説明

子カテーテル

【課題】治療用カテーテルに有効なバックアップ力が及ぼされると共に、カテーテル長の短縮とカテーテル構成デバイス数の削減が実現され、更にプロキシマルシャフトがディスタールシャフトに対して容易に且つ強固に固定され得る、新規な構造の子カテーテルを提供すること。
【解決手段】ディスタールシャフト26とプロキシマルシャフト28を備えたモノレールタイプとされていると共に、プロキシマルシャフト28の先端部分がディスタールシャフト26の外周面上に配設された固定用バルーン38に対して差し入れられており、プロキシマルシャフト28の内腔39によって固定用バルーン38に圧力流体を給排する給排路が形成されている一方、固定用バルーン38よりも基端側でディスタールシャフト26に被覆チューブ42が外挿固定されて、被覆チューブ42によってプロキシマルシャフト28がディスタールシャフト26の外周面に締め付けられて固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、親カテーテルの先端側開口部から突出されて、挿通される治療用カテーテルを治療部位の付近まで案内する、子カテーテルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、経皮的冠動脈インターベーション(PCI)において、バルーンカテーテル等の治療用カテーテルを冠動脈内に案内するために、特開平9−99088号公報(特許文献1)に記載の如きガイディングカテーテルが用いられている。
【0003】
例えば、PCIの1つとしての経皮的冠動脈形成術(PTCA)では、先ず、ガイディングカテーテル用のガイドワイヤを手首や大腿部から動脈血管内に挿入し、次に、ガイドワイヤに沿って、ガイディングカテーテルを動脈血管内に挿入して、ガイディングカテーテルの先端開口を心臓の冠動脈入口に臨ませる。そして、ガイディングカテーテル用のガイドワイヤのみを抜去して、より細径の治療用カテーテルのガイドワイヤを、ガイディングカテーテルを通じて冠動脈内の狭窄部を通過する位置まで到達させる。次に、バルーンカテーテル等の治療用カテーテルをガイドワイヤに沿わせながら、冠動脈入口に位置されたガイディングカテーテルの先端開口から延び出させて冠動脈内に挿入して、先端部を狭窄部内に位置させた後、先端部に設けられたバルーンを膨らませたりすることによって、狭窄部を拡張する。
【0004】
ところで、治療用カテーテルの先端部を狭窄部内に挿入する際に、治療用カテーテルは反力を受けるが、この反力は、ガイディングカテーテルが血管内面に当接すること等により受け止められる。狭窄部の位置が冠動脈の入口から離れていて途中が蛇行している場合や、狭窄部が硬く治療用カテーテルを押し進めることが困難な場合には、大きな反力がガイディングカテーテルに及ぼされることから、これを受け止めて、治療用カテーテルを効率的に所定の位置に案内するために、特開昭63−238876号公報(特許文献2)の如き構造も知られている。即ち、特許文献2に記載のガイディングカテーテルは、親カテーテルに子カテーテルが挿入された2重構造とされており、子カテーテルが親カテーテルの先端開口から突出させられることによって、治療用カテーテルをより狭窄部位に近い位置まで案内することが可能とされている。
【0005】
ところが、特許文献2に記載のガイディングカテーテルは、親カテーテルと子カテーテルのそれぞれにYコネクタ等の基端側デバイスが設けられていることから、デバイス数の増加を招く。更に、親カテーテルの基端側デバイスから子カテーテルの基端側デバイスが突出することとなって、ガイディングカテーテルの全体長がより長くなることから、これに挿入される治療用カテーテルとしては更に長尺のものを採用しなければならず、使用可能な治療用カテーテルを制約してしまうという問題もあった。
【0006】
そこで、特表平6−502331号公報(特許文献3)には、子カテーテルとして、治療用カテーテルが挿通されるシャフトと、シャフトに固定されて親カテーテルの基端開口から延び出すワイヤを備えた、モノレールタイプのカテーテルを採用することが提案されている。
【0007】
かかる特許文献3の図3,図5には、子カテーテルのシャフトの基端部分にバルーンが配されていると共に、中空のワイヤ(プロキシマルシャフト)を通じてバルーンに圧力流体が給排される構造が開示されている。これによれば、バルーンが膨らまされて親カテーテルの内周面に押し付けられることによって、子カテーテルが親カテーテルに対して位置決めされる。
【0008】
しかしながら、シャフトの基端部分にバルーンを設けると、ワイヤのシャフトに対する固着面積がより一層小さくなって、ただでさえ不足しがちなシャフトとワイヤの固着力が更に得られ難くなる。特に、バルーン内に差し入れられた状態で、バルーンのシャフトへの環状接合部を利用してワイヤがシャフト外周面に固定されただけの固着構造では、バルーンの膨張および収縮によって固着部分に外力が直接に及ぼされることとなり、かかる外力の作用によって固着部位に剥離等が生じ易くなるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平9−99088号公報
【特許文献2】特開昭63−238876号公報
【特許文献3】特表平6−502331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、治療用カテーテルを支持するためのバックアップ力をより効率的に得ることができると共に、カテーテル長の短縮とカテーテル構成デバイス数の削減を実現することができ、更にプロキシマルシャフトをディスタールシャフトに対して容易に且つ強固に固着可能とした、新規な構造の子カテーテルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
すなわち、本発明の第1の態様は、親カテーテルの基端側開口部から挿入されて先端側開口部から突出される長さを有すると共に、治療用カテーテルが挿通されて該治療用カテーテルの先端部分を治療部位まで案内する子カテーテルにおいて、基端側から先端側に向かって延びるプロキシマルシャフトの先端部分に対して前記治療用カテーテルが挿通される治療用ルーメンを備えたディスタールシャフトが設けられたモノレールタイプとされていると共に、該ディスタールシャフトの外周面に固定用バルーンが配設されており、該プロキシマルシャフトの先端部分が該ディスタールシャフトの外周面上で該固定用バルーン内に差し入れられていると共に、該プロキシマルシャフトが中空構造とされて該プロキシマルシャフトの内腔によって該固定用バルーンに圧力流体を給排する給排路が形成されている一方、該ディスタールシャフトには、該固定用バルーンよりも基端側に被覆チューブが外挿固定されており、該被覆チューブによって該プロキシマルシャフトが該ディスタールシャフトの外周面に締め付けられて固定されていることを特徴とする。
【0012】
このような第1の態様に従う構造の子カテーテルを用いれば、子カテーテルを親カテーテルに挿通して、冠動脈入口に位置させた親カテーテルの先端側開口部から子カテーテルのディスタールシャフトを突出させることにより、子カテーテルのディスタールシャフトを冠動脈に挿入することができる。そして、子カテーテルのディスタールシャフトに治療用カテーテルを挿通して、ディスタールシャフトを治療用カテーテルのガイディングカテーテルとすることにより、ディスタールシャフトで治療用カテーテルを冠動脈内の治療部位により近い位置まで案内して支持することができて、より優れたバックアップ力を得ることができる。
【0013】
しかも、子カテーテルのディスタールシャフトには固定用バルーンが設けられており、プロキシマルシャフトの内腔で構成された給排路を通じて給排される圧力流体によって膨張と収縮を制御されるようになっている。そして、ディスタールシャフトが親カテーテルの先端側開口部から突出した状態で、固定用バルーンが圧力流体の供給によって膨張させられることにより、固定用バルーンが親カテーテルの内周面に押し当てられて、子カテーテルが親カテーテルに対して所定の位置と突出方向で保持されるようになっている。このように、子カテーテルが親カテーテルに対して位置決めされることにより、親カテーテルの血管壁への当接によって得られるバックアップ力が子カテーテルを介して治療用カテーテルに効率的に伝達される。従って、治療用カテーテルが子カテーテルによって目的とする治療部位により安定して案内されると共に、治療用カテーテルにバックアップ力をより効果的に及ぼすことが可能とされる。
【0014】
さらに、子カテーテルは、治療用カテーテルを挿通されるディスタールシャフトが先端部分にのみ部分的に設けられており、ディスタールシャフトから基端側には、極小径のプロキシマルシャフトが設けられたモノレールタイプカテーテルとされている。従って、薬液の注入や血液の逆流阻止は、子カテーテルが挿通されるガイディングカテーテルの基端側デバイスを用いて行うこととなり、子カテーテルには特別な基端側デバイスを設けることが不要とされる。その結果、基端側デバイス数の削減を図ることができる。それと共に、治療用カテーテルを、ガイディングカテーテルの基端側デバイスとそれに挿通される子カテーテルの基端側デバイスの両方に挿通することも不要となり、ガイディングカテーテルの基端側デバイスから挿入するのみで足る。その結果、治療用カテーテルに要求されるカテーテル長の短縮を図ることができて、より多種の治療用カテーテルを使用することができる。
【0015】
また、子カテーテルにおいて、ディスタールシャフトとプロキシマルシャフトが、被覆チューブによって締め付けられることによって、相互に固定されている。これにより、極小径のプロキシマルシャフトをディスタールシャフトに対して充分に強固に固定することができて、プロキシマルシャフトのディスタールシャフトに対する相対移動に起因するバルーンの損傷やプッシャビリティの低下等の問題を回避することができる。
【0016】
かかる被覆チューブを備えた本発明の子カテーテルにおいては、被覆チューブがそれ自体の弾性に基づいてプロキシマルシャフトをディスタールシャフトに締め付けるようにされていても良いが、より好適には、本発明の第2の態様として、第1の態様に記載された子カテーテルにおいて、前記被覆チューブが加熱収縮されて前記ディスタールシャフトに外嵌されているものが採用される。
【0017】
第2の態様によれば、加熱によって被覆チューブを収縮変形させることにより、ディスタールシャフトとその外周面に重ね合わされたプロキシマルシャフトに密着させて、プロキシマルシャフトをディスタールシャフトの外周面に締め付けて固定することができる。それ故、プロキシマルシャフトを簡単に且つ強固にディスタールシャフトに対して固定することができる。
【0018】
なお、被覆チューブは、より好適には、加熱によって、収縮変形すると共に、ディスタールシャフトおよびプロキシマルシャフトの外周面に溶着されるようになっている。これによれば、接着剤等を利用することなく、優れた生体への適応性をもって、ディスタールシャフトとプロキシマルシャフトをより強固に連結することができる。
【0019】
本発明の第3の態様は、第1又は第2の態様に記載された子カテーテルにおいて、前記被覆チューブが前記ディスタールシャフトの基端部から更に基端側に突出しているものである。
【0020】
第3の態様によれば、ディスタールシャフトよりも大きな内径寸法を有する被覆チューブがディスタールシャフトよりも基端側に突出していることにより、バルーンカテーテル等の治療用カテーテルをディスタールシャフトの内腔に挿入する際に、被覆チューブの案内作用によって挿入作業を容易に行うことができる。
【0021】
また、ディスタールシャフトから延び出した被覆チューブの基端部によって、プロキシマルシャフトの保持作用が発揮されることから、ディスタールシャフトとプロキシマルシャフトの固定部分において応力や変形の集中的な作用が緩和されて、両シャフトの固定部分における耐久性の向上が実現され得る。
【0022】
本発明の第4の態様は、第1〜第3の何れか1つの態様に記載された子カテーテルにおいて、前記プロキシマルシャフトの先端部分の外周面が先端側に向かって次第に小径となるテーパ面とされているものである。
【0023】
第4の態様によれば、ディスタールシャフトとプロキシマルシャフトの固着部分において、プロキシマルシャフトの外径寸法が小さく抑えられることから、ディスタールシャフトの外周面にプロキシマルシャフトが重ね合わされて固着されることによる大径化が抑えられる。その結果、子カテーテルおよび親カテーテルの大径化の防止や、子カテーテルの親カテーテルへの挿通時に引っ掛かり防止等の効果が発揮される。
【0024】
加えて、子カテーテルを親カテーテルに挿通させて押し進める際に、プロキシマルシャフトの基端側が大径となっていることによって、充分なプッシャビリティが確保されると共に、近位端においてキンクの発生が防止される。
【0025】
しかも、プロキシマルシャフトのディスタールシャフトへの固定部分が先細とされていることによって、子カテーテルを押し進める際に、プロキシマルシャフトの外周面が被覆チューブに係止される。その結果、子カテーテルが被覆チューブから先端側に抜けて相対変位するのを防止することができる。
【0026】
本発明の第5の態様は、第1〜第4の何れか1つの態様に記載された子カテーテルにおいて、前記被覆チューブの柔軟性が前記ディスタールシャフトよりも大きくされているものである。
【0027】
第5の態様によれば、被覆チューブの固着によるディスタールシャフトの変形が防止されて、ディスタールシャフトの内腔が所定の形状に維持されることにより、治療用カテーテルをディスタールシャフトに挿入し難くなるのが防止される。
【0028】
また、被覆チューブが重ね合わされたディスタールシャフトの基端部よりも柔軟な緩衝部分が、ディスタールシャフトよりも基端側に突出した被覆チューブの基端部によって設けられる。これにより、治療用カテーテルのディスタールシャフトへの挿通時に、誤って治療用カテーテルがディスタールシャフトの基端開口部に接触した場合に、被覆チューブによって衝撃力が緩和されて、治療用カテーテルのバルーン等が損傷するのを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明に従う構造の子カテーテルによれば、親カテーテルの先端側開口部から突出した状態でバルーンによって固定されることから、子カテーテルから治療用カテーテルに対してより効率的にバックアップ力が及ぼされて、治療用カテーテルを治療部位に挿通し易くなる。しかも、子カテーテルがモノレールタイプとされていることから、治療用カテーテルに要求される長さを短くすることができて、より多種類の治療用カテーテルに対応することが可能となる。また、ディスタールシャフトとプロキシマルシャフトが被覆チューブの締付けによって連結されていることから、直径が極めて小さいプロキシマルシャフトであっても、ディスタールシャフトに対して充分な固定力で連結することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の1実施形態としての子カテーテルを備えたカテーテル組立体の概略を示す側面図。
【図2】図1に示されたカテーテル組立体を構成する子カテーテルの側面図。
【図3】図2に示された子カテーテルの要部を拡大して示す断面図。
【図4】図2に示された子カテーテルの要部を更に拡大して示す断面図であって、図5のIV−IV断面に相当する図。
【図5】図4のV−V断面図。
【図6】図1に示されたカテーテル組立体を用いたPCI手技を説明するための説明図。
【図7】図6に示されたPCI手技中のガイディングカテーテルにおいて、子カテーテルの親カテーテルに対する固定構造を説明するための要部拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0032】
図1には、ガイディングカテーテル10を備えたカテーテル組立体12が示されている。ガイディングカテーテル10は、本発明の1実施形態としての子カテーテル14が、親カテーテル16に挿通されて構成されている。そして、親カテーテル16に挿通された子カテーテル14に対して、治療用カテーテルとしてのバルーンカテーテル18が、ガイドワイヤ20に外挿された状態で挿通されており、これらガイディングカテーテル10とガイドワイヤ20と、バルーンカテーテル18とを含んで、カテーテル組立体12が構成されている。なお、以下の説明において、先端とは手術中に患者側に位置する遠位端を、基端とは手術中に施術者側に位置する近位端を、それぞれ意味する。
【0033】
子カテーテル14は、図2に示されているように、カテーテル本体22の基端部に三方活栓24が設けられた構造とされている。カテーテル本体22は、先端側に設けられたディスタールシャフト26と、基端側に設けられてディスタールシャフト26の基端部に固定されたプロキシマルシャフト28を含んで構成されており、子カテーテル14がモノレールタイプのカテーテルとされている。一方、三方活栓24は、硬質のプラスチック等から形成された部材で、3つの開口を有していると共に、それら3つの開口の任意の1つを閉鎖することが可能とされている。また、三方活栓24は、3つの開口のうちの1つがプロキシマルシャフト28の基端に接続されていると共に、他の2つが圧力流体の供給装置と排出装置の各一方に接続されている。なお、図2については、理解を容易とするために、後述する被覆チューブ42が透視されている。
【0034】
ディスタールシャフト26は、図3〜図5に示されているように、長さ方向に貫通する治療用ルーメン29を内孔として備えた筒状体とされている。
【0035】
ディスタールシャフト26の材質としては、熱可塑性樹脂が好適に採用され得るが、所定の形状保持特性と弾性とを有する材質であれば特に限定されない。ディスタールシャフト26としては、例えば、ポリアミド,ポリアミドエラストマー,ポリエステル,ポリエーテルブロックアミド共重合体,ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)やテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)等のフッ素系材質等が採用され、放射線不透過性の造影剤が配合されることが望ましい。造影剤としては、硫酸バリウム、酸化ビスマス、次炭酸ビスマス等が例示される。
【0036】
さらに、ディスタールシャフト26の先端部分には、図2に示されているように、先端チップ36が設けられている。先端チップ36は、ディスタールシャフト26の先端部分に溶着や接着、或いは一体成形される。先端チップ36はディスタールシャフト26と同様の上記例示の如き材質に造影剤が配合された筒形状とされている。本実施形態においては、先端チップ36に造影剤が配合されて、術中の放射線透視下でディスタールシャフト26の先端位置が確認可能とされているが、造影剤に代えて、或いは加えて、ディスタールシャフト26の先端部分に、ステンレス鋼やプラチナ合金等の放射線不透過性の材質からなるマーカーを設ける等しても良い。
【0037】
更にまた、ディスタールシャフト26の基端部分の外周面上には、固定用バルーン38が設けられている。固定用バルーン38は、図3に示されているように、極薄肉の略円筒形状でディスタールシャフト26の基端側に外挿されている。また、固定用バルーン38は、ポリエチレンエラストマー,ポリウレタン等の可撓性を有する軟質の合成樹脂や、ゴム膜等で形成されている。そして、固定用バルーン38の先端側と基端側の両開口部がディスタールシャフト26の外周面に溶着や接着によって固定されており、固定用バルーン38の内周面とディスタールシャフト26の外周面との間に密閉空間が形成されている。
【0038】
また、ディスタールシャフト26の基端部には、プロキシマルシャフト28が固着されている。プロキシマルシャフト28は、ディスタールシャフト26に対して充分に小径とされた略円筒パイプ状とされており、その内腔39が全長に亘って一定の断面形状で連続的に形成されて、先端と基端の両側に開口している。また、プロキシマルシャフト28は、特に限定されるものではないが、ステンレス鋼等で形成された金属製のパイプとされており、小径でありながら充分なプッシャビリティと形状安定性を有している。更に、プロキシマルシャフト28の先端部分の外周面は、先端側に向かって次第に小径となるテーパ面40とされており、プロキシマルシャフト28の先端部分が先細形状となっている。なお、本実施形態におけるプロキシマルシャフト28は、略直線的に延びているが、例えば、ディスタールシャフト26に固着される部分が波状に湾曲或いは屈曲した伸長部とされており、ある程度の伸長を許容し得る構造とされていても良い。また、本実施形態のプロキシマルシャフト28では、外周面がテーパ形状とされていると共に、内周面が略一定の直径を有しているが、内周面が外周面と対応するテーパ形状とされていても良い。
【0039】
かかるプロキシマルシャフト28は、その先端部分がディスタールシャフト26の外周面上で固定用バルーン38内に差し入れられており、固定用バルーン38の基端部と共にディスタールシャフト26の外周面に固定されていると共に、固定用バルーン38への挿入部分よりも基端側が、ディスタールシャフト26の基端部の外周面に重ね合わされて、被覆チューブ42によって固定されている。
【0040】
被覆チューブ42は、ポリアミド,ポリアミドエラストマー,ポリエステル,ポリエーテルブロックアミド共重合体,ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)やテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)等のフッ素系材質等の熱可塑性樹脂等で形成されており、極薄肉の筒状でディスタールシャフト26に外挿可能とされている。また、被覆チューブ42は、ディスタールシャフト26よりも薄肉大径とされていることで、ディスタールシャフト26に比して柔軟性が大きくされており、外力の作用時に変形し易くなっている。
【0041】
そして、被覆チューブ42は、ディスタールシャフト26の基端部分とプロキシマルシャフト28の先端部付近を覆うように外挿されており、加熱によって縮径変形させられてそれらディスタールシャフト26およびプロキシマルシャフト28に外嵌されている。これにより、プロキシマルシャフト28は、被覆チューブ42によって、ディスタールシャフト26の外周面に締め付けられて固定されている。更に、被覆チューブ42は、溶着や接着によってディスタールシャフト26とプロキシマルシャフト28の各外周面に対して固着されており、特に本実施形態では、熱溶着によってディスタールシャフト26と溶融一体化している。なお、被覆チューブ42のシャフト26,28への固着手段としては、接着剤または熱溶着等の手段を用いても良い。
【0042】
このようにして、プロキシマルシャフト28がディスタールシャフト26の外周面上に固定されて、ディスタールシャフト26から基端側に延び出すように連結されることにより、子カテーテル14のカテーテル本体22が形成されている。更に、被覆チューブ42は、ディスタールシャフト26よりも基端側に突出して配設されており、被覆チューブ42の材質は、ディスタールシャフト26よりも柔軟な材質で構成されている。それによって、ディスタールシャフト26の基端側開口部に柔軟性が付与されていると共に、後述するバルーンカテーテル18の治療用ルーメン29への案内作用や、プロキシマルシャフト28の柔軟な保持による応力集中の緩和等が実現されている。
【0043】
また、プロキシマルシャフト28がディスタールシャフト26に対して固定されることによって、プロキシマルシャフト28の内腔39の先端側開口が固定用バルーン38の内周空間への連通状態に保持されている。一方、プロキシマルシャフト28の内腔39の基端側開口は、三方活栓24を介して圧力流体の供給装置と排出装置に選択的に接続されるようになっている。そして、生理食塩水等の圧力流体がプロキシマルシャフト28の内腔39を通じて固定用バルーン38の内周空間に給排されることによって、固定用バルーン38内の圧力がコントロールされて、固定用バルーン38の膨張と収縮が制御されるようになっている。このことから明らかなように、プロキシマルシャフト28の内腔39によって、固定用バルーン38に圧力流体を給排する給排路が構成されている。
【0044】
なお、被覆チューブ42を含むディスタールシャフト26は、親カテーテル16に挿通可能な外径と、バルーンカテーテル18、必要に応じては、ステントを備えたバルーンカテーテル18を挿通可能な内径(治療用ルーメン29の直径)をもって形成される。具体的には、ディスタールシャフト26の外径寸法は、1.2mm〜2.5mm、より好適には、1.4mm〜1.8mmの範囲内で設定される。また、ディスタールシャフト26の内径寸法は、1.0mm〜2.0mm、より好適には、1.2mm〜1.6mmの範囲内で設定される。
【0045】
また、被覆チューブ42を除いたディスタールシャフト26の長さ寸法は、冠動脈入口に位置された親カテーテル16の後述する先端側開口部62から冠動脈内に延び出して、先端チップ36が治療部位付近にまで到達可能な長さ寸法、即ち、冠動脈入口から治療部位までの距離に相当する長さ寸法を有することが好ましい。具体的には、100mm〜500mm、より好適には、200mm〜300mmの範囲内で設定される。
【0046】
さらに、プロキシマルシャフト28の外径寸法は、ディスタールシャフト26への固定部分において子カテーテル14が著しく大径化するのを防ぐためにも、ディスタールシャフト26に比して小さくされており、好適には、0.1mm〜1mm、より好適には、0.3mm〜0.5mmの範囲内で設定される。
【0047】
さらに、ディスタールシャフト26とプロキシマルシャフト28を含んだカテーテル本体22の長さ寸法は、ディスタールシャフト26が後述する親カテーテル16の先端側開口部62から突出可能で、且つ三方活栓24が親カテーテル16の基端側開口部66から突出されて操作可能状態を維持し得るように、親カテーテル16の長さ寸法よりも大きく設定される。具体的には、カテーテル本体22の長さ寸法は、後述するYコネクタ44を含む親カテーテル16の全長に比して、1000mm〜1800mm、より好適には、1300mm〜1500mmの範囲内でより長く設定される。
【0048】
このような構造とされた子カテーテル14は、図1に示したように、親カテーテル16に挿通される。親カテーテル16としては従来公知のものが適宜に採用可能であることから、概略を説明するに留める。親カテーテル16は、湾曲可能な筒状の可撓性チューブ43の基端部に、基端側デバイスとしてのYコネクタ44が設けられた構造とされている。可撓性チューブ43は、子カテーテル14のディスタールシャフト26と同様に、金属製の補強材が埋設された、熱可塑性樹脂性のチューブからなる重ね合わせ構造とされている。また、可撓性チューブ43の先端には、造影剤が配合される等して放射線不透過性とされた先端チップ46が設けられている。このことから明らかなように、子カテーテル14のディスタールシャフト26は、従来公知の親カテーテルのチューブと略同様の構造とされている。
【0049】
可撓性チューブ43の基端側には、Yコネクタ44が設けられている。Yコネクタ44内には、図示しない逆止弁が設けられており、血液の逆流が阻止されるようになっている。また、Yコネクタ44には、本体部分から分岐するサイドアーム48が設けられており、サイドアーム48を通じて、薬液や造影剤が注入可能とされている。
【0050】
さらに、子カテーテル14のディスタールシャフト26の治療用ルーメン29には、ガイドワイヤ20およびバルーンカテーテル18が挿通される。これらガイドワイヤ20およびバルーンカテーテル18としても、従来公知のものが適宜に採用可能であり、バルーンカテーテル18としては、従来公知のラピッドエクスチェンジ型のものが好適に用いられる。バルーンカテーテル18において湾曲可能とされたカテーテル本体50の先端部分には、ポリアミド,ポリエチレン,ポリエチレンエラストマー,ポリウレタン等の可撓性を有する軟質の合成樹脂や、ゴム膜等によって形成された治療用バルーン52が設けられている。そして、気体や液体等の圧力流体がカテーテル本体50を通じて治療用バルーン52内に供給および排出されることによって、治療用バルーン52の膨張と収縮が制御されるようになっている。
【0051】
これら親カテーテル16,子カテーテル14,ガイドワイヤ20,バルーンカテーテル18を含んでカテーテル組立体12が構成されており、親カテーテル16に子カテーテル14が挿通されると共に、子カテーテル14に対して、ガイドワイヤ20に外挿されたバルーンカテーテル18が挿通される。
【0052】
このようなカテーテル組立体12を用いた経皮的冠動脈形成術(PTCA)により心臓の冠動脈内の狭窄部を拡張する際には、先ず、図6に示すように、患者の橈骨動脈54を穿刺して、穿刺箇所からシース56の先端を橈骨動脈54内に挿入する。次に、図示しない周知のガイディングカテーテル用のガイドワイヤをシース56を通じて橈骨動脈54内に挿入し、橈骨動脈54から上腕動脈58を経て、上行大動脈60まで挿入する。続いて、このガイディングカテーテル用のガイドワイヤに親カテーテル16を外挿してシース56から橈骨動脈54に挿入し、ガイディングカテーテル用のガイドワイヤに沿わせて先端側開口部62を冠動脈64の入口に位置させる。なお、親カテーテル16の先端チップ46には造影剤が配合されていることから、放射線撮像下で先端チップ46の位置が視認可能とされている。そして、ガイディングカテーテル用のガイドワイヤのみを動脈内から抜去する。
【0053】
次に、親カテーテル16に接続されたYコネクタ44の基端側開口部66から子カテーテル14のカテーテル本体22を挿入し、ディスタールシャフト26を親カテーテル16の先端側開口部62から突出させて冠動脈64内に挿入して、先端チップ36を狭窄部68の手前に位置させる。なお、親カテーテル16の先端チップ46と同様に、先端チップ36には造影剤が配合されていることから、放射線撮像下で先端チップ36の位置が視認可能とされており、狭窄部68に近接して正確に位置させることができる。
【0054】
そして、三方活栓24の弁を切り替えて、プロキシマルシャフト28の内腔39に図示しない圧力流体の供給装置を連通することにより、プロキシマルシャフト28の内腔39を通じて固定用バルーン38に圧力流体を供給して、固定用バルーン38を親カテーテル16の先端部分の内周側で膨張させる。これにより、図7に示されているように、固定用バルーン38を親カテーテル16の内周面に押し当てて、子カテーテル14を親カテーテル16の先端側開口部62から突出した状態で位置決めすることができる。なお、固定用バルーン38が充分に膨張した後、三方活栓24の弁を再び切り替えて、プロキシマルシャフト28の内腔39の基端側開口を遮断することにより、固定用バルーン38を膨張状態に維持することが可能とされている。
【0055】
その後、バルーンカテーテル18用のガイドワイヤ20を親カテーテル16に基端側開口部66から挿入すると共に、親カテーテル16内で子カテーテル14のディスタールシャフト26に挿入して、ディスタールシャフト26の治療用ルーメン29を通じて先端チップ36から冠動脈64内に押し進めることにより、その先端が狭窄部68を通過する位置まで到達させる。
【0056】
続いて、バルーンカテーテル18をガイドワイヤ20に外挿した状態で、親カテーテル16の基端側開口部66から挿入すると共に、ガイドワイヤ20に沿わせて親カテーテル16内で子カテーテル14のディスタールシャフト26に挿通する。そして、バルーンカテーテル18の先端に設けられた治療用バルーン52をディスタールシャフト26で案内しつつ、先端チップ36から冠動脈64内に挿入して、狭窄部68内に押し進める。その後、治療用バルーン52を膨張させることによって、狭窄部68を拡張して、狭窄部68の血流を回復する。
【0057】
なお、バルーンカテーテル18による狭窄部68の血流回復処置後には、バルーンカテーテル18を抜去してから、子カテーテル14を親カテーテル16から抜去するが、ガイディングカテーテル10では、子カテーテル14の抜去前に子カテーテル14と親カテーテル16の固定を解除する必要がある。即ち、三方活栓24の弁を切り替えてプロキシマルシャフト28の内腔39を図示しない圧力流体の排出装置に連通させることにより、圧力流体が排出されて固定用バルーン38が収縮し、子カテーテル14の親カテーテル16に対する固定が解除される。
【0058】
上記手技はあくまでも一例であって、経橈骨動脈アプローチ(TRI)による手技を例に説明したが、本発明のカテーテル組立体12を経大腿動脈アプローチ(TFI)による手技に用いることも可能である。また、必要に応じて、治療用バルーン52に周知のステントを外挿した状態で狭窄部68内に押し進めて、狭窄部68にステントを留置する等しても良い。更にまた、カテーテル組立体12を構成する各カテーテルやガイドワイヤの挿入順序は上記順序に限定されるものではない。
【0059】
本実施形態に従う子カテーテル14を用いれば、冠動脈64の入口に位置された親カテーテル16の先端側開口部62からディスタールシャフト26を突出させて冠動脈64内に挿入して、バルーンカテーテル18を冠動脈64内まで案内して冠動脈64内で支持することによって、狭窄部68により近い位置でバルーンカテーテル18へのバックアップ力を得ることができる。これにより、狭窄部68の狭窄が強かったり、狭窄部68が冠動脈64の入口から離れている場合でも、バルーンカテーテル18の治療用バルーン52を狭窄部68内により容易に押し進めることができる。
【0060】
しかも、子カテーテル14のディスタールシャフト26に固定用バルーン38が設けられており、固定用バルーン38を膨張させて親カテーテル16の内周面に押し当てることによって、子カテーテル14を親カテーテル16に対して安定して位置決めして所定の突出状態に保持することができる。それ故、バルーンカテーテル18に安定したバックアップ力を及ぼすことができて、バルーンカテーテル18の治療用バルーン52を狭窄部68内へ安定してサポートすることができる。
【0061】
また、子カテーテル14は、モノレールタイプカテーテルとされており、バルーンカテーテル18が先端部分のディスタールシャフト26だけに挿通されるようになっている。それ故、子カテーテル14の基端側にバルーンカテーテル18を挿通するための基端側デバイスは不要であって、コネクタが省略される分だけバルーンカテーテル18に要求されるカテーテル長を短くすることができる。
【0062】
また、モノレールタイプの子カテーテル14を構成するディスタールシャフト26とプロキシマルシャフト28は、被覆チューブ42で締め付けられることによって連結されている。これにより、ワイヤと同程度の極小径とされたプロキシマルシャフト28を、ディスタールシャフト26の外周面に対して強固に固定することができる。その結果、親カテーテル16から子カテーテル14にバックアップ力が効率的に伝達されて、バルーンカテーテル18を狭窄部68まで容易に押し進めることができる。また、プロキシマルシャフト28とディスタールシャフト26が剥離し、プロキシマルシャフト28が固定用バルーン38を突き破るといった事態も防止可能である。
【0063】
さらに、被覆チューブ42は、加熱収縮性を有する材質で形成されており、加熱によって縮径変形させることで、ディスタールシャフト26とプロキシマルシャフト28を強固に締め付けて連結するようになっている。これにより、接着剤を用いることなく、ディスタールシャフト26とプロキシマルシャフト28を連結することが可能であって、生体への安全性により優れた子カテーテル14を得ることができる。特に、被覆チューブ42が熱溶着によってディスタールシャフト26と略一体化されることにより、ディスタールシャフト26とプロキシマルシャフト28の分離や相対変位を抑えて、それらシャフト26,28を一体的な連結状態に維持することができる。
【0064】
また、プロキシマルシャフト28は、固定用バルーン38の基端部と、固定用バルーン38を基端側に外れた被覆チューブ42の外挿部位で、それぞれディスタールシャフト26に固定されている。このように、プロキシマルシャフト28が長さ方向で離隔した二箇所においてディスタールシャフト26に固定されていることによって、極めて小径とされたプロキシマルシャフト28をディスタールシャフト26に対して強固に連結することが可能とされている。
【0065】
また、プロキシマルシャフト28の先端部分の外周面が、先端側に向かって次第に小径となるテーパ面40とされている。これにより、子カテーテル14を押し進めるためにプロキシマルシャフト28に力が及ぼされた場合にも、プロキシマルシャフト28のテーパ面40が被覆チューブ42の内周面に係止されて、先端側に抜けるのが防止される。その結果、ディスタールシャフト26を効率的に押し進めることができると共に、固定用バルーン38がプロキシマルシャフト28の抜けによって損傷するのを防ぐことができる。
【0066】
また、カテーテル本体22の基端側が極小径のプロキシマルシャフト28で形成されていることから、親カテーテル16の内周面との摩擦が軽減されて、親カテーテル16に対する挿抜が容易になる。それと共に、プロキシマルシャフト28によって親カテーテル16内でのクリアランスがより大きく確保されることから、バルーンカテーテル18の挿抜もより容易に行なうことができる。
【0067】
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、被覆チューブ42は、ディスタールシャフト26から基端側に突出していなくても良く、その全体がディスタールシャフト26上に位置していても良い。また、被覆チューブ42は、固定用バルーン38より基端側だけでなく、固定用バルーン38の一部を覆うように被覆されていても良い。
【0068】
また、プロキシマルシャフト28の外周面には、子カテーテル14および親カテーテル16の大径化の防止や、子カテーテルの親カテーテルへの挿通時に引っ掛かり防止等の目的でテーパ面40が設けられていることが望ましいが、必須ではなく、例えば、一定の外径寸法を有する円筒パイプ形状のプロキシマルシャフトを採用することも可能である。
【0069】
また、プロキシマルシャフト28の基端部には、必ずしも三方活栓24が取り付けられていなくても良く、例えば、二方活栓が取り付けられて、プロキシマルシャフト28の内腔39が遮断状態と圧力流体の給排装置への連通状態とに切替え可能とされていても良い。更に、プロキシマルシャフト28の基端部にメスルアーコネクタ等が取り付けられており、該メスルアーコネクタに対してシリンジや圧力流体の供給装置,圧力流体の排出装置,遮断用の活栓等が取り付けられるようになっていても良い。
【0070】
また、治療用カテーテルは本発明の権利範囲ではなく、その種類によって本発明が何等限定されるものではない。要するに、本発明のガイディングカテーテルに挿通される治療用カテーテルは、バルーンカテーテルに限定されるものではなく、ロータブレーター(RA)や方向性アテレクトミー(DCA)、その他従来公知の各種カテーテルが任意に採用可能である。
【符号の説明】
【0071】
10:ガイディングカテーテル、12:カテーテル組立体、14:子カテーテル、16:親カテーテル、18:バルーンカテーテル(治療用カテーテル)、26:ディスタールシャフト、28:プロキシマルシャフト、29:治療用ルーメン、38:固定用バルーン、39:内腔(給排路)、40:テーパ面、42:被覆チューブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
親カテーテルの基端側開口部から挿入されて先端側開口部から突出される長さを有すると共に、治療用カテーテルが挿通されて該治療用カテーテルの先端部分を治療部位まで案内する子カテーテルにおいて、
基端側から先端側に向かって延びるプロキシマルシャフトの先端部分に対して前記治療用カテーテルが挿通される治療用ルーメンを備えたディスタールシャフトが設けられたモノレールタイプとされていると共に、
該ディスタールシャフトの外周面に固定用バルーンが配設されており、
該プロキシマルシャフトの先端部分が該ディスタールシャフトの外周面上で該固定用バルーン内に差し入れられていると共に、該プロキシマルシャフトが中空構造とされて該プロキシマルシャフトの内腔によって該固定用バルーンに圧力流体を給排する給排路が形成されている一方、
該ディスタールシャフトには、該固定用バルーンよりも基端側に被覆チューブが外挿固定されており、該被覆チューブによって該プロキシマルシャフトが該ディスタールシャフトの外周面に締め付けられて固定されていることを特徴とする子カテーテル。
【請求項2】
前記被覆チューブが加熱収縮されて前記ディスタールシャフトに外嵌されている請求項1に記載の子カテーテル。
【請求項3】
前記被覆チューブが前記ディスタールシャフトの基端部から更に基端側に突出している請求項1又は2に記載の子カテーテル。
【請求項4】
前記プロキシマルシャフトの先端部分の外周面が先端側に向かって次第に小径となるテーパ面とされている請求項1〜3の何れか1項に記載の子カテーテル。
【請求項5】
前記被覆チューブの柔軟性が前記ディスタールシャフトよりも大きくされている請求項1〜4の何れか1項に記載の子カテーテル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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