説明

宅配ボックス

【課題】外出時に簡単にセットでき、また、セット後に破壊されにくい宅配ボックスを提供する。
【解決手段】宅配物を収納する収納ボックス30の後側部31cの、左右方向のほぼ中心の下端部に固定した「L」字形の取付部材43の水平部43bに、連結部材40の棒状部材41を立設する。一方、連結部材40の環状部材42を「コ」字形の係合部材40の連結部23に固定する。宅配ボックス1のセットに際し、棒状部材41の上方から、係合部材20と一体の環状部材42を挿通して下方に下げ、係合部材20を、開放状態の玄関ドアの下端と床面との間隙に対し、玄関ドアの開放端側から基端側に向けて係合させる。玄関ドアを閉鎖すると、係合部材20の係止部22が玄関ドアの内側に引っかかるので、外側から抜けなくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住人の不在時に玄関先にセットされて、宅配業者が宅配物を収納しておくための宅配ボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
宅配業者が宅配物を、例えば、戸建の住宅、マンションやアパート等の集合住宅に配達した際、住人が不在の場合は、宅配物を一旦持ち帰り、再度配達するケースが多い。このような場合、宅配業者にとっては、時間及び労力のロスとなり、特に、配達先が高層マンション等の場合には、ロスが多大となる。一方、住人にとっては、再度の配達によってはじめて宅配物を受け取ることができるために、受取時期が遅れてしまう。
【0003】
このような不具合を解消するための宅配ボックスが、例えば、特許文献1に開示されている。この宅配ボックスは、住人が外出する際に、玄関ドアの外側にセットするものである。宅配ボックスをダイヤルキー付きのワイヤで施錠し、さらに宅配ボックス自体が持ち去られることを防止するために、別のワイヤでダイヤルキー付きワイヤと玄関ドアとを連結している。
【0004】
宅配業者には、あらかじめダイヤルキーを解錠するための番号が知らされていて、宅配業者は、その番号で解錠した後、宅配ボックスに宅配物を収納し、その後、宅配ボックスをダイヤルキー付きのワイヤで施錠し、別のワイヤで、ダイヤルキー付きワイヤと玄関ドアとを連結する。
【0005】
住人は、帰宅した際に、別のワイヤを玄関ドアから外し、ダイヤルキー付きのワイヤを解錠して宅配ボックスを開放し、中から宅配物を取り出す。
【特許文献1】実開平6−42721号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、引用文献1の宅配ボックスによると、住人による外出時の宅配ボックスのセットや、帰宅時の宅配物の取り出しが煩雑で、時間がかかるという問題があった。すなわち、住人は、外出の際に宅配ボックスにダイヤルキー付きのワイヤを巻き付け、さらに、別のワイヤで宅配ボックスと玄関ドアとを連結する必要がある。一方、帰宅時には、ダイヤルキー付きのワイヤを解錠するとともに、別のワイヤを取り除く必要がある。
【0007】
そこで、本発明は、外出時の玄関先へのセットや、帰宅時の宅配物の取り出しが簡単であり、短時間で行うことができる宅配ボックスを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、外出する際に住人によって玄関先にセットされ、宅配業者によって宅配物が収納される宅配ボックスに関する。この発明に係る宅配ボックスは、上下方向を向いた基端側の開閉中心を基準として、先端側の開放端側が開閉される玄関ドアの下端部に対して係脱可能な係合部材と、閉鎖状態の前記玄関ドアの外側に配設されて、宅配物を収納する収納ボックスと、一端部が前記係合部材に接続され、他端部が前記収納ボックスに接続される連結部材と、を備え、前記係合部材は、前記閉鎖状態の前記玄関ドアの下端縁と床面との間に形成される間隙に、前記玄関ドアの内側と外側とを連通するように配置される連通部と、前記連通部のうちの、前記玄関ドアの内側に位置する内端部に立設されて、前記係合部材が前記玄関ドアの外側から引き抜かれようとしたときに前記玄関ドアの内側面に係合して、前記係合部材の引抜きを禁止する係止部と、前記連通部のうちの、前記玄関ドアの外側に位置する外端部に設けられて前記連結部材の前記一端部が連結される連結部と、を有し、前記係合部材を前記玄関ドアにセットするに際し、前記連通部を、開放状態の前記玄関ドアの前記間隙に、前記玄関ドアの前記開放端側から前記基端側に向けて挿入して前記係止部を前記玄関ドアの内側に配置し、前記連結部を前記玄関ドアの外側に配置した後、前記玄関ドアを閉鎖する、ことを特徴としている。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る宅配ボックスにおいて、前記連結部材は、前記係合部材と前記収納ボックスとを、相対高さ変更可能にフレキシブルに連結する、ことを特徴としている。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項2に係る宅配ボックスにおいて、前記係合部材は、前記連通部が板状に形成されるとともに、前記係止部が前記連通部の前記内端部側を上方に屈曲させることで形成されている、ことを特徴としている。
【0011】
請求項4に係る発明は、請求項3に係る宅配ボックスにおいて、前記連結部は、前記連通部の前記外端部側を上方に屈曲させることで形成されている、ことを特徴としている。
【0012】
請求項5に係る発明は、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の宅配ボックスにおいて、前記連結部材が、ワイヤ状部材又は鎖状部材によって形成されている、ことを特徴としている。
【0013】
請求項6に係る発明は、請求項5に係る宅配ボックスにおいて、前記連結部材は、前記連結部に固定されて中心軸がほぼ上下方向を向く環状部材と、前記収納ボックスの背面側において上下方向に向けて配置されるとともに、下端側が前記収納ボックスに固定されて前記環状部材が上方から挿脱される棒状部材とによって構成されている、ことを特徴としている。
【0014】
請求項7に係る発明は、請求項1ないし6のいずれか1項に係る宅配ボックスにおいて、前記収納ボックスが、施錠可能である、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によると、係合部材を玄関ドアの下端部に係合させて、収納ボックスを玄関先に配置することにより、宅配ボックスを簡単にセットすることができる。セット後には、係合部材を玄関ドアの外側から引き抜くことができない。したがって、係合部材に連結部材を介して連結された収納ボックスが持ち去れるようなことがない。また、宅配業者は、住人が不在の場合には、収納ボックスに宅配物を入れておくことができるので、再度の配達を行う必要がない。また、住人にとっては、宅配物を早く受け取ることができる。
【0016】
請求項2の発明によると、連結部材は、係合部材と収納ボックスとを相互の高さ位置を変更可能にフレキシブルに連結するので、係合部材が配設される玄関ドアの下方近傍と、収納ボックスが配設される玄関先とに段差がある場合でも、宅配ボックスを支障なくセットすることができる。
【0017】
請求項3の発明によると、板状の連通部の内端部に係止部を簡単に形成することができる。
【0018】
請求項4の発明によると、連通部の外端部に連結部を簡単に形成することができる。
【0019】
請求項5の発明によると、ワイヤ状部材又は鎖状部材により、係合部材と収納ボックスとを簡単にフレキシブルに連結することができる。
【0020】
請求項6の発明によると、セット後の収納ボックスの不要な動きを規制して、ほぼ環状部材を中心としたものに限定することができるので、収納ボックスがセットされた状態での玄関ドアの開閉を円滑に行うことができる。
【0021】
請求項7の発明によると、収納ボックスが施錠可能であるので、収納ボックス内に宅配された品物が盗まれるようなおそれがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明に係る宅配ボックスの最良の実施形態を図面に基づき詳述する。なお、各図面において、同じ符号を付した部材等は、同じ構成のものであり、これらについての重複説明は適宜省略するものとする。また、各図面においては、説明に不要な部材等は適宜、図示を省略している。
<実施形態1>
【0023】
図1〜図4を参照して、実施形態1に係る宅配ボックス1について説明する。このうち、図1は、宅配ボックス1全体を背面(後面)側の左斜め上方から見た斜視図である。図2(a)は宅配ボックス1の正面(前面)図、(b)は上面図、(c)は右側面図である。ただし、(b)及び(c)では錠は省略している。図3は、係合部材20を玄関ドア10にセットするようすを説明する図である。図4(a)は床面Fに段差がない場合、また(b)は、床面Fに段差がある場合の宅配ボックス1の使用例を説明する図である。
【0024】
これらの図に示すように、宅配ボックス1は、例えば、戸建の住宅、マンションやアパート等の集合住宅の玄関ドア10を利用して、玄関先(閉鎖位置(P1)に配置された玄関ドア10の外側)にセットされる。ここで、宅配ボックス1が適用される玄関ドア10としては、図3に示すように、片開きの一般的な玄関ドア10、すなわち、上下方向を向いた基端側(一方の長辺)11の開閉中心Cを基準として、先端側(開放端側)12が開閉される玄関ドア10が好適である。玄関ドア10は、縦長の長方形の板状に形成されていて、一方の長辺側(基端側11)がヒンジ(不図示)によって揺動自在に支持されている。玄関ドア10は、他方の長辺側(自由端側12)の、人のほぼ手の高さの位置に、ドアノブ(不図示)が設けられていて、玄関の内側からこのドアノブを回して、自由端側12を外側に押し出すと、ヒンジを基準として揺動し、開放位置P2に配置することができる。開放状態の玄関ドア10は、内側からドアノブを引くことにより、または、外側からドアノブを押すことにより、揺動させて、閉鎖位置P1に配置することができる。なお、玄関ドア10は、その下端部13と床面Fとの間に、後述する係合部材20の連通部21を挿入することが可能な間隙G(図2(b)参照)が形成されている。
【0025】
宅配ボックス1は、係合部材20と、収納ボックス30と、連結部材40とを備えており、後述するように、係合部材20が、玄関ドア10の下端部13に係合され、収納ボックス30が玄関先に配設され、連結部材40が係合部材20と収納ボックス30とを連結している。
【0026】
係合部材20は、断面「コ」字形の板状の部材によって構成されている。係合部材20は、それぞれ長方形状に形成された連通部21と係止部22と連結部23とが一体となって断面「コ」字形に形成されている。連通部21は、玄関ドア10の下端部13と床面Fとの間に形成される間隙(以下、「ドア下間隙」という。)Gに挿入される。連通部21の内端部21a(一方の端部側)には係止部22が立設され、外端部21b(他方の端部側)には連結部23が立設されている。図2(c)に示すように、係止部22と連結部23とは相互に対面するように配置されていて、両者間の距離xは、玄関ドア10の厚さTよりも少し大きく設定されている。係合部材20は、例えば、板厚が上述のドア下間隙Gよりも薄い金属板の一方の端部と他方の端部とを上方にほぼ90度屈曲させることで、係止部22と連結部23とこれらを接続する連通部21とを形成することができる。
【0027】
係合部材20は、開放位置P2に配置された開放状態の玄関ドア10の下端部13に、自由端側12から基端側11に向けてスライドさせるようにして係合される。この点については後に説明する。
【0028】
係合部材20の連結部23には、連結部材40の一部を構成する環状部材41が固定されている。なお、環状部材41については、後に連結部材40を説明する際に説明する。
【0029】
収納ボックス30は、図1,図2に示すように、ほぼ直方体状に形成されている。収納ボックス30は、ボックス本体31と蓋部材32と複数(4個)のキャスタ33とを備えている。
【0030】
ボックス本体31は、長方形状の底部31aと、この底部の4辺からそれぞれ立設される形成された4つの側部、すなわち前側部31b、後側部31c、右側部31d、左側部31eを有しており、これら側部の上端には、長方形状の開口部(不図示)が上方に向かって開口されている。蓋部材32は、ほぼ長方形状に形成されていて、後側部が、ボックス本体31の上端側に固定されたヒンジ34によって揺動自在に支持されていて、図2(c)に示すように、開口部を閉鎖する閉位置P3と、開口部を開放する開位置P4(図2(c)の二点鎖線)とをとるようになっている。蓋部材32の前面及びボックス本体31の前面には、左右方向の中心にそれぞれ錠取付板35a,35bがほぼ水平に突設されている。これら錠取付板35a,35bには、透孔35cが穿設されていて、錠36のフック36aが挿入されるようになっている。蓋部材32を閉位置P3に配置し、錠取付板35a,35bの透孔35cにフック36aを通して施錠することにより、蓋部材32の開放を禁止することができ、逆に、キー36bによって解錠することで、蓋部材32を開放することができる。ボックス本体31の底部31aの下面における4隅には、それぞれキャスタ33が取り付けられている。
【0031】
連結部材40は、収納ボックス30側に取り付ける棒状部材41と、係合部材20側に取り付ける環状部材42とによって構成されている。棒状部材41は、収納ボックス30の後側部に固定された取付部材43に立設されている。取付部材43は、「L」字形に形成されていて、垂直部43aの上端側がボックス本体31の後側部31cの、左右方向のほぼ中央の下端部に固定されている。水平部43bは、垂直部43aの下端から後方に延びるように形成されている。取付部材43は、補強部材44によって補強されている。上述の水平部43bは、上述のキャスタ33の下端よりも少し高い位置に配置されていて、キャスタ33を利用して、収納ボックス30を移動させたときに、床面Fに摺擦されないようになっている。さらに、水平部43bの上面は、後述する係合部材20側の環状部材42の下端よりも低い位置に配置されている。水平部43bの上面には、棒状部材41が上方に向かって立設されている。棒状部材41は、後述するように、環状部材42に下方から挿通されて、宅配ボックス1全体をセットしたときに、環状部材42から抜けないような長さに設定されている。
【0032】
環状部材42は、係合部材20の連結部23に固定されている。環状部材42は、周方向に直交する平面によって切断したときの断面形状が長方形状となるように、つまりドーナツを押しつぶしたような円環状に形成されている。環状部材42は、連結部23の前面に固定されていて、前方に向かって水平に突設されている。つまり、環状部材42の内側に形成される円形の空間が水平になるように配置されている。環状部材42の内径は、上述の棒状部材41の外径よりも大きく設定されていて、環状部材42の内側に、棒状部材41が下方から挿入することができるようになっている。環状部材42の高さ位置は、その下端に位置する部分が、水平部43bの上面よりも高くなるように設定されている。
【0033】
以上の構成の宅配ボックス1は、そのセットが極めて容易であり、また、玄関近傍の床面Fに段差があるような場合でも、支障なく簡単にセットすることができる。
【0034】
住人は、外出する際、宅配ボックス1をセットしていく。
【0035】
まず、収納ボックス30を玄関先に出して、棒状部材41が玄関ドア10の近傍に位置するように位置決めする。係合部材20を、その連通部21が下方に位置する姿勢で持ち、係合部材20と一体の環状部材42を、棒状部材41の上端側から嵌めて、徐々に下降させて、係合部材20をその連通部21が床面Fに接触するようにして置く。図3に示すように、玄関ドア10を開放し、収納ボックス30とともに、係合部材20を移動させて、係合部材20が、開放されている玄関ドア10の下端部13の自由端側12近傍に位置するようにする。
【0036】
係合部材20を、その連通部21がドア下間隙Gに挿入されるように玄関ドア10の下端部13の自由端側12側から基端側11に向けてスライド移動させる。これにより、係止部22が玄関ドア10の内側に位置し、連結部23が玄関ドア10の外側に位置する。この状態から玄関ドア10を閉鎖して閉鎖位置P2に移動させ、玄関ドア10に施錠すれば、宅配ボックス1のセットが終了する。
【0037】
ここで、収納ボックス30の施錠については、住人が宅配ボックス1をセットする際に施錠してもよく、また、セット後に、宅配業者が収納ボックス30に宅配物を入れた際に施錠するようにしてもよい。いずれの場合も、住人と宅配業者とは、同じキー36bをそれぞれ所有するようにする。なお、複数の数字を合わせることで開錠が可能なナンバー錠を使用するようにしてもよい。また、施錠をしないようにすることも可能である。ただし、この場合には、他人によって、不要なものが収納ボックス30内に入れられたり、宅配業者が収納した宅配物が不当に持ち去られたりするおそれがあるので、施錠することが好ましい。
【0038】
本実施形態によると、上述のように、宅配ボックス1のセットに際しては、係合部材20と一体の環状部材42を棒状部材41に嵌め、その後、係合部材20を玄関ドア10の下端部13に係合させる、といった簡単な動作で、宅配ボックス1をセットすることができる。
【0039】
また、連結部材40が、相互に係脱可能な環状部材42と棒状部材41とによって構成されていて、係合部材20と収納ボックス30とが相互に上下方向に相対移動が可能であるので、例えば、図4(b)に示すように、玄関先の床面Fに高さが異なる床面F1,F2があって段差があるような場合でも、係合部材20と収納ボックス30とがそれぞれ高さが異なる床面F1,F2に配置することができ、支障なく対応することができる。
【0040】
また、住人が帰宅した際に、宅配ボックス1がセットされた状態の玄関ドア10を開放することになるが、収納ボックス1が、棒状部材41に係合された環状部材42を介して、係合部材20に連結され、さらに収納ボックス30にキャスタ33が設けてあるので、玄関ドア10の開放動作に対して、収納ボックス30がよく追従して移動し、開放動作の妨げにならない。
【0041】
本実施形態によると、連結部材40を棒状部材41と環状部材42によって形成することにより、セット状態の収納ボックス30を閉鎖状態の玄関ドア10に近接して配置することができるので、連結部材40が収納ボックス30の後側に隠れて外部から見えにくい(人目に付きにくい)ので、外部からは収納ボックス30がどのような状態で、セットされているかがわからず、したがって、破壊されたりするおそれが低い。また、仮に外部から収納ボックス30の後方をのぞき込んで、連結部材40の構造がわかったとしても、収納ボックス30の後側部31cと閉鎖状態の玄関ドア10との間の間隙を狭くすることができるので、工具等を間隙に差し入れて連結部材40が破壊される可能性も低い。さらに、連結部材40が、収納ボックス30に対して、その後側部31cの左右方向のほぼ中央で、かつ下端側に配置、つまり、外部から連結部材40を破壊するためにアクセスしようとした場合に、収納ボックス30の上面及び左右の側面から最も遠い位置に配置されているので、このことによっても破壊されにくい。
【0042】
上述では、係合部材20は、板状の部材を屈曲させて、連通部21と係止部22と連結部23とを有する断面「コ」字状に形成したが、本発明においては、これに限定されず、例えば、連通部21の内端部21a(図1参照)を内側に延ばし、この延ばした部分に棒状の係止部やブロック状の係止部を立設するようにしてもよい。つまり、係止部21は、係合部材20を閉鎖状態の玄関ドア10に係合させた状態において、玄関ドア10の外側から係合部材20を引き抜くことができないように、玄関ドア10の内面に係止されるものであれば、その形状等は任意のものとすることができる。また、連結部23についても、上述では、連通部21の外端部21bに垂直に立設するように液制したが、これに限らず、例えば、外端部21bから斜め上方に延びるように形成してもよい。すなわち、連結部23は、環状部材42を、所定の位置(取付部材43の水平部43bよりも高い)に保持できることができれば、任意の形状とすることができる。なお、環状部材42は他の形状、例えば、ドーナツ形であってもよい。
<実施形態2>
【0043】
図5に、実施形態2に係る宅配ボックスを示す。本実施形態では、連結部材40Aをワイヤ部材や鎖部材等の策状体によって構成し、この連結部材40Aによって、係合部材20と収納ボックス30とを連結している。すなわち、係合部材20の外端部21bから連結部23aを延ばし、この連結部23aに連結部40Aの一端部40aを接続し、連結部材40Aの他端部を取付部材43の水平部43bに接続する。また、連結部材40Aの長さについては、例えば、図4(b)に示すように、床面F1,F2の高さが異なる場合でも、これに対処できるように、適度な長さの余裕を設けておく。これにより、係合部材20と収納ボックス30とをフレキシブルに連結することができ、係合部材20と収納ボックス30とが上下方向に相対移動可能であるので、玄関先の床面F1,F2に段差があっても支障なく対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】宅配ボックス1全体を背面(後面)側の左斜め上方から見た斜視図である。
【図2】(a)は宅配ボックス1の正面(前面)図、(b)は上面図、(c)は左側面図である。ただし、(b)及び(c)では錠は省略している。
【図3】係合部材20を玄関ドア10にセットするようすを説明する図である。
【図4】(a)は床面Fに段差がない場合、また(b)は、床面Fに段差がある場合の宅配ボックス1の使用例を説明する図である。
【図5】実施形態2の宅配ボックスの連結部材40Aを説明する図である。
【符号の説明】
【0045】
1 宅配ボックス
10 玄関ドア
11 基端側
12 自由端側(開放端側)
13 下端部
20 係合部材
21 連通部
21a 内端部
21b 外端部
22 係止部
23 連結部
30 収納ボックス
31 ボックス本体
32 蓋部材
33 キャスタ
36 錠
40,40A
連結部材
41 棒状部材
42 環状部材
43 取付部材
43a 垂直部
43b 水平部
G ドア下間隙(間隙)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外出する際に住人によって玄関先にセットされ、宅配業者によって宅配物が収納される宅配ボックスにおいて、
上下方向を向いた基端側の開閉中心を基準として、先端側の開放端側が開閉される玄関ドアの下端部に対して係脱可能な係合部材と、
閉鎖状態の前記玄関ドアの外側に配設されて、宅配物を収納する収納ボックスと、
一端部が前記係合部材に接続され、他端部が前記収納ボックスに接続される連結部材と、を備え、
前記係合部材は、
前記閉鎖状態の前記玄関ドアの下端縁と床面との間に形成される間隙に、前記玄関ドアの内側と外側とを連通するように配置される連通部と、
前記連通部のうちの、前記玄関ドアの内側に位置する内端部に立設されて、前記係合部材が前記玄関ドアの外側から引き抜かれようとしたときに前記玄関ドアの内側面に係合して、前記係合部材の引抜きを禁止する係止部と、
前記連通部のうちの、前記玄関ドアの外側に位置する外端部に設けられて前記連結部材の前記一端部が連結される連結部と、を有し、
前記係合部材を前記玄関ドアにセットするに際し、前記連通部を、開放状態の前記玄関ドアの前記間隙に、前記玄関ドアの前記開放端側から前記基端側に向けて挿入して前記係止部を前記玄関ドアの内側に配置し、前記連結部を前記玄関ドアの外側に配置した後、前記玄関ドアを閉鎖する、
ことを特徴とする宅配ボックス。
【請求項2】
前記連結部材は、前記係合部材と前記収納ボックスとを、相対高さ変更可能にフレキシブルに連結する、
ことを特徴とする請求項1に記載の宅配ボックス。
【請求項3】
前記係合部材は、前記連通部が板状に形成されるとともに、前記係止部が前記連通部の前記内端部側を上方に屈曲させることで形成されている、
ことを特徴とする請求項2に記載の宅配ボックス。
【請求項4】
前記連結部は、前記連通部の前記外端部側を上方に屈曲させることで形成されている、
ことを特徴とする請求項3に記載の宅配ボックス。
【請求項5】
前記連結部材が、ワイヤ状部材又は鎖状部材によって形成されている、
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の宅配ボックス。
【請求項6】
前記連結部材は、前記連結部に固定されて中心軸がほぼ上下方向を向く環状部材と、前記収納ボックスの背面側において上下方向に向けて配置されるとともに、下端側が前記収納ボックスに固定されて前記環状部材が上方から挿脱される棒状部材とによって構成されている、
ことを特徴とする請求項5に記載の宅配ボックス。
【請求項7】
前記収納ボックスが、施錠可能である、
ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の宅配ボックス。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−51704(P2010−51704A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−221977(P2008−221977)
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(508262283)
【Fターム(参考)】