説明

定着装置、及び画像形成装置

【課題】 記録体上に形成されたトナー像に軟化剤を供給してトナー像を記録体に定着させるものであって、定着画像の画像品質を維持することができる定着装置、及びこれを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】 定着装置90が、軟化剤を含有する定着液93を記録体である転写紙Pに供給する軟化剤供給手段としての定着ローラ91、定着液93が供給される軟化剤供給位置である定着ニップで転写紙Pを加圧する加圧手段としての加圧ローラ96とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置とそれに用いられる定着装置に係り、詳しくは、トナーを形成する樹脂粒子を軟化させる軟化剤をトナーに付与することでトナーを軟化させ、記録体上にトナーを定着する定着装置、及びこの定着装置を備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、記録体上のトナーを加熱して融解し、これを加圧することでトナーを記録媒体上に定着させる熱定着方式を採用した画像形成装置が知られている。この種の画像形成装置では、その消費電力の多くが定着部での加熱処理のために消費される。よって、定着部での電力消費を抑えることが画像形成装置全体の省エネ対策として有効である。
熱定着方式を採用しない定着方式として、トナーを形成する樹脂粒子を軟化させる軟化剤を用いて定着処理を行うケミカル定着方式が知られている。このケミカル定着方式は、トナーに軟化剤を含有する定着液を付与してこれを軟化することで、トナーを記録材上に定着させるものである。この方式においては、熱定着方式のような大量の電力消費を伴う加熱処理が不要となるため、省エネ対策として優れた定着方式であると言える。また、熱定着方式のようなウォームアップ時間も不要であるため、クイックスタートが可能である。ケミカル定着方式を採用する画像形成装置としては、特許文献1、特許文献2及び特許文献3に開示された軟化剤を含有する定着液を用いた湿式定着方式の画像形成装置がある。
【0003】
しかし、特許文献1は感光体に、特許文献2は中間転写体にと、それぞれ像担持体上のトナー像に定着液を供給するものであるため、転写後の像担持体上に軟化剤を含有する定着液が残留していると、画像形成前のトナーに軟化剤が混入するおそれがあった。
特許文献3には記録体に転写された後のトナー像に定着液供給手段を用いて定着液を供給する定着装置が記載されている。このような定着装置を備えた画像形成装置では画像形成前のトナーに軟化剤が混入するおそれはない。
【0004】
【特許文献1】特開2004−109750号公報
【特許文献2】特開2004−109747号公報
【特許文献3】特許第3290513号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、定着液を供給されることによって軟化した記録体上のトナー像の表面は、トナー粒子の影響により微細な凹凸を持っており、そのまま硬化すると定着後の定着画像も微細な凹凸を持った状態となる。このような定着画像をこすると凹凸が引っかかり画像の一部が剥がれ落ち、画像が乱れるという問題があった。
【0006】
本発明は、以上の問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、記録体上に形成されたトナー像に軟化剤を供給してトナー像を記録体に定着させるものであって、定着画像の画像品質を維持することができる定着装置、及びこれを備えた画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、トナーを形成する樹脂粒子を軟化させる特性を備える軟化剤を、記録体上に形成されたトナー像に供給して該トナー像を記録体に定着する定着装置において、該軟化剤を該記録体に供給する軟化剤供給手段と、該軟化剤が供給される軟化剤供給位置で該記録体を加圧する加圧手段とを有することを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の定着装置において、上記軟化剤供給位置で上記トナーを上記記録体側に向かわせる方向の電界を形成する電界形成手段を備えることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1または2の定着装置において、上記軟化剤供給手段が、上記軟化剤を含有する液体状の定着液を所定量に薄層化してその表面に担持し、上記記録体上のトナー像に接触して供給する定着液供給ローラであり、上記加圧手段が該定着液供給ローラとの間に該記録体を挟んで対抗する加圧ローラであることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項3の定着装置において、上記定着液供給ローラと上記加圧ローラとの間の線圧が、該定着液供給ローラ上の薄層化された該定着液のすべてが通過できる線圧であることを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項4の定着装置において、上記定着液供給ローラと上記加圧ローラとの間の線圧W[N/m]が上述の(1)式の条件を満たしすことを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項3、4または5の定着装置において、上記定着液供給ローラと上記加圧ローラとの少なくとも一方が弾性層を備えていることを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項3、4、5または6の定着装置において、上記定着液供給ローラと上記加圧ローラとは導電性の芯金部を備え、該芯金部に電界を形成するために電極を接続していることを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項7の定着装置において、上記定着液供給ローラの芯金部と上記加圧ローラの芯金部との間の抵抗値は、上記記録体の抵抗値以上であることを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項3、4、5、6、7または8の定着装置において、上記定着液供給ローラに定着液を塗布する定着液塗布ローラを有し、該定着液塗布ローラの表面に均一な溝が形成されていることを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項3、4、5、6、7、8または9の定着装置において、上記加圧ローラに付着した定着液を除去する加圧ローラ定着液除去手段を備えることを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、請求項3、4、5、6、7、8、9または10の定着装置において、上記定着液は略絶縁体であることを特徴とするものである。
また、請求項12の発明は、請求項3、4、5、6、7、8、9、10または11の定着装置において、上記トナー像は、上記トナーとキャリア液からなる液体現像剤を用いて形成されたものであり、上記定着液は、上記軟化剤を希釈する希釈液と該軟化剤とを混合したものであって、該希釈液が該キャリア液と同一の液体であることを特徴とするものである。
また、請求項13の発明は、潜像担持体と、該潜像担持体上に潜像を形成する潜像形成手段と、該潜像担持体上の潜像を現像しトナー像を形成する現像手段と、該潜像担持体上のトナー像を転写材上に転写する転写手段と、該転写手段により転写材に転写されたトナー像を定着する定着手段とを備える画像形成装置において、該定着手段として、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12の定着装置を用いることを特徴とするものである。
【0008】
上記請求項1乃至13の定着装置においては、軟化剤が供給される軟化剤供給位置で加圧手段によって記録体上のトナーを加圧することにより、記録体上で軟化したトナー像の表面のトナー粒子の影響による微細な凹凸を軽減して、表面の平滑性を高めることができる。
【発明の効果】
【0009】
請求項1乃至13の発明によれば、軟化したトナーの表面の平滑性を高めることができるので、硬化した定着後の定着画像の表面も平滑性が高まり、定着画像をこすっても画像がはがれ落ちにくいため、定着画像の乱れを抑制し、画質を維持することができるという優れた効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を液体現像現像剤を用いた電子写真画像形成装置(以下、プリンタ100という)に適用した場合の実施形態の一例について説明する。
図1は、本実施形態に係るプリンタ100の概略構成図である。プリンタ100は、潜像担持体として感光体1のまわりに、帯電装置20、レーザー光Lを感光体1に照射する図示しない露光装置、現像装置40、転写装置50、感光体クリーニング装置60が配設されている。感光体1はその表面がアモルファスシリコン(a−Si)によって形成される。感光体1の材質としてはOPC等も使用することできる。また、帯電装置20としては図1のようにコロナ放電による帯電を実現する帯電チャージャーの他、感光体1に接触させた帯電ローラなどの帯電部材によって所定の帯電バイアスを印加する方式のものを用いてもよい。また、露光装置としてはLEDやレーザー走査光学系等が使用できる。
【0011】
次に、プリンタ100で反転現像により画像を形成する場合について説明する。感光体1は、図示しないモータ等の駆動手段によって複写時には一定速度で矢印方向に回転駆動される。感光体1表面はその回転移動に伴い、帯電装置20のコロナ放電によって一様に帯電される。帯電装置20によって一様帯電された感光体1の表面は、画像情報に基づいて露光装置からレーザー光Lが照射されて静電潜像を担持する。これら静電潜像は、液体現像剤を用いる現像装置40の現像ローラ42と対向する領域を通過する間に現像される。
【0012】
静電潜像に現像されたトナー像は、感光体1の回転に伴い、転写装置50との対向する位置に達する。転写装置50は、中間転写ローラ51によって感光体1に向けて押圧して一次転写ニップを形成している。中間転写ローラ51にトナーの帯電極性とは逆極性の転写バイアスを印加する図示しない電源等を備えており、プリント時には中間転写ローラ51を図中矢印方向に回転移動させる。一次転写ニップには、転写バイアスが印加される中間転写ローラ51と感光体1の表面との電位差によって転写電界が形成される。感光体1の回転に伴って一次転写ニップに進入したトナー像は、この転写電界やニップ圧の作用を受けて中間転写ローラ51上に一次転写される。
【0013】
このようにして一次転写されたトナー像は、中間転写ローラ51と二次転写ローラ55とによって形成される二次転写ニップや転写電界によって、不図示の記録体搬送部材によって搬送された転写紙Pに二次転写される。トナー像が転写された転写紙Pは、詳細は後述する定着装置90で軟化剤を含む定着剤としての定着液が供給され定着せしめられる。トナー像が定着した転写紙Pは、定着装置90から排紙経路を経て機外へと排出される。
一次転写ニップを通過した感光体1の表面は除電ランプ70により残留電荷が除電される。除電ランプ70により除電された感光体1の表面は、感光体クリーニング装置60のクリーニングブレード61によって残留している液体現像剤が掻き取り除去される。この除去により、感光体1の表面は初期化せしめられ、次の作像を実現することが可能になる。
【0014】
次に、現像装置40の構造について説明する。この装置は現像剤収容タンク41、一対の攪拌スクリュ46、アニロクスローラ44、現像ローラ42、中間ローラ43、ドクターブレード49、現像クリーニングブレード48等を備えている。
【0015】
現像装置40は、キャリア液としての50[mPa・s]の粘度のジメチルポリシロキサンオイル中にトナーが分散された液体現像剤45を用いて、感光体1表面上の静電潜像をトナー像に現像する。
プリンタ100で用いられる液体現像剤45としては、従来一般的に市販され使用されているIsopar(エクソン商標)をキャリアとした低粘性(1[mPa・s]程度)、低濃度(1[%]程度)の液体現像剤ではなく、高粘性高濃度の液体現像剤である。
この液体現像剤45の粘度及びトナー固形分率の範囲としては、例えば粘度が50[mPa・s]から10000[mPa・s]、トナー固形分率が5[%]から40[%]のものを用いる。キャリア液としては、シリコーンオイル、ノルマルパラフィン、IsoparM(エクソン商標)、植物油、鉱物油等の絶縁性が高いものを使用する。揮発性、不揮発性については、目的に合わせて選択することができる。
【0016】
有色粒子であるトナーは、主に、スチレンアクリル系、ポリエステル系、エポキシ系、等の樹脂と、有色微粒子である着色顔料(ジスアゾイエロー、キナクリドン、銅フタロシアニン又はカーボンブラック等)とからなり、さらに電荷制御剤及び分散剤が配合されてもよい。その平均粒径は約3[μm]に調整されているが、サブミクロンから6[μm]程度まで目的に合わせて選択してもよい。
【0017】
一対の攪拌スクリュ46は、現像剤収容タンク41内の液体現像剤45中に浸るように互いに平行配設され、図中矢印で示されるように、図示しない駆動手段によって互いに逆方向に回転駆動せしめられる。現像装置40が現像動作に入ると、これら攪拌スクリュ46がこのように互いに逆回転し、現像剤収容タンク41内の液体現像剤45が攪拌せしめられる。この攪拌により、液体現像剤45は、そのトナー濃度や粘度が均一化する。
また、攪拌スクリュが互いに逆回転することで、両者の間で図示のように液体現像剤の液面が盛り上がり、その上方に配設されたアニロクスローラ44に付着する。
【0018】
塗布ローラとしてのアニロクスローラ44は、図示しない駆動手段によって図中矢印方向に回転駆動せしめられながら、上述のようにして付着した液体現像剤45を汲み上げる。このアニロクスローラ44の周面には、図示しない複数の凹部からなる均一なパターンの彫刻が形成されている。アニロクスローラ44によって汲み上げられた液体現像剤45の一部は、この凹部内に収容される。
このアニロクスローラ44の表面にはステンレス等の金属で形成された規制ブレードとしてのドクターブレード49が当接しており、アニロクスローラ44上の余分な液体現像剤45を掻き取る。この掻き取りにより、アニロクスローラ44上の液体現像剤45の量が複数の凹部の容量に応じた値に正確に計量される。
【0019】
中間ローラ43は、ドクターブレード49との当接部を通過したアニロクスローラ44表面に接触し、接触部でアニロクスローラと同方向に表面移動するように回転している。中間ローラ43とアニロクスローラ44との接触位置である塗布ニップでは、両ローラが互いに同方向に表面移動しながら接触し、且つ、アニロクスローラ44上の液体現像剤45がその粘度にかかわらず正確に計量されているため、中間ローラ43上に均一な厚みの現像剤薄層を形成することができる。
なお、中間ローラ43を用いてアニロクスローラ44で汲み上げた液体現像剤45を現像ローラ42に供給する構成では、ドクターブレード49を省略してもよい。これは、アニロクスローラ44と中間ローラ43とが当接するニップ部を通過することにより、余分な液体現像剤45が規制されるためである。
【0020】
現像ローラ42は、中間ローラ43に接触しながら接触部で中間ローラ43と逆方向に表面移動するように回転する。中間ローラ43と現像ローラ42との接触位置であるニップでは、両ローラが互いにカウンター方向に表面移動しながら接触し、中間ローラ43上に形成された現像剤薄層が現像ローラ42に転移される。
また、ニップの出口側で現像ローラ42に対する液体現像剤の供給が開始される一方で、現像ローラ42上に移った液体現像剤45が供給方向とは逆方向に移動する。このような塗布により、現像ローラ42の表面には液体現像剤45からなる均一な厚みの現像剤薄層が形成される。現像剤薄層の厚みが、現像ローラ42の表面の1[cm]当たりに担持されるトナー中の顔料含有分が3[μg]以上、60[μg]以下となるように設定する。これを実現するために、現像剤薄層の厚みが3[μm]〜12[μm]となるように塗布する。現像剤薄層の厚みが現像ローラ42の表面の1[cm]当たりに担持されるトナー中の顔料含有分が3[μg]より小さくなるような厚みでは、感光体1上に形成された潜像の画像部に十分な量の顔料が移動せず、画像部の画像濃度が薄くなるおそれがある。また、現像ローラ42表面の1[cm]当たりに担持されるトナー中の顔料含有分が60[μg]より大きくなるような厚みでは、現像後の地肌部に残留する余剰トナーが多くなり後述する感光体スイープ装置30による余剰トナーの除去が不完全になるおそれがある。
【0021】
現像ローラ42は、その周面に導電性のウレタンゴム等からなる導電弾性層が設けられており、感光体1と等速に回転しながらこれに接触して現像ニップを形成している。
この現像ニップには、図示しない電源からトナーの帯電極性と同極性の現像バイアスが印加される現像ローラ42と、感光体1との電位差によって現像電界が形成される。具体的には、現像ニップでは、現像ローラ42、感光体1の地肌部及び静電潜像がそれぞれトナーと同極性の電位を帯び、その値が地肌部、現像ローラ42、静電潜像の順に低くなっている。そして、現像ローラ42表面に形成された現像剤の薄層は、感光体1と現像ローラ42とによって形成された現像ニップを通過する際に、この現像電界によって、感光体1上の潜像の現像に用いられる。
このため、地肌部(非画像部)と現像ローラ42との間では、トナーを電位のより低い現像ローラ42に向けて静電的に移動させるような電界が形成される。また、現像ローラ42と静電潜像との間では、トナーを電位のより低い静電潜像に向けて移動させるような電界が形成される。
このような現像電界が形成される現像ニップでは、現像剤薄層中のトナーが、現像ローラ42と地肌部との間で現像ローラ42の表面に向けて電気泳動をして集結することで、地肌部分にトナー付着しないようになる。また、現像ローラ42と静電潜像との間で静電潜像に向けて電気泳動をして付着することにより、静電潜像が現像されてトナー像となる。
【0022】
なお、現像ローラ42の導電弾性層の表面硬度としては、感光体1との間で効率的にニップを形成できるようにJIS−A硬度で50[度]以下であることが望ましい。導電弾性層の材質はウレタンゴムに限られるものではなく、導電性を有するものであって、かつキャリア液・現像剤で膨潤したり溶解したりしない材質であればよい。また、現像ローラ42の表面が導電性を有し、かつキャリア液・現像剤で膨潤したり溶解したりしない材質であり、その内層にキャリア液・現像剤が接触しないような構成であれば、その内層としての弾性層の材質は、導電性・膨潤溶解の制約なく、弾性を有していればよい。このように、内層として弾性層を備え、この弾性層が導電性を備えていない場合は、現像バイアスは現像ローラ42の軸からではなく、表面から印加する必要がある。
【0023】
現像終了後の現像ローラ42に残留する上記現像液薄層は、現像ローラ42と中間ローラ43とのニップ部で中間ローラ43に受け渡され、現像クリーニングブレード48によって、中間ローラ43の表面から除去され、重力によって現像剤収容タンク41内部に戻る。なお、現像クリーニングブレード48は金属ブレードもしくはゴムブレードからなり、中間ローラ43表面の現像液を除去する現像クリーニング部材としては、現像クリーニングブレード48のようなブレード状に限らず、ローラ式であってもよい。
【0024】
次に感光体1の表面の余剰トナーを除去する感光体スイープ装置30について説明する。図1に示すようにプリンタ100は現像装置40から感光体1の表面移動方向下流側、且つ、転写装置50から感光体1の表面移動方向上流側に感光体スイープ装置30を備えている。感光体スイープ装置30は、スイープローラ32、スイープクリーニング部材としてのスイープクリーニングブレード33、キャリア回収装置34等を備えている。なお、スイープクリーニングブレード33は金属ブレードもしくはゴムブレードからなり、スイープクリーニング部材としては、スイープクリーニングブレード33のようなブレード状に限らず、ローラ式であってもよい。スイープローラ32は、現像されたトナー像を挟むように、感光体1に押圧して設置されている。
【0025】
スイープローラ32は外周面に導電性を有する弾性体の層が設けられている。この弾性体の層の材質としてはウレタンゴムを用いることができる。この弾性体の層のゴム硬度としては、JIS−A硬度で50[度]以下であることが望ましい。この材質はウレタンゴムに限られるものではなく、導電性を有するものであって、且つ溶剤で膨潤したり溶解したりしない材質であればよい。
【0026】
スイープローラ32を感光体1に対して適当な圧力で当接させると、スイープローラ32の弾性体の層が弾性変形し、除去ニップを形成する。当接圧力を調整することでニップ部における表面移動方向の大きさであるニップ幅を調整することができる。
上述したように、現像ニップの現像ローラ42上の地肌部との間において、現像剤薄層中のトナーは、現像ローラの表面に向けて電気泳動して集結するため、理論的には地肌部には付着しない。しかし、通常よりも帯電量の少ないトナーが他のトナーよりも遅れて電気泳動するなどして、地肌部に付着していわゆるカブリ(地汚れともいう)という現象を引き起こす場合がある。
感光体スイープ装置30の機能のひとつとして、このようなカブリを引き起こしたカブリトナーを感光体1から除去する機能がある。具体的には、スイープローラ32は、感光体1と略等速に回転しながらこれに接触して除去ニップ部を形成し、この除去ニップ部には、図示しない電源からトナーの帯電極性と同極性の除去バイアスが印加され、感光体1との電位差によってスイープ電界が形成される。
【0027】
なお、スイープローラ32の表面が導電性を有し、かつキャリア液・現像剤で膨潤したり溶解したりしない材質であり、その内層にキャリア液・現像剤が接触しないような構成であれば、その内層としての弾性層の材質は、導電性・膨潤溶解の制約なく、弾性を有していればよい。このように、内層として弾性層を備え、この弾性層が導電性を備えていない場合は、スイープ電界はスイープローラ32の軸からではなく、表面から印加する必要がある。
【0028】
また、弾性体の層を現像ローラ42やスイープローラ32に設ける構成ではなく、弾性体の層を感光体1側に設ける構成であってもよい。さらに、感光体を無端ベルト状部材で構成してもよい。また、現像ローラ42及びスイープローラ32は、コーティングもしくはチューブにより、その表面がRz=5[μm]以下の平滑性を有するように構成されている。
【0029】
現像ローラ42及びスイープローラ32を感光体1に対してそれぞれ適当な圧力で当接させると、各ローラの弾性体の層が弾性変形し、現像ニップ及び除去ニップを形成する。特に、現像ニップを形成することによって、液体現像剤45内のトナーが現像領域の現像電界により、感光体1に対して移動し付着するための一定の現像時間を確保することができる。また、当接圧力を調整することで各ニップ部における表面移動方向の幅であるニップ幅を調整することができる。各ニップ幅は、各ローラの線速と現像時定数との積、以上に設定する。ここで、現像時定数とは、現像量が飽和するまでに要する時間であって、必要最小ニップ幅をプロセス速度で除したものである。例えば、必要最小ニップ幅が5[mm]でプロセス速度が500[mm/s]であれば、現像時定数は10[msec]となる。
【0030】
現像ローラ42の現像後の液体現像剤45はゴースト防止のために中間ローラ43で回収され、現像クリーニングブレード48によって除去される。スイープローラ32によって感光体1上から除去した液体現像剤はスィープの性能の維持のためにスイープクリーニングブレード33によって除去される。これらの液体現像剤は不図示の調整用のタンクに集められて、調整用のタンク内で濃度を調整後に改めて現像装置40内へ送られるようになっている。調整用のタンク内には攪拌手段および濃度検知手段および液量検知手段があり、タンク内の濃度を均一にした状態で濃度および液量を検知して、新しい液体現像剤の補給やキャリアの補給による濃度調整を行っている。ここからの現像装置40内への液体現像剤の供給量は液体現像剤の使用量より若干多くなるように設定されており、溢れた分は調整タンクへ戻るようになっていて、液体現像剤は常に循環するようになっている。
【0031】
次に、転写装置50について説明する。
転写装置50は、感光体1からトナー像を転写される中間転写体である中間転写ローラ51、中間転写ローラ51から転写紙Pにトナー像を転写する二次転写ローラ55とから主に構成されている。また、中間転写ローラ51には、中間転写体スイープローラを備えてもよい。
中間転写体スイープローラとしては中間転写体に現像剤を介して接触し、表面が中間転写ローラ51と対向する位置で同方向に移動するよう回転方向を制御する。中間転写体スイープローラには、トナーと同極性のバイアスを印加して、現像剤層に接触すると、キャリア液は付着するが、トナーは付着しないようにする(例えば、プラストナーの時、中間転写体に−300[V]、スイープローラには100[V])。トナーと同極性で放電する程度のバイアスを印加する方法もある。また、キャリア液が付着するので、中間転写ローラ51、二次転写ローラ55、及び中間転写体スイープローラにはそれぞれ金属ブレードもしくはゴムブレードからなるクリーニング部材が備えられており、それぞれのローラに付着したキャリア液を除去する。各クリーニング部材はブレードに限らずローラ式であってもよい。
【0032】
中間転写ローラ51の構成は、金属など導電性のドラムに、ゴムや樹脂などからなる導電性の弾性体層を形成し、それだけでもよいが、望ましくは、さらに表層に、タックや表面凹凸の少なく、抵抗を調節する層を設けるとよい。また導電性のゴムや樹脂などからなるベルト状のものでもよい。ベルト状のものの場合も、表層に、上述のような層を設けても良い。中間転写体がドラム状の場合、回転制度が良く、位置再現性が良い、高圧力をかけやすい等の利点がある。一方、中間転写体がベルト状の場合、カラー用など、複数の感光体から一つの中間転写体に転写する場合や、ニップ幅を広く形成したい場合に有利である。弾性体導電層の材料の例としては、ヒドリン、ウレタン、NBR、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、EPDM等がある。各弾性体の層の材質は上記のものに限られるものではなく、導電性を有するものであって、かつキャリア液・現像剤で膨潤したり溶解したりしない材質であればよい。また、その表面が導電性を有し、かつキャリア液・現像剤で膨潤したり溶解したりしない材質であり、その内層にキャリア液・現像剤が接触しないような構成であれば、その内層としての、各弾性体の層の材質は、上述の導電性・膨潤溶解の制約なく、弾性を有していればよい。このとき、中間転写体に印加するバイアス電圧は、中間転写体の軸からではなく、表面から印加する必要がある。弾性体の層のゴム硬度としては、JIS−A硬度で50度以下であることが望ましい。これは転写ニップを設けるためであり、ベルト状の中間転写体を用いる場合は、シートとして駆動、曲げ等、機能する程度の硬度であればよい。
【0033】
中間転写ローラ51の表面粗さは、十点平均粗さで、0〜4[um]がよい。これは、中間転写ローラ51上でのトナー像の厚さは、液体現像剤を用いた場合、5[um]以下、時には2[um]ほどになる場合もあり、トナー像厚さより表面が粗いと、画像が壊されてしまうためである。そして、さらに望ましくは、十点平均粗さ1〜2[um]がよい。また、表面粗さが低すぎるとタックが増える場合がある。
中間転写ローラ51の電気抵抗は、体積抵抗率、1×10〜1×1011[Ω・cm]の範囲内にあれば、感光体1からの転写(一次転写)、転写紙Pへの転写(二次転写)ともに、良好だが、望ましくは1×10〜1×1010[Ω・cm]の範囲だと転写抜けが少なく、電力も少なくて済む。1×10[Ω・cm]以下では、湿度等の環境によって転写ぬけする場合があり、1×1010[Ω・cm]以上では、環境によって、異常放電を起こす場合や、電力的に無駄な場合がある。表面抵抗率は、1×10〜1×1012[Ω/□]、望ましくは1×1010〜1×1011[Ω/□]である。これらの体積抵抗率、表面抵抗率は、三菱化学、高抵抗計(ハイレスタUP MCP−HT450型、測定用プローブ:UR−SS)を用い、250[V]印加にて10秒後の値を測定した。
【0034】
中間転写ローラ51の材料について、表面粗さ、表面の滑り等の問題がある場合は、表面に別の層(表層)を設けるとよい。弾性体を用いた場合、表面粗さをよくするのは困難になり、タックも強くなってくる。そこで、そのような問題を解決できるように、例えばフッ素系樹脂を用いた厚さ数[um]〜数[mm]のコート層や、フィルム層、別素材の弾性層を設けると良い。この場合、中間転写ローラ51は、基体+弾性層+表層の3層から成る。中間転写ローラ51で例を挙げると、基体が金属ドラムであり表層を設けた後の中間転写体全体の抵抗率が上記体積抵抗率、表面抵抗率となるように調整し、弾性層の抵抗率は、時定数を下げるために、なるべく低い方がよい。
【0035】
感光体1から中間転写ローラ51へトナー像を転写するための一次転写バイアスは、トナーとは逆極性(−)で図示しないバイアス電源から印加される。その電位差は例えば+100[V]〜+500[V]の範囲である。また、帯電トナーや中間転写ローラ51の材料によってその適正値は変わる。
【0036】
中間転写ローラ51から転写紙Pへの二次転写は、記録体転写部材としての二次転写ローラ55および二次転写ローラ55に接続された不図示の二次転写電源などから構成する二次転写部にて行われる。二次転写ローラ55としては金属ローラや、ヒドリンやNBR等から成るJIS−A硬度30〜70度のゴムローラが用いられる。そして、二次転写ローラ55の体積抵抗率は、1×10〜1×10[Ω・cm]の範囲がよい。体積抵抗率が低すぎると、転写紙Pの抵抗が低い場合や、中間転写ローラ51との間に転写紙Pがない部分で、直接中間転写ローラ51に当接し、電位差を保つことができず、転写率が低下する場合がある。体積抵抗率が高すぎると高電圧が必要となる。さらに、異常放電を起こす等により、転写率が低下する場合がある。
【0037】
中間転写ローラ51上に担持されたトナー像を転写紙Pに転写する二次転写工程では、二次転写ローラ55が不図示の搬送ベルトを挟んで中間転写ローラ51に当接し、当接ニップを形成している。そして、図示しない給紙カセットから搬送ベルトによって搬送された転写紙Pが、中間転写ローラ51と二次転写ローラ55との当接ニップに所定のタイミングで給送され、これに合わせて二次転写バイアスが図示しないバイアス電源から二次転写ローラ55に印加される。この二次転写バイアスにより、中間転写ローラ51から転写紙Pへトナー画像が転写される。
二次転写ローラ55に印加する二次転写電圧は、中間転写ローラ51に印加する電圧に対して、トナーと逆極性で、電位差が+200[V]〜+3000[V]となるように印加する。湿度などの環境や、転写紙P等の記録体の厚さや素材、含水量等の状態、トナーの電荷量、現像剤量、現像剤中のキャリア液量などのいろいろな条件によって適正値は変化する。各種記録体に対応できるように定電流制御するのもよい。定電流制御を行う際の電流の値は条件によって適正値は変わるが約100〜1000[uA]くらいで適正な転写が得られることが多い。実施形態1では、200〜300[uA]の定電流制御で作像した。転写紙Pへの画像転写終了後、中間転写ローラ51上の転写残トナーは、中間転写体クリーニングブレード52等が当接されることによりクリーニングされる。
【0038】
二次転写ニップを通過し、トナー画像の転写を受けた転写紙Pは、定着装置90へ導入され、トナーを形成する樹脂粒子を軟化させる特性を備える軟化剤を希釈剤としての希釈液で希釈した定着液93を塗布され、定着された後、機外へと排出される。
【0039】
つぎに、従来の定着装置の課題について説明する。
定着装置としては、記録媒体上のトナーを加熱して溶解し、これを加圧することでトナーを記録媒体上に定着させる熱定着方式が主流である。しかしながら、鉄定着方式を用いたプリンタにおける消費電力の約半分以上は熱定着方式のトナー加熱のために消費されており、近年の環境負荷軽減の観点から低消費電力(省エネ)の定着装置が望まれている。即ち、定着時の加熱温度を今までよりも極端に下げるもしくは加熱を必要としない定着が望まれている。省エネの観点からは、全く加熱せずにトナーを定着させることが理想である。この非加熱定着方法として、トナー樹脂を溶解する溶剤を未定着トナーに付与する所謂溶剤定着が知られている。
【0040】
特公昭49−026591、特許第3290513号や特開昭53−118139において、トナーを溶解、又は膨潤させる定着液をトナーに付与してトナーを溶解、または膨潤させ、この定着液を乾燥させることでトナーを定着させる方法が提案されている。この定着方式では、熱定着方式の場合のようにトナー溶解のための加熱処理が不要であることから、低消費電力で省エネ対策として優れた定着方式と言える。
しかし、このような従来技術では、軟化剤の分散媒である水はVOC(揮発性有機化合物)に非該当であり問題ないが、軟化剤中のその他の有機化合物に関しては、臭気(不快臭や刺激臭)や安全性(PRTR法該当品種やProposition65該当品種)の観点からは問題視される材料が実施例等に記載されている。よって、オフィス環境で使用する場合、人体に対し悪影響を及ぼす部材や不快な臭気がオフィス内に充満してしまいオフィス環境への使用は問題である。また、定着剤を多量に未定着トナー画像に付与した場合、水分の吸収により記録媒体に皺やカールが発生し、画像形成装置として必要な安定かつ高速な記録媒体(転写紙)搬送を著しく損なうこととなる。さらに、この多量の水は乾燥装置を用いて蒸発により除去しようとすると、上記熱定着装置に匹敵する電力を必要とすることとなる。更に、大気中水分の影響で粒子どうしの流動性を損なわないようにするため、トナー微粒子表面は撥水性処理されており、水を溶媒とする定着液の場合、未定着トナー画像に定着液を付与する際、トナー微粒子が液に弾かれてしまい、画像が乱れるという重大な不具合がある。
【0041】
一方、別の溶剤定着方法として、特開昭59−119364では、トナーを溶解しシリコーンオイルと相溶性を示す溶剤をシリコーンオイルに混合することでトナーの軟化による画像の乱れを防止している。すなわち比較的粘度の高いシリコーンオイルにより、軟化したトナーの流動を抑えているものである。また、この従来技術の中で開示されている溶剤はベンゼン等の芳香族系溶剤やメチルエチルケトン等のケトン系溶剤であり、揮発性を有し、且つ、臭いもがきつく、VOC問題の観点からも問題が多い。
【0042】
このような問題に対して、特開2004−109747、特開2004−109749、特開2004−109750および特開2004−109751では、人体に対して無害な溶液を定着液として使用している。さらに、、転写紙などの記録媒体上の付着量を減らしカールやしわが発生しないように、記録媒体に転写する前のトナーに対して定着液を供給し、非画像部での付着量を軽減するような工夫を行っている。しかし、記録媒体に転写する前のトナーに対して定着液を供給する方法は、画像形成前のトナーに対して定着液が混入することを防止する必要があり、液の取扱いが難しいという問題がある。
【0043】
一方、記録媒体上に転写された後の像に対して定着液を供給すれば、画像形成前のトナーに対して定着液が混入する恐れがなく取扱い性が良く、特開昭53−118139、特開昭59−119364、特許第3290513号などではそのような供給を行っている。これらの従来技術では、定着液を保持したローラを接触させて塗布しているものがほとんどであるがこのように供給した場合、記録媒体上のトナーが逆にローラに転写してくる問題(オフセット)が発生する。オフセットの発生は画像品質を低下させることになるが、これに対して上述の従来技術では有効な手段が講じられていない。
【0044】
特公昭49−026591では、定着用の溶剤を塗布する際にコロナ放電により転写紙側にトナーを押付けることによってローラ側へのオフセットを防止する技術が発明されている。ここではチャージャーによるコロナ放電が実施例として記載されているが、ローラとチャージャーの間で転写紙を搬送することは実際上困難であり、搬送ベルト等による搬送補助が必要になり、複雑な構成になる。また、ローラ間にバイアスを印加することにも触れられているが、この場合、転写紙がない場合に離間させないとローラ間に液溜りが出来てしまい、転写紙先端を濡らしてしまうことが課題として挙げられている。しかしながら、紙間で離間することは装置が複雑になるというばかりでなく、高速の出力を行う装置においては略不可能である。このように電界によるオフセット防止というアイデアは記載されているものの実際この従来技術に記載されてる実施例での定着を行うことには様々な課題が残されている。
【0045】
さらに上述のような、樹脂粒子を軟化させる軟化剤を利用した定着方法では、軟化定着後の表面が、樹脂粒子に影響を受けて微細な凹凸を持っていて、画像面をこすった際に樹脂の一部が剥がれる現象(スミア)が起こったり、定着速度が軟化剤の樹脂粒子や記録媒体への浸透速度に依存しているので高速化が困難であるといった様々な問題を抱えている。
【0046】
よって、トナー像を転写紙Pへ定着させる工程において省エネルギー化を図ることができ、かつ、安全性・保存性が問題とならず、定着時の流れやにじみ、オフセットといった画像の劣化を防止し定着後も高画質を維持し、かつ、高速対応性を備えた定着装置が望まれている。
【0047】
次に、プリンタ100に用いる定着装置90の詳細について説明する。
図1に示すように、実施形態1のプリンタ100は、転写紙Pの表面移動方向において二次転写部の下流側に定着装置90が配置されている。この定着装置90は、定着液93を収容する定着液タンク95と、定着液を93の供給手段の定着液供給ローラである定着ローラ91と、定着ローラ91と記録体である転写紙Pを挟持して対向する加圧手段としての加圧ローラ96とから構成されている。定着ローラ91の一部が定着液93に浸かっており、その後メータリングブレード94で余剰な液を掻き落すことで、所定量に薄層化して、定着に必要な量の定着液93が定着ローラ91の表面に担持される。
【0048】
図2は、定着装置90を記録体が通過する状態の斜視説明図である。
図1及び図2に示すように、未定着のトナー像の載った転写紙Pが定着ローラ91との間を搬送されるように加圧ローラ96が接触し、定着ニップを形成している。定着ローラ91によって軟化剤を含有する定着液93が、転写紙P上のトナー像に供給される軟化剤供給位置が定着ニップとなっている。加圧されたニップ間で定着液93が供給されるので、軟化したトナーの樹脂が押しつぶされて表面の平滑性が高まり、硬化後の定着画像の表面も平滑性が高まるため、定着画像をこすってもはがれにくく、定着後の画像品質を維持することができるようになる。
【0049】
なお、定着装置90のように、記録体である転写紙Pの未定着画像に定着液を供給する際に加圧すると、定着液供給ローラである定着ローラ91にトナーが移動し画像が乱れる、いわゆるオフセットが加圧しないものに比べて悪化するおそれがある。
このような問題に対して、定着装置90では、軟化剤供給位置である定着ニップで未定着のトナー像を形成するトナーを転写紙P側に向かわせる方向の電界を形成する電解形成手段を備えている。
具体的には、軟化剤供給位置である定着ニップでトナーを転写紙P側に向かわせる方向の電界を発生させる電界形成手段として、定着ローラ91及び加圧ローラ96に定着ローラ電源97及び加圧ローラ電源98を接続している。なお、図1に示すように一方を接地してもよい。電界付与手段によりトナー粒子を転写紙Pに押付けような定着電界を形成し、その後に定着ローラ91によって、トナーの樹脂粒子を溶解させるような成分を含んだ定着液93を供給し、トナー粒子を溶解・膨潤した状態にして定着させている。このように、予め定着電界によって転写紙Pとトナー粒子の結合性を高めてあるので、定着液93の供給によるトナー粒子の流動を防止できるので画像の乱れを防止できる。さらに、加圧することで、悪化するおそれがあるオフセットの発生を抑制することができる。
【0050】
図3は、トナーに定着液93を付与した時の、定着液93とトナーとの経時的な状態変化を示す図である。図3(a)は、樹脂を含む物質を定着させる部材上に載せた状態を示しており、図3(b)は、樹脂に定着液93を付与した状態を示している。樹脂は定着液93に軟化され、粘着性を持った状態となり、定着ローラ91と加圧ローラ96との間の圧力の作用などにより、定着液93が樹脂から吐き出され、転写紙Pに浸透するなどして、トナーを構成する樹脂同士が結着する。図3(c)は、樹脂が結着し、定着した状態を示す。
【0051】
なお、過剰な量の軟化剤が供給されると軟化した後の決着が起こりにくくなり、定着液供給後、時間をおいても粘着性を維持した状態になる。ここで結着過程は樹脂を軟化させた定着液が樹脂内部に拡散あるいは記録媒体中に浸透することで起こっていると考えられ、この拡散・浸透の速度が高速対応性に対して課題になる。
なお、定着液供給部である定着ニップでの圧力は軟化した樹脂を変形させることができる程度の圧力が必要であり、数十〜数百[kPa]程度の圧力が必要となる。また、加圧する際には、定着ローラ91の表面の影響も考えられるので表面の平滑性が良い方が好ましい。例えば、表面粗さとして十点平均粗さRzで2〜3[μm]以下であることが望ましい。
【0052】
さらに、圧力下では転写紙Pへの定着液93の浸透速度が速くなり、高速対応が可能になるという効果がある。一般に毛細管現象での液の浸透速度を表す式として、以下(4)式で示す、Olsson−Pihlの式があり、圧力が高いと浸透速度が向上することが知られている。
【数4】

l[m] :浸透深さ
r[m] :毛管半径
γ[N/m] :表面張力
θ[°] :接触角
η[Pa・s]:粘度
p[N/m]:圧力
この(4)式から、加圧して圧力を高くすることによって、液の浸透速度が高まることがわかる。そして、圧力を上がることにより、プロセス速度500[mm/s]という高速での定着も可能となる。
【0053】
また、定着装置90では、定着液供給部である定着ニップで、定着ローラ電源97と加圧ローラ電源98とによって、定着液93を供給する際に、トナー粒子を転写紙P側に押付けるような定着電界を発生させる。この定着電界によって、定着ローラ91にトナーが転写するオフセットを防止することができる。オフセットの状態は、印加される電圧によって変化し、定着装置90では、定着ローラ電源97に600[V]以上の電圧を印加して電界を形成することでオフセットを防止することができた。
【0054】
上述のように、定着ニップに定着電界を発生させることにより、定着ローラ91に対するオフセットは防止することができるが、定着ニップでの圧力を高くしすぎるとニップ間ですべての液が通過できなくなる。以下、ニップ間ですべての液が通過できないことによる問題点について説明する。
【0055】
図4は、定着ニップでの定着液の通過の説明図であり、図4(a)はすべての定着液が通過している状態、図4(b)は一部の定着液が通過できていない状態を示している。
ニップ間をすべての定着液が通過できないほど加圧力が過剰な状態について、定着液記録体が連続体であれば、大きな問題にはならない。しかし、枚用紙のような不連続、すなわち、紙間が存在する場合に、加圧力が過剰な状態であると、図4(a)に示すように、紙間で供給される液が定着ニップの入り口に溜まって、その後通過する転写紙Pの先端部に過剰に付着し、未定着の画像を乱したり、定着性を劣化させてしまったりする。
そこで、定着装置90の定着ローラ91と加圧ローラ96との間の加圧力は、図3(a)に示すように定着ローラ91上に保持されている定着液層のすべての定着液が通過できる圧力以下になるように設定する。このため、転写紙Pが通過しないタイミングで、定着ローラ91と加圧ローラ96とが接触していても定着ニップの入り口に液溜りが出来ない。したがって、その後に転写紙Pを通過させても先端に過剰な定着液が付着することがない。このようにすることで、ローラ間に接離機構を設けなくても液溜りが生じることを防止することができ、過剰な定着液の付着による不具合を防ぐことができる。
【0056】
上述のように、定着装置90は、定着ローラ91と加圧ローラ96との間の線圧を調整して、定着ローラ91上の定着液93がすべて定着ニップを通過できるようにしている。定着ニップでの圧力を低下させる方法としてはローラの弾性層の硬度(縦弾性定数)を低下させることが有効であるが、ローラの電気特性として導電性を持たせたり必要な外径精度を得たりするために限界がある。
【0057】
弾性流体潤滑理論によると2つのローラのニップ部を通過できる流体の最大厚さhは、以下の(5)式により求められる。
【数5】

ここでkは定数。
W[N/m] :線圧
η[Pa・s]:粘度
U[m/s] :ローラ線速
R[m] :相対曲率半径
E[N/m]:等価縦弾性係数
h[m] :液厚さ
相対曲率半径R[m]は次の(6)式より求まる。
【数6】

1、[m]:二つのローラそれぞれの半径
等価縦弾性係数E[N/m]は次の(7)式より求まる。
【数7】

δ、δ :二つのローラそれぞれのポアソン比
、E[N/m]:二つのローラそれぞれの縦弾性係数
【0058】
ここで、(5)、(6)及び(7)の式の2つのローラとして、定着液供給手段の表面に弾性層を持つ定着ローラ91と、加圧手段が円筒状の形態をしている加圧ローラ96との場合の定着装置90に適応して定数kを求める。
定着ローラ91上の定着液93の塗布量(厚さ)を変えて定着ニップで定着液93の溜りができる限界の定着液厚さを実験によって求める。この実験結果を図5に示す。図5に示す結果を用いて、(5)式の定数kを求める。なお、本実施形態では図5のグラフより、k=2.88とし、k=2.88≒200として計算を行った。
求めたkの値と(5)式より、定着ニップでの線圧の最大値を求める。すなわち、定着装置90を構成する定着ローラ91と加圧ローラ96との諸条件、および必要な定着液93の層厚を決定後、定着ローラ91に対する加圧ローラ96の線圧W[N/m]を以下の(1)式の条件を満たすように設定する。
【数8】

W[N/m] :線圧
η[Pa・s]:粘度
U[m/s] :ローラ線速
R[m] :相対曲率半径
E[N/m]:等価縦弾性係数
[m] :定着液厚さ(定着液供給ローラ上)
相対曲率半径R[m]は次の(2)式より求まる。
【数9】

[m] :定着液供給ローラの半径
[m] :加圧ローラの半径
等価縦弾性係数E[N/m]は次の(3)式より求まる。
【数10】


δ :定着液供給ローラのポアソン比
δ :加圧ローラのポアソン比
[N/m]:定着液供給ローラの縦弾性係数
[N/m]:加圧ローラの縦弾性係数
なお、定着ローラと加圧ローラとは同じ線速で表面移動しており、その線速は上記U[m/s]で示すことができる。
【0059】
上記(1)式を満たすように線圧を設定することで定着ローラ91上の計量され、所定の量となった定着液93がすべて定着ニップを通過することができる。一方、定着ニップでは定着時間を十分に確保する必要があるのでできるだけ線圧を上げてニップ幅を大きくしたい。そこで定着装置90では上式から計算される線圧の60〜80[%]程度の線圧となるように設定する。
実際に用いた定着液の粘度と、そのときの線圧の上限値、及び線圧の設定値を表1に示す。
【0060】
【表1】

【0061】
図6は、定着装置90の拡大説明図である。
図6に示すように、定着装置90は、加圧ローラ96に対する定着ローラ91の当接圧を調整する機構を備えている。具体的な構成としては、加圧ローラ96を定着ローラ91に当接させる負勢手段として加圧バネ72を備え、加圧バネ72の一端は偏心カム71に接続されており、他端は加圧アーム73の一端と接続させれている。加圧アーム73の他端は、アーム回転軸75によって、位置を固定されている。保持部である加圧アーム73の一端は偏心カム71の動きに応じて位置を変えることができるようになっており、偏心カム71の位相を変化させることによって定着ニップでの当接圧を調整できるようになっている。なお、定着ニップでの当接圧を調整する機構としては図6に示す機構に限定されるものではなく、単純にバネの保持部の一端を調整ネジで移動できるようにすることなどもできる。
【0062】
このように調整手段をそなえることによって、環境変動等によって定着液の粘度が変化した場合にも必要な定着液93の層厚に応じて適切な当接条件を設定することができる。また、予め温度による粘度の変化のデータを取っておくことによって、定着液93の温度変化に応じて適切な当接条件を設定することも可能である。具体的には定着装置90内に定着液93の温度検知手段を配置し、この値を元に予め記憶装置上に記憶されている温度と粘度および適性な接触圧力のデータから適正な接触圧力条件を求め、加圧ローラ96の定着ローラ91に対する圧力を図6に示すような圧力調節機構によって変更すればよい。
【0063】
定着ローラ91ならびに加圧ローラ96は、定着ローラ91の表面に担持されている定着液93が通過できる圧力設定とすることで定着ニップの入り口に液の溜まりが出来ないようにしている。しかし、定着ローラ91上に担持される定着液の量が増えたり、加圧ローラ96上に定着液93が担持されていたりすると、定着ニップを通過する定着液93の量が増えるため、同じ圧力状態でも液溜まりが出来てしまうおそれがある。特に、加圧ローラ96側では、転写紙Pがニップを通過しているタイミングでは問題ないが、転写紙Pが存在しないタイミングでは、定着ニップを通過した定着液93が、定着ローラ91および加圧ローラ96の表面に付着した状態で回転することになる。これにより、加圧ローラ96側に付着した分はそのまま再び定着ニップへ供給されることになり、定着ニップの定着液93の供給量が増加したり、あるいは通過できないで定着ニップに液溜まりができてしまったりすることになる。このような問題に対して、定着装置90では図6示すようにその表面に付着した定着液93を除去するための除去手段を備えている。除去手段として、可撓性を備えたブレードからなる加圧ローラクリーニングブレード74を表面に当接させている。加圧ローラクリーニングブレード74によって加圧ローラ96上に付着した定着液93を除去することで、加圧ローラ96に付着した定着液93が定着ニップに入って液量が増大することを防止できる。また、除去した定着液93は再度、定着液タンク95への供給経路へ搬送することで再利用することができる。加圧ローラ表面の定着液の除去手段としては、ここで示したブレードタイプのものに限らず、例えば、布等で拭き取ることも可能であるが、再利用可能である点や機構が簡単である点などにより、定着装置90ではブレードを使用している。
【0064】
上述の弾性流体潤滑理論による液層通過の条件式では、ローラの弾性が大きく寄与する。例えば、定着ローラ91ならびに加圧ローラ96が金属ローラであった場合、表1の線圧の上限値は、ほとんど零になり実質上、接触状態を保つことは困難である。また同等の線圧とした場合、通過できる定着液93の厚さは、1[μm]以下になり、必要量を塗布することは困難となる。そこで定着装置90では、定着ローラ91に弾性層を備えている。
図7は、定着ローラ91の概略断面図である。図7に示すように、定着ローラ91は、中心部から定着ローラ軸部91a、定着ローラ芯金部91b、定着ローラ弾性層91c、及び定着ローラ表面滑性層91dとから構成される。図7に示すように、定着ローラ91の定着ローラ芯金部91bの外側に弾性層である定着ローラ弾性層91cを設けて、JIS−A硬度で30〜40[度]程度にしている。弾性層は加圧ローラ96側に設けても良いし、二つのローラ両方に儲けてあっても良い。さらに定着ローラ弾性層91cの表面にはクリーニング性を良くするために定着ローラ表面滑性層91dを設けてある。これはローラの表面粗さを向上させる点でも効果があり、定着ローラ表面滑性層91dとしては、例えば、導電性のPFAチューブなどを被覆させている。
【0065】
なお、定着ローラ91が定着ローラ弾性層91cを備えている場合、オフセット防止の電界を形成するためには、定着ローラ弾性層91cは導電性を有することが望ましく、カーボンなどの導電性物質を混入して弾性層を形成することで抵抗値を下げる。このように定着ローラ弾性層91cを形成することで定着ニップのニップ幅を広くし、ニップ内での接触圧力を下げることで定着ニップ間を通過することが可能な定着液93の量を確保できる。
【0066】
上述したように、オフセット防止のための定着電界を形成する場合、その電極の取り方として、表面に電極を接触させて印加する方式と、芯金部から回転接触式の電極端子によって印加する方式とがある。
図8は、定着電界の電極の取り方の説明図であり、図8(a)は、芯金部から回転接触式の電極端子によって印加する方式の説明図、図8(b)は、表面に電極を接触させて印加する方式の説明図である。
図8(b)に示す方式は、定着ローラ91の表面に導電層があれば他は層は絶縁であっても構わないが、表面からの定着電極99の接触状態や表面抵抗のムラなどによって加圧ローラ96との間に形成される電界が不安定になる。さらに定着ローラ91の表面には予め定着液93が担持されているのでここを介して電極をとることになるので、液の溜まりを作らずに電極を接触させなければならず、実施は困難である。
そこで、定着装置90では、図8(a)の芯金部から回転接触式の電極端子によって印加する方式を採用している。このため芯金部から電極を設けるもので、定着ローラ91に弾性層がある場合は、弾性層を導電性にする必要があるが、比較的安定した電界を形成でき、定着ローラ91の表面に液層があっても電界が影響を受けることが無い。
【0067】
定着装置90では、定着ローラ91および加圧ローラ96の間にオフセット防止のために電界を形成する際に転写紙Pの軸方向での長さによって電界の効果が変動する恐れがある。転写紙Pが定着ローラ91および加圧ローラ96の幅に比較して小さい場合、両ローラ間に電界を形成しても、抵抗の高い転写紙Pではなく、両端の転写紙Pの無い部分を電流が流れてしまい、オフセットの防止ができなくなる。転写紙Pの幅が両ローラに対して長い、あるいは同等である場合には、両端部で転写紙Pを介さずにローラが接触する面積が小さくその影響が小さくなる。よって、通過する転写紙Pの幅方向のサイズが1種類で済む場合には、転写紙Pの長さと同等あるいはそれ以下に定着ローラ91および加圧ローラ96の長さを設定すると良い。
しかし、転写紙Pの幅方向の大きさが一定でない場合には、特に小さなサイズの転写紙Pでオフセット防止を行うことが難しい。
そこで、定着装置90では、転写紙Pを挟まない状態での定着ローラ91と加圧ローラ96との間の抵抗値が転写紙Pのニップ間での抵抗値に比べて大きくなるようにしている。このように設定することで、ニップ間に転写紙Pを通した際の抵抗と転写紙Pを介さない状態での抵抗の差を小さくできるので、転写紙Pの幅が小さいような場合にでもオフセット電界を機能させることができる。定着装置90のニップ条件での転写紙Pの抵抗値は転写紙中が含水分によっても変動するが数百[kΩ]であり、転写紙Pなしでのローラ間の抵抗値を千数百[kΩ]となるようにローラの弾性層の導電性を調整している。これは定着ローラ91側の弾性層の抵抗値で調整する場合、弾性層の体積抵抗率としては、1.0×10[Ωcm]程度になる。
【0068】
定着ローラ91ならびに加圧ローラ96は、定着ローラ91の表面に担持されている定着液93が通過できる圧力設定とすることで定着ニップの入り口に液の溜まりが出来ない。しかし、定着ローラ91上に担持される定着液93の量が増えたり、加圧ローラ96上に定着液が担持されていたりすると定着ニップを通過する定着液93の量が増えるため、同じ圧力状態でも溜まりが出来てしまうことがある。そこで定着装置90では定着ローラ91に対して一定量の定着液93を安定して供給するための塗布装置を備えている。さらにこの塗布装置では、安定した塗布量を得るためにその表面に均一な溝がパターン形成された彫刻ローラを備え、この溝の容積によって定着液93を計量して定着ローラ91に対して供給している。図6はその実施例を示すものであり、定着液93に浸漬した彫刻ローラ92にドクタブレードとしてのメータリングブレード94を当接し、溝の容積から溢れた分を除去して液量を計量した後、定着ローラ91上に液を供給するように接触している。接触部では定着ローラ91表面の移動方向に対して、彫刻ローラ92の表面の移動方向が逆になるように回転し、さらに、定着ローラ91の表面の移動速度よりも彫刻ローラ92表面の移動速度が早くなるように駆動されている。このようにすることで、定着ローラ91表面に定着液93が転移した際に彫刻ローラ92の溝パターンの影響を減らして均一な塗布面を形成することができる。さらにこの速度の比を調整することで定着ローラ91上の定着液93の量を制御することも可能である。
【0069】
図9は彫刻ローラ92の説明図である。
彫刻ローラ92は図9(a)に示すようにその表面には、均一パターンの微細な溝が形成されている。彫刻ローラ92の表面には、図9(b)に示すようにメータリングブレード94が接触している。この彫刻ローラ92は、定着液タンク95内の定着液93に浸った状態で、定着ローラ91の表面に接触するように配置されている。定着ローラ91と彫刻ローラ92とは、トナーに定着液93を付与する際には図6中矢印の方向に回転駆動する。これにより、彫刻ローラ92の表面に定着液93が汲み上げられる。
このようにして汲み上げられた定着液93は、彫刻ローラ92の表面上の溝内部に入り込んだ状態で担持され、その溝外部に付着した定着液93は、メータリングブレード94によって掻き取られる。そして、彫刻ローラ92上の定着液93は、彫刻ローラ92の回転に伴って定着ローラ91との接触位置まで搬送される。この接触位置では、彫刻ローラ92と定着ローラ91とがカウンター方向に表面移動しており、彫刻ローラ92の溝内部の定着液93が定着ローラ91の表面に付着することになる。したがって、彫刻ローラ92の表面に設けられる溝の内部容積を調節することで定着ローラ91上の定着液量を適量に調整することができる。
なお、図9(a)では彫刻ローラ92の微細な溝として斜線型のものを示したが、図9(c)に示すピラミッド型や図9(d)に示す格子型の溝を有するものであっても良い。なお定着ローラ91への供給性の良さなどの理由から定着装置90で使用している彫刻ローラ92は斜線型を用いている。
【0070】
定着装置90を備えた画像形成装置としてのプリンタ100では、定着に熱エネルギを使用しないので、動作時に使用する電力を大幅に減少できるだけでなく、熱ローラのように予熱する必要がないので待機時の電力を減少できる。また、排熱のためのファンを減少できるので騒音の低減など多くの利点がある。
なお、本実施形態では、定着装置90を備える画像形成装置として液体現像剤を用いた電子写真方式の画像形成装置であるプリンタ100をもとに説明してきたが、定着装置90は、液体現像剤を用いたものに限らず、乾式電子写真であっても同様の構成で同様の効果を得ることができる。
【0071】
次に、定着液93に含まれる軟化剤について説明する。
定着液93に含有される軟化剤は、トナーを構成する樹脂成分を溶解又は膨潤させる材料(以下、「軟化剤」という。)である。この軟化剤は揮発することなく、すなわち臭いもなく、液体現像剤を構成するキャリア液と親和性を有する材料であるのが望ましい。この溶解・膨潤成分の具体例としては、飽和脂肪族エステル、脂肪族ジカルボン酸エステル、脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキル等がある。
【0072】
以下、軟化剤として用いることができる飽和脂肪族エステルについて説明する。
飽和脂肪族エステルは、一般式「R1COOR2」で示される化合物であり、R1は、炭素数が11以上14以下のアルキル基であり、R2は、炭素数が1以上3以下のアルキル基である。
飽和脂肪族エステルである脂肪族モノカルボン酸エステルとしては、ラウリン酸エチル、トリデシル酸エチル、トリデシル酸イソプロピル、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル等が挙げられる。これらは、ほとんど揮発することなく、シリコーンオイルやPAOなどの合成油や鉱物油、炭化水素系溶媒等に親和性を有し、キャリア液として用いられるジメチルシリコーン、ミネラルオイル、Isopar等に溶解する。水への溶解度は、0.1[g/100ml](25[℃])以下であり、難溶性である。
【0073】
飽和脂肪族エステルである脂肪族ジカルボン酸エステルは、一般式「R3(COOR4)2」で示される化合物であり、R3は、炭素数が3以上8以下のアルキレン基であり、R4は、炭素数が2以上5以下のアルキル基である。
脂肪族ジカルボン酸エステルとしては、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル等が挙げられる。これらの部剤の多くは、ほとんど揮発することなく、シリコーンオイルやPAOなどの合成油や鉱物油、炭化水素系溶媒に溶解し、25[℃]での水への溶解度は、0.1[g/100ml]以下であり、難溶性である。
【0074】
飽和脂肪族エステルである脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルは、一般式「R5(COOR6−O−R7)2」で示される化合物であり、R5は、炭素数が2以上8以下のアルキレン基であり、R6は、炭素数が2以上4以下のアルキレン基であり、R7は、炭素数が1以上4以下のアルキル基である。脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルとしては、コハク酸ジエトキシエチル、コハク酸ジブトキシエチル、アジピン酸ジエトキシエチル、アジピン酸ジブトキシエチル、セバシン酸ジエトキシエチル等が挙げられる。脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルとしてのこれらの部剤の多くは、(炭素数にもよるが、)ほとんど揮発することない。そして、シリコーンオイルやPAOなどの合成油や鉱物油、炭化水素系溶媒への溶解性は比較的低く、飽和脂肪族エステルや脂肪族ジカルボン酸エステルに比べて水への溶解性が高めである。よって、これらを軟化剤として用いる場合は、HLB値が1〜5程度の界面活性剤にて、シリコーンオイルやPAOなどの合成油や鉱物油、炭化水素系溶媒へ乳化分散する方法もある。
なお、上述したいづれの飽和脂肪族エステルであっても、炭素数が多いほど、粘性が高く、不揮発性も高くなる傾向にある。また、精製すると臭いを減らすことができ、精製度の高いエステルでは、ほとんど無臭のものもある。
【0075】
上述した軟化剤の例は、液状の軟化剤である。軟化剤として液体のものを用いることにより、軟化剤が固体やゲルの場合に比べ、キャリア液に対する浸透しやすく、トナーへの接触が早くなる。液状の軟化剤であっても、その浸透速度は粘性や表面エネルギーに依存し、より低粘性のものが浸透速度はより速い。また、定着剤が液状の定着液93であれば供給が容易であり、パイプやポンプを用いて供給できる。粉体のように舞い散らないなど、取り扱いが便利である。また、定着液93を用いることで薄層形成等、量を規制しやすい。さらに、定着剤が液状であれば粉体に比べ、含有される軟化剤がキャリア液に混ざりやすく、トナーを形成する樹脂粒子と接触し易い。
【0076】
次に、軟化剤を希釈する希釈液について説明する。定着液93を構成する希釈液としては不揮発性の希釈液を用いている。
トナーを軟化させる溶解・膨潤成分を、定着させたい樹脂に対して、必要量以上に供給すると、樹脂の溶解が進みすぎて定着させたいトナーの流れ等が発生する原因になる。また、樹脂の硬化が遅れ、定着に要する時間が長くなる、という問題も生じる。定着させたいトナーを形成する樹脂は、半溶解状態あるいは膨潤状態であることが望ましく、溶解・膨潤成分の種類にもよるが、溶解・膨潤成分はトナーに対して概ね半量以下で十分である。
なお、トナーに対して、半量以上供給しないと、トナーを軟化しないような溶解・膨潤成分では、トナーを軟化させた後の溶解・膨潤成分の処遇にも困るのでふさわしくない。例えば、感光体1上、中間転写ローラ51上、転写紙P上でトナー像を構成するトナーの量は、厚さにして数[μm]レベルであり、溶解・膨潤成分は、これよりも更に薄く少量で供給する方が望ましい。
溶解・膨潤成分は薄く少量を供給できることが望ましいが、少量の溶解・膨潤成分である軟化剤を均一に供給することは極めて困難である。
【0077】
そこで、このような少量の溶解・膨潤成分を供給する方法として、一般に、この溶解・膨潤成分としての軟化剤を何らかの液体によって希釈する方法が利用される。この希釈液としては、環境への影響を考慮して、水を用いるものが知られている。しかし、水は、水は揮発しやすいため、濃度変化しやすく、さらに腐敗等剤の保存性の問題も生じる。
また、水と混ぜて水と親和性のよい、また水に易溶性の希釈液を用いると、水を吸着しやすいので、空気中の水分を吸着し、濃度変化しやすい。さらに、転写紙Pに供給すると、紙がコックリングする(シワになる)心配もある。また、水以外の揮発性の希釈液を用いると、揮発して、臭いや大気汚染の問題も生じる。
これらの課題を克服するためには、揮発しない、水に難溶性な、臭いのほとんどしない、希釈液の例としては、シリコーンオイルあるいはミネラルオイル等が挙げられる。両者とも、各種構造、グレード(粘性・分子量)がある。定着装置90では、主に、上述の軟化剤を50[%]、希釈液としてシリコーンオイル50cStを50[%]以下の割合で混合した液を定着液93として用いた。
なお、軟化剤が液体であれば軟化剤のみで定着液93として使用することができる。しかし、転写紙P上にある樹脂の量は極めて微量であり、これに対して過剰にならない量を供給することは困難である。そこで適当な希釈液を使用して薄めて定着液93として供給することで、安定して供給できる供給量の定着液に必要な量の軟化剤が含まれるようにしている。
【0078】
着色粒子を軟化させる軟化剤を希釈して定着液とする場合、その希釈液としてはいろいろなものがあり、定着装置90では、その取扱い性の良さから上述のように不揮発のものを使用しており、最も無害であり一般的である水の使用を避けている。この水を使用しない理由として、その電気抵抗が低いという特性がある。例えば、水のように電気抵抗の低い液で希釈した場合、定着液の電気抵抗も低いものになる。定着装置90では、図1及び図8を用いて説明したように、定着液を供給する際に、着色粒子(トナー)が逆に定着ローラ91に付着してくる現象(オフセット)を防止するために、トナーを転写紙P側に押付けるような定着電界を形成している。この定着電界の効果は定着液の電気抵抗の影響を受け、例えば水などの抵抗の低い液体を多く含んでいるとローラ表面と定着液表面で電位差が小さくなり、オフセットの防止の効果がすくなくなる。これに対して略絶縁体である場合にはより大きな効果を持つ。そこで、定着装置90で使用する定着液93は電気絶縁性が高く、略絶縁性、体積抵抗率で1013[Ω・cm]以上であることが望ましい。
【0079】
このような電気絶縁性が高い液体としては、例えば、液体現像剤の樹脂粒子を分散させるキャリア液として使用されるシリコーンオイル、ノルマルパラフィン、IsoparM(エクソン商標)、植物油、鉱物油等がある。中でもシリコーンオイルは、分子内の結合エネルギーが大きく結合が切れにくいため、熱に強く、高安定性で、電気絶縁性が高い(体積抵抗率が×1014〜×1016[Ω・cm])ことからキャリア液として適しており、液体現像剤のキャリア液として用いられている。またメチルフェニルシリコーンも同様にキャリア液として用いることができる。メチルフェニルシリコーンは、フェニル基があるため屈折率が高く、他の有機成分との相溶性が高いため、配合安定化を向上させ、トナーと混ぜて液体現像剤の製造に適している。また温度特性に優れていて、300[℃]で500[時間]でも酸化されにくい。さらに、フルオロシリコーンオイルもキャリア液として使用できる。フルオロシリコーンオイルは構造中にフルオロ基(CF3)を持ち、誘電率が他のシリコーンオイルと比較して大きく、50[HZz]である。他にも側鎖や末端基に反応性を持つ変性シリコーンオイルがある。
【0080】
定着装置90では、定着液93を構成する希釈液として、液体現像剤のキャリア液に使用されているような絶縁性液体を使用している。具体的には、液体現像剤のキャリア液として使用している不揮発性のジメチルシリコーンを、定着液の希釈液として使用している。シリコーンは、分子内の結合エネルギーが大きく、結合が切れにくいため熱に強く、電気絶縁性が高い。また、シリコーンはその低い表面エネルギーのため、特に濡れ性がよく、定着液の希釈液として用いた場合、定着液に含まれる軟化剤は、キャリア液に包まれたトナーに迅速にたどり着くことができる。よって、トナーの樹脂成分を定着液により軟化させる時間を短縮することができる。また、定着液の希釈液及びキャリア液として不揮発性のジメチルシリコーンを用いることで、環境に対して悪影響を与えることがなくなる。ジメチルシリコーンは、体積抵抗率が1014〜1016[Ω・cm]と、キャリア液として適している。また、不揮発性の液体を用いることで、揮発性分を回収する機構などを設ける必要もない。さらに、希釈液としてシリコーンオイルを用いた場合、表面エネルギーが低く濡れ性が良いことから、定着ローラによって接触塗布する場合において、ローラ表面上に均一かつ薄層の定着液層を形成することが比較的容易である。
【0081】
希釈液の例として、シリコーンオイルは、原子と原子の結合角が大きく、間隔も広く、分子がらせん状で外側をメチル基が覆って分子同士お互い引き合う力が弱いことから、表面張力が低い。そのため、樹脂の固まりに塗布した時、濡れ性がよく、均一に薄く塗ることができる。
シリコーンオイルの一例としてジメチルシリコーンの場合、例えば、東レダウコーニング株式会社製SH200(商品名)がある。カタログ値によると、動粘度100[mm/s](25[℃])のSH200−100cs(商品名)であれば、150[℃]24[時間]での揮発分は、0.5[%]以下となり、ほとんど揮発しない。同様に、SH200−50cs(商品名)の150[℃」24[時間]での揮発分も、0.5[%]以下であり、希釈液として望ましい。またSH200−20cs(商品名)の150[℃]24[時間]での揮発分は6[%]だが、常温での揮発分は、気温約25[℃]、湿度約60[%]の実験室で測定したところ、120[時間]でも0.1[%]以下だったので、希釈液として使用できる。ジメチルシリコーンは、最も代表的なシリコーンオイルで、無色透明、無味無臭、低表面張力、展延性、化学的・熱的安定性、透湿性、撥水性、不揮発性を特徴としている。また、メチルフェニルシリコーンは、シリコーン特有の撥水性・潤滑性に加え、他の有機成分との相溶性がより高い。ジメチルシリコーンオイルと有機オイル・ワックス成分との相溶化剤的機能により、シリコーンオイルの配合安定化を向上させる働きもあるため、各種希釈液を複数用いる場合などにも有利である。
【0082】
定着液93が供給される転写紙上または後述する感光体1上、中間転写ローラ51上のトナーにはキャリア液が付着している。そのため、定着液93中の溶解・膨潤成分の希釈液として、例えば水を使用する場合、液体現像剤のキャリア液(ジメチルシリコーン、ミネラルオイル、Isopar等)が一般に油であることから、そのキャリア液によって定着液がはじかれてしまう。この結果、定着液の溶解・膨潤成分である軟化剤がトナーにたどり着くのに時間がかかり、トナーの樹脂粒子を定着液が軟化させるのに時間が多くかかってしまう。なお、水に限らず、希釈液としてキャリア液と混ざりにくい物質を用いると、同様の理由によりトナーの樹脂粒子を軟化させるのに時間がかかってしまう。
【0083】
そこで、希釈液としてキャリア液と親和性のあるものを用いることで上述の問題を解消できる。これにより、希釈液とキャリア液とが混ざりやすく、定着液93中の軟化剤が液体現像剤中のトナーの樹脂粒子に到達するまでの時間を短縮できるので、定着速度の高速化を図ることが出来る。
また、溶解・膨潤成分で軟化剤の希釈液としては、液体現像剤のキャリア液と同じものを用いている。定着液93の希釈液として、液体現像剤のキャリア液と同じ物質のものを用いることによって、定着液93とキャリア液との親和性が良いため、定着液93中の軟化剤が速やかにトナーに接触・浸透させることができる。そして、速やかにトナーの樹脂成分を軟化させることができる。
さらに、液体現像剤のキャリア液と同一物質を定着液の希釈液として用いることで、定着液中に若干の液体現像剤が混入しても定着液としての機能を損なうことがない。また、上述したように液体現像剤のキャリア液はその必要性から電気絶縁性が高く、定着液の希釈液に使用するのに適している。
【0084】
このように、キャリア液と親和性のある定着液を用いることで、定着速度の高速化をはかることができるので、画像形成スピードを向上させることができる。とくに、定着剤の希釈液として、液体現像剤のキャリア液と同じ物質を使用することで、トナーの帯電特性等に変化を与えることもない。
【0085】
液体現像剤のキャリア液としては、エクソン社製アイソパー(商品名)やミネラルオイルやPAOが挙げられる。アイソパーとしては、例えば、アイソパーVは揮発性が25[℃](常温常圧下:25[℃]、1[気圧])で一晩放置して2[%]以下、体積抵抗率も1×1013[Ω・cm]であり、不揮発性のキャリア液として使用することができる。PAOとは、αオレフィンを重合させたポリαオレフィンのことである。これは化学合成油の基油として古くから用いられてきたオイルである。炭素数10のポリαオレフィンは、粘度指数と流動点に優れているためよく用いられる。これは鉱油を分解しても得られるが、エチレンを重合して得る方法が、安価に効率よく得られるため、一般的である。
【0086】
定着装置90で用いる定着液93が不揮発性場合、定着液93は樹脂を軟化させ、一部は樹脂層にとりこまれるものもあるが、本発明者らは、そのほとんどが樹脂層から吐き出されて、樹脂層が固化すると考えている。そのため、転写紙Pのように定着液を吸収する媒体に塗布する場合は、塗布後に余剰な定着液を回収するのは困難である。
また、定着液93が不揮発性の場合、回収しないでいると、定着液93はいつまでもなくならない。よって、転写紙P等、樹脂を定着させる媒体上に塗布する時は、定着液93の塗布量は樹脂を定着させる媒体上に保持できる量である方がよい。例えば転写紙P上のトナー層を定着する場合、転写紙Pの吸油性や厚みによってその量は違うが、転写紙Pが定着液93を吸収できる量以下の量の定着液を塗布するようにするとよい。そのためには、軟化剤の樹脂を溶解・膨潤させる力にもよるが、軟化剤を希釈して定着液93として用いる場合、その割合を変え、樹脂を溶解・膨潤させるのに十分な軟化剤を含み、かつ定着液93の量が多すぎないように調整する。定着液93の量が転写紙Pに吸収できる量以下ならば、樹脂を溶解・膨潤した後に余剰液を回収する機構等が必要なくなる。定着液93が多すぎると、樹脂を溶解・膨潤させた後も樹脂が固化しないため、定着せず、擦ると樹脂が擦り取られたり、広がってしまったりすることがある。
【0087】
[実験1]
ここで、転写紙が吸収できる液量を測定する実験1を行った。
液としては、定着液の希釈液として用いることのあるシリコーン(50[mPa・s])、転写紙としては、リコー製T−6200を用いた。転写紙に付着する液量を変え、紙の濡れ具合を評価した。
実験1の結果を図10に示す。
図10において、横軸は転写紙の単位面積当たりのシリコーンオイルの付着量であり、縦軸は紙の濡れ具合を3段階で評価したものである。目視の3段階評価で、1は「不可:濡れが紙表面に見え、1[分後]でも濡れが見える。」、2は「可:直後に濡れは見えるが、液は数秒で紙に染み込み、乾燥は不必要と思われる。」、3は「量:直後からほとんど濡れが見られない。」としている。
実験1の結果、およそ0.7[mg/cm]以下であれば濡れ具合が2以上となり、乾燥が不必要な程度であった。その他各紙を用い、液の付着量と紙の密度とから、単位面積当り、紙の質量に対する液の付着量の割合を換算したところ、現状では紙に対して定着液1[%]程度の付着量としており、ほとんど濡れた感じがない。定着液が約10[%]で濡れの限界であり、3[%]以下が望ましい。そのためには、市場で一般的な転写材のうち、最も薄いもので、濡れた感じにならないような定着剤量を塗布できる構成にすることと、その定着剤量で満足な定着性を得られる定着剤を選択する必要がある。
【0088】
[変形例1]
定着装置90では、定着剤として液体状の定着液93を用いている。そして、上に挙げた軟化剤や希釈する物質は、ほとんどが常温で液体である。定着剤としては、液体状のものに限るものではない。以下、ゲル状の定着剤を用いた変形例1について説明する。
液体の軟化剤や定着剤は、樹脂への塗布性・広がりがよいが、例えば樹脂が粒子の場合、樹脂粒子が液体に流されてしまい、動かされてしまう場合がある。転写紙上の画像を形成しているトナーやインクが動かされてしまうと、画像を乱すことになる。そこでこの場合、定着液をゲル化し、樹脂の粒子などを動かすことなく、画像を乱すことなく、樹脂に付着させ、定着するようにするとよい。定着液をゲル化するには、吸油性高分子(油性物質を吸収するか、あるいは油性物質に溶け込んでこれをゲル化させる高分子物質)を用いる方法がある。吸油性高分子としては、アルキルスチレン、アルキルメタアクリレート、ヒドロキシアルキルメタアクリレートなどの重合物の架橋物、ポリアルキルアクリレート、ポリイソブチレンなどがある。
ポリアルキルアクリレートを用いてゲル化した例を示す。100[ml]の定着液に対し、2[g]のポリアルキルアクリレートを混ぜ、約45[℃]に加温し、均一溶液になったら加温を止め、室温まで放冷する。ゲル化した定着剤は、定着装置90と同様に彫刻ローラと定着ローラとを用いた塗布方法で転写紙等記録媒体に塗布することができる。
【0089】
[実験2]
次に、定着装置90で使用する定着液と、従来の定着液とを比較する実験を行った。
実験装置としては図1で示した湿式のプリンタ100で、トナー像転写後の転写紙Pに定着液93を塗布する構成にて実験を行った。なお、ここでいう不揮発とは常温(20〜25[℃])・常圧下、48時間での減量分が2[%]以下を指す。
また、各実施例及び比較例におけるスミアテストでの評価は次の方法による。
クロックメータ先端に5[mm]厚の弾性材をクッション材として付設し、そこに布を被せる。ベタ画像上を10往復擦った後の布上の濃度(3点平均)を測定し(Dcrk)、そこから布濃度(Dcls)を差し引いた値を元の画像濃度(Dinit)で除した値Dsmrをスミア法における評価値とする。Dsmrの値は小さい程、定着性が良く、現状の目標値は0.2以下である。なお、評価値Dsmrは、次の式より求まる。
Dsmr=(Dcrk−Dcls)/Dinit
なお、以下に示す定着液は実質的に絶縁性であり、オフセット電界の使用が可能である。
【0090】
<実施例1>
本実施例では、液体現像剤と親和性のよい定着液の処方を採用する。
・アジピン酸ジイソプロピル(軟化剤、LD50=5[g/kg]) 10[wt%]
・ジメチルシロキサン(50[mPa・s]、希釈液、LD50=15[g/kg]) 90[wt%]
図1にて示したプリンタ100で作像した転写紙上未定着画像に、上記定着液を定着装置で付着量300〜500[mg/A4]塗布してスミアテストで評価したところ、スミア目標値を満足するのに要した時間は、塗布後2[分]であった。また、揮発分測定の減量分は1[%]以下であり、臭気は全く感じられなかった。
【0091】
<実施例2>
本実施例では、液体現像剤と親和性のよい定着液の処方を採用する。
・アジピン酸ジイソブチル(軟化剤、LD50=12.3[g/kg]) 50[wt%]
・ジメチルシロキサン(50[mPa・s]、希釈液、LD50=15[g/kg]) 50[wt%]
図1にて示したプリンタ100で作像した転写紙上未定着画像に、上記定着液を定着装置で付着量50〜100[mg/A4]塗布してスミアテストで評価したところ、スミア目標値を満足するのに要した時間は、1[分]以内であった。そして、塗布後1[分]以内での評価結果は0.05と優れた定着性を得ることができた。また、揮発分測定の減量分は1[%]以下であり、臭気は全く感じられなかった。
【0092】
<実施例3>
本実施例では、液体現像剤と親和性のよい定着液の処方を採用する。
・アジピン酸ジイソブチル(軟化剤、LD50=12.3[g/kg]) 50[wt%]
・アイソパーV(14.8[mPa・s]、希釈液) 50[wt%]
図1にて示したプリンタ100で作像した転写紙上未定着画像に、上記定着液を定着装置で付着量40〜90[mg/A4]塗布してスミアテストで評価したところ、スミア目標値を満足するのに要した時間は、1[分]以内であった。そして、塗布後1[分]以内での評価結果は0.6と優れた定着性を得ることができた。また、揮発分測定の減量分は1[%]以下であり、臭気は全く感じられなかった。
【0093】
<実施例4>
本実施例では、液体現像剤と親和性のよい定着液の処方を採用する。
・セバシン酸ジ−n−ブチル(軟化剤、LD50=14.9[g/kg]) 20[wt%]
・ジメチルシロキサン(50[mPa・s]、希釈液、LD50=15[g/kg]) 80[wt%]
図1にて示したプリンタ100で作像した転写紙上未定着画像に、上記定着液を定着装置で付着量100〜300[mg/A4]塗布してスミアテストで評価したところ、スミア目標値を満足するのに要した時間は、3[分]以内であった。また、揮発分測定の減量分は1[%]以下であり、臭気は全く感じられなかった。
【0094】
<実施例5>
本実施例では、液体現像剤と親和性のよい定着液の処方を採用する。
・セバシン酸ジ−n−ブチル(軟化剤、LD50=14.9[g/kg]) 100[wt%]
図1にて示したプリンタ100で作像した転写紙上未定着画像に、上記定着液を定着装置で付着量20〜70[mg/A4]塗布してスミアテストで評価したところ、スミア目標値を満足するのに要した時間は、2[分]以内であった。また、揮発分測定の減量分は1[%]以下であり、臭気は全く感じられなかった。
【0095】
<実施例6>
本実施例では、液体現像剤と親和性のよいゲル状定着剤の処方を採用する。
・アジピン酸ジイソブチル(軟化剤、LD50=12.3[g/kg]) 50[wt%]
・ジメチルシロキサン(50[mPa・s]、希釈液、LD50=15[g/kg]) 48[wt%]
・ポリアルキルアクリレート(ゲル化剤) 2[wt%]
アジピン酸ジイソブチルとジメチルシロキサンを混合した後、全体を45〜50[℃]に加温してポリアルキルアクリレートを加え良く攪拌してから放冷することでゲル化した定着剤を得、図1にて示したプリンタで作像した転写紙上未定着画像に、上記定着剤を定着装置で付着量30〜90[mg/A4]塗布してスミアテストで評価したところ、スミア目標値を満足するのに要した時間は、3[分]以内であった。また、揮発分測定の減量分は1[%]以下であり、臭気は全く感じられなかった。
【0096】
<比較例1>
比較例1として、液体現像剤と親和性が比較的によくない定着液の処方を採用する。
・コハク酸ジエトキシエチル(軟化剤、LD50=5[g/kg]) 5[wt%]
・ジメチルシロキサン(50[mPa・s]、希釈液、LD50=15[g/kg]) 95[wt%]
図1にて示したプリンタ100で作像した転写紙上未定着画像に、定着液を定着装置で付着量300〜400[mg/A4]塗布してスミアテストで評価したところ、スミア目標値を満足するのに要した時間は、4[分]以内であった。また、揮発分測定の減量分は1[%]以下であり、臭気は全く感じられなかった。
【0097】
<比較例2>
比較例2として、液体現像剤と親和性が比較的によくない希釈液を用いた処方を採用する。
・コハク酸ジエトキシエチル(軟化剤、LD50=5[g/kg]) 4[wt%]
・エタノール(希釈液、LD50=20[g/kg]) 20[wt%]
・水 76[wt%]
図1にて示したプリンタ100で作像した転写紙上未定着画像に、上記定着液を定着装置で付着量55〜70[mg/A4]塗布してスミアテストで評価したところ、スミア目標値を満足するのに要した時間は、5[分]以内であった。ところで、揮発分測定の減量分は約10[%]程度、臭気も感じられた。なお、この比較例2では定着後のカールやコックリングが認められた。
【0098】
実験2で評価した定着液のうち、実施例3、実施例6及び比較例1の実験結果を図11に示す。
図11に示すように、何れの定着液を用いた場合でも、経過時間とともにスミアの値が下がっているが、実施例3及び実施例6は二分後にスミアの値が目標値である0.2を下回っている。一方、比較例1の場合は、2[分後]でもスミアの値は0.3より大きい値を示し、4[分後]になって0.2を下回る状態である。スミアの値が低いほど定着性が良好であることを示しており、液体現像剤のキャリア液と親和性のあるものを用いることで、良好な定着状態になるまでの時間を短縮することができ、定着速度を速めることができることが確認された。
【0099】
以上、本実施形態によれば、定着装置90が、軟化剤を含有する定着液93を記録体である転写紙Pに供給する軟化剤供給手段としての定着ローラ91、定着液93が供給される軟化剤供給位置である定着ニップで転写紙Pを加圧する加圧手段としての加圧ローラ96とを有している。加圧ローラ96で加圧しながら定着液を供給することにより、転写紙P上の軟化したトナー像の表面のトナー粒子の影響による微細な凹凸を軽減して、平滑性を高めることができる。よって、硬化した定着後の定着画像の表面の平滑性も高めることになり、定着画像をこすっても画像がはがれ落ちにくいため、定着画像の乱れを抑制し、画質を維持することができる。さらに、圧力下では定着液93等の液体の転写紙Pに対する浸透速度が早く高速対応性が可能となる。なお、定着液塗布後に加圧すると、軟化したトナー像の硬化が始まっており、表面を整え、平滑性を高める作用を十分に得ることができない。塗布しながら加圧することで、平滑性を高めることができる。
また、定着ニップで、トナーを転写紙P側に向かわせる方向の電界を形成する電界形成手段として、定着ローラ91及び加圧ローラ96に定着ローラ電源97及び加圧ローラ電源98を接続している。これにより、加圧することで、悪化するおそれがあるオフセットの発生を抑制することができる。
また、定着ローラ91と加圧ローラ96との間の定着ニップでの線圧が、定着ローラ91上の薄層化された定着液93のすべてが通過できる線圧となるように、圧力を調整することで液溜まりを防止できる。
また、弾性流体潤滑理論から求まる条件式に基づいて、定着ニップを定着液93が通過できるように圧力を調整することで液溜まりを防止できる。
また、定着ローラ91が弾性層としての定着ローラ弾性層91cを備えているので、弾性層により適度な接触状態を作ることができる。
また、定着ローラ91と加圧ローラ96とは導電性の芯金部を備え、芯金部に電界を形成するために電極を接続することにより、安定した電界を形成でき、オフセットを防止できる。
また、定着ローラ91の芯金部と加圧ローラ96の芯金部との間の抵抗値は、転写紙Pの抵抗値以上とすることで、転写紙Pの長さが定着ローラ91より短い場合にでも、オフセット防止の定着電界を転写紙P体部分に有効に機能させることができる。
また、定着ローラ91に定着液93を塗布する定着液塗布ローラとしての彫刻ローラ92を有し、彫刻ローラ92の表面に均一な溝が形成されているため、定着ローラ91に対して安定して均一な定着液93の供給が可能になるので、定着後の画像品質を安定させることができる。
また、加圧ローラ96に付着した定着液93を除去する加圧ローラ定着液除去手段である加圧ローラクリーニングブレードを備えることにより、定着ニップへの加圧ローラ96側からの定着液93の流入を防止でき、定着液93の供給量の変動や定着ニップ入り口での液溜まりの発生を防止できる。
また、定着液93として、略絶縁体であるものを用いることにより、定着液93の抵抗を高くすることでオフセット防止の電界の効果を発揮できる。
また、定着液93を構成する希釈液として液体現像剤のキャリア液と同一のものを用いることにより、液体現像剤を使用した画像においても定着液がはじかれることを防止し、定着速度を速めることができる。
また、画像形成装置であるプリンタ100の定着手段として、定着装置90を用いることにより、定着に熱エネルギを使用しないので、動作時に使用する電力を大幅に減少できる。さらに、熱ローラのように予熱する必要がないので待機時の電力を減少でき、排熱のためのファンを減少できるので騒音の低減など多くの利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】実施形態に係るプリンタの要部概略構成図。
【図2】同プリンタに適用する定着装置の斜視説明図。
【図3】トナーに定着液を供給した際の経時的な状態変化を示す説明図。(a)は樹脂を含む物質を定着させる部材上に載せた状態、(b)は樹脂に定着液を付与した状態、(c)は樹脂が結着して、定着した状態。
【図4】定着ニップでの定着液の通過の説明図。(a)は、すべての定着液が通過している状態、(b)は、一部の定着液が通過できていない状態。
【図5】定数kを求める実験結果のグラフ。
【図6】定着装置の拡大説明図。
【図7】定着ローラの概略断面図。
【図8】定着電界の電極の取り方の説明図。(a)は、芯金部から回転接触式の電極端子によって印加する方式、(b)は、表面に電極を接触させて印加する方式。
【図9】は彫刻ローラの説明図。(a)は実施形態で用いる彫刻ローラの説明図、(b)は彫刻ローラの側面図、(c)はピラミット型の微細な溝の説明図、(d)は格子型の微細な溝の説明図。
【図10】実験1の結果を示すグラフ。
【図11】実験2の結果を示すグラフ。
【符号の説明】
【0101】
1 感光体
20 帯電装置
30 感光体スイープ装置
32 スイープローラ
33 スイープクリーニングブレード
34 キャリア回収装置
40 現像装置
41 現像剤収容タンク
42 現像ローラ
43 中間ローラ
44 アニロクスローラ
45 液体現像剤
46 攪拌スクリュ
48 現像クリーニングブレード
49 ドクターブレード
50 転写装置
51 中間転写ローラ
52 中間転写体クリーニングブレード
55 二次転写ローラ
60 感光体クリーニング装置
61 クリーニングブレード
70 除電ランプ
71 偏心カム
72 加圧バネ
73 加圧アーム
74 加圧ローラクリーニングブレード
75 アーム回転軸
90 定着装置
91 定着ローラ
92 彫刻ローラ
93 定着液
94 メータリングブレード
95 定着液タンク
96 加圧ローラ
97 定着ローラ電源
98 加圧ローラ電源
99 定着電極
100 プリンタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーを形成する樹脂粒子を軟化させる特性を備える軟化剤を、記録体上に形成されたトナー像に供給して該トナー像を記録体に定着する定着装置において、
該軟化剤を該記録体に供給する軟化剤供給手段と、該軟化剤が供給される軟化剤供給位置で該記録体を加圧する加圧手段とを有することを特徴とする定着装置。
【請求項2】
請求項1の定着装置において、
上記軟化剤供給位置で上記トナーを上記記録体側に向かわせる方向の電界を形成する電界形成手段を備えることを特徴とする定着装置。
【請求項3】
請求項1または2の定着装置において、
上記軟化剤供給手段が、上記軟化剤を含有する液体状の定着液を所定量に薄層化してその表面に担持し、上記記録体上のトナー像に接触して供給する定着液供給ローラであり、上記加圧手段が該定着液供給ローラとの間に該記録体を挟んで対抗する加圧ローラであることを特徴とする定着装置。
【請求項4】
請求項3の定着装置において、
上記定着液供給ローラと上記加圧ローラとの間の線圧が、該定着液供給ローラ上の薄層化された該定着液のすべてが通過できる線圧であることを特徴とする定着装置。
【請求項5】
請求項4の定着装置において、
上記定着液供給ローラと上記加圧ローラとの間の線圧W[N/m]が次の(1)式の条件を満たしすことを特徴とする定着装置。
【数1】

W[N/m] :線圧
η[Pa・s]:粘度
U[m/s] :ローラ線速
R[m] :相対曲率半径
E[N/m]:等価縦弾性係数
[m] :定着液厚さ(定着液供給ローラ上)
相対曲率半径R[m]は次の(2)式より求まる。
【数2】

[m] :定着液供給ローラの半径
[m] :加圧ローラの半径
等価縦弾性係数E[N/m]は次の(3)式より求まる。
【数3】

δ :定着液供給ローラのポアソン比
δ :加圧ローラのポアソン比
[N/m]:定着液供給ローラの縦弾性係数
[N/m]:加圧ローラの縦弾性係数
【請求項6】
請求項3、4または5の定着装置において、
上記定着液供給ローラと上記加圧ローラとの少なくとも一方が弾性層を備えていることを特徴とする定着装置。
【請求項7】
請求項3、4、5または6の定着装置において、
上記定着液供給ローラと上記加圧ローラとは導電性の芯金部を備え、該芯金部に電界を形成するために電極を接続していることを特徴とする定着装置。
【請求項8】
請求項7の定着装置において、
上記定着液供給ローラの芯金部と上記加圧ローラの芯金部との間の抵抗値は、上記記録体の抵抗値以上であることを特徴とする定着装置。
【請求項9】
請求項3、4、5、6、7または8の定着装置において、
上記定着液供給ローラに定着液を塗布する定着液塗布ローラを有し、該定着液塗布ローラの表面に均一な溝が形成されていることを特徴とする定着装置。
【請求項10】
請求項3、4、5、6、7、8または9の定着装置において、
上記加圧ローラに付着した定着液を除去する加圧ローラ定着液除去手段を備えることを特徴とする定着装置。
【請求項11】
請求項3、4、5、6、7、8、9または10の定着装置において、
上記定着液は略絶縁体であることを特徴とする定着装置。
【請求項12】
請求項3、4、5、6、7、8、9、10または11の定着装置において、
上記トナー像は、上記トナーとキャリア液からなる液体現像剤を用いて形成されたものであり、
上記定着液は、上記軟化剤を希釈する希釈液と該軟化剤とを混合したものであって、
該希釈液が該キャリア液と同一の液体であることを特徴とする定着装置。
【請求項13】
潜像担持体と、該潜像担持体上に潜像を形成する潜像形成手段と、該潜像担持体上の潜像を現像しトナー像を形成する現像手段と、該潜像担持体上のトナー像を転写材上に転写する転写手段と、該転写手段により転写材に転写されたトナー像を定着する定着手段とを備える画像形成装置において、
該定着手段として、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12の定着装置を用いることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2007−127987(P2007−127987A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−322553(P2005−322553)
【出願日】平成17年11月7日(2005.11.7)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】