説明

実験動物飼育用のラック装置

【課題】細菌の侵入や排出に対するバリヤを飼育ケージごとに構築するように構成された実験動物飼育用のラック装置を提供することにある。
【解決手段】飼育ケージ101を出入り可能に収納するケージ収容部16の上方には、給気ユニット取り付け手段18が設けられている。給気ユニット取り付け手段18は、給気ユニット102を着脱可能に保持するホルダー19を初期位置とセット位置との間で往復移動可能にすると共にセット位置に近づくにしたがいケージ収容部16の底面へ向かう方向へ移動する移動支持機構部24を備えている。飼育ケージ101をケージ収容部16へ進入させるとき、連動部材21と移動支持機構部24とによりホルダー19が飼育ケージ101と共に後方へ移動しながら、ケージ収容部の底面へ向かう方向へも移動し、ホルダー19で保持されている給気ユニット102をセット位置で飼育ケージ101のカバー111上に密着させるように飼育ケージの動きに対応して自動的に動く。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実験動物飼育用のラック装置に関し、更に詳細には、例えば医薬品の開発或いは医学的な種々の実験や検証などで使用するマウスなどのような小形の実験動物を入れた実験動物飼育用ケージを保管して飼育管理するラック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医学的な種々の実験や検証などで使用するマウス、ラット、モルモット、ハムスターなど実験用の小動物は、それら実験動物への細菌感染或いはそれら実験動物からの細菌漏出に対して十分な管理を図るように設備の整った実験室(実験動物飼育室)で飼育されている。
【0003】
従来の実験動物飼育室では、実験動物を細菌などの微生物から保護し、或いは実験動物飼育室から細菌などの微生物の外部への漏出を防止するために実験動物飼育装置によってこれら実験動物が飼育されていた。従来の実験動物飼育装置としては、登録実用新案第2506467号公報(特許文献1)に開示された考案を挙げることができる。
【0004】
特許文献1に開示された実験動物飼育装置は、実験動物飼育室内に設置されたラックと、このラックに乗せられた複数の飼育ケージとによって構成されていた。ラックは、水平方向(横方向)に延びる複数の棚板を垂直方向(縦方向)に所定の間隔をあけて並べ、これら各棚板を支柱で支持して構成されている。ラックの背面には、排気チャンバーを内部に形成した排気ボックスがラックに密着して取り付けられ、またラックの両側面には、給気チャンバーを内部に形成した給気ボックスがラックに密着して取り付けられている。
【0005】
ラックの各棚板間の空間は、飼育ケージを配置するケージ収容部とされ、ケージ収容部は、棚板の横方向にほぼ所定の間隔をあけて形成され、各ケージ収容部には、それぞれ飼育ケージが配置され、実験動物はこれら飼育ケージに収容されて飼育される。これらケージ収容部の背面側は、ラックの背面側に取り付けられている排気ボックスのケーシング板で塞がれている。このケーシング板には、ケージ収容部に配置される各飼育ケージの位置にほぼ対応して排出口が形成されており、各ケージ収容部は各排出口を介して排気ボックスの排気チャンバーに連通している。
【0006】
各棚板は、間隔をあけて配置された2枚の隔壁によって構成され、内部に給気ダクトを形成している。給気ダクトは、ラックの両側端に配置された給気ボックスの給気チャンバーに連通している。1つのケージ収容部の上部に位置する上段の棚板の底面(隔壁)には、ケージ収容部に配置される飼育ケージに対応した数の吹出口が形成されており、給気チャンバーから給気ダクトに供給された空気がこれら吹出口からケージ収容部に向かって吹き出す。排気ボックスと給気ボックスとは、それぞれ排気ダクトと空気取り入れダクトとによって実験動物飼育室の外に設置されている空気調和装置と排気装置に接続されている。
【0007】
このような実験動物飼育室は、天井に設けられた室内用の空調空気吹出口と換気口(排気口)とによって換気されている。すなわち、実験動物飼育室と各飼育ケージとの換気は、それぞれ別の清浄空気供給系統により管理されている。
【特許文献1】登録実用新案第2506467号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の実験動物飼育装置では、実験動物飼育室の換気とはまったく別の清浄空気供給系統によって各飼育ケージ内を強制的に換気していた。そのため、各飼育ケージの換気の確認は、例えば、各飼育ケージの給気口に換気量計測機器を設置して換気を検出するなどしないとできなかった。従来の実験動物飼育装置では、飼育ケージへの給気が、ラックごと、或いは実験動物飼育室ごとの送気装置により行われていたことから、送気装置が何らかの原因で停止すると、多数の飼育ケージ内の換気が停止し、実験動物の飼育に対して重大な事故となることから、各飼育ケージの換気を確認することは重要なことであった。しかし、多数の飼育ケージそれぞれの給気口に換気量計測機器を設置して換気の有無を管理することは多大な労力と費用を必要とすることから、実験動物の飼育に要するコストを高める原因となっていた。
【0009】
また、従来の実験動物飼育装置では、飼育ケージをラックから取り出して別な場所へ搬送することが困難であり、特別なケージに実験動物を移し替えて搬送していた。その理由は、飼育ケージをラックから取り出すために給気口と給気ダクトの吹出口との接続を外すと飼育ケージ内への換気が停止し、飼育ケージ28内の飼育環境を悪化させることになるからである。従って、飼育ケージをラックから取り外した状態でも飼育ケージ内の換気を継続できることが望まれていた。
【0010】
さらに、従来の実験動物飼育装置では、棚板の上に配置された個々の飼育ケージに直接清浄空気を供給するように棚板内に給気ダクトを形成しているため、ラックの構造が複雑になり、しかもラックを構成する棚板の数は、設置する実験動物飼育室の床面から天井面までの高さにより決まるため、内部に給気ダクトが形成された厚い棚板を使用する従来のラックでは、棚板の数を増やすことが困難であることから、飼育ケージの配置密度を上げることができないという問題もあった。
【0011】
このような従来の実験動物飼育装置の諸問題を解決すべく、細菌の侵入や漏出に対するバリヤを飼育ケージごとに構築する新方式の実験動物飼育装置が提案された。提案された新方式の実験動物飼育装置では、ラックの各ケージ収容部に収納された飼育ケージの上部に、ファン装置とHEPAフィルターとを備える給気ユニットをそれぞれ取り外し可能に乗せ、この給気ユニットによって飼育室内の清浄な空気を飼育ケージごとに供給するものであった。具体的には、飼育ケージの上部開口を取り外し可能に閉鎖しているカバーにフィルター付きの給気口を形成し、このカバー上に給気ユニットをその底部が密着するように乗せて、給気ユニットの底面に形成した通気口から飼育ケージ内へカバーの給気口を介して清浄な空気を供給するようにしたものであった。
【0012】
しかし、提案された新方式の実験動物飼育装置では、飼育ケージをラックのケージ収容部から出し入れするたびに給気ユニットを飼育ケージのカバーから取り外したり、また所定位置に精度良く装着したりしなければならず、操作が非常に煩わしく、飼育ケージと給気ユニットとの効果的な着脱手段を工夫しなければ、ラックへの飼育ケージの出し入れが極めて面倒である、という問題が予想された。
【0013】
本発明の目的は、かかる従来の問題点を解決するためになされたもので、細菌の侵入や漏出に対するバリヤを飼育ケージごとに構築するように構成された実験動物飼育用のラック装置を提供することにある。
【0014】
すなわち、本発明は、細菌の侵入や漏出に対するバリヤを飼育ケージごとに構築するように構成された実験動物飼育用のラック装置において、各ケージ収容部に飼育ケージを出し入れするとき、飼育ケージのカバー上に乗せる給気ユニットを自動的に昇降させるように支持して飼育ケージのケージ収容部からの出し入れ操作を容易にするラック装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記課題を解決するための本発明の前提は、上部の開口を着脱自在なカバーで覆って密閉された飼育ケージと、該飼育ケージの前記カバー上に着脱可能に設置され、前記カバーに形成された通気口から清浄な空気を該飼育ケージ内に供給する給気ユニットとからなる少なくとも1つの飼育ケージ装置を保管して飼育管理を行う実験動物飼育用のラック装置である。
【0016】
かかる前提の実験動物飼育用のラック装置における特徴は、前記飼育ケージを出入り可能に収納する少なくとも1つのケージ収容部と、該ケージ収容部の上方に設けられた給気ユニット取り付け手段とを備え、前記飼育ケージは前記ラック装置の前方から後方へ向かって前記ケージ収容部へ進入し、かつその逆方向へ向かって前記ケージ収容部から取り出し可能であり、前記給気ユニット取り付け手段が、前記給気ユニットを着脱可能に保持するホルダーと、該ホルダーを前記ラック装置の前方側に設定された初期位置と後方側に設定されたセット位置との間で往復移動可能にすると共に前記ホルダーが前記セット位置に近づくにしたがい前記ケージ収容部の底面へ向かう方向へ移動する移動支持機構部と、前記飼育ケージが前記ケージ収容部へ進入するとき前記飼育ケージの進入に連動して前記ホルダーを前記初期位置から前記セット位置へ動かす連動部材とから構成され、前記飼育ケージを前記ラック装置の前方から前記ケージ収容部へ進入させるとき、前記連動部材と前記移動支持機構部とにより前記ホルダーが前記飼育ケージと共に前記後方へ移動しながら、前記ケージ収容部の前記底面へ向かう方向へも移動し、前記ホルダーで保持されている前記給気ユニットを前記セット位置で前記飼育ケージの前記カバー上に密着させることである。
【0017】
本発明に係る実験動物飼育用のラック装置における実施形態の他の一例としては、前記移動支持機構部が、前記ホルダーを前記セット位置から前記初期位置へ戻す方向への復帰力を付与する復帰力付勢手段を備え、該復帰力付勢手段は、前記ホルダーが前記セット位置にあるとき前記復帰力を前記ホルダーに対して非付勢状態にすることである。
【0018】
本発明に係る実験動物飼育用のラック装置における実施形態の他の例としては、前記給気ユニット取り付け手段が、前記飼育ケージの前記ケージ収容部における両側部に配置され、前記前後方向へ延びる一対の支持板を備え、前記移動支持機構部が、前記各支持板に形成され、前記前後方向へ延びるガイドスロットを含み、前記ホルダーが、その両側部に設けられた突起部を前記ガイドスロット内に摺動可能に嵌合して移動可能に支持されていることである。
【0019】
本発明に係る実験動物飼育用のラック装置における実施形態の他の例としては、前記ガイドスロットが、前記前方から前記ケージ収容部の前記底面へ向かう方向へ傾斜しながら後方へ向かっていることである。
【0020】
本発明に係る実験動物飼育用のラック装置における実施形態の他の例としては、前記移動支持機構部の前記復帰力付勢手段が、前記支持板に取り付けられたねじりコイルバネから構成され、該ねじりコイルバネの一方のバネ端が前記支持板の前記スロットから突出する前記突起部に係合し、他方のバネ端が前記支持板に係止され、前記突起部に係合している前記一方のバネ端が、前記ホルダーを前記初期位置の方向へ付勢する水平方向分力と前記ケージ収容部の前記底面へ向かうほぼ垂直な方向へ付勢する垂直方向分力との合成力を前記突起部に付与し、前記ねじりコイルバネは、前記ホルダーが前記初期位置から前記セット位置までの間を移動するときは、前記ねじりコイルバネの前記一方のバネ端により前記突起部に付勢する前記合成力のうち前記水平方向分力が前記垂直方向分力より大きく、前記ホルダーが前記セット位置にきたとき、前記垂直方向分力が前記水平方向分力より大きくなる位置で前記支持板に取り付けられていることである。
【0021】
本発明に係る実験動物飼育用のラック装置における実施形態の他の例としては、前記給気ユニット取り付け手段が、前記ホルダーの後方に取り付けられたロッド当接部を備え、また前記ホルダーが、その後方端部に取り付けられた給電用端子を備え、前記給気ユニットが前記ホルダーに保持されたとき、前記給電用端子が前記給気ユニットの後端に設けられているソケットに差し込まれ、前記給気ユニットを保持している前記ホルダーが、前記飼育ケージの前記ケージ収容部への進入に連動して前記セット位置に移動したとき、前記給気ユニットの後端から突出する電源スイッチ装置のロッドが前記ロッド当接部に当接して押し込まれ、前記給気ユニットに設けられている給気用のファン装置に給電して作動させることである。
【0022】
本発明に係る実験動物飼育用のラック装置における実施形態の他の例としては、前記ラック装置が、該ラック装置の全体を熱により滅菌することが可能なように少なくとも121度以上の熱に耐え得る材料で形成されていることである。
【発明の効果】
【0023】
本発明の実験動物飼育用のラック装置によると、飼育ケージのカバー上に配置された給気ユニットにより飼育ケージの外部から空気を取り込むと共に清浄化するので、従来の装置のように飼育ラックの棚板に給気ダクトを形成する必要がなく、その結果、薄い棚板を使用することができ、そのため棚板の数を増やすことができ、飼育ケージの収容密度を上げることができる。
【0024】
また、本発明の実験動物飼育用のラック装置によれば、飼育ケージをケージ収容部に出し入れするだけで、ケージ収容部の上部に支持された給気ユニットが飼育ケージのカバーに対して昇降するため、飼育ケージをラック装置から出し入れする操作が非常に容易であるばかりでなく、飼育ケージをラック装置のケージ収容部に配置するとき給気ユニットを飼育ケージのカバー上に密着した状態でセットするのを失念することがないので飼育ケージのラック装置への収容をきわめて安全かつ確実にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
添付の図面を参照して、本発明に係る実験動物飼育装置の詳細を説明すると、以下のとおりである。図1は、本発明の一実施形態に係る実験動物飼育用のラック装置10を前方側から見た正面図であり、図2は、実験動物飼育室100を概略的に示す構成説明図である。
【0026】
図1に示される実験動物飼育用のラック装置10は、ほぼ四角形に組まれた上下一対の枠部材11,12の各コーナー部にそれぞれ縦方向支柱13を立てて連結一体化し、下部の枠部材12に横方向へ延びる底板(下棚板)14aを配置すると共に上下の各枠部材11,12における高さ方向ほぼ中間部にも上棚板14bを設置して構成されている。ラック装置10は、横方向に等間隔で6本の区画兼支えロッド15を上下の各枠部材11,12間に立て、上下それぞれにおいて横方向に7つのケージ収容部16を画成している。
【0027】
各ケージ収容部16内の両側部には、飼育ケージ101をケージ収容部16の棚板上にラック装置10の前方から後方へ向かって正確に進入させることができるように、前方から後方へ延びるL型のガイドレール板17が各棚板14a,14bに取り付けられている。また、各ケージ収容部16の上部には、給気ユニット取り付け手段18が設置されている。ラック装置10の概略的な構成を示す図1では、給気ユニット取り付け手段18を構成しているホルダー19のみが示されている。図1には、ラック装置10における上段左側のケージ収容部16に飼育ケージ101と給気ユニット102とが配置されている状態が仮想線で示されている。実験動物はこれら飼育ケージ101に収容されて飼育される。
【0028】
図2に示される実験動物飼育室100では、該室内に図1に示すラック装置10が、対向する一対の壁に沿って上下2台づつ合計4台設置され、実験動物を飼育する関係者は、通常、この実験動物飼育室100内で飼育の作業を行う。この実験動物飼育室100の天井には、空調用の室内吹出口103が設けられている。室内吹出口103からは、室外に設置された空気調和機104で温湿度が調節されかつ除塵された清浄空気が供給される。
【0029】
実験動物飼育室100内には、排気チャンバー105aを内部に形成した排気ボックス105が各ラック装置10の背面側に密着して取り付けられている。したがって、排気ボックス105のケーシング板は、各ケージ収容部16の後方側(背面側)を塞いでいる。このケーシング板で形成されるラック装置10の背面板には、各ケージ収容部16に配置される飼育ケージ101の位置にほぼ対応して排出口106が形成されており、各ケージ収容部16は各排出口106を介して排気ボックス105の排気チャンバー105aに連通している。排気ボックス105は、排気ダクト107により室外に設置された排気ファン108に接続され、排気ボックス105の排気チャンバー105a内に排気された空気は、排気ファン108により実験動物飼育室100の外に排出される。
【0030】
図3は、1つのケージ収容部16に飼育ケージ101と給気ユニット102とを配置したラック装置10の部分的な断面図である。図3から明らかなように飼育ケージ101は、上部が開口したケージ本体110と、ケージ本体110の上面を塞ぐように取り外し自在に設けられたカバー111とから構成されている。このケージ本体110は、合成樹脂材料やその他実験動物の飼育に適する材料から形成され、また、カバー111も合成樹脂材料やその他実験動物の飼育に適する材料から形成されているが、アルミニウムやステンレスなどの金属材料で形成することも好ましい。カバー111には、ラック装置10の前方側(図3で見て左側)に位置する上面部分に空気を取り込む給気口112が形成され、後方側に位置する上面部分に空気を排出する排気口113が形成されている。これら給気口112,排気口113はそれぞれフィルター114a,114bで覆われている。このフィルター114a,114bは、高度な濾過能力を備えるフィルター、例えばHEPAフィルターや、中性能フィルターを用いることが好ましい。
【0031】
飼育ケージ101のカバー111上には、給気ユニット取り付け手段18により支持された給気ユニット102が設置されている。給気ユニット102は、図4,図5に示されるように薄型の密閉箱(ケーシング)120を備え、その前面側の内部にファン装置121が設置されている。このファン装置121は、円盤形のシロッコファン122とモータ(図示せず)等から構成されている。このシロッコファン122の上方部には、該ファン122の回転中心部へ向かってケーシング外部の空気を吸い込む吸気口123が形成されており、この吸気口123は、プレフィルター124により覆われている。
【0032】
ファン122の回転方向に沿ったファン装置121の側面には、その内部に吸い込まれた空気をファン122の遠心方向へ送り出す吹出部125が形成されている。吹出部125は、ここから吹き出された空気がケーシング120内の密閉された室126へ向かうように形成されている。密閉室126を画成しているケーシング120の底壁には、開口127が形成され、この開口127にも高度な濾過能力を備えるフィルター128、例えばHEPAフィルターが該開口127を覆って配置されている。また、ケーシング120の底壁外面には、開口127を囲むようにパッキング129が環状に配置されている。このパッキング129は、給気ユニット102が飼育ケージ101のカバー111の上面に配置されるとき、ケーシング120の底壁に形成されている開口127がカバー111の上面に形成されている給気口112と外部から遮断された状態で連通させるためのもので、カバー111の上面における給気口112の周囲部分に密着する。このことから明らかなように飼育ケージ101のカバー111に形成される給気口112は、ケーシング120の底壁に形成されている開口127の形成範囲よりも小さな範囲内に形成されている。
【0033】
給気ユニット102の後端部には、図5に示されるように電源接続用のソケット130と、ファン装置121への電源接続をオンオフする電源スイッチ装置131とが設けられている。電源スイッチ装置131は、プッシュロッド式で、該電源スイッチ装置131のスイッチ本体(図示せず)から後方へ突出しているロッド131aを押し込むとファン装置121に駆動電力が供給され、押し込み力を解除するとスイッチ本体内部のバネ力によりロッド131aが突出し、ファン装置121への電力供給を遮断する。
【0034】
次に、給気ユニット102をケージ収容部16の上部で支持する給気ユニット取り付け手段18について説明する。図6は、ケージ収容部16の上部に設置される給気ユニット取り付け手段18をラック装置10の枠部材11から取り外して示す斜視図である。給気ユニット取り付け手段18は、コ字形をした一対のホルダー19を備え、これらホルダー19は、その溝状部19aが向かい合うように間隔をあけて並行に、かつラック装置10の前後方向へ延びている。給気ユニット101は、その両側部を各ホルダー19の溝状部19aに嵌合させながら両ホルダー19間に位置するようにラック装置10の前方側から後方へ向かって挿入され、該ホルダー19によって着脱可能に保持される。
【0035】
両ホルダー19の後方側において、各ホルダー19の溝状部19aを形成している下部フランジ19bの下面には、L型の結合板20の各端部が固着され、両ホルダー19を連結している。この結合板20のほぼ中央部には、板状体からなる連動部材21の一端が固着され、他端は後方へ向かって延びた後に下方向へ折り曲げられている。この折り曲げられた部分を、便宜的に連動部材21の係止部21aと称する。また、結合板20には、給電用端子22を備え、給気ユニット102が両ホルダー19によって保持されたとき、給電用端子22が給気ユニット102の後端部に設けられているソケット130に差し込まれるようになっている。
【0036】
両ホルダー19の前方側の端部には、止めねじ挿通用の透孔19cが形成されている。この透孔19cは、給気ユニット102が2つのホルダー19によって所定位置に保持されたとき、給気ユニット102の前方側における両側面に形成されているねじ穴132(図4,5を参照)と整合し、止めねじ(図示せず)をホルダー19の外側から入れて給気ユニット102のねじ穴132に螺着してホルダー19との強固な結合を図り、給気ユニット102がホルダー19から不用意に抜け抜け出ないようにしている。
【0037】
また、給気ユニット取り付け手段18は、ホルダー19に沿って前後方向へ延びる一対の支持板23a,23bを備えている。これら支持板23a,23bは、図6に示されるようにラック装置10を構成している枠部材などの固定部分に取り付けられたコ字形のプレート23の該コ字形部分を画成している対向した内側部を下方へ折り曲げたフランジ部で構成されている。2つのホルダー19は、これら支持板23a,23bに取り付けられている。それぞれの支持板23a,23bに取り付けられている各ホルダー19は、移動支持機構部24によりラック装置10の前方側と後方側とに設定された初期位置とセット位置との間を往復動可能とされている。すなわち、移動支持機構部24は、各支持板23a,23bの前後2カ所に形成され、それぞれが前後方向へ延びるガイドスロット25と、各ホルダー19の両側部に設けられ、ガイドスロット25内に摺動可能に嵌合している突起部26とにより構成されている。
【0038】
各ガイドスロット25は、前方から後方へ延びるにしたがいケージ収容部16の底面に向かうように傾斜している。ホルダー19の初期位置とは、突起部26がガイドスロット25の前方側端部に位置しているときの状態(図7参照)をいい、ホルダー19のセット位置とは、突起部26がガイドスロット25の後方側端部に位置しているときの状態(図8を参照)をいう。一対の支持板23a,23bを形成しているコ字形のプレート23において、ホルダー19の後方に位置する下面にはロッド当接部27が取り付けられている。このロッド当接部27の当接面27aは、給気ユニット102を保持したホルダー19が初期位置からセット位置に移動したときに給気ユニット102の後端部から突出している電源スイッチ装置131のロッド131aが当接してこれを押し込むことができる位置にある。
【0039】
さらに、移動支持機構部24は、復帰力付勢手段28を備えている。この復帰力付勢手段28は、一方の支持板23bに取り付けられたねじりコイルバネ29から構成され、該ねじりコイルバネ29の一方のバネ端29aが支持板23bの一つのガイドスロット25から突出する突起部26の後方側周面に係合し、他方のバネ端29bが後方側に延びて支持板23bに係止されている。このラック装置10では、このねじりコイルバネ29の支持板23bへの取り付け位置が極めて重要となる。そこで、ねじりコイルバネ29の支持板23bへの取り付け位置について、図7,図8を参照して説明する。
【0040】
図7は、ホルダー19が初期位置にあるときの復帰力付勢手段28における状態、言い換えれば、ねじりコイルバネ29の一方のバネ端29aと突起部26との係合状態を示し、図8は、ホルダー19がセット位置にあるときのねじりコイルバネ29の一方のバネ端29aと突起部26との係合状態を示している。ねじりコイルバネ29は、突起部26に係合している一方のバネ端29aが、ホルダー19を初期位置の方向へ付勢する水平方向分力(図8において矢印30aで示すベクトル)と、ケージ収容部16の底面へ向かうほぼ垂直な方向へ付勢する垂直方向分力(図8において矢印30bで示すベクトル)との合成力(図8において矢印30で示すベクトル)を突起部26に付与している。
【0041】
ガイドスロット25に摺動可能に嵌合している突起部26に対して上述のような付勢力を与えるねじりコイルバネ29は、ホルダー19が初期位置のとき、一方のバネ端29aにより突起部26に付勢する合成力30のうち水平方向分力30aが垂直方向分力30bより大きく(図7に示す状態)、ホルダー19がセット位置のときには、垂直方向分力30bが水平方向分力30aより大きく(図8に示す状態)なるような位置にねじりコイルバネ29の中心部であるコイル部29cが支持板23bに支持されている。
【0042】
ねじりコイルバネ29のこのような取り付け位置としては、図7,図8に示されるようにねじりコイルバネ29の中心部であるコイル部29cを概ねガイドスロット25における前方側端部の上部付近で支持板23bに取り付けることが好ましい。しかし、ホルダー19のセット位置において、ねじりコイルバネ29の一方のバネ端29aが突起部26に対して付勢する合成力のうちの垂直方向分力の大きさはガイドスロット25の長さや傾斜角度によって異なるのでこれらの寸法的条件を考慮した上で設計することが必要である。
【0043】
次に、このラック装置10における1つのケージ収容部16に飼育ケージ101と給気ユニット102とを配置する手順について説明する。最初に、すでに説明したように給気ユニット102をホルダー19に取り付けると、給気ユニット102は、その後端部のソケット130に給電用端子22が差し込まれて給電される。しかし、給電ユニット102の後端部から突出している電源スイッチ装置131のロッド131aは、ホルダー19が初期位置にあることからプレート23に取り付けられているロッド当接板27の当接面27aには当接していないので、給気ユニット102内のファン装置121は作動していない。
【0044】
この状態から棚板14a,14b上における2つのガイドレール17間に飼育ケージ101をラック装置10の前方側から入れ、後方側に押し込んでケージ収容部16に入れる。その際、図7に示されるように飼育ケージ101におけるカバー111の後端部が、結合板20に取り付けられた連動部材21の係止部21aに当接する。そして、なおも飼育ケージ101をケージ収容部16内に押し込むと、飼育ケージ101が連動部材21および結合板20を介してホルダー19を後方へ引っ張る。ホルダー19には、復帰力付勢手段28により初期位置への復帰力が作用しているので、ホルダー19はその復帰力に抗して後方のセット位置へ向かって移動させられる。
【0045】
ホルダー19が後方のセット位置へ向かって移動するとき、その移動をガイドするガイドスロット25が後方向下向きに傾斜しているので、ホルダー19は後方へ移動しながら下方へも下がる。そして、ホルダー19がセット位置に来たときには、給気ユニット102の下面に取り付けられているパッキング129が飼育ケージ101のカバー111における所定の位置に密着する。そのとき、図8に示されるように復帰力付勢手段28を構成しているねじりコイルバネ29の一方のバネ端29aは、ガイドスロット25から突出する突起部26に対して水平方向分力30aより垂直方向分力30bが大きくなる方向へバネ力を掛けるようになるので、ホルダー19がセット位置に来たときには、ねじりコイルバネ29による前方向への復帰力がほとんど作用せず、むしろ下方向への押し付け力が大きくなるためホルダー19はセット位置で給気ユニット102を飼育ケージ101のカバー111上面に押し付けたまま静止状態を維持する。
【0046】
このようにして飼育ケージ101に押されて給気ユニット102がセット位置にくると、プレート23に取り付けられているロッド当接部27の当接面27aに給気ユニット102の後端部から突出している電源スイッチ装置131のロッド131aが当接して押し込まれ、電源が入る。これにより、ファン装置121に給電されてシロッコファン122が回転を始め、実験動物飼育室100内の清浄な空気が給気ユニット102内に吸気口123のプレフィルター124を通過して入り、さらに開口127のHEPAフィルター128および飼育ケージ101のカバー111に形成されている給気口112のフィルター114aを通過して入る。飼育ケージ101内の空気は、排気口113のフィルター115を通過してケージ収容部16に出て、後方に位置する排気ボックス105に形成されている排出口106から排気チャンバー105aに吸い込まれて実験動物飼育室100外に排気される。
【0047】
次に、飼育ケージ101内で飼育されている実験動物の状態を観察したり、何らかの処置を施すために飼育ケージ101をケージ収容部16から引き出す場合の動作について説明する。ホルダー19がセット位置にあるときには、前述したように給気ユニット102の下面に取り付けられているパッキング129が飼育ケージ101のカバー111に密着しているので、飼育ケージ101をケージ収容部16から引き出すと、給気ユニット102は、底面のパッキング129と飼育ケージ101のカバー111との摩擦力により前方へわずかに動かされる。その結果、給気ユニット102を保持しているホルダー19は、前方へ移動しながら上昇するので、給気ユニット102のパッキング129が飼育ケージ101のカバー111から離れると同時に復帰力付勢手段28のねじりコイルバネ29の一方のバネ端29aが突起部26に作用している付勢力のうち水平方向分力30aが垂直方向分力30bより大きくなるので、ねじりコイルバネ29によって受ける復帰力によってホルダー19は初期位置へ戻る。
【0048】
ホルダー19が初期位置に戻る途中で、給気ユニット102の後端部から突出している電源スイッチ装置131のロッド131aがロッド当接27の当接面27aから離れるので、ロッド131aは電源スイッチ装置131におけるスイッチ本体内の復帰バネによりその押し込みが解除され、電源スイッチ装置131が給電を遮断して、ファン装置121が停止する。
【0049】
このような操作から明らかなように、このラック装置10によると、給気ユニット取り付け手段18を構成しているホルダー19に給気ユニット102を取り付けておけば、飼育ケージ101をケージ収容部16に対して単に出し入れするだけで、給気ユニット102が自動的に下降して飼育ケージ101のカバー111上に圧接した状態で配置されかつファン装置121を作動させたり、あるいはカバー111から自動的に上昇させて飼育ケージ101をケージ収容部16から簡単に取り出すことができると共にファン装置121も自動的に停止させることができ、飼育ケージ101のケージ収容部16への設置や取り出し操作が非常に容易にできる。
【0050】
また、この実験動物飼育用のラック装置10では、飼育ケージ101のカバー111上に配置された給気ユニット102により飼育ケージ101の外部から空気を取り込むと共に清浄化するので、従来の装置のように飼育ラックの棚板に給気ダクトを形成する必要がなく、その結果、薄い棚板を使用することができ、そのため棚板の数を増やすことができ、飼育ケージの収容密度を上げることができる。
【0051】
前述した本発明に係る実施形態では、ホルダー19を前後に移動させながら昇降させる移動支持機構部24として傾斜したガイドスロット25を支持板23a,23bに形成したが、本発明はこのようなガイドスロット25に限定されるものではない。たとえば、図9に示されるように各支持板23a,23b(図9では図7,8と同様に一方の支持板23bのみを示している)とホルダー19とを前後それぞれに配置した2つのリンク31で接続してもよい。すなわち、各リンク31の一端を支持板23a,23bに枢着し、他端をホルダー19に枢着して、ホルダー19が支持板23a,23bに対して振り子のように揺動可能に吊り下げる。このような構成において、復帰力付勢手段28は、ホルダー19の前後方向ほぼ中間部の外側面に取り付けられた突起部26と、支持板23bに取り付けられたねじりコイルバネ29とから構成することができる。
【0052】
ねじりコイルバネ29の一方のバネ端29aは突起部26の後方側周面に係合し、他方のバネ端29bが後方側に延びて支持板23bに係止されている。このねじりコイルバネ29の支持板23bへの取り付け位置は、前述した実施形態の場合と同じであるのでその詳細な説明を省略する。なお、ホルダー19が前後に動くとき、突起部26が支持板23bと接触しないように符号32で示すようにその周囲部を切り欠いておくことが好ましい。
【0053】
このようにホルダー19をリンク31で吊り下げるように支持しておけば、ホルダー19が初期位置とセット位置との間を往復動するとき上下に昇降することになり、図6に示す実施形態と同様な動きをさせることができる。なお、図3に示される実施形態に係る実験動物飼育用のラック装置10では、ホルダー19が下降しながら後方向へ移動するときの停止手段すなわちストッパーは、支持板23a,23bに形成されたガイドスロット25の後方側端部であった(この端部に突起部26が当接することによりホルダー19が停止してセット位置となる)。
【0054】
しかし、ホルダー19と支持板23a,23bとをリンク31で接続した場合には、ホルダー31により保持された給気ユニット102の下面に設けられているパッキング129が飼育ケージ101のカバー111上面に圧接するので飼育ケージ101が棚板14a,14bに押し付けられ、これにより飼育ケージ101がセット位置を越えて後方向へ移動することは物理的にできなくなる。ただ、このような方法でセット位置を決めることは、パッキング129に過度な圧縮力を及ぼしかねないので、リンク31で揺動可能に吊り下げられたホルダー19が下降しながら後方向へ移動したときに設計したセット位置で停止するように、リンク31の後方側の側縁に当接する位置に突起部33を支持板23a,23bの少なくともいずれか一方に取り付けておくことが好ましい。
【0055】
上述した各実施形態は、本発明における最適な例を挙げたものであり、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変形例を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の一実施形態に係る実験動物飼育用のラック装置を概略的に示す正面図。
【図2】本発明のラック装置が設置された実験動物飼育室を概略的に示す構成説明図。
【図3】1つのケージ収容部に給気ユニットと飼育ケージが配置されたラック装置の部分的な断面図。
【図4】給気ユニットを前方側から見た斜視図。
【図5】給気ユニットを後方側から見た斜視図。
【図6】ケージ収容部の上部に設置される給気ユニット取り付け手段をラック装置の枠部材から取り外して示す斜視図。
【図7】図6の給気ユニット取り付け手段を側方から見た側面図。
【図8】ホルダーが初期位置からセット位置へ移動したときの給気ユニット取り付け手段を示す図7と同様な側面図。
【図9】本発明の他の実施形態に係る実験動物飼育用のラック装置における給気ユニット取り付け手段を示す図7と同様な側面図。
【符号の説明】
【0057】
10 ラック装置
14a,14b 棚板
16 ケージ収容部
18 給気ユニット取り付け手段
19 ホルダー
21 連動部材
22 給電用端子
23a,23b 支持板
24 移動支持機構部
25 ガイドスロット
26 突起部
27 ロッド当接部
28 復帰力付勢手段
29 ねじりコイルバネ
31 リンク
101 飼育ケージ
102 給気ユニット
111 カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部の開口を着脱自在なカバーで覆って密閉された飼育ケージと、該飼育ケージの前記カバー上に着脱可能に設置され、前記カバーに形成された通気口から清浄な空気を該飼育ケージ内に供給する給気ユニットとからなる少なくとも1つの飼育ケージ装置を保管して飼育管理を行う実験動物飼育用のラック装置において、
前記飼育ケージを出入り可能に収納する少なくとも1つのケージ収容部と、該ケージ収容部の上方に設けられた給気ユニット取り付け手段とを備え、前記飼育ケージは前記ラック装置の前方から後方へ向かって前記ケージ収容部へ進入し、かつその逆方向へ向かって前記ケージ収容部から取り出し可能であり、
前記給気ユニット取り付け手段が、前記給気ユニットを着脱可能に保持するホルダーと、該ホルダーを前記ラック装置の前方側に設定された初期位置と後方側に設定されたセット位置との間で往復移動可能にすると共に前記ホルダーが前記セット位置に近づくにしたがい前記ケージ収容部の底面へ向かう方向へ移動する移動支持機構部と、前記飼育ケージが前記ケージ収容部へ進入するとき前記飼育ケージの進入に連動して前記ホルダーを前記初期位置から前記セット位置へ動かす連動部材とから構成され、
前記飼育ケージを前記ラック装置の前方から前記ケージ収容部へ進入させるとき、前記連動部材と前記移動支持機構部とにより前記ホルダーが前記飼育ケージと共に前記後方へ移動しながら、前記ケージ収容部の前記底面へ向かう方向へも移動し、前記ホルダーで保持されている前記給気ユニットを前記セット位置で前記飼育ケージの前記カバー上に密着させることを特徴とする前記実験動物飼育用のラック装置。
【請求項2】
前記移動支持機構部が、前記ホルダーを前記セット位置から前記初期位置へ戻す方向への復帰力を付与する復帰力付勢手段を備え、該復帰力付勢手段は、前記ホルダーが前記セット位置にあるとき前記復帰力を前記ホルダーに対して非付勢状態にする請求項1に記載の実験動物飼育用のラック装置。
【請求項3】
前記給気ユニット取り付け手段が、前記飼育ケージの前記ケージ収容部における両側部に配置され、前記前後方向へ延びる一対の支持板を備え、
前記移動支持機構部が、前記各支持板に形成され、前記前後方向へ延びるガイドスロットを含み、前記ホルダーが、その両側部に設けられた突起部を前記ガイドスロット内に摺動可能に嵌合して移動可能に支持されている請求項1または2に記載の実験動物飼育用のラック装置。
【請求項4】
前記ガイドスロットが、前記前方から前記ケージ収容部の前記底面へ向かう方向へ傾斜しながら後方へ向かっている請求項3に記載の実験動物飼育用のラック装置。
【請求項5】
前記移動支持機構部の前記復帰力付勢手段が、前記支持板に取り付けられたねじりコイルバネから構成され、該ねじりコイルバネの一方のバネ端が前記支持板の前記スロットから突出する前記突起部に係合し、他方のバネ端が前記支持板に係止され、前記突起部に係合している前記一方のバネ端が、前記ホルダーを前記初期位置の方向へ付勢する水平方向分力と前記ケージ収容部の前記底面へ向かうほぼ垂直な方向へ付勢する垂直方向分力との合成力を前記突起部に付与し、
前記ねじりコイルバネは、前記ホルダーが前記初期位置から前記セット位置までの間を移動するときは、前記ねじりコイルバネの前記一方のバネ端により前記突起部に付勢する前記合成力のうち前記水平方向分力が前記垂直方向分力より大きく、前記ホルダーが前記セット位置にきたとき、前記垂直方向分力が前記水平方向分力より大きくなる位置で前記支持板に取り付けられている請求項4に記載の実験動物飼育用のラック装置。
【請求項6】
前記給気ユニット取り付け手段が、前記ホルダーの後方に取り付けられたロッド当接部を備え、また前記ホルダーが、その後端部に取り付けられた給電用端子を備え、前記給気ユニットが前記ホルダーに保持されたとき、前記給電用端子が前記給気ユニットの後端部に設けられているソケットに差し込まれ、前記給気ユニットを保持している前記ホルダーが、前記飼育ケージの前記ケージ収容部への進入に連動して前記セット位置に移動したとき、前記給気ユニットの後端部から突出する電源スイッチ装置のロッドが前記ロッド当接部に当接して押し込まれ、前記給気ユニットに設けられている給気用のファン装置に給電して作動させる請求項2〜5のいずれかに記載の実験動物飼育用のラック装置。
【請求項7】
前記ラック装置は、該ラック装置の全体を熱により滅菌することが可能なように少なくとも121度以上の熱に耐え得る材料で形成されている請求項1〜6のいずかに記載の実験動物飼育用のラック装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−314264(P2006−314264A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−140578(P2005−140578)
【出願日】平成17年5月13日(2005.5.13)
【出願人】(591023479)ダイダン株式会社 (82)
【Fターム(参考)】