説明

家具ユニット

【課題】棚板の移動を伴うことなく収容空間内にテーブルを容易に収容でき、且つテーブル収容時にテーブルが背板に直接衝突することなく補強板に当接させて、背板の損傷または破損を防ぐことができる家具ユニットを提供すること。
【解決手段】左右の側板3及び背板4を有し、この側板間に棚板5a〜5cが架設されてなる棚2と、自立可能なテーブル7と、からなり、最下段の棚板5cの下方に、テーブル7の少なくとも一部が収容可能な収容空間Sが形成されている家具ユニットにおいて、収容空間S内には、両端が左右の側板3に支持される略垂直方向を向く補強板14が、背板4の前面から所定距離離間した前方位置に、収容空間S内に収容される7テーブルに当接可能に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、左右の側板及び背板を有し、前記左右の側板間に棚板が架設されてなる棚と、該棚とは別個に構成され、自立可能な脚を有するテーブルと、からなり、前記棚における最下段の棚板の下方に、前記テーブルの少なくとも一部が収容可能な収容空間が形成されている家具ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の家具ユニットとしては、例えば、自立できる脚を有する机部と、その机部よりも高い棚部とからなり、棚部の棚板の一部が水平状態と垂直状態とに移動可能に取り付けられており、該棚板が垂直状態にあるとき、机部の後方部分が棚板の下方に位置するように配置できるようになっているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、同一高さの棚面を有する複数のキャビネットと、各棚面と同一高さの天板面を有するテーブルとを具備し、テーブルを任意のキャビネットの前方に配置し、その天板面をキャビネットの棚面に略面一に連続させうるようにしたものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】実開昭60−1334号公報(第1頁、第2図)
【特許文献2】特開平10−127388号公報(段落0013、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の棚付き机にあっては、机部の後方部分を棚部に配置した際に、収納場所を確保するために棚板を水平状態から垂直状態に移動しなければならず、しかも机部にて使用するパソコンや照明などの配線が背面側に露呈して見栄えが悪くなる虞があった。
【0006】
また、特許文献2に記載の執務用設備にあっては、テーブルを単独で使用しない場合、テーブルをキャビネット側に収容しようとしてもテーブルの天板面とキャビネットの棚面とが直接衝突して収容しきれず、しかもどちらかあるいは双方衝突面が損傷する虞があった。
【0007】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、棚板の移動を伴うことなく収容空間内にテーブルを容易に収容でき、且つテーブル収容時にテーブルが背板に直接衝突することなく補強板に当接させて、背板の損傷または破損を防ぐことができる家具ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載の家具ユニットは、左右の側板及び背板を有し、前記左右の側板間に棚板が架設されてなる棚と、該棚とは別個に構成され、自立可能な脚を有するテーブルと、からなり、前記棚における最下段の棚板の下方に、前記テーブルの少なくとも一部が収容可能な収容空間が形成されている家具ユニットであって、前記収容空間内には、両端が前記左右の側板に支持される略垂直方向を向く補強板が、前記背板の前面から所定距離離間した前方位置に、前記収容空間内に収容される前記テーブルに当接可能に設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、棚における左右の側板が補強板により支持されることで、棚の強度が効果的に高まるとともに、収容空間内に収容されたテーブルは補強板に当接され、テーブルが背板に直接衝突して該背板が損傷または破損することが防止されるので、棚の耐久性が向上する。
【0009】
本発明の請求項2に記載の家具ユニットは、請求項1に記載の家具ユニットであって、前記補強板は、前記テーブルの脚に当接可能な位置に設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、収容空間内への収容時において、テーブルの天板上に載置される物品が補強板と当接すること等がないので、物品の損傷や破損が防止されるとともに、テーブルの収容時において補強板が天板下方に隠蔽されるので見栄えがよい。
【0010】
本発明の請求項3に記載の家具ユニットは、請求項1または2に記載の家具ユニットであって、前記補強板及び/または前記側板内面における前記テーブルとの当接部の少なくとも一部に緩衝材を設けたことを特徴としている。
この特徴によれば、テーブルと補強板及び/または側板内面との当接時における衝撃が緩和されるため、テーブルや補強板、側板の損傷や破損が防止される。
【0011】
本発明の請求項4に記載の家具ユニットは、請求項1乃至3のいずれかに記載の家具ユニットであって、前記背板の前面と前記補強板との間に、配線を載置可能な水平板が取り付けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、テーブルが強く補強板に当接した場合でも、水平板により補強板の支持強度が高められると共に、水平板上にケーブルや電源コネクタ等を、補強板の背面側に見栄えよく収容することができる。
【0012】
本発明の請求項5に記載の家具ユニットは、請求項1乃至4のいずれかに記載の家具ユニットであって、前記水平板は、前記左右の側板のうち少なくとも一方の側板の内面との間に、配線を挿通可能な配線空間が形成されるように配置されていることを特徴としている。
この特徴によれば、テーブルからの配線を配線空間を介して左右側方から下方に向けて配線することができる。テーブルからの配線を配線空間を介して左右側方から下方に向けて配線することができる。
【0013】
本発明の請求項6に記載の家具ユニットは、請求項1乃至5のいずれかに記載の家具ユニットであって、前記最下段の棚板はコンセントユニットを有し、且つ、前記テーブルが前記収容空間に収容された状態において、該テーブルの後端と背板との間に形成される隙間の上方を覆い、該棚板下面と前記テーブルの天板上面との間に所定の大きさの空間が形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、テーブルを収容空間に収容した状態において、該テーブルの後端と背板前面との間に形成される隙間が最下段の棚板により覆われるため、見栄えがよいばかりか、天板上に載置した、例えばOA機器等のコードを上方にあるコンセントユニットに配線しやすく、最下段の棚板下面とテーブルの天板上面との間に大きさの空間が形成されるため、収容時においてケーブル等が棚板とテーブルの天板との間に挟まれることなく多くのコードが配線できる配線スペースとして利用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の実施例を以下に説明する。
【実施例】
【0015】
本発明の実施例を図面に基づいて説明すると、図1は本発明の実施例における家具ユニットの全体像を示す斜視図であり、図2は家具ユニットを示す正面図であり、図3は図2のA−A断面図であり、図4(a)は図2のB−B断面図であり、(b)は図2のC−C断面図である。
【0016】
本実施例における家具ユニット1は、図1〜図3に示されるように、左右の側板3,3及び背板4を有し、左右の側板3,3間に複数の棚板5a〜5cが上下方向に架設されてなる棚2と、該棚2とは別個に構成される自立可能なテーブル7と、から構成されており、前記棚2における最下段の棚板5cの下方には、図中2点鎖線で示されるように、テーブル7の後部を収容可能な収容空間Sが形成されている。
【0017】
テーブル7は、図1に示すように、平面視長方形状の天板8と、該天板8の四隅を支持する4本の脚6と、から自立可能に構成されており、各脚6の下端に設けられたキャスター9を介して、床面F上を移動自在になっている。つまりテーブル7は、棚2から離れて独立した分離位置(例えば図1中実線位置)と、収容空間S内に後部が収容された収容位置(図1中2点鎖線位置)と、の双方において、天板8が脚6により支持された状態で使用できるようになっている。
【0018】
棚2における左右の側板3,3は、図1に示されるように、その下半部の前後幅L2が上半部の前後幅L1よりも幅広に形成されており、収容空間S内に収容されるテーブル7の後部左右側を隠蔽できるようになっている。上半部の左右側板3,3間に所定間隔おきに配設される棚板5a〜5cの前後幅は、図3に示されるように、最上段の棚板5aが最も幅広で、最下段の棚板5cが最も幅狭に形成されており、それぞれの棚板5a〜5cの前端部が下段になるほど後退しており、収容空間S内にテーブル7が収容されたときに、天板8上に載置された物品(例えばノートパソコンN等)や作業者の頭部とが干渉しないばかりでなく、テーブルを奥まで収容しても天板の利用面積を大きく確保することができる。
【0019】
棚板5a〜5cのうちの最下段の棚板5cは、テーブル7が収容空間Sに収容された状態において、該テーブル7の天板8の後端と、背板4の前面との間に形成される隙間10の上方を覆うとともに、該棚板5c下面と天板8上面との間に、天板8上に載置されるノートパソコンNからの通信ケーブルK等を挿通可能な所定の大きさの空間11が形成されるように配置されている。
【0020】
また、棚板5cの左右方向の中央位置には、天板8上に載置されるノートパソコンNからの電源ケーブルK等のプラグ等を接続可能なコンセント本体12が配設されており、その上面がカバー体12aにより覆われている。棚板5cの下面におけるコンセント12の配置位置前方からは、垂直方向を向く閉塞板13が下方に向けて垂設されており、コンセント12本体下部が前方から見えないように隠蔽されている。該閉塞板13は、下端が収容空間Sに収容されたテーブル7の天板8下面よりも下方位置まで延設されている。
【0021】
棚板5cの下方には、垂直方向を向く補強板14が、背板4の前面から所定距離離間した前方位置に配設されている。具体的には、補強板14は、所定の上下幅を有する板材にて構成され、その両端は左右の側板3,3の内面に固着されているため、この補強板14により左右の側板3,3の捩れ等に対する強度が高められている。
【0022】
補強板14は、特に図3に示されるように、収容空間S内に収容されるテーブル7の天板8よりも下方に配置されているとともに、その前面における左右側には、収容空間S内に収容されるテーブル7後側の左右脚6,6の上部に当接可能な緩衝材としてのゴムパッド15,15が取り付けられており、収容空間S内にテーブル7が収容されたときに、テーブル7の後側の左右脚6,6の上部所定箇所がゴムパッド15,15に当接し、テーブル7の後側への移動を規制規制されるようになっており、これにより天板8の後端が背板4に当接することが回避されている。
【0023】
このようにゴムパッド15,15を介して脚6,6と当接するようにすることで、天板8の後端と背板4との当接が回避され、背板4の破損や損傷が防止されるとともに、脚6,6が補強板14に直接当接することがなく、ゴムパッド15,15を介して当接することで、当接時における衝撃が緩和され、脚6,6や補強板14の損傷や破損等が防止されるとともに、衝突音の発生が効果的に抑制される。
【0024】
また、脚6,6がゴムパッド15,15を介して補強板14に当接した状態において、図3に示されるように、天板8の後端部は棚板5cの下方に入り込むようになっており、棚板5c下面と天板8上面との間には、天板8上に載置されたノートパソコンNからのケーブルK等を挿通可能な左右方向に延びる所定の大きさの空間11が形成されるとともに、天板8の後端面と閉塞板13の前面との間には、所定の大きさの空間11に挿通されたケーブルK等を下方の収容空間Sに向けて挿通可能な左右方向に延びる配線スペース20が形成されるようになっている。
【0025】
補強板14と背板4との間には、左右方向に延びる水平板16が配設されており、配線スペース20を挿通されたケーブルK等をこの水平板16の上面に載置して左右方向に配線できるようになっている。水平板16は、補強板14の上端よりも下方位置に配置され、前後端面が補強板14の背面及び背板4の前面に固着されており、補強板14と背板4と水平板16とにより、上向きに開口する縦断面コ字状の配線スペースを形成するとともに、図4(b)に示されるように、左右幅は左右側板3,3内面間の寸法よりも小寸に形成され、左右端面と左右の側板3,3の内面との間に配線スペース18,18が形成されるように配置されており、該配線スペース18,18を介して水平板16上に配線されたケーブルKを下方に挿通できるようになっている。なお、配線スペース18,18から下方に挿通したケーブルKは、左右の側板3,3の下部に形成された配線用開口19,19を介して外部に延設できるようになっている。
【0026】
また、図2及び図4(a)に示されるように、側板3,3の前端部における所定高さ位置には、収容空間S内に収容されるテーブル7の天板8の左右側端面それぞれに当接可能な緩衝材としてのゴムパッド17,17が取り付けられており、テーブル7の収容空間Sへの収容時において、側板3,3と天板8とが直接衝突することが回避されるようになっており、ゴムパッド17,17により側板3,3と天板8との衝突による衝撃が緩和されることで、側板3,3や天板8の損傷や破損が防止されるようになっている。なお、特に図4(a)に示されるように、収容空間S内への収容時において、天板8は、ゴムパッド17,17と当接しない左右幅を有しており、左右の側板3,3間に遊嵌されるようになっている。
【0027】
次に、テーブル7を収容空間S内に収容した際の作用を説明する。テーブル7を単独で使用した後、棚2の下方の収容空間Sに収容する場合、先ず天板8の左右側端面が棚2の左右側板3,3と当接しないようにキャスター9を転がして収容空間Sへ移動させる。この際テーブル7が多少左右に振れたとしても、ゴムパッド17,17があるため側板3,3と天板8との衝突による衝撃が緩和される。
【0028】
その後、テーブル7を背板4に向けて押し込むと、テーブル7の後方の2本の脚6,6が補強板14の前面に設けたゴムパッド15,15と当接する。この場合、テーブル7を強く押し込んだとしても、ゴムパッド15,15により脚6,6や補強板14の損傷や破損等が防止される。また脚6,6は直接背板4と衝接しないので、背板4に衝撃が加わることがない。
【0029】
そして、テーブル7が収容空間Sに完全に収容されたとき、図3の2点鎖線で示すように、天板8上面と棚板5c下面との間に左右方向に延在する所定の大きさの空間11が、天板8の後端面と閉塞板13の前面との間に左右方向に延在する配線スペース20が確保される。
したがって、天板上に複数の電気機器類があってもこれら所定の大きさの空間11、および配線スペース20を介して複数のコードを配線することが可能である。また、コンセント本体12が天板8より上方にある棚板5cに設けられているので、プラグ類をコンセントに容易に差し込むことができる。
【0030】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0031】
例えば、前記実施例では、テーブルの左右方向のぶれと、テーブルの下方を隠蔽する観点から、側板下方を前方に突出した例で説明したが、側板下方を必ず前方側へ突出させなくてもよい。また最下方の棚板5cは上段の棚板5a,5bに比べ、テーブルを奥まで収容しても天板の利用面積を大きく確保するために前方への突出長さを抑えているが、必ず最下方の棚の前後方向の長さを短くしなければならないものではない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施例における家具ユニットの全体像を示す斜視図である。
【図2】家具ユニットを示す正面図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】(a)は図2のB−B断面図であり、(b)は図2のC−C断面図である。
【符号の説明】
【0033】
1 家具ユニット
2 棚
3 側板
4 背板
5a〜5c 棚板
6 脚
7 テーブル
8 天板
9 キャスター
10 隙間
11 所定の大きさの空間
12 コンセント本体
12a カバー体
13 閉塞板
14 補強板
15 ゴムパッド
16 水平板
17 ゴムパッド
18 配線スペース
19 配線用開口
20 配線スペース
F 床面
K ケーブル
N ノートパソコン
S 収容空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の側板及び背板を有し、前記左右の側板間に棚板が架設されてなる棚と、該棚とは別個に構成され、自立可能な脚を有するテーブルと、からなり、前記棚における最下段の棚板の下方に、前記テーブルの少なくとも一部が収容可能な収容空間が形成されている家具ユニットであって、
前記収容空間内には、両端が前記左右の側板に支持される略垂直方向を向く補強板が、前記背板の前面から所定距離離間した前方位置に、前記収容空間内に収容される前記テーブルに当接可能に設けられていることを特徴とする家具ユニット。
【請求項2】
前記補強板は、前記テーブルの脚に当接可能な位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の家具ユニット。
【請求項3】
前記補強板及び/または前記側板内面における前記テーブルとの当接部の少なくとも一部に緩衝材を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の家具ユニット。
【請求項4】
前記背板の前面と前記補強板との間に、配線を載置可能な水平板が取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の家具ユニット。
【請求項5】
前記水平板は、前記左右の側板のうち少なくとも一方の側板の内面との間に、配線を挿通可能な配線空間が形成されるように配置されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の家具ユニット。
【請求項6】
前記最下段の棚板はコンセントユニットを有し、且つ、前記テーブルが前記収容空間に収容された状態において、該テーブルの後端と背板との間に形成される隙間の上方を覆い、該棚板下面と前記テーブルの天板上面との間に所定の大きさの空間が形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の家具ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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