説明

宛名の特定方法及び発送物処理装置

【課題】 住所と氏名の組合わせである宛名を、簡易な装置構成により、高い認識率で、高速度に特定すること。
【解決手段】 発送物処理装置10において、発送物1に付されている住所を表わすカスタマバーコードと、氏名を表わす文字のそれぞれを読取る読取装置11と、読取装置11が読取ったカスタマバーコードにより住所を、文字により氏名を認識し、それらの住所と氏名により宛名を特定する制御部12とを有してなるもの。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は宛名の特定方法及び発送物処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、郵便物等の発送物処理装置では、発送物に記載されている住所と氏名を認識することにより宛名を特定し、宛名の特定結果により、(a) 宛名人を同一とする発送物を合封して合封物を作成する、(b) 特定の宛名人については今回の発送物を発送不要とする、或いは(c) 宛名人不在で戻ってきた発送物のその宛名人については次回から宛名印刷不要とする等の処理を行なうことがある。尚、宛名は、住所が同一でも、当該同一住所に複数の個人が存在したり、同一氏名でも住所の異なる複数の個人が存在することから、住所と氏名の組合わせにより初めて特定の個人を表示する機能を持つ。
【0003】然るに、従来技術では、発送物に付されている住所の文字と氏名の文字を読取装置により読取り、それらの住所と氏名により宛名を特定することとしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】然しながら、従来の宛名の特定方法では、住所と氏名の両方を発送物に付されている文字から認識するものであり、住所や氏名を表わす文字は極めて多種多様であるから、高い読取精度が必要で、処理速度も遅い。
【0005】本発明の課題は、住所と氏名の組合わせである宛名を、簡易な装置構成により、高い認識率で、高速度に特定することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の本発明は、発送物に記載されている住所と氏名を認識することにより宛名を特定する方法において、発送物に付されている住所を表わすカスタマバーコードを読取ることにより住所を認識するとともに、発送物に付されている氏名を表わす文字を読取ることにより氏名を認識し、それらの住所と氏名により宛名を特定するようにしたものである。
【0007】請求項2に記載の本発明は、発送物に記載されている住所と氏名を認識することにより宛名を特定し、宛名の特定結果によって発送物を処理する発送物処理装置において、発送物に付されている住所を表わすカスタマバーコードと、氏名を表わす文字のそれぞれを読取る読取装置と、読取装置が読取ったカスタマバーコードにより住所を、文字により氏名を認識し、それらの住所と氏名により宛名を特定する制御部とを有してなるようにしたものである。
【0008】請求項3に記載の本発明は、請求項2に記載の本発明において更に、前記読取装置が、発送物に予め定められている住所用カスタマバーコード表示位置と氏名用文字表示位置の記載情報だけを読取るようにしたものである。
【0009】
【作用】請求項1、2の発明によれば下記■の作用がある。
■発送物に付されているカスタマバーコードにより住所を、氏名を表わす文字により氏名を認識する。カスタマバーコードの認識率は100 %近く、認識速度も早い。氏名を表わす文字はある程度限られており、その認識率は従来の住所を表わす文字の認識まで含むものに比して向上し、認識すべき文字数も従来よりはるかに少なく、その認識速度も向上する。
【0010】請求項3の発明によれば下記■の作用がある。
■発送物における住所用カスタマバーコード表示位置と氏名用文字表示位置は、この発送物を処理しようとする発送元において少なくとも同種の発送物に対し同一又は略同一にできる。従って、読取装置による読取領域を、それらの住所用カスタマバーコード表示位置と氏名用文字表示位置に予め限定することにより、読取装置の処理速度を一層向上できる。
【0011】
【発明の実施の形態】図1は発送物処理装置を示す模式図、図2は読取装置による宛名読取状態を示す模式図である。
【0012】発送物処理装置10は、図1に示す如く、読取装置11と制御部12とを有して構成され、図2の発送物1に記載されている住所と氏名を認識することにより、宛名を特定し、宛名の特定結果によって発送物を処理する。
【0013】尚、発送物1は、図2に示す如く、発送物1の表面の特定位置に定めてある宛名欄1Aに、郵便番号表示位置と、住所用文字表示位置と、氏名用文字表示位置と、住所用カスタマバーコード表示位置のそれぞれを予め定め、それらの表示位置に郵便番号、住所用文字、氏名用文字、住所用カスタマバーコードのそれぞれを印刷して記載してある。カスタマバーコードは、郵政省で定めた住所情報を有するコード(氏名情報は入っていない)である。
【0014】読取装置11は、図1に示す如く、コンベヤ11A、センサ11B、カメラ11C、画像認識装置11Dを有して構成され、コンベヤ11Aにより搬送されてくる発送物1の先端部の到来をセンサ11Bで検出してから、コンベヤ11Aが発送物1を一定距離搬送し、発送物1に設けられている宛名欄1Aが読取領域に達した時点で、カメラ11Cを用いて、(1) 発送物1に付されている住所を表わすカスタマバーコードを読取るとともに、(2) 発送物1に付されている氏名を表わす文字(例えば、芝浦太郎)を読取り、これら(1) 、(2) の読取結果を画像認識装置11Dで画像認識する。尚、発送物処理装置10にあっては、1台の読取装置11により住所用カスタマバーコードを、他の1台の読取装置11により氏名用文字を読取るように全2台の読取装置11を用いても良いが、1台の読取装置11により住所用文字と氏名用文字の双方を読取っても良い。また、センサ11Bが発送物1の先端部の到来を検出してからの時間、或いは発送物1の搬送距離を任意に設定できる設定部を設け、この設定部に設定した時間の経過、或いは設定した距離移動したタイミングにて制御部12がカメラ11Cのシャッタを開くようにしても良い。このように構成すると、発送物1における宛名欄1Aの位置が搬送方向において変更された場合でも、設定部の設定値を変えることでカメラ1による読取領域を変えることができ即時に対応できる。
【0015】制御部12は、読取装置11の画像認識装置11Dの出力を得て、上述(1) のカスタマバーコードにより住所を、上述(2) の文字により氏名を認識し、それらの住所と氏名により、発送物1の宛名を特定する。
【0016】制御部12は、発送物1の宛名の特定結果により、(a) 宛名人を同一とする発送物1を合封して合封物を作成する、(b) 特定の宛名人については今回の発送物1を発送不要とする、或いは(c) 宛名人不在で戻ってきた発送物1のその宛名人については次回から宛名印刷不要とする等の処理を行なう。
【0017】尚、本実施の形態では、発送物1の表面おける住所用カスタマバーコードと氏名用文字の記載位置が特定されているため、カメラ11Cによりこれら住所用カスタマバーコードと氏名用文字を読取るに際し、読取装置11は、カメラ11Cによる読取領域に電気的マスクをかけ、発送物1に予め定められている住所用カスタマバーコード表示位置と氏名用文字表示位置の記載情報だけを読取るように構成される。
【0018】従って、本実施形態によれば、以下の作用がある。
■発送物1に付されているカスタマバーコードにより住所を、氏名を表わす文字により氏名を認識する。カスタマバーコードの認識率は100 %近く、認識速度も早い。氏名を表わす文字はある程度限られており、その認識率は従来の住所を表わす文字の認識まで含むものに比して向上し、認識すべき文字数も従来よりはるかに少なく、その認識速度も向上する。
【0019】■発送物1における住所用カスタマバーコード表示位置と氏名用文字表示位置は、この発送物1を処理しようとする発送元において少なくとも同種の発送物1に対し同一又は略同一にできる。従って、読取装置11による読取領域を、それらの住所用カスタマバーコード表示位置と氏名用文字表示位置に予め限定することにより、読取装置11の処理速度を一層向上できる。
【0020】以上、本発明の実施の形態を図面により詳述したが、本発明の具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、例えばカスタマバーコードや氏名用文字が発送物1の表面に印刷されることなく、内容物の表面に印刷され、窓付封筒の窓からこれら印刷内容が認識できるものでも良く、また発送物としては封筒に限らず、葉書類や小包類などへの適用も可能であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【0021】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、住所と氏名の組合わせである宛名を、簡易な装置構成により、高い認識率で、高速度に特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は発送物処理装置を示す模式図である。
【図2】図2は読取装置による宛名読取状態を示す模式図である。
【符号の説明】
1 発送物
10 発送物処理装置
11 読取装置
12 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 発送物に記載されている住所と氏名を認識することにより宛名を特定する方法において、発送物に付されている住所を表わすカスタマバーコードを読取ることにより住所を認識するとともに、発送物に付されている氏名を表わす文字を読取ることにより氏名を認識し、それらの住所と氏名により宛名を特定することを特徴とする宛名の特定方法。
【請求項2】 発送物に記載されている住所と氏名を認識することにより宛名を特定し、宛名の特定結果によって発送物を処理する発送物処理装置において、発送物に付されている住所を表わすカスタマバーコードと、氏名を表わす文字のそれぞれを読取る読取装置と、読取装置が読取ったカスタマバーコードにより住所を、文字により氏名を認識し、それらの住所と氏名により宛名を特定する制御部とを有してなることを特徴とする発送物処理装置。
【請求項3】 前記読取装置が、発送物に予め定められている住所用カスタマバーコード表示位置と氏名用文字表示位置の記載情報だけを読取る請求項2記載の発送物処理装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2001−96235(P2001−96235A)
【公開日】平成13年4月10日(2001.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−280318
【出願日】平成11年9月30日(1999.9.30)
【出願人】(000002428)芝浦メカトロニクス株式会社 (907)
【Fターム(参考)】