安全スイッチ
【課題】 ロック体のロック位置とアンロック位置との間の移動に連動して、ロック機構に設けられた開閉器の開閉状態が確実に切り換わる安全スイッチを提供する。
【解決手段】 ロック体80の移動に伴って常開および常閉開閉器85,86の開閉状態を直接的に同時に切り換えるリンク体81dを有するため、常開および常閉開閉器85,86の開閉状態をロック体80のロック位置とアンロック位置との間の移動に連動して確実に切り換えることができる。その結果、例えば、常開および常閉開閉器85,86の開閉状態をモニタすることで、ロック体80がロック位置またはアンロック位置のどちらに移動しているのか、すなわち、駆動カム15の回転がロック状態またはアンロック状態のどちらの状態であるのかを判別することができる。
【解決手段】 ロック体80の移動に伴って常開および常閉開閉器85,86の開閉状態を直接的に同時に切り換えるリンク体81dを有するため、常開および常閉開閉器85,86の開閉状態をロック体80のロック位置とアンロック位置との間の移動に連動して確実に切り換えることができる。その結果、例えば、常開および常閉開閉器85,86の開閉状態をモニタすることで、ロック体80がロック位置またはアンロック位置のどちらに移動しているのか、すなわち、駆動カム15の回転がロック状態またはアンロック状態のどちらの状態であるのかを判別することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば産業機械等の防護扉周縁の壁面に取り付けられ、防護扉が開かれたときには、産業機械等への電源供給を停止する安全スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、産業機械の防護扉などには、作業者が機械に巻き込まれて負傷するといったトラブルの発生を防止することを目的として、防護扉が完全に閉まっていないときには、機械を駆動させないようにする安全スイッチが配設されている。このような安全スイッチの一例として、例えば、特許文献1に記載の安全スイッチのように、アクチュエータが安全スイッチ内に挿入された後、該アクチュエータを安全スイッチ内で機械的にロックすることにより、操作キーの引抜を防止するロック機構を備えているものがある。
【0003】
このロック機能を備える安全スイッチは、例えば、アクチュエータを防護扉に突出状態に設けるとともにスイッチ本体を防護扉が閉じた時にアクチュエータが挿入孔から挿入される位置に配設すると、防護扉を閉じる時にアクチュエータが挿入孔からスイッチ本体内に挿入される。そして、このアクチュエータの挿入に伴ってカム状板(駆動カム)が回転され、このカム状板が回転することによって各カム孔に倣いながら摺接するカムフォロワピンがピンガイド板のガイド部に案内されて移動し、このカムフォロワピンを一体に備えたスイッチ切換体も移動されてスイッチ部が切り換えられる。
【0004】
また、アクチュエータの挿入によるカム状板の回転時、弾性体により回動付勢されたロックレバー(ロック体)の係止杆が、略円板状のカム状板に常時当接されて摺接し、カム状板がスイッチ部を切り換える状態まで回動された時点で、係止杆が係合段部に対向してこの係合段部に係入するようロックレバーが回動する。したがって、アクチュエータの抜脱方向への移動によるカム状板の回転が、係止段部が係止杆に当接して阻止され、アクチュエータの抜脱方向への移動つまり防護扉の開放を禁止するよう機械的にロックする。そして、例えば産業機械が停止してその検出信号の入力によりロック機構のソレノイドユニットに配設されたソレノイドが作動されると、このソレノイドの作動ロッドによりロックレバーが弾性体の付勢力に抗し作動されて係止杆が係合段部から離間し、ロックが解除される。
【0005】
続いて、図13を参照しつつソレノイドユニットについて詳述する。ソレノイドユニットには通常、図13に示すように、ソレノイド127が作動されることによって移動する作動ロッド127aの動きに連動して開閉し、ソレノイド127が通電遮断されたロック状態のときに開状態となる常開開閉器124と閉状態となる常閉開閉器125とが設けられている。また、作動ロッド127には操作体127bが連結されており、その操作体127bにはロックレバー127cが係合されている。そして、ソレノイド127が作動されることによって移動する作動ロッド127aの動きに伴って操作体127bが移動し、その操作体127bの移動に連動してロックレバー127cが移動して、ロックレバー127cの係止杆と係合段部との係合状態が解除される。なお、図13は従来の安全スイッチのソレノイドユニットを示す断面図である。
【0006】
続いて、常開および常閉開閉器124,125、操作体127b、ロックレバー127cの動作について詳述する。常開および常閉開閉器124,125は、それぞれ、可動接点および固定接点とを備えている。そして、ソレノイド127の作動ロッド127aの動きを可動接点に伝達して可動接点を移動させる第1および第2リンク体がそれぞれ配設されている。そして、ソレノイド127が通電状態となれば、作動ロッド127aが矢印ONの方向へ移動するのに伴い、第1および第2リンク体が同様に矢印ONの方向へ移動して可動接点も矢印ONの方向へ移動する。その結果、常開開閉器124の可動接点と固定接点とが接触状態となって常開開閉器124は閉状態となり、常閉開閉器125の可動接点と固定接点とが開離状態となって常閉開閉器125は開状態となる。そして、作動ロッド127aが矢印ONの方向へ移動するのに伴い、操作体127bも矢印ONの方向へ移動する。この操作体127bの矢印ON方向への移動に連動して、操作体127bに係合しているロックレバー127cが移動して、安全スイッチがアンロック状態となる。また、ソレノイド127が通電遮断されれば、図示省略する復帰バネの付勢力によって作動ロッド127aが矢印ONと反対方向へ移動するのに伴い、第1および第2リンク体並びに可動接点が作動ロッド127aの移動方向と同じ方向へ移動して、常開および常閉開閉器124,125がそれぞれ開および閉状態となる。また、操作体127bも作動ロッド127aと同じ方向に移動して、この操作体127bの移動に連動してロックレバー127cが移動して、ロックレバー127cの係止杆と係合段部とが係合状態となって安全スイッチがロック状態となる。そして、これらの常開および常閉開閉器124,125の開閉状態をモニタすることによって、ロック機構のロック状態を検出することができる。
【0007】
【特許文献1】特開平6−76675号公報([0008]〜[0009],図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記した従来の安全スイッチでは、作動ロッド127a、操作体127bおよびロックレバー127cが連動して移動することによって、常開および常閉開閉器124,125の開閉状態が切り換わり、ロック機構のロック状態を検出することができた。このように、従来の安全スイッチでは、ロック体(ロックレバー127c)と第1および第2リンク体(常開および常閉開閉器124,125)とが直接的に連結されていなかったため次のような問題が生じることがあった。すなわち、ロック体と第1および第2リンク体とが、作動ロッド127a、操作体127bを介して連結されているため、例えば、操作体127bとロック体との係合状態に外れや緩みが生じ、ロック体と第1および第2リンク体とがうまく連動せずに移動しないことがある。その結果、ソレノイド127が通電状態となった場合、操作体127bとロック体とが連動して移動しないため、ロック体と係合段部との係合状態が解除されていないのにも関わらず、常開および常閉開閉器124,125の開閉状態は正常に切り換わりアンロック状態を示す状態となってしまうことがあった。また、ソレノイド127が通電遮断状態となった場合、操作体127bとロック体とが連動して移動しないため、ロック体と係合段部との係合状態が解除されている状態のままであるのにも関わらず、常開および常閉開閉器124,125は正常に切り換わりロック状態を示す状態となってしまうことがあった。このように、ロック体と両開閉器との連結状態に問題が生じていたとしても、開閉器がソレノイド127の通電状態に応じて正常に動作してしまうため、常開および常閉接点124,125の開閉状態をモニタするのみでは、ロック機構がロック状態にあるのかアンロック状態にあるのかが判別できない場合があった。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、ロック体のロック位置とアンロック位置との間の移動に連動して、ロック機構に設けられた開閉器の開閉状態が確実に切り換わる安全スイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記した課題を解決するため、本発明にかかる安全スイッチは、スイッチ本体の操作部に進入・後退自在にアクチェータが設けられ、前記アクチュエータの進入・後退に応じて、スイッチ部に設けられた操作ロッドが往復移動することによりスイッチ部側開閉器が開閉して前記アクチュエータの進入・後退を検出する安全スイッチにおいて、前記操作部に回転自在に設けられた駆動カムと、前記スイッチ本体のロック機構部に設けられ前記駆動カムの回転をロックするロック機構とを備え、前記駆動カムは、前記アクチュエータの前記操作部への進入・後退に伴って両方向へ回転し、この両方向への回転により前記操作ロッドを往復運動させ、前記ロック機構は、ロック位置とアンロック位置との間を移動自在に設けられ、前記アクチュエータが進入状態にあるときに前記ロック位置への移動により前記駆動カムの回転をロックし、前記アンロック位置への移動により前記駆動カムの回転のロック状態を解除するロック体と、前記ロック体を移動させる駆動部と、少なくとも1つのロック機構側開閉器と、前記ロック体の移動に連動して、前記ロック機構側開閉器の開閉状態を切り換えるリンク体とを有することを特徴としている(請求項1)。
【0011】
このように構成すると、アクチュエータのスイッチ本体の操作部への進入・後退に伴って駆動カムが両方向へ回転し、この駆動カムの両方向への回転に伴い操作ロッドが往復運動して、該操作ロッドの往復運動に伴って、スイッチ部側開閉器が開閉する。そして、アクチュエータが進入状態にあるときにロック機構の駆動部がロック体をロック位置まで移動させることによって駆動カムの回転がロックされ、ロック体をアンロック位置まで移動させることによって駆動カムの回転のロック状態が解除される。また、リンク体が、ロック体の移動に伴ってロック機構に設けられたロック機構側開閉器の開閉状態を直接的に切り換えるため、ロック機構側開閉器の開閉状態をロック体のロック位置とアンロック位置との間の移動に連動して確実に切り換えることができる。また、リンク体が、ロック体のロック位置とアンロック位置との間の移動に連動してロック機構に設けられたロック機構側開閉器の開閉状態を切り換えるため、例えば、ロック機構に設けられたロック機構側開閉器の開閉状態をモニタすることで、ロック体がロック位置またはアンロック位置のどちらに移動しているのか、すなわち、駆動カムの回転がロック状態またはアンロック状態のどちらの状態であるのかを判別することができる。
【0012】
また、前記ロック機構は2つ以上の前記ロック機構側開閉器を有し、前記リンク体は前記ロック体と前記各ロック機構側開閉器それぞれの可動接点とを連結して配設されている構成でもよい(請求項2)。このような構成とすれば、ロック体と2つ以上のロック機構側開閉器それぞれの可動接点とがリンク体によって直接連結されているので、ロック体の移動に伴ってリンク体が移動し、このリンク体の移動に伴ってロック機構側開閉器の可動接点が確実に移動する。その結果、ロック体のロック位置とアンロック位置との間の移動に連動して、これらのロック機構側開閉器の開閉状態を確実に同時に切り換えることができる。したがって、例えば、所謂、2重化対策として、これらのロック機構側開閉器の開閉状態を同時にモニタすることで、駆動カムの回転がロック状態またはアンロック状態のどちらの状態であるのかを確実に判別することができる。
【0013】
また、前記ロック機構は2つ以上の前記ロック機構側開閉器として、常開開閉器および常閉開閉器を有し、前記リンク体は、前記ロック体と、前記常開開閉器および前記常閉開閉器それぞれの可動接点とを連結して配設されている構成でもよい(請求項3)。このような構成とすれば、ロック体とリンク体とが連結されているため、ロック体の移動に伴ってリンク体が移動する。そして、このリンク体には常開および常閉開閉器のそれぞれの可動接点が連結されているため、リンク体の移動に伴って常開および常閉開閉器それぞれの可動接点が同時に移動する。そのため、ロック体の移動に連動して、常開および常閉開閉器の開閉状態を確実に同時に切り換えることができる。また、例えば、常開および常閉開閉器のいずれか一方に溶着が生じて、その可動接点が正常に移動できないときには、溶着している方の可動接点に連結されているリンク体も移動することができない。そのため、同様にリンク体に連結されている他方の正常な開閉器の可動接点も移動することがない。したがって、一方の開閉器に問題が生じているときには、他方の開閉器が正常に動作するのを防止することができるため、常開および常閉開閉器が、確実に相反する開閉状態を維持することができる。
【0014】
前記駆動部は、前記ロック機構部に配設され、通電により発生した電磁的吸引力によって作動体が変位するヒンジ型電磁石と、前記作動体の変位を前記ロック体に伝達して前記ロック体を移動させる伝達部とを備える構成でもよい(請求項4)。このような構成とすれば、駆動部は、ヒンジ型電磁石への通電により発生した電磁的吸引力よる作動体の変位を、伝達部によってロック体に伝達して該ロック体を移動させている。このように、ヒンジ型電磁石への通電による電磁的吸引力による作動体の変位を、伝達部によってロック体に伝達してロック体を移動させているため、プランジャ型電磁石のように該電磁的吸引力を直線的に利用するのに比べ、薄型かつ小型の安全スイッチを提供することができる。
【0015】
前記リンク体が前記伝達部として機能し、前記作動体が前記リンク体の一部に係合し、前記作動体の変位が前記リンク体を介して前記ロック体と前記ロック機構側開閉器に伝達される構成でもよい(請求項5)。このような構成とすれば、ヒンジ型電磁石への通電により発生した電磁的吸引力を作動体に係合したリンク体を介してロック体とロック機構側開閉器に伝達しているので少ない構成部品でロック機構側開閉器を確実に開閉することができる。
【0016】
また、前記スイッチ本体は直方体状を有し、前記スイッチ本体の対向する一組の隅部の一方にアクチュエータ進入口が、他方にケーブル引き出し口がそれぞれ形成されており、前記ケーブル引き出し口からケーブルが、ほぼ前記対向する一組の隅部を結ぶ方向へ引き出されている構成でもよい(請求項6)。このような構成とすれば、アクチュエータ進入口と、ケーブル引き出し口との関係から、ケーブルの引き出し方向の自由度が高く、安全スイッチを壁面または防護扉へ配設可能であり、また、アクチュエータ進入口が水平/垂直向きのどちらにでも配設可能となる。また、安全スイッチを裏表、どちらの面を配設場所へ密着させることもできる。したがって、安全スイッチの取り付けの自由度が増し、安全スイッチ取付けの選択範囲を広げることができる。
【0017】
また、前記スイッチ部側開閉器が、前記スイッチ本体内において外部接続用ケーブルの端部に電気的に接続され、前記スイッチ部側開閉器の接点の開閉による電気信号によって前記アクチュエータの進入・後退の状態を検出するものである構成でもよい。このような構成とすれば、スイッチ部側開閉器の接点の開閉による電気信号により、外部からアクチュエータの進入・後退を検出することができる。
【0018】
また、前記ロック機構の少なくとも前記ロック体は、ユニット化されて前記駆動部に対して組み込み・取り外し自在に配設されている構成としてもよい。このような構成とすれば、ロック体がユニット化されて駆動部に対して組み込み・取り外し自在に配設されているため、ロック体が破損した場合であっても、このユニットを交換すればよく、短時間で作業効率よく安全スイッチを復元することができる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、請求項1に記載の発明によれば、リンク体が、ロック体の移動に伴ってロック機構に設けられたロック機構側開閉器の開閉状態を直接的に切り換えるため、ロック機構側開閉器の開閉状態をロック体のロック位置とアンロック位置との間の移動に連動して確実に切り換えることができる。したがって、リンク体が、ロック体のロック位置とアンロック位置との間の移動に連動してロック機構に設けられたロック機構側開閉器の開閉状態を確実に切り換えるため、例えば、ロック機構に設けられたロック機構側開閉器の開閉状態をモニタすることで、ロック体がロック位置またはアンロック位置のどちらに移動しているのか、すなわち、駆動カムの回転がロック状態またはアンロック状態のどちらの状態であるのかを判別することができる。
【0020】
また、請求項2に記載の発明によれば、ロック体と2つ以上のロック機構側開閉器それぞれの可動接点とがリンク体によって直接連結されている。そのため、ロック体の移動に伴ってリンク体が移動し、このリンク体の移動に伴ってロック機構側開閉器の可動接点が確実に移動する。その結果、ロック体のロック位置とアンロック位置との間の移動に連動して、各ロック機構側開閉器の開閉状態を確実に同時に切り換えることができる。
【0021】
また、請求項3に記載の発明によれば、ロック体とリンク体と常開および常閉開閉器のそれぞれの可動接点とを連結することによって、ロック体の移動に連動して、常開および常閉開閉器の開閉状態を確実に同時に切り換えることができる。また、例えば、常開および常閉開閉器のいずれか一方の接点に溶着が生じて、その可動接点が正常に移動できないときには、溶着している方の可動接点に連結されているリンク体も移動することができないため、同様にリンク体に連結されている他方の正常な開閉器の可動接点も移動することがないので、常開および常閉開閉器が、確実に相反する開閉状態を維持することができる。
【0022】
また、請求項4に記載の発明によれば、駆動部は、ヒンジ型電磁石への通電による電磁的吸引力による作動体の変位を、伝達部によってロック体に伝達してロック体を移動させているため、プランジャ型電磁石のように該電磁的吸引力を直線的に利用するのに比べ、薄型かつ小型の安全スイッチを提供することができる。
【0023】
また、請求項5に記載の発明によれば、ヒンジ型電磁石への通電により発生した電磁的吸引力を作動体に係合したリンク体を介してロック体とロック機構側開閉器に伝達しているので少ない構成部品でロック機構側開閉器を確実に開閉することができる。
【0024】
請求項6に記載の発明によれば、アクチュエータ進入口と、ケーブル引き出し口との関係から、安全スイッチを壁面または防護扉へ配設可能であり、また、アクチュエータ進入口が水平/垂直向きのどちらにでも配設可能となる。また、安全スイッチを裏表、どちらの面を配設場所へ密着させることもできる。したがって、安全スイッチの取付けの自由度が増し、安全スイッチ取付けの選択範囲を広げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
<第1実施形態>
この発明の第1実施形態について図1ないし図6を参照して説明する。図1ないし図4はスイッチ本体の断面図、図5はロック開閉器部の断面図、図6は安全スイッチの外観図を示す。
【0026】
本発明における安全スイッチは、上記した従来のものとほぼ同様に、外部装置であるロボット等の産業機械等にケーブルを介して電気的に接続されるスイッチであり、図1に示すように、スイッチ本体1と、アクチュエータ3とにより構成される。
【0027】
このとき、スイッチ本体1は、操作部5とスイッチ部7とロック機構部8とからなり、図示を省略する産業機械の防護扉周縁の壁面に固着される。また、アクチュエータ3は防護扉に固着され、その位置は操作部5の側面に形成されたアクチュエータ進入口9aに対向する位置であり、防護扉を閉鎖した状態のときに操作部5のアクチュエータ進入口9a内に進入する。なお、アクチュエータ3は、図1に示すように、基部3aと、この基部3aから突出する一対の押圧片3bと、これら両押圧片3bを互いに連結する連結片3cとから構成されている。このとき、幅が大きく厚みの薄い平板状のアクチュエータの押圧片と比べ、両押圧片3bは幅が小さく厚みのある形状を有し、連結片3cを通る断面がコ字状を成している。
【0028】
スイッチ本体1の左上部に配設された操作部5は、図1ないし図4に示すように、ケース部材11と、回転軸13がこのケース部材11の内面に枢支されて回転自在に支持された駆動カム15を備えている。この駆動カム15の外周面上部には、アクチュエータ3の連結片3cが嵌挿する係合部15aが、上記したアクチュエータ進入口9aから覗く位置に形成されている。さらに、駆動カム15の外周面上部には後述するロック機構部8のロック体80が係合する切欠部15bが形成されている。また、駆動カム15の外周面下部にはカム曲線部15cが形成されており、操作部5の下方に位置するスイッチ部7から先端部分が出退自在に操作部5内に突出する操作ロッド21の半球状の先端が駆動カム15のカム曲線部15cを摺接する。そして、駆動カム15の回転に伴って操作ロッド21が進入・後退して往復移動すると、スイッチ部7に内蔵されている開閉器部70の開閉器の開閉状態が切り換えられる。
【0029】
次に、スイッチ部7について説明する。このスイッチ部7は、図1に示すように、ケース部材11と一体となって直方体状のスイッチ本体1を形成するケース部材33の内部であって操作部5の下方に配設され、スイッチ部側開閉器が内蔵された開閉器部70と、上記した操作ロッド21とから構成されている。また、このケース部材33に、操作部5側のケース部材11が着脱自在に取り付けられるように構成されている。そして、アクチュエータ進入口9aが形成されたケース部材11側の隅部に対向するケース部材33側の隅部には、外部接続用ケーブルのケーブル引き出し口33aが形成されている。また、図1に示すように、ケース部材33の外面には、スイッチ本体1を産業機械の防護扉周縁の壁面に取り付けるためのボルトが挿入される一対の取付孔33bが形成されている。
【0030】
ところで、開閉器部70には、操作ロッド21の他端部に接し操作ロッド21と一体となって移動する可動部材37と、この可動部材37に連動して開閉する第1および第2常閉開閉器39,40とを備えている。各常閉開閉器39,40は、それぞれ可動接点39a,40aと固定接点39b,40bとからなり、各可動接点39a,40aは可動部材37に固定され、各固定接点39b,40bは開閉器部70に配設された枠部材43に固定されている。ここで、各常閉開閉器39,40のうち、例えば、常閉開閉器39は産業機械への電源供給及び遮断用であり、後述するロック機構部8に配設された常閉開閉器86と直列に接続されている。また、常閉開閉器40はこれら電源供給及び遮断用の開閉器の開閉状態のモニタ用である。
【0031】
そして、可動部材37は、板状の基板部45と、この基板部45の一方面(図1の表面側)の両端に立設される第1取付部53および第2取付部54とから構成されており、その一端側が操作ロッド21の他端と当接するとともに、その他端側にコイルバネ(図示省略)が取り付けられ、コイルバネによって可動部材37が操作部5の方向、すなわち上方に付勢されている。また、各取付部53,54には、一対の突起53a,53b,54a,54bがそれぞれ可動部材37の長手方向に互いに対向して設けられている。
【0032】
そして、第1,2常閉開閉器39,40の可動接点39a,40aが、一方の突起53a,54aの根元部それぞれに着脱自在に取り付けられるとともに、各対の突起53a,53b,54a,54bにぞれぞれ外嵌されたバネ(図示省略)によって、各可動接点39a,40aが各取付部53,54に押し付けられて固定されており、これらのバネにより、特に図2に示されるように、各可動接点39a,40aそれぞれと各固定接点39b,40bそれぞれとの間の接触力が発生されている。
【0033】
ここで、ケース部材33には、産業機械と電気的に接続されるケーブル(図示省略)が装着されており、開閉器部70の内部においてケーブルと各常閉開閉器39,40とが電気的に接続され、各常閉開閉器39,40が開閉することによる電気信号によって、アクチュエータ3の操作部5への進入・後退の検出および産業機械への電源供給及び電源供給の遮断が行われるようになっている。
【0034】
ところで、第2常閉開閉器40の固定接点40bは、図1に示すように、開閉器部70の枠部材43に形成された常閉開閉器用取付部43aに着脱自在に取り付けられ、可動接点40aとともにその取り付け位置および取り付け状態を変更可能に取り付けられており、第2常閉開閉器40を常開開閉器に切り換えることができるようになっている。
【0035】
すなわち、枠部材43には、上記した常閉開閉器用取付部43aに加え、固定接点40bが着脱自在に取り付けられる常開開閉器用取付部43bが形成されており、第2常閉開閉器40の可動接点40aを一方の突起54aから取り外して他方の突起54b側に取り付けるとともに、固定接点40bを常閉開閉器用取付部43aから取り外して常開開閉器用取付部43bに取り付けることにより、第2常閉開閉器40を常開開閉器に切り換えることができる。こうすることで、この常開開閉器は、第1常閉開閉器39と逆の開閉動作を行うため、第2常閉開閉器40の場合とは異なる動作のモニタ用開閉器として用いることができ、用途に応じて常閉と常開の選択を行うことができる。
【0036】
なお、アクチュエータ3が進入していない図1の状態では、操作ロッド21はコイルバネに抗して駆動カム15のカム曲線部15cにより押圧されてほとんどの部分がスイッチ部7側に没した状態にあり、操作ロッド21により可動部材37が押し込まれている。これによって、各常閉開閉器39,40の可動接点39a,40aおよび固定接点39b,40bが離間し、各常閉開閉器39,40が開状態となり、産業機械への電源供給が遮断されて産業機械が操作不能な状態となっている。
【0037】
次に、ロック機構部8について説明する。このロック機構部8は、図1に示すように、ケース部材33の内部であって操作部5の右方に配設され、ロック機構8aと手動ロック解除機構8cとから構成されている。なお、ロック機構8aは、上記したロック体80と、ロック体80を移動させる駆動部81と、本発明の「ロック機構側開閉器」に相当する常開および常閉開閉器85,86と、ロック体80の移動に連動して常開および常閉開閉器85,86の開閉状態を切り換えるリンク体81dとから構成されている。また、常開および常閉開閉器85,86はロック開閉器部8bに図1の紙面垂直方向から見て前後、すなわち手前側と奥側に並設されている。
【0038】
ロック機構8aを構成するロック体80は図1に示すアンロック位置と、図2に示すロック位置との間を、駆動カム15の回転軸13に対してほぼ直交方向に移動自在にロック体支持部801に支持されている。また、ロック体80の先端部80aの外径は基部80bの外径よりも小さく構成されている。そして、ロック体80がロック位置に移動した際、先端部80aが駆動カム15の切欠部15bと係合することによって、駆動カム15の回転をロックする。一方、ロック体80がアンロック位置に移動した際、先端部80aと切欠部15bとの係合が解除され、駆動カム15が回転可能な状態となる。
【0039】
また、駆動部81は、コアにコイルが巻回されてなり、通電により発生した電磁的吸引力によって略L字形の鉄等の磁性材料からなる作動体81bが変位するヒンジ型電磁石81aと、作動体81bを左方に付勢する板バネからなる復帰バネ81cと、作動体81bの変位をロック体80へ伝達するリンク体81dとで構成されている。ヒンジ型電磁石81aは、その中心軸方向がロック体80の移動方向に対してほぼ直交して配設されており、ロック開閉器部8bのケース82に支持されている。また、図1に示すように、ヒンジ型電磁石81aとケース82との間には隙間83が生じるように、ヒンジ型電磁石81aはケース82に支持されており、隙間83に作動体81bと復帰バネ81cとが配設されている。
【0040】
作動体81bは、その屈曲部81b1が鈍角となるように構成された略L字形の部材であって、屈曲部81b1部分を揺動の中心軸として揺動自在に隙間83内に配設されている。また、復帰バネ81cは、隙間83内であって、作動体81bの右方に、その付勢力が左方を向くように配設されている。また、作動体81bの上端部81b2にはリンク体81dが連結(係合)されており、リンク体81dにロック体80が軸支されている。
【0041】
したがって、図2に示すように、ヒンジ型電磁石81aが通電遮断されていれば、作動体81bは復帰バネ81cによって左方に付勢され、上端部81b2は屈曲部81b1部分を揺動の中心軸として左方に移動する。そして、上端部81b2が左方に移動するのに伴い、上端部81b2に連結されているリンク体81dが左方に移動して、リンク体81dに軸支されているロック体80が図2中の矢印方向、すなわちロック位置へと移動する。なお、後述する可動接点85a,86aを備える端子板の板バネとしての付勢力のみでリンク体81dを左方に移動するようにしてもよい。一方、ヒンジ型電磁石81aが通電されていれば、作動体81bの下左端部81b3がヒンジ型電磁石81aの電磁的吸引力によってヒンジ型電磁石81aへ吸引される。その結果、作動体81bの上端部81b2は復帰バネ81cの付勢力に抗しつつ、屈曲部81b1を揺動の中心軸として右方に移動する。そして、上端部81b2が右方に移動するのに伴い、上端部81b2に連結されているリンク体81dが右方に移動して、リンク体81dに軸支されているロック体80が図3中の矢印方向、すなわちアンロック位置へと移動する。このように、この実施形態では、リンク体81dが本発明の「伝達部」として機能している。
【0042】
また、図5に示すように、ロック開閉器部8bのケース82内の手前側に常開開閉器85、奥側に常閉開閉器86が並設されている。これら、常開および常閉開閉器85,86はそれぞれ、可動接点85a,86aおよび固定接点85b,86bを有しており、これらの接点を備える端子板の下端部がケース82に支持されることによってケース82内に配設されている。また、常開開閉器85では可動接点85aが固定接点85bの左側に配設され、常閉開閉器86では可動接点86aが固定接点86bの右側に配設され、可動接点85a,86a側の端子板の上端部85a1,86a1はそれぞれ、上記したリンク体81dに係合している。したがって、これらの可動接点85a,86aはリンク体81dの動きに連動して、同時にそれぞれ同じ方向に移動することとなる。また、この実施形態では、リンク体81dが、上記したロック体80と可動接点85a,86aとを連結して配設されている。したがって、リンク体81dが矢印LKの方向へ移動してロック体80がロック位置へ移動した場合(図2参照)、常開および常閉開閉器85,86は、同時にそれぞれ開および閉状態となる(図5(a2),(b2)参照)。また、リンク体81dが矢印ULの方向へ移動してロック体80がアンロック位置へ移動した場合(図1、図3参照)、常開および常閉開閉器85,86は、同時にそれぞれが閉および開状態となる。
【0043】
また、この実施形態では、作動体81bの上端部81b2と係合しているリンク体81dがロック体80と可動接点85a,86aとを連結しているため、ヒンジ型電磁石81aの電磁的吸引力による作動体81bの上端部81b2の変位は、リンク体81dを介してロック体80および可動接点85a、86bに同時に伝達されて、それぞれ同時に移動する。また、上記したように、例えば、ケース82内の常閉開閉器86と、開閉器部70に配設された開閉器のうち、産業機械と接続されている第1常閉開閉器39とが直列に接続されている。また、常開開閉器85の電気信号をモニタすることによって、ロック体80の動作を検出することができる。
【0044】
また、手動ロック解除機構8cは凸部84aを有する解除カム84を備えている。図2に示すように、ロック体80がロック位置へ移動して、ロック体80と切欠部15bとが係合状態にある場合に、スイッチ本体1の外部から、解除キー等によって解除カム84を時計回りに回転させることによって、ロック状態を解除することができる。すなわち、解除カム84を時計方向に回転させることによって、凸部84aがリンク体81dと摺接しつつ、リンク体81dを右方へ移動させることができる。その結果、リンク体81dが右方へ移動するのに伴い、リンク体81dに軸支されているロック体80も連動して右方へ移動し、ロック体80と切欠部15bとの係合状態が解除され、駆動カム15を回転可能な状態とすることができる。
【0045】
続いて動作について説明する。図1に示すように、アクチュエータ3がスイッチ本体1の操作部5に進入していない場合、操作ロッド21はコイルバネに抗して駆動カム15のカム曲線部15cの径大部分により押圧されてほとんどの部分がスイッチ部7側に没した状態にあり、操作ロッド21により可動部材37が押し込まれている。これによって、各常閉開閉器39,40の可動接点39a,40aおよび固定接点39b,40bが離間し、各常閉開閉器39,40が開状態となり、産業機械への電源供給が遮断されて産業機械が操作不能な状態となっている。また、ロック体80は復帰バネ81cに抗して駆動カム15の外周部により押圧されてアンロック位置へと移動しており、図5(a1),(b1)に示すように、ロック開閉器部8bの常開および常閉開閉器85,86は、それぞれ閉および開状態となっている。
【0046】
次に、防護扉等を閉じることによって、アクチュエータ3が操作部5に進入すると、図2に示すようにアクチュエータ3の連結片3cが駆動カム15の係合部15aと係合して、アクチュエータ3が進入するに連れて駆動カム15が時計方向に回転される。駆動カム15が回転するのに伴い、操作ロッド21の先端がカム曲線部15cの径大部分から径小部分へと摺接しつつ、操作ロッド21がコイルバネの付勢力によって上方に移動する。操作ロッド21が上方に移動するのに伴って、各常閉開閉器39,40が開状態から閉状態となる。また、駆動カム15の回転に伴い、切欠部15bがロック体80と対向する位置に移動することによって、復帰バネ81cの付勢力によってロック体80が左方に移動して、切欠部15bとロック体80の先端部80aとが係合状態となり、駆動カム15の回転がロック、アクチュエータ3の引抜きが阻止された状態となる。また、ロック体80がロック位置へ移動することによって、図5(a2),(b2)に示すように、ロック開閉器部8bの常開および常閉開閉器85,86は、それぞれ開および閉状態へと切り換わる。したがって、ロック開閉器部8bの常閉開閉器86および第1常閉開閉器39が同時に閉状態となるため、これらの常閉開閉器に直列に接続されているロボット等の産業機械に電源が供給され、産業機械が操作可能な状態となる。
【0047】
続いて、ヒンジ型電磁石81aが外部からの制御によって通電された場合、図3に示すように、作動体81bの下左端部81b3がヒンジ型電磁石81aの電磁的吸引力によってヒンジ型電磁石81aに向って吸引される。そのため、作動体81bの上端部81b2は復帰バネ81cの付勢力に抗しつつ屈曲部81b1を揺動の中心軸として右方に移動するため、リンク体81dが右方に移動するのに伴ってロック体80が右方のアンロック位置へと移動する。したがって、ロック体80と切欠部15bとの係合状態が解除されるため、駆動カム15の回転のロック状態が解除され、アクチュエータ3が後退可能になり、防護扉等を開放する事が可能な状態となる。また、ロック体80がアンロック位置へと移動するのに伴い、図5(a1),(b1)に示すように、ロック開閉器部8bの常開および常閉開閉器85,86が、それぞれ閉および開状態に切り換わり、その結果、ロック開閉器部8bの常閉開閉器86および第1常開開閉器39と直列に接続されている産業機械の電源が遮断され、産業機械は動作不可能な状態となるともに、ロック開閉器部8bの常開開閉器85を流れる電気信号によってアンロック状態であることが検出される。
【0048】
ところで、図2に示すように駆動カム15の回転がロックされている状態で強引にアクチュエータ3を後退させて操作部5から引抜こうとした場合について、図2および図4を参照しつつ詳述する。アクチュエータ3を強引に後退させた場合、アクチュエータ3の連結片3cが駆動カム15の係合部15aに係合しているため、駆動カム15に強制的な回転力が加わる。このとき、駆動カム15の切欠部15bにはロック体80の先端部80aが係合したままであるため、アクチュエータ3を引抜く力は、駆動カム15を係止している先端部80aと切欠部15bとの係合部分に集中する。そして、アクチュエータ3をスイッチ本体1から強引に引抜けば、先端部80aの径を小さくして先端部80aの破壊強度を切欠部15bの破壊強度よりも低く設定しているため、破壊強度の低いロック体80の先端部80aが駆動カム15の切欠部15bよりも先に破損し、駆動カム15が回転可能な状態となる。
【0049】
そして、アクチュエータ3が操作部5から後退するのに伴い、駆動カム15は反時計方向へ回転されて、アクチュエータ3の連結片3cが係合部15aとの係合状態から脱する。このとき、図4に示すように、駆動カム15のカム曲線部15cおよび操作ロッド21は破損することなく正常な状態であるため、駆動カム15の反時計方向への回転に伴って、操作ロッド21がカム曲線部15cの径小部分から径大部分へと摺接しつつ操作ロッド21がコイルバネの付勢力に抗しつつ下方に移動する。そして、操作ロッド21の下方への移動に伴って、開閉器部70の常閉開閉器39,40が正常に開の状態となる。すなわち、開閉器部70が有する常閉開閉器39,40が正常に動作しているため、これらの常閉開閉器39,40の状態に基づいてアクチュエータ3の引抜き(後退)を検出して、産業機械への電源が確実に遮断される。
【0050】
以上のように、この実施形態では、リンク体81dが、ロック体80の移動に伴って常開および常閉開閉器85,86の開閉状態を直接的に同時に切り換えるため、常開および常閉開閉器85,86の開閉状態をロック体80のロック位置とアンロック位置との間の移動に連動して確実に切り換えることができる。その結果、リンク体81dが、ロック体80のロック位置とアンロック位置との間の移動に連動してロック開閉器部8bに設けられた常開および常閉開閉器85,86の開閉状態を確実に切り換えるため、例えば、常開および常閉開閉器85,86の開閉状態をモニタすることで、ロック体80がロック位置またはアンロック位置のどちらに移動しているのか、すなわち、駆動カム15の回転がロック状態またはアンロック状態のどちらの状態であるのかを判別することができる。
【0051】
また、この実施形態では、リンク体81dによってロック体80と常開および常閉開閉器85,86の可動接点85a,86aとが連結されているため、ロック体80の移動に連動して、リンク体81dを介して可動接点85a,86aが同時に移動することにより、常開および常閉開閉器85,86の開閉状態を確実に同時に切り換えることができる。また、例えば、常開および常閉開閉器85,86のいずれか一方の接点に溶着が生じて、その可動接点が正常に移動できないときには、溶着している方の可動接点に連結されているリンク体81dも移動することができない。そのため、同様にリンク体81に連結されている他方の正常な開閉器の可動接点も移動することがない。したがって、一方の開閉器に問題が生じているときには、他方の開閉器が正常に動作するのを防止することができるため、常開および常閉開閉器85,86が、確実に相反する開閉状態を維持することができる。
【0052】
また、この実施形態では、ヒンジ型電磁石81aをそのコア(中心軸)の方向がロック体80のロック位置とアンロック位置との間の移動方向にほぼ直交するように配設し、ヒンジ型電磁石81aへの通電により発生した電磁的吸引力が働く方向を、作動体81bおよびリンク体81dを介して偏向してロック体80に伝達することによって、ロック体80を移動させているため、例えば、プランジャ型電磁石のように該電磁的吸引力を直線的に利用するのに比べ、安全スイッチ全体の薄型化、小型化を図ることができる。なお、作動体81bをロック体80と係合させて、作動体81bの変位をロック体80を介してリンク体81dおよび可動接点85a,86aに伝達するように構成してもよい。この場合、作動体81bが本発明の「伝達部」として機能する。
【0053】
また、この実施形態では、リンク体81dを作動体81bと係合させ、作動体81bの変位をリンク体81dを介してロック体80および可動接点85a,86aに伝達するように構成しているため、ヒンジ型電磁石81aへの通電により発生した電磁的吸引力を作動体81bと係合したリンク体81dを介してロック体80とロック機構側開閉器に伝達しているので少ない構成部品でロック機構側開閉器を確実に開閉することができる。
【0054】
また、この実施形態では、スイッチ本体1は直方体状を有し、スイッチ本体1の対向する一組の隅部の一方にアクチュエータ進入口9aが、他方にケーブル引き出し口33aがそれぞれ形成されている。このため、図6に示すように、アクチュエータ進入口9aと、ケーブル引き出し口33aとの関係から、ケーブルの引き出し方向の自由度が高く、安全スイッチを壁面または防護扉へ配設可能であり、また、アクチュエータ進入口が水平/垂直向きのどちらにでも配設可能となる。また、安全スイッチを裏表どちらの面でも配設場所に密着させることもできる。したがって、安全スイッチの取付けの自由度が増し、安全スイッチ取付けの選択範囲を広げることができる。また、このような構成とすれば、安全スイッチの取付けの自由度が増すことによって、従来のようにアクチュエータ進入口を2つ設けなくてもよいため、未使用の側のアクチュエータ進入口からゴミ等が進入することによって安全スイッチが故障するのを防止することができ、安全スイッチの耐久性の向上も図ることができる。なお、図6(a)は安全スイッチの表面を上側にした図、図6(b)は安全スイッチの裏面を上側にした図である。
【0055】
また、この実施形態では、駆動カム15の回転がロックされている状態で強引にアクチュエータ3を後退させて操作部5から引抜くことによって、破壊強度の低いロック体80が破損して、駆動カム15が回転可能な状態となった場合でも、駆動カム15のカム曲線部15cおよび操作ロッド21は破損することなく正常な状態である。そのため、アクチュエータ3が操作部5から後退するのに伴い、駆動カム15が反時計方向へ回転されてアクチュエータ3の連結片3cが係合部15aとの係合状態から脱するときに、操作ロッド21がカム曲線部15cの径小部分から径大部分へと摺接しつつ操作ロッド21は下方へ移動する。そして、この操作ロッド21の下方への移動に伴って、開閉器部70の常閉開閉器39,40は正常に開状態へ切り換わるため、この常閉開閉器39,40の状態に基づいてアクチュエータ3の引抜き(後退)を検出することができる。したがって、正常にロック解除されないまま防護扉等が強引に開放されてアクチュエータ3がスイッチ本体1から引抜かれた場合にも、アクチュエータ3のスイッチ本体1からの後退を確実に検出することができる。
【0056】
また、この実施形態では、ロック体80の先端部80aの破壊強度を、駆動カム15の切欠部15bの破壊強度より低く設定しているため、ロック体80の先端部80aの方が駆動カム15の切欠部15bよりも破損しやすい。そのため、ロック体80の先端部80aが破損しても、破損したロック体80のみを交換すれば、再度、安全スイッチを正常な状態で使用することができるため、低コスト化を実現することができる。
【0057】
また、この実施形態では、開閉器部70に配設された常閉開閉器39,40の開閉による電気信号によってアクチュエータ3の操作部5内への進入・後退の状態を検出しているため、常閉開閉器39,40の開閉による電気信号により、外部からアクチュエータ3の進入・後退を検出することができる。
【0058】
また、この実施形態では、2個の常閉開閉器39,40を用い、その開閉動作により産業機械への電源供給及び供給遮断を行っているため、例えば、常閉開閉器39,40が閉状態となって、産業機械への電源供給が行われている際に、常閉開閉器39,40の可動接点39a,40aと固定接点39b,40bとが溶着した場合であっても、アクチュエータ3が後退し、操作ロッド21によって可動部材37が押し込まれることにより、溶着した可動接点39a,40bと固定接点39b,40bとを強制的に開離することができ、安全スイッチの信頼性を向上することができる。
【0059】
<第2実施形態>
図7は本発明にかかるロック体ユニットを示す図であり、図7を参照して本発明にかかる安全スイッチの第2実施形態について詳述する。この第2実施形態が、上記第1実施形態と異なる点は、ロック機構のロック体が、ユニット化されて駆動部に対して組み込み・取り外し自在に配設されている点であり、その他の構成および動作は、上記第1実施形態と同様である。以下、第1実施形態との相違点を中心に図1も参照しつつ第2実施形態について詳細に述べる。なお、第1実施形態と同一な構成および動作については、その構成および動作の説明を省略する。
【0060】
図7に示すように、ロック体ユニット802は、ロック体支持部802cおよびシール部材802a,802bでロック体802dを支持することによって構成されている。そして、このロック体ユニット802が駆動部を構成するヒンジ型電磁石81aの上方に組み込み・取り外し自在に配設されている。また、ロック体802dは基部802eと、基部802eに連続した先端部802fとで構成されており、基部802eと先端部802fとの境界には、破壊強度を下げるための孔802gが穿設されている。
【0061】
このようにロック体802dがロック体ユニット802としてユニット化されて駆動部に対して組み込み・取り外し自在に配設されているため、ロック体802dが破損した場合であっても、このロック体ユニット802を交換すればよく、短時間で作業効率よく安全スイッチを復元する事ができる。また、ロック体802dの先端部802fの破壊強度を下げるための孔802gが設けられているため、アクチュエータ3がスイッチ本体1から強引に引抜かれたときには、ロック体802dの先端部802fを、確実に先に破損させて、駆動カムの切欠部を正常な状態に維持する事が出来る。したがって、アクチュエータが安全スイッチ本体から強引に引抜かれることによって、安全スイッチが故障したときには、ロック体ユニット802を交換するだけで安全スイッチを正常な状態に復元することができる。
【0062】
<第3実施形態>
図8はロック開閉器部の断面図であり、図8を参照して本発明にかかる安全スイッチの第3実施形態について詳述する。この第3実施形態が、上記第1および第2実施形態と異なる点は、ロック開閉器部8bの奥側と手前側にロック機構側開閉器として常閉開閉器が2個設けられている点であり、その他の構成および動作は、上記第1実施形態と同様である。以下、第1実施形態との相違点を中心に図1〜4も参照しつつ第3実施形態について詳細に述べる。なお、第1実施形態と同一な構成および動作については、相当符号を付して、その構成および動作の説明を省略する。
【0063】
図8に示すように、ロック開閉器部8bのケース82内の手前側に常閉開開閉器186、奥側に常閉開閉器286が並設されている。これら、常閉開閉器186,286はそれぞれ、可動接点186a,286aおよび固定接点186b,286bを有しており、これらの接点を備える端子板の下端部がケース82に支持されることによってケース82内に配設されている。また、可動接点186a,286aが固定接点186b、286bの右側に配設され、可動接点186a,286a側の端子板の上端部186a1,286a1はそれぞれ、リンク体181dに係合している。したがって、これらの可動接点186a,286aはリンク体181dの動きに連動して、同時にそれぞれ同じ方向に移動することとなる。また、第1および第2実施形態と同様に、リンク体181dが、ロック体80と可動接点186a,286aとを連結して配設されている。したがって、リンク体181dが矢印LKの方向へ移動してロック体80がロック位置へ移動した場合(図8(a)、(b)参照)、常閉開閉器186,286は、同時に閉状態となる。なお、図8(b)、(c)、(d)はそれぞれ図8(a)中の一点鎖線で囲まれた部分の異なる状態における拡大図である。
【0064】
この実施形態では、ロック体80と常閉開閉器186,286それぞれの可動接点186a,286aとがリンク体181dによって直接連結されている。そのため、ロック体80の移動に伴ってリンク体181dが移動し、このリンク体181dの移動に伴って各常閉開閉器186,286の可動接点186a,286aが確実に移動する。その結果、ロック体80のロック位置とアンロック位置との間の移動に連動して、各常閉開閉器186,286の開閉状態を確実に同時に切り換えることができる。
【0065】
ところで、いずれか一方の常閉開閉器の接点が溶着する場合がある。例えば、図8(c)に示すように、常閉開閉器186が溶着した場合の動作について詳述する。ヒンジ型電磁石81aが外部からの制御によって通電された場合、図3に示すように、作動体81bの下左端部81b3がヒンジ型電磁石81aの電磁的吸引力によってヒンジ型電磁石81aに向って吸引される。そのため、作動体81bの上端部81b2は復帰バネ81cの付勢力に抗しつつ屈曲部81b1を揺動の中心軸として右方に移動しようとするが、常閉開閉器186が溶着しているため、リンク体181dが右方に移動することができず、ロック体80が右方のアンロック位置へと移動することができない。したがって、ロック体80と切欠部15bとの係合状態が解除されず、駆動カム15の回転はロック状態のままとなる。そのため、アクチュエータ3は後退不可能の状態のままであり、防護扉等を開放する事は不可能な状態のままとなる。このような場合、操作者が駆動カム15がロック状態であるにもかかわらず、アンロック状態と勘違いして、強引に防護扉等を開放して、産業機械に近づいてしまう危険性がある。
【0066】
しかしながら、この実施形態では、図8(c)に示すようにヒンジ型電磁石81aが外部からの制御によって通電された場合、溶着している常閉開閉器186の可動接点186a側の端子板に幾分撓みが生じて、わずかではあるがリンク体181dが同図中矢印の方向へ移動することができるように構成されている。その結果、図8(d)に示すように、常閉開閉器286の可動接点286aが同図中矢印の方向へわずかではあるが移動することができるため、常閉開閉器286は開状態へと切り換わる。したがって、例えば、一方の常閉開閉器の接点が溶着した場合の2重化対策として、これらの各常閉開閉器186,286の開閉状態を同時にモニタすることで、ヒンジ型電磁石81aが外部からの制御によって通電されているのかどうか、また、ロック開閉器部8bに異常が生じているかどうかを確実に判別することができる。すなわち、各常閉開閉器186,286の開閉状態が相反するものとなった場合に、常閉開閉器186,286のいずれか一方に異常が生じていると判別することができる。
【0067】
また、産業機械と第1常閉開閉器39、常閉開閉器186,286とを直列に接続することで、ヒンジ型電磁石81aが通電状態となったとき、例えば、常閉開閉器186の接点が溶着してしまっていたとしても、常閉開閉器286が確実に開状態へと切り換わる。その結果、確実に産業機械への電源供給が遮断されて産業機械が操作不能な状態とすることができる。したがって、安全スイッチがアンロック状態と勘違いして、操作者が強引に防護扉等を開放してしまったとしても、確実に産業機械は操作不能な状態となっているため、操作者の安全を確保することができる。
【0068】
なお、本実施形態において、上記した第2実施形態のようにロック体ユニット802を採用してもよいのは言うまでもない。
【0069】
<第4実施形態>
図9はロック開閉器部の断面図であり、図9を参照して本発明にかかる安全スイッチの第4実施形態について詳述する。この第4実施形態が、上記第3実施形態と大きく異なる点は、リンク体と可動接点との係合状態が異なる点であり、その他の構成および動作は、上記第3実施形態と同様である。以下、第3実施形態との相違点を中心に第4実施形態について詳細に述べる。なお、第3実施形態と同一な構成および動作については、相当符号を付して、その構成および動作の説明を省略する。
【0070】
図9(b)に示すように、リンク体381dには端子板の幅よりも幾分大きめの孔381d2が設けられており、可動接点386a,486a側の端子板の上端部386a1,486a1は、この孔381d2に遊通することによってリンク体381dに係合している。なお、図9(b)、(c)、(d)はそれぞれ図9(a)中の一点鎖線で囲まれた部分の異なる状態における拡大図である。このような構成とすれば、孔381d2に可動接点386a,486a側の端子板上端が遊通することによって、リンク体831dと可動接点386a,486aとが係合しているため、図9(c)に示すようにヒンジ型電磁石81aが外部からの制御によって通電された場合、孔381d2の大きさ(クリアランス)の分、わずかではあるがリンク体381dが同図中矢印の方向へ移動することができる。また、可動接点386a,486aを備える端子板は板バネで形成され、かつ、その付勢力が図9(d)中の矢印の方向へ作用するように構成されているため、同図に示すように、常閉開閉器486の可動接点486aが矢印の方向へわずかではあるが移動することができる。
【0071】
その結果、常閉開閉器486は閉状態から開状態へと確実に切り換わる。したがって、例えば、一方の常閉開閉器の接点が溶着してしまった場合の2重化対策として、これらの各常閉開閉器386,486の開閉状態を同時にモニタすることで、ヒンジ型電磁石81aが外部からの制御によって通電されているのかどうか、また、ロック開閉器部8bに異常が生じているかどうかを確実に判別することができる。すなわち、各常閉開閉器386,486の開閉状態が相反するものとなった場合に、常閉開閉器386,486のいずれか一方に異常が生じていると判別することができる等、第3実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0072】
<その他>
また、ロック開閉器部8bに図10,11に示すように、常開開閉器を2つ並設する構成でもよい。その他の構成および動作は上記第3および第4実施形態と同様であり、相当符号を付してその構成および動作の説明を省略する。なお、図10,11の(b)、(c)、(d)は、それぞれ図10,11の(a)の一点鎖線で囲まれた部分の異なる状態における拡大図である。このように構成とすると、これらの常開開閉器は、上記第3および第4実施形態における常閉開閉器の開閉状態と反対の開閉状態となる。また、いずれか一方の常開開閉器の接点が溶着してしまった場合には、上記第3および第4実施形態と同様に他方の常開開閉器の開閉状態は確実に切り換わる。したがって、これらの各常開開閉器の開閉状態を同時にモニタすることで、ヒンジ型電磁石81aが外部からの制御によって通電されているのかどうか、また、ロック開閉器部8bに異常が生じているかどうかを確実に判別することができる。すなわち、例えば、各常開開閉器385,485の開閉状態が相反するものとなった場合に、常開開閉器385,485のいずれか一方に異常が生じていると判別することができる等、第3および第4実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0073】
また、ロック体は上記した構成に限定されず、例えば図12に示すように種々の変更を加えることが可能である。なお、図12はロック体を示す図である。図12(a)に示すロック体804は、基部804bと基部804bに連続する先端部804aとからなり、先端部804aと基部804bとの境界部分には破壊強度を下げるための、例えば溝状の欠損部804cが形成されている。また、図12(b)に示すロック体803は、基部803bと基部803bに連続する先端部803aとからなり、先端部803aは基部803bに接着されて形成されている。このとき、基部803bと先端部803aは同一部材、異種部材のいずれでもよい。このような構成とすれば、アクチュエータが安全スイッチ本体から強引に引抜かれたとき、駆動カムの切欠部ではなく、ロック体の先端部を確実に破損させることができる。なお、上記欠損部を設けた状態で、基部と先端部とを接着する構成でももちろんよい。
【0074】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、開閉器部70に配設された常閉開閉器のうちの一方を常開開閉器としてもよい。この場合、常閉開閉器を外部装置の動作制御に使用して、常開開閉器をアクチュエータの進入を検出するための電気信号を得るための開閉器とすればよい。このような構成とすれば、アクチュエータの進入に伴い常閉開閉器が閉状態となって、外部装置が操作不能状態から操作可能状態となる一方、常開開閉器はアクチュエータの進入に伴って開状態となる。このように、常閉開閉器とは逆の開閉動作を行う常開開閉器の開閉状態をモニタすることにより、アクチュエータの進入・後退に加えて、外部装置の状態を外部から確認することができる。
【0075】
また、上記した実施形態では、開閉器部70に常閉開閉器を2個設けているが、これに限定されるものではなく、1個または3個或いは、4個以上設けてもよい。なお、安全スイッチとしての信頼性を高めるためには、開閉器部70に常閉開閉器を少なくとも2個設けることが望ましい。さらに、第2常閉開閉器40は、可動接点40aと固定接点40bの位置を変更することにより、常開開閉器に切り換えることができるよう構成されているため、スイッチ部7の開閉器構成を用途に応じて簡単に変更することができる。
【0076】
このとき、第2常閉開閉器40を常開開閉器に切り換える場合には、可動接点40aと固定接点40bの位置を変更するだけよく、各開閉器構造に専用の部品を必要としないため、コストの低減を図ることができ、しかも部品が増加することによる部品の組間違え等も未然に防ぐことができる。なお、上記した実施形態では、第2常閉開閉器40のみを開閉器構造が切り換え可能な開閉器として構成しているが、これに限定されるものではなく、開閉器構造が切り換え可能な開閉器の数は任意である。
【0077】
また、上記した第1および第2実施形態では、復帰バネ81cのバネ荷重(付勢力)によってロック体80をロック位置へ移動させて、ヒンジ型電磁石81aが通電状態となったときの電磁的吸引力によってロック体80をアンロック位置へ移動させているが、この電磁的吸引力によってロック体80をロック位置へ移動させてロック機構8aをロック状態としてもよい。この場合、例えば、ロック体80をアンロック位置へ移動させる向きに付勢力が働くような復帰バネを配設するのが望ましい。
【0078】
また、上記した第1および第2実施形態では、本発明における伝達部として作動体81bをリンク体81dと連結することによりロック体80を移動させているが、リンク体81dを介さず、直接、作動体81bをロック体80に係合させて、ロック体80にヒンジ型電磁石による電磁的吸引力を伝達する構成でももちろんよい。
【0079】
また、上記した実施形態では、ロック開閉器部8bにロック機構側開閉器として常開および常閉開閉器を2個設けているが、これに限定されるものではなく、少なくとも1個の開閉器があればよい。
【0080】
また、ヒンジ型電磁石は、その中心軸方向がロック体80の移動方向にほぼ平行に配設され、作動体は、通電状態の電磁石に吸着されて該吸着方向と同じ方向に変位し、伝達部は、作動体を、作動体の吸着方向と反対方向に付勢する付勢体(コイルバネ等)をさらに有し、作動体は、付勢体の付勢に抗して電磁石に吸着される構成でもよい。このように構成すると、電磁石への通電による電磁的吸引力によって付勢体の付勢力に抗しながら移動する作動体の変位を、伝達部を介してロック体に伝達してロック体を移動させることができる。また、電磁石が通電遮断されて電磁的吸引力が消滅した時には、付勢体が作動体を付勢することで作動体の変位を復元させることができ、ロック体を電磁石への通電時とは反対の方向へ移動させることができる。したがって、プランジャ型電磁石よりも小型のヒンジ型電磁石によって、ロック体を移動させて駆動カムの外周面に形成された切欠部に係脱させることができるため、安全スイッチの小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】この発明の第1実施形態におけるスイッチ本体の断面図である。
【図2】この発明の第1実施形態におけるスイッチ本体の断面図である。
【図3】この発明の第1実施形態におけるスイッチ本体の断面図である。
【図4】この発明の第1実施形態におけるスイッチ本体の断面図である。
【図5】この発明の第1実施形態におけるロック開閉器部の断面図である。
【図6】この発明の第1実施形態における安全スイッチの外観図である。
【図7】この発明の第2実施形態におけるロック体ユニットを示す図である。
【図8】この発明の第3実施形態におけるロック開閉器部の断面図である。
【図9】この発明の第4実施形態におけるロック開閉器部の断面図である。
【図10】この発明の他の実施形態におけるロック開閉器部の断面図である。
【図11】この発明の他の実施形態におけるロック開閉器部の断面図である。
【図12】この発明の他の実施形態におけるロック体を示す図である。
【図13】従来の安全スイッチのソレノイドユニットを示す断面図である。
【符号の説明】
【0082】
1…スイッチ本体
3…アクチュエータ
33a…ケーブル引き出し口
5…操作部
15…駆動カム
15a…係合部
15b…切欠部
15c…カム曲線部
21…操作ロッド
39,40…常閉開閉器(スイッチ部側開閉器)
7…スイッチ部
8…ロック機構部
8a…ロック機構
80,802d,803,804…ロック体
802…ロック体ユニット
80a,802f,803a,804a…先端部
80b,802e,803b,804b…基部
81…駆動部
81a…ヒンジ型電磁石
81b…作動体
81d…リンク体(伝達部)
85,185,285,385,485…常開開閉器(ロック機構側開閉器)
86,186,286,386,486…常閉開閉器(ロック機構側開閉器)
85a,86a…可動接点
9a…アクチュエータ進入口
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば産業機械等の防護扉周縁の壁面に取り付けられ、防護扉が開かれたときには、産業機械等への電源供給を停止する安全スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、産業機械の防護扉などには、作業者が機械に巻き込まれて負傷するといったトラブルの発生を防止することを目的として、防護扉が完全に閉まっていないときには、機械を駆動させないようにする安全スイッチが配設されている。このような安全スイッチの一例として、例えば、特許文献1に記載の安全スイッチのように、アクチュエータが安全スイッチ内に挿入された後、該アクチュエータを安全スイッチ内で機械的にロックすることにより、操作キーの引抜を防止するロック機構を備えているものがある。
【0003】
このロック機能を備える安全スイッチは、例えば、アクチュエータを防護扉に突出状態に設けるとともにスイッチ本体を防護扉が閉じた時にアクチュエータが挿入孔から挿入される位置に配設すると、防護扉を閉じる時にアクチュエータが挿入孔からスイッチ本体内に挿入される。そして、このアクチュエータの挿入に伴ってカム状板(駆動カム)が回転され、このカム状板が回転することによって各カム孔に倣いながら摺接するカムフォロワピンがピンガイド板のガイド部に案内されて移動し、このカムフォロワピンを一体に備えたスイッチ切換体も移動されてスイッチ部が切り換えられる。
【0004】
また、アクチュエータの挿入によるカム状板の回転時、弾性体により回動付勢されたロックレバー(ロック体)の係止杆が、略円板状のカム状板に常時当接されて摺接し、カム状板がスイッチ部を切り換える状態まで回動された時点で、係止杆が係合段部に対向してこの係合段部に係入するようロックレバーが回動する。したがって、アクチュエータの抜脱方向への移動によるカム状板の回転が、係止段部が係止杆に当接して阻止され、アクチュエータの抜脱方向への移動つまり防護扉の開放を禁止するよう機械的にロックする。そして、例えば産業機械が停止してその検出信号の入力によりロック機構のソレノイドユニットに配設されたソレノイドが作動されると、このソレノイドの作動ロッドによりロックレバーが弾性体の付勢力に抗し作動されて係止杆が係合段部から離間し、ロックが解除される。
【0005】
続いて、図13を参照しつつソレノイドユニットについて詳述する。ソレノイドユニットには通常、図13に示すように、ソレノイド127が作動されることによって移動する作動ロッド127aの動きに連動して開閉し、ソレノイド127が通電遮断されたロック状態のときに開状態となる常開開閉器124と閉状態となる常閉開閉器125とが設けられている。また、作動ロッド127には操作体127bが連結されており、その操作体127bにはロックレバー127cが係合されている。そして、ソレノイド127が作動されることによって移動する作動ロッド127aの動きに伴って操作体127bが移動し、その操作体127bの移動に連動してロックレバー127cが移動して、ロックレバー127cの係止杆と係合段部との係合状態が解除される。なお、図13は従来の安全スイッチのソレノイドユニットを示す断面図である。
【0006】
続いて、常開および常閉開閉器124,125、操作体127b、ロックレバー127cの動作について詳述する。常開および常閉開閉器124,125は、それぞれ、可動接点および固定接点とを備えている。そして、ソレノイド127の作動ロッド127aの動きを可動接点に伝達して可動接点を移動させる第1および第2リンク体がそれぞれ配設されている。そして、ソレノイド127が通電状態となれば、作動ロッド127aが矢印ONの方向へ移動するのに伴い、第1および第2リンク体が同様に矢印ONの方向へ移動して可動接点も矢印ONの方向へ移動する。その結果、常開開閉器124の可動接点と固定接点とが接触状態となって常開開閉器124は閉状態となり、常閉開閉器125の可動接点と固定接点とが開離状態となって常閉開閉器125は開状態となる。そして、作動ロッド127aが矢印ONの方向へ移動するのに伴い、操作体127bも矢印ONの方向へ移動する。この操作体127bの矢印ON方向への移動に連動して、操作体127bに係合しているロックレバー127cが移動して、安全スイッチがアンロック状態となる。また、ソレノイド127が通電遮断されれば、図示省略する復帰バネの付勢力によって作動ロッド127aが矢印ONと反対方向へ移動するのに伴い、第1および第2リンク体並びに可動接点が作動ロッド127aの移動方向と同じ方向へ移動して、常開および常閉開閉器124,125がそれぞれ開および閉状態となる。また、操作体127bも作動ロッド127aと同じ方向に移動して、この操作体127bの移動に連動してロックレバー127cが移動して、ロックレバー127cの係止杆と係合段部とが係合状態となって安全スイッチがロック状態となる。そして、これらの常開および常閉開閉器124,125の開閉状態をモニタすることによって、ロック機構のロック状態を検出することができる。
【0007】
【特許文献1】特開平6−76675号公報([0008]〜[0009],図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記した従来の安全スイッチでは、作動ロッド127a、操作体127bおよびロックレバー127cが連動して移動することによって、常開および常閉開閉器124,125の開閉状態が切り換わり、ロック機構のロック状態を検出することができた。このように、従来の安全スイッチでは、ロック体(ロックレバー127c)と第1および第2リンク体(常開および常閉開閉器124,125)とが直接的に連結されていなかったため次のような問題が生じることがあった。すなわち、ロック体と第1および第2リンク体とが、作動ロッド127a、操作体127bを介して連結されているため、例えば、操作体127bとロック体との係合状態に外れや緩みが生じ、ロック体と第1および第2リンク体とがうまく連動せずに移動しないことがある。その結果、ソレノイド127が通電状態となった場合、操作体127bとロック体とが連動して移動しないため、ロック体と係合段部との係合状態が解除されていないのにも関わらず、常開および常閉開閉器124,125の開閉状態は正常に切り換わりアンロック状態を示す状態となってしまうことがあった。また、ソレノイド127が通電遮断状態となった場合、操作体127bとロック体とが連動して移動しないため、ロック体と係合段部との係合状態が解除されている状態のままであるのにも関わらず、常開および常閉開閉器124,125は正常に切り換わりロック状態を示す状態となってしまうことがあった。このように、ロック体と両開閉器との連結状態に問題が生じていたとしても、開閉器がソレノイド127の通電状態に応じて正常に動作してしまうため、常開および常閉接点124,125の開閉状態をモニタするのみでは、ロック機構がロック状態にあるのかアンロック状態にあるのかが判別できない場合があった。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、ロック体のロック位置とアンロック位置との間の移動に連動して、ロック機構に設けられた開閉器の開閉状態が確実に切り換わる安全スイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記した課題を解決するため、本発明にかかる安全スイッチは、スイッチ本体の操作部に進入・後退自在にアクチェータが設けられ、前記アクチュエータの進入・後退に応じて、スイッチ部に設けられた操作ロッドが往復移動することによりスイッチ部側開閉器が開閉して前記アクチュエータの進入・後退を検出する安全スイッチにおいて、前記操作部に回転自在に設けられた駆動カムと、前記スイッチ本体のロック機構部に設けられ前記駆動カムの回転をロックするロック機構とを備え、前記駆動カムは、前記アクチュエータの前記操作部への進入・後退に伴って両方向へ回転し、この両方向への回転により前記操作ロッドを往復運動させ、前記ロック機構は、ロック位置とアンロック位置との間を移動自在に設けられ、前記アクチュエータが進入状態にあるときに前記ロック位置への移動により前記駆動カムの回転をロックし、前記アンロック位置への移動により前記駆動カムの回転のロック状態を解除するロック体と、前記ロック体を移動させる駆動部と、少なくとも1つのロック機構側開閉器と、前記ロック体の移動に連動して、前記ロック機構側開閉器の開閉状態を切り換えるリンク体とを有することを特徴としている(請求項1)。
【0011】
このように構成すると、アクチュエータのスイッチ本体の操作部への進入・後退に伴って駆動カムが両方向へ回転し、この駆動カムの両方向への回転に伴い操作ロッドが往復運動して、該操作ロッドの往復運動に伴って、スイッチ部側開閉器が開閉する。そして、アクチュエータが進入状態にあるときにロック機構の駆動部がロック体をロック位置まで移動させることによって駆動カムの回転がロックされ、ロック体をアンロック位置まで移動させることによって駆動カムの回転のロック状態が解除される。また、リンク体が、ロック体の移動に伴ってロック機構に設けられたロック機構側開閉器の開閉状態を直接的に切り換えるため、ロック機構側開閉器の開閉状態をロック体のロック位置とアンロック位置との間の移動に連動して確実に切り換えることができる。また、リンク体が、ロック体のロック位置とアンロック位置との間の移動に連動してロック機構に設けられたロック機構側開閉器の開閉状態を切り換えるため、例えば、ロック機構に設けられたロック機構側開閉器の開閉状態をモニタすることで、ロック体がロック位置またはアンロック位置のどちらに移動しているのか、すなわち、駆動カムの回転がロック状態またはアンロック状態のどちらの状態であるのかを判別することができる。
【0012】
また、前記ロック機構は2つ以上の前記ロック機構側開閉器を有し、前記リンク体は前記ロック体と前記各ロック機構側開閉器それぞれの可動接点とを連結して配設されている構成でもよい(請求項2)。このような構成とすれば、ロック体と2つ以上のロック機構側開閉器それぞれの可動接点とがリンク体によって直接連結されているので、ロック体の移動に伴ってリンク体が移動し、このリンク体の移動に伴ってロック機構側開閉器の可動接点が確実に移動する。その結果、ロック体のロック位置とアンロック位置との間の移動に連動して、これらのロック機構側開閉器の開閉状態を確実に同時に切り換えることができる。したがって、例えば、所謂、2重化対策として、これらのロック機構側開閉器の開閉状態を同時にモニタすることで、駆動カムの回転がロック状態またはアンロック状態のどちらの状態であるのかを確実に判別することができる。
【0013】
また、前記ロック機構は2つ以上の前記ロック機構側開閉器として、常開開閉器および常閉開閉器を有し、前記リンク体は、前記ロック体と、前記常開開閉器および前記常閉開閉器それぞれの可動接点とを連結して配設されている構成でもよい(請求項3)。このような構成とすれば、ロック体とリンク体とが連結されているため、ロック体の移動に伴ってリンク体が移動する。そして、このリンク体には常開および常閉開閉器のそれぞれの可動接点が連結されているため、リンク体の移動に伴って常開および常閉開閉器それぞれの可動接点が同時に移動する。そのため、ロック体の移動に連動して、常開および常閉開閉器の開閉状態を確実に同時に切り換えることができる。また、例えば、常開および常閉開閉器のいずれか一方に溶着が生じて、その可動接点が正常に移動できないときには、溶着している方の可動接点に連結されているリンク体も移動することができない。そのため、同様にリンク体に連結されている他方の正常な開閉器の可動接点も移動することがない。したがって、一方の開閉器に問題が生じているときには、他方の開閉器が正常に動作するのを防止することができるため、常開および常閉開閉器が、確実に相反する開閉状態を維持することができる。
【0014】
前記駆動部は、前記ロック機構部に配設され、通電により発生した電磁的吸引力によって作動体が変位するヒンジ型電磁石と、前記作動体の変位を前記ロック体に伝達して前記ロック体を移動させる伝達部とを備える構成でもよい(請求項4)。このような構成とすれば、駆動部は、ヒンジ型電磁石への通電により発生した電磁的吸引力よる作動体の変位を、伝達部によってロック体に伝達して該ロック体を移動させている。このように、ヒンジ型電磁石への通電による電磁的吸引力による作動体の変位を、伝達部によってロック体に伝達してロック体を移動させているため、プランジャ型電磁石のように該電磁的吸引力を直線的に利用するのに比べ、薄型かつ小型の安全スイッチを提供することができる。
【0015】
前記リンク体が前記伝達部として機能し、前記作動体が前記リンク体の一部に係合し、前記作動体の変位が前記リンク体を介して前記ロック体と前記ロック機構側開閉器に伝達される構成でもよい(請求項5)。このような構成とすれば、ヒンジ型電磁石への通電により発生した電磁的吸引力を作動体に係合したリンク体を介してロック体とロック機構側開閉器に伝達しているので少ない構成部品でロック機構側開閉器を確実に開閉することができる。
【0016】
また、前記スイッチ本体は直方体状を有し、前記スイッチ本体の対向する一組の隅部の一方にアクチュエータ進入口が、他方にケーブル引き出し口がそれぞれ形成されており、前記ケーブル引き出し口からケーブルが、ほぼ前記対向する一組の隅部を結ぶ方向へ引き出されている構成でもよい(請求項6)。このような構成とすれば、アクチュエータ進入口と、ケーブル引き出し口との関係から、ケーブルの引き出し方向の自由度が高く、安全スイッチを壁面または防護扉へ配設可能であり、また、アクチュエータ進入口が水平/垂直向きのどちらにでも配設可能となる。また、安全スイッチを裏表、どちらの面を配設場所へ密着させることもできる。したがって、安全スイッチの取り付けの自由度が増し、安全スイッチ取付けの選択範囲を広げることができる。
【0017】
また、前記スイッチ部側開閉器が、前記スイッチ本体内において外部接続用ケーブルの端部に電気的に接続され、前記スイッチ部側開閉器の接点の開閉による電気信号によって前記アクチュエータの進入・後退の状態を検出するものである構成でもよい。このような構成とすれば、スイッチ部側開閉器の接点の開閉による電気信号により、外部からアクチュエータの進入・後退を検出することができる。
【0018】
また、前記ロック機構の少なくとも前記ロック体は、ユニット化されて前記駆動部に対して組み込み・取り外し自在に配設されている構成としてもよい。このような構成とすれば、ロック体がユニット化されて駆動部に対して組み込み・取り外し自在に配設されているため、ロック体が破損した場合であっても、このユニットを交換すればよく、短時間で作業効率よく安全スイッチを復元することができる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、請求項1に記載の発明によれば、リンク体が、ロック体の移動に伴ってロック機構に設けられたロック機構側開閉器の開閉状態を直接的に切り換えるため、ロック機構側開閉器の開閉状態をロック体のロック位置とアンロック位置との間の移動に連動して確実に切り換えることができる。したがって、リンク体が、ロック体のロック位置とアンロック位置との間の移動に連動してロック機構に設けられたロック機構側開閉器の開閉状態を確実に切り換えるため、例えば、ロック機構に設けられたロック機構側開閉器の開閉状態をモニタすることで、ロック体がロック位置またはアンロック位置のどちらに移動しているのか、すなわち、駆動カムの回転がロック状態またはアンロック状態のどちらの状態であるのかを判別することができる。
【0020】
また、請求項2に記載の発明によれば、ロック体と2つ以上のロック機構側開閉器それぞれの可動接点とがリンク体によって直接連結されている。そのため、ロック体の移動に伴ってリンク体が移動し、このリンク体の移動に伴ってロック機構側開閉器の可動接点が確実に移動する。その結果、ロック体のロック位置とアンロック位置との間の移動に連動して、各ロック機構側開閉器の開閉状態を確実に同時に切り換えることができる。
【0021】
また、請求項3に記載の発明によれば、ロック体とリンク体と常開および常閉開閉器のそれぞれの可動接点とを連結することによって、ロック体の移動に連動して、常開および常閉開閉器の開閉状態を確実に同時に切り換えることができる。また、例えば、常開および常閉開閉器のいずれか一方の接点に溶着が生じて、その可動接点が正常に移動できないときには、溶着している方の可動接点に連結されているリンク体も移動することができないため、同様にリンク体に連結されている他方の正常な開閉器の可動接点も移動することがないので、常開および常閉開閉器が、確実に相反する開閉状態を維持することができる。
【0022】
また、請求項4に記載の発明によれば、駆動部は、ヒンジ型電磁石への通電による電磁的吸引力による作動体の変位を、伝達部によってロック体に伝達してロック体を移動させているため、プランジャ型電磁石のように該電磁的吸引力を直線的に利用するのに比べ、薄型かつ小型の安全スイッチを提供することができる。
【0023】
また、請求項5に記載の発明によれば、ヒンジ型電磁石への通電により発生した電磁的吸引力を作動体に係合したリンク体を介してロック体とロック機構側開閉器に伝達しているので少ない構成部品でロック機構側開閉器を確実に開閉することができる。
【0024】
請求項6に記載の発明によれば、アクチュエータ進入口と、ケーブル引き出し口との関係から、安全スイッチを壁面または防護扉へ配設可能であり、また、アクチュエータ進入口が水平/垂直向きのどちらにでも配設可能となる。また、安全スイッチを裏表、どちらの面を配設場所へ密着させることもできる。したがって、安全スイッチの取付けの自由度が増し、安全スイッチ取付けの選択範囲を広げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
<第1実施形態>
この発明の第1実施形態について図1ないし図6を参照して説明する。図1ないし図4はスイッチ本体の断面図、図5はロック開閉器部の断面図、図6は安全スイッチの外観図を示す。
【0026】
本発明における安全スイッチは、上記した従来のものとほぼ同様に、外部装置であるロボット等の産業機械等にケーブルを介して電気的に接続されるスイッチであり、図1に示すように、スイッチ本体1と、アクチュエータ3とにより構成される。
【0027】
このとき、スイッチ本体1は、操作部5とスイッチ部7とロック機構部8とからなり、図示を省略する産業機械の防護扉周縁の壁面に固着される。また、アクチュエータ3は防護扉に固着され、その位置は操作部5の側面に形成されたアクチュエータ進入口9aに対向する位置であり、防護扉を閉鎖した状態のときに操作部5のアクチュエータ進入口9a内に進入する。なお、アクチュエータ3は、図1に示すように、基部3aと、この基部3aから突出する一対の押圧片3bと、これら両押圧片3bを互いに連結する連結片3cとから構成されている。このとき、幅が大きく厚みの薄い平板状のアクチュエータの押圧片と比べ、両押圧片3bは幅が小さく厚みのある形状を有し、連結片3cを通る断面がコ字状を成している。
【0028】
スイッチ本体1の左上部に配設された操作部5は、図1ないし図4に示すように、ケース部材11と、回転軸13がこのケース部材11の内面に枢支されて回転自在に支持された駆動カム15を備えている。この駆動カム15の外周面上部には、アクチュエータ3の連結片3cが嵌挿する係合部15aが、上記したアクチュエータ進入口9aから覗く位置に形成されている。さらに、駆動カム15の外周面上部には後述するロック機構部8のロック体80が係合する切欠部15bが形成されている。また、駆動カム15の外周面下部にはカム曲線部15cが形成されており、操作部5の下方に位置するスイッチ部7から先端部分が出退自在に操作部5内に突出する操作ロッド21の半球状の先端が駆動カム15のカム曲線部15cを摺接する。そして、駆動カム15の回転に伴って操作ロッド21が進入・後退して往復移動すると、スイッチ部7に内蔵されている開閉器部70の開閉器の開閉状態が切り換えられる。
【0029】
次に、スイッチ部7について説明する。このスイッチ部7は、図1に示すように、ケース部材11と一体となって直方体状のスイッチ本体1を形成するケース部材33の内部であって操作部5の下方に配設され、スイッチ部側開閉器が内蔵された開閉器部70と、上記した操作ロッド21とから構成されている。また、このケース部材33に、操作部5側のケース部材11が着脱自在に取り付けられるように構成されている。そして、アクチュエータ進入口9aが形成されたケース部材11側の隅部に対向するケース部材33側の隅部には、外部接続用ケーブルのケーブル引き出し口33aが形成されている。また、図1に示すように、ケース部材33の外面には、スイッチ本体1を産業機械の防護扉周縁の壁面に取り付けるためのボルトが挿入される一対の取付孔33bが形成されている。
【0030】
ところで、開閉器部70には、操作ロッド21の他端部に接し操作ロッド21と一体となって移動する可動部材37と、この可動部材37に連動して開閉する第1および第2常閉開閉器39,40とを備えている。各常閉開閉器39,40は、それぞれ可動接点39a,40aと固定接点39b,40bとからなり、各可動接点39a,40aは可動部材37に固定され、各固定接点39b,40bは開閉器部70に配設された枠部材43に固定されている。ここで、各常閉開閉器39,40のうち、例えば、常閉開閉器39は産業機械への電源供給及び遮断用であり、後述するロック機構部8に配設された常閉開閉器86と直列に接続されている。また、常閉開閉器40はこれら電源供給及び遮断用の開閉器の開閉状態のモニタ用である。
【0031】
そして、可動部材37は、板状の基板部45と、この基板部45の一方面(図1の表面側)の両端に立設される第1取付部53および第2取付部54とから構成されており、その一端側が操作ロッド21の他端と当接するとともに、その他端側にコイルバネ(図示省略)が取り付けられ、コイルバネによって可動部材37が操作部5の方向、すなわち上方に付勢されている。また、各取付部53,54には、一対の突起53a,53b,54a,54bがそれぞれ可動部材37の長手方向に互いに対向して設けられている。
【0032】
そして、第1,2常閉開閉器39,40の可動接点39a,40aが、一方の突起53a,54aの根元部それぞれに着脱自在に取り付けられるとともに、各対の突起53a,53b,54a,54bにぞれぞれ外嵌されたバネ(図示省略)によって、各可動接点39a,40aが各取付部53,54に押し付けられて固定されており、これらのバネにより、特に図2に示されるように、各可動接点39a,40aそれぞれと各固定接点39b,40bそれぞれとの間の接触力が発生されている。
【0033】
ここで、ケース部材33には、産業機械と電気的に接続されるケーブル(図示省略)が装着されており、開閉器部70の内部においてケーブルと各常閉開閉器39,40とが電気的に接続され、各常閉開閉器39,40が開閉することによる電気信号によって、アクチュエータ3の操作部5への進入・後退の検出および産業機械への電源供給及び電源供給の遮断が行われるようになっている。
【0034】
ところで、第2常閉開閉器40の固定接点40bは、図1に示すように、開閉器部70の枠部材43に形成された常閉開閉器用取付部43aに着脱自在に取り付けられ、可動接点40aとともにその取り付け位置および取り付け状態を変更可能に取り付けられており、第2常閉開閉器40を常開開閉器に切り換えることができるようになっている。
【0035】
すなわち、枠部材43には、上記した常閉開閉器用取付部43aに加え、固定接点40bが着脱自在に取り付けられる常開開閉器用取付部43bが形成されており、第2常閉開閉器40の可動接点40aを一方の突起54aから取り外して他方の突起54b側に取り付けるとともに、固定接点40bを常閉開閉器用取付部43aから取り外して常開開閉器用取付部43bに取り付けることにより、第2常閉開閉器40を常開開閉器に切り換えることができる。こうすることで、この常開開閉器は、第1常閉開閉器39と逆の開閉動作を行うため、第2常閉開閉器40の場合とは異なる動作のモニタ用開閉器として用いることができ、用途に応じて常閉と常開の選択を行うことができる。
【0036】
なお、アクチュエータ3が進入していない図1の状態では、操作ロッド21はコイルバネに抗して駆動カム15のカム曲線部15cにより押圧されてほとんどの部分がスイッチ部7側に没した状態にあり、操作ロッド21により可動部材37が押し込まれている。これによって、各常閉開閉器39,40の可動接点39a,40aおよび固定接点39b,40bが離間し、各常閉開閉器39,40が開状態となり、産業機械への電源供給が遮断されて産業機械が操作不能な状態となっている。
【0037】
次に、ロック機構部8について説明する。このロック機構部8は、図1に示すように、ケース部材33の内部であって操作部5の右方に配設され、ロック機構8aと手動ロック解除機構8cとから構成されている。なお、ロック機構8aは、上記したロック体80と、ロック体80を移動させる駆動部81と、本発明の「ロック機構側開閉器」に相当する常開および常閉開閉器85,86と、ロック体80の移動に連動して常開および常閉開閉器85,86の開閉状態を切り換えるリンク体81dとから構成されている。また、常開および常閉開閉器85,86はロック開閉器部8bに図1の紙面垂直方向から見て前後、すなわち手前側と奥側に並設されている。
【0038】
ロック機構8aを構成するロック体80は図1に示すアンロック位置と、図2に示すロック位置との間を、駆動カム15の回転軸13に対してほぼ直交方向に移動自在にロック体支持部801に支持されている。また、ロック体80の先端部80aの外径は基部80bの外径よりも小さく構成されている。そして、ロック体80がロック位置に移動した際、先端部80aが駆動カム15の切欠部15bと係合することによって、駆動カム15の回転をロックする。一方、ロック体80がアンロック位置に移動した際、先端部80aと切欠部15bとの係合が解除され、駆動カム15が回転可能な状態となる。
【0039】
また、駆動部81は、コアにコイルが巻回されてなり、通電により発生した電磁的吸引力によって略L字形の鉄等の磁性材料からなる作動体81bが変位するヒンジ型電磁石81aと、作動体81bを左方に付勢する板バネからなる復帰バネ81cと、作動体81bの変位をロック体80へ伝達するリンク体81dとで構成されている。ヒンジ型電磁石81aは、その中心軸方向がロック体80の移動方向に対してほぼ直交して配設されており、ロック開閉器部8bのケース82に支持されている。また、図1に示すように、ヒンジ型電磁石81aとケース82との間には隙間83が生じるように、ヒンジ型電磁石81aはケース82に支持されており、隙間83に作動体81bと復帰バネ81cとが配設されている。
【0040】
作動体81bは、その屈曲部81b1が鈍角となるように構成された略L字形の部材であって、屈曲部81b1部分を揺動の中心軸として揺動自在に隙間83内に配設されている。また、復帰バネ81cは、隙間83内であって、作動体81bの右方に、その付勢力が左方を向くように配設されている。また、作動体81bの上端部81b2にはリンク体81dが連結(係合)されており、リンク体81dにロック体80が軸支されている。
【0041】
したがって、図2に示すように、ヒンジ型電磁石81aが通電遮断されていれば、作動体81bは復帰バネ81cによって左方に付勢され、上端部81b2は屈曲部81b1部分を揺動の中心軸として左方に移動する。そして、上端部81b2が左方に移動するのに伴い、上端部81b2に連結されているリンク体81dが左方に移動して、リンク体81dに軸支されているロック体80が図2中の矢印方向、すなわちロック位置へと移動する。なお、後述する可動接点85a,86aを備える端子板の板バネとしての付勢力のみでリンク体81dを左方に移動するようにしてもよい。一方、ヒンジ型電磁石81aが通電されていれば、作動体81bの下左端部81b3がヒンジ型電磁石81aの電磁的吸引力によってヒンジ型電磁石81aへ吸引される。その結果、作動体81bの上端部81b2は復帰バネ81cの付勢力に抗しつつ、屈曲部81b1を揺動の中心軸として右方に移動する。そして、上端部81b2が右方に移動するのに伴い、上端部81b2に連結されているリンク体81dが右方に移動して、リンク体81dに軸支されているロック体80が図3中の矢印方向、すなわちアンロック位置へと移動する。このように、この実施形態では、リンク体81dが本発明の「伝達部」として機能している。
【0042】
また、図5に示すように、ロック開閉器部8bのケース82内の手前側に常開開閉器85、奥側に常閉開閉器86が並設されている。これら、常開および常閉開閉器85,86はそれぞれ、可動接点85a,86aおよび固定接点85b,86bを有しており、これらの接点を備える端子板の下端部がケース82に支持されることによってケース82内に配設されている。また、常開開閉器85では可動接点85aが固定接点85bの左側に配設され、常閉開閉器86では可動接点86aが固定接点86bの右側に配設され、可動接点85a,86a側の端子板の上端部85a1,86a1はそれぞれ、上記したリンク体81dに係合している。したがって、これらの可動接点85a,86aはリンク体81dの動きに連動して、同時にそれぞれ同じ方向に移動することとなる。また、この実施形態では、リンク体81dが、上記したロック体80と可動接点85a,86aとを連結して配設されている。したがって、リンク体81dが矢印LKの方向へ移動してロック体80がロック位置へ移動した場合(図2参照)、常開および常閉開閉器85,86は、同時にそれぞれ開および閉状態となる(図5(a2),(b2)参照)。また、リンク体81dが矢印ULの方向へ移動してロック体80がアンロック位置へ移動した場合(図1、図3参照)、常開および常閉開閉器85,86は、同時にそれぞれが閉および開状態となる。
【0043】
また、この実施形態では、作動体81bの上端部81b2と係合しているリンク体81dがロック体80と可動接点85a,86aとを連結しているため、ヒンジ型電磁石81aの電磁的吸引力による作動体81bの上端部81b2の変位は、リンク体81dを介してロック体80および可動接点85a、86bに同時に伝達されて、それぞれ同時に移動する。また、上記したように、例えば、ケース82内の常閉開閉器86と、開閉器部70に配設された開閉器のうち、産業機械と接続されている第1常閉開閉器39とが直列に接続されている。また、常開開閉器85の電気信号をモニタすることによって、ロック体80の動作を検出することができる。
【0044】
また、手動ロック解除機構8cは凸部84aを有する解除カム84を備えている。図2に示すように、ロック体80がロック位置へ移動して、ロック体80と切欠部15bとが係合状態にある場合に、スイッチ本体1の外部から、解除キー等によって解除カム84を時計回りに回転させることによって、ロック状態を解除することができる。すなわち、解除カム84を時計方向に回転させることによって、凸部84aがリンク体81dと摺接しつつ、リンク体81dを右方へ移動させることができる。その結果、リンク体81dが右方へ移動するのに伴い、リンク体81dに軸支されているロック体80も連動して右方へ移動し、ロック体80と切欠部15bとの係合状態が解除され、駆動カム15を回転可能な状態とすることができる。
【0045】
続いて動作について説明する。図1に示すように、アクチュエータ3がスイッチ本体1の操作部5に進入していない場合、操作ロッド21はコイルバネに抗して駆動カム15のカム曲線部15cの径大部分により押圧されてほとんどの部分がスイッチ部7側に没した状態にあり、操作ロッド21により可動部材37が押し込まれている。これによって、各常閉開閉器39,40の可動接点39a,40aおよび固定接点39b,40bが離間し、各常閉開閉器39,40が開状態となり、産業機械への電源供給が遮断されて産業機械が操作不能な状態となっている。また、ロック体80は復帰バネ81cに抗して駆動カム15の外周部により押圧されてアンロック位置へと移動しており、図5(a1),(b1)に示すように、ロック開閉器部8bの常開および常閉開閉器85,86は、それぞれ閉および開状態となっている。
【0046】
次に、防護扉等を閉じることによって、アクチュエータ3が操作部5に進入すると、図2に示すようにアクチュエータ3の連結片3cが駆動カム15の係合部15aと係合して、アクチュエータ3が進入するに連れて駆動カム15が時計方向に回転される。駆動カム15が回転するのに伴い、操作ロッド21の先端がカム曲線部15cの径大部分から径小部分へと摺接しつつ、操作ロッド21がコイルバネの付勢力によって上方に移動する。操作ロッド21が上方に移動するのに伴って、各常閉開閉器39,40が開状態から閉状態となる。また、駆動カム15の回転に伴い、切欠部15bがロック体80と対向する位置に移動することによって、復帰バネ81cの付勢力によってロック体80が左方に移動して、切欠部15bとロック体80の先端部80aとが係合状態となり、駆動カム15の回転がロック、アクチュエータ3の引抜きが阻止された状態となる。また、ロック体80がロック位置へ移動することによって、図5(a2),(b2)に示すように、ロック開閉器部8bの常開および常閉開閉器85,86は、それぞれ開および閉状態へと切り換わる。したがって、ロック開閉器部8bの常閉開閉器86および第1常閉開閉器39が同時に閉状態となるため、これらの常閉開閉器に直列に接続されているロボット等の産業機械に電源が供給され、産業機械が操作可能な状態となる。
【0047】
続いて、ヒンジ型電磁石81aが外部からの制御によって通電された場合、図3に示すように、作動体81bの下左端部81b3がヒンジ型電磁石81aの電磁的吸引力によってヒンジ型電磁石81aに向って吸引される。そのため、作動体81bの上端部81b2は復帰バネ81cの付勢力に抗しつつ屈曲部81b1を揺動の中心軸として右方に移動するため、リンク体81dが右方に移動するのに伴ってロック体80が右方のアンロック位置へと移動する。したがって、ロック体80と切欠部15bとの係合状態が解除されるため、駆動カム15の回転のロック状態が解除され、アクチュエータ3が後退可能になり、防護扉等を開放する事が可能な状態となる。また、ロック体80がアンロック位置へと移動するのに伴い、図5(a1),(b1)に示すように、ロック開閉器部8bの常開および常閉開閉器85,86が、それぞれ閉および開状態に切り換わり、その結果、ロック開閉器部8bの常閉開閉器86および第1常開開閉器39と直列に接続されている産業機械の電源が遮断され、産業機械は動作不可能な状態となるともに、ロック開閉器部8bの常開開閉器85を流れる電気信号によってアンロック状態であることが検出される。
【0048】
ところで、図2に示すように駆動カム15の回転がロックされている状態で強引にアクチュエータ3を後退させて操作部5から引抜こうとした場合について、図2および図4を参照しつつ詳述する。アクチュエータ3を強引に後退させた場合、アクチュエータ3の連結片3cが駆動カム15の係合部15aに係合しているため、駆動カム15に強制的な回転力が加わる。このとき、駆動カム15の切欠部15bにはロック体80の先端部80aが係合したままであるため、アクチュエータ3を引抜く力は、駆動カム15を係止している先端部80aと切欠部15bとの係合部分に集中する。そして、アクチュエータ3をスイッチ本体1から強引に引抜けば、先端部80aの径を小さくして先端部80aの破壊強度を切欠部15bの破壊強度よりも低く設定しているため、破壊強度の低いロック体80の先端部80aが駆動カム15の切欠部15bよりも先に破損し、駆動カム15が回転可能な状態となる。
【0049】
そして、アクチュエータ3が操作部5から後退するのに伴い、駆動カム15は反時計方向へ回転されて、アクチュエータ3の連結片3cが係合部15aとの係合状態から脱する。このとき、図4に示すように、駆動カム15のカム曲線部15cおよび操作ロッド21は破損することなく正常な状態であるため、駆動カム15の反時計方向への回転に伴って、操作ロッド21がカム曲線部15cの径小部分から径大部分へと摺接しつつ操作ロッド21がコイルバネの付勢力に抗しつつ下方に移動する。そして、操作ロッド21の下方への移動に伴って、開閉器部70の常閉開閉器39,40が正常に開の状態となる。すなわち、開閉器部70が有する常閉開閉器39,40が正常に動作しているため、これらの常閉開閉器39,40の状態に基づいてアクチュエータ3の引抜き(後退)を検出して、産業機械への電源が確実に遮断される。
【0050】
以上のように、この実施形態では、リンク体81dが、ロック体80の移動に伴って常開および常閉開閉器85,86の開閉状態を直接的に同時に切り換えるため、常開および常閉開閉器85,86の開閉状態をロック体80のロック位置とアンロック位置との間の移動に連動して確実に切り換えることができる。その結果、リンク体81dが、ロック体80のロック位置とアンロック位置との間の移動に連動してロック開閉器部8bに設けられた常開および常閉開閉器85,86の開閉状態を確実に切り換えるため、例えば、常開および常閉開閉器85,86の開閉状態をモニタすることで、ロック体80がロック位置またはアンロック位置のどちらに移動しているのか、すなわち、駆動カム15の回転がロック状態またはアンロック状態のどちらの状態であるのかを判別することができる。
【0051】
また、この実施形態では、リンク体81dによってロック体80と常開および常閉開閉器85,86の可動接点85a,86aとが連結されているため、ロック体80の移動に連動して、リンク体81dを介して可動接点85a,86aが同時に移動することにより、常開および常閉開閉器85,86の開閉状態を確実に同時に切り換えることができる。また、例えば、常開および常閉開閉器85,86のいずれか一方の接点に溶着が生じて、その可動接点が正常に移動できないときには、溶着している方の可動接点に連結されているリンク体81dも移動することができない。そのため、同様にリンク体81に連結されている他方の正常な開閉器の可動接点も移動することがない。したがって、一方の開閉器に問題が生じているときには、他方の開閉器が正常に動作するのを防止することができるため、常開および常閉開閉器85,86が、確実に相反する開閉状態を維持することができる。
【0052】
また、この実施形態では、ヒンジ型電磁石81aをそのコア(中心軸)の方向がロック体80のロック位置とアンロック位置との間の移動方向にほぼ直交するように配設し、ヒンジ型電磁石81aへの通電により発生した電磁的吸引力が働く方向を、作動体81bおよびリンク体81dを介して偏向してロック体80に伝達することによって、ロック体80を移動させているため、例えば、プランジャ型電磁石のように該電磁的吸引力を直線的に利用するのに比べ、安全スイッチ全体の薄型化、小型化を図ることができる。なお、作動体81bをロック体80と係合させて、作動体81bの変位をロック体80を介してリンク体81dおよび可動接点85a,86aに伝達するように構成してもよい。この場合、作動体81bが本発明の「伝達部」として機能する。
【0053】
また、この実施形態では、リンク体81dを作動体81bと係合させ、作動体81bの変位をリンク体81dを介してロック体80および可動接点85a,86aに伝達するように構成しているため、ヒンジ型電磁石81aへの通電により発生した電磁的吸引力を作動体81bと係合したリンク体81dを介してロック体80とロック機構側開閉器に伝達しているので少ない構成部品でロック機構側開閉器を確実に開閉することができる。
【0054】
また、この実施形態では、スイッチ本体1は直方体状を有し、スイッチ本体1の対向する一組の隅部の一方にアクチュエータ進入口9aが、他方にケーブル引き出し口33aがそれぞれ形成されている。このため、図6に示すように、アクチュエータ進入口9aと、ケーブル引き出し口33aとの関係から、ケーブルの引き出し方向の自由度が高く、安全スイッチを壁面または防護扉へ配設可能であり、また、アクチュエータ進入口が水平/垂直向きのどちらにでも配設可能となる。また、安全スイッチを裏表どちらの面でも配設場所に密着させることもできる。したがって、安全スイッチの取付けの自由度が増し、安全スイッチ取付けの選択範囲を広げることができる。また、このような構成とすれば、安全スイッチの取付けの自由度が増すことによって、従来のようにアクチュエータ進入口を2つ設けなくてもよいため、未使用の側のアクチュエータ進入口からゴミ等が進入することによって安全スイッチが故障するのを防止することができ、安全スイッチの耐久性の向上も図ることができる。なお、図6(a)は安全スイッチの表面を上側にした図、図6(b)は安全スイッチの裏面を上側にした図である。
【0055】
また、この実施形態では、駆動カム15の回転がロックされている状態で強引にアクチュエータ3を後退させて操作部5から引抜くことによって、破壊強度の低いロック体80が破損して、駆動カム15が回転可能な状態となった場合でも、駆動カム15のカム曲線部15cおよび操作ロッド21は破損することなく正常な状態である。そのため、アクチュエータ3が操作部5から後退するのに伴い、駆動カム15が反時計方向へ回転されてアクチュエータ3の連結片3cが係合部15aとの係合状態から脱するときに、操作ロッド21がカム曲線部15cの径小部分から径大部分へと摺接しつつ操作ロッド21は下方へ移動する。そして、この操作ロッド21の下方への移動に伴って、開閉器部70の常閉開閉器39,40は正常に開状態へ切り換わるため、この常閉開閉器39,40の状態に基づいてアクチュエータ3の引抜き(後退)を検出することができる。したがって、正常にロック解除されないまま防護扉等が強引に開放されてアクチュエータ3がスイッチ本体1から引抜かれた場合にも、アクチュエータ3のスイッチ本体1からの後退を確実に検出することができる。
【0056】
また、この実施形態では、ロック体80の先端部80aの破壊強度を、駆動カム15の切欠部15bの破壊強度より低く設定しているため、ロック体80の先端部80aの方が駆動カム15の切欠部15bよりも破損しやすい。そのため、ロック体80の先端部80aが破損しても、破損したロック体80のみを交換すれば、再度、安全スイッチを正常な状態で使用することができるため、低コスト化を実現することができる。
【0057】
また、この実施形態では、開閉器部70に配設された常閉開閉器39,40の開閉による電気信号によってアクチュエータ3の操作部5内への進入・後退の状態を検出しているため、常閉開閉器39,40の開閉による電気信号により、外部からアクチュエータ3の進入・後退を検出することができる。
【0058】
また、この実施形態では、2個の常閉開閉器39,40を用い、その開閉動作により産業機械への電源供給及び供給遮断を行っているため、例えば、常閉開閉器39,40が閉状態となって、産業機械への電源供給が行われている際に、常閉開閉器39,40の可動接点39a,40aと固定接点39b,40bとが溶着した場合であっても、アクチュエータ3が後退し、操作ロッド21によって可動部材37が押し込まれることにより、溶着した可動接点39a,40bと固定接点39b,40bとを強制的に開離することができ、安全スイッチの信頼性を向上することができる。
【0059】
<第2実施形態>
図7は本発明にかかるロック体ユニットを示す図であり、図7を参照して本発明にかかる安全スイッチの第2実施形態について詳述する。この第2実施形態が、上記第1実施形態と異なる点は、ロック機構のロック体が、ユニット化されて駆動部に対して組み込み・取り外し自在に配設されている点であり、その他の構成および動作は、上記第1実施形態と同様である。以下、第1実施形態との相違点を中心に図1も参照しつつ第2実施形態について詳細に述べる。なお、第1実施形態と同一な構成および動作については、その構成および動作の説明を省略する。
【0060】
図7に示すように、ロック体ユニット802は、ロック体支持部802cおよびシール部材802a,802bでロック体802dを支持することによって構成されている。そして、このロック体ユニット802が駆動部を構成するヒンジ型電磁石81aの上方に組み込み・取り外し自在に配設されている。また、ロック体802dは基部802eと、基部802eに連続した先端部802fとで構成されており、基部802eと先端部802fとの境界には、破壊強度を下げるための孔802gが穿設されている。
【0061】
このようにロック体802dがロック体ユニット802としてユニット化されて駆動部に対して組み込み・取り外し自在に配設されているため、ロック体802dが破損した場合であっても、このロック体ユニット802を交換すればよく、短時間で作業効率よく安全スイッチを復元する事ができる。また、ロック体802dの先端部802fの破壊強度を下げるための孔802gが設けられているため、アクチュエータ3がスイッチ本体1から強引に引抜かれたときには、ロック体802dの先端部802fを、確実に先に破損させて、駆動カムの切欠部を正常な状態に維持する事が出来る。したがって、アクチュエータが安全スイッチ本体から強引に引抜かれることによって、安全スイッチが故障したときには、ロック体ユニット802を交換するだけで安全スイッチを正常な状態に復元することができる。
【0062】
<第3実施形態>
図8はロック開閉器部の断面図であり、図8を参照して本発明にかかる安全スイッチの第3実施形態について詳述する。この第3実施形態が、上記第1および第2実施形態と異なる点は、ロック開閉器部8bの奥側と手前側にロック機構側開閉器として常閉開閉器が2個設けられている点であり、その他の構成および動作は、上記第1実施形態と同様である。以下、第1実施形態との相違点を中心に図1〜4も参照しつつ第3実施形態について詳細に述べる。なお、第1実施形態と同一な構成および動作については、相当符号を付して、その構成および動作の説明を省略する。
【0063】
図8に示すように、ロック開閉器部8bのケース82内の手前側に常閉開開閉器186、奥側に常閉開閉器286が並設されている。これら、常閉開閉器186,286はそれぞれ、可動接点186a,286aおよび固定接点186b,286bを有しており、これらの接点を備える端子板の下端部がケース82に支持されることによってケース82内に配設されている。また、可動接点186a,286aが固定接点186b、286bの右側に配設され、可動接点186a,286a側の端子板の上端部186a1,286a1はそれぞれ、リンク体181dに係合している。したがって、これらの可動接点186a,286aはリンク体181dの動きに連動して、同時にそれぞれ同じ方向に移動することとなる。また、第1および第2実施形態と同様に、リンク体181dが、ロック体80と可動接点186a,286aとを連結して配設されている。したがって、リンク体181dが矢印LKの方向へ移動してロック体80がロック位置へ移動した場合(図8(a)、(b)参照)、常閉開閉器186,286は、同時に閉状態となる。なお、図8(b)、(c)、(d)はそれぞれ図8(a)中の一点鎖線で囲まれた部分の異なる状態における拡大図である。
【0064】
この実施形態では、ロック体80と常閉開閉器186,286それぞれの可動接点186a,286aとがリンク体181dによって直接連結されている。そのため、ロック体80の移動に伴ってリンク体181dが移動し、このリンク体181dの移動に伴って各常閉開閉器186,286の可動接点186a,286aが確実に移動する。その結果、ロック体80のロック位置とアンロック位置との間の移動に連動して、各常閉開閉器186,286の開閉状態を確実に同時に切り換えることができる。
【0065】
ところで、いずれか一方の常閉開閉器の接点が溶着する場合がある。例えば、図8(c)に示すように、常閉開閉器186が溶着した場合の動作について詳述する。ヒンジ型電磁石81aが外部からの制御によって通電された場合、図3に示すように、作動体81bの下左端部81b3がヒンジ型電磁石81aの電磁的吸引力によってヒンジ型電磁石81aに向って吸引される。そのため、作動体81bの上端部81b2は復帰バネ81cの付勢力に抗しつつ屈曲部81b1を揺動の中心軸として右方に移動しようとするが、常閉開閉器186が溶着しているため、リンク体181dが右方に移動することができず、ロック体80が右方のアンロック位置へと移動することができない。したがって、ロック体80と切欠部15bとの係合状態が解除されず、駆動カム15の回転はロック状態のままとなる。そのため、アクチュエータ3は後退不可能の状態のままであり、防護扉等を開放する事は不可能な状態のままとなる。このような場合、操作者が駆動カム15がロック状態であるにもかかわらず、アンロック状態と勘違いして、強引に防護扉等を開放して、産業機械に近づいてしまう危険性がある。
【0066】
しかしながら、この実施形態では、図8(c)に示すようにヒンジ型電磁石81aが外部からの制御によって通電された場合、溶着している常閉開閉器186の可動接点186a側の端子板に幾分撓みが生じて、わずかではあるがリンク体181dが同図中矢印の方向へ移動することができるように構成されている。その結果、図8(d)に示すように、常閉開閉器286の可動接点286aが同図中矢印の方向へわずかではあるが移動することができるため、常閉開閉器286は開状態へと切り換わる。したがって、例えば、一方の常閉開閉器の接点が溶着した場合の2重化対策として、これらの各常閉開閉器186,286の開閉状態を同時にモニタすることで、ヒンジ型電磁石81aが外部からの制御によって通電されているのかどうか、また、ロック開閉器部8bに異常が生じているかどうかを確実に判別することができる。すなわち、各常閉開閉器186,286の開閉状態が相反するものとなった場合に、常閉開閉器186,286のいずれか一方に異常が生じていると判別することができる。
【0067】
また、産業機械と第1常閉開閉器39、常閉開閉器186,286とを直列に接続することで、ヒンジ型電磁石81aが通電状態となったとき、例えば、常閉開閉器186の接点が溶着してしまっていたとしても、常閉開閉器286が確実に開状態へと切り換わる。その結果、確実に産業機械への電源供給が遮断されて産業機械が操作不能な状態とすることができる。したがって、安全スイッチがアンロック状態と勘違いして、操作者が強引に防護扉等を開放してしまったとしても、確実に産業機械は操作不能な状態となっているため、操作者の安全を確保することができる。
【0068】
なお、本実施形態において、上記した第2実施形態のようにロック体ユニット802を採用してもよいのは言うまでもない。
【0069】
<第4実施形態>
図9はロック開閉器部の断面図であり、図9を参照して本発明にかかる安全スイッチの第4実施形態について詳述する。この第4実施形態が、上記第3実施形態と大きく異なる点は、リンク体と可動接点との係合状態が異なる点であり、その他の構成および動作は、上記第3実施形態と同様である。以下、第3実施形態との相違点を中心に第4実施形態について詳細に述べる。なお、第3実施形態と同一な構成および動作については、相当符号を付して、その構成および動作の説明を省略する。
【0070】
図9(b)に示すように、リンク体381dには端子板の幅よりも幾分大きめの孔381d2が設けられており、可動接点386a,486a側の端子板の上端部386a1,486a1は、この孔381d2に遊通することによってリンク体381dに係合している。なお、図9(b)、(c)、(d)はそれぞれ図9(a)中の一点鎖線で囲まれた部分の異なる状態における拡大図である。このような構成とすれば、孔381d2に可動接点386a,486a側の端子板上端が遊通することによって、リンク体831dと可動接点386a,486aとが係合しているため、図9(c)に示すようにヒンジ型電磁石81aが外部からの制御によって通電された場合、孔381d2の大きさ(クリアランス)の分、わずかではあるがリンク体381dが同図中矢印の方向へ移動することができる。また、可動接点386a,486aを備える端子板は板バネで形成され、かつ、その付勢力が図9(d)中の矢印の方向へ作用するように構成されているため、同図に示すように、常閉開閉器486の可動接点486aが矢印の方向へわずかではあるが移動することができる。
【0071】
その結果、常閉開閉器486は閉状態から開状態へと確実に切り換わる。したがって、例えば、一方の常閉開閉器の接点が溶着してしまった場合の2重化対策として、これらの各常閉開閉器386,486の開閉状態を同時にモニタすることで、ヒンジ型電磁石81aが外部からの制御によって通電されているのかどうか、また、ロック開閉器部8bに異常が生じているかどうかを確実に判別することができる。すなわち、各常閉開閉器386,486の開閉状態が相反するものとなった場合に、常閉開閉器386,486のいずれか一方に異常が生じていると判別することができる等、第3実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0072】
<その他>
また、ロック開閉器部8bに図10,11に示すように、常開開閉器を2つ並設する構成でもよい。その他の構成および動作は上記第3および第4実施形態と同様であり、相当符号を付してその構成および動作の説明を省略する。なお、図10,11の(b)、(c)、(d)は、それぞれ図10,11の(a)の一点鎖線で囲まれた部分の異なる状態における拡大図である。このように構成とすると、これらの常開開閉器は、上記第3および第4実施形態における常閉開閉器の開閉状態と反対の開閉状態となる。また、いずれか一方の常開開閉器の接点が溶着してしまった場合には、上記第3および第4実施形態と同様に他方の常開開閉器の開閉状態は確実に切り換わる。したがって、これらの各常開開閉器の開閉状態を同時にモニタすることで、ヒンジ型電磁石81aが外部からの制御によって通電されているのかどうか、また、ロック開閉器部8bに異常が生じているかどうかを確実に判別することができる。すなわち、例えば、各常開開閉器385,485の開閉状態が相反するものとなった場合に、常開開閉器385,485のいずれか一方に異常が生じていると判別することができる等、第3および第4実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0073】
また、ロック体は上記した構成に限定されず、例えば図12に示すように種々の変更を加えることが可能である。なお、図12はロック体を示す図である。図12(a)に示すロック体804は、基部804bと基部804bに連続する先端部804aとからなり、先端部804aと基部804bとの境界部分には破壊強度を下げるための、例えば溝状の欠損部804cが形成されている。また、図12(b)に示すロック体803は、基部803bと基部803bに連続する先端部803aとからなり、先端部803aは基部803bに接着されて形成されている。このとき、基部803bと先端部803aは同一部材、異種部材のいずれでもよい。このような構成とすれば、アクチュエータが安全スイッチ本体から強引に引抜かれたとき、駆動カムの切欠部ではなく、ロック体の先端部を確実に破損させることができる。なお、上記欠損部を設けた状態で、基部と先端部とを接着する構成でももちろんよい。
【0074】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、開閉器部70に配設された常閉開閉器のうちの一方を常開開閉器としてもよい。この場合、常閉開閉器を外部装置の動作制御に使用して、常開開閉器をアクチュエータの進入を検出するための電気信号を得るための開閉器とすればよい。このような構成とすれば、アクチュエータの進入に伴い常閉開閉器が閉状態となって、外部装置が操作不能状態から操作可能状態となる一方、常開開閉器はアクチュエータの進入に伴って開状態となる。このように、常閉開閉器とは逆の開閉動作を行う常開開閉器の開閉状態をモニタすることにより、アクチュエータの進入・後退に加えて、外部装置の状態を外部から確認することができる。
【0075】
また、上記した実施形態では、開閉器部70に常閉開閉器を2個設けているが、これに限定されるものではなく、1個または3個或いは、4個以上設けてもよい。なお、安全スイッチとしての信頼性を高めるためには、開閉器部70に常閉開閉器を少なくとも2個設けることが望ましい。さらに、第2常閉開閉器40は、可動接点40aと固定接点40bの位置を変更することにより、常開開閉器に切り換えることができるよう構成されているため、スイッチ部7の開閉器構成を用途に応じて簡単に変更することができる。
【0076】
このとき、第2常閉開閉器40を常開開閉器に切り換える場合には、可動接点40aと固定接点40bの位置を変更するだけよく、各開閉器構造に専用の部品を必要としないため、コストの低減を図ることができ、しかも部品が増加することによる部品の組間違え等も未然に防ぐことができる。なお、上記した実施形態では、第2常閉開閉器40のみを開閉器構造が切り換え可能な開閉器として構成しているが、これに限定されるものではなく、開閉器構造が切り換え可能な開閉器の数は任意である。
【0077】
また、上記した第1および第2実施形態では、復帰バネ81cのバネ荷重(付勢力)によってロック体80をロック位置へ移動させて、ヒンジ型電磁石81aが通電状態となったときの電磁的吸引力によってロック体80をアンロック位置へ移動させているが、この電磁的吸引力によってロック体80をロック位置へ移動させてロック機構8aをロック状態としてもよい。この場合、例えば、ロック体80をアンロック位置へ移動させる向きに付勢力が働くような復帰バネを配設するのが望ましい。
【0078】
また、上記した第1および第2実施形態では、本発明における伝達部として作動体81bをリンク体81dと連結することによりロック体80を移動させているが、リンク体81dを介さず、直接、作動体81bをロック体80に係合させて、ロック体80にヒンジ型電磁石による電磁的吸引力を伝達する構成でももちろんよい。
【0079】
また、上記した実施形態では、ロック開閉器部8bにロック機構側開閉器として常開および常閉開閉器を2個設けているが、これに限定されるものではなく、少なくとも1個の開閉器があればよい。
【0080】
また、ヒンジ型電磁石は、その中心軸方向がロック体80の移動方向にほぼ平行に配設され、作動体は、通電状態の電磁石に吸着されて該吸着方向と同じ方向に変位し、伝達部は、作動体を、作動体の吸着方向と反対方向に付勢する付勢体(コイルバネ等)をさらに有し、作動体は、付勢体の付勢に抗して電磁石に吸着される構成でもよい。このように構成すると、電磁石への通電による電磁的吸引力によって付勢体の付勢力に抗しながら移動する作動体の変位を、伝達部を介してロック体に伝達してロック体を移動させることができる。また、電磁石が通電遮断されて電磁的吸引力が消滅した時には、付勢体が作動体を付勢することで作動体の変位を復元させることができ、ロック体を電磁石への通電時とは反対の方向へ移動させることができる。したがって、プランジャ型電磁石よりも小型のヒンジ型電磁石によって、ロック体を移動させて駆動カムの外周面に形成された切欠部に係脱させることができるため、安全スイッチの小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】この発明の第1実施形態におけるスイッチ本体の断面図である。
【図2】この発明の第1実施形態におけるスイッチ本体の断面図である。
【図3】この発明の第1実施形態におけるスイッチ本体の断面図である。
【図4】この発明の第1実施形態におけるスイッチ本体の断面図である。
【図5】この発明の第1実施形態におけるロック開閉器部の断面図である。
【図6】この発明の第1実施形態における安全スイッチの外観図である。
【図7】この発明の第2実施形態におけるロック体ユニットを示す図である。
【図8】この発明の第3実施形態におけるロック開閉器部の断面図である。
【図9】この発明の第4実施形態におけるロック開閉器部の断面図である。
【図10】この発明の他の実施形態におけるロック開閉器部の断面図である。
【図11】この発明の他の実施形態におけるロック開閉器部の断面図である。
【図12】この発明の他の実施形態におけるロック体を示す図である。
【図13】従来の安全スイッチのソレノイドユニットを示す断面図である。
【符号の説明】
【0082】
1…スイッチ本体
3…アクチュエータ
33a…ケーブル引き出し口
5…操作部
15…駆動カム
15a…係合部
15b…切欠部
15c…カム曲線部
21…操作ロッド
39,40…常閉開閉器(スイッチ部側開閉器)
7…スイッチ部
8…ロック機構部
8a…ロック機構
80,802d,803,804…ロック体
802…ロック体ユニット
80a,802f,803a,804a…先端部
80b,802e,803b,804b…基部
81…駆動部
81a…ヒンジ型電磁石
81b…作動体
81d…リンク体(伝達部)
85,185,285,385,485…常開開閉器(ロック機構側開閉器)
86,186,286,386,486…常閉開閉器(ロック機構側開閉器)
85a,86a…可動接点
9a…アクチュエータ進入口
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチ本体の操作部に進入・後退自在にアクチェータが設けられ、前記アクチュエータの進入・後退に応じて、スイッチ部に設けられた操作ロッドが往復移動することによりスイッチ部側開閉器が開閉して前記アクチュエータの進入・後退を検出する安全スイッチにおいて、
前記操作部に回転自在に設けられた駆動カムと、
前記スイッチ本体のロック機構部に設けられ前記駆動カムの回転をロックするロック機構とを備え、
前記駆動カムは、前記アクチュエータの前記操作部への進入・後退に伴って両方向へ回転し、この両方向への回転により前記操作ロッドを往復運動させ、
前記ロック機構は、
ロック位置とアンロック位置との間を移動自在に設けられ、前記アクチュエータが進入状態にあるときに前記ロック位置への移動により前記駆動カムの回転をロックし、前記アンロック位置への移動により前記駆動カムの回転のロック状態を解除するロック体と、
前記ロック体を移動させる駆動部と、
少なくとも1つのロック機構側開閉器と、
前記ロック体の移動に連動して、前記ロック機構側開閉器の開閉状態を切り換えるリンク体と
を有することを特徴とする安全スイッチ。
【請求項2】
前記ロック機構は2つ以上の前記ロック機構側開閉器を有し、
前記リンク体は前記ロック体と前記各ロック機構側開閉器それぞれの可動接点とを連結して配設されていることを特徴とする請求項1記載の安全スイッチ。
【請求項3】
前記ロック機構は2つ以上の前記ロック機構側開閉器として、常開開閉器および常閉開閉器を有し、
前記リンク体は、前記ロック体と、前記常開開閉器および前記常閉開閉器それぞれの可動接点とを連結して配設されていることを特徴とする請求項2記載の安全スイッチ。
【請求項4】
前記駆動部は、
前記ロック機構部に配設され、通電により発生した電磁的吸引力によって作動体が変位するヒンジ型電磁石と、
前記作動体の変位を前記ロック体に伝達して前記ロック体を移動させる伝達部と
を備えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の安全スイッチ。
【請求項5】
前記リンク体が前記伝達部として機能し、前記作動体が前記リンク体の一部に係合し、前記作動体の変位が前記リンク体を介して前記ロック体と前記ロック機構側開閉器に伝達されることを特徴とする請求項4記載の安全スイッチ。
【請求項6】
前記スイッチ本体は直方体状を有し、前記スイッチ本体の対向する一組の隅部の一方にアクチュエータ進入口が、他方にケーブル引き出し口がそれぞれ形成されており、
前記ケーブル引き出し口からケーブルが、ほぼ前記対向する一組の隅部を結ぶ方向へ引き出されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の安全スイッチ。
【請求項1】
スイッチ本体の操作部に進入・後退自在にアクチェータが設けられ、前記アクチュエータの進入・後退に応じて、スイッチ部に設けられた操作ロッドが往復移動することによりスイッチ部側開閉器が開閉して前記アクチュエータの進入・後退を検出する安全スイッチにおいて、
前記操作部に回転自在に設けられた駆動カムと、
前記スイッチ本体のロック機構部に設けられ前記駆動カムの回転をロックするロック機構とを備え、
前記駆動カムは、前記アクチュエータの前記操作部への進入・後退に伴って両方向へ回転し、この両方向への回転により前記操作ロッドを往復運動させ、
前記ロック機構は、
ロック位置とアンロック位置との間を移動自在に設けられ、前記アクチュエータが進入状態にあるときに前記ロック位置への移動により前記駆動カムの回転をロックし、前記アンロック位置への移動により前記駆動カムの回転のロック状態を解除するロック体と、
前記ロック体を移動させる駆動部と、
少なくとも1つのロック機構側開閉器と、
前記ロック体の移動に連動して、前記ロック機構側開閉器の開閉状態を切り換えるリンク体と
を有することを特徴とする安全スイッチ。
【請求項2】
前記ロック機構は2つ以上の前記ロック機構側開閉器を有し、
前記リンク体は前記ロック体と前記各ロック機構側開閉器それぞれの可動接点とを連結して配設されていることを特徴とする請求項1記載の安全スイッチ。
【請求項3】
前記ロック機構は2つ以上の前記ロック機構側開閉器として、常開開閉器および常閉開閉器を有し、
前記リンク体は、前記ロック体と、前記常開開閉器および前記常閉開閉器それぞれの可動接点とを連結して配設されていることを特徴とする請求項2記載の安全スイッチ。
【請求項4】
前記駆動部は、
前記ロック機構部に配設され、通電により発生した電磁的吸引力によって作動体が変位するヒンジ型電磁石と、
前記作動体の変位を前記ロック体に伝達して前記ロック体を移動させる伝達部と
を備えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の安全スイッチ。
【請求項5】
前記リンク体が前記伝達部として機能し、前記作動体が前記リンク体の一部に係合し、前記作動体の変位が前記リンク体を介して前記ロック体と前記ロック機構側開閉器に伝達されることを特徴とする請求項4記載の安全スイッチ。
【請求項6】
前記スイッチ本体は直方体状を有し、前記スイッチ本体の対向する一組の隅部の一方にアクチュエータ進入口が、他方にケーブル引き出し口がそれぞれ形成されており、
前記ケーブル引き出し口からケーブルが、ほぼ前記対向する一組の隅部を結ぶ方向へ引き出されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の安全スイッチ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−309950(P2006−309950A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−127454(P2005−127454)
【出願日】平成17年4月26日(2005.4.26)
【出願人】(000000309)IDEC株式会社 (188)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月26日(2005.4.26)
【出願人】(000000309)IDEC株式会社 (188)
【Fターム(参考)】
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