腰椎514および第5腰椎515の形状に沿うようにウエスト240付近から大腿300内側の上部までの部分を覆う。腹部押圧部30は、ウエスト240から大腿300正面の左右方向の中間部までの部分を覆う。腰部押圧部40は、広背筋402の上端から大臀筋601の上部までの部分を覆う。胸部被覆部50は、胸部100および上腹部210の全体を覆う。大腿被覆部60は、大腿筋膜張筋301の上端から同筋301の下端かつ大腿300正面の左右方向の中間部までの部分と、大腿300側部の上部の外側までの部分と、背面における大腿300上部の外側とを覆う。背中被覆部70は、背中400の上端から肩甲骨401の下端までの部分を覆う。臀部被覆部80は、大臀筋601の全体を覆う。
【0050】
ここで、側部矯正部20の前側縁26および後側縁27のそれぞれの形成位置の詳細について説明する。なお、人体の上半身の各部位に対応する矯正下着10の各部位をそれぞれ以下のように定義する。
・体軸Xよりも前側の脇下101に対応する部位を「部位F1」とする。
・上下方向において腰椎510の中央部に対応し、かつ上腹部210および中腹部220の正面側部に対応する部位を「部位F2」とする。
・体軸Xよりも後側の大腿300背面側部の上部に対応する部位を「部位F3」とする。
・体軸Xよりも後側の脇下101付近に対応する部位を「部位R1」とする。
・上下方向において腰椎510の中央部に対応し、かつ腰部500の背面側部に対応する部位を「部位R2」とする。
・大腿300背面の左右方向の中間部に対応する部位を「部位R3」とする。
【0051】
前側縁26は、部位F1から部位F2を介して部位F3までにわたり形成されている。また後側縁27は、部位R1から部位R2を介して部位R3までにわたり形成されている。なお、部位F2および部位R2は、前湾した腰椎510の頂点すなわち第3腰椎513およびその付近に相当する。
【0052】
図1〜図3を参照して、人体に矯正下着10が着衣されたときに人体の各部に加えられる力について説明する。なお、図1〜図3の各矢印は、矯正下着10が着衣されたときに人体に加えられる力の方向を示している。
【0053】
腹直筋201には、ウエスト240から大腿300内側の上部までにわたり設けられた腹部押圧部30の力により、図1および図4および図6において矢印ZAで示される力、すなわち腹直筋201を前側から後側に向けて押す力が加えられる。また、腹部上端部31と矯正部上部21とが縫い合わせられているため、矢印ZAで示される力は下腹部230からウエスト240に向けてより強く作用する。すなわち、前側から後側且つ下方から上方に向けて押す力が腹部200に加えられる。そして、このように下腹部230からウエスト240に向けて作用する力は、第4腰椎514および第5腰椎515およびその付近を前側から後側に向けて押すため、腰椎510の中央部および下部を正しい位置に導く力として作用する。
【0054】
腰部500には、広背筋402の上端から大臀筋601の上部までにわたり設けられた腰部押圧部40の力により、図2および図3および図5および図6において矢印ZBで示される力、すなわち腰部500およびその付近を後側から前側に向けて押す力が加えられる。また、腰部押圧部40の右側縁43および左側縁44と左右の側部矯正部20の後側縁27とが縫い合わせられているとともに、腰部押圧部40の左右方向の幅が矯正部上部21および矯正部下部22の境界付近にて最も大きくなるよう構成されている。このため、腰部押圧部40の左右方向の幅が同押圧部40の上端から下端までにわたり一定の幅で構成されているものに比べて、矢印ZBで示される力は腰椎510の上部および中央部により強く作用する。そして、腰椎510の上部および中央部に作用する力は、第3腰椎513およびその付近を後側から前側に向けてより大きな力で押すため、腰椎510の上部および中央部を正しい位置に導く力として作用する。
【0055】
このように、腹部押圧部30により腰椎510の下部を前側から後側に向けて押す力と、腰部押圧部40により腰椎510の上部および中央部を後側から前側に向けて押す力とが腰椎510に加えられることにより、腰椎510の過度の前湾が矯正される。
【0056】
以上にて説明した本実施形態によれば以下の効果を奏することができる。
(1)ユーザが当該矯正下着10を着衣したとき、腰部500に対応する部位に設けられた腰部押圧部40により、腰椎510の上部および中央部には後側から前側に向かう力が加えられる。また、腹部200に対応する部位に設けられた腹部押圧部30により、腰椎510の下部には前側から後側に向かう力が加えられる。このように腰椎510の上部および中央部に後側から前側に向けて加えられる力と、腰椎510の下部に前側から後側に向けて加えられる力とは、前湾した腰椎510を伸ばす力として作用するため、腰椎510の過度の前湾を矯正することができる。従って、腰部500および腹部200という高さの異なる部位に対して、それぞれ後側から前側および前側から後側に向けて力が加えられるため、腰椎510の過度の前湾を矯正することができる。
【0057】
(2)さらに、腰椎510の上部および中央部に後側から前側に向けて加えられる力と、腰椎510の下部に前側から後側に向けて加えられる力とにより、過度に前湾した腰椎510が矯正されることに連動して胸椎410および頚椎が正しい位置に導かれるため、姿勢を改善することができる。
【0058】
(3)腹部上端部31と矯正部上部21とが縫い合わせられているため、腹部押圧部30により人体に対して前側から後側に加えられる力が腰椎510の下部、すなわち第4腰椎514および第5腰椎515およびその付近に適切に作用する。このため、腰椎510の過度の前湾を矯正する効果がより高くなる。
【0059】
(4)胸部100の上端からウエスト240に対応する部位に向かうにつれて後側から前側に向けて傾斜した矯正部上部21およびウエスト240に対応する部位から大腿300の上部に向かうにつれて前側から後側に向けて傾斜した矯正部下部22を含めて側部矯正部20が構成されている。すなわち、好ましい形状の腰椎510に沿うように側部矯正部20が構成されているため、腰椎510の過度の前湾を矯正する効果がより高くなる。
【0060】
(5)胸部100に対応する部位からウエスト240前面の側部に対応する部位を介して大腿300内側の上部に対応する部位までにわたり側部矯正部20が設けられている。このため、腰椎510のより広い範囲に矯正のための力を作用させることができる。
【0061】
(6)腰部押圧部40の上端が肩甲骨401の下端に対応する部位に設けられている。このため、同押圧部40の上端がこれよりも低いところに設けられているものと比べて腰椎510の上部および中央部に対して後側から前側に向けて加えられる力が大きくなる。これにより、腰椎510の過度の前湾を矯正する効果がより高くなる。また、腹部押圧部30の上端がウエスト240に対応する部位に設けられている。このため、同押圧部30の上端がこれよりも低いところに設けられているものと比べて、前側から後側に向かう力が適切に腰椎510の下部に加えられる。これにより、腰椎510の過度の前湾を矯正する効果がより高くなる。
【0062】
(7)腹部上端部31と矯正部上部21とが縫い合わせられるため、腹部押圧部30により前側から後側に加えられる力が腹部200の下部から上部に向けて作用する。このため、腹部押圧部30の側部の全体が側部矯正部20に縫い合わせられるものと比べて、腰椎510の中央部から下部に作用する力が大きくなる。従って、腰椎510の過度の前湾を矯正する効果がより高くなる。
【0063】
(8)胸部被覆部50が中パワー生地により構成されているため、同被覆部50が高パワー生地により構成されているものと比べて、胸部100の圧迫感を軽減することができる。このため、矯正下着10の着心地がよりよいものになる。
【0064】
(9)矯正部上部21に対して胸部被覆部50および背中被覆部70が縫い合わせられているとともに、矯正部下部22に対して臀部被覆部80および大腿被覆部60が縫い合わせられている。このため、腰椎510が過度に前湾しているときには、矯正部上部21および矯正部下部22の伸縮性の低い生地により脇下101から大腿300上部までにわたる側部が後側にひきつけられている感じをユーザに与えることができる。すなわち、ユーザに自身の姿勢が悪化していることを認識させることができる。
【0065】
(10)背中被覆部70が中パワー生地により構成されているため、同被覆部70が高パワー生地により構成されているものと比べて、背中400の圧迫感を軽減することができる。このため矯正下着10の着心地がよりよいものになる。
【0066】
(11)臀部被覆部80が中パワー生地により構成されているため、同被覆部80が高パワー生地により構成されているものと比べて、臀部600の圧迫感を軽減することができる。このため、矯正下着10の着心地がよりよいものになる。
【0067】
(12)大腿被覆部60が中パワー生地により構成されているため、同被覆部60が高パワー生地により構成されているものと比べて、大腿300の上部の圧迫感を軽減することができる。このため矯正下着10の着心地がよりよいものになる。また、大腿300上部に緊締力の強い生地が設けられているものに比べて、歩行が容易になる。
【0068】
(13)腹直筋201は、腰椎510を支え、姿勢を保つための働きをすることが知られている。矯正下着10には、高パワー生地により構成されて腹直筋201を押圧する腹部押圧部30が設けられているため、腹部押圧部30により腹直筋201に前側から後側に向けて加えられる力が腹直筋201の働きを補助するものとして作用する。このため、ユーザの姿勢を安定させることができる。
【0069】
(14)また、腹直筋201が押圧されて伸ばされるため、腹直筋201が縮んだ状態にあるときと比べて、腹直筋201の筋活動が活発になる。これにより、ダイエット効果を期待することができる。
【0070】
(15)人体においては、歩行にともない片足状態となるとき、中臀筋602の働きにより身体のバランスが保たれる。矯正下着10には、高パワー生地により構成されて中臀筋602を押圧する腰部押圧部40が設けられている。このため、腰部押圧部40により中臀筋602に後側から前側に向けて加えられる力が中臀筋602の働きを補助するものとして作用する。このため、歩行時のユーザの姿勢を安定させることができる。
【0071】
(16)腰椎510の上部から中央部に後側から前側に向けて加えられる力および腰椎510の中央部から下部に前側から後側に向けて加えられる力により、腰椎510の過度の前湾が矯正されて姿勢が改善されることに基づいて、腰痛の改善効果ならびに頭痛の改善効果も期待できる。
【0072】
(その他の実施形態)
なお、本発明の実施態様は上記実施形態に限られるものではなく、例えば以下に示すように変更することもできる。また以下の各変形例は、上記実施形態についてのみ適用されるものではなく、異なる変形例同士を互いに組み合わせて実施することもできる。
【0073】
・上記実施形態では、上下方向において腰椎510の中央部に対応し、かつ上腹部210および中腹部220の正面側部に対応する部位を前湾の頂点とする前側縁26および上下方向において腰椎510の中央部に対応し、かつ腰部500の背面側部に対応する部位を前湾の頂点とする後側縁27とを含めて構成される側部矯正部20としたが、前側縁26および後側縁27を形成する位置はこれに限られるものではない。例えば、図7に示されるように、前側縁26および後側縁27の形成位置を上記実施形態の形成位置よりも前側に変更することもできる。すなわち、側部矯正部20の前湾度合いを上記実施形態よりも強めることもできる。なお、同図において破線で示される側部矯正部20の前側縁26および後側縁27は、上記実施形態での側部矯正部20の前側縁26および後側縁27に相当する。
【0074】
・上記実施形態では、側部矯正部20と腹部押圧部30とは、腹部上端部31が矯正部上部21に縫い合わせられるようにしたが、側部矯正部20と腹部押圧部30とが縫い合わせられる箇所はこれに限られない。例えば、図8に示されるように、矯正部頂部23の全体にわたり縫い合わすこともできる。なお、同図において破線で示される腹部押圧部30の上側縁32および下側縁33および右側縁34および左側縁35は、上記実施形態での腹部押圧部30の上側縁32および下側縁33および右側縁34および左側縁35に相当する。
【0075】
・上記実施形態では、図1および図3に示されるようにウエスト240と対応する部位に腹部押圧部30の上側縁32を設けたが、例えば、図9に示されるように上側縁32の位置を変更することもできる。すなわち、図9において実線にて示されるように、ウエスト240よりも上方の部位と対応するところに腹部押圧部30の上側縁を設けることもできる。
【0076】
・上記実施形態では、図1および図3に示されるように大腿300内側の上部と対応する部位に腹部押圧部30の下側縁33を設けたが、例えば、図9において一点鎖線にて示されるように、大腿300内側の上部よりも上方の部位と対応するところに腹部押圧部30の下側縁を設けることもできる。例えば、大腿300の付根(鼠径部)に沿うように設けることもできる。なお、同図において破線で示される腹部押圧部30の上側縁32および下側縁33は、上記実施形態での腹部押圧部30の上側縁32および下側縁33に相当する。
【0077】
・上記実施形態では、図2および図3に示されるように肩甲骨401の下端と対応する部位に腰部押圧部40の上側縁41を設けたが、例えば、図10に示されるように上側縁41の位置を変更することもできる。すなわち、図10において実線にて示されるように、肩甲骨401よりも上方の背中400の上端と対応するところに腰部押圧部40の上側縁を設けることもできる。
【0078】
・上記実施形態では、図2および図3に示されるように大臀筋601の上部と対応する部位に腰部押圧部40の下側縁42を設けたが、例えば、図10において一点鎖線にて示されるように、大臀筋601の上部よりも下方の大腿300内側の上部と対応するところに腰部押圧部40の下側縁を設けることもできる。なお、同図において破線で示される腰部押圧部40の上側縁41および下側縁42は、上記実施形態での腰部押圧部40の上側縁41および下側縁42に相当する。
【0079】
・上記実施形態では、側部矯正部20の幅を人体の側部に対応する大きさとしたが、側部矯正部20の幅を人体の側部に対応する大きさよりも大きくすること、またはそれよりも小さくすることもできる。
【0080】
・上記実施形態では、側部矯正部20の前後方向の幅を矯正部頂部23の頂点付近が大きくなるように設定したが、同生地の前後方向の幅はこれに限られるものではない。例えば、側部矯正部20の前後方向の幅を上下方向の全体にわたり一定の大きさに設定することもできる。
【0081】
・上記実施形態では、胸部被覆部50および大腿被覆部60および背中被覆部70および臀部被覆部80の緊締力および伸縮性を互いに同じものとしたが、これら生地の少なくとも2つの生地の間で緊締力および伸縮性を互いに異なるものにすることもできる。
【0082】
・上記実施形態では、腹部押圧部30および腰部押圧部40の緊締力および伸縮性を互いに同じものとしたが、腹部押圧部30の緊締力および伸縮性を腰部押圧部40のそれよりも大きくすることもできる。また、腰部押圧部40の緊締力および伸縮性を腹部押圧部30のそれよりも大きくすることもできる。
【0083】
・上記実施形態では、中パワー生地として一般の下着に用いられる生地と同程度の緊締力を有するものを採用したが、高パワー生地よりも緊締力が弱いものであれば、一般の下着に用いられる生地よりも緊締力が強い生地を中パワー生地として用いることもできる。
【0084】
・上記実施形態では、胸部100の上端に対応する部位から大腿300の上部に対応する部位までの丈を有する矯正下着10としたが、矯正下着10の丈はこれに限られない。例えば、背中400の上下方向の中間部から臀部600の上下方向の中間部までの丈を有するものに変更することもできる。
【0085】
・上記実施形態では、腹部押圧部30の左右方向の幅を上側に向かうにつれて次第に大きくしたが、腹部押圧部30の幅を全体にわたり同じ幅に設定することもできる。
・上記実施形態では、股を覆う部分を含まないランニングタイプの下着として矯正下着10を形成したが、股を覆う部分を含むタイプの下着として矯正下着10を形成することもできる。
【0086】
・上記実施形態では、上肢を覆う部分を含まないランニングタイプの下着として矯正下着10を形成したが、上肢を覆う部分を含むタイプの下着として矯正下着10を形成することもできる。例えば、上腕を覆う半袖のTシャツタイプの下着とすることもできる。また、肩から手首までの部分を覆う長袖タイプの下着とすることもできる。
【0087】
・上記実施形態では、下肢を覆う部分を含まないタイプの下着として矯正下着10を形成したが、下肢を覆う部分を含むタイプの下着として矯正下着10を形成することもできる。例えば、下肢を覆う部分がハーフパンツタイプの下着とすることもできる。また、下肢を覆う部分が股下から足首までの部分を覆うロングタイツタイプの下着とすることもできる。
【0088】
・上記実施形態では、大人女性用の矯正下着10として本発明の姿勢改善の効果が期待できるウエアを具体化したが、大人男性用または子供女児用または子供男児用の矯正下着についても本発明を適用することができる。
【0089】
・上記実施形態では、ランニングタイプの下着として本発明の姿勢改善の効果が期待できるウエアを具体化したが、その他の下着および上衣および寝衣および水着についても本発明を適用することができる。本発明を適用することのできる下着の例としては、コルセット、ボディスーツ、オールインワンおよびタンクトップが挙げられる。また本発明を適用することのできる上衣の例としては、トレーニングウェアが挙げられる。また本発明を適用することのできる寝衣の例としては、パジャマが挙げられる。
【0090】
要するに、胸部100の上部に対応する部位から大腿300の上部までに対応する部位を含む下着または上衣または寝衣または水着であれば、いずれの被服についても上記実施形態に準じた態様で本発明を適用することができる。
【0091】
・上記実施形態では、単一の被服として本発明の姿勢改善の効果が期待できるウエアを具体化したが、複数の被服を組み合わせたものとして本発明の姿勢改善の効果が期待できるウエアを具体化することもできる。すなわち、矯正下着10として具体化した姿勢改善の効果が期待できるウエアを上衣等の裏側に縫い付け、これを本発明の姿勢改善の効果が期待できるウエアを具体化した一態様とすることもできる。なお、このような形態で本発明を実施することのできる上衣の例としては、トレーニングウェアが挙げられる。
【符号の説明】
【0092】
10…矯正下着、20…側部矯正部、21…矯正部上部、22…矯正部下部、23…矯正部頂部、24…上側縁、25…下側縁、26…前側縁、27…後側縁、30…腹部押圧部、31…腹部上端部、32…上側縁、33…下側縁、34…右側縁、35…左側縁、40…腰部押圧部、41…上側縁、42…下側縁、43…右側縁、44…左側縁、50…胸部被覆部、60…大腿被覆部、70…背中被覆部、80…臀部被覆部、91…上側縫合部、92…下側縫合部、93…横側縫合部、100…胸部、101…脇下、200…腹部、201…腹直筋、210…上腹部、220…中腹部、230…下腹部、240…ウエスト、300…大腿、301…大腿筋膜張筋、400…背中、401…肩甲骨、402…広背筋、410…胸椎、500…腰部、510…腰椎、511…第1腰椎、512…第2腰椎、513…第3腰椎、514…第4腰椎、515…第5腰椎、600…臀部、601…大臀筋、602…中臀筋。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
腰椎を矯正するための部位を含む姿勢改善の効果が期待できるウエアにおいて、
前記腰椎を矯正するための部位として、緊締力が強い高パワー生地を含めて構成されて腰部を押すための腰部押圧部と、前記高パワー生地を含めて構成されて腹部を押すための腹部押圧部と、前記高パワー生地よりも緊締力が弱い低パワー生地を含めて構成されて人体の側部に対応する側部矯正部とを備え、
前記腰部押圧部は、前記腹部押圧部よりも上方に位置する部分を含み、
前記側部矯正部は、前記腰部押圧部および前記腹部押圧部に縫い合わせられる
ことを特徴とする姿勢改善の効果が期待できるウエア。
【請求項2】
請求項1に記載の姿勢改善の効果が期待できるウエアにおいて、
前記側部矯正部は、人体の背中側から腹部側に向けて突出するように湾曲した部位である矯正部頂部を含み、
この矯正部頂部は、ウエストと対応する部位に設けられ、
前記腹部押圧部は、前記矯正部頂部に縫い合わせられる
ことを特徴とする姿勢改善の効果が期待できるウエア。
【請求項3】
請求項2に記載の姿勢改善の効果が期待できるウエアにおいて、
前記側部矯正部は、人体の上下方向において当該側部矯正部の上端から前記ウエストに対応する部位までにわたり形成された矯正部上部と、この矯正部上部と連続して形成されるとともに前記ウエストに対応する部位から当該側部矯正部の下端までにわたり形成された矯正部下部とを含み、
前記矯正部頂部は、前記矯正部上部および前記矯正部下部が互いに接続される部位を含み、
前記矯正部上部は、その上端から前記ウエストに対応する部位に向かうにつれて背中側から腹部側に向けて傾斜し、
前記矯正部下部は、前記ウエストに対応する部位から同当該正部下部の下端に向かうにつれて腹部側から背中側に向けて傾斜する
ことを特徴とする姿勢改善の効果が期待できるウエア。
【請求項4】
請求項3に記載の姿勢改善の効果が期待できるウエアにおいて、
前記側部矯正部は、人体の上下方向において胸部に対応する部位からウエスト前面の側部に対応する部位を介して臀部に対応する部位までにわたり設けられる
ことを特徴とする姿勢改善の効果が期待できるウエア。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか一項に記載の姿勢改善の効果が期待できるウエアにおいて、
前記腹部押圧部は、前記矯正部頂部に対して当該腹部押圧部の側部の上部である腹部上端部が縫い合わせられるものである
ことを特徴とする姿勢改善の効果が期待できるウエア。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の姿勢改善の効果が期待できるウエアにおいて、
前記腰部押圧部の上端は、背中に対応する部位に設けられ、
前記腹部押圧部の上端は、ウエストに対応する部位に設けられる
ことを特徴とする姿勢改善の効果が期待できるウエア。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の姿勢改善の効果が期待できるウエアにおいて、
当該ウエアは、胸部に対応する胸部被覆部を含み、
この胸部被覆部は、前記腹部押圧部の高パワー生地よりも緊締力が弱くかつ前記側部矯正部の低パワー生地よりも緊締力が強い中パワー生地を含めて構成されるものであり、前記側部矯正部および前記腹部押圧部のそれぞれに縫い合わせられるものである
ことを特徴とする姿勢改善の効果が期待できるウエア。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の姿勢改善の効果が期待できるウエアにおいて、
当該ウエアは、背中に対応する背中被覆部を含み、
この背中被覆部は、前記腰部押圧部の高パワー生地よりも緊締力が弱くかつ前記側部矯正部の低パワー生地よりも緊締力が強い中パワー生地を含めて構成されるものであり、前記側部矯正部および前記腰部押圧部のそれぞれに縫い合わせられるものである
ことを特徴とする姿勢改善の効果が期待できるウエア。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の姿勢改善の効果が期待できるウエアにおいて、
当該ウエアは、臀部に対応する臀部被覆部を含み、
この臀部被覆部は、前記腰部押圧部の高パワー生地よりも緊締力が弱くかつ前記側部矯正部の低パワー生地よりも緊締力が強い中パワー生地を含めて構成されるものであり、前記側部矯正部および前記腰部押圧部のそれぞれに縫い合わせられるものである
ことを特徴とする姿勢改善の効果が期待できるウエア。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の姿勢改善の効果が期待できるウエアにおいて、
当該ウエアは、大腿の上部に対応する大腿被覆部を含み、
この大腿被覆部は、前記腹部押圧部の高パワー生地よりも緊締力が弱くかつ前記側部矯正部の低パワー生地よりも緊締力が強い中パワー生地を含めて構成されるものであり、前記側部矯正部および前記腹部押圧部のそれぞれに縫い合わせられるものである
ことを特徴とする姿勢改善の効果が期待できるウエア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−256507(P2011−256507A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−134459(P2010−134459)
【出願日】平成22年6月11日(2010.6.11)
【特許番号】特許第4660630号(P4660630)
【特許公報発行日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000131555)株式会社シャルレ (16)
【Fターム(参考)】