説明

子守帯

【課題】肩ベルトに伝わる荷重をユーザの背側に分散させることが可能な子守帯を提供する。
【解決手段】幼児を支持するサポート本体5と、ユーザ2の左右の肩回りに沿うように延ばされ、かつ両端部がサポート本体5と結合される一対の肩ベルト20と、ユーザ2の背側にて肩ベルト20を互いに連結する背側バックル32とを備え、サポート本体5をユーザ2の前側に配置した状態で肩ベルト20をユーザの左右の肩回りにそれぞれ装着することにより、ユーザ2の前側にてサポート本体5内に前記幼児をたて抱っこ状態で収容することが可能とされた子守帯において、一対の肩ベルト20と背側バックル32との間に、ユーザ2への装着時における上下方向に関して背側バックル32よりも拡張された背受け部31を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、幼児をたて抱っこ形態で支持することが可能な子守帯に関する。
【背景技術】
【0002】
幼児をたて抱っこ形態で支持する子守帯としては、幼児を支持するためめのサポート本体に一対の肩ベルトが結合され、それらの肩ベルトをユーザの左右の肩回りに装着して支持する構成の子守帯が一般的である。ユーザの背側で肩ベルトを相互に連結し、それにより肩ベルトの位置の安定化等を図った子守帯も提供されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−268073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の子守帯は、幼児の荷重が左右の肩ベルトを伝ってユーザに肩に集中的に作用し、ユーザの肩回りの疲労感を高めるおそれがある。左右の肩ベルトをバックル等の連結具で相互に連結してもその傾向はあまり変わらない。そこで、本発明は、肩ベルトに伝わる荷重をユーザの背側に分散させることが可能な子守帯を提供することをその目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の子守帯(1)は、幼児(3)を支持するサポート本体(5)と、ユーザ(2)の左右の肩回りに沿うように延ばされ、かつ両端部が前記サポート本体と結合される一対の肩ベルト(20)と、前記ユーザの背側にて前記一対の肩ベルトを互いに連結する背側連結具(32)とを備え、前記サポート本体を前記ユーザの前側に配置した状態で前記肩ベルトを前記ユーザの左右の肩回りにそれぞれ装着することにより、前記ユーザの前側にて前記サポート本体内に前記幼児をたて抱っこ状態(図1(a)、(b))で収容することが可能とされた子守帯(1)であって、前記一対の肩ベルトと前記背側連結具との間には、前記ユーザへの装着時における上下方向に関して前記背側連結具よりも拡張された背受け部(31、31A、61)が設けられたものである。
【0006】
本発明の子守帯によれば、肩ベルトをユーザの背側で連結したとき、肩ベルトに伝わる荷重が背受け部にも分散される。背受け部は、背側連結具よりも上下方向に拡張されているので、背側連結具と同程度、又はそれ未満の幅が小さいベルト等の連結部材にて肩ベルト同士を連結する場合と比較して、ユーザの背側における荷重を受ける部分の面積を拡大することができる。これにより、背側における荷重の分散を図り、ユーザの肩への荷重の集中を緩和してユーザの負担を軽減することができる。
【0007】
本発明の一形態において、前記肩ベルトは、前記ユーザの背側で前記上下方向に沿って略平行に延びるように設けられ、前記背受け部は、前記肩ベルトと結合される一端部から前記子守帯の左右方向内側に向かって延ばされ、他端部に前記背側連結具が取り付けられてもよい。この形態によれば、背受け部がその一端部において肩ベルトと結合され、その背受け部に背側連結具が装着されているので、肩ベルトに伝わる荷重を背受け部に確実に分散させてユーザの肩の負担を軽減することができる。
【0008】
本発明の一形態において、前記サポート本体には、前記ユーザとの間に前記幼児を前記たて抱っこ状態で収容するためのスペースが生じるようにして前記ユーザの前方に配置可能なセンターサポート部(10)と、前記エンターサポート部の左右方向両側から前記幼児の側方に回り込むように延ばされて上端部が前記肩ベルトと結合される一対のサイドサポート部(12A、12B)とが設けられ、前記センターサポート部の前記ユーザと対向する側には、前記幼児を前記たて抱っこ状態で収容するためのスペースを介して前記センターサポート部と対向するホールドカバー(40)が設けられ、前記センターサポート部と前記ホールドカバーとの下端部が一体的に結合され、前記ホールドカバーの上端部には左右方向に延びるトップベルト部(40a)が設けられ、該トップベルト部の左右方向の両端部は前記サイドサポート部に結合され、該トップベルト部の少なくともいずれか一方の端部はホールドカバー連結具(46)を介して前記サイドサポート部から分離可能な状態で前記サイドサポート部(12B)に連結され、かつ、前記トップベルト部よりも下方の領域では、前記ホールドカバーの側部が前記サイドサポート部に対して分離されてもよい。
【0009】
上記の形態においては、ホールドカバー連結具を外してホールドカバーのトップベルト部の一方の端部をサイドサポート部から分離し、トップベルト部の他方の端部はサイドサポート部と結合しておくことにより、センターサポート部及び一方のサイドサポート部をホールドカバーから離れる方向に開いてサポート本体の収容スペースを拡大し、幼児を出し入れする便宜を図ることができる。サイドサポート部が離された状態でも、ホールドカバー部とセンターサポート部との下端部が一体に結合されているので、それらの間で幼児の臀部の周囲を下方から支持し、それにより幼児の落下を防止することができる。幼児を収容した後、トップベルト部の端部をホールドカバー連結具にてサイドサポート部と連結するだけでホールドカバーとセンターサポート部との間のスペースに収容された幼児をセンターサポート部と一対のサイドサポート部で覆うように支持することができる。
【0010】
上記の形態において、さらに、前記センターサポート部と前記ホールドカバーとの間には、前記ホールドカバーとの間で幼児の臀部の周囲を支持する落下防止カバー(41)が設けられ、該落下防止カバーの下端部はセンターサポート部及び前記ホールドカバーと一体に結合され、前記落下防止カバーの左右方向の端部は前記サイドサポート部に結合されてもよい。これによれば、一方のサイドサポート部を開いたときに、落下防止カバーとホールドカバーとの間に幼児の臀部回りを収容して幼児を支持することができるので、幼児の落下防止効果がさらに高まる。さらに、前記落下防止カバーの上端(41a)を、前記センターサポート部及び前記ホールドカバーよりも低い位置とした場合には、センターサポート部を前方に大きく開いても、落下防止カバーの上端がホールドカバーに対して前方に大きく離れることがない。それにより、落下防止カバーによる落下防止効果をより確実に発揮させることが可能である。
【0011】
前記ホールドカバー連結具(46)と同一の側に配置されるサイドサポート部(12B)と前記センターサポート部との間には、前記センターサポート部と前記サイドサポート部との結合部分を該結合部分の上端から下方に向かって切り開くように延びるスリット(16)が設けられるとともに、前記スリットを閉じるようにして前記センターサポート部と前記サイドサポート部とを連結するサイド連結具(15)が設けられてもよい。この形態によれば、ホールドカバー連結具を外して一方のサイドサポート部をホールドカバーから前方に開くとき、サイド連結具による連結も解除することによりスリットが開いてサイドサポート部の側方に大きな開口を生じさせることができる。その開口を通じて幼児を出し入れすることができるので、幼児を上方に大きく持ち上げる操作は不要である。それにより、幼児の出し入れを円滑かつ容易に行えるようになる。
【0012】
前記サポート本体の下部にはユーザの腰部に装着される腰パッド(6)が連結され、前記サポート本体には前記幼児をたて前向き抱っこ状態(図1(b))で収容することが可能であり、前記サポート本体と前記腰パッドとの連結部分には、当該左右方向の中央部にて前記サポート本体と前記腰パッドとを連結する中央連結具(55)と、前記中央連結具に対する左右方向両側で前記サポート本体と前記腰パッドとを連結する側方連結具(56)とが設けられ、前記側方連結具は連結及び分離が可能であり、前記側方連結具が分離された場合には前記たて前向き抱っこ状態で収容された幼児の両足を繰り出すための隙間(S2)が生じるようにしてもよい。この形態によれば、幼児をたて前向き抱っこ状態で収容する場合、サポート本体と腰パッドとの間の隙間を介して幼児の両足を腰パッドの前方に繰り出すことができる。そのため、たて前向き抱っこ状態で幼児を支持する際に幼児に不自然な姿勢を強いるおそれがない。一方、たて対面抱っこ状態で幼児を支持する場合には、中央連結具及び側方連結具を利用してサポート本体と腰パッドとをより広い範囲で相互に連結し、それにより、サポート本体と腰パッドとの一体性を高めることができる。
【0013】
さらに、前記腰パッドには、前記側方連結具を取り付けるための上方に突出した連結部(50c)が設けられ、前記側方連結具を分離した状態で、前記連結部は前記腰パッドの下方に折り返し可能とされてもよい。これによれば、側方連結部を分離して連結部を下方に折り返すことにより、サポート本体と腰パッドとの間の隙間を拡大し、それにより幼児の両足を通すに十分な大きさの隙間を確保することができる。
【0014】
なお、以上の説明では本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記したが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0015】
以上に説明したように、本発明の子守帯によれば、一対の肩ベルトと背側連結具との間において、背側連結具よりも上下方向に拡張された背受け部が設けられているので、ユーザの背側における荷重を受ける部分の面積を拡大することができる。これにより、背側における荷重の分散を図り、ユーザの肩への荷重の集中を緩和してユーザの負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一形態に係る子守帯の使用形態を示す図。
【図2】本発明の一形態に係る子守帯の正面図。
【図3】子守帯に設けられたサポート本体の正面図。
【図4】サポート本体の裏面図。
【図5】サイドファスナを閉じた状態を示す図。
【図6】サイドファスナをフラップで覆う様子を示す図。
【図7】ヘッドサポートベルトと肩ベルトとの連結部分の構成を示す図。
【図8】一方の肩ベルトに設けられたポケットの周囲を拡大して示す図。
【図9】他方の肩ベルトに設けられたポケットの周囲を拡大して示す図。
【図10】センターサポート部に対するホールドカバー等の接合部分の拡大図。ポ
【図11】図10のXI−XI線に沿った断面図。
【図12】図10のXII−XII線に沿った断面図。
【図13】ホールドカバーに対してセンターサポート部を開いて落下防止カバーを露出させた状態を示す図。
【図14】子守帯に設けられた腰パッドの正面図。
【図15】サポート本体と腰パッドとの連結部分を分離状態にて示す図。
【図16】サポート本体と腰パッドとの連結部分の部分拡大図。
【図17】たて抱っこ形態での使用に備えて子守帯を組み立てた状態を示す図。
【図18】腰パッドをユーザに装着する様子を示す図。
【図19】背側バックルを噛み合わせた状態で子守帯をユーザに装着する様子を示す図。
【図20】子守帯を装着したユーザをその背側から見た状態を示す図。
【図21】たて対面抱っこ形態にて幼児を収容する際の手順を示す図。
【図22】図21に続く手順を示す図。
【図23】ホールドカバーの両側に幼児の両足を通す様子を示す図。
【図24】図22に続く手順を示す図。
【図25】図24に続く手順を示す図。
【図26】たて前向き抱っこ形態での使用に備えてサポート本体と腰パッドとを連結する手順を示す図。
【図27】図26に続く手順を示す図。
【図28】たて前向き抱っこ形態にて幼児を収容する際の手順を示す図。
【図29】図28に続く手順を示す図。
【図30】図29に続く手順を示す図。
【図31】図30に続く手順を示す図。
【図32】子守帯をユーザに装着する前の段階で、幼児をたて対面抱っこ形態にて子守帯に収容した状態を示す図。
【図33】背受け部の変形例を示す図。
【図34】背受け部のさらなる変形例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して本発明の一形態に係る子守帯を説明する。図1に示すように、本形態の子守帯1は、成人のユーザ2が、幼児3を対面状態で抱っこするたて対面抱っこ形態(同図(a)の形態)と、幼児3を前向きの状態で抱っこするたて前向き抱っこ形態(同図(b)の形態)と、幼児3をよこ向きの姿勢で抱っこするよこ抱っこ形態(同図(c)の形態)と、幼児3をおんぶするおんぶ形態(同図(d)の形態)の四つの形態から一つの形態を選択して使用することが可能である。以下では、たて対面抱っこ形態、又はたて前向き抱っこ形態にて使用する場合を基準として子守帯1を説明する。よこ抱っこ形態では、よこ抱っこシート4が追加的に使用されるが、その詳細は本発明の要旨外なので説明を省略する。なお、以下の説明では、たて対面抱っこ形態、及びたて前向き抱っこ形態を、たて抱っこ形態と総称することがある。
【0018】
図2は、子守帯1の全体構成を示す正面図である。子守帯1は、サポート本体5と腰パッド6とを備えている。サポート本体5と腰パッド6とは相互に結合及び分離が可能である。サポート本体5は、複数枚の生地を縫い合わせて構成された基本構造を有し、幼児3の臀部から頭部までの範囲を覆うことが可能な大きさに形成された部品である。腰パッド6は、ユーザ2の腰回りに装着されて子守帯1の荷重を腰回りに分散させるための部品である。
【0019】
図3はサポート本体5の正面図、図4はその裏面図である。これらの図に示すように、サポート本体5にはセンターサポート部10が設けられている。センターサポート部10は、たて対面抱っこ形態において幼児3を背側から支持し、たて前向き抱っこ形態で幼児3を前側から支持する部分であって、一枚のシート状に形成されている。センターサポート部10の左右方向の両側には、幼児3を両側から支持するためのサイドサポート部12A、12Bが設けられている。なお、以下の説明において、サイドサポート部12A、12Bを特に区別する必要がないときはサイドサポート部12と表記する。
【0020】
サイドサポート部12A、12Bの上部とセンターサポート部10との間には切れ込み部14が設けられている。図3及び図4において左側に位置するサイドサポート部12Aは、センターサポート部10に一体に結合された一枚のカバー状に形成されている。これに対して、図3から明らかなように、右側に位置するサイドサポート部12Bは、その下部がセンターサポート部10と一体に結合されるように設けられる一方で、その上部はサイドファスナ15を介してセンターサポート部10と連結されている。サイドファスナ15は、センターサポート部10とサイドサポート部12Bとの結合位置の上端から下方に延びるように設けられている。そのため、サイドファスナ15を開いた場合、センターサポート部10とサイドサポート部12Bとの間には、センターサポート部10とサイドサポート部12Bとの結合部分をその上端から当該結合部分の下方に向かって切り開くようにしてスリット16が出現する。それにより、センターサポート部10とサイドサポート12Bとの間には、上下方向に沿った比較的長い開口部が生じる。図5に示すようにサイドファスナ15を閉じた場合には、サイドサポート部12Bがセンターサポート部10と連続する。それにより、サイドサポート部12Aと同様に一枚のカバー状の支持部材としてサイドサポート部12Bが機能する。なお、センターサポート部10とサイドサポート部12Bとの境界部分にはフラップ17が設けられている。フラップ17はセンターサポート部10と一体に接合されている。フラップ17とサイドサポート部12Bとのそれぞれには一対のホック18が設けられている。図6に矢印で示すように、サイドファスナ15上にフラップ17を被せてホック18で止めることにより、サイドファスナ15を覆い隠すことができる。
【0021】
図3及び図4に示すように、サイドサポート部12の上端には、左右一対の肩ベルト20のそれぞれの上端部20aが分離不能な状態で接合されている。サイドサポート部12の上部はセンターサポート部10に対して切り込み部14により分離されているので、それらの上部は肩ベルト20の一部(基部)として実質的に機能することができる。センターサポート部10の上方には、幼児3を頭部を支えるためのヘッドサポート部21が一体的に設けられている。ヘッドサポート部21は、センターサポート部10に対して曲げ線21aに沿って折り返し可能である。ヘッドサポート部21の両端部には、ヘッドサポートベルト22(図2参照)の一端部22aが分離不能に接合されている。各ヘッドサポートベルト22は、肩ベルト20とヘッドサポート部21とを相互に連結するために設けられている。
【0022】
図7に示すように、ヘッドサポートベルト22の他端部22bは、ヘッドサポートバックル23を介して肩ベルト20と連結可能である。ヘッドサポートバックル23は、ヘッドサポートベルト22に固定される雄バックル部23Aと、肩ベルト20に固定される雌バックル部23Bとを備えている。バックル部23A、23Bを噛み合わせることによりヘッドサポート部21と肩ベルト20とが相互に連結され、バックル部23A、23Bを分離することにより、ヘッドサポート部21と肩ベルト20との連結を解除することができる。各ヘッドサポートベルト22の外周にはヘッドサポートカバー24が設けられる。ヘッドサポートカバー24は、二組のホック25A、25Bを相互に嵌め合わせることにより、ヘッドサポートバックル23を覆い隠すようにしてヘッドサポートベルト22の外周に取り付け可能である。
【0023】
各肩ベルト20の下部には、脇ベルト26が長さ調整手段としてのラダーロック27を介して取り付けられている。脇ベルト26の先端には、脇ベルトバックル28の雌バックル部28Aが取り付けられている。ラダーロック27から雌バックル部28Aまでの部分が脇ベルト26の有効長であり、その有効長はラダーロック27に対する脇ベルト26の取付位置を調整することにより増減可能である。なお、ラダーロック27からは脇ベルト26の余長部分が垂れ下がっており、その先端には脇ベルト26を不使用時に束ねるためのゴム製のベルト止めバンド29が取り付けられている。図3に示すように、サイドサポート部12の内部には、脇ベルトバックル28の雄バックル部28Bが設けられている。サイドサポート部12の外周には、雄バックル部28Bにアクセスするための開口部(不図示)が形成されている。脇ベルト26の先端の雌バックル部28Aは、それらの開口部を介してサイドサポート部12の内部に挿入されて雄バックル部28Bと噛み合わされる。
【0024】
図4に示すように、各肩ベルト20には、子守帯1の左右方向内側、言い換えれば反対側の肩ベルト20と対向する側に開口するポケット30が設けられている。図8及び図9に示すように、ポケット30の開口端縁には、背受け部31を介して背側バックル(背側連結具)32の雌バックル部32A又は雄バックル部32Bが取り付けられている。バックル部32A、32Bを相互に噛み合わせることにより、左右の肩ベルト20を相互に連結することが可能である。背受け部31は、その一端部がポケット30の開口端縁にて肩ベルト20と接合され、かつその接合部分から子守帯1の左右方向内側に向かって延ばされ、その他端部にバックル部32A又は32Bが取り付けられている。背受け部31はバックル部32A、32Bよりも上下方向に拡張されている。すなわち、背受け部31は、その先端部がバックル部32A、32Bと同程度の寸法に形成され、かつ、先端部から肩ベルト20への接合部に向かうに従って上下方向に漸次拡大する形状を有している(図20も参照)。背受け部31は、サポート本体5や肩ベルト20に使用される布製の生地にて形成されてよい。メッシュ素材が背受け部31の素材として好適に利用される。
【0025】
図8に示すように、一方の肩ベルト20のポケット30にはフロントベルト33が収納されている。フロントベルト33はポケット30の内部で肩ベルト20と接合されている。フロントベルト33の先端部には、フロントバックル34の雄バックル部34Aが取り付けられている。一方、図9に示すように、他方の肩ベルト20のポケット30の内部には、フロントバックル34の雌バックル部34Bが取り付けられている。雌バックル部34Bは雄バックル部34Aと噛み合い可能である。それらのバックル部34A、34Bを噛み合わせることによっても肩ベルト20同士を連結することができる。なお、背側バックル32のバックル部32A、32B、及びフロントバックル34のバックル部34A、34Bはポケット30内に収納可能である。図8に示すように、一方の肩ベルト20のポケット30には、雌バックル部32Aをポケット30内に拘束するためのゴム製のバックル止めバンド35と、フロントベルト33及び雄バックル部34Aを収納するためのフロントベルトポケット36とが設けられている。また、図9に示すように、他方の肩ベルト20のポケット30には、雌バックル部34Bを収納するフロントバックルポケット37が設けられている。背側バックル32の雄バックル部32Bは、フロントバックル34の雌バックル部34B及びフロントバックルポケット37とポケット30の内面との間の隙間に差し込むことが可能である。
【0026】
図4に示すように、サポート本体5の裏面側にはホールドカバー40及び落下防止カバー41が設けられている。ホールドカバー40は、センターサポート部10と対向する一枚のシート状の支持部材として構成され、その下端部がセンターサポート部10の下端部に接合されている。センターサポート部10とホールドカバー40との間のスペースが、たて抱っこ形態にて幼児3を収容するスペースとなる。なお、図4ではホールドカバー40の左右方向における片側を捩って、落下防止カバー41を部分的に露出させた状態を示している。ホールドカバー40は、たて対面だっこ形態にて幼児3の股下から胸部を覆い、たて前向き抱っこ形態にて幼児3の臀部から背部にかけての部分を覆う支持部材として設けられている。落下防止カバー41は、センターサポート部10とホールドカバー40との間に配置され、幼児3の臀部を覆うシート状の支持部材として構成されている。落下防止カバー41もその下端部がセンターサポート部10の下端部に接合されている。
【0027】
図10は、センターサポート部10に対するホールドカバー40等の接合部分の拡大図、図11はその接合部分の図10におけるXI−XI線に沿った断面図、図12は接合部分の図10におけるXII−XII線に沿った断面図である。図11から明らかなように、サイドサポート部12A、12Bのそれぞれは、表側シート12a及び裏側シート12bを重ね合わせた構成を有している。落下防止カバー41は、その左右方向の両端部(図11の左右方向における端部)においてシート12a、12bの間に挟み込まれ、シート12a、12bと縫製位置SP1にて一体に縫い合わされている。それにより、落下防止カバー41の左右方向の端部はサイドサポート部12A、12Bと一体に接合されている。
【0028】
また、図12から明らかなように、ホールドカバー40及び落下防止カバー41の下端部は、センターサポート部10の下端部とホールドカバー40の下端部との間に落下防止カバー41の下端部が挟まれるようにして互いに重ね合わされ、縫製位置SP2にて一体に縫い合わされている。それにより、ホールドカバー40及び落下防止カバー41のそれぞれの下端部がセンターサポート部10の下端部に接合される。センターサポート部10とカバー40、41との接合位置には、エッジカバー42が一体に縫い付けられている。エッジカバー42は、カバー40、41の縫い合わせ部分を隠すようにセンターサポート部10の裏面側(図12において右側)まで折り返されてファスナカバー43(図4も参照)と重ね合わされる。カバー42、43の重ね合わせ部分はエッジカバー44にて覆われ、それらのカバー42、43、44は縫製位置SP3にて一体に縫い合わされている。さらに、カバー44、センターサポート部10、落下防止カバー41及びホールドカバー40は、縫製位置SP4にて一体に縫い合わされて相互に接合されている。なお、ホールドカバー40の上端部にはトップベルト部40aが袋状に折り返された状態で縫い付けられている。落下防止カバー41の上端部には折り返し部41aが形成されて縫い付けられている。折り返し部41aは、センターサポート部10及びトップベルト部40aのそれぞれの上端よりも低い位置にある。
【0029】
図13に示すように、ホールドカバー40は、そのトップベルト部40aの一端部40bにてサイドサポート部12Aと分離不能に接合されている。これに対してトップベルト部40aの他端部40cはサイドサポート部12Bに対して分離されている。したがって、ホールドカバー40は、サイドサポート部12Bの側を自由端として捩るように変形させることが可能である。そのようにホールドカバー40を捩ることにより、幼児3の収容スペースをサイドサポート部12Bの側に向かって開口させることができる。なお、ホールドカバー40のトップベルト部40aよりも下方の領域において、ホールドカバー40の両側部はサイドサポート部12A、12Bに対して分離され、それらの間には隙間が設けられている。
【0030】
落下防止カバー41は、その両端部がサイドサポート部12と接合され、下端部がセンターサポート部10と接合されている。したがって、落下防止カバー41はセンターサポート部10に対して上方に開口するポケットのように付属する。ただし、サイドファスナ15を開いてサイドサポート部12Bを開いた場合には、落下防止カバー41の一端部がサイドサポート部12Bと一体的に移動するので、落下防止カバー41によって形成されるポケットも側方に開口する。なお、図13から明らかなように、ホールドカバー40は、センターサポート部10の接合部から上方に向かうに従って漸次左右方向に幅が拡大する形状を有し、その上端部のトップベルト部40aは左右方向に幾らか突出するように設けられている。また、図3及び図13に示すように、落下防止カバー41はメッシュ素材にて形成され、幾らかの伸縮性を有している。特に、落下防止カバー41の上端の折り返し部41aは伸縮性に富む素材、一例としてゴム素材にて形成される。なお、図10に部分的に示したが、センターサポート部10もメッシュ素材にて形成される。
【0031】
図4に戻って説明を続ける。ホールドカバー40におけるトップベルト部40aは、その内部にホールドベルト45を備えている。ホールドベルト45の一端部はトップベルト部40aの内面側に接合され、他端部(先端部)にはホールドバックル46の雄バックル部46Aが取り付けられている。雄バックル部46Aは、トップベルト部40aの端部40cに向けられており、その端部40cは雄バックル部46Aを露出させることができるように開口している。サイドサポート12Bの裏面側には、ホールドバックル46の雌バックル部46Bが取り付けられている。バックル部46A、46Bを噛み合わせることにより、ホールドカバー40のトップベルト部40aの端部40cをサイドサポート部12Bと結合し、それにより肩ベルト20をトップベルト部40aを介して相互に連結することができる。図4から明らかなように、ファスナカバー43は、センターサポート部10の下端部のみならず、サイドサポート部12A、12Bの下端部にも同様に設けられている。中央のファスナカバー43上の二箇所には、ファスナカバーホック47Aが取り付けられている。なお、サポート本体5の裏面側(図4に示す側)には、ヨコだっこシート取付用の面ファスナ48が取り付けられている。
【0032】
図14は、腰パッド6の正面図である。腰パッド6は、上下方向に適度な幅を有するパッド本体50と、そのパッド本体50の一端部50aに固定された腰ベルト51とを有している。腰ベルト51には腰バックル52の雄バックル部52Aが取り付けられ、パッド本体50の他端部50bには腰バックル52の雌バックル部52Bが取り付けられている。バックル部52A、52Bを噛み合わせることにより、腰ベルト51をパッド本体50の端部50bと連結して、腰パッド6の全体をループ状に繋ぎ合わせることができる。腰ベルト51に対する雄バックル部52Aの取り付け位置は、腰ベルト51の長手方向に調整可能である。パッド本体50の端部50aから雄バックル部52Aの位置までが腰ベルト51の有効長である。腰ベルト51の雄バックル部52Aよりも先方に繰り出された余長部分は、雄バックル部52Aから折り返されて腰ベルト51上のベルトホルダ53に挟み込まれる。
【0033】
パッド本体50の中央上部には、センターファスナ55の一方のファスナテープ55Aが左右方向に延びるようにして取り付けられている。ファスナテープ55Aの両側には、パッド本体50の端部50a、50bに向かうに従って徐々に高さが増加する連結部50cが設けられている。各連結部50cの上部には、サイドファスナ56の一方のファスナテープ56Aが取り付けられている。また、ファスナテープ55Aの下方の二箇所にはファスナカバーホック47Bが取り付けられている。図15に示すように、サポート本体5の下端縁部の形状は、パッド本体50の上端縁部の形状と相補的に形成されている。図16に示すように、サポート本体5の下縁部であって、ファスナカバー43をめくり上げた位置には、センターファスナ55の他方のファスナテープ55Bと、サイドファスナ56の他方のファスナテープ56Bとが取り付けられている。センターファスナ55のファスナテープ55A、55Bを互いに噛み合わせることにより、センターサポート部10の下部と腰パッド6の中央上部とが連結され、サイドファスナ56のファスナテープ56A、56Bを互いに噛み合わせることにより、サイドサポート部12の下部と腰パッド6の左右の連結部50cとが連結される。なお、図16は一方のサイドサポート部12Bのみを示すが、反対側のサイドサポート部12Aと腰パッド6との関係も同様である。さらに、パッド本体50のファスナカバーホック47Bは、ファスナカバー43上のファスナカバーホック47Aと位置を合わせて設けられている。ファスナカバーホック47A、47Bを嵌め合わせることにより、ファスナカバー43を腰パッド6に連結することができる。
【0034】
次に、たて抱っこ形態における子守帯1の使用手順を説明する。以下は、子守帯1をユーザ2に装着し、その後に幼児3を子守帯1に収容する手順である。図17は、たて抱っこ形態における使用に備えて子守帯1が組み立てられた状態を示している。図17の状態においては、まず、サポート本体5と腰パッド6とが連結される。たて対面抱っこ形態の場合には、センターファスナ55及び一対のサイドファスナ56(図17では隠れて見えない。)を利用してサポート本体5と腰パッド6とが連結され、たて前向き抱っこ形態の場合にはセンターファスナ55のみを利用してサポート本体5と腰パッド6とが連結される。肩ベルト20からは背側バックル32のバックル部32A、32Bが背受け部31とともに引き出される。脇ベルト26は、脇ベルトバックル28を利用してサイドサポート部12A、12Bと連結される。ヘッドサポート部21は、ヘッドサポートベルト22及びヘッドサポートバックル23を利用して肩ベルト20と連結される(図7参照)。ホールドカバー40のトップベルト部40a(裏面側に隠れて見えない。)はホールドバックル46を利用してサイドサポート部12Bと連結される。サイドファスナ15(図3参照)は閉じられ、フラップ17もサイドサポート部12B上に固定される。
【0035】
以上の状態から、たて対面抱っこ形態にて幼児3を支持する手順を以下に説明する。図18に示すように、腰パッド6をそのパッド本体50の中央部が前方に位置するようにしてユーザ2の腰部にセットし、腰バックル52のバックル部52A、52Bを噛み合わせて腰パッド6をユーザ2に装着する。このとき、腰バックル52の雄バックル部52Aの腰ベルト51上における位置を変化させて、腰ベルト51を適切な長さに調整する。次に、背側バックル32のバックル部32A、32Bを噛み合わせて背受け部31を相互に連結する。その後、図19に示すように、背受け部32と肩ベルト20とによって形成された輪をくぐるようにして子守帯1をユーザ2に装着する。このとき、サポート本体5は、そのホールドカバー40がユーザ2の胸部に接し、センターサポート部10がユーザ2から見てホールドカバー40よりも遠方に位置する向きでユーザ2に装着される。図20に示すように、子守帯1を装着した状態で、左右の肩ベルト20は上下方向に沿って略平行に延び、かつ、背側バックル32及び背受け部31を介して互いに連結されている。背受け部31が背側バックル32よりも上下方向に拡張されているので、背側バックル32と同程度、又は背側バックル32よりも上下方向の幅が小さいベルト等の連結部材にて肩ベルト20同士を連結する場合と比較して、ユーザ2の背側における荷重を受ける部分の面積が拡大する。これにより、背側における荷重の分散を図り、ユーザ2の肩への荷重の集中を緩和してユーザ2の負担を軽減することができる。
【0036】
以上のようにして子守帯1をユーザ2に装着した後は、子守帯1に幼児3を収容する手順に移る。なお、以下の手順は、図21に示すようにユーザ2が椅子C等に座って行うことが望ましい。まず、ヘッドサポートバックル23を外してヘッドサポート部21と肩ベルト20との連結を解除する。また、フラップ17を留めるホック18を外し、サイドファスナ15を開く(図3参照)。これにより、センターサポート部10を前方に折り返すように開く。なお、図21から明らかなように、ホールドカバー40は、肩ベルト20間でユーザ2の胸部に密着するように配置されている。続いて、幼児3をユーザ2と向かい合わせになるようにして抱き上げて子守帯1に乗せる。このとき、図23にも示すように、センターサポート部10を前方に開いて落下防止カバー41とホールドカバー40との間にスペースS1を生じさせ、そのスペースS1に幼児3を入れるようにして、幼児3の両足3aをホールドカバー40の両側に通す。
【0037】
これにより、図22に示すように幼児3の臀部の周囲をホールドカバー40と落下防止カバー41との間に収容して、幼児3を確実に支持することができる。つまり、サポート本体5のセンターサポート部10が前方に大きく開かれた状態であっても、センターサポート部10とホールドカバー40とがそれらの下端部において結合されているので、幼児3が下方に落下するおそれがない。その落下防止効果は、落下防止カバー41とホールドカバー40との間に幼児3の臀部の周囲を腫瘍することにより、さらに確実に発揮される。しかも、落下防止カバー41の上端はホールドカバー40やセンターサポート部10のそれぞれの上端よりも十分に低いので、センターサポート部10の上部を大きく開いても落下防止カバー41の上端はホールドカバー40から前方に大きく離れることがなく、幼児3の支持効果が損なわれるおそれがない。これらの作用により、幼児3の落下を防止して安全性を高めることができる。また、幼児3を乗せる際には、センターサポート部10とサイドサポート部12Bとの間が側方に大きく開かれているので、幼児3を高く持ち上げることなく、子守帯1の側方からホールドカバー40とセンターサポート部10との間のスペースに容易に収容することができる。
【0038】
続いて、図24に示すように、サポート本体5を幼児3の背側に被せるようにして持ち上げ、ヘッドサポートバックル23を噛み合わせる。さらに、サイドファスナ15を閉じてサイドサポート部12Bとセンターサポート部10とを連結する。その後、図25に示すようにフラップ17をサイドサポート部12Bに被せてホック18を嵌め合わせる。以上により、たて対面抱っこ形態における幼児3の支持が完了する。なお、幼児3を降ろす際には、概ね上記と逆の手順に従えばよい。その場合も、サポート本体5を開いたときに落下防止カバー41が幼児3の臀部を支持しているので、幼児3の落下を防止できる。また、サイドファスナ15を開くことにより、センターサポート部10とサイドサポート部12Bとの間をきく開口させて幼児3を子守帯1から容易に取り出すことができる。
【0039】
次に、図17の状態からたて前向き抱っこ形態にて幼児3を支持する手順を以下に説明する。なお、子守帯1をたて前向き抱っこ形態にて使用する場合、上述したように、サポート本体5と腰パッド6とは、センターファスナ55のみを利用して連結される。その状態を図26に示す。この場合、サイドファスナ56(図では隠れて見えない。)が分離されているので、サイドサポート部12A、12Bと腰パッド6のパッド本体50における連結部50cとの間には隙間S2が生じる。それらの隙間S2は、たて前向き抱っこ形態にて、幼児3がその両足をサポート本体5の前方に繰り出すための通路として利用される。さらに、図27に示すように、連結部50cが下方に折り返されてパッド本体50の内部に収納される。これにより、隙間S2が拡大し、幼児3の両足を通すために十分な大きさの隙間S2を確保することができる。
【0040】
子守帯1をたて前向き抱っこ形態にて使用する場合、ユーザ2に対する子守帯1の装着は、図18〜図20を参照して説明したたて対面抱っこ形態における手順と同様の手順で行えばよい。子守帯1の装着後は、まず、図28に示すように、ヘッドサポートバックル23を外すとともに、ホック18を外してサイドファスナ15を開き、センターサポート部10を前方に折り返すようにして開く。続いて、図29に示すように、幼児3を前向きの姿勢で抱き上げて子守帯1に乗せる。このときも、図23と同様に、センターサポート部10を前方に開いて落下防止カバー41とホールドカバー40との間にスペースS1を生じさせ、そのスペースS1に幼児3を入れるようにして、幼児3の両足3aをホールドカバー40の両側に通す。これにより、幼児3の臀部の周囲をホールドカバー40と落下防止カバー41との間に収容して、幼児3を確実に支持することができる。したがって、サポート本体5のセンターサポート部10が前方に大きく開かれた状態であっても、幼児3の落下を防止して安全性を高めることができる。また、センターサポート部10とサイドサポート部12Bとの間が大きく開かれているので、幼児3を子守帯1の側方から収容することができ、幼児3を高く持ち上げる必要はない。さらに、サイドサポート部12A、12Bと腰パッド6の連結部50cとの間には隙間S2が開口しているので、その隙間S2を介して幼児3の両足を子守帯1の前方に繰り出すことが可能となる。そのため、幼児3の足の動きが邪魔されず、幼児3が不自然な姿勢を強いられるおそれがない。
【0041】
続いて、図30に示すように、センターサポート部10を持ち上げて幼児3の胸部に密着させる。さらに、ヘッドサポート部21を下向きに折り返し、その両端部をヘッドサポートバックル23によって肩ベルト20と連結する。さらに、サイドファスナ15を閉じてサイドサポート部12Bとセンターサポート部10とを連結し、その後、図31に示すようにフラップ17をサイドサポート部12Bに被せてホック18を嵌め合わせる。以上により、たて前向き抱っこ形態における幼児3の支持が完了する。なお、幼児3を降ろす際には、概ね上記と逆の手順に従えばよい。その場合も、サポート本体5を開いたときに落下防止カバー41が幼児3の臀部を支持しているので、幼児3の落下を防止できる。また、サイドファスナ15を開くことにより、センターサポート部10とサイドサポート部12Bとの間を大きく開口させて幼児3を子守帯1から側方に容易に取り出すことができる。
【0042】
なお、上記では、子守帯1をユーザ2に装着した後に幼児3を子守帯1に収容する手順を示したが、子守帯1に幼児3を乗せた後に子守帯1をユーザ2に装着することも可能である。例えば、たて対面抱っこ形態において、子守帯1に先に幼児3を乗せた状態を図32に示す。この場合には、図32の状態から、腰パッド6をユーザ2に装着し、続いて、背側バックル32を噛み合わせて肩ベルト20を互いに連結し、その後、図19と同様に、背受け部32と肩ベルト20とによって形成された輪をくぐるようにして子守帯1をユーザ2に装着すればよい。たて前向き抱っこ形態においても、同様に、幼児3を子守帯1に収容してから子守帯1をユーザ2に装着することも可能である。なお、子守帯1をおんぶ形態にて使用する場合には、図17の準備形態に対して、背側バックル32のバックル部32A、32Bを肩ベルト20内に収納し、代わりに、フロントベルト33(図2参照)を引き出す。その状態で、図32と同様にして子守帯1に幼児3を収容し、幼児3が背側になるようにして子守帯1を背負って肩ベルト20をユーザ2に装着し、さらに、フロントベルト33とフロントバックル34とを利用して、ユーザ2の胸側で肩ベルト20を相互に連結すればよい。
【0043】
なお、以上の形態においては、背側バックル32が背側連結具に相当し、ホールドバックル46がホールドカバー連結具に相当し、サイドファスナ15がサイド連結具に相当し、センターファスナ55が中央連結具に相当し、サイドファスナ56が側方連結具に相当する。ただし、背側連結具及びホールドカバー連結具には、バックル32、46に限らず、連結及び分離が可能な適宜の連結具が用いられてよい。サイド連結具については、ファスナに限らず、連結及び分離が可能な適宜の連結具が用いられてよい。例えば、サイドファス15に代えて、ボタン、面ファスナ等をサイド連結具として用いることができる。中央連結具及び側方連結具についても同様である。
【0044】
本発明は上述した形態に限定されることなく、種々の変更が可能である。例えば、上記の形態ではサイドサポート部12A、12Bと肩ベルト20とが分離不能に結合されているが、サイドサポート部12A、12Bは肩ベルト20に対してバックルその他の連結具を利用して肩ベルト20に対して分離可能な状態で結合されてもよい。ホールドカバー40のトップベルト部40aの端部40bはサイドサポート部12Aと分離不能に結合されているが、反対側の端部40cと同様にホールドバックル46等の連結具を利用して、端部40bをサイドサポート部12Aと分離可能な状態で結合してもよい。その場合でも、幼児3を出し入れする際に、端部40bをサイドサポート部12Aと結合し、端部40cをサイドサポート部12Bから分離すればよい。あるいは、サイドサポート部12Aとセンターサポート部10との間にもスリット16及びサイドファスナ15を設けるとともに、トップベルト40aの両端部40a、40bをバックル46によりサイドサポート部12と連結し、それにより、幼児3を出し入れする際にサイドサポート部12A又は12Bを択一的にセンターサポート部10に対して開くようにしてもよい。
【0045】
背受け部31は、一端部が肩ベルト20と分離不能に結合され、他端部に背側バックル32が取り付けられる形態に限らず、適宜の変更が可能である。例えば、図33に示すように、肩ベルト20の一部を左右方向中心側に膨らむように拡張部31Aを形成してそれらの先端にバックル32を装着し、それにより、拡張部31Aを背受け部として機能させてもよい。あるいは、図34に示したように、背側バックル32のバックル部32A、32Bを上下方向の幅が小さい連結ベルト60にて肩ベルト20と連結するとともに、それらの連結ベルト60の途中にバックル部32A、32Bよりも上下方向に拡張された別部品としての背受けパッド61を装着し、それらの背受けパッド61を背受け部として機能させてもよい。なお、図34に想像線で示したように、左右の背受けパッド61をさらに一体化して肩ベルト20の間に単一の背受けパッド61が背受け部として設けられてもよい。
【0046】
本発明の子守帯は、ユーザとサポート本体との間のスペースに、幼児をたて抱っこ形態にて収容できるものであれば足り、よこ抱っこ形態、あるいはおんぶ形態における使用は不可能であってもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 子守帯
2 ユーザ
3 幼児
5 サポート本体
6 腰パッド
10 センターサポート部
12A、12B サイドサポート部
15 サイドファスナ(サイド連結具)
16 スリット
20 肩ベルト
21 ヘッドサポート部
22 ヘッドサポートベルト
23 ヘッドサポートバックル
24 ヘッドサポートカバー
26 脇ベルト
28 脇ベルトバックル
31 背受け部
31A 拡張部(背受け部)
32 背側バックル(背側連結具)
40 ホールドカバー
40a トップベルト部
41 落下防止カバー
46 ホールドバックル(ホールドカバー連結具)
50 パッド本体
50c 連結部
55 センターファスナ(中央連結具)
56 サイドファスナ(側方連結具)
60 連結ベルト
61 背受けパッド(背受け部)
S2 サポート本体と腰パッドとの間の隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
幼児を支持するサポート本体と、ユーザの左右の肩回りに沿うように延ばされ、かつ両端部が前記サポート本体と結合される一対の肩ベルトと、前記ユーザの背側にて前記一対の肩ベルトを互いに連結する背側連結具とを備え、前記サポート本体を前記ユーザの前側に配置した状態で前記肩ベルトを前記ユーザの左右の肩回りにそれぞれ装着することにより、前記ユーザの前側にて前記サポート本体内に前記幼児をたて抱っこ状態で収容することが可能とされた子守帯であって、
前記一対の肩ベルトと前記背側連結具との間には、前記ユーザへの装着時における上下方向に関して前記背側連結具よりも拡張された背受け部が設けられている子守帯。
【請求項2】
前記肩ベルトは、前記ユーザの背側で前記上下方向に沿って略平行に延びるように設けられ、前記背受け部は、前記肩ベルトと結合される一端部から前記子守帯の左右方向内側に向かって延ばされ、他端部に前記背側連結具が取り付けられている請求項1に記載の子守帯。
【請求項3】
前記サポート本体には、前記ユーザとの間に前記幼児を前記たて抱っこ状態で収容するためのスペースが生じるようにして前記ユーザの前方に配置可能なセンターサポート部と、前記エンターサポート部の左右方向両側から前記幼児の側方に回り込むように延ばされて上端部が前記肩ベルトと結合される一対のサイドサポート部とが設けられ、前記センタサポート部の前記ユーザと対向する側には、前記幼児を前記たて抱っこ状態で収容するためのスペースを介して前記センタサポート部と対向するホールドカバーが設けられ、前記センタサポート部と前記ホールドカバーとの下端部が一体的に結合され、前記ホールドカバーの上端部には左右方向に延びるトップベルト部が設けられ、該トップベルト部の左右方向の両端部は前記サイドサポート部に結合され、該トップベルト部の少なくともいずれか一方の端部はホールドカバー連結具を介して前記サイドサポート部から分離可能な状態で前記サイドサポート部に連結され、かつ、前記トップベルト部よりも下方の領域では、前記ホールドカバーの側部が前記サイドサポート部に対して分離されている、請求項1又は2に記載の子守帯。
【請求項4】
前記センターサポート部と前記ホールドカバーとの間には、前記ホールドカバーとの間で幼児の臀部の周囲を支持する落下防止カバーが設けられ、該落下防止カバーの下端部はセンターサポート部及び前記ホールドカバーと一体に結合され、前記落下防止カバーの左右方向の端部は前記サイドサポート部に結合されている請求項3に記載の子守帯。
【請求項5】
前記落下防止カバーの上端は、前記センターサポート部及び前記ホールドカバーのそれぞれの上端よりも低い位置にある請求項4に記載の子守帯。
【請求項6】
前記ホールドカバー連結具と同一の側に配置されるサイドサポート部と前記センターサポート部との間には、前記センターサポート部と前記サイドサポート部との結合部分を該結合部分の上端から下方に向かって切り開くように延びるスリットが設けられるとともに、前記スリットを閉じるようにして前記センターサポート部と前記サイドサポート部とを連結するサイド連結具が設けられている請求項2〜5のいずれか一項に記載の子守帯。
【請求項7】
前記サポート本体の下部にはユーザの腰部に装着される腰パッドが連結され、
前記サポート本体には前記幼児をたて前向き抱っこ状態で収容することが可能であり、
前記サポート本体と前記腰パッドとの連結部分には、当該左右方向の中央部にて前記サポート本体と前記腰パッドとを連結する中央連結具と、前記中央連結具に対する左右方向両側で前記サポート本体と前記腰パッドとを連結する側方連結具とが設けられ、前記側方連結具は連結及び分離が可能であり、前記側方連結具が分離された場合には前記たて前向き抱っこ状態で収容された幼児の両足を繰り出すための隙間が生じる請求項2〜6のいずれか一項に記載の子守帯。
【請求項8】
前記腰パッドには、前記側方連結具を取り付けるための上方に突出した連結部が設けられ、前記側方連結具を分離した状態で、前記連結部は前記腰パッドの下方に折り返し可能とされた請求項7に記載の子守帯。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【公開番号】特開2013−85567(P2013−85567A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−225868(P2011−225868)
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(391003912)コンビ株式会社 (165)