説明

定着装置

【課題】トナー粒子を記録媒体に強固に定着させることが可能な定着装置を提供すること。特に、環境にやさしい定着装置を提供すること。
【解決手段】本発明の定着装置は、絶縁性液体中にトナー粒子が分散した液体現像剤を用いて記録媒体上に形成されたトナー画像を、定着ローラを用いて前記記録媒体上に定着する定着装置であって、前記絶縁性液体は、不飽和脂肪酸成分を含むものであり、前記定着ローラは、少なくともその表層に、前記不飽和脂肪酸成分の酸化重合反応を促進させる酸化重合促進剤を含み、定着の際に、前記トナー画像中に含まれる前記不飽和脂肪酸成分と、前記定着ローラ表層の前記酸化重合促進剤とを接触させ、前記不飽和脂肪酸成分を酸化重合させることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定着装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、記録媒体上に画像を形成する方法として、絶縁性液体中にトナー粒子が分散した液体現像剤を用いる方法が知られている。
この液体現像剤を用いる方法は、トナーを乾式状態で用いる乾式トナーに比べ、トナー粒子の凝集が効果的に防止されるため、微細なトナー粒子を用いることが可能であり、また、結着樹脂として、低軟化点(低軟化温度)のものを用いることができる。その結果、液体現像剤を用いた画像形成装置では、細線画像の再現性が良く、階調再現性が良好で、カラーの再現性に優れた画像を得ることができるという特徴を有している。
【0003】
液体現像剤に用いる絶縁性液体としては、一般に、化学的安定性が高いことから、石油系炭化水素やシリコーンオイル等が用いられている。
しかしながら、液体現像剤を用いた方法では、定着の際にトナー粒子の表面に付着した絶縁性液体が、記録媒体中に染み込み、定着強度を低下させるという問題があった。また、この染み込みにより、記録媒体に対してボールペン等で追記するのが困難となるという問題もあった。
【0004】
このような問題を解決するために、トナー粒子を記録媒体に転写する前に、ブレード等を用いて絶縁性液体を除去する試みが行われている(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、このような方法では、十分に絶縁性液体を除去するのは困難であり、十分な定着強度を得るのが困難であった。また、トナーの定着強度を向上させるために、比較的高い温度で、長時間加熱してトナー粒子を定着させることも考えられるが、近年の画像形成のさらなる高速化、省エネルギー化という要望を満足させるのが困難であった。
【0005】
【特許文献1】特開2004−286859号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、トナー粒子を記録媒体に強固に定着させることが可能な定着装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の定着装置は、絶縁性液体中にトナー粒子が分散した液体現像剤を用いて記録媒体上に形成されたトナー画像を、定着ローラを用いて前記記録媒体上に定着する定着装置であって、
前記絶縁性液体は、不飽和脂肪酸成分を含むものであり、
前記定着ローラは、少なくともその表層に、前記不飽和脂肪酸成分の酸化重合反応を促進させる酸化重合促進剤を含み、
定着の際に、前記トナー画像中に含まれる前記不飽和脂肪酸成分と、前記定着ローラ表層の前記酸化重合促進剤とを接触させ、前記不飽和脂肪酸成分を酸化重合させることを特徴とする。
これにより、特に高い温度に加熱しなくても、トナー粒子を記録媒体上に強固に定着させることができる。さらに、定着に時間がかからないため、印刷速度のさらなる高速化を図ることができる。また、定着に大きい熱量を必要としないため、省エネルギー化も図ることができる。
【0008】
本発明の定着装置では、前記酸化重合促進剤は、脂肪酸金属塩であることが好ましい。
これにより、より確実に不飽和脂肪酸成分の酸化重合反応を生じさせることができる。
本発明の定着装置では、定着温度が、80〜200℃であることが好ましい。
これにより、不飽和脂肪酸成分の酸化重合反応をより効果的に進行させることができ、トナー粒子の定着強度をより効果的に向上させることができる。
【0009】
本発明の定着装置では、前記定着ローラと記録媒体とが接する部位において、前記記録媒体に対して圧力を加える加圧ローラを有することが好ましい。
これにより、より確実に不飽和脂肪酸成分の酸化重合反応を生じさせ、より強固に定着させることができる。
本発明の定着装置では、前記記録媒体上に前記トナー画像を定着させた後に、前記定着ローラの表面に付着した前記絶縁性液体を除去する除去手段を有することが好ましい。
これにより、繰り返し定着する場合において、より確実にトナー画像中の不飽和脂肪酸成分と、酸化重合促進剤とを接触させることができる。
本発明の定着装置では、前記不飽和脂肪酸成分は、少なくとも、共役化した不飽和結合を有する成分を含むことが好ましい。
これにより、不飽和脂肪酸成分の酸化重合反応をより効果的に進行させることができ、トナー粒子の定着強度をより効果的に向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の定着装置の好適な実施形態について説明する。
本発明の定着装置は、不飽和脂肪酸成分を含む絶縁性液体中にトナー粒子が分散した液体現像剤を用いて記録媒体上に形成されたトナー画像を定着するものである。
図1は、本発明の定着装置を示す断面図である。
定着装置F40は、後に詳述するような画像形成装置によって形成された未定着トナー画像F5aを有する記録媒体F5上に、未定着トナー画像F5aを定着させるものである。
【0011】
定着装置F40は、図1に示すように、熱定着ローラF1と、加圧ローラF2と、耐熱ベルトF3と、ベルト張架部材F4と、クリーニング部材F6と、フレームF7と、スプリングF9とを有している。
熱定着ローラ(定着ローラ)F1は、パイプ材で構成されたローラ基材F1bと、その外周を被覆する弾性体F1cと、ローラ基材F1bの内部に、加熱源としての柱状ハロゲンランプF1aとを有しており、図に矢印で示す反時計方向に回転可能になっている。
熱定着ローラF1の弾性体F1cは、その表層に、離型層F11cを備えている。
離型層F11cは、定着の際に、トナー粒子が熱定着ローラF1の表面に付着するのを防止する機能を有している。
【0012】
本実施形態において、離型層F11cに、定着すべきトナー画像中に含まれる不飽和脂肪酸成分の酸化重合反応を促進させる酸化重合促進剤が含まれている。
ところで、従来の液体現像剤を用いた定着装置では、定着の際にトナー粒子の表面に付着した絶縁性液体が、記録媒体中に染み込み、定着強度を低下させるという問題があった。また、この染み込みにより、記録媒体に対してボールペン等で追記するのが困難となるという問題もあった。
【0013】
このような問題を解決するために、トナー粒子を記録媒体に転写する前に、ブレード等を用いて絶縁性液体を除去する試みが行われているが、このような方法では、十分に絶縁性液体を除去するのは困難であり、十分な定着強度を得るのが困難であった。また、トナーの定着強度を向上させるために、比較的高い温度で、長時間加熱してトナー粒子を定着させることも考えられるが、近年の画像形成のさらなる高速化、省エネルギー化という要望を満足させるのが困難であった。
これに対し、本発明は、定着の際に、定着ローラの表層に存在する酸化重合促進剤と不飽和脂肪酸成分とを接触させ、不飽和脂肪酸成分を酸化重合させる点に特徴を有している。
【0014】
このようにトナー画像を記録媒体への定着する際に、不飽和脂肪酸成分の酸化重合反応を生じさせることにより、特に高い温度に加熱しなくても、トナー粒子を記録媒体上に強固に定着させることができる。さらに、定着に大きな熱量を必要としないため、後述する定着ニップ部を通過する時間を比較的短いものとしても、十分にトナー粒子を記録媒体上に定着させることができる。すなわち、定着に時間がかからないため、印刷速度のさらなる高速化を図ることができる。また、定着に大きい熱量を必要としないため、省エネルギー化も図ることができる。
【0015】
このような酸化重合促進剤としては、後に詳述する不飽和脂肪酸成分の酸化重合を促進するものであれば、特に限定されないが、脂肪酸金属塩を用いるのが好ましい。これにより、より確実に不飽和脂肪酸成分の酸化重合反応を生じさせることができる。
このような脂肪酸金属塩としては、例えば、樹脂酸金属塩(例えば、コバルト塩、マンガン塩、鉛塩等)、リノレン酸金属塩(例えば、コバルト塩、マンガン塩、鉛塩等)、オクチル酸金属塩(例えば、コバルト塩、マンガン塩、鉛塩、亜鉛塩、カルシウム塩等)、ナフテン酸金属塩(例えば、亜鉛塩、カルシウム塩等)等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0016】
なお、液体現像剤(不飽和脂肪酸成分)については、後に詳述する。
上記のような離型層F11cに離型性を付与する材料としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、フッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−クロルトリフルオロエチレン共重合体等のフッ素ゴム、四フッ化エチレン樹脂、四フッ化エチレン−パーフルオロビニルエーテル共重合体、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体、四フッ化エチレン−エチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素樹脂等が挙げられる。
【0017】
離型層F11c中に含まれる酸化重合促進剤の含有量は、0.5〜5.0wt%であるのが好ましく、0.5〜3.0wt%であるのがより好ましい。これにより、不飽和脂肪酸成分の酸化重合反応を効率良く進行させることができる。これに対し、酸化重合促進剤の含有量が前記下限値未満であると、不飽和脂肪酸成分の種類や量等によっては、十分に酸化重合反応を進行させるのが困難となる場合がある。一方、酸化重合促進剤の含有量が前記上限値を超えると、離型層F11cの強度や離型効果等が低下してしまう場合がある。
離型層F11cの平均厚さは、10〜50μmであるのが好ましく、20〜40μmであるのがより好ましい。
【0018】
熱定着ローラF1の内部には、加熱源を構成する2本の柱状ハロゲンランプF1a、F1aが内蔵されており、これらの柱状ハロゲンランプF1a、F1aの発熱エレメントは、それぞれ異なった位置に配置されている。そして、各柱状ハロゲンランプF1a、F1aが選択的に点灯されることにより、後述する耐熱ベルトF3が熱定着ローラF1に巻き付いた定着ニップ部位と、後述するベルト張架部材F4が熱定着ローラF1に摺接する部位との異なる条件下や、幅の広い記録媒体と幅の狭い記録媒体との異なる条件下等での温度コントローラが容易に行われるようになっている。
【0019】
加圧ローラF2は、熱定着ローラF1と対向するように配されており、後述する耐熱ベルトF3を介して、未定着のトナー画像が形成された記録媒体F5に対して圧力を加えるよう構成されている。圧力を加えることにより、不飽和脂肪酸成分と酸化重合促進剤とを確実に接触させることができるとともに、熱定着ローラによる熱を未定着トナー画像F5aに効果的に伝えることができ、記録媒体F5上に未定着トナー画像F5aをより強固に定着させることができる。
【0020】
また、加圧ローラF2は、パイプ材で構成されたローラ基材F2bと、その外周を被覆する弾性体F2cとを有し、図に矢印で示す時計方向に回転可能になっている。
前述した熱定着ローラF1の弾性体F1cと加圧ローラF2の弾性体F2cとは、略均一な弾性変形をして、いわゆる水平ニップを形成する。また、熱定着ローラF1の周速に対して、後述する耐熱ベルトF3または記録媒体F5の搬送速度に差異が生じることもないので、極めて安定した画像定着が可能となる。
【0021】
耐熱ベルトF3は、加圧ローラF2とベルト張架部材F4の外周に張架されて移動可能とされ、熱定着ローラF1と加圧ローラF2との間に挟圧されるエンドレスの環状のベルトである。
この耐熱ベルトF3は、0.03mm以上の厚みを有し、その表面(記録媒体F5が接触する側の面)をPFAで形成し、裏面(加圧ローラF2およびベルト張架部材F4と接触する側の面)をポリイミドで形成した2層構成のシームレスチューブで形成されている。なお、耐熱ベルトF3は、これに限定されず、ステンレス管やニッケル電鋳管等の金属管、シリコーン等の耐熱樹脂管等の他の材料で形成することもできる。
【0022】
ベルト張架部材F4は、熱定着ローラF1と加圧ローラF2との定着ニップ部よりも記録媒体F5搬送方向上流側に配設されるとともに、加圧ローラF2の回転軸F2aを中心として矢印P方向に揺動可能に配設されている。
ベルト張架部材F4は、記録媒体F5が定着ニップ部を通過しない状態において、耐熱ベルトF3を熱定着ローラF1の接線方向に張架するように構成されている。記録媒体F5が定着ニップ部に進入する初期位置で定着圧力が大きいと進入がスムーズに行われなくて、記録媒体F5の先端が折れた状態で定着される場合があるが、このように耐熱ベルトF3を熱定着ローラF1の接線方向に張架する構成にすることで、記録媒体F5の進入がスムーズに行われる記録媒体F5の導入口部が形成でき、安定した記録媒体F5の定着ニップ部への進入が可能となる。
【0023】
ベルト張架部材F4は、耐熱ベルトF3の内周に嵌挿されて加圧ローラF2と協働して耐熱ベルトF3に張力fを付与する略半月状のベルト摺動部材(耐熱ベルトF3はベルト張架部材F4上を摺動する)である。このベルト張架部材F4は、耐熱ベルトF3が熱定着ローラF1と加圧ローラF2との押圧部接線Lより熱定着ローラF1側に巻き付けてニップを形成する位置に配置される。突壁F4aはベルト張架部材F4の軸方向一端または両端に突設されており、この突壁F4aは、耐熱ベルトF3が軸方向端の一方に寄った場合に、この耐熱ベルトF3がこの突壁F4aに当接することで耐熱ベルトF3の端への寄りを規制するものである。突壁F4aの熱定着ローラF1と反対側の端部とフレームとの間にスプリングF9が縮設されていて、ベルト張架部材F4の突壁F4aが熱定着ローラF1に軽く押圧され、ベルト張架部材F4が熱定着ローラF1に摺接して位置決めされる。
【0024】
ベルト張架部材F4が熱定着ローラF1に軽く押圧される位置がニップ初期位置とされ、また、熱定着ローラF1に加圧ローラF2が押圧する位置がニップ終了位置とされる。
定着装置F40において、後述するような画像形成装置を用いて未定着のトナー画像F5aが形成された記録媒体F5は、上記ニップ初期位置から定着ニップ部に進入して耐熱ベルトF3と熱定着ローラF1との間を通過し、ニップ終了位置から抜け出ることで、記録媒体F5上に形成された未定着トナー画像F5aが定着され、その後、熱定着ローラF1への加圧ローラF2の押圧部の接線方向Lに排出される。
【0025】
クリーニング部材F6は、加圧ローラF2とベルト張架部材F4との間に配置されている。
このクリーニング部材F6は耐熱ベルトF3の内周面に摺接して耐熱ベルトF3の内周面の異物や摩耗粉等をクリーニングするものである。このように異物や摩耗粉等をクリーニングすることで、耐熱ベルトF3をリフレッシュし、前述の摩擦係数の不安定要因を除去している。また、ベルト張架部材F4に凹部F4fが設けられており、耐熱ベルトF3から除去した異物や摩耗粉等を収納するよう構成されている。
【0026】
また、定着装置F40は、記録媒体F5に未定着トナー画像F5aを定着させた後に、熱定着ローラF1の表面に付着(残存)した絶縁性液体を除去する除去ブレード(除去手段)F11を有している。これにより、繰り返し定着する場合において、より確実にトナー画像中の不飽和脂肪酸成分と、酸化重合促進剤とを接触させることができる。なお、この酸化重合促進剤除去ブレードF12は、絶縁性液体を除去するとともに、定着の際に熱定着ローラF1上に移行したトナー等も同時に除去することができる。
【0027】
なお、耐熱ベルトF3を加圧ローラF2とベルト張架部材F4とにより張架して加圧ローラF2で安定して駆動するには、加圧ローラF2と耐熱ベルトF3との摩擦係数をベルト張架部材F4と耐熱ベルトF3との摩擦係数より大きく設定するとよい。しかし、摩擦係数は、耐熱ベルトF3と加圧ローラF2との間あるいは耐熱ベルトF3とベルト張架部材F4との間への異物の侵入や、耐熱ベルトF3と加圧ローラF2およびベルト張架部材F4との接触部の摩耗などによって不安定になる場合がある。
【0028】
そこで、加圧ローラF2と耐熱ベルトF3の巻き付け角よりベルト張架部材F4と耐熱ベルトF3の巻き付け角が小さくなるように、また、加圧ローラF2の径よりベルト張架部材F4の径が小さくなるように設定する。これにより、耐熱ベルトF3がベルト張架部材F4を摺動する長さが短くなり、経時変化や外乱などに対する不安定要因から回避でき、耐熱ベルトF3を加圧ローラF2で安定して駆動することができるようになる。
【0029】
トナー粒子が定着ニップ部位を通過するのに要する時間(ニップ時間)は、0.02〜0.2秒であるのが好ましく、0.03〜0.1秒であるのがより好ましい。トナー粒子が定着ニップ部を通過するのに要する時間がこのように短い時間であっても、十分に定着させることができ、印刷速度の高速化を図ることができる。
また、定着装置F40は、高速印刷(高速定着、高速画像形成)に適したものであり、具体的には、記録媒体F5の送り速度(繰り出し速度)が0.05〜0.5m/秒であるのが好ましく、0.15〜0.4m/秒であるのがより好ましい。このように、本発明では、比較的高速で記録媒体にトナーを定着した場合であっても、トナー粒子の定着不良が発生するのを効果的に防止することができる。
未定着トナー画像を定着する際の定着温度は、80〜200℃であるのが好ましく、80〜180℃であるのがより好ましい。このような定着温度であると、不飽和脂肪酸成分の酸化重合反応をより効果的に進行させることができ、トナー粒子の定着強度をより効果的に向上させることができる。
【0030】
<液体現像剤>
次に、本発明の定着装置に適用される液体現像剤について詳細に説明する。
本発明の定着装置に適用される液体現像剤は、不飽和脂肪酸成分を含む絶縁性液体中にトナー粒子が分散したものである。
[絶縁性液体]
まず、絶縁性液体について説明する。
本発明で用いる液体現像剤を構成する絶縁性液体は、不飽和結合を有する不飽和脂肪酸成分を含んでいる。
【0031】
この不飽和脂肪酸成分は、定着時において、前述した酸化重合促進剤と接触することにより、酸化重合する成分である。すなわち、不飽和脂肪酸成分は、酸化重合することにより、それ自体が硬化し、トナー粒子の定着性を向上させる機能を有する成分である。また、不飽和脂肪酸成分が硬化することにより、定着したトナー画像に対して、水性ボールペンでの追記を容易かつ確実に行うことができる。
【0032】
また、不飽和脂肪酸成分は、環境に優しい成分である。したがって、定着装置外への絶縁性液体の漏出や、使用済液体現像剤の廃棄等による絶縁性液体の環境への負荷を低減することができる。その結果、環境に優しい定着装置を提供することができる。
また、不飽和脂肪酸成分は、トナー粒子(トナー粒子を構成する樹脂材料)との親和性が高いため、本発明のように、絶縁性液体として不飽和脂肪酸成分を含むものを用いることにより、トナー粒子の分散性を向上させることができる。その結果、保存時等において、トナー粒子の沈降や凝集等を効果的に防止することができる。
【0033】
不飽和脂肪酸成分を構成する不飽和脂肪酸としては、例えば、オレイン酸、パルミトレイン酸、リシノール酸等に代表される一価不飽和脂肪酸や、リノール酸、α−リノレン酸、γ−リノレン酸、アラキドン酸、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)等に代表される多価不飽和脂肪酸が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。
【0034】
上述した中でも、多価不飽和脂肪酸成分を用いるのが好ましく、多価不飽和脂肪酸成分の中でも、共役化した不飽和結合を有するもの(共役不飽和脂肪酸成分)を用いるのがより好ましい。これにより酸化重合反応をより効果的に進行させることができる。
このような共役不飽和脂肪酸成分としては、共役不飽和結合を有するものであれば、いかなるものを用いてもよく、例えば、合成されたものを用いてもよいし、植物油等から直接抽出したものを用いてもよいし、不飽和脂肪酸成分を共役化することにより得られるものを用いてもよい。
【0035】
上述したような不飽和脂肪酸成分は、例えば、脱水ひまし油、桐油、紅花油、亜麻仁油、ひまわり油、コーン油、綿実油、大豆油、ごま油、トウモロコシ油、大麻油、月見草油、ブラックカラント油、ボリジ油(ボラージ油)、イワシ油、サバ油、ニシン油等の植物由来の油脂、各種動物由来の油脂等の天然由来の油脂から得ることができる。
上述した中でも脱水ひまし油は、共役リノール酸成分(共役不飽和脂肪酸成分)を多く含むことから、好適に用いることができ、酸化重合反応をより効果的に進行させることができる。その結果、より強固にトナー画像を定着させることができる。
絶縁性液体中における全脂肪酸成分に対する不飽和脂肪酸成分の割合は、特に限定されないが、10mol%以上であるのが好ましく、20mol%以上であるのがより好ましく、20〜90mol%であるのがさらに好ましい。これにより、定着時において、酸化重合反応をより効果的に進行させることができる。
【0036】
また、絶縁性液体中において、不飽和脂肪酸成分は、いかなる形態をとっていてもよい。例えば、絶縁性液体中において、不飽和脂肪酸成分は、不飽和脂肪酸(または、共不飽和脂肪酸塩)として存在するものであってもよいし、他の成分と結合して化合物を形成していてもよい。このような化合物としては、例えば、不飽和脂肪酸成分とアルコール成分(多価アルコール成分)とのエステル、不飽和脂肪酸成分とアミン成分(多価アミン成分)とのアミド等が挙げられるが、中でも、エステルが好ましく、グリセリンと、不飽和脂肪酸成分とのエステル(以下、「グリセリド」とも言う)がより好ましい。絶縁性液体中において、上記のようなエステルが形成されていることにより、液体現像剤の保存性、長期安定性を優れたものとするとともに、記録媒体へのトナー粒子の定着特性を、より優れたものとすることができる。
【0037】
また、絶縁性液体中には、上述した成分の他に、例えば、以下に示すような飽和脂肪酸成分を含んでいてもよい。
飽和脂肪酸成分は、液体現像剤の化学的安定性を高く保つ機能を有する成分である。従って、絶縁性液体中に、飽和脂肪酸成分を含む場合、液体現像剤の化学変化を効果的に防止することができ、その結果、得られる液体現像剤の保存性、長期安定性をより高いものとすることができる。
また、飽和脂肪酸成分は、電気絶縁性、粘度を高く保つ機能を有している。従って、絶縁性液体中に、飽和脂肪酸成分を含む場合、液体現像剤の電気抵抗をより高い状態に維持することができる。また、適度な粘度により液体現像剤の搬送性がより良好となる。
【0038】
このような飽和脂肪酸成分を構成する飽和脂肪酸としては、例えば、酪酸(C4)、カプロン酸(C6)、カプリル酸(C8)、カプリン酸(C10)、ラウリン酸(C12)、ミスチリン酸(C14)、パルミチン酸(C16)、ステアリン酸(C18)、アラキジン酸(C20)、ベヘン酸(C22)、リグノセリン酸(C24)等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。上記のような飽和脂肪酸の中でも、分子内の炭素数が、6〜22のものであるのが好ましく、8〜20のものであるのがより好ましく、10〜18のものであるのがさらに好ましい。このような飽和脂肪酸で構成された飽和脂肪酸成分を含むことにより、前述したような効果はさらに顕著なものとして発揮される。
【0039】
上記のような飽和脂肪酸成分は、例えば、パーム油(特に、パーム核油)、ココナッツ油、ヤシ油等の植物由来の油脂、各種動物由来の油脂(例えば、バター等)等の天然由来の油脂から効率良く得ることができる。
絶縁性液体中に飽和脂肪酸成分が含まれている場合、絶縁性液体中における全脂肪酸成分に対する飽和脂肪酸成分の割合は、特に限定されないが、0.5〜40mol%であるのが好ましく、1〜30mol%であるのがより好ましい。これにより、絶縁性液体の電気絶縁性を高いものとしつつ、定着時において、酸化重合反応をより効果的に進行させることができる。
【0040】
このように絶縁性液体が、不飽和脂肪酸成分と飽和脂肪酸成分とを含むものである場合、絶縁性液体中において、不飽和脂肪酸成分と飽和脂肪酸成分とは、いかなる形態をとっていてもよい。例えば、絶縁性液体中において、不飽和脂肪酸成分、飽和脂肪酸成分は、それぞれ独立して、不飽和脂肪酸(または、不飽和脂肪酸塩)、飽和脂肪酸(また、飽和脂肪酸塩)として存在するものであってもよいし、他の成分と結合して化合物を形成していてもよい。このような化合物としては、例えば、不飽和脂肪酸成分、飽和脂肪酸成分とアルコール成分(多価アルコール成分)とのエステル、不飽和脂肪酸成分、飽和脂肪酸成分とアミン成分(多価アミン成分)とのアミド等が挙げられるが、中でも、エステルが好ましく、グリセリンと、不飽和脂肪酸成分および飽和脂肪酸成分とのエステル(以下、「グリセリド」とも言う)がより好ましい。
【0041】
絶縁性液体が、このようなエステル(グリセリド)を含むものである場合、絶縁性液体中における前記エステルの含有率は、90wt%以上であるのが好ましく、95wt%以上であるのがより好ましく、97wt%以上であるのがさらに好ましい。これにより、環境への負荷を特に低いものとしつつ、定着時において、酸化重合反応をより効果的に進行させることができる。
また、液体現像剤(絶縁性液体)中には、絶縁性液体の酸化を防止・抑制する機能を有する酸化防止剤が含まれていてもよい。これにより、不飽和脂肪酸成分の不本意な酸化を防止することができる。
【0042】
上述したような酸化防止剤としては、例えば、トコフェローラ、d−トコフェローラ、dl−α−トコフェローラ、酢酸−α−トコフェローラ、酢酸dl−α−トコフェローラ、酢酸トコフェローラ、α−トコフェローラ等のビタミンE、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩類、アスコルビン酸ステアリン酸エステル等のビタミンC、緑茶抽出物、生コーヒー抽出物、セサモール、セサミノール等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0043】
上述した中でも、ビタミンEを用いた場合、以下のような効果が得られる。すなわち、ビタミンEは、環境に優しい成分であるとともに、それ自身が酸化されて生じる物質の液体現像剤へ与える影響が小さい成分である。特に、ビタミンEは、前述したような不飽和脂肪酸成分を含む液体(特に、グリセリド)への分散性が高いことから、酸化防止剤として好適に用いることができる。また、ビタミンEと前述したようなグリセリドとを併用することにより、絶縁性液体とトナー粒子との親和性をさらに向上させることができる。その結果、液体現像剤の保存性、記録媒体に対するトナー粒子の定着性等が特に優れたものとなる。
【0044】
また、上述した中でも、ビタミンCを用いた場合、以下のような効果が得られる。すなわち、前述したビタミンEと同様に、ビタミンCは、環境に優しい成分であるとともに、それ自身が酸化されて生じる物質の液体現像剤へ与える影響が小さい成分である。また、ビタミンCは、熱分解温度が比較的低いため、液体現像剤の保存時等(画像形成装置のアイドリング時等を含む)においては、酸化防止剤としての機能を十分に発揮させることができるとともに、定着時においては、酸化防止剤としての機能を低下させ、絶縁性液体の酸化重合反応をより確実に進行させることができる。
【0045】
酸化防止剤の熱分解温度は、定着時における定着温度以下であるのが好ましい。これにより、液体現像剤の保存時等において、絶縁性液体の劣化を効果的に防止するとともに、定着時においては、トナー粒子の表面に付着した絶縁性液体中の酸化防止剤を熱分解させ、絶縁性液体を効果的に硬化(酸化重合反応)させることができ、記録媒体に対するトナー粒子の定着性を十分に優れたものとすることができる。
酸化防止剤の熱分解温度は、具体的には、200℃以下であるのが好ましく、180℃以下であるのがより好ましい。これにより、酸化防止剤としての機能を十分に保持しつつ、トナー粒子の定着強度をより効果的に向上させることができる。
【0046】
絶縁性液体中における前記酸化防止剤の含有量は、絶縁性液体100重量部に対して、0.01〜15重量部であるのが好ましく、0.1〜7重量部であるのがより好ましく、1〜7重量部であるのがより好ましい。これにより、液体現像剤の保存時等における絶縁性液体の酸化による劣化をより確実に防止しつつ、必要時(定着時)においては絶縁性液体の硬化(酸化重合反応)を効率良く進行させることができる。
上述したような絶縁性液体の室温(20℃)での電気抵抗は、1×10Ωcm以上であるのが好ましく、1×1011Ωcm以上であるのがより好ましく、1×1013Ωcm以上であるのがさらに好ましい。
また、絶縁性液体の誘電率は、3.5以下であるのが好ましい。
【0047】
[トナー粒子]
次に、トナー粒子について説明する。
(トナー粒子の構成材料)
トナー粒子(トナー)は、少なくとも、結着樹脂(樹脂材料)を含むものである。
【0048】
1.樹脂材料
液体現像剤を構成するトナーは、主成分としての樹脂材料を含む材料で構成されている。
本発明においては、樹脂(バインダー樹脂)は、特に限定されず、例えば、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、クロロポリスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クローラアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体等のスチレン系樹脂でスチレンまたはスチレン置換体を含む単重合体または共重合体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェニール樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂等が挙げられる。これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。この中でも、ポリエステル樹脂を用いた場合、液体現像剤中でのトナー粒子の分散性を特に優れたものとすることができる。これは、ポリエステル樹脂と、後に詳述する絶縁性液体(特に、絶縁性液体が、グリセリンと不飽和脂肪酸成分とのエステルで構成されるものである場合)と化学構造の類似性によるものであると考えられる。
【0049】
樹脂(樹脂材料)の軟化温度は、特に限定されないが、50〜130℃であるのが好ましく、50〜120℃であるのがより好ましく、60〜115℃であるのがさらに好ましい。なお、本明細書で、軟化温度とは、高化式フローテスター(島津製作所製)における測定条件:昇温速度:5℃/min、ダイ穴径1.0mmで規定される軟化開始温度のことを指す。
【0050】
2.着色剤
また、トナーは、着色剤を含んでいてもよい。着色剤としては、例えば、顔料、染料等を使用することができる。このような顔料、染料としては、例えば、カーボンブラック、スピリットブラック、ランプブラック(C.I.No.77266)、マグネタイト、チタンブラック、黄鉛、カドミウムイエロー、ミネラルファストイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、パーマネントイエローNCG、クロムイエロー、ベンジジンイエロー、キノリンイエロー、タートラジンレーキ、赤口黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、ベンジジンオレンジG、カドミウムレッド、パーマネントレッド4R、ウオッチングレッドカルシウム塩、エオシンレーキ、ブリリアントカーミン3B、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC、群青、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、カルコオイルブルー、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、ファイナルイエローグリーンG、ローダミン6G、キナクリドン、ローズベンガル(C.I.No.45432)、C.I.ダイレクトレッド1、C.I.ダイレクトレッド4、C.I.アシッドレッド1、C.I.ベーシックレッド1、C.I.モーダントレッド30、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド184、C.I.ダイレクトブルー1、C.I.ダイレクトブルー2、C.I.アシッドブルー9、C.I.アシッドブルー15、C.I.ベーシックブルー3、C.I.ベーシックブルー5、C.I.モーダントブルー7、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー5:1、C.I.ダイレクトグリーン6、C.I.ベーシックグリーン4、C.I.ベーシックグリーン6、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー162、ニグロシン染料(C.I.No.50415B)、金属錯塩染料、シリカ、酸化アルミニウム、マグネタイト、マグヘマイト、各種フェライト類、酸化第二銅、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム等の金属酸化物や、Fe、Co、Niのような磁性金属を含む磁性材料等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0051】
3.その他の成分
また、トナーは、上記以外の成分を含んでいてもよい。このような成分としては、例えば、ワックス、帯電制御剤、磁性粉末等が挙げられる。
ワックスとしては、例えば、オゾケライト、セルシン、パラフィンワックス、マイクロワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム、フィッシャー・トロプシュワックス等の炭化水素系ワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、ラウリン酸メチル、ミリスチン酸メチル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、ステアリン酸ブチル、キャンデリラワックス、綿ロウ、木ロウ、ミツロウ、ラノリン、モンタンワックス、脂肪酸エステル等のエステル系ワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化型ポリエチレンワックス、酸化型ポリプロピレンワックス等のオレフィン系ワックス、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド等のアミド系ワックス、ラウロン、ステアロン等のケトン系ワックス、エーテル系ワックス等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0052】
帯電制御剤としては、例えば、安息香酸の金属塩、サリチル酸の金属塩、アルキルサリチル酸の金属塩、カテコールの金属塩、含金属ビスアゾ染料、ニグロシン染料、テトラフェニルボレート誘導体、第四級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、塩素化ポリエステル、ニトロフニン酸等が挙げられる。
磁性粉末としては、例えば、マグネタイト、マグヘマイト、各種フェライト類、酸化第二銅、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム等の金属酸化物や、Fe、Co、Niのような磁性金属を含む磁性材料で構成されたもの等が挙げられる。
また、混練物の構成材料(成分)としては、上記のような材料のほかに、例えば、ステアリン酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化セリウム、シリカ、酸化チタン、酸化鉄、脂肪酸、脂肪酸金属塩等を用いてもよい。
【0053】
(トナー粒子の形状)
上記のような材料で構成されたトナー粒子の平均粒径は、0.1〜5μmであるのが好ましく、0.1〜4μmであるのがより好ましく、0.5〜3μmであるのがさらに好ましい。トナー粒子の平均粒径が前記範囲内の値であると、液体現像剤(トナー)により形成される画像の解像度を十分に高いものとすることができる。
【0054】
また、液体現像剤を構成するトナー粒子についての下記式(I)で表される円形度Rの平均値(平均円形度)は、0.94〜0.99であるのが好ましく、0.96〜0.99であるのがより好ましい。
R=L/L・・・(I)
(ただし、式中、L[μm]は、測定対象のトナー粒子の投影像の周囲長、L[μm]は、測定対象のトナー粒子の投影像の面積に等しい面積の真円の周囲長を表す。)
【0055】
トナー粒子の平均円形度がこのような範囲のものであると、記録媒体上に転写した未定着のトナー画像中に絶縁性液体を適度に含ませることができ、トナー粒子の定着強度をより高いものとすることができる。
液体現像剤中におけるトナー粒子の含有率は、10〜60wt%であるのが好ましく、20〜50wt%であるのがより好ましい。
【0056】
以上説明したような液体現像剤は、いかなる方法で得られたものであってもよく、例えば、トナー材料を粉砕法により粉砕して得られたトナー粒子を絶縁性液体中に分散させて製造したものであってもよいし、トナー材料が分散媒中に分散させて得られた分散液を用いて、液体現像剤を製造する方法(例えば、特願2004−370231号の明細書に記載されたような方法)により製造したものであってもよい。
【0057】
<画像形成装置>
記録媒体上の(未定着の)トナー画像は、例えば、以下に説明するような画像形成装置を用いて形成することができる。
図2は、接触方式の画像形成装置の一例を示す図である。
画像形成装置P1は、液体現像剤を貯留する現像剤容器P11と、像(トナー画像)を現像する円筒状の感光体(現像部)P2と、現像剤容器P11から感光体P2に液体現像剤を供給する現像器P10と、記録媒体に感光体P2で現像された像を転写する中間転写(転写部)ローラP18とを有している。
【0058】
感光体P2は、エピクロロヒドリンゴム等で構成された帯電器P3によりその表面が均一に帯電された後、レーザーダイオード等によって記録すべき情報に応じた露光P4が行なわれることにより、静電潜像が形成されるものである。
現像器P10は、現像剤容器P11中にその一部が浸漬された塗布ローラP12と、現像ローラP13とを有している。塗布ローラP12は、例えば、ステンレス等の金属製のグラビアローラであり、現像ローラP13と対向して回転する。また、塗布ローラP12の表面には、液体現像剤塗布層P14が形成され、メータリングブレードP15によってその厚さが一定に保持される。
【0059】
そして、塗布ローラP12から現像ローラP13に対して液体現像剤が転写される。現像ローラP13は、ステンレス等の金属製のローラ芯体P16上に低硬度シリコーンゴム層を有し、その表面には導電性のPFA(ポリテトラフルオロエチレン−パーフルオロビニルエーテル共重合体)製の樹脂層が形成されており、感光体P2と等速で回転して液体現像剤を潜像部に転写する。感光体P2へ転写後に現像ローラP13に残った液体現像剤は、現像ローラクリーニングブレードP17によって除去されて現像剤容器P11内へ回収される。
【0060】
また、感光体P2から中間転写ローラP18へのトナー画像の転写の後には、感光体P2は、除電光P21によって除電されるとともに、感光体P2上に残留した転写残りトナーは、ウレタンゴム等で構成されたクリーニングブレードP22によって除去される。
同様に、中間転写ローラP18(転写部)から記録媒体F5へ転写後に中間転写ローラP18に残留した転写残りトナーは、ウレタンゴム等で構成されたクリーニングブレードP23によって除去される。
【0061】
感光体P2上に形成されたトナー画像は、中間転写ローラP18に対して転写された後に、二次転写ローラP19に転写電流を通電して、両者の間を通過する紙等の記録媒体F5に画像が転写される。
その後、紙等の記録媒体F5上に転写されたトナー画像(転写像)は、前述した定着装置F40に搬送され、定着が行われる。
【0062】
図3は、非接触方式の画像形成装置の一例を示すものである。非接触方式にあっては、現像ローラP13にはリン青銅板で構成された帯電ブレードP24が設けられる。帯電ブレードP24は液体現像剤層に接触して摩擦帯電させる機能を有すると共に、塗布ローラP12がグラビアローラであるために現像ローラP13上にはグラビアローラ表面の凹凸に応じた現像剤層が形成されるので、その凹凸を均一に均す機能を果たすものであり、配置方向としては現像ローラの回転方向に対してカウンタ方向でもトレイル方向のいずれでもよく、また、ブレート形状ではなくローラ形状でもよい。
【0063】
また、現像ローラP13と感光体P2との間は、200μm〜800μmの間隔が設けられると共に、現像ローラP13と感光体P2との間には直流電圧200〜800Vに重畳される500〜3000Vpp、周波数50〜3000Hzの交流電圧が印加されるのが好ましい。それ以外は、図2を参照しつつ説明した画像形成装置と同様である。
なお、図2、図3共に一色の液体現像剤による画像形成について説明したが、複数色のカラートナーを用いて画像形成する場合には、複数色の現像器を用いて各色の画像を形成してカラー画像を形成することができる。
【0064】
以上、本発明について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、本発明の定着装置を構成する各部は、同様の機能を発揮する任意のものと置換、または、その他の構成を追加することもできる。
また、前述した実施形態では、定着の際に熱をかける場合について説明したが、これに限定されず、例えば、紫外線を照射してもよい。
また、前述した実施形態では、定着ローラ側から加熱するものとして説明したが、加圧ローラ側から加熱するものであってもよい。
また、前述した実施形態では、定着ローラの離型層に酸化重合促進剤が含まれているものとして説明したが、離型層だけでなく、弾性体全体に含まれていてもよい。
【実施例】
【0065】
[1]液体現像剤の製造
(液体現像剤Aの製造)
まず、自己分散型樹脂としての、側鎖に多数の−SO基(スルホン酸Na基)を有するポリエステル樹脂(ガラス転移点:55℃、軟化温度:123℃、):80重量部と、着色剤としてのシアン系顔料(大日精化社製、ピグメントブルー15:3):20重量部とを用意した。これらの各成分を20L型のヘンシェルミキサーを用いて混合し、トナー製造用の原料を得た。
【0066】
次に、この原料(混合物)を2軸混練押出機を用いて混練した。2軸混練押出機の押出口から押し出された混練物を冷却した。
上記のようにして冷却された混練物を粗粉砕し、平均粒径:1.0mm以下の粉末とした。混練物の粗粉砕にはハンマーミルを用いた。
次に、混練物の粗粉砕物:100重量部をトルエン:250重量部に添加し、超音波ホモジナイザー(出力:400μA)を用いて、1時間処理することにより、混練物の自己分散型樹脂が溶解した溶液を得た。なお、この溶液中において、顔料は均一に微分散していた。
【0067】
一方、イオン交換水:700重量部からなる水系液体を用意した。
この水系液体をホモミキサー(特殊機化工業社製)で攪拌回転数を調整した。
このような攪拌状態の水系液体中に、上記溶液(混練物のトルエン溶液)を滴下した。これにより、平均粒径が1.2μmの分散質が均一に分散した水系乳化液が得られた。
その後、温度:100℃、雰囲気圧力:80kPaの条件下で、水系乳化液中のトルエンを除去し、さらに、室温まで冷却することにより、固形微粒子が分散した水系懸濁液を得た。得られた水系懸濁液中には、実質的にトルエンは残存していなかった。得られた水系懸濁液の固形分(分散質)濃度は30.5wt%であった。また、懸濁液中に分散している分散質(固形微粒子)の平均粒径は0.8μmであった。なお、分散質の平均粒径の測定は、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所社製、LA−920)を用いて行った。
【0068】
上記のようにして得られた懸濁液を噴霧乾燥により乾燥することで、吐出した水系懸濁液の液滴から分散媒が除去され、乾燥トナー粒子を得た。
得られたトナー粒子:40重量部と、絶縁性液体としての脱水ひまし油(伊藤製油社製):160重量部と、分散剤としてのポリアミン脂肪族縮重合体(日本ルーブリゾール社製、商品名「ソルスパース11200」):4重量部と、帯電制御剤としてのステアリン酸マグネシウム:0.56重量部とを用意した。
【0069】
これらの成分を乳化分散機(エム・テクニック社製)を用いて回転数10000rpmで液温が樹脂のガラス転移温度以上にならないよう注意しながら分散させ、液体現像剤Aを得た。
得られた液体現像剤A中における、トナー粒子の平均粒径は1.0μm、各トナー粒子間での粒径の標準偏差は0.45μmであった。
【0070】
(液体現像剤Bの製造)
まず、樹脂材料としてのエポキシ樹脂(エピコート1004、軟化温度T:128℃):80重量部と、着色剤としてのシアン系顔料(大日精化社製、ピグメントブルー15:3):20重量部とを用意した。これらの各成分を20L型のヘンシェルミキサーを用いて混合し、トナー製造用の原料を得た。
【0071】
次に、この原料(混合物)を、2軸混練押出機を用いて、混練した。2軸混練押出機の押出口から押し出された混練物を、冷却機を用いて冷却した。冷却された混練物を粉砕し、平均粒径:1.0mm以下の粉末(粉砕物)とした。混練物の粗粉砕にはハンマーミルを用いた。
次に、上記のようにして得られた粗粉砕物:100重量部と、第1の液体としてオレイン酸メチル:100重量部と、分散剤としてのポリアミン脂肪族縮重合体(日本ルーブリゾール社製、商品名「ソルスパース11200」):10重量部と、帯電制御剤としてのステアリン酸マグネシウム:1.4重量部とを用意した。
【0072】
これら各成分を、ボールミルに投入し、200時間湿式粉砕し、粉砕物分散液を得た。その後、得られた粉砕物分散液:100重量部と、第2の液体としてのサフラワー油(日清オイリオ社製):400重量部とを混合し、液体現像剤Bを得た。
得られた液体現像剤B中における、トナー粒子の平均粒径は1.5μm、各トナー粒子間での粒径の標準偏差は0.48μmであった。
【0073】
(液体現像剤Cの製造)
まず、樹脂材料としてのエポキシ樹脂(エピコート1004、軟化温度T:128℃):80重量部と、着色剤としてのシアン系顔料(大日精化社製、ピグメントブルー15:3):20重量部とを用意した。これらの各成分を20L型のヘンシェルミキサーを用いて混合し、トナー製造用の原料を得た。
【0074】
次に、この原料(混合物)を、2軸混練押出機を用いて、混練した。2軸混練押出機の押出口から押し出された混練物を、冷却機を用いて冷却した。冷却された混練物を粉砕し、平均粒径:1.0mm以下の粉末(粉砕物)とした。混練物の粗粉砕にはハンマーミルを用いた。
次に、上記のようにして得られた粗粉砕物:100重量部と、アイソパーH(エクソン化学社の商品名):100重量部と、分散剤としてのポリアミン脂肪族縮重合体(日本ルーブリゾール社製、商品名「ソルスパース11200」):10重量部と、帯電制御剤としてのステアリン酸マグネシウム:1.4重量部とを用意した。
【0075】
これら各成分を、ボールミルに投入し、200時間湿式粉砕し、粉砕物分散液を得た。その後、得られた粉砕物分散液:100重量部と、アイソパーH:400重量部とを混合し、液体現像剤Cを得た。
得られた液体現像剤C中における、トナー粒子の平均粒径は1.5μm、各トナー粒子間での粒径の標準偏差は0.48μmであった。
【0076】
[2]記録媒体への定着
(実施例1)
上記のようにして得られた液体現像剤Aを図2に示す画像形成装置に投入し、記録媒体(富士ゼロックスオフィスサプライ製、J紙)上に未定着のトナー画像を形成した。
次に、形成した未定着トナー画像を図1に示すような定着装置を用いて、記録媒体上に定着した。
【0077】
なお、定着装置としては、アルミ芯金(外径φ30mm、長さ240mm、肉厚1mm)の表面に、厚さ30μmの離型層を形成した熱定着ローラと、熱加硫型シリコーンゴムで形成された外径φ30mm、長さ240mm、肉厚7mmの加圧ローラとを有するものを用いた。離型層は、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)と、酸化重合促進剤としてのオクチル酸コバルトとで構成されたものであり、酸化重合促進剤の含有量は2.0wt%であった。
また、熱定着ローラ内の加熱源としては、発光部長さ240mm、全長292mm、850ワットのハロゲンランプを用いた。また、加圧ローラの圧接力は、4kgとし、ニップ幅は約8mmとした。また、定着温度は、160℃に設定した。また、定着装置の記録媒体の搬送速度を200mm/秒とした。
【0078】
(実施例2)
酸化重合促進剤として、リノレン酸コバルトを用いた以外は、前記実施例1と同様にして定着を行った。
(実施例3)
酸化重合促進剤として、ナフテン酸亜鉛を用いた以外は、前記実施例1と同様にして定着を行った。
【0079】
(実施例4)
離型層を構成する材料として、フッ素樹脂チューブ(四フッ化エチレン−パーフルオロビニルエーテル共重合体)と、酸化重合促進剤としてのオクチル酸コバルトとで構成されたものを用いた以外は、前記実施例1と同様にして定着を行った。なお、離型層中の酸化重合促進剤の含有量は2.0wt%であった。
【0080】
(実施例5)
離型層を構成する材料として、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)と、酸化重合促進剤としてのオクチル酸コバルトとで構成されたものを用いた以外は、前記実施例1と同様にして定着を行った。なお、離型層中の酸化重合促進剤の含有量は2.0wt%であった。
【0081】
(実施例6)
液体現像剤として、上記のようにして得られた液体現像剤Bを用いた以外は、前記実施例1と同様にして定着を行った。
(実施例7)
液体現像剤として、上記のようにして得られた液体現像剤Bを用いた以外は、前記実施例4と同様にして定着を行った。
(実施例8)
液体現像剤として、上記のようにして得られた液体現像剤Bを用いた以外は、前記実施例5と同様にして定着を行った。
【0082】
(比較例1)
定着ローラとして、離型層中に酸化重合剤を含まないものを用いた以外は、前記実施例1と同様にして定着を行った。
(比較例2)
液体現像剤として、上記のようにして得られた液体現像剤Cを用いた以外は、前記実施例1と同様にして定着を行った。
【0083】
[3]定着強度
上記各実施例および各比較例で得られた記録媒体上の定着トナー画像を消しゴム(ライオン事務機社製、砂字消し「LION 261−11」)を押圧荷重1.0kgfで2回擦り、画像濃度の残存率をX−Rite Inc社製「X−Rite model 404」により測定し、以下の5段階の基準に従い評価した。
【0084】
◎◎:画像濃度残存率が95%以上。
◎ :画像濃度残存率が90%以上95%未満。
○ :画像濃度残存率が80%以上90%未満。
△ :画像濃度残存率が70%以上80%未満。
× :画像濃度残存率が70%未満。
【0085】
【表1】

【0086】
表1から明らかなように、絶縁性液体中の不飽和脂肪酸の酸化重合を利用したものは、定着強度に優れていた。これに対し、各比較例では、満足な結果が得られなかった。
また、定着装置の定着温度を、140℃、120℃、100℃、80℃に変更し、上記と同様にして定着強度を評価したところ、同様の結果が得られた。このことから、本発明の定着装置は、低温定着に適したものであることがわかる。
また、定着装置の記録媒体の搬送速度を、200mm/秒から、250mm/秒、300mm/秒と速くし、上記と同様にして定着強度を評価したところ、同様の結果が得られた。このことから、本発明の定着装置は、高速印刷に適したものであることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の定着装置を示す断面図である。
【図2】接触方式の画像形成装置の一例を示す断面図である。
【図3】非接触方式の画像形成装置の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0088】
F40…定着装置 F1…熱定着ローラ(加熱ローラ) F1a…柱状ハロゲンランプ F1b…ローラ基材 F1c…弾性体 F11c…離型層 F12…除去ブレード F2…加圧ローラ F2a…回転軸 F2b…ローラ基材 F2c…弾性体 F3…耐熱ベルト F4…ベルト張架部材 F4a…突壁 F4f…凹部 F5…記録媒体 F5a…未定着トナー画像 F6…クリーニング部材 F7…フレーム F9…スプリング P1…画像形成装置 P2…感光体 P3…帯電器 P4…露光 P10…現像器 P11…現像剤容器 P12…塗布ローラ P13…現像ローラ P14…液体現像剤塗布層 P15…メータリングブレード P16…ローラ芯体 P17…現像ローラクリーニングブレード P18…中間転写ローラ P19…二次転写ローラ P21…除電光 P22…クリーニングブレード P23…クリーニングブレード P24…帯電ブレード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性液体中にトナー粒子が分散した液体現像剤を用いて記録媒体上に形成されたトナー画像を、定着ローラを用いて前記記録媒体上に定着する定着装置であって、
前記絶縁性液体は、不飽和脂肪酸成分を含むものであり、
前記定着ローラは、少なくともその表層に、前記不飽和脂肪酸成分の酸化重合反応を促進させる酸化重合促進剤を含み、
定着の際に、前記トナー画像中に含まれる前記不飽和脂肪酸成分と、前記定着ローラ表層の前記酸化重合促進剤とを接触させ、前記不飽和脂肪酸成分を酸化重合させることを特徴とする定着装置。
【請求項2】
前記酸化重合促進剤は、脂肪酸金属塩である請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
定着温度が、80〜200℃である請求項1または2に記載の定着装置。
【請求項4】
前記定着ローラと記録媒体とが接する部位において、前記記録媒体に対して圧力を加える加圧ローラを有する請求項1ないし3のいずれかに記載の定着装置。
【請求項5】
前記記録媒体上に前記トナー画像を定着させた後に、前記定着ローラの表面に付着した前記絶縁性液体を除去する除去手段を有する請求項1ないし4のいずれかに記載の定着装置。
【請求項6】
前記不飽和脂肪酸成分は、少なくとも、共役化した不飽和結合を有する成分を含む請求項1ないし5のいずれかに記載の定着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−139994(P2007−139994A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−332220(P2005−332220)
【出願日】平成17年11月16日(2005.11.16)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】